説明

燃料電池

【課題】発電効率の低下を抑制できる燃料電池を提供する。
【解決手段】燃料電池は、電解質層212と電極層214、215とを含む発電体210と、発電に用いられるガスを流通させるための流路を内部に有し発電体にガスを供給する拡散層220、230と、拡散層にガスを供給するセパレータ300と、発電体の端面に沿って形成された第1のシール部510と、拡散層の端面に沿って形成された第2のシール部520と、を備える。燃料電池は、発電体と拡散層とセパレータとが、発電体の両面に拡散層が配置されると共に、拡散層の発電体に対向する側とは反対側の面にセパレータが配置されるように積層された構成を有する。第1のシール部は、セパレータとの間で、外部へのガスの漏洩を抑制するシールを構成する有効シール部を有する。第2のシール部は、積層前に、積層後に発電体の積層面とセパレータの積層面とに密着するように、拡散層と一体として形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池に関し、特に発電性能の低下を抑制可能な燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、水素と酸素との電気化学反応を利用して発電する燃料電池が注目されている。燃料電池は、例えば、膜・電極接合体(以下「MEA(Membrane Electrode Assembly)」とも呼ぶ)と拡散層とセパレータとが、MEAの両面に拡散層が配置され、拡散層のMEAに対向する側とは反対側の面にセパレータが配置されるように、積層された構成を有する。MEAは、例えば、電解質層の一方の表面にカソード電極層が配置され他方の表面にアノード電極層が配置された構成を有する。拡散層は、例えば、多孔質の材料によって形成される。
【0003】
燃料電池の拡散層には、セパレータを介して、酸素を含む空気と水素を含む燃料ガスとが供給される。燃料電池に供給される空気および燃料ガスは、反応ガスとも呼ばれる。燃料電池の拡散層に供給された反応ガスは、拡散層内を流通しつつMEAに供給され、MEAにおける発電に利用される。発電に利用されなかった反応ガスは、拡散層およびセパレータを介して燃料電池の外部へと排出される。
【0004】
燃料電池の内部から外部への反応ガスの漏洩を防止するために、MEAおよび拡散層の周囲を取り囲むようにシール部材が設けられることがある(例えば特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−231274号公報
【特許文献2】特開2004−119121号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の燃料電池では、シール部材と拡散層とが積層方向に沿って干渉することによってシールが不完全となったり面圧のばらつきが発生したりすることを防止するために、シール部材と拡散層とは所定の間隔を設けて配置される。この結果、シール部材と拡散層との間に空間が形成される。そのため、燃料電池に供給された反応ガスの一部が、当該空間を通過して発電に利用されないまま外部へと排出される場合があった。反応ガスの一部が発電に利用されないまま排出されると、燃料電池の発電効率が低下するおそれがある。
【0007】
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、燃料電池の発電効率の低下を抑制することを可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の燃料電池は、
電解質層と前記電解質層の両面に配置された電極層とを含む発電体と、
前記発電体における発電に用いられるガスを流通させるための流路を内部に有し、前記発電体に前記ガスを供給する拡散層と、
前記拡散層に前記ガスを供給するセパレータと、
前記発電体の端面に沿って形成された第1のシール部と、
前記拡散層の端面に沿って形成された第2のシール部と、を備え、
前記燃料電池は、前記発電体と前記拡散層と前記セパレータとが、前記発電体の両面に前記拡散層が配置されると共に、前記拡散層の前記発電体に対向する側とは反対側の面に前記セパレータが配置されるように、積層された構成を有し、
前記第1のシール部は、前記セパレータとの間で、前記燃料電池の内部から外部への前記ガスの漏洩を抑制するシールを構成する有効シール部を有し、
前記第2のシール部は、前記積層前に、前記積層後に前記発電体の積層面と前記セパレータの積層面とに密着するように、前記拡散層と一体として形成される。
【0009】
この燃料電池では、発電体の端面に沿って形成された第1のシール部が、セパレータとの間で、燃料電池の内部から外部へのガスの漏洩を抑制するシールを構成する有効シール部を有している。また、拡散層の端面に沿って形成された第2のシール部が、燃料電池の積層後に発電体の積層面とセパレータの積層面とに密着するように形成される。そのため、この燃料電池では、拡散層と第1のシール部との間に形成される空間へのガスの漏洩を抑制することができ、燃料電池の発電効率の低下を抑制することができる。
【0010】
上記燃料電池において、
前記第2のシール部の材料および前記積層前の形状は、前記第2のシール部が前記積層時に前記発電体と前記セパレータとに挟まれて変形するように、設定されるとしてもよい。
【0011】
この構成によれば、第2のシール部を、発電体の積層面とセパレータの積層面とに密着するように形成することができる。
【0012】
また、上記燃料電池において、
前記第2のシール部の前記積層前の形状は、前記燃料電池の積層方向に沿った厚さが前記拡散層の厚さよりも大きい形状であるとしてもよい。
【0013】
この構成によれば、第2のシール部を、積層時に発電体とセパレータとに挟まれて変形するように形成することができる。
【0014】
また、上記燃料電池において、
前記第2のシール部の前記積層前の形状は、前記積層方向に平行な断面形状が、前記拡散層の2つの積層面の内の一方を含む平面と交差しない形状であるとしてもよい。
【0015】
この構成によれば、第2のシール部が一体形成された拡散層の一方の積層面を他の部材の積層面と容易に接合することができ、燃料電池の製造の効率化を図ることができる。
【0016】
また、上記燃料電池において、
前記第2のシール部は、前記拡散層の端面全体における前記拡散層内部から前記拡散層外部への前記ガスの流出を抑制するように、構成されているとしてもよい。
【0017】
この構成によれば、拡散層と第1のシール部との間に形成される空間へのガスの漏洩をより確実に抑制することができ、燃料電池の発電効率の低下を抑制することができる。
【0018】
また、上記燃料電池において、
前記第2のシール部は、前記積層後に前記第1のシール部の一部に密着するように形成されるとしてもよい。
【0019】
この構成によれば、発電体の積層面を介した拡散層と第1のシール部との間に形成される空間へのガスの漏洩を抑制することができ、燃料電池の発電効率の低下を抑制することができる。
【0020】
また、上記燃料電池において、
前記第1のシール部は、前記発電体の端部の積層面を覆うように形成された被覆部を有し、
前記第2のシール部は、前記積層後に、前記拡散層の端面より外側において前記被覆部に覆われていない前記発電体の積層面全域に密着するように形成されるとしてもよい。
【0021】
この構成によれば、発電体の積層面を介した拡散層と第1のシール部との間に形成される空間へのガスの漏洩をより確実に抑制することができ、燃料電池の発電効率の低下を抑制することができる。
【0022】
また、上記燃料電池において、
前記第2のシール部の材料は、前記第1のシール部の材料より低剛性であるとしてもよい。
【0023】
この構成によれば、第1のシール部材と第2のシール部材とが、積層方向に沿って干渉した場合にも、第2のシール部材が変形することにより、シールが不完全となったり面圧のばらつきが発生して発電性能が低下したりすることを防止することができる。
【0024】
また、上記燃料電池において、
前記セパレータの前記拡散層に対向する面は平坦形状であるとしてもよい。
【0025】
この構成によれば、比較的ガス流の制御が困難な燃料電池においても、拡散層と第1のシール部との間に形成される空間への反応ガスの漏洩を抑制することができるため、発電効率の低下を抑制することができる。
【0026】
また、上記課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の燃料電池の製造方法は、
(a)電解質層と前記電解質層の両面に配置された電極層とを含む発電体と、前記発電体における発電に用いられるガスを流通させるための流路を内部に有し前記発電体に前記ガスを供給する拡散層と、前記拡散層に前記ガスを供給するセパレータと、を準備する工程と、
(b)前記発電体の端面に沿って第1のシール部を形成する工程と、
(c)前記拡散層の端面に沿って第2のシール部を形成する工程と、
(d)前記発電体と前記拡散層と前記セパレータとを、前記発電体の両面に前記拡散層が配置されると共に、前記拡散層の前記発電体に対向する側とは反対側の面に前記セパレータが配置されるように、積層する工程と、を備え、
前記工程(b)は、第1のシール部が、前記工程(d)の後に、前記セパレータとの間で、前記燃料電池の内部から外部への前記ガスの漏洩を抑制するシールを構成するように、前記第1のシール部を形成する工程であり、
前記工程(c)は、前記工程(d)の前に、前記工程(d)の後に前記発電体の積層面と前記セパレータの積層面とに密着するような前記第2のシール部を、前記拡散層と一体として形成する工程である。
【0027】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、燃料電池、燃料電池の製造方法、燃料電池用単セル、燃料電池を備えた移動体等の態様で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
B.第2実施例:
C.第3実施例:
D.変形例:
【0029】
A.第1実施例:
図1および図2は、本発明の第1実施例としての燃料電池100の断面構成を概略的に示す説明図である。また、図3および図4は、本発明の第1実施例としての燃料電池100の平面構成を概略的に示す説明図である。図1(a)は、図3および図4における1−1切断面に沿った燃料電池100の断面構成を示しており、図1(b)は、図1(a)におけるX1部を拡大して示している。図2(a)は、図3および図4における2−2切断面に沿った燃料電池100の断面構成を示しており、図2(b)は、図2(a)におけるX2部を拡大して示している。図3は、図1および図2における上側から見たセパレータ300の平面構成を示している。図3において、二点鎖線で囲んだ領域PAは、単セル200(より詳細には後述のカソード側第1拡散層230)と接する領域を表している。図4は、図1および図2における上側から見た単セル200の平面構成を示している。
【0030】
燃料電池100は、例えば酸化ガスとしての空気と水素リッチな燃料ガスとを用いて発電を行う装置である。本実施例の燃料電池100は、固体高分子型の燃料電池である。燃料電池100は、図1および図2に示すように、単セル200とセパレータ300とが交互に積層された構成を有している。図1および図2では、燃料電池100に含まれる単セル200およびセパレータ300の内の一部を抜き出して示しており、他の単セル200およびセパレータ300は図示を省略している。なお、本明細書では、燃料電池100の各部材を積層する方向、すなわち、図1および図2における上下方向を、「燃料電池100の積層方向」または単に「積層方向」と呼ぶ。
【0031】
単セル200は、図1(a)および図2(a)に示すように、発電体210と、発電体210を両側から挟むように配置されたアノード側の第1の拡散層220およびカソード側の第1の拡散層230と、を有している。以下の説明では、アノード側の第1の拡散層220を単に「アノード側第1拡散層220」と呼び、カソード側の第1の拡散層230を単に「カソード側第1拡散層230」と呼ぶものとする。また、アノード側第1拡散層220およびカソード側第1拡散層230を、まとめて「第1拡散層220および230」とも呼ぶものとする。第1拡散層220および230は、内部空隙率が高く気体が内部を流通する際の圧力損失が小さい金属製多孔体やカーボン製多孔体を用いて構成されており、発電体210における発電に用いられる反応ガス(空気および燃料ガス)を流通させる多孔体流路として機能する。
【0032】
発電体210は、図1(b)および図2(b)に示すように、イオン交換膜によって形成された電解質層212と、電解質層212を両側から挟むように配置されたアノード側触媒電極層214およびカソード側触媒電極層215と、を有している。アノード側触媒電極層214およびカソード側触媒電極層215は、触媒担持カーボンを含んでいる。なお、電解質層212とアノード側触媒電極層214およびカソード側触媒電極層215との積層体は、「MEA(Membrane Electrode Assembly)」または「膜・電極接合体」とも呼ばれる。
【0033】
さらに、本実施例では、発電体210は、アノード側触媒電極層214の電解質層212と対向する面とは反対側の面に配置されたアノード側の第2の拡散層216と、カソード側触媒電極層215の電解質層212と対向する面とは反対側の面に配置されたカソード側の第2の拡散層217と、を有している。以下の説明では、アノード側の第2の拡散層216を単に「アノード側第2拡散層216」と呼び、カソード側の第2の拡散層217を単に「カソード側第2拡散層217」と呼ぶものとする。また、アノード側第2拡散層216およびカソード側第2拡散層217を、まとめて「第2拡散層216および217」とも呼ぶものとする。第2拡散層216および217は、内部空隙率が高く気体が内部を流通する際の圧力損失が小さい金属製多孔体やカーボン製多孔体を用いて構成されている。なお、本実施例のように構成された発電体210は、「MEGA」とも呼ばれる。
【0034】
セパレータ300は、図1(b)および図2(b)に示すように、カソード側第1拡散層230に対向するカソード対向プレート310と、アノード側第1拡散層220に対向するアノード対向プレート330と、カソード対向プレート310およびアノード対向プレート330に狭持された中間プレート320と、が積層された3層構造を有している。セパレータ300を構成する3枚のプレート(カソード対向プレート310、アノード対向プレート330、中間プレート320)は、金属製の略四角形平面の薄板である。
【0035】
燃料電池100は、図1(a)に示すように、発電に用いられる空気を供給する空気供給路640と、利用されなかった空気を排出する空気排出路650と、を備えている。セパレータ300には、図1および図3に示すように、空気供給路640から供給された空気を単セル200に導くと共に、単セル200から排出された空気を空気排出路650へと導くための流路が形成されている。すなわち、セパレータ300は、空気供給路640が貫通する貫通口342と、空気を空気供給路640から内部へと導くための空気流路344と、空気流路344とカソード側第1拡散層230の表面とを連通するためにカソード対向プレート310に形成された空気供給口346と、を有している。また、セパレータ300は、空気排出路650が貫通する貫通口352と、空気を空気排出路650へと導くための空気流路354と、空気流路354とカソード側第1拡散層230の表面とを連通するためにカソード対向プレート310に形成された空気排出口356と、を有している。図1において矢印で示したように、空気供給路640に供給された空気は、貫通口342、空気流路344、空気供給口346を経てカソード側第1拡散層230内部に流入する。その後、空気は、カソード側第1拡散層230内部を通過しつつ発電体210における発電に利用され、利用されなかった空気は、空気排出口356、空気流路354、貫通口352を経て空気排出路650に排出される。
【0036】
同様に、燃料電池100は、図2(a)に示すように、発電に用いられる燃料ガスを供給する燃料供給路660と、利用されなかった燃料ガスを排出する燃料排出路670と、を備えている。セパレータ300には、図2および図3に示すように、燃料供給路660から供給された燃料ガスを単セル200に導くと共に、単セル200から排出された燃料ガスを燃料排出路670へと導くための流路が形成されている。すなわち、セパレータ300は、燃料供給路660が貫通する貫通口362と、燃料ガスを燃料供給路660から内部へと導くための燃料流路364と、燃料流路364とアノード側第1拡散層220の表面とを連通するためにアノード対向プレート330に形成された燃料供給口366と、を有している。また、セパレータ300は、燃料排出路670が貫通する貫通口372と、燃料ガスを燃料排出路670へと導くための燃料流路374と、燃料流路374とアノード側第1拡散層220の表面とを連通するためにアノード対向プレート330に形成された燃料排出口376と、を有している。図2において矢印で示したように、燃料供給路660に供給された燃料ガスは、貫通口362、燃料流路364、燃料供給口366を経てアノード側第1拡散層220内部に流入する。その後、燃料ガスは、アノード側第1拡散層220内部を通過しつつ発電体210における発電に利用され、利用されなかった燃料ガスは、燃料排出口376、燃料流路374、貫通口372を経て燃料排出路670に排出される。
【0037】
さらに、セパレータ300には、燃料電池100を冷却する冷却媒体が流通する流路が形成されている。すなわち、セパレータ300は、冷却媒体を供給する図示しない冷却媒体供給路が貫通する貫通口382(図3)と、冷却媒体を排出する図示しない冷却媒体排出路が貫通する貫通口392(図3)と、2つの貫通口382および392を連通する冷却媒体流路384(図3および図1(a))と、を有している。冷却媒体供給路に供給された冷却媒体は、貫通口382、冷却媒体流路384、貫通口392を経て、冷却媒体排出路に排出される。
【0038】
このように、セパレータ300は、単セル200に対向する表面が平坦形状に形成されており、表面に反応ガスの流路としての溝を有していない。セパレータ300における上述した空気、燃料ガス、冷却媒体が流通する流路の形成は、セパレータ300を構成する3枚のプレート(カソード対向プレート310、アノード対向プレート330、中間プレート320)に、所定の打ち抜き加工を施すことによって行われる。そのため、本実施例の燃料電池100では、セパレータ300の製造の容易化・低コスト化を図ることができる。
【0039】
発電体210の周囲には、図1および図2に示すように、発電体210の端面に沿って配置された第1シール部510が設けられている。第1シール部510は、単セル200に供給された反応ガス(燃料ガスおよび空気)の外部への漏洩を抑制するとともに、発電体210の端面を介したアノード側とカソード側との間における反応ガスの流通(いわゆるクロスリーク)を抑制するガスケットとして機能する。なお、本明細書では、面状部材の厚さ方向に平行な表面を「端面」と呼び、面状部材の厚さ方向に直交する表面を「積層面」と呼ぶものとする。
【0040】
第1シール部510は、例えばゴム系のシール材料を用いた射出成形により形成される。第1シール部510の形成の際には、第1シール部510を形成するシール材料を発電体210の内部に含浸させ、いわゆるアンカー効果により第1シール部510と発電体210とを結合する。図1(b)および図2(b)では、発電体210の内部に含浸したシール材料を、第1シール部510を示すハッチングと同じハッチングを付して示している。
【0041】
第1シール部510は、発電体210を構成する各層の端面全体を覆うように形成されている。また、第1シール部510は、凸型形状のリップ部512をアノード側とカソード側との両側に有している。リップ部512は、本発明における有効シール部に相当する。リップ部512は、セパレータ300の表面(積層面)に密着している。また、本実施例では、シール材料を発電体210の内部に良好に含浸させるために、発電体210の端面に向けてのみならず、発電体210の端部の積層面に向けても射出を行っており、そのため第1シール部510は発電体210の端部の積層面を覆う被覆部514を有する形状となっている。
【0042】
第1シール部510は、図4に示すように、発電体210の周囲を取り囲むように配置されている。図4には、第1シール部510として、第1シール部510のリップ部512とセパレータ300との当接部(シールラインSL)を示している。図4にはアノード側の第1シール部510のみが示されているが、カソード側も同様に、第1シール部510が発電体210の周囲を取り囲むように配置されている。
【0043】
このように、第1シール部510が発電体210の周囲を取り囲むように配置され、第1シール部510のリップ部512がセパレータ300の表面に密着しているため、燃料電池100内部から外部への反応ガスの漏洩が抑制される。また、第1シール部510が発電体210の端面全体を覆っている上に、発電体210の端部の内部にシール材料が含浸しているため、クロスリークが抑制される。
【0044】
図1(b)および図2(b)に示すように、第1シール部510の被覆部514と第1拡散層220および230とは、互いに干渉することなく、所定の間隔を設けて配置される。これは、寸法誤差等によって被覆部514と第1拡散層220および230とが積層方向に沿って干渉することにより、シールが不完全となったり面圧のばらつきが発生して発電性能が低下したりすることを防止するためである。
【0045】
第1拡散層220および230の周囲には、図1および図2に示すように、第1拡散層220および230の端面に沿って配置された第2シール部520が設けられている。第2シール部520は、第1シール部510と同様に、射出成形により形成される。ここで、第2シール部520の形成には、第1シール部510より剛性の低い材料が用いられる。例えば、第2シール部520の形成には、エラストマー系樹脂やゴム系のシール材が用いられる。
【0046】
第2シール部520の形成の際には、第2シール部520を形成するシール材料を第1拡散層220および230の内部に含浸させ、いわゆるアンカー効果により結合する。図1(b)および図2(b)では、第1拡散層220および230の内部に含浸したシール材料を、第2シール部520を示すハッチングと同じハッチングを付して示している。
【0047】
第2シール部520は、第1拡散層220および230の端面全体を覆うように形成されている。また、第2シール部520は、第1拡散層220および230の端面より外側の部分において、セパレータ300の積層面に密着していると共に、第1シール部510の被覆部514に覆われていない発電体210の積層面全域を覆うように発電体210に密着している。なお、第2シール部520は、積層方向に沿って被覆部514と干渉(重複)している。
【0048】
第2シール部520は、図4に示すように、アノード側第1拡散層220の周囲を取り囲むように配置されている。図4にはアノード側の第2シール部520のみが示されているが、カソード側も同様に、第2シール部520がカソード側第1拡散層230の周囲を取り囲むように配置されている。
【0049】
図5は、第1実施例における燃料電池100の製造方法を概念的に示す説明図である。図5(a)には、発電体210と第1の拡散層220および230とセパレータ300との積層が行われる前の各部材の状態を示している。図5(a)に示すように、積層前に、発電体210に第1シール部510が一体として形成される。このときの第1シール部510のリップ部512の位置における積層方向に沿った厚さは、発電体210と第1拡散層220および230との厚さの合計よりも大きい厚さに設定されている。
【0050】
積層前には、また、第1拡散層220および230に第2シール部520が一体として形成される。このときの第2シール部520の積層方向に沿った最大厚さtsは、第1拡散層220および230の厚さtpよりも大きい厚さに設定されている。
【0051】
その後、図5(a)に示した各部材は積層されて締結される。各部材が積層された状態を図5(b)に示す。図5(b)は、図1(a)と同様の状態を表した図である。燃料電池100を構成する各部材が積層されると、第1シール部510のリップ部512は、セパレータ300により圧縮されてセパレータ300の積層面に密着する。一方、第2シール部520は、発電体210とセパレータ300とに挟まれて変形し、発電体210の積層面(より詳細には被覆部514に覆われていない積層面全域)とセパレータ300の積層面とに密着する。なお、本実施例では、第2シール部520は、積層方向に沿って第1シール部510の被覆部514と干渉しているが、第2シール部520は第1シール部510より低剛性材料を用いて形成されているため、積層時には第2シール部520が変形する。そのため、シールが不完全となったり面圧のばらつきが発生したりすることがない。
【0052】
燃料電池100をこのように製造することにより、上述したように、第2シール部520を、第1拡散層220および230の端面より外側の部分において、セパレータ300の積層面に密着させると共に、被覆部514に覆われていない発電体210の積層面全域に密着させることができる。そのため、この燃料電池100では、第1拡散層220および230と第1シール部510との間に形成される空間(以下「拡散層周囲空間SS」と呼ぶ)への反応ガスの漏洩を抑制することができる。具体的には、まず、カソード側第1拡散層230の端面を介して、カソード側第1拡散層230の内部から拡散層周囲空間SSへ空気が漏洩すること(図5(b)に破線の矢印F1で示す)が抑制される。さらに、第1シール部510の被覆部514に覆われていない発電体210の積層面を介して、一旦カソード側第2拡散層217内部に流入した空気が拡散層周囲空間SSへ漏洩すること(図5(b)に破線の矢印F2で示す)も抑制される。アノード側についても同様に、拡散層周囲空間SSへの燃料ガスの漏洩が抑制される。
【0053】
反応ガスが拡散層周囲空間SSに漏洩し、拡散層周囲空間SSを通過してそのまま燃料電池100の外部へ排出されると、この分の反応ガスは発電に利用されない。その結果、燃料電池100の発電効率は低下してしまう。本実施例の燃料電池100では、拡散層周囲空間SSへの反応ガスの漏洩を抑制することができるため、発電効率の低下を抑制することができる。
【0054】
なお、例えば液状ガスケット等の充填シールを用いて積層後にシールを行う従来のシール方法では、拡散層周囲空間SSのような小さな隙間にシール材を配置することは困難である。本実施例の燃料電池100では、各部材の積層前に、第2シール部520が第1の拡散層220および230に一体として形成されるため、拡散層周囲空間SSのような小さな隙間にシール材を確実に配置することができると共に、部品点数の削減や組み付け作業の作業性向上を図ることができる。
【0055】
また、本実施例の燃料電池100では、セパレータ300の単セル200に対向する表面が平坦形状に形成されており、セパレータ300は反応ガスの流路としての溝を有していない。そのため、反応ガスは、溝流路の代わりに第1の拡散層220および230の内部を流通することとなる。第1の拡散層220および230の内部を反応ガスの流路として利用する場合には、溝流路を利用する場合と比較して、ガス流の制御が困難である。そのため、第1の拡散層220および230の内部を反応ガスの流路として利用する場合には、拡散層周囲空間SSへの反応ガスの漏洩がより大きな問題となる。本実施例の燃料電池100では、セパレータ300の単セル200に対向する表面が平坦形状に形成されている場合でも、拡散層周囲空間SSへの反応ガスの漏洩を抑制することができるため、発電効率の低下を抑制することができる。
【0056】
図6は、燃料電池100の積層前における第2シール部520の積層方向に沿った厚さts(図5(a))の設定方法を示す説明図である。図6には、横軸に第2シール部520の積層方向に沿った厚さtsと第1の拡散層220および230の厚さtpとの差(「厚さ差DT」と呼ぶ)をとり、縦軸に第2シール部520のシール圧をとったグラフを示している。厚さ差DTとシール圧とは、略比例する。第2シール部520に要求されるシール圧(要求シール圧)は、反応ガスの供給圧力と排出圧力との差に等しい。要求シール圧が設定され、さらに製品ばらつきが設定されると、必要な厚さ差DTrが定まる。必要な厚さ差DTrと第1の拡散層220および230の厚さtpとが設定されると、これらの値に基づき第2シール部520の積層方向に沿った厚さtsが設定される。
【0057】
B.第2実施例:
図7は、第2実施例における燃料電池100の製造方法を概念的に示す説明図である。第2実施例では、燃料電池100の積層前に第1拡散層220および230の端面に沿って形成される第2シール部520aの形状が、図5に示した第1実施例とは異なっている。燃料電池100のその他の構成は、第1実施例と同様である。
【0058】
第2実施例では、図7に示すように、第2シール部520aの積層方向に平行な断面形状が、第1拡散層220および230のセパレータ300に対向する積層面を含む平面と交差しない形状となっている。具体的には、第2シール部520aのセパレータ300に対向する面が、第1拡散層220および230のセパレータ300に対向する積層面と略同一平面上に含まれるように、第2シール部520aの形状が設定されている。
【0059】
一方、第2実施例においても、第2シール部520aの積層方向に沿った最大厚さtsは、第1拡散層220および230の厚さtpよりも大きい。そのため、第2シール部520aの積層方向に平行な断面形状は、第1拡散層220および230の他方の積層面(発電体210に対向する面)を含む平面とは交差する形状となっている。なお、第2シール部520aの断面形状がある平面と交差するとは、第2シール部520aの断面が当該平面と単に接している状態は含まず、第2シール部520aの断面が当該平面により2分される空間の両方にわたって存在する状態を意味している。
【0060】
第2実施例においても、図7に示す各部材が積層されて締結される。このとき、まず、第1の拡散層220および230が、セパレータ300に接合される。その後、アノード側第1拡散層220とセパレータ300とが接合された積層体と、カソード側第1拡散層230とセパレータ300とが接合された積層体と、が発電体210に接合される。このようにして、第1実施例と同様に、図5(b)に示す状態の燃料電池100が製造される。
【0061】
第2実施例においても、第1実施例と同様に、第2シール部520aを、第1拡散層220および230の端面より外側の部分において、セパレータ300の積層面に密着させると共に、被覆部514に覆われていない発電体210の積層面全域を覆うように発電体210に密着させることができる。そのため、拡散層周囲空間SSへの反応ガスの漏洩を抑制することができ、発電効率の低下を抑制することができる。
【0062】
また、第2実施例では、燃料電池100を構成する各部材の積層の際には、まず、第1拡散層220および230がセパレータ300と接合される。このとき、第2シール部520aの積層方向に平行な断面形状は、第1拡散層220および230のセパレータ300に対向する積層面を含む平面と交差しない形状に形成されている。そのため、第1拡散層220および230とセパレータ300との接合を容易に行うことができる。従って、第2実施例の燃料電池100では、燃料電池100の製造の容易化を図ることができる。
【0063】
C.第3実施例:
図8は、第3実施例としての燃料電池100bの断面構成を概略的に示す説明図である。図8に示す燃料電池100bの断面構成は、第1実施例において図1に示した断面の位置に相当する位置の断面構成である。すなわち、図3における1−1切断面に沿った燃料電池100bの断面構成である。第3実施例の燃料電池100bは、単セル200bの構成が、第1実施例の燃料電池100における単セル200の構成とは異なっている。燃料電池100bのその他の構成は、第1実施例の燃料電池100と同様である。
【0064】
第3実施例の燃料電池100bの単セル200bは、図8(a)に示すように、発電体210bと、発電体210bを両側から挟むように配置されたアノード側第2拡散層216bおよびカソード側第2拡散層217bとにより構成されている。また、発電体210bは、図8(b)に示すように、電解質層212と、電解質層212を両側から挟むように配置されたアノード側触媒電極層214bおよびカソード側触媒電極層215bとにより構成されている。第3実施例の燃料電池100bは、図1および図2に示す第1実施例の燃料電池100が備えるアノード側第1拡散層220およびカソード側第1拡散層230を備えていない。
【0065】
第3実施例の燃料電池100bにおいても、第1実施例の燃料電池100と同様に、発電体210bの周囲に、第1シール部510が設けられている。また、アノード側第2拡散層216bおよびカソード側第2拡散層217bの周囲には、第2シール部520が設けられている。第3実施例の燃料電池100bの製造方法は、発電体210bの構成と第2シール部520が第1の拡散層ではなく第2の拡散層に形成される点とを除き、図5に示した第1実施例における燃料電池の製造方法と同様である。
【0066】
第3実施例では、第2シール部520を、アノード側第2拡散層216bおよびカソード側第2拡散層217bの端面より外側の部分において、セパレータ300の積層面に密着させると共に、第1シール部510の被覆部514に覆われていない発電体210bの積層面全域を覆うように発電体210bに密着させることができる。そのため、第3実施例の燃料電池100bでは、第1実施例と同様に、拡散層周囲空間SSへの反応ガスの漏洩を抑制することができ、発電効率の低下を抑制することができる。
【0067】
D.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0068】
D−1.変形例1:
上記各実施例における第2シール部520の構成は、あくまで一例であり、第2シール部520の構成を他の構成とすることも可能である。図9は、変形例としての燃料電池100の断面構成を概略的に示す説明図である。図9に示すように、変形例としての燃料電池100における第2シール部520cは、上記各実施例と同様に、セパレータ300の積層面と発電体210の積層面とに密着しており、拡散層周囲空間SSへの反応ガスの漏洩を抑制することができる。ただし、変形例としての燃料電池100における第2シール部520cは、被覆部514に覆われていない発電体210の積層面全域に密着するような構成を有していない。上記各実施例のように、第2シール部520が被覆部514に覆われていない発電体210の積層面全域に密着するような構成を採用すれば、発電体210積層面を介した拡散層周囲空間SSへの反応ガスの漏洩をより確実に防止することができるため、より好ましい。
【0069】
また、変形例としての燃料電池100における第2シール部520cは、第2シール部520が第1の拡散層220および230の端面全域を覆うような構成を有していない。上記各実施例のように、第2シール部520が第1の拡散層220および230の端面全域を覆うような構成を採用すれば、拡散層周囲空間SSへの反応ガスの漏洩をより確実に防止することができるため、より好ましい。
【0070】
D−2.変形例2:
上記各実施例における積層前の第2シール部520の断面形状は、あくまで一例であり、第2シール部520の断面形状として他の形状を採用することも可能である。例えば、積層前の第2シール部520の積層方向に沿った最大厚さtsは、必ずしも第1の拡散層220および230(または第2の拡散層216bおよび217b)の厚さtpより大きい必要は無い。例えば、セパレータ300の形状によっては、厚さtsが厚さtp以下であっても、第2シール部520をセパレータ300と発電体210とに密着させることは可能である。
【0071】
また、第2シール部520の積層方向に沿った最大厚さtsは、アノード側とカソード側とで独立して設定すればよい。例えば、第1の拡散層220および230のそれぞれの厚さが異なる場合に、第2シール部520の最大厚さtsがアノード側とカソード側とで異なる値に設定される場合もある。
【0072】
D−3.変形例3:
上記各実施例では、セパレータ300は3層の金属板を積層した構成であり、その形状は表面が平坦な形状であるとしているが、セパレータ300の構成は他の任意の構成とすることが可能であり、またセパレータ300の形状は他の任意の形状とすることが可能である。また、上記各実施例では、セパレータ300を金属を用いて形成するとしているが、例えばカーボンといった他の材料を用いることも可能である。
【0073】
D−4.変形例4:
上記各実施例では、燃料電池100は、単セル200とセパレータ300とが交互に積層された構成を有しているとしているが、燃料電池100を単セル200とその両側に配置したセパレータ300とによって構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の第1実施例としての燃料電池100の断面構成を概略的に示す説明図である。
【図2】本発明の第1実施例としての燃料電池100の断面構成を概略的に示す説明図である。
【図3】本発明の第1実施例としての燃料電池100の平面構成を概略的に示す説明図である。
【図4】本発明の第1実施例としての燃料電池100の平面構成を概略的に示す説明図である。
【図5】第1実施例における燃料電池100の製造方法を概念的に示す説明図である。
【図6】燃料電池100の積層前における第2シール部520の積層方向に沿った厚さtsの設定方法を示す説明図である。
【図7】第2実施例における燃料電池100の製造方法を概念的に示す説明図である。
【図8】第3実施例としての燃料電池100bの断面構成を概略的に示す説明図である。
【図9】変形例としての燃料電池100の断面構成を概略的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0075】
100...燃料電池
200...単セル
210...発電体
212...電解質層
214...アノード側触媒電極層
215...カソード側触媒電極層
216...アノード側第2拡散層
217...カソード側第2拡散層
220...アノード側第1拡散層
230...カソード側第1拡散層
300...セパレータ
310...カソード対向プレート
320...中間プレート
330...アノード対向プレート
342...貫通口
344...空気流路
346...空気供給口
352...貫通口
354...空気流路
356...空気排出口
362...貫通口
364...燃料流路
366...燃料供給口
372...貫通口
374...燃料流路
376...燃料排出口
382...貫通口
384...冷却媒体流路
392...貫通口
510...第1シール部
512...リップ部
514...被覆部
520...第2シール部
640...空気供給路
650...空気排出路
660...燃料供給路
670...燃料排出路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池であって、
電解質層と前記電解質層の両面に配置された電極層とを含む発電体と、
前記発電体における発電に用いられるガスを流通させるための流路を内部に有し、前記発電体に前記ガスを供給する拡散層と、
前記拡散層に前記ガスを供給するセパレータと、
前記発電体の端面に沿って形成された第1のシール部と、
前記拡散層の端面に沿って形成された第2のシール部と、を備え、
前記燃料電池は、前記発電体と前記拡散層と前記セパレータとが、前記発電体の両面に前記拡散層が配置されると共に、前記拡散層の前記発電体に対向する側とは反対側の面に前記セパレータが配置されるように、積層された構成を有し、
前記第1のシール部は、前記セパレータとの間で、前記燃料電池の内部から外部への前記ガスの漏洩を抑制するシールを構成する有効シール部を有し、
前記第2のシール部は、前記積層前に、前記積層後に前記発電体の積層面と前記セパレータの積層面とに密着するように、前記拡散層と一体として形成される、燃料電池。
【請求項2】
請求項1記載の燃料電池であって、
前記第2のシール部の材料および前記積層前の形状は、前記第2のシール部が前記積層時に前記発電体と前記セパレータとに挟まれて変形するように、設定される、燃料電池。
【請求項3】
請求項2記載の燃料電池であって、
前記第2のシール部の前記積層前の形状は、前記燃料電池の積層方向に沿った厚さが前記拡散層の厚さよりも大きい形状である、燃料電池。
【請求項4】
請求項3記載の燃料電池であって、
前記第2のシール部の前記積層前の形状は、前記積層方向に平行な断面形状が、前記拡散層の2つの積層面の内の一方を含む平面と交差しない形状である、燃料電池。
【請求項5】
請求項1記載の燃料電池であって、
前記第2のシール部は、前記拡散層の端面全体における前記拡散層内部から前記拡散層外部への前記ガスの流出を抑制するように、構成されている、燃料電池。
【請求項6】
請求項1記載の燃料電池であって、
前記第2のシール部は、前記積層後に前記第1のシール部の一部に密着するように形成される、燃料電池。
【請求項7】
請求項6記載の燃料電池であって、
前記第1のシール部は、前記発電体の端部の積層面を覆うように形成された被覆部を有し、
前記第2のシール部は、前記積層後に、前記拡散層の端面より外側において前記被覆部に覆われていない前記発電体の積層面全域に密着するように形成される、燃料電池。
【請求項8】
請求項6または請求項7のいずれかに記載の燃料電池であって、
前記第2のシール部の材料は、前記第1のシール部の材料より低剛性である、燃料電池。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の燃料電池であって、
前記セパレータの前記拡散層に対向する面は平坦形状である、燃料電池。
【請求項10】
燃料電池の製造方法であって、
(a)電解質層と前記電解質層の両面に配置された電極層とを含む発電体と、前記発電体における発電に用いられるガスを流通させるための流路を内部に有し前記発電体に前記ガスを供給する拡散層と、前記拡散層に前記ガスを供給するセパレータと、を準備する工程と、
(b)前記発電体の端面に沿って第1のシール部を形成する工程と、
(c)前記拡散層の端面に沿って第2のシール部を形成する工程と、
(d)前記発電体と前記拡散層と前記セパレータとを、前記発電体の両面に前記拡散層が配置されると共に、前記拡散層の前記発電体に対向する側とは反対側の面に前記セパレータが配置されるように、積層する工程と、を備え、
前記工程(b)は、第1のシール部が、前記工程(d)の後に、前記セパレータとの間で、前記燃料電池の内部から外部への前記ガスの漏洩を抑制するシールを構成するように、前記第1のシール部を形成する工程であり、
前記工程(c)は、前記工程(d)の前に、前記工程(d)の後に前記発電体の積層面と前記セパレータの積層面とに密着するような前記第2のシール部を、前記拡散層と一体として形成する工程である、燃料電池の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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