燃料電池
【課題】供給口と排出口が離れて存在することによる水分布のアンバランス、反応ガス濃度の不均一状態、またはくし歯形流路での圧力損失バラツキによるガス欠を防止する燃料電池を提供する。
【解決手段】燃料電池は、イオン伝導性を有する電解質を燃料の極および酸化剤の極で狭持してなるセルを、燃料の極に燃料のガスを供給する流路が設けられた燃料流路板および酸化剤の極に酸化剤のガスを供給する流路が設けられた酸化剤流路板で挟持してなる燃料電池において、燃料流路板または酸化剤流路板の少なくともいずれか一方は、対応する極に接しない反対面に配置された供給流路および排出流路と、当該流路板を貫通し供給流路と排出流路とにそれぞれ接続する供給孔および排出孔と、対応する極に接する電極面に複数並行に配置され該電極面において供給孔と排出孔とを連結する連結流路が設けられる。
【解決手段】燃料電池は、イオン伝導性を有する電解質を燃料の極および酸化剤の極で狭持してなるセルを、燃料の極に燃料のガスを供給する流路が設けられた燃料流路板および酸化剤の極に酸化剤のガスを供給する流路が設けられた酸化剤流路板で挟持してなる燃料電池において、燃料流路板または酸化剤流路板の少なくともいずれか一方は、対応する極に接しない反対面に配置された供給流路および排出流路と、当該流路板を貫通し供給流路と排出流路とにそれぞれ接続する供給孔および排出孔と、対応する極に接する電極面に複数並行に配置され該電極面において供給孔と排出孔とを連結する連結流路が設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気化学的な反応を利用して発電する燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、電解質を介して一対の電極を対峙させ、この一方の電極に燃料を、他方の電極に酸化剤を供給し、燃料の酸化を電池内で電気化学的に反応させることにより化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する装置である。燃料電池には電解質により数種類の型があるが、近年高出力の得られる燃料電池として、電解質にプロトン伝導性の固体高分子電解質膜を用いた固体高分子型燃料電池が注目されている。燃料極に水素ガスを、酸化剤極に酸素ガスを供給すると、燃料極では水素ガスが還元されてプロトンが生成され、酸化剤極では電解質膜を伝導してきたプロトンが酸化されて水が生成される。この反応にともない燃料極と酸化剤極間に電位差1.23Vが生じ、酸化剤極から燃料極極に電流が流れる。
【0003】
ところで、固体高分子型燃料電池においては、プロトンが電解質膜を伝導するために、固体高分子電解質膜が含水した状態であることが必要であり、加湿制御が必須の技術となる。固体高分子電解質膜の含水量が低下すると、電解質膜の電気抵抗が大きくなって、出力電圧の低下、出力電力の低下を招く。さらに含水量が低下して乾燥状態になると、固体高分子電解質膜が電解質膜として機能しなくなる。
【0004】
そこで、水素ガスや酸素ガスを加湿して燃料電池に供給することにより、固体高分子電解質膜を積極的に加湿することが広く行われている。しかし、加湿水や反応生成水の量が電解質膜の保水量を上回ると、これらが凝縮してガス流路へ水が溢れ出すフラッディングという現象を生ずる。フラッディングが発生すると、電極の発電面を水が覆って反応を抑制し、供給ガス流路を閉塞してガス通流を阻害する現象を招き、発電を安定して継続することが困難になる。
【0005】
フラッディングを解消するための技術として、ガス供給側流路とガス排出側流路との間で水を移動させる水移動手段が設けられているセパレータに形成されるガス流路において、供給側ガス流路と排出側ガス流路が直接連結されないように流路の分離を行い、供給ガスを強制的にガス拡散層に通流させることによって、凝縮した水を排出し易くした櫛型流路の燃料電池が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、燃料電池の発電状態において、酸化剤極の流体流路では供給口側で酸素分圧(濃度)が高く、水分が少ない状態である。反対に、排出口側では酸素分圧が低く、水分が多いというアンバランスが生じる。また、燃料側でも供給口側で水素分圧が高く、排出口側で水素分圧が低いというようなアンバランスが生じる。特に水のアンバランスは供給する反応ガスの露点が低い場合に顕著となり、乾燥した供給口付近では電解質膜のイオン伝導度が低下し、また湿潤な排出口付近では電極内に水が溜まり、反応ガスの電極触媒表面への拡散を阻害するため電池の出力が大きく低下するという問題がある。
これらのアンバランスが解消できれば電池性能は向上すると考えられるが、従来の燃料電池構成では、燃料および酸化剤の供給口と排出口がセパレータ板の対角の離れた位置にあるため、面内を物質が移動してアンバランスを解消するのは困難である。
【0007】
また、起動停止などガスを供給したり、止めたりする過程で電極が酸化されて、電池性能が低下するという問題がある。これは、燃料電池にガスを供給停止する際に、電池の入口出口で反応ガス成分の濃度差が生じ、その濃度差により形成された局部電池により電極が酸化されて劣化が起こる。この現象も燃料および酸化剤の供給口と排出口が離れて存在する従来の燃料電池構成では避けるのが困難である。
【0008】
以上の問題を解決するためには、反応ガスの供給口と排出口をできる限り近づける構成が効果的である。従来技術で反応ガスの供給口と排出口が近接した構成としては、くし歯形流路が上げられる。くし歯形流路は櫛歯2本を歯が重ならないように重ねた形状の流路で、片方の歯が供給口、もう片方の歯が排出口に連結されている。
【0009】
【特許文献1】特開2004−146309号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、このくし歯型流路の構成では供給側流路と排出側流路が一見するとリブ部分をはさんで近接しているように見えるが、そこまでガスを誘導するための流路も電極に接して形成されているため、本質的には供給口と排出口は前述の従来燃料電池と同様離れた場所に位置する。そのため、供給口と排出口が離れて存在する従来燃料電池が抱える問題点を解決することは難しい。
【0011】
また、くし歯型流路は、反応ガス供給流路と排出流路が直接連結されていないため、非連結部分(リブ部分)において反応ガスはカーボンペーパーなど導電性の多孔体で構成されるガス拡散層の内部を通過して供給流路側から排出流路側に移動する。カーボンペーパーなどの多孔体は、厚みや空隙率にバラツキがあるため、流路に反応ガスを流す場合と比較して、圧力損失のバラツキが大きくなる傾向がある。そのため、セルを複数積層した燃料電池スタックでくし歯形流路を使用した場合、各セル間での圧力損失のバラツキにより、反応ガス分配が不均一となり、場合によっては反応ガス不足(ガス欠)で電極が回復不可能なダメージを被る。
【0012】
この発明の目的は、供給口と排出口が離れて存在することによる水分布のアンバランス、反応ガス濃度の不均一状態、またはくし歯形流路での圧力損失バラツキによるガス欠を防止する燃料電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明に係わる燃料電池は、イオン伝導性を有する電解質を燃料の極および酸化剤の極で狭持してなるセルを、上記燃料の極に燃料のガスを供給する流路が設けられた燃料流路板および上記酸化剤の極に酸化剤のガスを供給する流路が設けられた酸化剤流路板で挟持してなる燃料電池において、上記燃料流路板または上記酸化剤流路板の少なくともいずれか一方は、対応する極に接しない反対面に配置された供給流路および排出流路と、当該流路板を貫通し上記供給流路と上記排出流路とにそれぞれ接続する供給孔および排出孔と、対応する極に接する電極面に複数並行に配置され該電極面において上記供給孔と上記排出孔とを連結する連結流路が設けられる。
【発明の効果】
【0014】
この発明に係わる燃料電池の効果は、燃料流路または酸化剤流路の少なくともいずれか一方が、対応する極に接しない反対面に配置され該反対面においては連結されない供給流路および排出流路と、当該流路板を貫通し上記供給流路と上記排出流路とにそれぞれ接続する供給孔および排出孔と、対応する極に接する電極面に複数並行に配置され該電極面において上記供給孔と上記排出孔とを連結する連結流路が設けられるので、電極面で反応ガスの供給孔の出口と排出孔の入口が接近し、電極面内の水分布を均一化することができ、反応の不均一による電池性能低下が防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係わる燃料電池スタックの構成図である。
この燃料電池スタック1は、複数のセル2が間に燃料/酸化剤隔板12を介して積層され、積層された両端に金属製の集電板3、さらにその外の両端に絶縁板4を介して押さえ端板5が配置され、図示しないボルトとナットを用いて押さえ端板5を締め付けることにより一体化されている。
【0016】
図2は、実施の形態1に係わる燃料電池スタック1を構成するセル2の構成図である。
このセル2は、電解質膜6と、電解質膜6を挟持する触媒層および導電性多孔体からなるガス拡散層で構成された燃料極7および酸化剤極8とから構成される膜電極接合体(以下、「MEA」と略す)9を備える。また、セル2は、MEA9を両側から挟持する燃料側流路板10および酸化剤側流路板11を備える。
燃料側流路板10のMEA9に接する面(以下、「燃料側流路板10の電極面」と称す)の反対側の面(以下、「燃料側流路板10の反対面」と称す)に燃料/酸化剤隔板12を配置して燃料流路を、酸化剤側流路板11のMEA9に接する面(以下、「酸化剤側流路板11の電極面」と称す)の反対側の面(以下、「酸化剤側流路板11の反対面」と称す)にも燃料/酸化剤隔板12を配置して酸化剤流路を形成する。なお、MEA9としては、この発明のために特別な構成を採用する必要はなく、周知のMEA9をそのまま使用することができる。
【0017】
図3は、実施の形態1に係わるセル2の構成要素である燃料側流路板10の流路詳細図である。図3(a)は、燃料側流路板10の電極面の平面図である。図3(b)は、燃料側流路板10の反対面の平面図である。
燃料側流路板10は、厚さ方向に貫通する燃料供給マニホールド21、燃料排出マニホールド22、酸化剤供給マニホールド23、酸化剤排出マニホールド24、冷却水など燃料電池スタック1の温度制御のための流体を供給するための温度制御流体供給マニホールド25、温度制御のための流体を排出するための温度制御流体排出マニホールド26が設けられている。
【0018】
また、燃料側流路板10は、反対面に燃料供給マニホールド21から燃料を均一に分配するための燃料供給分配流路71、反対面に燃料を反対面全体に供給するための燃料供給流路72、燃料供給流路72から電極面に燃料を供給するために燃料側流路板10を厚さ方向に貫通する燃料供給孔73、電極面から未消費の燃料を排出するために燃料側流路板10を厚さ方向に貫通する燃料排出孔75、燃料供給孔73と燃料排出孔75とを電極面内で連結する燃料連結流路74、反対面に各燃料排出孔75から排出した未消費の燃料を集合する燃料排出流路76、反対面に各燃料排出流路76から排出した未消費の燃料を集合して燃料排出マニホールド22に排出するための燃料排出集合流路77が設けられている。
【0019】
燃料供給流路72および燃料排出流路76は、くし歯構造であり、燃料供給流路72と燃料排出流路76とは、互いの歯が噛み合うように配置されている。
燃料供給孔73および燃料排出孔75は、燃料ガスの流れる方向に等間隔に設けられている。なお、間隔を流れる方向に沿って変化させてもよい。
このようにくし歯構造の燃料供給流路72と燃料排出流路76とが、互いの歯が噛み合うように配置され、それぞれの歯に燃料供給孔73と燃料排出孔75とが設けられているので、燃料供給孔73と燃料排出孔75の間を短くすることができる。
また、燃料側流路板10は、反対面に燃料供給流路72と燃料排出流路76の間を縫うように蛇行する温度制御流体用流路90が設けられている。
【0020】
図4は、実施の形態1に係わるセル2の構成要素である酸化剤側流路板11の流路詳細図である。図4(a)は、酸化剤側流路板11の反対面の平面図である。図4(b)は、酸化剤側流路板11の電極面の平面図である。
酸化剤側流路板11は、燃料供給マニホールド21、燃料排出マニホールド22、酸化剤供給マニホールド23、酸化剤排出マニホールド24、温度制御流体供給マニホールド25、温度制御流体排出マニホールド26が酸化剤側流路板11を厚さ方向に貫通するように設けられている。
【0021】
また、酸化剤側流路板11は、反対面に酸化剤供給マニホールド23から酸化剤を均一に分配するための酸化剤供給分配流路81、反対面に酸化剤を反対面全体に供給するための酸化剤供給流路82、酸化剤供給流路82から電極面に燃料を供給するために酸化剤側流路板11を厚さ方向に貫通する酸化剤供給孔83、電極面から未使用の酸化剤を排出するために酸化剤側流路板11を厚さ方向に貫通する酸化剤排出孔85、酸化剤供給孔83と酸化剤排出孔85とを電極面内で連結する酸化剤連結流路84、反対面に各酸化剤排出孔85から排出した未使用の酸化剤を集合する酸化剤排出流路86、反対面に各酸化剤排出流路86から排出した未使用の酸化剤を集合して酸化剤排出マニホールド24に排出するための酸化剤排出集合流路87が設けられている。
【0022】
酸化剤供給流路82および酸化剤排出流路86は、くし歯構造であり、酸化剤供給流路82と酸化剤排出流路86とは、互いの歯が噛み合うように配置されている。
酸化剤供給孔83および酸化剤排出孔85は、酸化剤ガスの流れる方向に等間隔に設けられている。なお、間隔を流れる方向に沿って変化させてもよい。
このようにくし歯構造の酸化剤供給流路82と酸化剤排出流路86とが、互いの歯が噛み合うように配置され、それぞれの歯に酸化剤供給孔83と酸化剤排出孔85とが設けられているので、酸化剤供給孔83と酸化剤排出孔75の間を短くすることができる。
【0023】
図5は、実施の形態1に係わる燃料/酸化剤隔板12の流路詳細図である。図5(a)は、燃料側流路板10に接する面の平面図である。図5(b)は、酸化剤側流路板11に接する面の平面図である。
燃料/酸化剤隔板12は、燃料供給マニホールド21、燃料排出マニホールド22、酸化剤供給マニホールド23、酸化剤排出マニホールド24、温度制御流体供給マニホールド25、温度制御流体排出マニホールド26が燃料/酸化剤隔板12を厚さ方向に貫通するように設けられている。
【0024】
図6は、MEA9、燃料側流路板10、酸化剤側流路板11および燃料/酸化剤隔板12を積層したセル2の断面図である。なお、この断面図は、図3、図4、図5のA−A断面の断面図である。
次に、図3〜図6を参照して、発電中の反応ガスの流れを説明する。
まず、燃料は燃料供給マニホールド21を通じて燃料電池スタック1を構成する各セル2に分配供給される。各セル2に供給された燃料は、燃料供給マニホールド21から燃料供給分配流路71を経由して、複数の燃料供給流路72に均一に分配される。燃料供給流路72に供給された燃料は、さらに複数に分配され、燃料供給孔73を通じてMEA9の燃料極7に供給される。燃料側流路板10が燃料極7に接する面では、燃料連結流路74に沿って燃料は流れると共に、電気化学的にプロトンに還元されて燃料が消費される。未消費の燃料(水分を含む)は、燃料連結流路74から燃料排出孔75に排出され、続いて複数の燃料排出孔75の流れを燃料排出流路76で集合させて、さらに複数の燃料排出流路76の流れを燃料排出集合流路77で集合させた後に、燃料排出マニホールド22を通じて燃料電池スタック1の外部に排出される。
【0025】
一方、酸化剤は酸化剤供給マニホールド23を通じて燃料電池スタック1を構成する各セル2に分配供給される。各セル2に供給された酸化剤は、酸化剤供給マニホールド23から酸化剤供給分配流路81を経由して、複数の酸化剤供給流路82に均一に分配される。酸化剤供給流路82に供給された酸化剤は、さらに複数に分配され、酸化剤供給孔83を通じてMEA6の酸化剤極8に供給される。酸化剤側流路板11が酸化剤極8に接する面では、酸化剤連結流路84に沿って酸化剤は流れると共に、電気化学的にプロトンを酸化することにより酸化剤が消費される。酸化剤が空気の場合は空気中の酸素が還元されて水を生成する。未使用の酸化剤および反応で生成した水分は、酸化剤連結流路84から酸化剤排出孔85に排出され、続いて複数の酸化剤排出孔85の流れを酸化剤排出流路86で集合させて、さらに複数の酸化剤排出流路86の流れを酸化剤排出集合流路87で集合させた後に、酸化剤排出マニホールド24を通じて燃料電池スタック1の外部に排出される。
【0026】
従来、空気を酸化剤として用いた燃料電池において、酸化剤極8に接する酸化剤連結流路84、すなわち、酸化剤供給孔83の出口から酸化剤排出孔85の入口の間で水が生成するため、酸化剤排出孔85の入口側に水が偏って存在する。そして、酸化剤排出孔85の入口と酸化剤供給孔83の出口との距離が離れている場合、酸化剤供給孔83の出口と酸化剤排出孔85の入口との間の水分布を均一化するのは難しいため、反応が不均一となり電池性能が低下するという問題がある。
【0027】
一方、この実施の形態1では、酸化剤側流路板11の反対面に酸化剤供給流路82と酸化剤排出流路86とが設けられているが、この面では酸化剤供給流路82と酸化剤排出流路86が連結されておらず、MEA9に接する面に設けられた短い酸化剤連結流路84で連結されているので、酸化剤供給孔83の出口と酸化剤排出孔85の入口が接近し、酸化剤排出孔85の入口に水の偏りが起こりにくく均一化しやすい。その結果、反応が電極面内で均一に起こるため、電極性能が向上する。
特に、酸化剤供給孔83と酸化剤排出孔85との間で水の偏りが大きくなる低加湿運転、すなわち反応ガスを燃料電池よりも低い露点まで加湿する運転でこの均一化の効果は大きくなり、より一層電池性能が向上する。
なお、燃料側流路板10においても燃料供給孔73と燃料排出孔75とが長さの短い燃料連結流路74で連結されているので、燃料供給孔73の出口と燃料排出孔75の入口が接近し、燃料排出孔75の入口に水の偏りが起こりにくく均一化しやすい。
【0028】
このように酸化剤供給孔83の出口と酸化剤排出孔85の入口はできる限り近い構成が望ましいことが分かる。つまり酸化剤供給孔83と酸化剤排出孔85を連結する酸化剤連結流路84はできる限り長さが短い構成が望ましい。但し、短すぎると流路内の圧力損失が少なくなりすぎて、ガス分配の不均一化の原因ともなるので、その点を考慮して流路長および流路断面積の最適化を実施する必要がある。
具体的には、MEA9に接しない面に設けられる燃料供給流路72、酸化剤供給流路82、燃料排出流路76および酸化剤供給流路86よりも燃料連結流路74、酸化剤連結流路84を細くすることが好ましい。
【0029】
また、燃料供給孔73の出口と酸化剤排出孔85の入口、燃料排出孔75の入口と酸化剤供給孔83の出口は、MEA9を介してそれぞれが対面するように構成されており、燃料に対し酸化剤がMEA9を介して対向して流れる(以下、対向して流れる流れを対向流と称す)。対向流では酸化剤排出孔85の入口に溜まった水がMEA9を介して、燃料供給孔73の出口に移動し、燃料連結流路74を通じて燃料排出孔75まで到達する。燃料排出孔75に到達した水は、再びMEA9を介して酸化剤供給孔83の出口に移動する。その結果、電極面内の水分布がさらに均一化される効果がある。
【0030】
このように燃料と酸化剤が対向に流れる構成が望ましい。ただし、電池の温度分布などにより水分布は変化するため、必ずしもどのような場合でも対向流が最適というわけではない。燃料と酸化剤の供給孔同士、排出孔同士が相対する並行流や、燃料連結流路74と酸化剤連結流路84がMEA9をはさんで直行する直交流など、電池特性に合わせて選択することが可能である。
【0031】
一般に、燃料電池起動時に電池内部に滞留するガスと異なるガスを供給した場合、例えば電池内部両極流路に空気が満たされている状態で、燃料(水素)を供給した場合、入口と出口でガス組成が異なるため、局部電池反応により起電力が発生し、この起電力により電極が酸化され電池が劣化するという現象がある。従来の燃料電池では入口と出口が遠く離れているため、入口と出口のガス組成を均一化させるのは難しい。
【0032】
しかし、この実施の形態1では、入口と出口の距離が短いため、入口と出口での反応ガスの濃度差がついた場合でも拡散などにより均一化しやすいため、局部電池の形成を最小限に抑える効果がある。その結果、起動停止を繰り返しても劣化が少ない燃料電池を提供することができる。
【0033】
なお、この実施の形態1では、供給流路と排出流路を電極に接する面とは別の面に設けているため、従来電池ではその別の面に配置されていた温度制御流体用流路90の配置が制限される。その結果、従来と比較して流路板の数が倍増することが懸念される。しかし、例えば燃料供給流路72と燃料排出流路76の間を縫うように温度制御流体用流路90を配置することにより、流路板の増加を最小限に抑えることができる。
【0034】
また、この実施の形態1において電極に接しない面に配置した燃料供給流路72と燃料排出流路76との間を縫うように温度制御流体用流路90を配置したが、別に温度制御流体用流路用の流路板を別途設置することも可能である。この場合新たに流路板の枚数が増えるデメリットがあるが、電極面内に自由に温度制御流体の流路を配置できるため、より高度な温度制御が可能となる。
【0035】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係わる燃料電池は、実施の形態1に係わる燃料電池と酸化剤側流路板11Bが異なっており、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。図7は、この発明の実施の形態2に係わる酸化剤側流路板の反対面の平面図である。
実施の形態1に係わる酸化剤供給流路82および酸化剤排出流路86は、直線形状のくし歯形流路であるが、実施の形態2に係わる酸化剤供給流路82Bおよび酸化剤排出流路86Bは、図7(a)に示すように渦巻形の流路であり、酸化剤供給流路82Bと酸化剤排出流路86Bとが反対面では連結していない。
なお、図7(b)に示すように蛇行形の流路であってもよい。
また、燃料側流路板10の反対面に設けられた燃料供給流路72および燃料排出流路76に関しても、燃料供給流路72と燃料排出流路76とが反対面で連結しなければ、渦巻形または蛇行形であってもよい。
【0036】
実施の形態3.
実施の形態1においては、燃料側流路板10の電極面に燃料極7が接し、電極面に燃料連結流路74が、反対面に燃料供給流路72と燃料排出流路76とが設けられているが、実施の形態3においては、2枚の燃料側流路板を用い、一方の燃料側流路板の片面に燃料連結流路74を、他方の燃料側流路板の片面に燃料供給流路72と燃料排出流路76とを設けている。
【0037】
実施の形態4.
図8は、この発明の実施の形態4に係わる燃料/酸化剤隔板12Dの流路詳細図である。図8(a)は、燃料側流路板10Dに接する面の平面図である。図8(b)は、酸化剤側流路板11Dに接する面の平面図である。図9は、実施の形態4に係わる燃料側流路板10Dの反対面の平面図である。図10は、実施の形態4に係わる酸化剤側流路板11Dの反対面の平面図である。図11は、実施の形態4においてMEA9、燃料側流路板10D、酸化剤側流路板11Dおよび燃料/酸化剤隔板12Dを積層したセルの断面図である。なお、この断面図は、図8、図9、図10のB−B断面の断面図である。
この発明の実施の形態4に係わる燃料電池は、実施の形態1に係わる燃料電池と燃料側流路板10D、酸化剤側流路板11Dおよび燃料/酸化剤隔板12Dが異なっており、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。
実施の形態4に係わる燃料側流路板10Dは、図9に示すように、実施の形態1に係わる燃料側流路板10と異なり、反対面で燃料供給分配流路71、燃料供給流路72、燃料排出流路76、燃料排出集合流路77が省略されている。
また、実施の形態4に係わる酸化剤側流路板11Dは、図10に示すように、実施の形態1に係わる酸化剤側流路板11と異なり、反対面で酸化剤供給分配流路81、酸化剤供給流路82、酸化剤排出流路86、酸化剤排出集合流路87が省略されている。
一方、実施の形態4に係わる燃料/酸化剤隔板12Dは、図8に示すように、一方の面に燃料供給マニホールド21から燃料を均一に分配するための燃料供給分配流路71、燃料を電極面全体に供給するための燃料供給流路72、各燃料排出孔75から排出した未消費の燃料を集合する燃料排出流路76、各燃料排出流路76から排出した未消費の燃料を集合して燃料排出マニホールド22に排出するための燃料排出集合流路77が追加されている。また、この一方の面に燃料供給流路72と燃料排出流路76の間の非連結部分を縫うように蛇行する温度制御流体用流路90が追加されている。
また、実施の形態4に係わる燃料/酸化剤隔板12Dは、他方の面に酸化剤供給マニホールド23から酸化剤を均一に分配するための酸化剤供給分配流路81、酸化剤を電極面全体に供給するための酸化剤供給流路82、各酸化剤排出孔85から排出した未使用の酸化剤を集合する酸化剤排出流路86、各酸化剤排出流路86から排出した未使用の酸化剤を集合して酸化剤排出マニホールド24に排出するための酸化剤排出集合流路87が追加されている。
【0038】
実施の形態5.
図12は、この発明の実施の形態5に係わる酸化剤側流路板11Eの流路詳細図である。図12(a)は、酸化剤側流路板11Eの反対面の平面図である。図12(b)は、酸化剤側流路板11Eの電極面の平面図である。図13は、実施の形態5においてMEA9、燃料側流路板10E、酸化剤側流路板11Eおよび燃料/酸化剤隔板12、12Eを積層したセルの断面図である。なお、この断面図は、図12のC−C断面の断面図である。
この発明の実施の形態5に係わる燃料電池は、実施の形態1に係わる燃料電池と燃料側流路板10E、酸化剤側流路板11Eおよび燃料/酸化剤隔板12Eが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。
実施の形態5に係わる燃料側流路板10Eは、実施の形態1に係わる燃料側流路板10と燃料連結流路74Eが異なり、燃料供給孔73と燃料排出孔75が省略されており、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明は省略する。
また、実施の形態5に係わる酸化剤側流路板11Eは、図12に示すように、実施の形態1に係わる酸化剤側流路板11と酸化剤連結流路84Eが異なり、酸化剤供給孔83と酸化剤排出孔85が省略されており、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明は省略する。
実施の形態5に係わる燃料連結流路74Eは、図13に示すように、燃料側流路板10Eを厚さ方向に貫通し、燃料供給流路72と燃料排出流路76を連結する。
また、実施の形態5に係わる酸化剤連結流路84Eは、酸化剤側流路板11Eを厚さ方向に貫通し、酸化剤供給流路82と酸化剤排出流路86を連結する。
【0039】
この場合、温度制御流体用流路90は燃料供給流路72および燃料排出流路76が設けられた反対面に配置できないため、別の面に新たに設置する必要があるが、電極に接する面に配する流路板をパンチングメタルのような穴あけ加工品が使用可能となるため、安価に製造できる可能性がある。流路板として使用する金属としては、導電性を有するものなら使用可能であるが、耐食性のある素材、例えばステンレス、チタンなどや、あるいは貴金属などの耐食性を有するコーティングを施した金属板や、カーボン板など導電性と耐食性とを有する材料を用いることができる。
【0040】
実施の形態6.
図14は、この発明の実施の形態6に係わる燃料側流路板10Fの反対面の平面図である。図15は、この発明の実施の形態6に係わる酸化剤側流路板11Fの反対面の平面図である。
この発明の実施の形態6に係わる燃料電池は、実施の形態1に係わる燃料電池と燃料側流路板10Fおよび酸化剤側流路板11Fが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。
実施の形態6に係わる燃料側流路板10Fは、実施の形態1に係わる燃料側流路板10と燃料供給流路72Fおよび燃料排出流路76Fが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明は省略する。
また、実施の形態6に係わる酸化剤側流路板11Fは、実施の形態1に係わる酸化剤側流路板11と酸化剤供給流路82Fおよび酸化剤排出流路86Fが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明は省略する。
【0041】
実施の形態1に係わる燃料供給流路72および燃料排出流路76は、断面積が一定であるが、実施の形態6に係わる燃料供給流路72Fおよび燃料排出流路76Fは、図14に示すように、断面積が位置により変化している。
また、実施の形態1に係わる酸化剤供給流路82および酸化剤排出流路86は、断面積が一定であるが、実施の形態6に係わる酸化剤供給流路82Fおよび酸化剤排出流路86Fは、図15に示すように、断面積が位置により変化している。
【0042】
以下、酸化剤側流路板11Fに関して効果を説明するが、燃料側流路板10Fに関しても同様な効果が得られる。
酸化剤側流路板11Fの反対面に設けられた酸化剤供給流路82Fは、図15に示すように、上流から下流に向かってガスが進むうちに多数の酸化剤連結流路84に分岐されるため、上流と下流で流速が異なり、均一なガス分配が難しくなり、流速の遅い部分に水がたまりやすくなるなどの問題が生じる場合がある。これを解決するために、上流から下流側にかけて徐々に流路を細くすることが有効である。これにより下流側での流速が早くなり水溜り防止やガス分配均一化の効果がある。
【0043】
一方、酸化剤排出流路86では上流から下流に行くに従い、多数の酸化剤連結流路84が合流するため徐々に流路を太くするのが効果的である。
断面積を変える手法としては、溝幅を狭くする溝深を深くする、複数の流路を合流させるなどの方法で流路本数を変えるなど、流路断面積が位置により変わる様々な手法が採用可能である。
なお、酸化剤供給流路82と酸化剤排出流路86の太さは共通にする必要はなく運転条件に合わせて最適な断面構成が選択できる。
【0044】
実施の形態7.
図16は、この発明の実施の形態7に係わる燃料側流路板10Gの電極面の平面図である。図17は、この発明の実施の形態7に係わる酸化剤側流路板11Gの電極面の平面図である。
この発明の実施の形態7に係わる燃料電池は、実施の形態1に係わる燃料電池と燃料側流路板10Gおよび酸化剤側流路板11Gが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。
実施の形態7に係わる燃料側流路板10Gは、実施の形態1に係わる燃料側流路板10と燃料連結流路74Gが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明は省略する。
また、実施の形態7に係わる酸化剤側流路板11Gは、実施の形態1に係わる酸化剤側流路板11と酸化剤連結流路84Gが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明は省略する。
【0045】
実施の形態1に係わる燃料連結流路74は、断面積が一定であるが、実施の形態7に係わる燃料連結流路74Gは、図16に示すように、断面積が位置により変化している。
また、実施の形態1に係わる酸化剤連結流路84は、断面積が一定であるが、実施の形態7に係わる酸化剤連結流路84Gは、図17に示すように、断面積が位置により変化している。
【0046】
断面積の一定の燃料連結流路74では発電時ガスの流れに沿って水素が消費されるため流量が低下しその結果流速が低下する。一方、下流に行くに従い流路の断面積を小さくすることにより下流側での流速を向上させることができる。
また、酸化剤連結流路84も同様に酸素が消費されるが水(水蒸気)が生成するため一概に流量が低下するとは言えない。ただし、高加湿運転では下流部分での流速が十分に高まらず、水溜りを生じやすいため、下流部の流速を高めるために、流路を細くするのが効果的な場合もある。
なお、酸化剤連結流路84と燃料連結流路74の太さは共通にする必要はなく運転条件に合わせて最適な断面構成が選択できる。
断面積を変える手法としては、溝幅を狭くする溝深を深くする、複数の流路を合流させるなどの方法で流路本数を変えるなど、流路断面積が位置により変わる様々な手法が採用可能である。
【0047】
実施の形態8.
図18は、この発明の実施の形態8に係わる燃料側流路板10Hの電極面の平面図である。
この発明の実施の形態8に係わる燃料電池は、実施の形態1に係わる燃料電池と燃料側流路板10Hが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。
実施の形態8に係わる燃料側流路板10Hは、実施の形態1に係わる燃料側流路板10と燃料連結流路74Hが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明は省略する。
また、実施の形態8に係わる酸化剤側流路板は、実施の形態1と同様である。
【0048】
実施の形態1に係わる燃料連結流路74は、断面積が一定であるが、実施の形態8に係わる燃料連結流路74Hは、図18に示すように蛇行している。この蛇行している燃料連結流路74Hは、その両端に燃料供給孔73と燃料排出孔75がそれぞれ形成されており、燃料側流路板10Hの反対面側に形成された燃料供給流路と燃料排出流路とにそれぞれ連通されている。
【0049】
このように構成された燃料連結流路74Hは、燃料供給孔73と燃料排出孔75との間の距離をあまり離すことなく流路長を長くすることができるので、圧力損失を大きくすることができる。その結果、燃料供給流路から各燃料連結流路へのガス分配量を均一にすることが可能となる。
なお、実施の形態8に係わる燃料側流路板10Hにおいて燃料連結流路74Hを蛇行させているが、酸化剤側流路板に同じ構成を採用してもよい。その場合も、酸化剤供給流路から各酸化剤供給流路へのガス分配量を均一にすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】この発明の実施の形態1に係わる燃料電池スタックの構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係わるセルの構成図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係わる燃料側流路板の流路詳細図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係わる酸化剤側流路板の流路詳細図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係わる燃料/酸化剤隔板の流路詳細図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係わるセルの断面図である。
【図7】この発明の実施の形態2に係わる酸化剤側流路板の反対面の平面図である。
【図8】この発明の実施の形態4に係わる燃料/酸化剤隔板の詳細構成図である。
【図9】この発明の実施の形態4に係わる燃料側流路板の反対面の平面図である。
【図10】この発明の実施の形態4に係わる酸化剤側流路板の反対面の平面図である。
【図11】この発明の実施の形態4に係わるセルの断面図である。
【図12】この発明の実施の形態5に係わる酸化剤側流路板の流路詳細図である。
【図13】この発明の実施の形態5に係わるセルの断面図である。
【図14】この発明の実施の形態6に係わる燃料側流路板の反対面の平面図である。
【図15】この発明の実施の形態6に係わる酸化剤側流路板の反対面の平面図である。
【図16】この発明の実施の形態7に係わる燃料側流路板の電極面の平面図である。
【図17】この発明の実施の形態7に係わる酸化剤側流路板の電極面の平面図である。
【図18】この発明の実施の形態8に係わる燃料側流路板の電極面の平面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 燃料電池スタック、2 セル、3 集電板、4 絶縁板、5 押さえ端板、6 電解質膜、7 燃料極、8 酸化剤極、9 膜電極接合体(MEA)、10 燃料側流路板、11 酸化剤側流路板、12 燃料/酸化剤隔板、21 燃料供給マニホールド、22 燃料排出マニホールド、23 酸化剤供給マニホールド、24 酸化剤排出マニホールド、25 温度制御流体供給マニホールド、26 温度制御流体排出マニホールド、71 燃料供給分配流路、72 燃料供給流路、73 燃料供給孔、74 燃料連結流路、75 燃料排出孔、76 燃料排出流路、77 燃料排出集合流路、81 酸化剤供給分配流路、82 酸化剤供給流路、83 酸化剤供給孔、84 酸化剤連結流路、85 酸化剤排出孔、86 酸化剤排出流路、87 酸化剤排出集合流路、90 温度制御流体用流路。
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気化学的な反応を利用して発電する燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、電解質を介して一対の電極を対峙させ、この一方の電極に燃料を、他方の電極に酸化剤を供給し、燃料の酸化を電池内で電気化学的に反応させることにより化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する装置である。燃料電池には電解質により数種類の型があるが、近年高出力の得られる燃料電池として、電解質にプロトン伝導性の固体高分子電解質膜を用いた固体高分子型燃料電池が注目されている。燃料極に水素ガスを、酸化剤極に酸素ガスを供給すると、燃料極では水素ガスが還元されてプロトンが生成され、酸化剤極では電解質膜を伝導してきたプロトンが酸化されて水が生成される。この反応にともない燃料極と酸化剤極間に電位差1.23Vが生じ、酸化剤極から燃料極極に電流が流れる。
【0003】
ところで、固体高分子型燃料電池においては、プロトンが電解質膜を伝導するために、固体高分子電解質膜が含水した状態であることが必要であり、加湿制御が必須の技術となる。固体高分子電解質膜の含水量が低下すると、電解質膜の電気抵抗が大きくなって、出力電圧の低下、出力電力の低下を招く。さらに含水量が低下して乾燥状態になると、固体高分子電解質膜が電解質膜として機能しなくなる。
【0004】
そこで、水素ガスや酸素ガスを加湿して燃料電池に供給することにより、固体高分子電解質膜を積極的に加湿することが広く行われている。しかし、加湿水や反応生成水の量が電解質膜の保水量を上回ると、これらが凝縮してガス流路へ水が溢れ出すフラッディングという現象を生ずる。フラッディングが発生すると、電極の発電面を水が覆って反応を抑制し、供給ガス流路を閉塞してガス通流を阻害する現象を招き、発電を安定して継続することが困難になる。
【0005】
フラッディングを解消するための技術として、ガス供給側流路とガス排出側流路との間で水を移動させる水移動手段が設けられているセパレータに形成されるガス流路において、供給側ガス流路と排出側ガス流路が直接連結されないように流路の分離を行い、供給ガスを強制的にガス拡散層に通流させることによって、凝縮した水を排出し易くした櫛型流路の燃料電池が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、燃料電池の発電状態において、酸化剤極の流体流路では供給口側で酸素分圧(濃度)が高く、水分が少ない状態である。反対に、排出口側では酸素分圧が低く、水分が多いというアンバランスが生じる。また、燃料側でも供給口側で水素分圧が高く、排出口側で水素分圧が低いというようなアンバランスが生じる。特に水のアンバランスは供給する反応ガスの露点が低い場合に顕著となり、乾燥した供給口付近では電解質膜のイオン伝導度が低下し、また湿潤な排出口付近では電極内に水が溜まり、反応ガスの電極触媒表面への拡散を阻害するため電池の出力が大きく低下するという問題がある。
これらのアンバランスが解消できれば電池性能は向上すると考えられるが、従来の燃料電池構成では、燃料および酸化剤の供給口と排出口がセパレータ板の対角の離れた位置にあるため、面内を物質が移動してアンバランスを解消するのは困難である。
【0007】
また、起動停止などガスを供給したり、止めたりする過程で電極が酸化されて、電池性能が低下するという問題がある。これは、燃料電池にガスを供給停止する際に、電池の入口出口で反応ガス成分の濃度差が生じ、その濃度差により形成された局部電池により電極が酸化されて劣化が起こる。この現象も燃料および酸化剤の供給口と排出口が離れて存在する従来の燃料電池構成では避けるのが困難である。
【0008】
以上の問題を解決するためには、反応ガスの供給口と排出口をできる限り近づける構成が効果的である。従来技術で反応ガスの供給口と排出口が近接した構成としては、くし歯形流路が上げられる。くし歯形流路は櫛歯2本を歯が重ならないように重ねた形状の流路で、片方の歯が供給口、もう片方の歯が排出口に連結されている。
【0009】
【特許文献1】特開2004−146309号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、このくし歯型流路の構成では供給側流路と排出側流路が一見するとリブ部分をはさんで近接しているように見えるが、そこまでガスを誘導するための流路も電極に接して形成されているため、本質的には供給口と排出口は前述の従来燃料電池と同様離れた場所に位置する。そのため、供給口と排出口が離れて存在する従来燃料電池が抱える問題点を解決することは難しい。
【0011】
また、くし歯型流路は、反応ガス供給流路と排出流路が直接連結されていないため、非連結部分(リブ部分)において反応ガスはカーボンペーパーなど導電性の多孔体で構成されるガス拡散層の内部を通過して供給流路側から排出流路側に移動する。カーボンペーパーなどの多孔体は、厚みや空隙率にバラツキがあるため、流路に反応ガスを流す場合と比較して、圧力損失のバラツキが大きくなる傾向がある。そのため、セルを複数積層した燃料電池スタックでくし歯形流路を使用した場合、各セル間での圧力損失のバラツキにより、反応ガス分配が不均一となり、場合によっては反応ガス不足(ガス欠)で電極が回復不可能なダメージを被る。
【0012】
この発明の目的は、供給口と排出口が離れて存在することによる水分布のアンバランス、反応ガス濃度の不均一状態、またはくし歯形流路での圧力損失バラツキによるガス欠を防止する燃料電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明に係わる燃料電池は、イオン伝導性を有する電解質を燃料の極および酸化剤の極で狭持してなるセルを、上記燃料の極に燃料のガスを供給する流路が設けられた燃料流路板および上記酸化剤の極に酸化剤のガスを供給する流路が設けられた酸化剤流路板で挟持してなる燃料電池において、上記燃料流路板または上記酸化剤流路板の少なくともいずれか一方は、対応する極に接しない反対面に配置された供給流路および排出流路と、当該流路板を貫通し上記供給流路と上記排出流路とにそれぞれ接続する供給孔および排出孔と、対応する極に接する電極面に複数並行に配置され該電極面において上記供給孔と上記排出孔とを連結する連結流路が設けられる。
【発明の効果】
【0014】
この発明に係わる燃料電池の効果は、燃料流路または酸化剤流路の少なくともいずれか一方が、対応する極に接しない反対面に配置され該反対面においては連結されない供給流路および排出流路と、当該流路板を貫通し上記供給流路と上記排出流路とにそれぞれ接続する供給孔および排出孔と、対応する極に接する電極面に複数並行に配置され該電極面において上記供給孔と上記排出孔とを連結する連結流路が設けられるので、電極面で反応ガスの供給孔の出口と排出孔の入口が接近し、電極面内の水分布を均一化することができ、反応の不均一による電池性能低下が防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係わる燃料電池スタックの構成図である。
この燃料電池スタック1は、複数のセル2が間に燃料/酸化剤隔板12を介して積層され、積層された両端に金属製の集電板3、さらにその外の両端に絶縁板4を介して押さえ端板5が配置され、図示しないボルトとナットを用いて押さえ端板5を締め付けることにより一体化されている。
【0016】
図2は、実施の形態1に係わる燃料電池スタック1を構成するセル2の構成図である。
このセル2は、電解質膜6と、電解質膜6を挟持する触媒層および導電性多孔体からなるガス拡散層で構成された燃料極7および酸化剤極8とから構成される膜電極接合体(以下、「MEA」と略す)9を備える。また、セル2は、MEA9を両側から挟持する燃料側流路板10および酸化剤側流路板11を備える。
燃料側流路板10のMEA9に接する面(以下、「燃料側流路板10の電極面」と称す)の反対側の面(以下、「燃料側流路板10の反対面」と称す)に燃料/酸化剤隔板12を配置して燃料流路を、酸化剤側流路板11のMEA9に接する面(以下、「酸化剤側流路板11の電極面」と称す)の反対側の面(以下、「酸化剤側流路板11の反対面」と称す)にも燃料/酸化剤隔板12を配置して酸化剤流路を形成する。なお、MEA9としては、この発明のために特別な構成を採用する必要はなく、周知のMEA9をそのまま使用することができる。
【0017】
図3は、実施の形態1に係わるセル2の構成要素である燃料側流路板10の流路詳細図である。図3(a)は、燃料側流路板10の電極面の平面図である。図3(b)は、燃料側流路板10の反対面の平面図である。
燃料側流路板10は、厚さ方向に貫通する燃料供給マニホールド21、燃料排出マニホールド22、酸化剤供給マニホールド23、酸化剤排出マニホールド24、冷却水など燃料電池スタック1の温度制御のための流体を供給するための温度制御流体供給マニホールド25、温度制御のための流体を排出するための温度制御流体排出マニホールド26が設けられている。
【0018】
また、燃料側流路板10は、反対面に燃料供給マニホールド21から燃料を均一に分配するための燃料供給分配流路71、反対面に燃料を反対面全体に供給するための燃料供給流路72、燃料供給流路72から電極面に燃料を供給するために燃料側流路板10を厚さ方向に貫通する燃料供給孔73、電極面から未消費の燃料を排出するために燃料側流路板10を厚さ方向に貫通する燃料排出孔75、燃料供給孔73と燃料排出孔75とを電極面内で連結する燃料連結流路74、反対面に各燃料排出孔75から排出した未消費の燃料を集合する燃料排出流路76、反対面に各燃料排出流路76から排出した未消費の燃料を集合して燃料排出マニホールド22に排出するための燃料排出集合流路77が設けられている。
【0019】
燃料供給流路72および燃料排出流路76は、くし歯構造であり、燃料供給流路72と燃料排出流路76とは、互いの歯が噛み合うように配置されている。
燃料供給孔73および燃料排出孔75は、燃料ガスの流れる方向に等間隔に設けられている。なお、間隔を流れる方向に沿って変化させてもよい。
このようにくし歯構造の燃料供給流路72と燃料排出流路76とが、互いの歯が噛み合うように配置され、それぞれの歯に燃料供給孔73と燃料排出孔75とが設けられているので、燃料供給孔73と燃料排出孔75の間を短くすることができる。
また、燃料側流路板10は、反対面に燃料供給流路72と燃料排出流路76の間を縫うように蛇行する温度制御流体用流路90が設けられている。
【0020】
図4は、実施の形態1に係わるセル2の構成要素である酸化剤側流路板11の流路詳細図である。図4(a)は、酸化剤側流路板11の反対面の平面図である。図4(b)は、酸化剤側流路板11の電極面の平面図である。
酸化剤側流路板11は、燃料供給マニホールド21、燃料排出マニホールド22、酸化剤供給マニホールド23、酸化剤排出マニホールド24、温度制御流体供給マニホールド25、温度制御流体排出マニホールド26が酸化剤側流路板11を厚さ方向に貫通するように設けられている。
【0021】
また、酸化剤側流路板11は、反対面に酸化剤供給マニホールド23から酸化剤を均一に分配するための酸化剤供給分配流路81、反対面に酸化剤を反対面全体に供給するための酸化剤供給流路82、酸化剤供給流路82から電極面に燃料を供給するために酸化剤側流路板11を厚さ方向に貫通する酸化剤供給孔83、電極面から未使用の酸化剤を排出するために酸化剤側流路板11を厚さ方向に貫通する酸化剤排出孔85、酸化剤供給孔83と酸化剤排出孔85とを電極面内で連結する酸化剤連結流路84、反対面に各酸化剤排出孔85から排出した未使用の酸化剤を集合する酸化剤排出流路86、反対面に各酸化剤排出流路86から排出した未使用の酸化剤を集合して酸化剤排出マニホールド24に排出するための酸化剤排出集合流路87が設けられている。
【0022】
酸化剤供給流路82および酸化剤排出流路86は、くし歯構造であり、酸化剤供給流路82と酸化剤排出流路86とは、互いの歯が噛み合うように配置されている。
酸化剤供給孔83および酸化剤排出孔85は、酸化剤ガスの流れる方向に等間隔に設けられている。なお、間隔を流れる方向に沿って変化させてもよい。
このようにくし歯構造の酸化剤供給流路82と酸化剤排出流路86とが、互いの歯が噛み合うように配置され、それぞれの歯に酸化剤供給孔83と酸化剤排出孔85とが設けられているので、酸化剤供給孔83と酸化剤排出孔75の間を短くすることができる。
【0023】
図5は、実施の形態1に係わる燃料/酸化剤隔板12の流路詳細図である。図5(a)は、燃料側流路板10に接する面の平面図である。図5(b)は、酸化剤側流路板11に接する面の平面図である。
燃料/酸化剤隔板12は、燃料供給マニホールド21、燃料排出マニホールド22、酸化剤供給マニホールド23、酸化剤排出マニホールド24、温度制御流体供給マニホールド25、温度制御流体排出マニホールド26が燃料/酸化剤隔板12を厚さ方向に貫通するように設けられている。
【0024】
図6は、MEA9、燃料側流路板10、酸化剤側流路板11および燃料/酸化剤隔板12を積層したセル2の断面図である。なお、この断面図は、図3、図4、図5のA−A断面の断面図である。
次に、図3〜図6を参照して、発電中の反応ガスの流れを説明する。
まず、燃料は燃料供給マニホールド21を通じて燃料電池スタック1を構成する各セル2に分配供給される。各セル2に供給された燃料は、燃料供給マニホールド21から燃料供給分配流路71を経由して、複数の燃料供給流路72に均一に分配される。燃料供給流路72に供給された燃料は、さらに複数に分配され、燃料供給孔73を通じてMEA9の燃料極7に供給される。燃料側流路板10が燃料極7に接する面では、燃料連結流路74に沿って燃料は流れると共に、電気化学的にプロトンに還元されて燃料が消費される。未消費の燃料(水分を含む)は、燃料連結流路74から燃料排出孔75に排出され、続いて複数の燃料排出孔75の流れを燃料排出流路76で集合させて、さらに複数の燃料排出流路76の流れを燃料排出集合流路77で集合させた後に、燃料排出マニホールド22を通じて燃料電池スタック1の外部に排出される。
【0025】
一方、酸化剤は酸化剤供給マニホールド23を通じて燃料電池スタック1を構成する各セル2に分配供給される。各セル2に供給された酸化剤は、酸化剤供給マニホールド23から酸化剤供給分配流路81を経由して、複数の酸化剤供給流路82に均一に分配される。酸化剤供給流路82に供給された酸化剤は、さらに複数に分配され、酸化剤供給孔83を通じてMEA6の酸化剤極8に供給される。酸化剤側流路板11が酸化剤極8に接する面では、酸化剤連結流路84に沿って酸化剤は流れると共に、電気化学的にプロトンを酸化することにより酸化剤が消費される。酸化剤が空気の場合は空気中の酸素が還元されて水を生成する。未使用の酸化剤および反応で生成した水分は、酸化剤連結流路84から酸化剤排出孔85に排出され、続いて複数の酸化剤排出孔85の流れを酸化剤排出流路86で集合させて、さらに複数の酸化剤排出流路86の流れを酸化剤排出集合流路87で集合させた後に、酸化剤排出マニホールド24を通じて燃料電池スタック1の外部に排出される。
【0026】
従来、空気を酸化剤として用いた燃料電池において、酸化剤極8に接する酸化剤連結流路84、すなわち、酸化剤供給孔83の出口から酸化剤排出孔85の入口の間で水が生成するため、酸化剤排出孔85の入口側に水が偏って存在する。そして、酸化剤排出孔85の入口と酸化剤供給孔83の出口との距離が離れている場合、酸化剤供給孔83の出口と酸化剤排出孔85の入口との間の水分布を均一化するのは難しいため、反応が不均一となり電池性能が低下するという問題がある。
【0027】
一方、この実施の形態1では、酸化剤側流路板11の反対面に酸化剤供給流路82と酸化剤排出流路86とが設けられているが、この面では酸化剤供給流路82と酸化剤排出流路86が連結されておらず、MEA9に接する面に設けられた短い酸化剤連結流路84で連結されているので、酸化剤供給孔83の出口と酸化剤排出孔85の入口が接近し、酸化剤排出孔85の入口に水の偏りが起こりにくく均一化しやすい。その結果、反応が電極面内で均一に起こるため、電極性能が向上する。
特に、酸化剤供給孔83と酸化剤排出孔85との間で水の偏りが大きくなる低加湿運転、すなわち反応ガスを燃料電池よりも低い露点まで加湿する運転でこの均一化の効果は大きくなり、より一層電池性能が向上する。
なお、燃料側流路板10においても燃料供給孔73と燃料排出孔75とが長さの短い燃料連結流路74で連結されているので、燃料供給孔73の出口と燃料排出孔75の入口が接近し、燃料排出孔75の入口に水の偏りが起こりにくく均一化しやすい。
【0028】
このように酸化剤供給孔83の出口と酸化剤排出孔85の入口はできる限り近い構成が望ましいことが分かる。つまり酸化剤供給孔83と酸化剤排出孔85を連結する酸化剤連結流路84はできる限り長さが短い構成が望ましい。但し、短すぎると流路内の圧力損失が少なくなりすぎて、ガス分配の不均一化の原因ともなるので、その点を考慮して流路長および流路断面積の最適化を実施する必要がある。
具体的には、MEA9に接しない面に設けられる燃料供給流路72、酸化剤供給流路82、燃料排出流路76および酸化剤供給流路86よりも燃料連結流路74、酸化剤連結流路84を細くすることが好ましい。
【0029】
また、燃料供給孔73の出口と酸化剤排出孔85の入口、燃料排出孔75の入口と酸化剤供給孔83の出口は、MEA9を介してそれぞれが対面するように構成されており、燃料に対し酸化剤がMEA9を介して対向して流れる(以下、対向して流れる流れを対向流と称す)。対向流では酸化剤排出孔85の入口に溜まった水がMEA9を介して、燃料供給孔73の出口に移動し、燃料連結流路74を通じて燃料排出孔75まで到達する。燃料排出孔75に到達した水は、再びMEA9を介して酸化剤供給孔83の出口に移動する。その結果、電極面内の水分布がさらに均一化される効果がある。
【0030】
このように燃料と酸化剤が対向に流れる構成が望ましい。ただし、電池の温度分布などにより水分布は変化するため、必ずしもどのような場合でも対向流が最適というわけではない。燃料と酸化剤の供給孔同士、排出孔同士が相対する並行流や、燃料連結流路74と酸化剤連結流路84がMEA9をはさんで直行する直交流など、電池特性に合わせて選択することが可能である。
【0031】
一般に、燃料電池起動時に電池内部に滞留するガスと異なるガスを供給した場合、例えば電池内部両極流路に空気が満たされている状態で、燃料(水素)を供給した場合、入口と出口でガス組成が異なるため、局部電池反応により起電力が発生し、この起電力により電極が酸化され電池が劣化するという現象がある。従来の燃料電池では入口と出口が遠く離れているため、入口と出口のガス組成を均一化させるのは難しい。
【0032】
しかし、この実施の形態1では、入口と出口の距離が短いため、入口と出口での反応ガスの濃度差がついた場合でも拡散などにより均一化しやすいため、局部電池の形成を最小限に抑える効果がある。その結果、起動停止を繰り返しても劣化が少ない燃料電池を提供することができる。
【0033】
なお、この実施の形態1では、供給流路と排出流路を電極に接する面とは別の面に設けているため、従来電池ではその別の面に配置されていた温度制御流体用流路90の配置が制限される。その結果、従来と比較して流路板の数が倍増することが懸念される。しかし、例えば燃料供給流路72と燃料排出流路76の間を縫うように温度制御流体用流路90を配置することにより、流路板の増加を最小限に抑えることができる。
【0034】
また、この実施の形態1において電極に接しない面に配置した燃料供給流路72と燃料排出流路76との間を縫うように温度制御流体用流路90を配置したが、別に温度制御流体用流路用の流路板を別途設置することも可能である。この場合新たに流路板の枚数が増えるデメリットがあるが、電極面内に自由に温度制御流体の流路を配置できるため、より高度な温度制御が可能となる。
【0035】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係わる燃料電池は、実施の形態1に係わる燃料電池と酸化剤側流路板11Bが異なっており、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。図7は、この発明の実施の形態2に係わる酸化剤側流路板の反対面の平面図である。
実施の形態1に係わる酸化剤供給流路82および酸化剤排出流路86は、直線形状のくし歯形流路であるが、実施の形態2に係わる酸化剤供給流路82Bおよび酸化剤排出流路86Bは、図7(a)に示すように渦巻形の流路であり、酸化剤供給流路82Bと酸化剤排出流路86Bとが反対面では連結していない。
なお、図7(b)に示すように蛇行形の流路であってもよい。
また、燃料側流路板10の反対面に設けられた燃料供給流路72および燃料排出流路76に関しても、燃料供給流路72と燃料排出流路76とが反対面で連結しなければ、渦巻形または蛇行形であってもよい。
【0036】
実施の形態3.
実施の形態1においては、燃料側流路板10の電極面に燃料極7が接し、電極面に燃料連結流路74が、反対面に燃料供給流路72と燃料排出流路76とが設けられているが、実施の形態3においては、2枚の燃料側流路板を用い、一方の燃料側流路板の片面に燃料連結流路74を、他方の燃料側流路板の片面に燃料供給流路72と燃料排出流路76とを設けている。
【0037】
実施の形態4.
図8は、この発明の実施の形態4に係わる燃料/酸化剤隔板12Dの流路詳細図である。図8(a)は、燃料側流路板10Dに接する面の平面図である。図8(b)は、酸化剤側流路板11Dに接する面の平面図である。図9は、実施の形態4に係わる燃料側流路板10Dの反対面の平面図である。図10は、実施の形態4に係わる酸化剤側流路板11Dの反対面の平面図である。図11は、実施の形態4においてMEA9、燃料側流路板10D、酸化剤側流路板11Dおよび燃料/酸化剤隔板12Dを積層したセルの断面図である。なお、この断面図は、図8、図9、図10のB−B断面の断面図である。
この発明の実施の形態4に係わる燃料電池は、実施の形態1に係わる燃料電池と燃料側流路板10D、酸化剤側流路板11Dおよび燃料/酸化剤隔板12Dが異なっており、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。
実施の形態4に係わる燃料側流路板10Dは、図9に示すように、実施の形態1に係わる燃料側流路板10と異なり、反対面で燃料供給分配流路71、燃料供給流路72、燃料排出流路76、燃料排出集合流路77が省略されている。
また、実施の形態4に係わる酸化剤側流路板11Dは、図10に示すように、実施の形態1に係わる酸化剤側流路板11と異なり、反対面で酸化剤供給分配流路81、酸化剤供給流路82、酸化剤排出流路86、酸化剤排出集合流路87が省略されている。
一方、実施の形態4に係わる燃料/酸化剤隔板12Dは、図8に示すように、一方の面に燃料供給マニホールド21から燃料を均一に分配するための燃料供給分配流路71、燃料を電極面全体に供給するための燃料供給流路72、各燃料排出孔75から排出した未消費の燃料を集合する燃料排出流路76、各燃料排出流路76から排出した未消費の燃料を集合して燃料排出マニホールド22に排出するための燃料排出集合流路77が追加されている。また、この一方の面に燃料供給流路72と燃料排出流路76の間の非連結部分を縫うように蛇行する温度制御流体用流路90が追加されている。
また、実施の形態4に係わる燃料/酸化剤隔板12Dは、他方の面に酸化剤供給マニホールド23から酸化剤を均一に分配するための酸化剤供給分配流路81、酸化剤を電極面全体に供給するための酸化剤供給流路82、各酸化剤排出孔85から排出した未使用の酸化剤を集合する酸化剤排出流路86、各酸化剤排出流路86から排出した未使用の酸化剤を集合して酸化剤排出マニホールド24に排出するための酸化剤排出集合流路87が追加されている。
【0038】
実施の形態5.
図12は、この発明の実施の形態5に係わる酸化剤側流路板11Eの流路詳細図である。図12(a)は、酸化剤側流路板11Eの反対面の平面図である。図12(b)は、酸化剤側流路板11Eの電極面の平面図である。図13は、実施の形態5においてMEA9、燃料側流路板10E、酸化剤側流路板11Eおよび燃料/酸化剤隔板12、12Eを積層したセルの断面図である。なお、この断面図は、図12のC−C断面の断面図である。
この発明の実施の形態5に係わる燃料電池は、実施の形態1に係わる燃料電池と燃料側流路板10E、酸化剤側流路板11Eおよび燃料/酸化剤隔板12Eが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。
実施の形態5に係わる燃料側流路板10Eは、実施の形態1に係わる燃料側流路板10と燃料連結流路74Eが異なり、燃料供給孔73と燃料排出孔75が省略されており、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明は省略する。
また、実施の形態5に係わる酸化剤側流路板11Eは、図12に示すように、実施の形態1に係わる酸化剤側流路板11と酸化剤連結流路84Eが異なり、酸化剤供給孔83と酸化剤排出孔85が省略されており、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明は省略する。
実施の形態5に係わる燃料連結流路74Eは、図13に示すように、燃料側流路板10Eを厚さ方向に貫通し、燃料供給流路72と燃料排出流路76を連結する。
また、実施の形態5に係わる酸化剤連結流路84Eは、酸化剤側流路板11Eを厚さ方向に貫通し、酸化剤供給流路82と酸化剤排出流路86を連結する。
【0039】
この場合、温度制御流体用流路90は燃料供給流路72および燃料排出流路76が設けられた反対面に配置できないため、別の面に新たに設置する必要があるが、電極に接する面に配する流路板をパンチングメタルのような穴あけ加工品が使用可能となるため、安価に製造できる可能性がある。流路板として使用する金属としては、導電性を有するものなら使用可能であるが、耐食性のある素材、例えばステンレス、チタンなどや、あるいは貴金属などの耐食性を有するコーティングを施した金属板や、カーボン板など導電性と耐食性とを有する材料を用いることができる。
【0040】
実施の形態6.
図14は、この発明の実施の形態6に係わる燃料側流路板10Fの反対面の平面図である。図15は、この発明の実施の形態6に係わる酸化剤側流路板11Fの反対面の平面図である。
この発明の実施の形態6に係わる燃料電池は、実施の形態1に係わる燃料電池と燃料側流路板10Fおよび酸化剤側流路板11Fが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。
実施の形態6に係わる燃料側流路板10Fは、実施の形態1に係わる燃料側流路板10と燃料供給流路72Fおよび燃料排出流路76Fが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明は省略する。
また、実施の形態6に係わる酸化剤側流路板11Fは、実施の形態1に係わる酸化剤側流路板11と酸化剤供給流路82Fおよび酸化剤排出流路86Fが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明は省略する。
【0041】
実施の形態1に係わる燃料供給流路72および燃料排出流路76は、断面積が一定であるが、実施の形態6に係わる燃料供給流路72Fおよび燃料排出流路76Fは、図14に示すように、断面積が位置により変化している。
また、実施の形態1に係わる酸化剤供給流路82および酸化剤排出流路86は、断面積が一定であるが、実施の形態6に係わる酸化剤供給流路82Fおよび酸化剤排出流路86Fは、図15に示すように、断面積が位置により変化している。
【0042】
以下、酸化剤側流路板11Fに関して効果を説明するが、燃料側流路板10Fに関しても同様な効果が得られる。
酸化剤側流路板11Fの反対面に設けられた酸化剤供給流路82Fは、図15に示すように、上流から下流に向かってガスが進むうちに多数の酸化剤連結流路84に分岐されるため、上流と下流で流速が異なり、均一なガス分配が難しくなり、流速の遅い部分に水がたまりやすくなるなどの問題が生じる場合がある。これを解決するために、上流から下流側にかけて徐々に流路を細くすることが有効である。これにより下流側での流速が早くなり水溜り防止やガス分配均一化の効果がある。
【0043】
一方、酸化剤排出流路86では上流から下流に行くに従い、多数の酸化剤連結流路84が合流するため徐々に流路を太くするのが効果的である。
断面積を変える手法としては、溝幅を狭くする溝深を深くする、複数の流路を合流させるなどの方法で流路本数を変えるなど、流路断面積が位置により変わる様々な手法が採用可能である。
なお、酸化剤供給流路82と酸化剤排出流路86の太さは共通にする必要はなく運転条件に合わせて最適な断面構成が選択できる。
【0044】
実施の形態7.
図16は、この発明の実施の形態7に係わる燃料側流路板10Gの電極面の平面図である。図17は、この発明の実施の形態7に係わる酸化剤側流路板11Gの電極面の平面図である。
この発明の実施の形態7に係わる燃料電池は、実施の形態1に係わる燃料電池と燃料側流路板10Gおよび酸化剤側流路板11Gが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。
実施の形態7に係わる燃料側流路板10Gは、実施の形態1に係わる燃料側流路板10と燃料連結流路74Gが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明は省略する。
また、実施の形態7に係わる酸化剤側流路板11Gは、実施の形態1に係わる酸化剤側流路板11と酸化剤連結流路84Gが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明は省略する。
【0045】
実施の形態1に係わる燃料連結流路74は、断面積が一定であるが、実施の形態7に係わる燃料連結流路74Gは、図16に示すように、断面積が位置により変化している。
また、実施の形態1に係わる酸化剤連結流路84は、断面積が一定であるが、実施の形態7に係わる酸化剤連結流路84Gは、図17に示すように、断面積が位置により変化している。
【0046】
断面積の一定の燃料連結流路74では発電時ガスの流れに沿って水素が消費されるため流量が低下しその結果流速が低下する。一方、下流に行くに従い流路の断面積を小さくすることにより下流側での流速を向上させることができる。
また、酸化剤連結流路84も同様に酸素が消費されるが水(水蒸気)が生成するため一概に流量が低下するとは言えない。ただし、高加湿運転では下流部分での流速が十分に高まらず、水溜りを生じやすいため、下流部の流速を高めるために、流路を細くするのが効果的な場合もある。
なお、酸化剤連結流路84と燃料連結流路74の太さは共通にする必要はなく運転条件に合わせて最適な断面構成が選択できる。
断面積を変える手法としては、溝幅を狭くする溝深を深くする、複数の流路を合流させるなどの方法で流路本数を変えるなど、流路断面積が位置により変わる様々な手法が採用可能である。
【0047】
実施の形態8.
図18は、この発明の実施の形態8に係わる燃料側流路板10Hの電極面の平面図である。
この発明の実施の形態8に係わる燃料電池は、実施の形態1に係わる燃料電池と燃料側流路板10Hが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。
実施の形態8に係わる燃料側流路板10Hは、実施の形態1に係わる燃料側流路板10と燃料連結流路74Hが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明は省略する。
また、実施の形態8に係わる酸化剤側流路板は、実施の形態1と同様である。
【0048】
実施の形態1に係わる燃料連結流路74は、断面積が一定であるが、実施の形態8に係わる燃料連結流路74Hは、図18に示すように蛇行している。この蛇行している燃料連結流路74Hは、その両端に燃料供給孔73と燃料排出孔75がそれぞれ形成されており、燃料側流路板10Hの反対面側に形成された燃料供給流路と燃料排出流路とにそれぞれ連通されている。
【0049】
このように構成された燃料連結流路74Hは、燃料供給孔73と燃料排出孔75との間の距離をあまり離すことなく流路長を長くすることができるので、圧力損失を大きくすることができる。その結果、燃料供給流路から各燃料連結流路へのガス分配量を均一にすることが可能となる。
なお、実施の形態8に係わる燃料側流路板10Hにおいて燃料連結流路74Hを蛇行させているが、酸化剤側流路板に同じ構成を採用してもよい。その場合も、酸化剤供給流路から各酸化剤供給流路へのガス分配量を均一にすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】この発明の実施の形態1に係わる燃料電池スタックの構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係わるセルの構成図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係わる燃料側流路板の流路詳細図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係わる酸化剤側流路板の流路詳細図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係わる燃料/酸化剤隔板の流路詳細図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係わるセルの断面図である。
【図7】この発明の実施の形態2に係わる酸化剤側流路板の反対面の平面図である。
【図8】この発明の実施の形態4に係わる燃料/酸化剤隔板の詳細構成図である。
【図9】この発明の実施の形態4に係わる燃料側流路板の反対面の平面図である。
【図10】この発明の実施の形態4に係わる酸化剤側流路板の反対面の平面図である。
【図11】この発明の実施の形態4に係わるセルの断面図である。
【図12】この発明の実施の形態5に係わる酸化剤側流路板の流路詳細図である。
【図13】この発明の実施の形態5に係わるセルの断面図である。
【図14】この発明の実施の形態6に係わる燃料側流路板の反対面の平面図である。
【図15】この発明の実施の形態6に係わる酸化剤側流路板の反対面の平面図である。
【図16】この発明の実施の形態7に係わる燃料側流路板の電極面の平面図である。
【図17】この発明の実施の形態7に係わる酸化剤側流路板の電極面の平面図である。
【図18】この発明の実施の形態8に係わる燃料側流路板の電極面の平面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 燃料電池スタック、2 セル、3 集電板、4 絶縁板、5 押さえ端板、6 電解質膜、7 燃料極、8 酸化剤極、9 膜電極接合体(MEA)、10 燃料側流路板、11 酸化剤側流路板、12 燃料/酸化剤隔板、21 燃料供給マニホールド、22 燃料排出マニホールド、23 酸化剤供給マニホールド、24 酸化剤排出マニホールド、25 温度制御流体供給マニホールド、26 温度制御流体排出マニホールド、71 燃料供給分配流路、72 燃料供給流路、73 燃料供給孔、74 燃料連結流路、75 燃料排出孔、76 燃料排出流路、77 燃料排出集合流路、81 酸化剤供給分配流路、82 酸化剤供給流路、83 酸化剤供給孔、84 酸化剤連結流路、85 酸化剤排出孔、86 酸化剤排出流路、87 酸化剤排出集合流路、90 温度制御流体用流路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン伝導性を有する電解質を燃料の極および酸化剤の極で狭持してなるセルを、上記燃料の極に燃料のガスを供給する流路が設けられた燃料側の流路板および上記酸化剤の極に酸化剤のガスを供給する流路が設けられた酸化剤側の流路板で挟持してなる燃料電池において、
上記燃料側の流路板または上記酸化剤側の流路板の少なくともいずれか一方は、対応する極に接しない反対面に配置された供給流路および排出流路、当該流路板を貫通し上記供給流路と上記排出流路とにそれぞれ接続する供給孔および排出孔、対応する極に接する電極面に複数並行に配置され該電極面において上記供給孔と上記排出孔とを連結する連結流路が設けられることを特徴とする燃料電池。
【請求項2】
上記供給流路と上記排出流路は、くし歯構造であり、互いの歯が噛み合うように配置されることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
【請求項3】
上記燃料側の流路板の燃料の極に接する電極面における上記供給孔の出口と上記排出孔の入口とが、それぞれ上記酸化剤側の流路板の酸化剤の極に接する電極面の上記排出孔の入口と上記供給孔の出口が上記電解質を介して対向することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
【請求項4】
上記供給流路と上記排出流路との間に温度を調節する流体を流す流路が配置されることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
【請求項5】
上記供給流路の流路断面積は対応するガスの流れに沿って上流よりも下流が小さいこと、または上記排出流路の流路断面積は対応するガスの流れに沿って上流よりも下流が大きいことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
【請求項6】
上記連結流路の流路断面積は対応するガスの流れに沿って上流よりも下流が小さいことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
【請求項1】
イオン伝導性を有する電解質を燃料の極および酸化剤の極で狭持してなるセルを、上記燃料の極に燃料のガスを供給する流路が設けられた燃料側の流路板および上記酸化剤の極に酸化剤のガスを供給する流路が設けられた酸化剤側の流路板で挟持してなる燃料電池において、
上記燃料側の流路板または上記酸化剤側の流路板の少なくともいずれか一方は、対応する極に接しない反対面に配置された供給流路および排出流路、当該流路板を貫通し上記供給流路と上記排出流路とにそれぞれ接続する供給孔および排出孔、対応する極に接する電極面に複数並行に配置され該電極面において上記供給孔と上記排出孔とを連結する連結流路が設けられることを特徴とする燃料電池。
【請求項2】
上記供給流路と上記排出流路は、くし歯構造であり、互いの歯が噛み合うように配置されることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
【請求項3】
上記燃料側の流路板の燃料の極に接する電極面における上記供給孔の出口と上記排出孔の入口とが、それぞれ上記酸化剤側の流路板の酸化剤の極に接する電極面の上記排出孔の入口と上記供給孔の出口が上記電解質を介して対向することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
【請求項4】
上記供給流路と上記排出流路との間に温度を調節する流体を流す流路が配置されることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
【請求項5】
上記供給流路の流路断面積は対応するガスの流れに沿って上流よりも下流が小さいこと、または上記排出流路の流路断面積は対応するガスの流れに沿って上流よりも下流が大きいことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
【請求項6】
上記連結流路の流路断面積は対応するガスの流れに沿って上流よりも下流が小さいことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2008−123707(P2008−123707A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−302898(P2006−302898)
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「固体高分子形燃料電池実用化戦略的技術開発/要素技術開発/高温熱利用型MEAの研究開発」委託契約、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「固体高分子形燃料電池実用化戦略的技術開発/要素技術開発/高温熱利用型MEAの研究開発」委託契約、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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