説明

燃焼システムにおいて燃料ノズルを熱的に保護するための方法及びシステム

【課題】燃焼システムにおいて燃料ノズルを熱的に保護するための方法及びシステムを提供すること。
【解決手段】ガスタービンエンジンを組み立てる方法が提供される。本方法は、燃焼器が圧縮機により排出される空気の少なくとも一部を受け取るように、燃焼器を圧縮機と流れ連通して結合する段階を含む。燃料ノズル組立体は、燃焼器に結合され、複数の内部表面を有する少なくとも1つの燃料ノズルを備え、内部表面を燃焼ガスからシールドするために、複数の内部表面の少なくとも1つに熱障壁コーティングを施工する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で記載される実施形態は、一般に、ガスタービン燃焼システムに関し、より詳細には、設計外の保炎事象中の損傷を低減することができる燃料及び空気予混合器に関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも一部の公知のガスタービンエンジンは、燃焼器内で燃料空気混合気を点火し、高温ガス通路を介してタービンに送られる燃焼ガスストリームを生成する。加圧空気は、圧縮機から燃焼器に送給される。公知の燃焼器組立体は、燃焼器の燃焼領域への燃料及び空気の送給を可能にする燃料ノズルを含む。タービンは、燃焼ガスストリームの熱エネルギーを機械エネルギーに変換し、これを用いてタービンシャフトを回転させる。タービンの出力は、例えば、発電機又はポンプなどの機械に動力を供給するのに用いることができる。
【0003】
従来の炭化水素燃料を燃焼するガスタービンにより生成されたエミッションは、窒素酸化物、一酸化炭素、及び未燃炭化水素を含むことができる。空気吸入エンジンにおける窒素分子の酸化が燃焼システムの反応ゾーンで生成される高温ガス温度に依存することは、当該技術分野において公知である。NOxエミッションを低減する1つの方法は、混合気が点火する前に希薄混合気に燃料及び空気を予混合することにより、熱エンジン燃焼器の反応ゾーン温度をサーマルNOxが形成されるレベル又はそれ以下のレベルに維持することである。多くの場合、このようなプロセスは、乾式低NOx(DLN)燃焼システムにおいて行われる。このようなシステムにおいて、燃焼器の反応ゾーンに存在する過剰空気の熱質量は、サーマルNOxの生成が減少するレベルにまで燃焼生成物の温度上昇が低下するよう熱を吸収する。
【0004】
ガス状又は液体燃料の燃焼中、公知の希薄予混合燃焼器は、保炎又は逆火を生じる場合があり、ここでは、燃焼ライナ内に閉じ込められる傾向がある火炎は、燃料及び空気の噴射位置に向けて上流側に移動して予混合セクションに入る。このような保炎/逆火事象は、過度に大きな熱負荷に起因して、エミッション性能の劣化、及び/又は予混合セクションに対する過熱及び損傷を生じる可能性がある。少なくとも一部の公知のガスタービン燃焼システムは、均一な希薄燃料空気予混合気を燃焼器ライナに送る目的で、燃料及び加圧空気流を予混合する予混合噴射装置を含む。通常は、あるバルクバーナー管速度が存在し、この速度以上では予混合器内の火炎が一次燃焼ゾーンに排出されることになる。
【0005】
合成ガス(シンガス)、燃焼前炭素捕捉(高水素燃料をもたらす)を伴うシンガス、及び/又は高炭化水素の割合の高い天然ガスなどの高反応性燃料が使用されるので、現在のDLN燃焼システムは、エンジン運転中に保炎を維持するのが困難な場合がある。理想的な作動条件では、予混合器内部の火炎は、該予混合器内に留まらずに、下流方向に正常燃焼ゾーン内に移動している。最新の燃焼システムの設計ポイントは、3000°Fのバルク火炎温度に達する場合があるので、保炎/逆火事象は、極めて短い時間期間で予混合ノズルセクションに多大な損傷を生じる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7368164号明細書
【発明の概要】
【0007】
1つの態様において、ガスタービンエンジンを組み立てる方法が提供される。本方法は、燃焼器が圧縮機により排出される空気の少なくとも一部を受け取るように、燃焼器を圧縮機と流れ連通して結合する段階を含む。燃料ノズル組立体は、燃焼器に結合され、複数の内部表面を有する少なくとも1つの燃料ノズルを備え、内部表面を燃焼ガスからシールドするために、複数の内部表面の少なくとも1つに熱障壁コーティングを施工する。
【0008】
別の態様において、ガスタービンエンジンで使用するための燃料ノズルが提供される。燃料ノズルは、複数の内部表面と、複数の燃料ノズル内部表面の少なくとも1つにわたり施工される熱障壁コーティングとを含む。熱障壁コーティングは、燃料ノズル内部表面を燃焼ガスからシールドするよう構成される。
【0009】
更に別の態様において、ガスタービンシステムが提供される。ガスタービンシステムは、圧縮機と、燃焼器と、熱障壁コーティングと、を含む。燃焼器は、圧縮機により排出される空気の少なくとも一部を受け取るために圧縮機と流れ連通している。燃焼器は、複数の内部表面を有する少なくとも1つの燃料ノズルを含む。熱障壁コーティングは、複数の燃料ノズル内部表面の少なくとも1つに施工される。熱障壁コーティングは、燃料ノズル内部表面を燃焼ガスからシールドするよう構成される。
【0010】
本発明は、保炎に対して実質的に耐性があり、これにより予混合器内の火炎を検出して条件を補正するのに十分な時間を許容されるDLN燃焼システムを提供する。更に、本明細書で記載されるように、予混合器への熱障壁コーティングの施工は、予混合器で必要とされる冷却流体の量を低減することができ、従って、コスト節減及びメンテナンスコストの低減をもたらす。有利には、これにより燃焼システムが、高コストのハードウェア損傷及び強制停止のリスクを有意に低減して、シンガス、高水素、及び他の反応性燃料を用いてより効率的に運転できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】例示的なガスタービンシステムの断面図。
【図2】図1に示すガスタービンエンジンと共に使用することができる例示的な燃料ノズルの図。
【図3】図1に示すガスタービンエンジンと共に使用することができる例示的な燃料ノズルの拡大断面図。
【図4】例示的な燃料ノズルと共に使用することができる例示的な熱障壁コーティングの概略図。
【図5】図1に示すガスタービンエンジンと共に使用することができる燃料ノズルの代替の実施形態の図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書で記載される例示的な方法及びシステムは、保炎/逆火耐性を向上させることができる先進冷却システムを含む燃料ノズルを提供することによって、公知の乾式低NOx(DLN)燃焼システムの欠点に対処する。より具体的には、本明細書の実施形態は、燃料ノズル温度を低下させる冷却流を提供することによって保炎/逆火事象中の燃料ノズル損傷を防ぎ、従って、予混合器における事象を検出して該検出した何らかの悪条件を改善する時間が増大する。1つの実施形態において、燃料ノズルは、背面対流冷却、衝突冷却、及びフィルム冷却を組み合わせて、保炎中の燃料ノズルの温度を低下させることができる冷却システムを含む。本明細書で使用される用語「冷却剤」及び「冷却流体」は、窒素、空気、燃料、又はこれらの何れかの組み合わせ、及び/又は本明細書で記載される機能を燃料ノズルが実施できるようにする他の何れかの流体を指す。
【0013】
例示的な実施形態において、熱障壁コーティング(TBC)が燃料ノズルに施工され、燃料ノズルをシールドし、必要な冷却流を低減し、又は燃料ノズル予混合器構成部品の温度を低下させることができる障壁を形成する。以下でより詳細に説明するように、施工されるTBCの厚みは、耐熱性の所望のレベル、すなわち、TBCシステムにわたる必要な温度低下を達成するように可変的に選択することができる。本明細書全体を通じて使用される用語「軸方向の」及び「軸方向に」とは、燃料ノズルの中央本体の中心長手方向軸線に実質的に平行に延びる方向及び向きを指すことを理解されたい。また、用語「半径方向」及び「半径方向に」とは、中央本体の中心長手方向軸線に実質的に垂直に延びる方向及び向きを指すことを理解されたい。更に、本明細書全体を通じて使用される用語「上流側」及び「下流側」とは、中央本体の中心長手方向軸線に対して軸方向の全体の燃料流方向に配置された方向及び向きを指すことを理解されたい。
【0014】
図1は、吸気セクション12と、該吸気セクション12から下流側にある圧縮機セクション14と、吸気セクション12から下流側で結合される燃焼器セクション16と、燃焼器セクション16から下流側で結合されるタービンセクション18と、排気セクション20とを含む、例示的なガスタービンシステム10の断面図である。燃焼器セクション16は、複数の燃焼器24を含む。ガスタービンシステム10は、燃料ノズル組立体26を含む。燃料ノズル組立体26は、複数の燃料ノズル28を含む。燃焼器24が圧縮機14と流れ連通するように圧縮機セクション14に結合される。燃料ノズル組立体26は燃焼器24に結合される。タービンセクション18は、圧縮機セクション14に、更に、限定ではないが、発電機及び機械式駆動用途などの負荷22に回転可能に結合される。
【0015】
作動中、吸気セクション12は、空気を圧縮機セクション14に送る。圧縮機セクション14は、吸入空気を高圧高温にまで加圧し、加圧された空気を燃焼セクション16に向けて排出し、ここで燃料と混合及び点火されて燃焼ガスを生成し、該燃焼ガスがタービンセクションに流れ、圧縮機セクション14及び/又は負荷22を駆動する。具体的には、加圧空気は、燃料ノズル組立体26に供給される。燃料は、燃料ノズルに送られ、ここで燃料が空気と混合され、燃焼器セクション16における燃料ノズル28の下流側で点火される。燃焼ガスが生成されてタービンセクション18に送られ、ここでガスストリームの熱エネルギーが機械的回転エネルギーに変換される。排気ガスは、タービンセクション18から出て、周囲雰囲気に排気セクション20を通って流れる。
【0016】
図2は、ガスタービンエンジン10と共に使用できる例示的な燃料ノズル100である。図3は、例示的な燃料ノズル100の拡大断面図である。例示的な実施形態では、燃料ノズル100は、バーナー管110、ノズル中央本体112、燃料/空気予混合器114、及び熱障壁コーティング118を含む。ノズル中央本体112は、バーナー管110を通って延びて、予混合通路121が中央本体112とバーナー管110との間に定められるようにする。例示的な実施形態において、燃料ノズル100は、複数の内側表面119を含む。
【0017】
バーナー管110は、外周壁111と内部バーナー壁144との間に定められる環状キャビティ143を含む。複数のオリフィス145が内部に定められ、内部バーナー壁144を通って延びて、環状キャビティ143を予混合通路121と流れ連通して結合する。内部バーナー壁144は、外側表面147を含む。代替の実施形態において、バーナー管110はオリフィス145を含まない。
【0018】
中央本体112は、半径方向外側円周壁137、半径方向内側円周壁136、燃料通路132、逆流通路134、端壁133、及び中間壁124を含む。外側壁137は外面138を含む。端壁133は外側表面139を含む。燃料通路132は、内側壁136により定められ、燃料/空気予混合器114から端壁133に向かって延びる。中間壁124は、内部バーナー壁144と内側壁136との間に延びて、冷却剤入口131と端壁133との間に位置付けられる。逆流通路134は、中央本体112内に定められ、端壁133から中間壁124に実質的に軸方向に延びる。逆流通路134は、燃料通路132とほぼ同心状に整列され、中央本体112内に定められる内側円周壁136により燃料通路132から分離される。複数の環状リブ135が逆流通路134内に位置付けられ、リブ135が逆流通路134に沿って間隔を置いて配置され、予混合通路121から逆流通路134にまで外側円周壁137をわたる熱移動を最適化及び強化できるようにする。リブ135は、限定ではないが、壁136から円周方向に延びる離散的環状リング、及び/又は壁136から延びる独立ナブを含む、このような熱移動を可能にするあらゆる形状を有することができる。
【0019】
燃料/空気予混合器114は、空気入口115、燃料入口116、冷却剤入口131、冷却剤通路123、スワールベーン122、及びスワールベーン122間に定められるベーン通路117を含む。スワールベーン122は、外側表面127を含む。冷却剤通路123は、燃料/空気予混合器114内に定められ、冷却剤入口131から中間壁124に延びる。チャンバ142は、ベーン122の後方部分160内に定められ、該チャンバ142が逆流通路134と流れ連通して結合されるようにする。複数の噴射ポート125が内部に定められ、ベーン122の後方部分160を通って延びて、チャンバ142及び逆流通路134を予混合通路121と流れ連通して結合する。チャンバ142は、ベーン122の前方部分162内に定められ、チャンバ126が冷却剤通路123と流れ連通して結合されるようにする。
【0020】
バーナー管110は、燃料/空気予混合器114に結合され、チャンバ126が環状キャビティ143と流れ連通するようになる。中央本体112は、燃料/空気予混合器114に結合されて、チャンバ142が、逆流通路134及び予混合通路121と流れ連通して位置付けられるようにされ、燃料通路132が燃料入口116から端壁133に延びる。
【0021】
図4は、燃料ノズル100と共に使用することができる例示的な熱障壁コーティング118の概略図である。例示的な実施形態において、熱障壁コーティング118は、燃料ノズル100の複数の内側表面119に施工される。熱障壁コーティング118は、プラズマスプレー法を用いて施工される。代替の実施形態において、熱障壁コーティング118は、電子ビーム物理蒸着(EB−PVD)を用いて、熱障壁コーティング118のスラリー溶液を燃料ノズル100上にスプレーし、及び/又は燃料ノズル100を熱障壁コーティング118のスラリー溶液内に浸漬することにより施工される。熱障壁コーティング118は、最初に内側表面119の少なくとも一部に施工される金属ボンドコーティング164と、次に金属ボンドコーティング164の少なくとも一部に施工されるセラミックコーティング165とを含む。例示的な実施形態において、熱障壁コーティング118は、約1000分の4インチ(0.004インチ)から約1000分の1インチ(0.001インチ)までの範囲の厚み166で施工される。例示的な実施形態において、熱障壁コーティングは、約1000分の20インチ(0.020インチ)から1000分の30インチ(0.030インチ)の間の厚み166を有する。しかしながら、熱障壁コーティング118の厚み166は、本明細書で記載される機能を燃料ノズル100が実施できる所望の耐熱レベルが確実に達成されるように、可変的に選択することができる。
【0022】
作動中、燃料50は、ノズル中央本体112に入り、燃料入口116を通って燃料通路132に流入する。燃料が中央本体112を通って送られて、端壁133に衝突し、その結果、燃料50の流れが反転し、燃料は逆流通路134内に送られる。燃料が逆流通路134に入ると、燃料がリブ135を超えて中間壁124に向けて送られ、ここで燃料50が壁124に衝突し、次いで、チャンバ142内に再配向される。燃料50は、チャンバ142から噴射ポート125を通ってベーン通路117及び予混合通路121内に排出される。空気52は、ベーン通路117内に空気入口115を通って配向される。空気52がベーン122を通過すると、空気は、予混合通路121内の噴射ポート125から排出された燃料50と混合される。完全燃焼を可能にするために、予混合通路121は、燃料/空気混合気が燃焼器反応ゾーン(図示せず)に排出される前に、該混合気の実質的に完全な混合が確保されるような大きさにされる。例示的な実施形態において、燃料50は、通路132を通って流れて端壁133に衝突するときに、該端壁133を冷却することができる。加えて、燃料50は、逆流通路134を通って流れるときに予混合通路121の背面対流冷却を可能にする。従って、中央本体112の外側円周壁137は、燃料50が燃料通路132及び逆流通路134を通って流れるときに、対流冷却により冷却される。
【0023】
冷却剤54は、冷却剤入口131を通って中央本体112に、及び冷却剤通路123に送られる。冷却剤54は、中間壁124に衝突し、チャンバ126内に配向される。冷却剤54は、チャンバ126を通って送られ、環状キャビティ143に入った後にオリフィス145を通って排出される。例示的な実施形態において、冷却剤54は、環状キャビティ143を通って流れるときに、バーナー外周壁111を冷却することができる。更に、冷却剤54はまた、オリフィス145を通して排出されるときに、内部バーナー壁144のフィルム冷却を提供する。加えて、冷却剤54が環状キャビティ143を通過するときに、外周壁111に対する背面対流冷却が得られる。
【0024】
作動中、熱障壁コーティング118は、設計外保炎事象中に予混合通路121内に生成された燃焼ガスから燃料ノズル100の内側表面119をシールドすることができる。1つの実施形態において、熱障壁コーティング118を用いることで、少なくとも100°Fの金属温度の低減が達成された。従って、このような実施形態において、25%未満の冷却流を用いて、同じ作動条件で保炎/逆火中の熱的損傷から燃料ノズル100を保護することができる。
【0025】
図5は、ガスタービン10と共に用いることができる燃料ノズル200の代替の実施形態である。図3で参照され且つ図2に示すものと同一の構成部品は、図3における同じ参照符号で識別される。従って、燃料ノズル200は、バーナー管100、ノズル中央本体212、燃料/空気混合気214、及び熱障壁コーティング118を含む。ノズル中央本体212は、バーナー管110を通って延び、予混合通路221が中央本体212とバーナー管110との間に定められるようになる。燃料ノズル200は複数の内側表面119を含む。
【0026】
代替の実施形態において、中央本体212は、半径方向外側壁237、半径方向内側壁236、冷却剤通路232、逆流通路234、端壁233、及び中間壁224を含む。冷却剤通路232は、燃料/空気予混合器214から端壁233に向かって延び、中間壁224は、内部バーナー壁144と内側壁236との間に延びて、燃料入口216と端壁233との間に位置付けられる。逆流通路234は、中央本体212内に定められ、端壁233から中間壁224に延びる。更に、逆流通路234は、燃料通路232とほぼ同心状に整列され、中央本体212内に延びる内側壁236により燃料通路232から分離される。複数の環状リブ235が逆流通路234内に位置付けられ、リブ235が逆流通路234に沿って間隔を置いて配置され、予混合通路221から逆流通路234にまで外側円周壁237をわたる熱移動を最適化及び強化できるようにする。
【0027】
燃料/空気予混合器214は、空気入口215、燃料入口216、冷却剤入口231、冷却剤通路223、スワールベーン222、及びスワールベーン122間に定められるベーン通路217を含む。燃料通路223は、燃料/空気予混合器214内に定められ、燃料入口216から中間壁224に延びる。チャンバ242は、ベーン222の前方部分262内に定められ、燃料通路223と流れ連通している。複数の噴射ポート225が内部に定められ、ベーン222の前方部分262を通って延びて、予混合通路221と流れ連通して燃料通路223を結合する。チャンバ226は、ベーン222の後方部分260内に定められ、チャンバ226が逆流通路234と流れ連通して結合されるようにする。
【0028】
バーナー管110は、燃料/空気予混合器214に結合され、チャンバ226が環状キャビティ143と流れ連通するようになる。中央本体212は、燃料/空気予混合器214に結合されて、チャンバ226が、環状キャビティ143及び逆流通路234と流れ連通して位置付けられるようにされ、冷却剤通路232が冷却剤入口231から端壁233に延びる。熱障壁コーティング118は、燃料ノズル200の内側表面119に施工される。
【0029】
代替の実施形態において、作動中、燃料50は、ノズル中央本体212に入り、燃料入口216を通って燃料通路223に流入する。燃料50は、中間壁224に衝突し、そこで燃料50の流れはチャンバ242に送られ、チャンバ242から噴射ポート225を通ってベーン通路217内に排出される。冷却剤54は、中央本体212に入り、冷却剤入口231を通って冷却剤通路232に流入する。冷却剤54は、中央本体212を通って送られ、端壁233に衝突し、そこで冷却剤54の流れが反転され、冷却剤54が逆流通路234に送られる。冷却剤54が逆流通路234に流入すると、該冷却剤54はリブ235を超えて中間壁224に向けて送られ、ここで冷却剤54が中間壁224に衝突し、チャンバ142内に再配向される。冷却剤54は、チャンバ226を通って環状キャビティ143に送られた後、複数のオリフィス145を通って排出される。
【0030】
代替の実施形態において、冷却剤54は、環状キャビティ143を通って流れるときに、バーナー外周壁111を冷却することができ、冷却剤54がオリフィス145を通して排出されるときに、内部バーナー壁144のフィルム冷却を提供する。加えて、冷却剤54が環状キャビティ143を通過すると、外周壁111に対する背面対流冷却が得られる。冷却剤54はまた、冷却剤通路232を通過して端壁233に衝突するときに、端壁233を冷却することができる。加えて、冷却剤54は、逆流通路234を通過するときに、外側壁237を背面対流冷却することができる。熱障壁コーティング118は、設計外保炎事象中に燃料ノズル200内に生成された燃焼ガスから燃料ノズル200の内側表面165をシールドすることができる。従って、このような代替の実施形態において、同じ作動条件で、保炎/逆火事象中に燃料ノズル200への損傷の低減を可能にするのに必要な冷却剤の量が低減される。
【0031】
上述の方法及びシステムは、保炎/逆火特性が強化された燃料ノズルを設けることによって、乾式低NOx(DLN)燃焼システムの作動を改善することができる。従って、本明細書で記載される実施形態は、例えば、ガスタービン用途でコスト効果の高い方法でDLN燃焼システムにおいて合成ガス(「シンガス」)及び高炭化水素の割合の高い天然ガスなどの高反応性燃料の使用を可能にする。上述のシステムはまた、背面対流冷却、衝突冷却、及びフィルム冷却の組み合わせを含む、冷却システムと共に燃料ノズルを用いることによって、保炎/逆火事象中の損傷を低減する方法を提供する。従って、DLN燃焼システムの作動寿命全体にわたり発生する可能性のある保炎/逆火事象に起因する損傷が低減されるので、乾式低NOx燃焼システムの性能寿命を延ばすことができる。
【0032】
燃焼システムにおける燃料ノズルを熱的に保護する方法及びシステムの例示的な実施形態が上記で詳細に説明された。本方法及びシステムは、本明細書で記載される特定の実施形態に限定されず、むしろ、本システムの構成要素及び/又は本方法のステップは、本明細書で記載される他の構成要素及び/又はステップとは独立して別個に利用してもよい。例えば、本方法はまた、他の燃料燃焼システム及び方法と組み合わせて用いることができ、本明細書で記載されるDLN燃焼システム及び方法での実施に限定されるものではない。むしろ、例示的な実施形態は、他の多くの燃料燃焼用途と併せて実施及び利用することができる。
【0033】
本明細書では特定の用語が利用されているが、これらは、限定の目的ではなく、一般的及び説明的な意味でのみ用いられる。本発明の原理によれば、図面の何れかの特徴は、他の何れかの図面のあらゆる特徴と組み合わせて言及し及び/又は特許請求することができる。
【0034】
本明細書は、最良の形態を含む実施例を用いて本発明を開示し、更に、あらゆる当業者があらゆるデバイス又はシステムを実施及び利用すること並びにあらゆる包含の方法を実施することを含む本発明を実施することを可能にする。本発明の特許保護される範囲は、請求項によって定義され、当業者であれば想起される他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、請求項の文言と差違のない構造要素を有する場合、或いは、請求項の文言と僅かな差違を有する均等な構造要素を含む場合には、本発明の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0035】
10 ガスタービンエンジン
12 吸気セクション
14 圧縮機
16 燃焼器セクション
18 タービンセクション
20 排気セクション
22 負荷
24 燃焼器
25 実施形態
26 燃料ノズル組立体
28 燃料ノズル
50 燃料
52 空気
54 冷却剤
100 燃料ノズル
110 バーナー管
111 バーナー外周壁
112 中央本体
114 燃料/空気予混合器
115 空気入口
116 燃料入口
117 ベーン通路
118 熱障壁コーティング
119 内側表面
121 予混合通路
122 スワールベーン
123 冷却剤通路
124 中間壁
125 複数の噴射ポート
126 チャンバ
127 外側表面
131 冷却剤入口
132 燃料通路
133 端壁
134 逆流通路
135 複数の環状リブ
136 内側円周壁
137 外側円周壁
138 外部表面
139 外側表面
142 チャンバ
143 環状キャビティ
144 内側バーナー壁
145 複数のオリフィス
147 外側表面
160 後方部分
162 前方部分
164 金属ボンドコーティング
165 セラミックコーティング
166 厚み
200 燃料ノズル
212 中央本体
214 燃料/空気予混合器
215 空気入口
216 燃料入口
217 ベーン通路
221 予混合通路
222 スワールベーン
223 燃料通路
224 中間壁
225 噴射ポート
226 チャンバ
231 冷却剤入口
232 冷却剤通路
233 端壁
234 逆流通路
235 リブ
236 内側壁
237 半径方向外側壁
242 チャンバ
260 後方部分
262 前方部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンエンジンを組み立てる方法であって、当該方法が、
燃焼器が圧縮機により排出される空気の少なくとも一部を受け取るように、前記燃焼器を前記圧縮機と流れ連通して結合する段階と、
燃料ノズル組立体を前記燃焼器に結合する段階と
を含んでおり、前記燃料ノズル組立体が複数の内部表面を有する少なくとも1つの燃料ノズルを備えていて、前記内部表面を燃焼ガスからシールドするために前記複数の内部表面の少なくとも1つに熱障壁コーティングを施工する、方法。
【請求項2】
前記燃料ノズルが内側表面を有するバーナー管を備えていて、当該方法が更に、前記バーナー管の内側表面の少なくとも一部に熱障壁コーティングを施工する段階を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記燃料ノズルが外側表面を有する中央本体を備えていて、当該方法が更に、前記中央本体の外側表面の少なくとも一部に熱障壁コーティングを施工する段階を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記燃料ノズル組立体を前記燃焼器に結合する段階が更に、前記燃料ノズルの複数の内部表面の少なくとも一部にわたり金属ボンドコーティングを施工する段階と、前記金属ボンドコーティングの少なくとも一部にわたりセラミック熱コーティングを施工する段階とを含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
ガスタービンエンジンで使用するための燃料ノズルであって、
複数の内部表面と、
前記複数の燃料ノズル内部表面の少なくとも1つにわたり施工される熱障壁コーティングと
を備えていて、前記熱障壁コーティングが、前記燃料ノズル内部表面を燃焼ガスからシールドするよう構成される、燃料ノズル。
【請求項6】
前記燃料ノズルが内側表面を有するバーナー管を備え、前記熱障壁コーティングが、前記バーナー管の内側表面の少なくとも一部に施工される、請求項5記載の燃料ノズル。
【請求項7】
前記燃料ノズルが外側表面を有する中央本体を備え、前記熱障壁コーティングが、前記中央本体の外側表面の少なくとも一部に施工される、請求項5記載の燃料ノズル。
【請求項8】
前記燃料ノズルが外側表面を有する燃料/空気予混合器を備え、前記熱障壁コーティングが、前記中央本体の外側表面の少なくとも一部に施工される、請求項5記載の燃料ノズル。
【請求項9】
前記熱障壁コーティングが、前記燃料ノズルの内部表面の少なくとも一部に施工される金属ボンドコーティングと、前記金属ボンドコーティングの少なくとも一部にわたり施工されるセラミック熱コーティングとを含む、請求項5記載の燃料ノズル。
【請求項10】
前記熱障壁コーティングの厚みが、約0.004インチ〜約0.001インチである、請求項5記載の燃料ノズル。
【請求項11】
内部表面を有するバーナー管と、前記バーナー管に結合された燃料/空気予混合器と、外側表面を有し、前記バーナー管を通って延びるように前記燃料/空気予混合器に結合されたノズル中央本体とを更に備える、請求項5記載の燃料ノズル。
【請求項12】
前記燃料/空気予混合器から前記バーナー管に冷却流を送ることを可能にするために、前記燃料/空気予混合器及び前記バーナー管内に定められる冷却流路を更に備える、
請求項11記載の燃料ノズル。
【請求項13】
前記中央本体と前記バーナー管との間に予混合通路が定められ、前記バーナー管が、前記予混合通路と流れ連通して前記冷却流路を結合する複数のオリフィスを含む、請求項12記載の燃料ノズル。
【請求項14】
前記燃料/空気予混合器が更に、内部冷却通路を定める複数のスワールベーンを更に備える、請求項12記載の燃料ノズル。
【請求項15】
前記中央本体が、内側壁と、外側壁と、前記内側壁内に定められる燃料通路と、前記内側壁及び前記外側壁間に定められる逆流通路とを備える、請求項11記載の燃料ノズル。
【請求項16】
圧縮機と、
前記圧縮機により排出される空気の少なくとも一部を受け取るために前記圧縮機と流れ連通し、複数の内部表面を有する少なくとも1つの燃料ノズルを含む燃焼器と、
前記複数の燃料ノズル内部表面の少なくとも1つに施工され、前記燃料ノズル内部表面を燃焼ガスからシールドするよう構成される熱障壁コーティングと
を備えるガスタービンシステム。
【請求項17】
前記燃料ノズルが更に、内側表面を有するバーナー管を備え、前記熱障壁コーティングが、前記バーナー管の内側表面の少なくとも一部に施工される、請求項16記載のガスタービンシステム。
【請求項18】
前記燃料ノズルが更に、外側表面を有する中央本体を備え、前記熱障壁コーティングが、前記中央本体の外側表面の少なくとも一部に施工される、請求項16記載のガスタービンシステム。
【請求項19】
前記熱障壁コーティングが、前記複数の燃料ノズルの内部表面の少なくとも一部に施工される金属ボンドコーティングと、前記金属ボンドコーティングの少なくとも一部にわたり施工されるセラミック熱コーティングとを含む、請求項16記載のガスタービンシステム。
【請求項20】
前記熱障壁コーティングの厚みが、約0.004インチ〜約0.001インチである、請求項16記載のガスタービンシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−12948(P2011−12948A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−98350(P2010−98350)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY