説明

燃焼装置

【課題】給湯利用後の再出湯時に高温の湯が出湯されることを防ぐ。
【解決手段】給湯栓9が開かれることにより流れる水の量が設定作動流量以上となったときに給湯バーナ10の燃焼を開始して給湯熱交換器7を加熱し、給湯通路11を通して出湯する。給湯通路11は給湯熱交換器7との接続部の近傍位置から上側に立ち上げて形成された立設領域を設けて形成し、その立設領域に排水ユニット1を介設する。排水ユニット1には水を外部に排出する排水通路4を排水用開閉弁3を介して接続し、排水ユニット1の水温が予め定められた高温湯排出設定温度以上になったときに、排水用開閉弁3を開く方向の動作を開始させて、排水通路4と排水ユニット1とを連通させ、給湯通路11内の加熱された水を排水ユニット1を介して排水通路4から設定作動流量未満の流量で外部に排出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯機能を備えた燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図4には、燃焼装置の一例が模式的なシステム図により示されている(例えば特許文献1、参照)。
【0003】
この燃焼装置は、例えば浴室に配置される装置であり、給湯バーナ10と、該給湯バーナ10により加熱される給湯熱交換器7とを有し、給湯熱交換器7内には水を通す管路(図示せず)が設けられている。また、給湯熱交換器7には、該給湯熱交換器7に水を導入する給水導入通路19と、給湯熱交換器7を通って加熱された水を給湯先に導く給湯通路11とが接続されている。給湯通路11の先端側には、給湯栓9が設けられており、この例では、給湯栓9が切り替えレバー方式の栓で形成されている。この種の給湯栓9は、レバーの切り替えによって、給湯通路11を通った湯を、カラン側の出湯管30側とシャワー側通路31のいずれかから選択的に出湯させるものであり、同図では、出湯管30側から出湯されるように選択した状態が示されている。また、この燃焼装置は、例えばBF(バランスドフルー)式給湯付き風呂釜と呼ばれるもので、給湯熱交換器7から給湯栓9までが同一の器具内できわめて近い距離にあり、給湯栓9を切り替える(例えば閉→カラン側出湯管30)と、例えば1秒以内に給湯熱交換器7内の湯水が出湯、出水されるものである。
【0004】
前記給水導入通路19には、水量調節機構21が接続されており、水量調節機構21には、水ガバナー15、ダイヤフラムケース13、水量調節室20が設けられている。ダイヤフラムケース13には、ダイヤフラム14が設けられており、このダイヤフラム14によって、ダイヤフラムケース13内が、一次室13aと二次室13bとに区分けされている。水量調節室20には温度調節子23が設けられており、温度調節子23は、温度調節つまみ22に接続されている。
【0005】
また、水量調節機構21には、水量調節機構21に水を供給する給水通路8と、水量調節機構21から水を導出するバイパス通路18と、排水通路24とが接続されている。給水通路8にはフィルタ25が介設され、バイパス通路18には通路16が接続され、その境界部にはオリフィス17が介設されている。オリフィス部の低圧力は、通路16によりダイヤフラム2次室13bへ伝えられる。排水通路24には水抜き栓26が設けられている。なお、バイパス通路18は、合流接続部27で前記給湯通路11に接続されており、給湯通路11を通る加熱された水(湯)に、加熱されていない水を混合するために、給湯通路11側に水を導く水導入通路としても機能する。
【0006】
前記給湯バーナ10には、ガス通路32が接続されており、該ガス通路32は、水圧自動ガス弁33と、器具栓34とを介し、ガス導入通路35に接続されている。水自動ガス弁33は、前記ダイヤフラム14に連結して設けられ、器具栓34は、器具栓つまみ48に接続されている。ガス導入通路35は、燃料ガスを燃焼装置に外部から導入するものであり、ガス導入通路35から導入される燃料ガスが、器具栓34を介してガス通路32を通り、給湯バーナ10に供給される。また、器具栓34には、ガス通路36,37が接続されており、ガス導入通路35から器具栓34まで導入された燃料ガスが、ガス通路36を通して風呂の追い焚きバーナ39に供給され、ガス通路37を通してパイロッバーナ38に導入される構成と成している。
【0007】
なお、同図はシステム構成図であり、追い焚きバーナ39と前記給湯バーナ10とは離れた位置に記載されているが、追い焚きバーナ39と給湯バーナ10とは、実際には隣り合わせに配置されている。そして、追い焚きバーナ39と給湯バーナ10の間に、パイロットバーナ38が設けられ、追い焚きバーナ39も給湯バーナ10も、パイロットバーナ38の口火を利用して着火し、燃焼を行うように構成されている。
【0008】
パイロットバーナ38の近傍位置には、熱電対44と、点火プラグ43の先端部とが設けられている。点火プラグ43は、器具ケース(図示せず)の外側に設けられた点火ハンドル42を回転させることにより圧電点火装置41を作動させることにより作動し、パイロットバーナ38の点火動作を行うものである。また、追い焚きバーナ39によって加熱される追い焚き熱交換器40が設けられており、追い焚き熱交換器40には、空焚き安全装置46が設けられている。空焚き安全装置46には、過熱防止装置(温度ヒューズ)45bを介して前記熱電対44が電気的に接続されている。なお、前記給湯熱交換器7には給湯過熱防止装置47が設けられ、給湯過熱防止装置47は、過熱防止装置45a,45bを介して熱電対44に電気的に接続されている。
【0009】
この燃焼装置において、給水栓(図示せず)を開くと、水は、給水通路8を通って水ガバナー15を通り、ダイヤフラムケース13の一次室13aへと流れ、水量調節子23により分岐して、その一方は、バイパス通路18を通り、給湯通路11側に導かれる。他方は、給水導入通路19、給湯熱交換器7を通って給湯通路11側に導かれ、給湯通路11から出湯管30(またはシャワー側通路31)へ流れて出水される。
【0010】
また、ガス栓(図示せず)を開くと、燃料ガスはガス導入通路35を通って器具栓34の入口まで流入する。ここで、器具栓つまみ48を「口火」の位置に操作することにより、燃料ガスは、器具栓34を通り、パイロットバーナ38に流れるので、その状態で、点火操作を行うことにより、パイロットバーナ38への点火が行われる。
【0011】
さらに、器具栓つまみ48を「給湯・シャワー」の位置に合わせることにより、燃料ガスは、水圧自動ガス弁33の配設位置まで流れる。この状態で給湯栓9を開き、給水通路8を通して水が流れ始めると、この水がダイヤフラムケース13の一次室13aからバイパス通路18を通り、前記オリフィス17で得られる低圧力が通路16によりダイヤフラム二次室13bに伝えられ、一次室13a(高圧)との差圧がダイヤフラム14の面積により荷重として働き、ダイヤフラム14が二次室13b側へと移動する。
【0012】
この結果、ダイヤフラム14と連結された水圧自動ガス弁33が開き、燃料ガスがガス通路32を通って給湯バーナ10に供給され、パイロットバーナ38の口火から給湯バーナ10に着火する。つまり、給湯バーナ10は、前記給湯栓9が開かれることにより流れる(燃焼装置に導入される)水の量が予め定められた設定作動流量以上となったときに燃焼を開始する。そして、この給湯バーナ10の燃焼によって、給湯熱交換器7を通る水が加熱され、出湯管30(またはシャワー側通路31)から出湯される。
【0013】
また、同図には示されていないが、追い焚き熱交換器40は追い焚き循環通路を介して浴槽に接続されており、その接続部(上部循環口)よりも例えば10cm以上高い位置まで湯または水を入れた状態で、器具栓つまみ48を「ふろ」の位置に合わせることにより、燃料ガスが通路36を通って追い焚きバーナ39に供給され、パイロットバーナ38の口火から追い焚きバーナ39に着火し、追い焚き熱交換器40を循環して浴槽内の湯水の加熱が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】実開昭53−48243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところで、前記のような燃焼装置の利用に際し、給湯利用後に給湯栓9を閉じると、給湯バーナ10の燃焼が停止するが、給湯熱交換器7の缶体部熱(保有熱)が、時間と共に、給湯熱交換器7内の水や該給湯熱交換器7に接続されている給湯通路11内の水に伝わり、この水が高温になる、いわゆる後沸き現象が生じる。また、給湯停止中であっても、パイロットバーナ38の燃焼は継続して行われており、さらに、追い焚きバーナ40の燃焼が行われることもあり、これらのバーナ38,40の熱が給湯熱交換器7を介して給湯通路11の水に伝わる、いわゆるパイロット沸き及び、もらい沸き現象が生じることもある。
【0016】
これらの現象が生じると、前記給湯利用後に、少し時間をおいて再びシャワーを用いて湯を使用する場合に、高温の水(湯)がシャワー側通路31を通ってシャワーの出湯口から出湯され、利用者が不快な思いをするだけでなく、場合によっては、利用者が火傷するおそれもある。そのため、「再出湯時の高温湯の注意」等の警告表示をして、利用者の注意を促しているが、再出湯時の高温湯の出湯を防止できることが望まれていた。
【0017】
本発明は、前記従来の課題を解決するために成されたものであり、その目的は、給湯利用後の再出湯時に高温の湯が出湯されることを防ぎ、高温の湯の出湯に伴い利用者が火傷したり不快な思いをしたりすることを抑制できる燃焼装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は上記目的を達成するために、次の構成をもって課題を解決する手段としている。すなわち、第1の発明は、給湯バーナと、該給湯バーナにより加熱される給湯熱交換器と、該給湯熱交換器を通って加熱された水を給湯先に導く給湯通路とを有し、前記給湯バーナは、前記給湯通路の先端側に設けられている給湯栓が開かれて前記給湯熱交換器に導入される水の量が予め定められた設定作動流量以上となったときに燃焼を開始して前記給湯熱交換器を加熱する構成と成し、前記給湯通路は前記給湯熱交換器との接続部の近傍位置から上側に立ち上げて形成された立設領域を有して該立設領域には排水ユニットが介設され、該排水ユニットには水を外部に排出する排水通路が排水用開閉弁を介して接続されており、前記排水ユニット内の水温が予め定められた高温湯排出設定温度以上になったときに、前記排水用開閉弁を開く方向の動作を開始させて前記排水通路と前記排水ユニットとを連通させることにより、前記給湯通路内の加熱された水を前記排水ユニットを介して前記排水通路から前記設定作動流量未満の流量で外部に排出させる高温水排出手段が設けられている構成をもって課題を解決する手段としている。
【0019】
また、第2の発明は、前記第1の発明の構成に加え、前記排水ユニットと給湯栓の間の高さを60cm未満としたことを特徴とする。
【0020】
さらに、第3の発明は、前記第1または第2の発明の構成に加え、前記高温水排出手段は、温度上昇により膨張するサーモワックスの膨張によって又は形状記憶合金を使用して排水用開閉弁を開弁方向に移動させて開く構成としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、給湯通路は給湯熱交換器との接続部の近傍位置から上側に立ち上げて形成された立設領域を有しているので、給湯栓の閉動作に伴う給湯バーナの燃焼停止後に、給湯熱交換器の熱は、給湯通路の立設領域に溜められていく。そして、この熱が、給湯通路を介して排水ユニット内の水に伝えられることにより、排水ユニット内の水温が予め定められた高温湯排出設定温度以上になったときに、排水ユニットと該排水ユニットとに接続された排水通路との連通部に介設された排水用開閉弁を開く方向の動作を開始させて、排水ユニットと排水通路とを連通させることにより、給湯通路内の加熱された水を、前記排水ユニットを介して前記排水通路から排出させるので、給湯利用後の再出湯が開始される前に、高温の水を排出することができる。
【0022】
このように、本発明では、給湯熱交換器を通って加熱された水を給湯先に導く給湯通路の先端側に給湯栓を設け、排水ユニットは、給湯通路の給湯熱交換器との接続部近傍位置から上側に立ち上げた立設領域に設けており、前記の如く、給湯利用後の再出湯が開始される前に、高温の水を排出することを特徴としている。
【0023】
もしも、ここで、本発明とは異なり、高温水を排出する高温水排出手段を給湯栓よりも下流側に設けて、給湯利用後の再出湯時に高温水排出手段を通る水が高温であったときに、その高温水を外部に排出する構成を設けた場合には、以下のような問題が生じる。つまり、この場合、給湯利用後の再出時には、給湯栓を開いても、高温水が高温水排出手段によって排出終了するまでの間は、給湯先からの出湯が行われないために、利用者が湯を使いたくても使用することができず、非常に使い勝手が悪いものとなる。
【0024】
それに対し、本発明では、前記の如く、給湯通路に立設領域を設けることにより、この立設領域に、給湯熱交換器の後沸き等の熱を溜めて、その熱により排水ユニット内の水温が高温湯排出設定温度以上に加熱されたときに排水用開閉弁を開く方向の動作を開始させて、排水ユニットを介しての高温の水の排水を行い、給湯利用後の再出湯が開始される前に高温の水を排出するので、再出湯時には、後沸き等による高温の水(湯)の排出を防ぐことができるだけではなく、高温ではない(適温の)水を給湯先から出湯することができる。
【0025】
また、給湯熱交換器を加熱する給湯バーナは、給湯通路の先端側に設けられている給湯栓が開かれることにより流れる(燃焼装置に供給される)水の量が予め定められた設定作動流量以上となったときに燃焼を開始するが、排水ユニットを介して排水通路から排出させる水の流量は、前記設定作動流量未満の流量であるので、給湯通路の湯の排水ユニットを介しての排出時に給湯バーナが燃焼を開始することはなく、排水動作時に給湯熱交換器の加熱を行うといった、非効率的な動作を防ぐことができる。
【0026】
なお、排水ユニットを介しての排水動作が開始されるときに、排水ユニットよりも上側の給湯通路内にも給湯熱交換器の熱が伝わり、その水が高温となっていると、その高温の水は排水ユニットを介して排水されずに給湯通路の先端側から出湯される。したがって、この高温の水の量が多いと火傷する可能性が生じる。
【0027】
給湯利用後の再出湯時に、その湯で火傷を生じるか否かは、その湯(水)の温度と流量とによることが分かっており、大人の皮膚の場合、湯の温度が48℃以下では火傷は生じず、54℃では29秒間、湯に接触すると一度から二度(浅達性二度)の火傷が生じる。そして、60℃では3秒で、70℃では1秒で、重傷の火傷(深達性二度〜三度)の火傷が生じる。出湯量は、給湯熱交換器への入水温度が低く、高出力で少ない流量(例えば4リットル/分)の水を加熱しなければならない冬季であっても、1秒あたり約67cc以上であるので、それよりも小さい66cc/秒未満の出湯であれば、たとえ70℃の高温水が出湯されても火傷は生じない。
【0028】
この出湯量は、従来、一般に用いられている外径12.7mm(内径11.5mm)の水管を用いた場合の水量が、1cm辺り約1.04ccであることから、その高さを60cm以下にすれば、70℃の湯が出湯されても火傷しないことになるので、排水ユニットの配設位置と給湯栓との間の高さを60cmより小さくすれば、たとえ70℃の湯の出湯が生じたとしても、その出湯により利用者が火傷するようなことはない。したがって、排水ユニットと給湯栓の間の高さを60cm未満とすることにより、より一層確実に、再出湯時に高温の湯が給湯通路から出湯されて利用者が火傷することを防ぐことができる。この水湯量は器具固有の値である最低作動流量を用い、水管内径に基づいて合流接続部27と給湯栓9間の高さ(長さ)を設定するようにすることが望ましい。
【0029】
さらに、本発明において、高温水排出手段を、温度上昇により膨張するサーモワックスの膨張によって又は形状記憶合金の温度による荷重変化を利用して排水用開閉弁を開弁方向に移動させて開く構成とすれば、排水ユニットにおける給湯通路の出側の温度を検出する構成や、その検出した温度に基づいて排水用開閉弁を動作させるための構成を設けることなく、サーモワックスの膨張によって又は形状記憶合金の温度による荷重変化を利用して自動的に排水用開閉弁を開くことができる。また、サーモワックスの熱による膨張は温度上昇に伴い緩やかに生じ、熱による収縮は温度下降に伴い緩やかに生じるので、排水ユニットにおける給湯通路の出側の温度が高温湯排出設定温度の近傍位置で上昇と下降とを繰り返したとしても、それに伴う排水用開閉弁のハンチング現象が生じることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る燃焼装置の一実施例を示すシステム構成図である。
【図2】実施例の燃焼装置に設けられている排水ユニットの動作説明図である。
【図3】実施例の燃焼装置における給湯通路の配設態様を給湯熱交換器と共に示す斜視図である。
【図4】従来の燃焼装置の一例を示すシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。なお、本実施例の説明において、従来例と同一名称部分には同一符号を付し、その重複説明は省略または簡略化する。
【実施例】
【0032】
図1には、本発明に係る燃焼装置の一実施例のシステム構成図が示されている。同図に示すように、本実施例の燃焼装置は、図4に示した従来の燃焼装置とほぼ同様に構成されているが、本実施例では従来例と異なり、給湯通路11に、排水ユニット1を介設している。なお、本実施例において、給湯通路11は、図3に示すように、給湯熱交換器7との接続部の近傍位置から上側に立ち上げて形成された立設領域12を有しており、給湯熱交換器7の後沸きやもらい沸きの熱が立設領域12に移動して溜まっていく(立設領域12の水の温度が上昇していく)ように構成されている。立設領域12の高さは例えば約15cmで、その上部寄りの位置に排水ユニット1が介設されており、排水ユニット1と給湯栓9との間の高さは例えば約5cmである。
【0033】
図2には、前記排水ユニット1の構成が断面図により示されている。同図に示すように、排水ユニット1は、ユニットケース2を有し、ユニットケース2には、前記給湯通路11に接続される接続部28(28a,28b)が設けられている。接続部28aは、給湯通路11の下流側(給湯栓9に近い側)に接続され、接続部28bは、その反対側(図1に示す水量調整機構21側)に接続される。また、排水ユニット1には、前記設定作動流量未満の水量で、水を外部に排出する排水通路4(図1、参照)が、排水用開閉弁3を介して接続されており、ユニットケース2の接続部29が排水通路4に接続される。接続部29には、排水流量が設定作動流量未満となるようにオリフィス49等の適宜の流量調節手段が設けられており、排水用開閉弁3は、スプリング5によって、閉方向(接続部29側)に付勢されている。
【0034】
排水ユニット1には、該排水ユニット1内の水温(例えば、給湯通路11への出側の水温であり、図2(a)に示す領域A辺りの水温)が、予め定められた高温湯排出設定温度(例えば60℃)以上になったときに、排水用開閉弁3を開く方向の動作を開始させて、図2(b)に示すように、排水用開閉弁3を、図の右側に移動させて開状態とする高温水排出手段が設けられている。高温水排出手段は、排水通路4と排水ユニット1とを連通させることにより、給湯通路11内の加熱された水を、排水ユニット1を介して排水通路4から、給湯バーナ10の設定作動流量未満の流量で外部に排出させる。
【0035】
この高温水排出手段は、以下に述べるように、温度上昇により膨張するサーモワックスの膨張によって、排水用開閉弁3を開弁方向(図2の右向き方向)に移動させて開く構成としている。つまり、排水用開閉弁3は、サーモワックスが内蔵されたサーモエレメント3aと、一端側がサーモエレメント3a内に挿入されて他端側が温度調節ねじ6を介してユニットケース2に当接したサーモスピンドル3bとを有しており、サーモエレメント3a内のサーモワックスが、排水ユニット1内の水の温度上昇により膨張すると、それに伴い、サーモスピンドル3bに、図2の左側に押し出そうとする力が加えられる。しかしながら、サーモスピンドル3bの他端側(排水用開閉弁3の左端)は、ユニットケース2に当接した状態で左側には移動できないので、サーモスピンドル3bに、前記のような図2の左側に押し出そうとする力に対する反発力が働き、排水用開閉弁3が、右側、つまり、開弁方向に移動する。
【0036】
なお、温度調節ねじ6は、サーモエレメント3a自体の製造ばらつき等に伴い、高温湯排出設定温度で開始するサーモスピンドル3bの動作のばらつきを調節するものであり、このばらつきが小さいまたは、無い場合には省略できるものである。また、サーモワックスおよびサーモエレメント3aの構成は、周知であり、その詳細説明は省略するが、サーモワックスは、例えば鑞と銅粉とを混合して形成されるものであり、その混合割合に応じて温度による膨張割合が決定される。
【0037】
本実施例は以上のように構成されており、本実施例でも前記従来例と同様の給湯動作が行われるが、本実施例では、給湯栓9の閉動作に伴う給湯バーナ10の燃焼停止後に、給湯熱交換器7の熱は、給湯通路11の立設領域12に溜められていく。そして、この熱が、給湯通路11を介して排水ユニット1内の水に伝えられることにより、排水ユニット1内の水温が前記高温湯排出設定温度以上になったときに、排水用開閉弁3を開く方向の動作を開始させて、排水用開閉弁3を図2(a)に示す閉状態から図2(b)に示す開状態とし、排水通路4と排水ユニット1とを連通させる。そして、給湯通路11内の加熱された水を、図2(b)の矢印に示すように、排水ユニット1を介して排水通路4から前記設定作動流量未満の流量で外部に排出する。
【0038】
そして、給湯通路11内の高温の水が全て排水通路4から排出されて、排水ユニット1内は、前記高温湯排出設定温度より低い温度の水に満たされると、前記サーモワックスの熱収縮が生じて排水用開閉弁3が開状態から閉状態へと戻っていき、排水通路4からの水の導出が停止する。これらの高温水排出動作は、給湯停止後、再出湯までの間に行われる。なお、給湯停止から再出湯までの時間が短く、排水ユニット1内の水温が前記高温湯排出設定温度以上にならないときには行われないが、その場合は、後沸き等による高温水の出湯の心配もない。
【0039】
また、サーモワックスの熱膨張および熱収縮は緩やかに生じるので、排水ユニット1の給湯通路11への出側の水温が前記高温湯排出設定温度以上になったときに、排水用開閉弁3を開く方向の動作を開始させても、実際に排水用開閉弁3が開いて排水が開始されるまでの間に時間がかかる。そのため、後沸きやもらい沸き等の熱が、給湯熱交換器7から給湯通路11や排水ユニット1内に十分に移動してから排水動作が開始されるので、後沸き等の熱を確実に排出できるという効果がある。
【0040】
さらに、排水ユニット1を介しての高温水の排出時に、排水ユニット1内の水温が高温湯排出設定温度より低い温度になって、サーモワックスの熱収縮が生じ、排水用開閉弁3を閉じる方向の動作を開始させても、実際に排水用開閉弁3が閉じて排水が終了するまでの間にも多少時間がかかる。そのため、給湯通路11側の高温の水の排出は確実に行われる。
【0041】
また、排水ユニット1を介しての排水動作が開始されるときに、既に高温と成していた排水ユニット1も上側の給湯通路11内の水は、排水ユニット1を介して排水されずに出湯管30またはシャワー側通路31から出湯されるが、排水ユニット1と給湯栓9との間の高さは60cmよりも遙かに小さい約5cmであり、この高温の水が出湯されても、利用者が火傷するようなことはない。
【0042】
さらに、給湯熱交換器7内の水量は300〜400ccなので、直前まで出湯管30で高温の湯を使用していて、わずかな中断後に湯温未確認でシャワー側通路31を使用するような使用方法が行われても、このわずかな中断時に、給湯通路11から排水ユニット1内に伝わる熱によって排水用開閉弁3の開弁動作が行われ、300〜400ccの給湯熱交換器7内の高温湯と、給湯通路11の配管内の高温湯を排水ユニット1で排出できれば、やけどを防止できる。
【0043】
なお、本発明は前記実施例に限定されることなく、様々な実施の形態を採り得る。例えば、前記実施例では、高温水排出手段は、サーモワックスの熱膨張を利用して排水用開閉弁3を開く構成としたが、高温水排出手段は、形状記憶合金を使用して(形状記憶合金の温度による荷重変化を利用して)、排水ユニット1内(例えば給湯通路11への出側)の水温が高温湯排出設定温度以上になったときに、排水用開閉弁3を開く方向の動作を開始させる構成としてもよい。また、排水ユニット1の、例えば給湯通路11への出側の水温を検出する水温検出手段と、該水温検出手段の検出温度に基づいて、給湯通路11への出側の水温が高温湯排出設定温度以上になったときに、排水用開閉弁3を開く方向の動作を開始させる制御部を設けてもよい。
【0044】
さらに、前記実施例の燃焼装置は、追い焚き熱交換器40を有して、給湯機能の他に浴槽湯水の追い焚き機能を有する構成としたが、追い焚き熱交換器40を含む追い焚き機能構成は省略することもできる。また、給湯通路11の先端側に、出湯管30とシャワー側通路31とを切り替え自在に設けたが、出湯管30は省略することもできる。このように、本発明において、燃焼装置の詳細な構成は特に限定されるものでなく、適宜設定されるものであり、給湯機能を有する燃焼装置において、給湯通路を立設領域を設けて形成し、その立設領域に前記実施例で適用したような排水ユニット1を介設すればよい。
【0045】
さらに、前記実施例は、ガス燃焼式の燃焼装置としたが、本発明の燃焼装置は、石油燃焼式の燃焼装置としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、給湯利用後の再出湯時に高温の水が出湯されることを防げるので、シャワー利用の燃焼装置として利用できる。
【符号の説明】
【0047】
1 排水ユニット
2 ユニットケース
3 排水用開閉弁
4 排水通路
7 給湯熱交換器
10 給湯バーナ
11 給湯通路
12 立設領域
18 バイパス通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯バーナと、該給湯バーナにより加熱される給湯熱交換器と、該給湯熱交換器を通って加熱された水を給湯先に導く給湯通路とを有し、前記給湯バーナは、前記給湯通路の先端側に設けられている給湯栓が開かれて前記給湯熱交換器に導入される水の量が予め定められた設定作動流量以上となったときに燃焼を開始して前記給湯熱交換器を加熱する構成と成し、前記給湯通路は前記給湯熱交換器との接続部の近傍位置から上側に立ち上げて形成された立設領域を有して該立設領域には排水ユニットが介設され、該排水ユニットには水を外部に排出する排水通路が排水用開閉弁を介して接続されており、前記排水ユニットには、前記給湯通路内の水温が予め定められた高温湯排出設定温度以上になったときに、前記排水用開閉弁を開状態として前記排水通路と前記排水ユニットとを連通させることにより、前記給湯通路内の加熱された水を前記排水ユニットを介して前記排水通路から前記設定作動流量未満の流量で外部に排出させる高温水排出手段が設けられていることを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
排水ユニットは、排水ユニットと給湯栓の間の高さを60cm未満としたことを特徴とする請求項1記載の燃焼装置。
【請求項3】
高温水排出手段は、温度上昇により膨張するサーモワックスの膨張によって又は形状記憶合金を使用して排水用開閉弁を開弁方向に移動させて開く構成としたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−33316(P2011−33316A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−182656(P2009−182656)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(000129231)株式会社ガスター (277)
【Fターム(参考)】