説明

爪先二重靴下の製造方法

【課題】足に着用したとき、厚い逢着部によってゴロゴロ感を呈し、且つ応力集中に因る損傷が発生するおそれのある従来の爪先二重靴下の製造法の課題を解決する。
【解決手段】二つの袋状部を重ね合わせて爪先部を形成した爪先二重靴下を筒編機で製造する際に、内側袋状部を18a、靴下の爪先から前記筒編機で編成を開始し、靴下の中途部に相当する部分に到達したとき、その編成開始部40を開口した状態で編成を終了した後、内側袋状部18aの編成終了端16aを前記筒編機に把持した状態で、内側袋状部18aを覆う外側袋状部18bを、靴下の爪先から前記筒編機で編成を開始し、前記中途部に相当する部分に到達したとき、その編成開始部42を開口した状態で編成を終了し、次いで、前記筒編機によって内側筒状部18aと外側筒状部18bとの各編成終了端16a,16bを接続して、踵部、脚部及び口ゴム部を順次編成し、その後、開口されている編成開始部40,42の各々を個々に逢着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は爪先二重靴下の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
靴下の爪先にクッション性や耐摩耗性を付与すべく、爪先部分を二重構造とした爪先二重靴下が、例えば下記特許文献1に提案されている。
かかる爪先二重靴下を図6に示す。図6に示す爪先二重靴下100は、踵部102と爪先104の中途部の編開始端106から爪先104に至る爪先部分108が、内側の袋状部108aと外側の袋状部108bとの二重構造に形成されている。かかる爪先部分108の甲側には、爪先104に沿って線状の逢着部110が形成されている。
図6に示す爪先二重靴下100の製造方法は、図7(a)に示す様に、靴下100の爪先104と踵部102との編開始端106に該当する部分から筒編機で編成を開始し、爪先104を編成した後、逢着部110に該当する部分を開口部112とした状態の袋状部108aを形成する。
引き続いて、筒編機によって、図7(a)に示す開口部112から、爪先104及び編開始端106の方向に逆編成して、図7(b)に示す様に、袋状部108aを内側とする外側の袋状部108bを編成する。外側の袋状部108bの甲側には、内外の袋状部108a,108bによって形成される開口部114が形成される。かかる開口部114は、その拡大図から明らかな様に、袋状部108a,108bの端部が折り畳まれて形成されている。
この開口部114を逢着した後、逢着部よりも上部を切断することによって、図6に示す爪先二重靴下100を形成できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−256927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図6に示す爪先二重靴下100の製造方法によれば、爪先二重靴下100を実質的に筒編機によって得ることができる。更に、得られた爪先二重靴下100は、靴下の爪先部分108が二重構造に形成されているため、靴下にクッション性や耐摩耗性を付与できる。
しかし、図6に示す爪先二重靴下100では、図7(b)の拡大図に示す様に、内外の袋状部108a,108bによって形成される開口部114を逢着して、爪先部分108の甲側に爪先104に沿って線状の逢着部110が形成されている。かかる逢着部110は、図8に示す様に、4枚の靴下生地が逢着されて形成されているため、逢着部110の厚さが厚くなっている。
この様な逢着部110が形成されている爪先二重靴下100を、図8に示す様に、足に着用したとき、厚い逢着部110が足の甲側に位置している。このため、爪先二重靴下100を着用して、靴を履いた際には、足の甲側に逢着部110によるゴロゴロ感が大きくなり、靴下の履き心地感が悪化する。
また、爪先二重靴下100を足に着用したとき、爪先部108を形成する内側の袋状部108aと外側の袋状部108bとの伸張の程度が異なる。
しかし、袋状部108a,108bは、編開始端106と逢着部110との二ヵ所で接続されている。このため、袋状部108a,108bは、加えられた応力に対して個々に伸縮して吸収することができず、靴下の履き心地感が更に悪化する。
そこで、本発明は、足に着用したとき、厚い逢着部によってゴロゴロ感を呈し、且つその履き心地が悪い従来の爪先二重靴下の製造方法の課題を解決し、足に着用したとき、逢着部によるゴロゴロ感がなく靴下の履き心地を良好にできる爪先二重靴下の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記課題を解決すべく検討した結果、爪先二重靴下を形成する内側の袋状部と外側の袋状部との各々に、独立して逢着部を形成することによって、爪先二重靴下を足に着用したとき、厚い逢着部に因るゴロゴロ感を軽減できることを見出した。
すなわち、本発明者は、前記課題を解決する手段として、靴下の爪先と踵部との中途部から爪先に至る爪先部分が、前記中途部に端部が接続された二つの袋状部が重ね合わされて形成された爪先二重靴下を筒編機で製造する際に、前記二つの袋状部のうち内側袋状部を、前記靴下の爪先から前記筒編機で編成を開始し、前記中途部に相当する部分に到達したとき、その編成開始端を開口した状態で編成を終了した後、前記内側袋状部の編成終了端を前記筒編機に把持した状態で、前記内側袋状部を覆う外側袋状部を、前記靴下の爪先から前記筒編機で編成を開始し、前記中途部に相当する部分に到達したとき、その編成開始端を開口した状態で編成を終了し、次いで、前記筒編機によって内側筒状部と外側筒状部との各編成終了端を接続して、更に前記筒編機で踵部、脚部及び口ゴム部を順次編成し、その後、開口されている前記編成開始端の各々を個々に逢着する爪先二重靴下の製造方法を提供できる。
【0006】
本発明者が提供した課題を解決する手段において、下記の好ましい態様を上げることができる。
筒編機として、回転可能に設けられ、外周面に複数本の編針が上下に摺動自在に設けられているシリンダと、前記シリンダの上方に設けられたダイヤルに放射状に配列され、フックが設けられた先端が前記編針に対して進退自在に設けられた複数のジャックとを具備する筒編機を用い、内側袋状部の編成終了端を前記編針から前記ジャックの各フックに移行して保持しつつ、外側袋状部を前記編針によって編成した後、前記内側袋状部の編成終了端を前記ジャックの各フックから、前記外側袋状の編成終了端を保持する各編針に移行して、前記内側袋状部と外側袋状部との各編成終了端を接合し、引き続いて、踵部、脚部及び口ゴム部を順次編成することによって、内側袋状部と外側袋状部との各開口部を独立して形成できる。
更に、外側袋状部の開口された編成開始端内に、内側袋状部の編成開始端が開口されるように、前記内側袋状部と外側袋状部とを形成することによって、内側袋状部と外側袋状部との各開口部を個々に容易に逢着できる。
【0007】
また、本発明者は、前記課題を解決する手段として、靴下の爪先と踵部との中途部から爪先に至る爪先部分が、前記中途部に端部が接続された二つの袋状部が重ね合わされて形成された爪先二重靴下を筒編機で製造する際に、前記二つの袋状部のうち内側袋状部を、前記中途部に相当する部分から前記筒編機で編成を開始して、編成開始端を筒編機内に把持して爪先方向に編成し、前記爪先部分の編成を終了したとき、その編成終了端を開口した状態で編成を終了した後、前記内側袋状部の編成開始端を前記筒編機に把持した状態で、前記内側袋状部を覆う外側袋状部を、前記靴下の爪先から前記筒編機で編成を開始し、前記中途部に相当する部分に到達したとき、その編成開始部を開口した状態で編成を終了し、次いで、前記筒編機によって内側筒状部の編成開始端と外側筒状部の編成終了端とを接続して、更に前記筒編機で踵部、脚部及び口ゴム部を順次編成した後、開口されている前記内側袋状部の編成終了端と外側筒状部の編成開始端とを個々に逢着する爪先二重靴下の製造方法を提供できる。
【0008】
本発明者が提供した課題を解決する手段において、下記の好ましい態様を上げることができる。
筒編機として、回転可能に設けられ、外周面に複数本の編針が上下に摺動自在に設けられているシリンダと、前記シリンダの上方に設けられたダイヤルに放射状に配列され、フックが設けられた先端が前記編針に対して進退自在に設けられた複数のジャックとを具備する筒編機を用い、内側袋状部の編成開始端を前記編針から前記ジャックの各フックに移行して保持しつつ、前記シリンダの編針によって爪先方向に編成して前記内側袋状部を得た後、前記内側袋状部の編成開始端を前記各フックに保持しつつ、外側袋状部を前記編針によって編成し、次いで、前記内側袋状部の編成開始端を前記ジャックの各フックから、前記外側袋状の編成終了端を保持する各編針に移行して、前記内側袋状部と外側袋状部とを接合し、引き続いて、踵部、脚部及び口ゴム部を順次編成することによって、内側袋状部と外側袋状部との各開口部を独立して形成できる。
更に、外側袋状部の開口された編成開始端内に、内側袋状部の編成終了端が開口されるように、前記内側袋状部と外側袋状部とを形成することによって、内側袋状部と外側袋状部との各開口部を個々に容易に逢着できる。
本発明者が提供した課題を解決するこれらの手段において、内側筒状部の編成開始端及び編成終了端、及び外側筒状部の編成開始端の各々に、ループの解き止め用の捨て編みを施すことによって、内側袋状部を筒編機で保持しているとき、及び外側筒状部を編成しているときに、そのループが解かれる事態を確実に防止できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明者が提案した爪先二重靴下の製造方法によれば、爪先部分を形成する内側袋状部の逢着部と外側袋状部の逢着部とが独立して形成されている爪先二重靴下を略筒編機によって得ることができる。
しかも、得られた爪先二重靴下によれば、四枚の靴下地が逢着されて成る逢着部を具備する従来の爪先二重靴下の如く、足に着用した際に、逢着部によるゴロゴロ感を軽減できる。
更に、かかる爪先二重靴下では、内側袋状部及び外側袋状部の各々は、加えられる応力に対して自由に伸縮して吸収でき、靴下の履き心地を更に良好とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明者が提案した爪先二重靴下の製造方法で採用する筒編機の一例を説明する説明図である。
【図2】図1に示す筒編機を用いた爪先二重靴下の製造方法での爪先二重靴下の編成順序を説明する説明図である。
【図3】図1に示す筒編機を用いて得られた爪先二重靴下の斜視図である。
【図4】図1に示す爪先二重靴下の着用状態を説明する部分断面図である。
【図5】爪先二重靴下の他の例を示す部分断面図である。
【図6】従来の爪先二重靴下100を示す正面図である。
【図7】従来の爪先二重靴下100の編成方法を説明する説明図である。
【図8】従来の爪先二重靴下100の着用状態を説明する部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明者が提案した爪先二重靴下の製造方法では筒編機を用いる。かかる筒編機としては、図1に示す筒編機を用いることができる。図1に示す筒編機には、回転可能で且つ回動可能に設けられたシリンダ30の外周面に複数本の編針32,32・・が上下に摺動自在に設けられている。かかるシリンダ30の上方に設けられたダイヤル34に放射状に配列された複数本のジャック36,36・・が進退自在に設けられている。このジャック36の先端には、フック37が設けられている。
図1に示す筒編機を用いて爪先二重靴下を製編する際には、先ず、図2(a)に示す内側袋状部18aを編成する。内側袋状部18aを編成する際には、シリンダ30の編針32,32・・を用い、シリンダ30を回動及び回転しつつ、内側袋状部18aの爪先部から編成を開始し、靴下の爪先と踵との中途部に相当する部分に到達したとき、その編成開始端40を開口した状態で編成を終了する。この編成開始端40には、そのループの解き止め用の捨て編みが形成されている。
かかる内側袋状部18aを編成する際には、ジャック36,36・・は後退位置にあり、この編成に関与しない状態となっている。
得られた内側袋状部18aは、シリンダ30の内側に位置しており、その編成終了端16aは編針32,32・・に掛けられた状態である。
【0012】
内側袋状部18aの編成が終了したとき、ジャック36,36・・が前進し、内側袋状部18aの編成終了端16aを、ジャック36,36・・の各フック37に引っ掛けて保持する。
この様に、内側袋状部18aの編成終了端16aを、ジャック36,36・・の各フック3により保持するため、編成終了端16aに、ループの解き止め用の捨て編みを施すことが好ましい。かかる捨て編みによって、ジャック36,36・・の各フック3により保持している間に、内側袋状部18aのループが解かれる事態を確実に防止できる。この捨て編みには、内側袋状部18aに用いた編糸よりも細く且つ伸縮性に富む編糸を用いることによって、最終製品である爪先二重靴下において、その外観から捨て編みを識別でき難くできる。
【0013】
更に、内側袋状部18aの編成終了端16aを、ジャック36,36・・の各フック37によって保持した状態で、図2(b)に示す様に、内側袋状部18aを内包する外側袋状部18bを形成する。
外側袋状部18bを編成する際に、シリンダ30の編針32,32・・を用い、シリンダ30を回動及び回転しつつ、外側袋状部18bの爪先部から編成を開始し、靴下の爪先と踵との中途部に相当する部分に到達したとき、その編成開始端42を開口した状態で編成を終了する。かかる編成開始端42にも、そのループの解き止め用の捨て編みが形成されている。
外側袋状部18bの開口された編成開始端42内には、図2(b)に示す様に、内側袋状部18aの編成開始端40が開口されている。
尚、外側袋状部18bを編成する際には、ジャック36,36・・が後退し、ジャック36,36・・の各フック37は、シリンダ30の編針32,32・・は離れて、内側袋状部18aを保持している。
【0014】
外側袋状部18bの編成を終了したとき、外側袋状部18bの編成終了端16bはシリンダ30の編針32,32・・に保持されている。かかる編針32,32・・に対してジャック36,36・・の各フック37が前進し、フック37,37・・に保持されている内側袋状部18aの編成終了端16aを編針32,32・・に移行(トランスファー)する。かかる移行(トランスファー)によって、内側袋状部18aの編成終了端16aと外側袋状部18bの編成終了端16bとは接合状態とすることができる。
引き続いて、シリンダ30を回転又は回動して、踵部、脚部及び口ゴム部を順次編成し、その後、開口されている編成開始端40,42の各々を個々に逢着することによって爪先二重靴下を得ることができる。
【0015】
得られた爪先二重靴下を図3に示す。図3に示す爪先二重靴下10は、踵部12と爪先14の中途部の編開始端16から爪先14に至る爪先部分18が、内側袋状部18aと外側袋状部18bとの二重構造に形成されている。かかる内側袋状部18aと外側袋状部18bとは、各袋状部の端部が編開始端16のみに接続されており、独立して伸縮可能である。
更に、爪先部分18の甲側には、内側袋状部18aの爪先14に沿って線状の内側逢着部20aと、外側袋状部18bの爪先14に沿って線状の外側逢着部20bとが独立して形成されている。
このため、図3に示す爪先二重靴下10を着用すると、図4に示す様に、内側袋状部18aと外側袋状部18bの各々は、加えられた応力に応じて伸長し、内側逢着部20aと外側逢着部20bとが異なる位置に移動する。
【0016】
かかる爪先二重靴下10を着用することによって、爪先部分18が内側袋状部18aと外側袋状部18bとによって二重になっているため、足先の保温に優れている。
また、爪先二重靴下10を着用したとき、内側逢着部20aと外側逢着部20bとが異なる位置に移動する爪先二重靴下10によれば、図8に示す四枚の靴下地が逢着された逢着部110が形成された爪先二重靴下100に比較して、靴下の逢着部によるゴロゴロ感を著しく軽減できる。
更に、爪先二重靴下10は、その袋状部18a,18bが独立して伸縮可能であるため、袋状部18a,18bは各々に加えられる応力に対して伸縮して吸収可能である。
従って、爪先二重靴下10は、袋状部108a,108bが編開始端106と逢着部110との二ヵ所で接続されている図8に示す従来の爪先二重靴下100に比較して、靴下の履き心地を更に良好とすることができる。
以上、説明してきた爪先二重靴下10は、爪先部分18の甲側に内側逢着部20aと外側逢着部20bとが形成されているが、図5に示す様に、爪先部分18の足裏側の指付根部分に内側逢着部20aと外側逢着部20bとを形成してもよい。
また、図3〜図5に示す爪先二重靴下10は、通常のソックスであるが、ハイソックスやパンティストッキングにも適用できる。
【0017】
これまで説明してきた爪先二重靴下の製造方法では、内側袋状部18aと外側袋状部18bとの各々を爪先側から編成しているが、内側袋状部18aを外側袋状部18bとの接続端部から爪先方向に編成し、外側袋状部18bを爪先側から編成する製造方法によっても、爪先二重靴下10を得ることができる。
かかる製造方法では、内側袋状部18aを外側袋状部18bとの接続端部から編成する。その際に、回転するシリンダ30の編針32,32・・を用いて編成した内側袋状部18aの編成開始端には、そのループの解き止め用の捨て編みが形成されている。かかる編成開始端の捨て編みには、前進したジャック36,36・・の各フック37に引っ掛けて保持する。
尚、この捨て編みには、内側袋状部18aに用いた編糸よりも細く且つ伸縮性に富む編糸を用いることによって、最終製品である爪先二重靴下において、その外観から捨て編みを識別でき難くできる。
【0018】
この様に、内側袋状部18aの編成開始端をジャック36,36・・の各フック37に保持しつつ、爪先方向にシリンダを回転又は回動させて編針32,32・・によって内側袋状部18aを編成する。この際に、ジャック36,36・・は後退して、内側袋状部18aの編成開始端は筒編機内に把持されている。
この様にして内側袋状部18aの爪先部14の編成を終了し、その編成終了端に捨て編みを施して編成を完成したとき、図2(a)に示す内側筒状部18aは、その編成開始端がジャック36,36・・の各フック37に保持されている。
次いで、内側袋状部18aを覆う外側袋状部18bを同一筒編機によって編成する。この外側袋状部18bは、内側袋状部18aの編成開始端をジャック36,36・・の各フック37に保持しつつ、シリンダ30の編針32,32・・を用い、シリンダ30を回動及び回転しつつ、外側袋状部18bの爪先部から編成を開始する。この編成開始端42にも、そのループの解き止め用の捨て編みが形成されている。
かかる編成が靴下の爪先と踵との中途部に相当する部分に到達したとき、その編成開始端42を開口した状態で編成を終了する。
外側袋状部18bの開口された編成開始端42内には、図2(b)に示す様に、内側袋状部18aの編成開始端40が開口されている。
【0019】
外側袋状部18bの編成を終了したとき、外側袋状部18bの編成終了端16bはシリンダ30の編針32,32・・に保持されている。かかる編針32,32・・に対してジャック36,36・・の各フック37が前進し、フック37,37・・に保持されている内側袋状部18aの編成終了端16aを編針32,32・・に移行(トランスファー)する。かかる移行(トランスファー)によって、内側袋状部18aの編成終了端16aと外側袋状部18bの編成終了端16bとは接合状態とすることができる。
引き続いて、シリンダ30を回転又は回動して、踵部、脚部及び口ゴム部を順次編成し、その後、開口されている編成開始端40,42の各々を個々に逢着することによって爪先二重靴下を得ることができる。
尚、得られた爪先二重靴下10は前述しているため、ここでは省略する。
【符号の説明】
【0020】
10 爪先二重靴下
12 踵部
14 爪先
16 編開始端
18 爪先部分
18a 内側袋状部
18b 外側袋状部
20b 外側逢着部
20a 内側逢着部
30 シリンダ
32 編針
34 ダイヤル
36 ジャック
37 フック
40,42 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴下の爪先と踵部との中途部から爪先に至る爪先部分が、前記中途部に端部が接続された二つの袋状部が重ね合わされて形成された爪先二重靴下を筒編機で製造する際に、
前記二つの袋状部のうち内側袋状部を、前記靴下の爪先から前記筒編機で編成を開始し、前記中途部に相当する部分に到達したとき、その編成開始端を開口した状態で編成を終了した後、
前記内側袋状部の編成終了端を前記筒編機に把持した状態で、前記内側袋状部を覆う外側袋状部を、前記靴下の爪先から前記筒編機で編成を開始し、前記中途部に相当する部分に到達したとき、その編成開始端を開口した状態で編成を終了し、
次いで、前記筒編機によって内側筒状部と外側筒状部との各編成終了端を接続して、更に前記筒編機で踵部、脚部及び口ゴム部を順次編成した後、
開口されている前記編成開始端の各々を個々に逢着することを特徴とする爪先二重靴下の製造方法。
【請求項2】
筒編機として、回転可能に設けられ、外周面に複数本の編針が上下に摺動自在に設けられているシリンダと、前記シリンダの上方に設けられたダイヤルに放射状に配列され、フックが設けられた先端が前記編針に対して進退自在に設けられた複数のジャックとを具備する筒編機を用い、
内側袋状部の編成終了端を前記編針から前記ジャックの各フックに移行して保持しつつ、外側袋状部を前記編針によって編成した後、
前記内側袋状部の編成終了端を前記ジャックの各フックから、前記外側袋状の編成終了端を保持する各編針に移行して、前記内側袋状部と外側袋状部との各編成終了端を接合し、
引き続いて、踵部、脚部及び口ゴム部を順次編成する請求項1記載の爪先二重靴下の製造方法。
【請求項3】
外側袋状部の開口された編成開始端内に、内側袋状部の編成開始端が開口されるように、前記内側袋状部と外側袋状部とを形成する請求項1又は請求項2記載の爪先二重靴下の製造方法。
【請求項4】
靴下の爪先と踵部との中途部から爪先に至る爪先部分が、前記中途部に端部が接続された二つの袋状部が重ね合わされて形成された爪先二重靴下を筒編機で製造する際に、
前記二つの袋状部のうち内側袋状部を、前記中途部に相当する部分から前記筒編機で編成を開始して、編成開始端を筒編機内に把持して爪先方向に編成し、前記爪先部分の編成を終了したとき、その編成終了端を開口した状態で編成を終了した後、
前記内側袋状部の編成開始端を前記筒編機に把持した状態で、前記内側袋状部を覆う外側袋状部を、前記靴下の爪先から前記筒編機で編成を開始し、前記中途部に相当する部分に到達したとき、その編成開始部を開口した状態で編成を終了し、
次いで、前記筒編機によって内側筒状部の編成開始端と外側筒状部の編成終了端とを接続して、更に前記筒編機で踵部、脚部及び口ゴム部を順次編成し、
開口されている前記内側袋状部の編成終了端と外側筒状部の編成開始端とを個々に逢着することを特徴とする爪先二重靴下の製造方法。
【請求項5】
筒編機として、回転可能に設けられ、外周面に複数本の編針が上下に摺動自在に設けられているシリンダと、前記シリンダの上方に設けられたダイヤルに放射状に配列され、フックが設けられた先端が前記編針に対して進退自在に設けられた複数のジャックとを具備する筒編機を用い、
内側袋状部の編成開始端を前記編針から前記ジャックの各フックに移行して保持しつつ、前記シリンダの編針によって爪先方向に編成して前記内側袋状部を得た後、前記内側袋状部の編成開始端を前記各フックに保持しつつ、外側袋状部を前記編針によって編成し、
次いで、前記内側袋状部の編成開始端を前記ジャックの各フックから、前記外側袋状の編成終了端を保持する各編針に移行して、前記内側袋状部と外側袋状部とを接合し、
引き続いて、踵部、脚部及び口ゴム部を順次編成する請求項4記載の爪先二重靴下の製造方法。
【請求項6】
外側袋状部の開口された編成開始端内に、内側袋状部の編成終了端が開口されるように、前記内側袋状部と外側袋状部とを形成する請求項4又は請求項5記載の爪先二重靴下の製造方法。
【請求項7】
内側筒状部の編成開始端及び編成終了端、及び外側筒状部の編成開始端の各々に、ループの解き止め用の捨て編みを施す請求項1〜6のいずれか一項記載の爪先二重靴下の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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