説明

片面段ボールシートの接合体及び巻物

【課題】片面段ボールのシートを簡単かつ確実に接合して、巻物等を形成する。
【解決手段】
ライナ3の片面に波状の中しん4を貼り合わせた片面段ボールのシート1に、主板部5と副板部6とを段目に交差する方向の折目線7を介して設けると共に、主板部5の端部に継代片8を設け、接合する一方のシート1を基準とし、他方のシート1の継代片8を折り返し、この継代片8に一方のシート1の端部を重ねて、これらの中しん4の段を噛み合わせ、他方のシート1の主板部5から副板部6を折り曲げて、その主板部5と副板部6との間に、継代片8と一方のシート1の端部との重合部分を抱き込み、シート1の端部同士を繋ぐ。この接合体を巻き込んで、シート1の多重に重なり合う部分を留め具2の鉤部11で外側から抱き込み、鉤部11の反発を内側のシート1で抑制し、重なり合うシート1と鉤部11の中しん4の段が噛み合うようにして、巻物を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、片面段ボールのシートを接合した接合体及びその接合体を巻いた小物ホルダや容器等の巻物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1には、ライナの片面に波状の中しんを貼り合わせた片面段ボールのシートから成る容器が記載されている。
【0003】
この容器は、片面段ボールの帯状シートを段目方向(中しんの段の頂部が延びる方向)に交差する折目線に沿って折り返した状態で、環状に巻いて、その両端を突き合わせ、ライナ面で接着テープにより接合し、環状シートの内側に円板を嵌めて構成される。
【0004】
このように、ライナ面で接着する理由は、中しんが露出する面で接着しようとすると、段頂部でしか接着できず、十分な接着力が得られないためである。
【0005】
【特許文献1】特開平9−58655号公報(図11乃至図13)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のように、シートをライナ面で接着テープにより接合する際には、接着テープがライナ面に不意に付かないように注意しつつ、シート同士を慎重に位置合わせしなければならず、手間がかかるという問題がある。
【0007】
そこで、この発明は、片面段ボールのシートを簡単かつ確実に接合して、巻物等を形成できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、この発明は、ライナの片面に波状の中しんを貼り合わせた片面段ボールのシートに、主板部と副板部とを段目に交差する方向の折目線を介して設けると共に、主板部の端部に継代片を設け、接合する一方のシートを基準とし、他方のシートの継代片を折り返し、この継代片に一方のシートの端部を重ねて、これらの中しんの段を噛み合わせ、他方のシートの主板部から副板部を折り曲げて、その主板部と副板部との間に、継代片と一方のシートの端部との重合部分を抱き込むことにより、シートの端部同士を繋ぐようにしたのである。
【0009】
また、前記接合体を巻き込んで、シートの多重に重なり合う部分を、シートと一体又は別体となった片面段ボールの鉤部で外側から抱き込み、鉤部の反発を内側のシートで抑制し、重なり合うシートと鉤部の中しんの段を噛み合わせて、巻物を形成したのである。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係る片面段ボールシートの接合体では、一方のシートを折り返して他方のシートの端部と重ねる際、シート相互の位置を適宜調整でき、これらの中しんの段が噛み合うと、シート同士の段と交差する方向へのずれが防止され、その重合部をシートの折り曲げにより抱き込むので、シート同士を簡単かつ確実に接合できる。
【0011】
そして、この接合体を巻き込んで、シートと一体又は別体となった鉤部によりシートの重なり合う部分を抱き込むと、巻物等を容易に形成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の実施形態として、写真ホルダとして使用する片面段ボールシートの巻物について、添付図面に基づいて説明する。
【0013】
図1(a)は、この巻物を構成するシート1と留め具2のブランクを示す。シート1と留め具2は、図1(b)に示すように、ライナ3の片面に波状の中しん4を貼り合わせた片面段ボールを材料として形成される。
【0014】
図1(a)に示すように、シート1のブランクでは、主板部5の上下に副板部6が段目に交差する方向の押罫から成る折目線7を介して設けられ、主板部5の両端には、継代片8が段目方向の押罫から成る折目線9を介して設けられている。なお、片面段ボールは、段目に沿って折れ曲がりやすいので、折目線9は省略してもよい。
【0015】
主板部5には、写真の表面を透視できる暦年の文字を模った貫窓5aが設けられ、下方の副板部6には、写真の裏面に記載した書き込みを透視できる吹き出し型の貫窓6aが設けられている。
【0016】
留め具2は、段目方向に延びる帯材であり、シート1の主板部5の高さよりやや長い幹部10の両端に鉤部11を設け、両方の鉤部11の基端部及び一方の鉤部11の中間部分に、段目に交差する方向の押罫から成る折目線12を入れたものとされている。
【0017】
いま、このようなブランクから成るシート1を2枚接合して、巻物を形成するには、図2に示すように、一方(図中左方)のシート1の主板部5から副板部6を折目線7に沿ってライナ3が重なるように折り曲げ、主板部5と副板部6の間に写真Pを挟み、このシート1を基準として、他方(図中右方)のシート1を接合する。
【0018】
この接合に際しては、他方のシート1の一端の継代片8を、折目線9に沿って180°内側へ折り返し、主板部5のライナ3に写真Pを置いて、図3(a)及び(b)に示すように、この継代片8に、上記一方のシート1の一端の継代片8を重ねる。
【0019】
このとき、シート1の相互の位置を適宜調整でき、両方のシート1の中しん4の段が噛み合うと、シート1同士の段と交差する方向へのずれが防止される。
【0020】
次に、他方のシート1の主板部5から副板部6をライナ3が重なるように折り曲げて、その主板部5と副板部6との間に、両方のシート1の継代片8の重合部分を抱き込むと、シート1の端部同士の離反が防止され、2枚のシート1が接合される。
【0021】
そして、上記シート1の接合体を、図4及び図5に示すように、段目が軸方向となるように二周を超えて巻き込み、シート1が多重に重なり合う部分において、外側のシート1の外周に、留め具2の幹部10を中しん4が対向するように沿わせて、下方の鉤部11を折目線12に沿って折り曲げ、内側と中間のシート1の間に差し込む。
【0022】
その後、留め具2の上方の鉤部11を折目線12に沿って折り曲げ、内側と中間のシート1の間に差し込むと、外側と中間のシート1が上下の鉤部11で抱き込まれ、鉤部11の反発は、拡径方向に戻ろうとする内側のシート1で抑制されて、重なり合うシート1及び留め具2の中しん4の段が噛み合い、シート1の接合体の巻込状態が維持される。
【0023】
このような巻物では、留め具2を一旦取り外して、シート1の接合体の巻きを戻し、上述の要領により、新たな写真を挟んだシート1を追加して接合し、その接合体を巻き込んで、再度留め具2で巻込状態を維持することにより、年輪のように巻き径を拡大しつつ、暦年の写真を、通常のアルバムとは異なった方式で順次保管できる。
【0024】
なお、上記実施形態では、シート1の主板部5の上下に副板部6を設けたが、副板部6は、シート1の下方にのみ設け、この副板部6を折り曲げて、主板部5と副板部6との間に写真を挟み込むようにしてもよい。
【0025】
また、シート1とは別体の留め具2により、シート1の接合体の巻込状態を維持することとしたが、図6に示すように、外側となるシート1の一端に、鉤部11を一体に設けるようにしてもよい。
【0026】
また、上記のような写真ホルダだけでなく、同様の接合構造及び巻込状態の維持構造を適用して、飲料容器の外周に被せる断熱体を構成することもでき、巻き込んだシートの接合体の内側に底板や蓋板を挿入して、物品を収納する容器を構成することもできる。
【0027】
さらに、シート1の接合体を巻物としたが、接合体を巻き込むことなく、平面状態のままで、写真フォルダやメモフォルダとして使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】(a)この発明に係る片面段ボールシートの巻物の構成部材のブランクを示す図、(b)同上の片面段ボールシートの拡大断面図
【図2】同上のシートの接合過程を示す裏面図
【図3】(a)同上の接合状態を示す裏面図、(b)同上の接合部分の拡大断面図
【図4】同上の接合体の巻込過程を示す斜視図
【図5】同上の巻込状態を示す斜視図
【図6】鉤部を一体に設けたシートのブランクを示す図
【符号の説明】
【0029】
1 シート
2 留め具
3 ライナ
4 中しん
5 主板部
5a 貫窓
6 副板部
6a 貫窓
7 折目線
8 継代片
9 折目線
10 幹部
11 鉤部
12 折目線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライナ(3)の片面に波状の中しん(4)を貼り合わせた片面段ボールのシート(1)に、主板部(5)と副板部(6)とを段目に交差する方向の折目線(7)を介して設けると共に、主板部(5)の端部に継代片(8)を設け、接合する一方のシート(1)を基準とし、他方のシート(1)の継代片(8)を折り返し、この継代片(8)に一方のシート(1)の端部を重ねて、これらの中しん(4)の段を噛み合わせ、他方のシート(1)の主板部(5)から副板部(6)を折り曲げて、その主板部(5)と副板部(6)との間に、継代片(8)と一方のシート(1)の端部との重合部分を抱き込むことにより、シート(1)の端部同士を繋いだ片面段ボールシートの接合体。
【請求項2】
請求項1に記載の片面段ボールシートの接合体を巻き込んで、シート(1)の多重に重なり合う部分を、シート(1)と別体又は一体となった片面段ボールの鉤部(11)で外側から抱き込み、鉤部(11)の反発を内側のシート(1)で抑制し、重なり合うシート(1)と鉤部(11)の中しん(4)の段を噛み合わせた片面段ボールシートの巻物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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