説明

物体が被る振動を減衰するための装置およびシステム

【課題】物体が被る振動を減衰するための装置およびシステムを提供すること。
【解決手段】本発明の一実施形態は、少なくとも1つの独立した構造体に連結された、パイプ、ケーブル、または管等(それらに限定されない)のラインが被る振動のレベルを減衰させることができる。例えば、これに限定しないが、この構造体には、原子炉圧力容器(10)、給水スパージャ管(20)、蒸気発生器、パイプ、圧力容器、熱交換器、ポンプ、復水器、またはタンク等が含まれる。本発明の一実施形態は、新たな位置においてラインに対して支持および予荷重を与えることができ、または、溶接等(これに限定されない)の既存の支持部に置き換わることができる。これにより、この構造体(またはこれら複数の構造体)が励振される場合に共鳴が生じるのを回避するために、固有振動を変更することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、概して、原子炉に関し、より詳細には、原子炉圧力容器内においてシステム配管が被る振動のレベルを減衰するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
原子炉の1つのタイプである従来型の沸騰水型原子炉(BWR)が、図1に図示されている。原子炉の作動中には、原子炉圧力容器(RPV)10の内部を循環する冷却水が、核燃料炉心35内において引き起こされる核分裂によって加熱される。給水が、給水入口15および、炉心スプレーライン105に隣接する給水スパージャ管20を介してRPV10内に通される。この給水は、ダウンカマアニュラス25を通り下方に流れる。このダウンカマアニュラス25は、RPV10と炉心シュラウド30との間の環状領域である。
【0003】
炉心シュラウド30は、核燃料炉心35を囲むステンレス鋼製のシリンダである。核燃料炉心35は、複数の燃料バンドル集合体40を備える(図1においてはごく少数の核燃料バンドル集合体40のみが図示される)。上部格子板45および炉心板50が、各燃料バンドル集合体40を支持する。
【0004】
冷却水は、ダウンカマアニュラス25を通り、炉心下部プレナム55内へと下方に流れる。次いで、炉心下部プレナム55内の水は、核燃料炉心35を通り上方に流れる。とりわけ、水は、燃料バンドル集合体40に進入し、そこで、沸騰境界層が形成される。水と蒸気の混合物が、核燃料炉心35から出て、シュラウドヘッド65の下の炉心上部プレナム60に進入する。次いで、蒸気/水混合物は、シュラウドヘッド65の頂部上のスタンドパイプ70を通り流れ、蒸気分離器75に進入し、これにより、蒸気から水が分離される。分離された水は、ダウンカマアニュラス25に再循環されて戻され、蒸気は、RPV10から出て、蒸気タービン等(図面には図示せず)に流れる。
【0005】
さらにBWRは、冷却材再循環システムを備え、この冷却材再循環システムは、所要の出力密度を達成するのに必要な核燃料炉心35を通る強制対流を生じさせる。この水の一部分は、再循環水出口80を介してダウンカマアニュラス25の下方端部から引かれ、再循環ポンプ(図示せず)によって、再循環水入口90を介して複数のジェットポンプアセンブリ85(1つのジェットポンプアセンブリ85が図1に図示される)内に送られる。ジェットポンプアセンブリ85は、典型的には、炉心シュラウド30の周囲に円周方向に分散され、所要の炉心流を生じさせる。典型的なBWRは、16個から24個の間のインレットミキサ95を有する。
【0006】
図1に図示されるように、従来型のジェットポンプアセンブリ85は、一対のインレットミキサ95を備える。各インレットミキサ95には、エルボ管が溶接され、このエルボ管は、インレットライザ管100を介して再循環ポンプ(図示せず)からの加圧駆動水を受ける。あるタイプのインレットミキサ95は、インレットミキサの軸(図面には図示せず)の周囲にて等角度で円周方向に分散された、5つのノズルのセットを備える。この場合に、各ノズルは、ノズル出口にてラジアル方向に内方にテーパ状になされる。この先細ノズルはジェットポンプアセンブリ85を付勢する。二次インレット開口(図示せず)が、ノズル出口の外側にラジアル方向に配置されてよい。したがって、水の噴流が、ノズルから出る際に、ダウンカマアニュラス25からの水が、二次インレット開口を介してインレットミキサ95内に引き込まれ、そこで、再循環ポンプからの水との混合が行われる。
【0007】
RPV10の作動中に、給水スパージャ管20を通る流れは、原子炉系内の様々なソースにより圧力変動を受ける。これらの圧力変動は、給水スパージャ管20の1つまたは複数の固有振動モードに近い周波数を有し得る。給水スパージャ管20が被るこの振動モードは、部分的には、給水スパージャ管20のラグ110(図1には図示せず)に対する予荷重および溶接部によって、決定される。この溶接部は、さらに、炉心スプレーライン105からある特定の距離だけ離れた位置に給水スパージャ管20を保持する役割を果たすことも可能である。圧力変動に加えて、他の振動源が、給水スパージャ管20の1つまたは複数の固有振動モードに近い周波数を有し得る場合がある。励振周波数が、給水スパージャ管20の固有周波数に近い場合には、結果的に得られる振動によって、ラグ110上の溶接部がひび割れ、給水スパージャ管20から予荷重が除かれる場合がある。これにより、炉心流の示度が損失を被る可能性があり、それにより、RPV10の運転停止が必要となる場合がある。
【0008】
振動を減衰するための現在知られているシステムに関しては、起こり得る問題がいくつかある。現在知られているシステムは、ラグ110の再溶接を伴うものであるが、これにより、故障が繰り返されることとなる場合がある。これらのシステムは、概して、比較的長い設置時間を要するものであり、オペレータは、比較的長時間にわたって放射能に被爆することになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述の理由により、給水スパージャ管20が被る振動を減衰するための新しいシステムが必要である。このシステムは、溶接を要するべきではない。このシステムにより、設置時間が短縮され、オペレータの放射能への被爆が軽減されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態によれば、原子力プラントの原子炉圧力容器(RPV)内の構造体に組み付けられた物体が被る振動を減衰するための装置が、物体と原子力プラントの原子炉圧力容器(RPV)内に配置された構造体との間において障壁をもたらすように構成された座板若しくはベアリングプレートと、物体の一部分を保持するための下方セクションであって、この下方セクションの第1の表面がベアリングプレートに組み付けられ、この下方セクションの第2の表面が物体の一部分を保持する、下方セクションと、ベアリングプレートに組み付けられ、下方セクションに対合する、物体の別の部分を保持するための上方セクションとを備え、下方セクションおよび上方セクションは、ベアリングプレートの対向表面から一定の距離の位置に物体を協働的に固定し、物体が被る振動を減衰することが可能である。
【0011】
本発明の別の実施形態によれば、原子炉圧力容器(RPV)内のパイプが被る振動を低減させるためのシステムが、複数の燃料バンドル集合体を含む核燃料炉心と、給水入口と、給水スパージャ管と、炉心スプレーラインと、上方セクションおよび下方セクションを備えるクランプとを備え、このクランプは、給水スパージャ管が被る振動のレベルを低減させるために、給水スパージャ管の一部分に連結され、このクランプは、給水スパージャ管に対して圧縮荷重をかけ、炉心スプレーラインからある一定の距離の位置に給水スパージャ管を位置決めする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態が作動する環境を図示する概略図である。
【図2】本発明が作動する環境内における修理クランプの一実施形態の概略的な部分分解等角図である。
【図3A】本発明の一実施形態による修理クランプの概略的な分解等角図である。
【図3B】本発明の一実施形態による修理クランプの概略的な分解等角図である。
【図4A】本発明の一実施形態による給水スパージャ管の一部分を固定する、組み立てられた修理クランプの概略等角図である。
【図4B】本発明の一実施形態による給水スパージャ管の一部分を固定する、組み立てられた修理クランプの概略側立面図である。
【図5】本発明の一実施形態による、給水スパージャ管の上に設置された修理クランプの概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
いくつかの用語が、本明細書においては、便宜上のためにのみ使用され、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。例えば、「上方」、「下方」、「左」、「正面」、「右」、「水平方向の」、「垂直方向の」、「上流の」、「下流の」、「前方の」、「後方の」等の語は、図面において図示される構成を説明するにすぎない。実際には、それらの構成要素は、任意の方向に配向されてよく、したがって、これらの用語は、別のことが明示されない限り、そのような変更を包含するものとして理解されるべきである。さらに、以下の説明は、RPV10の給水スパージャ系に組み付けられる本発明の一実施形態に焦点を置く。本発明の他の実施形態が、振動の減衰および/または周波数変更を要する他の系に組み付けられてもよい。
【0014】
本発明は、少なくとも1つの独立した構造体に連結される、パイプ、ケーブル、または管等(それらに限定されない)のラインが被る振動のレベルを低減させる技術的効果を有する。例えば、これに限定しないが、この構造体には、RPV10、給水スパージャ管20、蒸気発生器、パイプ、圧力容器、熱交換器、ポンプ、復水器、またはタンク等が含まれる。本発明の一実施形態は、新たな位置においてラインに対して支持および予荷重を与えることができ、または、溶接等(これに限定されない)の既存の支持部に置き換わることができる。これにより、この構造体(またはこれら複数の構造体)が励振される場合に共鳴が生じるのを回避するために、固有周波数を変更することが可能となる。
【0015】
本発明の一実施形態は、給水スパージャ管20もしくはRPV10内の他の同様の物体が被る振動のレベルを低減させ得る装置またはシステムの形態をとる。本発明の一実施形態は、給水スパージャ管20に対して概して支持を加える、少なくとも1つの修理クランプを形成する。設置後には、この修理クランプにより、給水スパージャ管20が被る振動の振幅および/または周波数変化が低下し得る。
【0016】
再び図面を参照すると、種々の数字が、複数の図面にわたって同様の部品を表す。図2は、本発明が作動する一環境内における修理クランプ200の一実施形態の概略的な部分分解等角図である。図2は、給水スパージャパイプ20の一部分を部分的に囲む修理クランプ200を示す。この場合に、この給水スパージャ管20は、複数のラグ110を備える。
【0017】
修理クランプ200の一実施形態は、3つの主要な構成要素を備えてよい。上方セクション205は、給水スパージャ管20の一部分を拘束するためのものである。下方セクション210は、給水スパージャ管20の別の部分を拘束し、上方セクション205の一部分を受けるためのものである。ベアリングプレート215は、給水スパージャ管20とRPV10の壁部との間に障壁を設けるためのものである。一般的には、上方セクション205および下方セクション210は、給水スパージャ管20を固定し、RPV10の壁部からおよび炉心スプレーライン105の表面からの所望の距離を確保するように、協働的に作動する。修理クランプ200は、設置されると、起こり得る振動の振幅および/または周波数を変化させつつ、給水スパージャ管20に対して予荷重を加える、または、給水スパージャ管20に対する予荷重を回復することができる。
【0018】
図3A〜図3B(集合的には図3)は、本発明の一実施形態による修理クランプ200の概略的な分解等角図である。図3Aは、本発明による上方セクション205およびベアリングプレート215の実施形態を図示する。図3Bは、本発明による下方セクション210の一実施形態を図示する。
【0019】
次に図3Aを参照すると、上方セクション205の一実施形態は、第2のクリンプカラー230、第2のジャッキングボルト235、ピンチプレート240、および少なくとも1つのピンチボルト245を備えてよく、これらは全て、例えば図3A(これに限定されない)に図示されるように、上方セクション205の上方クランプ本体250上に組みつけることができる。第2のジャッキングボルト235は、ベアリングプレート215に上方クランプ本体250を連結する役割を果たす。第2のジャッキングボルト235は、多様な形態を備えてよい。第2のジャッキングボルト235の一実施形態は、第2のクリンプカラー230および上方クランプ本体250に対合し得る、一連のねじ山または他のグローブを有する円筒状軸部を備えてよい。第2のジャッキングボルト235の端部部分により、手工具によって、第2のジャッキングボルト235を回転させることが可能であってよい。例えば、これに限定しないが、この端部部分により、レンチによって、上方クランプ本体250に第2のジャッキングボルト235を固定することが可能であってよい。
【0020】
第2のクリンプカラー230は、第2のジャッキングボルト235を所望の位置に固定する役割を果たす。これにより、修理クランプ200の設置後に、第2のジャッキングボルト235が振動によって緩むことが回避される。第2のクリンプカラー230の一実施形態は、第2のジャッキングボルト235が、例えば図3A(これに限定されない)に図示されるように、上方クランプ本体250の一部分を貫通し、上方クランプ本体250に対合することを可能にし得るものであってよい。さらに、第2のクリンプカラー230の一実施形態は、少なくとも1つのピンチボルト245が中を貫通することを可能にし得るものであってよい。この場合には、第2のクリンプカラー230により、修理クランプ200の設置後に、少なくとも1つのピンチボルト245が振動によって緩むことが回避されてよい。
【0021】
この少なくとも1つのピンチボルト245は、修理クランプ200から給水スパージャ管20に圧縮荷重を加える役割を果たす。基本的には、この少なくとも1つのピンチボルト245は、給水スパージャ管20の一部分の周囲において、上方セクション205および下方セクション210をクランプ締めする。上方クランプ本体250の一実施形態は、ラグ110が上方クランプ本体250の表面と対合することを可能にし得るものである。これにより、修理クランプ200と給水スパージャ管20との間の頑強な連結が可能となり得る。ピンチプレート240は、少なくとも1つのピンチボルト245と第2のジャッキングボルト235との間の支持面を与える役割を果たしてよい。
【0022】
図3Aに図示されるように、上方クランプ本体250は、前述の上方セクション205の構成要素が中に対合し得る複数の凹部を備えてよい。さらに、上方セクション205は、ベアリングプレート215の上端部が摺動可能に装着されるグローブを備えてよい。さらに、上方クランプ本体250は、以下において説明されるように、下方セクション210との対合が可能となる舌状部分を備えてよい。
【0023】
上方クランプ本体250の表面は、給水スパージャ管20の部分と対合し得る形状からなるものであってよい。例えば、これに限定しないが、この形状は、給水スパージャ管20の外径と同様の半径からなる弧を有してよい。さらに、この表面は、ラグ110との対合が可能となる切欠部等を備えてよい。
【0024】
ベアリングプレート215は、修理クランプ200とRPV10の壁部との間において障壁としての役割を果たす。一般的には、ベアリングプレート215は、上方セクション205および下方セクション215の後方部分を含む、修理クランプ200の後部を形成してよい。本発明の一実施形態においては、ベアリングプレート215の全長は、下方セクション210に対合する上方セクション205の全長を越えて延在する。この特徴により、第2のジャッキングボルト235および第1のジャッキングボルト225によって加えられる力が、RPV10の壁部に対して伝達され得てよい。
【0025】
次に図3Bを参照すると、この図は、下方セクション210の分解図を示す。下方セクション210の一実施形態は、第1のクリンプカラー220および第1のジャッキングボルト225を備えてよく、これらは共に、下方クランプ本体227に組み付けられてよい。第1のクリンプカラー220は、概して、既述のような第2のクリンプカラー230と同様の機能を果たす。第1のジャッキングボルト225は、概して、既述のような第2のジャッキングボルト235と同様の役割を果たす。
【0026】
下方クランプ本体227は、給水スパージャ管20の一部分を受け、保持する役割を果たす。下方クランプ本体227の第1の表面は、ベアリングプレート215に組み付けられてよい。下方クランプ本体227の第2の表面は、給水スパージャ管20の部分に対合し得る形状からなるものであってよい。例えば、これに限定しないが、この形状は、給水スパージャ管20の外径と同様の半径からなる弧を有してよい。さらに、この第2の表面は、ラグ110との対合が可能となる切欠部等を備えてよい。
【0027】
図4A〜図4B(集合的には図4)は、本発明の一実施形態による、給水スパージャ管20の一部分を固定する、組み立てられた修理クランプ200の概略等角図および概略側立面図である。図4Aは、側方等角図である。図4Bは、反対側の側立面図である。
【0028】
図4Aは、具体的には、給水スパージャ管20の上にクランプ締めされた、組み立てられた上方セクション205および下方セクション210を図示する。この場合に、図4Aは、本発明の一実施形態により、どのように上方クランプ本体250の舌状部分が下方クランプ本体227に摺動可能に対合し得るかを図示する。
【0029】
さらに、図4Aは、第1のジャッキングボルト225および第2のジャッキングボルト235の端部が、どのように穴を貫通して延在し、穴に対合するかを図示する。具体的には、上方クランプ本体250は、第2のジャッキングボルト235がベアリングプレート215を貫通して延在し、ベアリングプレート215に係合することを可能にする穴を有してよい。さらに、下方クランプ本体227は、上方クランプ本体250の舌状部分が中に嵌合し得る凹部または切欠部を備えてよい。これにより、この舌状部分および下方クランプ本体227の後方部分が、下方セクション210の比較的平坦な後方部分を形成することが可能となってよい。この場合には、上方クランプ本体250の一実施形態は、第1のジャッキングボルト225が中を貫通してベアリングプレート215に係合することを可能にする穴を有する舌状部分を備えてよい。
【0030】
さらに、図4Aは、少なくとも1つのピンチボルト245の位置がどのように第2のクリンプカラー230により維持され得るかを図示する。この場合には、この少なくとも1つのピンチボルト245が、給水スパージャ管20を固定するための圧縮荷重を加えた後に、第2のクリンプカラー230は、既述のように緩みを回避するために使用されてよい。
【0031】
次に図4Bを参照すると、この図は、図4Aとは反対側の側部の立面図である。図4Bは、ベアリングプレート215およびピンチプレート240が上方セクション205に連結された、修理クランプ200を図示する。既述のように、本発明の一実施形態においては、ベアリングプレート215は、修理クランプ200の背部部分としての役割を果たしてよい。さらに、ピンチプレート240は、第2のクリンプカラー230とベアリングプレート215との間において障壁をもたらしてよい。さらに、図4Bは、既述のように、第1のジャッキングボルト225および第2のジャッキングボルト235が、どのように各クリンプカラー220、230内に位置し得るかを図示する。さらに、図4Bは、上方セクション205および下方セクション210が、どのように給水スパージャ管20の一部分を部分的に囲み得るかを図示する。
【0032】
図5は、本発明の一実施形態による、給水スパージャ管20の上に設置された修理クランプ200の概略正面平面図を図示する。図5は、本発明の一実施形態のいくつかの利点を示す。第1の利点は、修理クランプ200の周囲に十分な隙間を与えることが可能となる点である。修理クランプ200は、完全に係合されると、給水スパージャ管20と炉心スプレーライン105との間に、図5において寸法「X」により表される垂直方向距離をもたらし得る。さらに、修理クランプ200は、完全に係合されると、修理クランプ200の下部表面と炉心スプレーライン105との間に、図5において寸法「Y」により表される距離をもたらし得る。さらに、修理クランプ200は、完全に係合されると、修理クランプ200の側部と給水スパージャ管20の一部分との間に、図5において寸法「Z」により表されるある距離をもたらし得る。X、Y、およびZの寸法値および/または寸法範囲は、修理クランプ200の一実施形態が設置されるRPV10のタイプによって決定され得る。
【0033】
修理クランプ200の第2の利点は、約0.250インチの調節範囲が与えられる点である。これにより、RPV10の壁部に対する給水スパージャ管20の広範な位置範囲が許容され得る。
【0034】
第3の利点には、クリンプカラー220、230が、確動回転防止デバイスとしての役割を果たし得ることが含まれる。このクリンプカラー220、230は、修理クランプ200が緩んでいないことを確認するために目視検査のみを要し得る。
【0035】
本発明の一実施形態の構成要素は、修理クランプ200がさらされ得る作動環境に耐えることが可能な任意の材料から形成されてよい。
【0036】
使用時には、修理クランプ200は、前回のジャッキングボルトの位置で、給水スパージャ管20の周りにクランプ締めすることができる。修理クランプ200は、完全に係合されると、給水スパージャ管20の寸法公差部および連結溶接部の上界部分の周囲に十分な隙間を与えることができる。修理クランプ200は、前回のジャッキングボルトの位置で給水スパージャ管20に対する予荷重を回復することができる。さらに、修理クランプ200は、給水スパージャ管20が被る振動を低減させることができる。
【0037】
本発明のごく少数の例示的な実施形態に関連して、本発明を非常に詳細に図示し、説明したが、とりわけ前述の教示に鑑みて、本発明の新規の教示および利点から物理的に逸脱することなく種々の修正、省略、および追加を開示された実施形態に対して行うことができるため、本発明をこれらの実施形態に限定することは意図されないことが、当業者には理解されよう。したがって、以下の特許請求の範囲により規定される本発明の趣旨および範囲内に含まれ得るような全ての修正、省略、追加、および均等物を包含することが、意図される。例えば、これに限定しないが、本発明の一実施形態が、a)異なる振動モードを得るために、b)独立した構造体または他の物体から一定の距離だけ離れた位置にパイプ、ケーブル、ワイヤ、もしくは他の同様の物体を固定するために、または、c)前述の物体の中の少なくとも1つに対して圧縮荷重を加えるために、使用されてよい。
【符号の説明】
【0038】
10 原子炉容器(RPV)
15 給水入口
20 給水スパージャ
25 ダウンカマアニュラス
30 炉心シュラウド
35 核燃料炉心
40 燃料バンドル集合体
45 上部格子板
50 炉心板
55 炉心下部プレナム
60 炉心上部プレナム
65 シュラウドヘッド
70 スタンドパイプ
75 蒸気分離器
80 再循環水出口
85 ジェットポンプアセンブリ
90 再循環水入口
95 インレットミキサ
100 インレットライザ管
105 炉心スプレーライン
110 ラグ
200 修理クランプ
205 上方セクション
210 下方セクション
215 ベアリングプレート
220 第1のクリンプカラー
225 第1のジャッキングボルト
227 下方クランプ本体
230 第2のクリンプカラー
235 第2のジャッキングボルト
240 ピンチプレート
245 ピンチボルト
250 上方クランプ本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子力プラントの原子炉圧力容器(RPV)(10)内の構造体に組み付けられた物体が被る振動を減衰させる振動減衰装置において、
物体と、原子力プラントの原子炉圧力容器(RPV)(10)内に配置された構造体との間に障壁を提供するように構成されたベアリングプレート(215)と、
前記物体の一部分を保持するための下方セクション(210)であって、この下方セクション(210)の第1の表面が、前記ベアリングプレート(215)に組み付けられ、この下方セクション(210)の第2の表面が、前記物体の一部分を保持する、下方セクション(210)と、
前記ベアリングプレート(215)に組み付けられ、前記下方セクション(210)に対合する、前記物体の別の部分を保持するための上方セクション(205)と
を備え、前記下方セクション(210)および前記上方セクション(205)は、前記ベアリングプレート(215)の対向表面から一定の距離の位置に前記物体を協働的に固定し、前記物体が被る振動を減衰することが可能である、装置。
【請求項2】
前記物体は、前記RPV(10)内に配置される給水スパージャ管(20)を含むことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記下方セクション(210)は、前記下方セクション(210)に前記上方セクション(205)を固定するための第1のジャッキングボルト(225)と、前記第1のジャッキングボルト(225)の一部分を固定するための第1のクリンプカラー(220)とを備え、前記第1のクリンプカラー(220)は、前記第1のジャッキングボルト(225)を指定位置に固定することを特徴とする請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記上方セクション(205)は、前記下方セクション(210)に摺動可能に連結され、穴を備え、前記第1のジャッキングボルト(225)は、前記下方セクション(210)を貫通し、次いで前記上方セクション(205)の前記穴を貫通して移動し、次いで、前記ベアリングプレート(215)の一部分にて止まることを特徴とする請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記上方セクション(205)は、
前記ベアリングプレート(215)に前記上方セクション(205)を固定するための第2のジャッキングボルト(235)であって、第2のクリンプカラーにより固定される、第2のジャッキングボルト(235)と、
前記物体に前記上方セクション(205)および前記下方セクション(210)をクランプ締めするための少なくとも1つのピンチボルト(240)であって、前記第2のクリンプカラー(230)によって固定される、少なくとも1つのピンチボルト(240)とを備えることを特徴とする請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのピンチボルト(245)と前記第2のジャッキングボルト(235)との間の支持面を与えるピンチプレート(240)をさらに備えることを特徴とする請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記上方セクション(205)は、前記第2のクリンプカラー(230)の一部分、前記ベアリングプレート(215)の一部分、および前記ピンチプレート(240)の一部分が位置することが可能である空洞部を備えることを特徴とする請求項6記載の装置。
【請求項8】
前記ベアリングプレート(215)の長さが、前記上方セクション(205)が前記下方セクション(210)に組み付けられた場合の、前記上方セクション(205)および前記下方セクション(210)の組み合わされた長さを越えて延在することを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項9】
前記給水スパージャ管(20)は、複数のラグを備え、第1のラグが、前記上方セクション(205)の一部分に対合し、第2のラグが、前記下方セクション(210)の一部分に対合し、前記少なくとも1つのピンチボルト(245)によって前記上方セクション(205)および前記下方セクション(210)に加えられる圧縮荷重が、前記第1のラグおよび前記第2のラグの移動を抑制することを特徴とする請求項2記載の装置。
【請求項10】
少なくとも1つのピンチボルト(245)によって前記上方セクション(205)および前記下方セクション(210)に加えられる前記圧縮荷重は、前記給水スパージャ管(20)に対する予荷重を回復させることを特徴とする請求項9記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−237212(P2010−237212A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76541(P2010−76541)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(508177046)ジーイー−ヒタチ・ニュークリア・エナージー・アメリカズ・エルエルシー (101)
【氏名又は名称原語表記】GE−HITACHI NUCLEAR ENERGY AMERICAS, LLC