説明

物体を識別及び/又は確認するための光学センサ

本発明は、特有の反射パターンに基づいて物体を識別及び/又は確認するための光学センサ、及び互いに接続された複数のセンサを具備する装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特有の反射パターンに基づいて、物体を識別及び/又は確認するための光学センサに関し、及び互いに接続された複数のセンサを具備する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光学特性に基づいて物体を識別及び/又は確認するための方法が知られている。例えば、国際公開第2005088533(A1)号パンフレットは、1つの方法を開示しており、その方法により、物体を、これらの物体の特有の表面構造に基づいて、識別及び/又は確認できる。その方法においては、レーザービームの焦点が、物体の表面に合わせられて、その表面全体にわたって移動され、また、異なる角度で、その表面における異なる位置に異なる程度に散乱されるそれらのビームは、光検出器からなる手段によって検出される。検出される散乱放射は、特有の反射パターンを示し、それは、多数の異なる物質に対して固有のものであり、また、その物体の製造及び/又は処理中の偶然性に起因している可能性があるため、複製するには非常に大きな困難を伴う可能性がある。例として、紙状の物体は、製造された各物体に固有の、製造によって決定付けられる繊維構造を有している。個々の物体に関する特有の反射パターンは、後のある時点で、その物体を確認できるようにするために、データベースに格納される。この目的のために、その物体は、再び測定され、及びその特有の反射パターンは、格納されている参照データと比較される。
【0003】
国際公開第2005088533(A1)号パンフレットに開示されている、物体を確認するための装置は、好ましくは、レーザー周辺の平面内に配置された4つ以上の光検出器を具備する。国際公開第2005088533(A1)号パンフレットの技術的教示は、より高いレベルの安全性を実現するためには、より多くの光検出器が必要であるということに注力されている。この場合、それらの光検出器は、大きな角度範囲にわたる扇形状で、レーザーの周辺に配置される。代替的な構成要素は開示されていない。
【0004】
国際公開第2005088533(A1)号パンフレットに開示されている、物体を確認するための装置には、レーザー及び光検出器の数が定義されているという不都合があり、そのことは、容易に変えることができない。要件を変えるためには、レーザー及び光検出器の数を増減しなければならず、国際公開第2005088533(A1)号パンフレットは、新たな装置を構成することなく、そのことをどのようにして実現できるかに関しては示唆していない。
【0005】
光学部品は、信号を記録する場合、適切な信号対雑音比を得るために、規定された方法で互いに配置しなければならないことが一般に知られている。この場合、取付け/位置合わせに関して構成される要件は、光学部品の数に伴って増加し、そのことは、対応するセンサの製造コストに直接影響を及ぼす。国際公開第2005088533(A1)号パンフレットには、レーザー及び/又は光検出器を収容及び位置合わせするための保持装置が開示されていない。先のパンフレットは、レーザー及び光検出器をどのようにして簡単に、しかも互いに正確に配置できるかについては開示していない。
【0006】
物体の識別及び/又は確認においては、異なる位置で、及びその時々において、物体を常に高精度に確認することができることが本質的である。たいていの場合、識別及び/又は確認のための異なる装置は、異なる位置で使用されるため、それらの装置が満たさなければならない基本的な必要条件は、それらの装置が、1つの装置から別の装置へ伝達することのできる再現可能な結果を生じさせるということである。国際公開第2005088533(A1)号パンフレットは、どのようにして、連続生産に適している確認のための再現可能な装置を実施することができるかについては示唆していない。
【0007】
同じ表面領域は、常に、物体の各識別及び/又は確認中に検出されなければならないため、装置に関して構成される追加的な要件は、レーザービーム及び光検出器に対する物体の位置決めが、十分な精度で、迅速かつ簡単に実施されることが意図されるということである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術から進展して、策定された目的は、特有の反射パターンに基づいて、物体を識別及び/又は確認するための装置であって、高い信号対雑音比をもたらし、製造するのが簡単で費用対効果が高く、操作が直感的で簡単であり、フレキシブルに使用可能及び拡張可能であり、再現可能かつ伝達可能な結果を生じさせ、及び連続生産に適している装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、この目的は、請求項1に従って、反射パターンを記録するためのセンサからなる手段によって達成される。本発明に係るセンサは、以下の構成要素、すなわち、
・光学部品を収容するためのブロックと、
・レーザーと、
・ビーム形成及び集束させるための光学素子と、
・少なくとも1つの光検出器と、
・接続手段と、
を具備する。
【0010】
光学部品は、レーザーと、少なくとも1つの光検出器との間のビーム経路内に配置されている、レーザー及び光検出器自体を含むセンサの全ての構成要素を意味すると理解される。光学素子は、その光学部品の選択を生じ、それらの素子は、ビーム形成及び集束のために役立つ。具体的には、レンズ、ダイヤフラム、回折光学素子等を光学素子と呼ぶ。
【0011】
上記センサの中心要素は、ブロックによって形成され、そのブロックは、好ましくは、1つ以上のピースで実施され、及び本発明に係るセンサの全ての光学部品を収容するのに役に立つ。その光学ブロックは、特定された外面を具備し、物体の確認中に、前記物体に向けられる。そのブロックは、少なくとも2つのブッシングを具備し、それらのブッシングは、特定された外面(以後、単に外面と呼ぶ)の方向に互いに傾いている。第1ブッシングは、レーザーを収容するように機能する。このブッシングは、その外面に直角に傾いている。
【0012】
少なくとも1つの追加的なブッシングが、その第1ブッシングに対して角度αで傾いている。前記追加的なブッシングは、光検出器を収容するように機能し、この場合、そのブッシング内の光検出器は、その外面の方へ向いている。その光検出器のためのブッシングと、そのレーザーのためのブッシングとの間の角度αは、5°〜95°の範囲、好ましくは、20°〜80°の範囲、とりわけ好ましくは、30°〜70°の範囲、特に好ましくは、40°〜60°の範囲にある。
【0013】
一つの好適な実施形態において、本発明に係るセンサのブロックは、3つのブッシング、すなわち、レーザーを収容するための1つのブッシングと、光検出器を収容するための2つのブッシングとを有する。その光検出器のためのブッシングは、好ましくは、そのレーザーのためのブッシングと共に1つの平面内にある。それらのブッシングは、そのレーザーのための第1ブッシングに対して、それぞれ角度α及びαで傾いている。角度α及びαは、同一であっても、あるいは異なっていてもよい。それらは、好ましくは、同一である。
【0014】
1つのレーザー及び1つ又は2つの光検出器を収容するための2つ又は3つのブッシングを有するブロックの使用は、単純ではあるが確定した方法で、光学部品を互いに配置できるという効果をもたらす。好ましくは、そのレーザーのためのブッシング内には、止め(stop)が置かれている。そのセンサのレーザーは、前記止めに対して前記ブッシング内に押込まれ、その結果、そのレーザーは、そのブロック及び光検出器に対して所定の固定位置を取る。例えば、現在、市販されているレーザービーム源の場合には一般的である、レーザーに常に接続されているビーム形成及び集束のための光学素子を、そのレーザーが有している場合、そのレーザーの固定の結果として、同時に、そのレーザーの焦点も明確に固定される。光検出器を収容するための追加的なブッシングも同様に、止めを備えることができ、この場合、それらの光検出器の位置は、そのレーザーの位置より精度が低くてもよい。
【0015】
上記ブロックは、簡単な方法で、例えば、射出成形法によって、プラスチックから1つ又は2つのピースで製造することができる。構成要素は、射出成形法により、高精度で大量に、及び短期間に製造することができる。このことは、十分に精密な構成要素の費用対効果が高い連続生産を可能にする。上記ブッシングは、射出成形ですぐに形成することができ、又は、例えば、穿孔によって、後からそのブロック内に導入することができる。好ましくは、そのブロックの全ての構成部材は、射出成形法により、1つの工程で既に製造されている。同様に、例えば、アルミニウム又はプラスチックから、そのブロックをミリング加工し、例えば、穿孔によってそれらのブッシングを実現することが考えられる。当業者には周知されている、ブッシングが画成されたブロックを製造するための更なる方法が考えられる。
【0016】
本発明に係るセンサは更に、それらのブッシングの中心軸が、そのブロックの外側にある1つの位置で交差することを特徴とする。意外にも、それらの中心軸の交点が、そのレーザーの焦点でもあり、及びその外面から2〜10mmの距離にある場合に、確認が有利であることが分かっている。
【0017】
それに対応して、本発明に係るセンサは、物体を確認するために、距離を置いて前記物体の向こうに案内されており、その結果、その焦点、及びそれらの中心軸の交点は、その物体の表面にある。
【0018】
上述した2〜10mmの範囲の距離の場合、そのレーザー及び光検出器に対する、検出すべき物体の当該表面の位置決めは、簡単で十分に精密な方法で可能である。センサと物体との間の距離が大きくなるにつれて、その物体の表面に対するそのセンサの角度は、その表面の所定領域を検出できるようにするために、ますます正確に適合しなければならず、その結果、その位置決めに関して構成される要件が増加する。
【0019】
更に、放射強度は、その放射源からの距離が大きくなるにつれて低下し、そのため、センサと物体との間の距離が大きくなるにつれて、その物体に到達する低減された放射強度は、その放射源のより高いパワーによって補正されなければならない。しかし、本発明に係るセンサには、好ましくは、多くの保護対策を要することなく、そのセンサを操作できるようにするために、クラス1又は2のレーザーが備えられている。このことは、そのセンサが「オープン」である(換言すれば、レーザービームは、そのセンサから妨げられずに出てくる)ため、特に当てはまる。これは、放射源の出力を任意に増加させることができないことを意味する。この点において、本発明に係る短い距離は有利である。
【0020】
従って、本発明に係るセンサは、ブッシングの中心軸の交点が、その外面から2〜10mmの距離のブロックの外部にあり、及びそのレーザーの焦点でもあることを特徴とする。
【0021】
レーザーとしては、本発明に係るセンサにおいて、少なくとも部分的に干渉性放射を放出する電磁放射のための全てのソースを原則として用いることが可能である。本発明に係るセンサのコンパクトで費用対効果が高いデザインに関しては、レーザーダイオードが好適である。レーザーダイオードは、一般に知られており、高ドーピングのpn接合が、高電流密度で作動される半導体部品である。半導体材料の選択は、放射される波長を決める。好ましくは、可視光を放射するレーザーダイオードが用いられる。特に、クラス1又は2のレーザーが好適に用いられる。等級は、DIN EN 60825−1規格に準拠するレーザー保護等級を意味することを理解されたく、レーザーは、眼及び皮膚に対する危険性に従って各等級に分類される。クラス1は、連続照射時でも、その照射値が最大許容照射値以下であるレーザーを含む。クラス1のレーザーは、装置上での対応する識別は別として、いかなる追加的な保護対策も必要ない。クラス2は、その範囲において、0.25ms未満の持続期間を有する照射が眼に有害ではない可視領域のレーザーを含む(0.25msの持続期間は、長い照射に対して眼を自動的に保護することのできる瞼閉鎖反射に相当する)。特に好適な実施形態においては、600nm〜780nm波長を有するクラス2のレーザーダイオードが用いられる。
【0022】
本発明に係るセンサに用いられる光検出器は、原則として、電磁放射を電気信号に変換する全ての電子部品とすることができる。本発明に係るセンサのコンパクトで費用対効果の高いデザインに関しては、フォトダイオード又はフォトトランジスタが好適である。フォトダイオードは、pn接合又はpin接合における電磁放射を、内部光電効果によって電流に変換する半導体ダイオードである。フォトトランジスタは、pnp又はnpnという層順序を有し、及びそのベースコレクタ間の空乏層のpn接合が電磁放射に利用されやすいバイポーラトランジスタである。接続された増幅器トランジスタを伴うフォトダイオードに対しても同様である。
【0023】
本発明に係るセンサは、線形ビーム形状(linear beam profile)を生じる光学素子を有する。ビーム形状は、焦点での断面におけるレーザービームの2次元強度分布を意味すると理解される。その強度は、そのレーザービームの断面中心で最も高く、外側で低い。この場合、線形ビーム形状の場合の強度の勾配は、第1の方向で最も低いが、第1の方向と直角に通る第2の方向で最も高い。その線形ビーム形状の強度分布は、好ましくは、対称的であり、その結果、焦点におけるそのレーザーの断面形状(cross sectional profile)は、一方が、その最高強度の勾配と平行に通り、他方が、その最低強度の勾配と平行に通る2つの相互に直角な軸によって特徴付けることができる。
【0024】
レーザービームの断面形状の幅、略してビーム幅は、本願明細書において以後、その中心において、最低の強度勾配の方向における断面形状の中心からの距離を意味すると理解されている。最低の強度勾配における強度は、その中心で半分になる。
【0025】
更に、レーザービームの断面形状の厚さ、又は略してビーム厚さは、最高の強度勾配の方向における断面形状の中心からの距離を意味すると理解されている。最高の強度勾配における強度は、その中心で半分になる。
【0026】
本発明に係るセンサの線形ビーム形状は、そのビーム幅が、ビーム厚さよりも複数倍大きいことを特徴としている。好ましくは、そのビーム幅は、ビーム厚さの少なくとも50倍であり、とりわけ好ましくは、少なくとも100倍、及び特に好ましくは、少なくとも150倍である。
【0027】
そのビーム幅は、2mm〜7mmの範囲、好ましくは、3mm〜6.5mmの範囲、とりわけ好ましくは、4mm〜6mmの範囲、及び特に好ましくは、4.5mm〜5.5mmの範囲にある。
【0028】
そのビーム厚さは、5μm〜35μmの範囲、好ましくは、10μm〜30μmの範囲、とりわけ好ましくは、15μm〜30μmの範囲、特に好ましくは、20μm〜27μmの範囲にある。
【0029】
光学の当業者は、本発明に係る線形ビーム形状を、光学要素を用いてどのように生成できるか理解している。
【0030】
本発明に係るセンサは、そのビーム幅は、上記ブッシングが配置されている平面に垂直に存在していることを特徴とする。確認中、そのセンサは、それらのブッシングが配置されている平面に対して平行であると確認されるように、その物体を越えて移動される。
【0031】
強度は、小さな領域にわたって分布しているため、焦点におけるそのレーザービーム断面形状のサイズが減少するにつれて、信号対雑音比は増加する。焦点におけるそのレーザービーム断面形状のサイズが減少するにつれて、再現可能な信号を得ることがますます困難になることが経験的に分かっている。これは、確認される物体の表面を、減少していくレーザービーム断面形状に対して十分に正確に位置決めすることができないという事実によるものである。新たな確認時には、その領域を十分に正確にヒットすることがますます困難になることは明らかである。
【0032】
意外にも、そのビーム厚さ及びビーム幅の上述した範囲は、一方においては、再現性にとって十分に精密である位置決めを得ること、及び他方においては、十分に精密な確認にとって十分に精密である信号対雑音比を得ることに非常に適していることが分かっている。
【0033】
本発明に係るセンサは、複数のセンサを接続するための、又は、センサをマウントに接続するための手段を更に有する。それらの手段は、そのブロックに、又は、そのブロックをその中に導入することのできるハウジングに取付けることができる。
【0034】
これらの手段は、2つ以上のセンサを所定の方法で互いに接続できるようにする。好ましくは、そのブロック又はハウジングは、一方の側にポジティブ接続手段を、反対側にネガティブ接続手段を有し、その結果、そのブロック/ハウジングの両側で、センサをマウント及び/又は追加的なセンサに規定の方法で接続することができ、この場合、その追加的なセンサは、空いている側で、追加的なセンサに同様に接続することができる。このモジュール原理は、所定の方法での多数のセンサの組合せを可能にする。考慮されるポジティブ接続手段は、例えば、ネガティブ接続手段としての切り欠きに挿入できる突出部を含む。挿入レール等の公知の追加的な接続手段も考えられる。複数のセンサは、好ましくは、全てのセンサのビーム幅が直線状に配列されるように互いに接続される。
【0035】
2つ以上のセンサの接続は、可逆的な方法、すなわち、解放可能な方法で実施される。その接続手段は、本発明に係るセンサをマウントに取付けるのにも用いることができる。
【0036】
複数のセンサの接続は、以下の効果をもたらす。
【0037】
・複数のセンサの接続の結果として、同じままである確認のための持続期間に対して、より多くのデータを記録し、それに伴って、確認中の安全性を向上させることが可能である。
【0038】
接続された複数のセンサの場合、ある時間間隔で確認される物体の1つの表面領域の代わりに、複数の領域が、それぞれのレーザービームによって同じ時間間隔で照射されて、反射光が検出される。従って、その物体を特徴付けるより大量のデータが記録される。このことは、大量の同じ物体から物体を容易に識別して確認できる精度を向上させる。国際公開第2005088533(A1)号パンフレットは、確認中の安全性を、そのレーザーの平面内の多数の光検出器からなる手段を用いて向上させることができることを開示している。しかし、国際公開第2005088533(A1)号パンフレットは、どのようにして、追加的な光検出器を、簡単な方法で前記平面内に配置することができるかに関しては開示していない。また、既に国際公開第2005088533(A1)号パンフレットにおいて解明されているように、それらの光検出器が、そのレーザーに関して配置される角度の全てが等しいわけではない。レーザー放射と垂直に放射される紙状の物体の場合、反射される放射の強度は、入射角周辺で最も高い。その入射角に対する反射放射の角度の増加に伴って、その反射放射の強度は低下する。そのため、レーザー及び光検出器のファン状の平面構成の場合、それら全ての光検出器が、同じ強度で放射を受けるわけではない。その結果として、その平面内のレーザー周辺の追加的な光検出器は、確認中の安全性を向上させるが、追加的な光検出器は、反射放射がより低い強度を有する領域内に配置しなければならないため、各追加的な光検出器は、同じ程度に安全性を向上させない。
【0039】
本発明に係る複数のセンサの解放可能な組合せは、それぞれの用途に柔軟に反応する可能性をユーザにもたらす。確認中に、より高い安全性が必要な場合には、2つ以上のセンサを簡単な方法で互いに接続することができ、大量のデータを、同じままであるある時間間隔で検出することができる。対照的に、例えば、確認の単純なチェックのみが要求される場合、個々のセンサを用いることができる。
【0040】
・複数のセンサの接続の結果として、複数の物体を同時に検出及び/又は確認することが可能である。実施例として、多数のセンサを生産設備に組み込むことが可能である。製品は、例えば、コンベヤベルトにより、高速で搬送される。それらの製品を後のある時点で確認できるようにするためには、特性を検出して、例えば、データベースに格納しなければならない。この目的のためには、検出中のスループットを向上させるために、複数のセンサを接続することが有利である。それらの製品が離れていて、互いに直接的に接続されているセンサによって、もはや個別に検出できない場合には、センサをスペーサによって互いに接続することが考えられる。その接続手段は、複数のセンサが互いに所定の位置をとるように、それらのセンサを互いに接続することを可能にする。その結果として、データ取得中の再現性が向上し、また、後のある時点で、個々の製品を容易に確認することができる。
【0041】
本発明は、同様に、直接的に又はスペーサを用いて、互いに可逆的に接続される2つ以上のセンサを具備する装置に関する。
【0042】
本発明に係るセンサの一つの好適な実施形態において、そのセンサは、中にブロックが導入されるハウジングを有する。追加的な構成要素、例えば、レーザーのための制御電子装置、信号処理電子装置、徹底的評価電子装置等を、そのセンサのハウジング内に導入することができる。そのハウジングは、好ましくは、本発明に係るセンサを、それによって、そのセンサを制御するための及び/又は特有の反射パターンの検出及び追加的な処理のための制御ユニット及び/又はデータ取得ユニットに接続することができる接続ケーブルを固定するのにも役に立つ。
【0043】
また、そのセンサは、外面の前方で、外面の後方で、又は外面に取り付けられており、及び光学部品を損傷及び汚れから保護するウィンドウを必要に応じて有する。そのウィンドウは、好ましくは、そのセンサの外面を形成する。そのウィンドウは、使用されるレーザーの波長に対して、少なくとも部分的に透過的である。
【0044】
本発明に係るセンサは、制御及びデータ取得ユニットと共に、物体を識別及び/又は確認するのに適している。本発明に係るセンサは、好ましくは、一定の距離で物体を越えて案内される。そのレーザーは、その物体を照射し、この場合、そのレーザービームは、その物体に垂直に、又は、実質的に垂直に入射する。そのレーザービームは、線形ビーム形状を有する。そのセンサは、好ましくは、そのビーム幅が、動きの方向に垂直であるように、その物体を越えて案内される。当然、そのセンサを動かす代わりに、その物体をそのセンサを通り越して案内することも考えられる。そのレーザー放射は、その物体から反射される。反射された放射の一部は、光検出器によって検出されて、電気信号に変換される。本発明に係るセンサは、レーザー光の照射時に、光検出器によって検出できる特有の反射パターンを生じさせる紙状の物体を識別及び/又は確認するのに特に適している。紙状物体は、例えば、紙、ボール紙、織物、フェルト等の繊維材料から生産される物体を意味するものと理解される。
【0045】
本発明に係るセンサは、1つ又は複数の追加的なセンサへの接続を可能にし、その結果、物体の特性の光学検出中のデータの量を、同じままである確認期間に対して増やすことができ、また、確認中の安全性を向上させることができる。複数のセンサの接続は、適切な場合、スペーサを用いて、再現可能な方法で、複数の物体からの特有の反射パターンの同時検出を同様に可能にする。
【0046】
本発明に係るセンサは、工業規模の連続生産でコスト効率よく製造することができ、コンパクトなデザインを有し、操作するのが直感的かつ簡単であり、柔軟に使用可能でありかつ拡張可能であり、及び再現可能で転送可能な結果を生じさせる。光学部品を互いに位置合わせする作業は、それらの部品の互いに対する位置決めを明確に決定するデザインによって、簡単な方法で実施される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1a、1bは、光学部品がないセンサを斜視的に示す。
【図2】図2は、本発明に係るブロックを断面で示す。
【図3】図3は、カバーを備えたハウジングを示す。
【図4】図4は、線形ビーム形状の概略図を示す。
【図5】図5は、線形ビーム形状を生じさせるための平凸円柱レンズを示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明を、具体的で例示的な実施形態に基づき、詳細に説明するが、本発明は、それらに限定されることはない。
【0049】
図1a及び図1bは、光学部品(レーザー、光検出器、レンズ)のない、本発明に係るセンサ1を斜視的に示す。本発明に係るセンサは、中に3つのブッシング11、12、13が導入されるブロック10を具備する。ブッシング11は、レーザーを収容するように機能する。ブッシング12及び13は、2つの光検出器を収容するように機能する。ブッシング11は、そのセンサの外面18に対して垂直に傾いている。そのセンサの作動中、外面18は、確認されることが意図されている物体に向けられる。ブロック10は、ウィンドウを収容して固定するための保持手段30を具備する。そのウィンドウ(図示せず)は、使用されるレーザーの波長に対して、少なくとも部分的に透過的である。部分的な透過性は、少なくとも50%の透過性、すなわち、放射された放射強度の50%が、そのウィンドウを貫通することを意味するものと理解される。
【0050】
図2は、図1及び図2のセンサを断面で示す。この図は、レーザーを収容するためのブッシング11と、2つの光検出器を収容するためのブッシング12及び13とを、明らかにしている。ブッシング12及び13は、それぞれ前記ブッシング11に対して角度α及びαで傾いている。本実施例において、角度α及びαは、45°で同一である。
【0051】
ブッシング11、12、13は、それらの中心軸が、外面18から2mm〜10mmの距離にある位置20で交差するように、ブロック10内に配置されている。前記位置20は、同時にレーザーの焦点でもある。
【0052】
副図3a及び3bは、図1a、1b及び図2のセンサを中に導入することのできるハウジング50を斜視的に示す。副図3cは、そのハウジングに付随するカバー60を示す。そのハウジングは、ブッシング51、52を有する。そのハウジングは、複数のセンサを互いに解放可能に接続するか、又は、そのセンサをマウントに固定するための接続手段として用いることができる。カバー60は、対応する切り欠き62を有する。そのセンサは、ケーブルブッシング55を介して、反射データを記録するための電子及び/又はコンピュータユニットを制御するように接続される。
【0053】
副図4a、4bは、ビーム幅SB及びビーム厚さSDを有する線形ビーム形状を示す。副図4aは、焦点におけるレーザービームの2次元断面形状を示す。その最高強度は、その断面形状の中心にある。強度Iは、外側に向かって減少する。ここで、第1方向(x)と、第1方向(x)に対して直角である更なる方向(y)とがある。第1方向(x)では、強度Iが、その中心からの距離Aが大きくなるにつれて、最大の度合いで減少する。更なる方向(y)では、強度Iが、その中心からの距離Aが大きくなるにつれて、最小の度合いで減少する。副図4bは、その中心からの距離Aの関数としての強度形状Iを示す。そのビーム幅及びビーム厚さは、そこで強度Iが、その中心での最大値の50%になる、その中心からの距離として定義され、ここでは、そのビーム幅はy方向にあり、そのビーム厚さはx方向にある。
【0054】
図5は、平凸円柱レンズ300を用いて、どのようにして線形ビーム形状を生じさせることができるかを実施例として示す。円柱レンズ300は、1つの平面内で、収束レンズ(図5b)として作用する。その平面と垂直な面内において、前記レンズには、屈折による影響がない。近軸近似においては、このようなレンズの焦点距離fに対して、次の式が当てはまる。
【0055】
【数1】

【0056】
ここで、Rは、円柱の半径であり、nは、その材料物質の屈折率である。
【符号の説明】
【0057】
1 センサ
10 ブロック
11 ブッシング
12 ブッシング
13 ブッシング
18 外面
20 焦点
30 保持要素
50 ハウジング
51 接続手段であるブッシング
52 接続手段であるブッシング
55 ケーブルブッシング
60 カバー
62 切り欠き
300 平凸円柱レンズ
【図1a】

【図1b】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射パターンを記録するためのセンサであって、
ブロックの外面の方へ垂直に傾く第1ブッシングと、前記第1ブッシングに対して角度αで傾き且つ前記外面の方向において前記第1ブッシングの方へ傾く少なくとも1つの追加的なブッシングと、を有するブロックであって、複数の前記ブッシングの中心軸が、前記外面から2〜10mmの距離にあり且つ同時にレーザーの焦点である位置で交差している、ブロックと、
前記第1ブッシング内に配置され、及び前記外面の方向にレーザービームを放射することができるレーザーと、
線形ビーム形状を形成するための光学素子と、
前記少なくとも1つの追加的なブッシング内に配置され且つ前記外面の方向に向けられた少なくとも1つの光検出器と、
追加的なセンサ又はマウントにセンサを接続するための接続手段と、を少なくとも具備するセンサ。
【請求項2】
前記線形ビーム形状のビーム幅は、ビーム厚さの少なくとも50倍、好ましくは、少なくとも100倍、特に好ましくは、少なくとも150倍である、ことを特徴とする請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記ビーム幅は、3mm〜6.5mmの範囲、好ましくは、4mm〜6mmの範囲、特に好ましくは、4.5mm〜5.5mmの範囲にあり、前記ビーム厚さは、10μm〜30μmの範囲、好ましくは、15μm〜30μmの範囲、特に好ましくは、20μm〜27μmの範囲にある、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のセンサ。
【請求項4】
前記角度αは、20°〜80°の範囲、好ましくは、30°〜70°の範囲、特に好ましくは、40°〜60°の範囲にある、ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載のセンサ。
【請求項5】
前記外面の前方又は後方で取り付けられ且つ前記センサの光学部品を損傷及び/又は汚染から保護するウィンドウを更に具備する、請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載のセンサ。
【請求項6】
互いに解放可能に接続されている、請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の2つ以上のセンサを具備する装置。
【請求項7】
前記2つ以上のセンサが、スペーサの手段を用いて互いに接続されている、ことを特徴とする請求項6に記載の装置。

【図2】
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【図3(a)】
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【図3(b)】
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【図3(c)】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【図5(a)】
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【図5(b)】
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【公表番号】特表2012−524246(P2012−524246A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505078(P2012−505078)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【国際出願番号】PCT/EP2010/002168
【国際公開番号】WO2010/118835
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(504109610)バイエル・テクノロジー・サービシーズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (75)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Technology Services GmbH
【Fターム(参考)】