物体を迂回させるコンベアシステム
一実施形態では、コンベアシステム(300)は、コンベアベルト上の物体(o)が迂回するように構成された複数のコンベアベルトローラ(304)を有するコンベアベルト(302)と、コンベアベルトローラと係合する駆動機構とを具えており、当該駆動機構はコンベアベルトローラを駆動するように構成され、物体がコンベアベルトの何れの側面にも所望の迂回角度で選択的に迂回できるように、コンベアベルトローラを第1の角度方向および第2の反対の角度方向へ選択的に駆動するように駆動機構を調整可能である。駆動機構の一態様は、カートリッジ(320)に取り付けられた駆動ローラ(308)と、カートリッジ上のピニオンギア(334)と係合するラックギア(342)とを有しており、ベルトローラに対する駆動ローラの向きを調整し、選択的に反対の角度方向にも駆動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に動力駆動型コンベアに関し、より具体的には、物体支持ローラを一方向または別の方向に回転させるべく方向を変更できる自由に回転可能な駆動ローラと接触することによって回転する、物体支持ローラ付のコンベアベルトを有するコンベアシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ある種類または別の種類の処理をするために物体を送るか位置決めする目的で、コンベアベルトから、例えば別のコンベアベルトに物体を迂回させることが多くの場合に必要である。
【0003】
近年、コンベアシステムは、ベルトの上面および底面を越えて延在する複数の小さい角のあるローラを具えるコンベアベルトに発展してきた。このようなシステムでは、コンベアベルト、より具体的にはベルト内に収容されたローラによって搬送される物体は、ローラが回転することによりベルトから迂回できる。コンベアベルトローラは、様々な方法を用いて回転させることができる。このような方法の1つでは、コンベアベルトの下に位置する摩擦プレートをローラと選択的に係合させたり、係合させないことにより、このローラが駆動する。プレートがローラと係合している場合、このローラは、摩擦プレートとローラとの間の摩擦力に応じて回転する。別の方法では、コンベアベルトの下に位置する自由回転ローラがコンベアベルトローラと選択的に係合したり分離し、係合しているローラ間の摩擦が反対方向に1組のローラの双方を回転させる。
【0004】
上述のコンベアシステムは、コンベアベルトから物体を迂回させることに関して著しい利点を提供するが、使用時には未だ幾つかの制限が存在する。例えば、コンベアベルトローラの角度が固定されるため、コンベアベルトの片側へ固定された迂回角度においてのみ迂回が実施可能である。従って、迂回方向または角度を変更することが望ましい場合、このコンベアラインを停止させねばならず、コンベアベルトを異なる姿勢に配置されたローラを有する別のコンベアベルトに交換しなければならない。
【0005】
更なる欠点は、ローラの滑りに関する。特に、摩擦プレートがローラと接触したとき、このローラは、コンベアベルトが移動する速度と比例して零角速度から最終角速度まで加速しなければならない。ローラが最終角速度まで瞬間的に加速できない場合に、ローラの滑りが起こってローラを摩耗させる。同様の現象が、程度は少ないものの、コンベアベルトローラを回転させる自由回転ローラを用いる実施形態にも起こりうる。特に、自由回転ローラの回転は滑りを減少させるが、ローラとローラとが接触した直後の段階に滑りが起こる場合がある。
【0006】
さらに、摩擦プレートまたは自由回転ローラがコンベアベルトローラから分離している場合、コンベアベルトローラは自由に回転して、コンベアベルト上にある物体がベルトを横切ってドリフトできるようになる。このようなドリフトは一部の状況では望ましい場合もあるが、コンベアベルト上の物体の水平位置を正確に制御することが望ましい状況では望ましくない。
【発明の概要】
【0007】
これらの欠点は、本発明の特徴をコンベアシステムに具体化することによって克服される。このようなコンベアシステムの一形態は、ベルトの移動方向に並んだ固定軸上を回転するように配置された複数のコンベアベルトローラを有するコンベアベルトを具える。カートリッジが、コンベアベルトの下側にある搬送皿の開口部に回転できるように支持されている。各カートリッジは所定の位置に保持された自由に回転できる駆動ローラを具えており、コンベアベルトの下側からコンベアベルトローラと係合する。カートリッジギアは、搬送皿下側のカートリッジに配置される。駆動ギアのアレイがカートリッジギアと係合するように配置される。駆動ギアのアレイと連結された駆動装置がギアを駆動させてカートリッジを回転させ、駆動ローラとコンベアベルトローラとの間で係合角度を変更する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
開示されたシステムおよび方法は、以下の図面を参照して理解することができる。図中の要素は必ずしも一定縮尺である必要はない。
【図1】図1は、コンベアシステムの一部の第1の実施形態の上部斜視図である。
【図2A】図2Aは、図1のコンベアシステムに用いられる駆動ローラモジュールの上部斜視図である。
【図2B】図2Bは、図1のコンベアシステムに用いられる駆動ローラモジュールの底部斜視図である。
【図3】図3は、図1のコンベアシステムの更なる部分の上部斜視図である。
【図4】図4は、図1のコンベアシステムに用いられる複数の駆動ローラモジュールの底面斜視図である。
【図5A】図5Aは、図3に示すコンベアシステム部の図であり、第1の方向への迂回動作を図示している。
【図5B】図5Bは、図3に示すコンベアシステム部の図であり、第2の方向への迂回動作を図示している。
【図6A】図6Aは、駆動ローラモジュールの上面図であり、第1の角度方向へのモジュールの回動を図示している。
【図6B】図6Bは、駆動ローラモジュールの上面図であり、第2の角度方向へのモジュールの回動を図示している。
【図7】図7は、図1のコンベアシステムの一部の端面図であり、角度調整が可能なシステムの駆動ローラが提供するブレーキ機能を図示している。
【図8A】図8Aは、図1のコンベアシステムの一部の端部であり、角度調整が可能な駆動ローラとコンベアベルトの駆動ローラとの係合を図示している。
【図8B】図8Bは、図1のコンベアシステムの一部の端部であり、角度調整が可能な駆動ローラとコンベアベルトの駆動ローラの分離を図示している。
【図9】図9は、コンベアシステムの一部の第2の実施形態の上部斜視図である。
【図10】図10A乃至図10Cは、図9のコンベアシステムの上面図であり、迂回角度を調整するシステムの駆動ローラの角度調整を図示している。
【図11】図11Aおよび図11Bは、図9のコンベアシステムの駆動ローラの角度を調整するために使用できる機構の実施形態の斜視図である。
【図12】図12は、図9のコンベアシステムにおける駆動ローラの端部を支持するジョイントの実施形態の詳細図である。
【図13】図13は、ラック・アンド・ピニオンのローラ駆動機構を有するコンベアシステムの一部の第3の実施形態の分解した上面斜視図である。
【図14】図14は、図13におけるコンベアシステムの駆動ローラカートリッジの上面分解斜視図である。
【図15】図15は、図13のローラ駆動機構における直線駆動装置の底面斜視図である。
【図16】図16Aおよび図16Bは、正反対の位置に示された図13のコンベアシステムの駆動ローラの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
上述のように、コンベアベルトローラを具える既存のコンベアシステムは、以前のシステムに優る利点を提供するが、それでも制限がある。しかしながら、以下に示すように、このような制限は、コンベアベルト内に収容されたローラの回転を制御する、自由回転して角度調整が可能なローラを具える駆動機構を使用するコンベアシステムによって克服することができる。いくつかの実施形態では、コンベアベルトは複数の縦向きの自由回転ローラを具えており、コンベアベルトの下側に位置する自由回転して角度調整が可能なローラと接触することにより「駆動」する。このようなシステムでは、単に角度調整が可能なローラの動作によって、物体を様々な角度にコンベアベルトの何れの側面にも迂回させることができる。さらには、角度調整が可能なローラがベルトの移動方向と一直線に並んだ場合、コンベアベルトローラが回転しないようにブレーキをかけることができ、これにより物体のドリフトが減少するかなくなる。さらに、角度調整が可能なローラがブレーキがかかっている方向から所望の迂回角度へ徐々に回転すると、コンベアベルトローラを徐々に加速させることができ、従って滑りが減少するかなくなる。
【0010】
図を参照すると、符号が幾つかの図を通して対応する部分を示しており、図1は様々な角度にシステムの何れの側面にも物体が迂回するように調整できるコンベアシステム100の一部の実施形態を示している。図1に示すように、コンベアシステム100は、コンベアベルト102と、角度調整が可能な「駆動」ローラモジュール106の領域104とを具えている。図1の実施形態では、コンベアベルト102は、複数の横向きモジュールコンベアベルト部110から構成されたコンベアベルトのフレーム108を具える。各コンベアベルト部110の内側は複数の細長いコンベアベルトリンク112であり、ベルトの移動方向114に延在して、隣接するコンベアベルト部の近接するコンベアベルトリンクと連結する。例示として、各コンベアベルトリンク112は、対向端部のそれぞれに設けられた開口部116を有する金属またはプラスチック部材を具えており、この開口部116は、コンベアベルト部を互いに連結すべく、隣接するコンベアベルト部110のコンベアベルトリンクの開口部を通過するロッドまたはシャフト(図示せず)を受ける。
【0011】
コンベアベルトリンク112の間には、細長く縦向きの自由回転コンベアベルトローラ118がある。本開示に関して、用語「自由回転」は、ローラが回転軸の周りを何れの角度方向にも自由に回転することを意味する。従って、ローラ118は、適切な力によって駆動された場合に何れの角度方向にも自由に回転する「アイドラ」ローラを具えているということができる。図1の実施形態では、ローラ118は、回転軸がベルトの移動方向114に対して平行となるように配置されている。図1に示すように、ローラ118は代替的に、コンベアベルトリンク112に対して各コンベアベルト部110の幅に沿って設けることができ、これにより、ローラはそれぞれ1対の近接するコンベアベルトリンクの間に配置される。このような配置では、様々なコンベアベルト部110のローラ118をベルトの移動方向114に延在する列120、およびコンベアベルト102の幅にわたって延在する行121に配置することができる。ローラ118は細長いように記載かつ図示されてきたが、ローラは回転軸の方向に必ずしも細長い必要はないことを理解されたい。
【0012】
コンベアベルトローラ118は金属および/またはプラスチックで作られており、ローラモジュール106のローラがコンベアベルトローラと接触した場合に滑りを防ぐゴムまたはプラスチックの高摩擦の外層またはコーティングが設けられている。各ローラ118はそれぞれの端部においてコンベアベルトのフレーム108および/または様々なコンベアベルト部110を連結するロッドまたはシャフトに連結される。図7に示すように、ローラ118はコンベアベルトのフレーム108(およびベルトリンク112)の上面および下面を越えて延在するような寸法であり、これにより、コンベアベルト102上に置かれた物体を迂回させ、駆動ローラモジュール106によって下側から駆動させることが可能となる。
【0013】
さらに図1を参照すると、角度調整が可能な駆動ローラモジュール106の領域104は、駆動ローラモジュールの複数の行122と列124とを具えている。駆動ローラモジュール106は、列124がコンベアベルトローラ118の列120に位置合わせされ、行122が、少なくともコンベアシステムが動作中は断続的に、コンベアベルトローラの行121に位置合わせされるように配置される。図1に示す第1の実施形態では、駆動ローラモジュール106は(回転軸の次元において)比較的短いキャスタローラ(図2Aおよび図2B参照)を具えており、これらは、動作中に少なくとも1つの駆動ローラが任意の所与のコンベアベルトローラ118に位置合わせされるように、互いに十分近くに配置されている。実際に、図1の実施形態では、駆動ローラモジュール106は、コンベア動作中に少なくとも2つの駆動ローラが任意の所与のコンベアベルトローラ118と隣接して位置するよう、十分近くに配置されている。
【0014】
図2Aおよび図2Bを見てみると、単一の駆動ローラモジュール106の斜視図を示しており、各駆動ローラモジュールは、回転軸に対して何れの角度方向にも自由に回転する自由回転駆動ローラ125を具えている。従って、「駆動」ローラと呼ばれているが、駆動ローラ125は、モータまたはその種のある機械的手段によって自身が駆動するわけではない。例として、各駆動ローラ125は金属および/またはプラスチックで作られており、コンベアベルトローラ118のように、ゴムまたはプラスチックの高摩擦の外層またはコーティングを有する。
【0015】
図2Aおよび図2Bに示すように、駆動ローラ125は、対向する垂直支持部材128を具えるフレーム126内に支持されている。支持部材128間に延在し、駆動ローラ125内に設けられた中心開口部(図示せず)を通るシャフト130(すなわち、回転軸)の周りを駆動ローラは回転できる。支持部材128に加えて、フレーム126は第1および第2の制御アーム131および132を具えており、以下に示すように、中心垂直軸134の周りを駆動ローラモジュール106が回動して、ベルトの移動方向114(図1)に対してローラ125の角度を調整するように用いることができる。図2Aおよび図2Bに示すように、各制御アーム131、132は開口部133を具えており、駆動ローラモジュール106の角度方向を調整するために用いる適切な部材と回動するように連結可能となる。
【0016】
図2Bに最適に示すように、フレーム126はさらに、基部135と、基部を支持する回動機構137とを具えている。図2Bの実施形態では、回動機構137は互いに反対方向に回転できる上部および下部139および141を具えており、これにより駆動ローラモジュール106の回動が可能となる。軸受のような適切な摩擦低減要素をこの部分139と141との間に設けて、このような回動を容易にしてもよい。
【0017】
図3は、コンベアシステム100の更なる部分を示している。より具体的には、図3は、駆動ローラ125とコンベアベルトローラ118との間の相互作用を示している。特に、コンベアベルトのフレーム108は、コンベアシステム100の他の要素を記載するにあたり、明確にする目的で図中には示していない。
【0018】
図3に示すように、駆動ローラ125はコンベアベルトローラ118と接触するように配置され、これにより、ベルトの移動方向114にコンベアベルト120が移動すると、駆動ローラとコンベアベルトローラとの間の摩擦力が原因で双方が回転する。図3に示す向きでは、駆動ローラ125は矢印136に示す下流方向に回転する。この回転の結果として、コンベアベルトローラ118は、矢印140に示す方向にシャフト138(すなわち、回転軸)の周りを回転、または「駆動」する。従って、図3では、コンベアベルトローラ118は左回り(上流を見た端部からコンベアベルト102を見る場合)に回転し、それにより、コンベアベルトローラに支持された物体を図の左方向に迂回させる。図3に更に示すように、各コンベアベルトのローラ118は、複数の駆動ローラ125によって上記の方法で駆動する。
【0019】
上述のように、駆動ローラモジュール106、ひいては駆動ローラ125は、中心垂直軸134(図2Aおよび図2B)の周りを回動して、ベルトの移動方向に対して角度を調整することができる。駆動ローラ125は独立して動作する、あるいは同時に動作してもよい。図4は、後者の動作手法を可能にする機構(コンベアベルト102は図示せず)を図示している。図4に示すように、駆動ローラモジュール106の複数の行142および列144は、図2について記載した一般的構成を有するように設けられている。図4に更に示すように、駆動ローラモジュール106の行142は連結部材146と連接され、ローラ125の角度方向を制御する。より具体的には、駆動ローラモジュール106の制御アーム132は連結部材146と回動するように連結されており、これはロッドまたはシャフトの形状をしていてもよい。例として、この連結はピン(図示せず)でなされており、駆動ローラモジュール106の制御アーム132に設けられた開口部133(図2Aおよび図2B)を通り、位置合わせされた連結部材146の開口部(図示せず)内に延在する。例えば回動機構137の下部141(図2Aおよび図2B)を固定することにより、各駆動ローラモジュール106の位置が中心垂直軸134に対して固定された場合、矢印148に示す方向に連結部材146を横方向へ移動させることにより、ローラ125は中心垂直軸の周りを回動し、従って角度方向が調整される。
【0020】
連結部材146を任意の適切な手段によって移動させてもよい。複数の連結部材146が同時に移動し、それによりローラ125の複数の行が同時に回動する実施形態では、連結部材を単一の駆動部材150と連結してもよく、この駆動部材150はコンベアシステム100の何れかの側面と隣接して配置され、駆動ローラモジュール106の隣接する列144の制御アーム131と回動するように連結される。このような場合、矢印151に示す方向に駆動部材150が縦方向に移動すると、駆動ローラモジュール106の近接する列144が回動し、その結果、連結部材146が横方向に移動し、順に残りの駆動ローラモジュールが回動する。
【0021】
図5Aおよび図5Bは、駆動ローラモジュール106の角度調整の効果を示している。特に、コンベアシステム100の他の要素の記載を明確にするため、図5Aおよび図5Bにはコンベアベルトのフレーム108を図示していない。まず図5Aでは、駆動ローラモジュール106は左回り方向(コンベアベルト102を上から見た場合)に回動し、矢印152に示すように、コンベアベルトローラ118を左回り方向(上流を向いた端部からコンベアベルト102を見る場合)に回転させる。コンベアベルトローラ118がこのように回転すると、物体Oが矢印154の方向に移動するように、図5Aの向きにおける左方向に迂回動作が起こる。しかしながら、図5Bでは、駆動ローラモジュール106が右回り方向(コンベアベルト102を上から見た場合)に回動し、矢印155に示す右回り方向(上流を向いた端部からコンベアベルト102を見る場合)にコンベアベルトローラ118を回転させて、右方向に迂回動作が起こり、物体Oが矢印156の方向に移動する。
【0022】
図6Aおよび図6Bは、駆動ローラモジュール106について可能な迂回角度の変化を示している。図6Aに示すように、各駆動ローラモジュール106は、コンベアベルトの移動方向に対してローラ125の回転軸が直交する0°方向から、αに示す負の角まで得ることが可能である。図6Bに示すように、駆動ローラモジュール106はまた、0°方向からβに示す正の角まで得ることが可能である。幾つかの実施形態では、αおよびβの双方は0乃至90°の任意の角度を含んでもよく、従って、角度の変化は180°と同等である。このように幅広い範囲の角度変化が可能だが、コンベアベルトの速度、駆動ローラ125およびコンベアベルトローラ118に用いる材料の制限が、ローラの滑りを防ぐことが可能な範囲の角度方向を限定する場合がある。しかしながら、少なくとも100ft/分のコンベアベルト速度においては、既知の高摩擦の表面を用いて少なくともおよそ−70°乃至+70°の範囲の角度が実現可能である。特に、駆動ローラ125の角度変位は、得られる迂回角度にそのまま相当する。例えば、駆動ローラ125が図6Aに示すような0°方向から右回りに35°を向いている場合、右方向へ35°の迂回角度が得られる。
【0023】
駆動ローラ125が図7に示す0°方向に位置し、駆動ローラの回転軸がベルトの移動方向に対して垂直であって、駆動ローラが回転する角度方向がベルトの移動方向と並行する場合、コンベアベルトローラ118の回転が実質的に妨げられ、従って「ブレーキ」がかかる。従って、必要に応じて駆動ローラモジュール106を制御して0°方向に配置することにより、コンベアベルト上の物体の不要な側方運動を防ぐことができる。駆動ローラ125の角度方向が初期位置のような0°から調整されると、コンベアベルトローラ118は一方向または他方向に徐々に加速することができ、これにより、摩擦プレートまたは傾斜ローラが突然コンベアベルトローラと係合した場合に起こりうるローラの滑りが減少するか、完全に防ぐということにさらに注目されたい。コンベアベルトローラ125が徐々に加速すると、比較的不安定な物体が倒れることなく迂回することも可能となる。例えば、迂回する物体が比較的長く、比較的基部が小さい場合、0°方向から駆動ローラの角度をゆっくりと増加することにより、物体はコンベアベルト102の一面または他面に除々に加速できる。
【0024】
角度調整が可能であることに加えて、駆動ローラモジュール106は任意に、駆動ローラ125はコンベアベルトローラ118と係合または分離するよう垂直に動作してもよい。このような機能を図8Aおよび図8Bに示す。特に、図8Aはコンベアベルトローラ118と係合している駆動ローラ125を図示しており、図8Bはコンベアベルトローラから分離した駆動ローラを図示している。このような選択的な係合および取外しには、コンベアベルトローラ118と接触するように駆動ローラ125を上昇させ、コンベアベルトローラと接触しないように駆動ローラを下降させる適切な機構(図示せず)を設けてもよい。
【0025】
上述から、コンベアベルト内に収容されたローラを駆動する、角度調整が可能なローラを具えるコンベアシステムを使用することにより、幾つかの利点を実現できることを理解されたい。例えば、物体をコンベアシステムの何れの側面にも様々な角度に迂回させることができる。加えて、コンベアベルトローラにブレーキをかけて、コンベアベルトを横切る物体の滑りを制御できる。さらに、実質的に滑ることなく、コンベアベルトローラを所望の角速度に加速させることができる。
【0026】
このようなコンベアシステムについて、他の利点も実現しうることに注目されたい。例えば、別個の制御機構(例えば、連結部材)を設けることにより、コンベアベルトの移動方向だけではなくコンベアベルトの幅にも沿って、別個のグループの駆動ローラがコンベアシステムの異なる区分において動作しうる。このような場合、コンベアベルト上の物体の位置は、異なる区分の駆動ローラを別個に制御することによって非常に正確に制御できる。実際、画像ベースのシステムのような「高性能」の検出および制御システムを設けた場合、個々の物体を認識し、ベルトに沿っておよび/またはベルトにわたって正確に移動させることができ、例えば、物体が配置されるコンベアベルトの上に更に物体を所望の通りに配列および/または調整することが可能となる。
【0027】
図9を見てみると、コンベアシステム200の一部の第2の実施形態を図示している。この図に示すように、コンベアシステム200は、図1に示すコンベアシステム100と幾つかの点において類似している。従って、コンベアシステム200は通常、複数の縦向きの自由回転コンベアベルトローラ204を含むコンベアベルト202を具える。コンベアベルト202は、矢印206に示すベルトの移動方向に移動する。加えて、システム200は、複数の自由回転して角度調整が可能な駆動ローラ208を具えている。しかしながら、システム200では、駆動ローラ208はキャスタローラではなく、細長いか「縦方向の」ローラである。図9に示す実施形態では、駆動ローラ206は、コンベアベルト202の幅よりも長い。
【0028】
図10A乃至図10Cは、コンベアベルト202に対する駆動ローラ208の角度調整を図示している。特に、コンベヤベルトが矢印206に示す方向へ移動する場合、図10Aは物体を左に迂回させる駆動ローラ208の角度を図示しており、図10Bは駆動ローラの「ブレーキ」方向を図示しており、図10Cは物体を右に迂回させる駆動ローラの角度を図示している。
【0029】
コンベアシステム100のように、駆動ローラ208は、様々な調整機構を用いて角度を調整できる。図11Aおよび図11Bは、このような機構の1つを図示している(明確にするためコンベアベルトは図示せず)。これらの図が示すように、駆動ローラ208は矩形フレーム210によって回動するように支持されてもよく、このフレームは、フレームの角に位置する回動ジョイント214で互いに回動するように連結された複数のフレーム部材212を具える。例示として、各回動ジョイント214は、互いに挟み込み、ピンまたはシャフト(図示せず)で固定されたフレーム部材212の抜き勾配によって形成される。このような構成では、フレーム210の姿勢を、フレーム部材212がそれぞれのフレームの角部でおよそ90°を形成する図11Aに示す直角姿勢から、図11Bに示すように、フレームの角部に2つの鋭角および2つの鈍角を形成する別の姿勢に変更し、これによりフレームを平行四辺形の形状に配置することができる。図11Aの直角姿勢では、駆動ローラ208は、図10Bに示すように、ベルトの方向に対して垂直となるように位置決めされる。従って、図11Aの直角姿勢はブレーキ姿勢である。しかしながら、図11Bに示すような他の姿勢では、駆動ローラ208がベルトの移動方向に対して角度をつけて位置するように向けられており、それにより迂回機能を提供する。
【0030】
各駆動ローラ208は、向きの変更ならびに自由回転を可能にするジョイントによって、両端部で支持されている。図12の詳細図を参照すると、例えば、各駆動ローラ208は、フレーム部材212に装着された支持ブラケット220を通って延在するピン218を受けるように構成された「アイ」コネクタ216を有するシャフト215によって支持されていてもよい。
【0031】
図11Aおよび図11Bを見てみると、フレーム210は、例えば駆動装置222を用いて、上述した方法で操作することができる。図11Aおよび図11Bに示す実施形態では、駆動装置222はピストン本体224を有するピストン部材を具えており、ピストンアーム226は、このピストン本体224から例えば水圧または空気圧の影響を受けて伸長しうる。ピストン本体224およびピストンアーム226の双方は、取付ブラケット228によって近接するフレーム部材212と回動するよう連結されている。このような配置では、ピストンアーム226がピストン本体224内に引込むと、第1の角度方向に駆動ローラ208が角度調整され、ピストンアームがピストン本体から伸長すると、第2の反対の角度方向に駆動ローラが角度調整される。このような動作は、図11Aおよび図11Bから明らかである。特に、図11Aはピストン本体224からのピストンアーム226の第1の伸長の範囲および駆動ローラ208の第1の方向を図示しており、図11Bは、ピストン本体からのピストンアームの第2の(大きい)伸長の範囲および駆動ローラの第2の方向を図示している。ピストンアーム226を適切に伸長したり引込めることにより、駆動ローラ208の方向を正確に制御することができ、図10A乃至図10Cに示すように、様々な迂回角度でコンベアベルト202の何れかの側面に物体を迂回させることができる。
【0032】
異なるローラ駆動機構を有するコンベアシステム300を迂回させる別の態様の一部の分解図を図13に示す。コンベアベルト302は、ベルトの移動方向306の縦方向に並んだ軸(図示せず)に取り付けられた複数の円筒形ローラ304を有する。このベルトは、1またはそれ以上のベルトモジュールの一連の行307で構成されており、図13に示す1行のみ、左右および端と端がヒンジジョイントにおいてコンベア搬送路309の一部に沿ってベルトの移動方向に進行している循環ベルトループに連結される。ベルトローラは、搬送路の一部に沿って駆動ローラのアレイ308上に支持される。駆動ローラのアレイの狭いレール310の上流および下流が、搬送路の残りに沿ってベルトを支持する。UHMWのウェアストリップ312の上にある狭いレールは、近接するローラ間のベルトの下側を支持する。
【0033】
このレールは搬送皿314上に取り付けられ、この搬送皿314自体がコンベアフレーム(図示せず)に取り付けられる。この皿は、縦の列318および横の行319に配置された複数の円形の開口部316に穿孔される。この開口部の列は、ベルトローラの横の位置に横方向から位置合わせされる。各開口部は自由回転可能な駆動ローラ308を支持するカートリッジ320を回転できるように受けており、ベルトがベルトの移動方向に進む場合、対応する列のベルトローラと係合する。ベルトローラと駆動ローラとの間の回転接触により、互いに両方が回転し、軸が互いに斜めに位置する限り回転する。
【0034】
図14に示すように、駆動ローラのカートリッジ320は、駆動ローラ308の穴部327に受ける軸326の端部を支持する、直径方向に対向する孔324、325付きの保持リング322を具えている。孔324の1つは、カートリッジおよび駆動ローラ内へ挿入されうる軸が通る貫通孔であってもよく、他の孔325は軸の端部止めを形成する塞がった端部を有していてもよい。この方法では、駆動ローラは、ローラの凸部が保持リングの上部を越えて突出しながら固定軸に沿ってカートリッジ内に保持される。駆動ローラを取り囲む保持リングから下方へ延在しているものは、リングの内側と接合する円筒形の外側表面を有する上側ジャーナル軸328であり、リングの表面と軸面との間に肩部330を形成する。保持リングから遠位の下側ジャーナル軸332は、上側ジャーナル軸よりも直径が小さい。下側ジャーナル軸の外面は、上側ジャーナル軸の内部表面に接合される。カートリッジギア334は、上側軸と下側軸との間に位置する。カートリッジギアは外周歯336を有する平歯車が好ましく、この外周歯の先端は上側ジャーナル軸の表面を越えて延在はしない。
【0035】
カートリッジ320は、図13に示すように、搬送皿の開口部316に受けられる。開口部の壁が軸受表面338を形成し、これと接触して上側ジャーナル軸は回転できる。保持リングの直径が開口部の直径よりも大きいため、リングの肩部330は、直径が小さい軸およびギア部が下側に浮いた状態で搬送皿上に静止する。
【0036】
ギアプレート340は、搬送皿の下に可動するように配置される。ラックギア342の形状をした駆動ギアがギアプレート上に配置される。各ラックギアはカートリッジギアの歯の1つと係合するように配置され、ギアプレートが移動すると同時にカートリッジが回転できるラック・アンド・ピニオンのシステムを形成する。ギアプレートは、ベルトの移動方向に細長い開口部344を有する。細長い開口部には、ラックギアを形成する歯の直線アレイ346が設けられている。各細長い開口部は、搬送皿の開口部316のうちの1つの下側に位置する。下側ジャーナル軸はギアプレートの細長い開口部を通って延在しており、ギアプレートは2つの他のプレート、つまり搬送皿314と底部プレート348との間に挟まれている。底部プレートは、コンベアフレーム350の一部に動かないように固定され、搬送皿の開口部と垂直に位置合わせされるが当該開口部よりも直径が小さい複数の開口部352を有する。開口部352は、カートリッジの下側ジャーナル軸332を回転できるように受ける大きさである。これは、上側および下側の支持プレートを位置合わせしてローラ駆動機構の組立を容易にするのに役立ち、さらに固定された垂直軸上を回転する回転可能なカートリッジを制限する。
【0037】
底部プレート348の上面および上部プレート314の底面の対面スペーサパッド354は、可動するギアプレート340を収容する2つのプレート間の適切な間隔を維持するのに適している。ギアプレートの幾つかの細長い開口部344’は、中間スロット356によって接続される。スロット部のローラ358は、上部プレートの底面から下方へ延在するピン360に回転するように取り付けられる。ピンの遠位端部は、底部プレートのソケット362内に収容される。ギアプレートが上部プレートおよび底部プレートに対して移動するにつれて、ローラ358がスロットの側面を移動する。
【0038】
ギアプレートは、図15に示すように、空気シリンダのような直線駆動装置364によって移動する。駆動装置の一端は、U字金具およびタイロッド368によって上部プレートの底面または搬送皿314から吊り下げられた取付ブラケット366に取り付けられる。駆動装置の他の端部から拡張ロッド370を拡張するかは選択可能である。拡張ロッドの遠位端部は、U字金具およびタイロッド372によってギアプレート340の底部から吊り下げられた回動ブラケット374に連結される。この拡張ロッドがギアプレートを移動させ、ロッドの拡張によりギアプレートの位置および駆動ローラの向きが決まる。取付ブラケット366の下のシム376は、搬送路の底部とギアプレートの上部との間をオフセットさせるために用いられる。
【0039】
コンベアシステムを迂回させる動作を図16Aおよび図16Bに示す。図16Aでは、ギアプレート340は、駆動ローラのカートリッジ320が細長いスロット344の一番右の端の位置に移動して示されている。この位置まで回転したカートリッジでは、駆動ローラ308の回転軸378は、ベルトの移動方向306を基準に左回りの鋭角γを形成する。コンベアベルト302がベルトの移動方向に進むにつれて、この向きの駆動ローラは矢印380の方向に回転し、係合したベルトローラが矢印382の方向に図16Aの上部に向かって被搬送物体を誘導する。ギアプレートが、その範囲にわたって、カートリッジが図16Bにおける細長いスロットの一番左の反対側の端に移動した場合、駆動ローラの回転軸378はベルトの移動方向を基準に右回りの鋭角γ’を形成する。この向きでは、駆動ローラは矢印381の方向に回転し、ベルトローラは矢印383の方向に回転して、図16Aの迂回方向とは逆の図16Bの底部に向かって被搬送物体を押し出す。
【0040】
特定の実施形態について、例示することを目的に上記および図面に詳しく開示してきたが、本開示の範囲を超えることなく変形および改変がされうることは、当該技術分野の当業者は理解するであろう。このような一形態では、駆動ローラカートリッジの下側軸は底部において中空であってもよく、底部プレートの開口部は、カートリッジが回転する中空部内に延在するポストと交換してもよい。
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に動力駆動型コンベアに関し、より具体的には、物体支持ローラを一方向または別の方向に回転させるべく方向を変更できる自由に回転可能な駆動ローラと接触することによって回転する、物体支持ローラ付のコンベアベルトを有するコンベアシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ある種類または別の種類の処理をするために物体を送るか位置決めする目的で、コンベアベルトから、例えば別のコンベアベルトに物体を迂回させることが多くの場合に必要である。
【0003】
近年、コンベアシステムは、ベルトの上面および底面を越えて延在する複数の小さい角のあるローラを具えるコンベアベルトに発展してきた。このようなシステムでは、コンベアベルト、より具体的にはベルト内に収容されたローラによって搬送される物体は、ローラが回転することによりベルトから迂回できる。コンベアベルトローラは、様々な方法を用いて回転させることができる。このような方法の1つでは、コンベアベルトの下に位置する摩擦プレートをローラと選択的に係合させたり、係合させないことにより、このローラが駆動する。プレートがローラと係合している場合、このローラは、摩擦プレートとローラとの間の摩擦力に応じて回転する。別の方法では、コンベアベルトの下に位置する自由回転ローラがコンベアベルトローラと選択的に係合したり分離し、係合しているローラ間の摩擦が反対方向に1組のローラの双方を回転させる。
【0004】
上述のコンベアシステムは、コンベアベルトから物体を迂回させることに関して著しい利点を提供するが、使用時には未だ幾つかの制限が存在する。例えば、コンベアベルトローラの角度が固定されるため、コンベアベルトの片側へ固定された迂回角度においてのみ迂回が実施可能である。従って、迂回方向または角度を変更することが望ましい場合、このコンベアラインを停止させねばならず、コンベアベルトを異なる姿勢に配置されたローラを有する別のコンベアベルトに交換しなければならない。
【0005】
更なる欠点は、ローラの滑りに関する。特に、摩擦プレートがローラと接触したとき、このローラは、コンベアベルトが移動する速度と比例して零角速度から最終角速度まで加速しなければならない。ローラが最終角速度まで瞬間的に加速できない場合に、ローラの滑りが起こってローラを摩耗させる。同様の現象が、程度は少ないものの、コンベアベルトローラを回転させる自由回転ローラを用いる実施形態にも起こりうる。特に、自由回転ローラの回転は滑りを減少させるが、ローラとローラとが接触した直後の段階に滑りが起こる場合がある。
【0006】
さらに、摩擦プレートまたは自由回転ローラがコンベアベルトローラから分離している場合、コンベアベルトローラは自由に回転して、コンベアベルト上にある物体がベルトを横切ってドリフトできるようになる。このようなドリフトは一部の状況では望ましい場合もあるが、コンベアベルト上の物体の水平位置を正確に制御することが望ましい状況では望ましくない。
【発明の概要】
【0007】
これらの欠点は、本発明の特徴をコンベアシステムに具体化することによって克服される。このようなコンベアシステムの一形態は、ベルトの移動方向に並んだ固定軸上を回転するように配置された複数のコンベアベルトローラを有するコンベアベルトを具える。カートリッジが、コンベアベルトの下側にある搬送皿の開口部に回転できるように支持されている。各カートリッジは所定の位置に保持された自由に回転できる駆動ローラを具えており、コンベアベルトの下側からコンベアベルトローラと係合する。カートリッジギアは、搬送皿下側のカートリッジに配置される。駆動ギアのアレイがカートリッジギアと係合するように配置される。駆動ギアのアレイと連結された駆動装置がギアを駆動させてカートリッジを回転させ、駆動ローラとコンベアベルトローラとの間で係合角度を変更する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
開示されたシステムおよび方法は、以下の図面を参照して理解することができる。図中の要素は必ずしも一定縮尺である必要はない。
【図1】図1は、コンベアシステムの一部の第1の実施形態の上部斜視図である。
【図2A】図2Aは、図1のコンベアシステムに用いられる駆動ローラモジュールの上部斜視図である。
【図2B】図2Bは、図1のコンベアシステムに用いられる駆動ローラモジュールの底部斜視図である。
【図3】図3は、図1のコンベアシステムの更なる部分の上部斜視図である。
【図4】図4は、図1のコンベアシステムに用いられる複数の駆動ローラモジュールの底面斜視図である。
【図5A】図5Aは、図3に示すコンベアシステム部の図であり、第1の方向への迂回動作を図示している。
【図5B】図5Bは、図3に示すコンベアシステム部の図であり、第2の方向への迂回動作を図示している。
【図6A】図6Aは、駆動ローラモジュールの上面図であり、第1の角度方向へのモジュールの回動を図示している。
【図6B】図6Bは、駆動ローラモジュールの上面図であり、第2の角度方向へのモジュールの回動を図示している。
【図7】図7は、図1のコンベアシステムの一部の端面図であり、角度調整が可能なシステムの駆動ローラが提供するブレーキ機能を図示している。
【図8A】図8Aは、図1のコンベアシステムの一部の端部であり、角度調整が可能な駆動ローラとコンベアベルトの駆動ローラとの係合を図示している。
【図8B】図8Bは、図1のコンベアシステムの一部の端部であり、角度調整が可能な駆動ローラとコンベアベルトの駆動ローラの分離を図示している。
【図9】図9は、コンベアシステムの一部の第2の実施形態の上部斜視図である。
【図10】図10A乃至図10Cは、図9のコンベアシステムの上面図であり、迂回角度を調整するシステムの駆動ローラの角度調整を図示している。
【図11】図11Aおよび図11Bは、図9のコンベアシステムの駆動ローラの角度を調整するために使用できる機構の実施形態の斜視図である。
【図12】図12は、図9のコンベアシステムにおける駆動ローラの端部を支持するジョイントの実施形態の詳細図である。
【図13】図13は、ラック・アンド・ピニオンのローラ駆動機構を有するコンベアシステムの一部の第3の実施形態の分解した上面斜視図である。
【図14】図14は、図13におけるコンベアシステムの駆動ローラカートリッジの上面分解斜視図である。
【図15】図15は、図13のローラ駆動機構における直線駆動装置の底面斜視図である。
【図16】図16Aおよび図16Bは、正反対の位置に示された図13のコンベアシステムの駆動ローラの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
上述のように、コンベアベルトローラを具える既存のコンベアシステムは、以前のシステムに優る利点を提供するが、それでも制限がある。しかしながら、以下に示すように、このような制限は、コンベアベルト内に収容されたローラの回転を制御する、自由回転して角度調整が可能なローラを具える駆動機構を使用するコンベアシステムによって克服することができる。いくつかの実施形態では、コンベアベルトは複数の縦向きの自由回転ローラを具えており、コンベアベルトの下側に位置する自由回転して角度調整が可能なローラと接触することにより「駆動」する。このようなシステムでは、単に角度調整が可能なローラの動作によって、物体を様々な角度にコンベアベルトの何れの側面にも迂回させることができる。さらには、角度調整が可能なローラがベルトの移動方向と一直線に並んだ場合、コンベアベルトローラが回転しないようにブレーキをかけることができ、これにより物体のドリフトが減少するかなくなる。さらに、角度調整が可能なローラがブレーキがかかっている方向から所望の迂回角度へ徐々に回転すると、コンベアベルトローラを徐々に加速させることができ、従って滑りが減少するかなくなる。
【0010】
図を参照すると、符号が幾つかの図を通して対応する部分を示しており、図1は様々な角度にシステムの何れの側面にも物体が迂回するように調整できるコンベアシステム100の一部の実施形態を示している。図1に示すように、コンベアシステム100は、コンベアベルト102と、角度調整が可能な「駆動」ローラモジュール106の領域104とを具えている。図1の実施形態では、コンベアベルト102は、複数の横向きモジュールコンベアベルト部110から構成されたコンベアベルトのフレーム108を具える。各コンベアベルト部110の内側は複数の細長いコンベアベルトリンク112であり、ベルトの移動方向114に延在して、隣接するコンベアベルト部の近接するコンベアベルトリンクと連結する。例示として、各コンベアベルトリンク112は、対向端部のそれぞれに設けられた開口部116を有する金属またはプラスチック部材を具えており、この開口部116は、コンベアベルト部を互いに連結すべく、隣接するコンベアベルト部110のコンベアベルトリンクの開口部を通過するロッドまたはシャフト(図示せず)を受ける。
【0011】
コンベアベルトリンク112の間には、細長く縦向きの自由回転コンベアベルトローラ118がある。本開示に関して、用語「自由回転」は、ローラが回転軸の周りを何れの角度方向にも自由に回転することを意味する。従って、ローラ118は、適切な力によって駆動された場合に何れの角度方向にも自由に回転する「アイドラ」ローラを具えているということができる。図1の実施形態では、ローラ118は、回転軸がベルトの移動方向114に対して平行となるように配置されている。図1に示すように、ローラ118は代替的に、コンベアベルトリンク112に対して各コンベアベルト部110の幅に沿って設けることができ、これにより、ローラはそれぞれ1対の近接するコンベアベルトリンクの間に配置される。このような配置では、様々なコンベアベルト部110のローラ118をベルトの移動方向114に延在する列120、およびコンベアベルト102の幅にわたって延在する行121に配置することができる。ローラ118は細長いように記載かつ図示されてきたが、ローラは回転軸の方向に必ずしも細長い必要はないことを理解されたい。
【0012】
コンベアベルトローラ118は金属および/またはプラスチックで作られており、ローラモジュール106のローラがコンベアベルトローラと接触した場合に滑りを防ぐゴムまたはプラスチックの高摩擦の外層またはコーティングが設けられている。各ローラ118はそれぞれの端部においてコンベアベルトのフレーム108および/または様々なコンベアベルト部110を連結するロッドまたはシャフトに連結される。図7に示すように、ローラ118はコンベアベルトのフレーム108(およびベルトリンク112)の上面および下面を越えて延在するような寸法であり、これにより、コンベアベルト102上に置かれた物体を迂回させ、駆動ローラモジュール106によって下側から駆動させることが可能となる。
【0013】
さらに図1を参照すると、角度調整が可能な駆動ローラモジュール106の領域104は、駆動ローラモジュールの複数の行122と列124とを具えている。駆動ローラモジュール106は、列124がコンベアベルトローラ118の列120に位置合わせされ、行122が、少なくともコンベアシステムが動作中は断続的に、コンベアベルトローラの行121に位置合わせされるように配置される。図1に示す第1の実施形態では、駆動ローラモジュール106は(回転軸の次元において)比較的短いキャスタローラ(図2Aおよび図2B参照)を具えており、これらは、動作中に少なくとも1つの駆動ローラが任意の所与のコンベアベルトローラ118に位置合わせされるように、互いに十分近くに配置されている。実際に、図1の実施形態では、駆動ローラモジュール106は、コンベア動作中に少なくとも2つの駆動ローラが任意の所与のコンベアベルトローラ118と隣接して位置するよう、十分近くに配置されている。
【0014】
図2Aおよび図2Bを見てみると、単一の駆動ローラモジュール106の斜視図を示しており、各駆動ローラモジュールは、回転軸に対して何れの角度方向にも自由に回転する自由回転駆動ローラ125を具えている。従って、「駆動」ローラと呼ばれているが、駆動ローラ125は、モータまたはその種のある機械的手段によって自身が駆動するわけではない。例として、各駆動ローラ125は金属および/またはプラスチックで作られており、コンベアベルトローラ118のように、ゴムまたはプラスチックの高摩擦の外層またはコーティングを有する。
【0015】
図2Aおよび図2Bに示すように、駆動ローラ125は、対向する垂直支持部材128を具えるフレーム126内に支持されている。支持部材128間に延在し、駆動ローラ125内に設けられた中心開口部(図示せず)を通るシャフト130(すなわち、回転軸)の周りを駆動ローラは回転できる。支持部材128に加えて、フレーム126は第1および第2の制御アーム131および132を具えており、以下に示すように、中心垂直軸134の周りを駆動ローラモジュール106が回動して、ベルトの移動方向114(図1)に対してローラ125の角度を調整するように用いることができる。図2Aおよび図2Bに示すように、各制御アーム131、132は開口部133を具えており、駆動ローラモジュール106の角度方向を調整するために用いる適切な部材と回動するように連結可能となる。
【0016】
図2Bに最適に示すように、フレーム126はさらに、基部135と、基部を支持する回動機構137とを具えている。図2Bの実施形態では、回動機構137は互いに反対方向に回転できる上部および下部139および141を具えており、これにより駆動ローラモジュール106の回動が可能となる。軸受のような適切な摩擦低減要素をこの部分139と141との間に設けて、このような回動を容易にしてもよい。
【0017】
図3は、コンベアシステム100の更なる部分を示している。より具体的には、図3は、駆動ローラ125とコンベアベルトローラ118との間の相互作用を示している。特に、コンベアベルトのフレーム108は、コンベアシステム100の他の要素を記載するにあたり、明確にする目的で図中には示していない。
【0018】
図3に示すように、駆動ローラ125はコンベアベルトローラ118と接触するように配置され、これにより、ベルトの移動方向114にコンベアベルト120が移動すると、駆動ローラとコンベアベルトローラとの間の摩擦力が原因で双方が回転する。図3に示す向きでは、駆動ローラ125は矢印136に示す下流方向に回転する。この回転の結果として、コンベアベルトローラ118は、矢印140に示す方向にシャフト138(すなわち、回転軸)の周りを回転、または「駆動」する。従って、図3では、コンベアベルトローラ118は左回り(上流を見た端部からコンベアベルト102を見る場合)に回転し、それにより、コンベアベルトローラに支持された物体を図の左方向に迂回させる。図3に更に示すように、各コンベアベルトのローラ118は、複数の駆動ローラ125によって上記の方法で駆動する。
【0019】
上述のように、駆動ローラモジュール106、ひいては駆動ローラ125は、中心垂直軸134(図2Aおよび図2B)の周りを回動して、ベルトの移動方向に対して角度を調整することができる。駆動ローラ125は独立して動作する、あるいは同時に動作してもよい。図4は、後者の動作手法を可能にする機構(コンベアベルト102は図示せず)を図示している。図4に示すように、駆動ローラモジュール106の複数の行142および列144は、図2について記載した一般的構成を有するように設けられている。図4に更に示すように、駆動ローラモジュール106の行142は連結部材146と連接され、ローラ125の角度方向を制御する。より具体的には、駆動ローラモジュール106の制御アーム132は連結部材146と回動するように連結されており、これはロッドまたはシャフトの形状をしていてもよい。例として、この連結はピン(図示せず)でなされており、駆動ローラモジュール106の制御アーム132に設けられた開口部133(図2Aおよび図2B)を通り、位置合わせされた連結部材146の開口部(図示せず)内に延在する。例えば回動機構137の下部141(図2Aおよび図2B)を固定することにより、各駆動ローラモジュール106の位置が中心垂直軸134に対して固定された場合、矢印148に示す方向に連結部材146を横方向へ移動させることにより、ローラ125は中心垂直軸の周りを回動し、従って角度方向が調整される。
【0020】
連結部材146を任意の適切な手段によって移動させてもよい。複数の連結部材146が同時に移動し、それによりローラ125の複数の行が同時に回動する実施形態では、連結部材を単一の駆動部材150と連結してもよく、この駆動部材150はコンベアシステム100の何れかの側面と隣接して配置され、駆動ローラモジュール106の隣接する列144の制御アーム131と回動するように連結される。このような場合、矢印151に示す方向に駆動部材150が縦方向に移動すると、駆動ローラモジュール106の近接する列144が回動し、その結果、連結部材146が横方向に移動し、順に残りの駆動ローラモジュールが回動する。
【0021】
図5Aおよび図5Bは、駆動ローラモジュール106の角度調整の効果を示している。特に、コンベアシステム100の他の要素の記載を明確にするため、図5Aおよび図5Bにはコンベアベルトのフレーム108を図示していない。まず図5Aでは、駆動ローラモジュール106は左回り方向(コンベアベルト102を上から見た場合)に回動し、矢印152に示すように、コンベアベルトローラ118を左回り方向(上流を向いた端部からコンベアベルト102を見る場合)に回転させる。コンベアベルトローラ118がこのように回転すると、物体Oが矢印154の方向に移動するように、図5Aの向きにおける左方向に迂回動作が起こる。しかしながら、図5Bでは、駆動ローラモジュール106が右回り方向(コンベアベルト102を上から見た場合)に回動し、矢印155に示す右回り方向(上流を向いた端部からコンベアベルト102を見る場合)にコンベアベルトローラ118を回転させて、右方向に迂回動作が起こり、物体Oが矢印156の方向に移動する。
【0022】
図6Aおよび図6Bは、駆動ローラモジュール106について可能な迂回角度の変化を示している。図6Aに示すように、各駆動ローラモジュール106は、コンベアベルトの移動方向に対してローラ125の回転軸が直交する0°方向から、αに示す負の角まで得ることが可能である。図6Bに示すように、駆動ローラモジュール106はまた、0°方向からβに示す正の角まで得ることが可能である。幾つかの実施形態では、αおよびβの双方は0乃至90°の任意の角度を含んでもよく、従って、角度の変化は180°と同等である。このように幅広い範囲の角度変化が可能だが、コンベアベルトの速度、駆動ローラ125およびコンベアベルトローラ118に用いる材料の制限が、ローラの滑りを防ぐことが可能な範囲の角度方向を限定する場合がある。しかしながら、少なくとも100ft/分のコンベアベルト速度においては、既知の高摩擦の表面を用いて少なくともおよそ−70°乃至+70°の範囲の角度が実現可能である。特に、駆動ローラ125の角度変位は、得られる迂回角度にそのまま相当する。例えば、駆動ローラ125が図6Aに示すような0°方向から右回りに35°を向いている場合、右方向へ35°の迂回角度が得られる。
【0023】
駆動ローラ125が図7に示す0°方向に位置し、駆動ローラの回転軸がベルトの移動方向に対して垂直であって、駆動ローラが回転する角度方向がベルトの移動方向と並行する場合、コンベアベルトローラ118の回転が実質的に妨げられ、従って「ブレーキ」がかかる。従って、必要に応じて駆動ローラモジュール106を制御して0°方向に配置することにより、コンベアベルト上の物体の不要な側方運動を防ぐことができる。駆動ローラ125の角度方向が初期位置のような0°から調整されると、コンベアベルトローラ118は一方向または他方向に徐々に加速することができ、これにより、摩擦プレートまたは傾斜ローラが突然コンベアベルトローラと係合した場合に起こりうるローラの滑りが減少するか、完全に防ぐということにさらに注目されたい。コンベアベルトローラ125が徐々に加速すると、比較的不安定な物体が倒れることなく迂回することも可能となる。例えば、迂回する物体が比較的長く、比較的基部が小さい場合、0°方向から駆動ローラの角度をゆっくりと増加することにより、物体はコンベアベルト102の一面または他面に除々に加速できる。
【0024】
角度調整が可能であることに加えて、駆動ローラモジュール106は任意に、駆動ローラ125はコンベアベルトローラ118と係合または分離するよう垂直に動作してもよい。このような機能を図8Aおよび図8Bに示す。特に、図8Aはコンベアベルトローラ118と係合している駆動ローラ125を図示しており、図8Bはコンベアベルトローラから分離した駆動ローラを図示している。このような選択的な係合および取外しには、コンベアベルトローラ118と接触するように駆動ローラ125を上昇させ、コンベアベルトローラと接触しないように駆動ローラを下降させる適切な機構(図示せず)を設けてもよい。
【0025】
上述から、コンベアベルト内に収容されたローラを駆動する、角度調整が可能なローラを具えるコンベアシステムを使用することにより、幾つかの利点を実現できることを理解されたい。例えば、物体をコンベアシステムの何れの側面にも様々な角度に迂回させることができる。加えて、コンベアベルトローラにブレーキをかけて、コンベアベルトを横切る物体の滑りを制御できる。さらに、実質的に滑ることなく、コンベアベルトローラを所望の角速度に加速させることができる。
【0026】
このようなコンベアシステムについて、他の利点も実現しうることに注目されたい。例えば、別個の制御機構(例えば、連結部材)を設けることにより、コンベアベルトの移動方向だけではなくコンベアベルトの幅にも沿って、別個のグループの駆動ローラがコンベアシステムの異なる区分において動作しうる。このような場合、コンベアベルト上の物体の位置は、異なる区分の駆動ローラを別個に制御することによって非常に正確に制御できる。実際、画像ベースのシステムのような「高性能」の検出および制御システムを設けた場合、個々の物体を認識し、ベルトに沿っておよび/またはベルトにわたって正確に移動させることができ、例えば、物体が配置されるコンベアベルトの上に更に物体を所望の通りに配列および/または調整することが可能となる。
【0027】
図9を見てみると、コンベアシステム200の一部の第2の実施形態を図示している。この図に示すように、コンベアシステム200は、図1に示すコンベアシステム100と幾つかの点において類似している。従って、コンベアシステム200は通常、複数の縦向きの自由回転コンベアベルトローラ204を含むコンベアベルト202を具える。コンベアベルト202は、矢印206に示すベルトの移動方向に移動する。加えて、システム200は、複数の自由回転して角度調整が可能な駆動ローラ208を具えている。しかしながら、システム200では、駆動ローラ208はキャスタローラではなく、細長いか「縦方向の」ローラである。図9に示す実施形態では、駆動ローラ206は、コンベアベルト202の幅よりも長い。
【0028】
図10A乃至図10Cは、コンベアベルト202に対する駆動ローラ208の角度調整を図示している。特に、コンベヤベルトが矢印206に示す方向へ移動する場合、図10Aは物体を左に迂回させる駆動ローラ208の角度を図示しており、図10Bは駆動ローラの「ブレーキ」方向を図示しており、図10Cは物体を右に迂回させる駆動ローラの角度を図示している。
【0029】
コンベアシステム100のように、駆動ローラ208は、様々な調整機構を用いて角度を調整できる。図11Aおよび図11Bは、このような機構の1つを図示している(明確にするためコンベアベルトは図示せず)。これらの図が示すように、駆動ローラ208は矩形フレーム210によって回動するように支持されてもよく、このフレームは、フレームの角に位置する回動ジョイント214で互いに回動するように連結された複数のフレーム部材212を具える。例示として、各回動ジョイント214は、互いに挟み込み、ピンまたはシャフト(図示せず)で固定されたフレーム部材212の抜き勾配によって形成される。このような構成では、フレーム210の姿勢を、フレーム部材212がそれぞれのフレームの角部でおよそ90°を形成する図11Aに示す直角姿勢から、図11Bに示すように、フレームの角部に2つの鋭角および2つの鈍角を形成する別の姿勢に変更し、これによりフレームを平行四辺形の形状に配置することができる。図11Aの直角姿勢では、駆動ローラ208は、図10Bに示すように、ベルトの方向に対して垂直となるように位置決めされる。従って、図11Aの直角姿勢はブレーキ姿勢である。しかしながら、図11Bに示すような他の姿勢では、駆動ローラ208がベルトの移動方向に対して角度をつけて位置するように向けられており、それにより迂回機能を提供する。
【0030】
各駆動ローラ208は、向きの変更ならびに自由回転を可能にするジョイントによって、両端部で支持されている。図12の詳細図を参照すると、例えば、各駆動ローラ208は、フレーム部材212に装着された支持ブラケット220を通って延在するピン218を受けるように構成された「アイ」コネクタ216を有するシャフト215によって支持されていてもよい。
【0031】
図11Aおよび図11Bを見てみると、フレーム210は、例えば駆動装置222を用いて、上述した方法で操作することができる。図11Aおよび図11Bに示す実施形態では、駆動装置222はピストン本体224を有するピストン部材を具えており、ピストンアーム226は、このピストン本体224から例えば水圧または空気圧の影響を受けて伸長しうる。ピストン本体224およびピストンアーム226の双方は、取付ブラケット228によって近接するフレーム部材212と回動するよう連結されている。このような配置では、ピストンアーム226がピストン本体224内に引込むと、第1の角度方向に駆動ローラ208が角度調整され、ピストンアームがピストン本体から伸長すると、第2の反対の角度方向に駆動ローラが角度調整される。このような動作は、図11Aおよび図11Bから明らかである。特に、図11Aはピストン本体224からのピストンアーム226の第1の伸長の範囲および駆動ローラ208の第1の方向を図示しており、図11Bは、ピストン本体からのピストンアームの第2の(大きい)伸長の範囲および駆動ローラの第2の方向を図示している。ピストンアーム226を適切に伸長したり引込めることにより、駆動ローラ208の方向を正確に制御することができ、図10A乃至図10Cに示すように、様々な迂回角度でコンベアベルト202の何れかの側面に物体を迂回させることができる。
【0032】
異なるローラ駆動機構を有するコンベアシステム300を迂回させる別の態様の一部の分解図を図13に示す。コンベアベルト302は、ベルトの移動方向306の縦方向に並んだ軸(図示せず)に取り付けられた複数の円筒形ローラ304を有する。このベルトは、1またはそれ以上のベルトモジュールの一連の行307で構成されており、図13に示す1行のみ、左右および端と端がヒンジジョイントにおいてコンベア搬送路309の一部に沿ってベルトの移動方向に進行している循環ベルトループに連結される。ベルトローラは、搬送路の一部に沿って駆動ローラのアレイ308上に支持される。駆動ローラのアレイの狭いレール310の上流および下流が、搬送路の残りに沿ってベルトを支持する。UHMWのウェアストリップ312の上にある狭いレールは、近接するローラ間のベルトの下側を支持する。
【0033】
このレールは搬送皿314上に取り付けられ、この搬送皿314自体がコンベアフレーム(図示せず)に取り付けられる。この皿は、縦の列318および横の行319に配置された複数の円形の開口部316に穿孔される。この開口部の列は、ベルトローラの横の位置に横方向から位置合わせされる。各開口部は自由回転可能な駆動ローラ308を支持するカートリッジ320を回転できるように受けており、ベルトがベルトの移動方向に進む場合、対応する列のベルトローラと係合する。ベルトローラと駆動ローラとの間の回転接触により、互いに両方が回転し、軸が互いに斜めに位置する限り回転する。
【0034】
図14に示すように、駆動ローラのカートリッジ320は、駆動ローラ308の穴部327に受ける軸326の端部を支持する、直径方向に対向する孔324、325付きの保持リング322を具えている。孔324の1つは、カートリッジおよび駆動ローラ内へ挿入されうる軸が通る貫通孔であってもよく、他の孔325は軸の端部止めを形成する塞がった端部を有していてもよい。この方法では、駆動ローラは、ローラの凸部が保持リングの上部を越えて突出しながら固定軸に沿ってカートリッジ内に保持される。駆動ローラを取り囲む保持リングから下方へ延在しているものは、リングの内側と接合する円筒形の外側表面を有する上側ジャーナル軸328であり、リングの表面と軸面との間に肩部330を形成する。保持リングから遠位の下側ジャーナル軸332は、上側ジャーナル軸よりも直径が小さい。下側ジャーナル軸の外面は、上側ジャーナル軸の内部表面に接合される。カートリッジギア334は、上側軸と下側軸との間に位置する。カートリッジギアは外周歯336を有する平歯車が好ましく、この外周歯の先端は上側ジャーナル軸の表面を越えて延在はしない。
【0035】
カートリッジ320は、図13に示すように、搬送皿の開口部316に受けられる。開口部の壁が軸受表面338を形成し、これと接触して上側ジャーナル軸は回転できる。保持リングの直径が開口部の直径よりも大きいため、リングの肩部330は、直径が小さい軸およびギア部が下側に浮いた状態で搬送皿上に静止する。
【0036】
ギアプレート340は、搬送皿の下に可動するように配置される。ラックギア342の形状をした駆動ギアがギアプレート上に配置される。各ラックギアはカートリッジギアの歯の1つと係合するように配置され、ギアプレートが移動すると同時にカートリッジが回転できるラック・アンド・ピニオンのシステムを形成する。ギアプレートは、ベルトの移動方向に細長い開口部344を有する。細長い開口部には、ラックギアを形成する歯の直線アレイ346が設けられている。各細長い開口部は、搬送皿の開口部316のうちの1つの下側に位置する。下側ジャーナル軸はギアプレートの細長い開口部を通って延在しており、ギアプレートは2つの他のプレート、つまり搬送皿314と底部プレート348との間に挟まれている。底部プレートは、コンベアフレーム350の一部に動かないように固定され、搬送皿の開口部と垂直に位置合わせされるが当該開口部よりも直径が小さい複数の開口部352を有する。開口部352は、カートリッジの下側ジャーナル軸332を回転できるように受ける大きさである。これは、上側および下側の支持プレートを位置合わせしてローラ駆動機構の組立を容易にするのに役立ち、さらに固定された垂直軸上を回転する回転可能なカートリッジを制限する。
【0037】
底部プレート348の上面および上部プレート314の底面の対面スペーサパッド354は、可動するギアプレート340を収容する2つのプレート間の適切な間隔を維持するのに適している。ギアプレートの幾つかの細長い開口部344’は、中間スロット356によって接続される。スロット部のローラ358は、上部プレートの底面から下方へ延在するピン360に回転するように取り付けられる。ピンの遠位端部は、底部プレートのソケット362内に収容される。ギアプレートが上部プレートおよび底部プレートに対して移動するにつれて、ローラ358がスロットの側面を移動する。
【0038】
ギアプレートは、図15に示すように、空気シリンダのような直線駆動装置364によって移動する。駆動装置の一端は、U字金具およびタイロッド368によって上部プレートの底面または搬送皿314から吊り下げられた取付ブラケット366に取り付けられる。駆動装置の他の端部から拡張ロッド370を拡張するかは選択可能である。拡張ロッドの遠位端部は、U字金具およびタイロッド372によってギアプレート340の底部から吊り下げられた回動ブラケット374に連結される。この拡張ロッドがギアプレートを移動させ、ロッドの拡張によりギアプレートの位置および駆動ローラの向きが決まる。取付ブラケット366の下のシム376は、搬送路の底部とギアプレートの上部との間をオフセットさせるために用いられる。
【0039】
コンベアシステムを迂回させる動作を図16Aおよび図16Bに示す。図16Aでは、ギアプレート340は、駆動ローラのカートリッジ320が細長いスロット344の一番右の端の位置に移動して示されている。この位置まで回転したカートリッジでは、駆動ローラ308の回転軸378は、ベルトの移動方向306を基準に左回りの鋭角γを形成する。コンベアベルト302がベルトの移動方向に進むにつれて、この向きの駆動ローラは矢印380の方向に回転し、係合したベルトローラが矢印382の方向に図16Aの上部に向かって被搬送物体を誘導する。ギアプレートが、その範囲にわたって、カートリッジが図16Bにおける細長いスロットの一番左の反対側の端に移動した場合、駆動ローラの回転軸378はベルトの移動方向を基準に右回りの鋭角γ’を形成する。この向きでは、駆動ローラは矢印381の方向に回転し、ベルトローラは矢印383の方向に回転して、図16Aの迂回方向とは逆の図16Bの底部に向かって被搬送物体を押し出す。
【0040】
特定の実施形態について、例示することを目的に上記および図面に詳しく開示してきたが、本開示の範囲を超えることなく変形および改変がされうることは、当該技術分野の当業者は理解するであろう。このような一形態では、駆動ローラカートリッジの下側軸は底部において中空であってもよく、底部プレートの開口部は、カートリッジが回転する中空部内に延在するポストと交換してもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトの移動方向に位置合わせされた固定軸上を回転するように配置された複数のコンベアベルトローラを有するコンベアベルトと;
前記コンベアベルトの下側に位置し、複数の開口部を有する搬送皿と;
前記開口部内に回転できるよう支持された複数のカートリッジであって、当該カートリッジのそれぞれが前記コンベアベルトの下側から前記コンベアベルトローラと係合するよう所定の位置に保持された自由に回転可能な駆動ローラを具え、カートリッジギアが前記搬送皿の下側に位置するカートリッジと;
前記カートリッジギアと係合するように配置される駆動ギアのアレイと;
前記カートリッジが回転するように前記ギアを駆動し、前記駆動ローラと前記コンベアベルトローラとの間で係合角度を変更するように前記駆動ギアのアレイと連結された駆動装置とを具えることを特徴とするコンベアシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のコンベアシステムにおいて、前記駆動ギアおよび前記カートリッジギアが、ラック・アンド・ピニオンのシステムを具えることを特徴とするコンベアシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のコンベアシステムにおいて、前記駆動ギアのアレイが複数の開口部を有するプレートを具えており、各開口部には一方の側にギア歯の直線アレイが設けられていることを特徴とするコンベアシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のコンベアシステムにおいて、各カートリッジが遠位の下側軸を有しており、前記コンベアシステムがさらに、所定の位置に前記カートリッジの下側軸を回転できるように保持する静止底部プレートを具えることを特徴とするコンベアシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のコンベアシステムにおいて、前記静止底部プレートが、前記カートリッジの下側軸を回転できるように収容する複数の開口部を具えることを特徴とするコンベアシステム。
【請求項6】
請求項1乃至5に記載のコンベアシステムにおいて、前記駆動装置が、前記カートリッジが回転するように前記駆動ギアのアレイを移動させる直線駆動装置であることを特徴とするコンベアシステム。
【請求項7】
請求項1乃至6に記載のコンベアシステムにおいて、前記駆動装置が、前記コンベアベルトローラが第1の方向に回転する第1の角度と、前記コンベアベルトローラが反対の第2の方向に回転する第2の角度との間で係合角度を変更可能な移動範囲を有することを特徴とするコンベアシステム。
【請求項8】
請求項1乃至7に記載のコンベアシステムにおいて、前記カートリッジに保持され、前記ローラの回転軸を規定する駆動ローラの軸を具えることを特徴とするコンベアシステム。
【請求項9】
請求項1乃至8に記載のコンベアシステムにおいて、前記カートリッジのそれぞれがさらに:
保持部であって、当該保持部の上側に前記駆動ローラの凸部が延在する状態で前記駆動ローラを回転できるように保持する保持部と;
当該保持部に連結され、前記開口部の1つに収容される円筒形の外面を有する上側ジャーナル軸と;
前記駆動ギアの1つと係合するように前記上側ジャーナル軸の下側に位置するピニオンとを具えることを特徴とするコンベアシステム。
【請求項1】
ベルトの移動方向に位置合わせされた固定軸上を回転するように配置された複数のコンベアベルトローラを有するコンベアベルトと;
前記コンベアベルトの下側に位置し、複数の開口部を有する搬送皿と;
前記開口部内に回転できるよう支持された複数のカートリッジであって、当該カートリッジのそれぞれが前記コンベアベルトの下側から前記コンベアベルトローラと係合するよう所定の位置に保持された自由に回転可能な駆動ローラを具え、カートリッジギアが前記搬送皿の下側に位置するカートリッジと;
前記カートリッジギアと係合するように配置される駆動ギアのアレイと;
前記カートリッジが回転するように前記ギアを駆動し、前記駆動ローラと前記コンベアベルトローラとの間で係合角度を変更するように前記駆動ギアのアレイと連結された駆動装置とを具えることを特徴とするコンベアシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のコンベアシステムにおいて、前記駆動ギアおよび前記カートリッジギアが、ラック・アンド・ピニオンのシステムを具えることを特徴とするコンベアシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のコンベアシステムにおいて、前記駆動ギアのアレイが複数の開口部を有するプレートを具えており、各開口部には一方の側にギア歯の直線アレイが設けられていることを特徴とするコンベアシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のコンベアシステムにおいて、各カートリッジが遠位の下側軸を有しており、前記コンベアシステムがさらに、所定の位置に前記カートリッジの下側軸を回転できるように保持する静止底部プレートを具えることを特徴とするコンベアシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のコンベアシステムにおいて、前記静止底部プレートが、前記カートリッジの下側軸を回転できるように収容する複数の開口部を具えることを特徴とするコンベアシステム。
【請求項6】
請求項1乃至5に記載のコンベアシステムにおいて、前記駆動装置が、前記カートリッジが回転するように前記駆動ギアのアレイを移動させる直線駆動装置であることを特徴とするコンベアシステム。
【請求項7】
請求項1乃至6に記載のコンベアシステムにおいて、前記駆動装置が、前記コンベアベルトローラが第1の方向に回転する第1の角度と、前記コンベアベルトローラが反対の第2の方向に回転する第2の角度との間で係合角度を変更可能な移動範囲を有することを特徴とするコンベアシステム。
【請求項8】
請求項1乃至7に記載のコンベアシステムにおいて、前記カートリッジに保持され、前記ローラの回転軸を規定する駆動ローラの軸を具えることを特徴とするコンベアシステム。
【請求項9】
請求項1乃至8に記載のコンベアシステムにおいて、前記カートリッジのそれぞれがさらに:
保持部であって、当該保持部の上側に前記駆動ローラの凸部が延在する状態で前記駆動ローラを回転できるように保持する保持部と;
当該保持部に連結され、前記開口部の1つに収容される円筒形の外面を有する上側ジャーナル軸と;
前記駆動ギアの1つと係合するように前記上側ジャーナル軸の下側に位置するピニオンとを具えることを特徴とするコンベアシステム。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【公表番号】特表2011−520733(P2011−520733A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−510524(P2011−510524)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/037925
【国際公開番号】WO2009/142809
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(508181663)レイトラム,エル.エル.シー. (43)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/037925
【国際公開番号】WO2009/142809
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(508181663)レイトラム,エル.エル.シー. (43)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]