物体縁部検出のためのシステム、装置、及び方法
【課題】アイテムが移送されている間に重複郵便物アイテムを検出するためのシステム、装置、方法、及びコンピュータプログラム製品を提供する。
【解決手段】一続きになったアイテム110,120(単一のもの及び/又は重複したもの)を、アイテム仕分け及び取扱い装置の送り経路に沿って搬送するための手段130,140と、検出領域を通過する際に、アイテムの長さ部分に沿った複数の地点で、アイテムの厚さを測定するための手段150,160と、アイテムの長さ部分に沿って測定された、異なる厚さ(厚さのばらつき)を表すデータから、厚さ輪郭(曲線)を生成するための輪郭抽出手段と、抽出された厚さ曲線を解析し、輪郭に基づき二重送り状態(2つ以上の重複アイテム)を判定するための処理手段による。
【解決手段】一続きになったアイテム110,120(単一のもの及び/又は重複したもの)を、アイテム仕分け及び取扱い装置の送り経路に沿って搬送するための手段130,140と、検出領域を通過する際に、アイテムの長さ部分に沿った複数の地点で、アイテムの厚さを測定するための手段150,160と、アイテムの長さ部分に沿って測定された、異なる厚さ(厚さのばらつき)を表すデータから、厚さ輪郭(曲線)を生成するための輪郭抽出手段と、抽出された厚さ曲線を解析し、輪郭に基づき二重送り状態(2つ以上の重複アイテム)を判定するための処理手段による。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイテム取扱い全般に関し、より具体的には、アイテムが移送されている間に重複郵便物アイテムを検出するためのシステム、装置、方法、及びコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
郵便物仕分けシステムにおいて、仕分けられるべき郵便物は、それらの平面を共通の軸に沿わせて共に配置される略平坦で矩形の物体であり、山を成している。フィーダ機構が、個々の郵便物を、入力の山から、郵便物に印刷されている住所を読み取る光学式読取装置へと摘み上げ、郵便物を、宛先住所に対応する幾つかの出力の山のうちの1つへと差し向ける。郵便物取扱い装置において、郵便物アイテムは個々に移送されるべきである。ところが、送り速度が高いこと、又は製品形状(長さ、幅、高さ、及び厚さ)ならびに組成(材料、形式)が多様であることに起因して、重複した(二重送りの)郵便物の移送の割合も高くなることがある。複数の郵便物アイテムが、重複したやり方で取扱い装置に移送されると、取扱い装置はその通常の作業を実施することができない。
【0003】
現在利用可能な二重送り検出システムは、高価であったり複雑な装備(例えば通過するアイテムのデジタル画像を解析するデジタルカメラ)を必要とするか、又は、特定の形状、色、厚さを有するアイテム、特別な種類のアイテム、及び、互いに完全には重複していないアイテムを検出することに限定されているために、又は3つ以上の重複アイテムを正確に検出できないために信頼できないかのいずれかである。これらの限定により、検出されない重複アイテムの数も、不正確に(不当に)拒絶されるアイテムの数も増加する。従って、状態、例えば二重送り(1つ以上の郵便物の重複)を判定するために、縁部を含む郵便物の特徴を、送り経路内で極力早急に正確に検出する検出システム、装置、及び方法を有することが有利であろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
郵便物の状態を判定するために、実施形態は全体として、主として縁部に焦点を置いた種々の特性を、しかし剛性、厚さ等のような特性をも、検出するためのシステム、装置、方法、及びコンピュータプログラム製品に向けられている。1つの例示的な状態として、アイテム、例えば、ただしこれらに限定されるものではないが、郵便物(書簡郵便物、混合郵便物)、大型封筒、及び他の郵便アイテム、又は、小看板又は平板等の他の同様の形状の物体の二重送りがある。
【0005】
種々の実施形態において、前記システム、装置、方法、及びコンピュータプログラム製品は、アイテムの流れとなって仕分け及び取扱い装置を同時に通過する2つ以上の重複アイテムの存在を検出するための手段を含む。
【0006】
種々の実施形態は、多重の重複アイテムを、不当な又は不正確な拒絶を低比率にして検出するためのシステム、装置、方法、及びコンピュータプログラム製品を含むことができる。
【0007】
種々の実施形態において、二重送りは、2つ以上のアイテムがそれらの平坦側に沿って共にくっつき、1つ以上の縁部が完全に又は部分的に重複しているものを含むことができる。二重送りは、異なる高さ、色、幅、及び厚さを有する2つ以上の重複アイテム(特に非常に薄い又は葉書様の物体)を含むことができる。
【0008】
種々の実施形態において、前記システムは、一続きのアイテム内で重複アイテムを検出するための手段を含むことができ、その場合、前記アイテムは、前記送り経路に沿って通過する際、それらの縁部のうちの少なくとも1つが目視用に露出されている。
【0009】
種々の実施形態において、前記システムは、前記重複アイテムの位置を互いに対して変位させることにより前記重複アイテムを分離させて完全に重複しないようにするための手段を含むことができる。種々の実施形態において、この変位は、前記アイテムがそれに沿って搬送される運搬経路内に移行区域を含むことにより達成することができる。前記移行区域は、前記運搬経路の屈曲区域、縁部区域、及び/又は湾曲区域、逆運搬区域又は真空式補助区域を含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0010】
種々の実施形態において、前記システムは、一続きになったアイテム(単一のもの及び/又は重複したもの)を、アイテム仕分け及び取扱い装置の送り経路に沿って搬送するための手段と、検出領域を通過する際に前記アイテムの長さ部分に沿った複数の地点で前記アイテムの厚さを測定するための手段と、前記アイテムの長さ部分に沿って測定された、異なる厚さ(厚さのばらつき)を表すデータから厚さ輪郭(曲線)を生成するための輪郭抽出手段と、前記抽出された厚さ曲線を解析し、前記輪郭に基づき二重送り状態(2つ以上の重複アイテム)を判定するための処理手段とを含むことができる。
【0011】
特に、種々の実施形態において、前記処理手段は、前記厚さ曲線を表す前記データを解析し、異なる厚さの領域間にある前記移行縁部を判定する。
【0012】
特に、種々の実施形態において、前記処理手段は、前記縁部間のレベル(段部変化又は段部又は割合変化)を計算し、離散した厚さレベルを提供し、各段部の高さと予め設定された最小値とを比較して、前記アイテムが単一のアイテムであるか、又は2つ以上の重複アイテムであるかを判定するか、又は、高さの変化の割合を比較して、前記比較に基づき前記アイテムが単一アイテムであるか2つ以上の重複アイテムであるかを判定する。
【0013】
特に、種々の実施形態において、前記処理手段は、前記段部変化が前記予め設定された最小値よりも大きい場合、2つ以上のアイテムが重複しているかどうかを判定する。前記最小値は、特定の用途に応じて設定することができ、幾多の要因、例えば、ただしこれらに限定されるものではないが、検出されるアイテムの種類、厚さの精度、及び前記システムにおいて使用される他の検出器、ならびに、前記アイテム仕分け及び取扱い装置の様々な変数に基づいている。
【0014】
種々の実施形態において、前記二重送り検出システムは、前記送り経路内において、移行区域、例えば、ただしこれらに限定されるものではないが、屈曲部、湾曲部、及び/又は縁部を使用することにより重複アイテムを互いに対して変位させることを更に含む。前記重複アイテムは、前記アイテムが前記移行区域を通る間、互いに対して離れるように移動させられる。
【0015】
種々の実施形態において、前記検出システムは、前記移行区域の所定の位置で前記アイテムの剛性を測定するための手段を更に含む。特に、前記アイテムの剛性は、前記移行部を通過する前記アイテムの偏り及び前記移行区域の幾何学形状に基づいて測定することができる。
【0016】
種々の実施形態において、前記検出システムは、剛性測定と厚さ測定との組み合わせに基づき、二重送り状態が存在するかどうかを判定する処理手段を更に含む。
【0017】
本書に記載されている図面は、図示するためだけのものであり、本開示の範囲を限定することを意図するものでは決してない。次の説明を図面と合わせて読むことにより本発明は最も良く理解されるであろう。なお、図面では、同様の要素が同様の参照符号で示されている。本書で使用されているとおり、種々の実施形態は、幾つか又は全ての実施形態を意味することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の種々の実施形態によるシステムの側面斜視図。
【図2】種々の実施形態による多重送り検出システムの部分平面図。
【図3】種々の実施形態による多重送り検出システムの概略正面斜視図。
【図4】種々の実施形態による重複郵便物アイテムの概略側面図。
【図5】種々の実施形態による重複郵便物アイテムの概略側面図。
【図6】送りの長さ部分にわたる厚さのばらつきを示す曲線マップ。
【図7】種々の実施形態による、移行区域及び剛性検出手段を含む検出システムの概略斜視図。
【図8】種々の実施形態による、縁部及び/又は剛性を測定するための、アイテムの検出を示す検出システムの概略斜視図。
【図9A】種々の実施形態による、検出工程を示すブロック図。
【図9B】種々の実施形態による、検出工程を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
全体として、図1〜図3では、アイテム仕分けシステム内で重複アイテムを検出するシステム及び方法が開示されており、本システムは、アイテムの大きさ部分に沿った複数の場所でアイテムの厚さを測定するための検出素子と、測定厚のばらつきを検出し、ばらつき間の差異を測定するように構成された処理素子とを含む。この「ばらつき間の差異」は、本説明及び特許請求の範囲を通じて「厚さの差異」とも表される。差異が、離散した厚さレベル間の段部変化又は段部を示し、処理素子が更に、段部変化(段部高さ)と所定高さ値(X)とを比較し、段部変化(段部高さ)が所定高さ値(X)よりも大きい場合、2つ以上の重複アイテムを示す二重送り状態を判定するように構成されている。
【0020】
図1〜図3に示すシステム100は、アイテムAの特定の状態、例えば、ただしこれらに限定されるものではないが、2つ以上のアイテム110、120が部分的又は完全に重複している二重又は多重送り状態を判定するために、種々の特性、例えば、ただしこれらに限定されるものではないが、アイテムAの縁部、剛性、厚さ等を検出するように構成されている。図1〜図3のアイテムAは、2つの重複郵便物110、120がそれらの平坦側に沿って共にくっつき、1つ以上の縁部が完全に又は部分的に重複しているものを含む。一方で、アイテムAは、アイテムの他の任意の組み合わせ、例えば、ただしこれらに限定されるものではないが、郵便物(書簡郵便物、混合郵便物)、大型封筒、及び他の郵便アイテム、又は他の同様の形状の物体、例えば、ただしこれらに限定されるものではないが、小看板又は平板を含むことができる。重複アイテムは、異なる高さ、色、幅、及び/又は厚さを有することができる。図1〜図3に示す重複郵便物110及び120は、ローラ130及び140により、矢印で示すような方向に、コンベヤ経路(図示せず)に沿って同時に移動する(搬送される)(郵便物フロー)。運搬経路に沿って、重複郵便物110、120に対して略垂直な面内に、郵便物110、120の運搬方向に対して概ね垂直な方向に光学路(光路)を有する1つ以上の厚さ検出器150及び160を位置決めすることができる。検出器150及び160は、アイテムA(重複郵便物110、120を含むもの)が検出器150、160の検出視野を通る際、アイテムAの片側又は両側を目視し検出することにより、アイテムの厚さを連続して測定するように構成されている。厚さ検出器150及び160からのデータは図2に示す処理素子170に送信され、処理素子170は、検出器150、160からのデータを処理して解析し、運搬方向(即ちアイテムAの長さ部分に沿った方向)と略平行であるアイテムAの大きさ部分に沿った、アイテムAの厚さのばらつきの輪郭(曲線)180(図6に詳細に示す)を生成する。アイテムAの全長Lは、個々の郵便物110及び120それぞれの長さL1及びL2に依存し、それらの間の重複量にも同様に依存する。処理素子170は更に、生成された厚さ曲線180に基づき、アイテムAの測定厚のばらつきを認識(判定)し、ばらつき間の差異(厚さの差異)を測定するように構成されていて、差異は、アイテムAの離散した厚さ領域のレベル間の段部変化(段部D1、D2等)を示すものである(図4及び図5を参照のこと)。処理素子170は更に、認識された段部の各々の高さ(S1、S2、S3等)を計算するように構成されている。処理素子170はその後、計算済みである、認識された各段部の高さ(S1、S2、S3等)と予め決まっている高さ値(X)とを比較し、段部Diの高さSiが所定高さ値(X)よりも大きい場合、二重又は多重送り状態(即ち重複郵便物)を認識し、段部Diの高さSiが所定高さ値(X)よりも小さい場合、二重送り状態(重複郵便物)を認識しない。互いにくっついている郵便物110、120の数は、所定高さ値(X)よりも大きい高さSiを有する段部Diの数に対応している。従って、このシステム及び方法により、重複アイテムの個々の厚さ又は全厚に関わりなく多重の重複アイテムの検出が可能になる。処理素子170は、更に、厚さ曲線測定に基づき、アイテムの重複率及び/又は重複距離を求めることができる。
【0021】
厚さ検出器150、160は、適用可能な任意の厚さ検出器、例えば、ただしこれらに限定されるものではないが、任意の光学置換検出器、レーザ、赤外又は紫外検出器、2D及び3Dカメラベースの検出器、ならびに任意の機械式厚さ測定素子を含むことができる。
【0022】
図6は、実施形態による処理素子170により生成された例示的な厚さ曲線180を示す。曲線は、郵便物アイテムAの長さ部分に沿った異なる地点での測定厚から得られる離散した厚さレベルを示す。
【0023】
図7に関して、仕分け設備内で重複アイテム210を検出するためのシステム200を示す。種々の実施形態において、アイテム210は、例えば郵便物仕分け設備内をローラ240によりコンベヤ素子又はプラテン241に沿って移動する2つの重複郵便物220及び230を含む郵便物アイテムである。運搬経路は、例えば郵便物220のうちの一方が例えば移行区域242を通る間に他方の郵便物230に対して移動(変位)することのできる移行区域242を有する。この移行区域242は、コンベヤベルト内の湾曲区域、又はコンベヤベルトに沿った縁部、又は、郵便物220、230が移行区域242の周りで屈曲し互いに対して変位することのできる他の任意の同様の機構とすることができる。郵便物220、230は、この移動により完全に分離することができるか、又は、部分的にのみ分離して、部分的に重複したままであるがそれらの先端221、231がそれぞれ互いから更に離れ、目視及び検出をより容易かつ正確にすることができるかのいずれかである。先端221、231が分離することで、厚さ曲線の生成中、多重の厚さ領域間の分離を、より良好に認めることができる。
【0024】
システム200は、アイテム210に対して略垂直、かつ運搬経路に対して略垂直な面内に位置決めされた少なくとも1つの厚さ検出器250、260を含み、アイテムが運搬経路に沿って移動する間、アイテム210に沿った異なる位置でアイテム210の厚さを連続して検出する。厚さ検出器250、260からのデータは、検出器250、260から受信されたデータを解析して運搬方向(即ち、例えばアイテムの長さ部分)と平行なアイテム210の大きさ部分に沿って厚さのばらつきの輪郭を(例えば図6に示す輪郭と同様に)生成する処理素子(プロセッサ)270に送信される。プロセッサ270は、アイテム210の全厚が変化する領域を判定(認識)し、異なる厚さの隣接する領域間の移行領域D1、D2(段部)を認識し、認識された段部(D1、D2等)の各々の高さ(S1、S2、S3等)を計算する。プロセッサ270は、その後、認識された各段部(D1、D2等)の高さ(S1、S2、S3等)と、予め決まっている記憶された高さ値(X)とを比較し、段部Diの高さSiが所定高さ値(X)よりも大きい場合、二重又は多重送り(重複アイテム)状態を認識する。互いにくっついている(重複した)郵便物の数は、所定値を超える高さを有する段部変化の数に対応している。
【0025】
種々の実施形態において、少なくとも1つの剛性センサ290をシステム200内に付加することによっても二重送り検出効果が増す。剛性センサ290は、移行区域242近傍に位置決めされ、郵便物アイテム210が屈曲しつつ移行領域242を通る間、移送される郵便物アイテム210の剛性を測定する。剛性センサ290は、剛性センサ290の位置に対する個々の郵便物210、220の偏りを測定し、測定された偏りと移行区域242の幾何学形状(形状、位置等)とに基づき、郵便物210、220の剛性(こわさ)を求めるように構成されている。郵便物220、230の剛性を測定することは、郵便物220、230が同じ長さを有する場合であっても、及び/又はほぼ完全に重複している場合であっても、郵便物220、230が重複しているかどうかを見分けるのに役立つ。郵便物220、230が同じ長さを有する場合、及び/又は完全に重複している場合、2つの別個の厚さ範囲間の段部変化を示す2つの別個の先端221、231を見分けることはより困難である。従って、個々の郵便物220、230の剛性を検出すれば、二重(又は多重)送り状態を検出する可能性が増す一方で検出誤差が低減する。
【0026】
厚さ検出器と剛性検出器とが両方使用される実施形態では、プロセッサ270は更に、剛性検出器290から受信されるデータを解析し、測定された剛性と所定剛性値(Y)とを比較するように構成されている。プロセッサ270はその際、認識された各段部の高さ(S1、S2、S3等)と予め決まっている高さ値(X)とを、及び測定された剛性と所定剛性値(Y)とを比較し、段部の高さが所定高さ値(X)よりも大きく、剛性が所定剛性値(Y)を超える場合、二重送り状態を認識し、段部変化及び剛性がそれぞれの所定値(X)及び(Y)を超えない場合、二重送り状態を認識しない。従って、このシステムにより、重複アイテムの個々の厚さ又は全厚及び長さに関わりなく多重の重複アイテムの検出が可能になり、従って、仕分け中に多重の郵便物が重複しているかどうかのより正確な判定が可能になる。
【0027】
剛性検出器290、及び厚さ検出器250、260は、適用可能な任意の厚さ及び剛性検出器、例えば、ただしこれらに限定されるものではないが、任意の光学置換検出器、レーザ、赤外又は紫外検出器、ならびに2D及び3Dカメラベースの検出器を含むことができる。厚さ検出器は、適用可能な任意の機械式厚さ検出器機構をも含むことができる。
【0028】
従って、システムにより、重複郵便物の個々の厚さ又は全厚及び長さに関わりなく多重の重複郵便物の検出が可能になる。システムを使用して、状態、例えば、異なる又は同様の形状、長さ、幅、及び/又は厚さを有する郵便物アイテムの任意の組み合わせの二重又は多重送り状態を検出することができる。郵便物アイテムは、書簡、葉書、及び/又は大型封筒とすることができるが、これらに限定されるものではない。システム及び方法を使用して、同様の形状を有する重複アイテム、例えば、ただしこれらに限定されるものではないが、小看板及び平板を検出することもできる。処理素子は更に、厚さ曲線測定に基づき、アイテムの重複率及び/又は重複距離を求めることができる。
【0029】
図8に関して、アイテム仕分け設備内で重複アイテム330を検出するためのシステム300を示す。2つの重複郵便物310及び320を備えたアイテム330は、ローラ340によりコンベヤ素子又はプラテン341に沿って移動する。運搬経路は、郵便物のうちの一方が移行区域342を通る間に他方の郵便物に対して移動(変位)することのできる移行区域342を有する。移行区域342は、コンベヤベルト内の湾曲区域、又はコンベヤベルトに沿った縁部、又は、郵便物310、320が移行区域342の周りで屈曲又は移動し互いに対して変位することのできる他の任意の同様の機構とすることができる。郵便物310、320は、この移動により完全に分離することができるか、又は、部分的にのみ分離して、部分的に重複したままであるがそれらの先端311、321がそれぞれ互いから更に離れ、目視及び検出をより容易かつ正確にすることができるかのいずれかである。先端311、321が分離することで、例えば、厚さ曲線の生成中、多重の厚さ領域間の分離を、より良好に認めることができる。また、先端311、321が分離することで、例えば縁部の検出中、先端を、より良好に認めることができる。
【0030】
2つの検出器(センサ)301、302が移行区域342近傍に位置決めされており、これらの検出器は、アイテム330が移行領域342を通りながら屈曲(変位)する間、移送されるアイテム330の剛性及び/又は厚さを測定するように、及び/又は、重複郵便物310、320の先端311、321を検出するように構成されている。図8に2つの検出器を示す。一方で、厚さ、剛性を測定するように構成された、及び/又は縁部を検出するように構成された唯1つの検出器を使用することもできる。検出器301、302は、検出器301、302の位置に対する個々の郵便物310、320の偏りをそれぞれ測定することによりアイテム330の剛性を検出し、測定された偏りと移行区域342の幾何学形状(形状、位置等)とに基づき、個々の郵便物310、320の剛性(こわさ)を求めることができる。アイテム330の剛性を測定することは、個々の郵便物310、320が同じ長さを有する場合であっても、及び/又は完全に重複している場合であっても、郵便物310、320が重複しているかどうかを見分けるのに役立つ。郵便物310、320が同じ長さを有する場合、及び/又は完全に重複している場合、2つの別個の先端311、321、又は2つの別個の厚さ範囲を見分けることはより困難であり、従って、アイテム330の個々の郵便物310、320の剛性を検出すれば、二重(多重)送り状態を検出する可能性が増す。検出器301及び302は、アイテムが移行区域342を通る際、アイテム330の長さ部分に沿った複数の位置でアイテム330の厚さを測定するように構成することもできる。検出器301、302からのデータは処理素子(図示せず)に送ることができ、処理素子はその際、検出器301、302から受信されるデータを解析し、アイテム330の個々の郵便物310、320の測定された剛性、及び/又は、厚さ曲線解析、及び/又は、先端位置検出に基づき、アイテム重複があるかどうかを判定する。
【0031】
検出器301、302のうちの一方が厚さ検出器として使用され、他方が剛性検出器として使用される実施形態において、プロセッサは、両方の検出器301、302から受信されるデータを解析し、測定を組み合わせて重複状態が存在するかどうかを判定するように構成されている。プロセッサは、アイテムが移行範囲342を通っている間にアイテム330の長さ部分に沿った異なる地点で取られた厚さ測定に基づき、厚さ曲線を導き出す。プロセッサはその際、アイテム330の厚さのばらつきが生じる場所を認識し、厚さの変化が生じる各場所に段部Diを割り当てる。プロセッサはその際、認識された全ての段部Diの高さ(S1、S2、S3等)を計算し、認識された各段部の高さ(S1、S2、S3等)と、予め決まっている高さ値(X)とを比較する。プロセッサは更に、第2の検出器により測定された剛性と、所定の剛性値(Y)とを比較するように構成されている。プロセッサはその際、段部変化が所定高さ値(X)よりも大きく、剛性が所定剛性値(Y)を超える場合、二重送り状態を認識し、段部変化及び剛性がそれぞれの所定値(X)及び(Y)を超えない場合、二重送り状態を認識しない。従って、このシステムにより、重複アイテムの個々の厚さ又は全厚及び長さに関わりなく多重の重複アイテムの検出が可能になり、従って、仕分け中に多重の郵便物が重複しているかどうかのより正確な判定が可能になる。処理素子は更に、厚さ曲線測定に基づき、アイテムの重複率及び/又は重複距離を求めることができる。
【0032】
個々の郵便物310、320は、異なる又は同様の形状、長さ、幅、及び/又は厚さを有する任意の郵便物アイテムを含むことができる。郵便物アイテムは、書簡、葉書、及び/又は大型封筒とすることができるが、これらに限定されるものではない。システム及び方法を使用して、同様の形状を有する重複アイテム、例えば、ただしこれらに限定されるものではないが、小看板及び平板を検出することもできる。
【0033】
剛性、厚さ、及び縁部検出器301、302は、適用可能な任意の厚さ、剛性、及び縁部検出器、例えば、ただしこれらに限定されるものではないが、任意の光学置換検出器、レーザ、赤外又は紫外検出器、ならびに2D及び3Dカメラベースの検出器を含むことができる。厚さ検出器は、任意の機械式厚さ検出器を含むこともできる。
【0034】
図9Aには、図1〜図8の実施形態で開示されているようなシステムのうちの任意のものによりアイテム状態、例えば二重又は多重送り状態(重複アイテム)を検出するのに適用することのできる検出工程s100が示されている。工程s100は、非一時的コンピュータ読取り可能媒体、例えばディスク、CD‐ROM等に記憶させ、特別な用途での工程の実行に必要な任意のソフトウェア及びハードウェアモジュールを含むコンピュータ処理システムにより実行させることもできる。コンピュータ読取り可能記憶媒体に、アイテム仕分けシステム内で重複アイテムを取扱うための一続きのプログラム命令が具体化されているので、コンピュータ読取り可能記憶媒体に具体化された一続きのプログラム命令をコンピュータ処理システムが実行する際、コンピュータ読取り可能記憶媒体は、コンピュータ処理システムに、アイテムの大きさ部分に沿った複数の場所でアイテムの厚さを測定するステップ、測定厚のばらつきを検出するステップ、離散した厚さレベル間の段部を示すばらつき間の差異(厚さの差異)を測定するステップ、段部と所定高さ値とを比較するステップ、段部が所定高さ値よりも大きい場合、2つ以上の重複アイテムを示す二重送り状態を判定するステップ、を実施させる。
【0035】
s1において、検出素子が、移動するアイテムの大きさ部分(例えば長さ部分)に沿った種々の地点でアイテムの厚さを連続して測定している一方で、アイテムは運搬素子上を、厚さ測定検出器の検出視野を通って搬送(移送、運搬)される。ステップs2において、厚さ曲線の生成が続き、その大きさ部分にわたるアイテムの厚さのばらつきに基づき曲線が生成される。生成された曲線に基づき、ステップs3において、段部、又はアイテムの厚さの変化のある場所が検出される。s4において、検出された段部の各々の高さが計算され、s5において、測定された高さが予め設定された高さ値(X)と比較される。比較の結果に基づき、s6において、アイテムが重複アイテムであるかどうか、従って、二重又は多重送り状態が存在するかどうかが判定される。段部の高さが所定高さ値(X)よりも大きい場合、重複状態が存在する、つまりアイテムが重複郵便物を含んでいる(s7)のに対して、段部変化の高さが所定高さ値(X)よりも小さい場合、重複がなく、従って二重送り状態がないと結論付けられる(s8)。所定高さ値(X)よりも大きい高さを有する段部の数は、重複したアイテムの数を表す。
【0036】
図9Bには、図1〜図8の実施形態で開示されているようなシステムのうちの任意のものによりアイテム状態、例えば二重又は多重送り状態(重複アイテム)を検出するのに適用することのできる検出工程s200が示されており、移動するアイテムには、厚さ検出のほかに剛性検出も実施される。工程s200は、非一時的コンピュータ読取り可能媒体、例えばディスク、CD‐ROM等に記憶させ、特別な用途での工程の実行に必要な任意のソフトウェア及びハードウェアモジュールを含むコンピュータ処理システムにより実行させることもできる。コンピュータ読取り可能記憶媒体に、アイテム仕分けシステム内で重複アイテムを取扱うための一続きのプログラム命令が具体化されているので、コンピュータ読取り可能記憶媒体に具体化された一続きのプログラム命令をコンピュータ処理システムが実行する際、コンピュータ読取り可能記憶媒体は、コンピュータ処理システムに、アイテムの大きさ部分に沿った複数の場所でアイテムの厚さを測定するステップ、測定厚のばらつきを検出するステップ、ばらつき間の差異(厚さの差異)、ここで差異は離散した厚さレベル間の段部を示す、を測定するステップ、段部と所定値とを比較するステップ、段部が所定高さ値よりも大きい場合、2つ以上の重複アイテムを示す二重送り状態を判定するステップ、を実施させる。
【0037】
s10において、検出素子が、アイテムの大きさ部分に沿った種々の地点に沿ってアイテムの厚さを連続して測定し、アイテムは、運搬素子上を、測定区域を通って搬送(移送、運搬)される。ステップs20において、その大きさ部分にわたるアイテムの厚さのばらつきに基づき曲線が生成される厚さ曲線の生成が続く。生成された曲線に基づき、ステップs30において、段部変化、又はアイテムの厚さの変化のある場所が検出される。s40において、検出された段部の各々の高さが計算され、s50において、測定された高さが予め設定された高さ値(X)と比較される。厚さ測定ステップs1の間、アイテム剛性も測定される(s90)。s60では、ステップs50での比較の結果が、s90で測定された剛性と所定の剛性値(Y)とを比較するステップと組み合わせられる。s60において組み合わせられた比較に基づき、二重又は多重送り状態が存在するかどうかが判定される。段部の高さが所定高さ値(X)よりも大きく、剛性が所定剛性値(Y)よりも大きい場合、重複状態が存在する、つまりアイテムが重複郵便物を含んでいる(s70)に対して、段部の高さが所定高さ値(X)よりも小さく、剛性が所定剛性値(Y)よりも小さい場合、重複がなく、従って二重送り状態がないと結論付けられる(s80)。所定高さ値(X)よりも大きい高さ、及び所定剛性値(Y)よりも大きい剛性を有する段部の数は、重複したアイテムの数を表す。
【0038】
従って、本開示によれば、一続きのアイテム内で重複アイテムを検出するためのシステム及び方法が実現されることが明白である。本開示により、多くの代替案、修正、及び変更が可能である。開示された実施形態の特性は、本発明の範囲内で組み合わせたり再構成したり省略したりして、付加的な実施形態を創作することができる。
【0039】
更に、時として、開示された実施形態の特定の特性を、他の特性を相応に使用することなしに使用して利益を得ることができる。それ故に、本出願者は、本開示の精神及び範囲内にあるこのような代替案、修正、等価物、及び変更を全て包含することを意図している。
【0040】
本発明の実施形態及び使用例を示し記載したが、本明細書の発明的概念から逸脱することなく更に多くの修正が可能であることが当業者には明白であろう。本発明は、本明細書に含まれている実施形態の記載に限定されるものではなく、むしろ、本明細書に添付されている特許請求項及びそれらの等価物により規定される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイテム取扱い全般に関し、より具体的には、アイテムが移送されている間に重複郵便物アイテムを検出するためのシステム、装置、方法、及びコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
郵便物仕分けシステムにおいて、仕分けられるべき郵便物は、それらの平面を共通の軸に沿わせて共に配置される略平坦で矩形の物体であり、山を成している。フィーダ機構が、個々の郵便物を、入力の山から、郵便物に印刷されている住所を読み取る光学式読取装置へと摘み上げ、郵便物を、宛先住所に対応する幾つかの出力の山のうちの1つへと差し向ける。郵便物取扱い装置において、郵便物アイテムは個々に移送されるべきである。ところが、送り速度が高いこと、又は製品形状(長さ、幅、高さ、及び厚さ)ならびに組成(材料、形式)が多様であることに起因して、重複した(二重送りの)郵便物の移送の割合も高くなることがある。複数の郵便物アイテムが、重複したやり方で取扱い装置に移送されると、取扱い装置はその通常の作業を実施することができない。
【0003】
現在利用可能な二重送り検出システムは、高価であったり複雑な装備(例えば通過するアイテムのデジタル画像を解析するデジタルカメラ)を必要とするか、又は、特定の形状、色、厚さを有するアイテム、特別な種類のアイテム、及び、互いに完全には重複していないアイテムを検出することに限定されているために、又は3つ以上の重複アイテムを正確に検出できないために信頼できないかのいずれかである。これらの限定により、検出されない重複アイテムの数も、不正確に(不当に)拒絶されるアイテムの数も増加する。従って、状態、例えば二重送り(1つ以上の郵便物の重複)を判定するために、縁部を含む郵便物の特徴を、送り経路内で極力早急に正確に検出する検出システム、装置、及び方法を有することが有利であろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
郵便物の状態を判定するために、実施形態は全体として、主として縁部に焦点を置いた種々の特性を、しかし剛性、厚さ等のような特性をも、検出するためのシステム、装置、方法、及びコンピュータプログラム製品に向けられている。1つの例示的な状態として、アイテム、例えば、ただしこれらに限定されるものではないが、郵便物(書簡郵便物、混合郵便物)、大型封筒、及び他の郵便アイテム、又は、小看板又は平板等の他の同様の形状の物体の二重送りがある。
【0005】
種々の実施形態において、前記システム、装置、方法、及びコンピュータプログラム製品は、アイテムの流れとなって仕分け及び取扱い装置を同時に通過する2つ以上の重複アイテムの存在を検出するための手段を含む。
【0006】
種々の実施形態は、多重の重複アイテムを、不当な又は不正確な拒絶を低比率にして検出するためのシステム、装置、方法、及びコンピュータプログラム製品を含むことができる。
【0007】
種々の実施形態において、二重送りは、2つ以上のアイテムがそれらの平坦側に沿って共にくっつき、1つ以上の縁部が完全に又は部分的に重複しているものを含むことができる。二重送りは、異なる高さ、色、幅、及び厚さを有する2つ以上の重複アイテム(特に非常に薄い又は葉書様の物体)を含むことができる。
【0008】
種々の実施形態において、前記システムは、一続きのアイテム内で重複アイテムを検出するための手段を含むことができ、その場合、前記アイテムは、前記送り経路に沿って通過する際、それらの縁部のうちの少なくとも1つが目視用に露出されている。
【0009】
種々の実施形態において、前記システムは、前記重複アイテムの位置を互いに対して変位させることにより前記重複アイテムを分離させて完全に重複しないようにするための手段を含むことができる。種々の実施形態において、この変位は、前記アイテムがそれに沿って搬送される運搬経路内に移行区域を含むことにより達成することができる。前記移行区域は、前記運搬経路の屈曲区域、縁部区域、及び/又は湾曲区域、逆運搬区域又は真空式補助区域を含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0010】
種々の実施形態において、前記システムは、一続きになったアイテム(単一のもの及び/又は重複したもの)を、アイテム仕分け及び取扱い装置の送り経路に沿って搬送するための手段と、検出領域を通過する際に前記アイテムの長さ部分に沿った複数の地点で前記アイテムの厚さを測定するための手段と、前記アイテムの長さ部分に沿って測定された、異なる厚さ(厚さのばらつき)を表すデータから厚さ輪郭(曲線)を生成するための輪郭抽出手段と、前記抽出された厚さ曲線を解析し、前記輪郭に基づき二重送り状態(2つ以上の重複アイテム)を判定するための処理手段とを含むことができる。
【0011】
特に、種々の実施形態において、前記処理手段は、前記厚さ曲線を表す前記データを解析し、異なる厚さの領域間にある前記移行縁部を判定する。
【0012】
特に、種々の実施形態において、前記処理手段は、前記縁部間のレベル(段部変化又は段部又は割合変化)を計算し、離散した厚さレベルを提供し、各段部の高さと予め設定された最小値とを比較して、前記アイテムが単一のアイテムであるか、又は2つ以上の重複アイテムであるかを判定するか、又は、高さの変化の割合を比較して、前記比較に基づき前記アイテムが単一アイテムであるか2つ以上の重複アイテムであるかを判定する。
【0013】
特に、種々の実施形態において、前記処理手段は、前記段部変化が前記予め設定された最小値よりも大きい場合、2つ以上のアイテムが重複しているかどうかを判定する。前記最小値は、特定の用途に応じて設定することができ、幾多の要因、例えば、ただしこれらに限定されるものではないが、検出されるアイテムの種類、厚さの精度、及び前記システムにおいて使用される他の検出器、ならびに、前記アイテム仕分け及び取扱い装置の様々な変数に基づいている。
【0014】
種々の実施形態において、前記二重送り検出システムは、前記送り経路内において、移行区域、例えば、ただしこれらに限定されるものではないが、屈曲部、湾曲部、及び/又は縁部を使用することにより重複アイテムを互いに対して変位させることを更に含む。前記重複アイテムは、前記アイテムが前記移行区域を通る間、互いに対して離れるように移動させられる。
【0015】
種々の実施形態において、前記検出システムは、前記移行区域の所定の位置で前記アイテムの剛性を測定するための手段を更に含む。特に、前記アイテムの剛性は、前記移行部を通過する前記アイテムの偏り及び前記移行区域の幾何学形状に基づいて測定することができる。
【0016】
種々の実施形態において、前記検出システムは、剛性測定と厚さ測定との組み合わせに基づき、二重送り状態が存在するかどうかを判定する処理手段を更に含む。
【0017】
本書に記載されている図面は、図示するためだけのものであり、本開示の範囲を限定することを意図するものでは決してない。次の説明を図面と合わせて読むことにより本発明は最も良く理解されるであろう。なお、図面では、同様の要素が同様の参照符号で示されている。本書で使用されているとおり、種々の実施形態は、幾つか又は全ての実施形態を意味することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の種々の実施形態によるシステムの側面斜視図。
【図2】種々の実施形態による多重送り検出システムの部分平面図。
【図3】種々の実施形態による多重送り検出システムの概略正面斜視図。
【図4】種々の実施形態による重複郵便物アイテムの概略側面図。
【図5】種々の実施形態による重複郵便物アイテムの概略側面図。
【図6】送りの長さ部分にわたる厚さのばらつきを示す曲線マップ。
【図7】種々の実施形態による、移行区域及び剛性検出手段を含む検出システムの概略斜視図。
【図8】種々の実施形態による、縁部及び/又は剛性を測定するための、アイテムの検出を示す検出システムの概略斜視図。
【図9A】種々の実施形態による、検出工程を示すブロック図。
【図9B】種々の実施形態による、検出工程を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
全体として、図1〜図3では、アイテム仕分けシステム内で重複アイテムを検出するシステム及び方法が開示されており、本システムは、アイテムの大きさ部分に沿った複数の場所でアイテムの厚さを測定するための検出素子と、測定厚のばらつきを検出し、ばらつき間の差異を測定するように構成された処理素子とを含む。この「ばらつき間の差異」は、本説明及び特許請求の範囲を通じて「厚さの差異」とも表される。差異が、離散した厚さレベル間の段部変化又は段部を示し、処理素子が更に、段部変化(段部高さ)と所定高さ値(X)とを比較し、段部変化(段部高さ)が所定高さ値(X)よりも大きい場合、2つ以上の重複アイテムを示す二重送り状態を判定するように構成されている。
【0020】
図1〜図3に示すシステム100は、アイテムAの特定の状態、例えば、ただしこれらに限定されるものではないが、2つ以上のアイテム110、120が部分的又は完全に重複している二重又は多重送り状態を判定するために、種々の特性、例えば、ただしこれらに限定されるものではないが、アイテムAの縁部、剛性、厚さ等を検出するように構成されている。図1〜図3のアイテムAは、2つの重複郵便物110、120がそれらの平坦側に沿って共にくっつき、1つ以上の縁部が完全に又は部分的に重複しているものを含む。一方で、アイテムAは、アイテムの他の任意の組み合わせ、例えば、ただしこれらに限定されるものではないが、郵便物(書簡郵便物、混合郵便物)、大型封筒、及び他の郵便アイテム、又は他の同様の形状の物体、例えば、ただしこれらに限定されるものではないが、小看板又は平板を含むことができる。重複アイテムは、異なる高さ、色、幅、及び/又は厚さを有することができる。図1〜図3に示す重複郵便物110及び120は、ローラ130及び140により、矢印で示すような方向に、コンベヤ経路(図示せず)に沿って同時に移動する(搬送される)(郵便物フロー)。運搬経路に沿って、重複郵便物110、120に対して略垂直な面内に、郵便物110、120の運搬方向に対して概ね垂直な方向に光学路(光路)を有する1つ以上の厚さ検出器150及び160を位置決めすることができる。検出器150及び160は、アイテムA(重複郵便物110、120を含むもの)が検出器150、160の検出視野を通る際、アイテムAの片側又は両側を目視し検出することにより、アイテムの厚さを連続して測定するように構成されている。厚さ検出器150及び160からのデータは図2に示す処理素子170に送信され、処理素子170は、検出器150、160からのデータを処理して解析し、運搬方向(即ちアイテムAの長さ部分に沿った方向)と略平行であるアイテムAの大きさ部分に沿った、アイテムAの厚さのばらつきの輪郭(曲線)180(図6に詳細に示す)を生成する。アイテムAの全長Lは、個々の郵便物110及び120それぞれの長さL1及びL2に依存し、それらの間の重複量にも同様に依存する。処理素子170は更に、生成された厚さ曲線180に基づき、アイテムAの測定厚のばらつきを認識(判定)し、ばらつき間の差異(厚さの差異)を測定するように構成されていて、差異は、アイテムAの離散した厚さ領域のレベル間の段部変化(段部D1、D2等)を示すものである(図4及び図5を参照のこと)。処理素子170は更に、認識された段部の各々の高さ(S1、S2、S3等)を計算するように構成されている。処理素子170はその後、計算済みである、認識された各段部の高さ(S1、S2、S3等)と予め決まっている高さ値(X)とを比較し、段部Diの高さSiが所定高さ値(X)よりも大きい場合、二重又は多重送り状態(即ち重複郵便物)を認識し、段部Diの高さSiが所定高さ値(X)よりも小さい場合、二重送り状態(重複郵便物)を認識しない。互いにくっついている郵便物110、120の数は、所定高さ値(X)よりも大きい高さSiを有する段部Diの数に対応している。従って、このシステム及び方法により、重複アイテムの個々の厚さ又は全厚に関わりなく多重の重複アイテムの検出が可能になる。処理素子170は、更に、厚さ曲線測定に基づき、アイテムの重複率及び/又は重複距離を求めることができる。
【0021】
厚さ検出器150、160は、適用可能な任意の厚さ検出器、例えば、ただしこれらに限定されるものではないが、任意の光学置換検出器、レーザ、赤外又は紫外検出器、2D及び3Dカメラベースの検出器、ならびに任意の機械式厚さ測定素子を含むことができる。
【0022】
図6は、実施形態による処理素子170により生成された例示的な厚さ曲線180を示す。曲線は、郵便物アイテムAの長さ部分に沿った異なる地点での測定厚から得られる離散した厚さレベルを示す。
【0023】
図7に関して、仕分け設備内で重複アイテム210を検出するためのシステム200を示す。種々の実施形態において、アイテム210は、例えば郵便物仕分け設備内をローラ240によりコンベヤ素子又はプラテン241に沿って移動する2つの重複郵便物220及び230を含む郵便物アイテムである。運搬経路は、例えば郵便物220のうちの一方が例えば移行区域242を通る間に他方の郵便物230に対して移動(変位)することのできる移行区域242を有する。この移行区域242は、コンベヤベルト内の湾曲区域、又はコンベヤベルトに沿った縁部、又は、郵便物220、230が移行区域242の周りで屈曲し互いに対して変位することのできる他の任意の同様の機構とすることができる。郵便物220、230は、この移動により完全に分離することができるか、又は、部分的にのみ分離して、部分的に重複したままであるがそれらの先端221、231がそれぞれ互いから更に離れ、目視及び検出をより容易かつ正確にすることができるかのいずれかである。先端221、231が分離することで、厚さ曲線の生成中、多重の厚さ領域間の分離を、より良好に認めることができる。
【0024】
システム200は、アイテム210に対して略垂直、かつ運搬経路に対して略垂直な面内に位置決めされた少なくとも1つの厚さ検出器250、260を含み、アイテムが運搬経路に沿って移動する間、アイテム210に沿った異なる位置でアイテム210の厚さを連続して検出する。厚さ検出器250、260からのデータは、検出器250、260から受信されたデータを解析して運搬方向(即ち、例えばアイテムの長さ部分)と平行なアイテム210の大きさ部分に沿って厚さのばらつきの輪郭を(例えば図6に示す輪郭と同様に)生成する処理素子(プロセッサ)270に送信される。プロセッサ270は、アイテム210の全厚が変化する領域を判定(認識)し、異なる厚さの隣接する領域間の移行領域D1、D2(段部)を認識し、認識された段部(D1、D2等)の各々の高さ(S1、S2、S3等)を計算する。プロセッサ270は、その後、認識された各段部(D1、D2等)の高さ(S1、S2、S3等)と、予め決まっている記憶された高さ値(X)とを比較し、段部Diの高さSiが所定高さ値(X)よりも大きい場合、二重又は多重送り(重複アイテム)状態を認識する。互いにくっついている(重複した)郵便物の数は、所定値を超える高さを有する段部変化の数に対応している。
【0025】
種々の実施形態において、少なくとも1つの剛性センサ290をシステム200内に付加することによっても二重送り検出効果が増す。剛性センサ290は、移行区域242近傍に位置決めされ、郵便物アイテム210が屈曲しつつ移行領域242を通る間、移送される郵便物アイテム210の剛性を測定する。剛性センサ290は、剛性センサ290の位置に対する個々の郵便物210、220の偏りを測定し、測定された偏りと移行区域242の幾何学形状(形状、位置等)とに基づき、郵便物210、220の剛性(こわさ)を求めるように構成されている。郵便物220、230の剛性を測定することは、郵便物220、230が同じ長さを有する場合であっても、及び/又はほぼ完全に重複している場合であっても、郵便物220、230が重複しているかどうかを見分けるのに役立つ。郵便物220、230が同じ長さを有する場合、及び/又は完全に重複している場合、2つの別個の厚さ範囲間の段部変化を示す2つの別個の先端221、231を見分けることはより困難である。従って、個々の郵便物220、230の剛性を検出すれば、二重(又は多重)送り状態を検出する可能性が増す一方で検出誤差が低減する。
【0026】
厚さ検出器と剛性検出器とが両方使用される実施形態では、プロセッサ270は更に、剛性検出器290から受信されるデータを解析し、測定された剛性と所定剛性値(Y)とを比較するように構成されている。プロセッサ270はその際、認識された各段部の高さ(S1、S2、S3等)と予め決まっている高さ値(X)とを、及び測定された剛性と所定剛性値(Y)とを比較し、段部の高さが所定高さ値(X)よりも大きく、剛性が所定剛性値(Y)を超える場合、二重送り状態を認識し、段部変化及び剛性がそれぞれの所定値(X)及び(Y)を超えない場合、二重送り状態を認識しない。従って、このシステムにより、重複アイテムの個々の厚さ又は全厚及び長さに関わりなく多重の重複アイテムの検出が可能になり、従って、仕分け中に多重の郵便物が重複しているかどうかのより正確な判定が可能になる。
【0027】
剛性検出器290、及び厚さ検出器250、260は、適用可能な任意の厚さ及び剛性検出器、例えば、ただしこれらに限定されるものではないが、任意の光学置換検出器、レーザ、赤外又は紫外検出器、ならびに2D及び3Dカメラベースの検出器を含むことができる。厚さ検出器は、適用可能な任意の機械式厚さ検出器機構をも含むことができる。
【0028】
従って、システムにより、重複郵便物の個々の厚さ又は全厚及び長さに関わりなく多重の重複郵便物の検出が可能になる。システムを使用して、状態、例えば、異なる又は同様の形状、長さ、幅、及び/又は厚さを有する郵便物アイテムの任意の組み合わせの二重又は多重送り状態を検出することができる。郵便物アイテムは、書簡、葉書、及び/又は大型封筒とすることができるが、これらに限定されるものではない。システム及び方法を使用して、同様の形状を有する重複アイテム、例えば、ただしこれらに限定されるものではないが、小看板及び平板を検出することもできる。処理素子は更に、厚さ曲線測定に基づき、アイテムの重複率及び/又は重複距離を求めることができる。
【0029】
図8に関して、アイテム仕分け設備内で重複アイテム330を検出するためのシステム300を示す。2つの重複郵便物310及び320を備えたアイテム330は、ローラ340によりコンベヤ素子又はプラテン341に沿って移動する。運搬経路は、郵便物のうちの一方が移行区域342を通る間に他方の郵便物に対して移動(変位)することのできる移行区域342を有する。移行区域342は、コンベヤベルト内の湾曲区域、又はコンベヤベルトに沿った縁部、又は、郵便物310、320が移行区域342の周りで屈曲又は移動し互いに対して変位することのできる他の任意の同様の機構とすることができる。郵便物310、320は、この移動により完全に分離することができるか、又は、部分的にのみ分離して、部分的に重複したままであるがそれらの先端311、321がそれぞれ互いから更に離れ、目視及び検出をより容易かつ正確にすることができるかのいずれかである。先端311、321が分離することで、例えば、厚さ曲線の生成中、多重の厚さ領域間の分離を、より良好に認めることができる。また、先端311、321が分離することで、例えば縁部の検出中、先端を、より良好に認めることができる。
【0030】
2つの検出器(センサ)301、302が移行区域342近傍に位置決めされており、これらの検出器は、アイテム330が移行領域342を通りながら屈曲(変位)する間、移送されるアイテム330の剛性及び/又は厚さを測定するように、及び/又は、重複郵便物310、320の先端311、321を検出するように構成されている。図8に2つの検出器を示す。一方で、厚さ、剛性を測定するように構成された、及び/又は縁部を検出するように構成された唯1つの検出器を使用することもできる。検出器301、302は、検出器301、302の位置に対する個々の郵便物310、320の偏りをそれぞれ測定することによりアイテム330の剛性を検出し、測定された偏りと移行区域342の幾何学形状(形状、位置等)とに基づき、個々の郵便物310、320の剛性(こわさ)を求めることができる。アイテム330の剛性を測定することは、個々の郵便物310、320が同じ長さを有する場合であっても、及び/又は完全に重複している場合であっても、郵便物310、320が重複しているかどうかを見分けるのに役立つ。郵便物310、320が同じ長さを有する場合、及び/又は完全に重複している場合、2つの別個の先端311、321、又は2つの別個の厚さ範囲を見分けることはより困難であり、従って、アイテム330の個々の郵便物310、320の剛性を検出すれば、二重(多重)送り状態を検出する可能性が増す。検出器301及び302は、アイテムが移行区域342を通る際、アイテム330の長さ部分に沿った複数の位置でアイテム330の厚さを測定するように構成することもできる。検出器301、302からのデータは処理素子(図示せず)に送ることができ、処理素子はその際、検出器301、302から受信されるデータを解析し、アイテム330の個々の郵便物310、320の測定された剛性、及び/又は、厚さ曲線解析、及び/又は、先端位置検出に基づき、アイテム重複があるかどうかを判定する。
【0031】
検出器301、302のうちの一方が厚さ検出器として使用され、他方が剛性検出器として使用される実施形態において、プロセッサは、両方の検出器301、302から受信されるデータを解析し、測定を組み合わせて重複状態が存在するかどうかを判定するように構成されている。プロセッサは、アイテムが移行範囲342を通っている間にアイテム330の長さ部分に沿った異なる地点で取られた厚さ測定に基づき、厚さ曲線を導き出す。プロセッサはその際、アイテム330の厚さのばらつきが生じる場所を認識し、厚さの変化が生じる各場所に段部Diを割り当てる。プロセッサはその際、認識された全ての段部Diの高さ(S1、S2、S3等)を計算し、認識された各段部の高さ(S1、S2、S3等)と、予め決まっている高さ値(X)とを比較する。プロセッサは更に、第2の検出器により測定された剛性と、所定の剛性値(Y)とを比較するように構成されている。プロセッサはその際、段部変化が所定高さ値(X)よりも大きく、剛性が所定剛性値(Y)を超える場合、二重送り状態を認識し、段部変化及び剛性がそれぞれの所定値(X)及び(Y)を超えない場合、二重送り状態を認識しない。従って、このシステムにより、重複アイテムの個々の厚さ又は全厚及び長さに関わりなく多重の重複アイテムの検出が可能になり、従って、仕分け中に多重の郵便物が重複しているかどうかのより正確な判定が可能になる。処理素子は更に、厚さ曲線測定に基づき、アイテムの重複率及び/又は重複距離を求めることができる。
【0032】
個々の郵便物310、320は、異なる又は同様の形状、長さ、幅、及び/又は厚さを有する任意の郵便物アイテムを含むことができる。郵便物アイテムは、書簡、葉書、及び/又は大型封筒とすることができるが、これらに限定されるものではない。システム及び方法を使用して、同様の形状を有する重複アイテム、例えば、ただしこれらに限定されるものではないが、小看板及び平板を検出することもできる。
【0033】
剛性、厚さ、及び縁部検出器301、302は、適用可能な任意の厚さ、剛性、及び縁部検出器、例えば、ただしこれらに限定されるものではないが、任意の光学置換検出器、レーザ、赤外又は紫外検出器、ならびに2D及び3Dカメラベースの検出器を含むことができる。厚さ検出器は、任意の機械式厚さ検出器を含むこともできる。
【0034】
図9Aには、図1〜図8の実施形態で開示されているようなシステムのうちの任意のものによりアイテム状態、例えば二重又は多重送り状態(重複アイテム)を検出するのに適用することのできる検出工程s100が示されている。工程s100は、非一時的コンピュータ読取り可能媒体、例えばディスク、CD‐ROM等に記憶させ、特別な用途での工程の実行に必要な任意のソフトウェア及びハードウェアモジュールを含むコンピュータ処理システムにより実行させることもできる。コンピュータ読取り可能記憶媒体に、アイテム仕分けシステム内で重複アイテムを取扱うための一続きのプログラム命令が具体化されているので、コンピュータ読取り可能記憶媒体に具体化された一続きのプログラム命令をコンピュータ処理システムが実行する際、コンピュータ読取り可能記憶媒体は、コンピュータ処理システムに、アイテムの大きさ部分に沿った複数の場所でアイテムの厚さを測定するステップ、測定厚のばらつきを検出するステップ、離散した厚さレベル間の段部を示すばらつき間の差異(厚さの差異)を測定するステップ、段部と所定高さ値とを比較するステップ、段部が所定高さ値よりも大きい場合、2つ以上の重複アイテムを示す二重送り状態を判定するステップ、を実施させる。
【0035】
s1において、検出素子が、移動するアイテムの大きさ部分(例えば長さ部分)に沿った種々の地点でアイテムの厚さを連続して測定している一方で、アイテムは運搬素子上を、厚さ測定検出器の検出視野を通って搬送(移送、運搬)される。ステップs2において、厚さ曲線の生成が続き、その大きさ部分にわたるアイテムの厚さのばらつきに基づき曲線が生成される。生成された曲線に基づき、ステップs3において、段部、又はアイテムの厚さの変化のある場所が検出される。s4において、検出された段部の各々の高さが計算され、s5において、測定された高さが予め設定された高さ値(X)と比較される。比較の結果に基づき、s6において、アイテムが重複アイテムであるかどうか、従って、二重又は多重送り状態が存在するかどうかが判定される。段部の高さが所定高さ値(X)よりも大きい場合、重複状態が存在する、つまりアイテムが重複郵便物を含んでいる(s7)のに対して、段部変化の高さが所定高さ値(X)よりも小さい場合、重複がなく、従って二重送り状態がないと結論付けられる(s8)。所定高さ値(X)よりも大きい高さを有する段部の数は、重複したアイテムの数を表す。
【0036】
図9Bには、図1〜図8の実施形態で開示されているようなシステムのうちの任意のものによりアイテム状態、例えば二重又は多重送り状態(重複アイテム)を検出するのに適用することのできる検出工程s200が示されており、移動するアイテムには、厚さ検出のほかに剛性検出も実施される。工程s200は、非一時的コンピュータ読取り可能媒体、例えばディスク、CD‐ROM等に記憶させ、特別な用途での工程の実行に必要な任意のソフトウェア及びハードウェアモジュールを含むコンピュータ処理システムにより実行させることもできる。コンピュータ読取り可能記憶媒体に、アイテム仕分けシステム内で重複アイテムを取扱うための一続きのプログラム命令が具体化されているので、コンピュータ読取り可能記憶媒体に具体化された一続きのプログラム命令をコンピュータ処理システムが実行する際、コンピュータ読取り可能記憶媒体は、コンピュータ処理システムに、アイテムの大きさ部分に沿った複数の場所でアイテムの厚さを測定するステップ、測定厚のばらつきを検出するステップ、ばらつき間の差異(厚さの差異)、ここで差異は離散した厚さレベル間の段部を示す、を測定するステップ、段部と所定値とを比較するステップ、段部が所定高さ値よりも大きい場合、2つ以上の重複アイテムを示す二重送り状態を判定するステップ、を実施させる。
【0037】
s10において、検出素子が、アイテムの大きさ部分に沿った種々の地点に沿ってアイテムの厚さを連続して測定し、アイテムは、運搬素子上を、測定区域を通って搬送(移送、運搬)される。ステップs20において、その大きさ部分にわたるアイテムの厚さのばらつきに基づき曲線が生成される厚さ曲線の生成が続く。生成された曲線に基づき、ステップs30において、段部変化、又はアイテムの厚さの変化のある場所が検出される。s40において、検出された段部の各々の高さが計算され、s50において、測定された高さが予め設定された高さ値(X)と比較される。厚さ測定ステップs1の間、アイテム剛性も測定される(s90)。s60では、ステップs50での比較の結果が、s90で測定された剛性と所定の剛性値(Y)とを比較するステップと組み合わせられる。s60において組み合わせられた比較に基づき、二重又は多重送り状態が存在するかどうかが判定される。段部の高さが所定高さ値(X)よりも大きく、剛性が所定剛性値(Y)よりも大きい場合、重複状態が存在する、つまりアイテムが重複郵便物を含んでいる(s70)に対して、段部の高さが所定高さ値(X)よりも小さく、剛性が所定剛性値(Y)よりも小さい場合、重複がなく、従って二重送り状態がないと結論付けられる(s80)。所定高さ値(X)よりも大きい高さ、及び所定剛性値(Y)よりも大きい剛性を有する段部の数は、重複したアイテムの数を表す。
【0038】
従って、本開示によれば、一続きのアイテム内で重複アイテムを検出するためのシステム及び方法が実現されることが明白である。本開示により、多くの代替案、修正、及び変更が可能である。開示された実施形態の特性は、本発明の範囲内で組み合わせたり再構成したり省略したりして、付加的な実施形態を創作することができる。
【0039】
更に、時として、開示された実施形態の特定の特性を、他の特性を相応に使用することなしに使用して利益を得ることができる。それ故に、本出願者は、本開示の精神及び範囲内にあるこのような代替案、修正、等価物、及び変更を全て包含することを意図している。
【0040】
本発明の実施形態及び使用例を示し記載したが、本明細書の発明的概念から逸脱することなく更に多くの修正が可能であることが当業者には明白であろう。本発明は、本明細書に含まれている実施形態の記載に限定されるものではなく、むしろ、本明細書に添付されている特許請求項及びそれらの等価物により規定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬経路に沿って搬送される一続きのアイテム内で重複アイテムを検出するための重複検出システムであって、
前記運搬経路近傍に位置決めされ、複数の場所に沿ってアイテムの厚さを測定する厚さ測定素子と、
前記厚さ測定に基づき、二重送り状態が存在するかどうかを判定するように構成された処理素子と
を含み、
前記処理素子が更に、
厚さ測定素子による前記測定厚に基づき前記アイテムの厚さ輪郭を生成し、前記厚さ輪郭における隣接する厚さレベル間の差異に対応する1つ以上の段部を示し、各段部高さと所定高さ値とを比較し、前記比較に基づき二重送り状態が存在するかどうかを判定するように構成され、
段部高さが前記所定高さ値よりも大きい場合、二重送り状態が存在すると判定される、
システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、複数の重複アイテムが、第2の所定値よりも大きい複数の段部と対応している場合にも、二重送り状態が判定される、システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシステムであって、前記処理素子が、
前記厚さ測定素子により測定された異なる厚さを表すデータから前記厚さ輪郭を生成するための輪郭抽出素子と、
前記抽出された厚さ輪郭を解析し、離散した厚さレベルを判定し、隣接する離散した厚さレベルの領域間の段部を判定するための解析素子と、
各段部の高さを計算し、前記段部を生成するための計算素子と、
を更に含む、システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のシステムであって、
該システムが、前記一続きのアイテム内の前記アイテムの剛性を測定する剛性測定素子を更に含み、
前記処理素子が更に、前記測定された剛性と所定剛性値とを比較し、前記段部比較及び前記剛性比較に基づき前記アイテムが重複アイテムであるかどうかを判定するように構成されている、
システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のシステムであって、
該システムが、前記一続きのアイテム内のアイテムの移動方向を変化させるための前記運搬経路内の移行区域を含み、前記方向変化が、重複アイテムの先端を露出させるために前記重複アイテムの互いに対する移動を生み出し、、
前記移行区域が、前記運搬経路内の屈曲部、湾曲部、及び縁部のうちの少なくとも1つを含む、
システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のシステムであって、
前記剛性測定素子が、前記アイテムの偏り測定素子に対する偏りを検出し測定する偏り測定素子を含み、
前記アイテムの前記測定された偏り及び前記移行区域の形状に基づき、前記アイテムの前記剛性が求められる、
システム。
【請求項7】
アイテム仕分けシステム内で重複アイテムを検出する方法であって、該方法が、
前記アイテムに沿った複数の場所で前記アイテムの厚さを測定すること、
前記測定厚のばらつきを検出すること、
離散した厚さレベル間の段部を示す厚さの差異を測定すること、
前記段部と所定高さ値とを比較すること、及び
段部高さが前記所定高さ値よりも大きい場合、2つ以上の重複アイテムを示す二重送り状態を判定すること、
を含む方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、該方法が、
重複アイテムを互いに対して変位させるために前記運搬経路に沿った前記アイテムの移動の方向を変化させ、前記移動方向の変化が前記運搬経路内の移行区域に沿った前記アイテムの搬送を含み、前記移行区域が前記運搬経路内の屈曲部、湾曲部、及び縁部のうちのいずれか1つを含むこと、及び
前記変位中に前記アイテムの前記剛性を測定すること、
を含み、
段部高さが前記所定高さ値よりも大きく、かつ前記剛性が前記所定剛性値よりも大きい場合、二重送り状態が存在すると判定される、
方法。
【請求項9】
アイテム仕分けシステム内の重複アイテムを取扱う一続きのプログラム命令が具体化されているコンピュータ読取り可能記憶媒体であって、前記アイテム仕分けシステムが、前記コンピュータ読取り可能記憶媒体上で具体化された前記一続きのプログラム命令を実行するコンピュータ処理システムを含み、前記コンピュータ処理システムに、
前記アイテムの寸法に沿った複数の場所で前記アイテムの厚さを測定するステップと、
前記測定厚のばらつきを検出するステップと、
離散した厚さレベル間の段部を示す厚さの差異を測定するステップと、
前記段部高さと所定高さ値とを比較するステップと、
段部高さが前記所定高さ値よりも大きい場合、2つ以上の重複アイテムを示す二重送り状態を判定するステップと
を実施させる、コンピュータ読取り可能記憶媒体。
【請求項1】
運搬経路に沿って搬送される一続きのアイテム内で重複アイテムを検出するための重複検出システムであって、
前記運搬経路近傍に位置決めされ、複数の場所に沿ってアイテムの厚さを測定する厚さ測定素子と、
前記厚さ測定に基づき、二重送り状態が存在するかどうかを判定するように構成された処理素子と
を含み、
前記処理素子が更に、
厚さ測定素子による前記測定厚に基づき前記アイテムの厚さ輪郭を生成し、前記厚さ輪郭における隣接する厚さレベル間の差異に対応する1つ以上の段部を示し、各段部高さと所定高さ値とを比較し、前記比較に基づき二重送り状態が存在するかどうかを判定するように構成され、
段部高さが前記所定高さ値よりも大きい場合、二重送り状態が存在すると判定される、
システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、複数の重複アイテムが、第2の所定値よりも大きい複数の段部と対応している場合にも、二重送り状態が判定される、システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシステムであって、前記処理素子が、
前記厚さ測定素子により測定された異なる厚さを表すデータから前記厚さ輪郭を生成するための輪郭抽出素子と、
前記抽出された厚さ輪郭を解析し、離散した厚さレベルを判定し、隣接する離散した厚さレベルの領域間の段部を判定するための解析素子と、
各段部の高さを計算し、前記段部を生成するための計算素子と、
を更に含む、システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のシステムであって、
該システムが、前記一続きのアイテム内の前記アイテムの剛性を測定する剛性測定素子を更に含み、
前記処理素子が更に、前記測定された剛性と所定剛性値とを比較し、前記段部比較及び前記剛性比較に基づき前記アイテムが重複アイテムであるかどうかを判定するように構成されている、
システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のシステムであって、
該システムが、前記一続きのアイテム内のアイテムの移動方向を変化させるための前記運搬経路内の移行区域を含み、前記方向変化が、重複アイテムの先端を露出させるために前記重複アイテムの互いに対する移動を生み出し、、
前記移行区域が、前記運搬経路内の屈曲部、湾曲部、及び縁部のうちの少なくとも1つを含む、
システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のシステムであって、
前記剛性測定素子が、前記アイテムの偏り測定素子に対する偏りを検出し測定する偏り測定素子を含み、
前記アイテムの前記測定された偏り及び前記移行区域の形状に基づき、前記アイテムの前記剛性が求められる、
システム。
【請求項7】
アイテム仕分けシステム内で重複アイテムを検出する方法であって、該方法が、
前記アイテムに沿った複数の場所で前記アイテムの厚さを測定すること、
前記測定厚のばらつきを検出すること、
離散した厚さレベル間の段部を示す厚さの差異を測定すること、
前記段部と所定高さ値とを比較すること、及び
段部高さが前記所定高さ値よりも大きい場合、2つ以上の重複アイテムを示す二重送り状態を判定すること、
を含む方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、該方法が、
重複アイテムを互いに対して変位させるために前記運搬経路に沿った前記アイテムの移動の方向を変化させ、前記移動方向の変化が前記運搬経路内の移行区域に沿った前記アイテムの搬送を含み、前記移行区域が前記運搬経路内の屈曲部、湾曲部、及び縁部のうちのいずれか1つを含むこと、及び
前記変位中に前記アイテムの前記剛性を測定すること、
を含み、
段部高さが前記所定高さ値よりも大きく、かつ前記剛性が前記所定剛性値よりも大きい場合、二重送り状態が存在すると判定される、
方法。
【請求項9】
アイテム仕分けシステム内の重複アイテムを取扱う一続きのプログラム命令が具体化されているコンピュータ読取り可能記憶媒体であって、前記アイテム仕分けシステムが、前記コンピュータ読取り可能記憶媒体上で具体化された前記一続きのプログラム命令を実行するコンピュータ処理システムを含み、前記コンピュータ処理システムに、
前記アイテムの寸法に沿った複数の場所で前記アイテムの厚さを測定するステップと、
前記測定厚のばらつきを検出するステップと、
離散した厚さレベル間の段部を示す厚さの差異を測定するステップと、
前記段部高さと所定高さ値とを比較するステップと、
段部高さが前記所定高さ値よりも大きい場合、2つ以上の重複アイテムを示す二重送り状態を判定するステップと
を実施させる、コンピュータ読取り可能記憶媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【公開番号】特開2011−161436(P2011−161436A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−15551(P2011−15551)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(510302249)ジック インク (2)
【氏名又は名称原語表記】SICK Inc.
【住所又は居所原語表記】6900 West 110th Street, Minneapolis, MN 55438 USA
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15551(P2011−15551)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(510302249)ジック インク (2)
【氏名又は名称原語表記】SICK Inc.
【住所又は居所原語表記】6900 West 110th Street, Minneapolis, MN 55438 USA
【Fターム(参考)】
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