説明

物品の管理システム

【課題】作業者が用いる読取装置により、物品に付した管理票の物品情報を読取るに際し、同一管理票の物品情報を重複して読取ることを防止し、作業者による物品取扱い時間を短縮すること。
【解決手段】物品情報を記した管理票10を物品に付し、物品の取扱い作業者が用いる読取装置により上記管理票10の物品情報を読取り、読取装置が出力する読取り結果に基づいて物品を管理する物品の管理システムであって、管理票10に物品情報とともに重複読取り防止コードBを併記し、読取装置は物品情報とともに重複読取り防止コードBを読取るようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品倉庫のための入出庫管理等の管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の物品倉庫では、特許文献1に記載の如く、パレットに積付けた物品の入庫又は出庫の都度、フォークマン等の物品取扱い作業者が携帯して用いる読取装置(作業者携帯端末)により、物品に付した物品情報コードを読取り、物品の入庫管理又は出庫管理を行なっている。
【特許文献1】特開2003-2415
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術では、複数個のパレットを連続して取扱うに際し、1人の作業者があるパレットP1を処理しようとして当該パレットP1に積付けられている物品の物品情報コードを読取った後、同一人又は別人の作業者が残りの他のパレットP2を処理しようとして当該他のパレットP2に積付けられている物品の物品情報コードを読取るとき、パレットP1を他のパレットP2として誤認するおそれがある。1個のパレットP1に積付けられている物品の物品情報コードを重複して読取るというミスであり、このミスは防止が困難である。
【0004】
本発明の課題は、作業者が用いる読取装置により、物品に付した管理票の物品情報を読取るに際し、同一管理票の物品情報を重複して読取ることを防止し、作業者による物品取扱い時間を短縮することにあり、ひいては誤出荷を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、物品情報を記した管理票を物品に付し、物品の取扱い作業者が用いる読取装置により上記管理票の物品情報を読取り、読取装置が出力する読取り結果に基づいて物品を管理する物品の管理システムであって、管理票に物品情報とともに重複読取り防止コードを併記し、読取装置は物品情報とともに重複読取り防止コードを読取るようにしたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
(A)管理票(図1)
図1に示す管理票10は、複数の同一品種物品1を1個のパレット2に積付ける段階で、少なくとも1個の物品1に貼付等されて付される。管理票10には、物品1の品名コードA1、製造日コードA2(ロットNo.)、製造時間コードA3、1個のパレット2への物品積付け数量A4を含む、物品情報Aがバーコードにて記される。
【0007】
管理票10が用いられる物品1の管理システムでは、フォークマン等の物品取扱い作業者が携帯して用いる読取装置20(作業者携帯端末)により、パレット2上の物品1に付されている管理票10の物品情報Aを読取り、読取装置20が出力する読取り結果に基づいて後述する如く、物品1を管理する。
【0008】
管理票10は、作業者が用いる読取装置20により同一管理票10の物品情報を重複して読取ることを防止するため、物品情報Aとともに重複読取り防止コードB(B1、B2)を併記している。図1に例示した管理票10では、物品情報Aを構成する品名コードA1、製造日コードA2、製造時間コードA3を挟む両側(片側でも可)に、同じくバーコードからなる重複読取り防止コードB1、B2を記す。従って、読取装置20は、管理票10の物品情報Aとともに、重複読取り防止コードBを読取る。
【0009】
以下、物品1の管理システムにおける管理票10の使用例について説明する。
【0010】
(B)一時保管場所(現場倉庫)への保管状況(図2)
(1)物品1の製造ラインで、ロボット又は人手により、複数の物品1をパレット2に積付ける。物品1は段ボール箱等に梱包されており、この梱には物品1の品名コード等の外装バーコードが表示されている。
【0011】
(2)作業者は読取装置20を用いて、物品1の外装バーコードを読取る。これにより、読取装置20は、物品1の品名コードA1、積付け数量A4を取得するとともに、現在時刻より製造日A2(ロットNo.)を算出する。作業者は読取装置20に製造時間A3を手入力する。
【0012】
(3)読取装置20は、上述(2)の品名コードA1、製造日コードA2、製造時間コードA3、積付け数量A4を含む物品情報Aに、重複読取り防止コードBを併記した管理票10をラベルプリンタにて発行する。
【0013】
(4)管理票10をパレット2上の1つの物品1に貼付する。尚、パレット2上に2種のロットの各物品が積付けられているときには、各ロットの物品1のそれぞれに対応する全2枚の管理票10のそれぞれをそれらの各ロットの物品1に貼付する。
【0014】
(5)パレット2を工場内の一時保管場所へ移動し、保管する。
【0015】
(C)倉庫への入庫(図3)
(1)工場内において、パレット2を一時保管場所から出庫し、いずれかの倉庫に入庫させたいとき、物流担当者は、入庫先倉庫No.、輸送車の車No.を定め、上位コンピュータへの入庫の指示入力を行なう。上位コンピュータは、1個以上の入庫先倉庫に対応する各倉庫管理コンピュータに入庫の指示データを展開する。
【0016】
(2)物流担当者は上位コンピュータから当日入庫指示書を出力する。入庫指示書には、出庫元倉庫No.、入庫先倉庫No.、車No.、品名、数量等の情報がある。
【0017】
(3)物流担当者は上述(2)の入庫指示書を、輸送車の運転手に手渡す。輸送車は出庫元倉庫No.の現場倉庫へ移動する。
【0018】
(4)現場倉庫の作業者(フォークマン)は運転手から入庫指示書を受取る。作業者は、自らの作業者コードNo.を読取装置20に入力するとともに、この読取装置20を用いて、入庫指示書から取得した出庫先倉庫No.、車No.を倉庫管理コンピュータに送信し、この出庫元倉庫No.の一時保管場所に該当する入庫指示の情報を取得する。
【0019】
(5)作業者は、入庫指示情報に基づいて出庫品のパレット2を確認し、当該パレット2上の物品1に貼付されている管理票10を読取装置20により読取る。読取装置20は、管理票10の読取り結果(物品情報Aと重複読取り防止コードB)(場合により、作業者コードも)を倉庫管理コンピュータに併せ出力する。倉庫管理コンピュータは、読取装置20の上記出力情報と、入庫指示情報との照合を行ない、照合結果に異常がなければ、出庫実績情報の更新(場合により、作業者情報の更新も)を行なう。
【0020】
(6)作業者は出庫品をフォークリフトで輸送車に積込む。
【0021】
(7)入庫指示の情報にある全ての物品数量を出庫するまで上述(5)、(6)を繰り返した後、積込み完了を倉庫管理コンピュータに送信する。
【0022】
(8)輸送車は出庫元倉庫No.の一時保管場所から入庫先倉庫へ移動する。入庫先倉庫の作業者(フォークマン)は運転手から入庫指示の情報を受取る。作業者は、場合により自らの作業者コードNo.を読取装置20に入力するとともに、この読取装置20を用いて、入庫指示書で取得した入庫先倉庫No.、車No.を倉庫管理コンピュータに送信し、この入庫先倉庫に該当する入庫指示の情報を取得する。
【0023】
(9)作業者は、入庫指示の情報に基づいて入庫品のパレット2を確認し、当該パレット2上の物品1に貼付されている管理票10を読取装置20により読取る。読取装置20は、管理票10の読取り結果(物品情報Aと重複読取り防止コードB)と、場合により作業者コードとを倉庫管理コンピュータに併せ出力する。倉庫管理コンピュータは、読取装置20の上記出力情報と、入庫指示の情報との照合を行ない、照合結果に異常がなければ、在庫情報の更新(場合により、作業者情報の更新も)を行なう。
【0024】
(10)作業者は入庫品をフォークリフトで輸送車に積込む。
【0025】
(11)入庫指示の情報にある全ての物品数量を入庫するまで上述(9)、(10)を繰り返した後、入庫終了を倉庫管理コンピュータと上位コンピュータに送信し、上位コンピュータは輸送実績情報の更新を行なう。
【0026】
(D)倉庫からの出庫(図4)
(1)上位コンピュータ間で送受信された出荷指示を倉庫管理コンピュータにオーダデータを展開する。物流担当者は必要によりオーダデータを修正できる。
【0027】
(2)物流担当者は上位コンピュータから送り状を出力する。送り状には、出庫元倉庫No.、出庫先、車No.、品名、数量等の情報がある。
【0028】
(3)物流担当者は上述(2)の送り状を、輸送車の運転手に手渡す。輸送車は出庫元倉庫へ移動する。
【0029】
(4)出庫元倉庫の作業者(フォークマン)は運転手から送り状を受取る。場合により作業者は、自らの作業者コードNo.を読取装置20に入力するとともに、この読取装置20を用いて、送り状から取得した出庫元倉庫No.、車No.を倉庫管理コンピュータに送信し、この出庫元倉庫内の出庫ロケーション情報を取得する。
【0030】
(5)作業者は、出庫ロケーション情報に基づいて出庫品のパレット2を確認し、当該パレット2上の物品1に貼付されている管理票10を読取装置20により読取る。読取装置20は、管理票10の読取り結果(物品情報Aと重複読取り防止コードB)と、作業者コードとを倉庫管理コンピュータに併せ出力する。倉庫管理コンピュータは、読取装置20の上記出力情報と、出庫ロケーション情報との照合を行ない、照合結果に異常がなければ出庫情報の更新と、在庫情報の更新と、作業者情報の更新を行なう。
【0031】
(6)作業者は出庫品をフォークリフトで輸送車に積込む。
【0032】
(7)出庫ロケーション情報にある全ての物品数量を出庫するまで上述(5)、(6)を繰り返した後、積込み完了を倉庫管理コンピュータに送信し、上位コンピュータは出荷確定処理を行なう。
【0033】
また、以下に示すように作業者個人を識別する作業者コードを利用することも考えられる。
【0034】
つまり、上述(C)、(D)の倉庫管理コンピュータは、現場倉庫の作業者コードと当該作業者によるこの現場倉庫からの物品出庫作業数量等の作業実績、入庫先倉庫の作業者コードと当該作業者によるこの入庫先倉庫への物品入庫作業数量等の作業実績、出庫元倉庫の作業者コードと当該作業者によるこの出庫元倉庫からの物品出庫作業数量等の作業実績を蓄積し、これらの蓄積情報を各作業者の労働状況の管理に供することができる。即ち、この物品管理システムでは、倉庫管理コンピュータの上記蓄積情報に基づき、作業分野別、作業者個人別の作業実績(作業内容、取扱いパレット数、作業時間等)を分析し、作業者の人員配置について作業者の配置替え、削減等を検討し、その適正化を図ることができる。
【0035】
本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)1個のパレット2に積付けられている同一製造日の同一品種物品群に1枚の管理票10が貼付けられ、管理票10には品名コードA1、製造日コードA2、製造時間コードA3、積付け物品数量A4を含む物品情報Aとともに、重複読取り防止コードBが併記される。重複読取り防止コードBはパレット毎に異なるコードが割当てられ、複数のパレット2に同一物品情報Aの物品1を積付けたとき、各パレット2の管理票10に記される物品情報Aは互いに同じでも、当該管理票10に付される重複読取り防止コードBは互いに異なるものになる。従って、作業者が1個のパレット2の管理票10を先後重複して読取ると、先後の読取り結果に含まれる重複読取り防止コードBの合致によりその重複読取りミスが読取装置20に表示され、かつ重複読取り分がキャンセルされる。これにより、作業者は、単純かつ迅速に複数のパレット2の管理票10を読取っていっても、重複読取りミスを防止でき、作業者による物品取扱い時間を短縮できる。
【0036】
(b)入庫段階で上述(a)を実施することにより、物品入庫時間を短縮できる。
【0037】
(c)出庫段階で上述(a)を実施することにより、物品出庫時間を短縮できる。
【0038】
(d)作業者が読取装置20を用いて各パレット2の管理票10を読取り、読取装置20からこの読取り結果を出力するとき、当該作業者の作業者コードも併せ出力される。従って、作業者コードに対応する当該作業者の労働状況(任意期間におけるパレット取扱い数量等)を管理するに際し、上述(a)の重複読取りミスを含まない正味の労働状況を簡易かつ正確に管理できる。
【0039】
また、一般に同一ロットNo.の製品を同じ製品コードだけで扱った場合には、製品コードに出庫数量を乗じた回数を読み込む方法を採用する。しかし、そのときに複数の出庫品の中に間違って別のロットNo.が混在していた場合には、現実の出庫内容とデータ上に出庫実績とが相違してしまい、また、その発見が遅れることになる。しかし、本システムで検品を行なえば、1パレット毎に識別できる製品情報を有することから誤出荷防止も図れる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は管理票の一例を示す模式図である。
【図2】図2は一時保管場所への保管作業を示す模式図である。
【図3】図3は倉庫への入庫作業を示す模式図である。
【図4】図4は倉庫からの出庫作業を示す模式図である。
【符号の説明】
【0041】
1 物品
2 パレット
10 管理票
20 読取装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品情報を記した管理票を物品に付し、物品の取扱い作業者が用いる読取装置により上記管理票の物品情報を読取り、読取装置が出力する読取り結果に基づいて物品を管理する物品の管理システムであって、
管理票に物品情報とともに重複読取り防止コードを併記し、読取装置は物品情報とともに重複読取り防止コードを読取る物品の管理システム。
【請求項2】
前記管理票が、複数の同一品種物品を1個のパレットに積付ける段階で、少なくとも1個の物品に付される請求項1に記載の物品の管理システム。
【請求項3】
前記管理票に記す物品情報が、物品の品名コードを含み、且つ、製造日コード、製造時間コード、1個のパレットへの積付け数量のいずれかを任意に含む請求項2に記載の物品の管理システム。
【請求項4】
前記管理票が、物品の倉庫への入庫段階で読取られ、物品の入庫管理に供される請求項1〜3のいずれかに記載の物品の管理システム。
【請求項5】
前記管理票が、物品の倉庫からの出庫段階で読取られ、物品の出庫管理に供される請求項1〜3のいずれかに記載の物品の管理システム。
【請求項6】
前記読取装置に物品の取扱い作業者コードを入力し、読取装置が物品情報及び重複読取り防止コードの読取結果と、取扱い作業者コードとを併せ出力する請求項1〜5のいずれかに記載の物品の管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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