説明

物品キャリアおよび物品処理装置

【課題】第1部材と第2部材を有する物品の、各部材を別々に把持する第1把持部材と第2把持部材を備えた物品キャリアを提供する。また、この物品キャリアに第1部材を供給した後、第2部材をこのキャリア内で第1部材に組み付ける物品処理装置を提供する。
【解決手段】物品キャリアは、物品10の第1部材6を把持する第1把持部材16、18と、その上方に配置され、第2部材8を把持する第2把持部材20、22と、これら把持部材をそれぞれ開閉する第1開閉部材と第2開閉部材とを備え、前記第1把持部材と第2把持部材を別々に開閉可能にした。物品処理装置は、物品キャリアの第1把持部材に物品の第1部材を把持させ、この第1把持部材に把持されている第1部材に物品の第2部材を組み付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品を把持部材によって把持して搬送を行う物品キャリア、および、この物品キャリアによって搬送される物品の処理を行う物品処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、容器等の物品の処理を行う装置で、処理される物品が不安定で自立できない物品である場合や、変形の容器等のように処理を行う際に位置決めをする必要がある物品の場合には、この物品をキャリア内に収容し、把持部材によって把持して搬送するようにしている。このような物品キャリアは従来から広く知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された物品キャリア(特許文献1では容器ホルダと呼んでいる)は、有底角筒状のケース(容器ホルダの本体)内に4個の容器保持部材が進退動可能に配設されている。前記ケースには、4方の壁面から中心方向へ向けたシリンダ孔が形成され、これら各シリンダ孔内にそれぞれピンシリンダが摺動自在に嵌合している。各ピンシリンダに前記容器保持部材がそれぞれ取り付けられており、これらピンシリンダを進退動させることにより物品(この特許文献1では容器)を把持し、また、解放するようにしている。
【0004】
前記特許文献1の物品キャリアでは、シリンダ孔の先端側(ケースの中央部側)からエアを導入し、その圧力によって容器保持部材を原点(ケースの最も外方側)に復帰させ、その後、ケースの中央部に型替え用治具である容器モデルを挿入し、各シリンダ孔内に型替え用プッシュピンを挿入して、容器保持部材が容器モデルに当たる位置まで押し込むことにより、各種形状の容器を安定して保持できるようにしている。
【0005】
このような物品キャリアでは、各容器保持部材によって容器を保持するためには、各容器保持部材を原点に復帰させた後、それぞれに外力を加えて保持位置まで押し込む必要があり、しかも、容器保持部材の動作を同期させて行う必要がある。
【0006】
また、前記物品キャリアによって物品を把持して搬送する間に処理を行う物品処理装置は広く用いられているが、例えば、特許文献2に記載された採便容器のように、第1部材(検体採取部材)と第2部材(検査液収納容器)の2つの部材からなる物品を、別々に把持して、処理を行うことができる物品キャリアは従来存在していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3108113号公報
【特許文献2】特許第4319590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、物品を構成する第1部材を把持する第1把持部材と、物品の第2部材を把持する第2把持部材を別々の開閉手段によって開閉するように構成し、第1把持部材と第2把持部材を独立して開閉可能とした物品キャリアを提供することである。また、この物品キャリアの第1把持部材によって把持されている第1部材に、第2部材を供給して第1部材に装着する等の作業のように、2つの部材を別々に把持して処理を行うことができる物品処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、第1部材と第2部材とを有する物品を把持する物品キャリアにおいて、前記物品の第1部材を把持する一対の第1把持部材と、この第1把持部材の上方に配置され、前記物品の第2部材を把持する一対の第2把持部材と、第1把持部材を開閉する第1操作部と、第2把持部材を開閉する第2操作部とを備え、第1把持部材と第2把持部材を独立して開閉可能にしたものである。
【0010】
また、第2の発明は、請求項1に記載の物品キャリアを備えた物品処理装置であって、前記第1操作部と係合して第1把持部材を開閉する第1開閉手段と、前記第2操作部と係合して第2把持部材を開閉する第2開閉手段と、前記第1把持部材に、前記物品の第1部材を供給する第1部材供給手段と、前記物品の第2部材を保持して第1部材へ装着する第2部材装着手段とを備え、前記第1把持部材により第1部材を把持しつつ、第2把持部材を開放した状態で第2部材装着手段によって第2部材を第1部材に装着し、その後第2把持部材を閉鎖することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の物品キャリアは、第1把持部材とその上方に配置された第2把持部材をそれぞれ別の開閉手段で開閉するようにしたので、各把持部材が別々の部材を把持することができ、また、一方の部材を固定した状態にして他方の部材を装着する等別々の動作による作業を行うことができる。また、本発明の物品処理装置は、物品の第1部材と第2部材を別の第1把持部材と第2把持部材がそれぞれ把持して、第2部材を第1部材に装着する等の処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は物品処理装置の全体の構成を簡略化して示す平面図である。(実施例1)
【図2】図2は物品キャリアの平面図である。
【図3】図3(a)、(b)は物品キャリアに第1部材を供給する状態を示す側面図および横断面図である。
【図4】図4(a)、(b)は物品キャリアに第2部材を供給する状態を示す側面図および横断面図である。
【図5】図5は物品キャリアが物品を把持した状態を示す断面図である。
【図6】図6は物品キャリアから正常な物品を排出する状態を示す断面図である。
【図7】図7は物品キャリアから不良品をリジェクトする状態を示す断面図である。
【図8】図8(a)、(b)は物品キャリアの第1把持部材の開放時に第2把持部材を連動させる構成を示す斜視図および平面図である。
【図9】図9(a)〜(d)は物品処理装置の作動を順次示す図である。
【図10】図10(a)〜(d)は物品処理装置の図9に続く作動を順次示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
物品キャリアは、枠体内の下部に、一対の第1把持部材がスライドして接近離隔可能に配置され、この第1把持部材の上方に一対の第2把持部材がスライドして接近離隔可能に配置されており、それぞれ、第1開閉手段および第2開閉手段によって独立して開閉できるようになっている。第1把持部材には物品の第1部材が、そして、第2把持部材には物品の第2部材がそれぞれ把持されるようになっているので、先ず、第1把持部材を開放して第1部材を供給し把持させた後、開放している第2把持部材に第2部材を供給し、第2把持部材を開放したままで、第1部材に装着する等の工程を行い、その後第2把持部材によって物品の第2部材を把持する等の処理を行えるようにした
【実施例1】
【0014】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。この実施例では、回転体2の外周部に円周方向等間隔で複数の物品キャリア4を配置し、これら物品キャリア4に、第1部材6と第2部材8とを備えた物品10(図5参照)を把持させて回転搬送する間に、物品10の処理を行う。この実施例に係る物品処理装置によって処理される物品10は、例えば、採便容器のように、検体を採取するスティック状の第1部材6と、この第1部材6によって採取された検体ごと収容する容器である第2部材8とを備えた物品10である。この物品10の第1部材6であるスティックは、採便を行う際に手に持つ取っ手6aと、採便する軸部6cと、取っ手6aと軸部6cの中間に位置し、前記軸部6cを容器8内に挿入して容器8に対し締結する雄ねじ部6bとを備えている。また、第2部材である容器8は、前記第1部材6の軸部6cを収容するとともに、第1部材の雄ねじ部6bが螺合される雌ねじ部8aが形成されている。なお、この実施例の容器8は、断面形状が矩形である。
【0015】
先ず、物品キャリア4の構成について説明する。この物品キャリア4は、底面12aとこの底面12a上に直立して固定された四方の壁面12b、12c、12d、12eからなる長方形の枠体12内に、物品10を把持する物品把持部14(図2参照)が配置されている。なお、この実施例では、2個の物品10を同時に処理するため、枠体12内に2箇所の物品把持部14を備えている。これら2箇所の物品把持部14は、全く同一の構成をしており、しかも、後に説明するガイドロッドによって連結されているので、一つの操作によって2箇所の物品把持部14を同時に動作させることができる。但し、必ずしも2箇所の物品把持部14を備える必要はなく、1箇所でもよく、また、3箇所以上の物品把持部14を設けることも可能である。
【0016】
各物品把持部14は、前記物品10の第1部材6と第2部材8の2つの部材を別々に把持するように、上下2組の把持部材(下方の一対の把持部材16、18が前記物品10の第1部材6を把持し、その上方に配置された一対の第2把持部材20、22が前記物品10の第2部材8を把持する)を備えている。なお、図2では、下方の第1把持部材16、18を示している。上下2組の把持部材20、22、16、18は、それぞれ互いに接近離隔して物品10の第2部材8および第1部材6を把持し、また、解放する。下方の第1把持部材16、18は、互いの向かい合う面のほぼ中央部に、物品の第1部材6(スティック)の一端部(取っ手6a)を把持する溝16a、18aが形成されている(図2および図5参照)。また、上方の第2把持部材20、22の互いに向かい合う面には、前記第1部材6の一部(ねじ部6bおよび軸部6c)を収容する第2部材(容器8)を把持する溝20a、22aが形成されている(図5参照)。
【0017】
下方の一対の第1把持部材16、18は、それぞれの互いに向かい合う面が相手側の部材を貫通するガイドロッド24、26に連結されている。つまり、図4(a)および図5の左側に位置する第1把持部材16を貫通するガイドロッド24が、同図の右側に位置する第1把持部材18に連結され、右側に位置する第1把持部材18を貫通するガイドロッド26の先端が、左側に位置する第1把持部材16に連結されている。また、上方の一対の第2把持部材20、22も、それぞれが相手側の部材を貫通するガイドロッド28、30に連結されている。つまり、図3(a)および図5の左側に位置する第2把持部材20を貫通するガイドロッド28が同図の右側に位置する第2把持部材22に連結され、右側に位置する第2把持部材22を貫通するガイドロッド30の先端が左側に位置する第2把持部材20に連結されている。なお、第1把持部材16、18に連結されているガイドロッド24、26が請求項1の第1操作部であり、第2把持部材20、22に連結されているガイドロッド28、30が請求項1の第2操作部である。
【0018】
下方に配置された一対の第1把持部材16、18の側面にそれぞれ水平ピン32、34が取り付けられている(図2および図3(b)参照)。また、枠体12内の前記水平ピン32、34が設けられている側の壁面12c、12eの内側にカムプレート36が配置されている。このカムプレート36は、枠体12の側壁12c、12eの内面に取り付けたキー38を介して昇降できるようになっている。カムプレート36には、一対の第1把持部材16、18にそれぞれ対応させて、中央寄りが高く両端部側が低くなる形状の傾斜した一対の長孔(カム溝)36a、36bが形成され、前記水平ピン32、34がこれら長孔36a、36b内にそれぞれ嵌合している。一対の第1把持部材16、18が最も離隔した状態(図3(a)の状態)では、それぞれの水平ピン32、34が長孔36a、36b内の最も外側に位置しているので、図3(b)に示すように、長孔36a、36bの最も低い部分に位置しており、カムプレート36が上昇した状態になっている。また、一対の第1把持部材16、18が最も接近した状態の時(図4(a)参照)には、両第1把持部材16、18の水平ピン32、34が最も接近しているので、傾斜した長孔36a、36bの最も上方に位置し、カムプレート36は下降した状態になる(図4(b)参照)。
【0019】
前記のように一枚のカムプレート36に逆方向を向けて形成された長孔(カム溝)36a、36bに、一対の第1把持部材16、18に取り付けた水平ピン32、34をそれぞれ嵌合させているので、一方の第1把持部材18を他方の第1把持部材16に向けて前進または後退させると、他方の第1把持部材16も同時に逆方向に移動し、一対の第1把持部材16、18が互いに接近し、また、離隔するように連動する。なお、この実施例では図3(a)および図4(a)の右側の第1把持部材18をスライドさせることにより、図の左側の第1把持部材16を連動させるようにしたが、逆に、図の左側の第1把持部材16を直接移動させ、右側の第1把持部材18を連動させるようにしてもよい。
【0020】
上方に配置された一対の第2把持部材20、22の側面にもそれぞれ水平ピン40、42が取り付けられ、枠体12の側壁12c、12eの内面にキー38を介して昇降可能に配置されたカムプレート44の、逆方向に傾斜した長孔(カム溝44a、44b)に嵌合している。従って、一対の第2把持部材20、22が最も離隔した状態(図3(a)の状態)では、それぞれの水平ピン40、42が最も外側に位置しているので、図3(b)に示すように、長孔44a、44bの最も低い部分に位置しており、カムプレート44が上昇している。また、一対の第2把持部材20、22を最も接近させたときには、カムプレート44が下降するようになっており、前記第1把持部材16、18と同様に、一方の第2把持部材22を他方の把持部材20に向かって前進させ、あるいは逆方向に後退させると、他方の第2把持部材20が連動して逆方向に移動し、一対の第2把持部材20、22が互いに接近し、また、離隔する。
【0021】
この実施例では、枠体12内に2個の物品把持部14が設けられており、これら2つの物品把持部14の、下方に配置されている第1把持部材16、18のガイドロッド24、26は、連結プレート46、48によって連結されて一体的に動作するようになっている(図2参照)。また、2つの物品把持部14の、上方に配置されている第2把持部材20、22のガイドロッド28、30も、連結部材50、52によって連結されて一体的に動作するようになっている。
【0022】
上方に配置された第2把持部材20、22の、回転体2の内部側に向いている連結部材50(図3および図4の左側の連結部材)には、水平なカムフォロア54が取り付けられており、後に説明する円弧状カム110によって図3(a)および図4(a)の右方向に押し込まれるようになっている。第1把持部材16、18のガイドロッド24、26および第2把持部材20、22のガイドロッド28、30は、それぞれの把持部材16、18と20、22が接近した状態の時には外方へ突出しており、外力によってガイドロッド24、28が押し込まれると(この実施例では回転体2の中心を向いたガイドロッドが押し込まれる)、一対の把持部材16、18と20、22が互いに離隔するようになっている。
【0023】
また、図2に示すように、上下一対の把持部材16、18と20、22のうち一方の把持部材18、22(図2の右側の把持部材)の端面と枠体12の壁面12dとの間に圧縮スプリング58、60が配置されており(図5参照)、一方の把持部材18、22を内部側へ常時付勢している。従って、前記ガイドロッド24、28に外力が作用していない状態では、圧縮スプリング58、60の付勢力によって図5の右側に位置している把持部材18、22が図の左方向へ押されて、両第1把持部材16、18および両第2把持部材20、22が互いに接触した状態になっている。なお、この実施例では、一方の把持部材18、22側にだけ圧縮スプリング58、60を設けているが両方の把持部材16、18、20、22に設けるようにしてもよい。
【0024】
一対の第2把持部材20、22の下面のほぼ中央に、鉛直方向を向けてピン62、64が取り付けられている。一方、下方に配置された一対の第1把持部材16、18の上面には、ほぼ中央部から、互いに向かい合う面と逆側の面に向けて切り欠かれた係合溝66、68が形成されている(図3(a)、図4(a)および図8(a)、(b)参照)。この係合溝66、68内にそれぞれ前記鉛直ピン62、64が嵌合している。上方の第2把持部材20、22の鉛直ピン62、64が下方の第1把持部材16、18の係合溝66、68内に嵌合しているので、一対の第1把持部材16、18および一対の第2把持部材20、22がともに閉じた状態から(図5に示す状態)、第1把持部材16、18を離隔させると、上方の第2把持部材20、22の鉛直ピン62、64が下方の第1把持部材16、18の係合溝66、68に係合して、第1把持部材16、18とともに第2把持部材20、22が離隔する。逆に、第1把持部材16、18および第2把持部材20、22がともに閉じた状態から、上方の第2把持部材20、22を離隔させた場合には、第2把持部材20、22の鉛直ピン62、64が第1把持部材16、18の係合溝66、68の端面に係合することはないので、第2把持部材20、22だけが単独で離隔する。
【0025】
一対の第2把持部材20、22の上面に、それぞれ半円形のシール部材70、72が取り付けられている。これら一対の第2把持部材20、22を当接した状態にすると、半円形のシール部材70、72が一体となり、円形のシール部材が構成される。この円形のシール部材70、72は、外周面がテーパ状に傾斜している。
【0026】
また、2個の物品把持部14が収容されている枠体12の底面12aの、各物品把持部14の中央に、リジェクト用の大きい孔12aaが形成されている(図7参照)。この物品キャリア4に対する、通常の物品10の挿入および取り出しは上方から行われるが、後に説明するように、不良品が発生した場合等には、その物品10をリジェクトしなければならない。このリジェクトの際に第1把持部材16、18および第2把持部材20、22を最大限に開放することによって、これら第1および第2把持部材16、18、20、22によって把持していた物品10を下方に形成したリジェクト用の孔12aaから落下させる。
【0027】
この実施例に係る容器処理装置では、回転体2上に8個の物品キャリア4が等間隔で配置されており、この回転体2は1回転(360度)の1/8ずつ間欠的に回転する。回転体2上に配置されている各物品キャリア4の停止位置がそれぞれ容器処理位置になっている。この実施例では、停止位置Aが第1部材(スティック)供給位置、Bが第2部材(容器)供給位置、Cが容器巻き締め位置、Dが液充填位置、Eがシール部材供給およびシール位置、Fがリークチェック位置、Gが正常品排出位置、Hが不良品リジェクト位置になっている。
【0028】
スティック供給位置Aには、物品キャリア4の枠体12内に設けられている2箇所の物品把持部14に同時に第1部材(スティック)6を供給するスティック供給装置74(図9(a)参照)が配置されている。このスティック供給装置74は、2個のグリッパ76を有しており、各グリッパ76にそれぞれスティック6を保持して前記物品キャリア4に供給する。また、容器供給位置Bには、スティック供給装置74と同様に2個のグリッパ78を有する容器供給装置80(図9(b)参照)が配置されており、各グリッパ78にそれぞれ容器8を把持して、スティック6の上方から物品キャリア4に供給する。容器巻き締め位置Cには容器巻き締め装置82が配置されている。この容器巻き締め装置82は、それぞれサーボモータ84によって回転される2個のチャック86を備えており(図9(c)参照)、これらチャック86が前記容器供給装置80によって供給された容器8を保持して回転させ、容器8とスティック6とを巻き締めて一体に組み付ける。
【0029】
充填位置Dには、充填機(全体は図示せず)が配置されており、2本の充填ノズル88(図9(d)参照)から前記2個の容器8内に液体を充填する。次のシール部材供給およびシール位置Eには、シール部材供給手段(図示せず)とシール装置90が設けられており、前記充填機で充填を行った容器8の開口部にシール用のフィルムを供給した後、シール装置90のヒータ92(図10(a)参照)によって加熱してフィルムを溶着する。リークチェック位置Fには、リークチェック装置94が設けられており、2箇所の密封部材96を前記容器8に被せ、密封部材96の先端を前記第2把持部材20、22の上面に設けられているシール部材70、72のテーパ状の外周面に密着させて密封部材96内を密封し(図10(b)参照)、その密封空間内を吸引して、リークの有無をチェックする。以上の工程を行った後、正常品は、正常品排出位置Gで取り出し装置98のグリッパ100(図10(c)参照)に保持されて取り出され次の工程に送られる。また、不良品は、次の不良品リジェクト位置Hで開放した第1把持部材16、18および第2把持部材20、22から落下してリジェクトされる。
【0030】
回転体2の上方に固定の取付プレート102が設置されており(図3(a)および図4(a)参照)、この取付プレート102に物品キャリア操作用のエアシリンダ104、106、108(図1参照)が取り付けられている。操作用エアシリンダ104、106、108は、物品キャリア4の下方に配置されている第1把持部材16、18の開放動作を行うものであり、スティック供給位置A、正常品排出位置Gおよび不良品リジェクト位置Hにそれぞれ配置されている。また、上方に配置されている第2把持部材20、22の開放動作用として、円弧状のカム110が配置されている(図1および図4(a)参照)。この円弧状カム110は、スティック供給位置Aのほぼ中央部から容器巻き締め位置Cを通過した位置に亘って配置されている。前記エアシリンダ104、106、108が、請求項1および請求項2に記載した第1開閉手段であり、円弧状カム110が第2開閉手段である。
【0031】
以上の構成に係る物品キャリア4および物品処理装置の作動について説明する。回転体2の間欠回転によりスティック供給位置Aに停止した物品キャリア4は、下方の第1把持部材16、18および上方の第2把持部材20、22ともに離隔した状態になっている(図3(a)に示す状態)。このときには、エアシリンダ104の作動によりガイドロッド24を押圧して下方に配置された一対の第1把持部材16、18のうち、図3(a)の右側の第1把持部材18を押し込むと、両第1把持部材16、18に設けられている水平ピン32、34とカムプレート36によって他方の第1把持部材16も連動して、両第1把持部材16、18が開放する。また、一対の第1把持部材16、18の上面には、係合溝66、68が形成されており、この係合溝66、68が上方に配置されている一対の第2把持部材20、22の下面に設けられている鉛直ピン62、64に係合して、これら一対の第2把持部材20、22も拡開させる。このように上方の第2把持部材20、22と下方の第1把持部材16、18がともに開放している状態の時に、図9(a)に示すように、スティック供給装置74のグリッパ76によって保持したスティック6を供給する。スティック6は、取っ手6aを下方に向けており、この取っ手6aを下方の第1把持部材16、18の把持溝16a、18aの間に位置させる。また、スティック6の雄ねじ部6bおよび軸部6cは、上方の第2把持部材20、22の向かい合っている把持溝20a、22aの間に位置させる。
【0032】
開放した状態の第2把持部材20、22と第1把持部材16、18の間にスティック6を供給した後、第1把持部材16、18のガイドロッド24を押していたエアシリンダ104を収縮させる。エアシリンダ104による第1把持部材16、18への外力が除かれると、この第1把持部材16、18は常時圧縮スプリング58によって付勢されているので、図4(a)に示すように、図の右側の第1把持部材18が左側の第1把持部材16に向かって移動する。これら両第1把持部材16、18は、水平ピン32、34およびカムプレート36によって連動するようになっているので(図4(b)参照)、一対の第1把持部材16、18が互いに接近して当接し、スティック6の取っ手6aの部分を把持する。一方、上方の第2把持部材は、カムフォロア54がガイドロッド28を押し込んだ状態のまま円弧状ガイド110に係合する。そのため、上方の第2把持部材20、22は開放した状態でスティック6の上部に向かい合っている。
【0033】
その後、回転体2は1ピッチ(360/8度)回転し、スティック6が供給された物品キャリア4は次の容器供給位置Bに停止する。この容器供給位置Bで、図9(b)に示すように、容器供給装置80が容器8を両第2把持部材20、22間に挿入し、前記スティック6の上部(軸部6cとねじ部6b)に被せる。容器6を供給した後も、上方の第2把持部材20、22は、ガイドロッド28が円弧状のカム110によって押されており、一対の第2把持部材20、22は開放した状態のままである。
【0034】
容器8を供給した後、スティック6と容器8とが供給された物品キャリア4は、回転体2の回転により次の容器巻き締め位置Cに移動して停止する。この容器巻き締め位置Cには巻き締め装置82が配置されており(図9(c)参照)、この巻き締め装置82のチャック86によって、スティック6に被せられている容器8を掴み、サーボモータ84によりこのチャック86を回転させて、下方の第1把持部材16、18によって把持されているスティック6の雄ねじ部6aに対して容器8の雌ねじ部8aを巻き締める。この時点では、下方の第1把持部材16、18は閉じており、スティック6の取っ手6aをしっかり把持しており、また、上方の第2把持部材20、22は開放したままなので、これら一対の第2把持部材20、22間で容器8を回転させることができる。
【0035】
容器8を回転させてスティック6に締結して一体の物品10に組み付けた後、回転体2が回転移動する。物品キャリア4が円弧状カム110の下流端を通過すると、上方の第2把持部材20、22のガイドロッド28に加えられていた外力が除かれ、圧縮スプリング60の付勢力によって図5の右側の第2把持部材22が図の左側に移動し、この移動に連動して図の左側の第2把持部材20も右側に移動して両第2把持部材20、22が当接し、物品10の容器8を把持する。物品キャリア4の第1把持部材16、18および第2把持部材20、22によって物品10の一体となった第1部材6および第2部材8を把持した後、この物品キャリア4は、回転体2によって次の充填位置Dに停止される。
【0036】
図9(d)に示すように、充填位置Dには充填機が配置されており、第2把持部材20、22に把持されている容器8の上端に形成された開口部の上方から、充填ノズル88によって液体の充填を行う。液体の充填が行われた物品10は、次のシール部材供給およびシール位置Eに送られる。このシール位置Eでは、図示しないシールフィルム供給手段から、前記容器8の充填用開口部にシール用フィルムを供給する。その後、シール装置90のヒータ92によってシール用フィルムを加熱して溶着し、容器8内を密封する(図10(a)参照)。
【0037】
前記各工程によって第1部材(スティック)6と第2部材(容器)8からなる物品10を組み付け、容器8内に液体を充填し、開口部をシールすることにより物品(採便部材)10が完成する。その後、完成した物品10を、次のリークチェック位置Fまで回転搬送して検査を行う。リークチェック位置Fに配置されているリークチェック装置94は、図10(b)に示すように、カップ状の密封部材96を有しており、この密封部材96を前記物品キャリア4に把持されて上方に突出している容器8に被せ、その密封部材96の先端(下端)開口部を第2把持部材20、22の上面に取り付けられているシール部材70、72に密着させる。カップ状の密封部材96内を密封した後、その内部をバキュームにより吸引してリークチェックを行う。
【0038】
リークチェック終了後、物品10を把持している物品キャリア4は、回転体2の回転により次の正常品排出位置Gに移動する。この位置Gでは、エアシリンダ106により下方の第1把持部材16、18のガイドロッド24を僅かに押し込む。図6の左側からガイドロッド24を押し込むと、図の右側の第1把持部材18が僅かに外側(他方の把持部材16から離れる方向)に向けて移動し、他方の第1把持部材16もこれに連動して僅かに移動して、一対の第1把持部材16、18は、物品10の第1部材(スティックの取っ手6a)6を把持していた状態から、僅かに隙間を空けた状態になる。また、下方の第1把持部材16、18が僅かに開放すると、その上面に形成されている係合溝66、68が上方の第2把持部材20、22に取り付けられている鉛直ピン62、64に係合して、一対の第2把持部材20、22を拡開する方向へ僅かに移動させる。その結果、上方の第2把持部材20、22も、物品10の第2部材である容器8を把持していた状態から僅かに隙間を空けた状態になる。このように物品キャリア4が把持していた物品10を離した状態にした後、図10(c)に示すように、物品取り出し手段98のグリッパ100によって物品10の容器8を把持して取り出し、図示しない排出コンベヤ等に排出する。
【0039】
また、リークチェック等によって不良品であると判定された物品10は、前記正常品排出位置Gで排出されず、次の不良品リジェクト位置Hに送られる。このリジェクト位置Hでは、エアシリンダ108により第1把持部材16、18のガイドロッド24を大きく押し込み、図7の右側の第1把持部材18を枠体12の壁面12dに当たる位置まで移動させる。この移動により他方の第1把持部材(図7の左側の第1把持部材16)も、水平ピン32、34とプレートカム36によって連動し、両第1把持部材16、18は大きく開放する。第1把持部材16、18が開放すると、両第1把持部材16、18の上面に形成されている係合溝66、68が上方の第2把持部材20、22の下面に取り付けられている鉛直ピン62、64に係合して、第2把持部材20、22を開放する。図7に示すように、上下の第1把持部材16、18および第2把持部材20、22が完全に開放すると、物品10は把持された状態から解放されて落下し、物品キャリア4の枠体12の底面12aに形成されている開口部12aaおよび回転体2に形成されているリジェクト用開口部2aから落下して、この不良品リジェクト位置Hの下方に設置されている受け箱等にリジェクトされる。
【符号の説明】
【0040】
4 物品キャリア
6 第1部材(スティック)
8 第2部材(容器)
10 物品
16 第1把持部材
18 第1把持部材
20 第2把持部材
22 第2把持部材
104 第1開閉手段(エアシリンダ)
110 第2開閉手段(円弧状カム)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と第2部材とを有する物品を把持する物品キャリアにおいて、
前記物品の第1部材を把持する一対の第1把持部材と、この第1把持部材の上方に配置され、前記物品の第2部材を把持する一対の第2把持部材と、第1把持部材を開閉する第1操作部と、第2把持部材を開閉する第2操作部とを備え、第1把持部材と第2把持部材を独立して開閉可能にした物品キャリア。
【請求項2】
請求項1に記載の物品キャリアを備えた物品処理装置であって、
前記第1操作部と係合して第1把持部材を開閉する第1開閉手段と、前記第2操作部と係合して第2把持部材を開閉する第2開閉手段と、前記第1把持部材に、前記物品の第1部材を供給する第1部材供給手段と、前記物品の第2部材を保持して第1部材へ装着する第2部材装着手段とを備え、前記第1把持部材により第1部材を把持しつつ、第2把持部材を開放した状態で第2部材装着手段によって第2部材を第1部材に装着し、その後第2把持部材を閉鎖することを特徴とする物品処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−47114(P2013−47114A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186470(P2011−186470)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】