物品包装用フィルムとこのフィルムによる包装体
【課題】 ロールパン等の物品を包装している包装体であって、物品の長さ方向の中央部を被覆しているフィルム部分から上半部の包装体部分を簡単且つ確実に剥離することができ、物品の上半部を包装体の下半部から露出させることができる包装体を提供する。
【解決手段】 筒状に湾曲させて物品Bを包装している矩形状の合成樹脂フィルム1の一側端部に細幅帯状合成樹脂フィルム4を融着してこの細幅帯状合成樹脂フィルム4の一側端部と合成樹脂フィルム1の他側端部とを合掌状に接合して一体に融着していると共に、合成樹脂フィルム1の一側端部で遊離片1a' を形成してこの遊離片1a' に、合成樹脂フィルム1の内面に融着しているカットテープ2の一端部に向かってスリット3を設けてあり、このスリット3からカットテープ2を捲り上げることにより、包装体の上半部を剥離させるように構成している。
【解決手段】 筒状に湾曲させて物品Bを包装している矩形状の合成樹脂フィルム1の一側端部に細幅帯状合成樹脂フィルム4を融着してこの細幅帯状合成樹脂フィルム4の一側端部と合成樹脂フィルム1の他側端部とを合掌状に接合して一体に融着していると共に、合成樹脂フィルム1の一側端部で遊離片1a' を形成してこの遊離片1a' に、合成樹脂フィルム1の内面に融着しているカットテープ2の一端部に向かってスリット3を設けてあり、このスリット3からカットテープ2を捲り上げることにより、包装体の上半部を剥離させるように構成している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品等の物品を包装する物品包装用フイルムと、このフィルムによって物品を包装した包装体、特に、物品を包装した際に、物品の長さ方向の中間部を被覆しているフィルム部分を物品の周方向に剥離可能にして物品の一半部を外部に露出させることができる物品包装用フィルムとこのフィルムによる包装体の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の包装体としては、例えば、特許文献1に記載されているように、合成樹脂フィルムを筒状とし、その両側端部を合掌状に合わせた接着部と、この筒状フィルムの長さ方向の両端を閉じる接着部とを有する包装材料に物品が包装された包装体において、上記筒状フィルムの内周面に上記合掌状に合わせた接着部の途中から周方向に伸び、且つ他端がこの接着部に達しないカットテープを接着し、且つ、合掌状に合わせた接着部のカットテープを接着させた部位の端部に、カットテープを挟むようにしてカットテープの端部に向かって2条の開封用スリットを設けてなる構造のものが知られている。
【0003】
また、特許文献2には、一定幅を有する2枚の長尺帯状合成樹脂フィルムの対向する側部を重ね合わせて一方の長尺帯状合成樹脂フィルムの一側端部を他方の長尺帯状合成樹脂フィルムの他側端から一定幅を存した他側部に融着することにより、この融着部から一方の長尺帯状合成樹脂フィルムの一側部上に延出している他方の長尺帯状合成樹脂フィルムの他側端部を遊離片に形成してなる物品包装用フィルムが記載されてあり、この物品包装用フィルムを一定の長さ毎に裁断することによって得られた矩形状の包装用合成樹脂フィルム上に物品を載せて、この合成樹脂フィルムを物品の周面に沿って筒状に湾曲させながら物品を包み込み、物品を被覆したこの合成樹脂フィルムの両側端部を上記特許文献1に記載された包装体と同様に合掌状に接合させて一体に接着すると共に物品の両端部から突出している合成樹脂フィルムの両端部を一体に融着することにより、物品を密封した袋状包装体を構成することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−91439号公報
【特許文献2】特開2010−36907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前者の包装体によれば、包装体を周方向に開封するための2条のスリットを、物品を包装している合成樹脂フィルムにおける両側端部が互いに合掌状に接合、接着している接着部分に設けていると共に、この接着部は、包装体の長さ方向の両端部の接着によって物品を包装している合成樹脂フィルムの表面上に密接した状態で重ね合わされた構造となっているため、開封時に、スリット間によって形成されている摘まみ片を捲り上げて開封する操作に手間取るばかりでなく、包装体を周方向に開封させるためのカットテープの端部とこの端部を挟むようにして設けている上記2条のスリットとは、包装体の全長に亘って合掌状に接合、接着している上記接着部に設けられているため、スリット間の摘まみ片を捲ってカットテープに沿ってこのカットテープを接着させている包装体部分をカットテープと共に周方向に剥離することが可能であっても、カットテープを介して区画されている包装体の一半部、又は、他半部をカットテープと共に同時に一体に剥離して物品の一半部又は他半部を外部に露出させることができず、まず、カットテープを剥離、除去することによって包装体を一半部と他半部とに分断し、しかるのち、一方の半部分を包装体の長さ方向に引っ張って剥離しなければならなかった。
【0006】
従って、この包装体によって包装される物品が、例えば、ロールパンやホットドッグ等のファーストフードであって、このファーストフードを包装体の一部を把持しながら食するには、まず、摘まみ片を摘んで包装体のカットテープを接着している部分をカットテープと共に周方向に剥離したのち、包装体の一半部を把持した状態で他半部を引っ張って剥離、除去することによりファーストフードの一部を露出させなけれぱならず、他半部を剥離する際に、一半部を把持している把持力が無意識に大きくなってファーストフードが圧潰する虞れがあるといった問題点があった。
【0007】
一方、特許文献2に記載の物品包装用フィルムによれば、上記特許文献1に記載されているように、物品を包装している合成樹脂フィルムにおける両側端部が互いに合掌状に接合、接着している接着部分から剥離するのではなく、遊離片を引っ張ることによって包装体を大きく開封することができるが、この遊離片は、一定幅を有する2枚の帯状合成樹脂フィルムの対向する側部を重ね合わせて一方の帯状合成樹脂フィルムの一側端部を他方の帯状合成樹脂フィルムの他側端から一定幅を存した他側部に融着することにより、この融着部から一方の帯状合成樹脂フィルムの一側部上に延出している他方の帯状合成樹脂フィルムの他側端部によって形成されているため、遊離片の長さ方向の中央部を摘んで上記融着部に向かって遊離片を引っ張って剥離しようとしても、その引張力が融着部の長さ方向に分散して融着部からの剥離が困難となり、そのため、包装袋の長さ方向の両端部を密閉している融着部のいずれか一方側において、遊離片の端部を摘んで斜め方向に引っ張ることによりその引張力を融着部の端部の隅角部に集中的に作用させて開封しなければならず、比較的大きな引張力を要して容易に開封することができない事態が発生する虞れがあった。
【0008】
さらに、遊離片を斜め下方に引っ張って開封すると、この遊離片の融着部が包装体の長さ方向に剥離しながら包装体を大きく開放させることができるが、その剥離部位を設定していないために、遊離片を包装体の一端から他端の全長に到るまで剥離する事態が発生して物品を必要以上に大きく露呈させる虞れがあり、その上、遊離片を包装体の長さ方向に剥離していくように構成しているので、剥離終端部においては、物品が全周に亘って包装体により被覆された状態となり、そのため、遊離片が剥離していない包装体部分を把持した状態で、剥離している包装体部分を上記剥離終端部を支点として物品の背面側に折り返すことにより物品を大きく露出させようとしても、剥離した遊離片の両側の包装体部分が未だに物品を被覆した状態となっているので、背面側に折り返すことが困難となり、無理に折り返そうとすると物品がロールパンやホットドッグ等のファーストフードである場合には、折れ曲がったり、凹んだりして形崩れが生じるといった問題点があった。
【0009】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは物品の長さ方向の中間部を被覆しているフィルム部分を物品の周方向に簡単且つ正確に剥離し得ると同時に物品の一半部を被覆しているフィルム部分を大きく剥離して物品の一半部を簡単且つ正確に外部に露呈させることができるようにした物品包装用フィルムとこのフィルムによる包装体を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の物品包装用フィルムは、請求項1に記載したように、一定幅を有する長尺帯状の合成樹脂フィルムに長さ方向に一定間隔毎に合成樹脂製のカットテープをその長さ方向をこの長尺帯状の合成樹脂フィルムの幅方向に向けた状態にして一体に設けていると共に、長尺帯状の合成樹脂フィルムの一側端部にこの長尺帯状の合成樹脂フィルムよりも小幅の細幅帯状合成樹脂フィルムを重ね合わせてその他側端部を長尺帯状の合成樹脂フィルムに全長に亘って融着することによりこの融着部から外側方に延出している上記長尺帯状の合成樹脂フィルムの一側端部を細幅帯状合成樹脂フィルムに対して捲り上げ可能な遊離片に形成してあり、さらに、この融着片に該遊離片の一側端から上記各カットテープの端部に向かってカットテープの長辺に平行な一定長さのスリットを形成していることを特徴とする。
【0011】
このように構成した物品包装用フィルムにおいて、請求項2に係る発明は、上記細幅帯状合成樹脂フィルムの一側部を長尺帯状の合成樹脂フィルムの一側端から外側方に突出させていることを特徴とする。
【0012】
さらに、請求項3に係る発明は、上記長尺帯状の合成樹脂フィルムの他側端部に細幅合成樹脂フィルムの厚みに等しい厚みを有する小幅の厚み調整用合成樹脂帯状フィルムを全長に亘って層着した状態にしてロール状に巻装していることを特徴とする。
【0013】
また、請求項4に係る発明は、上記物品包装用フィルムを用いた包装体であって、物品包装用フィルムは、矩形状に裁断された合成樹脂フィルムの長さ方向の中間部にこの合成樹脂フィルムの幅方向に長いカットテープをその長さ方向を合成樹脂フィルムの幅方向に向けた状態で一体に設けていると共に、上記合成樹脂フィルムの一側端部にこの合成樹脂フィルムよりも小幅の細幅合成樹脂フィルム片を重ね合わせてその他側端部をこの合成樹脂フィルムの全長に亘って融着することにより、この融着部から外側方に延出している上記長尺帯状の合成樹脂フィルムの一側端部を細幅帯状合成樹脂フィルムに対して捲り上げ可能な遊離片に形成し、且つ、この融着片に該遊離片の一側端から上記各カットテープの端部に向かってカットテープの長辺に平行な一定長さのスリットを形成してなり、この物品包装用フィルムを筒状に湾曲することにより物品を包装して上記カットテープを物品の周方向に一巻き状に巻き付けていると共に、上記細幅合成樹脂フィルム片の一側端部と上記合成樹脂フィルムの他側端部とを合掌状に重ね合わせて全長に亘り融着することにより縦シール部を形成し、さらに、物品の長さ方向の両端から突出している合成樹脂フィルムの長さ方向の両端部を一体に融着することにより横シール部を形成してあり、上記遊離片に設けているスリットからカットテープを介してこのカットテープを設けている合成樹脂フィルム部側を剥離可能に構成していることを特徴とする。
【0014】
このように構成した包装体において、請求項5に係る発明は、上記カットテープの長さ方向の一端部において、各カットテープの一方の長辺側のみに沿って遊離片に一条のスリットを設けていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によれば、長尺帯状の合成樹脂フィルムと、この長尺帯状の合成樹脂フィルムの一側端部上に重ね合わせてその他側端部を長尺帯状の合成樹脂フィルムに融着している細幅帯状合成樹脂フィルムとからなり、上記長尺帯状の合成樹脂フィルムに、長さ方向に一定間隔毎に合成樹脂製のカットテープをその長さ方向をこの長尺帯状の合成樹脂フィルムの幅方向に向けた状態にして一体に設けていると共に、上記細幅帯状合成樹脂フィルムと長尺帯状の合成樹脂フィルムとの上記融着部から外側方に延出している長尺帯状の合成樹脂フィルムの一側端部を細幅帯状合成樹脂フィルムに対して捲り上げ可能な遊離片に形成し、且つ、この融着片に該遊離片の一側端から上記各カットテープの端部に向かってカットテープの長辺に平行な一定長さのスリットを形成しているので、構造が簡単で安価に提供できるのは勿論、このように構成した物品包装用フィルムをロール巻きした状態から繰り出しながら、カットテープを設けているフィルム面上にこのカットテープが長さ方向の中間部に位置するようにして物品を包装用フィルムを長さ方向に向けて載置し、長尺帯状の合成樹脂フィルムを筒状に湾曲させながらその他側端部と細幅帯状合成樹脂フィルムの一側端部とを合掌状に重ね合わせて融着することにより縦シール部を形成すると共に、物品の長さ方向の両端部から突出している筒状に湾曲した長尺帯状フィルム部分を全幅に亘って融着して横シール部を形成することによって物品を包装した包装体を簡単に得ることができ、上記合掌状態で接合、融着してなるシール部以外の部分に開封手段である遊離片を全長に亘って設けてなる包装体を得ることができる。
【0016】
この開封手段である遊離片は、上述したように、細幅帯状合成樹脂フィルムを長尺帯状の合成樹脂フィルムの一側端部上に重ね合わせてその他側端部を長尺帯状の合成樹脂フィルムに全長に亘って融着することによりこの融着部から外側方に延出した上記長尺帯状の合成樹脂フィルムの一側端部によって形成されてあり、さらに、この遊離片には上記カットテープの長さ方向の一端部が一体に設けられていると共に、遊離片の一側端からカットテープの長辺に平行な一定長さのスリットを形成しているので、物品を包装した際に、包装したフィルム部分の表面から遊離片の先端部を摘んでスリットからカットテープを介して物品の一半部を包被しているフィルム部分を簡単且つ確実に剥離でき、大きく正確に開封可能な包装体を得ることができる。
【0017】
さらに、請求項2に係る発明によれば、上記細幅帯状合成樹脂フィルムの一側部を長尺帯状の合成樹脂フィルムの一側端から外側方に突出させているので、この一側部を長尺帯状の合成樹脂フィルムの他側端部に容易に且つ正確に合掌状に接合させて一体に融着させることができる。
【0018】
請求項3に係る発明によれば、上記長尺帯状の合成樹脂フィルムの他端部に細幅合成樹脂フィルムの厚みに等しい厚みを有する小幅の厚み調整用合成樹脂帯状フィルムを全長に亘って層着しているので、この長尺帯状の物品包装用フィルムをロール状に巻回する際に、両端間に亘って略同一径となるようにロール巻きすることができ、従って、大径のロール巻きが可能となって、このロール巻きを円滑に繰り出しながら一定長さ毎に物品を円滑に包装することができる。
【0019】
また、請求項4に係る発明によれば、上記長尺の物品包装用フィルムを一定長さ毎に矩形状に裁断してなる合成樹脂フィルムによって物品を包装した包装体の構造であって、合成樹脂フィルムの一側端部にこの合成樹脂フィルムよりも小幅の細幅合成樹脂フィルム片を、その一側部を合成樹脂フィルムの一側端縁から突出させた状態にして他側部を重ね合わせて他側端部をこの合成樹脂フィルムの全長に亘って融着することにより、この融着部から突出した合成樹脂フィルムの上記一側端部によって遊離片を形成しているので、開封時にこの遊離片に設けているスリット部分を容易に且つ確実に摘むことができ、この状態でスリットからカットテープに沿ってこのカットテープを設けているフィルム部分をカットテープと共に剥離しながら簡単に開封することができる。
【0020】
この際、遊離片は細幅帯状合成樹脂フィルム片の他側端部に融着している融着部から包装体の幅方向に突出していて、その全長に亘って物品を包装しているフィルムの表面から遊離させているので、カットテープの長さ方向の一端部側の遊離片部分を摘んで、この部分を上記スリットからカットテープに向かって斜め方向に捲り上げながら引っ張れば、スリットの先端からはカットテープに沿って包装体の周方向にフィルムを正確に分断しながら開封することができると共にこのカットテープを設けている包装体の一半部側をカットテープと共に捲り上げてその一半部をカットテープと共に剥離しながら全面的に大きく開封することができ、その上、カットテープを全長に亘って剥離した状態においては、細幅合成樹脂フィルム片の一側端部と上記合成樹脂フィルムの他側端部とが合掌状に重ね合わせて融着してなる縦シール部分によって包装体の一半部と他半部とが連なった状態となり、従って、この縦シール部分を支点として包装体の一半部を恰も被っていた帽子を取るように一半部上に簡単に折り返すことができ、カットテープを除去した後のカット線が包装体の他半部の開口端となってこの開口端から物品の一半部を全面的に外部に露出させることができる。
【0021】
従って、包装された物品が、上述したようにロールパンやホットドッグ等のファーストフードである場合には、圧潰などを生じさせることなくその一半部を包装体の開口端から全体に亘って大きく露出させることができ、包装体の一部を把持しながら容易に食することができる。
【0022】
請求項5に係る発明によれば、上記カットテープの長さ方向の一端部において、このカットテープの一方の長辺側のみに沿って、遊離片を形成している合成樹脂フィルムの一側端縁から一条のスリットを設けているので、このスリットからカットテープを含む包装体の一半部のみを上述したように円滑に剥離することができるが、カットテープの一端部を挟むようにして一対のスリットを設けておいてもよく、このように構成しておけば、いずれか一方のスリットによって包装体の一半部を、他方のスリットによって包装体の他半部を簡単に剥離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】ロール状に巻装した物品包装用フィルムの一部切欠斜視図。
【図2】その横断面図。
【図3】物品包装用フィルムを矩形状に裁断した状態の表面側から見た斜視図。
【図4】物品包装用フィルムを矩形状に裁断した状態の裏面側から見た斜視図。
【図5】物品の包装途上を説明するための一部を切欠いた簡略斜視図。
【図6】物品を包装した包装体を表面側から見た斜視図。
【図7】その裏面側から見た斜視図。
【図8】その簡略横断面図。
【図9】スリットから剥離を開始した状態の斜視図。
【図10】剥離している状態の簡略横断面図。
【図11】包装体の上半部を剥離した状態の斜視図。
【図12】ロール状に巻装した物品包装用フィルムの変形例を示す一部切欠斜視図。
【図13】その横断面図。
【図14】物品を包装した包装体を表面側から見た斜視図。
【図15】その横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の具体的な実施の形態を図面に基づいて説明すると、図1、図2において、物品包装用フィルムAは、ヒートシール性を有する一定幅の長尺帯状の合成樹脂フィルム1の片面(表面)上に長さ方向に一定間隔毎に、合成樹脂フィルムよりなる一定幅を有する横長長方形状のカットテープ2を、その長さ方向をこの長尺帯状の合成樹脂フィルム1の幅方向に向けた状態にして熱融着6(以下、熱融着を単に融着という)することによって一体に設けていると共に、各カットテープ2の長さ方向の一端部側において、上記長尺帯状の合成樹脂フィルム1の一側端部に、その一側端からカットテープ2の一端部におけるいずれか一方の長辺縁(図においては下側長辺縁)に沿ってこの長辺に平行な一定長さのスリット3を形成している。
【0025】
さらに、上記長尺帯状の合成樹脂フィルム1の一側端部に、この長尺帯状の合成樹脂フィルム1よりも小幅のヒートシール性を有する細幅帯状合成樹脂フィルム4を、その一側部4aを長尺帯状の合成樹脂フィルム1の一側端縁から突出させ、且つ、この突出部以外の他側部4bを長尺帯状の合成樹脂フィルム1の片面における一側端部上に重ね合わせてこの他側部4bの他側端部を長尺帯状の合成樹脂フィルム1における一側端から内側方に一定間隔を存した部分に全長に亘って直線状に融着7してあり、この融着部7から一側方に突出した上記長尺帯状の合成樹脂フィルム1の一側端部、即ち、細幅帯状合成樹脂フィルム4の上記他側部4bに重なっている部分を融着部7を始点して捲り上げ可能な遊離片1aに形成してあり、この遊離片1aの一側部に上記スリット3が設けられている。
【0026】
長尺帯状の合成樹脂フィルム1及び細幅帯状合成樹脂フィルム4としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等からなるイージーヒートシール性の合成樹脂フィルムと、この合成樹脂フィルムよりも高融点のポリアミドフィルムやポリ塩化ビニルフィルムの合成樹脂フィルムとを一体にラミネートしてなる積層フィルムであって、そのイージーヒートシール性の合成樹脂フィルム上に上記カットテープ2を融着6させていると共に、細幅帯状合成樹脂フィルム4における高融点の合成樹脂フィルム側を融着7させている。なお、長尺帯状の合成樹脂フィルム1及び細幅帯状合成樹脂フィルム4は、これらのイージーヒートシール性の合成樹脂フィルムと高融点の合成樹脂フィルムとの間に中間層としてポリエチレン等からなる接着層などを介在させてなる3層構造の積層フィルムであってもよい。
【0027】
上記カットテープ2は、長尺帯状の合成樹脂フィルム1の長さ方向に一つの物品Bが包装可能な間隔毎に長尺帯状の合成樹脂フィルム1に設けられていると共に、長尺帯状の合成樹脂フィルム1の幅方向に向けている長さを長尺帯状の合成樹脂フィルム1の幅よりも短い長さに形成されていて、その長さ方向の一端面を長尺帯状の合成樹脂フィルム1の一側端面に合わせるか、この一側端面から僅かに中央寄りに離間させた状態にして長尺帯状の合成樹脂フィルム1上に融着6し、このカットテープ2の他端と長尺帯状の合成樹脂フィルム1の他側端との間の小幅のフィルム他側端部1bを、後述するように、長尺帯状の合成樹脂フィルム1の一側端縁から突出している上記細幅帯状合成樹脂フィルム4の一側部4aと合掌状に接合して融着可能なフィルム端部としている。
【0028】
さらに、長尺帯状の合成樹脂フィルム1の一側端部上に重ねている上記細幅帯状合成樹脂フィルム4の他側部4bの幅を上記スリット3の長さよりも幅広くしてこの他側部4bによってカットテープ2の長さ方向の一端部とスリット3とを被覆した状態にしてスリット3から内側方に小間隔を存した他側部4bの他側端部を上述したように全長に亘って融着7している。
【0029】
このように構成した長尺帯状の物品包装用フィルムAは、図1に示すようにロール状に巻装され、この物品包装用フィルムAを一定長さずつ、繰り出しながらピロー包装機(図示せず)によって、物品Bを包装する。例えば、物品Bがホットドッグである場合には、その長さ方向を長尺帯状の合成樹脂フィルム1の長さ方向に向け、且つ、この物品Bの下面における長さ方向の中央部を一条のカットテープ2上に載せた状態にして図5に示すように長尺帯状の部品包装用フィルムAを筒状に湾曲させながらこの物品Bを包み込み、長尺帯状の合成樹脂フィルム1の一側端縁から外側方に突出している細幅帯状合成樹脂フィルム4の一側端部4aを長尺帯状の合成樹脂フィルム1の他側端部1bに合掌状に接合してその接合した内側端部を全長に亘って融着することにより縦シール部8を形成すると共に、物品Bの長さ方向の両端部から突出しているそれぞれの対向端部を接合させて全幅に亘って融着することにより上下横シール部9、10を形成することによって図6に示すように物品Bを包装した包装体A'を得る。
【0030】
なお、長尺帯状の物品包装用フィルムAを一定長さずつ繰り出しながら物品Bを順次、包装していく際には、先に包装した包装体A'は、その上側横シール部の中央部を全幅に亘って切断することにより切り離されるので、残った上側横シール部の上半部が次に物品Bを包装する際には下側横シール部となり、従って、実際には物品Bを包装した際に、その物品Bの上端から突出しているフィルムの対向端部を融着すれば、物品Bを順次包装していくことができる。
【0031】
また、ロール状に巻装している上記物品包装用フィルムAを繰り出して図3、図4に示すように、長さ方向の中央部に一条のカットテープ2を設けている矩形状の包装用フィルムaに順次、裁断し、各包装用フィルムa上に、上記同様にして物品Bをその長さ方向の中央部を上記カットテープ2上に載せた状態にしてこの矩形状の包装用フィルムaを筒状に湾曲させることにより物品Bを包み込み、矩形状に裁断されている合成樹脂フィルム1'の一側端縁から外側方に突出している細幅帯状合成樹脂フィルム片4'の一側端部を合成樹脂フィルム1'の他側端部に合掌状に接合してその接合した内側端部を全長に亘って融着することにより縦シール部8を形成すると共に、物品Bの長さ方向の両端部から突出している筒状に湾曲した矩形状合成樹脂フィルム1'の上下端部における対向端部をそれぞれ接合させて全幅に亘って融着することにより上下横シール部9、10を形成することによって図6に示すように物品Bを包装した包装体A'を得てもよい。
【0032】
いずれにしても製袋された包装体A'は、図6〜図8に示すように、上記長尺帯状の合成樹脂フィルム1を一定長さ毎に裁断されてなる矩形状の合成樹脂フィルム1'を筒状に湾曲して物品Bを包み込んでいるこの合成樹脂フィルム1'の内面の長さ方向の中間部に、物品Bの長さ方向の中間部を周方向に一巻きした状態にしてカットテープ2が設けられてあり、且つ、長尺帯状の合成樹脂フィルム1と共に一定長さ毎に裁断されてなる細幅帯状合成樹脂フィルム片4'の一側端部を、物品Bを包み込んでいる上記合成樹脂フィルム1'の他側端部に合掌状に接合して、その接合した内側端部を全長に亘って融着することにより縦シール部8を形成してあり、さらに、細幅帯状合成樹脂フィルム片4'の他側端部と物品Bを包み込んでいる上記合成樹脂フィルム1'の一側端部とを融着している融着部7から周方向に延出している遊離片1a' を細幅帯状合成樹脂フィルム片4'上に剥離可能に重ね合わせてその一側端縁を合掌状に接合、融着している縦シール部8に沿ってこの縦シール部8の全長に亘って平行に設けてなる構造を有している。
【0033】
このように構成した包装体A'を開封するには、スリット3を設けている側を表面にし、且つ、該スリット3をカットテープ2の先端部の下側に配設された状態にして、内面にカットテープ2の長さ方向の一端部を一体に融着させている遊離片1a' の長さ方向の中央部を摘んで、遊離片1a' をスリット3からカットテープ2を図9、図10に示すように、斜め上方に向かって引き起こして捲りあげながら周方向に引っ張ると、スリット3の先端からカットテープ2の下端縁に沿って物品Bを包装している合成樹脂フィルム1'の部分がカットテープ2と共に周方向に切断、剥離されていくと共にその剥離に伴って遊離片1a' が長さ方向にさらに捲られ、カットテープ2の先端部上に直交している融着部7をカットテープ2により分断したのち、さらに、カットテープ2を斜め上方に捲りながらその他端部にまで剥離すると、遊離片1a' に連なる合成樹脂フィルム1'の上半部、即ち、包装体A'の上半部が下半部からカットテープ2を介して略一周する部分まで分断された状態となり、カットテープ2が縦シール部8に到達すると、この縦シール部8によって剥離抵抗を受け、この位置で剥離を停止させる。
【0034】
この状態にすると、包装体A'の上半部が下半部に対して縦シール部8の部分のみで接続した形態となり、その他の部分はカットテープ2の略全長に亘って分断されて下半に対して大きく開封されているので、物品Bを包んでいる下半部を把持した状態で上半部を上記縦シール部8を支点として図11に示すように表面側(手前側)に向かって引き寄せると、上半部が物品Bの上半部から恰も帽子を脱ぐように簡単に離脱しながら下半部の表面上に折り返すことができ、物品の一半部を包装体A'の下半部の開口上端から上方に向かって全面的に外部に突出させた状態にして露出させることができ、物品Bがロールパンやホットドッグ等のファーストフードである場合には、この物品Bの下半部を包装している包装体A'の下半部をこの下半部上に折り返している上半部と共に把持しながら容易に食することができる。
【0035】
なお、以上の実施例において、長尺帯状の合成樹脂フィルム1の一側端部に細幅帯状合成樹脂フィルム4の他側部4bを重ね合わせてその他側端部を長尺帯状の合成樹脂フィルム1に全長に亘って融着7することにより、物品包装用フィルムAを構成すると、この物品包装用フィルムAを図1に示すようにロール状に巻装した場合には、細幅帯状合成樹脂フィルム4を重ね合わせている長尺帯状の合成樹脂フィルム1の一側端部側の巻径が他側端部側の巻径よりも太くなるので、図12、図13に示すように、長尺帯状の合成樹脂フィルム1の他側端部の片面に細幅帯状合成樹脂フィルム4の厚みに等しい厚みを有する小幅の厚み調整用合成樹脂帯状フィルム5を全長に亘って重ね合わせてその幅方向の中央部を全長に亘って融着11しておくことが好ましい。その他の構成については上記実施例と同様であるので、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0036】
このように構成した物品包装用フィルムA1をロール巻きした状態にして、上記実施例と同様に一定長さずつ繰り出しながらピロー包装機(図示せず)によって、物品Bを包装すると、図14、図15に示すように、上記実施例に示した包装体A'において、長尺帯状の合成樹脂フィルム1の一側端縁から外側方に突出している細幅帯状合成樹脂フィルム4の一側端部を長尺帯状の合成樹脂フィルム1の他側端部に合掌状に接合してその接合した内側端部を全長に亘って融着することにより縦シール部8を形成してなる構造に、縦シール部8に小幅間隔を存して平行に、長尺帯状の合成樹脂フィルム1の他側端部の内面に融着11している上記厚み調整用合成樹脂帯状フィルム5を配設した形態の包装体A'' を得ることができる。その他の構成については、上記実施例と同様であるので、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0037】
さらに、開封も上記実施例と同様であるが、カットテープ2の下端縁に沿って包装体A'' の上半部が下半部に対して分断される際に、カットテープ2が縦シール部8に到達する直前に、厚み調整用合成樹脂帯状フィルム5の融着部11に達してこの融着部11による剥離抵抗によってこの位置まで剥離させることができる構造としている。
【0038】
なお、以上のいずれの実施例においても、カットテープ2の一端部側において、合成樹脂フィルム1の一側端部の遊離片1a' このカットテープ2の下側長辺の下端に沿うようにスリット3を一条のみ設けているが、カットテープ2の一端部を挟むようにして上記遊離片1a' に上下2条のカットテープ2、2を設けおいてもよい。このように構成しておくとカットテープ2の一端部を設けている遊離片1a' 部分を摘んで、遊離片1a' を下側のスリット3からカットテープ2を斜め上方に向かって引き起こして捲り上げながら周方向に引っ張ると、上述したように包装体A'の上半部を剥離することができ、遊離片1a' を上側のスリット3からカットテープ2を斜め下方に向かって引き起こして捲りあげながら周方向に引っ張ると、包装体A'の下半部を剥離することができる。
【0039】
また、細幅帯状合成樹脂フィルム4の一側部4aを長尺帯状の合成樹脂フィルム1の一側端から外側方に突出させているが、突出させることなく、細幅帯状合成樹脂フィルム4全体を長尺帯状の合成樹脂フィルム1の一側端部上に重ね合わせてその他側端部を長尺帯状の合成樹脂フィルム1に融着7しておいてもよい。
【符号の説明】
【0040】
A 物品包装用フィルム
1 長尺帯状の合成樹脂フィルム
1a 遊離片
2 カットテープ
3 スリット
4 細幅帯状合成樹脂フィルム
6、7 融着部
8 縦シール部
9、10 横シール部
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品等の物品を包装する物品包装用フイルムと、このフィルムによって物品を包装した包装体、特に、物品を包装した際に、物品の長さ方向の中間部を被覆しているフィルム部分を物品の周方向に剥離可能にして物品の一半部を外部に露出させることができる物品包装用フィルムとこのフィルムによる包装体の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の包装体としては、例えば、特許文献1に記載されているように、合成樹脂フィルムを筒状とし、その両側端部を合掌状に合わせた接着部と、この筒状フィルムの長さ方向の両端を閉じる接着部とを有する包装材料に物品が包装された包装体において、上記筒状フィルムの内周面に上記合掌状に合わせた接着部の途中から周方向に伸び、且つ他端がこの接着部に達しないカットテープを接着し、且つ、合掌状に合わせた接着部のカットテープを接着させた部位の端部に、カットテープを挟むようにしてカットテープの端部に向かって2条の開封用スリットを設けてなる構造のものが知られている。
【0003】
また、特許文献2には、一定幅を有する2枚の長尺帯状合成樹脂フィルムの対向する側部を重ね合わせて一方の長尺帯状合成樹脂フィルムの一側端部を他方の長尺帯状合成樹脂フィルムの他側端から一定幅を存した他側部に融着することにより、この融着部から一方の長尺帯状合成樹脂フィルムの一側部上に延出している他方の長尺帯状合成樹脂フィルムの他側端部を遊離片に形成してなる物品包装用フィルムが記載されてあり、この物品包装用フィルムを一定の長さ毎に裁断することによって得られた矩形状の包装用合成樹脂フィルム上に物品を載せて、この合成樹脂フィルムを物品の周面に沿って筒状に湾曲させながら物品を包み込み、物品を被覆したこの合成樹脂フィルムの両側端部を上記特許文献1に記載された包装体と同様に合掌状に接合させて一体に接着すると共に物品の両端部から突出している合成樹脂フィルムの両端部を一体に融着することにより、物品を密封した袋状包装体を構成することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−91439号公報
【特許文献2】特開2010−36907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前者の包装体によれば、包装体を周方向に開封するための2条のスリットを、物品を包装している合成樹脂フィルムにおける両側端部が互いに合掌状に接合、接着している接着部分に設けていると共に、この接着部は、包装体の長さ方向の両端部の接着によって物品を包装している合成樹脂フィルムの表面上に密接した状態で重ね合わされた構造となっているため、開封時に、スリット間によって形成されている摘まみ片を捲り上げて開封する操作に手間取るばかりでなく、包装体を周方向に開封させるためのカットテープの端部とこの端部を挟むようにして設けている上記2条のスリットとは、包装体の全長に亘って合掌状に接合、接着している上記接着部に設けられているため、スリット間の摘まみ片を捲ってカットテープに沿ってこのカットテープを接着させている包装体部分をカットテープと共に周方向に剥離することが可能であっても、カットテープを介して区画されている包装体の一半部、又は、他半部をカットテープと共に同時に一体に剥離して物品の一半部又は他半部を外部に露出させることができず、まず、カットテープを剥離、除去することによって包装体を一半部と他半部とに分断し、しかるのち、一方の半部分を包装体の長さ方向に引っ張って剥離しなければならなかった。
【0006】
従って、この包装体によって包装される物品が、例えば、ロールパンやホットドッグ等のファーストフードであって、このファーストフードを包装体の一部を把持しながら食するには、まず、摘まみ片を摘んで包装体のカットテープを接着している部分をカットテープと共に周方向に剥離したのち、包装体の一半部を把持した状態で他半部を引っ張って剥離、除去することによりファーストフードの一部を露出させなけれぱならず、他半部を剥離する際に、一半部を把持している把持力が無意識に大きくなってファーストフードが圧潰する虞れがあるといった問題点があった。
【0007】
一方、特許文献2に記載の物品包装用フィルムによれば、上記特許文献1に記載されているように、物品を包装している合成樹脂フィルムにおける両側端部が互いに合掌状に接合、接着している接着部分から剥離するのではなく、遊離片を引っ張ることによって包装体を大きく開封することができるが、この遊離片は、一定幅を有する2枚の帯状合成樹脂フィルムの対向する側部を重ね合わせて一方の帯状合成樹脂フィルムの一側端部を他方の帯状合成樹脂フィルムの他側端から一定幅を存した他側部に融着することにより、この融着部から一方の帯状合成樹脂フィルムの一側部上に延出している他方の帯状合成樹脂フィルムの他側端部によって形成されているため、遊離片の長さ方向の中央部を摘んで上記融着部に向かって遊離片を引っ張って剥離しようとしても、その引張力が融着部の長さ方向に分散して融着部からの剥離が困難となり、そのため、包装袋の長さ方向の両端部を密閉している融着部のいずれか一方側において、遊離片の端部を摘んで斜め方向に引っ張ることによりその引張力を融着部の端部の隅角部に集中的に作用させて開封しなければならず、比較的大きな引張力を要して容易に開封することができない事態が発生する虞れがあった。
【0008】
さらに、遊離片を斜め下方に引っ張って開封すると、この遊離片の融着部が包装体の長さ方向に剥離しながら包装体を大きく開放させることができるが、その剥離部位を設定していないために、遊離片を包装体の一端から他端の全長に到るまで剥離する事態が発生して物品を必要以上に大きく露呈させる虞れがあり、その上、遊離片を包装体の長さ方向に剥離していくように構成しているので、剥離終端部においては、物品が全周に亘って包装体により被覆された状態となり、そのため、遊離片が剥離していない包装体部分を把持した状態で、剥離している包装体部分を上記剥離終端部を支点として物品の背面側に折り返すことにより物品を大きく露出させようとしても、剥離した遊離片の両側の包装体部分が未だに物品を被覆した状態となっているので、背面側に折り返すことが困難となり、無理に折り返そうとすると物品がロールパンやホットドッグ等のファーストフードである場合には、折れ曲がったり、凹んだりして形崩れが生じるといった問題点があった。
【0009】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは物品の長さ方向の中間部を被覆しているフィルム部分を物品の周方向に簡単且つ正確に剥離し得ると同時に物品の一半部を被覆しているフィルム部分を大きく剥離して物品の一半部を簡単且つ正確に外部に露呈させることができるようにした物品包装用フィルムとこのフィルムによる包装体を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の物品包装用フィルムは、請求項1に記載したように、一定幅を有する長尺帯状の合成樹脂フィルムに長さ方向に一定間隔毎に合成樹脂製のカットテープをその長さ方向をこの長尺帯状の合成樹脂フィルムの幅方向に向けた状態にして一体に設けていると共に、長尺帯状の合成樹脂フィルムの一側端部にこの長尺帯状の合成樹脂フィルムよりも小幅の細幅帯状合成樹脂フィルムを重ね合わせてその他側端部を長尺帯状の合成樹脂フィルムに全長に亘って融着することによりこの融着部から外側方に延出している上記長尺帯状の合成樹脂フィルムの一側端部を細幅帯状合成樹脂フィルムに対して捲り上げ可能な遊離片に形成してあり、さらに、この融着片に該遊離片の一側端から上記各カットテープの端部に向かってカットテープの長辺に平行な一定長さのスリットを形成していることを特徴とする。
【0011】
このように構成した物品包装用フィルムにおいて、請求項2に係る発明は、上記細幅帯状合成樹脂フィルムの一側部を長尺帯状の合成樹脂フィルムの一側端から外側方に突出させていることを特徴とする。
【0012】
さらに、請求項3に係る発明は、上記長尺帯状の合成樹脂フィルムの他側端部に細幅合成樹脂フィルムの厚みに等しい厚みを有する小幅の厚み調整用合成樹脂帯状フィルムを全長に亘って層着した状態にしてロール状に巻装していることを特徴とする。
【0013】
また、請求項4に係る発明は、上記物品包装用フィルムを用いた包装体であって、物品包装用フィルムは、矩形状に裁断された合成樹脂フィルムの長さ方向の中間部にこの合成樹脂フィルムの幅方向に長いカットテープをその長さ方向を合成樹脂フィルムの幅方向に向けた状態で一体に設けていると共に、上記合成樹脂フィルムの一側端部にこの合成樹脂フィルムよりも小幅の細幅合成樹脂フィルム片を重ね合わせてその他側端部をこの合成樹脂フィルムの全長に亘って融着することにより、この融着部から外側方に延出している上記長尺帯状の合成樹脂フィルムの一側端部を細幅帯状合成樹脂フィルムに対して捲り上げ可能な遊離片に形成し、且つ、この融着片に該遊離片の一側端から上記各カットテープの端部に向かってカットテープの長辺に平行な一定長さのスリットを形成してなり、この物品包装用フィルムを筒状に湾曲することにより物品を包装して上記カットテープを物品の周方向に一巻き状に巻き付けていると共に、上記細幅合成樹脂フィルム片の一側端部と上記合成樹脂フィルムの他側端部とを合掌状に重ね合わせて全長に亘り融着することにより縦シール部を形成し、さらに、物品の長さ方向の両端から突出している合成樹脂フィルムの長さ方向の両端部を一体に融着することにより横シール部を形成してあり、上記遊離片に設けているスリットからカットテープを介してこのカットテープを設けている合成樹脂フィルム部側を剥離可能に構成していることを特徴とする。
【0014】
このように構成した包装体において、請求項5に係る発明は、上記カットテープの長さ方向の一端部において、各カットテープの一方の長辺側のみに沿って遊離片に一条のスリットを設けていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によれば、長尺帯状の合成樹脂フィルムと、この長尺帯状の合成樹脂フィルムの一側端部上に重ね合わせてその他側端部を長尺帯状の合成樹脂フィルムに融着している細幅帯状合成樹脂フィルムとからなり、上記長尺帯状の合成樹脂フィルムに、長さ方向に一定間隔毎に合成樹脂製のカットテープをその長さ方向をこの長尺帯状の合成樹脂フィルムの幅方向に向けた状態にして一体に設けていると共に、上記細幅帯状合成樹脂フィルムと長尺帯状の合成樹脂フィルムとの上記融着部から外側方に延出している長尺帯状の合成樹脂フィルムの一側端部を細幅帯状合成樹脂フィルムに対して捲り上げ可能な遊離片に形成し、且つ、この融着片に該遊離片の一側端から上記各カットテープの端部に向かってカットテープの長辺に平行な一定長さのスリットを形成しているので、構造が簡単で安価に提供できるのは勿論、このように構成した物品包装用フィルムをロール巻きした状態から繰り出しながら、カットテープを設けているフィルム面上にこのカットテープが長さ方向の中間部に位置するようにして物品を包装用フィルムを長さ方向に向けて載置し、長尺帯状の合成樹脂フィルムを筒状に湾曲させながらその他側端部と細幅帯状合成樹脂フィルムの一側端部とを合掌状に重ね合わせて融着することにより縦シール部を形成すると共に、物品の長さ方向の両端部から突出している筒状に湾曲した長尺帯状フィルム部分を全幅に亘って融着して横シール部を形成することによって物品を包装した包装体を簡単に得ることができ、上記合掌状態で接合、融着してなるシール部以外の部分に開封手段である遊離片を全長に亘って設けてなる包装体を得ることができる。
【0016】
この開封手段である遊離片は、上述したように、細幅帯状合成樹脂フィルムを長尺帯状の合成樹脂フィルムの一側端部上に重ね合わせてその他側端部を長尺帯状の合成樹脂フィルムに全長に亘って融着することによりこの融着部から外側方に延出した上記長尺帯状の合成樹脂フィルムの一側端部によって形成されてあり、さらに、この遊離片には上記カットテープの長さ方向の一端部が一体に設けられていると共に、遊離片の一側端からカットテープの長辺に平行な一定長さのスリットを形成しているので、物品を包装した際に、包装したフィルム部分の表面から遊離片の先端部を摘んでスリットからカットテープを介して物品の一半部を包被しているフィルム部分を簡単且つ確実に剥離でき、大きく正確に開封可能な包装体を得ることができる。
【0017】
さらに、請求項2に係る発明によれば、上記細幅帯状合成樹脂フィルムの一側部を長尺帯状の合成樹脂フィルムの一側端から外側方に突出させているので、この一側部を長尺帯状の合成樹脂フィルムの他側端部に容易に且つ正確に合掌状に接合させて一体に融着させることができる。
【0018】
請求項3に係る発明によれば、上記長尺帯状の合成樹脂フィルムの他端部に細幅合成樹脂フィルムの厚みに等しい厚みを有する小幅の厚み調整用合成樹脂帯状フィルムを全長に亘って層着しているので、この長尺帯状の物品包装用フィルムをロール状に巻回する際に、両端間に亘って略同一径となるようにロール巻きすることができ、従って、大径のロール巻きが可能となって、このロール巻きを円滑に繰り出しながら一定長さ毎に物品を円滑に包装することができる。
【0019】
また、請求項4に係る発明によれば、上記長尺の物品包装用フィルムを一定長さ毎に矩形状に裁断してなる合成樹脂フィルムによって物品を包装した包装体の構造であって、合成樹脂フィルムの一側端部にこの合成樹脂フィルムよりも小幅の細幅合成樹脂フィルム片を、その一側部を合成樹脂フィルムの一側端縁から突出させた状態にして他側部を重ね合わせて他側端部をこの合成樹脂フィルムの全長に亘って融着することにより、この融着部から突出した合成樹脂フィルムの上記一側端部によって遊離片を形成しているので、開封時にこの遊離片に設けているスリット部分を容易に且つ確実に摘むことができ、この状態でスリットからカットテープに沿ってこのカットテープを設けているフィルム部分をカットテープと共に剥離しながら簡単に開封することができる。
【0020】
この際、遊離片は細幅帯状合成樹脂フィルム片の他側端部に融着している融着部から包装体の幅方向に突出していて、その全長に亘って物品を包装しているフィルムの表面から遊離させているので、カットテープの長さ方向の一端部側の遊離片部分を摘んで、この部分を上記スリットからカットテープに向かって斜め方向に捲り上げながら引っ張れば、スリットの先端からはカットテープに沿って包装体の周方向にフィルムを正確に分断しながら開封することができると共にこのカットテープを設けている包装体の一半部側をカットテープと共に捲り上げてその一半部をカットテープと共に剥離しながら全面的に大きく開封することができ、その上、カットテープを全長に亘って剥離した状態においては、細幅合成樹脂フィルム片の一側端部と上記合成樹脂フィルムの他側端部とが合掌状に重ね合わせて融着してなる縦シール部分によって包装体の一半部と他半部とが連なった状態となり、従って、この縦シール部分を支点として包装体の一半部を恰も被っていた帽子を取るように一半部上に簡単に折り返すことができ、カットテープを除去した後のカット線が包装体の他半部の開口端となってこの開口端から物品の一半部を全面的に外部に露出させることができる。
【0021】
従って、包装された物品が、上述したようにロールパンやホットドッグ等のファーストフードである場合には、圧潰などを生じさせることなくその一半部を包装体の開口端から全体に亘って大きく露出させることができ、包装体の一部を把持しながら容易に食することができる。
【0022】
請求項5に係る発明によれば、上記カットテープの長さ方向の一端部において、このカットテープの一方の長辺側のみに沿って、遊離片を形成している合成樹脂フィルムの一側端縁から一条のスリットを設けているので、このスリットからカットテープを含む包装体の一半部のみを上述したように円滑に剥離することができるが、カットテープの一端部を挟むようにして一対のスリットを設けておいてもよく、このように構成しておけば、いずれか一方のスリットによって包装体の一半部を、他方のスリットによって包装体の他半部を簡単に剥離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】ロール状に巻装した物品包装用フィルムの一部切欠斜視図。
【図2】その横断面図。
【図3】物品包装用フィルムを矩形状に裁断した状態の表面側から見た斜視図。
【図4】物品包装用フィルムを矩形状に裁断した状態の裏面側から見た斜視図。
【図5】物品の包装途上を説明するための一部を切欠いた簡略斜視図。
【図6】物品を包装した包装体を表面側から見た斜視図。
【図7】その裏面側から見た斜視図。
【図8】その簡略横断面図。
【図9】スリットから剥離を開始した状態の斜視図。
【図10】剥離している状態の簡略横断面図。
【図11】包装体の上半部を剥離した状態の斜視図。
【図12】ロール状に巻装した物品包装用フィルムの変形例を示す一部切欠斜視図。
【図13】その横断面図。
【図14】物品を包装した包装体を表面側から見た斜視図。
【図15】その横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の具体的な実施の形態を図面に基づいて説明すると、図1、図2において、物品包装用フィルムAは、ヒートシール性を有する一定幅の長尺帯状の合成樹脂フィルム1の片面(表面)上に長さ方向に一定間隔毎に、合成樹脂フィルムよりなる一定幅を有する横長長方形状のカットテープ2を、その長さ方向をこの長尺帯状の合成樹脂フィルム1の幅方向に向けた状態にして熱融着6(以下、熱融着を単に融着という)することによって一体に設けていると共に、各カットテープ2の長さ方向の一端部側において、上記長尺帯状の合成樹脂フィルム1の一側端部に、その一側端からカットテープ2の一端部におけるいずれか一方の長辺縁(図においては下側長辺縁)に沿ってこの長辺に平行な一定長さのスリット3を形成している。
【0025】
さらに、上記長尺帯状の合成樹脂フィルム1の一側端部に、この長尺帯状の合成樹脂フィルム1よりも小幅のヒートシール性を有する細幅帯状合成樹脂フィルム4を、その一側部4aを長尺帯状の合成樹脂フィルム1の一側端縁から突出させ、且つ、この突出部以外の他側部4bを長尺帯状の合成樹脂フィルム1の片面における一側端部上に重ね合わせてこの他側部4bの他側端部を長尺帯状の合成樹脂フィルム1における一側端から内側方に一定間隔を存した部分に全長に亘って直線状に融着7してあり、この融着部7から一側方に突出した上記長尺帯状の合成樹脂フィルム1の一側端部、即ち、細幅帯状合成樹脂フィルム4の上記他側部4bに重なっている部分を融着部7を始点して捲り上げ可能な遊離片1aに形成してあり、この遊離片1aの一側部に上記スリット3が設けられている。
【0026】
長尺帯状の合成樹脂フィルム1及び細幅帯状合成樹脂フィルム4としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等からなるイージーヒートシール性の合成樹脂フィルムと、この合成樹脂フィルムよりも高融点のポリアミドフィルムやポリ塩化ビニルフィルムの合成樹脂フィルムとを一体にラミネートしてなる積層フィルムであって、そのイージーヒートシール性の合成樹脂フィルム上に上記カットテープ2を融着6させていると共に、細幅帯状合成樹脂フィルム4における高融点の合成樹脂フィルム側を融着7させている。なお、長尺帯状の合成樹脂フィルム1及び細幅帯状合成樹脂フィルム4は、これらのイージーヒートシール性の合成樹脂フィルムと高融点の合成樹脂フィルムとの間に中間層としてポリエチレン等からなる接着層などを介在させてなる3層構造の積層フィルムであってもよい。
【0027】
上記カットテープ2は、長尺帯状の合成樹脂フィルム1の長さ方向に一つの物品Bが包装可能な間隔毎に長尺帯状の合成樹脂フィルム1に設けられていると共に、長尺帯状の合成樹脂フィルム1の幅方向に向けている長さを長尺帯状の合成樹脂フィルム1の幅よりも短い長さに形成されていて、その長さ方向の一端面を長尺帯状の合成樹脂フィルム1の一側端面に合わせるか、この一側端面から僅かに中央寄りに離間させた状態にして長尺帯状の合成樹脂フィルム1上に融着6し、このカットテープ2の他端と長尺帯状の合成樹脂フィルム1の他側端との間の小幅のフィルム他側端部1bを、後述するように、長尺帯状の合成樹脂フィルム1の一側端縁から突出している上記細幅帯状合成樹脂フィルム4の一側部4aと合掌状に接合して融着可能なフィルム端部としている。
【0028】
さらに、長尺帯状の合成樹脂フィルム1の一側端部上に重ねている上記細幅帯状合成樹脂フィルム4の他側部4bの幅を上記スリット3の長さよりも幅広くしてこの他側部4bによってカットテープ2の長さ方向の一端部とスリット3とを被覆した状態にしてスリット3から内側方に小間隔を存した他側部4bの他側端部を上述したように全長に亘って融着7している。
【0029】
このように構成した長尺帯状の物品包装用フィルムAは、図1に示すようにロール状に巻装され、この物品包装用フィルムAを一定長さずつ、繰り出しながらピロー包装機(図示せず)によって、物品Bを包装する。例えば、物品Bがホットドッグである場合には、その長さ方向を長尺帯状の合成樹脂フィルム1の長さ方向に向け、且つ、この物品Bの下面における長さ方向の中央部を一条のカットテープ2上に載せた状態にして図5に示すように長尺帯状の部品包装用フィルムAを筒状に湾曲させながらこの物品Bを包み込み、長尺帯状の合成樹脂フィルム1の一側端縁から外側方に突出している細幅帯状合成樹脂フィルム4の一側端部4aを長尺帯状の合成樹脂フィルム1の他側端部1bに合掌状に接合してその接合した内側端部を全長に亘って融着することにより縦シール部8を形成すると共に、物品Bの長さ方向の両端部から突出しているそれぞれの対向端部を接合させて全幅に亘って融着することにより上下横シール部9、10を形成することによって図6に示すように物品Bを包装した包装体A'を得る。
【0030】
なお、長尺帯状の物品包装用フィルムAを一定長さずつ繰り出しながら物品Bを順次、包装していく際には、先に包装した包装体A'は、その上側横シール部の中央部を全幅に亘って切断することにより切り離されるので、残った上側横シール部の上半部が次に物品Bを包装する際には下側横シール部となり、従って、実際には物品Bを包装した際に、その物品Bの上端から突出しているフィルムの対向端部を融着すれば、物品Bを順次包装していくことができる。
【0031】
また、ロール状に巻装している上記物品包装用フィルムAを繰り出して図3、図4に示すように、長さ方向の中央部に一条のカットテープ2を設けている矩形状の包装用フィルムaに順次、裁断し、各包装用フィルムa上に、上記同様にして物品Bをその長さ方向の中央部を上記カットテープ2上に載せた状態にしてこの矩形状の包装用フィルムaを筒状に湾曲させることにより物品Bを包み込み、矩形状に裁断されている合成樹脂フィルム1'の一側端縁から外側方に突出している細幅帯状合成樹脂フィルム片4'の一側端部を合成樹脂フィルム1'の他側端部に合掌状に接合してその接合した内側端部を全長に亘って融着することにより縦シール部8を形成すると共に、物品Bの長さ方向の両端部から突出している筒状に湾曲した矩形状合成樹脂フィルム1'の上下端部における対向端部をそれぞれ接合させて全幅に亘って融着することにより上下横シール部9、10を形成することによって図6に示すように物品Bを包装した包装体A'を得てもよい。
【0032】
いずれにしても製袋された包装体A'は、図6〜図8に示すように、上記長尺帯状の合成樹脂フィルム1を一定長さ毎に裁断されてなる矩形状の合成樹脂フィルム1'を筒状に湾曲して物品Bを包み込んでいるこの合成樹脂フィルム1'の内面の長さ方向の中間部に、物品Bの長さ方向の中間部を周方向に一巻きした状態にしてカットテープ2が設けられてあり、且つ、長尺帯状の合成樹脂フィルム1と共に一定長さ毎に裁断されてなる細幅帯状合成樹脂フィルム片4'の一側端部を、物品Bを包み込んでいる上記合成樹脂フィルム1'の他側端部に合掌状に接合して、その接合した内側端部を全長に亘って融着することにより縦シール部8を形成してあり、さらに、細幅帯状合成樹脂フィルム片4'の他側端部と物品Bを包み込んでいる上記合成樹脂フィルム1'の一側端部とを融着している融着部7から周方向に延出している遊離片1a' を細幅帯状合成樹脂フィルム片4'上に剥離可能に重ね合わせてその一側端縁を合掌状に接合、融着している縦シール部8に沿ってこの縦シール部8の全長に亘って平行に設けてなる構造を有している。
【0033】
このように構成した包装体A'を開封するには、スリット3を設けている側を表面にし、且つ、該スリット3をカットテープ2の先端部の下側に配設された状態にして、内面にカットテープ2の長さ方向の一端部を一体に融着させている遊離片1a' の長さ方向の中央部を摘んで、遊離片1a' をスリット3からカットテープ2を図9、図10に示すように、斜め上方に向かって引き起こして捲りあげながら周方向に引っ張ると、スリット3の先端からカットテープ2の下端縁に沿って物品Bを包装している合成樹脂フィルム1'の部分がカットテープ2と共に周方向に切断、剥離されていくと共にその剥離に伴って遊離片1a' が長さ方向にさらに捲られ、カットテープ2の先端部上に直交している融着部7をカットテープ2により分断したのち、さらに、カットテープ2を斜め上方に捲りながらその他端部にまで剥離すると、遊離片1a' に連なる合成樹脂フィルム1'の上半部、即ち、包装体A'の上半部が下半部からカットテープ2を介して略一周する部分まで分断された状態となり、カットテープ2が縦シール部8に到達すると、この縦シール部8によって剥離抵抗を受け、この位置で剥離を停止させる。
【0034】
この状態にすると、包装体A'の上半部が下半部に対して縦シール部8の部分のみで接続した形態となり、その他の部分はカットテープ2の略全長に亘って分断されて下半に対して大きく開封されているので、物品Bを包んでいる下半部を把持した状態で上半部を上記縦シール部8を支点として図11に示すように表面側(手前側)に向かって引き寄せると、上半部が物品Bの上半部から恰も帽子を脱ぐように簡単に離脱しながら下半部の表面上に折り返すことができ、物品の一半部を包装体A'の下半部の開口上端から上方に向かって全面的に外部に突出させた状態にして露出させることができ、物品Bがロールパンやホットドッグ等のファーストフードである場合には、この物品Bの下半部を包装している包装体A'の下半部をこの下半部上に折り返している上半部と共に把持しながら容易に食することができる。
【0035】
なお、以上の実施例において、長尺帯状の合成樹脂フィルム1の一側端部に細幅帯状合成樹脂フィルム4の他側部4bを重ね合わせてその他側端部を長尺帯状の合成樹脂フィルム1に全長に亘って融着7することにより、物品包装用フィルムAを構成すると、この物品包装用フィルムAを図1に示すようにロール状に巻装した場合には、細幅帯状合成樹脂フィルム4を重ね合わせている長尺帯状の合成樹脂フィルム1の一側端部側の巻径が他側端部側の巻径よりも太くなるので、図12、図13に示すように、長尺帯状の合成樹脂フィルム1の他側端部の片面に細幅帯状合成樹脂フィルム4の厚みに等しい厚みを有する小幅の厚み調整用合成樹脂帯状フィルム5を全長に亘って重ね合わせてその幅方向の中央部を全長に亘って融着11しておくことが好ましい。その他の構成については上記実施例と同様であるので、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0036】
このように構成した物品包装用フィルムA1をロール巻きした状態にして、上記実施例と同様に一定長さずつ繰り出しながらピロー包装機(図示せず)によって、物品Bを包装すると、図14、図15に示すように、上記実施例に示した包装体A'において、長尺帯状の合成樹脂フィルム1の一側端縁から外側方に突出している細幅帯状合成樹脂フィルム4の一側端部を長尺帯状の合成樹脂フィルム1の他側端部に合掌状に接合してその接合した内側端部を全長に亘って融着することにより縦シール部8を形成してなる構造に、縦シール部8に小幅間隔を存して平行に、長尺帯状の合成樹脂フィルム1の他側端部の内面に融着11している上記厚み調整用合成樹脂帯状フィルム5を配設した形態の包装体A'' を得ることができる。その他の構成については、上記実施例と同様であるので、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0037】
さらに、開封も上記実施例と同様であるが、カットテープ2の下端縁に沿って包装体A'' の上半部が下半部に対して分断される際に、カットテープ2が縦シール部8に到達する直前に、厚み調整用合成樹脂帯状フィルム5の融着部11に達してこの融着部11による剥離抵抗によってこの位置まで剥離させることができる構造としている。
【0038】
なお、以上のいずれの実施例においても、カットテープ2の一端部側において、合成樹脂フィルム1の一側端部の遊離片1a' このカットテープ2の下側長辺の下端に沿うようにスリット3を一条のみ設けているが、カットテープ2の一端部を挟むようにして上記遊離片1a' に上下2条のカットテープ2、2を設けおいてもよい。このように構成しておくとカットテープ2の一端部を設けている遊離片1a' 部分を摘んで、遊離片1a' を下側のスリット3からカットテープ2を斜め上方に向かって引き起こして捲り上げながら周方向に引っ張ると、上述したように包装体A'の上半部を剥離することができ、遊離片1a' を上側のスリット3からカットテープ2を斜め下方に向かって引き起こして捲りあげながら周方向に引っ張ると、包装体A'の下半部を剥離することができる。
【0039】
また、細幅帯状合成樹脂フィルム4の一側部4aを長尺帯状の合成樹脂フィルム1の一側端から外側方に突出させているが、突出させることなく、細幅帯状合成樹脂フィルム4全体を長尺帯状の合成樹脂フィルム1の一側端部上に重ね合わせてその他側端部を長尺帯状の合成樹脂フィルム1に融着7しておいてもよい。
【符号の説明】
【0040】
A 物品包装用フィルム
1 長尺帯状の合成樹脂フィルム
1a 遊離片
2 カットテープ
3 スリット
4 細幅帯状合成樹脂フィルム
6、7 融着部
8 縦シール部
9、10 横シール部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定幅を有する長尺帯状の合成樹脂フィルムに長さ方向に一定間隔毎に合成樹脂製のカットテープをその長さ方向をこの長尺帯状の合成樹脂フィルムの幅方向に向けた状態にして一体に設けていると共に、長尺帯状の合成樹脂フィルムの一側端部にこの長尺帯状の合成樹脂フィルムよりも小幅の細幅帯状合成樹脂フィルムを重ね合わせてその他側端部を長尺帯状の合成樹脂フィルムに全長に亘って融着することによりこの融着部から外側方に延出している上記長尺帯状の合成樹脂フィルムの一側端部を細幅帯状合成樹脂フィルムに対して捲り上げ可能な遊離片に形成してあり、さらに、この融着片に該遊離片の一側端から上記各カットテープの端部に向かってカットテープの長辺に平行な一定長さのスリットを形成していることを特徴とする物品包装用フィルム。
【請求項2】
細幅帯状合成樹脂フィルムの一側部を長尺帯状の合成樹脂フィルムの一側端から外側方に突出させていることを特徴とする請求項1に記載の物品包装用フィルム。
【請求項3】
長尺帯状の合成樹脂フィルムの他側端部に細幅合成樹脂フィルムの厚みに等しい厚みを有する小幅の厚み調整用合成樹脂帯状フィルムを全長に亘って層着した状態にしてロール状に巻装していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の物品包装用フィルム。
【請求項4】
物品包装用フィルムは、矩形状に裁断された合成樹脂フィルムの長さ方向の中間部にこの合成樹脂フィルムの幅方向に長いカットテープをその長さ方向を合成樹脂フィルムの幅方向に向けた状態で一体に設けていると共に、上記合成樹脂フィルムの一側端部にこの合成樹脂フィルムよりも小幅の細幅合成樹脂フィルム片を重ね合わせてその他側端部をこの合成樹脂フィルムの全長に亘って融着することにより、この融着部から外側方に延出している上記長尺帯状の合成樹脂フィルムの一側端部を細幅帯状合成樹脂フィルムに対して捲り上げ可能な遊離片に形成し、且つ、この融着片に該遊離片の一側端から上記各カットテープの端部に向かってカットテープの長辺に平行な一定長さのスリットを形成してなり、この物品包装用フィルムを筒状に湾曲することにより物品を包装して上記カットテープを物品の周方向に一巻き状に巻き付けていると共に、上記細幅合成樹脂フィルム片の一側端部と上記合成樹脂フィルムの他側端部とを合掌状に重ね合わせて全長に亘り融着することにより縦シール部を形成し、さらに、物品の長さ方向の両端から突出している合成樹脂フィルムの長さ方向の両端部を一体に融着することにより横シール部を形成してあり、上記遊離片に設けているスリットからカットテープを介してこのカットテープを設けている合成樹脂フィルム部側を剥離可能に構成していることを特徴とする包装体。
【請求項5】
カットテープの長さ方向の一端部において、各カットテープの一方の長辺側のみに沿って遊離片に一条のスリットを設けていることを特徴とする請求項4に記載の包装体。
【請求項1】
一定幅を有する長尺帯状の合成樹脂フィルムに長さ方向に一定間隔毎に合成樹脂製のカットテープをその長さ方向をこの長尺帯状の合成樹脂フィルムの幅方向に向けた状態にして一体に設けていると共に、長尺帯状の合成樹脂フィルムの一側端部にこの長尺帯状の合成樹脂フィルムよりも小幅の細幅帯状合成樹脂フィルムを重ね合わせてその他側端部を長尺帯状の合成樹脂フィルムに全長に亘って融着することによりこの融着部から外側方に延出している上記長尺帯状の合成樹脂フィルムの一側端部を細幅帯状合成樹脂フィルムに対して捲り上げ可能な遊離片に形成してあり、さらに、この融着片に該遊離片の一側端から上記各カットテープの端部に向かってカットテープの長辺に平行な一定長さのスリットを形成していることを特徴とする物品包装用フィルム。
【請求項2】
細幅帯状合成樹脂フィルムの一側部を長尺帯状の合成樹脂フィルムの一側端から外側方に突出させていることを特徴とする請求項1に記載の物品包装用フィルム。
【請求項3】
長尺帯状の合成樹脂フィルムの他側端部に細幅合成樹脂フィルムの厚みに等しい厚みを有する小幅の厚み調整用合成樹脂帯状フィルムを全長に亘って層着した状態にしてロール状に巻装していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の物品包装用フィルム。
【請求項4】
物品包装用フィルムは、矩形状に裁断された合成樹脂フィルムの長さ方向の中間部にこの合成樹脂フィルムの幅方向に長いカットテープをその長さ方向を合成樹脂フィルムの幅方向に向けた状態で一体に設けていると共に、上記合成樹脂フィルムの一側端部にこの合成樹脂フィルムよりも小幅の細幅合成樹脂フィルム片を重ね合わせてその他側端部をこの合成樹脂フィルムの全長に亘って融着することにより、この融着部から外側方に延出している上記長尺帯状の合成樹脂フィルムの一側端部を細幅帯状合成樹脂フィルムに対して捲り上げ可能な遊離片に形成し、且つ、この融着片に該遊離片の一側端から上記各カットテープの端部に向かってカットテープの長辺に平行な一定長さのスリットを形成してなり、この物品包装用フィルムを筒状に湾曲することにより物品を包装して上記カットテープを物品の周方向に一巻き状に巻き付けていると共に、上記細幅合成樹脂フィルム片の一側端部と上記合成樹脂フィルムの他側端部とを合掌状に重ね合わせて全長に亘り融着することにより縦シール部を形成し、さらに、物品の長さ方向の両端から突出している合成樹脂フィルムの長さ方向の両端部を一体に融着することにより横シール部を形成してあり、上記遊離片に設けているスリットからカットテープを介してこのカットテープを設けている合成樹脂フィルム部側を剥離可能に構成していることを特徴とする包装体。
【請求項5】
カットテープの長さ方向の一端部において、各カットテープの一方の長辺側のみに沿って遊離片に一条のスリットを設けていることを特徴とする請求項4に記載の包装体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−255913(P2011−255913A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130261(P2010−130261)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(595124284)株式会社大阪包装社 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(595124284)株式会社大阪包装社 (2)
【Fターム(参考)】
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