物品収容用の箱
【課題】簡易な構造により、箱に収容された物品を適切に確認することができる物品収容用の箱を課題とする。
【解決手段】物品収容用の箱1は、物品10を収容可能に構成された内箱20と、内箱20を引出し可能に収容する外箱30と、を備える。そして、内箱20は、その引出し方向における長さが、外箱30の引出し方向における長さよりも長い。内箱20は、引出し方向における一端側から外箱30の開口部31へと挿入されたとき、開口部31を閉塞する。一方、内箱20は、逆側から開口部31へと挿入されたときに、開口部31の一部を開放して、物品10を見えるようする。
【解決手段】物品収容用の箱1は、物品10を収容可能に構成された内箱20と、内箱20を引出し可能に収容する外箱30と、を備える。そして、内箱20は、その引出し方向における長さが、外箱30の引出し方向における長さよりも長い。内箱20は、引出し方向における一端側から外箱30の開口部31へと挿入されたとき、開口部31を閉塞する。一方、内箱20は、逆側から開口部31へと挿入されたときに、開口部31の一部を開放して、物品10を見えるようする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば靴を収容するための靴箱など、物品収容用の箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、靴は、紙製の靴箱に収容されて小売店等で積み重ねて保存されたり運搬されたりする一方、店頭においては、靴箱から出されて、消費者の目につくように靴単体で配置されている。この種の靴箱としては、例えば特許文献1や2に記載のものが知られている。特許文献1に記載の靴箱は、外箱に内箱を引出し可能にし、外箱及び内箱を透明材で形成することで、内箱に収容した靴を外部から視認可能にしたものである。
【特許文献1】実用新案登録3035983号
【特許文献2】特開2005−7027号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載の靴箱の場合、店頭において靴箱から靴を出して配置しなくとも、消費者が靴箱内の靴を確認することができる点では有用である。しかし、靴箱を透明にするために、靴箱をプラスチックで形成しなければならず、製造コストがかかり、改善が望まれていた。
【0004】
本発明は、簡易な構造により、箱に収容された物品を適切に確認することができる物品収容用の箱を提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するべく、本発明の物品収容用の箱は、物品を収容可能に構成された内箱と、内箱を引出し可能に収容する外箱と、を備えた物品収容用の箱であって、内箱は、その引出し方向における長さが、引出し方向における外箱の長さよりも長いものである。
【0006】
この構成によれば、内箱を外箱に収容した状態では、引出し方向において、常に、内箱の一部は外箱の外部に突出する。このため、その露出する内箱の部分を、例えば開口にしたり或いは透明にしたりするなどの工夫を施すことで、内箱から物品を取り出さなくとも、露出する内箱の部分を介して、内箱に収容された物品を適切に確認することが可能となる。
【0007】
ここで、物品収容用の箱は、各種の物品を収容する箱に適用することができるが、特に、店頭などで物品を陳列する際に箱と物品とを別々にしなくてもよいため、このような陳列の対象となる物品を収容するのに適している。例えば、好ましい一態様では、物品は靴又はアクセサリであり、箱は靴箱又は化粧箱である。そのほかにも、物品は、袋入のスナック菓子などの食料品類や飲料品類、日用品であってもよい。
【0008】
本発明の一態様によれば、外箱は、引出し方向における一端に、内箱を外箱の内側から引き出したり外箱の内側へと挿入したりするための開口部を有し、内箱は、引出し方向における一端側から開口部へと挿入されたときに、開口部を閉塞するように構成されていると共に、一端と反対側の他端側から開口部へと挿入されたときに、開口部の少なくとも一部を開放するように構成されていることが、好ましい。
【0009】
この構成によれば、外箱の開口部に対する内箱の挿入方向を変えるだけで、その開口部を閉塞できたり、少なくとも一部を開放できたりすることができる。
【0010】
この場合、内箱が外箱の開口部を閉塞したとき、内箱及び外箱は物品を外部から視認不能に覆い、内箱が外箱の開口部の少なくとも一部を開放したとき、内箱及び外箱は、この開放されたところを介した物品の外部からの視認を許容することが、好ましい。
【0011】
こうすることで、開口部を閉塞したときには、物品は内箱及び外箱により外部から視認不能に覆われる。このため、例えば、購入後に物品を持ち帰る際に、物品を箱から露出させなくて済み、物品を適切に保護することができる。一方、開口部の少なくとも一部を開放したときには、箱に収容された物品は外部から視認することができる。このため、例えば、店頭などにおいて、物品を箱に収容したまま陳列することができる。
このように、外箱の開口部に対する内箱との関係を規定しているため、箱は、簡易な構造によって、あるときは物品の視認を許容し、またあるときは物品を覆って保護することができる。
【0012】
また、本発明の別の好ましい一態様によれば、外箱は、引出し方向における一端に、内箱を外箱の内側から引き出したり外箱の内側へと挿入したりするための開口部を有し、内箱の引出し方向における一端側は、物品を出し入れするための開口部を有し、内箱の引出し方向における他端側は、閉塞されていてもよい。
【0013】
上述のとおり、内箱を外箱に収容した状態では、引出し方向において、常に、内箱はその一部が外箱の外部に露出する。その露出した部分に内箱の開口部が含まれる場合には、物品は、その開口部を介して視認できると共に出し入れすることができ、例えば陳列に際して有用となる。一方、その露出した部分に内箱の閉塞された他端側が含まれる場合には、物品は、その開口部から視認したり出し入れしたりすることができなくなる。この場合は、例えば運搬に際して有用となる。
【0014】
この場合、内箱の開口部は斜めに開口していることが、好ましい。
【0015】
こうすることで、物品の視認性を高めることができる。
【0016】
同様に、内箱の開口部は、内箱の引出し方向の一端側から見たとき、斜め上方に向かって開口していることが好ましい。
【0017】
このように、消費者等のユーザの視点を考慮することで、ユーザに物品を広く視認させることが可能となり、特に陳列時に有用となる。
【0018】
本発明の一態様によれば、外箱は、引出し方向における他端側が閉塞されていることが、好ましい。
【0019】
こうすることで、外箱は、引出し方向の一端が開口部を有し且つ他端が閉塞することになるので、外箱の開口部から挿入した内箱は、外箱の他端側からの外部への抜け落ちを防止される。これにより、物品及び箱の取扱い性を高めることができる。
【0020】
本発明の別の一態様によれば、内箱は、引出し方向において露出領域と隠蔽領域とに区分けされる。露出領域は、物品の他の一部を当該内箱の外側に視認可能に露出した状態で、物品を収容する。一方、隠蔽領域は、露出領域との境界以外では、物品の一部を内箱の内側に隠蔽した状態で、物品を収容する。
【発明の効果】
【0021】
本発明の物品収容用の箱によれば、内箱を外箱よりも引出し方向において長くするという簡易な構造によって、内箱にある物品の確認を可能にし得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態に係る物品収容用の箱を、靴箱に適用した例について説明する。
【0023】
図1〜図5は、靴箱1の斜視図、平面図、正面図、左側面図及び右側面図である。
靴箱1は、靴10を収容可能に構成された内箱20と、内箱20を引出し可能に収容する外箱30と、で構成されている。内箱20は、外箱30から完全に引き出すことができる。つまり、内箱20は外箱30に着脱することができる。
以下では、内箱20を外箱30に挿入したり引き出したりする方向を、引出し方向又は左右方向と定義する。なお、靴10は、図1及び図4においてのみ二点鎖線で示す。
【0024】
靴箱1に収容される靴10は、革等からなる紳士靴や、パンプスやハイヒール等の婦人靴のほか、ブーツなど、その種類を問うものでははい。靴箱1は、例えば大・小の2種類を用意することもできるが、靴10の種類やサイズに応じて適宜設計することができる。
【0025】
内箱20及び外箱30は、紙や樹脂など、各種の材料で形成することができ、互いに異種の材料を用いて形成してもよい。ここでは、コストや廃棄のし易さ等の観点から、内箱20及び外箱30を紙で形成している。なお、保存時などの靴箱1の積み重ねを考慮すると、外箱30は内箱20よりも強度が高いことが好ましい。
【0026】
紙製の内箱20及び外箱30は、シート状のものから折り曲げることにより箱型に組立てることができる一方、消費者等が靴箱1を廃棄等する際には、箱型から解体して扁平なシート状へと変形することができる。すなわち、内箱20及び外箱30を紙製とすることで、消費者等における靴箱1の取扱いをも高めることができる。
【0027】
外箱30は、角筒状の一端(右側方)が閉塞された直方体形状からなる。すなわち、外箱30は、引出し方向における一端が方形の開口部31となっている一方、引出し方向における他端が閉塞されている。
【0028】
開口部31は、引出し方向における一端である直方体の左側面に対応する領域に形成されており、この左側面の全ての領域を開口するように形成されている。開口部31は、外箱30の内側の収容空間に対して、内箱20を挿入したり、引出したり(抜出したり)するために活用される。
【0029】
収容空間は、外箱30を構成する方形の五つの面、すなわち、上面32、下面33、前面34、後面35、及び右側面36により画成されている。上面32には、「A」の文字が付されている。例えば、「A」の文字の代わりに、靴10の内容を表示する文字や、靴10を取り扱う会社のロゴなどを用いてもよいし、もちろん省略してもよい。なお、図示省略したが、下面33には、靴10の取扱い上の注意などを記載してもよい。
【0030】
図6〜図9は、内箱20の平面図、正面図、左側面図及び右側面図である。
内箱20は、中空の直方体の一部を斜め切りしたような形状を有しており、左斜め上方に向かって開口する開口部21を有している。
【0031】
開口部21は、内箱20の引出し方向における一端側に、より具体的には、左側面27の一部と上面22の一部とを通る平面で切断した部分に位置している。開口部21は、内箱20の左側方の一部と上方の一部とを開口するように形成されている。開口部21は、内箱20の載置空間に靴10を出し入れするために活用される。
【0032】
載置空間は、内箱20を構成する方形の六つの面、すなわち、上面22、下面23、前面24、後面25、右側面26、及び左側面27により画成されている。内箱20は靴10を載置するトレイとしての機能を有しており、載置空間は下面23の上部に靴10を載置する。なお、図示省略したが、下面23の上部に中敷を敷設して、中敷の上に靴10を載置させるようにしてもよい。
【0033】
上面22は、引出し方向における長さが下面23よりも短くなっており、靴10の一部を上方から覆う。右側面26は、内箱20の引出し方向における他端側を閉塞する。右側面26及び左側面27は、外箱30に対する内箱20の引出し動作の際などに、靴10が引出し方向の両方向から抜けることを阻止することができる。
【0034】
概念上、内箱20を上面22が存在する領域と存在しない領域とに引出し方向において区分けすれば、上面22が存在しない領域は、内箱20の略左半部にあり、靴10の一部を内箱20の外側に視認可能に露出する露出領域と換言することができる。一方、上面22が存在する領域は、内箱20の略右半部にあり、靴10の一部を隠蔽した状態で収容可能な隠蔽領域と換言することができる。ただし、隠蔽領域は、露出領域との境界では、靴10の一部を露出領域側に露出する。
【0035】
ここで、内箱20及び外箱30のサイズについて、図1ないし図4を参照して説明する。
内箱20は、外箱30の内側に略隙間なく位置できるように且つ外箱30の内面に沿ってスライド移動できるように、上下方向の高さ及び前後方向の奥行きを有している。一方で、内箱20は、引出し方向(すなわち左右方向)における長さが外箱30よりも長くなっている。このため、内箱20を外箱30に収容した状態では、引出し方向において、常に、内箱20の一部は外箱30の外部に露出することになる。
【0036】
図1ないし図4に示すように、外箱30の奥まで内箱20を挿入し、外箱30の右側面36に内箱20の右側面26をあてがった場合、内箱20の左側の部分は、外箱30の開口部31から外部に突出する。換言すれば、内箱20の上面22のない露出領域の一部は、外箱30の開口部31から外部に突出し、露出領域の残りの部分及び隠蔽領域の全部は、外箱30の収容空間に収まることになる。
【0037】
このとき、外箱30の開口部31の一部(上側部分)は開放されるため、この開放されたところを介して、外箱30の内部に位置する靴10を外箱30の外部から視認することが可能となる。
【0038】
図10ないし図12は、それぞれ、図1ないし図4とは反対側の方向から内箱20を外箱30に挿入した状態を示す図である。
外箱30の右側面36に内箱20の左側面27をあてがった場合、内箱20の右側面26側の部分は、外箱30の開口部31から外部に突出する。換言すれば、内箱20の上面22のある隠蔽領域の一部は、外箱30の開口部31から外部に突出し、隠蔽領域の残りの部分及び露出領域の全部は、外箱30の収容空間に収まることになる。
【0039】
このとき、開口部31は、内箱20の隠蔽領域の一部によって略完全に閉塞されることになり、靴10は、内箱20及び外箱30により完全に覆われるため、外部から視認不能となる。
【0040】
ここで、外箱30から突出させる内箱20の長さについては、内箱20の斜めに開口した開口部21の傾斜角度を考慮して、図1ないし図4に示す状態の靴10の視認性を確保できるように決定すればよい。なお、開口部21の傾斜角度θ(図2参照)は、開口部21の傾斜方向と引出し方向との交角であり、例えば20度程度であればよい。
【0041】
本実施形態の靴箱1の作用・効果について簡単に説明する。
上記したように、本実施形態の靴箱1によれば、外箱30への内箱20の挿入方向を変えるだけで、靴10を完全に収容したり、収容した靴10の一部を外部から見えるようにしたりできる。このため、靴10及び靴箱1を取り扱う店舗等において、靴10を陳列する際などに有用となる。
【0042】
具体的には、店頭においては、靴箱1の態様を図1ないし図4に示す状態にすることで、靴10を靴箱1から出さずに陳列することができる。消費者等は、陳列された靴箱1内の靴10を外部から確認することができ、必要に応じて、内箱20を引き出すことで、靴10の全容を確認することもできる。そして、靴10を購入する場合には、消費者は靴箱1に入れたままレジに持っていけばよい。
【0043】
消費者による靴10の購入後に、レジにおいて、内箱20を完全に引き出して、逆向きとし、再び内箱20を外箱30に挿入すればよい。そして、靴箱1の態様を図10ないし図12に示す状態にすることで、靴箱1から靴10を突出させなくて済み、外部環境から靴10を保護することができる。このように、本実施形態の靴箱1によれば、靴10の取扱い性を向上し、消費者等の利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】実施形態に係る物品収容用の箱の斜視図である。
【図2】実施形態に係る物品収容用の箱の平面図である。
【図3】図2の正面図である。
【図4】図3の左側面図である。
【図5】図3の右側面図である。
【図6】実施形態に係る物品収容用の箱の内箱の平面図である。
【図7】図6の正面図である。
【図8】図7の左側面図である。
【図9】図7の右側面図である。
【図10】実施形態に係る物品収容用の箱の平面図であり、内箱を図2とは反対側から外箱に収容させた状態を示す図である。
【図11】図10の正面図である。
【図12】図11の左側面図である。
【符号の説明】
【0045】
1:靴箱、10:靴、20:内箱、21:開口部、22:上面、23:下面、24:前面、25:後面、26:右側面、27:左側面、30:外箱、31:開口部、32:上面、33:下面、34:前面、35:後面、36:右側面
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば靴を収容するための靴箱など、物品収容用の箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、靴は、紙製の靴箱に収容されて小売店等で積み重ねて保存されたり運搬されたりする一方、店頭においては、靴箱から出されて、消費者の目につくように靴単体で配置されている。この種の靴箱としては、例えば特許文献1や2に記載のものが知られている。特許文献1に記載の靴箱は、外箱に内箱を引出し可能にし、外箱及び内箱を透明材で形成することで、内箱に収容した靴を外部から視認可能にしたものである。
【特許文献1】実用新案登録3035983号
【特許文献2】特開2005−7027号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載の靴箱の場合、店頭において靴箱から靴を出して配置しなくとも、消費者が靴箱内の靴を確認することができる点では有用である。しかし、靴箱を透明にするために、靴箱をプラスチックで形成しなければならず、製造コストがかかり、改善が望まれていた。
【0004】
本発明は、簡易な構造により、箱に収容された物品を適切に確認することができる物品収容用の箱を提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するべく、本発明の物品収容用の箱は、物品を収容可能に構成された内箱と、内箱を引出し可能に収容する外箱と、を備えた物品収容用の箱であって、内箱は、その引出し方向における長さが、引出し方向における外箱の長さよりも長いものである。
【0006】
この構成によれば、内箱を外箱に収容した状態では、引出し方向において、常に、内箱の一部は外箱の外部に突出する。このため、その露出する内箱の部分を、例えば開口にしたり或いは透明にしたりするなどの工夫を施すことで、内箱から物品を取り出さなくとも、露出する内箱の部分を介して、内箱に収容された物品を適切に確認することが可能となる。
【0007】
ここで、物品収容用の箱は、各種の物品を収容する箱に適用することができるが、特に、店頭などで物品を陳列する際に箱と物品とを別々にしなくてもよいため、このような陳列の対象となる物品を収容するのに適している。例えば、好ましい一態様では、物品は靴又はアクセサリであり、箱は靴箱又は化粧箱である。そのほかにも、物品は、袋入のスナック菓子などの食料品類や飲料品類、日用品であってもよい。
【0008】
本発明の一態様によれば、外箱は、引出し方向における一端に、内箱を外箱の内側から引き出したり外箱の内側へと挿入したりするための開口部を有し、内箱は、引出し方向における一端側から開口部へと挿入されたときに、開口部を閉塞するように構成されていると共に、一端と反対側の他端側から開口部へと挿入されたときに、開口部の少なくとも一部を開放するように構成されていることが、好ましい。
【0009】
この構成によれば、外箱の開口部に対する内箱の挿入方向を変えるだけで、その開口部を閉塞できたり、少なくとも一部を開放できたりすることができる。
【0010】
この場合、内箱が外箱の開口部を閉塞したとき、内箱及び外箱は物品を外部から視認不能に覆い、内箱が外箱の開口部の少なくとも一部を開放したとき、内箱及び外箱は、この開放されたところを介した物品の外部からの視認を許容することが、好ましい。
【0011】
こうすることで、開口部を閉塞したときには、物品は内箱及び外箱により外部から視認不能に覆われる。このため、例えば、購入後に物品を持ち帰る際に、物品を箱から露出させなくて済み、物品を適切に保護することができる。一方、開口部の少なくとも一部を開放したときには、箱に収容された物品は外部から視認することができる。このため、例えば、店頭などにおいて、物品を箱に収容したまま陳列することができる。
このように、外箱の開口部に対する内箱との関係を規定しているため、箱は、簡易な構造によって、あるときは物品の視認を許容し、またあるときは物品を覆って保護することができる。
【0012】
また、本発明の別の好ましい一態様によれば、外箱は、引出し方向における一端に、内箱を外箱の内側から引き出したり外箱の内側へと挿入したりするための開口部を有し、内箱の引出し方向における一端側は、物品を出し入れするための開口部を有し、内箱の引出し方向における他端側は、閉塞されていてもよい。
【0013】
上述のとおり、内箱を外箱に収容した状態では、引出し方向において、常に、内箱はその一部が外箱の外部に露出する。その露出した部分に内箱の開口部が含まれる場合には、物品は、その開口部を介して視認できると共に出し入れすることができ、例えば陳列に際して有用となる。一方、その露出した部分に内箱の閉塞された他端側が含まれる場合には、物品は、その開口部から視認したり出し入れしたりすることができなくなる。この場合は、例えば運搬に際して有用となる。
【0014】
この場合、内箱の開口部は斜めに開口していることが、好ましい。
【0015】
こうすることで、物品の視認性を高めることができる。
【0016】
同様に、内箱の開口部は、内箱の引出し方向の一端側から見たとき、斜め上方に向かって開口していることが好ましい。
【0017】
このように、消費者等のユーザの視点を考慮することで、ユーザに物品を広く視認させることが可能となり、特に陳列時に有用となる。
【0018】
本発明の一態様によれば、外箱は、引出し方向における他端側が閉塞されていることが、好ましい。
【0019】
こうすることで、外箱は、引出し方向の一端が開口部を有し且つ他端が閉塞することになるので、外箱の開口部から挿入した内箱は、外箱の他端側からの外部への抜け落ちを防止される。これにより、物品及び箱の取扱い性を高めることができる。
【0020】
本発明の別の一態様によれば、内箱は、引出し方向において露出領域と隠蔽領域とに区分けされる。露出領域は、物品の他の一部を当該内箱の外側に視認可能に露出した状態で、物品を収容する。一方、隠蔽領域は、露出領域との境界以外では、物品の一部を内箱の内側に隠蔽した状態で、物品を収容する。
【発明の効果】
【0021】
本発明の物品収容用の箱によれば、内箱を外箱よりも引出し方向において長くするという簡易な構造によって、内箱にある物品の確認を可能にし得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態に係る物品収容用の箱を、靴箱に適用した例について説明する。
【0023】
図1〜図5は、靴箱1の斜視図、平面図、正面図、左側面図及び右側面図である。
靴箱1は、靴10を収容可能に構成された内箱20と、内箱20を引出し可能に収容する外箱30と、で構成されている。内箱20は、外箱30から完全に引き出すことができる。つまり、内箱20は外箱30に着脱することができる。
以下では、内箱20を外箱30に挿入したり引き出したりする方向を、引出し方向又は左右方向と定義する。なお、靴10は、図1及び図4においてのみ二点鎖線で示す。
【0024】
靴箱1に収容される靴10は、革等からなる紳士靴や、パンプスやハイヒール等の婦人靴のほか、ブーツなど、その種類を問うものでははい。靴箱1は、例えば大・小の2種類を用意することもできるが、靴10の種類やサイズに応じて適宜設計することができる。
【0025】
内箱20及び外箱30は、紙や樹脂など、各種の材料で形成することができ、互いに異種の材料を用いて形成してもよい。ここでは、コストや廃棄のし易さ等の観点から、内箱20及び外箱30を紙で形成している。なお、保存時などの靴箱1の積み重ねを考慮すると、外箱30は内箱20よりも強度が高いことが好ましい。
【0026】
紙製の内箱20及び外箱30は、シート状のものから折り曲げることにより箱型に組立てることができる一方、消費者等が靴箱1を廃棄等する際には、箱型から解体して扁平なシート状へと変形することができる。すなわち、内箱20及び外箱30を紙製とすることで、消費者等における靴箱1の取扱いをも高めることができる。
【0027】
外箱30は、角筒状の一端(右側方)が閉塞された直方体形状からなる。すなわち、外箱30は、引出し方向における一端が方形の開口部31となっている一方、引出し方向における他端が閉塞されている。
【0028】
開口部31は、引出し方向における一端である直方体の左側面に対応する領域に形成されており、この左側面の全ての領域を開口するように形成されている。開口部31は、外箱30の内側の収容空間に対して、内箱20を挿入したり、引出したり(抜出したり)するために活用される。
【0029】
収容空間は、外箱30を構成する方形の五つの面、すなわち、上面32、下面33、前面34、後面35、及び右側面36により画成されている。上面32には、「A」の文字が付されている。例えば、「A」の文字の代わりに、靴10の内容を表示する文字や、靴10を取り扱う会社のロゴなどを用いてもよいし、もちろん省略してもよい。なお、図示省略したが、下面33には、靴10の取扱い上の注意などを記載してもよい。
【0030】
図6〜図9は、内箱20の平面図、正面図、左側面図及び右側面図である。
内箱20は、中空の直方体の一部を斜め切りしたような形状を有しており、左斜め上方に向かって開口する開口部21を有している。
【0031】
開口部21は、内箱20の引出し方向における一端側に、より具体的には、左側面27の一部と上面22の一部とを通る平面で切断した部分に位置している。開口部21は、内箱20の左側方の一部と上方の一部とを開口するように形成されている。開口部21は、内箱20の載置空間に靴10を出し入れするために活用される。
【0032】
載置空間は、内箱20を構成する方形の六つの面、すなわち、上面22、下面23、前面24、後面25、右側面26、及び左側面27により画成されている。内箱20は靴10を載置するトレイとしての機能を有しており、載置空間は下面23の上部に靴10を載置する。なお、図示省略したが、下面23の上部に中敷を敷設して、中敷の上に靴10を載置させるようにしてもよい。
【0033】
上面22は、引出し方向における長さが下面23よりも短くなっており、靴10の一部を上方から覆う。右側面26は、内箱20の引出し方向における他端側を閉塞する。右側面26及び左側面27は、外箱30に対する内箱20の引出し動作の際などに、靴10が引出し方向の両方向から抜けることを阻止することができる。
【0034】
概念上、内箱20を上面22が存在する領域と存在しない領域とに引出し方向において区分けすれば、上面22が存在しない領域は、内箱20の略左半部にあり、靴10の一部を内箱20の外側に視認可能に露出する露出領域と換言することができる。一方、上面22が存在する領域は、内箱20の略右半部にあり、靴10の一部を隠蔽した状態で収容可能な隠蔽領域と換言することができる。ただし、隠蔽領域は、露出領域との境界では、靴10の一部を露出領域側に露出する。
【0035】
ここで、内箱20及び外箱30のサイズについて、図1ないし図4を参照して説明する。
内箱20は、外箱30の内側に略隙間なく位置できるように且つ外箱30の内面に沿ってスライド移動できるように、上下方向の高さ及び前後方向の奥行きを有している。一方で、内箱20は、引出し方向(すなわち左右方向)における長さが外箱30よりも長くなっている。このため、内箱20を外箱30に収容した状態では、引出し方向において、常に、内箱20の一部は外箱30の外部に露出することになる。
【0036】
図1ないし図4に示すように、外箱30の奥まで内箱20を挿入し、外箱30の右側面36に内箱20の右側面26をあてがった場合、内箱20の左側の部分は、外箱30の開口部31から外部に突出する。換言すれば、内箱20の上面22のない露出領域の一部は、外箱30の開口部31から外部に突出し、露出領域の残りの部分及び隠蔽領域の全部は、外箱30の収容空間に収まることになる。
【0037】
このとき、外箱30の開口部31の一部(上側部分)は開放されるため、この開放されたところを介して、外箱30の内部に位置する靴10を外箱30の外部から視認することが可能となる。
【0038】
図10ないし図12は、それぞれ、図1ないし図4とは反対側の方向から内箱20を外箱30に挿入した状態を示す図である。
外箱30の右側面36に内箱20の左側面27をあてがった場合、内箱20の右側面26側の部分は、外箱30の開口部31から外部に突出する。換言すれば、内箱20の上面22のある隠蔽領域の一部は、外箱30の開口部31から外部に突出し、隠蔽領域の残りの部分及び露出領域の全部は、外箱30の収容空間に収まることになる。
【0039】
このとき、開口部31は、内箱20の隠蔽領域の一部によって略完全に閉塞されることになり、靴10は、内箱20及び外箱30により完全に覆われるため、外部から視認不能となる。
【0040】
ここで、外箱30から突出させる内箱20の長さについては、内箱20の斜めに開口した開口部21の傾斜角度を考慮して、図1ないし図4に示す状態の靴10の視認性を確保できるように決定すればよい。なお、開口部21の傾斜角度θ(図2参照)は、開口部21の傾斜方向と引出し方向との交角であり、例えば20度程度であればよい。
【0041】
本実施形態の靴箱1の作用・効果について簡単に説明する。
上記したように、本実施形態の靴箱1によれば、外箱30への内箱20の挿入方向を変えるだけで、靴10を完全に収容したり、収容した靴10の一部を外部から見えるようにしたりできる。このため、靴10及び靴箱1を取り扱う店舗等において、靴10を陳列する際などに有用となる。
【0042】
具体的には、店頭においては、靴箱1の態様を図1ないし図4に示す状態にすることで、靴10を靴箱1から出さずに陳列することができる。消費者等は、陳列された靴箱1内の靴10を外部から確認することができ、必要に応じて、内箱20を引き出すことで、靴10の全容を確認することもできる。そして、靴10を購入する場合には、消費者は靴箱1に入れたままレジに持っていけばよい。
【0043】
消費者による靴10の購入後に、レジにおいて、内箱20を完全に引き出して、逆向きとし、再び内箱20を外箱30に挿入すればよい。そして、靴箱1の態様を図10ないし図12に示す状態にすることで、靴箱1から靴10を突出させなくて済み、外部環境から靴10を保護することができる。このように、本実施形態の靴箱1によれば、靴10の取扱い性を向上し、消費者等の利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】実施形態に係る物品収容用の箱の斜視図である。
【図2】実施形態に係る物品収容用の箱の平面図である。
【図3】図2の正面図である。
【図4】図3の左側面図である。
【図5】図3の右側面図である。
【図6】実施形態に係る物品収容用の箱の内箱の平面図である。
【図7】図6の正面図である。
【図8】図7の左側面図である。
【図9】図7の右側面図である。
【図10】実施形態に係る物品収容用の箱の平面図であり、内箱を図2とは反対側から外箱に収容させた状態を示す図である。
【図11】図10の正面図である。
【図12】図11の左側面図である。
【符号の説明】
【0045】
1:靴箱、10:靴、20:内箱、21:開口部、22:上面、23:下面、24:前面、25:後面、26:右側面、27:左側面、30:外箱、31:開口部、32:上面、33:下面、34:前面、35:後面、36:右側面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収容可能に構成された内箱と、前記内箱を引出し可能に収容する外箱と、を備えた物品収容用の箱であって、
前記内箱は、その引出し方向における長さが、当該引出し方向における前記外箱の長さよりも長い、物品収容用の箱。
【請求項2】
前記外箱は、前記引出し方向における一端に、前記内箱を当該外箱の内側から引き出したり当該外箱の内側へと挿入したりするための開口部を有し、
前記内箱は、前記引出し方向における一端側から前記開口部へと挿入されたときに、前記開口部を閉塞するように構成されていると共に、前記一端と反対側の他端側から前記開口部へと挿入されたときに、前記開口部の少なくとも一部を開放するように構成されている、請求項1に記載の物品収容用の箱。
【請求項3】
前記内箱が前記外箱の開口部を閉塞したとき、前記内箱及び前記外箱は前記物品を外部から視認不能に覆い、
前記内箱が前記外箱の開口部の少なくとも一部を開放したとき、前記内箱及び前記外箱は、この開放されたところを介した前記物品の外部からの視認を許容する、請求項2に記載の物品収容用の箱。
【請求項4】
前記外箱は、前記引出し方向における一端に、前記内箱を当該外箱の内側から引き出したり当該外箱の内側へと挿入したりするための開口部を有し、
前記内箱の前記引出し方向における一端側は、前記物品を出し入れするための開口部を有し、前記内箱の前記引出し方向における他端側は、閉塞されている、請求項1に記載の物品収容用の箱。
【請求項5】
前記内箱の開口部は、斜めに開口している請求項4に記載の物品収容用の箱。
【請求項6】
前記内箱の開口部は、当該内箱の前記引出し方向の一端側から見たとき、斜め上方に向かって開口している、請求項4に記載の物品収容用の箱。
【請求項7】
前記外箱は、前記引出し方向における他端側が閉塞されている、請求項2ないし6のいずれか一項に記載の物品収容用の箱。
【請求項8】
前記内箱は、前記引出し方向において露出領域と隠蔽領域とに区分けされており、
前記露出領域は、前記物品の他の一部を当該内箱の外側に視認可能に露出した状態で、前記物品を収容し、
前記隠蔽領域は、前記露出領域との境界以外では、前記物品の一部を当該内箱の内側に隠蔽した状態で、前記物品を収容する、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の物品収容用の箱。
【請求項9】
前記物品は靴である、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の物品収容用の箱。
【請求項1】
物品を収容可能に構成された内箱と、前記内箱を引出し可能に収容する外箱と、を備えた物品収容用の箱であって、
前記内箱は、その引出し方向における長さが、当該引出し方向における前記外箱の長さよりも長い、物品収容用の箱。
【請求項2】
前記外箱は、前記引出し方向における一端に、前記内箱を当該外箱の内側から引き出したり当該外箱の内側へと挿入したりするための開口部を有し、
前記内箱は、前記引出し方向における一端側から前記開口部へと挿入されたときに、前記開口部を閉塞するように構成されていると共に、前記一端と反対側の他端側から前記開口部へと挿入されたときに、前記開口部の少なくとも一部を開放するように構成されている、請求項1に記載の物品収容用の箱。
【請求項3】
前記内箱が前記外箱の開口部を閉塞したとき、前記内箱及び前記外箱は前記物品を外部から視認不能に覆い、
前記内箱が前記外箱の開口部の少なくとも一部を開放したとき、前記内箱及び前記外箱は、この開放されたところを介した前記物品の外部からの視認を許容する、請求項2に記載の物品収容用の箱。
【請求項4】
前記外箱は、前記引出し方向における一端に、前記内箱を当該外箱の内側から引き出したり当該外箱の内側へと挿入したりするための開口部を有し、
前記内箱の前記引出し方向における一端側は、前記物品を出し入れするための開口部を有し、前記内箱の前記引出し方向における他端側は、閉塞されている、請求項1に記載の物品収容用の箱。
【請求項5】
前記内箱の開口部は、斜めに開口している請求項4に記載の物品収容用の箱。
【請求項6】
前記内箱の開口部は、当該内箱の前記引出し方向の一端側から見たとき、斜め上方に向かって開口している、請求項4に記載の物品収容用の箱。
【請求項7】
前記外箱は、前記引出し方向における他端側が閉塞されている、請求項2ないし6のいずれか一項に記載の物品収容用の箱。
【請求項8】
前記内箱は、前記引出し方向において露出領域と隠蔽領域とに区分けされており、
前記露出領域は、前記物品の他の一部を当該内箱の外側に視認可能に露出した状態で、前記物品を収容し、
前記隠蔽領域は、前記露出領域との境界以外では、前記物品の一部を当該内箱の内側に隠蔽した状態で、前記物品を収容する、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の物品収容用の箱。
【請求項9】
前記物品は靴である、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の物品収容用の箱。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−99374(P2007−99374A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−294125(P2005−294125)
【出願日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(398056827)株式会社ファーストリテイリング (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(398056827)株式会社ファーストリテイリング (6)
【Fターム(参考)】
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