物品掛け具
【課題】格納姿勢でのコンパクト性と開き姿勢での吊下げ支持の安定性の双方に優れた物品掛け具を提供する。
【解決手段】被装着面Wに対する当接部1を背面側に備えた基材2と、被装着面W側の被係止部Bに対して係脱自在な係止部3を備えた係止体4と、物品Aを掛け止め可能な掛け止め部5を備えた掛け止め体6とが、当接部1を被装着面Wに当接させた状態で掛け止め体6が正面側に張り出し且つ係止体4が当接部1と掛け止め体6との中間位置に配置された物品掛け用の開き姿勢と、当接部1が最外方に配置され且つ基材2と掛け止め体6との間に係止体4を挟む状態に畳んだ格納姿勢との変更が可能なように、左右幅方向に沿う横軸芯X1、X2周りでの揺動を可能にする軸部36、37を介して連結されている。
【解決手段】被装着面Wに対する当接部1を背面側に備えた基材2と、被装着面W側の被係止部Bに対して係脱自在な係止部3を備えた係止体4と、物品Aを掛け止め可能な掛け止め部5を備えた掛け止め体6とが、当接部1を被装着面Wに当接させた状態で掛け止め体6が正面側に張り出し且つ係止体4が当接部1と掛け止め体6との中間位置に配置された物品掛け用の開き姿勢と、当接部1が最外方に配置され且つ基材2と掛け止め体6との間に係止体4を挟む状態に畳んだ格納姿勢との変更が可能なように、左右幅方向に沿う横軸芯X1、X2周りでの揺動を可能にする軸部36、37を介して連結されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯物干し用ハンガーや衣服用ハンガー等の物品を室内の鴨居、家具の引出しや扉、タオル掛け、手摺等に掛け止める際に用いられる物品掛け具に関し、特に、非使用時にはコンパクトな格納姿勢とすることのできる物品掛け具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の物品掛け具としては、図12、図13に示すように、被装着面Wに対する当接部41を背面側に備えた基材42に、被装着面W側の被係止部Bに対して係脱自在な係止部43を備えた係止体44と、物品を掛け止め可能な掛け止め部45を備えた掛け止め体46とが、左右幅方向に沿う同一の横軸芯X周りで揺動自在に枢支連結され、当接部41を被装着面Wに当接させた状態で掛け止め体46が正面側に張り出し且つ係止体が当接部41と掛け止め体46との揺動方向の中間位置に配置された物品掛け用の開き姿勢(図12に示す姿勢)と、基材42と掛け止め体46との間で係止体44と当接部41とを挟む状態に畳んだ格納姿勢(図13に示す姿勢)との変更が可能に構成されたものがある(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−136617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記従来の物品掛け具では、物品掛け用の開き姿勢を安定させるための当接部が前記格納姿勢で基材と掛け止め体との間に挟まれる状態となるため、格納姿勢のコンパクト性を維持しながら、当接部を面積的に大きくするのが難しく、そのことで、ハンガー類等の物品の吊下げ支持がやや不安定なものになったりする問題が生じていた。
【0005】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、格納姿勢でのコンパクト性を十分に維持しながらも、鴨居、家具の引き出しや扉、タオル掛け等の各種構造物に対して、ハンガー類等の物品の吊下げ支持の安定化を図ることのできる物品掛け具を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1特徴構成は、物品掛け具に係り、その特徴は、
被装着面に対する当接部を背面側に備えた基材と、被装着面側の被係止部に対して係脱自在な係止部を備えた係止体と、物品を掛け止め可能な掛け止め部を備えた掛け止め体とが、前記当接部を被装着面に当接させた状態で前記掛け止め体が正面側に張り出し且つ前記係止体が当接部と掛け止め体との中間位置に配置された物品掛け用の開き姿勢と、当接部が最外方に配置され且つ基材と掛け止め体との間に係止体を挟む状態に畳んだ格納姿勢との変更が可能なように、左右幅方向に沿う横軸芯周りでの揺動を可能にする1又は複数の軸部を介して連結されている点にある。
【0007】
上記構成によれば、前記格納姿勢で当接体が揺動方向の最外方に配置されるから、格納姿勢を採ることによる当接部の大きさの面での制限を不存とすることができ、これにより、開き姿勢と格納姿勢との変更が可能な構造を採りながらも、当接部をハンガー類等の物品の吊下げ支持に適した大きさにすることが可能になって、格納姿勢のコンパクト性をある程度維持しながらも、鴨居、家具の引き出しや扉、タオル掛け等の各種構造物に対して、ハンガー類等の物品の吊下げ支持の安定化を図ることが可能になる。
【0008】
本発明の第2特徴構成は、前記当接部を構成するのに、前記基材の背面側には、左右幅方向の外方を向いて一列に並ぶ当接姿勢と背面側を向いて並列に並ぶ格納姿勢とを現出可能なように、一対の当接部材が左右幅方向に並ぶ状態において縦軸芯周りで揺動自在に枢支連結されている点にある。
【0009】
上記構成によれば、格納姿勢における当接部の基材の長手方向での長さ寸法を当接姿勢にある当接部の長さ寸法の約半分となる小さなものとすることができ、これにより、格納姿勢のコンパクト性をより向上させることができる。
【0010】
本発明の第3特徴構成は、前記係止体が前記基材の奥行き方向の中間位置に枢支連結され、前記掛け止め体が前記基材の正面側に枢支連結されている点にある。
【0011】
上記構成によれば、例えば、前記係止体と前記掛け止め体とが、前記基材の同一箇所に配置されている場合に比べ、格納姿勢において基材と掛け止め体との間に係止体を配置するための係止体又は掛け止め体の構造を単純化することができる。
【0012】
本発明の第4特徴構成は、前記掛け止め体が、前記基材の正面側の上方位置に枢支連結されているとともに、
前記基材の正面側の残余の部分には、物品を掛け止め可能な第2の掛け止め部が備えられている点にある。
【0013】
上記構成によれば、前記基材の空き部分を活用する形態で第2の掛け止め部を構成することができる。
【0014】
本発明の第5特徴構成は、前記掛け止め体と前記基材との間には、基材に対する掛け止め体の揺動角度が異なる複数の姿勢で掛け止め体と基材とを係止させる係止手段が設けられている点にある。
【0015】
上記構成によれば、前記格納姿勢と前記開き姿勢とを現出させるための構造を活用する形態で、前記開き姿勢で当接部と係止部との揺動方向での位相の異なる複数の姿勢にすることができ、これにより、被装着面からの離れ寸法の異なる複数種の被係止部に対する対応性を効率的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】物品掛け具の第1開き姿勢を示す斜視図
【図2】(a)物品掛け具の第1開き姿勢を示す側面図、(b)物品掛け具の第1開き姿勢を示す上面図
【図3】物品掛け具の第2開き姿勢を示す斜視図
【図4】物品掛け具の第2開き姿勢を示す側面図
【図5】物品掛け具の分解斜視図
【図6】(a)当接部を閉じた状態を示す物品掛け具の側面図、(b)当接部を閉じた状態を示す物品掛け具の上面図
【図7】(a)当接部材の側面図、(b)基材の上面図、(c)基材の背面図
【図8】物品掛け具の姿勢変更方法を示す側面図
【図9】(a)物品掛け具の姿勢変更方法を示す側面図、(b)物品掛け具の姿勢変更方法を示す上面図
【図10】(a)図2(b)のXa−Xa線断面図、(b)図2(a)のXb−Xb線断面図、(c)図2(b)のXc−Xc線断面図、(d)図2(b)のXd−Xd線断面図
【図11】(a)図9(b)のXIa−XIa線断面図、(b)図9(b)のXIb−XIb線断面図
【図12】従来の物品掛け具の開き姿勢を示す斜視図
【図13】(a)従来の物品掛け具の格納姿勢を示す斜視図、(b)従来の物品掛け具の格納姿勢を示す縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1〜図11は、洗濯物干し用ハンガーや衣服用ハンガー等の物品Aを室内の鴨居、家具の引出しや扉、タオル掛け、手摺等に掛け止める際に用いられる物品掛け具を示す。
【0018】
この物品掛け具は、被装着面Wに対する当接部1を備えた合成樹脂製の略薄板状の基材2と、被装着面W側の被係止部Bに対して係脱自在なフック状の係止部3を備えた合成樹脂製の係止体4と、物品Aを掛け止め可能な略円形状の開口部の下縁部からなる掛止部5を備えた合成樹脂製の掛け止め体6とが、当接部1を被装着面Wに当接させた状態で掛け止め体6が正面側に張り出し且つ係止体4が当接部1と掛け止め体6との中間位置に配置された物品掛け用の開き姿勢(具体的には、図1、図2に示す第1開き姿勢と図3、図4に示す第2開き姿勢)と、当接部1が最外方に配置され且つ基材2と掛け止め体6との間に係止体4を挟む状態に畳んだ格納姿勢(図9、図11に示す姿勢)との変更が可能なように、左右幅方向に沿う横軸芯X1、X2周りでの揺動を可能にする複数(本例では2つ)の軸部36、37を介して所定範囲R1、R2で回動自在に枢支連結されている。
【0019】
前記掛け止め体6は、複数(本例では4つ)の掛止部5を長手方向の一定ピッチで備え、且つ、前記格納姿勢で係止部4の一部が入り込み可能な凹部を形成するように上面部と背面部が開口した先細り形状に構成されている。
【0020】
図5、図10、図11に示すように、当該掛と止め体6の左右の両側壁部6Aの各々の基端側(背面側)には、左右対称となる状態で内向きに突出する略円筒状の係合凸部8(係合部の一例、回動案内部の一例)が、それらの対向面間に基材2の前端側の薄肉状部を両側壁部6の弾性変形を伴って通過させ得る隙間を形成する状態で突出形成されている。また、当該係合凸部8の各々の中心位置には、取付け部材で基材2と枢支連結するための被連結孔8a(被連結部の一例)が貫通形成されている。
【0021】
当該係合凸部8の各々の外周面の部材先端側位置には、基材2側の受け部14との接当により基材2と掛と止め体6との相対揺動範囲を所定範囲R2に規制するための一対の当たり面10a、10bを備えた当たり部10が突出形成されている。
【0022】
一方、前記基材2の正面側の上方位置には、掛け止め体6側の係合凸部8に対する一対の被係合凹部11が基材2の左右幅寸法を減少するよう左右対称となる状態で窪み形成されている。
【0023】
当該係合凹部11の各々の中心位置には、取付け部材12で基材2と枢支連結するための被連結孔11a(被連結部の一例)が貫通形成されている。また、基材2の正面側の下方位置(残余の部分の一例)には、略円形状の開口部の下縁部からなる第2の掛け止め部5´が形成されている。
【0024】
前記被係合凹部11の各々の外縁部には、掛け止め体6側の当たり部10に対する一対の受け面14a、14bを備えた側面視で略台形状の受け部14が外向きに突出形成されている。
【0025】
前記取付け部材12は、両端部に係止爪12bを備えた中央部材12Aと、掛け止め体6の外面の被被連結孔8aの周縁部に形成された被装着凹部に入り込む円状の鍔部12cを一端部に備えた押さえ部材12B、12Cとの係止体から構成され、三者の係止状態で基材2の被連結孔11aと掛け止め体6の被連結孔8aとに挿入配置される円筒状のピン部12aが中央部に形成されるように構成されている。中央部材12Aの両端部には、押さえ部材12B、12Cと係止するための係止爪12bが備えられている。
【0026】
そして、基材2の両被係合凹部11に掛と止め体6の両係合凸部8を係合させて、基材2の被連結孔11aと掛け止め体6の被連結孔8aとにピン部12aを挿通させる状態で取付け部材12を装着することにより、掛け止め体6の当たり面10aと基材2の受け面14aとが接当する図10に示す姿勢と、掛け止め体6の当たり面10bと基材2の受け面14bとが接当する図11に示す姿勢との所定範囲R2で、基材2に対して掛け止め体6が横軸心X2周りで回動自在に枢支連結されている。
【0027】
前記係止体4は、正面視で下側部が略二股状で且つ横側面視で略長円状に形成されたフック台15の上部に、前記係止部3が縦軸心Y1周りで回動自在に嵌着して構成されている。
【0028】
前記フック台15の左右の両側壁部15Aの下端部には、左右対称となる状態で内向きに突出形成された略円筒状の係合凸部17が形成されているとともに、当該係合凸部17の各々の中心位置には、取付け部材18で基材2と枢支連結するための被連結孔17aが貫通形成されている。
【0029】
また、当該係合凸部17の各々の外周面の一部には、基材2側の受け部23との接当により基材2と係止体4との相対回動範囲を所定範囲R1に規制するための一対の当たり面20a、20bを備えた当たり部20が突出形成されている。
【0030】
一方、前記基材2の奥行き方向及び上下方向の略中央位置には、係止体4側の係合凸部17に対する被係合凹部21が基材2の左右幅寸法を減少するよう左右対称となる状態で窪み形成されているとともに、当該被係合凹部21の各々の中央位置には、取付け部材18で係止体4と枢支連結するための被被連結孔21a(被連結部の一例)が貫通形成されている。
【0031】
また、前記被係合凹部21の各々の外縁部には、係止体4側の当たり部20に対する一対の受け面23a、23bを備えた側面視で略台形状の受け部23が被係合凹部21に連なる状態で窪み形成されている。
【0032】
前記取付け部材18は、基材2の被連結孔11aと掛け止め体6の被連結孔8aとに挿入配置される円筒状のピン部18aと、係止体4の一方側の側面の被連結孔17aの周縁部に形成された被装着凹部に入り込む円状の鍔部18cとを備えた分割部材18Aと、係止体4の他方側の側面の被連結孔8aの周縁部に形成された被装着凹部に入り込む円状の鍔部18cを備え、且つ、分割部材18Aの先端部に形成された係止爪18bに横軸芯方向から係止自在な分割部材18Bとから構成されている。
【0033】
そして、基材2の両被係合凹部21に係止体4の両係合凸部17を係合させて、基材2の被連結孔21aと係止体4の被連結孔17aとにピン部18aを挿通させる状態で取付け部材18を装着することにより、係止体4の当たり面20aと基材2の受け面23aとが接当する図10に示す姿勢と、係止体4の当たり面20bと基材2の受け面23bとが接当する図11に示す姿勢との所定範囲R1で、基材2に対して係止体4が横軸心X1周りで回動自在に枢支連結されている。
【0034】
前記係止体4の左右の両側壁部15Aの上下中間位置には、横側面視で縦長の長円形状をなす係止部材保持孔25が形成されているとともに、当該係止部材保持孔25には、上下方向に移動自在な状態で係止部材22が装着されている。
【0035】
前記係止部材22は、係止部材保持孔25に上下方向に移動自在な状態で挿入配置される円筒状のピン部22aと、係止体4の一方側の側面の係止部材保持孔25の周縁部に形成された被装着凹部に入り込む円状の鍔部22cとを備えた分割部材22Aと、係止体4の他方側の側面の係止部材保持孔25の周縁部に形成された被装着凹部に入り込む円状の鍔部22cを備え、且つ、分割部材22Aの先端部に形成された係止爪22bに横軸芯方向から係止自在な分割部材22Bとから構成されている。
【0036】
一方、基材2の上縁部の奥行き方向中央位置から背面側に至る部分には、横軸芯X1を中心とする側面視で略1/4部分の円弧状縁部24が形成されているとともに、当該円弧状縁部24の奥行き方向の複数箇所(本例では2箇所)には、係止部材22に対する被係止凹部24a、24b(被係止部の一例)が形成されている。
【0037】
前記被係止凹部24a、24bの各々は、係止部材22のピン部22aの上方からの進入で係止状態を現出するように上方向きに開口する略半円状の切り欠きから構成されていて、係止体4の係止部材保持孔25の下端部に係止部材22が位置するときに、係止部材22と被係止凹部24a、24bとの係止状態を現出する。
【0038】
つまり、当該係止体4は、物品掛け具の格納姿勢と開き姿勢との変更を可能にする係止体4と基材2との軸部36を利用する形態で、係止体4が上下方向に沿うタオルバー等用の姿勢(図1、図2に示す姿勢)と、それから係止体4が被装着面W側に傾いたタンス等用の姿勢(図3、図4に示す姿勢)とに選択的に変更自在に構成されている。
【0039】
なお、本実施形態において、係止部材保持孔25、係止部材22、被係止凹部24a、24bは、基材2に対する掛け止め体6の揺動角度が異なる複数の姿勢で掛け止め体6と基材2とを係止させる係止手段を構成する。
【0040】
前記係止体5の上部には、フック状の前記係止部3の下端に形成された二股状の連結ピン部26を縦軸芯Y1周りで回動自在に軸着するための被連結筒部27が形成されているとともに、当該被連結筒部27には、二股状の連結ピン部の抜けを防止するための抜け止めピン28の挿通孔27aが形成されている。
【0041】
また、前記係止部3の内側には、軟質で摩擦抵抗の大きな弾性素材(例えば、エラストマー)からなる被係止部用の滑り止め部30が設けられている。
【0042】
そして、図5、図6、図7に示すように、前記当接部1を構成するのに、前記基材2の背面側には、左右幅方向の外方を向いて一列に並ぶ当接姿勢(図6中の一点鎖線表示)と背面側を向いて並列に並ぶ格納姿勢(図6中の実線表示)とを現出可能な合成樹脂製の一対の当接部材31が左右幅方向に並ぶ状態で縦軸芯Y2、Y3周りの所定範囲で回動自在に枢支連結されている。
【0043】
前記当接部材31の基端側には、内向きに突出する係合凸部32aを備えた上下一対の取付け片部32が形成されている。一方、基材2の背面側の下部には、左右一対の被係合凹部34Aを上面及び下面の各々に備えた被取付け片部34が突出形成されている。
【0044】
当該被係合凹部34Aの中心位置には、当接部材31の係合凸部32aが嵌り込む被係合孔34aが貫通形成されているとともに、被係合凹部34の上面視及び下面視でL字状をなす側壁部には、当接部材31が基材2の背面側を向く姿勢で当接部材31の外面に当接する当たり面34bと、当接部材31が左右幅方向の外方側を向く姿勢で当接部材31の外面に当接する当たり面34cとが形成されていて、両当たり面34b、34c間の約90度の範囲で当接部材31の揺動範囲が規制されるように構成されている。
【0045】
また、当接部材31における当接部位(具体的には、当接姿勢で背面側となる側壁部の表面)には、軟質で摩擦抵抗の大きな弾性素材(例えば、エラストマー)からなる被装着面W用の滑り止め部35が設けられている。
【0046】
[その他の実施形態]
(1)前述の実施形態では、基材2と係止体4と掛け止め体6とが、左右幅方向に沿う横軸芯周りでの揺動を可能にする複数の軸部を介して連結されている場合を例に示したが、左右幅方向に沿う横軸芯周りでの揺動を可能にする1つの軸部を介して連結されていてもよい。
【0047】
(2)前述の実施形態では、係止体4と掛け止め体6の各々が基材2に対して枢支連結されている構造を例に示したが、係止体4が基材2に対して枢支連結され且つ掛け止め体6が係止体4に枢支連結されている構造、基材2と掛け止め体6の各々が係止体4に枢支連結されている構造等であってもよい。
【0048】
(3)前述の実施形態では、当接部1が、縦軸芯周りで揺動自在な一対の当接部材31から開閉自在に構成されている場合を例に示したが、前後方向と沿う軸芯周りで回転自在な1つの当接部材等から構成されていてもよい。
【0049】
(4)係止部3や掛け止め部5、5´の具体的構成は、前述の実施形態で示したフック状部や開口部の下縁部からなるものに限らず、種々の構成変更が可能である。
【0050】
(5)基材2に対する掛け止め体6の揺動角度が異なる複数の姿勢で掛け止め体6と基材2とを係止させる係止手段の具体的構成も、前述の実施形態で示した係止部材保持孔25、係止部材22、被係止凹部24a、24bとからなるものに限らず、種々の構成変更が可能である。
【符号の説明】
【0051】
A 物品
W 被装着面
B 被係止部
X1、X2 横軸芯
Y2、Y3 縦軸芯
1 当接部
2 基材
3 係止部
4 係止体
5 掛け止め部
5´ 第2掛け止め部
6 掛け止め体
31 当接部材
36、37 軸部
38 係止手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯物干し用ハンガーや衣服用ハンガー等の物品を室内の鴨居、家具の引出しや扉、タオル掛け、手摺等に掛け止める際に用いられる物品掛け具に関し、特に、非使用時にはコンパクトな格納姿勢とすることのできる物品掛け具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の物品掛け具としては、図12、図13に示すように、被装着面Wに対する当接部41を背面側に備えた基材42に、被装着面W側の被係止部Bに対して係脱自在な係止部43を備えた係止体44と、物品を掛け止め可能な掛け止め部45を備えた掛け止め体46とが、左右幅方向に沿う同一の横軸芯X周りで揺動自在に枢支連結され、当接部41を被装着面Wに当接させた状態で掛け止め体46が正面側に張り出し且つ係止体が当接部41と掛け止め体46との揺動方向の中間位置に配置された物品掛け用の開き姿勢(図12に示す姿勢)と、基材42と掛け止め体46との間で係止体44と当接部41とを挟む状態に畳んだ格納姿勢(図13に示す姿勢)との変更が可能に構成されたものがある(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−136617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記従来の物品掛け具では、物品掛け用の開き姿勢を安定させるための当接部が前記格納姿勢で基材と掛け止め体との間に挟まれる状態となるため、格納姿勢のコンパクト性を維持しながら、当接部を面積的に大きくするのが難しく、そのことで、ハンガー類等の物品の吊下げ支持がやや不安定なものになったりする問題が生じていた。
【0005】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、格納姿勢でのコンパクト性を十分に維持しながらも、鴨居、家具の引き出しや扉、タオル掛け等の各種構造物に対して、ハンガー類等の物品の吊下げ支持の安定化を図ることのできる物品掛け具を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1特徴構成は、物品掛け具に係り、その特徴は、
被装着面に対する当接部を背面側に備えた基材と、被装着面側の被係止部に対して係脱自在な係止部を備えた係止体と、物品を掛け止め可能な掛け止め部を備えた掛け止め体とが、前記当接部を被装着面に当接させた状態で前記掛け止め体が正面側に張り出し且つ前記係止体が当接部と掛け止め体との中間位置に配置された物品掛け用の開き姿勢と、当接部が最外方に配置され且つ基材と掛け止め体との間に係止体を挟む状態に畳んだ格納姿勢との変更が可能なように、左右幅方向に沿う横軸芯周りでの揺動を可能にする1又は複数の軸部を介して連結されている点にある。
【0007】
上記構成によれば、前記格納姿勢で当接体が揺動方向の最外方に配置されるから、格納姿勢を採ることによる当接部の大きさの面での制限を不存とすることができ、これにより、開き姿勢と格納姿勢との変更が可能な構造を採りながらも、当接部をハンガー類等の物品の吊下げ支持に適した大きさにすることが可能になって、格納姿勢のコンパクト性をある程度維持しながらも、鴨居、家具の引き出しや扉、タオル掛け等の各種構造物に対して、ハンガー類等の物品の吊下げ支持の安定化を図ることが可能になる。
【0008】
本発明の第2特徴構成は、前記当接部を構成するのに、前記基材の背面側には、左右幅方向の外方を向いて一列に並ぶ当接姿勢と背面側を向いて並列に並ぶ格納姿勢とを現出可能なように、一対の当接部材が左右幅方向に並ぶ状態において縦軸芯周りで揺動自在に枢支連結されている点にある。
【0009】
上記構成によれば、格納姿勢における当接部の基材の長手方向での長さ寸法を当接姿勢にある当接部の長さ寸法の約半分となる小さなものとすることができ、これにより、格納姿勢のコンパクト性をより向上させることができる。
【0010】
本発明の第3特徴構成は、前記係止体が前記基材の奥行き方向の中間位置に枢支連結され、前記掛け止め体が前記基材の正面側に枢支連結されている点にある。
【0011】
上記構成によれば、例えば、前記係止体と前記掛け止め体とが、前記基材の同一箇所に配置されている場合に比べ、格納姿勢において基材と掛け止め体との間に係止体を配置するための係止体又は掛け止め体の構造を単純化することができる。
【0012】
本発明の第4特徴構成は、前記掛け止め体が、前記基材の正面側の上方位置に枢支連結されているとともに、
前記基材の正面側の残余の部分には、物品を掛け止め可能な第2の掛け止め部が備えられている点にある。
【0013】
上記構成によれば、前記基材の空き部分を活用する形態で第2の掛け止め部を構成することができる。
【0014】
本発明の第5特徴構成は、前記掛け止め体と前記基材との間には、基材に対する掛け止め体の揺動角度が異なる複数の姿勢で掛け止め体と基材とを係止させる係止手段が設けられている点にある。
【0015】
上記構成によれば、前記格納姿勢と前記開き姿勢とを現出させるための構造を活用する形態で、前記開き姿勢で当接部と係止部との揺動方向での位相の異なる複数の姿勢にすることができ、これにより、被装着面からの離れ寸法の異なる複数種の被係止部に対する対応性を効率的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】物品掛け具の第1開き姿勢を示す斜視図
【図2】(a)物品掛け具の第1開き姿勢を示す側面図、(b)物品掛け具の第1開き姿勢を示す上面図
【図3】物品掛け具の第2開き姿勢を示す斜視図
【図4】物品掛け具の第2開き姿勢を示す側面図
【図5】物品掛け具の分解斜視図
【図6】(a)当接部を閉じた状態を示す物品掛け具の側面図、(b)当接部を閉じた状態を示す物品掛け具の上面図
【図7】(a)当接部材の側面図、(b)基材の上面図、(c)基材の背面図
【図8】物品掛け具の姿勢変更方法を示す側面図
【図9】(a)物品掛け具の姿勢変更方法を示す側面図、(b)物品掛け具の姿勢変更方法を示す上面図
【図10】(a)図2(b)のXa−Xa線断面図、(b)図2(a)のXb−Xb線断面図、(c)図2(b)のXc−Xc線断面図、(d)図2(b)のXd−Xd線断面図
【図11】(a)図9(b)のXIa−XIa線断面図、(b)図9(b)のXIb−XIb線断面図
【図12】従来の物品掛け具の開き姿勢を示す斜視図
【図13】(a)従来の物品掛け具の格納姿勢を示す斜視図、(b)従来の物品掛け具の格納姿勢を示す縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1〜図11は、洗濯物干し用ハンガーや衣服用ハンガー等の物品Aを室内の鴨居、家具の引出しや扉、タオル掛け、手摺等に掛け止める際に用いられる物品掛け具を示す。
【0018】
この物品掛け具は、被装着面Wに対する当接部1を備えた合成樹脂製の略薄板状の基材2と、被装着面W側の被係止部Bに対して係脱自在なフック状の係止部3を備えた合成樹脂製の係止体4と、物品Aを掛け止め可能な略円形状の開口部の下縁部からなる掛止部5を備えた合成樹脂製の掛け止め体6とが、当接部1を被装着面Wに当接させた状態で掛け止め体6が正面側に張り出し且つ係止体4が当接部1と掛け止め体6との中間位置に配置された物品掛け用の開き姿勢(具体的には、図1、図2に示す第1開き姿勢と図3、図4に示す第2開き姿勢)と、当接部1が最外方に配置され且つ基材2と掛け止め体6との間に係止体4を挟む状態に畳んだ格納姿勢(図9、図11に示す姿勢)との変更が可能なように、左右幅方向に沿う横軸芯X1、X2周りでの揺動を可能にする複数(本例では2つ)の軸部36、37を介して所定範囲R1、R2で回動自在に枢支連結されている。
【0019】
前記掛け止め体6は、複数(本例では4つ)の掛止部5を長手方向の一定ピッチで備え、且つ、前記格納姿勢で係止部4の一部が入り込み可能な凹部を形成するように上面部と背面部が開口した先細り形状に構成されている。
【0020】
図5、図10、図11に示すように、当該掛と止め体6の左右の両側壁部6Aの各々の基端側(背面側)には、左右対称となる状態で内向きに突出する略円筒状の係合凸部8(係合部の一例、回動案内部の一例)が、それらの対向面間に基材2の前端側の薄肉状部を両側壁部6の弾性変形を伴って通過させ得る隙間を形成する状態で突出形成されている。また、当該係合凸部8の各々の中心位置には、取付け部材で基材2と枢支連結するための被連結孔8a(被連結部の一例)が貫通形成されている。
【0021】
当該係合凸部8の各々の外周面の部材先端側位置には、基材2側の受け部14との接当により基材2と掛と止め体6との相対揺動範囲を所定範囲R2に規制するための一対の当たり面10a、10bを備えた当たり部10が突出形成されている。
【0022】
一方、前記基材2の正面側の上方位置には、掛け止め体6側の係合凸部8に対する一対の被係合凹部11が基材2の左右幅寸法を減少するよう左右対称となる状態で窪み形成されている。
【0023】
当該係合凹部11の各々の中心位置には、取付け部材12で基材2と枢支連結するための被連結孔11a(被連結部の一例)が貫通形成されている。また、基材2の正面側の下方位置(残余の部分の一例)には、略円形状の開口部の下縁部からなる第2の掛け止め部5´が形成されている。
【0024】
前記被係合凹部11の各々の外縁部には、掛け止め体6側の当たり部10に対する一対の受け面14a、14bを備えた側面視で略台形状の受け部14が外向きに突出形成されている。
【0025】
前記取付け部材12は、両端部に係止爪12bを備えた中央部材12Aと、掛け止め体6の外面の被被連結孔8aの周縁部に形成された被装着凹部に入り込む円状の鍔部12cを一端部に備えた押さえ部材12B、12Cとの係止体から構成され、三者の係止状態で基材2の被連結孔11aと掛け止め体6の被連結孔8aとに挿入配置される円筒状のピン部12aが中央部に形成されるように構成されている。中央部材12Aの両端部には、押さえ部材12B、12Cと係止するための係止爪12bが備えられている。
【0026】
そして、基材2の両被係合凹部11に掛と止め体6の両係合凸部8を係合させて、基材2の被連結孔11aと掛け止め体6の被連結孔8aとにピン部12aを挿通させる状態で取付け部材12を装着することにより、掛け止め体6の当たり面10aと基材2の受け面14aとが接当する図10に示す姿勢と、掛け止め体6の当たり面10bと基材2の受け面14bとが接当する図11に示す姿勢との所定範囲R2で、基材2に対して掛け止め体6が横軸心X2周りで回動自在に枢支連結されている。
【0027】
前記係止体4は、正面視で下側部が略二股状で且つ横側面視で略長円状に形成されたフック台15の上部に、前記係止部3が縦軸心Y1周りで回動自在に嵌着して構成されている。
【0028】
前記フック台15の左右の両側壁部15Aの下端部には、左右対称となる状態で内向きに突出形成された略円筒状の係合凸部17が形成されているとともに、当該係合凸部17の各々の中心位置には、取付け部材18で基材2と枢支連結するための被連結孔17aが貫通形成されている。
【0029】
また、当該係合凸部17の各々の外周面の一部には、基材2側の受け部23との接当により基材2と係止体4との相対回動範囲を所定範囲R1に規制するための一対の当たり面20a、20bを備えた当たり部20が突出形成されている。
【0030】
一方、前記基材2の奥行き方向及び上下方向の略中央位置には、係止体4側の係合凸部17に対する被係合凹部21が基材2の左右幅寸法を減少するよう左右対称となる状態で窪み形成されているとともに、当該被係合凹部21の各々の中央位置には、取付け部材18で係止体4と枢支連結するための被被連結孔21a(被連結部の一例)が貫通形成されている。
【0031】
また、前記被係合凹部21の各々の外縁部には、係止体4側の当たり部20に対する一対の受け面23a、23bを備えた側面視で略台形状の受け部23が被係合凹部21に連なる状態で窪み形成されている。
【0032】
前記取付け部材18は、基材2の被連結孔11aと掛け止め体6の被連結孔8aとに挿入配置される円筒状のピン部18aと、係止体4の一方側の側面の被連結孔17aの周縁部に形成された被装着凹部に入り込む円状の鍔部18cとを備えた分割部材18Aと、係止体4の他方側の側面の被連結孔8aの周縁部に形成された被装着凹部に入り込む円状の鍔部18cを備え、且つ、分割部材18Aの先端部に形成された係止爪18bに横軸芯方向から係止自在な分割部材18Bとから構成されている。
【0033】
そして、基材2の両被係合凹部21に係止体4の両係合凸部17を係合させて、基材2の被連結孔21aと係止体4の被連結孔17aとにピン部18aを挿通させる状態で取付け部材18を装着することにより、係止体4の当たり面20aと基材2の受け面23aとが接当する図10に示す姿勢と、係止体4の当たり面20bと基材2の受け面23bとが接当する図11に示す姿勢との所定範囲R1で、基材2に対して係止体4が横軸心X1周りで回動自在に枢支連結されている。
【0034】
前記係止体4の左右の両側壁部15Aの上下中間位置には、横側面視で縦長の長円形状をなす係止部材保持孔25が形成されているとともに、当該係止部材保持孔25には、上下方向に移動自在な状態で係止部材22が装着されている。
【0035】
前記係止部材22は、係止部材保持孔25に上下方向に移動自在な状態で挿入配置される円筒状のピン部22aと、係止体4の一方側の側面の係止部材保持孔25の周縁部に形成された被装着凹部に入り込む円状の鍔部22cとを備えた分割部材22Aと、係止体4の他方側の側面の係止部材保持孔25の周縁部に形成された被装着凹部に入り込む円状の鍔部22cを備え、且つ、分割部材22Aの先端部に形成された係止爪22bに横軸芯方向から係止自在な分割部材22Bとから構成されている。
【0036】
一方、基材2の上縁部の奥行き方向中央位置から背面側に至る部分には、横軸芯X1を中心とする側面視で略1/4部分の円弧状縁部24が形成されているとともに、当該円弧状縁部24の奥行き方向の複数箇所(本例では2箇所)には、係止部材22に対する被係止凹部24a、24b(被係止部の一例)が形成されている。
【0037】
前記被係止凹部24a、24bの各々は、係止部材22のピン部22aの上方からの進入で係止状態を現出するように上方向きに開口する略半円状の切り欠きから構成されていて、係止体4の係止部材保持孔25の下端部に係止部材22が位置するときに、係止部材22と被係止凹部24a、24bとの係止状態を現出する。
【0038】
つまり、当該係止体4は、物品掛け具の格納姿勢と開き姿勢との変更を可能にする係止体4と基材2との軸部36を利用する形態で、係止体4が上下方向に沿うタオルバー等用の姿勢(図1、図2に示す姿勢)と、それから係止体4が被装着面W側に傾いたタンス等用の姿勢(図3、図4に示す姿勢)とに選択的に変更自在に構成されている。
【0039】
なお、本実施形態において、係止部材保持孔25、係止部材22、被係止凹部24a、24bは、基材2に対する掛け止め体6の揺動角度が異なる複数の姿勢で掛け止め体6と基材2とを係止させる係止手段を構成する。
【0040】
前記係止体5の上部には、フック状の前記係止部3の下端に形成された二股状の連結ピン部26を縦軸芯Y1周りで回動自在に軸着するための被連結筒部27が形成されているとともに、当該被連結筒部27には、二股状の連結ピン部の抜けを防止するための抜け止めピン28の挿通孔27aが形成されている。
【0041】
また、前記係止部3の内側には、軟質で摩擦抵抗の大きな弾性素材(例えば、エラストマー)からなる被係止部用の滑り止め部30が設けられている。
【0042】
そして、図5、図6、図7に示すように、前記当接部1を構成するのに、前記基材2の背面側には、左右幅方向の外方を向いて一列に並ぶ当接姿勢(図6中の一点鎖線表示)と背面側を向いて並列に並ぶ格納姿勢(図6中の実線表示)とを現出可能な合成樹脂製の一対の当接部材31が左右幅方向に並ぶ状態で縦軸芯Y2、Y3周りの所定範囲で回動自在に枢支連結されている。
【0043】
前記当接部材31の基端側には、内向きに突出する係合凸部32aを備えた上下一対の取付け片部32が形成されている。一方、基材2の背面側の下部には、左右一対の被係合凹部34Aを上面及び下面の各々に備えた被取付け片部34が突出形成されている。
【0044】
当該被係合凹部34Aの中心位置には、当接部材31の係合凸部32aが嵌り込む被係合孔34aが貫通形成されているとともに、被係合凹部34の上面視及び下面視でL字状をなす側壁部には、当接部材31が基材2の背面側を向く姿勢で当接部材31の外面に当接する当たり面34bと、当接部材31が左右幅方向の外方側を向く姿勢で当接部材31の外面に当接する当たり面34cとが形成されていて、両当たり面34b、34c間の約90度の範囲で当接部材31の揺動範囲が規制されるように構成されている。
【0045】
また、当接部材31における当接部位(具体的には、当接姿勢で背面側となる側壁部の表面)には、軟質で摩擦抵抗の大きな弾性素材(例えば、エラストマー)からなる被装着面W用の滑り止め部35が設けられている。
【0046】
[その他の実施形態]
(1)前述の実施形態では、基材2と係止体4と掛け止め体6とが、左右幅方向に沿う横軸芯周りでの揺動を可能にする複数の軸部を介して連結されている場合を例に示したが、左右幅方向に沿う横軸芯周りでの揺動を可能にする1つの軸部を介して連結されていてもよい。
【0047】
(2)前述の実施形態では、係止体4と掛け止め体6の各々が基材2に対して枢支連結されている構造を例に示したが、係止体4が基材2に対して枢支連結され且つ掛け止め体6が係止体4に枢支連結されている構造、基材2と掛け止め体6の各々が係止体4に枢支連結されている構造等であってもよい。
【0048】
(3)前述の実施形態では、当接部1が、縦軸芯周りで揺動自在な一対の当接部材31から開閉自在に構成されている場合を例に示したが、前後方向と沿う軸芯周りで回転自在な1つの当接部材等から構成されていてもよい。
【0049】
(4)係止部3や掛け止め部5、5´の具体的構成は、前述の実施形態で示したフック状部や開口部の下縁部からなるものに限らず、種々の構成変更が可能である。
【0050】
(5)基材2に対する掛け止め体6の揺動角度が異なる複数の姿勢で掛け止め体6と基材2とを係止させる係止手段の具体的構成も、前述の実施形態で示した係止部材保持孔25、係止部材22、被係止凹部24a、24bとからなるものに限らず、種々の構成変更が可能である。
【符号の説明】
【0051】
A 物品
W 被装着面
B 被係止部
X1、X2 横軸芯
Y2、Y3 縦軸芯
1 当接部
2 基材
3 係止部
4 係止体
5 掛け止め部
5´ 第2掛け止め部
6 掛け止め体
31 当接部材
36、37 軸部
38 係止手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被装着面に対する当接部を背面側に備えた基材と、被装着面側の被係止部に対して係脱自在な係止部を備えた係止体と、物品を掛け止め可能な掛け止め部を備えた掛け止め体とが、前記当接部を被装着面に当接させた状態で前記掛け止め体が正面側に張り出し且つ前記係止体が当接部と掛け止め体との中間位置に配置された物品掛け用の開き姿勢と、当接部が最外方に配置され且つ基材と掛け止め体との間に係止体を挟む状態に畳んだ格納姿勢との変更が可能なように、左右幅方向に沿う横軸芯周りでの揺動を可能にする1又は複数の軸部を介して連結されている物品掛け具。
【請求項2】
前記当接部を構成するのに、
前記基材の背面側には、左右幅方向の外方を向いて一列に並ぶ当接姿勢と背面側を向いて並列に並ぶ格納姿勢とを現出可能なように、一対の当接部材が左右幅方向に並ぶ状態において縦軸芯周りで揺動自在に枢支連結されている請求項1記載の物品掛け具。
【請求項3】
前記係止体が前記基材の奥行き方向の中間位置に枢支連結され、前記掛け止め体が前記基材の正面側に枢支連結されている請求項1又は2記載の物品掛け具。
【請求項4】
前記掛け止め体が、前記基材の正面側の上方位置に枢支連結されているとともに、
前記基材の正面側の残余の部分には、物品を掛け止め可能な第2の掛け止め部が備えられている請求項3記載の物品掛け具。
【請求項5】
前記掛け止め体と前記基材との間には、基材に対する掛け止め体の揺動角度が異なる複数の姿勢で掛け止め体と基材とを係止させる係止手段が設けられている請求項3又は4記載の物品掛け具。
【請求項1】
被装着面に対する当接部を背面側に備えた基材と、被装着面側の被係止部に対して係脱自在な係止部を備えた係止体と、物品を掛け止め可能な掛け止め部を備えた掛け止め体とが、前記当接部を被装着面に当接させた状態で前記掛け止め体が正面側に張り出し且つ前記係止体が当接部と掛け止め体との中間位置に配置された物品掛け用の開き姿勢と、当接部が最外方に配置され且つ基材と掛け止め体との間に係止体を挟む状態に畳んだ格納姿勢との変更が可能なように、左右幅方向に沿う横軸芯周りでの揺動を可能にする1又は複数の軸部を介して連結されている物品掛け具。
【請求項2】
前記当接部を構成するのに、
前記基材の背面側には、左右幅方向の外方を向いて一列に並ぶ当接姿勢と背面側を向いて並列に並ぶ格納姿勢とを現出可能なように、一対の当接部材が左右幅方向に並ぶ状態において縦軸芯周りで揺動自在に枢支連結されている請求項1記載の物品掛け具。
【請求項3】
前記係止体が前記基材の奥行き方向の中間位置に枢支連結され、前記掛け止め体が前記基材の正面側に枢支連結されている請求項1又は2記載の物品掛け具。
【請求項4】
前記掛け止め体が、前記基材の正面側の上方位置に枢支連結されているとともに、
前記基材の正面側の残余の部分には、物品を掛け止め可能な第2の掛け止め部が備えられている請求項3記載の物品掛け具。
【請求項5】
前記掛け止め体と前記基材との間には、基材に対する掛け止め体の揺動角度が異なる複数の姿勢で掛け止め体と基材とを係止させる係止手段が設けられている請求項3又は4記載の物品掛け具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−167449(P2011−167449A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36045(P2010−36045)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(000100850)アイセン工業株式会社 (33)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(000100850)アイセン工業株式会社 (33)
【Fターム(参考)】
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