説明

物品搬送装置

【課題】昇降しうる分断されたドライブシャフト等を、簡単な構造で、正確に位置決めしうるようにすることにより、走行台車が、固定側のドライブシャフ等と分断されたドライブシャフ等との相互間を円滑に移行しうるとともに、昇降装置の駆動手段の耐久性を向上しうるようにした物品搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送経路に沿うドライブシャフト2と走行レール1aとの一部を他部より分断し、この分断されたドライブシャフト2'と走行レール1a'とを、昇降装置により昇降させられるようにした昇降体に取り付けるとともに、昇降体の近傍の適宜の固定体13に、昇降体が、分断されたドライブシャフト2'と他のドライブシャフト2とが整合する基準位置から下方に外れた位置に位置しているときに、昇降体を基準位置まで強制的に持ち上げる位置決め手段39を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品搬送経路の途中に昇降装置を設けた物品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の物品搬送装置には、搬送経路に沿って配設され、かつ駆動装置により中心軸線まわりに回転させられようにして固定体に支持されたドライブシャフトと、このドライブシャフトに沿って走行するように案内される走行台車(またはトロリー)と、ドライブシャフトの外周面に斜めの方向を向いて圧接するようにして走行台車に装着され、かつドライブシャフトの回転により従動回転させられることによって、走行台車に推進力を付与するようにした推進ホイールと、走行台車に設けられた搬送物支持部材とを備えるものがある(例えば特許文献1または2参照)。
【0003】
このうちの特許文献1には、ドライブシャフトの一部を分断し、この分断されたドライブシャフトを、走行台車および搬送物とともに、昇降装置により昇降させて、それらを搬送経路の下方等に設けられたワークステーションに移動しうるようにした構成が記載されている。
【0004】
さらに、特許文献1には、走行台車が、固定側のドライブシャフトから、分断された昇降するドライブシャフトに移行する際に、両ドライブシャフト間に多少の位置ずれがあっても、円滑に移行できるようにするため、両ドライブシャフトの突き合わせ部分の上方に、浅い山形の分離レールを配設し、走行台車が、固定側のドライブシャフトから、分断されたドライブシャフトに移行する直前に、走行台車における推進ホイールより上方に枢着した分離ホイールが分離レールに乗り上がり、推進ホイールがドライブシャフトより上方に浮き上がった状態で、継ぎ目部分を通過した後、分断されたドライブシャフト上に乗り移るようにすることも記載されている。
【特許文献1】特開2000−211726号公報
【特許文献2】特開2006−264578号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載されているものにおいては、すべての走行台車に、支柱を立設して、その上端部側面に分離ホイールを枢着するか、ドライブシャフトの突き合わせ部分の上方に分離レールを配設しなければならず、設備費用が高くなるとともに、走行台車が大型化する等の問題がある。
【0006】
昇降体を定位置で停止させる手段としては、昇降体に設けた感知体を、固定体に設けたリミットスイッチ等のセンサで検出して、昇降体の昇降装置の作動を停止させるようにしたものがあるが、これによると、調整とメンテナンスに手間がかかるだけでなく、昇降体に大重量の搬送物を載せた場合、その負荷が昇降装置の駆動手段に直接掛かり、その駆動手段の耐久性を悪化させたり、昇降体が位置ずれしたりするおそれがある。
【0007】
本発明は、従来の技術が有する上記のような問題点に鑑み、昇降しうる分断されたドライブシャフト等を、簡単な構造で、正確に位置決めしうるようにすることにより、走行台車が、固定側のドライブシャフ等と分断されたドライブシャフ等との相互間を円滑に移行しうるとともに、昇降装置の駆動手段の耐久性を向上しうるようにした物品搬送装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によると、上記課題は次のようにして解決される。
(1) 搬送経路に沿って配設され、かつ駆動装置により回転させられようにして固定体に支持されたドライブシャフトと、このドライブシャフトに沿う案内手段と、この案内手段により、ドライブシャフトに沿って走行するように案内された走行台車と、前記ドライブシャフトの外周面に斜めの方向を向いて圧接するようにして前記走行台車に装着され、かつ前記ドライブシャフトの回転により従動回転させられることによって、前記走行台車に推進力を付与するようにした推進ホイールと、前記走行台車に設けられた搬送物支持部材とを備える物品搬送装置において、前記搬送経路に沿うドライブシャフトと案内手段との一部を他部より分断し、この分断されたドライブシャフトと案内手段とを、昇降装置により昇降させられるようにした昇降体に取り付けるとともに、分断されたドライブシャフトのみを駆動する独立駆動装置を前記昇降体に設け、かつ昇降体の近傍の適宜の固定体に、前記昇降体が、分断されたドライブシャフトと他のドライブシャフトとが整合する基準位置から下方に外れた位置に位置しているときに、前記昇降体を基準位置まで強制的に持ち上げる位置決め手段を設ける。
【0009】
(2) 上記(1)項において、位置決め手段を、固定体に水平軸をもって枢着され、かつ先端部で昇降体を基準位置まで押し上げるようにした回動レバーと、この回動レバーを回動させる駆動手段とを備えるものとする。
【0010】
(3) 上記(1)または(2)項において、案内手段を、ドライブシャフトと平行に配設され、かつ走行台車をドライブシャフトに沿って走行するように案内する走行レールとし、その分断された部分を昇降体に固定し、他部を固定体に固定する。
【0011】
(4) 上記(2)項に従属する(3)項において、回動レバーの先端部が、分断された走行レールの下面に当接して、昇降体を持ち上げるようにし、かつ昇降体が基準位置に達したとき、回動レバーが、分断された部分を除く走行レールにおける分断された部分に近接する部分の下面に当接して、停止させられるようにする。
【0012】
(5) 上記(1)または(2)項において、走行体を、推進ホイールを介して、ドライブシャフト上に跨るように装着することにより、ドライブシャフトが案内手段を兼ねるようにする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、次のような効果を奏することができる。
請求項1記載の発明によると、昇降体が、基準位置から下方に外れた位置に位置しているときに、位置決め手段により、基準位置まで強制的に持ち上げられるようにしてあるので、昇降しうる分断されたドライブシャフトおよび案内手段が、固定側のドライブシャフトおよび案内手段と正確に整合し、走行台車は、固定側のドライブシャフ等と分断されたドライブシャフ等との相互間を円滑に移行することができる。
また、昇降体は、位置決め手段により、基準位置に持ち上げられた状態で保持されるので、大重量の搬送物を支持した走行台車が昇降体に装架された場合でも、それらの荷重が昇降装置の駆動手段に掛かることがなく、昇降装置の駆動手段の耐久性を向上することができる。
【0014】
請求項2記載の発明によると、位置決め手段を、固定体に水平軸をもって枢着され、かつ先端部で昇降体を基準位置まで押し上げるようにした回動レバーと、この回動レバーを回動させる駆動手段とを備えるものとしてあるので、位置決め手段を、簡単な構造のものとすることができ、安価に製造することができる。
回動レバーを回動させる駆動手段としては、公知の油圧もしくは空気圧式シリンダ装置、モータと減速装置等とすることができる。
【0015】
請求項3記載の発明によると、案内手段を、ドライブシャフトと平行に配設され、かつ走行台車をドライブシャフトに沿って走行するように案内する走行レールとし、その分断された部分を昇降体に固定し、他部を固定体に固定してあるので、走行台車を安定して、強力に支持することができる。
この請求項3記載の発明は、特許文献2に記載されている型式の物品搬送装置に、請求項1記載の発明を適用するためのものでもある。
【0016】
請求項4記載の発明によると、回動レバーの先端部が、分断された走行レールの下面に当接して、昇降体を持ち上げるようにし、かつ昇降体が基準位置に達したとき、回動レバーが、分断された部分を除く走行レールにおける分断された部分に近接する部分の下面に当接して、停止させられるようにしてあるので、回動レバーのための特別な停止手段を設けることなく、分断された走行レールを、固定側の走行レールに簡単に整合させることができる。
【0017】
請求項5記載の発明によると、走行体を、推進ホイールを介して、ドライブシャフト上に跨るように装着することにより、ドライブシャフトが案内手段を兼ねるようにしてあるので、請求項3記載の発明のように、走行レールを設ける必要がなくなり、構造をより簡素化することができる。
この請求項5記載の発明は、上記特許文献1に記載されている型式の物品搬送装置(吊り下げ搬送装置)に、請求項1記載の発明を適用するためのものでもある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の物品搬送装置の一実施形態を、添付図面を参照して説明する。
図1〜図3は、この物品搬送装置の基本的な部分を示す。因みに、この図1〜図3は、上記特許文献2の図5〜図7に、従来の吊り下げ搬送装置として記載されているものとそれぞれ同一としてある。すなわち、基本的な部分の構成は、従来のものと同一である。
【0019】
この吊り下げ搬送装置は、図1に示すように、搬送経路に沿って架設された互いに平行な2本の前後方向を向く走行レール(案内手段)1a、1bと、両走行レール1a、1bの上方にそれらと平行をなすように配設され、かつ駆動装置12(図3参照)により自身の中心軸線まわりに回転させられようにして、固定体13(図3参照)に支持されたドライブシャフト2と、両走行レール1a、1b上を4個の走行ホイール3をもって走行するようにした前後1対の走行台車4と、各走行台車4上に若干上下動可能として装着された受台5と、この受台5を上方に向かって付勢するばね6と、ドライブシャフト2の外周面に斜めの方向を向いて圧接するようにして各受台5の上面に装着された4個の推進ホイール7と、各走行台車4より垂下する吊支杆8の下端部同士を連結する前後方向を向く連結杆9と、この連結杆9に左右1対の接続具10、10をもって枢着された搬送物支持部材11とを備えている。
【0020】
固定体13は、天井等より吊支され、かつ搬送経路に沿って所要の間隔をもって配設された側面視門形の複数の支持枠13aと、各支持枠13aの上部に搬送経路と同方向を向いて固着され、支持枠13a同士を連結する支持レール13bと、この支持レール13bの下面に固着され、ドライブシャフト2の適所を回転自在に枢支する軸受板13cとを備えている。
両走行レール1a、1bは、門形の各支持枠13aにおける両側下端部に支持されている。
【0021】
この物品搬送装置は、ドライブシャフト2が、図2に矢印Aで示すように回転させられると、その外周面に圧接させられている4個の推進ホイール7が従動回転させられ、そのとき、4個の推進ホイール7がドライブシャフト2の軸線に対して斜めの方向を向いていることにより、各走行台車4に、図2に矢印Bで示すような前方を向く推進力が付与され、各走行台車4は前方に向かって走行させられる。
【0022】
駆動装置12は、図3に示すように、ドライブシャフト2と平行をなすように固定体13におけるいずれかの支持枠13aに枢支した駆動軸14にプーリ15を固嵌し、このプーリ15と、ドライブシャフト2の外周面に設けた環状V溝(図示略)とにVベルト16を掛け回し、駆動軸14をモータ17により回転させることによって、プーリ15とVベルト16とを介して、ドライブシャフト2を回転させるようになっている。
【0023】
これと同様の物品搬送装置は、特許文献1にも記載されている。特許文献1に記載されている物品搬送装置は、走行台車に相当するトロリーを、4個の推進ホイールを介して、直接ドライブシャフト2上に載架することにより、トロリーを、上述の走行レール1a、1bによらず、ドライブシャフト自体で案内するようにしている点で、上述のものと相違しているが、駆動原理は上述のものと同じである。
【0024】
図4および図5は、搬送経路の途中に設定したワークステーションに配設した昇降装置18を示す。
この昇降装置18は、前後左右の4本の支柱19の上下の端部同士、および適宜の中間部同士を、前後左右の多数の連結杆20と中間支柱21とにより互いに連結することにより、直方体状に形成したフレーム22を備えている。
【0025】
フレーム22の後部における左右の内側面には、上下方向を向く前後1対のガイドレール23、24が設けられ、前方の左右のガイドレール23、23には、昇降体25が、また後方のガイドレール24、24には、バランスウエイト26が、それぞれ上下動可能として装着されている。
【0026】
フレーム22内の上部両側には、左右方向を向く駆動軸27の両端部が、軸受28、28をもって枢支されており、駆動軸27の両側部に固嵌された左右1対のスプロケット29、29には、一端が昇降体25に、かつ他端がバランスウエイト26にそれぞれ止着されたチェーン30、30がそれぞれ掛け回されている。
【0027】
スプロケット29、29とは別に、駆動軸27に固嵌されたスプロケット31と、フレーム22の後面に装着された可逆転モータ32の軸32aに固嵌されたスプロケット33とには、無端チェーン34が掛け回されており、モータ32の作動により、無端チェーン34を介して、駆動軸27が回転させられ、左右のチェーン30、30が往復回走させられて、昇降体25とバランスウエイト26とは、互いに逆の関係で、昇降させられるようになっている。すなわち、昇降体25が上昇するときは、バランスウエイト26は下降し、昇降体25が下降するときは、バランスウエイト26は上昇する。
【0028】
昇降体25の前面には、図3に示す固定体13と同様の支持体35が、支持ブラケット36をもって、前方に突出するようにして固着されている。
支持体35は、固定体13における支持枠13a、支持レール13b、および軸受板13cと同様の支持枠35a、支持レール35b、および軸受板35cを備えている。
【0029】
支持体35には、搬送経路に沿う走行レール1a、1bとドライブシャフト2との一部を他部より分断した走行レール1a'、1b'とドライブシャフト2'とが、図3に示す固定体13と走行レール1a、1bとドライブシャフト2との関係と同様にして支持されている。
【0030】
また、支持体35における中央部分の支持枠35aには、分断されたドライブシャフト2'のみを回転駆動する独立駆動装置37が設けられている。
この独立駆動装置37の構成は、図3に示す駆動装置12と同一であるので、その詳細な説明は省略する。
【0031】
図4に示すように、昇降装置18の左右の両側部には、図3に示す固定体13における支持枠13aが、昇降装置18のフレーム22に近接するようにして、吊りボルト38をもって、天井(図示略)より吊支されている。
なお、この昇降装置18に近接する支持枠13aは、フレーム22の一部に固着してもよい。
【0032】
この昇降装置18に近接する支持枠13aには、図6〜図8に示すように、昇降体25が、分断されたドライブシャフト2'と他のドライブシャフト2とが整合する基準位置(図6および図7)から下方に外れた位置(図8)に位置しているときに、昇降体25を基準位置まで強制的に持ち上げる位置決め手段39が設けられている。
【0033】
この例では、位置決め手段39は、支持枠13aの下端部に、前後方向を向く水平軸40をもって枢着され、かつ先端部で、分断した走行レール1a'、1b'の各端部を基準位置まで押し上げるようにした前後1対の回動レバー41、41と、この回動レバー41、41を回動させる駆動手段42、42とを備えるものとしてある。
【0034】
各回動レバー41は、図8に示すように、先端部が水平軸40よりほぼ真下を向き、昇降体25およびそれに装着されたすべての部材の昇降を妨げない不作動位置と、図6および図7に示すように、先端部の上縁が水平をなし、分断された走行レール1a'、1b'の各端部の下面と、それに対峙する固定側の走行レール1a、1bの各端部の下面との両方に当接するようにした作動位置とに、水平軸40を中心として回動可能となっている。
【0035】
また、回動レバー41の先端部は、分断された走行レール1a'、1b'の下面に当接して、昇降体25を持ち上げるとともに、昇降体25が基準位置に達したときは、回動レバー41が、分断された部分を除く走行レール1a、1bにおける分断された部分に近接する部分の下面に当接して、停止させられるようにしてあるので、回動レバー41のための特別な停止手段を設けることなく、分断された走行レール1a'、1b'を、固定側の走行レール1a、1bに簡単に整合させることができるようになっている。
【0036】
各駆動手段42は、水平軸40と同方向を向く水平軸43をもって、下端部が支持枠13aに枢着された油圧シリンダ(エアシリンダとしてもよい)44の下端より下方に向かって進退するようにしたピストンロッド44aの下端部を、回動レバー41の基端部に、軸45をもって連結したものとしてあり、ピストンロッド44aが、油圧シリンダ44より進退することにより、回動レバー41を、作動位置と不作動位置とに回動しうるようになっている。
このピストンロッド44aの進退時に、その下端部の軸45が、回動レバー41の基端部とともに水平軸40を中心として回動することにより、左右方向に変位し、それに伴って、油圧シリンダ44は、水平軸43を中心として、若干左右に回動するようになっている。
【0037】
分断されたドライブシャフト2'の両端部は、それと、固定側のドライブシャフト2の端部との間の推進ホイール7の乗り移りを円滑にするため、若干先細りテーパ状としてある。
【0038】
次に、この物品搬送装置の作用について説明する。
図6および図7に示すように、回動レバー41が作動位置に位置し、昇降体25が基準位置に保持されている状態で、駆動装置12と独立駆動装置37とを作動させ、ドライブシャフト2、2'を予め定めた方向に回転させると、上述した図2に示す原理により、各走行台車4に、4個の推進ホイール7より推進力が付与され、各走行台車4は、走行レール1a、1a'、1b、1b'に沿って、前方に向かって走行させられる。
【0039】
図4に示すように、2個の走行台車4、4と、それらによって吊支された1個の搬送物支持部材11とが、昇降装置18内に位置し、そのことを、図示を省略したセンサが感知することにより、独立駆動装置37の作動が停止させられ、それによって、走行台車4の走行が停止させられる。
【0040】
次いで、油圧シリンダ44のピストンロッド44aが収縮させられて、回動レバー41が、図8に示す不作動位置に回動させられた後、モータ32が作動させられて、昇降体25が下降させられると、分断された走行レール1a'、1b'上に停止している2個の走行台車4、4と、それらによって吊支された1個の搬送物支持部材11も、昇降体25とともに下降させられる。
【0041】
昇降体25が、予め定めた下限位置に達して、モータ32の作動が停止させられた後、搬送物支持部材11への搬送物の着脱または搬送物支持部材11に装着された搬送物の加工等を行い、その後、図示を省略した上昇スイッチを作動させると、モータ32が上記と逆方向に回転して、昇降体25が上昇させられる。
【0042】
昇降体25が予め定めた上昇位置に達して、そのことを、図示を省略したセンサが感知して、モータ32の作動が停止させられた後、油圧シリンダ44のピストンロッド44aが進出して、回動レバー41が、図8に示す不作動位置から、図7に示す作動位置へ回動させられる。
【0043】
このときの回動レバー41の回動により、昇降体25が万一基準位置より若干下方に外れた位置に位置していても、回動レバー41の先端部が、分断された走行レール1a'、1b'の両端部の下面に当接して、それらを昇降体25とともに、基準位置まで正確に持ち上げるので、分断された走行レール1a'、1b'が固定側の走行レール1a、1bと、また分断されたドライブシャフト2'が固定側のドライブシャフト2と、それぞれ正確に整合する。
【0044】
昇降体25が上昇位置に達したことを検出するセンサを、例えば駆動軸27やモータ32の回転数に基づいて作動させるようにすると、搬送物支持部材11に装着した搬送物の重量や、その他の要因により、昇降体25が正確な基準位置で停止しないで、若干ずれた位置で停止することがあり、このような場合に、位置決め手段39を設けることにより、昇降体25を正確に基準位置に停止させることができるので、有意義である。
【0045】
また、昇降体25は、位置決め手段39により、基準位置に持ち上げられた状態で保持されるので、大重量の搬送物を支持した走行台車4、4が昇降体25に装架された場合でも、それらの荷重が昇降装置18の駆動手段であるモータ32に掛かることがなく、モータ32の耐久性を向上することができる。
【0046】
なお、油圧シリンダ44からピストンロッド44aを進出させるタイミングは、昇降体25が上昇位置に達したこと、または昇降体25が基準位置の近くに達したことを検出するセンサの作動のタイミングと同時とするか、またはその前後に若干ずらす等の調整を行えるようにしておくのがよい。
【0047】
昇降体25が基準位置に停止した後、独立駆動装置37を作動させ、分断されたドライブシャフト2'の回転を再開させると、走行レール1a'、1b'上に位置している2個の走行台車4、4に、推進ホイール7より推進力が付与され、各走行台車4は、分断された走行レール1a'、1b'から固定側の走行レール1a、1bへ順次乗り移り、その後走行レール1a、1bに沿って、搬送経路を走行させられる。
【0048】
このときの走行台車4の走行レール1a'、1b'から走行レール1a、1bへの乗り移りは、それらの対向するレール同士、およびドライブシャフト2'、2同士が正確に整合させられていることにより、円滑に行われる。
【0049】
本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、幾多の変形した態様での実施が可能である。
例えば、走行台車4に代えて、特許文献1に記載されているトロリーのような走行体を、推進ホイール7を介して、ドライブシャフト2、2'上に跨るように装着することにより、ドライブシャフト2、2'が案内手段を兼ねるようにし、走行レール1a、1a'、1b、1b'をすべて省略した特許文献1に記載されているようなタイプの物品搬送装置にも適用することができる。
この場合には、位置決め手段39における回動レバー41の先端部を、昇降体25の下端または適宜の中間部に設けた突部の下面に当接して、昇降体25を基準位置まで押し上げるようにすればよい。
【0050】
また、位置決め手段39における駆動手段42を、モータ駆動式のものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の物品搬送装置の一実施形態における要部の斜視図である。
【図2】図1に示す物品搬送装置の駆動原理を説明するための説明図である。
【図3】図1に示す物品搬送装置の要部の縦断側面図である。
【図4】昇降装置の上部の縦断正面図である。
【図5】昇降装置の上部の縦断側面図である。
【図6】図4のVI−VI線に沿う拡大縦断側面図である。
【図7】図6に示す位置決め手段およびその取付部分の正面図である。
【図8】回動レバーを不作動位置としたときの図6と同様の部分の正面図である。
【符号の説明】
【0052】
1a、1a'、1b、1b' 走行レール
2、2' ドライブシャフト
3 走行ホイール
4 走行台車
5 受台
6 ばね
7 推進ホイール
8 吊支杆
9 連結杆
10 接続具
11 搬送物支持部材
12 駆動装置
13 固定体
13a支持枠
13b支持レール
13c軸受板
14 駆動軸
15 プーリ
16 Vベルト
17 モータ
18 昇降装置
19 支柱
20 連結杆
21 中間支柱
22 フレーム
23、24 ガイドレール
25 昇降体
26 バランスウエイト
27 駆動軸
28 軸受
29 スプロケット
30 チェーン
31 スプロケット
32 モータ
32a軸
33 スプロケット
34 無端チェーン
35 支持体
35a支持枠
35b支持レール
35c軸受板
36 支持ブラケット
37 独立駆動装置
38 吊りボルト
39 位置決め手段
40 水平軸
41 回動レバー
42 駆動手段
43 水平軸
44 油圧シリンダ
44aピストンロッド
45 軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送経路に沿って配設され、かつ駆動装置により回転させられようにして固定体に支持されたドライブシャフトと、このドライブシャフトに沿う案内手段と、この案内手段により、ドライブシャフトに沿って走行するように案内された走行台車と、前記ドライブシャフトの外周面に斜めの方向を向いて圧接するようにして前記走行台車に装着され、かつ前記ドライブシャフトの回転により従動回転させられることによって、前記走行台車に推進力を付与するようにした推進ホイールと、前記走行台車に設けられた搬送物支持部材とを備える物品搬送装置において、
前記搬送経路に沿うドライブシャフトと案内手段との一部を他部より分断し、この分断されたドライブシャフトと案内手段とを、昇降装置により昇降させられるようにした昇降体に取り付けるとともに、分断されたドライブシャフトのみを駆動する独立駆動装置を前記昇降体に設け、かつ昇降体の近傍の適宜の固定体に、前記昇降体が、分断されたドライブシャフトと他のドライブシャフトとが整合する基準位置から下方に外れた位置に位置しているときに、前記昇降体を基準位置まで強制的に持ち上げる位置決め手段を設けたことを特徴とする物品搬送装置。
【請求項2】
位置決め手段を、固定体に水平軸をもって枢着され、かつ先端部で昇降体を基準位置まで押し上げるようにした回動レバーと、この回動レバーを回動させる駆動手段とを備えるものとした請求項1記載の物品搬送装置。
【請求項3】
案内手段を、ドライブシャフトと平行に配設され、かつ走行台車をドライブシャフトに沿って走行するように案内する走行レールとし、その分断された部分を昇降体に固定し、他部を固定体に固定した請求項1または2記載の物品搬送装置。
【請求項4】
回動レバーの先端部が、分断された走行レールの下面に当接して、昇降体を持ち上げるようにし、かつ昇降体が基準位置に達したとき、回動レバーが、分断された部分を除く走行レールにおける分断された部分に近接する部分の下面に当接して、停止させられるようにした請求項2に従属する請求項3記載の物品搬送装置。
【請求項5】
走行体を、推進ホイールを介して、ドライブシャフト上に跨るように装着することにより、ドライブシャフトが案内手段を兼ねるようにした請求項1または2記載の物品搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−137693(P2009−137693A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−314618(P2007−314618)
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)