説明

物品移載装置

【課題】物品を所定の位置へスムースに置くことができる物品移載装置を提供する。
【解決手段】バケットコンベヤ2のバケット3…に収容されて搬送ラインを搬送される農産物Aを、バケット3を構成する基部3aに対して左右一対の揺動リンク機構7,7を介して設けられた載置部8に載置するとともに、その載置部8を、搬送時において上方位置に保持して搬送方向に移動させる。搬送ライン上に設定された所定の位置でフック10による係止を解除し、農産物Aが載置された載置部8を、基部3aに対して下方かつ搬送方向とは逆方向へ相対移動させ、移載時において、載置部8に載置された農産物Aの下方位置への落下を許容させ、コンテナや箱などに一括挿入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばミカン、リンゴ、トマト、柿、梨、桃等の物品を搬送しながら所定位置に移載する作業に用いられる物品移載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上述の物品移載装置としては、例えば農産物が載置されたバケットを下方に開放して、バケットから放出される農産物を、ほぼ姿勢を保った状態のまま下方に位置されたコンテナ内に落下させる特許文献1の農産物選別方法および農産物選別装置がある。しかし、上述の特許文献1の農産物選別方法および農産物選別装置は、バケットに載せられた農産物を、ほぼ姿勢を保った状態で下方に位置されたコンテナ内に落下させることができたが、バケットとコンテナの間が離れており落下距離があるため、農産物が損傷するという問題がある。さらに、搬送方向に移動しながらバケットを開くので、搬送時の慣性により、農産物を所定の位置に落下させても転がってしまうという問題もある。
【特許文献1】特公平7−57342号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明は上記問題に鑑み、コンベアにより搬送される物品を損傷させることなく、所定の位置へスムースに置くことができる物品移載装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載した発明の物品移載装置は、バケットに収容されて搬送ラインを搬送される物品を容器などに移載する物品移載装置において、上記バケットは基部と該基部に揺動リンク機構を介して設けられる載置部とを有するとともに、上記基部に対して載置部を、搬送時には上方位置に保持して移載時には下方位置への降下を許容する係止手段を有し、所定の位置で前記係止手段による係止を解除することにより、前記載置部を基部に対して下方かつ搬送方向とは逆方向へ相対移動するように降下させることを特徴とする。
【0005】
上述の物品は、例えばミカン、リンゴ、トマト、柿、梨、桃等の農産物で構成することができる。また、バケットに収容された物品を移載する場所としては、例えば箱やトレイ、コンテナなどの容器の他にコンベヤ等で構成することができる。また、係止手段は、例えばフックとピン、凹部材と凸部材等の互いに係止されるもので構成することができる。
【0006】
つまり、物品を、バケットの基部に揺動リンク機構を介して設けられた載置部に載置するとともに、その載置部を、搬送時において上方位置に保持して搬送方向に移動させる。搬送ライン上に設定された所定の位置で係止手段による係止を解除し、物品が載置された載置部を、基部に対して下方かつ搬送方向とは逆方向へ相対移動させ、移載時において、載置部に載置された物品の下方位置への放出を許容させ、容器などに移載する。
【0007】
請求項2に記載した発明の物品移載装置は、上記請求項1記載の構成と併せて、前記揺動リンク機構は前記載置部の姿勢を保持したまま該載置部を基部に対して相対移動するように構成したことを特徴とする。つまり、載置部に載置された物品を、載置時の姿勢に保持したまま所定の位置に移載することができる。
【0008】
請求項3に記載した発明の物品移載装置は、上記請求項1または2に記載の構成と併せて、前記バケットの搬送速度と、前記載置部の搬送方向とは逆方向への基部に対する相対移動速度がほぼ同一になるようにしたことを特徴とする。つまり、搬送方向へはほぼ静止して、物品を所定の位置に移載することができる。
【0009】
請求項4に記載した発明の物品移載装置は、上記請求項1〜3の何れか一つに記載の構成と併せて、前記載置部の下方位置への降下時に該載置部と係合して降下を規制するレール部材を搬送ラインに設けたことを特徴とする。つまり、載置物を、物品が所定の位置に移載されるような降下速度及び降下軌道にガイドする。
【0010】
請求項5に記載した発明の物品移載装置は、上記請求項1〜4の何れか一つに記載の構成と併せて、前記載置部は中央側が下方へ開く少なくとも2片の揺動部材からなり、最も下方に位置する直前に開くように構成されることを特徴とする。つまり、2片の揺動部材を、載置部が最も下方に位置する直前に開くので、移載時の落差が小さくなり、物品に付与される衝撃が大幅に軽減される。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、バケットの載置部を、基部に対して下方かつ搬送方向とは逆方向へ相対移動させながら降下させ、最も下方に位置する直前に、載置部に載置された物品の下方位置への放出を許容するので、移載時には搬送方向への移動がほとんどなく物品を所定の位置へスムースに置くことができる。また、物品を移載するときの落差が小さく、物品に付与される衝撃が大幅に軽減され、物品の品質及び商品価値を保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
この発明は、物品を所定の位置へスムースに置くことができるという目的を、バケットの載置部を基部に対して下方かつ搬送方向とは逆方向へ相対移動させながら降下させ、最も下方に位置する直前に、載置部に載置された物品の下方位置への放出を許容することで達成した。
【実施例】
【0013】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は、物品の一例である農産物を等階級別に移載する作業に用いられる物品移載装置を示し、図1乃至図4に於いて、この物品移載装置1を構成するバケットコンベヤ2のバケット3…は、上下両面が開放された形状を有する基部3aと、基部3aの内側中央部に左右一対の揺動リンク機構7,7を介して設けられた載置部8とを有するとともに、基部3aに対して載置部8を、搬送時には上方位置に保持され、移載時には下方位置への降下が許容されるように設けて、搬送ライン上に設定した所定の位置で、基部3aに対して下方かつ搬送方向とは逆方向へ相対移動するように降下するものである。
【0014】
上記バケットコンベヤ2は、図3、図4にも示すように、農産物Aが収容されるバケット3を、例えばチェーンやベルト等の左右に張架した無端帯4,4間に架設するとともに、搬送方向に対して所定等間隔に隔てて多数配列している。つまり、左右の無端帯4,4をモータ等で搬送方向に同期回転させ、バケット3…を搬送方向に向けて一定の速度で連続して移動させ、搬送ライン上に設定した供給部aと、検査部bと、振分け部cとに周回移動させる。また、バケット3の搬送速度と、載置部8の搬送方向とは逆方向への基部3aに対する相対移動速度がほぼ同一になるように速度設定している。
【0015】
上記バケット3は、上下両面を開放した形状を有する基部3aの前後端部に搬送方向と略直交して幅方向に挿入した支軸5,5を、無端帯4,4上に取付けたブラケット6,6間に搬送方向と略直交して軸架し、バケット3全体を支軸5,5に沿って幅方向にスライド可能に設けている。
【0016】
且つ、基部3aの内側両側部に取付けた左右一対の揺動リンク機構7,7は左右対称な構成であるので、一方の揺動リンク機構7の構成を図面に基づいて詳述する。つまり、揺動リンク機構7を構成する外側アーム7aの基端部を基部3aの後端側内面部に連結し、内側アーム7bの基端部を、アーム7aの基端部よりも下位後方の基部3aの後端側内面部に連結している。一方、外側上段に取付けたアーム7aのL字形遊端部を、後述する揺動部材9を構成する枠部9bの前端側外面部に連結し、内側下段に取付けたアーム7bの段付き遊端部を、アーム7aの遊端部よりも下位後方の枠部9bの前端側外面部に形成した凹部に連結して、左右一対の揺動リンク機構7,7のリンク運動により、載置部8の姿勢を保持したまま、基部3a内に収容される上方位置と、基部3aに対して下方かつ搬送方向とは逆方向の下方位置とに円弧軌道に沿って上下揺動する。
【0017】
上記載置部8は、図5、図6にも示すように、中央側が下方へ開くような支持構造を有する左右一対の揺動部材9,9で構成され、揺動部材9,9は左右対称な構成であるので、一方の揺動部材9の構成を図面に基づいて詳述する。つまり、揺動部材9を構成するハンド部9aの基端側を、揺動リンク機構7で支持された枠部9bの切欠部内の上端側に支軸9cにより連結し、揺動部材9,9を構成するハンド部9a,9aを、農産物Aが略水平に保持される閉状態と、農産物Aの落下又は放出が許容される開状態とに回動可能に設けている。また、ハンド部9aは農産物Aの搬送時にはその外面が前記内側アーム7b,7bの内面に当接することにより、回動が規制されて閉状態が保持され、載置部8全体が最も下方に位置する直前において、アーム7b,7bの段付き遊端部の内面からハンド部9a,9aの基端部外面が外れると、規制が解除されて回動し下方に自重で開放される。
【0018】
一方、揺動部材9,9の下方に開放されたハンド部9a,9aは、搬送ラインの終端側(又は回帰ライン)に設けたガイドレールに沿って閉方向に回動し、アーム7b,7bの段付き遊端部に対してハンド部9a,9aの基端部を係止して、農産物Aが略水平に保持される閉状態に回動規制する。続いて、載置部8全体をバケット3の基部3a内に収容される方向に押し上げられ、アーム7bのピン7cにフック10を係止して、載置部8をバケット3の基部3a内に収容保持したまま搬送ラインの始端側に回帰移動する。
【0019】
前記右側揺動リンク機構7のアーム7b遊端部に固定したピン7cは、載置部8が基部3a内に収容された上方位置にあるとき、基部3a側面に形成した切欠き部3bより外側に突出される。且つ、基部3aの前端側右側面に取付けたフック10は、基部3a側面に突出するピン7cに対して係止される方向にバネ等で回動付勢されており、載置部8が基部3a内に収容される上方位置に移動したときピン7cに係止され、搬送時において載置部8を基部3a内に収容された上方位置に保持する。
【0020】
一方、フック10を、ピン7cへの係止が解除される方向に付勢力に抗して回動すると、揺動リンク機構7,7で支持された載置部8が姿勢を保持したまま、基部3aに対して下方かつ搬送方向とは逆方向へ相対移動するようにして下方位置へ自重で降下する。
【0021】
且つ、図7にも示すように、後述する内部検査装置20の受光器20bにより透過光以外の外光を遮光するための受光用筒11を、基部3aの中央左側面に枢着したアーム12の遊端部に取付けており、アーム12は、搬送ラインの始端側から外部検査区間の始端に架設したガイドレール13により水平に支持され、受光用筒11を載置部8に載置される農産物Aの下面側中央部に密着させる上方位置に待機させる。また、アーム12は、外部検査区間に到達する直前にガイドレール13から脱落され、受光用筒11を載置部8の上下揺動が許容される下方位置に退避させる。また、搬送ラインの終端側に架設したガイドレール13により水平状態に復帰される。
【0022】
前記供給部aは、バケットコンベヤ2のバケット3…に収容された農産物Aの外部項目(例えば上面、側面等)を作業者の目で目視検査(一次評価)し、作業者の個人的な判断基準に基づいて、農産物Aの等級を個々に判定するとともに、農産物Aが収容されたバケット3を作業者の手で搬送方向と略直交する方向にスライド移動させ、搬送方向と略直交して幅方向に設定した複数の位置に振分ける。
【0023】
且つ、検査部bの始端側搬送ライン上(又は供給部の終端側搬送ライン上)において、バケット3毎に設定された固有情報と対応して、バケット3の振分け位置を位置検出手段で検出し、その位置検出情報を、農産物Aの外部項目を判定するための一次評価情報として、バケット3毎に設定された固有情報と関連付けて制御装置23に記憶する。また、農産物Aの有無も同時に検出する。
【0024】
前記検査部bは、図1、図2に示すように、農産物Aの内部項目を検査する内部検査装置20と、農産物Aの外部項目を検査する外部検査装置21と、農産物Aの重量を検査する重量検査装置22とを搬送ライン上に配設している。
【0025】
上記内部検査装置20は、図7にも示すように、例えば紫外線ランプやその他の照明装置等の投光器20aから投光される検査光を農産物A外面に照射するとき、バケット3に取付けた受光用筒11を、載置部8に載置された農産物Aの下面側に密着させて検査光以外の外交を遮光し、バケット3毎に設定された固有情報と対応して農産物A内部を透過した透過光を受光器20bで受光し、その撮像情報を、農産物Aの内部項目を判定するための内部検査情報として、バケット3毎に設定された固有情報と関連付けて制御装置23に記憶する。
【0026】
前記外部検査装置21は、例えばバケット3毎に設定された固有情報と対応して農産物Aの外面(上下面及び側面)をカメラ21a…で撮影し、その撮像情報を、農産物Aの外部項目を判定するための外部検査情報として、バケット3毎に設定された固有情報と関連付けて制御装置23に記憶する。
【0027】
前記重量検査装置22は、農産物Aを、例えばロードセルや重量センサ等で計測し、その計測情報に基づいて算出した重量情報を、農産物Aの重量項目を判定するための重量検査情報として、バケット3毎に設定された固有情報と関連付けて制御装置23に記憶させる。
【0028】
前記制御装置23は、上記内部検査装置20の内部検査情報及び外部検査装置21の外部検査情報、重量検査装置22の重量検査情報に基づいて、バケット3に収容された農産物Aの等級・階級を個々に判定及び認識するとともに、その判定結果を、バケット3毎に設定された固有情報と関連付けて記憶する。また、バケット3の固有情報と関連付けて記憶された判定結果に基づいて、検査部の下流側搬送ライン上に設定した振分け部cに振分け信号を出力する。
【0029】
前記振分け部cは、搬送ライン上に設定した等階級別の各放出部に、バケット3に取付けたフック10の係止を解除するソレノイド等で構成される複数一組の係止解除装置24と、載置部8の下方位置への移動時に揺動リンク機構7のアーム7bに設けられたピン7cと係合して載置部8の降下を規制するレール部材25とをそれぞれ設け、各放出部下部に、バケット3…から放出される同一等階級の農産物A…を一旦貯留する貯留挿入部26をそれぞれ配設している。
【0030】
つまり、バケット3毎に設定された固有情報と対応する判定結果を制御装置23から読み出すか、バケット3自体に付設された記録媒体の判定結果を読み取る等して、その判定結果に基づいて、各放出部に設けた複数の係止解除装置24を独立して駆動させ、係止解除装置24によりフック10の係止を解除すると、バケット3の移動とともに、ピン7cがレール部材25上面に沿って移動して、基部3aに対して載置部8が下方かつ搬送方向とは逆方向へ自重で降下するとともに、載置部8が最も下方に位置する直前において、左右一対の揺動リンク機構7,7を構成するアーム7b,7bの段付き遊端部内面からハンド部9a,9aの基端部外面が外れるので、下方に自重で開放され、放出部下部に配設した貯留挿入部26に農産物Aを受け渡す。
【0031】
且つ、同一等階級の農産物Aが特定の放出部に搬送されるとき、その等階級と対応する放出部に設けた複数一組の係止解除装置24を後側(又は前側)から順番に独立して駆動させ、農産物Aを貯留挿入部26の後側挿入部から前側挿入部に向けて順番に挿入するか、前側挿入部から後側挿入部に向けて順番に挿入する。
【0032】
上記貯留挿入部26は、バケットコンベヤ2のバケット3…から放出される同一等階級の農産物A…を搬送方向に向けて略直列に整列して所定数貯留し、所定数の農産物A…が一旦貯留されたとき、その農産物A…を略直列に整列したまま一括して下方に放出するとともに、貯留姿勢を保持しながら下方に配置した容器(コンテナ)に一括して挿入する。なお、容器側を前後又は左右に水平移動させることで、1列分の農産物A…を一つの容器内部に複数列挿入することができる。
【0033】
図示実施例は上記の如く構成するものにして、以下、物品移載装置1による農産物Aの移載動作を説明する。
【0034】
先ず、図1乃至図5に示すように、供給部a(一次評価部)において、バケットコンベヤ2のバケット3…に取付けた受光用筒11…を、載置部8…に載置された農産物Aの下面側中央部に密着させたまま移動させ、バケット3…に収容された農産物Aの外部項目(例えば上面、側面等)を作業者の目で目視検査し、個人的な判断基準に基づいて、農産物Aの等級を個々に評価及び判定するとともに、農産物Aが収容されたバケット3を、作業者の手で搬送方向と略直交する方向にスライド移動させ、搬送方向と略直交して幅方向に設定した複数の位置(例えば特秀の位置、秀の位置、優の位置、良の位置、良良の位置等)に振分けて、次の検査部bに移動させる。
【0035】
次に、検査部bにおいて、バケット3…の振分け位置を位置検出手段で検出して、その位置検出情報を、農産物Aの外部項目を判定するための一次評価情報として、バケット3毎に設定された固有情報と関連付けて制御装置23に記憶後、バケット3を略直列に整列される定位置(基準位置)にガイド手段で押し戻して、内部検査装置20に移動させる。また、農産物Aの有無も同時に検出する。
【0036】
次に、内部検査装置20は、図7にも示すように、投光器20aから投光される検査光をバケット3の載置部8に載置された農産物A外面に照射するとともに、受光用筒11を介して、農産物A内部を透過した透過光を受光器20bで受光し、その受光情報を、バケット3毎に設定された固有情報と関連付けて制御装置23に記憶する。内部検査後において、受光用筒11を、外部検査区間に到達する直前に載置部8の上下揺動が許容される下方位置に退避させる。
【0037】
次に、外部検査装置21は、農産物Aの外面(上下面及び側面等の全面)をカメラ21a…で撮影し、その撮像情報を、バケット3毎に設定された固有情報と関連付けて制御装置23に記憶させる。
【0038】
次に、重量検査装置22は、農産物Aの重量を計測し、その計測情報を、バケット3毎に設定された固有情報と関連付けて制御装置23に記憶させる。
【0039】
次に、供給部aに待機する作業者の目視判定に基づいて、手で振り分けられたバケット3…の位置情報(一次評価結果)と、検査部bに設けた内部検査装置20と、外部検査装置21と、重量検査装置22との検査情報に基づいて、農産物Aの等級・階級を制御装置23で個々に判定し記憶させた後、次の振分け部cに移動させる。
【0040】
次に、振分け部cにおいて、バケット3…毎に設定された固有情報と対応する判定結果を制御装置23から読み出し、その判定結果に基づいて、各放出部に設けた複数一組の係止解除装置24…を独立して駆動させ、図8のイ位置からロ位置に移動する区間において、揺動リンク機構7のピン7cに対するバケット3に設けたフック10の係止を解除する。
【0041】
次に、図8のロ位置、ハ位置から図9のニ位置、ホ位置に移動する区間において、農産物Aが載置されたバケット3の載置部8を、基部3aに対して下方かつ搬送方向とは逆方向へ相対移動させながら降下させる。また、左右一対の揺動リンク機構7,7を構成するアーム7b,7bの内面に、左右一対の揺動部材9,9を構成するハンド部9a,9aの基端部外面が当接して、農産物Aが略水平に保持される閉状態に回動規制したまま降下させる。
【0042】
次に、図9のホ位置からヘ位置に移動する区間において、図6にも示すように、載置部8が最も下方に位置する直前に、左右一対の揺動リンク機構7,7を構成するアーム7b,7bの段付き遊端部内面から、左右一対の揺動部材9,9を構成するハンド部9a,9aの基端部外面が外れると、回動規制が解除され、左右一対の揺動部材9,9のハンド部9a,9aが部材自体及び農産物Aの重量により下方に開いて、放出部下部に配設した貯留挿入部26に農産物Aを受け渡す。このとき、バケット3の搬送速度と、載置部8の搬送方向とを逆方向への基部3aに対する相対移動速度がほぼ同一になるように速度設定しているので、搬送方向への直進移動がほぼ静止した状態でバケットコンベア2から貯留挿入部26へ移載される。
【0043】
且つ、同一判定の農産物Aが特定の放出部に搬送されるとき、その等階級と対応する放出部に設けた複数一組の係止解除装置24を後側(又は前側)から順番に独立して駆動させ、農産物Aを貯留挿入部26の後側挿入部から前側挿入部に向けて順番に挿入するか、前側挿入部から後側挿入部に向けて順番に挿入する。
【0044】
次に、貯留挿入部26に所定数の農産物A…が一旦貯留されたとき、その農産物A…を略直列に整列したまま一括して下方に放出するとともに、貯留姿勢を保持しながら下方に配置した容器に一括して挿入する。また、容器側を前後又は左右に水平移動させて、1列分の農産物A…を一つの容器内部に複数列挿入する。続いて、所定数の農産物A…が挿入された容器は次工程に搬送され、次に待機する未挿入の容器を貯留挿入部26直下に搬送供給して、作業を継続する。
【0045】
以上のように、バケットコンベヤ2を構成するバケット3の載置部8を、農産物Aが載置された姿勢を保ったままバケット3の基部3aに対して下方かつ搬送方向とは逆方向へ相対移動させながら降下させ、載置部8が最も下方に位置する直前に、左右一対の揺動部材9,9のハンド部9a,9aを下方に開いて、農産物Aの下方位置への落下及び放出を許容するので、移載時には搬送方向への移動がほとんどなく載置時の姿勢に保ったまま、農産物Aを所定の位置へ負担をかけることなくスムースに置くことができる。また、農産物Aを移載するときの落差が小さく、移載時に付与される衝撃が大幅に軽減され、農産物Aの品質及び商品価値を保つことができる。
【0046】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の物品は、実施例の農産物Aに対応し、
以下同様に、
係止手段は、アーム7bのピン7cと、フック10とに対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【0047】
例えばバケットコンベヤ2の搬送方向と略直交して配置されたコンベヤ上への移載作業にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の物品移載装置は、例えば球技用ボール、食品、部品等の物品を移載する作業にも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】物品移載装置の全体構成を示す平面図。
【図2】バケットの周回動作を示す側面図。
【図3】バケットの載置構造を示す斜視図。
【図4】バケットの載置構造を示す平面図
【図5】揺動リンク機構による載置部の支持状態を示す斜視図。
【図6】載置部を構成する揺動部材の開閉動作を示す正面図。
【図7】受光用筒の揺動動作及び農産物の照光状態を示す正面図。
【図8】図中のイ,ロ,ハは載置部の降下動作を示す側面図。
【図9】図中のニ,ホ,ヘは載置部の降下動作を示す側面図。
【符号の説明】
【0050】
A…農産物
1…物品移載装置
2…バケットコンベヤ
3…バケット
3a…基部
3b…切欠き部
4…無端帯
7…揺動リンク機構
7a,7b…アーム
7c…ピン
8…載置部
9…揺動部材
9a…ハンド部
9b…枠部
10…フック
24…係止解除装置
25…レール部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バケットに収容されて搬送ラインを搬送される物品を容器などに移載する物品移載装置において、
上記バケットは基部と該基部に揺動リンク機構を介して設けられる載置部とを有するとともに、上記基部に対して載置部を、搬送時には上方位置に保持して移載時には下方位置への降下を許容する係止手段を有し、所定の位置で前記係止手段による係止を解除することにより、前記載置部を基部に対して下方かつ搬送方向とは逆方向へ相対移動するように降下させることを特徴とする
物品移載装置。
【請求項2】
前記揺動リンク機構は前記載置部の姿勢を保持したまま該載置部を基部に対して相対移動するように構成した
請求項1に記載の物品移載装置。
【請求項3】
前記バケットの搬送速度と、前記載置部の搬送方向とは逆方向への基部に対する相対移動速度がほぼ同一になるようにした
請求項1または2に記載の物品移載装置。
【請求項4】
前記載置部の下方位置への降下時に該載置部と係合して降下を規制するレール部材を搬送ラインに設けた
請求項1〜3の何れか一つに記載の物品移載装置。
【請求項5】
前記載置部は中央側が下方へ開く少なくとも2片の揺動部材からなり、最も下方に位置する直前に開くように構成される
請求項1〜4の何れか一つに記載の物品移載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−151631(P2006−151631A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−346408(P2004−346408)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(390008305)エスアイ精工株式会社 (39)
【出願人】(504441853)
【Fターム(参考)】