説明

物理量センサ

【課題】半導体素子に意図しない電流が流れてしまうことを防止できる物理量センサを提供する。
【解決手段】物理量センサ10は、動作モードとして、記憶部13の特性情報を管理装置20より受け取った特性情報に書き換える調整モードと、検出信号を出力端子111より管理装置20に出力する通常モードと、移行モードとを有する。管理装置20は、動作モードを調整モードから移行モードを経て通常モードに切り替えるように要求する。管理装置20は、移行モードの要求時には物理量センサ10の動作に必要な電源電位以上の移行電位を電源端子110と出力端子111とに与える。切替部18は、半導体素子のN型バルク(スイッチQ12のバックゲート)を判別部16の判別結果が調整モードであれば出力端子111に接続し、判別部16の判別結果が通常モードまたは移行モードであれば電源端子110に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物理量センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、物理量を検出する物理量センサ(例えば、加速度センサ、角速度センサ、圧力センサ、荷重センサ、磁気センサなど)が提供されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、出力特性等の調整を行える物理量センサが開示されている。
【0004】
特許文献1に開示された物理量センサは、センサ素子における感度調整・オフセット調整・オフセット温度特性調整といった電気トリミングを行うトリミング回路を備えたセンサ回路を有する。このセンサ回路は、一方が接地に使用される2つの電源端子と、1つの出力端子との合計3つの端子のみを有する。
【0005】
特許文献1に開示された物理量センサでは、出力端子をトリミングデータ等の入力端子として使用することができ、これによって、トリミング用の専用端子を不要としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−71336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示された物理量センサでは、出力端子を通信用の端子として利用する。そのため、複数の物理量センサに対して調整を行う(例えば、複数の物理量センサがモジュール化されたセンサモジュールの調整を行う)ためには、外部装置に、各物理量センサに対応する通信装置を設ける必要がある。そのため、外部装置の構成を簡素化することが難しい。
【0008】
また、物理量センサの出力端子には、物理量センサの出力によって制御される負荷(例えば、アクチュエータやランプ等)が直接的に接続される場合がある。この場合、物理量センサの出力端子により通信を行おうとすると、負荷が誤動作等をすることがある。さらに、負荷の存在によって、物理量センサと外部装置との間の通信が阻害されたり、制約を受けたりするおそれがある。
【0009】
上述の問題を解決する方法としては、物理量センサの電源端子を通信用の端子として利用することが考えられる。この場合、物理量センサと外部装置との通信時には、出力端子を用いて物理量センサに電力を供給する。
【0010】
ところで、物理量センサには、N型バルクにP型領域が形成された半導体素子(例えば、PチャネルMOSFET)が用いられることが多い。このような半導体素子では、P型領域の電位がN型バルクの電位より高くなると、P型領域とN型バルクとが導通して意図しない電流が流れてしまう。そのため、このような半導体素子を用いる場合には、N型バルクを電気回路中の最高電位点(例えば、物理量センサの電源端子)に接続するのが一般的である。
【0011】
しかしながら、上述したように電源端子を通信用の端子としても用いる場合、必ずしも電源端子が最高電位点になるとは限らない。
【0012】
そのため、物理量センサの電源端子を通信用の端子として利用する場合には、半導体素子のP型領域とN型バルクとが導通して、意図しない電流が流れるおそれがあった。
【0013】
本発明は上述の点に鑑みて為された。本発明の目的は、半導体素子に意図しない電流が流れてしまうことを防止できる物理量センサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1の発明では、物理量センサであって、電源端子と出力端子と接地端子とを有し少なくとも前記電源端子と前記出力端子とが外部装置に接続される端子部と、所定の物理量を検出して検出信号として出力する検出部と、特性情報を記憶する記憶部と、前記電源端子を通じて前記外部装置からシリアル信号を受け取る通信部と、前記外部装置が要求している動作モードを判別する判別部と、前記判別部の判別結果にしたがって動作する制御部と、N型バルクにP型領域を形成してなり前記P型領域が前記電源端子または前記出力端子に接続される半導体素子と、前記判別部の判別結果にしたがって前記半導体素子の前記N型バルクを前記電源端子または前記出力端子に接続する切替部とを備え、前記動作モードには、前記制御部が前記記憶部の特性情報を前記通信部が前記外部装置より受け取った特性情報に書き換える調整モードと、前記制御部が前記検出信号を前記出力端子より前記外部装置に出力させる通常モードと、移行モードとがあり、前記外部装置は、前記通常モードを要求するにあたっては前記物理量センサを動作させるために必要な電源電位以上かつ前記検出信号の最高電位以上の第1電位を前記電源端子に与え、前記調整モードを要求するにあたっては前記シリアル信号の最高電位を前記電源端子に与えるとともに前記電源電位以上かつ前記シリアル信号の最高電位以上の第2電位を前記出力端子に与え、前記移行モードを要求するにあたっては前記電源電位以上の第1移行電位を前記電源端子に与えるとともに前記第1移行電位以下の第2移行電位を前記出力端子に与え、さらに前記動作モードを前記調整モードから前記移行モードを経て前記通常モードに切り替えるように構成され、前記切替部は、前記判別部の判別結果が前記調整モードであれば前記N型バルクを前記出力端子に接続し、前記判別部の判別結果が前記通常モードまたは前記移行モードであれば前記N型バルクを前記電源端子に接続するように構成されることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、調整モードから通常モードへは、移行モードを経て切り替えられる。移行モードでは、半導体素子のN型バルクは、電位が出力端子の電位以上となる電源端子に接続される。そのため、調整モードから通常モードに切り替わる際に半導体素子のN型バルクとP型領域とが導通することがない。よって、半導体素子のN型バルクに意図しない電流が流れてしまうことを防止できる。
【0016】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、前記判別部は、前記電源端子の電位を第1閾値と比較する第1比較手段と、前記出力端子の電位を第2閾値と比較する第2比較手段と、前記各比較手段の比較結果に基づいて前記外部装置が要求する前記動作モードを決定する決定手段とを備え、前記第1閾値と前記第2閾値とは異なる値であり、前記決定手段は、前記電源端子の電位が前記第1閾値以上であり且つ前記出力端子の電位が前記第2閾値以上であれば前記外部装置が要求する前記動作モードが前記調整モードであると決定し、前記電源端子の電位が前記第1閾値未満であり且つ前記出力端子の電位が前記第2閾値未満であれば前記外部装置が要求する前記動作モードが前記通常モードであると決定し、前記電源端子の電位が前記第1閾値以上であり且つ前記出力端子の電位が前記第2閾値電圧未満であれば前記外部装置が要求する前記動作モードが前記移行モードであると決定するように構成されることを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、通常モード時の電源端子および出力端子の電位と、移行モード時の電源端子および出力端子の電位とを明確に区別できる。そのため、調整モードから移行モードに確実に切り替えることができる。また、動作モードが移行モードに切り替わる条件を、第1閾値と第2閾値との値を適切に決めることのみで設定できる。そのため、新たに回路を追加する必要がなくなる。
【0018】
請求項3の発明では、請求項1の発明において、前記判別部は、前記電源端子の電位を第1閾値と比較する第1比較手段と、前記出力端子の電位を第2閾値と比較する第2比較手段と、前記電源端子の電位を第3閾値と比較する第3比較手段と、前記出力端子の電位を第3閾値と比較する第4比較手段と、前記各比較手段の比較結果に基づいて前記外部装置が要求する前記動作モードを決定する決定手段とを備え、前記第3閾値は、前記第1閾値と前記第2閾値とのいずれよりも大きい値であり、前記決定手段は、前記電源端子の電位が前記第1閾値以上前記第3閾値未満であり且つ前記出力端子の電位が前記第2閾値以上前記第3閾値未満であれば前記外部装置が要求する前記動作モードが前記調整モードであると決定し、前記電源端子の電位が前記第1閾値未満であり且つ前記出力端子の電位が前記第2閾値未満であれば前記外部装置が要求する前記動作モードが前記通常モードであると決定し、前記電源端子と前記出力端子との両方の電位が前記第3閾値以上であれば前記外部装置が要求する前記動作モードが前記移行モードであると決定するように構成されることを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、通常モード時の電源端子および出力端子の電位と、移行モード時の電源端子および出力端子の電位とを明確に区別できる。そのため、調整モードから移行モードに確実に切り替えることができる。
【0020】
請求項4の発明では、請求項1の発明において、前記外部装置は、前記移行モードを要求するにあたっては前記移行モードへの移行を指示する指示信号を前記電源端子に出力するように構成され、前記判別部は、前記通信部が前記指示信号を受信すると、前記外部装置が要求する前記動作モードが前記移行モードであると判別するように構成されることを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、電源端子および出力端子の電位に基づいて移行モードが要求されているかどうかを判別しなくて済む。その結果、調整モードから移行モードに確実に切り替えることができる。
【0022】
請求項5の発明では、物理量センサであって、電源端子と出力端子と接地端子とを有し少なくとも前記電源端子と前記出力端子とが外部装置に接続される端子部と、所定の物理量を検出して検出信号として出力する検出部と、特性情報を記憶する記憶部と、前記電源端子を通じて前記外部装置からシリアル信号を受け取る通信部と、前記外部装置が要求する動作モードを判別する判別部と、前記判別部の判別結果にしたがって動作する制御部と、N型バルクにP型領域を形成してなり前記P型領域が前記電源端子または前記出力端子に接続された半導体素子と、前記電源端子の電位と前記出力端子の電位とを比較する比較部と、前記比較部の比較結果と前記判別部の判別結果とに基づいて前記半導体素子の前記N型バルクを前記電源端子または前記出力端子に接続する切替部とを備え、前記動作モードには、前記制御部が前記記憶部の特性情報を前記通信部が前記外部装置より受け取った特性情報に書き換える調整モードと、前記制御部が前記検出信号を前記出力端子より前記外部装置に出力させる通常モードとがあり、前記外部装置は、前記通常モードを要求するにあたっては前記通常モード時には前記物理量センサを動作させるために必要な電源電位以上かつ前記検出信号の最高電位以上の第1電位を前記電源端子に与え、前記調整モードを要求するにあたっては前記電源電位以上かつ前記シリアル信号の最高電位以上の第2電位を前記出力端子に与えるように構成され、前記切替部は、前記判別部の判別結果が前記通常モードであれば前記半導体素子の前記N型バルクを前記電源端子に接続し、前記判別部の判別結果が前記調整モードであれば前記比較部の比較結果に基づいて前記電源端子と前記出力端子とのうち電位が高いほうに前記半導体素子の前記N型バルクを接続するように構成されることを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、調整モードにおいて、電源端子と出力端子とのうち電位が高いほうに半導体素子のN型バルクが接続される。そのため、調整モードから通常モードに切り替わる際に、半導体素子のN型バルクの電位がP型領域の電位より低くならない。よって、半導体素子のN型バルクに意図しない電流が流れてしまうことを防止できる。
【0024】
請求項6の発明では、前記半導体素子は、PチャネルMOSFETであり、前記半導体素子のソースとドレインとのいずれか一方は、前記電源端子に接続され、前記半導体素子のソースとドレインとのいずれか他方は、前記出力端子に接続され、前記半導体素子の前記N型バルクは、バックゲートであり、前記通信部は、前記調整モード時に前記電源端子を通じて前記外部装置にシリアル信号を送信する送信部を備え、前記送信部は、前記外部装置に送信するシリアル信号をハイレベルにする際には、前記半導体素子によって前記出力端子と前記電源端子との間を短絡させることを特徴とする。
【0025】
この発明によれば、PチャネルMOSFETのバックゲートに意図しない電流が流れてしまうことを防止できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、半導体素子に意図しない電流が流れてしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施形態1の物理量センサを用いた物理量検出システムのブロック図である。
【図2】同上の物理量センサにおける切替部のブロック図である。
【図3】(a)は同上の物理量センサにおける電源端子の電位の時間変化を示すグラフ、(b)は同上における出力端子の電位の時間変化を示すグラフである。
【図4】(a)は同上の物理量センサの比較例における電源端子の電位の時間変化を示すグラフ、(b)は同上における出力端子の電位の時間変化を示すグラフである。
【図5】(a)は実施形態2の物理量センサにおける電源端子の電位の時間変化を示すグラフ、(b)は同上における出力端子の電位の時間変化を示すグラフである。
【図6】実施形態4の物理量センサの一部を省略したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(実施形態1)
本実施形態の物理量センサ(以下、「センサ」という)10は、図1に示すような物理量検出システムに用いられる。
【0029】
物理量検出システムは、複数のセンサ10と、外部装置である管理装置20とを備える。(センサ10がスレーブ、管理装置20がマスタとなる)。このような物理量検出システムは、電子制御装置(Electronic Control Unit;ECU)を用いた自動車のエンジン制御などに用いられる。
【0030】
センサ10は、端子部(以下、「第1端子部」という)11と、検出部12と、記憶部13と、補正部14と、通信部(以下、「第1通信部」という)15と、判別部16と、制御部(以下、「第1制御部」という)17と、切替部18と、電源部(図示せず)とを備える。センサ10を構成する電気機器等は筐体(図示せず)に収納される。
【0031】
検出部12は、所定の物理量(例えば加速度)を検出して検出信号として出力する。検出信号は、検出した物理量の大きさ(検出値)に応じた電位を有する。検出部12は、例えば加速度センサ・角速度センサ・圧力センサ・荷重センサ・磁気センサなどの検出素子である。
【0032】
第1端子部11は、管理装置20との接続に使用される。第1端子部11は、電源端子110と出力端子111と接地端子112とを備える。電源端子110は、管理装置20から電力を受け取るための端子である。出力端子111は、検出信号を管理装置20に出力するための端子である。接地端子112は、基準電位点に接続するための端子である。本実施形態では、電源端子110と出力端子111との2つが管理装置20に接続される。
【0033】
電源端子110と接地端子112との間には、電源ノイズや輻射ノイズなどの高周波ノイズを低減するためにバイパスコンデンサC11が挿入される。
【0034】
出力端子111は、ダイオードD2を介して接地されている。ダイオードD2のカソードは出力端子111に接続され、ダイオードD2のアノードは基準電位点に接続される。
【0035】
接地端子112は、電線(接地線)によって車のボディなどの基準電位点(グラウンド)に接続される。
【0036】
記憶部13は、例えば不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリや、EEPROM、ヒューズ、OTPROMその他の電気的に書き込みが可能な記憶媒体)である。記憶部13は、センサ10に関する情報である特性情報を記憶する。本実施形態では、特性情報は、検出部12の検出信号(検出出力)の補正、すなわち検出値の補正に使用する補正値である。なお、特性情報は、センサ10の規格・製品ID・クランプ電圧であってもよい。
【0037】
補正部14は、検出部12の検出信号を補正する処理を行う。例えば、補正部14は、検出部12から得た検出信号から検出値を取得する。補正部14は、取得した検出値を記憶部13に記憶された補正値を用いて補正する。補正部14は、補正された検出値に応じた電位を有する信号を検出信号(補正検出信号)として出力端子111に出力する。
【0038】
本実施形態では、補正部14は、検出値に所定の加算値(オフセット値)を加算するオフセット処理と、オフセット処理された検出値に所定の乗算値(ゲイン値)を乗算するゲイン処理とを行う。よって、本実施形態では、記憶部13に記憶された補正値は、前記オフセット値と前記ゲイン値とを含む。これらオフセット処理やゲイン処理は、例えば検出部12から出力された検出信号の電位を所望の範囲内の値に設定することを目的として行われる。なお、補正部14が行う処理は、上述の例に限定されない。
【0039】
第1通信部15は、電源端子110を利用して管理装置20と有線による通信(シリアル通信)を行う(第1通信部15は、電源端子110を通じて管理装置20からシリアル信号を受け取る)。第1通信部15は、通信処理部150と、第1クロック回路(図示せず)と、判定回路151と、スイッチQ11,Q12と、抵抗器R11と、電圧降下回路152とを備える。
【0040】
判定回路151は、電源端子110の電位を信号受信用の閾値(例えば10V)と比較するコンパレータを備える。判定回路151は、電源端子110の電位が信号受信用の閾値を超えていれば電源端子110の電位をハイレベルと判定し、電源端子110の電位が信号受信用の閾値以下であれば電源端子110の電位をロウレベルと判定する。
【0041】
スイッチQ11は、NチャネルMOSFETである。スイッチQ11のドレインは抵抗器R11を介して電源端子110に接続され、スイッチQ11のソースはグラウンド(基準電位点)に接続される。
【0042】
スイッチQ12は、N型バルクにP型領域を形成してなる半導体素子である。本実施形態では、スイッチQ12は、PチャネルMOSFETである。スイッチQ12のドレインは出力端子111に接続され、スイッチQ12のソースは電源端子110に接続される。スイッチQ12のバックゲートは、図2に示すように、スイッチQ12のソースに切替部18を介して接続される。
【0043】
抵抗器R11は、スイッチQ11と電源端子110との間に挿入される。抵抗器R11は、スイッチQ11がオンであるときに、電源端子110の電位をスイッチQ11がオフであるときよりも低い所定電位に降下させる。
【0044】
電圧降下回路152は、管理装置20に送信するシリアル信号をロウレベルに設定するために用いられる。電圧降下回路152は、出力端子111と電源端子110との間に挿入される複数のダイオードD1よりなる直列回路である。各ダイオードD1では、アノードが出力端子111に電気的に接続され、カソードが電源端子110に電気的に接続される。本実施形態では、ダイオードD1の数は3個である。また、ダイオードD1の電圧降下は0.7Vである。よって、電圧降下回路152は、アノード側の電位よりもカソード側の電位を2.1V低下させる。なお、電圧降下回路152は、1個のダイオードD1であってもよいが、ダイオードD1を複数個用いるほうが、シリアル信号のロウレベルの電位の設定を容易に行える。また、ダイオードD1,D2は、後述する通常モードにおいて、出力端子111を静電気やサージから保護する。
【0045】
通信処理部150は、例えば論理回路やマイクロコンピュータを用いて構成される。通信処理部150は、判定回路151の判定結果と第1クロック回路とを利用して、シリアル信号の受信処理(すなわちシリアル信号のビット列を識別する処理)を行う。通信処理部150は、判定回路151の判定結果がハイレベルであればシリアル信号がハイレベルであると判断し、判定回路151の判定結果がロウレベルであればシリアル信号がロウレベルであると判断する。通信処理部150は、スイッチQ11,Q12と第1クロック回路とを利用してシリアル信号の送信処理(送信するシリアル信号のビット列に応じて電源端子110の電位を変化させる処理)を行う。通信処理部150は、スイッチQ11をオフ、スイッチQ12をオンとすることで、シリアル信号をハイレベルとする。この場合、スイッチQ12によって出力端子111と電源端子110が短絡される。そのため、シリアル信号のハイレベルの電位VSHは、出力端子111の電位に等しくなる(本実施形態の場合は、12V)。通信処理部150は、スイッチQ11をオン、スイッチQ12をオフとすることで、シリアル信号をロウレベルとする。この場合、電源端子110が抵抗器R11とスイッチQ11を介して接地される。そのため、シリアル信号のロウレベルの電位VSLは、出力端子111の電位を電圧降下回路152で低下させた値(本実施形態の場合は、9.9V)となる。なお、通信処理部150は、アイドル状態(管理装置20からのシリアル信号の受信を待つ状態)では、スイッチQ11,Q12をともにオフに設定する。
【0046】
第1通信部15では、通信処理部150と判定回路151とによって、電源端子110に入力されるシリアル信号を受信する受信部が構成される。また、通信処理部150とスイッチQ11,Q12と抵抗器R11と電圧降下回路152とによって、シリアル信号を電源端子110に出力する送信部が構成される。
【0047】
判別部16は、電源端子110と出力端子111の電位(電位変化)に基づいて(電源端子110と出力端子111との電位が所定の条件を満たしているか否かによって)、管理装置20が要求している動作モードを判別するように構成される。
【0048】
動作モードとしては、通常モードと調整モードと移行モードとがある。センサ10の動作モードは、管理装置20によって決定される。
【0049】
判別部16は、第1比較手段160と、第2比較手段161と、決定手段162とを備える。
【0050】
第1比較手段160は、電源端子110の電位を第1閾値Vth1と比較するように構成される。第2比較手段161は、出力端子111の電位を第2閾値Vth2と比較するように構成される。各比較手段160,161は、コンパレータにより構成される。
【0051】
第1閾値Vth1は、シリアル信号のロウレベルの電位VSLより低い値であり、例えば6Vである。第2閾値Vth2は、第1閾値Vth1と異なる値であり、例えば11Vである。
【0052】
決定手段162は、各比較手段160,161の比較結果に基づいて管理装置20が要求する動作モードを決定するように構成される。
【0053】
本実施形態では、決定手段162は、電源端子110の電位が第1閾値Vth1以上であり且つ出力端子111の電位が第2閾値Vth2以上であれば(図3の時刻t11〜t12)、管理装置20が要求する動作モードが調整モードであると決定する。
【0054】
決定手段162は、電源端子110の電位が第1閾値Vth1未満であり且つ出力端子111の電位が第2閾値Vth2未満であれば(図3の時刻t11以前またはt13以後)、管理装置20が要求する動作モードが通常モードであると決定する。
【0055】
決定手段162は、電源端子110と出力端子111との両方の電位が第1閾値Vth1と第2閾値Vth2との間であれば(図3の時刻t12〜t13)、管理装置20が要求する動作モードが移行モードであると決定する。本実施形態では、第1閾値Vth1が第2閾値Vth2より小さい。そのため、決定手段162は、電源端子110と出力端子111との両方の電位が第1閾値以上且つ第2閾値未満であれば、管理装置20が要求する動作モードが移行モードであると決定する。さらに、本実施形態では、第1決定手段162は、電源端子110の電位が第1閾値Vth1以上であり且つ出力端子111の電位が第2閾値Vth2未満であれば、電源端子110と出力端子111との両方の電位が第1閾値Vth1以上且つ第2閾値Vth2未満であるとみなして、管理装置20が要求する動作モードが移行モードであると決定する。
【0056】
判別部16は、判別結果を第1制御部17と切替部18とに通知する。
【0057】
第1制御部17は、センサ10の全体的な制御を行う制御装置である。第1制御部17は、例えばマイクロコンピュータである。なお、第1制御部17は、通信処理部150と一体に構成されていてもよい。
【0058】
第1制御部17は、判別部16の判別結果にしたがって以下の動作を行う。
【0059】
判別結果が調整モードであれば、第1制御部17は、検出部12および補正部14の駆動を停止して、検出信号の出力を禁止する。また、第1制御部17は、第1通信部15を駆動して、管理装置20とシリアル通信できるようにする。第1制御部17は、管理装置20とのシリアル通信によって補正値を取得すると、記憶部13の補正値を管理装置20より取得した補正値に書き換える。第1制御部17は、特性情報の書き換えが終了すると、第1通信部15を制御して、記憶部13の補正値(書き換え後の補正値)を管理装置20に送信する。調整モードでは、検出信号が出力されず、記憶部13の補正値が書き換えられる。
【0060】
判別結果が通常モードであれば、第1制御部17は、検出部12および補正部14を駆動して、検出信号を出力させる。また、第1制御部17は、第1通信部15の駆動を停止して、管理装置20とシリアル通信を行わないようにする。通常モードでは、検出信号が出力され、記憶部13の補正値の書き換えは行われない。
【0061】
判別結果が移行モードであれば、第1制御部17は、検出部12・補正部14・第1通信部15の駆動を停止する。
【0062】
切替部18は、判別部16の判別結果にしたがってスイッチQ12のバックゲート(N型バルク)を電源端子110または出力端子111に接続するように構成される。なお、図2に示す例では、スイッチQ12とは別のPチャネルMOSFETであるスイッチQ13を図示している。このスイッチQ13のドレインおよびバックゲートは抵抗器R13を介して電源端子110に接続される。なお、スイッチQ13は、例えば、センサ10の他の構成要素(例えば、補正部14や判定部16)で使用される。
【0063】
切替部18は、例えば図2に示すように、切替制御部180と、インバータ181と、スイッチQP1〜QP4と、抵抗器RP1,RP2とを備える。なお、抵抗器RP1,RP2には、ポリシリコン抵抗器・金属被膜などの半導体を利用していない抵抗器を利用することが好ましい。
【0064】
スイッチQP1は、PチャネルMOSFETである。スイッチQP1のソースは出力端子110に接続される。スイッチQP1のドレインとバックゲートとは抵抗器R13を介して電源端子110に接続される。また、スイッチQP1のソースとゲートとは抵抗器RP1によって相互に接続される。抵抗器RP1は、スイッチQP2がオンになった際にスイッチQP1もオンになるような抵抗値を有する。
【0065】
スイッチQP2は、NチャネルMOSFETである。スイッチQP2のドレインは、スイッチQP1のゲートと抵抗器RP1との接続点に接続される。スイッチQP2のソースおよびバックゲートは、基準電位点に接続される。
【0066】
スイッチQP3は、PチャネルMOSFETである。スイッチQP3のソースは、電源端子110に接続される。スイッチQP3のドレインおよびバックゲートは、抵抗器R13を介して電源端子110に接続される。また、スイッチQP3のソースとゲートとは抵抗器RP2によって相互に接続される。抵抗器RP2は、スイッチQP4がオンになった際にスイッチQP3もオンになるような抵抗値を有する。
【0067】
スイッチQP4は、NチャネルMOSFETである。スイッチQP4のドレインは、スイッチQP3のゲートと抵抗器RP2との接続点に接続される。スイッチQP4のソースおよびバックゲートは基準電位点に接続される。
【0068】
切替制御部180は、スイッチQP2,QP4をオン・オフする。切替制御部180の制御端子は、スイッチQP2のゲートに接続される。また、切替制御部180の制御端子は、インバータ181を介してスイッチQP4のゲートに接続される。
【0069】
切替制御部180は、判別部16の判別結果が調整モードであればハイレベルの制御信号を制御端子から出力する。切替制御部180は、判別部16の判別結果が通常モードまたは移行モードであればロウレベルの制御信号を制御端子から出力する。切替制御部180から出力された制御信号は、スイッチQP2のゲートに入力されるとともに、インバータ181によって反転されてスイッチQP4のゲートに入力される。そのため、通常モードまたは移行モードにおいては、スイッチQP2がオフ、スイッチQP4がオンになる。この場合、スイッチQP1がオフ、スイッチQP3がオンになる。そのため、スイッチQ12,Q13のバックゲートは、スイッチQP3を介して電源端子110に接続される。調整モードにおいては、スイッチQP2がオン、スイッチQP4がオフになるから、スイッチQP1がオン、スイッチQP2がオフになる。そのため、スイッチQ12,Q13のバックゲートは、スイッチQP1を介して出力端子111に接続される。
【0070】
上述したように切替部18は、判別部16の判別結果が調整モードであれば各スイッチQ12,Q13のバックゲートを出力端子111に接続し、判別部16の判別結果が通常モードまたは移行モードであれば各スイッチQ12,Q13のバックゲートを電源端子110に接続する。
【0071】
前記電源部は、電源端子110または出力端子111を通じて管理装置20から得た電力に基づいてセンサ10の動作に必要な電圧を生成する。前記電源部には、例えば、電源端子110または出力端子111と接地端子112との間の電位差に基づいて所定の電圧を生成する三端子レギュレータなどが用いられる。なお、電源端子110または出力端子111の電位をそのまま使用できる場合には、前記電源部を設ける必要はない。
【0072】
管理装置20は、センサ10を接続するための端子部(以下、「第2端子部」という)21と、給電部22と、センサ10とシリアル通信するための通信部(以下、「第2通信部」という)23と、管理装置20の全体的な制御を行う制御部(以下、「第2制御部」という)24とを備える。管理装置20を構成する電気機器等は筐体(図示せず)に収納される。
【0073】
第2端子部21は、給電端子210と入力端子211とを備える。給電端子210は、センサ10に給電するための端子である。給電端子210は、電線(給電線)30を介して電源端子110に接続される。入力端子211は、センサ10より検出信号を受け取るための端子である。入力端子211は、電線(信号線)31を介して出力端子111に接続される。
【0074】
給電部22は、センサ10に所望の電位を与えるための電源である。給電部22は、スイッチSW21を介して給電端子210に接続され、スイッチSW22を介して入力端子211に接続される。給電部22は、例えば自動車に搭載されたバッテリと、バッテリの直流電圧を所定電圧に降圧可能な降圧チョッパ回路とで構成される。
【0075】
また、給電部22は、第1電位Vd1と、第2電位Vd1と、移行電位Vtとをセンサ10に与えることができるように構成される。第1電位Vd1は、センサ10を動作させるために必要な電源電位(例えば5V)以上かつ検出信号の最高電位(例えば4V)以上に設定される。第2電位Vd2は、前記電源電位以上かつシリアル信号の最高電位(シリアル信号がハイレベルであるときの電位VSH、例えば12V)以上に設定される。移行電位Vtは、前記電源電位以上に設定される。
【0076】
本実施形態では、第1閾値Vth1は6V、第2閾値Vth2は11Vである。これに対応して、第1電位Vd1を5V、第2電位Vd2を12V、移行電位Vtを10Vとしている。
【0077】
第2通信部23は、センサ10(センサ10の第1通信部15)と有線による通信(シリアル通信)を行うように構成される。第2通信部23は、通信処理部230と、第2クロック回路(図示せず)と、判定回路231と、スイッチQ21,Q22と、抵抗器R21,R22とを備える。
【0078】
判定回路231は、給電端子210の電位(電源端子110の電位に略等しい)が信号受信用の閾値(本実施形態では10V)超過であれば、給電端子210の電位をハイレベルと判定する。また、判定回路231は、給電端子210の電位が信号受信用の閾値以下であれば、給電端子210の電位をロウレベルと判定する。
【0079】
スイッチQ21は、給電端子210とグラウンド(基準電位点)との間に挿入される。スイッチQ21は、例えばMOSFETなどの半導体スイッチング素子や継電器等のオン・オフ制御が可能なスイッチである。
【0080】
スイッチQ22は、給電部22と給電端子210との間に挿入される。
【0081】
抵抗器R22は、スイッチQ22に並列に接続される。
【0082】
通信処理部230は、例えば論理回路やマイクロコンピュータを利用して構成される。
【0083】
通信処理部230は、判定回路231の判定結果と第2クロック回路とを利用して、シリアル信号の受信処理を行う。通信処理部230は、判定回路231の判定結果がハイレベルであればシリアル信号がハイレベルであると判断し、判定回路231の判定結果がロウレベルであればシリアル信号がロウレベルであると判断する。
【0084】
通信処理部230は、スイッチQ21,Q22と第2クロック回路とを利用してシリアル信号の送信処理を行う。通信処理部230は、スイッチQ21をオフ、スイッチQ22をオンとすることで、センサ10に送信されるシリアル信号をハイレベルとする。そのため、センサ10に送信されるシリアル信号のハイレベルの電位は、給電部22の第2電位Vd2(=12V)に等しくなる。通信処理部230は、スイッチQ21をオン、スイッチQ22をオフとすることで、センサ10に送信されるシリアル信号をロウレベルとする。この場合、給電部22が抵抗器R22と抵抗器R21を介して接地される。したがって、給電端子210の電位は、給電部22の電位を抵抗器R21と抵抗器R22とで分圧した大きさとなる。抵抗器R21,R22の抵抗値は、このときの給電端子210の電位が、信号受信用の閾値(例えば10V)以下となる値に設定される。
【0085】
第2通信部23では、通信処理部230と判定回路231とによって、給電端子210に入力されるシリアル信号を受信する受信部が構成される。また、通信処理部230とスイッチQ21,Q22と抵抗器R21,R22とによって、シリアル信号をセンサ10に出力する送信部が構成される。
【0086】
第2制御部24は、図示しない入出力部からの指示に応じて、センサ10に動作モードの切り替えを要求する。
【0087】
ここで、前記入出力部は、ユーザが情報を入力するための操作ボタンなどの入力部と、ユーザに情報を提示するための画像表示装置などの出力部とを備えたユーザインタフェースである。前記入出力部は、管理装置20と一体にまたは別体に設けられる。
【0088】
第2制御部24は、前記入出力部より動作モードを通常モードから調整モードに切り替える旨の指示を受けた場合には、各スイッチSW21,SW22をオンにする。また、第2制御部24は、給電部22の電位を第2電位Vd2(=12V)に設定する。
【0089】
第2制御部24は、前記入出力部より動作モードを調整モードから通常モードに切り替える旨の指示を受けた場合には、動作モードを調整モードから移行モードを経て通常モードに切り替える。
【0090】
そのため、第2制御部24は、最初に各スイッチSW21,SW22をオンにする。また、第2制御部24は、給電部22の電位を移行電位Vt(=10V)に設定する。所定の待機時間経過後、第2制御部24は、スイッチSW21をオン、スイッチSW22をオフにする。また、第2制御部24は、給電部22の電位を第1電位Vd1(=5V)に設定する。ここで、待機時間は、センサ10が調整モードから移行モードに切り替わるのに必要な時間以上である。この場合、第2制御部24は、スイッチSW22をオフにして出力端子111をオープンにした後に、給電部22の電位を第1電位Vd1(=5V)に設定するように動作することが好ましい。
【0091】
管理装置20は、通常モードを要求するにあたっては第1電位Vd1を電源端子110に与える。管理装置20は、調整モードを要求するにあたっては第2電位Vd2を出力端子111と電源端子110との両方に与える。管理装置20は、移行モードを要求するにあたっては移行電位Vtを電源端子110および出力端子111の両方に与える。
【0092】
第2制御部24は、センサ10が調整モードであるときは、第2通信部23を制御して、前記入出力部を用いてユーザが入力した補正値をセンサ10に送信する。第2制御部24は、センサ10に補正値を送信してから所定時間以内にセンサ10からの応答(センサ10における更新後の補正値)が得られれば、補正値の更新が成功したと判断する。一方、第2制御部24は、前記所定時間以内に、センサ10からの応答が得られなかったとき(あるいは、センサ10から応答が得られたが補正値がセンサ10に送信した補正値と一致しなかったとき)、補正値の更新が失敗したと判断する。第2制御部23は、補正値の更新が成功したか失敗したかの判断を、前記入出力部により使用者に通知する。
【0093】
また、第2制御部24は、センサ10が通常モードであるときは、入力端子211に入力された検出信号を前記入出力部に出力する。前記入出力部は、管理装置20から受け取った検出信号に基づいて、センサ10の検出値を表示する。
【0094】
次に、センサ10の動作について図3を参照して説明する。
【0095】
時刻t11以前では、電源端子110の電位は第1電位Vd1(=5V)であり、出力端子111には検出信号が出力される。第1電位Vd1(=5V)は第1閾値Vth1(=6V)以下であり、検出信号の電位Voutは第2閾値Vth2(=11V)以下である。そのため、判別部16の判別結果は通常モードとなる。よって、スイッチQ12,Q13のバックゲートは、電源端子110に接続される。この場合、スイッチQ12,Q13のバックゲートの電位は第1電位Vd1(=5V)であり、検出信号の電位Voutより高い。したがって、スイッチQ12,Q13に意図しない電流は流れない。
【0096】
時刻t11〜時刻t12では、出力端子111の電位は第2電位Vd2(=12V)であり、電源端子110にはシリアル信号が出力される。また、第2電位Vd2(=12V)は第2閾値Vth2(=11V)より高い。このように電源端子110の電位が第1閾値Vth1以上であり且つ出力端子111の電位が第2閾値Vth2以上になると、判別部16の判別結果は調整モードとなる。よって、スイッチQ12,Q13のバックゲートは、出力端子111に接続される。この場合、スイッチQ12,Q13のバックゲートの電位は第2電位Vd2(=12V)であり、シリアル信号のハイレベルの電位VSHと等しい。したがって、スイッチQ12,Q13に意図しない電流は流れない。
【0097】
時刻t12〜時刻t13では、電源端子110および出力端子111の電位は移行電位Vt(=10V)である。このように電源端子110の電位が第1閾値Vth1以上であり且つ出力端子111の電位が第2閾値Vth2未満になると、判別部16の判別結果は移行モードとなる。よって、スイッチQ12,Q13のバックゲートは電源端子110に接続される。この場合、スイッチQ12,Q13のバックゲートの電位は移行電位Vtであり、出力端子111の電位と等しい。したがって、スイッチQ12,Q13に意図しない電流は流れない。
【0098】
管理装置2は、移行モードを要求してから所定の待機時間経過後(時刻t13)、スイッチSW21をオン、スイッチSW22をオフにする。このとき、管理装置20は、スイッチSW22をオフにして出力端子111をオープンにした後に、給電部22の電位を第1電位Vd1(=5V)に設定する。
【0099】
この時刻t13以後では、判別部16の判別結果は通常モードとなる。スイッチQ12,Q13のバックゲートは、移行モード(時刻t12〜t13)において電源端子110に接続される。よって、スイッチQ12,Q13のバックゲートの電位は第1電位Vd1であり、検出信号の電位Voutより高い。したがって、スイッチQ12,Q13に意図しない電流は流れない。
【0100】
次に、移行モードがない場合のセンサ10の動作について図4を参照して説明する。
【0101】
時刻t21以前では、判別部16の判別結果は通常モードとなり、スイッチQ12,Q13のバックゲートは電源端子110に接続される。時刻t21〜時刻t22では、判別部16の判別結果は調整モードとなり、スイッチQ12,Q13のバックゲートは出力端子111に接続される。
【0102】
ここで、調整モードから通常モードへの移行を要求するために、時刻t22において、電源端子110の電位を第1電位Vd1にする前にスイッチSW22をオフにする(出力端子111をオープンにする)と次の問題がある。すなわち、出力端子111の電位が、スイッチQ12によって電源端子110の電位よりやや低い程度の値にクランプされる。その結果、出力端子111の電位が閾値Vth2以下にならなくなる。また、スイッチQ12に意図しない電流が流れる。
【0103】
また、時刻t22において、出力端子111をオープンにする前に電源端子110の電位をVd1にすると次の問題がある。すなわち、出力端子111の電位が電源端子110の電位より高くなる。そのため、電圧降下回路152に意図しない電流が流れる。
【0104】
また、時刻t22において、出力端子111をオープンにする前に出力端子111と電源端子110との両方の電位を同時に第1電位Vd1(=5V)にすると次の問題がある。すなわち、出力端子111と電源端子110との両方の電位を同時に第1電位Vd1(=5V)にすると判別部16の判別結果が通常モードになって、検出部12から検出信号が出力される。この場合、出力端子111において電位のバッティングが生じ、不要な電流が流れる。
【0105】
また、時刻t22において、最初に出力端子111の電位をVd1より低くすると次の問題がある。すなわち、調整モードでは、スイッチQ12,Q13のバックゲートが出力端子111に接続されているから、スイッチQ12,Q13のバックゲートの電位が電源端子110より低くなる。その結果、スイッチQ12,Q13に意図しない電流が流れる。
【0106】
このように、移行モードを用いない場合には、センサ10の電気回路に意図しない電流が流れてしまう。
【0107】
しかしながら、本実施形態のセンサ10によれば、調整モードから通常モードへは、移行モードを経て切り替えられる。移行モードでは、半導体素子のN型バルク(スイッチQ12,Q13のバックゲート)は、電位が出力端子111の電位以上となる電源端子110に接続される。そのため、調整モードから通常モードに切り替わる際にスイッチQ12,Q13のバックゲートとドレインやソースとが導通することがない。よって、スイッチQ12,Q13のバックゲートに意図しない電流が流れてしまうことを防止できる。
【0108】
また、切替部18は、電源端子110の電位が出力端子111の電位より高い間(通常モード時)、スイッチQ12,Q13のバックゲートを電源端子110に接続する。そのため、スイッチQ12,Q13においてP型領域とN型バルクが導通することがない。また、切替部18は、電源端子110の電位が出力端子111の電位より低い間(例えば通常モードから調整モードへの切り替え時および調整モード時)、スイッチQ12,Q13のN型バルクを出力端子111に接続する。そのため、スイッチQ12,Q13においてP型領域とN型バルクが導通することがない。
【0109】
したがって、本実施形態のセンサ10によれば、動作モードが切り替わる際に、スイッチQ12,Q13に意図しない電流が流れることがない。
【0110】
さらに、本実施形態のセンサ10によれば、判別部16の第1閾値Vth1(=6V)と第2閾値Vth2(=11V)とが異なる値である。そして、判別部16は、電源端子110の電位が第1閾値Vth1以上であり且つ出力端子111の電位が第2閾値Vth2以上であれば管理装置20が要求する動作モードが調整モードであると判別する。また、判別部16は、電源端子110の電位が第1閾値Vth1未満であり且つ出力端子111の電位が第2閾値Vth2未満であれば管理装置20が要求する動作モードが通常モードであると判別する。また、判別部16は、電源端子110の電位が第1閾値Vth1以上であり且つ出力端子111の電位が第2閾値Vth2未満であれば、管理装置20が要求する動作モードが移行モードであると判別する。
【0111】
したがって、本実施形態のセンサ10によれば、通常モード時の電源端子110および出力端子111の電位と、移行モード時の電源端子110および出力端子111の電位とを明確に区別できる。そのため、調整モードから移行モードに確実に切り替えることができる。また、動作モードが移行モードに切り替わる条件を、第1閾値Vth1と第2閾値Vth2との値を適切に決めることのみで設定できる。そのため、新たに回路を追加する必要がなくなる。
【0112】
ところで、切替部18では、スイッチQP3,QP4・抵抗器RP2・インバータ181を省略してもよい。この場合、スイッチQP2がオフのときは、スイッチQ12,Q13のバックゲートは、抵抗器R13を介して電源端子110に接続される。スイッチQP2がオンのときは、スイッチQ12,Q13のバックゲートは、スイッチQP1を介して出力端子110に接続される。
【0113】
つまり、スイッチQ12,Q13のバックゲートは、抵抗器R13を介して電源端子110に接続される。これに対して、図2に示す例では、半導体素子(スイッチQ12,Q13)のN型バルクは、スイッチング素子であるスイッチQP3を介して電源端子110に接続される。スイッチQP3のオン抵抗は、抵抗器R13の抵抗よりも十分に小さく、おおよそ数十〜数百Ωである。つまり、スイッチQ12,Q13のN型バルクは、抵抗器R13よりも低抵抗の素子(低インピーダンス素子)を介して電源端子110に接続される。そのため、抵抗器R13を介して電源端子110に接続される場合に比べれば、ノイズ環境下においても、N型バルク(スイッチQ12,Q13のバックゲート)の電位を安定させることができる。
【0114】
なお、本実施形態では、電源端子110と出力端子111とに同じ値の移行電位Vtを与えている。しかしながら、管理装置20は、移行モードを要求するにあたっては電源電位以上の第1移行電位を電源端子110に与えるとともに第1移行電位以下の第2移行電位を出力端子111に与えるように構成されていてもよい。また、給電部22は、電位を変えるための降圧チョッパ回路を備えているが、電位が異なる複数の電源を有していてもよい。また、センサ10は、調整モードや通常モードを複数有しても良く、調整モードや通常モードの数の増加に応じて移行モードを適宜増やしても良い。また、センサ10の第1通信部15は、必ずしも送信部を有している必要はない。
【0115】
(実施形態2)
本実施形態のセンサ10では、判別部16の構成が実施形態1のセンサ10と異なる。本実施形態と実施形態1とで共通するセンサ10および管理装置20の構成については説明を省略する。
【0116】
本実施形態における判別部16は、第1比較手段160と、第2比較手段161と、決定手段162とに加えて、第3比較手段(図示せず)と、第4比較手段(図示せず)とを備える。
【0117】
第3比較手段は、電源端子110の電位を第3閾値Vth3と比較するように構成される。第4比較手段は、出力端子110の電位を第3閾値Vth3と比較するように構成される。第3および第4比較手段は、コンパレータにより構成される。
【0118】
ここで、第3閾値Vth3は、第1閾値Vth1と第2閾値Vth2とのいずれよりも大きい値である。
【0119】
本実施形態における決定手段162は、電源端子110の電位が第1閾値Vth1以上第3閾値Vth3未満であり且つ出力端子111の電位が第2閾値Vth2以上第3閾値Vth3未満であれば管理装置20が要求する動作モードが調整モードであると決定する。決定手段162は、電源端子110の電位が第1閾値Vth1未満であり且つ出力端子111の電位が第2閾値Vth2未満であれば管理装置が要求する動作モードが通常モードであると決定する。決定手段162は、電源端子110と出力端子111との両方の電位が第3閾値Vth3以上であれば管理装置20が要求する動作モードが移行モードであると決定する。
【0120】
例えば、本実施形態では、第1閾値Vth1は6Vであり、第2閾値Vth2は11Vであり、第3閾値Vth3は13Vである。これに対応して、本実施形態における管理装置20では、給電部22の移行電位Vtを14Vとしている。
【0121】
次に、センサ10の動作について図5を参照して説明する。
【0122】
時刻t31以前では、電源端子110の電位はVd1(=5V)であり、出力端子111には検出信号が出力される。そのため、判別部16の判別結果は通常モードとなる。この場合、スイッチQ12,Q13のバックゲートは、電源端子110に接続される。
【0123】
時刻t31〜時刻t32では、出力端子111の電位はVd2(=12V)であり、電源端子110にはシリアル信号が出力される。そのため、判別部16の判別結果は調整モードとなる。この場合、スイッチQ12,Q13のバックゲートは、出力端子111に接続される。
【0124】
時刻t32〜時刻t33では、電源端子110および出力端子111の電位は移行電位Vt(=14V)である。移行電位Vtは第3閾値Vth3(=13V)より高い。そのため、判別部16の判別結果は移行モードとなる。この場合、スイッチQ12,Q13のバックゲートは、電源端子110に接続される。
【0125】
時刻t13以後では、電源端子110の電位は第1電位Vd1であり、出力端子111には、検出信号が出力される。そのため、判別部16の判別結果は通常モードとなる。移行モードにおいて、スイッチQ12,Q13のバックゲートは、電源端子110に接続されている。よって、スイッチQ12,Q13のバックゲートの電位は第1電位Vd1であり、検出信号の電位Voutより高い。したがって、スイッチQ12,Q13に意図しない電流は流れない。なお、管理装置20は、移行モードへの切り替えを要求した後、所定の待機時間経過後、スイッチSW22をオフにして出力端子111をオープンにした後に、給電部22の電位を第1電位Vd1(=5V)に設定するように構成されることが好ましい。
【0126】
このように、本実施形態のセンサ10によれば、実施形態1と同様に、スイッチQ12,Q13に意図しない電流が流れてしまうことを防止できる。
【0127】
さらに、本実施形態のセンサ10によれば、第3閾値Vth3は、第1閾値Vth1(=5V)と第2閾値Vth2(=12V)とのいずれよりも大きい値(=13V)である。そして、判別部16は、電源端子110の電位が第1閾値Vth1以上第3閾値Vth3未満であり且つ出力端子111の電位が第2閾値Vth2以上第3閾値Vth3未満であれば管理装置20が要求する動作モードが調整モードであると判別する。また、判別部16は、電源端子110の電位が第1閾値Vth1未満であり且つ出力端子111の電位が第2閾値Vth2未満であれば管理装置20が要求する動作モードが通常モードであると判別する。また、判別部16は、電源端子110と出力端子111との両方の電位が第3閾値Vth3以上であれば管理装置20が要求する動作モードが移行モードであると判別する。
【0128】
したがって、本実施形態のセンサ10によれば、通常モード時の電源端子110および出力端子111の電位と、移行モード時の電源端子110および出力端子111の電位とを明確に区別できる。そのため、調整モードから移行モードに確実に切り替えることができる。
【0129】
(実施形態3)
本実施形態のセンサ10では、判別部16の構成が実施形態1のセンサ10と異なる。本実施形態と実施形態1とで共通するセンサ10の構成については説明を省略する。また、本実施形態の管理装置20では、第2制御部24の構成が実施形態1の管理装置20と異なる。本実施形態と実施形態1とで共通する管理装置20の構成については説明を省略する。
【0130】
本実施形態における第2制御部24は、第2通信部23を制御して、指示信号をセンサ10に送信するように構成される。指示信号は、移行モードへの移行を指示する信号である。第2制御部24は、前記入出力部より動作モードを調整モードから通常モードに切り替える旨の指示を受けた場合には、動作モードを調整モードから移行モードを経て通常モードに切り替える。第2制御部24は、実施形態1と同様に、最初に各スイッチSW21,SW22をオンにする。また、第2制御部24は、給電部22の電位を移行電位Vtに設定する。さらに、第2制御部24は、第2通信部23に指示信号を出力させる。そして、所定の待機時間経過後、第2制御部24は、スイッチSW22をオン、スイッチSW22をオフにする。また、第2制御部24は、給電部22の電位を第1電位Vd1に設定する。
【0131】
このように、管理装置20は、移行モードを要求するにあたっては移行電位Vtを電源端子110および出力端子111の両方に与えるとともに、給電端子210を通じて指示信号をセンサ10の電源端子110に出力する。そして、管理装置20は、所定の待機時間経過後、スイッチSW22をオフにして出力端子111をオープンにした後に、給電部22の電位を第1電位Vd1(=5V)に設定する。
【0132】
本実施形態における判別部16は、第1通信部15が指示信号を受信すると、管理装置20が要求する動作モードが移行モードであると判別するように構成される。
【0133】
本実施形態のセンサ10によれば、電源端子110および出力端子111の電位に基づいて移行モードが要求されているかどうかを判別しなくて済む。その結果、調整モードから移行モードに確実に切り替えることができる。
【0134】
(実施形態4)
本実施形態のセンサ10では、図6に示すように、判別部16および切替部18の構成が実施形態1のセンサ10と異なる。また、本実施形態のセンサ10は、比較部19を備えている点で、実施形態1のセンサ10と異なる。また、本実施形態の管理装置20では、第2制御部24の構成が実施形態1の管理装置20と異なる。本実施形態と実施形態1とで共通する管理装置20の構成については説明を省略する。
【0135】
本実施形態のセンサ10の動作モードには、上述の調整モードと、上述の通常モードとがある。
【0136】
本実施形態における管理装置20は、通常モードを要求するにあたっては第1電位Vd1を電源端子110に与え、調整モードを要求するにあたっては第2電位Vd2を出力端子111に与えるように構成される。
【0137】
本実施形態における判別部16Aは、第1比較手段160と、第2比較手段161と、決定手段162とを備える。
【0138】
本実施形態における決定手段162は、各比較手段160,161の比較結果に基づいて管理装置20が要求する動作モードを決定するように構成される。決定手段162は、電源端子110の電位が第1閾値Vth1以上であり且つ出力端子111の電位が第2閾値Vth2以上であれば、管理装置20が要求する動作モードが調整モードであると決定する。決定手段162は、電源端子110の電位が第1閾値Vth1未満であり且つ出力端子111の電位が第2閾値Vth2未満であれば、管理装置20が要求する動作モードが通常モードであると決定する。
【0139】
そして、本実施形態における判別部16Aは、判別結果を第1制御部17と切替部18とに通知する。特に、本実施形態では、判別部16Aは、切替部18に判別結果を示す判別信号を出力する。判別信号は、判別結果が調整モードであればハイレベルに設定され、判別結果が通常モードであればロウレベルに設定される。
【0140】
比較部19は、電源端子110の電位と出力端子111の電位とを比較する。比較部19は、例えばコンパレータである。比較部19は、切替部18に比較結果を示す比較信号を出力する。比較信号は、出力端子111の電位が電源端子110の電位より大きければハイレベルに設定され、出力端子111の電位が電源端子110の電位以下であればロウレベルに設定される。
【0141】
本実施形態における切替部18は、比較部19の比較結果と判別部16の判別結果とに基づいてスイッチQ12,Q13のバックゲートを電源端子110または出力端子111に接続するように構成される。本実施形態における切替部18は、切替制御部180Aの構成が実施形態1の切替部18と異なる。切替制御部18は、論理積回路182と、制御回路183とを備える。
【0142】
論理積回路182は、判別信号と比較信号との論理積を演算し、演算結果を示す出力信号を制御回路183に出力する。したがって、出力信号は、判別部16の判別結果が通常モードであれば、ロウレベルとなる。また、出力信号は、判別部16の判別結果が調整モードであっても、出力端子111の電位が電源端子110の電位以下であれば、ロウレベルとなる。結果、出力信号は、判別部16の判別結果が調整モードであり、且つ、出力端子111の電位が電源端子110の電位より大きいときだけ、ハイレベルとなる。
【0143】
制御回路183は、論理積回路182から受け取った出力信号がハイレベルであれば、ハイレベルの制御信号を制御端子から出力する。その結果、スイッチQ12,Q13のバックゲートは、スイッチQP1を介して出力端子111に接続される。切替制御部180Aは、論理積回路182から受け取った出力信号がロウレベルであれば、ロウレベルの制御信号を制御端子から出力する。その結果、スイッチQ12,Q13のバックゲートは、スイッチQP3を介して電源端子110に接続される。
【0144】
したがって、本実施形態における切替部18は、判別部16の判別結果が通常モードであればスイッチQ12,Q13のバックゲートを電源端子110に接続する。一方、切替部18は、判別部16の判別結果が調整モードであれば比較部19の比較結果に基づいて電源端子110と出力端子111とのうち電位が高いほうにスイッチQ12,Q13のバックゲートを接続する。
【0145】
このように、本実施形態のセンサ10によれば、調整モードにおいては、電源端子110と出力端子111とのうち電位が高いほうにスイッチQ12,Q13のバックゲートが接続される。そのため、調整モードから通常モードに切り替わる際に、スイッチQ12,Q13のバックゲートの電位がソースやドレインの電位より低くならない。よって、スイッチQ12,Q13に意図しない電流が流れてしまうことを防止できる。
【符号の説明】
【0146】
10 物理量センサ
13 記憶部
16 判別部
18 切替部
20 管理装置
110 電源端子
111 出力端子
Q12 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理量センサであって、
電源端子と出力端子と接地端子とを有し少なくとも前記電源端子と前記出力端子とが外部装置に接続される端子部と、
所定の物理量を検出して検出信号として出力する検出部と、
特性情報を記憶する記憶部と、
前記電源端子を通じて前記外部装置からシリアル信号を受け取る通信部と、
前記外部装置が要求している動作モードを判別する判別部と、
前記判別部の判別結果にしたがって動作する制御部と、
N型バルクにP型領域を形成してなり前記P型領域が前記電源端子または前記出力端子に接続される半導体素子と、
前記判別部の判別結果にしたがって前記半導体素子の前記N型バルクを前記電源端子または前記出力端子に接続する切替部とを備え、
前記動作モードには、前記制御部が前記記憶部の特性情報を前記通信部が前記外部装置より受け取った特性情報に書き換える調整モードと、前記制御部が前記検出信号を前記出力端子より前記外部装置に出力させる通常モードと、移行モードとがあり、
前記外部装置は、前記通常モードを要求するにあたっては前記物理量センサを動作させるために必要な電源電位以上かつ前記検出信号の最高電位以上の第1電位を前記電源端子に与え、前記調整モードを要求するにあたっては前記シリアル信号の最高電位を前記電源端子に与えるとともに前記電源電位以上かつ前記シリアル信号の最高電位以上の第2電位を前記出力端子に与え、前記移行モードを要求するにあたっては前記電源電位以上の第1移行電位を前記電源端子に与えるとともに前記第1移行電位以下の第2移行電位を前記出力端子に与え、さらに前記動作モードを前記調整モードから前記移行モードを経て前記通常モードに切り替えるように構成され、
前記切替部は、前記判別部の判別結果が前記調整モードであれば前記N型バルクを前記出力端子に接続し、前記判別部の判別結果が前記通常モードまたは前記移行モードであれば前記N型バルクを前記電源端子に接続するように構成されることを特徴とする物理量センサ。
【請求項2】
前記判別部は、前記電源端子の電位を第1閾値と比較する第1比較手段と、前記出力端子の電位を第2閾値と比較する第2比較手段と、前記各比較手段の比較結果に基づいて前記外部装置が要求する前記動作モードを決定する決定手段とを備え、
前記第1閾値と前記第2閾値とは異なる値であり、
前記決定手段は、前記電源端子の電位が前記第1閾値以上であり且つ前記出力端子の電位が前記第2閾値以上であれば前記外部装置が要求する前記動作モードが前記調整モードであると決定し、前記電源端子の電位が前記第1閾値未満であり且つ前記出力端子の電位が前記第2閾値未満であれば前記外部装置が要求する前記動作モードが前記通常モードであると決定し、前記電源端子の電位が前記第1閾値以上であり且つ前記出力端子の電位が前記第2閾値未満であれば前記外部装置が要求する前記動作モードが前記移行モードであると決定するように構成されることを特徴とする請求項1記載の物理量センサ。
【請求項3】
前記判別部は、前記電源端子の電位を第1閾値と比較する第1比較手段と、前記出力端子の電位を第2閾値と比較する第2比較手段と、前記電源端子の電位を第3閾値と比較する第3比較手段と、前記出力端子の電位を第3閾値と比較する第4比較手段と、前記各比較手段の比較結果に基づいて前記外部装置が要求する前記動作モードを決定する決定手段とを備え、
前記第3閾値は、前記第1閾値と前記第2閾値とのいずれよりも大きい値であり、
前記決定手段は、前記電源端子の電位が前記第1閾値以上前記第3閾値未満であり且つ前記出力端子の電位が前記第2閾値以上前記第3閾値未満であれば前記外部装置が要求する前記動作モードが前記調整モードであると決定し、前記電源端子の電位が前記第1閾値未満であり且つ前記出力端子の電位が前記第2閾値未満であれば前記外部装置が要求する前記動作モードが前記通常モードであると決定し、前記電源端子と前記出力端子との両方の電位が前記第3閾値以上であれば前記外部装置が要求する前記動作モードが前記移行モードであると決定するように構成されることを特徴とする請求項1記載の物理量センサ。
【請求項4】
前記外部装置は、前記移行モードを要求するにあたっては前記移行モードへの移行を指示する指示信号を前記電源端子に出力するように構成され、
前記判別部は、前記通信部が前記指示信号を受信すると、前記外部装置が要求する前記動作モードが前記移行モードであると判別するように構成されることを特徴とする請求項1記載の物理量センサ。
【請求項5】
物理量センサであって、
電源端子と出力端子と接地端子とを有し少なくとも前記電源端子と前記出力端子とが外部装置に接続される端子部と、
所定の物理量を検出して検出信号として出力する検出部と、
特性情報を記憶する記憶部と、
前記電源端子を通じて前記外部装置からシリアル信号を受け取る通信部と、
前記外部装置が要求する動作モードを判別する判別部と、
前記判別部の判別結果にしたがって動作する制御部と、
N型バルクにP型領域を形成してなり前記P型領域が前記電源端子または前記出力端子に接続された半導体素子と、
前記電電端子の電位と前記出力端子の電位とを比較する比較部と、
前記比較部の比較結果と前記判別部の判別結果とに基づいて前記半導体素子の前記N型バルクを前記電源端子または前記出力端子に接続する切替部とを備え、
前記動作モードには、前記制御部が前記記憶部の特性情報を前記通信部が前記外部装置より受け取った特性情報に書き換える調整モードと、前記制御部が前記検出信号を前記出力端子より前記外部装置に出力させる通常モードとがあり、
前記外部装置は、前記通常モードを要求するにあたっては前記通常モード時には前記物理量センサを動作させるために必要な電源電位以上かつ前記検出信号の最高電位以上の第1電位を前記電源端子に与え、前記調整モードを要求するにあたっては前記電源電位以上かつ前記シリアル信号の最高電位以上の第2電位を前記出力端子に与えるように構成され、
前記切替部は、前記判別部の判別結果が前記通常モードであれば前記半導体素子の前記N型バルクを前記電源端子に接続し、前記判別部の判別結果が前記調整モードであれば前記比較部の比較結果に基づいて前記電源端子と前記出力端子とのうち電位が高いほうに前記半導体素子の前記N型バルクを接続するように構成されることを特徴とする物理量センサ。
【請求項6】
前記半導体素子は、PチャネルMOSFETであり、
前記半導体素子のソースとドレインとのいずれか一方は、前記電源端子に接続され、
前記半導体素子のソースとドレインとのいずれか他方は、前記出力端子に接続され、
前記半導体素子の前記N型バルクは、バックゲートであり、
前記通信部は、前記調整モード時に前記電源端子を通じて前記外部装置にシリアル信号を送信する送信部を備え、
前記送信部は、前記外部装置に送信するシリアル信号をハイレベルにする際には、前記半導体素子によって前記出力端子と前記電源端子との間を短絡させることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか1項記載の物理量センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−7637(P2011−7637A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−151643(P2009−151643)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】