説明

物質捕集装置

【課題】吸収量及び吸収効率を高め、また、脱臭効果の持続性を改善することができる物質捕集装置を提供する。
【解決手段】気体中のガス物質を溶解する性質を備える液体と、前記液体に対して疎の性質を有する多孔質膜とを備え、前記多孔質膜を介して気体と前記液体を接触させ、前記気体中のガス物質のみを前記多孔質膜を通して前記液体中に溶解させることによって物質捕集を行う物質捕集装置において、前記液体の化学量又は物理量を計測するためのモニタを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体の悪臭等を除去するための物質捕集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
日常生活や産業活動において、気体中の悪臭を除去するために様々な脱臭装置が知られている。
【0003】
従来より知られている脱臭装置として、(a)活性炭やシリカゲル等の吸収物質を気体中に放置、露出させ、気体中に含まれる悪臭物質を吸収物質に吸収させることによって、悪臭の原因となる物質を吸収する脱臭装置、(b)気体中の芳香性の強い物質を放出することによって、悪臭を芳香によりマスキングする脱臭装置、(c)悪臭物質を含んだ気体を、水やアルカリ、酸などのそれぞれの悪臭物質が溶解する液体雰囲気中に通すことによって、悪臭物質を液体中に吸収させる脱臭装置、(d)悪臭物質を、樹脂材に含浸させた液体中に吸収させる脱臭装置等が知られている。
【0004】
また、従来、各種分野において、気体中に含まれる物質を捕集し濃縮することが求められている。
たとえば、分析分野では、気体中に含まれる特定物質の分析を行うために、物質の捕集,濃縮技術が求められ、また、各種産業分野や環境分野では、排出ガスや大気中に含まれるガス成分等の不要物質を除去するために、物質の捕集,濃縮技術が求められている。
【0005】
また、従来、一般家庭や公共のトイレで発生する臭気を除去するための脱臭装置も種々提供されている。
トイレの脱臭装置として従来より知られているものとして、(a)活性炭やシリカゲル等の吸着物質を気体中に放置,露出させ、気体中に含まれる悪臭物質を吸着物質に吸着させることによって、悪臭の原因となる物質を吸着する脱臭装置、(b)気体中に芳香性の強い物質を放出することによって、悪臭を芳香によりマスキングする脱臭装置等が知られている。
【0006】
また、従来、分析分野では、例えば、ガスクロマトグラフのカラム中において吸着剤によるガス物質の物質捕集が行われている。
これには、揮発性の少ない固定相液体を含浸させた物質や、活性炭、アルミナなどの吸着剤を、ガラスや金属製細管に充填したものが用いられている。
【0007】
この吸着剤による吸着現象は、吸着剤と吸着を受ける物質及び溶媒などの性質によって異なり、例えばシリカゲルやアルミナのような極性吸着剤は極性の強い物質に強く、活性炭のようにやや特殊な非極性吸着剤では、芳香族化合物に対し特に強い親和性を示す。
他方、工場や廃棄物処理場などでは、揮発した溶剤の回収に活性炭を吸着剤として用いている。
【0008】
また、環境分野では、排出ガスの放出に伴う有害物質の捕集やモニタを必要とし、例えば、大気中の二酸化硫黄濃度の測定の場合には、測定ガス中に炭化水素が含まれていると二酸化硫黄の測定結果に影響を与えるため、測定系内において炭化水素を除去するための吸着剤が用いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の脱臭装置では、悪臭物質の吸収量や吸収効率や使用期間等の点で問題がある。
【0010】
例えば、前記(a)の吸収物質を気体中に放置する脱臭装置では、吸収物質の吸収量が少なく、長期間の使用に耐えないという問題がある。
また、(b)の脱臭装置においても芳香の発生量に限界があるため、長期間の使用において脱臭効果が持続しないという問題がある。
したがって、前記(a),(b)の脱臭装置では、吸収物質や脱臭物質を頻繁に補充する必要があり、そのため、脱臭装置の脱臭効果を維持するためのコストが高くなることになる。
【0011】
また、前記(c)のスクラバーによる脱臭装置では、液体雰囲気中でのガス吸収効率が低いため、十分な脱臭効果を得るためには、大型の設備装置が必要となり費用もかさむことになる。
【0012】
また、液体が蒸発,気化して対象気体中に混入し、液体が徐々に減少するための補充が必要となる。
また、(d)の樹脂材を用いた脱臭装置においても、前記(c)と同様にガス吸収効率の点で問題があり、また、樹脂材内に含浸させた液体が対象気体中に蒸発,気化し、液体が徐々に減少するため長期間の使用に耐えないという問題がある。
【0013】
したがって、従来より用いられてる脱臭のための装置では、悪臭物質の吸収量が少ない、吸収効率が低い、長い使用期間が得られないといった問題がある。
このような問題点を解決する気体浄化装置として、液体と気体との間に多数の微小孔を備えた多孔質膜を設け、該多孔質膜を通して気体中に含まれるガス成分を液体中に溶解させ、該多孔質膜によって液体の蒸発を防止する装置が提案されている。
【0014】
しかしながら、多孔質膜を備える気体浄化装置では、気体の温度と液体の温度に差がある場合、多孔質膜に結露が生じ、この結露にガス成分が溶解して、第2の悪臭源となるおそれがあるという問題がある。
すなわち、気体と液体との間の温度差によって、気体中に含まれる水分が多孔質膜の表面に結露して付着すると、付着した水滴は、気体中のガス成分を溶解して悪臭源となり、悪臭除去の効率が低下することになる。
【0015】
また、このような多孔質膜を備える気体浄化装置では、液体が蒸発,気化して対象とする気体中に混入するという問題がある。
特に、気体側が液体に対して極端に乾燥した状態である場合には、多孔質膜を介して液体が気体中に蒸発して、液体不足が生じたり、気体中の物質の吸収量及び吸収効率が低下するおそれがある。
【0016】
一方、上述した物質捕集装置において、物質の捕集効率が高いことが求められているが、この捕集効率を向上させるために、多孔質膜を備えた物質捕集装置では、多孔質膜の表面積を大きくし、気体と液体との接触面積を増加させることが考えられる。
【0017】
しかしながら、本発明者は、多孔質膜の表面積の増加による捕集効率への寄与はわずかであることを実験で確認した。
また、多孔質膜の表面積を増やすことで、捕集装置が大型化し、製作上の手間やコストも増加するという問題点も発生する。
そして、気体中のガス物質を分離する計測機器として、拡散スクラバ法を用いた分離装置が提案されている。
【0018】
この分離装置では、円筒状のケーシング内に、多孔質テフロン(PPTFE)の疎水性膜からなるチューブが配置されている。
そして、ケーシングとチューブとの間に液体を流通させ、チューブ内にガス状物質および粒子状物質を含有する気体を流通することにより、気体中のガス状物質が液体側に移行し、ガス状物質が気体から分離される。
【0019】
すなわち、チューブを形成する疎水性膜には、微小な穴が形成されており、気体中の粒子状物質とガス状物質との拡散係数の違いにより、ガス状物質のみが微小な穴を通り液体側に移行される。
しかしながら、このような分離装置では、筒状のチューブ内に気体を流通させているため、気体の処理能力が低く、ガス状物質を単に分離する計測機器等には使用できるが、一般の空調設備等に適用することが困難であるという問題がある。
【0020】
すなわち、このような分離装置では、チューブの内径を大きくするとガス状物質の分離効率が低下し、チューブを通過する気体の風速を低減する必要が生じる。
例えば、内径が9mmのチューブでは、風速を13cm/sまで下げないと分離効率が90%を越えず、26cm/sにすると80%程度に低下する。
一方、内径を4mmにすると、26cm/sでは96%、66cm/sでは93%、130cm/sで82%になり、9mmの装置に比較して約5倍の風速を選択することが可能になる。
【0021】
また、従来の分離装置では、Gormley-Kennedyの実験式から明らかなように、チューブの長さを500mm以上にしないと分離効率95%以上を確保することが困難である。
そして、この時の風量は1000cc/min、風速は130cm/s程度であり、一般の空調装置等に適用するには処理風量が小さすぎる。
【0022】
なお、ここで、分離効率を犠牲にして処理風量を上げたとしても、2000cc/minが限界である。
そして、このような分離装置では、チューブの内径が小さくなるため、圧力損失が大きくなり、動力コストが大きくなる。
また、チューブの肉厚が、例えば、0.5mmと薄いため、気体の流速が早くなると、チューブとケーシングとの接合部に応力が作用し、破断または接着部の剥離が起こるおそれがある。
【0023】
さらに、チューブを多数本使用する場合には、ケーシング内にチューブが格子状に配置されるが、製作上の点から、横断面部でのチューブの開口率は、28%程度にしかならず、気体の通気部(配管,ダクト)に比較して3倍程度の横断面積が必要になる。
一方、従来のトイレの脱臭装置では、悪臭物質等の有害物質の吸収量や吸収効率や使用期間等の点で問題がある。
【0024】
例えば、上述した(a)の吸着物質を気体中に放置する脱臭装置では、吸着物質の吸着量が少なく、長期問の使用に耐えないという問題があり、また、(b)の脱臭装置においても芳香の発生量に限界があるため、長期間の使用において脱臭効果が持続しないという問題がある。
したがって、従来のトイレの脱臭装置では、吸着物質や脱臭物質を頻繁に補充する必要があり、そのため、脱臭装置の脱臭効果を維持するためのコストが高くなることになる。
【0025】
また、これらの脱臭装置に用いられる物質は、通常トイレ室内に設置されるが、トイレにおける臭気の発生源は排泄物が排泄される便器内部であり、排泄物からトイレ室内に拡散することになる。
そのため、従来の脱臭装置のようにトイレ室内に吸着剤や芳香剤を配置するものは、室内に拡散した臭気の脱臭を行うものであり、脱臭効率が悪いという問題もある。
【0026】
そして、気体内の特定物質を捕集するための手段として、気体から液体への拡散現象を利用した物質捕集装置が提案されている。
この物質捕集装置は、多孔質膜を介して気体と液体とを接触させ、気体内の特定ガス物質を液体(溶媒)に拡散し、溶解するものである。
この物質捕集装置の捕集率は、例えば、ホルムアルデヒドを蒸留水で捕集する場合には99%が得られる。
【0027】
しかしながら、このような物質捕集装置では、液体中へのガス物質の溶解が進み、その濃度が高くなるとガス物質の捕集率が低下し、飽和溶解度を越えると捕集できなくなるという問題がある。
また、液体中に捕集されたガス物質が気体中に放出される現象が発生するという問題がある。
【0028】
このため、液体を循環させて濃度の上昇を抑制する必要があるが、溶媒の循環設備の設置が困難な環境下では、物質捕集装置の使用が制限されるという問題がある。
一方、従来の物質捕集装置では、上述したように、物質の捕集,濃縮を必要とする分野及び不要物質の除去を必要とする分野では、主に吸着剤が使用されている。
【0029】
しかしながら、複数のガス物質を含む気体から目的物質を分離するには、それぞれの物質に対応した吸着剤が必要になるが、吸着剤が高価であることと、吸着剤を複数使用すると、相互作用や捕集効率が低下するという問題があった。
さらに、捕集した物質を回収する必要がある場合、吸着剤に圧力や温度の物理条件を与え、溶媒に吸収させるなどその処理が複雑であるという問題があった。
【0030】
本発明は、かかる従来の問題を解決するためになされたもので、吸収量及び吸収効率を高め、また、脱臭効果の持続性を改善することができる物質捕集装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0031】
請求項1の物質捕集装置は、気体中のガス物質を溶解する性質を備える液体と、前記液体に対して疎の性質を有する多孔質膜とを備え、前記多孔質膜を介して気体と前記液体を接触させ、前記気体中のガス物質のみを前記多孔質膜を通して前記液体中に溶解させることによって物質捕集を行う物質捕集装置において、前記液体の化学量又は物理量を計測するためのモニタを備えたことを特徴とする。
【0032】
請求項2の物質捕集装置は、請求項1記載の物質捕集装置において、前記モニタが、前記気体中のガス物質を溶解した液体の化学量又は物理量が一定量に達すると電気信号を出力する機構を有することを特徴とする。
【0033】
請求項3の物質捕集装置は、気体中のガス物質を溶解する性質を備える液体と、前記液体に対して疎の性質を有する多孔質膜を備え、前記多孔質膜を介して気体と前記液体を接触させ、前記気体中のガス物質のみを前記多孔質膜を通して前記液体中に溶解させることによって物質捕集を行う物質捕集装置において、異なる液体と該液体に対して疎の性質を有する多孔質膜からなる物質捕集装置を複数台接続し、複数のガス物質の分離捕集を行うことを特徴とする。
【0034】
(作用)
本発明は、気体内に含まれる悪臭物質等のガス成分を液体内に溶解することによって気体の浄化を行う装置であって、気体中のガス成分のみを液体内に溶解させ、気体中に液体が蒸発,気化させない構成とし、気体と液体間の移動に方向性を持たせることによって、気体中のガス成分の吸収量及び吸収効率を高め、また、吸収による除去効果の持続性を高めるものである。
【0035】
本発明は、気体中のガス成分を溶解する性質を備える液体と、該液体に対して疎の性質を備える多孔質膜を備えるとともに、該多孔質膜を介して気体と液体とを接触させる構成とし、多孔質膜を通して気体中のガス成分のみを液体中に溶解させることによって気体浄化を行う。
本発明が備える多孔質膜は、膜の表裏間を連通する微細孔を多数個備え、気体中に含まれるガス成分はこの微細孔を通して多孔質膜を通過することができる。
【0036】
また、多孔質膜が備える液体に対する疎の性質は、該多孔質膜と接触する液体をはじき、液体が微細孔を通って移動することを抑制するものである。
本発明によれば、多孔質膜を介して液体と気体とを接触させると、気体中に含まれる悪臭物質等のガス成分は、多孔質膜の微小孔を通して液体内に拡散する。
【0037】
液体中に拡散したガス成分は、液体が備える溶解性によって液体内に溶解する。
一方、液体は、多孔質膜が備える液体に対する疎の性質によって、多孔質膜の微小孔の通過が止められるため、気体側への蒸発,気化は発生しない。
【0038】
これによって、ガス成分の吸収効率を高め、除去効果の持続性を高めることができる。
また、液体は交換可能であるため、ガス成分の吸収量を容易に高めることができる。
図1および図2は、本発明の気体浄化装置を説明するための概略断面図であり、図1はガス成分が液体中に溶解する前の状態を示し、図2はガス成分が液体中に溶解した状態を示している。
【0039】
図1および図2において、液体3は多数の微小孔を備える多孔質膜1を介して気体4と接触する。
気体4中には悪臭物質を含むガス成分5が含まれる。
このガス成分5は、図2に示すように、多孔質膜1の微小孔2を通して液体3中に拡散する。
【0040】
拡散したガス成分5'は、液体3の溶解性によって液体3中に溶解する。
なお、図2中のガス成分5'は、液体3内に溶解したガス成分を模式的に表している。
一方、液体3は、多孔質膜1の液体に対する疎の性質によって、多孔質膜1の微小孔2を通過して気体4側には移動しない。
【0041】
これに対して、図3及び図4は、多孔質膜を用いずに液体と気体とを直接接触させた場合を説明するための概略断面図であり、図3はガス成分が液体中に溶解する前の状態を示し、図4はガス成分が液体中に溶解した状態を示している。
図3及び図4において、液体3は気体4と直接接触する。
気体4中の悪臭物質を含むガス成分5は、図4に示すように液体3中に拡散し、拡散したガス成分5'は、液体3の溶解性によって液体3中に溶解する。
【0042】
図4中のガス成分5'は、液体3内に溶解したガス成分を模式的に表している。
一方、液体3の液体成分6(図3および図4において白抜きの丸印で模式的に表している)は、液体3と気体4の間で両者の接触面を介して移動し、気体中に蒸発,気化することになる。
また、気体と液体とを直接接触させた場合における液体のガス吸収効率も低い。
【0043】
なお、図4中に示す白抜きの丸印は、気体中に蒸発、気化した液体成分6'を模式的に表したものである。
したがって、本発明の多孔質膜を用いた気体浄化装置によれば、気体4中のガス成分5の移動は、多孔質膜1によって気体4側から液体3側への一方向の方向性が発生し、ガス成分5の吸収効率及び除去効果の持続性を高めることができる。
【0044】
多孔質膜が備える液体に対する疎の性質は、疎水性又は撥水性とすることができ、液体として水溶性のガス成分を溶解する水性液体を用いることができる。
また、多孔質膜が備える液体に対する疎の性質は疎油性又は撥油性とすることができ、液体として油溶性のガス成分を溶解する油性液体を用いることができる。
多孔質膜として、例えば多孔質フッ化物(PPTFE)を用いることができ、また、該多孔質膜に表面処理を施すことによって疎油性又は撥油性を得ることがで
きる。
【0045】
本発明の気体浄化装置は、気体内に含まれる悪臭物質等のガス成分を液体内に溶解することによって気体の浄化を行う装置であって、気体中のガス成分のみを液体内に溶解させ、気体中に液体を移動させない構成とし、気体と液体間の移動に方向性を持たせることによって、気体中のガス成分の吸収量及び吸収効率を高め、また、収吸による除去効果の持続性を高める装置であり、さらに、悪臭を溶解させる液体の供給、排出を定期的あるいは不定期に行う機構を備えることによって、吸収量及び吸収効率を高め、また、除去効果の持続性を向上させるものである。
【0046】
本発明の気体浄化装置は、気体中のガス成分を溶解する性質を備える液体と、該液体に対して疎の性質を備える多孔質膜を介して気体と液体とを接触させる気体浄化部と、該気体浄化部が備える液体の液量制御を行う液体制御部とを備える構成とする。
本発明の気体浄化部は、多孔質膜を通して気体中のガス成分のみを液体中に溶解させて脱臭を行い、これによって液体の移動を防ぐことができる。
【0047】
また、液体制御部は、気体浄化部の液体の液量制御を行い、これによって、液量の維持や、ガス成分の吸収効率が低下した液体の交換を行い、ガス成分の吸収量及び吸収効率や除去効果の持続性を向上させることができる。
該液体制御部は、気体浄化部が備える液体の液量を検出する液量検出手段や、液体の供給及び又は排出制御を行う液流制御手段を備える。
【0048】
液量検出手段によって、気体浄化部が備える液体の液量を監視し、液量が減少した場合に補充することによって、液量の保持を行うことができる。
また、液流制御手段による気体浄化部での液流制御によって、液体のガス成分の吸収効率を高い値に保持することができる。
また、液量検出手段の検出結果に基づいて液量を制御し、液量の維持を行うことができる。
【0049】
本発明の気体浄化装置によれば、多孔質膜を介して液体と気体とを接触させると、気体中に含まれる悪臭物質等のガス成分は、多孔質膜の微小孔を通して液体内に拡散する。
液体中に拡散したガス成分は、液体が備える溶解性によって液体内に溶解する。
一方、液体は、多孔質膜が備える液体に対する疎の性質によって、多孔質膜の微小孔の通過が止められるため、気体側への移動は発生しない。
【0050】
また、液体制御部によって、液体のガス吸収効率や液量を維持することによって、ガス成分の吸収効率を高め、除去効果の持続性を高め、さらに、ガス成分の吸収量を容易に高めることができる。
図5は、本発明の気体浄化装置を説明するための概略断面図であり、ガス成分が液体中に溶解した状態を示している。
【0051】
図5において、気体浄化装置は気体浄化部と液体制御部を備える。
気体浄化部は、液体層3と気体4側との間を離隔する多孔質膜1を備え、また、液体制御部は、液量計7Aや液体調節装置8Aにより構成することができる。
気体浄化部において、液体層3と気体4側との接触は多数の微小孔を備える多孔質膜1を介して行われる。
【0052】
気体4中には悪臭物質を含むガス成分5が含まれる。
このガス成分5は、多孔質膜1の微小孔2を通して液体層3中に拡散する。
拡散したガス成分は、液体層3の溶解性によって液体層3中に溶解する。
図5中のガス成分5'は、液体層3内に溶解したガス成分を模式的に表している。
一方、液体層3は、多孔質膜1の液体に対する疎の性質によって、多孔質膜1の微小孔2を通過して気体4側には移動しない。
【0053】
したがって、気体4中のガス成分5の移動は、多孔質膜1によって気体4側から液体層3側への方向性が発生し、ガス成分の吸収効率及び除去効果の持続性を高めることができる。
液体制御部において、液量計7Aは液体層3の液量を感知するレベルセンサーとすることができ、液量を監視し必要に応じて液体の補充等を行うことによって、液体層3の液量の維持、制御を行うことができる。
【0054】
また、液体調節装置8Aは、液体層3を流路とする液流を調整して、液体層3の液体を定期的あるいは不定期に供給及び、又は排出を行うことによって、液体の蒸発分の補充や、ガス成分の吸収量や吸収効率の維持を行うことができる。
該液体調節装置8Aによる液流制御は、液量計7Aによる測定結果に基づく液体バルブの開閉制御や、一定時間毎の液体バルブの開閉制御や、外部信号による液体バルブの開閉制御とすることができる。
【0055】
本発明の気体浄化装置は、気体内に含まれる悪臭物質等のガス成分を液体内に溶解することによって気体の浄化を行う装置であって、気体と液体との間に設けた多孔質膜によって気体中のガス成分のみを液体内に溶解させ、気体中に液体を移動させない構成とし、気体と液体間の移動に方向性を持たせることによって、気体中のガス成分の吸収量及び吸収効率を高め、また、吸収による除去効果の持続性を高める装置であり、気体と液体との温度差を減少させたり、あるいは結露した水分を蒸発させることによって、多孔質膜に生じる結露を防止し、脱臭の効率を高めるものである。
【0056】
本発明の気体浄化装置は、気体中のガス成分を溶解する性質を備える液体と、該液体に対して疎の性質を備える多孔質膜を介して気体と液体とを接触させる気体浄化部と、多孔質膜への結露を防止する結露防止部とを備える構成とする。
該結露防止部の第1の形態は、気体浄化部が備える液体の温度制御を行う液体温度制御部により構成することができ、結露防止部の第2の形態は、気体浄化部の気体側の温度又は湿度の制御を行う気体制御部により構成することができ、いずれか一方あるいは両方を用いて多孔質膜への結露を防止する。
【0057】
本発明の多孔質膜は、膜の表裏間を連通する微細孔を多数個備え、気体中に含まれるガス成分はこの微細孔を通して多孔質膜を通過することができる。
また、多孔質膜が備える液体に対する疎の性質は、該多孔質膜と接触する液体をはじき、液体が微細孔を通って移動することを抑制するものである。
本発明の気体浄化部は、多孔質膜を通して気体中のガス成分のみを液体中に溶解させて脱臭を行い、これによって液体の移動を防ぐことができる。
【0058】
本発明の液体温度制御部(結露防止部の第1の形態)は気体浄化部の液体の温度制御を行うものであり、これによって、液体の温度を気体の温度に近づけることによって、気体と液体との温度差を減少させて、多孔質膜への結露を防止する。
【0059】
また、本発明の気体制御部(結露防止部の第2の形態)は、気体浄化部の気体の温度制御あるいは湿度制御を行うものであり、これによって、気体の温度を調節して気体と液体との温度差を減少させたり、気体の湿度を低下させる。
あるいは、乾燥ガスを多孔質膜の気体側に供給することによって、多孔質膜付近の湿度を低下させたり、多孔質膜上に付着した水分を蒸発させて、多孔質膜への結露を防止する。
【0060】
液体温度制御部は、気体浄化部の液体の温度を調節する温度調節手段、及び又は液体の温度を検出する温度検出手段により構成することができる。
さらに、温度調節手段は、液体中に温水を注入する温水注入装置や、液体を加熱するヒータ装置や、液体を冷却する冷却装置により構成することができる。
この温度調節手段は、温度検出手段で検出した液体温度及び気体温度を基にして、液体と気体の温度差が減少するように温度調節を行う。
【0061】
なお、気体の温度は、外気温がほぼ一定としてあらかじめ定めた所定温度とすることも、また、測温することもできる。
本発明の気体浄化装置によれば、多孔質膜を介して液体と気体とを接触させると、気体中に含まれる悪臭物質等のガス成分は、多孔質膜の微小孔を通して液体内に拡散する。
【0062】
液体中に拡散したガス成分は、液体が備える溶解性によって液体内に溶解する。
一方、液体は、多孔質膜が備える液体に対する疎の性質によって、多孔質膜の微小孔の通過が止められるため、気体側への移動は発生しない。
また、ヒータ装置及び冷却装置によって、悪臭物質等の有害物質が溶解し易い液体温度に温度調節することができる。
【0063】
本発明の結露防止部によれば、液体温度制御部を用いる場合には、液温が低い場合には加熱を行うことによって、液温を気体の温度に近づけ温度差を減少させる。
また、気体制御部を用いる場合には、気体の加熱や冷却によって気体と液体の温度差の低減や気体湿度の低下を行ったり、あるいは、乾燥ガスを多孔質膜及びその近傍に流すことによって、結露の予防及び結露の蒸発を行う。
【0064】
これによって、多孔質膜に発生する結露を防止することができる。
この気体制御部は、気体を加熱あるいは冷却する加熱,冷却部や、加熱ガスあ
るいは乾燥ガスを供給するガス供給部により構成することができる。
また、このガス供給部は、気体浄化装置内の気体を加熱あるいは乾燥させて循環させる構成や、又は、気体浄化装置外の気体を加熱あるいは乾燥させて気体浄化装置内に導入する構成とすることができる。
【0065】
図6は、本発明の気体浄化装置を説明するための概略断面図であり、ガス成分が液体中に溶解した状態を示している。
図6において、気体浄化装置は気体浄化部と結露防止部を備える。
なお、図6(a),(b)は、液体温度制御部の構成例を示し、図6(c)は気体制御部10の構成例を示している。
【0066】
気体浄化部は、液体層3と気体4側との間を離隔する多孔質膜1を備える。
また、結露防止部の液体温度制御部は、温度検出器7や温水注入装置8(図6(a))やヒータ装置,及び冷却装置9(図6(b))等の温度調節手段により構成することができる。
また、結露防止部の気体制御部10は、循環式のガス供給部10aや外気導入式のガス供給部10bや加熱,冷却部10cにより構成することができる。
【0067】
循環式のガス供給部10aは、気体浄化装置内の気体を導入して加熱や除湿を行い、再び気体浄化装置内に戻す構成である。
外気導入式のガス供給部10bは、気体浄化装置外の外気や悪臭物質を含まない気体を導入して加熱や除湿を行い、気体浄化装置内に導入する構成である。
【0068】
また、加熱,冷却部10cは、ヒータや冷却手段によって、気体浄化装置内の気体の温度を直接調節する構成である。
気体浄化部において、液体層3と気体4側との接触は多数の微小孔を備える多孔質膜1を介して行われる。
気体4中には悪臭物質を含むガス成分5が含まれる。
【0069】
このガス成分5は、多孔質膜1の微小孔2を通して液体層3中に拡散する。
拡散したガス成分は、液体層3の溶解性によって液体層3中に溶解する。
図6中のガス成分5'は、液体層3内に溶解したガス成分を模式的に表している。
一方、液体層3は、多孔質膜1の液体に対する疎の性質によって、多孔質膜1の微小孔2を通過して気体4側には移動しない。
【0070】
したがって、気体4中のガス成分5の移動は、多孔質膜1によって気体4側から液体層3側への方向性が発生し、ガス成分の吸収効率及び除去効果の持続性を高めることができる。
結露防止部において、図6(a)に示す温水注入装置8は、液体層3の液体中に温水を注入して液体層3の温度を調節する。
【0071】
なお、注入する温水は液体層3と同質の液体とすることができ、温水注入装置8で温度調節した液体を循環させる構成とすることができる。
図6(b)に示すヒータ装置,及び冷却装置9は、ヒータパイプあるいは冷却パイプを液体層3内に配置し、液体の温度調節を直接行うことができる。
また、温度検出器7は、液体層3の温度を検出し、検出した液体温度に基づいて、温水注入装置8やヒータ装置,及び冷却装置9や気体制御部10の制御を行うことができる。
【0072】
本発明の気体浄化装置は、気体内に含まれる悪臭物質等の物質を液体内に溶解することによって気体の浄化を行う装置であって、気体と液体との間に設けた多孔質膜によって気体中の物質のみを液体内に溶解させ、気体中に液体が移動させない構成とし、吸収による除去効果の持続性を高める装置であり、液体の気体中への気化を制御し、これによって脱臭の効率を高めるものである。
【0073】
本発明の気体浄化装置は、気体中の物質を溶解する性質を備える液体と、該液体に対して疎の性質を備える多孔質膜を介して気体と液体とを接触させる気体浄化部と、液体の気体中への気化を制御する気化制御部とを備える構成とする。
気化制御部の第1の形態は、気体中における液体の含有状態を検出する検出手段を備え、検出手段の検出結果に基づいて制御を行う構成とすることができる。
【0074】
気化制御部の第2の形態は、液体を気体中に噴霧する噴霧手段を備えた構成とすることができ、検出手段の検出結果に基づいて噴霧手段の制御を行う構成とすることもできる。
さらに、気化制御部の第3の形態は、気体又は液体の温度制御を行う温度調節手段を備える構成とすることができ、検出手段の検出結果に基づいて温度調節手段の制御を行う構成とすることもできる。
【0075】
温度調節手段は、多孔質膜を介して気体と接触する液体の温度調節を行う構成や、噴霧手段に供給される液体の温度調節を行う構成とすることができる。
本発明の多孔質膜は、膜の表裏間を連通する微細孔を多数個備え、気体中に含まれる物質は、この微細孔を通して多孔質膜を通過することができる。
また、多孔質膜が備える液体に対する疎の性質は、該多孔質膜と接触する液体をはじき、液体が微細孔を通って移動することを制御するものである。
【0076】
本発明の気体浄化部は、多孔質膜を通して気体中の物質のみを液体中に溶解させて脱臭を行い、これによって液体の移動を防ぐことができる。
気化制御部の第1の形態によれば、検出手段によって気体中に含まれる液体の含有の程度を検出し、検出手段の検出結果に基づいて、液体の気体中への気化を制御する。
【0077】
検出手段が検出する液体の含有状態は、気体中における湿度や、気体中における液体に含まれる成分の濃度によって識別することができ、検出手段として湿度計や濃度計を用いることができる。
気化制御部の第2の形態によれば、噴霧手段によって液体を気体中に噴霧し、これによって気体中の湿度や液体に含まれる成分の濃度を制御する。
【0078】
湿度や濃度制御を行うことによって、気体中の液体の含有状態の改善を行い、液体の気体中への気化を防止することができる。
噴霧手段による液体の噴霧の程度は、検出手段で検出した湿度や濃度等の気体中の液体の含有状態に応じて調整することができる。
気化制御部の第3の形態によれば、温度調節手段は、液体又は気体の温度制御を行うことによって液体の気化の程度を制御する。
【0079】
温度調節手段は、多孔質膜を介して気体と接触する液体、噴霧手段に供給される液体、又は気体の温度調節を行う。
温度調節によって気化の程度を調整し、気体中の液体の含有状態を改善して、液体の気体中への気化を防止することができる。
調節温度は、検出手段で検出した湿度や濃度等の気体中の液体の含有状態に応じて調整することができる。
【0080】
温度調節手段は、液体中に温水を注入する温水注入装置や、液体または気体を加熱するヒータ装置や、液体または気体を冷却する冷却装置により構成することができる。
この温度調節手段は、検出手段で検出した液体温度及び気体温度を基にして、液体の気体中への気化を抑制するよう温度調節を行う。
【0081】
本発明の気体浄化装置によれば、多孔質膜を介して液体と気体とを接触させると、気体中に含まれる悪臭物質等の物質は、多孔質膜の微小孔を通して液体内に拡散する。
液体中に拡散した物質は、液体が備える溶解性によって液体内に溶解する。
一方、液体は、多孔質膜が備える液体に対する疎の性質、及び気化制御部による気化の抑制作用とによって、気体側への移動が防止される。
【0082】
また、ヒータ装置及び冷却装置によって、悪臭物質等の有害物質が溶解し易い液体温度に温度調節することもできる。
本発明の物質捕集装置は、特定物質を含む気体と該物質を溶解する液体とを、多孔質膜を介在させて接触させる物質捕集手段と、この気体と液体との接触を断続的に行わせる断続手段とを備える構成である。
【0083】
物質捕集手段が備える多孔質膜を介して、液体と気体とを接触させると、気体中に含まれる物質は、多孔質膜の微小孔を通して液体内に拡散する。
液体中に拡散した物質は、液体が備える溶解性によって液体内に溶解する。
一方、液体は、多孔質膜が備える液体に対する疎の性質によって、多孔質膜の微小孔の通過が止められるため、気体側への移動は発生しない。
【0084】
断続手段は、物質捕集手段による気体と液体との接触を断続的なものとする手段であり、これによって、気体は液体と接触した後、いったん液体と接触しない状態を経過し、その後再び液体と接触する。
したがって、気体は液体に対して間を開けて複数回接触することになる。
本発明の物質捕集装置は、次のようにして物質の捕集を行う。
【0085】
はじめに、物質捕集手段において、多孔質膜を介して気体と液体とを接触させ、気体中に含まれる物質を液体内に捕集する。
断続手段は、この捕集が済んだ気体をいったん液体と接触しない状態とし、その後、同じ気体について、物質捕集手段で多孔質膜を介して液体と接触させる。
【0086】
これによって、同一の気体は、液体との接触を間を開けて断続的に行うことになる。
この断続的な接触によって、物質捕集の向上を得ることができる。
本発明者は、物質捕集装置の多孔質膜の表面積を同一とした場合、断続的な接触は、連続的な接触と比較して捕集効率が向上することを確認している。
【0087】
断続手段の一形態は、複数個の物質捕集手段を配管によって直列接続する構成である。
一方の物質捕集手段に供給された気体は、多孔質膜を介して捕集が行われる。
捕集の後、物質捕集手段から排出された気体は、配管に送られる。
配管部分には、液体は存在せず、この部分において気体は液体と接触しない状態となる。
【0088】
配管を通過した気体は、直列接続される物質捕集手段に供給され、再び液体と接触し、物質の捕集が行われる。
断続手段の他の形態は、複数個の物質捕集手段を一定容積を備える空間を挟んで直列接続する構成である。
一方の物質捕集手段に供給された気体は、多孔質膜を介して捕集が行われる。
【0089】
捕集の後、物質捕集手段から排出された気体は、空間部分に送られる。
空間部分には液体は存在せず、この部分において気体はいったん蓄積され、液体と接触しない状態となる。
空間部分を通過した気体は、直列接続される物質捕集手段に供給され、再び液体と接触し、物質の捕集が行われる。
【0090】
また、断続手段の別の形態は、多孔質膜の一部を遮蔽し、この遮蔽部分によって気体と液体との接触を抑制する構成である。
物質捕集手段に供給された気体は、多孔質膜を介して捕集が行われる。
【0091】
多孔質膜の一部に設けられた遮蔽部分は、気体と液体の接触を抑制しているため、この遮蔽部分では気体は、液体と接触しない状態となる。
遮蔽部分を通過した気体は、多孔質膜を介して液体と接触し、物質の捕集が行われる。
なお、物質捕集手段は、筒状の多孔質膜によって二重管構造とする構成や、平面状の多孔質膜を備えた構成とすることができる。
【0092】
本発明の気体浄化装置では、ガス状汚染物質が含有される気体が各気体流通部に流通されると、拡散スクラバ法によりガス状汚染物質が疎水性膜を通して隣接する液体流通部の液体側に移行し、ガス状汚染物質が気体から除去される。
本発明の気体浄化装置では、変形防止手段により、疎水性膜の気体流通部側への変形が防止される。
【0093】
本発明の気体浄化装置では、ネット部材により、疎水性膜が気体流通部側に向けて変形することが防止される。
また、ネット部材により気体の乱流の発生が促進され、捕集されるガスの液体流通部への接触効率が向上される。
本発明の気体浄化装置では、セパレータにより、疎水性膜が気体流通部側に向けて変形することが防止される。
【0094】
本発明の気体浄化装置では、外周に枠部が形成されるフレーム部材により液体流通部が形成され、フレーム部材の間に配置されるスペーサにより気体流通部が形成される。
本発明の気体浄化装置では、フレーム部材に形成される液体流通路から各液体流通部に液体が供給される。
【0095】
本発明の気体浄化装置では、液体が循環手段により液体流通部に循環され、液体側に移行したガス状汚染物質が回収手段により回収される。
本発明の気体浄化装置では、例えば、飽和水蒸気圧等の気液平衡状態として気体流通部側に移行した液体の量に相当する液体が、補給手段により液体流通部側に補給される。
【0096】
本発明の気体浄化装置では、気体側に移行した液体分が、例えば、水の場合には、除湿手段により除湿される。
本発明の脱臭装置は、臭気源となる物質を含む気体と液体とを、多孔質膜を介在して接触させる脱臭手段を備え、この脱臭手段をトイレの配管経路中に設け、配管内の液体を用いて脱臭を行う構成とするものである。
【0097】
トイレで発生する臭気物質は、アンモニア等の主に水溶性の物質であり、配管内の水に容易に溶解する。
この構成とすることによって、排泄物を流下させる液体と脱臭に用いる液体とを兼用することができ、脱臭効果を長期間持続させ、また、維持コストを低減させることができる。
【0098】
また、本発明の脱臭装置の脱臭手段は、気体を取り込む気体取り込み部を備え、この気体取り込み部は、便器の近傍に気体取り込み用の開口部を備える構成とするものである。
この構成とすることによって、トイレ室内に拡散した臭気物質の脱臭だけでなく、より臭気源に近い位置で臭気物質を脱臭することによって、脱臭効率を高めることができる。
【0099】
また、本発明の脱臭手段の気体取り込み部は、吸気あるいは排気手段を備え、この吸気あるいは排気手段は、トイレの使用動作に連動して動作する構成とするものである。
排気手段を動作させるトイレの使用動作としては、便器に排出水を排出するレバーの動作や、各便器ごとに設けられたドアの開閉動作や、洋式トイレの蓋の開閉動作とすることができ、これら動作に連動して吸気あるいは排気手段を動作させて気体の取り込みを行う。
【0100】
これによって、気体取り込み部の動作を臭気が発生する機会毎に行うことができる。
多孔質膜を介して液体と気体とを接触させると、臭気源となる気体中に含まれる物質は、多孔質膜の微小孔を通して液体内に拡散する。
液体中に拡散した物質は、液体が備える溶解性によって液体内に溶解する。
【0101】
一方、液体は、多孔質膜が備える液体に対する疎の性質によって、多孔質膜の微小孔の通過が止められるため、気体側への移動は発生しない。
なお、脱臭手段は、筒状の多孔質膜によって二重管構造とする構成や、平面状
の多孔質膜を備えた構成とすることができる。
図7は、本発明の物質捕集装置を説明するための概略断面図であり、図7(a)は2種類のガス物質のうち●印で示したガス物質、図7(b)は○印で示したガス物質が液体中に溶解した状態を示したものである。
【0102】
図7において液体3は、多数の微小孔1aを備えた多孔質膜1を介して気体4と接触する。
気体4中には●印で示したガス物質3aと、○印で示したガス物質3bが含まれている。
図7(a)においては、液体3は●印のガス物質3aを溶解するが、○印のガス物質3bは溶解しない性質のものであり、多孔質膜1は液体3に対して疎の性質を持つものが用いられている。
【0103】
●印のガス物質3aが、多孔質膜1の微小孔1aを通して液体3中に拡散する。
拡散したガス物質3aは、液体3の溶解性によって液体3中に溶解する。
○印のガス物質3bも多孔質膜1を介して液体3側へ拡散しようとするが、液体3に不溶のため気体内に留まる。
図7(b)においては、液体3は○印のガス物質3bを溶解するが、●印のガス物質3aを溶解しない性質のものであり、多孔質膜1は液体3に対して疎の性質を持つものが用いられている。
【0104】
○印のガス物質3bが、多孔質膜1の微小孔1aを通して液体3中に拡散する。
拡散したガス物質3bは、液体3の溶解性によって液体3中に溶解する。
●印のガス物質3aも多孔質膜1を介して液体3側へ拡散しようとするが、液体3に不溶のために気体4内に留まる。
従って、混合ガス物質を含んだ気体を図7(a),(b)に示した多孔質膜1を介して液体3に接触させることにより、目的ガス物質の分離捕集を行うことができる。
【発明の効果】
【0105】
以上説明したように、本発明の気体浄化装置によれば、ガス成分に対する吸収量及び吸収効率を高め、また、脱臭効果の持続性を向上することができる。
本発明の気体浄化装置によれば、ガス成分に対する吸収量及び吸収効率を高め、また、脱臭効果の持続性を向上することができる。
【0106】
また、液体の蒸発分の補充や、ガス成分の飽和による悪臭物質の除去効率の低下を防止することができ、さらに、排出する液体中の悪臭物質濃度を低レベルに抑えることができる。
本発明の気体浄化装置によれば、結露を防止することによって脱臭の効率を高めることができる。
【0107】
すなわち、気体と液体との温度差によって、気体中に含まれる水分が多孔質膜の表面に結露して付着することがなくなるため、多孔質体の表面に結露した水滴が、気体中のガス成分を溶解して悪臭源となることがなくなり、脱臭の効率を高めることができる。
【0108】
本発明の気体浄化装置によれば、液体の気体中への気化を防止することによって脱臭の効率を高めることができる。
本発明の物質捕集装置によれば、捕集効率を向上することができる。
本発明の気体浄化装置では、気体が流通される気体流通部と、液体が流通される液体流通部とを積層配置するとともに、気体流通部と液体流通部との間に疎水性膜を配置したので、装置の単位体積当たりの処理効率を従来より大幅に向上することができる。
【0109】
本発明の気体浄化装置では、疎水性膜の気体流通部側に、疎水性膜の気体流通部側への変形を防止する変形防止手段を配置したので、気体流通部と液体流通部との圧力差により、疎水性膜が気体流通部側に向けて変形することを防止することができる。
本発明の気体浄化装置では、変形防止手段を、疎水性膜の気体流通部側に配置されるネット部材により構成したので、変形防止手段を簡易な構造にすることができる。
【0110】
本発明の気体浄化装置では、変形防止手段を、疎水性膜の気体流通部側に配置されるセパレータにより構成したので、変形防止手段を簡易な構造にすることができる。
本発明の気体浄化装置では、液体流通部を、外周に枠部が形成されるフレーム部材により形成し、気体流通部を、フレーム部材の間に配置されるスペーサにより形成したので、液体流通部と気体流通部とを容易,確実に構成することができる。
【0111】
本発明の気体浄化装置では、フレーム部材に液体流通路を形成したので、液体流通部に容易,確実に液体を供給することができる。
本発明の気体浄化装置では、液体を液体流通部に循環する循環手段と、液体側に移行したガス状汚染物質を回収する回収手段とを配置したので、液体中のガス状汚染物質の濃度の増大による分離効率の低減を回避することができる。
【0112】
本発明の気体浄化装置では、液体を補給する補給手段を配置したので、液体流通部に流通する液体の量を確保することができる。
本発明の気体浄化装置では、気体流通部からの気体を除湿する除湿手段を配置したので、気体側に移行した液体分を除去することができる。
本発明の脱臭装置によれば、脱臭効果を長期間持続させることができる。
【0113】
また、維持コストを低減させることができ、さらに、脱臭効率を高めることができる。
本発明の物質捕集装置では、モニタにより捕集効率を監視し、液体(溶媒)の交換時期を知ることができるので、液体を循環させることができない環境下でも捕集効率を低下させずにガス物質を捕集することができる。
【0114】
本発明の物質捕集装置では、複数のガス物質を分離して捕集することができるとともに、高い分離度と捕集率を得ることができる。
また、ガス物質が直接溶媒中に捕集されているので、吸着剤を使用する場合に比較し回収を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明の気体浄化装置を説明するための概略断面図である。
【図2】本発明の気体浄化装置を説明するための概略断面図である。
【図3】多孔質膜を用いずに液体と気体とを直接接触させた場合を説明するための概略断面図である。
【図4】多孔質膜を用いずに液体と気体とを直接接触させた場合を説明するための概略断面図である。
【図5】本発明の気体浄化装置を説明するための概略断面図である。
【図6】本発明の気体浄化装置を説明するための概略断面図である。
【図7】本発明の物質捕集装置を説明するための概略断面図である。
【図8】本発明の気体浄化装置の第1の実施の形態を説明するための概略斜視図である。
【図9】本発明の気体浄化装置の第2の実施の形態を説明するための概略斜視図である。
【図10】本発明の気体浄化装置の第3の実施の形態を説明するための概略斜視図である。
【図11】本発明の気体浄化装置の第4の実施の形態を説明するための概略斜視図である。
【図12】本発明の気体浄化装置の第4の実施の形態を説明するための概略斜視図である。
【図13】本発明の気体浄化装置の第5の実施の形態を説明するための概略斜視図である。
【図14】本発明の気体浄化装置の第6の実施の形態を説明するための概略斜視図である。
【図15】本発明の気体浄化装置の第7の実施の形態を説明するための概略斜視図である。
【図16】本発明の気体浄化装置の第8の実施の形態を説明するための概略斜視図である。
【図17】本発明の気体浄化装置の第9の実施の形態を説明するための概略斜視図である。
【図18】本発明の気体浄化装置の第10の実施の形態を説明するための概略斜視図である。
【図19】本発明の気体浄化装置の第11の実施の形態を説明するための概略斜視図である。
【図20】本発明の気体浄化装置の第12の実施の形態を説明するための概略斜視図である。
【図21】本発明の気体浄化装置の第13の実施の形態を説明するための概略斜視図である。
【図22】本発明の気体浄化装置の第14の実施の形態を説明するための概略斜視図である。
【図23】本発明の気体浄化装置の第15の実施の形態を説明するための概略斜視図である。
【図24】本発明の気体浄化装置の第16の実施の形態を説明するための概略斜視図である。
【図25】本発明の気体浄化装置の第17の実施の形態を説明するための概略斜視図である。
【図26】本発明の気体浄化装置の第18の実施の形態を説明するための概略斜視図である。
【図27】本発明の気体浄化装置の第19の実施の形態を説明するための概略斜視図である。
【図28】本発明の気体浄化装置の第20の実施の形態を説明するための概略斜視図である。
【図29】本発明の気体浄化装置の第21の実施の形態を説明するための概略斜視図である。
【図30】本発明の気体浄化装置の第22の実施の形態を説明するための概略斜視図である。
【図31】本発明の物質捕集装置の第1の実施の形態を説明するための概略斜視図である。
【図32】本発明の物質捕集装置の第1の実施の形態を説明するための断面図である。
【図33】本発明の物質捕集装置による捕集効率の向上を説明するための説明図である。
【図34】本発明の物質捕集装置の第2の実施の形態を説明するための概略斜視図である。
【図35】本発明の物質捕集装置の第2の実施の形態を説明するための断面図である。
【図36】本発明の物質捕集装置の第3の実施の形態を説明するための概略斜視図である。
【図37】本発明の物質捕集装置の第3の実施の形態を説明するための断面図である。
【図38】本発明の物質捕集装置の第4の実施の形態を説明するための概略斜視図である。
【図39】本発明の物質捕集装置の第5の実施の形態を説明するための概略斜視図である。
【図40】本発明の物質捕集装置の第6の実施の形態を説明するための概略図である。
【図41】本発明の物質捕集装置の第7,8の実施の形態を説明するための概略図である。
【図42】本発明の物質捕集装置の第9の実施の形態を説明するための概略図である。
【図43】本発明の物質捕集装置の第10の実施の形態を説明するための概略図である。
【図44】本発明の物質捕集装置の第11の実施の形態を説明するための概略図である。
【図45】本発明の物質捕集装置の第12の実施の形態を説明するための概略図である。
【図46】本発明の物質捕集装置の第13の実施の形態を説明するための概略図である。
【図47】本発明の気体浄化装置の第23の実施の形態を示す斜視図である。
【図48】図47のコア部を示す分解斜視図である。
【図49】図47の拡散スクラバ素子を示す分解斜視図である。
【図50】図47のコア部の要部を示す断面図である。
【図51】チューブを多数配置した例を示す説明図である。
【図52】図47の気体流通部と液体流通部との寸法関係を示す説明図である。
【図53】図47の装置をクリーンルームの外調機に使用した例を示す説明図である。
【図54】本発明の脱臭装置の設置位置を説明するための概略図である。
【図55】チューブ状の多孔質膜を用いた脱臭手段の脱臭ユニットを説明するための図である。
【図56】本発明の脱臭手段の第1の構成例を示す図である。
【図57】本発明の脱臭手段の第2の構成例を示す図である。
【図58】本発明の脱臭手段の第3の構成例を示す図である。
【図59】本発明の脱臭装置の和式トイレへの適用を説明するための概略断面図である。
【図60】本発明の脱臭装置の和式トイレへの適用を説明するための概略平面図である。
【図61】本発明の脱臭装置の和式トイレへの適用を説明するための概略断面図である。
【図62】本発明の脱臭装置の和式トイレへの適用を説明するための概略平面図である。
【図63】本発明の脱臭装置の洋式トイレへの適用を説明するための概略平面図である。
【図64】本発明の脱臭装置の洋式トイレへの適用を説明するための概略平面図である。
【図65】本発明の脱臭装置の洋式トイレの便座への適用を説明するための概略平面図である。
【図66】本発明の脱臭装置の洋式トイレの便座への適用を説明するためのA−A断面図である。
【図67】本発明の脱臭装置による吸,排気動作を説明するための図である。
【図68】本発明の物質捕集装置の第14の実施の形態を示す概略構成図である。
【図69】本発明の物質捕集装置においてガス物質が液体に溶解する状態を示す説明図である。
【図70】本発明の物質捕集装置の第14の実施の形態に用いられる電気伝導度計の概略回路図である。
【図71】電解質溶液の電気伝導度と濃度との関係を示す図である。
【図72】本発明の物質捕集装置の第15の実施の形態を示す概略構成図である。
【図73】本発明の物質捕集装置の第16の実施の形態を説明するための概略斜視図である。
【図74】本発明の物質捕集装置の第16の実施の形態に使用する液体箱の概略斜視図である。
【図75】本発明の物質捕集装置の第16の実施の形態に使用する液体箱の概略斜視図である。
【図76】本発明の物質捕集装置の第17の実施の形態を説明するための概略斜視図である。
【図77】本発明の物質捕集装置の第17の実施の形態に使用する多孔質管を説明するための概略斜視図である。
【図78】本発明の物質捕集装置の第17の実施の形態に使用する多孔質管を説明するための断面図である。
【図79】本発明の物質捕集装置の変形例の断面図である。
【図80】本発明の物質捕集装置の変形例の断面図である。
【図81】本発明の物質捕集装置の変形例の概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0116】
以下、本発明の実施の形態を図を参照しながら詳細に説明する。
図8および図9は、本発明の気体浄化装置の第1および第2の実施の形態を説明するための概略斜視図である。
図8に示す第1の実施の形態において、気体浄化装置は、内部に液体13を収納可能とする容器14の一面を開放面とし、該開放面を多孔質膜11で閉じ、内部に液体13を封じ込める構成とする。
【0117】
なお、図8において、符号12で示す部分は、多孔質膜11が備える微小孔を示している。
この微小孔12の径は、実際にはガス成分の分子の大きさに相当する程度であって目視できない程度の大きさであるが、図では説明上から拡大して模式的に示している。
【0118】
この構成の多孔質膜11が備える微小孔は、膜の両面の間を連通するようにつながって形成され、その径は、少なくともガス成分の分子の大きさが通過できる程度の大きさとする。
多孔質膜としては、多孔質フッ化物(PPTFE)等の高分子材料で形成することができる。
【0119】
容器14の内部に備える液体13は、ガス成分15を溶解する性質を備え、多孔質膜11の微小孔12を介して気体側と接触する。
ガス成分15は、微小孔12を通して液体13と接触すると、液体13内に拡散し溶解する。
これに対して、多孔質膜11は、液体13に対して疎の性質を備えているため、液体13は多孔質膜11によって気体側と実質的に分離された状態となり、気体側に漏洩することはない。
【0120】
したがって、気体側と液体側との間では、気体側から液体側へのガス成分の移動のみが生じ、これによって、悪臭物質を含むガス成分のみの除去を行うことができる。
多孔質膜11としては、疎水性(あるいは撥水性)又は疎油性(あるいは撥油性)の膜を用いることができる。
【0121】
多孔質膜11を疎水性の高分子膜(例えば、多孔質フッ化物(PPTFE))で形成する場合には、ガス成分15を溶解する液体13として水を用いることができる。
溶媒として水を用いた場合には、悪臭物質としてトリメチルアミン等のアミン類を吸収することができる。
【0122】
また、多孔質膜11を高分子膜に疎油性(あるいは撥油性)の表面処理を施して形成する場合には、ガス成分15を溶解する液体13として有機溶剤等の油性液体を用いることができる。
溶媒としてエタノールを用いた場合には、悪臭物質としてメチルメルカプタンを吸収することができる。
【0123】
図9は、容器14の両面に多孔質膜11,11’を設けた構成であり、その他の構成は、図8に示した構成と同様とすることができる。
図9の構成によれば、液体13が気体側と接触する面積を増大することができ、吸収効率を高めることができる。
また、図8および図9に示す構成において、容器14に開閉手段を設けて、内部に収納する液体13を交換可能な構成、あるいは循環可能な構成とすることによって、悪臭物質の吸収量を増大させることができる。
【0124】
図10は、本発明の気体浄化装置の第3の実施の形態を説明するための概略斜視図であり、前記した第1および第2の実施の形態と同様に、平面状の多孔質膜を用いた構成例である。
図10に示す第3の実施の形態において、気体浄化装置は、内部に液体23を収納可能とする容器24の片面あるいは両面を開放面とし、該開放面を多孔質膜21で閉じて内部に液体を封じ込めたものを一構成単位とするとともに、この構成単位を間隔を開けて複数枚配列し、各構成単位の多孔質膜21の面に気体が接触する構成とする。
【0125】
多孔質膜21の面に気体を接触させる構成として、図10に示すように、容器25内に、複数枚の構成単位を収納し、該容器25に気体を流通させる導入管26及び導出管27を設けることができる。
この構成によれば、液体容器24の枚数を増加させることによって、悪臭物質の吸収量を増大させることができ、また、液体23と接触する気体量を増加させることによって、吸収効率を高めることができる。
【0126】
なお、前記容器25,導入管26及び導出管27の構成を用いずに、単にファン等によって液体容器24に気体を送風する構成とすることもできる。
なお、ガス成分の吸収については、前記第1および第2の実施の形態と同様であるため説明は省略する。
図11および図12は、本発明の気体浄化装置の第4の実施の形態を説明するための概略斜視図であり、筒状の多孔質膜を用いた構成例である。
【0127】
なお、図11は斜視図であり、図12は軸方向及び径方向の断面図である。
図11および図12において、前記実施の形態に用いたものと同様の多孔質膜を筒状に形成してチューブ31を形成し、該チューブ31を内管として、その外側に外管34を設けて二重管を形成する。
なお、図11において、符号32で示す部分は多孔質膜のチューブ31が備える微小孔を示している。
【0128】
この微小孔32の径は、実際にはガス成分の分子の大きさに相当する程度であって目視できない程度の大きさであるが、図では説明上から拡大して模式的に示している。
なお、図12では多孔質膜の微小孔は省略して示している。
また、外管34は、多孔質膜ではなく、この管壁を通して気体あるいは液体が流通することはなく、気体あるいは液体は、外管34の内部に保持される。
【0129】
上記二重管において、内管のチューブ31内に捕集対象であるガス成分を含む気体を通し(図11および図12中の矢印A)、チューブ31と外管34との間にガス成分を溶解する溶媒となる液体を収納する。
あるいは、内管のチューブ31内に捕集対象であるガス成分を溶解する溶媒となる液体を収納し、チューブ31と外管34との間にガス成分を含む気体を通す(図11および図12中の矢印B)。
【0130】
チューブ31内、及びチューブ31と外管34との間に、液体と気体のいずれを通すかは任意に定めることができる。
上記構成とすることによって、二重管内の液体と気体は、チューブ31を形成する多孔質膜を挟んで接し、前記実施の形態で説明したと同様にして、気体中のガス成分が液体中に拡散し溶解する。
【0131】
これによって、悪臭物質を気体中から除去することができる。
また、悪臭物質の除去効率を維持するために、図11および図12中の矢印A又はBで示すように、液体を連続的あるいは間欠的に流動させる構成とすることができ、これによって、液体においてガス成分の吸収が飽和して吸収効率が低下することを防止することができる。
【0132】
図13および図14は、本発明の気体浄化装置の第5および第6の実施の形態を説明するための概略斜視図であり、筒状の多孔質膜を用いたチューブを複数本配列する構成例である。
図13および図14において、前記第4の実施の形態に用いたものと同様の多孔質膜を筒状に形成したチューブ41を用い、このチューブ41を容器44内に貫通させて複数本配列する。
【0133】
容器44内には、ガス成分を吸収する液体43を収納する。
チューブ41内に気体を通すと(図13中の矢印A)、悪臭物質を含むガス成分が多孔質膜を介して液体43と接することになる。
上記構成とすることによって、容器44の液体43とチューブ41内の気体は、チューブ41を形成する多孔質膜を挟んで接し、前記実施の形態で説明したと同様にして、気体中のガス成分が液体中に拡散し溶解する。
【0134】
これによって、悪臭物質を気体中から除去することができる。
また、悪臭物質の除去効率を維持するために、図13中の矢印Bで示すように、導入管45及び導出管46を通して液体を連続的あるいは間欠的に流動させる構成とすることができ、これによって、液体においてガス成分の飽和による吸収効率の低下を防止することができる。
【0135】
また、図14に示す構成では、容器44の内部と連通する管47に、バルブ48を設け、容器内の液体の交換が可能な構成とすることができる。
図15は、本発明の気体浄化装置の第7の実施の形態を説明するための概略斜視図であり、筒状の多孔質膜を用いたチューブを配置する構成例である。
【0136】
図15において、前記第4,5,6の実施の形態に用いたものと同様の多孔質膜を筒状に形成したチューブ51を用い、このチューブ51を容器54内で螺旋状等に配置して貫通させるものであり、螺旋状等に配置することによって、容器54内において、多孔質膜と液体との接触面積を増加させ、ガス成分の吸収量及び吸収効率を高めるものである。
【0137】
なお、チューブ51の容器54内での配置は、螺旋形状に限らず、容器54内におけるチューブ51の長さが長くなる配置であれば、任意の配置とすることができる。
なお、図15では、チューブ51を実線によって簡略化して示している。
容器54内には、ガス成分を吸収する液体53を収納する。
【0138】
チューブ51内に気体を通すと、悪臭物質を含むガス成分が多孔質膜を介して液体53と接することになる。
上記構成とすることによって、容器54の液体53とチューブ51内の気体は、チューブ51を形成する多孔質膜を挟んで接し、前記実施の形態で説明したと同様にして、気体中のガス成分が液体中に拡散し溶解する。
【0139】
これによって、悪臭物質を気体中から除去することができる。
なお、悪臭物質の除去効率を維持するために、容器54内の液体53を図示しない流通機構によって連続的あるいは間欠的に流動させる構成や、バルブ機構によって交換可能な構成とすることができる。
また、前記気体浄化装置の第5,6,7の実施の形態において、液体とガスの関係を変更した構成とすることもできる。
【0140】
内径が4mm、長さが250mmの多孔質膜フッ化物製のチューブを6本用い、50ppmのトリメチルアミンを水に吸収させる構成による実験結果では、トリメチルアミンの除去効率は約90%の高効率をえることができた。
なお、スクラバーによる従来の除去による除去効率は、通常40〜50%である。
【0141】
上述した実施の形態において、多孔質膜が備える液体に対する疎の性質は、疎水性又は撥水性とすることができ、液体として水溶性のガス成分を溶解する水性液体を用いることができる。
また、多孔質膜が備える液体に対する疎の性質は、疎油性又は撥油性とすることができ、液体として油溶性のガス成分を溶解する油性液体を用いることができる。
【0142】
図16は、本発明の気体浄化装置の第8の実施の形態を説明するための概略斜視図である。
この第8の実施の形態において、気体浄化装置の気体浄化部は、内部に液体13を収納可能とする容器14の一面を開放面とし、該開放面を多孔質膜11で閉じ、内部に液体を封じ込める構成である。
【0143】
なお、図16において、符号12で示す部分は、多孔質膜11が備える微小孔を示している。
この微小孔12の径は、実際にはガス成分の分子の大きさに相当する程度であって目視できない程度の大きさであるが、図では説明上から拡大して模式的に示している。
【0144】
多孔質膜11が備える微小孔は、膜の両面の間を連通するようにつながって形成され、その径は、少なくともガス成分の分子の大きさが通過できる程度の大きさとする。
多孔質膜としては、多孔質ふっ化物(PPTFE)等の高分子材料で形成することができる。
【0145】
容器14の内部に備える液体13は、ガス成分15を溶解する性質を備え、多孔質膜11の微小孔12を介して気体側と接触する。
ガス成分15は、微小孔12を通して液体13と接触すると、液体13内に拡散し溶解する。
これに対して、多孔質膜11は、液体13に対して疎の性質を備えているため、液体13は、多孔質膜11によって気体側と分離され、気体側に漏洩することはない。
【0146】
したがって、気体側と液体側との間では、気体側から液体側へのガス成分の移動のみが生じ、これによって、悪臭物質を含むガス成分のみの除去が行われる。
多孔質膜11としては、疎水性(あるいは撥水性)又は疎油性(あるいは撥油性)の膜を用いることができる。
多孔質膜11を疎水性の高分子膜(例えば、多孔質ふっ化物(PPTFE))で形成する場合には、ガス成分15を溶解する液体13として水を用いることができる。
【0147】
この場合、溶媒として水を用い、悪臭物質としてトリメチルアミン等のアミン類を吸収することができる。
また、多孔質膜11を高分子膜に疎油性(あるいは撥油性)の表面処理を施して形成する場合には、ガス成分15を溶解する液体13として有機溶剤等の油性液体を用いることができる。
【0148】
この場合は、溶媒としてエタノールを用い、悪臭物質としてメチルメルカプタンを吸収することができる。
なお、図16は、多孔質膜11を容器14の片面に設ける構成を示しているが、多孔質膜を、容器14の両面に設けた構成とすることができ、この構成によれば、液体層13が気体側と接触する面積を増大させることができ、吸収効率を高めることができる。
【0149】
この第8の実施の形態において、気体浄化装置の液体制御部は、液量計67、液体バルブ69及び制御装置70により構成することができる。
液量計67は、液体層13の液量を検出してモニタを行う装置であり、検出値を制御装置70に送ることができる。
液体バルブ69は、液体層13と外部に設けた液体容器(図示していない)との間で、液体の流れを制御するバルブ機構であり、制御装置70による制御を行うことができる。
【0150】
制御装置70は、液量計67からの検出値に基づいて液体バルブ69の開閉制御を行い、液体層13に対する液体の供給、排出制御を行うことができる。
なお、液量計67による検出を目視により行い、液体バルブ69を操作することもできる。
液体制御部によって、液体層13の液体の交換や、循環する液体量の調整を行い、悪臭物質の吸収量を増大させたり、吸収効率を維持することができる。
【0151】
図17は、本発明の気体浄化装置の第9の実施の形態を説明するための概略斜視図であり、第8の実施の形態と同様に、平面状の多孔質膜を用いた構成例である。
この第9の実施の形態において、気体浄化装置の気体浄化部は、液体容器24の片面あるいは両面の開放面を多孔質膜21で閉じて、内部に液体層23を収納したものを一構成単位として、この構成単位を間隔を開けて複数枚配列し、各構成単位の多孔質膜21の面に気体が接触する構成とする。
【0152】
容器25内に複数枚の構成単位を収納し、導入管26及び導出管27を用いて容器25に気体を流通させる。
気体中のガス成分は、前記第8の実施の形態と同様に液体層23内に吸収される。
この構成によれば、液体容器24の枚数を増加させることによって、悪臭物質の吸収量を増大させることができ、また、液体層23と接触する気体量を増加させることによって、吸収効率を高めることができる。
【0153】
なお、前記容器25、導入管26、及び導出管27の構成を用いずに、単にファン等によって液体容器24に気体を送風する構成とすることもできる。
この第9の実施の形態において、気体浄化装置の液体制御部は、液体調節装置68により構成することができる。
液体調節装置68は、液体容器24内の液体層13の液体を交換あるいは循環させる装置である。
【0154】
液体調節装置68は、液体容器24との間で液体の供給及び排出を行う。
該液体の供給、及び排出動作は、一定時間毎に定期的に行うことも、外部信号をトリガとして不定期に行うこともできる。
また、図示しない液体計によって液体容器24内の液量を測定し、測定液量が設定値以下の場合に、液体調節装置68によって液体の補給を行うこともできる。
【0155】
図18は、本発明の気体浄化装置の第10の実施の形態を説明するための概略斜視図であり、筒状の多孔質膜を用いた構成例である。
図18において、気体浄化装置の気体浄化部は、前記第9の実施の形態に用いたものと同様の多孔質膜を筒状に形成してチューブ31を形成し、該チューブ31を内管として、その外側に、外管34を設けて二重管を形成する。
【0156】
なお、図18において、符号32で示す部分は、多孔質膜のチューブ31が備える微小孔を示している。
この微小孔32の径は、実際にはガス成分の分子の大きさに相当し目視できない程度の大きさであるが、図では説明上から拡大して模式的に示している。
また、外管34は多孔質膜ではなく、この管壁を通して気体あるいは液体が流通することはなく、気体あるいは液体は、外管34の内部に保持される。
【0157】
上記二重管において、内管のチューブ31内に捕集対象であるガス成分を含む気体を通し(図18中の矢印A)、チューブ31と外管34との間に、ガス成分を溶解する溶媒となる液体を収容保持あるいは流通させる。
あるいは、内管のチューブ31内に、捕集対象であるガス成分を溶解する溶媒となる液体を収容保持、あるいは流通させ、チューブ31と外管34との間にガス成分を含む気体を通す(図18中の矢印B)。
【0158】
チューブ31内及びチューブ31と外管34との間に、液体と気体のいずれを流通させるか、また、流通方向は任意に定めることができる。
上記構成とすることによって、二重管内の液体と気体は、チューブ31を形成する多孔質膜を挟んで接し、前記実施の形態で説明したと同様にして、気体中のガス成分が液体中に拡散し溶解することによって、悪臭物質を気体中から除去することができる。
【0159】
この第10の実施の形態において、気体浄化装置の液体制御部は、液体調節装置68により構成することができる。
液体調節装置68は、チューブ31内、あるいはチューブ31と外管34との間の液体層の液体を交換あるいは循環させる装置である。
液体調節装置68は、気体浄化部との間で液体の供給及び排出を行う。
【0160】
該液体の供給、及び排出動作は、一定時間毎に定期的に行うことも、外部信号をトリガとして不定期に行うこともでき、液体を連続的あるいは間欠的に流動させて、ガス成分の吸収飽和による吸収効率の低下を防止することができる。
また、液体を気体浄化部内に保持する構成の場合には、図示しない液体計によって該液体の液量を測定し、測定液量が設定値以下の場合に液体調節装置68によって液体の補給を行うこともできる。
【0161】
図19,20は、本発明の気体浄化装置の第11,12の実施の形態を説明するための概略斜視図であり、筒状の多孔質膜を用いたチューブを複数本配列する構成例である。
【0162】
図19,20において、第11,12の実施の形態の気体浄化部は、前記第10の実施の形態に用いたものと同様に、多孔質膜を筒状に形成したチューブ41を用い、このチューブ41を容器44内を貫通させて複数本配列する。
容器44内には、ガス成分を吸収する液体43を収納する。
チューブ41内に気体が通ると(図19中の矢印A1,A2)、悪臭物質を含むガス成分が、多孔質膜を介して液体43と接することになる。
【0163】
これによって、容器44の液体43とチューブ41内の気体は、チューブ41を形成する多孔質膜を挟んで接し、前記実施の形態で説明したと同様にして、気体中のガス成分が液体中に拡散し溶解することによって、悪臭物質を気体中から除去することができる。
また、図19において、容器44内に導管45,46を介して気体を通すとともに(図中の矢印B1,B2)、チューブ41を介して液体を通す構成とすることもできる。
【0164】
図19において、第11の実施の形態の液体制御部は、液体調節装置68により構成することができる。
液体調節装置68は、チューブ41内、あるいは容器44内の液体層の液体を交換あるいは循環させる装置である。
液体調節装置68による液体の供給、及び排出動作は、一定時間毎に定期的に行うことも、外部信号をトリガとして不定期に行うこともでき、液体を連続的あるいは間欠的に流動させて、ガス成分の吸収飽和による吸収効率の低下を防止することができる。
【0165】
図20において、第12の実施の形態の液体制御部は、液体バルブ48及び制御装置70により構成することができる。
液体バルブ48は、容器44内と連通する導管47の開閉、及び流通量の調整を行うバルブ機構であり、制御装置70は、該液体バルブ48の調整を行う制御機構である。
【0166】
制御装置70は、一定時間毎に定期的にあるいは外部信号により不定期で、液体バルブ48の開閉制御を行って、容器44内の液体層の液体を交換あるいは循環させる。
また、図示しない液体計によって該液体の液量を測定し、測定液量が設定値以下の場合に、制御装置70によって液体の補給を行うこともできる。
【0167】
図21は、本発明の気体浄化装置の第13の実施の形態を説明するための概略斜視図であり、筒状の多孔質膜を用いたチューブを配置する構成例である。
図21において、第13の実施の形態の気体浄化部は、前記実施の形態に用いたものと同様の多孔質膜を筒状に形成したチューブ51を用い、このチューブ51を、容器54内で螺旋状等に配置して貫通させるものであり、螺旋状等に配置することによって、容器54内において、多孔質膜と液体との接触面積を増加させ、ガス成分の吸収量及び吸収効率を高めるものである。
【0168】
なお、チューブ51の容器54内での配置は、螺旋形状に限らず、容器54内におけるチューブ51の長さが長くなる配置であれば任意の配置とすることができる。
なお、図21では、チューブ51を実線によって簡略化して示している。
容器54内には、ガス成分を吸収する液体53を収納する。
【0169】
チューブ51内に気体を通すと、悪臭物質を含むガス成分が多孔質膜を介して液体53と接することになる。
容器54の液体53とチューブ51内の気体は、チューブ51を形成する多孔質膜を挟んで接し、前記実施の形態で説明したと同様にして、気体中のガス成分が液体中に拡散し溶解することによって、悪臭物質を気体中から除去することができる。
【0170】
図21において、第13の実施の形態の液体制御部は、液体バルブ55及び制御装置70により構成することができる。
この液体バルブ55と制御装置70による構成は、前記図20に示す第12の実施の形態の液体制御部と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
【0171】
上述した液体制御部によれば、定期的あるいは不定期に、液体の排出,供給を行うことにより、液体の蒸発分を補充することができ、また、ガス成分の飽和による悪臭物質の除去効率の低下を防止することができる。
また、液体を交換することによって、排出する液体中の悪臭物質濃度を低レベルに抑えることができる。
【0172】
図22は、本発明の気体浄化装置の第14の実施の形態を説明するための概略斜視図である。
この第14の実施の形態において、気体浄化装置の気体浄化部は、内部に液体層13を収納可能とする容器14の一面を開放面とし、該開放面を多孔質膜11で閉じ、内部に液体を封じ込める構成である。
【0173】
なお、図22において、符号12で示す部分は、多孔質膜11が備える微小孔を示している。
この微小孔12の径は、実際にはガス成分の分子の大きさに相当する程度であって目視できない程度の大きさであるが、図では説明上から拡大して模式的に示している。
【0174】
多孔質膜11が備える微小孔は、膜の両面の間を連通するようにつながって形成され、その径は、少なくともガス成分の分子の大きさが通過できる程度の大きさとする。
【0175】
多孔質膜としては、多孔質ふっ化物(PPTFE)等の高分子材料で形成することができる。
容器14の内部に備える液体13は、ガス成分15を溶解する性質を備え、多孔質膜11の微小孔12を介して気体側と接触する。
ガス成分15は、微小孔12を通して液体13と接触すると、液体13内に拡散し溶解する。
【0176】
これに対して、多孔質膜11は液体13に対して疎の性質を備えているため、液体13は多孔質膜11によって気体側と分離され、気体側に漏洩することはない。
したがって、気体側と液体側との間では、気体側から液体側へのガス成分の移動のみが生じ、これによって、悪臭物質を含むガス成分のみの除去が行われる。
【0177】
多孔質膜11としては、疎水性(あるいは撥水性)又は疎油性(あるいは撥油性)の膜を用いることができる。
多孔質膜11を疎水性の高分子膜(例えば、多孔質ふっ化物(PPTFE))で形成する場合には、ガス成分15を溶解する液体13として水を用いることができる。
【0178】
この場合、溶媒として水を用い、悪臭物質としてトリメチルアミン等のアミン類を吸収することができる。
また、多孔質膜11を高分子膜に疎油性(あるいは撥油性)の表面処理を施して形成する場合には、ガス成分15を溶解する液体13として有機溶剤等の油性液体を用いることができる。
【0179】
この場合は、溶媒としてエタノールを用い、悪臭物質としてメチルメルカプタンを吸収することができる。
なお、図22は、多孔質膜11を容器14の片面に設ける構成を示しているが、多孔質膜を容器14の両面に設けた構成とすることができ、この構成によれば、液体層13が気体側と接触する面積を増大させることができ、吸収効率を高めることができる。
【0180】
この第14の実施の形態において、気体浄化装置の結露防止部は、温度検出器77、温水注入装置78、ヒータ装置,冷却装置79、及び気体制御部80により構成することができる。
温度検出器77は、液体層13の温度を検出してモニタを行う装置であり、検出値を制御装置81に送ることができる。
【0181】
温水注入装置78は、液体層13に温水を供給あるいは循環させる機構であり、ヒータ装置,冷却装置79は、液体層13内に配置したヒータパイプや冷却パイプ(図示していない)により直接温度調節を行う機構である。
また、気体制御部80は、気体浄化装置内の気体の温度や湿度を制御する機構であり、各装置は制御装置81による制御を行うことができる。
【0182】
制御装置81は、温度検出器77からの検出値に基づいて、温水注入装置78の温水の温度や、ヒータ装置,冷却装置79の加熱,冷却温度を調節して液温の制御を行ったり、また、気体制御部80の供給ガスの温度や風量を調節して水分の蒸発状態を制御する。
温水注入装置78や、ヒータ装置,冷却装置79による液温制御によって、加湿または加湿しない状態を設定でき、また、気体との温度差を減少させることによる結露防止や、ガス成分が溶解されやすい温度に温度調節することによる吸収率の向上を図ることができる。
【0183】
なお、気体側の温度は、外気温がほぼ一定としてあらかじめ定めた所定温度とすることも、また、図示しない温度検出器によって測温することもできる。
図23は、本発明の気体浄化装置の第15の実施の形態を説明するための概略斜視図であり、第14の実施の形態と同様に、平面状の多孔質膜を用いた構成例である。
【0184】
この第15の実施の形態において、気体浄化装置の気体浄化部は、液体容器24の片面あるいは両面の開放面を多孔質膜21で閉じて、内部に液体層23を収納したものを一構成単位として、この構成単位を間隔を開けて複数枚配列し、各構成単位の多孔質膜21の面に気体が接触する構成とする。
容器25内に複数枚の構成単位を収納し、導入管26及び導出管27を用いて容器25に気体を流通させる。
【0185】
気体中のガス成分は、前記第14の実施の形態と同様に、液体層23内に吸収される。
この構成によれば、液体容器24の枚数を増加させることによって、悪臭物質の吸収量を増大させることができ、また、液体層23と接触する気体量を増加させることによって、吸収効率を高めることができる。
【0186】
なお、前記容器25,導入管26,及び導出管27の構成を用いずに、単にファン等によって液体容器24に気体を送風する構成とすることもできる。
この第15の実施の形態において、気体浄化装置の結露防止部は、温水注入装置78、ヒータ装置,冷却装置79、及び気体制御部80により構成することができる。
【0187】
温水注入装置78は、液体容器24内の液体層23に温水を供給あるいは循環させる機構であり、ヒータ装置,冷却装置79は、液体層23内に配置したヒータパイプや冷却パイプ(図示していない)により直接温度調節を行う機構である。
また、気体制御部80は、容器25内に乾燥ガスを供給して、多孔質膜及びその近傍に乾燥ガスを流し込む機構である。
【0188】
乾燥ガスの供給は、容器25に直結する導入管28を用いることも、図示しないバルブを介して導入管26を通して行うこともできる。
乾燥ガスと悪臭物質を含む気体の容器25内への導入は、同時に行うことも、図示しないバルブにより切り替えて行うこともできる。
【0189】
また、前記結露防止部の各装置は、図示しない制御装置によって制御することができる。
この制御は、前記第14の実施の形態と同様であるため、ここでの説明は省略する。
図24は、本発明の気体浄化装置の第16の実施の形態を説明するための概略斜視図であり、筒状の多孔質膜を用いた構成例である。
【0190】
図24において、気体浄化装置の気体浄化部は、前記第15の実施の形態に用いたものと同様の多孔質膜を筒状に形成してチューブ31を形成し、該チューブ31を内管として、その外側に外管34を設けて二重管を形成する。
なお、図24において、符号32で示す部分は、多孔質膜のチューブ31が備える微小孔を示している。
【0191】
この微小孔32の径は、実際にはガス成分の分子の大きさに相当し目視できない程度の大きさであるが、図では説明上から拡大して模式的に示している。
また、外管34は多孔質膜ではなく、この管壁を通して気体あるいは液体が流通することはなく、気体あるいは液体は、外管34の内部に保持される。
上記二重管において、内管のチューブ31内に捕集対象であるガス成分を含む気体を通し(図24中の矢印A)、チューブ31と外管34との間にガス成分を溶解する溶媒となる液体を収容保持あるいは流通させる。
【0192】
あるいは、内管のチューブ31内に捕集対象であるガス成分を溶解する溶媒となる液体を収容保持あるいは流通させ、チューブ31と外管34との間にガス成分を含む気体を通す(図24中の矢印B)。
チューブ31内及びチューブ31と外管34との間に、液体と気体のいずれを流通させるか、また、流通方向は任意に定めることができる。
【0193】
上記構成とすることによって、二重管内の液体と気体は、チューブ31を形成する多孔質膜を挟んで接し、前記実施の形態で説明したと同様にして、気体中のガス成分が液体中に拡散し溶解することによって、悪臭物質を気体中から除去することができる。
この第16の実施の形態において、気体浄化装置の結露防止部は、温水注入装置78(図24(a))、ヒータ装置,冷却装置79(図24(b))、及び気体制御部80(図24(a))により構成することができる。
【0194】
図24(a)において、温水注入装置78は、チューブ31内、あるいはチューブ31と外管34との間の液体層に温水を供給あるいは循環させ、気体制御部80はチューブ31内、あるいはチューブ31と外管34との間の気体側に乾燥ガスを供給して、チューブ31を構成する多孔質膜及びその近傍に乾燥ガスを流し込む。
【0195】
乾燥ガスの供給は、外管34に直結する導入管28を用いることも、図示しないバルブを介して導入管28を通して行うこともできる。
乾燥ガスと悪臭物質を含む気体の外管34内への導入は、同時に行うことも、図示しないハルブにより切り替えて行うこともできる。
図24(b)において、ヒータ装置,冷却装置79は、チューブ31内、あるいはチューブ31と外管34との間の液体層内にヒータパイプや冷却パイプ9’を配設して直接温度調節を行う。
【0196】
前記結露防止部の各装置は、単独あるいは組み合わせて用いることができ、また、図示しない制御装置によって制御することができる。
この制御は、前記第14の実施の形態と同様であるため、ここでの説明は省略する。
図25,26は、本発明の気体浄化装置の第17,18の実施の形態を説明するための概略斜視図であり、筒状の多孔質膜を用いたチューブを複数本配列する構成例である。
【0197】
図25,26において、第17,18の実施の形態の気体浄化部は、前記第16の実施の形態に用いたものと同様に多孔質膜を筒状に形成したチューブ41を用い、このチューブ41を容器44内を貫通させて複数本配列する。
容器44内には、ガス成分を吸収する液体43を注入する。
チューブ41内に気体が通ると(図25中の矢印A1,A2)、悪臭物質を含むガス成分が多孔質膜を介して液体43と接することになる。
【0198】
これによって、容器44の液体43とチューブ41内の気体は、チューブ41を形成する多孔質膜を挟んで接し、前記実施の形態で説明したと同様にして、気体中のガス成分が液体中に拡散し溶解することによって、悪臭物質を気体中から除去することができる。
また、図25において、容器44内に導管45を介して気体を通すとともに(図中の矢印B1,B2)、導管41を介して液体を通す構成とすることもできる。
【0199】
図25において、第17の実施の形態の結露防止部は、温水注入装置78及びヒータ装置,冷却装置79により構成することができる。
温水注入装置78は、容器44又はチューブ41内の液体層43に温水を供給あるいは循環させ、気体制御部80はチューブ41内又は容器44の気体側に乾燥ガスを供給して、チューブ41を構成する多孔質膜及びその近傍に乾燥ガスを流し込む。
【0200】
乾燥ガスの供給は、容器44に直結する導入管(図示していない)を用いることも、バルブ46を介して導入管45やチューブ41を通して行うこともできる。
乾燥ガスと悪臭物質を含む気体の容器44やチューブ41内への導入は、同時に行うことも、バルブ46で切り替えて行うこともできる。
前記結露防止部の各装置は、単独あるいは組み合わせて用いることができる。
【0201】
図26において、第18の実施の形態の結露防止部は、ヒータ装置,冷却装置79により構成することができる。
ヒータ装置,冷却装置79は、容器44中の液体層43内にヒータパイプや冷却パイプ9’を配設して直接温度調節を行う。
結露防止部の各装置は、図示しない制御装置によって制御することができる。
【0202】
この制御は、前記第14の実施の形態と同様であるため、ここでの説明は省略する。
図27は、本発明の気体浄化装置の第19の実施の形態を説明するための概略斜視図であり、筒状の多孔質膜を用いたチューブを配置する構成例である。
【0203】
図27において、第19の実施の形態の気体浄化部は、前記実施の形態に用いたものと同様の多孔質膜を筒状に形成したチューブ51を用い、このチューブ51を容器54内で螺旋状等に配置して貫通させるものであり、螺旋状等に配置することによって、容器54内において、多孔質膜と液体との接触面積を増加させ、ガス成分の吸収量及び吸収効率を高めるものである。
【0204】
なお、チューブ51の容器54内での配置は螺旋形状に限らず、容器54内におけるチューブ51の長さが長くなる配置であれば任意の配置とすることができる。
なお、図27では、チューブ51を実線によって簡略化して示している。
容器54内には、ガス成分を吸収する液体53を注入する。
【0205】
チューブ51内に気体を通すと、悪臭物質を含むガス成分が多孔質膜を介して液体53と接することになる。
容器54の液体53とチューブ51内の気体は、チューブ51を形成する多孔質膜を挟んで接し、前記実施の形態で説明したと同様にして、気体中のガス成分が液体中に拡散し溶解することによって、悪臭物質を気体中から除去することができる。
【0206】
図27において、第19の実施の形態の結露防止部は、温水注入装置78及びヒータ装置,冷却装置79により構成することができ、前記第17の実施の形態の結露防止部と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
なお、バルブ55は、乾燥ガスと悪臭物質を含む気体の切り替えバルブである。
この実施の形態の結露防止部によれば、液体と気体との温度差を減少させることや、乾燥ガスを供給することによって、多孔質膜への結露を防止することができ、結露により生じる第2の悪臭源の発生を防止することができる。
【0207】
また、液体の温度をガス成分の吸収に適した温度に調節することによって、ガス成分の吸収効率を向上させることができる。
なお、前記実施の形態において、気体制御部には、前記図6(c)に示した循環式のガス供給部10a,外気導入式のガス供給部10b,加熱,冷却部10c等を用いることができる。
【0208】
図28は、本発明の気体浄化装置の第20の実施の形態を説明するための図であり、気体中に液体を噴霧させることによって気化制御を行う形態である。
図28において、気体浄化装置は、気体浄化部130と気化制御部140aとを備える。
【0209】
気体浄化部130は、浄化対象の気体を流す気体側131と、気体中の物質を吸収する液体を保持する液体側132を有し、例えば、上述した第1,第2,第4の実施の形態の捕集手段によって構成することができる。
液体側132側には管133が接続され、液体側132に液体を供給して補充等を行うことができる。
【0210】
気化制御部140aは、検出器142及びまたは噴霧器141を備え、噴霧器141のみまたは噴霧器141と検出器142とによって構成することができる。
噴霧器141は、気体浄化部130の気体の流入側に接続され、流入側の気体部分に液体を噴霧する。
噴霧器141には、管133から分岐した管あるいは独立に管が接続され、該管を通して液体側132に供給される液体と同じ液体の供給を行う。
【0211】
なお、噴霧器141には、たとえば超音波気化器を適用することができる。
検出器142は、気体側131における液体の含有状態を検出する。
液体の含有状態は、液体の湿度や液体に含まれる成分の濃度とすることができ、湿度計や濃度計によって検出することができる。
気化制御部140aを噴霧器141のみで構成する場合には、噴霧器141は気体側131の気体部分に液体側132と同じ液体を噴霧し、気体側131における液体の湿度あるいは液体に含まれる成分濃度を高める。
【0212】
気体側131の湿度あるいは濃度を高めることによって、液体側132から気体側131への液体の気化を抑制することができる。
気化制御部140aを噴霧器141と検出器142とで構成する場合には、検出器142で検出した検出値を噴霧器141に帰還し、噴霧器141の噴霧量を制御する。
【0213】
噴霧器141は、検出器142の検出値に応じて噴霧量を制御し、気体側131における液体の湿度あるいは液体に含まれる成分の濃度を所定値に制御する。
気体側131の湿度あるいは濃度を所定値となるように制御することによって、気体中の液体の含有状態を最適化し、液体側132から気体側131への液体の気化を良好に抑制するとともに、噴霧に用いる液体量を減少させることができる。
【0214】
図29は、本発明の気体浄化装置の第21の実施の形態を説明するための図である。
この第21の実施の形態は、気体中の物質を捕集する液体の温度を調整することによって気化制御を行う形態である。
【0215】
図29において、気体浄化装置は、気体浄化部130と気化制御部140bとを備える。
気体浄化部130は、第20の実施の形態と同様に、浄化対象の気体を流す気体側131と、気体中の物質を吸収する液体を保持する液体側132を有し、前記捕集手段によって構成することができる。
【0216】
液体側132には管133が接続され、液体側132に液体を供給して補充等を行うことができる。
気化制御部140bは、温度調節器143,145及び検出器144,146を備える。
温度調節器143は、気体浄化部130の気体の流入側の気体部分の温度調節を行う。
【0217】
また、温度調節器145は、管133に設けられ、液体側132に供給される液体の温度調節を行う。
温度調節器143,145は、ヒータ及び冷却器によって構成することができる。
検出器144は、気体側131の温度を検出し、検出器146は、液体側132における液体の温度を検出する。
【0218】
温度調節器143及び温度調節器145は、少なくともいずれか一方を設ける構成とし、同じく検出器144,146の少なくともいずれか一方で検出した温度を帰還して温度制御を行う。
検出器144,146で検出した温度に基づいて温度調節器143の温度調節を行うことによって、液体やガス成分の飽和量を制御し、気体側131の湿度あるいは濃度を高め、液体側132から気体側131への液体の気化を抑制する。
【0219】
また、検出器144,146で検出した温度に基づいて温度調節器145の温度調節を行うことによって、液体側132の温度を調節し、液体側132から気体側131への液体の気化を抑制する。
図30は、本発明の気体浄化装置の第22の実施の形態を説明するための図である。
【0220】
この実施の形態は、第21の実施の形態と同様に、気体中の物質を捕集する液体の温度を調整することによって気化制御を行う形態であり、噴霧器に供給する液体の温度制御を行うものである。
図30において、気体浄化装置は、気体浄化部130と気化制御部140cとを備える。
【0221】
気体浄化部130は、第20,21の実施の形態と同様に、浄化対象の気体を流す気体側131と、気体中の物質を吸収する液体を保持する液体側132を有し、前記捕集手段によって構成することができる。
液体側132には管133が接続され、液体側132に液体を供給して補充等を行うことができる。
【0222】
気化制御部140cは、噴霧器141、温度調節器147,149及び検出器144,146を備える。
噴霧器141は、第20の実施の形態と同様に、気体浄化部130の気体の流入側に接続され、流入側の気体部分に液体を噴霧する。
噴霧器141には、管133から分岐した管あるいは独立に管が接続され、該管を通して液体側132に供給される液体と同じ液体の供給を行う。
【0223】
温度調節器147,149は、管133に設けられ、液体側132及び噴霧器141に供給される液体の温度調節を行う。
温度調節器147,149は、ヒータ及び冷却器によって構成することができる。
【0224】
なお、検出器144,146は、第21の実施の形態と同様に、気体側131の温度及び液体側132における液体の温度を検出する。
温度調節器147及び温度調節器149は、少なくともいずれか一方を設ける構成とし、同じく検出器144,146の少なくともいずれか一方で検出した温度を帰還して温度制御を行う。
【0225】
検出器144,146で検出した温度に基づいて温度調節器147,149の温度調節を行うことによって、液体側132に供給する液体及び噴霧器141に供給する液体の温度を調節する。
検出器144,146で検出した温度に基づいて温度調節器147,149の温度調節を行うことによって、液体側132の温度を調節し、液体側132から気体側131への液体の気化を抑制する。
【0226】
上述した第20,21,22の実施の形態によれば、気体側に液体を直接噴霧することによって、気体側の乾燥状態を解消して、液体側から気体側への気化を抑制することができ、また、気体側あるいは液体側の温度を調節することによって、気体側における液体の含有状態を制御し、液体側から気体側への気化を抑制することができる。
【0227】
また、湿度計、濃度計、あるいは温度計等の検出器を設け、この検出結果に基づいて噴霧量の制御や温度制御を行うことによって、気化の抑制を良好なものとすることができる。
さらに、濃度計によってガス成分の濃度を検出し、これによって気化制御を行うことによって、気体に含まれる成分の浄化を良好に行うことができる。
【0228】
図31,32は、本発明の物質捕集装置の第1の実施の形態を説明するための概略斜視図、及び断面図である。
この第1の実施の形態は、2つの物質捕集手段110a,110bを配管111で連結して直列接続する構成である。
【0229】
各物質捕集手段110a,110bは、前記図11,12で示したように、多孔質膜よりなるチューブ107と外管109とを備え、チューブ107と外管109との間に物質を捕集する液体103を収納している。
また、配管111の部分には、液体103は存在しない。
一方の物質捕集手段110a(110b)に供給された気体は、該物質捕集手段110a(110b)内において多孔質膜を介して液体103と接触し、液体への捕集が行われる。
【0230】
その後、物質捕集手段110a(110b)から排出された気体は、配管111を通過する。
この配管111内に送られた気体は、液体との接触がいったん中断される。
その後、気体は、再び他方の物質捕集手段110b(110a)に供給され、多孔質膜を介して液体103と再度接触し、液体の捕集が再開される。
【0231】
図33は、この実施の形態による捕集効率の向上を説明するための図である。
前記図11,12で示したような多孔質膜よりなるチューブ107と外管109とを備える物質捕集手段を用いた場合、通常70%〜90%の捕集効率を達成することができる。
図33(a)に示す構成から図33(b)に示す構成のように、物質捕集手段の表面積を2倍にすると、捕集効率は向上するもののその向上の程度は1割程度に止まる。
【0232】
これに対して、図31,32に示すように、同表面積の2つの物質捕集手段を配管によって直列接続する構成では、その捕集効率は、物質捕集手段が1つの場合より、捕集効率が2割程度増加する。
たとえば、多孔質膜として多孔質テフロン(登録商標)を直径4mmの管とし、該管の内側に酢酸を含む空気を通し、また、管の外側に水を配置する管構造を用いた場合、その多孔質膜の長さが200mmのときの捕集効率は80%であり(図33(a)に対応)、多孔質膜の長さを2倍の400mmとして表面積を2倍としたときの捕集効率は90%である(図33(b)に対応)。
【0233】
これに対して、多孔質膜の長さが200mmの管構造を2つ直列接続した場合には、その捕集効率は96%となる。
図34,35は、本発明の物質捕集装置の第2の実施の形態を説明するための概略斜視図、及び断面図である。
この第2の実施の形態は、2つの物質捕集手段110a,110bを空間部分112で連結して直列接続する構成であり、第1の実施の形態の配管111の代わりに空間部分112を設ける構成である。
【0234】
なお、空間部分112は、一定の容積を備えた容器とすることができる。
各物質捕集手段110a,110bは、前記図11,12で示したように、多孔質膜よりなるチューブ107と外管109とを備え、チューブ107と外管109との間に物質を捕集する液体103を収納している。
また、配管111の部分には液体103は存在しない。
【0235】
一方の物質捕集手段110a(110b)に供給された気体は、該物質捕集手段110a(110b)内において多孔質膜を介して液体103と接触し、液体への捕集が行われる。
その後、物質捕集手段110a(110b)から排出された気体は空間部分112に達する。
【0236】
空間部分112に達した気体は、空間部分内で止まり、液体との接触がいったん中断される。
その後、気体は、再び他方の物質捕集手段110b(110a)に供給され、多孔質膜を介して液体103と再度接触し、液体への捕集が再開される。
【0237】
図36,37は、本発明の物質捕集装置の第3の実施の形態を説明するための概略斜視図、及び断面図である。
この第3の実施の形態は、1つの物質捕集手段110cにおいて、液体部分を仕切り113で区分する構成であり、前記第1,2の実施の形態中の配管及び空間部分と同様な効果を奏するものである。
【0238】
各物質捕集手段110cは、前記図11,12で示したように、多孔質膜よりなるチューブ107と外管109とを備え、チューブ107と外管109との間に物質を捕集する液体103を収納している。
仕切り113は、チューブ107と外管109との間の液体が収納される空間を区分するものであり、該仕切り113によって、チューブ107内の気体は液体との接触が抑制される。
【0239】
物質捕集手段110cのチューブ107内に供給された気体は、多孔質膜を介して液体103と接触し、液体への捕集が行われる。
気体は、チューブ107内を移動する間に仕切り113に達する。
仕切り113に達した気体は、この仕切り113によって液体との接触がいったん中断される。
【0240】
仕切り113を通過した気体は、再び多孔質膜を介して液体103と接触し、液体への捕集が再開される。
図38は、本発明の物質捕集装置の第4の実施の形態を説明するための概略斜視図である。
この第4の実施の形態は、1つの物質捕集手段110dにおいて、多孔質膜の一部を遮蔽部114で遮蔽する構成であり、前記第3の実施の形態中の仕切りと同様な効果を奏するものである。
【0241】
各物質捕集手段110dは、前記図11,12で示したように、多孔質膜よりなるチューブ107と外管109とを備え、チューブ107と外管109との間に物質を捕集する液体103を収納している。
遮蔽部114は、チューブ107の多孔質膜の一部を遮蔽し、チューブ107内の気体とチューブ107外の液体との接触を抑制するものである。
【0242】
物質捕集手段110dのチューブ107内に供給された気体は、多孔質膜を介して液体103と接触し、液体への捕集が行われる。
気体は、チューブ107内を移動する間に遮蔽部114に達する。
遮蔽部114に達した気体は、この遮蔽部114によって液体との接触がいったん中断される。
【0243】
遮蔽部114を通過した気体は、再び多孔質膜を介して液体103と接触し、液体への捕集が再開される。
遮蔽部114は、種々の構成とすることができる。
図38(a),(b),(c)は、遮蔽部114の各構成例を示している。
図38(a)は、チューブ107の多孔質膜の表面に遮蔽材114aを塗布あるいは付着させる構成である。
【0244】
この遮蔽材114aを気体に対し透過性を有しないものとすることによって、遮蔽材114aを設けた部分での気体と液体との接触を抑制することができる。
図38(b)は、チューブ107間に遮蔽材の管114bを挟む構成である。
この遮蔽材の管114bを設けた部分において、気体と液体との接触を抑制することができる。
【0245】
また、図38(c)は、チューブ107に遮蔽材のリング114cをはめ込む構成である。
この遮蔽材のリング114cを設けた部分において、気体と液体との接触を抑制することができる。
図39は、本発明の物質捕集装置の第5の実施の形態を説明するための概略斜視図である。
【0246】
この第5の実施の形態は、1つの物質捕集手段110eにおいて、多孔質膜の一部を外部に配置する構成であり、前記実施の形態と同様な効果を奏するものである。
各物質捕集手段110eは、前記図11,12で示したように、多孔質膜よりなるチューブ107と外管109とを備え、チューブ107と外管109との間に物質を捕集する液体103を収納している。
【0247】
多孔質膜製のチューブ107の一部は、外管109の外側に配置され、この外部分15によって、チューブ107内の気体とチューブ107外の液体との接触を抑制するものである。
物質捕集手段110eのチューブ107内に供給された気体は、多孔質膜を介して液体103と接触し、液体への捕集が行われる。
【0248】
気体は、チューブ107内を移動する間に外部分115に達する。
外部分115に達した気体は、この外部分115によって液体との接触がいったん中断される。
外部分115を通過した気体は、再び多孔質膜を介して液体103と接触し、液体への捕集が再開される。
【0249】
図40は、本発明の物質捕集装置の第6の実施の形態を説明するための概略図である。
この第6の実施の形態は、1つの物質捕集手段110fにおいて、排出された気体の少なくとも一部を帰還させる構成であり、前記実施の形態と同様な効果を奏するものである。
【0250】
各物質捕集手段110fは、前記図11,12で示したように、多孔質膜よりなるチューブ107と外管109とを備え、チューブ107と外管109との間に物質を捕集する液体103を収納している。
【0251】
外管109を挟んでチューブ107の両端をバルブ118,119、管116、及びポンプ117で接続する。
この管116を含む構成によって、チューブ107内の気体とチューブ107外の液体との接触を抑制するものである。
物質捕集手段110fのチューブ107内に供給された気体は、多孔質膜を介して液体103と接触し、液体への捕集が行われる。
【0252】
外管109から排出された気体の一部は、バルブ118、管116、ポンプ117、及びバルブ119を通って再度チューブ107内に供給される。
外管109からいったん排出された気体は、バルブ118、管116、ポンプ117、及びバルブ119等の帰還部分によって液体との接触がいったん中断される。
【0253】
チューブ107内に戻された気体は、多孔質膜を介して液体103と接触し、液体への捕集が再開される。
図41は、本発明の物質捕集装置の第7,8の実施の形態を説明するための概略斜視図である。
この第7,8の実施の形態が備える物質捕集手段は、外管109内に多孔質膜よりなるチューブ107を複数本備え、チューブ107と外管109との間に物質を捕集する液体103を収納する構成である。
【0254】
図41(a)に示す第7の実施の形態は、上記の物質捕集手段110g、及び110hを配管111’で連結して直列接続するものであり、配管111’の部分には液体103が存在しない構成とするものである。
また、図41(b)に示す第8の実施の形態は、上記の物質捕集手段110iを仕切り113’で区分する構成である。
【0255】
配管111’及び仕切り113’は、前記第1,3の実施の形態中の配管及び空間部分と同様な効果を奏するものであり、複数本のチューブ107を配することによって、気体と液体との接触面積を拡大することができる。
なお、前記各実施の形態において、外管にバルブを設け、内部に収納する液体を交換可能とすることができる。
【0256】
図42は、本発明の物質捕集装置の第9の実施の形態を説明するための概略斜視図である。
この第9の実施の形態は、液体が収容される平面状に形成した多孔質膜を有した2つの物質捕集手段120a,120bを間隔126を開けて配列する構成であり、両物質捕集手段120a,120bを容器125内に収納し、一方の物質捕集手段120aから他方の物質捕集手段120bに向けて気体を流下させるものである。
【0257】
各物質捕集手段120a,120bは、前記図8,9で示したように、気体と液体とを接触させる平面状の多孔質膜を備え、両手段は間隔126を開けて配列する。
この間隔126の部分には、液体は存在しない。
図43は、本発明の物質捕集装置の第10の実施の形態を説明するための概略斜視図である。
【0258】
この第10の実施の形態は、平面状に形成した多孔質膜を有した2つの物質捕集手段120a,120bの間にスペーサ127を配置する構成であり、両物質捕集手段120a,120bを容器125内に収納し、一方の物質捕集手段120aから他方の物質捕集手段120bに向けて気体を流下させるものである。
各物質捕集手段120a,120bは、前記図8,9で示したように、気体と液体とを接触させる平面状の多孔質膜を備え、両手段の間はスペーサ127によって、分離される。
【0259】
このスペーサ127の部分には、液体は存在しない。
第9,第10の実施の形態において、一方の物質捕集手段120a(120b)側に供給された気体は、該物質捕集手段120a(120b)の多孔質膜に沿って流下する間に該多孔質膜を介して液体と接触し、気体中の成分は液体内へ捕集される。
【0260】
その後、気体は間隙126またはスペーサ127を通過するが、この間隙126またはスペーサ127の部分では、気体と液体との接触はいったん中断される。
その後、気体は、再び他方の物質捕集手段120b(120a)に移動し、多孔質膜に沿って流下し液体と再度接触して、液体への捕集が再開される。
図44は、本発明の物質捕集装置の第11の実施の形態を説明するための概略斜視図である。
【0261】
この第11の実施の形態は、平面状に形成した多孔質膜を有した1つの物質捕集手段120cの多孔質膜上の一部を遮蔽部128で遮蔽する構成であり、前記第10の実施の形態中の仕切りと同様な効果を奏するものである。
そして、物質捕集手段120cを容器125内に収納し、遮蔽部128を挟んで一方の側から他方の側に向けて気体を流下させるものである。
【0262】
物質捕集手段120cは、遮蔽部128によって2つの部分に分離される。
この第11の実施の形態において、物質捕集手段120cの一方の側に供給された気体は、該物質捕集手段120cの多孔質膜に沿って流下する間に該多孔質膜を介して液体と接触し、気体中の成分は、液体内へ捕集される。
その後、気体は遮蔽部128を通過し、この部分で気体と液体との接触がいったん中断される。
【0263】
その後、気体は、再び物質捕集手段120cの他方側に移動し、多孔質膜に沿って流下し、液体と再度接触して、液体への捕集が再開される。
図45は、本発明の物質捕集装置の第12の実施の形態を説明するための概略斜視図である。
【0264】
この第12の実施の形態は、平面状に形成した多孔質膜を片側に有した2つの物質捕集手段120d,120eを備え、上下方向に配置した構成である。
物質捕集手段120d,120eは、容器129内に収納され、上下方向に配置することによって分離される。
この第12の実施の形態において、容器129内に導入された気体は、物質捕集手段120dの多孔質膜に沿って流下する間に、該多孔質膜を介して液体と接触し、気体中の成分は液体内へ捕集される。
【0265】
その後、容器129内を通過し、この部分で気体と液体との接触がいったん中断される。
その後、気体は、再び物質捕集手段120eに移動し、多孔質膜に沿って流下し液体と再度接触して、液体への捕集が再開される。
図46は、本発明の物質捕集装置の第13の実施の形態を説明するための概略斜視図である。
【0266】
この第13の実施の形態は、平面状に形成した多孔質膜を両側に有した物質捕集手段120fを備えた構成であり、物質捕集手段120fは、容器129内に収納される。
物質捕集手段120fは、多孔質膜を両側に有する構成とすることによって、一方の側の捕集面と他方の側の捕集面とを分離するものである。
【0267】
この第13の実施の形態において、容器129内に導入された気体は、物質捕集手段120fの一方の側の多孔質膜に沿って流下する間に、該多孔質膜を介して液体と接触し、気体中の成分は、液体内へ捕集される。
その後、容器129内を通過し、この部分で気体と液体との接触がいったん中断される。
【0268】
その後、気体は、再び物質捕集手段120fの他方の側に移動し、多孔質膜に沿って流下し液体と再度接触して、液体への捕集が再開される。
なお、前記第12,13の実施の形態において、設置する物質捕集手段の枚数、及び片側に多孔質膜を備える物質捕集手段と両側に多孔質膜を備える物質捕集手段との組み合わせは任意に設定することができる。
【0269】
図47は、本発明の気体浄化装置の第23の実施の形態を示している。
図において符号211は、所定間隔を置いて対向配置され、例えば、図示しないダクトが接続される矩形環状の取付部材を示している。
この取付部材211の間には、コア部213が形成されている。
【0270】
コア部213は、気体流通部215と液体流通部217とを交互に積層配置して構成されている。
気体流通部215には、ホルムアルデヒド等のガス状汚染物質が含有される気体が流通され、また、液体流通部217には、水,純水等の液体が流通される。
コア部213には、液体を流入するための液体流入継手219、および液体を流出するための液体流出継手221が突設されている。
【0271】
図48は、コア部213の詳細を示すもので、このコア部213は、拡散スクラバ素子223を積層して形成されている。
拡散スクラバ素子223は、図49の(b)に示すように、フレーム部材225の両面に疎水性膜227およびネット部材229を溶着Yにより固定して構成されている。
【0272】
なお、疎水性膜227およびネット部材229は、(a)に示すように、ロール状の疎水性膜227Rおよびネット部材229Rを、矩形形状に切断して形成される。
また、この実施形態では、疎水性膜227には、例えば、膜圧0.5mm以下、孔径1μm程度の多孔質テフロン(PPTFE)が使用される。
【0273】
フレーム部材225の枠部225aの両側には、気体流通部215を形成するためのスペーサ部225bが形成されている。
また、フレーム部材225の中央には、補強部225cが橋設され、フレーム部材225が2分割されている。
そして、図48に示すように、拡散スクラバ素子223の間には、セパレータ231が配置されている。
【0274】
セパレータ231には、波状部231aが形成され、この波状部231aが、フレーム部材225のスペーサ部225bの間に配置されている。
コア部213の上下には、側板233が配置されている。
側板233およびフレーム部材225には、ボルト穴233a,225dが形成されており、ボルト穴233a,225dにボルト235を挿通してナット237を螺合することにより側板233およびフレーム部材225が相互に連結されている。
【0275】
また、側板233およびフレーム部材225には、液用穴233b,225eが形成されており、この液用穴233b,225eに中空ボルト239が挿通されている。
そして、中空ボルト239の上端に液体流入継手219あるいは液体流出継手221が螺合され、下端に盲栓241が螺合される継手243が螺合されている。
【0276】
図50は、液体流入継手219,液体流出継手221およびこの近傍のコア部213の詳細を示すもので、側板233とフレーム部材225との間には、スペーサ245が配置され、このスペーサ245の間にセパレータ231の波状部231aが配置されている。
また、フレーム部材225のスペーサ部225bの間に、セパレータ231の波状部231aが配置されている。
【0277】
そして、側板233,スペーサ245およびフレーム部材225には、液用穴233b,245a,225eが形成されている。
液用穴233b,245a,225eには、中空穴239aが形成される中空ボルト239が、液体を通過させるための間隙を置いて挿通されている。
中空ボルト239の上端に液体流入継手219または液体流出継手221が螺合されている。
【0278】
フレーム部材225の枠部225aには、枠部225aの内側と液用穴225eとを連絡する液体流通穴225fが形成されている。
一方、中空ボルト239には、その上下に、中空ボルト239の外側と中空穴239aとを連絡する液体流通穴239bが形成されている。
そして、液体流出継手221,液体流入継手219,側板233およびフレーム部材225には、凹部が形成され、この凹部にOリング247が収容されている。
【0279】
上述した気体浄化装置では、図47に矢符Aで示したように、ガス状汚染物質が含有される気体が、コア部213の前面から、各気体流通部215に流入した後、コア部213の後面から流出される。
一方、液体が、図50に示したように、液体流入継手219から中空ボルト239の中空穴239a,液体流通穴239bを通り、拡散スクラバ素子223のフレーム部材225に形成される液体流通穴225fから拡散スクラバ素子223の疎水性膜227の間に流入した後、フレーム部材225の反対側に形成される液体流通穴225fから中空ボルト239の中空穴239aに流入し、液体流出継手221から流出される。
【0280】
そして、ガス状汚染物質が含有される気体が気体流通部215を通過する間に、拡散スクラバ法によりガス状汚染物質が疎水性膜227を通して隣接する液体流通部217の液体側に移行し、ガス状汚染物質が気体から除去される。
【0281】
以上のように構成されたガス状汚染物質の除去装置では、気体が流通される気体流通部215と、液体が流通される液体流通部217とを、交互に積層配置するとともに、気体流通部215と液体流通部217との間に疎水性膜227を配置したので、装置の単位体積当たりの処理効率を従来より大幅に向上することができる。
【0282】
すなわち、図51に示すような分離装置では、円筒状のケーシング201内のチューブ202の内径を大きくするとガス物質の分離効率が低下するため、チューブ202の内径を小さくする必要があり、処理能力を向上するためには、多数のチューブ202を配置する必要がある。
そして、このように多数のチューブ202を配置すると、横断面部でのチューブ202の開口率は、28%程度にしかならず、気体の通気部(配管,ダクト)に比較して3倍程度の断面積が必要になり、装置が非常に大型になる。
【0283】
一方、上述した気体浄化装置では、図52に示すように、気体流通部215の厚みH、すなわち気体流通部215の両側に配置される疎水性膜227の間隔を、例えば、2mmにすると、内径4mmのチューブ2と同一の性能を得ることが可能になる。
そして、気体流通部215が長尺状の矩形断面であるため、例えば、気体流通部215と液体流通部217の厚みを同一の厚みHにすることにより、気体流通部215の開口率を50%程度に増大することが可能になる。
【0284】
なお、上述した実施形態では、気体流通部215の厚みHが、液体流通部217の厚みより大きくされ、気体流通部215の開口率が70%以上にされている。
従って、装置を非常に小型化することが可能になり、装置の単位体積当たりの処理効率を従来より大幅に増大することができる。
また、疎水性膜227の気体流通部215側に、疎水性膜227の気体流通部215側への変形を防止するネット部材229およびセパレータ231からなる変形防止手段を配置したので、気体流通部215と液体流通部217との圧力差により、疎水性膜227が気体流通部215側に向けて変形することを確実に防止することができる。
【0285】
さらに、上述したガス状汚染物質の除去装置では、液体流通部217を、外周に枠部225aが形成されるフレーム部材225により形成し、気体流通部215を、フレーム部材225に一体形成されるスペーサ部225bにより形成したので、液体流通部217と気体流通部215とを容易,確実に構成することができる。
【0286】
そして、フレーム部材225に液体流通路225fを形成したので、液体流通部217に容易,確実に液体を供給することができる。
また、上述した気体浄化装置では、拡散スクラバ素子223を積層してコア部213を形成するようにしたので、拡散スクラバ素子223の積層枚数を増減することにより所望の処理能力を有する装置を容易に得ることができる。
【0287】
なお、上述した実施形態では、中空ボルト239の下端の継手243に盲栓241を螺合した例について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、例えば、盲栓241の代わりに配管継手を螺合して、中空ボルト239の上下から液体の流入あるいは流出を行っても良く、また、配管継手を介して他の装置に配管を接続しても良い。
【0288】
さらに、上述した実施形態では、セパレータ231を波状に形成した例について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、例えば、パンチングメタル,網目材のように気体が通過可能な格子状等に形成しても良い。
そして、このように、気体が通過可能にセパレータを形成することにより、セパレータの両側の空間が連通し、ガスの往来が可能になり、乱流の発生が促進され、捕集されるガスの液体流通部への接触効率を向上することができる。
【0289】
なお、上述した実施形態では、気体流通部と液体流通部とを交互に複数組積層した例について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、1組のみを積層しても良い。
図53は、上述した気体浄化装置(以下拡散スクラバ装置という)を、例えば、クリーンルーム用の外調機に使用した例を示すもので、外部からの空気Aが、中性能フィルタ251により濾過された後、拡散スクラバ装置253に流入される。
【0290】
そして、拡散スクラバ装置253でガス状汚染物質が除去され、冷却コイルからなる除湿器255、ファン257を介してクリーンルーム内に供給される。
この例では、拡散スクラバ装置253には、液体を液体流通部217に循環する循環配管259が形成され、循環配管259に循環ポンプ261が配置されている。
【0291】
また、循環配管259には、液体側に移行したガス状汚染物質を回収する回収器263が配置されている。
回収器263内には、イオン交換樹脂等の吸着材が収容されている。
そして、拡散スクラバ装置253に、純水等の液体を補給する補給タンク265が配置されている。
【0292】
上述した拡散スクラバ装置253では、液体を液体流通部217に循環する循環配管259と、液体側に移行したガス状汚染物質を回収する回収器263とを配置したので、液体中のガス状汚染物質の濃度の増大による分離効率の低減を回避することができる。
すなわち、上述した拡散スクラバ装置253を、SOxガス,NO3ガス,NH3ガス,HCl,HNO3,HF,ギ酸,酢酸,メチルアミン等の酸性ガス、あるいは、アルカリ性ガスの除去に使用した場合には、これ等が捕集した水中でイオンとして存在し、その濃度が高くなっていく。
【0293】
そこで、上述したように、イオン交換樹脂等の吸着材が収容される回収器263を設けることにより、イオンが吸着され、液体の濃度が下がるので、分離効率を高く維持したまま運転を継続することができる。
なお、有機性ガスやホルムアルデヒド等の除去に使用する場合には、回収器263に活性炭等の吸着剤や化学反応剤を用いることによりこれ等を除去することができる。
【0294】
また、液体を補給する補給タンク265を配置したので、液体流通部217に流通する液体の量を確保することができる。
なお、この例では、拡散スクラバ装置253内の液位および塩濃度が常時監視されており、液位が低減あるいは塩濃度が増大した時に、開閉弁267が開とされ、補給タンク265内の液体が循環配管259に供給される。
【0295】
そして、外調機に、気体流通部215からの気体を除湿する除湿器255を配置したので、気体側に移行した液体分を除去することができる。
すなわち、拡散スクラバ装置253に使用する液体を、水あるいは水溶液にした場合には、気体側に水分が移行するが、この水分を確実に除去することができる。
【0296】
そして、上述した拡散スクラバ装置253は、使用する液体を補充するだけで長期間安定した性能で気体中のガス状汚染物質を除去することができ、ランニングコストが安くメンテナンスが容易であるという利点を有している。
すなわち、従来のケミカルフィルタによる気体中のガス状汚染物質の除去技術では、フィルタが高価、寿命が短い、産業廃棄物になる等の問題があるが、上述した拡散スクラバ装置253では、このような問題を解決することができる。
【0297】
また、従来のエアワッシャを用いた外調機では、空気流路に対して水の流路が開放されるため、雑菌に対する配慮が必要であったが、上述した拡散スクラバ装置253では、疎水性膜227を介して液体と気体とが完全に分離されており、そのような配慮を不要にすることができる。
【0298】
なお、上述した拡散スクラバ装置を小型にユニット化することにより、一般家庭でホルムアルデヒド等の有害成分の除去を目的とした空気清浄機あるいは除去装置として使用することができる。
そして、この場合には、水道水を補給するだけで長期間除去性能が維持されるため、誰にでも容易に使用することができる。
【0299】
なお、上述した拡散スクラバ装置の除去対象物質は、例えば、大気中または室内空気中に存在するホルムアルデヒド(HCHO),硫黄酸化物(SOx),アンモニア(NH3),アセトアルデヒド(CH3CHO),HCl,HNO3,HF,ギ酸,酢酸,メチルアミン等の水溶性ガスである。
そして、液体に水以外の物質を使用することは少ないが、例えば、ホルムアルデヒドの高濃度処理に、アセトニトリル溶液を用いることができる。
【0300】
また、対象となる建屋は、クリーンルーム以外に、合板倉庫,食品庫,病院等がある。
合板倉庫のようなホルムアルデヒドが高濃度になる室内空気に関しては、ケミカルフィルタの除去効率が低く、有効な除去装置がないことから、上述した拡散スクラバ装置は非常に有効である。
【0301】
また、一般の建築環境においても、施工直後のホルムアルデヒド濃度が高い状態で、可搬型の拡散スクラバ装置を短期間設置運転することにより、入居者に対する悪影響を低減することができる。
なお、上述した例では、拡散スクラバ装置253をクリーンルームの外調機に配置した例について述べたが、空調機あるいは空調ダクト等に組み込むことにより、空気中のガス状汚染物質を除去することができる。
【0302】
また、上述した例では、補給タンク265から液体を自動的に供給した例について述べたが、補給タンクを単にコア部213の上方に配置することにより満水状態を維持するようにしても良い。
【0303】
図54は、本発明の脱臭装置の設置位置を説明するための概略図である。
図54において、便器342は、タンク341から供給される排水用の水によって、排泄物を下水管等に排出する。
この構成において、タンク341への給水、及びタンク341から便器342への注水は配管344によって行う。
【0304】
本発明の脱臭装置の脱臭手段330は、配管344の種々の箇所に設置することができる。
第1の設置箇所は、タンク341の上流側に接続した配管344aであり(図54中の330a)、第2の設置箇所はタンク341内の配管344bであり(図54中の330b)、第3の設置箇所はタンク341と動作バルブ343との間の配管344cであり(図54中の330c)、第4の設置箇所は動作バルブ343と便器342との間の配管344dである(図54中の330d)。
【0305】
なお、前記した設置箇所の選択及び設置個数は、必要に応じて任意に選択することができる。
本発明の脱臭装置に用いる脱臭手段には、図13に示したチューブ状、あるいは図10に示した平面状の多孔質膜を用いたものを適用することができるが、以下の説明ではチューブ状の多孔質膜を用いた例について説明する。
【0306】
なお、平面状の多孔質膜についても同様に適用することができる。
図55は、チューブ状の多孔質膜を用いた脱臭手段の一構成例であり、多孔質膜で形成されるチューブ351を複数本のブラケット352で束ねたものを一構成単位として脱臭ユニット350を構成している。
なお、図55の脱臭手段において、チューブ内に気体を通し、その外側に液体を接触させる構成とすることも、また、チューブ内に液体を通し、その外側に気体を接触させる構成とすることもできる。
【0307】
チューブ内に液体を通し、その外側に気体を接触させる構成によれば、外管の構造を不要とすることができ、脱臭装置の構造を簡易とし、コストを低減することができる。
以下、この脱臭ユニットを用いた構成例について説明する。
図56は、脱臭手段の第1の構成例であり、前記した第1,3,4の設置箇所に設置することができるものである。
【0308】
脱臭手段330の脱臭ユニット350は、配管344と接続する容器331内に設置し、ブランケット352の一方は吸気口361側に接続し、他方は排気口362側に接続する。
なお、吸気口361側あるいは排気口362側にファン360を設置し、これによって脱臭ユニット350への気体の導入及び導出を行う。
【0309】
この構成によって、脱臭ユニット350に導入された気体は、多孔質膜を介して配管を流れる水と接触し、気体中の臭気物質は水内に溶解する。
これによって、臭気物質の除去が行われる。
なお、臭気物質が除去された気体は、排気口362からトイレ室内に戻すことができる。
【0310】
図57は、脱臭手段の第2の構成例であり、前記した第1,3,4の設置箇所に設置することができるものである。
脱臭手段330の脱臭ユニット350は、容器332内に設置し、プランケット352を介して配管344と接続し、チューブ内に水を流下させる。
また、容器332の一方を吸気口361側とし、他方を排気口362側とし、吸気口361側あるいは排気口362側にファン360を設置し、これによってチューブの外側に対して気体の導入及び導出を行う。
【0311】
この構成は、チューブに対する気体と水との位置関係が第1の構成例と逆になるが、第1の構成例と同様に、脱臭ユニット350に導入された気体は、多孔質膜を介して配管を流れる水と接触し、気体中の臭気物質は水内に溶解する。
これによって、臭気物質の除去が行われる。
なお、臭気物質が除去された気体は、排気口362からトイレ室内に戻すことができる。
【0312】
図58は、脱臭手段の第3の構成例であり、前記した第2の設置箇所のタンク341内に設置することができるものである。
脱臭手段330の脱臭ユニット350をタンク341内に設置して水と接触させ、プランケット352の一方は吸気口361側に接続し、他方は排気口362側に接続する。
【0313】
なお、吸気口361側あるいは排気口362側にファン360を設置し、これによって脱臭ユニット350への気体の導入及び導出を行う。
この第3の構成例では、脱臭ユニット350に導入された気体は、多孔質膜を介してタンク341に蓄えられる水と接触し、気体中の臭気物質は水内に溶解する。
【0314】
これによって、臭気物質の除去が行われる。
タンク341の水は、トイレの使用に応じて適宜交換が行われる。
なお、臭気物質が除去された気体は、排気口362からトイレ室内に戻すことができる。
次に、図59〜図62は和式トイレの例を示し、図63〜図66は洋式トイレの例を示している。
【0315】
また、図59,61,63は概略断面図であり、図60,62,64は概略平面図である。
図59,60において、脱臭手段330の吸気口側に接続する管363aを、便器342aあるいはその近傍に敷設する。
【0316】
この管363aは、気体取り込み用の開口部361aを、排泄物370が排泄される位置の近傍に備える。
管363には、脱臭手段330の吸気口側あるいは排気側にファン360a,360a’を備え、これによって開口部361aから臭気物質を含む気体を吸入して脱臭装置に導入し、脱臭手段330で脱臭したの後、排気を行う。
【0317】
図59,60に示す構成例では、脱臭手段330において、臭気物質を溶解する液体を畜液したものを用いた例を示している。
図59,60に示す構成例に対して、図61,62に示す構成例は、排泄物を流す水を用いる構成であり、脱臭手段330の容器に配管344を接続し、臭気物質を溶解した後の水を便器342aに導く構成である。
【0318】
この構成によって、脱臭に用いる液体を、トイレの使用に応じて適宜交換することができる。
図63,64において、脱臭手段330の吸気口側に接続する管363bを、便器342bあるいはその近傍に敷設する。
この管363bは、気体取り込み用の開口部361bを、排泄物370が排泄される位置の近傍に備える。
【0319】
管363bには、脱臭手段330の吸気口側あるいは排気側にファン360b,360b’を備え、これによって開口部361bから臭気物質を含む気体を吸入して脱臭装置330に導入し、脱臭手段330で脱臭したの後、排気を行う。
なお、図63,64に示す構成例では、脱臭手段330において、臭気物質を溶解する液体を畜液したものを用いた例を示している。
【0320】
したがって、気体取り込み部を臭気源の近傍とすることによって、脱臭効率を高めることができる。
また、図65の平面図,及び図66のA−A断面図に示すように、脱臭手段330の吸気口側に接続する管363cを便座345内に敷設し、管363cの気体取り込み用の開口部361cを形成する構成とすることもできる。
【0321】
本発明の脱臭装置において、気体を脱臭手段中に取り込むファンによる吸気あるいは排気動作は、トイレの使用動作に連動して動作させる構成とすることができる。
図67は、本発明の脱臭装置による吸,排気動作を説明するための図である。
図67において、脱臭手段330a,330b,330c,330dと接続するファン360は、制御装置380によってのオンオフ動作の制御が行われる。
【0322】
この制御装置380は、動作バルブ343,便器342,ドア390等に設けられたスイツチ手段と接続され、該スイッチ手段からの検出信号に基づいてファン360のオンオフ動作の制御を行う。
たとえば、動作バルブ343の動作による排水動作や、便器342での蓋の開閉や便座の上げ下ろし動作や、また、ドアの開閉動作に対応してファン360の動作を制御することができる。
【0323】
なお、ファン360の停止は、タイマーを用いて、動作を開始した後に所定時間が経過した時点で行う構成とすることができる。
なお、ファンには、シロッコファン、スケールファン、軸流ファン等の任意のファンを用いることができる。
また、前記各構成の脱臭装置において、液体と気体の流れの方向を同方向とすることも、逆方向とすることもできる。
【0324】
図68は、本発明の物質捕集装置の第14の実施の形態を示したものである。
この実施の形態の物質捕集装置は、筒状の多孔質膜からなる内管A1と、その外側に配設された外管A2および蓋A3からなる物質捕集装置と、前記外管A2に配置され、内管A1と外管A2との間に存在する液体A4の化学量または物理量を検出するための検出器A5aと、その出力を所定の出力信号に変換するための信号変換器A5bと、その出力信号を指示または記録するための出力部A5cからなるモニタA5から構成されている。
【0325】
該モニタA5には、液体A4のガス物質の濃度に関連した化学量または物理量に応じて、電気伝導度計、PH計、濁度計あるいはイオン濃度計などが用いられる。
上記の構成において、図示しないが、ポンプを導入口A3aの前あるいは導出口A3bの後に配設して、矢印A方向にガス物質を含む気体を流し、矢印B方向に目的ガス物質を溶解する液体を流す。
【0326】
そして、内管A1には前記液体がその性質を持つ多孔質膜あるいは疎有機溶媒性を備えるための表面処理が施された多孔質膜が使用される。
図69は、前記物質捕集装置の内管A1に相当する多孔質膜A12を介して、気体中のガス物質A11a(●印)が液体中に溶解した状態を示している。
混合ガス物質を含む気体A11中のガス物質A11aは、多孔質膜A12の微小孔A12a内に拡散し、液体中に溶解するが、ガス物質A11b(○印)は、液体に不溶のため気体A11中に留まる。
【0327】
上記具体例として、酢酸メチルガスを捕集する場合を説明する。
図68の物質捕集装置の多孔質膜に、疎水性を有する多孔質テフロン(PPTFE)を、液体A4に蒸留水を用いることにより、酢酸メチルガスを蒸留水に、最大24.5wt%まで溶解させることができる。
この水溶液は、電解質液となり導電性を示し、その電気伝導度は、水溶液中に含まれる酢酸メチルの関数であり、電気伝導度を測定することにより酢酸メチルの溶解度を知ることができる。
【0328】
例えば、24.5wt%の酢酸メチル水溶液の電気伝導度は、3.4×10-6S/cm(at20℃)である。
したがって、あらかじめ酢酸メチル水溶液の濃度に対する捕集効率を求めておけば、電気伝導度を測定することにより、その時点での捕集効率を知ることができる。
【0329】
図70は、モニタA5に使用される電気伝導度計の概略構成図を示したものである。
図において符号A9は、被測定液体中に浸した白金電極で、これを通じて電流I1が流れ、この電流I1は、交差コイルA6aに流れる。
他方のコイルA6bには、感熱抵抗A7a,A7bと抵抗A8a,A8bとで構成するブリッジ回路の検流計分路の電流I2が流れるようにしてある。
【0330】
この電流I1、I2とは、共に液の温度によって変化するから、被測定液体の温度に対する補償が行われる。
このような電気伝導度計により測定した電気伝導度から濃度を求め、その時の捕集効率を把握することができ、溶解度が飽和に達する前に液体を入れ変えることにより、捕集効率の低下を防止することができる。
【0331】
なお、一般の目的ガスを溶解した水溶液の濃度と電気伝導度の関係は、図71に示すように、一様な比例関係ではなく、濃度がある値を越えると、濃度の増加に対し電気伝導度が低下するものが多い。
したがって、ピーク値を有する液体の電気伝導度に対して濃度値が2値存在することになる。
【0332】
このような場合には、図68の出力部A5cに記録計を用いることにより、その時点での電気伝導度に対する濃度を知ることができる。
図72は、本発明の物質捕集装置の第15の実施の形態の構成を示したものである。
図68と同じ機能を持つものには同じ符号が付されている。
【0333】
モニタA5は、検出器A5a、データ処理部A5dおよび出力部A5cからなる。
モニタA5に電気伝導度計を用いた場合には、データ処理装置A5dに予め捕集されるガス物質を溶解する液体の濃度と電気伝導度の関係式が記憶されており、検出器A5aからの信号と比較し、その時点での濃度を求めることができる。
【0334】
この濃度が設定値に達したときに警報を発信すると共に、出力部A5cからの信号によりバルブA16を開いて、液体をタンクA13に放出する。
次にバルブA16を閉じ、バルブA17を開き、物質捕集装置A10内の液体を入れ換え、再度捕集動作を繰り返す。
この操作により、循環設備を設けられない環境下においても捕集効率を低下させずにガス物質を捕集することができる。
【0335】
図73は、本発明の物質捕集装置の第16の実施の形態を示したものであり、図74,75は、その物質捕集装置に用いられる多孔質膜を備えたガス物質吸収液体箱(以後液体箱と称す)の概略構成図を示したものである。
図73に示すように、この実施の形態の物質捕集装置は、容器425に目的ガス物質を吸収するための液体箱424(424a,424b,424c,424dで構成)を分離捕集するガス物質の種類数だけ収納し、気体を矢印方向に流通させるための導入口426及び導出口427を設けたものである。
【0336】
図74に示した液体箱は、内部に液体413を収容可能とする容器414の一面を開放面とし、該開放面を多孔質膜411で閉じ、内部に液体413を封じ込める構成とする。
なお、図74において符号412で示す部分は、多孔質膜411が備える微小孔を示している。
【0337】
この微小孔412の径は、実際には、ガス物質の分子の大きさに相当する程度であるが、説明上拡大して模式的に示している。
この構成の多孔質膜411が備える微小孔412は、膜の両面の間を通過するように、つながって形成されている。
容器414の内部に備える液体413は、気体中のガス物質415を溶解する性質を備え、多孔質膜411の微小孔412を介して気体側と接触する。
【0338】
ガス物質415は、微小孔412を通して液体413と接触すると、液体413内に拡散し溶解する。
これに対して多孔質膜411は、液体413に対して疎の性質を備えているため、液体413は、多孔質膜411によって気体側と実質的に分離された状態となり気体側に漏洩することはない。
【0339】
したがって、気体側と液体側との間では、気体側から液体側へのガス物質の移動のみが生じ、これによって目的ガス物質を液体に回収することができる。
図75の液体箱は、容器414の両面に多孔質膜411を設けた構成であり、その他の構成は、図74に示した構成と同様である。
図75の構成によれば、液体413が気体側と接触する面積を増大することができ、吸収効率を高めることができる。
【0340】
図74,75における多孔質膜411としては、疎水性(あるいは撥水性)又は疎油性(あるいは撥油性)の膜を用いることができる。
多孔質膜411を、疎水性の高分子膜(例えば多孔質テフロン(PPTFE))で形成する場合には、ガス物質415を溶解する液体413として水を用いることができる。
【0341】
また、多孔質膜411に、疎油性(あるいは撥油性)の表面処理を施すことにより、ガス物質415を溶解する液体413として有機溶剤等の油性液体を用いることができる。
【0342】
上記の構成による物質捕集装置を用いて、酢酸メチルとメチルクロロホルムのガス物質を含んだ気体から前記ガス物質を分離捕集する方法について説明する。
図73に示す液体箱424aの液体403に蒸留水を、多孔質膜に疎水性膜(例えば多孔質テフロン(PPTFE))を用い、液体箱424bの液体403には、アルコール又はエーテルを、多孔質膜には、アルコール又はエーテルに疎の特性を持つ疎有機溶媒性膜(例えば、ふっそ化合物膜に表面処理を施したもの)を用い、導入口426より、酢酸メチルとメチルクロロホルムのガス物質を含んだ気体を流入し、導出口427より流出させる。
【0343】
気体中の酢酸メチルガスは、液体箱424aの多孔質膜を介して液体である蒸留水中に溶解する。
また、メチルクロロホルムガスは、液体箱424bの多孔質膜を介して液体であるアルコール又はエーテルに溶解する。
なお、さらに多種類のガス物質を分離する場合には、そのガス物質を吸収できる液体箱をその種類数だけ増やすことにより可能となる。
【0344】
図73の実施の形態では、液体箱424a,424b,424c,424dを収納しているので、目的ガス物質に対応した液体と多孔質膜を用いることにより、最大4種類のガス物質の分離捕集を行うことができる。
図76は、筒状の多孔質膜を用いた第17の実施の形態の構成を示すものであり、図77,78は、その物質捕集装置に用いられる筒状の多孔質膜の働きを説明するための概略斜視図と断面図である。
【0345】
図76において、前記第16の実施の形態に用いた平面状の多孔質膜と同等の働きをする多孔質管431,432を結合したものを、容器435内に複数本貫通させる。
容器435は、隔壁436により、2つの独立した容器435a及び435bに分けられ、導入口437から導出口438を通して、液体433を矢印Bの方向に流し、導入口439から導出口440を通して液体434を矢印Cの方向に流す。
【0346】
図77において、符号431aで示す部分は、多孔質膜で形成された多孔質管431が備える微小孔を示している。
この微小孔431aの径は、実際にはガス物質の分子の大きさに相当する程度であって目視できない程度の大きさである。
なお、図78では、多孔質膜の微小孔は省略して示している。
【0347】
また、容器435は、多孔質膜ではなく、この管壁を通して気体あるいは液体は流通することなく、気体あるいは液体は、容器435の内部に保持される。
上記二重管において、多孔質管431内に捕集対象であるガス物質を含む気体を矢印のA方向(図77,78)に流し、多孔質管431と容器435との間にガス物質を溶解する溶媒となる液体を流すと、二重管内の液体と気体は、多孔質管431を形成する多孔質膜を挟んで接触する。
【0348】
前記第16の実施の形態で説明したのと同様に、気体中のガス物質が液体中に拡散し溶解する。
これによって目的ガス物質の物質捕集を行うことができる。
図79,80は、第17の実施の形態の変形例の断面図を示したものである。
図79は、単一物質捕集装置405と単一物質捕集装置406を配管454で接続して構成される。
【0349】
単一物質捕集装置405は、筒状の多孔質膜で形成される多孔質管451と、外管452a、導入口452b、導出口452cおよび蓋452dからなる容器452より構成される。
また、単一物質捕集装置406は、多孔質膜を筒状に形成された多孔質管461と、外管462a、導入口462b、導出口462c及び蓋462dからなる容器462より構成される。
【0350】
図79において、矢印A方向に混合ガス物質を含む気体を流し、導入口452bから導出口452cを通して矢印B方向に液体453を満たして流し、導入口462bから導出口462cを通して矢印C方向に液体463を満たして流す。
液体453,463及び多孔質管451,461は、目的物質を捕集できる性質のものを選ぶ。
【0351】
上記構成とすることにより、液体453,463と気体は、多孔質管451,461を介して接触し、前記第2の実施例と同様にして、気体中のガス物質をそれぞれ液体453,463に溶解させることができる。
図80は、単一物質捕集装置405の導出口452cと単一物質捕集装置406の導入口462bを配管454で接続し、矢印方向Aに気体を流す。
【0352】
また、B方向に液体453を、C方向に液体463を流す。
このように、多孔質管451及び多孔質管461に液体を通すことにより第17の実施の形態の変形例での捕集効率をさらに向上させることができる。
図81は、第17の実施の形態の他の変形例の概略構造図である。
図81において、多孔質膜を筒状に形成された多孔質チューブ(以後チューブと称す)471,481を用い、このチューブ471を容器474内で、チューブ481を容器484内で螺線状等に配置して貫通させるものであり、螺旋状等に配置することによって、容器474,484内において多孔質管と液体との接触面積を増加させ、ガス物質の吸収量及び捕集効率を高めるものである。
【0353】
なお、チューブ471,481の容器474,484内での配置は螺旋形状に限らず、容器474,484内におけるチューブ471,481の長さが長くなる配置であれば任意の配置とすることができる。
なお、図81では、チューブ471,481を実線によって簡略化している。
容器474,484には、ガス物質を溶解する液体473,483を収納する。
【0354】
チューブ471,481に気体を通すとガス物質が多孔質管を介して液体473,483と接触することになる。
上記構成とすることによって、容器474,484の液体473,483がチューブ471,481を形成する多孔質膜を挟んで接触し、前記実施の形態で説明したと同様にして気体中のガス物質が液体中に拡散し溶解する。
【0355】
これによって、ガス物質を分離捕集することができる。
なお、ガス物質の捕集効率を維持するために、容器474,484内の液体473,483を図示しない流通機構によって連続的あるいは間欠的に流動させる機構や、バルブ機構によって可能な構成とすることができる。
また、各実施の形態において気体と液体の流れを図示したが、方向を相対的に反対にしたり液体の流れを停止してもガス物質を捕集することができる。
【符号の説明】
【0356】
1,11 多孔質膜
1a,2,12 微小孔
3,13 液体(液体層)
4 気体
5,15 ガス成分(ガス物質)
7A,67 液量計
8A,68 液体調節装置
7,77 温度検出器
8,78 温水注入装置
9,79 冷却装置
10,80 気体制御部
14 容器
70,81 制御装置
141 噴霧器
142 検出器
213 コア部
215 気体流通部
217 液体流通部
219 液体流入継手
221 液体流出継手
223 拡散スクラバ素子
225 フレーム部材
225b スペーサ部
225f 液体流通穴
227 疎水性膜
229 ネット部材
231 セパレータ
239 中空ボルト
253 拡散スクラバ装置
259 循環配管
263 回収器
265 補給タンク
341 タンク
342 便器
350 脱臭ユニット
360 ファン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体中のガス物質を溶解する性質を備える液体と、前記液体に対して疎の性質を有する多孔質膜とを備え、前記多孔質膜を介して気体と前記液体を接触させ、前記気体中のガス物質のみを前記多孔質膜を通して前記液体中に溶解させることによって物質捕集を行う物質捕集装置において、
前記液体の化学量又は物理量を計測するためのモニタを備えた
ことを特徴とする物質捕集装置。
【請求項2】
請求項1記載の物質捕集装置において、
前記モニタが、前記気体中のガス物質を溶解した液体の化学量又は物理量が一定量に達すると電気信号を出力する機構を有する
ことを特徴とする物質捕集装置。
【請求項3】
気体中のガス物質を溶解する性質を備える液体と、前記液体に対して疎の性質を有する多孔質膜を備え、前記多孔質膜を介して気体と前記液体を接触させ、前記気体中のガス物質のみを前記多孔質膜を通して前記液体中に溶解させることによって物質捕集を行う物質捕集装置において、
異なる液体と該液体に対して疎の性質を有する多孔質膜からなる物質捕集装置を複数台接続し、複数のガス物質の分離捕集を行う
ことを特徴とする物質捕集装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図72】
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【図73】
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【図74】
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【図75】
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【図76】
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【図77】
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【図78】
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【図79】
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【図80】
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【図81】
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【公開番号】特開2009−190032(P2009−190032A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−132368(P2009−132368)
【出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【分割の表示】特願平11−15344の分割
【原出願日】平成11年1月25日(1999.1.25)
【出願人】(598046435)
【出願人】(000001834)三機工業株式会社 (316)
【Fターム(参考)】