説明

特にラベリングおよびパッケージングのためのセキュリティペーパー材料とその製造方法

湿潤セルロース繊維パルプからペーパーシート(2)を形成する工程とペーパーシート(2)に電子チップ(4)を設ける工程とを含む。特に、本発明は、ラベリングおよびパッケージングのためのセキュリティペーパー材料(1)の製造方法であって、チップ(4)は、パルプからペーパーへの変質工程において形成中のペーパーシート(20)に導入されて、湿潤パルプに直接載置され、少なくとも部分的にパルプに埋設される。任意で、2枚のシートの間にチップ(4)が組み込まれるように、チップ(4)が設けられたペーパーシート(2)に補助ペーパーシート(5)が結合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にラベリングおよびパッケージングのためのセキュリティペーパー材料と、その製造方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるセキュリティペーパー、つまり不正コピーまたは偽造の可能性を回避または検出するという機能を持つ様々な技術を備えるペーパーは、様々なものが知られている。すなわち、識別信号を出力できる電子チップを備えるセキュリティペーパーは知られている。
【0003】
公知のセキュリティペーパーでは、チップが支持体に投与され、次に、すでに形成されたペーパーシートに接着または他の方法で固着される。
【0004】
チップの投与は比較的複雑でコストが高く、チップが下のペーパーシートに適切に係止されず、さらに、チップが保護層で被覆されないとペーパーシートの表面に露出されたままで損傷を受ける可能性がある。しかしながら、この被覆は製造プロセスの複雑性およびコストの上昇を意味するため、このタイプのセキュリティペーパーは欠点が避けられない。
【発明の開示】
【0005】
本発明の目的は、電子識別チップを備えるペーパーシートにより形成されて、上述した先行技術の欠点が見られないタイプのセキュリティペーパー材料を設けることである。本発明の目的は、特に、製造が比較的簡単でコスト効率が良く、ペーパーシートにチップが確実かつ効率的に係止されるセキュリティペーパー材料を設けることである。
【0006】
ゆえに本発明は、特に、ラベリングおよびパッケージングのためのセキュリティペーパー材料に関連し、少なくとも一つの電子チップを備えるペーパーシートを含み、チップが、ペーパーシートの製造工程で形成中のペーパーシートに導入され、ペーパーシートに少なくとも部分的に埋設されることを特徴とする。
【0007】
発明の好適な実施例によれば、ペーパー材料はさらに、ペーパーシートに結合される補助ペーパーシートを包含し、2枚のシートの間にチップが組み込まれる。
【0008】
更に、本発明は、特にラベリングおよびパッケージングのためのセキュリティペーパーの材料製造方法に関連し、湿潤セルロース繊維パルプからペーパーシートを形成する工程と、ペーパーシートに電子チップを設ける工程とを含み、パルプからペーパーへの変質工程において、形成中のペーパーシートにチップが導入されることを特徴とし、チップは湿潤パルプに直接載置され、少なくとも部分的にパルプに埋設される。
【0009】
具体的には、この方法は、湿潤セルロース繊維パルプを製紙機械に供給する工程と、パルプを形成テーブルに載置する工程と、パルプから徐々に水分を抜くことによりシート状のペーパーを形成する工程とを含み、チップは、形成中のペーパーシートの上側で形成テーブル上のパルプに直接載置される。
【0010】
チップは、形成テーブルの上に配置された分配装置によって供給され、重力によってパルプに落下することが好ましい。
【0011】
好適な実施例によれば、この方法はさらに、形成中のペーパーシートにチップを導入する工程の後に、このペーパーシートに補助ペーパーシートを結合する工程を含み、チップは形成中のペーパーシートの上側に投与され、補助ペーパーシートがこの側に結合される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
添付図面を参照して、以下の非限定的実施例において本発明をさらに説明する。
【0013】
図1を参照すると、特にラベリングおよびパッケージングのためのセキュリティペーパー材料は、セルロース繊維基材3により形成されて能動および/または受動RFIDチップなど周知のタイプの少なくとも一つの電子チップ4を備えるペーパーシート2を備える。
【0014】
チップ4は、(図1の左部分に実線で示されるように)ペーパーシート2に少なくとも部分的に埋設され、また、(図1の右部分に点線で示されるように)基材3に完全に埋設されることが好ましい。
【0015】
また、ペーパー材料1は、ペーパーシート2に結合された補助ペーパーシート5を含み、チップ4は補助シート5とペーパーシート2との間に組み込まれてもよい。
【0016】
本発明の他の態様によれば、ペーパー材料1の製造システム10が概略的に示された図2を参照して、後述する方法によって、ペーパー材料1が製作されることが好ましい。
【0017】
システム10は、本質的に公知であって単純化のため詳細には説明されないフォードリニアタイプの連続製紙機械11を備える。製紙機械11は、一般的に、湿潤セルロース繊維パルプを、このパルプが載置される形成ファブリック14を有するフラット形成テーブル13に供給するためのヘッドボックス12を備える。製紙機械11は、さらに、形成ファブリック14と協働するテーブルロール15と、いわゆる「湿潤端部」16と、乾燥機区分17とを備える。知られているように、湿潤パルプから水分を連続的に抜くと、パルプがペーパーシートに徐々に変質する。形成中のペーパーシートは図2では数字20で表され、乾燥すると、上述したペーパー材料1のペーパーシート2を形成する。
【0018】
ヘッドボックス12付近の形成テーブル13の初期部分の後、テーブルロール15の下流には、分配装置21が設けられている。この分配装置21は、形成テーブル13の上に配置されており、形成中のペーパーシート20の前進方向と横方向の両方に、所定の間隔でチップ4をパルプに載置する。すなわちチップ4は、形成中のペーパーシート20の上側22で、形成ファブリック14に支承されたパルプに重力で落下して、パルプに少なくとも部分的に埋設される。
【0019】
こうして、湿潤セルロース繊維パルプをペーパーに変質させる工程において、形成中のペーパーシート20へチップ4が導入される。
【0020】
分配装置21のすぐ下流では、機構25が補助ペーパーシート5を形成中のペーパーシート20の側22と接触させて、ペーパーシートを補助ペーパーシート5と結合させる。
【0021】
続いて、湿潤部分16に配置されて、例えば平衡に配置された二対以上のロールを有するローリングアセンブリ28によって実施される湿潤ローリング工程に移る。形成中のペーパーシート20を、やはり湿潤している補助ペーパーシート5とともに湿潤ローリングすることによって、2枚のシートの接合が補償される。
【0022】
ペーパーシート2、そしてペーパー材料1の形成は、湿潤端部16および乾燥機区分17を通過させることにより完了する。
【0023】
変形例によれば、製紙機械11にテーブルロール15が設けられず、分配装置21は機構25の上流で形成テーブル13に配置される。実際、(補助ペーパーシート5が載置される)形成中のペーパーシート20の表面特性を向上させる必要がないので、補助ペーパーシート5との結合によって形成テーブル13上でのテーブルロール15の使用は不必要となる。
【0024】
別の変形例によれば、図2に点線で示されたように、テーブルロール15の下流の代わりに、ヘッドボックス12の次の形成テーブル13の初期部分の後で、テーブルロール15の上流に分配装置21が配置される。テーブルロール15が設けられない場合には、分配装置21がヘッドボックス12と機構25との間で形成テーブル13に配置されることは自明である。
【0025】
本発明の長所は、上記の説明から明らかである。
【0026】
本発明のペーパー材料は、材料自体に組み込まれたチップに質問することにより、高速かつ確実な識別を可能にする。
【0027】
チップは材料内に完全に組み込まれて確実に固着され、こうして損傷の可能性から保護される。
【0028】
さらに、本発明のペーパー材料は、高い印刷品質を提供する通常の印刷技術により完全に印刷可能である。
【0029】
さらに、特にペーパー材料の製造工程においてチップの導入が直接実施されるので、製造方法は簡単でコスト効率がよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明によるセキュリティペーパー材料の概略縦断面図である。
【図2】図1のセキュリティペーパー材料の製造システムの概略図であって、かかる材料の製造方法の主要工程を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿潤セルロース繊維パルプからペーパーシートを形成する工程と、該ペーパーシートに電子チップを設ける工程とを含み、特にラベリングおよびパッケージングのためのセキュリティペーパー材料の製造方法であって、該パルプからペーパーへの変質工程において、形成中の該ペーパーシートに該チップが導入され、該チップが該湿潤パルプに直接載置されて該パルプに少なくとも部分的に埋設されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記湿潤セルロース繊維パルプを製紙機械に供給する工程と、該パルプを形成テーブルに載置する工程と、該パルプから徐々に水分を抜くことにより、シート状のペーパーを形成する工程とを含み、該チップが、形成中の該ペーパーシートの上側で該形成テーブル上の該パルプに直接載置される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記チップが、前記形成テーブルの上に配置された分配装置によって供給され、重力により前記パルプへ落下することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
形成中の前記ペーパーシートに前記チップを導入する工程の後で、該ペーパーシートに補助ペーパーシートを結合する工程を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
形成中の前記ペーパーシートの上側に前記チップが投与され、前記補助ペーパーシートが該側に結合されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の方法で製造されることを特徴とする、特にラベリングおよびパッケージングのためのセキュリティペーパー材料。
【請求項7】
少なくとも一つの電子チップが設けられたペーパーシートを含み、特にラベリングおよびパッケージングのためのセキュリティペーパー材料であって、前記チップが、該ペーパーシートの製造工程中で形成中の該ペーパーシートに導入されて、該ペーパーシートに少なくとも部分的に埋設されることを特徴とするセキュリティペーパー材料。
【請求項8】
前記ペーパーシートに結合される補助ペーパーシートを含むことを特徴とし、該補助ペーパーシートと該ペーパーシートとの間に前記チップが組み込まれた請求項1から請求項7のいずれかに記載のペーパー材料。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2009−532594(P2009−532594A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−503684(P2009−503684)
【出願日】平成19年4月6日(2007.4.6)
【国際出願番号】PCT/IB2007/000920
【国際公開番号】WO2007/116296
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(306048432)
【Fターム(参考)】