説明

特に液体クロマトグラフィー用であって規定の流体流を供給するための方法と装置

【課題】
【解決手段】本発明は、特に液体クロマトグラフィー用であって規定の流体流を供給するための方法と装置に関するものであり、それによれば、一定の全フロー(f0)を余剰分岐の内部余剰フロー(fie)と作業分岐の内部作動フロー(fiw)に配分し、そのとき内部作業フロー(fiw)と内部余剰フロー(fie)の配分割合を、作業分岐に設けた流動抵抗と余剰分岐に設けた流動抵抗の逆比例割合により決めており、そしてそのとき余剰分岐と作業分岐が、両方の流動抵抗出口それぞれで横方向分岐を介して接続している。流動抵抗出口間で横方向分岐にできるバランスフローを、フローセンサーを使って測定する。作業分岐の更に前方に、求められる外部作業フローを、装置に接続した作業装置、例えばクロマトグラフィーのカラムに供給できる。余剰分岐の更に前方で可変抵抗装置を配置しており、そこで可変流動抵抗装置の抵抗値を制御することにより、バランスフローが好ましくは時間的な平均で基本的に丁度ゼロまたは規定のオフセット値であり、その量が内部作業フロー(fiw)と較べて小さいようにバランスフローを調整する。さらに本発明は、本発明による方法を実施するための装置に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に液体クロマトグラフィー用であって規定の流体流を供給するための方法と装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
分析技術において、特に液体クロマトグラフィー(HPLC、高速液体クロマトグラフィー)では通常、定量分析を非常に簡単にするために、定常のフロー(時間単位あたりの体積、体積流)で作業する。このフローが、求める物質分離を行うクロマトグラフィーの分離カラム(簡単にカラムという)を貫流する。
【0003】
そこでのトレンドは、少ない(CAP−LC)そして非常に少ない(ナノ−LC)体積流に向いており、この場合に必要とするのは極く僅かな試料の量であり、より優れた分離能力が得られるからである。多くの用途においては、二つまたはそれ以上の異なった溶媒の混合物が使用される。そこでは多頻度で混合割合が分析中に、連続的に又はステップ的に変化するが、それを溶媒グラジエントと呼んでいる。
【0004】
通常、少ない体積流を使用する時も正確に決められたフローが求められる。これは、調整可能でありそして優れた精度で一定であることが必要である。後者は特に、接続しているカラムの反圧(カラム圧力)が、そのときカラムにある溶媒混合物の粘度によって決まり、そしてカラムの汚れにより変化することがあるので困難さを伴う。
【0005】
非常に少ない体積流の時には、これを必要なだけ持続しそして決められた調整可能混合割合でつくることが極度に難しい。機械的な精度と構成部品の密封性に対する非常に高い要求以上に、体積流が大きい時には無視できる汚れによる影響の可能性全てに関心がいる。
【0006】
よって、確立されている大抵の方法ではフロー配分を使って作業する。その時にまず、決められているが必要より遙かに大きいフローをつくる。それにより、持続性と混合割合に対する要求の維持が比較的簡単にできる。該当する装置は旧来のHPLCで広く使われており、よって市場で入手できる。そして送られたフローは、フロー配分装置により大きいフローと小さいフローに配分される。小さいフローのみが使用される。
【0007】
従来技術によるフロー配分の原理を図4で示している。細かく図示していない液体クロマトグラフィー装置用の図4で図示した分配装置1は、決められた溶媒成分を有する決められた全フローf0を供給するためのポンプ3を有している。ポンプ3は、溶媒グラジエントをつくれるように、異なった溶媒を定量し混合する装置を含んでいることがある。ポンプ3により送り出された全フローf0は、求められる(外部の)作業フローfewより基本的に大きい。さらに分配装置は、T字型部材の形式で具現することがあり全フローf0を内部作業フローfiwと内部余剰フローfieに配分する流体分岐5、および作業分岐に流動抵抗7と余剰分岐に流動抵抗9を有している。配分割合(作業フロー対余剰フロー)は、抵抗の割合により決まる。抵抗7は通常、抵抗9より遙かに大きい、すなわち同じ圧力降下で内部作業フローfiwは余剰フローfieの小さいパーセンテージに過ぎない。
【0008】
内部の作業フローfiwは、分配装置の出口11でも(外部の)fewとして使用に供される。ここに残りの分析システムが接続される。そのとき圧力割合に対しては、特にカラム(図示していない)の流動抵抗値が重要である。フロー配分装置の出口13で(外部の)余剰フローfeeが現れるが、それは内部余剰フローfieに等しく、そして通常は利用しない。
【0009】
この公知の方法では実際に得られる配分割合が、抵抗7と9だけでなく、カラムの反圧にも関係するという問題が出てくる。カラムの流動抵抗値が作用として抵抗7の値に加わる。これを抵抗設計時に考慮せねばならない。
【0010】
更に難点として、全構成部品の流動抵抗が、その時その中にある溶媒の粘度により変わることが挙げられる。一定の溶媒成分では、これは全ての構成部品に同様に当て嵌まるので配分割合は同じままである。しかしながら溶媒グラジエントでは個々の構成部品での粘度変化が、前に接続した構成部品およびその構成部品自体の通過時間に従って異なった遅れを伴って顕著になる。よって、通常グラジエント間では配分割合は一定でないままである。
【0011】
改良された方法がEP−A−0495255号公報(特許文献1)に記載されている。そこでは、両分岐の体積を配分割合に相当して一致させることにより、溶媒グラジエント間でも配分割合を一定のままとすることを達成している。この方法での欠点は、出口での反圧(即ち、例えばカラム圧力)が相変わらず配分割合に強く影響を与えることである。この反圧は、同様に溶媒粘度と関係するので、フロー配分装置の設計時に一部で考慮することがある。
【0012】
DE19914358号公報(特許文献2)では、両方の分岐の一つにあるアクティブな調整部材により、この欠点を回避するという方法が公開されている。そのために作動センサーを使用して、それが作業分岐のフローを測定するというものである。このような少ない体積流用のフローセンサーは通常、その感度が使用する溶媒に大きく依存するので、この原理を溶媒グラジエント用に直ぐに使用することはできない。よって代替の解決手段として、作業分岐と余剰分岐での圧力を検知して、両圧力の差異を調整部材の制御に使用することが提案されている。
【0013】
ここでの欠点は、圧力センサーがその形式により通常比較的大きな内部体積を有することである。使用する溶媒の圧縮性および圧力検知器の弾力性のために、圧力の各変化時にフローが圧力センサーに向かって、あるいはここから去って流れる。これにより、相当して作業フローが小さく又は大きくなる。
【0014】
圧力センサーを使用することに対する別の問題点は、達成可能な精度である。技術的な理由から設計では、抵抗6と7に僅かな圧力降下のみが現れるようにしている。圧力センサーの誤差が、この圧力降下に対する関係において配分割合に作用する。例えば圧力降下を10barと仮定すると、必要な0.5%のフロー再現性は0.05barの許容圧力測定エラーに相当する(10barの0.5%)。
【0015】
問題としているセンサーが全圧力(大気に対する比較または絶対)を測定するので、これは少なくとも200barの測定範囲を有していなければならない。よって、0.05barの測定エラーは0.025%の精度要求に相当する。このような精度は実際においては、非常な手間をかけてのみ達成されるものである。
【0016】
【特許文献1】EP−A−0495255号公報
【特許文献2】DE19914358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の課題は、特に液体クロマトグラフィー用であって、規定の液体流を供給するための方法を得ることであり、圧力および/またはフローを検知するための作業センサーを作業分岐に必要とすることなく、出口での反圧に関係なく高精度の作業フローをつくることを可能にするものである。加えて、フローを決める構成部品として圧力センサーを使用する必要がない。さらに、本方法を具現するための装置を提案するという課題が本発明の基礎になっている。
【0018】
本発明が前提にする見識は、作業分岐と余剰分岐間にある横方向分岐内でバランスフローを測定し、そして余剰分岐を更に進んだところにある可変流動抵抗装置の抵抗値を制御して基本的にゼロに等しい値または内部作業フローと比較して小さい規定のオフセット値に調整することにより、好ましくは非常に小さい外部の作業フローを作業装置により十分な持続性および再現性を有して得られるということである。それにより、問題の多い外部作業フローの測定が必要でなくなる。
【0019】
本発明の好ましい実施形態によれば、バランスフロー用の規定オフセット値をゼロより大きく選ぶことがあり、そのときはプラス符号が作業路から余剰路に向かうフロー方向を意味している。これにより得られる利点は、実際の流体外部作業フローが横方向分岐から流体が流れ込むことにより混同誤差を生じないことであり、これはバランスフローをゼロ特に基本的にゼロである一時的な平均値に調整する時、そして流体で一時的に特性、例えば粘度が変化する時に起きる可能性があるものである。
【0020】
本方法の構成によれば、フローセンサーのセンサー信号と、流体の少なくとも一つの流体特性特に流体の熱容量と熱伝導性との関係を、実際に流れるバランスフロー用の規定のオフセット値が得られるように、バランスフロー調整時に補正することができる。これにより、流体の成分が変化するとき、特にHPLCで溶媒グラジエントを使用するときに、外部の作業フローの持続性と再現性が改良される。
【0021】
補正のために補正パラメーターをセンサー信号と結びつける、特に補正係数をセンサー信号に掛けることにより、補正を簡単な方法で行うことができる。
【0022】
補正係数用の値を比較対照表に記録保存しておくことができる。勿論同じ方法で、少なくとも一つの流体特性と補正係数の機能的な関係を記録し、補正のために利用することもある。
【0023】
本発明による方法の構成によれば、作業路の更に前方で外部作業フローを一時的に減少するためのバランスフローを、オフセット値と比較して高い規定値に調整することがある。これによりHPLCで、所謂“ピークパーキング”が達成される。これは、カラムによる(外部の)作業フローの一時的で明白な減少と理解され、それにより、カラムで分離された成分がより緩慢におよび/または遅れて後続の分析装置に達する。
【0024】
このフロー減少は公知のシステムでは通常、システム内に切り替えバルブを組み込み、それを使って第二ポンプで送られるより少ないフローに切り替えられるようにすることで達成される。これは、追加で必要な構成部品のために多くの工数を必要とする。
【0025】
本発明によるシステムを使えば、バランスフローを一時的にゼロに等しい又は近い値に調整するのではなく基本的により高いプラスの値に調整することにより、フロー削減を追加の構成部品なしで直接達成することができる。
【0026】
本発明による方法における別の構成によれば、内部の作業フローおよび/または外部の作業フローを決めるための可変流動抵抗装置の抵抗値を、作業路の更に前方で一時的に、バランスフローがゼロにならないように調整することがあり、そしてこの方法により通常の運転で予想される内部作業フローおよび/または外部作業フローをフローセンサーの信号から調べる。
【0027】
特に可変流動抵抗装置を、横方向分岐内での内部作業フローを測定するために、短く閉じそして/またはゼロに等しい値に制御することがあり、そのとき横方向分岐がゼロに等しい又は近い流動抵抗値を有していると好ましい。それにより内部作業フローを直接測定することができる。そして装置の通常運転時、横方向分岐内のバランスフローをゼロに調整するときに、測定した内部作業フローに等しい外部作業フローが得られる。特に、横方向分岐から作業分岐への流体の戻りフローを避けるために、バランスフローを小さいオフセット値に調整すると、装置を通常運転する間に内部作業フローとバランスフローの差異から外部作業フローを決めることができる。
【0028】
本発明による装置では配分割合を決める流動抵抗を、その流体通過時間が同じとなるように設計することがある。これにより得られる利点は、一時的なグラジエントの時でも少なくとも一つの流体特性、例えばその成分やそれによりその粘度に関して、配分割合はいずれの場合も(一時的でも)一定のままであることである。
【0029】
一般的な溶媒グラジエントの時間と比較して流体通過時間が少ないように、配分割合を決める流動抵抗を設計することにより、類似の効果を達成できる。この場合には、抵抗がいずれの時点でも同じ溶媒成分有するほぼ一つの流体を含んでいると、十分な精度で前提とすることができる。
【0030】
一つの構成によれば、可変流動抵抗装置の全流動抵抗値を、調整可能な好ましくは電気的に制御可能な流動抵抗要素と調整可能でない流動抵抗要素での抵抗値で合成するように、本発明による装置を構成していることがあり、そのとき流動抵抗値は、特に調整可能でない流動抵抗要素の抵抗値は、使用する溶媒の粘度によって決まる。
【0031】
よって、調整可能な流動抵抗要素に必要な調整範囲を比較的小さく維持でき、それによりこの要素をより簡単にそしてコスト的に有利につくることができる。
【0032】
流体システムにおいて圧力割合および/またはフロー割合をコントロールためのこの種の装置は、本発明による装置と関係なくあるいは方法と関係なく使用できる。
【0033】
本発明の別の実施形態は従属請求項で分かる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
図で示した実施例を使って、以下で本発明を詳細に説明する。
【実施例】
【0035】
図1で電気ブロック回路図に似せた形態で図示している装置100は、ポンプ1を使って送られる一定の流体フローが供給され特に液体クロマトグラフィー用に規定の流体流を提供するもので、分岐を形成するT字型部材として構成することがあるフロー配分装置5、および作業分岐ないし余剰分岐にある流動抵抗7ないし9を有している。これにより全フローf0を内部作業フローfiwと内部余剰フローfieに分配するが、そのときこの流動抵抗7と9の逆比例割合で内部作業フローと内部余剰フローの分配割合が決められる、即ち次の関係がある:
iw/fie=R9/R7
ここでR7とR9はそれぞれ、流動抵抗7と9の抵抗値を表している。
【0036】
さらに装置100は、流動抵抗7の出口で流体分岐102、および流動抵抗9の出口で流体分岐104を有している。なお、流体分岐102,104をそれぞれ簡単なT字型部材として形成することがある。
【0037】
装置100は内部に、流体分岐102,104を繋ぎそして中にフローセンサー108を配置した横方向分岐106を有しており、そのセンサーが横方向分岐106内を流れるバランスフローfbalに従って決まるアウトプット信号Sbalを出力する。
【0038】
余剰分岐の更に前方に、すなわち流体分岐104の該当する分岐口または出口に繋がって、図1で示すように調整可能な流動抵抗装置110を設けており、その装置を、簡単であり可変調整できそして好ましくは電気的に制御可能な流動抵抗として、例えば制御可能な絞りバルブとして構成している。
【0039】
そして装置100は、調整装置112を有しており、それがフローセンサー108の信号Sbalに従って、調整可能な流動抵抗装置110を流動抵抗値に関して制御する。信号の流れを図1では点線により示している。
【0040】
加えて流体分岐9のところでは、オプションの圧力センサー114を使って、この位置に作用する圧力を検知することがある。
【0041】
装置100の出口116では、求められる外部作業フローfewが使用に供されるが、そのとき外部作業フローfewと全フローf0の割合を十分な精度で一定に維持する必要がある。装置110の出口118で出てくる余剰フローfeeは通常利用されない。
【0042】
以下において、図1の装置をHPLCの例で詳細に説明するが、そこではHPLC配置全体の本発明に必要な構成要素のみを図示している。
【0043】
公知の方法のように、ここでの配置はフロー配分の原理に基づいている。ポンプ3が、必要とする規定の溶媒成分を有する規定の好ましくは一定の全フローf0を装置100に送るが、その出口116にはクロマトグラフィー装置のカラム(図示していない)が接続されている。全フローf0だけでなく溶媒成分も時間的にも変動することがある。
【0044】
全フローf0は、フロー配分装置5および作業路と余剰路に配置された流動抵抗7と9により、内部余剰フローfieと通常は基本的に僅かな内部作業フローfiwに配分される。
【0045】
配分割合は、上記したように、流動抵抗7と9およびここでの圧力降下により決まる。そして抵抗7と9での圧力降下が常に等しいなら、抵抗割合が同じままの時に配分割合は一定である。
【0046】
本発明により、抵抗7と9の出口ないし流体分岐102と104をお互いに接続する横方向分岐を使うことにより、これを達成する。この接続により両方の抵抗7,9がパラレルに連結され、そしてそこでは常に同じ圧力降下となる。それにより、内部作業フローfieと内部余剰フローfiw間で一定の配分割合を保証している。このとき前提としているのは、無視できるほど少ないバランスフローfbalによるものであれ、および/または横方向分岐での無視できるほど小さい流動抵抗によるものであれ、横方向分岐とフローセンサー108用の配管を構成することにより決まる横方向分岐での圧力降下は無視できるほど小さいということである。
【0047】
しかし出口116での反圧と全体システムでの抵抗割合に従い、分岐でバランスフローfbalが生まれ、それは別の対応なしでは通常ゼロとはならない(プラスまたはマイナス)。それにより出口116では外部作業フローfewとして、内部作業フローfiwとバランスフローfbalの差異のみが使用に供される。
【0048】
外部作業フローfewが規定の内部作業フローfiwに同じであるようにするためには、すなわち横方向分岐のバランスフローfbalを除かねばならない。
【0049】
本発明によれば、横方向分岐のフローセンサー108を使って、これを達成する。これがバランスフローfbalを検知し、対応する信号を調整装置112に送る。そして、これが調整可能な抵抗12を制御することにより、フローセンサー108で検知した横方向分岐のバランスフローfbalは基本的に特に時間的平均でゼロになる。このために、さらに以下で説明するように、例えばエレクトロニクス調整装置を使用することがある。
【0050】
出口116での反圧が変わる場合、それは例えばそこに接続しているカラムの汚れにより、温度変化により、あるいは変化する溶媒粘度により引き起こされることがあるが、横方向分岐にゼロではないバランスフローfbalが直ぐに起きる。これがフローセンサー108により検知され、そして調整装置13に送られ、そこでこれが変更可能で調整可能な抵抗装置110の抵抗値を、バランスフローfbalが再びゼロになるように変える。それにより再び上述の割合にする。
【0051】
例として、出口116での反圧が上がると仮定する。これは結果としてプラスのバランスフローfbal、すなわち作業分岐から余剰分岐への方向となる。この場合、抵抗装置110の抵抗値は、両方の分岐における抵抗値割合が再び同じとなり結果としてバランスフローfbalが再びゼロになるまで上昇する。
【0052】
圧力センサー114は、抵抗装置110での圧力を検知する役割をする。ここまで記述した装置110の作動方法では横方向分岐の圧力降下がゼロであるので、この圧力は同時に作業分岐の出口116における圧力に相当する。即ち、システムを制御または調整するためにこの圧力を必要としないが、そこに接続しているカラムの状態(例えば汚れ)を逆推定できることになるので、実際では注意する点である。
【0053】
本発明による配置の更なる利点は、流体分岐5と流動抵抗7,9から送られた内部作業フローfiwは、今まで記述したの運転方法では外部作業フローfewに等しいが、それを追加の構成部品なしでチェックまたは直接測定できることである。それにより、流体分岐102ないし流動抵抗7,9の構成要素での詰まりだけでなく、ポンプ3の機能欠如も検知できる。このために必要な測定ステップは、システムの通常運転と関係なく行われ、チェックのため又は欠陥分析のためのみのものである。
【0054】
測定のための前提は溶媒成分が一定であることであり、特に流体粘度に関係するフローセンサー108の感度がその成分に対して公知であることである。測定ステップのためには、変更可能な流動抵抗装置110の抵抗値を、ゼロないしゼロに近い値に小さくする。これにより、流体分岐104ないしこれを具現するT字型部材での圧力が、外部の空気圧に等しくなる。よって、ゼロないしゼロに近い流動抵抗値を有する横方向分岐のために、流体分岐102ないしこれを具現するT字型部材での圧力も、外部の空気圧に降下する。
【0055】
抵抗6,7では、相変わらず同じ圧力降下が発生する。ポンプ3は一定の全フロー3を送るので、全ての圧力は同じ量だけ降下するのみである。それにより、内部の作業フローfiwは変わらないままである。
【0056】
出口116と大気との間で圧力差が最早存在しないので、そこに接続しているカラムの高い抵抗によりフローは流れない、すなわち外部作業フローfewはゼロになる。それにより全内部作業フローfiwがフローセンサー108を通過するので、この方法で測定することができる。
【0057】
通常運転での内部作業フローfiwは、この測定時と同じ大きさである。しかしながら、今まで記述した装置の作業方法ではバランスフローfbalが調整によりゼロにされるので、これは完全に出口116の外部作業フローfewとして現れる。測定ステップ中で測定したバランスフローfbalは、すなわち通常運転における内部および外部の作業フローと同一である。
【0058】
記述している対応方法が意味するところは、システムでの大きな圧力変化である。システムにおいて避けられない無効体積のために、システムでの圧力割合が再び安定するまで正に時間のかかることがある。これは、流体分岐104での圧力を前述したようにゼロにまで下げるのではなく、通常運転に対して明らかに変えるだけ、例えば小さくすることにより回避できる。この場合には内部作業フローfiwの直接測定は不可能である。というのは、その一部が出口116に接続しているカラムを通って流出するからである。
【0059】
しかしながら上述の理由から、横方向分岐の圧力降下が無視できるほど小さいことを前提にすると、この測定でも内部作業フローfiwは一定のままに留まる。よって、圧力変化により引き起こされたバランスフローfbalが直接、圧力変化により起きる外部作業フローfewの変化をあらわす。この圧力変化を圧力センサー114により検知する。よって、出口116に接続しているカラムの流動抵抗を、フロー変化に対する圧力変化の割合として簡単に計算することができる。カラムの抵抗は短い測定時間では思ったほどは変化しないので、これと通常運転での圧力から外部の作業フローfewを計算することができる。
【0060】
流動抵抗7と9は、その内部体積が両方のフローとほぼ同じ割合となるように、EP−0495255に対応して目的に合わせて設計する。これにより、両方の抵抗で同じ流体通過時間となる。これの利点は、溶媒粘度の変化が両方の分岐で同じ作用を有する、すなわち配分割合がこの場合も一定に留まるということである。
【0061】
流動抵抗7,9の内部体積を小さく維持することにより、同様の効果を達成できるので、抵抗を通る溶媒の貫通時間は一般的な溶媒グラジエントの時間と比較して短い。この場合、両方の抵抗7,9が同じ溶媒成分を含んでいる、すなわち溶媒粘度の変化が両方の抵抗に同じく作用することを、いずれの時点に対しても前提にすることができる。
【0062】
この二つの方法を組み合わせることにより、構成部品の公差が原因となり兼ねない通過時間のバラツキを、問題なく分かるようにすることができる。
【0063】
好ましくは水晶ガラス又は金属製の小さい内径のパイプ(毛細管)の形態で、流体抵抗を具現すると特に目的に適っている。この種の毛細管では求められる体積割合と抵抗割合を、広い範囲で簡単な方法により作り出し調製することができる。加えてこの種の毛細管は、非常に良好にその特性を持続することを特徴としている。多孔性材料(フリット)でできた流動抵抗との違いにおいて、一般的に汚れにより流動抵抗が徐々に大きくなることがない。
【0064】
液体の粘度、そしてそれにより構成部品すべての流動抵抗が、温度と大きく関係するので、フローを決める両方の抵抗7と9は常に同じ温度であることが必要であろう。このために、これらの抵抗を例えば共通のケーシング内に組み込むことは意味のあることである。これに対して、両方の抵抗は同じ係数で変化するので、これらの抵抗の絶対温度は従属的な役割をしている。
【0065】
調整装置112は、横方向分岐のフローをゼロに又は規定の小さいオフセット値(以下を参照)に調整することになる。センサー108のアウトプット信号の種類、および流動抵抗装置110を調製するために必要な制御信号に従って、最も簡単な場合は信号を直接電気的に繋ぐことにより、例えば増幅器しかし好ましくはアナログまたはデジタルの調整装置を介して、この調整を行うことができる。一体化した調整装置として具現すると特に目的に適っており、この方法により横方向分岐におけるフローの時間的平均値を、特に良好な精度でゼロにする、あるいは一定の値に維持することができる。
【0066】
実際において(一体化した調整装置を使用する時も)短時間の調整バラツキが、ゼロでない小さいバランスフローfbalを招くことがある。これにより、僅かな液体量が横方向分岐から又は余剰分岐から作業分岐に達することがある。溶媒グラジエントの場合、そこにある溶媒は全く調整バラツキの場合にのみ交換されるので、横方向分岐にある溶媒成分は通常偶然によって決まる。調整バラツキがある場合、短時間的に横方向分岐で作業分岐に向かう方向にフローが起きると、作業分岐にある溶媒成分は横方向分岐から出て行く溶媒により混同ミスを起こす。
【0067】
よって、ゼロではない平均値に横方向分岐のフローを調整すると目的に適うことがある。このオフセット値を適切に選択するとき、平均して僅かなバランスフローfbalが作業分岐から余剰分岐の方向にできる。これにより、横方向分岐の溶媒が常に作業分岐の溶媒と同じ成分を有することが保証される。オフセット値は、外部作業フローfewへの作用を無視できるように選ばねばならない。オフセット値が外部作業フローfewの0.2%〜5%の範囲、例えば大まかには約1%にあると目的に適っている。よって、フローセンサー108の信号が通常溶媒に関係するので、これは特に意味のあることである。調整装置13がセンサー信号を一定に維持しようとするので、実際のバランスフローfbalは溶媒成分に従って変化する。これによる結果となる外部作業フローfewの僅かな混同ミスは、このような小さいオフセット値では妨げとはならない。
【0068】
本来の意味でフローセンサーの信号を規定の値に調整し、そしてフローセンサー信号と流体の熱容量と熱伝導性との関係により同一のセンサー信号にも拘わらず異なった粘度で、実際には別のフローを調整するときに、この明細書の枠内でフロー調整について、ここで述べることを云っておきたい。
【0069】
溶媒により決まる挙動、およびそのときの溶媒成分は通常公知であるので、これにより引き起こされるオフセット値のミスを十分に補正することは可能である。そのために、溶媒グラジエントおよびフローセンサー108までの実際の通過時間から、そこで予想される溶媒成分を計算する。そして、公知であるセンサーの感度曲線を使って、センサー出力信号用の補正係数を調べる。補正係数は、例えば比較対照表に記録保存しておくことができる。そしてセンサー出力信号と補正係数から、実際のバランスフローを計算する。
【0070】
上記したようにオフセット値は通常、作業フローの僅かな部分にしか過ぎないので、場合により起きる補正係数のミスが外部作業フローfewに対して与える影響は最小である。
【0071】
横方向分岐のフローは常にゼロに近い値を有しているので、横方向分岐構成部品の流動抵抗は通常運転で配置機能に殆ど影響を与えない。しかしながら、横方向分岐の抵抗値は、これが調整システムの感度を下げかねないので、あまりに大き過ぎてはいけない。
【0072】
記述しているように、内部作業フローfiw測定用センサーを利用できるようにするためには、横方向分岐の流動抵抗を出来るだけ小さく設計せねばならず、それによりバランスフローが横方向分岐で圧力降下を生み出さない。
【0073】
クロマトグラフによるシステムを実際に応用するときには、出口に接続しているカラムにより外部作業フローfewを一時的に極端に小さくすることが、場合により好都合である。これにより、カラムで分離した成分がより緩慢におよび/または遅れて後続の分析装置に到達するようにできる。ピークパーキングとも呼ばれるこのフロー減少は通常、システム内に切り替えバルブを組み込むことにより行い、そのバルブを使って第二ポンプから送られるより少ないフローに切り替えることができる。これは追加で必要な部品のために大きな工数を必要とする。
【0074】
図1の配置を使えば、バランスフローfbalを一時的にゼロまたはゼロ近い値に調整するのではなく、基本的により高いプラスの値に調整することにより、追加の部品なしでフロー減少を直接達成できる。これにより、出口116に供給された外部作業フローfewは、設定されたバランスフローfbalだけ減少する。調整装置112が正確に決めたバランスフローを設定できるので、外部作業フローfewを正確に決めた値に小さくできる。
【0075】
それにより図1の装置100は、出口116において供給された外部作業フローfewがそこに接続している装置の反圧と無関係である、という利点をもたらす。さらに、供給された外部作業フローfewは溶媒成分およびその変化とも関係がない。もちろん急速な溶媒グラジエントも供給されたフローに影響を与えない。使用に供された外部作業フローfewは常に全フローf0の正確に決めた一定の割合を示す。これは、通過時間が原因となる時間遅れを除いて、溶媒成分にも当て嵌まる。それにより、全フローを変えることにより外部作業フローfewを、簡単に正確に決めたように制御することができる。加えて、バランスフローfbalをゼロと違うように設定することにより意図的に、外部作動フローfewに影響を与える可能性が得られる。
【0076】
構成のために使用する構成部品に関して、次のような別の利点が得られる。
【0077】
液体流を測定するために使用するフローセンサーは通常、貫流する液体を介した熱の持ち出しを測定することに基づいている。これはその時の液体の特性に大きく関係するので、そのようなセンサーの感度(スケールファクター)は大きく溶媒に関係する。この溶媒との関係により、公知の配置では測定結果に大きなミスを招く。
【0078】
図1における装置100の最初に記述した作動方法では、ゼロ点またはフローの方向のみを検知せねばならないので、センサー信号が溶媒と関係があることは何の役割もしない。同様にセンサーの非直線性は実際では影響がない。
【0079】
作業フローの測定を必要としない場合には、それ故にフローの方向ないしゼロ点のみを正確に調べるフローセンサーを使用でき、手間のかかるセンサーの校正を廃止することができる。
【0080】
上述のように、横方向分岐のバランスフローfbalを、値ゼロにではなく(小さい)オフセット値に調整する場合には、フローの方向ではなく大きさだけを検知するフローセンサーを原則的に使用できる。
【0081】
非常に小さいフロー率のシステムにおいて作業分岐で圧力記録装置を使用することは、通常これが比較的大きな無効体積を有しており、その構造形式およびその中に入れられる液体量の圧縮性により圧力バランス容器のように働くので不都合である。それにより圧力上昇時には、フローの一部が圧力検知器に流れる、あるいは圧力降下時に圧力検知器から余分なフローが送られる。例えば、流体分岐102に圧力検知器を追加して接続しているとすると、これが各圧力変化時にシステムの出口116で供給された外部作業フローfewを混同して誤らせることになる。
【0082】
本発明によるシステムの機能のためには、圧力検知器は不要である。それにも拘わらず、通常関心のある圧力を装置の出口116で、オプションの圧力センサー114を介して高い精度で検知することがある。
【0083】
この圧力検知器114を作業分岐ではなく余剰分岐に配置しているので、圧力検知器の無効体積は全く問題を起こさない。加えて圧力検知器が作業分岐のフロー精度に影響を及ぼさないので、簡単でコスト的に有利な実施形態を使用することができる。
【0084】
調整部材すなわち可変流動抵抗装置110を具現するためには、いろいろの可能性がある。直ぐに思いつく解決手段は例えば、可変の“隘路”を使用することであり、隘路の長さおよび/または断面を変化させることができる。
【0085】
調整部材を具現化するときの決定的なパラメーターは、必要な作業圧力範囲と必要な解決手段である。調整部材に働く圧力は、装置の出口116における圧力(カラム圧力)と同じ大きさである。これは、溶媒の粘度およびクロマトグラフィーのカラムの形式によって決まる。実際には約30〜約400barの圧力範囲が重要である。与えられたカラムのタイプに対して必要な作業範囲は、対象となる溶媒の粘度によって決まる。実際に対象となる溶媒グラジアントでは、粘度の違いは約1:3である。
【0086】
溶媒成分が可変であるとき、カラム圧力を(そしてそれにより調整部材の圧力も)そこで使用する溶媒または1:3までの割合での混合割合に従って変えることができる。
【0087】
図1に示した装置100では、抵抗7と9を通る溶媒の通過時間が基本的に同じであるように流動抵抗を構成しているが、それを目的に合わせて具現するとき、溶媒成分はいつでもフロー配分装置の両出口で(例えば、分岐102と104で)ほぼ同じである。それにより、クロマトグラフィーのカラムに流れる溶媒も、同じ時間に調整部材に流れる溶媒と同じ粘度を有する。
【0088】
調整部材の必要な作業範囲を大きく減少するために、この事実を利用することができる。このために調整部材を、固定のそして設定可能な流体抵抗要素を縦に繋いで具現する。固定抵抗要素には圧力降下があり、それはクロマトグラフィーのカラムでの圧力降下より幾分小さい。
【0089】
固定抵抗要素の流動抵抗値は、クロマトグラフィーカラムの抵抗に類似して、粘度に関係して変化するので、調整部材の設定可能な抵抗要素の作業範囲は、この理論的なケースでのバラツキおよびカラムの汚れに基づく圧力変化のみを均衡せねばならない。
【0090】
図2aは、設定可能で可変の流動抵抗装置110の改良バージョンについて、具現化の可能性を回路記号で概略的に示している。
【0091】
図2aにおける抵抗装置110は二つの抵抗要素120と122が組み合わされており、流動抵抗要素120は貫流する溶媒の粘度に関係する。流動抵抗要素122は、調整装置112を介して変えることができる。
【0092】
概略図において、粘度に関係する部分120を長くて薄肉の毛細管124で表しており、その流動抵抗値は液体粘度に直接比例する。調整可能部分122は、設定可能なニードルバルブ126として具現化しており、通過部分の断面が変化するように、ニードルがモーター駆動128を介して動くことができる。
【0093】
しかし勿論、抵抗要素120と122を別の方法で具現化することもある。調整可能な抵抗要素122を具現するためのニードルバルブの代わりに、例えば圧縮性のフィルター要素または弾性のあるシール要素を使用することもある。
【0094】
また調整可能な抵抗要素122は、直線性のある挙動を有する必要はない。ニードルをモーターで制御するニードルバルブの代わりに、例えばバネが当接するニードルを設けていることもある。この場合には調整可能な抵抗要素を、調整可能な圧力調整装置として具現することになろう。その挙動を電気技術的に例えれば、概ね調整可能なZダイオードに相当する。また、そのような調整可能な圧力調整装置を、“屈曲した”特性曲線を有する調整可能な抵抗として解釈することもでき、この明細書の範囲で“可変の抵抗装置”の概念の中に含まれる。この種の調整可能な圧力調整装置を勿論、調整可能な抵抗装置を具現するために、調整できない抵抗要素なしで使用することもある。
【0095】
図3は、図2における可変流動抵抗装置110用で、使用する溶媒粘度の規定時間変化に対する圧力変化を示している。図示した圧力変化は、出口116にクロマトグラフィーのカラムが接続されている図1の配置に対するものある。
【0096】
図3は、ゼロのバランスフローfbalに対する圧力状況を示している。曲線202は、ポンプ3により供給される使用溶媒混合物比粘度の前もって与えられた変化である。最初の粘度を丁度100%に合わしている。粘度の低い溶媒が高い割合で追加されるので、t=3分とt=9分の間で粘度は本来の値の40%に降下している。この種の粘度変化は、溶媒グラジエントを使って作業するときの典型である。
【0097】
曲線200は、クロマトグラフィーのカラム、即ち出口116での圧力変化を示している。抵抗7を通る通過時間のために粘度変化が最初は遅れてカラムに達するので、粘度降下は幾分遅れていることがわかる。加えて、降下する粘度の範囲が徐々にカラムに入り込むので、圧力変化は滑らかに表れる。抵抗装置110での圧力すなわち抵抗要素120と122の圧力合計は、横方向分岐のために出口116での圧力に等しく、それにより同じく曲線200に相当する。
【0098】
曲線201は、抵抗装置110の固定抵抗要素120すなわち毛細管124での圧力降下である。時間的変化は曲線200にほぼ相当する。しかし毛細管の通過時間はカラムより短いので、それにより変化は滑らかさが少なく或いは遅れが少ない。
【0099】
最後の曲線203は、抵抗装置110の全圧力(曲線200)と抵抗装置の固定抵抗要素120での圧力降下(曲線200)の差異である。抵抗装置の調整可能な抵抗要素122がこの圧力をつくることになる。
【0100】
図3から、抵抗装置110での全圧力(曲線200)が130barまでにもなるにも拘わらず、曲線203が達するのは最高で僅か約25barであることが分かる。これは、抵抗装置110の調整可能な抵抗要素122の作動範囲が、抵抗装置での全圧力より遙かに小さいことがあることを意味している。
【0101】
理論的には、抵抗装置の固定抵抗要素120を最初から、その圧力降下がカラムのそれと正確に相当するように設計することがある。そうすれば調整が全く不要であり、そして横方向分岐も必要としないであろう。しかし実際においては種々の理由から、これは代わりの工数を使っても具現化されない。これに対する本質的な理由は、使用により時間の経過とともにカラムが部分的に汚れ、それが全体として高いカラム圧力を招くだけでなく、時間的な変化も変えることである。
【0102】
液体クロマトグラフィーでは、一部で塩を化学的バッファーとして使用する。そして塩濃度が高いときには塩が析出する危険性がある。これが抵抗装置110で現れる場合には、その機能が損なわれる可能性がある。
【0103】
この問題は、洗い流すために抵抗装置110で低圧側に少なくとも二つの追加接続口を設けることにより避けることができる。この追加接続口を介して連続的に又は一定の時間間隔で、純粋の溶媒(例えば水)を調整部材に送り込むことができる。それにより塩濃度を小さくして析出を回避し、あるいは時に存在する塩の結晶を溶融して注ぎ出す。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】定流ポンプのついた本発明による装置に関して電気ブロック回路図に似せた概略図。
【図2】図1における装置用の可制御可変流動抵抗装置の概略図で、電気ブロック回路図に似せた図示(図2a)と具現化するための原理図(図2b)。
【図3】図2による抵抗装置のついた図1の装置における粘度および圧力の変化を示す線図。
【図4】フロー配分原理を説明するためのもので、従来技術による装置に関して電気ブロック回路図に似せた概略図。
【符号の説明】
【0105】
1 分配装置
3 ポンプ
5 フロー配分装置、流体分岐
7 流動抵抗
9 流動抵抗
11,13 出口
100 装置
102,104 流体分岐
106 横方向分岐
108 フローセンサー
110 流動抵抗装置
112 調整装置
114 圧力センサー
116,118 出口
120 抵抗要素
122 抵抗要素
124 毛細管
126 ニードルバルブ
128 モーター駆動
200,201、202,203 曲線
0 全フロー
ew 外部作業フロー
iw 内部作業フロー
ie 内部余剰フロー
ee 余剰フロー
bal バランスフロー
Sbal アウトプット信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)全フロー(f0)を、余剰分岐の内部余剰フロー(fie)と作業分岐の内部作業フロー(fiw)に配分し、
b)内部作業フロー(fiw)と内部余剰フロー(fie)の配分割合を、作業分岐に設けた流動抵抗(7)と余剰分岐に設けた流動抵抗(9)の逆比例割合により決めており、
c)余剰分岐と作業分岐が、両方の流体抵抗(7,9)の出口それぞれで横方向分岐を介してお互いに接続しており、
d)流動抵抗(7,9)の出口間で横方向分岐に現れるバランスフロー(fbal)を、フローセンサー(108)を使って測定し、
e)外部作業フロー(few)を、装置の後ろに接続した作業装置、例えばクロマトグラフィーのカラムに供給でき、
f)余剰分岐の更に前方に可変の流動抵抗装置(11)を配置しており、
g)可変流動抵抗装置(110)の抵抗値を制御することにより、バランスフロー(fbal)が好ましくは時間的な平均で基本的に丁度ゼロまたは規定のオフセット値であり、その量が内部作業フロー(fiw)と較べて小さいように調整する
特に液体クロマトグラフィー用であって規定の流体流を供給するための方法。
【請求項2】
プラス符号が作業路から余剰路に向かう方向のフロー方向を意味している時に、バランスフロー(fbal)用の規定されたオフセット値がゼロより大きいことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
フローセンサー(108)のセンサー信号(Sbal)と少なくとも一つの流体特性、特に流体の熱伝導性または熱容量との関係を、バランスフロー(fbal)用の規定のオフセット値が得られるように、バランスフロー(fbal)制御時に補正することを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
補正のために補正パラメーターをセンサー信号(Sbal)と結びつけ、特に補正係数をセンサー信号(Sbal)に掛けることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
補正係数用の値を比較対照表に記録保存すること、または補正係数と少なくとも一つの流体特性との機能的関係を記録保存することを特徴とする請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
作業路の更に進んだところで外部作業フロー(few)を一時的に小さくするためのバランスフロー(fbal)を、オフセット値と較べて高い規定の値に調整することを特徴とする前記請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
作業路を更に前方で内部作業フロー(fiw)および/または外部作業フロー(few)を決めるための可変流動抵抗装置の抵抗値を一時的に、外部作業フロー(few)がゼロにならないように、そして通常運転で予想される内部作業フロー(fiw)および/または外部作業フロー(few)をフローセンサー(108)のセンサー信号(Sbal)から調べるように調整することを特徴とする前記請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
横方向分岐の内部作業フロー(fiw)を測定するために、可変流動抵抗装置(110)を短時間閉じて、そして/またはゼロに等しい値に制御し、そのとき横方向分岐が好ましくはゼロに等しい又は近い流動抵抗値を有することを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
a)全フロー(f0)を、余剰分岐の内部余剰フロー(fie)と作業分岐の内部作業フロー(fiw)に配分する流体分岐(5)を有しており、
b)内部作業フロー(fiw)と内部余剰フロー(fie)の配分割合を、作業分岐に設けた流動抵抗(7)と余剰分岐に設けた流動抵抗(9)の逆比例割合により決めており、
c)余剰分岐と作業分岐が、両方の流動抵抗(7,9)の出口それぞれで横方向分岐を介してお互いに接続しており、
d)作業分岐の更に前方で外部作業フロー(few)を、装置(100)に後続した作業装置、例えばクロマトグラフィーカラムに供給でき、
e)流動抵抗(7,9)の間で横方向分岐に、バランスフロー(fbal)を測定するために設けたフローセンサー(108)を有しており、
f)そのセンサー信号(Sbal)が調整装置(112)に送られており、
g)余剰分岐の更に前方に配置され、調整装置(112)により制御可能な可変流動抵抗装置(110)を有しており、
h)可変流動抵抗装置(110)の抵抗値を制御することにより調整装置(112)が、バランスフロー(fbal)が好ましくは時間的平均でゼロに等しい又は規定のオフセット値でありそれが内部作業フロー(fiw)と較べて小さいように、バランスフロー(fbal)を調整する
特に液体クロマトグラフィー用であって規定の流体流を供給するための装置。
【請求項10】
流動抵抗(7,9)を、その流体通過時間が基本的に同じであるように設計していることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
流動抵抗(7,9)を、その流体通過時間が一般的な溶媒グラジエントの時間と較べて短いように設計していることを特徴とする請求項9または10に記載の装置。
【請求項12】
流動抵抗(7,9)が常に同じ温度を有するように、それを配置していることを特徴とする請求項9から11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
調整装置(112)が請求項1から8のいずれかに記載の方法を実施していることを特徴とする請求項9から12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
可変流動抵抗装置(110)の全流動抵抗値が、調整可能で好ましくは電気的に制御可能な流動抵抗要素(122)と調整できない流動抵抗要素(120)の抵抗値で構成されており、そのとき特に調整できない流動抵抗要素(120)の流動抵抗値が、使用する溶媒の粘度によって決まることを特徴とする前記請求項9から13のいずれかに記載の装置。


【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−515642(P2007−515642A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545903(P2006−545903)
【出願日】平成16年11月23日(2004.11.23)
【国際出願番号】PCT/DE2004/002589
【国際公開番号】WO2005/062036
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(506203811)ディオネクス ゾフトロン ゲーエムベーハー (7)
【氏名又は名称原語表記】DIONEX SOFTRON GMBH
【住所又は居所原語表記】Dornier−strasse 4,82110 Germening(DE)