説明

特にISOコンテナを荷役するためのブリッジまたはガントリクレーン

【課題】 ブリッジまたはガントリクレーンの荷役能力を最適化する。
【解決手段】 本発明は、クレーン支持体に沿ってカートの走行方向に移動することのできるクレーンカートであって、垂直上下方向に移動することのできる少なくとも1つのマストを支持するクレーンカートと、前記マストに吊設されるコンテナ用の荷重支持手段とを備えた、特にISOコンテナを荷役するためのブリッジまたはガントリクレーンに関する。ブリッジまたはガントリクレーンの荷役率を最適化するために、第2荷重支持手段(17)を含む少なくとも1つの第2マスト(15)を、カートの走行方向(K)に見て第1マスト(14)の後ろに、そこから間隔を置いて配置することを提案する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーンキャリアに沿ってトロリ走行方向に移動することのできるクレーントロリを有し、該クレーントロリが垂直昇降方向に移動することのできる少なくとも1つのマストを支持し、該マストにコンテナ用の荷受け手段が吊設されて成る、特にISOコンテナを荷役するためのブリッジまたはガントリクレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許EP1365984B1から、コンテナターミナル内でコンテナを蔵置エリアに入出庫する、コンテナ特にISOコンテナを段積みするためのブリッジまたはガントリクレーンは公知である。蔵置エリア内でコンテナは矩形の蔵置フロアに縦横配列状態に降ろされ、かつ最高4個までのコンテナが上下に段積みされる。蔵置エリア内で、降ろされたコンテナは、蔵置エリアの長手方向に整列する長手方向の伸びを有する。例えば10個のコンテナは、蔵置エリアの幅方向に互いに隣り合わせに、互いに狭い間隔で降ろされる。ブリッジまたはガントリクレーンは、立方形の蔵置エリアを幅方向に実質的に跨ぐクレーンキャリアを有し、該クレーンキャリア上で、その長手方向に、クレーントロリが走行することができる。ブリッジまたはガントリクレーンがブリッジクレーンとして形成された場合、クレーンキャリアはその両端の各々に、少なくとも1つの走行装置を有し、該走行装置によってクレーンキャリアはレールに沿って走行することができる。ブリッジクレーンの構造によると、レールはこの目的のために、蔵置エリアに対して横方向に隣接して配置されかつ床に固定された、垂直支持体によって昇降される。したがってブリッジクレーンは、クレーンキャリアの走行装置によって蔵置エリアの長手方向に走行することができ、かつクレーンキャリア上を走行することのできるクレーントロリによって蔵置エリアを横行することができる。ブリッジまたはガントリクレーンがガントリクレーンとして形成された場合、クレーンキャリア用のレールは、蔵置エリアに対して横方向に隣接して床に配置され、クレーンキャリアの走行装置は、垂直支持体を介してクレーンキャリアの端に接続される。
【0003】
クレーントロリによってコンテナを荷役することができるようにするために、昇降させることができかつ垂直方向に案内されるマストがクレーントロリに設けられる。マストはボックスガーダとして形成され、マストの昇降運動のために、巻上機構がクレーントロリに配設される。コンテナ用の荷受け手段、特にいわゆるスプレッダは、荷役されるコンテナの方向に向けられたマストの下端に吊設される。クレーントロリと荷受け手段との間に剛性マストを使用すると、ケーブルに吊設される状態でも使用される荷受け手段とは対照的に、低レベルの揺れでコンテナを荷役することが可能になるので、有利である。
【0004】
欧州特許出願EP1939131A2から、クレーントロリを持つコンテナブリッジも既に公知であり、該クレーントロリは、トロリ走行方向に見たときに互いに前後に位置する2つのケーブル巻取機構を有し、該ケーブル巻取機構に、2つのISOコンテナ用のツイン荷受け手段が巻上ケーブルによって吊設される。しかし、個々の荷受け手段は油圧シリンダを介して互いに接続され、該油圧シリンダは、個々の荷受け手段の間の間隔を調整できるようにするために、略水平方向にかつトロリ走行方向に配向される。それに相応して、荷受け手段は巻上およびステアリング方向に互いに独立して移動することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許EP1365984B1
【特許文献2】欧州特許公開EP1939131A2
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、ブリッジまたはガントリクレーンの荷役能力を最適化することである。
【0007】
この目的は、請求項1の特徴を有するブリッジまたはガントリクレーンによって達成される。本発明の有利な実施形態を請求項2ないし7に掲げる。
【0008】
本発明によると、クレーンキャリアに沿ってトロリ走行方向に移動することのできるクレーントロリを有し、該クレーントロリが垂直昇降方向に移動することのできる少なくとも1つのマストを支持し、該マストにコンテナ用の荷受け手段が吊設される、特にISOコンテナの荷役用のブリッジまたはガントリクレーンの場合、荷役能力の最適化は、トロリ走行方向に見たときに第1マストの後ろに第1マストから間隔を置いて、第2荷受け手段を持つ少なくとも1つの第2マストを配置することで達成される。したがって、クレーンキャリアに沿ったクレーントロリの1回の走行移動で2つのコンテナを移送することができる。共通クレーントロリが有利に提供される。
【0009】
有利な方法で、第1マストに配置された第1荷受け手段および少なくとも1つの第2マストに配置された第2荷受け手段によって、それぞれのコンテナを昇降方向の移動に関して互いに独立して荷役することができるように、第1マストおよび少なくとも1つの第2マストは互いに間隔を置いて配置するように構成される。この方法で、コンテナを同時にまたは連続的に荷役することができ、または2本のマストのうちの1本を上昇不動作位置に維持することができる。個々の荷役プロセスの間に荷役手段をコンテナに対して整列させるためのクレーントロリの走行移動も可能である。
【0010】
構造的に、第1マストは第1巻上機構を介して昇降することができ、かつ少なくとも1つの第2マストは第2巻上機構を介して昇降することができるように構成される。また、第1および第2マストは、クレーントロリ上でそれぞれ、第1上部および下部案内要素を介し、かつ第2上部および下部案内要素を介して、案内されるようにも構成される。
【0011】
また、クレーンキャリアが第1キャリアおよび第2キャリアから構成され、それらの上にトロリレールが配置され、その上をクレーントロリがトロリ走行方向に走行することができ、かつ第1キャリアおよび第2キャリアがトロリ走行方向に対して直角を成すクレーン走行方向に互いに間隔を置いて配置されることも有利である。
【0012】
好適な実施形態では、第1マストおよび第2マストは共通クレーントロリ上に配置される。2つのマストの存在は荷役能力の増大を可能にするが、同時に、コンテナ保管所の長手方向に見たときに、ブリッジおよびガントリクレーンの構造の幅のわずかな増加を導く。
【0013】
コンテナの横揺れを効果的に最小化または防止するために、第1マストおよび第2マストは各々一体品から形成され、かつ剛性である。伸縮マストは、複数の伸縮部分が設けられるので、この定義の意味では「一体品」とはみなされない。
【0014】
本発明の例示的実施形態を以下で説明し、かつ図面に示す。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】港湾エリアにおけるISOコンテナ用の荷役設備の概観図である。
【図2】図1に係る荷役設備のコンテナ保管所の積み降ろしエリアの領域の図1の拡大図である。
【図3】ガントリクレーンとして形成された場合の図2に示す本発明に係るブリッジまたはガントリクレーンの斜視図である。
【図4】図3の側面図である。
【図5】隣接するさらなるブリッジまたはガントリクレーンを含む図3の正面図である。
【図6】代替的長さのクレーンキャリアを有するブリッジまたはガントリクレーンを含む図3の正面図である。
【図7】図1に示すコンテナが入出庫される荷役設備のエリアの領域の図1の拡大図である。
【図8】クレーントロリの領域から見た図5に示すブリッジまたはガントリクレーンの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、コンテナ2、特にISOコンテナが荷役される港湾エリアの荷役設備1の概観図を示す。概観図は荷役設備1の一部分を示すだけであるが、その本質的な構成要素を見ることができる。荷役設備1は陸側荷役エリア3、コンテナ保管所4、および海側荷役エリア5から構成される。
【0017】
陸側荷役エリア3はコンテナ保管所4の陸側端4aに隣接しており、積み降ろしされるローリ8用の互いに隣接して配置された複数の駐車スペース7を持つ積み降ろしエリア6を有する。積み降ろしエリア6では、駐車スペース7の1つに駐車されたローリ8が、コンテナ保管所4で稼働するブリッジまたはガントリクレーン9によって積み降ろしされる。
【0018】
コンテナ保管所4は、列を成して互いに平行に配置された複数のコンテナ蔵置エリア4cから構成され、それらの陸側端4aで積み降ろしエリア6がそれぞれに割り当てられ、かつそれらの海側端4bでそれぞれにコンテナが入出庫されるエリア10が割り当てられる。各コンテナ蔵置エリア4cには、コンテナ蔵置エリア4cに沿ってレール11上をクレーン走行方向Fに走行することのできる1つまたは複数のブリッジまたはガントリクレーン9が割り当てられる。コンテナ2は、ブリッジまたはガントリクレーン9によって、コンテナ蔵置エリア4cと積み降ろしエリア6またはコンテナが入出庫されるエリア10との間を移送される。1つまたは複数のブリッジまたはガントリクレーン9に加えて、各コンテナ蔵置エリア4cはまた、コンテナ2のための荷降ろしエリア4dをも有する。荷降ろしエリア4dは、コンテナ2が縦横配列状態に配置される矩形のベース面を有する。この場合、最高5個までのコンテナ2が上下に段積みして保管される。降ろされたコンテナ2は、長手方向の伸びを本質的にレール11と平行にして、かつしたがってブリッジまたはガントリクレーン9のクレーン走行方向Fにして配向される。コンテナ2のこの配向は、発着するローリ7がある積み降ろしエリア6およびコンテナが入出庫されるエリア10でも見られるので、それぞれのブリッジまたはガントリクレーン9は、荷上げおよび荷降ろし中に必要な位置合わせ補正とは別に、コンテナ2を旋回させる必要が無い。
【0019】
コンテナ保管所4の海側端4bでは、コンテナ2はブリッジまたはガントリクレーン9によって、コンテナが入出庫されるエリア10に降ろされ、またはそこから荷上げされる。コンテナが入出庫されるエリア10は、海側荷役エリア5に対する境界域として働く。
【0020】
図2は、図1の積み降ろしエリア6の領域および隣接するコンテナ蔵置エリア4cの一部の拡大図を示す。各積み降ろしエリア6に、ローリ8用の複数の駐車スペース7が、互いに最小可能な間隔を置いて、互いに隣接して配置されていることが明瞭である。9列のコンテナ2が互いに隣接して降ろされた蔵置エリア4cには、ローリ8用の6つの駐車スペース7が互いに隣接して設けられる。
【0021】
ブリッジまたはガントリクレーン9自体のより詳細な構造も図2から明確である。このブリッジまたはガントリクレーン9は本質的に、それぞれのコンテナ蔵置エリア4cの荷降ろしエリア4dに横方向に隣接して配置されたレール11に沿って、クレーン走行方向Fに走行することのできるクレーンキャリア12から構成され、該クレーンキャリア上をクレーントロリ13が、クレーンキャリア12の走行方向Fに対して直角を成すトロリ走行方向Kに走行することができる。第1マスト14および第2マスト15は、トロリ走行方向Kに見たときに互いに前後して、互いに間隔を置いてクレーントロリ13上に配置される。第1および第2マスト14、15はしたがって共通クレーントロリ13に吊設され、したがってクレーントロリ13によってクレーンキャリア12に沿って一緒に移動する。2つのマスト14、15は各々、その下端14a、15aに取り付けられた荷受け手段16、17、好ましくはスプレッダフレームによってコンテナ2を荷上げおよび荷降ろしするために(図3参照)、垂直方向に、かつクレーントロリ13に対して、昇降することができる。第1および第2マスト14、15は剛性の一体ジブとして、好ましくはボックスガーダの形に形成され、それによって荷受け手段16、17はクレーントロリ13に対して案内される。このようにして、コンテナ2を含むか含まないかに関わらず荷受け手段16、17の横方向すなわち水平方向の揺動は最小化または防止される。第1および第2マスト14、15は、伸縮自在にした場合に設けられる個々の伸縮自在部間の追加的ガイドのため、横方向の安定性が損なわれるので、伸縮自在にすることができない。
【0022】
図3は、ガントリクレーンとしての実施形態における本発明に係るブリッジまたはガントリクレーン9の斜視図を示す。明確を期すために、コンテナ蔵置エリア4cは空の状態で示す。ガントリクレーン9はクレーンキャリア12を有し、その両端は、クレーン走行方向Fに見たときに右側および左側の垂直支持体18lおよび18rを介して支持される。概して、ガントリクレーンはクレーン走行方向Fに見たときにU字形であり、底に向かって開いている。垂直支持体18lおよび18rはそれらの上端にクレーンキャリア12をその両端領域で受容し、それら下端で、レール11上のクレーン走行装置19を介して、クレーン走行方向Fに走行することができる。さらに、クレーンキャリア12は、クレーン走行方向Fに見たときに互いに前後に配置され、かつ互いに前後に同一高さに間隔を置いて配置された、第1キャリア12aおよび第2キャリア12bを持つ二重キャリアとして形成される。相応するように、左垂直支持体18lおよび右垂直支持体18rもまた、クレーン走行方向Fに見たときに二重支持体として形成され、該二重支持体は、U字形状を形成するように、それら下端領域でベースキャリア18aによって相互に接続される。全部合わせてU字形状を形成する垂直支持体18lおよび18rならびにベースキャリア18aはさらに、ロッド状の主張力要素18bを介して補強される。主張力要素18bは十字形に配置され、かつ左垂直支持体18lおよび右支持体18rの上端および下端の領域に各々配置される。ベースキャリア18aと平行に、したがって略水平方向に延びる上部張力要素18cがさらに、十字形の主張力要素18bの上に設けられる。
【0023】
図3はまた、各々三角形の断面を有する第1キャリア12aおよび第2キャリア12bをも示す。この三角形の断面は二等辺三角形の形状であり、頂点の領域の角度は約30°である。第1キャリア12aおよび第2キャリア12bの頂点12cの領域に、トロリレール20がいずれの場合にも取り付けられ、その上をクレーントロリ13がトロリ走行方向Kに走行することができる。
【0024】
平面図で見たときに、トロリ13は本質的に矩形のベースフレーム13aから構成され、その4隅にトロリ走行装置21が配置され、それはトロリレール20上を走行する。クレーントロリ13のベースフレーム13aの中間領域に2つの開口があり、それを介して第1マスト14および第2マスト15が案内される。第1マスト14および第2マスト15は各々、下部案内要素32aを介してベースフレーム13a内に案内される(図8参照)。加えて、テーブル状支持構造体23がベースフレーム13に配置され、該構造体は、平面図で見たときに矩形であり、6本の脚23bを介してベースフレーム13の上側に支持される上部フレーム21aを有する。第1マスト14および第2マスト15のための上部案内要素32bは、キャリア構造体23の上部フレーム21aの領域に設置される(図8参照)。
【0025】
第1マスト14および第2マスト15を昇降方向Hに移動させるために、第1マスト14用の第1巻上機構25および第2マスト15用の第2巻上機構26が、クレーントロリ13のベースフレーム13a上に配置される。相応するように、第1および第2マスト14、15は、相互に独立して昇降方向Hに移動することができる。図3では、第1マスト14はその上昇位置に示される。対照的に、第2マスト15は中間位置にある。このようにして、第1巻上機構25および第2巻上機構26はベースフレーム13aの両側に配置される。第1巻上機構25および第2巻上機構26はそれぞれ第1ケーブルドラム25a、26aおよび第2ケーブルドラム25b、26bを有し、それらは相互に同軸に、かつそれぞれ第1駆動モータ25dおよび第2駆動モータ26dによって駆動される共通第1トランスミッション25cおよび第2トランスミッション26cに取り付けられる。4つのケーブルドラム25a、25b、26a、および26bは各々、いずれの場合にもそこから延びる2本の第1ケーブル27および2本の第2ケーブル28を有するので、各巻上機構25、26毎に4本のケーブル27、28が設けられ、ケーブルドラム25a、25b、26a、26bから直接垂直方向下向きに延びるか、または第1マスト14および第2マスト15の反対側に水平方向に案内され、そこから水平回転軸を持つ偏向ローラ29を介して90°垂直下向きに偏向する。第1ケーブル27の端部は第1荷受け手段16に接続され、第2ケーブル28の端部は第2荷受け手段17に接続される。
【0026】
さらに図3は、左垂直支持体18lの外側に、ブリッジまたはガントリクレーン9のための制御および電源用電気電子機器が配置されたコンテナ状筐体30が取り付けられることをも示す。
【0027】
図4は図3の側面図を示し、第1マスト14の下端14aの第1荷受け手段16および第2マスト15の下端15aの第2荷受け手段17のユニバーサルアタッチメントを特によく示す。第1荷受け手段16および第2荷受け手段17は、通常の方法で上部第1サスペンションフレーム16aおよび上部第2サスペンションフレーム17aならびに実際の第1スプレッダフレーム16aおよび第2スプレッダフレーム17aに分布される。第1サスペンションフレーム16aおよび第2サスペンションフレーム17aは各々、第1マスト14の上端14aおよび第2マスト15の下端15aの中心に汎用的に取り付けられ、平面図で見たときに本質的に矩形の断面を有する。第1サスペンションフレーム16aおよび第2サスペンションフレーム17aのそれぞれの隅部に、4本の第1ケーブル27および4本の第2ケーブル28が取り付けられる。明確を期すために、第2ケーブル28は省略されている。
【0028】
図4は、第1荷受け手段16が、2つの左垂直支持体18lの間の上部張力要素18cより上の、コンテナ2の長さに対して引っ込んだ位置であるその最大上昇位置にあるので、クレーントロリ13が荷受け手段16およびそのスプレッダフレーム16bと共に、コンテナ2をそれによって搬送することなく、上部張力要素18cを超えて走行することができることを明瞭に示す。
【0029】
さらに図4は、第1ケーブルドラム25aから上向きに延びかつ水平に第1マスト14の方向に延びる第1ケーブル27が、ベースフレーム13aの反対側に取り付けられた偏向ローラ29の方向に案内され、かつこの偏向ローラによってその水平方向の向きから90°垂直方向下向きに偏向されることを示す。相応して、他の第1ケーブル27および第2ケーブル28も偏向されるので、全部で4つの偏向ローラ29がベースフレーム13aに配置される。
【0030】
従来の方法で、第1スプレッダフレーム16bおよび第2スプレッダフレーム17bはそれぞれ、第1チェーン16cおよび第2チェーン17cを介して第1サスペンションフレーム16aおよび第2サスペンションフレーム17bに吊設される。
【0031】
図5は、隣接するさらなるブリッジまたはガントリクレーン9′を含む図3の正面図を示す。この図には、コンテナ2が上下に段積みされたコンテナ蔵置エリア4cが明瞭に示される。いずれの場合にも、5個のコンテナがコンテナ蔵置エリア4cに上下に段積みされ、トロリ走行方向Kに見たときに互いに隣接して、かつ互いに約40cmの間隔を置いて荷降ろしされる。相応して、第1マスト14および第2マスト15は、トロリ走行方向Kに互いに間隔を置いてクレーントロリ13上に配置されて、第1荷受け手段16および第2荷受け手段17、特にその第1スプレッダフレーム16bおよびその第2スプレッダフレーム16cが、トロリ走行方向Kに見たときに互いに間隔を置いて配置されるようにし、コンテナ2を第1荷受け手段16および第2荷受け手段17によって同期してまたは時間をずらしながら少なくとも部分的に同時に、コンテナ蔵置エリア4cから荷上げするかまたはそこに荷降ろしすることができるようにする。
【0032】
トロリ走行方向Kに見てコンテナ2の最初の列および最後の列に関して、第1荷受け手段16および同じく第2荷受け手段17もこれらのコンテナに到達できるように構成されるので、各コンテナ2は第1荷受け手段16または第2荷受け手段17によってコンテナ蔵置エリア4cの各位置に荷降ろしすることができ、またはそこから荷上げすることができる。この目的のために、第1キャリア12aおよび第2キャリア12bは、右垂直支持体18rに関連して見たときに、上昇した第2荷受け手段17が横方向にコンテナ蔵置エリア4dから外側に延びることができる程度に、左垂直支持体18lおよび右垂直支持体18rを超えて横方向に延長されたので、第1荷受け手段16は最後の列のコンテナでもコンテナ2を荷上げまたは荷降ろしすることができ、かつ第1荷受け手段16は最初の列でもそうすることができる。左側トロリ13の場合について、対応する状況は図5に示される。
【0033】
筐体30が左側垂直支持体18lに横方向に隣接して配置される左側だけ、関連レール20と共に第1キャリア12aおよび第2キャリア12bを延長することも実行可能である。この側での対応する延長は、ブリッジまたはガントリクレーン9の構造の大きさの増大につながらない。そのような延長が右側垂直支持体18rに関連して右側で実行され、かつ対応する延長が平行に配置されたさらなるブリッジまたはガントリクレーン9′でも実行される場合には、これらの垂直支持体18r、18l′の間に、コンテナ2を蔵置するために使用することのできない、例えばむしろ走行路31としての領域が生じる。
【0034】
図6は、代替的長さのクレーンキャリア12を持つブリッジまたはガントリクレーン9を含む図3の正面図を示す。既述の通り、第1キャリア12aおよび第2キャリア12bを横方向左側垂直支持体18lおよび右側垂直支持体18rの領域で終端させることも可能である。これは、蔵置エリア4cでトロリ走行方向Kに見て段積みコンテナ2の最初の列および最後の列が、最初の列のコンテナ2に関しては第1荷受け手段16と共に、トロリ走行方向Kに見て前側にある第1マスト14のみによって、かつ最後の列のコンテナ2に関しては、第2荷受け手段16と共にトロリ走行方向Kに見て後側にある第2マスト15のみによって、作業することができることを意味する。
【0035】
図7は、図1に係る荷役設備1のコンテナ保管所4の積み降ろしエリア6の領域から見た図1の拡大断面図を示す。この図から、コンテナが入出庫されるエリア10では、自動誘導車両33用の複数の駐車スペース7が互いに最小可能な間隔で互いに隣接して配置されることが明瞭である。蔵置エリア4cはしたがって互いに隣接して荷降ろしされる9列のコンテナ2を有し、そこに自動誘導車両33によるコンテナの荷降ろしまたは荷上げのために4つの駐車スペース7が設けられる。コンテナ2用の駐車スペース7は本質的に、ブリッジもしくはガントリクレーン9または自動誘導車両33によってコンテナ2をその上に降ろすかまたは引き上げることのできる静止支持フレーム7aから構成される。この目的のために、支持フレーム7aには、自動誘導車両33が入出走行する方向に見て横方向内側に突出した荷降ろし面が設けられ、自動誘導車両33によって持ち上げられたコンテナ2を該荷降ろし面上に降ろすかまたは引き上げることができる。
【0036】
さらに、図8は、クレーントロリ13の領域から見た、図5に係るブリッジまたはガントリクレーン9の断面図を示す。この側面図から、第1マスト14および第2マスト15がそれぞれ、クレーントロリ13のベースフレーム13aの領域では下部案内要素32aを介して、かつキャリア構造体23の上部フレーム23aの領域では上部案内要素32bを介して、案内されることが特に明瞭である。下部および上部案内要素32aおよび32bはガイドローラとして形成され、いずれの場合にも第1マスト14および第2マスト15を四方から、かつ対向するように案内する。
【0037】
説明は、ガントリクレーンとして形成されたブリッジまたはガントリクレーン9、9′に関連する。基本的に、ブリッジまたはガントリクレーン9、9′を高架または上昇レール11と共にブリッジクレーンとして形成することも可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 荷役設備
2 コンテナ
3 陸側荷役エリア
4 コンテナ保管所
4a 陸側端
4b 海側端
4c コンテナ蔵置エリア
4d 荷降ろしエリア
5 海側荷役エリア
6 積み降ろしエリア
7 駐車スペース
7a 支持フレーム
8 ローリ
9、9’ ブリッジまたはガントリクレーン
10 コンテナの入出庫エリア
11 レール
12 クレーンキャリア
12a 第1キャリア
12b 第2キャリア
12c 頂点
13 クレーントロリ
13a ベースフレーム
14 第1マスト
14a 第1マストの下端
15 第2マスト
15a 第2マストの下端
16 第1荷受け手段
16a 第1サスペンションフレーム
16b 第1スプレッダフレーム
16c 第1チェーン
17 第2荷受け手段
17a 第2サスペンションフレーム
17b 第2スプレッダフレーム
17c 第2チェーン
18a ベースキャリア
18b 主張力要素
18c 上部張力要素
18l、18l′ 左側垂直支持体
18r 右側垂直支持体
19 クレーン走行装置
20 トロリレール
21 トロリ走行装置
22 下部開口
23 支持構造体
23a 上部フレーム
23b 脚
24 上部開口
25 第1巻上機構
25a 第1ケーブルドラム
25b 第2ケーブルドラム
25c 第1トランスミッション
25d 第1駆動モータ
26 第2巻上機構
26a 第1ケーブルドラム
26b 第2ケーブルドラム
26c 第2トランスミッション
26d 第2駆動モータ
27 第1ケーブル
28 第2ケーブル
29 偏向ローラ
30 筐体
31 走行路
32a 下部案内要素
32b 上部案内要素
33 自動誘導車両
F クレーン走行方向
H 昇降方向
K トロリ走行方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーンキャリアに沿ってトロリ走行方向に移動することのできるクレーントロリを有し、前記クレーントロリが垂直昇降方向に移動することのできる少なくとも1つのマストを支持し、かつ前記マストにコンテナ用の荷受け手段が吊設されて成る、特にISOコンテナを荷役するためのブリッジまたはガントリクレーンであって、第2荷受け手段(17)を持つ少なくとも1つの第2マスト(15)が、トロリ走行方向(K)に見たときに第1マスト(14)の後ろにそこから間隔を置いて配置されることを特徴とするブリッジまたはガントリクレーン。
【請求項2】
前記第1マスト(14)に配置された第1荷受け手段(16)および前記少なくとも1つの第2マスト(15)に配置された第2荷受け手段(17)によって、それぞれのコンテナ(2)を昇降方向(H)の移動に関して互いに独立して荷役することができるように、前記第1マスト(14)および前記少なくとも1つの第2マスト(15)が互いに間隔を置いて配置されることを特徴とする、請求項1に記載のブリッジまたはガントリクレーン。
【請求項3】
前記第1マスト(14)を第1巻上機構(25)を介して昇降させることができ、かつ前記少なくとも1つの第2マスト(15)を第2巻上機構(25)によって昇降させることができることを特徴とする、請求項1または2に記載のブリッジまたはガントリクレーン。
【請求項4】
前記第1マスト(14)および第2マスト(15)がそれぞれ、第1上部および下部案内要素を介し、かつ第2上部および下部案内要素を介して、クレーントロリ(13)上を案内されることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のブリッジまたはガントリクレーン。
【請求項5】
前記クレーンキャリア(12)が第1キャリア(12a)および第2キャリア(12b)から構成され、その上にトロリレール(20)が配置され、その上を前記クレーントロリ(13)がトロリ走行方向(K)に走行することができ、前記第1キャリア(12a)および前記第2キャリア(12b)が、前記トロリ走行方向(K)に対して直角のクレーン走行方向(F)に互いに間隔を置いて配置されることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか一項に記載のブリッジまたはガントリクレーン。
【請求項6】
第1マスト(14)および第2マスト(15)がクレーントロリ(13)上に配置されることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか一項に記載のブリッジまたはガントリクレーン。
【請求項7】
前記第1マスト(14)および前記第2マスト(15)が各々一体品から形成され、かつ剛性であることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか一項に記載のブリッジまたはガントリクレーン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−501932(P2012−501932A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−525507(P2011−525507)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【国際出願番号】PCT/EP2009/060905
【国際公開番号】WO2010/026076
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(504346570)ゴットヴァルト ポート テクノロジー ゲーエムベーハー (14)
【氏名又は名称原語表記】GOTTWALD PORT TECHNOLOGY GMBH
【住所又は居所原語表記】Forststrasse 16,40597 Dusseldorf,Germany
【Fターム(参考)】