説明

特定の組成物のスパンデックスおよび同スパンデックスの製造方法

本発明は、改良されたヒステリシスを有するスパンデックスおよびかかるスパンデックスの製造方法を提供する。本発明のスパンデックスが、(a)ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールと、(b)1−イソシアナト−4−[(4−イソシアナトフェニル)メチル]ベンゼンとを、ジイソシアネートの、グリコールに対するモル比が約1.52〜約2.04であるようにして、かつ、(c)約35〜約55モルパーセントのエチレンジアミンと、約45〜約65モルパーセントの1,2−プロパンジアミンとを含む連鎖延長剤の混合物と、からのポリウレタン尿素反応生成物を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の組成物を含むスパンデックスに関し、特に、ジアミン連鎖延長剤の特定の組合せを用いて製造されたポリウレタン尿素スパンデックスに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン尿素スパンデックスのための様々な組成物が、例えば、米国特許公報(特許文献1)、米国特許公報(特許文献2)、および米国特許公報(特許文献3)および(特許文献4)および(特許文献5)に開示されている。しかしながら、かかる組成物は、高ヒステリシスを有する場合があり、不安定な溶液を形成する場合がある。
【0003】
ポリウレタン尿素スパンデックスのための改良された組成物がさらに必要とされる。
【0004】
【特許文献1】米国特許第5981686号明細書
【特許文献2】米国特許第6403216号明細書
【特許文献3】米国特許第5000899号明細書
【特許文献4】特開平03−279415号公報
【特許文献5】特開昭58−194915号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールと、1−イソシアナト−4−[(4−イソシアナトフェニル)メチル]ベンゼンとを、ジイソシアネートの、グリコールに対するモル比が少なくとも約1.52であり、ジイソシアネートの、グリコールに対するモル比が多くても約2.04であるようにして、かつ、
約35モル〜約55モルパーセントのエチレンジアミンと、
約45モルパーセントの1,2−プロパンジアミン〜約65モルパーセントの1,2−プロパンジアミンとを含む連鎖延長剤の混合物と、からのポリウレタン尿素反応生成物を含むスパンデックスを提供する。
【0006】
本発明はまた、かかるスパンデックスの製造方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
ポリウレタン尿素の特定の組成物を含むスパンデックスが予想外に低いヒステリシスを有し、ポリウレタン尿素が予想外に良好な溶液の粘度の安定性を有することがわかった。本明細書中で用いられる用語「ヒステリシス」は、負荷力と負荷除去力との間の差を意味する。かかるスパンデックスを織布、編布、および不織布において用いることができ、おしめなどの個人ケア物品の伸張および回復を提供することができる。
【0008】
本明細書中で用いるとき、スパンデックスは、繊維形成物質がセグメント化ポリウレタン少なくとも85重量%からなる長鎖合成ポリマーである製造された繊維を意味する。
【0009】
本発明のスパンデックスが、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールと、1−イソシアナト−4−[(4−イソシアナトフェニル)メチル]ベンゼンと、約35〜55モルパーセントのエチレンジアミンおよび約45〜65モルパーセントの1,2−プロパンジアミン、典型的に約40〜50モルパーセントのエチレンジアミンおよび約50〜60モルパーセントの1,2−プロパンジアミンを含む連鎖延長剤の混合物と、からのポリウレタン尿素反応生成物を含む。ジイソシアネートの、ポリマーグリコールに対するモル比(「キャッピング比」)は、約1.52〜2.04であることがある。1,2−プロパンジアミン含有量および/またはジイソシアネートの、グリコールに対する比が高くなるとき、負荷力およびヒステリシスを有害なまで増加させることがある。1,2−プロパンジアミンの含有量が低すぎるとき、かかるポリウレタン尿素の溶液の粘度安定性が損なわれることがある。
【0010】
ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールが、約1600〜2500ダルトンの数平均分子量を有することがある。前記グリコールが酸、酸製造化合物、または触媒を含有することができ、それらをキャッピング工程の前に、例えば、リン酸エステル、リン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、硫酸、オクタン酸第一錫、チタン酸アルキル等をポリマーグリコールの重量に基づいて10〜100ppm添加することができる。前記ポリマーグリコール中に、ブタンジオール、ヘキサンジオール、1,4−シクロへキサンジメタノール等の、約250ダルトンより小さい低分子量を有するジオールを含有することは必要ではなく、前記ポリマーグリコールはかかるジオールを実質的に含有しないことがあり、かかるジオールの約5モルパーセント未満が存在し得ることを意味する。
【0011】
ポリウレタン尿素の分子量を制御するために、少なくとも1つの一官能性連鎖停止剤、例えばジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、メチルシクロヘキシルアミン(例えば1−アミノ−3−メチルシクロ(cylo)へキサン、1−アミノ−2−メチルシクロへキサン、および1−アミノ−3,3,5−トリメチルシクロへキサン)、n−ドデシルアミン、2−アミノノルボルナン、1−アダマンタンアミン、エタノールアミン、メタノール、エタノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、n−デカノール、およびそれらの混合物を用いることができる。n−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、およびエタノールアミンなどの第一アミン停止剤が好ましい。本発明の利点が損なわれない限り、ジエチレントリアミンもまた、連鎖延長工程において低レベルにおいて用いられてもよい。
【0012】
様々な添加剤が、その有利な面を減らさない限り、本発明のスパンデックスおよび方法において用いられてもよい。例には、二酸化チタンなどの艶消剤、ハイドロタルサイト、ハンタイトおよびハイドロマグネサイトの混合物(例えばポリウレタン尿素に基づいて0.2〜0.7重量パーセント)、硫酸バリウム、ヒンダードアミン光安定剤、紫外線遮断剤、ヒンダードフェノール、および酸化亜鉛などの安定剤、染料および染料促進剤などがある。
【0013】
本発明の方法において、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールと1−イソシアナト−4−[(4−イソシアナトフェニル)メチル]ベンゼンとを接触させてキャップドグリコールを形成し、ここでイソシアネート部分がキャップドグリコールの重量に基づいて約2.2〜2.9重量パーセントにおいて存在する。キャップドグリコールを適した溶剤、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、またはN−メチルピロリドンと混合してキャップドグリコールの溶液を形成し、次いでそれを約35〜55モルパーセントのエチレンジアミン、典型的に約40〜50モルパーセントのエチレンジアミン、および約45〜65モルパーセントの1,2−プロパンジアミン、典型的に約50〜60モルパーセントの1,2−プロパンジアミンを含む連鎖延長剤の混合物と接触させ、ポリウレタン尿素溶液を形成する。ポリウレタン尿素溶液は、約1000〜4000ポアズの落球粘度を有することができ、湿式または乾燥紡糸されてスパンデックスを形成することができる。
【0014】
前記方法は、バッチ工程(特に、キャップドグリコールおよびポリウレタン尿素を形成する工程)として、または連続的に行われてもよい。
【0015】
実施例において、キャップドグリコールのNCO部分の量は重量パーセントとして記載され、以下の関係式:
【0016】
【数1】

【0017】
から計算され、
式中、「fw」は、式量を意味し、「mw」は分子量を意味し、「C.R.」は、キャッピング比(ジイソシアネートの、ポリマーグリコールに対するモル比)を意味し、「グリコール」はポリマーグリコールを意味し、「NCO」は、式量が42.02であるイソシアネート部分を指す。
【0018】
ポリウレタン尿素溶液の粘度は、40℃において操作されるモデルDV−8落球粘度計(バージニア州、ウェインズボロのデュラテック・コーポレーション(Duratech Corp.,Waynesboro,VA)製)を用いてASTM D1343−69の方法によって確認し、ポアズ単位で記録する。
【0019】
ポリウレタン尿素の固有粘度(「IV」)は、ASTM D2515によって標準キャノン−フェンスケ(Cannon−Fenske)粘度計管内で、DMAcに溶かしたポリマーの希釈溶液の粘度を25℃においてDMAc自体の粘度と比較することによって測定され(「相対粘度」方法)、dl/g単位で記録される。スパンデックスを形成し、本発明の方法において調製および紡糸されるポリウレタン尿素の固有粘度は、約0.85〜1.05である場合がある。ポリウレタン尿素の分子量はゲル浸透クロマトグラフィーによって測定され、その重量平均分子量(「MW」)が約80,000〜105,000である場合があり、その数平均分子量(「MW」)が約20,000〜38,000である場合があり、その多分散度が約2.4〜3.6である場合がある。より高いポリウレタン尿素IVおよび分子量は、より高い負荷力およびヒステリシスを有するスパンデックスを生じることがあるが、NCOおよびジアミン連鎖延長剤の重量パーセントの比を変化させる効果は、より低いIVおよび分子量においての効果と実質的に同じであり、0.1より大きいIVの変化が、ヒステリシスの著しい変化をもたらすために必要とされることが推定される。
【0020】
スパンデックスの機械的性質をASTM D2731−72の一般的方法によって測定した。3つのフィラメント、2インチ(5cm)のゲージ長およびゼロ対300%の伸びサイクルを測定の各々について用いた。試料を毎分50cmの一定伸び率において5回、サイクルにかけた。初期伸長の間にスパンデックスにかかる負荷力、応力を100%および200%の伸長において1番目のサイクルで測定し、deciNewtons/tex(「dN/tex」)単位で記録する。5番目の負荷除去サイクルで200%および100%の伸長においての負荷除去力、応力もまた、deciNewtons/tex単位で記録される。破断点伸びのパーセントおよび破断点におけるテナシティを6番目の伸長で測定した。
【0021】
表において、「Comp」は比較例を示す。示された1,2−プロパンジアミン(「PDA」)の量以外に、連鎖延長剤はジアミンであった。本発明の試料の全てが、0.7dNtexより大きい破断点におけるテナシティおよび425%より大きい破断点伸びを有した。「LP」は負荷力を意味し、「UP」は負荷除去力を意味し、両方がdN/tex単位で記録される。ヒステリシスは負荷力と負荷除去力との間の差として計算され、同様にdN/tex単位で記録される。「100%」、「200%」、および「300%」は、前記力およびヒステリシスが測定される伸長を指す。表Iにおいて、各誤差範囲は、4つの捲回スパンデックスパッケージで行われた測定に基づいた95%の信頼区間についてであり、各パッケージは6回、サンプル抽出された。
【実施例】
【0022】
(実施例1)
ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(250.0グラムのテラタン(Terathane)(登録商標)2000、E.I.デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.du Pont de Nemours and Company)の登録商標)を、ガラス反応がま内で52.11グラムの1−イソシアナト−4−[(4−イソシアナトフェニル)メチル]ベンゼンと混合した。前記混合物を加熱用マントルで80℃に加熱し、90分間、攪拌して2.4重量%のNCO(計算値)を有するキャップドグリコールを製造した。キャップドグリコールをジメチルホルムアミド572.38グラムに溶解し、2.00meq/gの連鎖延長剤溶液(ジメチルホルムアミドに溶かしたEDA/PDAモル比35/65)85.51グラムおよび2.00meq/g連鎖停止剤溶液(ジメチルホルムアミドに溶かしたエタノールアミン)3.21グラムを、急速に攪拌しながら添加した。得られたポリウレタン尿素溶液は、溶液の全重量に基づいて32.0重量%の固形分を有し、ポリウレタン尿素の固有粘度が0.94dl/gであった。添加剤スラリーを溶液中に十分に混合して、0.5重量%のメタクロール(Methacrol)(登録商標)2462B(ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタンおよび3−t−ブチル−3−アザ−1,5−ペンタンジオールのポリマーのE.I.デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニーの登録商標)、1.5重量%のシアノックス(Cyanox)(登録商標)1790(2,4,6−トリス(2,6−ジメチル−4−t−ブチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレートのサイテック・インダストリーズ(Cytec Industries)の登録商標)、およびアントラキノン光沢剤10重量ppmを最終繊維中にもたらした。紡糸溶液を貯蔵タンクからポンプで送り、ギヤポンプによって計量しながら供給し、約55℃に加熱し、405℃の高温窒素の並流を供給された丸い紡糸セルにスピナレットホールを通して押出し、溶剤を除去した。4つのフィラメントを1つの40デニール(44dtex)の繊維に合体し、それを466m/分において供給ロールの周りに送り、仕上ロールを越えて、492m/分において第2の供給ロールの周りに送り、および548m/分において捲回した。繊維の性質を表Iに示す。
【0023】
(実施例2)
ポリマーおよび繊維を実質的に実施例1に記載されたように作製したが、ただし、キャップドグリコール中のNCOの%を2.8に増加させた。溶液中のポリウレタン尿素のIVは0.85であり、そのMWは24,200であり、そのMWは84,600であり、その多分散度は3.5であった。繊維の性質を表Iに示す。
【0024】
(比較例1)
ポリマーおよび繊維を実質的に実施例1に記載されたように作製したが、ただし、キャップドグリコール中のNCOの%を3.2に増加させた。溶液中のポリウレタン尿素のIVは1.05であり、そのMWは100,700であり、そのMWは27,000であり、その多分散度は3.7であった。繊維の性質を表Iに示す。
【0025】
(比較例2)
ポリマーおよび繊維を実質的に実施例2に記載されたように作製したが、ただし、1,2−プロパンジアミンの量を全連鎖延長剤の74モルパーセントに増加させ、エチレンジアミンの量を相応して低減させた。溶液中のポリウレタン尿素のIVは0.91であり、そのMWは98,000であり、そのMWは25,000であり、その多分散度は3.9であった。繊維の性質を表Iに示す。
【0026】
【表1】

【0027】
表Iのデータは、本発明のスパンデックスが、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールと高比率の1,2−プロパンジアミンおよびジイソシアネート(後者は、比較例1のキャップドグリコール中のNCOの高い%によって示される通りである)とのポリウレタン尿素反応生成物を含むスパンデックスよりも予想外に低い負荷力およびヒステリシスを有したことを示す。
【0028】
(実施例3)
2.4重量パーセントのNCOを有するキャップドグリコールを第1の水ジャケット付き撹拌型タンク内で2029の数平均分子量を有するポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(テラタン(登録商標)2000)324.8kg、1−イソシアナト−4−[(4−イソシアナトフェニル)メチル]ベンゼン68.2kg、およびn−ブタノール0.64kgから調製した。ジメチルホルムアミドを添加して前記キャップドグリコールを溶解し、得られた溶液を第2の水ジャケット付き撹拌型タンクに移し、第1のタンクを付加的なジメチルホルムアミドでリンスし、又、前記リンス液を第2のタンクに移し、そこにおいてポリマー含有量を約36重量パーセントに調節した。後のポリウレタン尿素溶液がポリマーの重量に基づいて3重量パーセントの二酸化チタン、0.3重量パーセントの非イオン性分散剤、および10ppmのアントラキノン光沢剤を含有するような量で、顔料スラリーをキャップドグリコール溶液中に混合した。溶剤と、キャップドグリコールと、顔料との混合物を10℃より低い温度において撹拌し、エチレンジアミンおよび1,2−プロパンジアミン連鎖延長剤(ジメチルホルムアミドに溶かした7.0重量パーセント)の35/65モル/モル混合物96kgを溶液の粘度が約1650ポアズになるまで添加した。次に、連鎖停止剤溶液(ジメチルホルムアミドに溶かした7.43kg、30.55重量%のエタノールアミン)を添加し、その後、ジメチルホルムアミド中26.91重量%の無水酢酸7.06kgを添加して過剰なエタノールアミンを「中和」した。さらにジメチルホルムアミドを添加して、ポリマーの固形分のレベルを全溶液重量に基づいて約32重量パーセントに調節した。次に、得られたポリウレタン尿素溶液を第3の撹拌型タンクに移し、そこにおいて、前記溶液がポリウレタン尿素の重量に基づいて0.28重量パーセントのステアリン酸マグネシウム、0.5重量パーセントのメタクロール(登録商標)2462B、および1.5重量パーセントのシアノックス(登録商標)1790を含有するように、ステアリン酸マグネシウムのスラリー13.88kg、メタクロール(登録商標)2462Bの溶液4.05kg、およびシアノックス(登録商標)1790を6.40kg添加した。次に、前記溶液を、試験のために間をおいて試料がそこから除去される非撹拌型貯蔵タンクに移した。次の108時間にわたり、その間に新たに調製されたポリウレタン尿素溶液を定期的に添加し、繊維の紡糸のために溶液を連続的に除去したが、前記溶液は、表IIに記載し、図1に示すように、たった1443ポアズの有利に低い最大落球粘度を示した。ポリマー溶液を貯蔵タンクから加圧窒素で圧入し、約45℃に予熱し、ギヤポンプによって計量しながら供給し、約200℃のクロスフローおよび並流の空気の両方を供給された矩形の紡糸セルにスピナレットを通して押出し、溶剤を除去した。フィラメントを、紡糸セルの下部においてスレッドラインに仮撚りすることによって合体させ、仕上を与え、550m/分において供給ロールの周りに送り、480m/分において捲回した。繊維中のポリウレタン尿素は、0.98のIV、36,900のMW、93,300のMW、および2.5の多分散度を有することが確認された。繊維の性質を表IIIに示す。
【0029】
(実施例4)
ポリウレタン尿素溶液を実質的に実施例3に記載されたように調製したが、キャップドグリコールは2.8重量パーセントのNCOを有した。貯蔵タンク中で105時間、その間に新たに調製されたポリウレタン尿素溶液を定期的に添加し、繊維の紡糸のために溶液を連続的に除去したが、前記溶液は、表IIに記載し、図1に示すように、たった1534ポアズの最大落球粘度を示した。繊維中のポリウレタン尿素のIVは1.00であった。繊維の性質を表IIIに示す
【0030】
(比較例3)
ポリウレタン尿素溶液を実質的に実施例3に記載されたように調製したが、キャップドグリコールは2.4重量パーセントのNCOを有し、連鎖延長剤混合物中のエチレンジアミンの、1,2−プロパンジアミンに対するモル比は60/40であった。貯蔵タンク中で81時間後、その間に新たに調製されたポリウレタン尿素溶液を定期的に添加し、繊維の紡糸のために溶液を連続的に除去したが、落球粘度は、表IIに記載し、図1に示すように、好ましくない4626ポアズまで上昇した。繊維中のポリウレタン尿素のIVは1.00であった。繊維の性質を表IIIに示す。
【0031】
【表2】

【0032】
表IIのデータは、溶液の粘度が、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールと、1−イソシアナト−4−[(4−イソシアナトフェニル)メチル]ベンゼンと、エチレンジアミンおよび1,2−プロパンジアミン連鎖延長剤の35/65モル比とのポリウレタン尿素反応生成物については好ましく低いままであったが、1,2−プロパンジアミンの量が40モルパーセントに低減された時に好ましくない高レベルに上昇したことを示す。実施例3および比較例3のデータの挿入事項は、約4000ポアズのさらに良好な最大値が約45モルパーセントの1,2−プロパンジアミンにおいて達せられることを示す。
【0033】
【表3】

【0034】
表IIIのデータを吟味すると、比較例3の負荷除去力が、実施例3および4に比べて、望ましくなく低いことを示す。表Iおよび表IIIの繊維の性質の差は、紡糸条件の差のためであると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】連鎖延長剤の混合物中の1,2−プロパンジアミンの量の、ポリウレタン尿素溶液の粘度に及ぼす影響を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールと、
(b)1−イソシアナト−4−[(4−イソシアナトフェニル)メチル]ベンゼンとを、
ジイソシアネートの、グリコールに対するモル比が約1.52〜約2.04であるようにして、かつ、
(c)約35〜約55モルパーセントのエチレンジアミンと、約45〜約65モルパーセントの1,2−プロパンジアミンとを含む連鎖延長剤の混合物と、
からのポリウレタン尿素反応生成物を含むことを特徴とするスパンデックス。
【請求項2】
前記ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールが約1600ダルトン〜約2500ダルトンの数平均分子量を有し、前記ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールが、約250ダルトン未満の分子量を有するジオールを実質的に含有しないことを特徴とする請求項1に記載のスパンデックス。
【請求項3】
連鎖延長剤の前記混合物が約40〜約50モルパーセントのエチレンジアミンと、約50〜約60モルパーセントの1,2−プロパンジアミンとを含むことを特徴とする請求項1に記載のスパンデックス。
【請求項4】
連鎖延長剤の前記混合物が少なくとも1つの第一アミン連鎖停止剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のスパンデックス。
【請求項5】
スパンデックスの製造方法であって、
a)ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールを提供する工程と、
b)1−イソシアナト−4−[(4−イソシアナトフェニル)メチル]ベンゼンを提供する工程と、
c)前記ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールと前記1−イソシアナト−4−[(4−イソシアナトフェニル)メチル]ベンゼンとを接触させてキャップドグリコールを形成する工程であって、イソシアネート部分の重量パーセントが前記キャップドグリコールの重量に基づいて約2.2〜約2.9である工程と、
d)溶剤を提供する工程と、
e)前記溶剤と前記キャップドグリコールとを混合してキャップドグリコール溶液を形成する工程と、
f)前記キャップドグリコール溶液と、
約35モルパーセントのエチレンジアミン〜約55モルパーセントのエチレンジアミン、および
約45モルパーセントの1,2−プロパンジアミン〜約65モルパーセントの1,2−プロパンジアミンを含む連鎖延長剤の混合物と
を接触させてポリウレタン尿素溶液を形成する工程と、
g)前記ポリウレタン尿素溶液を紡糸してスパンデックスを形成する工程と
を含むことを特徴とするスパンデックスの製造方法。
【請求項6】
工程c)およびf)がバッチ工程として行われ、前記ポリウレタン尿素溶液の落球粘度が約1000〜4000ポアズであることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記溶剤がジメチルホルムアミドであり、前記ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールが、250ダルトン未満の分子量を有するジオールを実質的に含有しないことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
連鎖延長剤の前記混合物が、少なくとも約40モルパーセントのエチレンジアミン、多くても約50モルパーセントのエチレンジアミンと、少なくとも約50モルパーセントの1,2−プロパンジアミン、多くても約60モルパーセントの1,2−プロパンジアミンとを含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項9】
工程(f)の連鎖延長剤の前記混合物が、少なくとも1つの第一アミン連鎖停止剤をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項10】
請求項4に記載のスパンデックスを含む布。

【図1】
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【公表番号】特表2006−502320(P2006−502320A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−543365(P2004−543365)
【出願日】平成15年10月3日(2003.10.3)
【国際出願番号】PCT/US2003/031555
【国際公開番号】WO2004/033514
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(304043707)インヴィスタ テクノロジーズ エス.アー.アール.エル (8)
【Fターム(参考)】