説明

特性が向上されたロウソクのためのワックス混合物

本発明は、特性が向上されたロウソクを製造する一連のワックスパラメーター仕様に関する。具体的には、本発明は、驚くべき特性を有するコンテナロウソクを製造し、高価なマイクロワックス、ポリマーまたは添加剤を使用しないか、その使用を最少にするワックスの混合に関する。より具体的には、本発明は、低収縮で、オイルブリードが殆どなく、高められた不透明性、クリ−ム状の外観および高められた香気保持力について、向上された特性を示すコンテナロウソクのための混合物、およびその製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特性が向上されたロウソクを製造する一連のワックスパラメーター仕様に関する。具体的には、本発明は、驚くべき特性を有するコンテナロウソクを製造し、高価な添加剤を使用しないかまたはその使用を最少にするワックス混合物に関する。より具体的には、本発明は、低収縮で、オイルブリードが殆どなく、高められた不透明性およびクリ−ム状外観、並びに高められた香気保持力という向上された特性を示すコンテナロウソクのための混合物、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ロウソクは数千年もの間製造されてきたものの、ロウソクの製造には或る問題が依然として残っている。具体的には、ロウソク生産者には、収縮が殆どないかまたは全くなく、オイルブリードが殆どないかまたは全くなく、好ましい安定した外観、および香気を保持する能力を示すロウソクワックスが望まれている。
【0003】
ロウソクは、伝統的には、ノルマルパラフィン(n−パラフィン)含有量が大部分を占め、より低い分子量、および従ってより低い融点を有する石油由来ワックスから製造される。高いn−パラフィン含有量を有するロウソクは、ロウソクメーカーに望まれる適切な色相および質感を保持するが、しばしば、過度の収縮および不十分な香気保持力に悩まされる。
【0004】
上記の特性は全て、ロウソクメーカーに重要であるが、最も重要な特性は、ワックスの融点である。ロウソクメーカーは、ロウソクのワックスタイプとして唯一でないにしても最も使用されている、含油量が通常1%未満である完全精製ワックス(「FRW」)を用いる。時には、ロウソクメーカーは、マイクロワックスまたはポリマーを添加して、ロウソクの特性を高める。しかし、これらの添加剤はワックスに比べて高価である。低融点(「LM」)ワックスは、通常、128°F(53℃)以下で溶融する。このタイプのワックスは、典型的には、コンテナロウソク、即ち宗教上のノベナ(novena)用ロウソク、および装飾的香気性ジャーロウソクに用いられる。典型的には、LM FRWは、外観が灰色であり、比較的高い収縮を示す。中融点(「MM」)ワックスは、通常128〜145°F(53〜63℃)で溶融し、しばしば、より高品質のコンテナロウソクおよび自立形ロウソクに用いられる。MM RHC(商標)FRWは、外観が灰色であり、LM FRWよりごく僅かに低い収縮を示す。
【0005】
145°F(63℃)超で溶融する高融点(「HM」)ワックスは、一般に、ロウソク産業で用いられない。このタイプのワックスは、典型的には、LMまたはMM RHC(商標)ワックスのいずれよりも低い収縮を示すが、他の重大な不都合が、ロウソク産業でのそれらの使用を妨げてきた。HM FRWワックスは、それらが「トンネル」効果を示すことから、ロウソクとして用いられない。即ち、ロウソクは、ロウソク中へまっすぐ下方に燃焼し、壁で囲まれた側部が残される。トンネル効果は、ジャーおよび自立形ロウソクの両方にとって、極めて商業的に魅力がないことがわかった。トンネル効果は、ワックスが高融点であるため、燃焼するロウソクの頂部表面上に形成する液体ワックスの「たまり」が、炎から遠くまで広がらないことから引起される。従って、ロウソクは、一様に消費されない傾向があり、ロウソクの中央に円柱が切出される。この問題の解決策は、より大きな芯を用いることである。しかしこれは、より大きくかつより高い炎をもたらす。これもまた、商業的に魅力のない選択肢である。
【0006】
収縮は、ロウソクの製造において経験される普通の問題である。溶融されたロウソクが凝固すると、体積は収縮する。いくつかの場合においては、この収縮は好都合である。例えば、注がれたロウソクの型の側面からの引抜きを補助して、それをより容易に取外させる場合である。しかし、ワックスの収縮は通常、ロウソクの頂部に、好ましくない凹面形形状効果をもたらす。ロウソクの製造業者は、しばしば、ロウソクの頂部部分を再溶融したり、過度の収縮が生じた場合には、頂部を平らにするために、ロウソクワックス処方物の二度目の注入に頼ることさえしなければならない。コンテナロウソクにおいては、収縮は、コンテナの側部からのロウソク分離をもたらすことがありうる。即ち、他の望ましくない効果である。収縮は、直接、ロウソクワックス中のn−パラフィンの量に関連付けられている。n−パラフィンを約100%含むロウソクワックスは、冷却時に、約12〜15体積%収縮する。n−パラフィンを約75%含むロウソクワックスは、冷却時に、約8〜12体積%収縮する。n−パラフィンを約50%含むロウソクワックスは、冷却時に、約6〜8体積%収縮する。
【0007】
コンテナロウソクにおける過度の収縮を制御するための努力の結果、いくつかの方法が開発されてきた。典型的には、収縮は、n−パラフィンの結晶形成を阻害する成分を導入することによって制御される。歴史的には、高分子量イソパラフィン(マイクロワックスまたはペトロラタムの形態)、含酸素分子(カルボン酸、カルボン酸エステルなど)およびポリオール構造物の添加により、収縮の制御が補助されてきた。しかし、これらの解決策は、一般に高価であり、ロウソクの色相および質感を変え、いくつかの場合においては、融点を許容不可能な高レベルに高めることがある。
【0008】
ロウソクメーカーにとっての他の重大関心事は、オイルブリードである。オイルブリードは、固体ワックスの表面からの、および表面上への油または油タイプ分子の移動と定義できる。ワックスロウソク表面における油の出現は、一般に、許容不可能な外観現象と見なされる。油は、石油ワックス元来の油部分から、またはロウソク処方物に添加された油性成分(これには、香気パッケージのための香気油およびキャリヤー溶剤が含まれる)から誘導されうる。全てのタイプの石油ワックスは、いくらかの量の油を含む。完全精製ワックスは、典型的には1%未満、より多くの場合には0.5%未満の含油量(ASTM D−721試験方法によって測定される)を有する。スケールワックスは、含油量の低いスラックワックスである。色相および臭気を向上するための更なる精製により(典型的には水素化による)、スケールワックスは、1%〜約5%の含油量(ASTM D−721試験方法によって測定される)を有しうる準精製ワックスに品質向上することができる。準精製ワックスは、それらの典型的なより低いコストにも係わらず、コンテナロウソクでの使用に限定される。それは、処方されたロウソクにオイルブリードを示す傾向がより顕著だからである。
【0009】
歴史的には、ロウソクの製造においてオイルブリードまたは香気保持力を向上する方法は、
1.高分子量マイクロワックス(ブライトストック由来)の添加
2.ペトロラタム(石油ゼリー)の添加
3.他の添加剤の添加、および
4.プロセス条件(冷却の速度およびシーケンスなど)の厳格な制御
を含む。
【0010】
マイクロワックスおよび変性ワックスの添加は、オイルブリードの最少化に貢献するが、しばしば収縮(上記参照)という更なる問題を引き起こす。ペトロラタムまたは石油ゼリーの添加は、比較的高価であり、かつ著しくロウソクを軟質にする。他の添加剤もまた高価であり、および/またはワックスおよびロウソク処方物の外観および収縮特性を悪く変えることがある。最後に、冷却速度およびシーケンスを変更することは、大きな労働力を要し(labor intensive)、変化させても、基礎をなすロウソクワックスの極僅かな相違にしかならないことがしばしばある。
【0011】
ロウソクの製造業者にとっての他の重要な属性は、素材ロウソクの色相および均一性である。最終的なロウソク処方物に対する素材ワックスの色相および外観の影響は、重要でありうる。例えば、所定のロウソク処方物において、半透明灰色のLM完全精製ワックスは、より暗い(cloudy)白灰色の外観を有する、より高融点の、よりイソパラフィン質のワックスとは異なる外観をもたらす。ロウソクメーカーは、典型的には、所定タイプのベースワックスに対して処方を行い、各ロウソク処方物に対して一貫した色相および外観を保持するように努力する。濃いクリーム状不透明白色を示すワックスは、ロウソクメーカーに、ロウソク処方物のための新規な向上された選択肢を提供しうる。
【0012】
【特許文献1】米国特許第5,976,353号明細書
【特許文献2】米国特許第5,935,417号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、低収縮、低オイルブリード、良好な色相および質感、並びに(低ブリードによる)予測される優れた香気保持力を有するロウソクの製造方法、およびこの方法によって製造される生成物に関する。前記製造方法は、元のパラフィンワックスにおけるイソパラフィン含有量が、炭素数35〜60に関しては増大されるが、炭素数60超に関しては、所定の炭素数において約0.1重量%を超えて増大されないように、ワックス組成物を混合する工程を含むことを特徴とする。
【0014】
好ましくは、本発明は、ワックスの混合およびこの方法によって製造される生成物であって、前記混合は、元のパラフィンワックスにおけるイソパラフィン含有量が、炭素数36〜57に関しては増大されるが、炭素数57超に関しては、所定の炭素数において約0.1重量%を超えて増大されないように、ワックス組成物を混合する工程を含むことを特徴とする。より好ましくは、本発明は、ワックスの混合およびこの方法によって製造される生成物であって、前記混合は、元のパラフィンワックスにおけるイソパラフィン含有量が、炭素数37〜55に関しては増大されるが、炭素数55超に関しては、所定の炭素数において約0.1重量%を超えて増大されないように、ワックス組成物を混合する工程を含むことを特徴とする。更により好ましくは、本発明は、ワックスの混合およびこの方法によって製造される生成物であって、前記混合は、元のパラフィンワックスにおけるイソパラフィン含有量が、炭素数37〜50に関しては増大されるが、炭素数50超に関しては、所定の炭素数において約0.1重量%を超えて増大されないように、ワックス組成物を混合する工程を含むことを特徴とする。
【0015】
他の実施形態においては、本発明は、低収縮、低オイルブリード、良好な色相および質感、並びに優れた香気保持力を示す生成物を含む。前記生成物は、
a)1)約128゜F〜約145゜Fの融点
2)含油量約1重量%〜約10重量%
3)全パラフィンの平均炭素数約29〜33
4)イソ−パラフィンの平均炭素数約30〜34
5)n−パラフィン約43〜57重量%
6)95%炭素数分布12〜16
7)C24以下の重量%約10%未満
8)C34以上の重量%約30%未満
9)C38以上の重量%約10%未満
を有する第一のワックス約75〜95重量%と、
b)1)約152゜F超の融点
2)含油量約1重量%未満
3)全パラフィンの平均炭素数約36〜40
4)イソ−パラフィンの平均炭素数約38〜42
5)n−パラフィン約43〜57重量%
6)95%炭素数分布19〜25
7)C24以下の重量%約5%未満
8)C34以上の重量%約60%超
9)C38以上の重量%約40%超
を有する第二のワックスである残余分と、
を含む。
【0016】
この実施形態の好ましい形態は、前記第一のワックスが全混合物の約80〜92.5重量%で提供されたワックス混合物である。この実施形態のより好ましい形態は、前記第一のワックスが全混合物の約85〜90重量%として提供されたワックス混合物である。別の実施形態は、ワックス混合物中の第一のワックスの量が異なるいかなる実施形態をも含む。その際、第一のワックスの融点は、好ましくは約129゜F〜約140゜Fであり、より好ましくは第一のワックスの融点は、好ましくは約131゜F〜約139゜Fであった。他の別の実施形態は、最終混合物中の第一のワックスの量、または上記された第一のワックスの特性へのいかなる変化をも包含する。好ましくは、第一のワックスの含油量が、約1重量%〜約7重量%、より好ましくは約1重量%〜約5重量%であるように修正される。この実施形態の他の別の実施形態は、上記された第一のワックスへのいかなる修正をも包含する。第二ワックスの融点が修正され、そのためにそれは、好ましくは約154゜F超、より好ましくは約156゜F超である。この実施形態の他の別の実施形態は、第一または第二のワックスいずれかへの上記されたいかなる修正をも包含する。更に、第二のワックスが修正され、それによりそれは、好ましくは含油量約0.75重量%未満、より好ましくは約0.5重量%未満を有する。
【0017】
この明細書で用いられるワックスの含油量は、試験方法ASTM D−721を用いて測定される。この明細書内で用いられる、ある炭素数におけるパラフィンおよびイソ−パラフィンの全量は、ガスクロマトグラフィ(「GC」)による石油ワックスのASTM D−5442分析、または同等のガスクロマトグラフィ方法によって測定される。これらのGC方法から、当業者は、重量%を標準積分技術によって測定可能である。95%炭素数分布X〜Yは、炭素分子の95重量%が炭素数X〜Yを有することを意味する。
【0018】
他の実施形態においては、本発明は、低収縮、低オイルブリード、良好な色相および質感、並びに優れた香気保持力を示す生成物を含む。前記生成物は、ExxonMobil Raffinate Hydroconversion Process(「RHC(商標)」)によって製造されたと同じ中融点精製ワックスを約75〜95重量%、好ましくは約80〜92.5重量%、より好ましくは約85〜90重量%含む。残余分は、高融点完全精製ワックスである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
伝統的には、ロウソクは、異なる融点の石油誘導完全精製ワックス(FRW)から製造されてきた。FRWは、その融点によって分類される。128°F(53℃)未満で溶融するものは、低融点完全精製ワックス(LM FRW)に分類される。128〜145°F(53〜63℃)で溶融するものは、中融点完全精製ワックス(MM FRW)に分類される。145°F(63℃)超で溶融するものは、高融点完全精製ワックス(HM FRW)に分類される。
【0020】
図1は、コンテナロウソク用途で用いられる典型的な低融点FRW(MP 126°F)についての、イソ−パラフィン含有量のワックスGCプロットを示す。このワックス(商業的にパルバン(ParVan(商標))1270として見出される)は、平均炭素数約28のイソ−パラフィンを約20%有する。このワックスは色相が半透明灰色であり、収縮約15%を示す。このワックスもまた、限定された油保持能力を有し、しばしば、より高レベルの香気を保持するためにロウソク処方の調整が必要とされる。
【0021】
図2は、典型的な高融点FRW(MP 156°F)についての、イソ−パラフィン含有量のワックスGCプロットを示す。このワックス(商業的にパルバン(ParVan(商標))1580として知られる)は、平均炭素数約36のイソ−パラフィンを約50%有する。このワックスは色相が暗灰白色であり、収縮約6〜8%を示す。固有の高MPおよび典型的にはより高い市場価格から、このワックスは、一般にはロウソクに用いられない。
【0022】
他のタイプのワックスである中融点RHC(商標)ワックスは、その高い含油量(1%〜4%)およびそれによるオイルブリードおよび香気保持力の問題から、ロウソクで用いるのに許容可能とは見なされなかった。
【0023】
RHC(商標)プロセス(特許文献1および特許文献2に詳述され、本明細書に引用して含まれる)においては、潤滑油ラフィネートを、金属硫化物の水素処理(hyproprocessing)触媒に、比較的高温および高圧で通す。原料ストリームの窒素および硫黄含有量の実質的に全てが除去され、高比率の芳香族環成分が、環式パラフィンに飽和される。限定された量のC−C結合開列(水素化分解)もまた、RHC(商標)プロセスにおいて生じる。集約的に、ラフィネート原料ストリームにおけるこれらの変化は、より高い粘度指数および低芳香族レベルを有する潤滑油基材生成物(即ちグループII基油)を提供する。
【0024】
RHC(商標)プロセスから分離された中融点ワックスは、平均炭素数約30〜34のイソ−パラフィンを約43%〜57%有する。このワックスは、色相が不透明クリーム状白色であり、極めて低い収縮特性を示す。残念ながら、その高い含油量により、RHC(商標)ワックスは、ロウソクには有用でなかった。何故なら、それは、香気を添加する前でさえ、高いオイルブレードを示す傾向があったからである。
【実施例】
【0025】
実施例1
FRWの低オイルブリードおよび香気保持特性を維持しつつ、MM RHC(商標)ワックスの低収縮および不透明白色の特性を利用することを期待して、本発明者らは、商業的に入手可能なLM FRW 126、HM FRW 156およびMM RHC(商標)135の混合物を用いて実験した。混合物を、商業性のある最終的な融点およびコストを維持するように選択した。LM FRWワックスとMM RHC(商標)のみを混合する当初の試みは、最終混合物のオイルブリードを制御するのに不首尾であることが分かった。本発明者らは、少量のHM FRW 156を混合物に加えて、より高炭素数のイソパラフィンを提供することによって、オイルブリードを制御することを試みた。これは、マイクロワックスを、付随する出費なしに添加することから予測される効果に類似する。
【0026】
ワックス混合物を、収縮、オイルブリードおよび色相について評価した。実施例の全てについて、全試料を同じガラス製ジャー中で調製した。ジャーは、図3に示される「ストーブ煙突」形態を有した。収縮は、ジャーを液体ワックス混合物で充填ラインまで満たすことによって測定された。これは、ジャーの下部曲部に、基部の上約2インチ(5cm)に配置された。溶融されたワックスを、周囲温度で凝固させた。測定は、金属計測ロッドを、ジャーの頂部上に垂直に配列された装置を用いることによって為された。計測ロッドを下げて、ロウソクの頂部表面の最低点が、凝固中に、充填ラインの下にどれだけ離れて下がったかを決定した。収縮の測定を、1/16インチ(1.59mm)の単位で報告した。
【0027】
くぼみ形状もまた報告する。円垂形は、ジャーの端部から中心への傾斜が、比較的に一定であったことを意味する。凹面形は、くぼみの端部が、放物線に類似して湾曲したことを意味する。落ち込み孔は、くぼみの中央部が、甌穴またはシンクホールに類似して、通常の曲率より更に深く、かつより急速に落ち込んだことを意味する。中央こぶは、くぼみが、中央部で盛上がったことを示した。オイルブリードおよび色相は、目視観察によって測定された。表面油は、小さな、典型的にはピンの頭サイズの、均一に間隔を置いた油滴が観察されたことを意味する。パッドリングは、より大きな、不規則に間隔を置いた液滴(典型的には直径1/4インチ超)が観察されたことを意味する。
【0028】
表1は、種々の実験混合物についての結果を示す。表1に示された混合物は、コンテナロウソクで典型的に用いられる130゜F MPを満足するように開発された。表1が示すように、三成分の混合物は、実質的な収縮またはオイルブリードが存在したことから、全く、適切に機能しなかった。比較のために、収縮、オイルブリードおよび外観を、融点127゜F(52.7℃)および158゜F(70℃)の未混合FRW、並びに融点135゜F(57.2℃)の未混合MM RHC(商標)ワックスについて測定した。これらの基本的な特性を、表2に報告する。
【0029】
実施例2
MM RHC(商標)135、LM FRW 126ワックスおよびHW FRW 156の成分検討を、最初の実施例で用いられたと同じ試験を用いて行った。表3は、HM FRW 156およびMM RHC(商標)135の組み合わせ(混合物1168および1170)において、低収縮、低オイルブリードおよび良好な色相の特性が見出されたという結果を示す。この結果は驚くべきものであった。何故なら、上記されるように、当業者は、HM FRWをロウソクに用いることを考慮しないからである。
【0030】
【表1】

【0031】
【表2】

【0032】
実施例3
本発明者らは、HM FRWおよびMM RHC(商標)が、LM FRWを添加することなく、低収縮かつオイルブリードなしという発明的な結果を提供したことを示す、成分検討の結果に驚かされた。しかし、商業的に受け入れられることを求めて、本発明者らは、用いうる最低の可能な融点のFRWを見出すことを望み、本発明を更に提供する。しかし、表4が示すように、低収縮、良好な色相およびブリードなし保持の効果は、驚くべきことに、唯一、MM RHC(商標)とHM FRWの、MP約152゜F超の混合物(9:1比率)で達成される。
【0033】
自立形ロウソク産業では、伝統的に、そのロウソクに対して、145゜Fに近い融点を有するワックス混合物が用いられ、より高融点のワックスのコストと、輸送および貯蔵中、潜在的により高温により良好に耐えることが可能なより硬質なロウソクを有することの需要との釣り合いを取っているが、本発明は、オーバーディップ、周知の硬化添加剤などの適切な製造技術を用いることによって、その市場で用いうる。
【0034】
【表3】

【0035】
【表4】

【0036】
【表5】

【0037】
更なる分析により、この驚くべき結果は、表5の列Aのものと類似のパラメーターを有する、ワックス約75〜95重量%、好ましくは約80〜92.5重量%、より好ましくは約85〜90重量%のワックス混合物を製造することによってもたらされることが理解された。残余分は、表5の列Bのものに類似のパラメーターを有するワックスである。
【0038】
実施例4
更なる実験で、炭素数約36〜約60、好ましくは約36〜57、より好ましくは約37〜55、更により好ましくは約37〜50におけるイソ−パラフィン重量%の増大を、炭素数60超、好ましくは57超、より好ましくは55超、更により好ましくは50超における付随する同増大(約0.1重量%超)なしに行うと、低収縮、オイルブリード殆どなし乃至全くなし、優れた色相および予測される優れた香気保持力という顕著な結果をもたらしたことが理解された。実施例3のこの予期しない結果により、更なるガスクロマトグラフィ実験が行われた。図4に、四種のワックス(LM FRW 126、MM RHC(商標)135、HM FRW 156、およびMM RHC(商標)135とHM FRW 156の90:10混合物)について、各炭素数における各ワックス中のイソパラフィンの重量%を示す。
【0039】
混合物LS 1360は、一つの顕著な相違を除いてMM RHC(商標)に極めて類似していたことが特記された。即ち、炭素数約36〜約60における重量%イソ−パラフィンの増大である。オイルブリードを制御するのにしばしばマイクロワックスが用いられるが、収縮をもたらすことから、これを、図6に示されるマイクロワックスのGCに比較した。図6は、マイクロワックスが、炭素数34当たりでイソ−パラフィンを示し始めることを示す。これは、着実に炭素数50まで増大し、炭素数50以上のイソ−パラフィン約40%を有する。この実験は、収縮がより少なく、かつオイルブリードが全くないという利点が、マイクロワックスを用いる(これは、炭素数50超のイソ−パラフィンの重量%を増大し、最終混合物においては所定の炭素数において約0.1wt%超増大する)という産業的な伝統に従わない場合に達成されうることを示す。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】典型的な低融点完全精製ワックス(融点126゜F)についての、炭素数:その炭素数におけるイソ−パラフィン重量%を図示するグラフである。
【図2】典型的な高融点完全精製ワックス(融点156゜F)についての、炭素数:その炭素数におけるイソ−パラフィン重量%を図示するグラフである。
【図3】収縮実験に用いられるジャーの図である。
【図4】低融点完全精製ワックス(MP 126゜F)、高融点完全精製ワックス(MP 156゜F)、中融点RHC(商標)ワックス(MP 135゜F)および高融点完全精製ワックスと中融点RHC(商標)ワックスの90:10混合物(MP 136゜F)(「LS 1360」)についての、炭素数:その炭素数におけるイソ−パラフィン重量%を図示するグラフである。
【図5】典型的なマイクロワックスについての、炭素数:その炭素数におけるイソ−パラフィン重量%を図示するグラフである。
【図6】90:10混合物(「LS 1360」)、高融点完全精製ワックス(MP 156)および典型的なマイクロワックスについての、炭素数:その炭素数におけるイソ−パラフィン重量%を図示するグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ExxonMobil Raffinate Hydroconversion Process(商標)から誘導される中融点ワックス75〜95重量%を含み、残余分は高融点完全精製ワックスであることを特徴とするワックス混合物。
【請求項2】
ExxonMobil Raffinate Hydroconversion Process(商標)から誘導される前記中融点ワックスの量は、最終混合物の80〜92.5重量%を構成することを特徴とする請求項1に記載のワックス混合物。
【請求項3】
ExxonMobil Raffinate Hydroconversion Process(商標)から誘導される前記中融点ワックスの量は、最終混合物の85〜90重量%を構成することを特徴とする請求項1に記載のワックス混合物。
【請求項4】
a)第一のワックス85〜95重量%;および
b)第二のワックスである残余分
を含み、
前記第一のワックスは、
i)128〜145゜Fの融点
ii)含油量1重量%〜10重量%
iii)全パラフィンの平均炭素数29〜33
iv)イソ−パラフィンの平均炭素数30〜34
v)n−パラフィン43〜57重量%
vi)95%炭素数分布12〜16
vii)炭素数C24以下の前記第一のワックスの分子10重量%未満
viii)炭素数C34以上の前記第一のワックスの分子30重量%未満
ix)炭素数C38以上の前記第一のワックスの分子10重量%未満
を有し、
前記第二のワックスは、
i)152゜F超の融点
ii)含油量1重量%未満
iii)全パラフィンの平均炭素数36〜40
iv)イソ−パラフィンの平均炭素数38〜42
v)n−パラフィン43〜57重量%
vi)95%炭素数分布19〜25
vii)炭素数C24以下の前記第二のワックスの分子の5重量%未満
viii)炭素数C34以上の前記第二のワックスの分子60重量%超
ix)炭素数C38以上の前記第二のワックスの分子40重量%超
を有する
ことを特徴とするワックス混合物。
【請求項5】
前記第一のワックスの前記融点は、129〜140゜Fであることを特徴とする請求項4に記載のワックス混合物。
【請求項6】
前記第二のワックスの前記融点は、156゜F超であることを特徴とする請求項4に記載のワックス混合物。
【請求項7】
第一のワックスの含油量は、1〜7重量%であることを特徴とする請求項4に記載のワックス混合物。
【請求項8】
第二のワックスの含油量は、0.8重量%未満であることを特徴とする請求項4に記載のワックス混合物。
【請求項9】
石油系ワックスの収縮を低減し、かつオイルブリード特性を向上する方法であって、
前記ワックスを、
a)炭素数35〜60の分子に関しては、前記ワックスのイソパラフィン含有量(重量)が増大されるが、
b)炭素数60超の分子に関しては、前記ワックスのイソパラフィン含有量(重量)が、所定の炭素数において0.1重量%を超えて増大されない
ように変性する工程
を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
炭素数35〜60の分子に関しては、前記ワックスの前記イソパラフィン含有量(重量)が増大されるが、炭素数57超の分子に関しては、前記ワックスの前記イソパラフィン含有量(重量)が、所定の炭素数において0.1重量%を超えて増大されないことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
炭素数37〜55の分子に関しては、前記ワックスの前記イソパラフィン含有量(重量)が増大されるが、炭素数55超の分子に関しては、前記ワックスの前記イソパラフィン含有量(重量)が、所定の炭素数において0.1重量%を超えて増大されないことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
炭素数37〜50の分子に関しては、前記ワックスの前記イソパラフィン含有量(重量)が増大されるが、炭素数50超の分子に関しては、前記ワックスの前記イソパラフィン含有量(重量)が、所定の炭素数において0.1重量%を超えて増大されないことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項13】
請求項9〜12のいずれかに記載の方法による生成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−537303(P2007−537303A)
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536664(P2006−536664)
【出願日】平成16年10月12日(2004.10.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/033500
【国際公開番号】WO2005/042682
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(390023630)エクソンモービル リサーチ アンド エンジニアリング カンパニー (442)
【氏名又は名称原語表記】EXXON RESEARCH AND ENGINEERING COMPANY
【Fターム(参考)】