説明

牽引ケーブル組立体の懸架要素

【課題】 懸架要素を容易に取り付け又は交換可能である中空形状のレールと複数の懸架要素の組立体を提供する。
【解決手段】 縦間隙上に開いている中空形状レールと、複数の懸架要素を備え、前記懸架要素が、レールに沿って移動可能であり、前記懸架要素に電力線が締め付けられ、容易に取り付け及び交換可能な組立体を構成するために、前記懸架要素の支持部(4)が、外側から縦間隙(1a)を介して、取り付け位置でレール(1)の中空の空間(1b)内に導入され、取り付け位置から動作位置に移動した後、支持部(4)が、縦間隙(1a)を架橋するように、レール(1)に締め付ける懸架要素(3)を設計する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦間隙上に開いている中空形状のレールと、複数の懸架要素と、を備え、前記懸架要素が、レールに沿って移動可能であり、前記懸架要素に電力線が締め付けられている組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
ドイツ、ウェッターのDemag Cranes & Components GmbH社のドイツ語事業計画書、名称「Demag-KBK 25-System」(2007年2月版)は、例えば、トロリ車、クレーン車、モノレール、及び積載加工機用の牽引ケーブルを備えている電源ユニットを記述している。このような牽引ケーブルは、いわゆる接触ラインに加えて、電気横断駆動部及び電気昇降駆動部を備えているクレーンクラブ等の、移動可能な電気消費部に電気エネルギを供給しなければならないときに用いられる。接触ラインは通常、複数の電気配線を備えている平板ケーブルとして構成され、底部で開いているC字形のレールから花飾り状に、複数の懸架要素によって吊り下げられている。懸架要素はレールに沿って移動可能であり、牽引ケーブルは、移動可能な電気消費部に追従できる。このために、懸架要素は、四つのローラ付きの横断ギアを備え、前記ローラはC字形のレール内を移動可能である。組み立て工程では、横断ギアは、レールの両端の一方からレール内に押し込められる。それから、キャップ等の固定閉鎖要素によって、レールの両端が閉じられる。レールから下向きに突出している保持部は、横断ギアから吊り下げられる。保持部は、円形領域の断面を備えている軸受け要素を備え、前記軸受け要素上に平板ケーブルを横たえ、捻れないようにする。更に、上から軸受け要素上にネジ又はスナップ接続等の固定要素を配置し、前記軸受け要素上に平板ケーブルを固定する。軸受け要素は、ブラケットによって横断ギアから懸架されている。組み立て用に、平板ケーブルは、一方の端部から、レールに沿って直列に配置した懸架要素の保持要素のブラケットを介してねじ込まれ、それから固定要素によって固定される。
【0003】
ドイツ特許出願公開DE10009245A1によると、牽引ケーブル用のケーブルトラックが既に知られており、その保持部は、牽引ケーブルを設置し、横向き、つまり、ケーブルトラックの進行方向に対して横向きに取り外し可能であるように構成されている。これにより、牽引ケーブルをケーブルトラックに締め付ける前であっても、電源システムのレールにケーブルトラックを接続可能となる。
【0004】
同様のケーブルトラックが、ドイツ特許出願公開DE3409628A1に記述されている。ここでは、牽引ケーブルの保持部は、プラスチックループとして構成され、前記保持部は、スナップ接続によってケーブルトラックに締め付けられる。更に、クランプ嵌合部が提供され、前記クランプ嵌合部は更に、ループ内に牽引ケーブルを固定する。
【0005】
更に、牽引ケーブルの別の懸架要素は、ドイツ実用新案DE1931764Uから知られており、前記懸架要素は、四つのローラを備えている横断ギアとしてではないが、代わりに、熱可塑性又は熱硬化性材料のキノコ状又はピストン状のスライドブロックとして構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】ドイツ特許出願公開DE10009245A1
【特許文献2】ドイツ特許出願公開DE3409628A1
【特許文献3】ドイツ実用新案DE1931764U
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「Demag-KBK 25-System」(2007年2月版)ドイツ、ウェッターのDemag Cranes & Components GmbH社のドイツ語事業計画書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、縦間隙上に開いている中空形状のレールと、複数の懸架要素と、を備え、前記懸架要素が、レールに沿って移動可能であり、前記懸架要素に電力線が締め付けられている組立体の構成において、前記懸架要素を容易に取り付け又は交換可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本課題は、請求項1の特徴を備え、縦間隙上に開いている中空形状のレールと、複数の懸架要素と、を備え、前記懸架要素が、レールに沿って移動され、前記懸架要素に電力線が締め付けられている組立体によって解決される。本発明の望ましい実施形態は、従属請求項2〜16によって与えられる。
【0010】
本発明によると、縦間隙上に開いている中空形状のレールと、複数の懸架要素と、を備え、前記懸架要素が、レールに沿って移動可能であり、前記懸架要素に電力線が締め付けられている組立体において、これらの支持部が、外側から縦間隙を介して、取り付け位置でレールの中空の空間内に導入され、取り付け位置から動作位置に移動した後、前記支持部が、縦間隙を架橋するように、レールに締め付ける懸架要素を構成することで、懸架要素の容易な取り付けと交換が実現される。従って、本発明の懸架要素は、開いているレールの縦間隙内に容易に導入される。これは、レール上のどの位置でも可能である。その開始部又は終了部で、懸架要素をレール内に導入する必要はない。これは、懸架要素の取り付け及び交換を容易にする。例えば、本発明の組立体を用いる際、懸架要素の交換は、厳しい環境が、懸架要素の摩耗の増大をもたらす鋳造所で行われる。ここでは、個々の懸架要素、特に、他の懸架要素の間に配置されたものを交換することも容易である。
【0011】
本発明の懸架要素は特に、産業用港湾クレーン、移動クレーン及び橋形クレーン等の頭上コンベヤと共に使用することに適し、その動作中、前記懸架要素は、それらからつり下がっている電力ケーブルと共にレールに沿って移動される。
【0012】
支持部が、動作位置でレールの縦方向から見てT字形であり、レールから突き出している幹部と、レール内にあり、中央領域で幹部に締め付けられているスライド部と、を備えていることで、レール内の懸架要素の安全な締め付けが実現される。T字形であることは、レールの後方でその中空の空間内への確実な咬み合わせを可能にする。
【0013】
幹部が円筒であることも構造的に望ましい。
【0014】
第一代替実施形態では、スライド部は立方形として構成され、幹部に堅固に結合されている。
【0015】
第一代替形態による懸架要素の動作位置では、少なくとも一つの固定要素が、各幹部上に配置され、レール上に支持され、支持部が、動作位置から取り付け位置に移動しないようにすることで、確実な固定が実現される。
【0016】
更に、好ましくは、固定要素は腕部として形成され、それは復元力があり、動作位置ではレールの縦間隙内に突出している。
【0017】
各懸架要素上に冗長的に二つの固定要素を配置することで、これらの懸架要素のレール内への締め付けの安全性を更に向上させる。
【0018】
好ましい設計では、固定要素は、スライド部から離れた幹部の端部の領域に締め付けられ、懸架要素の動作位置から見て、縦間隙の方向に傾斜させ、前記幹部から始まって傾斜している。傾斜形状のおかげで、固定要素は、弾性復元力があり、縦間隙内への移動を容易にする。傾斜した配置は、その機能を実行するための固定要素のレールと咬み合わせを容易にし、特に、その縦間隙内に入り込むことができる。
【0019】
第二代替実施形態では、スライド部は、保持部から離れた幹部の端部において軸を中心に傾斜可能なように配置され、前記軸は、幹部の縦方向に対して横向きに配置されている。従って、取り付け位置では、スライド部は、幹部と平行に折り畳まれ、それから、縦間隙を介してレール内に導入される。この後、スライド部は、幹部に対して直角の位置に折り畳み、従って、この動作位置では縦間隙からもはや出て行かない。レールの縦間隙が底部で開いている場合、幹部は重力によって動作位置に保持されている。
【0020】
好ましい実施形態では、スライド部は板として形成されている。
【0021】
特に好ましくは、懸架要素は、支持部に加えて、保持部を構成し、電力ケーブルは前記保持部から吊り下げられている。従って、レールに対する懸架要素の締め付け、及び懸架要素に対する電力ケーブルの締め付けの機能は、互いに分離され、支持部と保持部は各々、これらの機能に特に適応させることができる。
【0022】
保持部は、電力ケーブルの周りに部分的に通過させた細長い収容要素を備え、接続要素によって一方の端部で支持部に前記収容要素を締め付け、その他方の端部は、電力ケーブルを挿入した後、閉鎖要素によって保持部に接続できるので、電力ケーブルは、レールに沿った任意の所定の場所で、懸架要素の保持部によって固定されるか、もしくは電力ケーブル又は懸架要素の交換のために除去される。電力ケーブルは、側面から保持部内の収容要素上に挿入され、閉鎖要素によって固定されるので、前記電力ケーブルは、第一保持部及び以降の全ての保持部内に、その開始部品によって根気よくネジ止めする必要はない。
【0023】
接続要素は、開口部を備えている一方の端部で開いた車輪格納部状に構成され、閉鎖要素は、前記開口部を閉じるカバー部として構成されているので、電力ケーブルは、保持部によって堅固に保持される。従って、吊り下がっている懸架要素内の電力ケーブルは、下向きに開いているU字形の空間内に堅固に保持され、底部では軸受け要素によって、側部及び上部では接続要素と閉鎖要素によって拘束されている。
【0024】
好ましい実施形態では、電力ケーブルは、複数の電気配線を備えている平板ケーブルとして構成されている。この方法では、電力ケーブルは、損傷を受けることなく、レールに沿って配置された複数の懸架要素において、花飾り状に締め付けられる。軸受け要素の領域では、電力ケーブルは約180゜だけ偏向され、従って、平板ケーブルの使用によって捻れないようにする。
【0025】
レールは、縦間隙から広がっている中空の空間と、C字形の断面と、を備え、その縦間隙は下向きであることが特に望ましい。レールのこの構成におかげで、T字形の支持部による懸架要素の簡単な締付けが可能になる。支持部のスライド部用の軸受け面は、レールの中空の空間内の前記レールの形状によって提供されている。
【0026】
懸架要素は、射出成形プラスチック部品として特に容易に作製できる。
【0027】
本発明は、図面に示した、二つの実施例によって以降で更に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】レール、電力ケーブル及び複数の懸架要素を備えている、いわゆる牽引ケーブル組立体を示す図である。
【図2】開いた保持部を備えている第一実施形態による懸架要素の斜視図である。
【図3】閉じた保持部を備えている図2による懸架要素の斜視図である。
【図4】取り付け位置の図2による懸架要素を備えているレールの断面図である。
【図5】動作位置の図2による懸架要素を備えている図4による図である。
【図6】図5の側面図である。
【図7】開いた保持部を備えている第二実施形態による懸架要素の斜視図である。
【図8】取り付け位置の図7による懸架要素を備えているレールの断面図である。
【図9】動作位置の図7による懸架要素を備えている図8による図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、いわゆる牽引ケーブルの図を示しており、前記牽引ケーブルは、電気昇降駆動部を備えているクレーンクラブ等の移動可能な電気消費部に電力を供給する際に用いられる。このような牽引ケーブルを用いる他の領域には、クレーン、吊り下げ形モノレールトラック、及び積載加工機がある。この牽引ケーブルは基本的にレール1からなり、レール1から電力ケーブル2が、複数の懸架要素3を介して、花飾り状に懸架されている。懸架要素3は、その縦方向Lにレール1に沿って移動可能であり、移動可能な電気消費部(図示せず)まで電力ケーブル2を持ち上げる。レール1に対する電気消費部の位置によって、レール1の縦方向Lから見て連続的に配置されている複数の懸架要素3は、接近又は乖離するように移動され、吊り下がっている電力ケーブル2のループは、大きくなったり狭くなったりする。電力ケーブル2は通常、互いに隣接配置した複数の電気配線を備えている平板ケーブルとして構成されている。
【0030】
基本的に、牽引ケーブルの形態で圧空電力路2を吊り下げるために、上記の懸架要素3とレール1を用いることもできる。
【0031】
図2は、第一実施形態の懸架要素3の斜視図を示している。懸架要素3は、上側支持部4と、それに締め付けられている、又はそれから吊り下がっている下側保持部5と、に大きく分割できる。支持部4を介して、懸架要素3はレール1に接続されている。このために、支持部4は基本的にT字形に構成され、上側立方形のスライド部4aと、その中心に結合された円形パイプ状幹部4bを備えている。スライド部4aは、幹部4bに堅固に接合されている。スライド部4aは、平板立方形を備え、上部で開き、全体として中空に構成されている。スライド部4aを介して、懸架要素3aは、縦方向Lで前後にレール1内をスライドする。
【0032】
スライド部4aから離れた幹部4bの下側端部には、保持部5が配置され、保持部5から電力ケーブル2が吊り下げられる。保持部5は基本的に、ボルト状の収容要素5aからなり、収容要素5aは、図2の視点に対してその後方端部において、接続要素5bに締め付けられている。収容要素5aは、幹部4bが垂直に配置されているとき、その縦方向が水平に配置され、その縦方向は、スライド部4aの縦方向と平行に延びている。収容要素5aは、一方の端部のみで接続要素5bに締め付けられ、接続要素5bは、幹部4bの下側端部に締め付けられ、接続要素5bは、単なる垂直ウェブとしてだけではなく、全体的には車輪格納部状に構成されているので、接続要素5bと収容要素5aの間に全体的にU字形の空間5cが構成されている。ここでは、U字は逆さまであることに注意すべきである。取り付け位置のこのU字形の空間5cは、片側、つまり、接続要素5bに結合された収容要素5aの端部の反対側に開いている。U字形の空間5cのこの開口部5dは、電力ケーブル2を押し込むように機能し、電力ケーブル2は平板ケーブルとして好ましくは構成され、ループ形態でU字形の空間5c内に横向きに入る。懸架要素3は通常、下向きに開いているC字形のレール1から垂直に配置された幹部4bによって通常吊り下げられているので、電力ケーブル2は収容要素5a上に留まる。明確化のために、電力ケーブル2のループは、図2には示されていない。
【0033】
更に、図2では、全体として立方体の外形を備えている保持部5は、平坦又は円形で、互いに逆向きの二つの上側エッジを備えていることが分かる。開口部5dが配置されている保持部5の側面5eには、上側領域に配置された二つの削孔6a、6bがあり、削孔6a、6bは、カバー部7(図3参照)の挿入要素を収容するように機能する。図2は、下向きに配置された突出部5gが、自由端5fに配置され、カバー部7を閉じるスナップ閉鎖用の接合部として機能することも示している。
【0034】
更に、図2は、二つの固定要素8a、8bが、懸架要素3の幹部4b上に配置されることを示している。固定要素8a、8bは、上から見て細長い二等辺三角形の形状を備えている。固定要素8a、8bの頂点8cは、幹部4bから逆向きになっている。更に、幹部4bが垂直に配置されると、固定要素8a、8bは、水平ではなく、幹部4bから始まり、スライド部4aの方向に直線的に上昇するように形成されている。幹部4bと固定要素8a、8bの間にある角度は、約60〜80゜の範囲であり、好ましくは70゜である。更に、幹部4bに対して逆向きに配置された固定要素8a、8bは、スライド部4aの縦方向に対して直角にそれらの縦方向を備えるように配置されている。
【0035】
その支持部4、保持部5及び固定要素8a、8bを備えている懸架要素3は、単一のプラスチック射出成形部品として作製される。
【0036】
図3は、図2に対応している第一実施形態の懸架要素3の斜視図を示しているが、保持部5のU字形の空間5cは、カバー状の閉鎖要素7で閉鎖されている。この図3に示した懸架要素3の他の部品については、図2の前の説明を参照のこと。閉鎖要素7については、水平配置されたヒンジ7a、好ましくはフィルムヒンジが、上側領域に延び、狭い上側固定部7bと、隣接する下側折り畳み部7cと、に閉鎖要素7を分割していることが分かる。ヒンジ7aは、空間5cの上側端部の領域にほぼ配置され、空間5cの開口部5dの全体は、折り畳み部7cを上側に折り畳むことによって開かれ、電力ケーブル2を挿入可能にする。固定部7bは、後側に配置され図示されていないピンを介して押圧され、組み立て処理中、押圧適合又はスナップ接続によって、削孔6a、6b(図2参照)内に配置され、保持部5の接続要素5bに十分堅固に接続される。従って、閉鎖要素7の折り畳み部7cは、閉じたほぼ垂直の位置から開いたほぼ水平の位置に、ヒンジ7aを中心に移動できる。折り畳み部7cをその閉位置に保持するために、内向きに突き出ているフック状の突出部7dが、その下側端部に設けられ、突出部7dは、収容要素5aの他の突出部5gと共にスナップ接続できる。従って、保持部7は、電力ケーブル2を交換するために再び開くことができる。
【0037】
図4は、いわゆる取り付け位置にある、第一実施形態の懸架要素3と共にレール1を横切る断面を示している。この取り付け位置では、懸架要素3のスライド部4aは、全体として基本的にC字形のレール1の縦間隙1aを介して、その中空の空間1b内に導かれる。このために、そのスライド部4aが、レール1の縦方向L内で、従って、レール1の縦間隙1aの縦方向内で、その縦方向によって配置されるように、懸架要素3は配置される。スライド部4aの幅bは、レール1の縦間隙1aの幅Bよりやや狭くなるように選択される。スライド部4aが、縦間隙1aを介して挿入され、縦間隙1aに隣接し広がっているレール1の中空の空間1b内に完全に配置された後、懸架要素3は、幹部4bの縦方向を中心に90゜回転され、スライド部4aは、レール1の縦方向Lに対して横向きに延び、従って、縦間隙1aを架橋する。スライド部4aのこの位置は、動作位置としても知られている。
【0038】
更に、取り付け位置の固定要素8a、8bは、レール1とは接触しないことが、図4から分かる。スライド部4aが、レール1の縦間隙1a内に十分に挿入されている、別の種類のレール1では、二つの固定要素8a、8bは、既にレール1に対して支持され、保持部5の方向に既に弾性的に変形されている。更に、懸架要素3をレール1上に取り付けている、またはレール1から取り外している間は、保持部5内には電力ケーブル2は挿入されていない。基本的に、取り外しステップ中は、保持部5内に電力ケーブル2を残すこともできる。
【0039】
図5は、図4に対応している第一実施形態の懸架要素3を備えているレール1の図を示している。しかし、ここでは、懸架要素3は、もはや図4に示した取り付け位置ではなく、代わりにいわゆる動作位置にあり、前記動作位置では、支持部4のスライド部4aは、レール1の縦方向Lに対して横向きに配置されている。ここに示した動作位置では、固定要素8a、8bは、少なくともそれらの頂点8cが、レール1の縦間隙1a内に入り込んでいる。この方法では、スライド部4aは、動作位置から取り付け位置に捻れないようにできる(捻れると、縦間隙1aから外に落ちる可能性がある)。更に、固定要素8a、8bは案内機能を備え、レール1に沿っての電力ケーブル2の変位中、スライド部4aは、その正確な動作位置から、幹部4bの縦軸を中心に時計回り又は反時計回りに容易に回転し、前記動作位置では、スライド部4aは、縦間隙1aの縦方向に対して直角にその縦方向を備えるように配置される。固定要素8a、8bは、回転移動の結果として、縦間隙1aの内側側壁に支持されるので、この回転移動は固定要素8a、8bによって制限される。固定要素8a、8bは復元力があるので、懸架要素7を取り外すために、縦間隙1aから弾性的に湾曲して取り出される。ここでは、懸架要素7は、動作位置から取り付け位置に自由に回転して戻ることができ、スライド部4aは、縦スロット1aから下向きに取り外すことができる。
【0040】
しかし、好ましくは、電力ケーブル2は最初に、保持部5から取り外すべきである。必要に応じて、電力ケーブル2は、保持部5内に残すこともできる。
【0041】
図6は、図5の側面図を示している。この図では、懸架要素3は、その動作位置で示されている。固定要素8a、8bは、少なくともそれらの頂点8cによって、レール1の縦間隙1a内に入り込んでいることが分かる。本実施例では、固定要素8a、8bは、それらの長さの約三分の一だけ縦間隙1a内に入り込んでいる。
【0042】
更に、図7は、第二実施形態の懸架要素3の斜視図を示している。保持部5については、図2と3の説明を参照のこと。ここでは、同様に、懸架要素3は、下側保持部5に加えて、上側支持部4を備えている。支持部4は基本的にT字形であり、上側板状のスライド部4aと、中心で結合された円形パイプ幹部4bと、を備えている。スライド部4aを介して、懸架要素3aは、縦方向Lで前後にレール1内をスライドする。第一実施形態とは異なり、スライド部4aは、幹部4bに堅固に締め付けられているのではなく、幹部4bの上側端部に連結され、幹部4bの縦方向に対して直角に配置された、軸Aを備えている傾斜軸4cによって支持部5と対向している。従って、スライド部4aは、横方向に配置され、幹部4bの縦方向に対して平行になる。図7では、スライド部4aは、幹部4bの縦方向に対して直角に配置された、いわゆる動作位置で示されている。
【0043】
第二実施形態の懸架要素3も、単一部品の射出成形プラスチックとして、その支持部4と保持部5と共に作製される。
【0044】
図8は、いわゆる取り付け位置である、第二実施形態の懸架要素3と共にレール1を横切る断面図を示している。この取り付け位置では、懸架要素3のスライド部4aは、全体として基本的にC字形のレール1の縦間隙1aを介して、その中空の空間1b内に導かれる。このために、そのスライド部4aが、レール1の縦方向L内で、従って、レール1の縦間隙1aの縦方向内で、そして更に、幹部4bの縦方向に対して同様に平行に、その縦方向によって配置されるように、懸架要素3は配置される。スライド部4aは、幹部4bの軸Aを中心に傾斜できるので、これが可能になる。スライド部4aの高さ、及び幹部4bの比例した幅を構成する寸法hは、レール1の縦間隙1aの幅Bよりやや狭くなるように選択される。スライド部4aが、縦間隙1aに隣接し広がっているレール1の中空の空間1b内に完全に配置されるように、縦間隙1aを介して挿入された後、一方では、傾斜軸4cが容易に移動し、他方では、取り付け位置で垂直に配置されたスライド部4aが、傾斜軸4cに対して底部より上部が重いので、それは重力によって、いわゆる動作位置に傾斜させられる。傾斜運動は、器具によって、又はそれを設置している人の指によって加えられた傾斜力によっても生成される。動作位置では、従って、スライド部4aは、レール1の縦方向Lに対して横向きに延び、従って、縦間隙1aを架橋する。
【0045】
図9は、第二実施形態の懸架要素3を備えている図8に対応するレール1の図面を示している。しかし、ここでは、懸架要素3は、もはや図8に示した取り付け位置ではなく、代わりにいわゆる動作位置にあり、前記動作位置では、支持部4のスライド部4aは、レール1の縦方向Lに対して横向きに配置されている。スライド部4aは、円形の断面を備えているので、スライド部4aは、その正確な動作位置から、幹部4bの縦軸を中心に時計回り、又は反時計回りに容易に回転でき、前記動作位置では、電力ケーブル2が、レール1に沿って移動する際、傾斜軸4cは、その縦方向が縦間隙1aの縦方向に対して平行に配置され、板状のスライド部4aが、縦間隙1aから下に落ちる危険性はない。取り外す場合、スライド部4aは、ロッド状器具で、又は設置している人の指で、縦間隙1aを介して位置決めされ、それから、縦スロット1aから下向きに取り外される。しかし、好ましくは、電力ケーブル2は、最初に保持部5から取り外されるべきである。必要に応じて、電力ケーブル2は、保持部5内に残すこともできる。
【符号の説明】
【0046】
1 レール
1a 縦間隙
1b 中空の空間
2 電力ケーブル
3 懸架要素
4 支持部
4a スライド部
4b 幹部
4c 傾斜軸
5 保持部
5a 収容要素
5b 接続要素
5c 空間
5d 開口部
5e 側面
5f 自由端
5g 突出部
6a 削孔
6b 削孔
7 閉鎖要素
7a ヒンジ
7b 固定部
7c 保持部
7d 突出部
8a、8b 固定要素
8c 頂点
A 軸
b 幅
B 幅
E 挿入方向
h 高さ
L 縦方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦間隙上に開いている中空形状のレールと、複数の懸架要素と、を備え、前記懸架要素が、レールに沿って移動可能であり、前記懸架要素に電力線が締め付けられている組立体であって、
これらの支持部(4)が、外側から縦間隙(1a)を介して、取り付け位置でレール(1)の中空の空間(1b)内に導入され、取り付け位置から動作位置に移動した後、支持部(4)が、縦間隙(1a)を架橋するように、レール(1)に締め付ける懸架要素(3)が構成されている、ことを特徴とする組立体。
【請求項2】
支持部(4)が、動作位置でレール(1)の縦方向(L)から見てT字形であり、レール(1)から突出している幹部(4b)と、レール(1)内にあり、中央領域で幹部(4b)に締め付けられているスライド部(4a)と、を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の組立体。
【請求項3】
幹部(4b)が、円筒形であることを特徴とする、請求項2に記載の組立体。
【請求項4】
スライド部(4a)が、立方形として構成され、幹部(4b)に堅固に結合されていることを特徴とする、請求項2又は3に記載の組立体。
【請求項5】
少なくとも一つの固定要素(8a、8b)が、各幹部(4b)上に配置され、レール(1)上に支持され、支持部(4)が、動作位置から取り付け位置に移動しないようにすることを特徴とする、請求項4に記載の組立体。
【請求項6】
固定要素(8a、8b)が、腕部として形成され、それは復元力があり、動作位置でレール(1)の縦間隙(1a)内に突出していることを特徴とする、請求項5に記載の組立体。
【請求項7】
二つの固定要素(8a、8b)が、各懸架要素(3)上に配置されていることを特徴とする、請求項5又は6に記載の組立体。
【請求項8】
固定要素(8a、8b)が、スライド部(4a)から離れた幹部(4b)の端部の領域に締め付けられ、懸架要素(3)の動作位置から見て、縦間隙(1a)の方向に傾斜させ、幹部(4b)から始まって傾斜していることを特徴とする、請求項5〜7の一つに記載の組立体。
【請求項9】
スライド部(4a)が、保持部(5)から離れた幹部(4b)の端部において、軸(A)を中心に傾斜可能なように配置され、軸(A)が、幹部(4b)の縦方向に対して横向きに配置されていることを特徴とする、請求項2又は3に記載の組立体。
【請求項10】
スライド部(4a)が、板として形成されていることを特徴とする、請求項9に記載の組立体。
【請求項11】
懸架要素(3)が、支持部(4)に加えて、保持部(5)からなり、保持部(5)から電力ケーブルが吊り下げられていることを特徴とする、請求項1〜10の一つに記載の組立体。
【請求項12】
保持部(5)が、電力ケーブル(2)の周りに部分的に通過させた細長い収容要素(5a)を備え、収容要素が、接続要素(5b)によって一方の端部において、支持部(4)に締め付けられ、電力ケーブル(2)を挿入した後、その他方の端部(5f)が、閉鎖要素(7)によって保持部(5)に接続可能であることを特徴とする、請求項11に記載の組立体。
【請求項13】
接続要素(5b)が、開口部(5d)を備えている一方の端部で開いた車輪格納部状に構成され、閉鎖要素(8a、8b)が、開口部(5d)を閉じるカバー部として構成されていることを特徴とする、請求項12に記載の組立体。
【請求項14】
電力ケーブル(2)が、複数の電気配線を備えている平板ケーブルとして構成されていることを特徴とする、請求項1〜13の一つに記載の組立体。
【請求項15】
レール(1)が、縦間隙(1a)から広がっている中空の空間(1b)と、C字形の断面と、を備え、その縦間隙(1a)が、下向きであることを特徴とする、請求項1〜14の一つに記載の組立体。
【請求項16】
懸架要素(3)が、射出成形プラスチック部品であることを特徴とする、請求項1〜15の一つに記載の組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−526512(P2012−526512A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508982(P2012−508982)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【国際出願番号】PCT/EP2010/055645
【国際公開番号】WO2010/145875
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(504054468)デマグ クレインズ アンド コンポーネンツ ゲーエムベーハー (18)
【Fターム(参考)】