説明

犬用のダイエット食品の製造方法

【課題】ダイエット効果が高く、かつ、満腹感のある犬用のダイエット用食品を提供する。
【解決手段】本発明の犬用のダイエット用食品1は、小麦グルテンおよび小麦粉を主成分として焼成してなる焼き麩様の食品中に、炭の粉末が分散して含まれていることを特徴とする。なお、前記ダイエット用食品1には、チキンエキスが含まれていてもよい。また、前記ダイエット用食品1は円柱形状または立方体状に形成され、かつ、粒径が6mm〜15mmであるのが好ましい。さらに、前記ダイエット用食品1の嵩重量は0.05g/cm3 〜0.30g/cm3 であるのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は犬用のダイエット用食品およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、人間やペット用のダイエットダイエット用食品が提案されている(特許文献1および2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−003466(要約書)
【特許文献2】特開2009−072077(要約書)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
肥満の多くは、過剰なカロリーの摂取とエネルギーの消費低下が原因である。過剰なカロリーの摂取を控えるためには、食事の摂取量自体を少なくする方法がある。また、消費エネルギー量を上げるためには運動を行うのが効果的である。
しかし、食事制限やカロリーを消費するめの運動を毎日続けるには相当な意志を要する。
【0005】
特に、犬などのペットの場合には、餌の量を減らすと無駄吠えが多くなるなど感情面で不安定になる場合が多い。また、ペットの散歩を長時間行うことは、飼い主にとっては大きな負担となる。
さらに、食物アレルギーを有するペットの場合には、通常与えている餌を簡単に変更することができない。
【0006】
したがって、本発明の主な目的は、ダイエット効果が高く、かつ、満腹感のある犬用のダイエット用食品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の犬用のダイエット用食品は、小麦グルテンおよび小麦粉を主成分として焼成してなる焼き麩様の食品中に、炭の粉末が分散して含まれていることを特徴とする。
なお、「分散」とは炭の粉末が食品中に局所的に集まっているのではなく、食品全体に存在することを意味するが、炭の粉末が食品全体に存在し、かつ、中央部や外表面に集中的に存在する場合も含む。
【発明の効果】
【0008】
本ダイエット用食品を、たとえば、犬などのペットに与える場合には、通常与えている餌(通常食)に本食品を加えることで、焼き麩を食べるのに時間を要し満腹感を得られるため、カロリーの高い通常食の分量を減らすことができる。また、焼き麩が脂肪分や水分を吸収して胃の中で膨張するので満腹感が得られることが期待できる。
【0009】
特に、焼き麩は通常与えている餌(通常食)よりも軽いので、図5Aに示すように、ペットに与える場合には、本ダイエット用食品1が前記通常食20の上に位置する。そのため、ペットが通常食20の上に位置する本食品1から食べ始めるので、本食品1を食べ残すおそれが少なくなる。
一般に、犬は悪食なので餌に炭が混じっていても完食する確率が高い。
また、図5Bに示すように、胃3内に本食品1が先に入るので、本食品1のまわりに通常食20の脂質が吸着され易くなる。そのため、脂質が吸着された食品1が体外に排泄されることにより、体内に中性脂肪が溜まりにくくなることが期待できる。
【0010】
また、焼き麩はタンパク質からなる小麦グルテンを多く含む低カロリー食品であるので、ダイエット効果が期待できる。
【0011】
ここで、グルテンは分子量が小さい植物性タンパク質であるから、食物アレルギーを引き起こしにくい。また、焼き麩は消化され易いので老犬や小犬にも与えることができる。さらに、焼き麩は高タンパク食品なので、ペットの頭が良くなることが期待できる。
【0012】
本食品に用いる炭としては、脂質を吸着し易い黒炭が好ましいが、白炭であってもよい。前記炭の原料としては、家屋の廃材や雑木、枯れ草などであってもよい。
【0013】
本食品に含まれる炭の粉末としては、たとえば、平均粒径が0.01mm〜0.05mm程度の粉状であってもよい。同一重量の炭を用いた場合、前記粒状の炭よりも粉状の炭の方が炭全体の表面積が大きくなるので、粉状の炭の方が油の吸収率が高くなることが期待できる。
【0014】
ここで、本発明における「小麦グルテン」とは、小麦粉に少量の塩水を加えて練ることにより固まりにした生地(湿グルテン)を所定時間熟成させた後、多量の水中で捏ねてデンプンを水中に分散させて前記生地から取り除いたものをいう。
また、「焼き麩」とは、前記小麦グルテンおよび小麦を主成分とし、焼成してなる食品である。
なお、前記焼成前に、たとえば炭酸水素ナトリウム(ベーキングパウダー)などの発泡剤を添加してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の試験例1〜5および比較例にかかる食品の構成を示す図表である。
【図2】通常食として比較例および試験例の食品を与えた場合の被検体の体重の変化を示す図表である。
【図3】被検体におやつとして試験例を与えた場合の試験結果を示す図表である。
【図4】図4Aおよび図4Bはダイエット用食品を示す概略斜視図、図4Cは前記ダイエット用食品を作成するための生地の製造方法を示す概略断面図である。
【図5】図5Aは犬用の餌(通常食)にダイエット用食品を振りかけた状態を示す概略断面図、図5Bは犬の胃の中の通常食および前記食品の状態を示す概略断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明にかかるダイエット用食品の製造方法は、前記炭の粉末が分散して含まれた小麦グルテンの生地を生成する工程と、前記小麦グルテンの生地に小麦粉および水を加え生麩を生成する工程と、前記生麩を焼成して前記焼き麩様のダイエット用食品を得る工程とを包含する。
【0017】
本製造方法によれば、小麦グルテンは粘結力があり、該小麦グルテンに炭の粉末が練り込まれているので、添加された炭粉末が焼き麩から脱落しにくい。すなわち、小麦粉の成分は粉を吹いたように焼き麩から脱落するが、炭粉末は小麦グルテンに練り込まれているので、脱落しにくい。そのため、本食品を指で摘んでも指が炭で汚れるおそれが少なくなるので、オヤツなどに用いるのに適している。
すなわち、犬の躾けを行う場合等に褒美としてオヤツを与えるのであるが、犬が主人の命令に従う度にオヤツを犬に与えるため、度々、オヤツを犬に与えることになり、その際に指が炭で汚れると衣服や室内が炭で汚れる。本食品ではこの指の汚れの程度が著しく小さくなる。
【0018】
前記製造方法において、動物性タンパク質のエキスを添加した塩水中に炭粉末を分散させた炭粉末水を生成する工程と、前記炭粉末水を小麦粉に添加し、これを捏ねて第1生地を生成する工程と、前記第1生地を熟成する工程と、前記熟成後に、前記第1生地からデンプンを水中に溶け出させて前記小麦グルテンの生地を生成する工程と、を備えていてもよい。
この場合、動物性タンパク質エキスが炭の粉末に吸着されているので、該エキスの香りがペットの食欲をそそり、通常食のみを食して本ダイエット用食品を食べ残すおそれが少なくなることが期待できる。
なお、動物性タンパク質エキスとしては、たとえば、チキンや、ビーフ、ポークなどのエキスを用いることができる。
【0019】
前記製造方法により得られたダイエット用食品は、円柱形状または立方体状に形成され、かつ、粒径が6mm〜15mmであるのが好ましい。
【0020】
本態様によれば、粒径が6mm〜15mmであるので、前記食品の粒径が小さいから、犬などのペットに与える場合、小型犬や老犬などであっても本食品をかみ切る必要がないから容易に食べることできる。なお、前記食品は、前記粒径になるように、焼成前に粒状に形成することで、前記炭粉末が脱落しにくくなる。
【0021】
また、円柱形や立方体状に形成することで、小型犬や老犬が噛み砕きや易くなる。
特に、本食品を立方体状に形成することで、同一粒径の球形や円筒形よりも表面積が大きくなる。そのため、本食品を大型犬などが噛み砕くことなく飲み込んだとしても通常食に含まれる脂肪が炭に吸着され易くなることが期待できる。
【0022】
本発明において、前記食品の嵩重量が0.05g/cm3 〜0.30g/cm3 であるのが好ましい。
本態様によれば、本食品の嵩重量を通常食の嵩重量よりも小さく設定することで、図5Aに示すように、該通常食の上に本食品が位置し易くなる。そのため、犬が通常食よりも先に本食品を食べるので、図5Bに示すように、通常食20よりも先に胃3の中に入る。そのため、通常食20の脂肪分が本食品1に含まれる炭に吸着し易くなる。
【0023】
本発明において、本食品には、前記動物性タンパク質のエキスとしてチキンエキスが含まれているのが好ましい。
【0024】
本発明において、野菜の繊維を更に含んでいるのが好ましい。
ここで、本食品中の炭の割合を多くすると、便秘を生じるおそれがある。そのため、野菜の繊維を含ませることにより便秘を防止することが期待できる。
【0025】
本発明前記炭が木炭であるのが好ましい。
前記木炭としては、軟質で隙間が多く、脂肪の吸着力の大きな黒炭であるのが好ましい。
【0026】
本発明において、前記木炭は杉の木を炭化してなるのが好ましい。
杉の木は日本産の木材としては比較的柔らかく、木炭として製造した場合に粉末化し易い。
【0027】
本発明において、前記焼き麩様食品は外表面に焼成された薄皮を有し、この薄皮によって前記ダイエット用食品の概ね全外表面が覆われており、前記薄皮には前記ダイエット用食品中に分散された炭の粉末とは別の炭の粉末がまぶされていてもよい。
本態様の食品を作成するには、たとえば、前記第1生地に小麦粉と少量の水を加入して捏ねた第2生地に炭の粉末をまぶして焼成してもよい。本態様によれば、本食品中の炭の含有量を大幅に増やすことができる。
【実施例】
【0028】
本発明の効果を明瞭にするために、まず、試験例1〜5および比較例を作成した。
なお、以下に述べる各試験例および比較例では、小麦粉として強力粉を用いた。
【0029】
試験例1:
図4Cに示すように、チキンエキスを添加した塩水に炭粉を分散させた炭粉末水10を作成し、小麦粉11(2000g)に前記炭粉末水10を加え、小麦粉11が固まりになるように十分に捏ねて第1生地を作成した。
【0030】
前記炭粉末水10としては、水1300ccに塩250gを溶解させ、前記塩水に黒炭の粉末200g、チキンエキス10gを分散させたものを用いた。前記炭粉の粒径は平均粒径が0.01mm〜0.05mm程度の粉末状のものを用いた。前記炭粉は杉から作成された木炭を使用した。
【0031】
その後、前記第1生地を乾燥させないようにポリエチレン製の袋で密閉し、グルテン同士の繋がりを強くするために常温で2時間放置させて熟成させた。
前記熟成後、多量の水中で前記第1生地を揉み、前記水中にデンプンを溶け出させて小麦グルテンの生地を作成した。前記炭の粉末が混入された小麦グルテンは強力粉2000gから252g作成された。
【0032】
その後、前記小麦グルテンの生地に小麦粉(強力粉)1500gを加えた後、少量の水を加えながら艶のある柔らかい団子状になるように捏ね上げて生麩(第2生地)を作成した。
【0033】
前記生麩を多数の方形状に成形した後、前記方形に成形された生麩に霧吹きで適量の水を噴霧し、約180℃の雰囲気中に20分間晒して焼成し、図4Aに示すダイエット用食品1を得た。
以上のようにして作成した試験例1の食品の嵩重量は0.12g/cm3 であった。
【0034】
試験例2:
小麦粉11(2000g)に前記塩水を加え、小麦粉11が固まりになるように十分に捏ねて第1生地を作成した。前記塩水としては、水1000ccに塩50gを溶解させたものを用いた。
【0035】
その後、前記第1生地を乾燥させないようにポリエチレン製の袋で密閉し、グルテンの繋がりを強くするために常温で2時間放置させて熟成させた。
前記熟成後、多量の水中で前記第1生地を揉み、前記水中にデンプンを溶け出させて小麦グルテンの生地を作成した。前記小麦グルテンの生地は強力粉2000gから240g作成された。
【0036】
その後、前記小麦グルテンの生地に、小麦粉(強力粉)1500g、杉から作成された黒炭の粉末85gおよびチキンエキス5ccを加え、少量の水を加えながら艶のある柔らかい団子状になるように捏ね上げて生麩(第2生地)を作成した。
【0037】
前記試験例1と同様の方法で、前記生麩を多数の方形状に成形した後、前記方形に成形された生麩に霧吹きで適量の水を噴霧し、約180℃の雰囲気中に20分間晒して焼成し、試験例2の食品を得た。
以上のようにして作成した試験例2の食品の嵩重量は0.14g/cm3 であった。
【0038】
試験例3:
試験例2と同様の方法で第1生地を作成して熟成させた後、小麦グルテンを作成した。 その後、前記小麦グルテンに、小麦粉(強力粉)1500g、杉から作成された黒炭の粉末170gおよびチキンエキス5ccを加え、少量の水を加えながら艶のある柔らかい団子状になるように捏ね上げて生麩(第2生地)を作成した。
【0039】
前記試験例1と同様の方法で、前記生麩を多数の方形状に成形した後、前記方形に成形された生麩に霧吹きで適量の水を噴霧し、約180℃の雰囲気中に20分間晒して焼成し、試験例3の食品を得た。
以上のようにして作成した試験例3の食品の嵩重量は0.19g/cm3 であった。
【0040】
試験例4:
試験例3の生麩に、杉から作成された黒炭の粉末10gをまぶした後、試験例1と同様の方法で前記生麩を多数の方形状に成形した後、前記方形に成形された生麩に霧吹きで適量の水を噴霧し、約180℃の雰囲気中に20分間晒して焼成し、試験例4の食品を得た。図4Bに示すように、前記試験例4の食品は外表面に焼成された炭の薄皮1cが生成された。
以上のようにして作成した試験例4の食品の嵩重量は0.20g/cm3 であった。
【0041】
試験例5:
試験例3の生麩に、備長炭の粉末20gをまぶした後、試験例1と同様の方法で前記生麩を多数の方形状に成形した後、前記方形に成形された生麩に霧吹きで適量の水を噴霧し、約180℃の雰囲気中に20分間晒して焼成し、試験例4の食品を得た。このようにして得た試験例4の食品は、外表面に焼成された備長炭の炭の薄皮が生成された。
以上のようにして作成した試験例5の食品の嵩重量は0.21g/cm3 であった。
【0042】
比較例:
比較例として、炭粉を含まない塩水のみで第1生地を生成した一般的な焼き麩を作成した。以上のようにして作成した比較例の食品の嵩重量は0.10g/cm3 であった。
【0043】
なお、前記試験例1〜5および比較例の食品は、その粒径が6mm〜15mm、平均粒径が7m〜12mmになるように作成した。
【0044】
通常食に添加した場合の被検体の体重変化:
つぎに、図2に示すように、犬を被検体として前記試験例1〜5および比較例を通常食に添加して与えた。
【0045】
被検体;
被検体1は、犬種ワイヤーフォックステリア、犬齢7歳、オス、去勢済、小麦粉以外の食物アレルギーを有している。なお、去勢を行った犬は一般に太りやすい傾向にある。
被検体2は、犬種パピヨン、犬齢6歳、メス、去勢済、食物アレルギーなしである。
被検体3は、犬種柴犬、犬齢7歳、メス、去勢をしておらず、食物アレルギーなしである。
被検体4は、犬種ミニチュアシュナウザー、犬齢6歳、メス、去勢をしておらず、食物アレルギーなしである。
【0046】
試験前の体重は、被検体1が10.6kg、被検体2が4.8kg、被検体3が14.8kg、被検体4が6.7kgであった。
【0047】
つぎに、比較例および試験例1〜5を被検体1〜4に与えた。各被検体には、通常食の量を若干減らし、比較例または試験例1〜5の食品を3g〜6g程度与えた。
【0048】
比較例を添加した場合;
まず、各検体に普段与えている餌(通常食)の上に前記比較例の食品をふりかけるように添加して、各被検体1〜4に7日間与えた。いずれの被検体も食べ残しはなかった。
前記比較例を通常食に添加して与えた7日後に各被検体1〜4の体重を測定したところ、各被検体1〜4の体重に殆ど変化はなかった。なお、食物アレルギーを有する被検体1にアレルギー反応は生じなかった。
【0049】
試験例1を添加した場合;
つぎに、通常食に前記試験例1の食品をふりかけるように添加し、これを被検体1〜3に7日間与えた。各被検体1〜3に食べ残しはなかった。
前記試験例1を通常食に添加して与えた7日後に各被検体1〜3の体重を測定した。被検体の体重は、被検体1が10.3kg、被検体2が4.7kg、被検体3が14.8kgであった。
各被検体1〜3において、若干ではあるが体重の減少が認められた。
なお、非検体1に食物アレルギー反応は生じなかった。
【0050】
試験例2を添加した場合;
つぎに、通常食に前記試験例2の食品をふりかけるように添加して、これを被検体2〜4に7日間与えた。被検体2〜4に食べ残しはなかった。なお、被検体1は食い付きが良く、更に欲しがったので、試験例2を省略し次に述べる試験例3を実施することにした。
前記試験例2を通常食に添加して与えた7日後に各被検体2〜4の体重を測定した。被検体の体重は、被検体2が4.3kg、被検体3が14.5kg、被検体4が6.5kgであった。
各被検体1〜4の体重が試験前の体重と比べ減少した。
【0051】
試験例3を添加した場合;
つぎに、通常食に前記試験例3の食品をふりかけるように添加して、被検体1に7日間与えた。被検体1に食べ残しはなかった。
前記試験例3を通常食に添加して与えた前記7日後に被検体1の体重を測定した。被検体1の体重は9.5kgであった。
被検体1の体重が試験前の体重と比べ著しく減少した。
また、非検体1に食物アレルギー反応は生じなかった。
【0052】
なお、被検体2,3は、通常食に試験例3,4の食品をふりかけるように添加して与えたところ、前記食品の食べ残しが生じたため、試験を中止した。また、被検体4は食い付きが良く更に欲しがったので、試験例3を省略して次に述べる試験例4の食品で試験を行うことにした。
【0053】
試験例4を添加した場合;
つぎに、通常食に前記試験例4の食品をふりかけるように添加して、被検体4に与えた。被検体4に食べ残しはなかった。
前記試験例4を通常食に添加して与えた前記7日後に被検体4の体重を測定した。被検体1の体重は6.4kgであった。
被検体1の体重が試験前の体重と比べ著しく減少した。
【0054】
試験例5を添加した場合;
つぎに、通常食に前記試験例5の食品をふりかけるように添加して、被検体4に与えた。被検体4に食べ残しはなかった。
前記試験例5を通常食に添加して与えた前記7日後に被検体4の体重を測定した。被検体1の体重は6.3kgであった。
被検体1の体重が試験前の体重と比べ減少した。
なお、前記試験例4および試験例5を与えた被検体4の歯は多少黒くなったが、炭によって歯石が削ぎ落とされる効果が期待できる。
【0055】
以上の試験結果より、試験例1〜5の食品にはダイエット効果があることが分かった。しかも、小麦グルテンおよび小麦粉の重量に対して炭粉の重量を増やすことでダイエット効果が向上することが分かった。
【0056】
特に、試験例1,2の食品では、パピヨンなどの小型犬や食の細い犬種であっても食べ残し無くダイエット効果が得られることが分かった。
このことから、焼き麩用の食品中に分散して含まれる炭の粉末の割合を調整することで、全ての犬種においてダイエット効果の期待できるダイエット用食品を得ることができると考えられる。
また、試験期間が1週間単位であることを考慮すると、試験例1の食品においても長期間に渡って本食品を与えればダイエット効果が顕著に現れると推測できる。
【0057】
オヤツとして与えた場合:
試験例1;
試験例1を指で摘んでオヤツとして与えた場合、試験例1を与えた者(飼い主)の指に炭の汚れは殆ど付かなかった。これは、炭粉がグルテンの繋がりによって固定されることにより、炭粉が試験例1の食品内に閉じ込められたことによるものと考えられる。
一方、前記被検体1〜4はオヤツとして試験例1の食品の食い付きが良かった。
【0058】
試験例2:
試験例2を指で摘んでオヤツとして与えた場合、試験例2を与えた飼い主の指に、若干の炭の汚れが付着した。これは、炭粉が試験例2の食品の外側から若干脱落することによると考えられる。
一方、前記被検体1〜4はオヤツとして試験例2の食品の食い付きが良かった。
【0059】
試験例3:
試験例3を指で摘んでオヤツとして与えた場合、試験例3を与えた飼い主の指に、炭の汚れが付着した。これは、炭粉が試験例3の食品から脱落することによると考えられる。
一方、被検体2を除く被検体1,3,4はオヤツとして試験例3の食品を完食した。
【0060】
試験例4:
試験例4を指で摘んでオヤツとして与えた場合、試験例4を与えた飼い主の指に、炭の汚れが多く付着した。これは、試験例3の食品のまわりに付着した炭が指についたものである。
一方、被検体2,3を除く被検体1,4はオヤツとして試験例4の食品を完食した。
【0061】
試験例5:
試験例5を指で摘んでオヤツとして与えた場合、試験例4を与えた飼い主の指に、炭の汚れが多く付着した。これは、試験例5の食品のまわりに付着した炭が指についたものである。
一方、被検体2,3を除く被検体1,4はオヤツとして試験例4の食品を完食した。
【0062】
したがって、試験例1および試験例2の食品が、指に炭粉が付着せず、全ての被検体が完食することから、躾け用のオヤツに適していると考えられる。
【0063】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施例を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、前述した各ダイエット用食品は、前記犬種以外の犬に用いてもよい。
また、食い付きを良くするために、試験例1〜3の食品の外表面にチョコレートなどを塗布したり、あるいは、焼成前の生地に調味料を練り混んで味付けを行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の食品は犬のダイエットに用いることができる。
【符号の説明】
【0065】
1:ダイエット用食品
10:炭粉末水
11:小麦粉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小麦グルテンおよび小麦粉を主成分として焼成してなる焼き麩様の食品中に、炭の粉末が分散して含まれていることを特徴とする犬用のダイエット用食品。
【請求項2】
請求項1のダイエット用食品を製造する製造方法であって、
前記炭の粉末が分散して含まれた小麦グルテンの生地を生成する工程と、
前記小麦グルテンの生地に小麦粉および水を加え生麩を生成する工程と、
前記生麩を焼成して前記焼き麩様のダイエット用食品を得る工程とを包含する犬用のダイエット用食品の製造方法。
【請求項3】
請求項2の製造方法において、
動物性タンパク質のエキスを添加した塩水中に炭粉末を分散させた炭粉末水を生成する工程と、
前記炭粉末水を小麦粉に添加し、これを捏ねて第1生地を生成する工程と、
前記第1生地を熟成する工程と、
前記熟成後に、前記第1生地からデンプンを水中に溶け出させて前記小麦グルテンの生地を生成する工程と、
を備えた犬用のダイエット用食品の製造方法。
【請求項4】
請求項3の製造方法により得られた犬用のダイエット用食品であって、前記ダイエット用食品は円柱形状または立方体状に形成され、かつ、粒径が6mm〜15mmである犬用のダイエット用食品。
【請求項5】
請求項4において、嵩重量が0.05g/cm3 〜0.30g/cm3 である犬用のダイエット用食品。
【請求項6】
請求項5において、前記動物性タンパク質としてチキンエキスが含まれている犬用のダイエット用食品。
【請求項7】
請求項6において、野菜の繊維を更に含む犬用のダイエット用食品。
【請求項8】
請求項7において、前記炭が木炭である犬用のダイエット用食品。
【請求項9】
請求項8において、前記木炭は杉の木を炭化してなる犬用のダイエット用食品。
【請求項10】
請求項9において、前記焼き麩様食品は外表面に焼成された薄皮を有し、この薄皮によって前記ダイエット用食品の概ね全外表面が覆われており、
前記薄皮には前記ダイエット用食品中に分散された炭の粉末とは別の炭の粉末がまぶされている犬用のダイエット用食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−10584(P2011−10584A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−156631(P2009−156631)
【出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【特許番号】特許第4444365号(P4444365)
【特許公報発行日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(300046452)
【Fターム(参考)】