状態に基づく出産モニタリングシステム
出産プロセスをモニタする方法であって、
長時間にわたって、子宮頸部及び児頭の1つ以上に設置された1つ以上の位置要素又は組織領域からの複数の位置信号を受信することと、
前記位置信号に応答して、全体が体内にある胎児の出産の不連続状態を、15分より高い時間的解像度で、決定することと、を含み、
前記不連続状態が出産の開始又は終了以外であり、2以上の収縮を包含しており、前記状態が、異常な児頭位置以外の状態を含む、方法
長時間にわたって、子宮頸部及び児頭の1つ以上に設置された1つ以上の位置要素又は組織領域からの複数の位置信号を受信することと、
前記位置信号に応答して、全体が体内にある胎児の出産の不連続状態を、15分より高い時間的解像度で、決定することと、を含み、
前記不連続状態が出産の開始又は終了以外であり、2以上の収縮を包含しており、前記状態が、異常な児頭位置以外の状態を含む、方法
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2004年4月7日出願の米国仮出願60/560,291の米国特許法119(e)によるものであり、その開示は参照により本明細書中に組み込まれている。また、本出願は、2004年11月29日出願のPCT/IL2004/001092の一部継続(continuation-in-part)であり、その開示は参照により本明細書中に組み込まれている。
【技術分野】
【0002】
本発明は、出産モニタリングの分野に関連する。
【背景技術】
【0003】
ほとんどの子供は普通分娩により生まれ、圧倒的多数の出産は、少なくとも西欧諸国では、医師及び/又は助産師の監視下で、病院内にて行われる。問題や合併症を特定し、これらの問題や合併症を克服するための治療を提案及び/又は実行するために、そしてもちろん母親及び/又は胎児へのダメージを阻止する又は減らすために、分娩の進行を見極めることが、分娩中における医療スタッフの主な関心事のうちの1つである。
【0004】
分娩の進行の標準的な管理には、参照として、「分娩経過図(partogram)」が用いられる。図1は、分娩経過図として知られている、平均値を示すグラフであって、推測によって、出産に関係する「理想的な」子宮頸管の開大と児頭の下降とを示す。この分娩経過図を最初に示し、この分野で著名な権威であるFriedmanによると、分娩プロセスは、生理学的な及び臨床的な重要性を有する段階(phase)及び区分(division)に細分化される。Friedmanは基準を定めた。その基準により、正常に機能しない一連の分娩の状況を、定義及び検知することができる。グラフは、通常の初妊婦の分娩(初出産の女性)に対する典型的な曲線を示している。また、経産婦の分娩(その後出産する女性)に対する同様のグラフ(不図示)も存在する。分娩の第一ステージは、子宮頸管口の開大により特徴付けられ、その開大は、最初、潜伏段階(latent phase)においては遅く、その後、児頭の下降を伴う活動段階(active phase)においてはより速くなる。子宮頸管口が完全に開大すると、出産の第二ステージ、すなわち産道に沿った胎児の移動、が始まる。
【0005】
第一ステージの活動段階において、Freidmanは、(a)子宮頸管の開大率が増加する加速段階、(b)開大率の傾きが最大となる段階、及び(c)開大が減速する段階、を示した(ある論文では、減速段階は存在せず、比較的安定して開大する、安定期段階(a plateau stage)と名付けられている)。活動的な分娩の開始は、一般に、子宮収縮の存在下で子宮頸管が3cmから4cm又はそれよりも大きく開大した場合に開始するものと定義されている。後述するように、これを利用することは、分娩の合併症を分類するのに役立つ。
【0006】
Friedmanは、3つの機能的な区分の概念、すなわち、準備の区分、開大の区分、及び骨盤の区分、を案出し、各区分の生理学的な対象(objectives)を説明した。しかしながら、1つの区分から次の区分への推移をモニタするためには、経験豊富な医師による、度重なる及び頻繁な手作業の動悸(manual palpitation)(後述)が必要となる。特に、例えば、骨盤の区分(腹部から骨盤への児頭の下降と、骨盤内における児頭の移動とを含む)は、減速段階の開始と、また、嵌入、屈曲、下降、内回旋(internal rotaion)、伸展、及び外回旋(external rotaion)を典型的に含むが、その骨盤の区分の開始を特定することは困難である。いずれにせよ、頻繁な手作業による振動(manual palpitation)は不快感を与えるだけではなく、時には、その患者に対する苦痛により、感染の危険性が増加し、医師又は他の付添人は途方もない時間を要求される(現在、分娩をやり遂げるのに費やされる時間と比べて)。
【0007】
分娩経過図は、分娩の進行の統計的な基準を示すが、ほとんどの出産はこの基準とは異なる。しかしながら、多くの合併症は、その基準からの際立った逸脱が生じるかどうかで、及び、一度生じることで、識別されることが可能であるのみである。さらに、分娩経過図は、分娩の進行/異常を別の方法で提供する可能性のある多くの変数を無視している。その開示が参照により本明細書中に組み込まれている米国特許6,423,016は、付加的な情報を統合して、現在の進行を分娩経過図と比較することを支援する及び現在の分娩のランク付けを支援する、決定サポートシステムを記載している。
【0008】
分娩の管理に一般に用いられる技術は、膣を通して挿入される2本の指による、手を使った子宮頸管の触診である。この触診は、子宮頸管の開大、子宮頸管の展退、組織の整合性(tissue consistency)、児頭の位置(station)及び姿勢(position)等のパラメータ(これらのうちの幾つかは一般には記録され文書化される)を見積もるために用いられる。さらに、例えば、モニタされた1つ以上のパラメータの変化率に基づいて、異常な状況を知らせることを助けるために、種々のルールが考案されてきた。また、手を使った触診を用いることで、例えば、児頭骨盤不均衡、骨盤の欠陥、不正軸進入、及び成形(molding)や産瘤等の児頭の形状の変化といった、種々の病状を直接的に見つけることができる。
【0009】
手を使った子宮頸管の触診には、いくつかの問題点がある。触診は、一般に、1時間から4時間に一回のみ為され、少なくともある程度は、主観的であり、不正確であって、また、観察者内および観察者間の誤差が非常に生じやすい。上述のように、膣の診察は一般的に不快であり、時には患者への苦痛であり、熟練したオペレータの存在が必要とされ、場合によっては、モニタされる患者に汚染をもたらす可能性がある。
【0010】
幾つかの刊行物には、身体を診察することなしに子宮頸管口の開大を機械的に及び自動的に測定できるように、子宮頸管口にセンサを取り付けることが提案されている。例えば、その開示が参照により本明細書中に組み込まれている、Ackerらに対する米国特許5,935,061は、子宮頸管口及び児頭に取り付けるための小さなワイヤレス位置センサを提案している。また、この出願は、ニューラルネットワークベースのシステムを使用して、そのワイヤレスセンサを用いて生成される位置信号と運動ベクトルを用いて、「後退収縮(retrograde contraction)」と「逸脱した胎児の姿勢(deviant fetal position)」を知り、その後検知することができることを提案している。
【0011】
分娩の第一ステージが完了するとすぐに、胎児は子宮から離れ始め、産道に沿って進む。産道に沿った児頭の下降の程度は、一般に、その産道に沿った「位置(station)」により特徴付けられる。また、現在は、骨盤の坐骨棘を結合するラインから児頭までの距離をセンチメートル単位で、実質上任意の方法で、数えられている。関連して生じうる手作業の方法によるデメリットを有しながらも、再度、これは手作業で見積もられる。
【0012】
活動的な分娩において種々の合併症が生じることが知られている。以下は、「ウィリアムズ産科学(Williams Obstetrics)」から抜粋されたものであって、幾つかの変更及び見解を付加している。
【0013】
Sokolらは、未経産の分娩のうちの25%が活動段階の異常により悪化し、一方で、経産(multigravidas)の分娩のうちこの問題が発現したのは15%であると報告した。確かに、活動段階の障害が分娩において最もよく目にする異常であることがわかる。Friedmanは、活動段階の問題を、遷延(protraction)障害と停止(arrest)障害とに細分化した。遷延は、子宮頸管の開大又は下降の遅速性として定義される。
a.未産婦に対しては、1.2cm/h未満の開大、又は1cm/h未満の下降
b.経産婦に対しては、1.5cm/h未満の開大、又は2cm/h未満の下降
【0014】
なお、遷延の検知は、定義のとおり、非常に長いプロセスであり、また、母親及び胎児に対して不要な問題/合併症を生じさせる可能性がある。
【0015】
停止は、開大又は下降の完全な停止である。開大の停止は子宮頸管の変化がない状態が2時間であるものとして定義され、下降の停止は胎児の下降がない状態が1時間であるものとして定義された。
【0016】
[異常な分娩(難産)]
児頭骨盤不均衡(CPD)−児頭の大きさと母体の骨盤の大きさと間の不均衡が原因で妨害されてしまう分娩である。そのような本物の児頭骨盤不均衡は稀であり、ほどんどの不均衡は、児頭の位置異常(屈曲された又は過度に伸ばされた頭部)、不正軸進入(横へ傾いた頭部)が原因である。本当に大きな頭部又は収縮した骨盤が原因となることはめったにない。CPDは、相対的なものであり、子宮の収縮不良の結果である場合が多い。全開大に到達した後に経膣分娩を達成する能力がないということは、より再発しやすいという理由で、本当の難産の重要な目印である。
【0017】
進行不全(failure to progress)−自発的な又は促された分娩において、これは効果のない分娩を示す。進行不全は、診断ではなく、観察結果である。
【0018】
活動段階の停止のうち80%において、不十分な子宮収縮(モンテビデオ単位で180未満)が診断された。しかしながら、遷延障害は、あまりよく説明されていない。おそらく、漠然としている緩やかな進行を診断する前に要求される時間間隔のせいである。その問題の性質のために、その解決は延期されている。世界保健機構(WHO)は、分娩管理のための「分娩経過図」を提案した。その中で、遷延は、最低4時間において子宮頸管の開大が1cm/h未満であるものとして定義されている。4時間は、分娩が正しく進んでいないことを発見することを待つ時間としては非常に長い。
【0019】
[過診断(over diagnosis)]
潜伏段階を含んでおり、そのため平坦となっており長い分娩を表現した、分娩の進行を示すグラフが難産の早期診断に誤って影響を与えてしまった、という主張がある。米国産科婦人科学会(ACOG)は、分娩の第一ステージ中に停止の診断がされる前に、これらの基準の双方が作成されるべきであると提案した。
(1)CD(Cervical dilatation:子宮頸管の開大)が4cm以上で潜伏段階は完了する。
(2)10分周期においてモンテビデオ単位200以上である子宮収縮のパターンは、子宮頸管の変化なしで存在する。
【0020】
硬膜外無痛は分娩の速度を遅くすることができる。
【0021】
不十分な子宮の活動は、異常な分娩の進行においてよく起こり且つ修正可能な原因である。
【0022】
潜伏段階中、子宮頸管は軟化及び展退を経るが、僅かに開大するのみである。この段階は、低刺激、短い持続時間、及び頻度が不定の子宮収縮により特徴付けられる。活動段階中、子宮頸管はより迅速に開大し、先進部が産道を通って下降する。下降は、しばしば、子宮頸管が全開大に到達する前に開始し、先進部が会陰に到達するまで進む。なお、このパターンは出産のモニタリングに対する基礎として利用されるが、実際には、患者間において、及び同一の患者における別の出産において、かなり変化しやすい。
【0023】
よく起こる治療のミスは、実際には患者は潜伏段階にあるのに、遷延(活動段階中にのみ関係する)があるものとしてその患者を診断してしまうことである。
【0024】
[子宮の機能不全]
子宮の機能不全には2つのタイプがある。
a.低張の子宮の機能不全−子宮収縮中の圧力の上昇が、子宮頸管を開大させるためには不十分である状態
b.低張の子宮の機能不全又は不調整の子宮の機能不全−基本的な口調が目につくほど高まっている又は圧力勾配が歪んでいるうちのいずれか一方。それらはおそらく、基底部よりも大きな力を有する子宮の中央部分の収縮により、又は、それぞれの角状突起において発生する刺激の完全な非同時性により、又はそれら2つの組合せによるものである。
【0025】
[マニュアル測定]
図1に戻ってさらに詳細に参照するが、以下は、典型的な出産プロセスにおいて、現在、図1のグラフに患者を当てはめるのに役立つように使用されている異なったマニュアル測定のリストである。丸括弧中の情報は、この情報が典型的に得られる段階を示している。
【0026】
[子宮頸管]
a)展退(主として潜伏段階における)
b)整合性(主として入場、すなわち潜伏段階における、柔軟さ)
c)先進部より下における、羊水を有する又は有さない膜組織の存在(主として入場中)
d)開大(わずかに潜伏段階における+主として活動段階における)
e)全開大(活動段階の最後)
f)収縮
g)子宮頸管における位置−児頭と子宮頸管口との関係は、後部、中間部、又は前部として分類される。後部の位置は、出産予定日より早い分娩を示唆する。
【0027】
[児頭]
a)先進部(入場)
b)位置=後頭位の診察−分娩の40%においては、胎児は左後頭横(LOT:left occiput transverse)向きで骨盤に入り、20%においては、右後頭横(ROT:right occiput transverse)で入り、20%においては、頭部が前方後頭位(LOA又はROA)で入り、20%においては、後方後頭位で入る。後方後頭位の場合、右(ROP)は左(LOP)よりも一般的である。
c)位置/下降−産道の中に入る先進部の下降の程度。指診で骨盤入口に到達することは困難であるため、検査をする人は坐骨棘を利用する。坐骨棘は、骨盤入口と骨盤出口との間の中間にあり、参照ポイントとして利用される(主として活動段階において)。
d)嵌入−大横径(BPD)、すなわち後頭位における児頭を横断する最大の直径、が骨盤入口を通る仕組み。これは、分娩前の数週間の間に、又は分娩の開始後に、生じる可能性がある。経産婦においては、通常、頭部は分娩前に嵌入しない。事実上、頭部の天頂部がステーション0又はそれ未満であれば、ほとんどの場合、頭部の嵌入が生じている(主として活動段階において、時々潜伏段階において)。
e)児頭の形状の変化−モールディング、産瘤(活動段階)。
f)不正軸進入−矢状縫合に関する頭部の横軸の、産道に対する非対称性。中程度の不正軸進入は普通のことだと見なされている。
g)屈曲−顎は胎児の胸部と近密に接触している。これは、通常、頭部の下降が抵抗を受けるとすぐに生じる(活動段階)。
h)内回旋−頭部の回旋は、異常に小さい胎児を除いて、分娩の完了には必須である。内回旋は常に頭部の下降と関係があり、通常は、頭部が坐骨棘のレベルに到達し、その結果嵌入する(活動段階)まで完遂されない。
i)伸展−内回旋後、激しく屈曲した頭部は会陰に到達し、その後、外陰部に到達する。頭部は基本的に伸展を経る(活動段階の最後、第二ステージ)。
j)外回旋(第二ステージ)。
k)娩出(第二ステージ)。
【0028】
[骨盤]
骨盤の構造(入口)−適性の再評価
【0029】
[他の参考文献]
その開示が参照により本明細書中に組み込まれる米国特許6,200,279は、児頭を追跡するためのポジショニングシステムを記載している。
【0030】
その開示が参照により本明細書中に組み込まれる、ケースウエスタンリザーブ大学生物医学工学部のRobert Neal Wolfsonの学位論文「An Instrument for the Continuous and Quantitative Determination of Fetal Descent by Measurement of Ultrasonic Transit Time」(1974年9月)には、児頭及び/又は子宮頸管の開大を超音波位置センサを用いて追跡することが提案されている。
【0031】
その開示が参照により本明細書中に組み込まれる米国特許6,669,653は、位置センサをベースにした実施形態と固い部材を用いた機械装置をベースにした実施形態とを含む、胎児ポジショニングシステムを記載している。
【0032】
その開示が参照により本明細書中に組み込まれる米国特許5,135,006は、児頭に取り付けられ下降をモニタするために使用される定規を記載している。
【発明の開示】
【0033】
本発明の幾つかの実施形態の広範な側面は、出産プロセスをモニタする方法に関する。その中で、出産プロセスは、個別的プロセスとして管理され、そのプロセスの変化は、進行中のプロセスに関するものであり、単に典型的なプロセスの統計的な描写に対するものではない。
【0034】
本発明の幾つかの実施形態の広範な側面は、子宮頸管及び/又は児頭の部分の位置に関して収集された位置情報の自動的な分析に関するものである。本発明の典型的な実施形態においては、その分析は、子宮収縮の強度信号等のインプットを、児頭の運動ベクトル等の子宮収縮のアウトプット(結果)と比較することを含んでいる。本発明の典型的な実施形態においては、その分析は、手作業による測定による場合よりも、正確に及び/又は頻繁に、情報を利用することができるという事実を利用する。また、それは収縮中を含む。
【0035】
本発明の典型的な実施形態においては、特定の出産プロセスを複数の状態に分ける。その各状態は、その出産プロセスの生理学的な及び/又は統計的な性質、特に、本発明の幾つかの実施形態では、幾何学的な情報、から特定される。本発明の典型的な実施形態においては、ある状態に関係する情報は、高い頻度で更新される方法で、例えば10分以内に、利用可能となる。幾つかの実施形態及び/又は状況においては、例えば5分、2分、若しくはそれ未満、又は15分、20分、若しくはそれよりも長いものである、より速い又はより遅い決定が為される。これは、従来技術と対照的であり、わずかな測定で、フィッティングを確認すべくそのデータがグラフと比較される。そのグラフは多くの出産に対する平均値であるので、たとえ高確率の測定が可能であるとしても、出産プロセスの状態の特定は、概して、その状態の開始後十分な時間が経過するまでは正しいものとはならないであろう。また、情報をグラフと比較しないときでさえ、状態を決定するのにしばしば1時間以上かかる。なお、薬物が効果があるかどうかを決定する場合に、情報によっては比較的早く利用可能である。また、胎児仮死を判定する際、しばしば数分以内になされるが、無病誤診率は50%である。
【0036】
本明細書中で使用されるように、用語「状態(state)」は、特定可能である出産プロセスにおける、ステップ又は健康状態(condition)に関するものである。以下に示すように、幾つかの状態は、種々のパラメータがその状態の間変化するという点において、動的である。例えば、「加速段階」状態の間、子宮頸管の開大は増進する。定常状態、例えば「胎児の嵌入」状態は、概して、その出産プロセスにおける明確に特定可能なマイルストーンを示す。当然ながら、それは望ましいことであろう。また、本発明の幾つかの実施形態では、短時間でそのような定常及び/又は動的な状態を特定することが可能である。
【0037】
動的な状態の一例を挙げると、最大勾配状態は連続的な状態であり、開大の連続的な値の範囲からなり、あるパターンがこれらの値に与えられることが予測される(例えば線形増加)。
【0038】
幾つかの実施形態では、1つの状態は他の状態に従属した状態である。幾つかの実施形態では、複数の状態が並行して生じ得る。特に、児頭の状態は1つの時間経路に沿って進むことができ、一方で、子宮頸管の状態は他の時間経路に沿って進む。幾つかの場合には、状態の重複は正常である。他の場合では、状態の重複は、例えば通常は共に生じないような重複状態に基づき、異常な分娩状態を特定するために使用される。
【0039】
選択的に、決定された状態は、標準化された曲線上に示される。しかしながら、本発明の典型的な実施形態においては、その状態は、状態ベースの表示上に示される。その中で、種々の生理学的なパラメータは、多くの出産の平均値よりもむしろ或いはそれに加えて、現在の出産に対して予測された又は実際の数値として示される。選択的に、出産の一部は、現在の表示に対する統計的に計算されたバックグラウンドとして使用されるために選択される。例えば、同様のパラメータや進展を用いて出産を選択する。
【0040】
なお、また、他の出産のモニタリング方法の一部として、状態及び/又は状態の情報を決定する、特定の方法を実行することができる。
【0041】
本発明の典型的な実施形態においては、その状態は、収縮中における、複数のセンサの相対的な位置に基づいて特定される。他の実施形態では、子宮収縮と非収縮の間隔との間の位置の差異に加えて、その代わりに、子宮収縮中における複数のセンサの相対的な位置が使用される。
【0042】
本発明の典型的な実施形態においては、長い時間をかけての動作の前兆として、子宮収縮中の動作が使用される。例えば、子宮収縮中の児頭の動きは、十分多くの収縮(及び関連した進行)が生じた後の、頭部が動く方向を予測するために使用される。選択的に、分娩状態に対する、予測された進行率及び見積もられた進行時間の標示として、ある子宮頸管の内部収縮の開大(cervical intra-cotraction dilatation)に対する児頭の動作の程度が使用される。この方法で決定された予測された進行と実際の進行とのミスマッチは、異常な進行の標示となり得る。
【0043】
本発明の典型的な実施形態によれば、患者に取り付けられる1つ以上のセンサを含むと共に出産プロセスの状態の標示を生成する出産管理システムが提供される。選択的に、そのシステムは、予後診断、例えば予測される未来の状態、を提供する。選択的に、そのシステムは診断を援助する。例えば、「停止障害」のような、問題のある状況の診断を提供する。選択的に、そのシステムは、現在又は未来の状態を完成させるために予測される時間を示す。選択的に、そのシステムは、分娩の進行を、予測された進行と比べて示す。本発明の典型的な実施形態においては、そのシステムは、複数の典型的な出産プロセス、例えば同一の患者、他の患者、及び/又は手作業で入力されたデータに対するもの、を記憶している(例えばデータベース中に)。選択的に、そのシステムは、例えば未来の時間を見積もって最も良い適合を見つけるために及び/又は予測される問題を予期するために、現在の出産プロセスをこのデータベースと比較する。選択的に、そのシステムは、種々の容認された治療プロトコルを監視するための手段を含む。例えば、もし付添人がある薬物治療を使用することを示せば、そのシステムは、付添人と患者が経験すると予想される一連の状態及び/又は決定ポイントを表示するであろう。本発明の典型的な実施形態においては、予後診断は、デューティファクタ(1回の子宮収縮が働く間の、子宮収縮のサイクルの比率)、グラフの下の面積、及び子宮収縮の周期、のうちの1つ以上に基づくものである。
【0044】
選択的に、代替的に又は追加的に、状態を直接的に検知するためにセンサを使用して、統計的な分析に基づいて、統計的に定義された状態を特定する。例えば、分娩の第一ステージ中の「加速段階」状態は、子宮頸管の開大率の変化に基づいて特定可能である。1つの実施においては、加速段階の開始は、複数の子宮収縮にわたる開大の測定値を収集することによって検知される。例えば、10分周期であって、統計的にその結果を処理して、開大率が大きく変化したかどうかを確認することによりなされる。幾つかの状況及び/又は実施形態では、大きな変化は、10%、20%、30%、或いはそれらよりも小さい、それらの中間、若しくは大きい数のうちの1つである。これは、従来技術の方法と対照的であり、概して、比較的わずかな測定が為されることで、それらが図1のグラフと比較される。なお、そのような統計的な状態でさえ、概して、短時間、例えば、20分未満又は15分未満、で決定される。
【0045】
本発明の典型的な実施形態においては、例えば、子宮頸管の開大のパターンや、例えば一方の肩又は両肩の通過に対応する子宮収縮を検知することによって、子宮からの胎児の退出が追跡される。
【0046】
本発明の典型的な実施形態においては、センサを使う代わりに、マーカーや送信機を用いる。選択的に、イメージングシステムが使用され(例えばトランスポンダーの代わりに)。それは、選択的に、子宮頸管及び/又は児頭の特徴を自動的に検知するためのソフトウエアを含む。代替的に、当技術分野で既知の他の位置センシング方法を使用可能であり、それは例えば、US(超音波)、RF、及びDC磁気フィールドベースの方法である。
【0047】
本発明の幾つかの実施形態の1つの側面は、出産プロセスをモニタするための頭部位置ベクトルを用いることに関する。本発明の典型的な実施形態においては、そのベクトルの方向は、予測される出産経路と対比され、分娩が進行しているかどうかを推定するために用いられる。選択的に、そのベクトルは、屈曲と嵌入のうちの1つ以上を検知するために使用される。選択的に、子宮頸管の開大の変化量と頭部位置ベクトルの組合せを用いて、状況を進行し損なったことを検知する。
【0048】
本発明の幾つかの実施形態の1つの側面は、何の治療をすべきかを決定するのに役立たせるために及び/又はそのような治療をコントロールするために、分娩の状態を用いることに関する。例えば、そのシステムが分娩の第一ステージがまだ完了していないということを検知すれば、そのシステムは、胎児仮死をもたらす可能性のある所定の薬物の投与を妨害するであろう(又は止めることを提案するであろう)。選択的に、そのシステムは、薬物用量を増加させ又は減少させ(例えば半自動的又は全自動的なフィードバックループを用いて)、又は、現在の薬物と用量が効果的であるかどうかに応じて投与される薬物を変更させるであろう。
【0049】
本発明の幾つかの実施形態の1つの側面は、インプットを修正するために、分娩の状態の検知結果を用いることに関する。例えば、全開大に到達するとすぐに、たとえ実際の開大が9.0cmしかなくても、そのシステムは開大が10cmであると表示する。選択的に、また、子宮頸管の開大の中間値は、医師によって現在報告されている形式の値とされるために「補正される」。例えば、全開大まであと約1cmの状態であれば、実際の開大又はそれに近いにも関わらず、9cmという値が報告されるであろう。選択的に、そのシステムは、「補正される」値の連続性を維持する。選択的に、全開大においては、そのシステムは、実際の開大が「10cm」ではなく実際にはある他の数値であるという通知を表示する。選択的に、他の数値は表示される。なお、子宮頸管の開大は修正されるが、実際に表示される数値は、容認されたスケールに適合するという点においてのみ正確であり、幾何学的な正確さに関しては正確でない可能性がある。
【0050】
本発明の典型的な実施形態においては、開大の値の表示は、全開大前でさえ、用語として使用される数字に合致するように、測定された数値から補正される。選択的に、この補正は、実際の測定値を、指による触診を用いる人間によっておそらく(例えば平均的に)報告されるであろう値に変更する。
【0051】
選択的に、子宮頸管の開大及び/又は頭部位置の値は、それらの値を補正する子宮収縮が原因であるので、それらの変動性が考慮に入れられてもよい。例えば、それは、子宮収縮中、顕著な変化が表れている開大に所定のファクターを加えることによりなされる。この補正は、指による触診を用いる人間によって報告される値に近い値をもたらし得ることが予想される。例えば、もし変動性が大きければ、子宮頸管がよりフレキシブルであるという理由で、人間は過大評価しがちになるであろう。選択的に、その補正は、子宮頸管における収縮の影響と指の圧力の影響が同様であると想定する(例えば同一の大きさに対して)。選択的に、医師により加えれた力が測定される(選択的に医師ごとに異なる値を記憶している)。子宮頸管の弾力性の推定値は、選択的に、CD(子宮頸管の開大)の変動性を子宮収縮の強度と比較することにより得られる。この弾力性の推定値は、選択的に、補正を行なうために使用される。その補正は、測定されたCDから、人間がその状態に対して報告することが予想される値に対してなされるものである。
【0052】
本発明の典型的な実施形態においては、現在認識されていない新しい出産状態を定義する。一例を挙げれば、子宮頸管口が児頭に関連して縮み始めた時点で、「全開大に近づく」状態が定義される。それは、全開大がすぐに迫っていると予想されることを示す。そのような新規な状態は、ユーザへ示されてもよいし、又はシステムに内在させてもよい。他の例を挙げれば、児頭が子宮頸管に反して作用しているとき、「児頭対子宮頸管」状態を定義する。これらの力学は、選択的に、質的に(存在)及び量的に(強度)のうちの1つ又は双方で表現される。他の例を挙げれば、「効果的な子宮収縮」状態を定義している。これは、子宮収縮が効果的であることを示しており、選択的には、下降及び開大の大きさ及び正味の進行(δ)の増加を反映している。
【0053】
本発明の幾つかの実施形態の1つの側面は、分娩の第二ステージの開始を検知することに関する。本発明の典型的な実施形態においては、分娩の第二ステージ、すなわち少なくとも全開大は、児頭のBPDが子宮頸管口を通過したときに開始するように決められる。本発明の典型的な実施形態においては、この通過は、子宮頸管口及び児頭の相対的な位置の測定によって検知される。例えば、それは、医用画像機器を用いて又は1つ以上の相対的若しくは絶対的な位置センサを用いてなされる。代替的に又は追加的に、この通過は、母親の解剖学的特性、例えばISL(坐骨棘)又はASIS(上前腸骨棘)、に対する子宮頸管口及び/又は児頭の動きによって決定される。選択的に、第二ステージは子宮収縮パターンの特性に基づいて検知される。例えば、そのパターンは、HS(Head Station:頭部位置)の変動性の減少を伴わず、CDの変動性の大幅な減少を有する。
【0054】
本発明の典型的な実施形態においては、児頭をカバーする子宮頸管口が頂点に到達することによって、全開大(すなわち、第一ステージの最後)が決定される。出産プロセスの標準的な進行の数字は、外見上、子宮頸管口の補正位置を示すが、従来は理解されてきていないことは明らかである。全開大は、児頭の最大直径部(BPD−大横径としても既知である)の一方側からその他方側までを通す子宮頸管口により特徴付け且つ特定することができる。この頂点の通過(crestal transit)は、児頭と子宮頸管の相対位置の突然の変化及び/又は子宮頸管口の突然の展退動作を含み得る。場合によっては、子宮収縮の一部としてではない。すなわち、児頭が子宮頸管口を前に押す状態から子宮頸管口が児頭の部分を滑らかに通過させる状態までである。本発明の典型的な実施形態においては、頂点の通過は、子宮頸管口のセンサ(或いは複数のセンサ)のレベルを、例えば児頭上及び/又は親の体上の参照ポイント、と比較することにより検知される。
【0055】
本発明の幾つかの実施形態の1つの側面は、児頭のセンサ及び1つ以上の子宮頸管のセンサの相対的な下降を決定する方法に関し、その際、児頭と子宮頸管の可能な3次元配置を考慮する。本発明の典型的な実施形態においては、児頭の動作の経路上に、下降の投影(projection)が提供される。本発明の典型的な実施形態においては、複数のセンサの位置を、例えば参照ポイントとして使用される1つ以上のASIS(上前腸骨棘)と比較するために、比較的遠い(センサ間の距離と比較して)参照ポイント又はラインを提供する。この参照ポイント(又はライン)に対する子宮頸管と頭部の複数のセンサとのそれぞれの距離は、頭部の下降を決定するために比較される。一例を挙げれば、ラインと頭部の1つのセンサの間の距離は、複数の子宮頸管のセンサとラインの間の平均距離と比較される。選択的に、ラインは、体外に取り付けられた位置センサを用いて決定される。
【0056】
本発明の幾つかの実施形態の1つの側面は、頭部位置(HS)及び/又は子宮頸管の開大(CD)についての統計的な情報を用いて、出産状態を決定すること及び/又は異常な状態を検知することに関する。本発明の典型的な実施形態においては、子宮収縮中のCDやHS等の測定における変化量(変化)を使用する。その変化量に基づいて幾つかの異なったパラメータを定義することができる。例えば、それは、最大変化量、長い時間にわたる変化量の変化(変動性)、及び正規化した変化量又は変動性である。本発明の典型的な実施形態においては、子宮頸管の開大の変動性及び選択的に頭部位置の変動性を用いて、潜伏段階(CDの変動性が小さい)、加速段階(CDの変動性が中程度)、最大傾きステージ(CDの変動性が大きい)、及び減速ステージ(CDの変動性は低いが、HSの変動性は大きい)のうちの2つ以上の間を区別する。選択的に、この情報は頭部位置に関係しており、潜伏段階の最後の最後において直線的な開始を増大させることが予想される。選択的に、この情報は、胎児のモニタによるインプットに関係しており、特に、胎児心拍数及び/又はTOCO/IUPに関する。種々の病理学的状態は、この進行及び/又は開大の変化量と頭部位置の間のミスマッチ、からの逸脱から特定される(例えば、低い頭部位置の値、大きな変動性)。また、非病理学的状態を特定することができる。例えば、下降−開大の変動性の相互関係を用いて、「頭部対子宮頸管」状態を特定及び定量することができる。
【0057】
本発明の特定の典型的な実施形態では、子宮頸管の開大の変化量は、分娩が停止するかどうか、又は未だ潜伏段階中であるかどうかを決定するために用いられる。
【0058】
本発明の幾つかの実施形態では、モニタリングは、完全に又は大いに(例えば、少なくとも重要な情報のうちの幾つかの形式に対して)、変化量の情報に基づいている。これは、センサの数を少なくすること及び/又はベースライン較正ステージを避けることを可能にする。
【0059】
本発明の幾つかの実施形態の1つの側面は、機能的で効果的な児頭位置を決定することに関する。本発明の典型的な実施形態においては、機能的で効果的な児頭位置は、単なる産道に沿った位置の進展よりもむしろ、胎児の体の他の部分及び/又は母親に対する頭部の方向の変化に基づいて決定される。本発明の典型的な実施形態においては、「子宮頸管」、「嵌入」、「屈曲」、「管中の曲がりにおいて」、「内回旋」、「会陰」、及び「伸展」のうちの1つ以上は、距離測定の代わりに、機能的で効果的な児頭位置を定義するために使用される。選択的に、距離測定は、例えば、「産道中の曲がりにおいて」という状態に言い換えられる。選択的に、患者の解剖学的な測定は、例えば、そのステーション数を規格化した数値として提供できるように、当技術分野で既知のイメージング手法を用いて為される。
【0060】
本発明の典型的な実施形態においては、上述の幾何学的に関連した複数の値のうちの1つ以上は、児頭の様々な位置に関連した種々の分娩パターン間を区別するために用いられる。各々のそのような形状(geometry)は、例えば異なる予後診断、すなわち、潜在的な問題の異なる組(又は問題の蓋然性)及び/又は経験することが予測される状態の異なる組、を有する。また、骨盤の解剖学的構造、及び、母体のセンサと胎児のセンサの3次元的な動き及び/又は方向を用いて、特定の予測されるパターンを選択し及び/又は微調整することができる。
【0061】
本発明の典型的な実施形態においては、産道の位置に対応する「骨盤の区分」状態は、児頭の方向の変化によって特定される。本発明の典型的な実施形態においては、その区分は、伸展の後に起こる内回旋を判定することにより検知され、それは、児頭の回旋と首の曲げが必要となる産道中の曲がりに起因する。本発明の典型的な実施形態においては、児頭の方向は、児頭上の1つ以上のセンサを用いて検知される。代替的に又は追加的に、その方向は、子宮頸管口において回旋する頭部と曲がる首の作用に基づいて検知される。例えば、子宮頸管口の開口平面は変化する。
【0062】
本発明の幾つかの実施形態の1つの側面は、子宮収縮の有効性及び/又は種類を決定することに関する。そのような決定に際しては、選択的に、ノイズリダクション及び/又は他のフィルタリングが含まれる。本発明の典型的な実施形態においては、決定された有効性及び/又はその変化量を用いて、分娩の状態を決定する(例えば、潜伏段階、活動段階、最大傾き)。本発明の典型的な実施形態においては、その決定された有効性及び/又はその変化量を用いて、赤ちゃんの停止、遷延、及び進行不全などの病状を決定する。選択的に、「子宮収縮活動」の量が測定される。これは子宮収縮に起因する開大の変化を含んでいる。選択的に、この量は、児頭に与えられた力(例えば圧力かける表面積、又は、圧力に応じた動作)及び/又は組織の追従などの機械的なパラメータを計算するために使用される。測定されたオプション的な量は、個々の子宮収縮、すなわち、収縮後のCDから収縮前のCDを引いたもの、のために、正味の進行(δ)である。選択的に、CDの変動性、HSの変動性、及びCDの正味の進行のうちの2つ以上の間の関係は、診断及び/又は状態の特定のために用いられる。選択的に、子宮内の圧力(IUP)の量は、診断及び/又は状態の特定のための上述のものと併せて用いられる。
【0063】
本発明の典型的な実施形態においては、子宮収縮の形式は、有効性に対する基準として用いられる。典型的な測定システム、例えばTOCOは、子宮収縮の低振幅部分をカットオフするので、典型的な収縮が非収縮の安定期から起こるという結果を作り出していると、本発明者は指摘している。その一方、本発明の典型的な実施形態による、子宮頸管口の測定値は、効果的な子宮収縮中に、実質上、連続的な(例えば、波状のライン)変化量を示す。そのような連続的なラインは、しばしば、最大50%のデューティファクタを示す。本発明の典型的な実施形態においては、デューティファクタが高いことは、選択的に、十分な振幅及び/又は周波数とともに、子宮収縮が効果的であることを示す。例えば、もしデューティファクタが低ければ、ピトシン(登録商標)のような薬物が処方され得る(すなわち、分娩以前の状態であると特定される)。
【0064】
本発明の典型的な実施形態においては、子宮収縮の信号は、生理学的な検討材料を用いてフィルタリングされる。本発明の典型的な実施形態においては、子宮収縮の振幅の増加率又は低下率のリミットが、フィルタとして用いられる。しきい値を越える上昇率及び/又は低下率を有する潜在的な子宮収縮はいずれも、ノイズ(例えば、動きアーチファクト)として識別され、取り除かれ得る。本発明の典型的な実施形態においては、そのフィルタリングは、信号を、微分しフィルタリングしその後積分することによりなされる。選択的に、ベースラインは積分中に復元されない。
【0065】
本発明の典型的な実施形態においては、分娩の状態は、子宮収縮の形状から検知される。一例を挙げれば、上昇率と下降率との間の第一の比率(より高い)を用いて活動段階を特徴づけ、上昇率と下降率との間の第二の比率(より低い)を用いて骨盤段階を特徴づける。これは、少なくとも一部の女性にとっては正しい。観察においては、活動段階中のHSの上昇率は1mm/secと4mm/secの間であり、典型的な下降率は(0.5)mm/secと(2.5)mm/secの間である。その一方で、通常の娩出の子宮収縮は、HSの変化量が少なくとも1.5cmであり、典型的な上昇率5-20mm/sec、典型的な下降率(3)-(15)mm/secが付随する。以上のように、両方の比率と実際の値とは、状態間で変化する。本発明の典型的な実施形態においては、非対称性が検知され、実際の解釈は他の出産パラメータに依存し得る。
【0066】
本発明の典型的な実施形態においては、子宮収縮の種類及び/又はその開始及び/又はその終了(又はその開始や終了や他の特徴に関連するあるポイント)は、娩出の収縮中、母親にいきむように指導するために用いられる。本発明の典型的な実施形態においては、娩出の収縮が検知されなければ(又は非効果的な収縮が検知されれば)又は収縮が完了したとき、母親はいきむことを指導されず又は力まないよう指導される。選択的に、モニタリングシステムは、母親に対して発信音や音声指示及び/又は刺激を発生させる、スピーカを含む。選択的に、モニタリングシステムは、例えば、子宮収縮強度と母体の活動(例えば、腹部の緊張によって測定されるような)とに相関する頭部の動きを検知することで、母体の活動の有効性を検知する。頭部の動きは、産道の異なる部分の収縮について、重さ等について、典型的な動きとして標準化可能である。有効性を検知することにより、母親に新しい指示を与えることができる。選択的に、モニタリングシステムは、母親に姿勢を変化させること(例えば、転がる及び/又は投げる)を指導するために、母親に1つ以上の傾斜センサを用いる。本発明の典型的な実施形態においては、モニタリングシステムは、母親による本能的な(又は自発的な)活動を測定し、例えば、そのような活動が正常、有効、及び/又は異常であるかどうかの標示を生成する。そのような本能的な挙動の例は、子宮収縮中の前屈、子宮収縮及び/又は表在呼吸中の腹圧の増加、及び/又は呼吸中の他の変化である。
【0067】
選択的に、例えば、患者に所定の出産関連のエクササイズを実行するように指示するために、又はより正確な測定をすることができるように動作の停止を要求するために、モニタリングシステムは歩ける硬膜外麻酔(walking epidural)と共に使用される。
【0068】
本発明の典型的な実施形態においては、子宮収縮の形状及び/又はそれらのデューティファクタ及び/又は振幅は、異常な収縮を特定するために用いられる。上昇と下降の間の上述の比率は、圧力、CD、及び/又はHSのうちの1つ以上を特徴付けることができる。
【0069】
本発明の幾つかの実施形態の1つの側面は、分娩プロセスのコントロールに関する。本発明の典型的な実施形態においては、子宮収縮の有効性を改善させ、その結果、分娩をスピードアップさせ及び/又はより効率的にするために、インプット、例えば薬物や体の姿勢は、適切な方法で変更させられる。本発明の典型的な実施形態においては、これらのインプットは、胎児及び/又は母親の安全性、及び/又は分娩スピードのうちの1つ以上を改善させるために、変更される。例えば、子宮収縮が可能なかぎり効率的になってしまえば(例えば形状(geometry)の効果、すなわち無圧力で測定されるような)、それらをより強くする必要はない。
【0070】
本発明の典型的な実施形態においては、子宮収縮の有効性を用いて、オキシトシンやピトシン(又はそれらの拮抗薬)などの薬物の滴定を調整するので、そのような薬物は分娩における間違った段階で使用されることがない。選択的に、薬物の滴定は、より良好な一時的な分解能(resolution)に微調整される。例えば、必要に応じて、収縮ごとの基準(contraction-to contraction basis)で又は少数の収縮(例えば2から3)ごとに変更される。その調整は、時間ベースであってもよく、例えば、必要に応じ、10分又は20分ごとに滴定を変更する。
【0071】
本発明の幾つかの実施形態の広範な側面は、情報を表示することに関する。例えば、その情報は、意味のある結果を提供するために、生理学的なセンサの情報(圧力や心拍数のような非幾何学的なもの)や幾何学的な情報を統合している。一例を挙げれば、子宮収縮の存在を示すためにTOCOゲージやIUPセンサを用い、その一方で、幾何学的な情報を用いてその影響を評価する。他の例では、他のセンサにおける、測定の問題を較正又は示唆するために、幾何学的な情報を用いる。他の例では、イベントの同期化、例えば、子宮頸管の開大と胎児徐脈の同期化、を決定することができる。これは、その徐脈及び/又は適切な治療の原因の表示を支援することができる。
【0072】
選択的に、その統合は、より徹底した分析を可能にする。例えば、一方の手にかかる圧力と他方の手における子宮頸管の整合性とを考慮にいれた生理学的モデルを用いて、児頭にかかる圧力を決定することができる。
【0073】
選択的に、生理学的な情報は、母体の情報及び胎児の情報のうちの1つ以上を含む。また、例えば、バイタルサインや、子宮収縮の内的な及び/又は外的な圧力測定値を含む。
【0074】
本発明の典型的な実施形態においては、表示は、投薬の条件、指診、母親への指示(例えば姿勢の変更)などの介入情報を含む。本発明の典型的な実施形態においては、出産モニタリングシステムを用いて、例えば姿勢、呼吸、及び/又はいきむことを変更するといった指示を受けた母親が遵守しているかを追跡する。選択的に、表示は、介入の有効性の示唆を含む。例えば、所望の効果(例えば、子宮収縮量又はデューティファクタの増加)や実際の効果(例えば、デューティファクタの増加などの数値の定義を用いて)についてである。
【0075】
本発明の典型的な実施形態においては、そのような表示及び/又は統合は、インプット(例えば、子宮収縮圧や電気信号)をアウトプット(例えば、子宮収縮の幾何学的な結果)と比較することからなる。また、胎児心拍数に対する子宮収縮の影響が決定されることが想定される。
【0076】
本発明の典型的な実施形態においては、統計的な分析を用いた表示は、一般のプロセスと比較して、出産の現在のステータスを示す簡潔な方法である。例えば、子宮頸管の開大の関数としての変化量の値のヒストグラムを示すことで、現在の測定値が患者の既存のパターンにフィットするかどうかを容易に決定することができる。本発明の典型的な実施形態においては、簡潔な及び/又は統計的な提示を用いることで、データを標準化することができる。ヒストグラムの例示では、たとえ患者における子宮頸管の開大の測定値が所定の値だけずれていても、又は、その患者における変化量の値が通常より高くても、分布の形状は同じであろう。
【0077】
本発明の幾つかの実施形態の1つの側面は、子宮収縮の大きさ、収縮の有効性、及び/又は収縮の効率性(或いは一連の収縮)のうちの2つ以上を決定することに関する。選択的に、これらの測定値のうちの1つ以上は、幾何学的な情報から、場合によっては生理学的な情報と併せて、得られる。
【0078】
本発明の幾つかの実施形態の1つの側面は、頭部の膨張の検知に関する。頭部の頂点における頭蓋骨と頭皮の間の流体の蓄積が原因で、児頭は膨張する。実際に、移動がない又は異なった移動がある場合、頭蓋骨に取り付けられたセンサは、そのような膨張により、児頭の移動を示唆する可能性がある。本発明の典型的な実施形態においては、そのような膨張は、児頭に取り付けられたセンサによって直接的に検知される。例えば超音波を用いて、頭蓋骨までの距離をモニタする。本発明の典型的な実施形態においては、そのような膨張は、子宮頸管の開大がないのに明らかな頭部の下降が測定されることをもって、直接的に検知される。
【0079】
本発明の幾つかの実施形態の1つの側面は、分娩の第二ステージの開始を検知するための装置に関する。本発明の典型的な実施形態においては、デバイスが子宮頸管口に機械的につながれ、子宮頸管口が体の内側又は外側の参照ポイントに対して顕著に縮むときに、標示が生成される。本発明の典型的な実施形態においては、デバイスは、定規に取り付けられた子宮頸管のアンカーを含む。その定規は十分長くて膣から出る。子宮頸管口が縮むとき、体の外側の定規の長さは短くなる。選択的に、その定規にアラームが取り付けられる。例えば、デバイスは、体の外側に取り付けられた要素を含み、その取り付けられた要素に対する定規の引っ込みが、オーディオアラーム及び/又はラジオアラームを発生させる。そのようなアラームは、患者の状態の頻繁な(又はあまりに稀な)指によるチェックに取って代わって用いることができる。
【0080】
本発明の幾つかの実施形態の1つの側面は、展退を推定することに関する。本発明の典型的な実施形態においては、展退の推定値は、選択的に遠隔の参照ポイント又はラインを用いて児頭のセンサと子宮頸管のセンサ(又は複数のセンサ)の間の相対的な頭部の下降を決定することによって、少なくとも、子宮頸管がわずかに開大している(例えば、3cm未満)状態中に、得られる。選択的に、その推定には、推定されるフレキシビリティ(例えば、組織の一貫性)に関する補正が含まれる。そのようなフレキシビリティの推定は、例えば、指による測定がなされ、又は、CDの変動性と子宮収縮の強度との間の関係を抽出するときに、子宮頸管口の伸長を測定することによって、得られるであろう。
【0081】
したがって、本発明の典型的な実施形態によれば、出産プロセスをモニタする方法であって、長時間にわたって、子宮頸部及び児頭の1つ以上に設置された1つ以上の位置要素又は組織領域からの複数の位置信号を受信することと、前記位置信号に応答して、全体が体内にある胎児の出産の不連続状態を、15分より高い時間的解像度で、決定することと、を含み、前記不連続状態が、出産の開始又は終了以外であり、2以上の収縮を包含しており、前記状態が、異常な児頭位置以外の状態を含む方法が供給される。
【0082】
代替的、又は、追加的に、受信が、イメージングシステムを使用して同定可能な1つ以上の組織領域から受信することを含む。
【0083】
代替的、又は、追加的に、受信が、少なくとも1つの位置要素から受信することを含む。
【0084】
代替的、又は、追加的に、前記1つ以上の位置要素が送信機を備える。
【0085】
代替的、又は、追加的に、前記1つ以上の位置要素が目印を備える。
【0086】
本発明の典型的な実施形態において、前記不連続状態が、前記不連続状態が、分娩進行不全、子宮収縮不良、分娩陣痛開始、頸管全開大、最適子宮活動、個人的最大開大傾斜、児頭第2回旋(内回旋)、児頭第3回旋(伸展)、児頭進入前、分娩停止、産道通過障害、異常娩出収縮、正常娩出収縮、薬物投与の有効性、出産準備完了、を含む状態のリストの中の少なくとも1つの状態から成る。選択的に、方法は、異なる時に、前記リストから少なくとも二つの状態を決定することを含む。選択的に、方法は、異なる時に、前記リストから少なくとも四つの状態を決定することを含む。選択的に、方法は、異なる時に、前記リストから少なくとも六つの状態を決定することを含む。
【0087】
典型的な実施形態において、位置信号が胎児位置信号及び子宮頸管口位置信号を含む。
【0088】
典型的な実施形態において、位置信号が、絶対子宮頸管開大信号を含まない。
【0089】
典型的な実施形態において、位置信号が、絶対子宮頸管開大信号を含む。
【0090】
典型的な実施形態において、方法が、全開大が10cmとなるスケールを反映して子宮頸管開大信号の修正をすることを含む。
【0091】
典型的な実施形態において、決定が、収縮サイクルの時間周期内に、前記信号の短時間の変化を分析することに基づいて決定することを含む。選択的に、前記分析が、児頭位置の変化の分析を含む。選択的に、前記分析が、児頭運動の空間ベクトルの分析を含む。
【0092】
本発明の典型的な実施形態において、前記分析が、子宮頸部形状の変化の分析を含む。
【0093】
本発明の典型的な実施形態において、前記分析が、位置の変化の率の分析を含む。
【0094】
本発明の典型的な実施形態において、前記分析が、複数の収縮に対する分析を含む。
【0095】
本発明の典型的な実施形態において、前記決定が、複数の収縮のデューティファクタに基づいて決定することを含む。
【0096】
本発明の典型的な実施形態において、前記決定が、分娩が正常に進行していることを決定することを含む。
【0097】
本発明の典型的な実施形態において、前記決定が、分娩が異常に進行していることを決定することを含む。
【0098】
本発明の典型的な実施形態において、前記決定が、収縮のタイプを決定することを含む。
【0099】
本発明の典型的な実施形態において、前記決定が、母親及び胎児の少なくとも1つの非幾何的な生理的信号に基づく。選択的に、前記決定が、非幾何的な生理的測定と、幾何的な測定との間の位相遅延の分析を含む。代替的、又は、追加的に、前記生理的信号が、圧力信号を含む。代替的、又は、追加的に、前記生理的信号が、EMG信号(筋電図信号)を含む。代替的、又は、追加的に、前記生理的信号が、心拍数信号を含む。
【0100】
本発明の典型的な実施形態において、決定が、個人化された時間/進行スケールにおける状態を決定することを含む。
【0101】
本発明の典型的な実施形態において、方法が、分娩の進行を複数のテンプレートの1つにマッチさせることを含む。
【0102】
本発明の典型的な実施形態において、方法が、前記信号に基づいて将来の状態に到達する時間を見積もることを含む。
【0103】
本発明の典型的な実施形態において、前記位置信号が、前記要素から離れた参照を用いて獲得される。
【0104】
本発明の典型的な実施形態において、方法が、児頭のベクトルの方向の変化及び大きさの変化の少なくとも1つを決定することを含む。選択的に、前記ベクトルの変化が、児頭の向きの変化を含む。代替的、又は、追加的に、方法が、産道における児頭の空間的進行を示す頭部位置の値を生成することを含む。代替的、又は、追加的に、前記ベクトルが、収縮中の前記頭部の動作のベクトルを含む。代替的、又は、追加的に、方法が、母体における予想される頭部のパスに対して前記ベクトルを比較することを含む。代替的、又は、追加的に、方法が、前記頭部の前進動作と後退動作との間の非対称性を決定することを含む。
【0105】
本発明の典型的な実施形態において、(a)出産過程についての情報を収集することと、(b)前記情報に基づいて個人化された進行表現を生成することと、(c)前記表現のパラメータが基準に対して、前記パラメータと前記基準との間の関係を変化させてから20分以内に、前記パラメータと基準との間の関係の同定することと、(d)前記同定に応答して出産の治療を選択的に修正することと、を含む、出産管理の方法もまた供給される。選択的に、前記同定が、コンピュータ回路により同定することを含む。
【0106】
本発明の典型的な実施形態において、方法が、コンピュータ回路により、修正を提案することを含む。
【0107】
本発明の典型的な実施形態において、同定が、前記パラメータが標準から外れていることを同定することを含む。
【0108】
本発明の典型的な実施形態において、同定が、前記パラメータが標準内にあることを同定することを含む。
【0109】
本発明の典型的な実施形態において、選択的に修正することが、修正しないことを含む。
【0110】
本発明の典型的な実施形態において、前記個人化された進行表現を生成することが、前記収集された情報の統計的分析を含む。選択的に、前記統計的分析が、長期的分析を含む。代替的、又は、追加的に、前記統計的分析が、短期的分析を含む。代替的、又は、追加的に、前記統計的分析が、ヒストグラムを生成することを含む。
【0111】
本発明の典型的な実施形態において、前記個人化された進行表現が、予想される変化率を含む。
【0112】
本発明の典型的な実施形態において、前記個人化された進行表現が、少なくとも三つの分娩状態の識別表示を含む。
【0113】
本発明の典型的な実施形態において、前記個人化された進行表現が、個人の最大傾斜が間もなく達成されるという標示を含む。選択的に、前記標示が、専用の表示を含む。
【0114】
本発明の典型的な実施形態において、前記標示が、それらの相対的文脈に従った状態の表現および状態の履歴を含む状態表示を備える。
【0115】
本発明の典型的な実施形態において、前記標示が、個々の最大傾斜の表示を含む。
【0116】
本発明の典型的な実施形態において、長時間にわたって、子宮頸部及び児頭の1つ以上に所在する1つ以上の位置要素又は組織セグメントからの複数の位置情報を受信することと、収縮における位置情報の大きさの少なくとも1つの変化を決定することと、前記少なくとも1つの変化を分析することと、前記分析に基づいて分娩の状態を決定することと、を含む、分娩プロセスをモニタする方法もまた供給される。
【0117】
選択的に、方法が、前記決定に用いられる複合標示をもたらすために、複数の収縮について分析することを含む。
【0118】
本発明の典型的な実施形態において、前記分析が最大変化の分析を含む。
【0119】
本発明の典型的な実施形態において、前記分析が、変化率の分析を含む。
【0120】
本発明の典型的な実施形態において、前記分析が、子宮頸管開大の分析を含む。
【0121】
本発明の典型的な実施形態において、前記分析が、児頭位置の分析を含む。
【0122】
本発明の典型的な実施形態において、前記分析が、位置の変化に基づく収縮のデューティファクタの分析を含む。
【0123】
本発明の典型的な実施形態において、状態の決定が、不連続状態の決定を含む。
【0124】
本発明の典型的な実施形態において、方法が、前記分析をグラフィックな形式で表示することを含む。選択的に、前記グラフィックな形式が、前記分娩の少なくとも2時間の結果を示す。代替的、又は、追加的に、前記グラフィックな形式が、前記分娩の少なくとも30分間の結果を示す。代替的、又は、追加的に、前記グラフィックな形式が、少なくとも10回の収縮の結果を示す。代替的、又は、追加的に、前記グラフィックな形式が、少なくとも30回の収縮の結果を示す。
【0125】
本発明の典型的な実施形態において、決定が、非幾何的な生理的情報に基づいて決定することを含む。
【0126】
本発明の典型的な実施形態において、決定が、収縮間の長期的全進行に基づいて決定することを含む。
【0127】
本発明の典型的な実施形態において、方法が、前記収縮の有効性の標示を生成することを含む。選択的に、方法が、前記分娩において滴定された薬物の有効性の標示を生成することを含む。代替的、又は、追加的に、方法が、前記標示に基づいて、力みに関する母親への指示を生成することを含む。
【0128】
本発明の典型的な実施形態において、方法が、現在の分娩の測定に基づいて前記変化を正規化することを含む。
【0129】
本発明の典型的な実施形態において、方法が、前記分娩の現在同定されている状態に基づいて、前記変化を正規化することを含む。
【0130】
本発明の典型的な実施形態において、子宮頸管開大を測定することと、10cm以下の異なる開大の値を生成するために、センサの較正によらずに前記測定を修正することと、を含む、子宮頸管のレポートをする方法もまた供給される。選択的に、前記修正が、10cmが全開大を意味する人についての学術用語を反映するように前記測定を補正することを含む。代替的、又は、追加的に、前記修正が5cmより大きい測定にたいしてのみ適用される。代替的、又は、追加的に、前記修正が、児頭頂点通過の検出に基づいて適用される。代替的、又は、追加的に、前記補正が、子宮頸管の整合性のための補正を含む。代替的、又は、追加的に、前記補正が、測定をする施術者のバイアスを補正するために個人化される。代替的、又は、追加的に、前記補正が、患者ごとに個人化される。
【0131】
本発明の典型的な実施形態において、子宮頸管と参照点との相対的位置を測定することと、所定の動作に従って、前記子宮頸管が参照点と相対的に動く場合に全開大を決定することと、を含む、子宮頸管の全開大を検出する方法もまた供給される。選択的に、参照点が、児頭を含む。代替的、又は、追加的に、決定が、前記子宮頸管が前記児頭上にとさか状になることを検出することを含む。代替的、又は、追加的に、前記相対的位置が、前記児頭及び子宮頸管から距離があり且つ児頭の運動方向に広がる空間中の仮想的な点に対して決定される。
【0132】
本発明の典型的な実施形態において、適切な方法が、前記子宮頸管の展退動作を含む。
【0133】
本発明の典型的な実施形態によれば、児頭上の点及び子宮頸管上の点の相対的位置を決定する方法であって、センサから、前記児頭の予想される動きの一般的方向に、離れた参照位置から、該点間の距離を決定することと、距離の相対的な値を決定することと、を含む、方法もまた提供される。選択的に、その方法が、前記参照点に相対する運動に基づいて子宮頸管の展退を決定することを含む。代替的、又は、追加的に、方法が、前記児頭の進入を前記参照点との相対的運動に基づいて検出することを含む。代替的、又は、追加的に、方法が、前記子宮頸管口の開口平面の再構築を含まない。
【0134】
本発明の典型的な実施形態において、収縮の効果についての幾何的情報を収集することと、収縮の効果についての非幾何学的な生理学的情報を収集することと、収集した幾何学的、非幾何学的情報を相関づけることとを、を含む、分娩プロセスをモニタする方法もまた供給される。選択的に、相関づけることが、同一の時系列で表示することを含む。(原文に誤りあり)選択的に、方法が、分娩のイベントを、同一の時系列で表示することを含む。代替的、又は、追加的に、相関づけることが、非幾何的及び幾何的情報の間の位相差を決定することを含む。
【0135】
本発明の典型的な実施形態において、前記幾何的情報が、収縮サイクルにおける幾何的情報の変化を含む。
【0136】
本発明の典型的な実施形態において、前記幾何的情報が、子宮頸管開大及び児頭位置を含む。選択的に、方法が、幾何的情報及び非幾何的情報の1つを他の関数として提示することを含む。選択的に、方法が、情報をヒストグラムの形式で提示することを含む。
【0137】
本発明の典型的な実施形態において、方法が、幾何的情報及び非幾何的情報の1つを他の関数として通門することを含む。
【0138】
本発明の典型的な実施形態において、方法が、情報をストリップ形式で提示することを含む。
【0139】
本発明の典型的な実施形態において、方法が、情報を、異なる収縮からの情報の重ね合わせとして提示することを含む。
【0140】
本発明の典型的な実施形態において、方法が、情報を、三次元形式で提示することを含む。
【0141】
本発明の典型的な実施形態において、推定児頭下降状態を検出することと、子宮頸管開大値を検出することと、児頭下降と子宮頸管開大値とのミスマッチを決定することと、前記ミスマッチに基づいて変形を決定することと、を含む、潜在的児頭変形を検出する方法もまた供給される。選択的に、前記子宮頸管開大値が、全開大より小さい。代替的、又は、追加的に、前記子宮頸管開大が、頂点通過前状態であると決定される。代替的、又は、追加的に、状態の前記決定及び値の前記検出が、取り付けられた配置要素の使用を検出することを含む。
【0142】
本発明の典型的な実施形態において、(a)子宮頸管口を係合するのに適合した係合器と、(b)前記係合器に連結し、前記係合器の患者の体に対する後退を示すのに適合したボディと、を備える、子宮頸管の逆行により分娩の第二ステージの開始を検出するための装置もまた供給される。選択的に、前記ボディが、子宮頸管口に取り付けられた場合に、患者の体外に伸びるのに十分に細長い。代替的、又は、追加的に、装置が、前記後退の検出の際に作動される音響アラームを備える。
【0143】
本発明の典型的な実施形態において、前記ボディが、物差しを含む。
【0144】
本発明の典型的な実施形態において、前記物差しが、前記子宮頸管の初期位置の較正に適合する。
【0145】
本発明の典型的な実施形態において、装置が、前記ボディの初期位置のマークを備える。
【0146】
本発明の典型的な実施形態において、(a)児頭上に置かれた配置要素および子宮頸管口に置かれた配置要素の少なくとも1つから位置情報を収集することと、(b)子宮頸管口の開大以外の特性の推定をもたらすために位置情報を分析することと、を含む、子宮頸管口の変化を推定する方法もまた供給される。選択的に、前記分析が、児頭運動の程度から展退を推定することを含む。代替的、又は、追加的に、前記分析が、子宮頸管開大の変化を収縮の強さと比較することにより弾力性を推定することを含む。選択的に、前記強さが、IUP(子宮内圧力)センサを用いて測定される。
【0147】
本発明の典型的な実施形態において、前記分析が、子宮頸管開大の機械測定を、子宮頸管開大の人による推定と比較することを含む。
【0148】
本発明の典型的な実施形態において、前記分析が、子宮頸管位置要素の回転の決定を含む。
【0149】
本発明の典型的な実施形態において、前記収集が、処置中の収集を含む。選択的に、前記処置が、指診を含む。
【0150】
本発明の典型的な実施形態において、(a)分娩プロセスからの幾何的情報のストリームを供給することと、(b)生理学的に間違ったデータを除外するフィルタを用いてストリームをフィルタすることと、を含む、幾何的分娩情報をフィルタする方法もまた供給される。選択的に、方法が、収縮の長さに基づいてデータを除外することを含む。代替的、又は、追加的に、前記フィルタが、それらの派生物に基づいてデータを除外する。選択的に、フィルタすることが、前記データの派生物を発見することと、データにしきい値をかけることと、データを統合することと、を含む。
【0151】
本発明の典型的な実施形態によれば、(a)患者に処置を施すことと、(b)前記患者の分娩プロセスでの処置の効果を示す幾何的変化について情報を収集することと、(c)前記収集に応じて、20分より少ないフィードバック時間で、前記供給を選択的に修正することと、を含む、分娩中の患者への薬剤供給の方法もまた供給される。選択的に、前記フィードバック時間が10分より少ない。代替的、又は、追加的に、方法が、前記修正により、幾何学的応答の望ましい範囲を維持することを含む。
【0152】
本発明の典型的な実施形態において、前記修正が、前記処置により分娩の進行が生成されない場合には前記供給を停止することを含む。
【0153】
本発明の典型的な実施形態において、前記修正が、患者の最大個人傾斜を達成するために前記処置を修正することを含む。
【0154】
本発明の典型的な実施形態において、前記処置が、薬剤の供給を含む。
【0155】
本発明の典型的な実施形態において、前記処置が、姿勢変化の指示を含む。
【0156】
本発明の典型的な実施形態において、前記選択的修正が、自動的に選択的修正を行うことを含む。
【0157】
本発明の典型的な実施形態において、前記選択的修正が、選択的に修正する助言を生成することを含む。
【0158】
本発明の典型的な実施形態において、(a)分娩中の患者をモニタするモニタシステムの少なくとも1つからの入力信号を受信するのに適合した入力と、(b)受信された信号に基づいて、前記のいずれかの方法を実施するように構成されたコントローラと、を備える、分娩をモニタするための装置もまた供給される。選択的に、装置が、分娩中の患者への指示を表示する指示出力を備える。選択的に、装置が、前記信号に対するそのような指示の効果を追跡するのに適合した追跡器を備える。
【0159】
選択的に、装置が、前記指示の順守をモニタするのに適合したモニタを備える。
【0160】
本発明の典型的な実施形態において、(a)少なくとも1つの子宮頸管位置及び少なくとも1つの児頭位置からの位置情報を三次元ディスプレイに配列することと、(b)前記センサの位置間の重力中心を維持するためのディスプレイを配置することと、を含む、分娩プロセスにおいて収集された幾何学的情報を提示する方法もまた供給される。選択的に、方法が、状態情報を前記ディスプレイ上に配置することを含む。代替的、又は、追加的に、方法が、可変情報を前記ディスプレイ上に配置することを含む。
【0161】
図面と共に後述の典型的な実施形態の説明を参照して、限定されるものではない本発明の実施形態を記載する。図面は、概して、縮尺通りに示されておらず、どのような大きさもそれが典型的であることを意図しているのみであって、必ずしも限定されるわけではない。図面においては、複数の図面中に現れる同一の構造、要素、又は部分は、好ましくは、それらが現れる全ての図面において、同一の又は類似の数字が付されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0162】
[状態ベースのモニタリングの概説]
図1を参照すると、現在の診療は、図1のグラフに沿って出産プロセスの進行を図に記すことである。このグラフは多くのケースの平均値であるので、潜在的な問題があるということを介護者が確信していれば、重大な逸脱を検知するに違いない。
【0163】
実のところ、非病理学的なケースでは、このグラフは問題がある。連続的な及び滑らかなグラフの性質からわかるように、開大の値は、概して、分娩の状態を特定するために用いることができない。その代わりに、開大の値の変化の開始又は変化の欠如を用いるに違いない(従来技術においては)。さらに、後述するように、大きな開大(>7cm)において、推定上の数値は、実際、分娩の進行の推定値を表すために用いられる象徴的な値である。このように、例えば、実際の開大が最大の開大において10cmよりも大きいにもかかわらず、産科医は「10cm」であると伝えるであろう。これは、結果として、分娩における推定された状態を用いて開大の値を示すという循環論理をもたらす。その後、その開大の値を用いて、図1に示すような標準のグラフと比較して、分娩の進行を示す。
【0164】
本発明の典型的な実施形態においては、ある状態から次の状態までの出産プロセスの進行、次の状態へ進行しないこと、及び/又は異常な状態への進行を検知することによって、特定の出産プロセスの進行がモニタされる。本発明の典型的な実施形態においては、それらの状態は、比較的迅速に、例えば20分未満で、特定される。
【0165】
本発明の典型的な実施形態においては、解剖学的な変化を用いて、分娩における異なる状態間の進行を特定し、及び/又は現在の状態を特定する。いくつかの場合には、状態の情報を生成するために、測定値の統計的な分析を用いる。本発明の典型的な実施形態においては、これらの変化が検知され、及び/又は、子宮頸管口上に備えられた複数の位置センサのうちの1つ以上により測定値が得られる。本発明の典型的な実施形態においては、状態間の相対的な変化が使用され、標準のグラフと比較した変化が使用されるだけではない。用語「動作センサ(motion sensor)」を用いるが、相対的な及び/又は絶対的な位置及び/又は方向を検知するために、種々の手段を用いることができることが理解されよう。例えば、それらは、位置センサ、送信機、受信機、トランスポンダー、及び画像化によって検知される基準マークである。さらに、画像処理は、子宮頸管口及び/又は児頭上のキーとなる特徴を識別するために用いることができる。
【0166】
本発明の典型的な実施形態においては、指による測定よりもむしろ又はそれに加えて、自動化された測定により、短時間の内に、例えば1分から10分の間で、状態の情報を得るには十分迅速にデータを収集することができる。なお、従来技術の方法は、明らかに、遅い測定(例えば指による測定)及び/又はデータと平均化されたグラフとを比較することによりもたらされる低い識別のうちの一方又は双方がネックになっていた。なお、さらに、自然に起こる変動に起因して、場合によっては、そのグラフは誤っている。例えば、分娩は、大きな子宮頸管の開大(>3cm)を伴いながらも、潜伏段階においては効果的である。他の例では、分娩の第二ステージは、10cmよりも小さな開大から開始することが可能である。
【0167】
[典型的な状態のツリー]
図2は、ツリー状の状態ダイアグラム200であり、出産プロセスの種々の状態を示している(各々はボックスとして示されている)。少なくともそれらのいくつかは、本発明の典型的な実施形態(方法)にしたがって特定される。状態によっては、複数の方法を用いて特定可能である。なお、各状態の内容(例えば持続時間、予測されるパラメータ)は、前の状態における状況に依存して変化し得る。
【0168】
図2には、子宮頸管の状態の経路(中央の経路)と頭部の状態の経路(左側の経路)である、2つの経路が示されている。典型的に、その2つの経路に沿った進行は同期する。しかしながら、それらは、必ずしも、図1に示すようには正確に重複しない。これは、場合によっては、正常或いは異常である。場合によっては、その2つの経路の集合として状態が定義される。例えば、分娩のための準備状態264は、第二ステージ(254)として定義され、子宮頸管は全開大(230)し、頭部は会陰にある(253)。1つの実用的なシステムにおいては、頭部の状態の構成要素及び子宮頸管の状態の構成要素の双方を含む複合の状態として、状態を表示する。他の実用的なシステムにおいては、同一の表示上に、同時に、2つの経路を示す。
【0169】
以下は、そのような状態及び/又はそのような状態間の通過をどのように特定できるのかの短い説明を付したそのような状態をリストアップしたものである。幾つかのそのような特定方法は、後に、より詳細に述べる。
【0170】
妊娠201は、開始ポイントである。そのポイントから、分娩又は早期分娩の開始が予測できる。例えば、分娩の開始を警告するための手段として、分娩の開始前であっても、1つ以上のセンサを埋め込んでもよい。
【0171】
分娩に関連した活動のどのようなものも、分娩の診断203として分析され得る。分娩前は、適切なセンサを分娩予定日前に取り付けるかどうかを確認することができる。典型的に、子宮収縮活動が確認されても、子宮頸管の開大は無い又はわずかである。
【0172】
場合によっては、分娩前は、分娩の前期間204に至る。選択的に、胎児が分娩の前期間の前に、子宮頸管の開大を開始させることによって、分娩の前期間が特定される。選択的に、そのシステムは、子宮頸管の開大及び/又は出産予定日より早い分娩を停止することで、薬物又は他の治療の効果を追跡する。
【0173】
分娩が開始するとすぐに、2つの並行した状態がある。その一方又は双方は追跡可能であって、それらは、頭部の状態(図中左側)及び子宮頸管の状態(図中中央)である。以下の説明では、子宮頸管の状態の進行を最初に説明する。正常な分娩における、その2つの状態のタイプは後に触れる。
【0174】
潜伏段階206は、選択的に、子宮頸管の開大の変化量が低いこと(後述)、絶対的な開大が小さいこと及び/又は頭部の下降がほとんど若しくは全くないこと、によって特定される。場合によっては、頭部の下降は、潜伏段階の間に生じるので、この状態を特定するために使用しない。本発明の典型的な実施形態においては、潜伏段階の特定により、「潜伏段階」ステージと分娩が進行していることとを区別する。従来技術におけるような、潜伏段階を含んでいる分娩の進行のグラフは、平らな部分が現れて長い分娩を描き、関連誤差の介入により、早期に難産の誤診断をしてしまう可能性がある。
【0175】
加速段階210は、選択的に、子宮頸管の開大の中程度の変動性により特定される。選択的に、この状態の開始を検知するために、統計的な試験が用いられる。例えば、統計的に意味のあるやり方で、いつ子宮頸管の開大の変動率が増加するのかを決定するためのデータのウインドウを分析することによってなされる。
【0176】
最大傾き段階214は、選択的に、子宮頸管の開大の及び頭部位置の変動性が大きいことによって特定される。典型的に、最大傾き段階においては、CDの変化量の値は0.75cmから3.0cmであり、HSの変化量の値は0.5cmから1.5cmである。選択的に、最大傾き段階は、信号を追跡して分析することによって特定される。それは、連続的な子宮収縮の間の最小の休息期間又は休息の無い期間を有する正弦曲線になる(例えば、デューティファクタが0.3よりも大きい)。選択的に、この段階における異常な子宮収縮は、異常な子宮収縮の状態262として検知される。本発明の典型的な実施形態においては、活動段階中の良好な又は正常な子宮収縮は、HSの上昇率が1-4mm/secであり、典型的な下降率が(0.5)-(2.5)mm/secである。典型的なCDの上昇率は1-6mm/secであり、典型的な下降率は(0.5)-(4)mm/secである。これらは、典型的な数値であるのみであって、他の出産に関しては他の数値が普通であってもよい。なお、テンプレートを提供してもよい。そのようなテンプレートには、分娩及び/又は患者の情報の一般的な進行に基づいて、典型的な予測される数値を含めることができる。
【0177】
オプション的な減速段階218の開始は、選択的に、子宮頸管の開大率の統計的に顕著な変化によって、及び/又はHSの変化量の減少に付随しないで起こる子宮頸管の開大の変化量の減少によって、特定される。幾つかの実施形態では、例えば、子宮頸管の開大変化が低いことに基づいて、減速段階218の代わりに又はそれに加えて、安定期状態219が特定される。典型的に、HSの変化量の値が0.5cmから1.5cmの範囲にある間、CDの変化量の値は、1cm未満に対して50%よりも大きいく減少する。なお、全開大に近づくとき、例えばセンサは頭部と共に動く可能性があるので、センサのノイズは増加する可能性がある。これは、例えば、配置場所、取り付けの質、及び児頭の位置に依存する。選択的に、例えば、センサの回転に基づいて、そのような動きアーチファクトは検知され及び無視される。なお、ワイヤレスセンサの1つの利点は、ワイヤレスセンサは伸長せず、それに対して頭部はそれを押し進めることができるということである。選択的に、そのセンサは、頭部と一緒に動かないように配置される。また、子宮頸管のセンサは、全開大に近づくにつれて、取り除かれてもよいということが知られている。場合によっては、そのセンサは、児頭と一緒に回転するであろう。これは、適切な場所及び/又はセンサの付属品を用いることによって防止可能である。代替的に又は追加的に、本明細書中では、そのような回転が(例えば、子宮収縮中に)検知され、物差しとして使用される。
【0178】
分娩進行不全状態222(誤った状態は図2の右側に示されている)は、選択的に、子宮頸管の開大率が可変であるにもかかわらず、頭部位置の変化が不足していることにより特定される。特に、たとえ頭部位置の変動性が見られても、頭部の逆行のみが現れて前進運動がないという点で、この変動性は、非対称である可能性がある。選択的に、分娩進行不全は、ある期間(例えば、子宮収縮サイクルの同一部分、例えば収縮間又は収縮のピークにおいて)の間、正味の前進がない場合に決定される。展退動作及び/又はHSの変動性の減少は、選択的に、問題を示しめしていると見なされる。なお、分娩進行不全は、分娩の間中、様々な点において現れる可能性がある。それは、CDの変動量及び/又はHSの変動量の存在下において、頭部位置か子宮頸管の開大のいずれか一方の不十分な正味の進行によって特定可能である。本発明の典型的な実施形態においては、その特定は分娩における前の状態に基づいている。例えば、最大傾き状態が検知されれば、30分という期間において0.5cm未満の正味の進行は分娩進行不全であろう。子宮頸管の開大及び/又は頭部位置の変化量の非対称性および対象性は、他の状態を検知するために、又は種々の健康状態(例えば頭部膨張)に関する標示として、使用され得る。
【0179】
代替的に又は追加的に、停止障害状態223は、選択的に、例えば15分から60分という時間にわたってCDとHSのいずれにも正味の進行がない、HS及びCDの少なからぬ変量によって特定される。
【0180】
頂点前の状態226は、選択的に、子宮頸管の小さな展退動作の存在により、及び/又は産道に対してきっちりと押圧されているということを示す子宮頸管のセンサの再配列によって、特定される。場合によっては、部分的な全開大は、子宮頸管の組織の部分のみが頭部上に残っているとき、選択的に、例えば子宮頸管の電極の1つのみが展退するなどの非対称の子宮頸管のセンサレベルによって特定される。これは、開大が「9.5cm」であるとして報告される可能性がある。
【0181】
頭部膨張状態228は、選択的に、全開大が生じていない間に、子宮頸管を過ぎ去る異常な頭部の下降を判定することにより検知される。代替的に又は追加的に、適切なセンサ(例えば、頭蓋骨までの距離を測定する超音波センサ)を児頭に取り付けて、そのような膨張を検知する。なお、この状態(頭部の膨張)は、発展するまでに時間がかかる。例えば、「頭部対子宮頸管」状態248中よりも嵌入状態中にさらに宣言される。
【0182】
全開大状態230は、選択的に、児頭の頂点を覆う子宮頸管口の推移によって特定される。選択的に、そのような頂点は、選択的に、児頭の下降に関係しない、子宮のほうへの子宮頸管口の顕著な展退動作を検知することによって特定される。いくつかの説明においては、全開大状態230及び「第二ステージ」状態254は、単一の状態であると考えられる。
【0183】
子宮頸管からの胎児の退出の状態234は、選択的に、子宮頸管センサを過ぎ去る前方への、児頭のセンサの相対的な動きから特定される。それは、例えば、児頭の長さよりも大きな動きである。
【0184】
産道停止(canal arrest)の状態238は、選択的に、頭部が産道の曲がりを通り過ぎないとき、及び/又は回旋しない若しくは回旋が不十分である場合に、特定される。
【0185】
内回旋の状態252は、選択的に、母体の軸に対する児頭の方向の変化に基づいて特定される。選択的に、初期位置についての情報を用いて方向を決定する。その方向において、寸法(dimension)の変化が示されている。この状態では、所定の方向における頭部の進行が予測され、選択的にはモニタされる。選択的に、状態252の開始及び終了は、別々の状態として特定される。
【0186】
体の頭部退出の状態244は、選択的に、視覚的に特定される。この状態に続いて、典型的に、外回旋状態262があり、これもまた、視覚的に特定される。
【0187】
分娩の診断の状態203に戻って参照すると、次の頭部の状態は、準備区分の状態246である。その状態246は、選択的に、ISと比して高い頭部により特定される。その頭部のレベルは、上述の子宮頸管のレベル(-2未満)よりも上であり、頭部の下降とCDとの間の相互関係はない。選択的に、頭部の状態は、子宮頸管と比較した位置を用いて特定される。さらに、準備段階においては、CDの変化量に関して0.5cm未満の値を、HSの変化量に関して0.25cm未満の値を予測可能である。
【0188】
「頭部対子宮頸管」状態248は、選択的に、頭部のレベルが子宮頸管のレベルに対して-1と+3の間であることによって特定される。この状態中に変化する、オプションである実用的なパラメータは、「子宮収縮の強度」であり、それは、CD又はHSの変動性の相互関係を用いて定量可能である(以下に述べる)。
【0189】
場合によっては、胎児の停止(223)又は分娩進行不全(222)は、「頭部対子宮頸管」状態の前に起こる。頭部膨張状態228は、「頭部対子宮頸管」状態の後に特定可能である。
【0190】
嵌入状態250は、選択的に、骨盤入口を通過するBPDによって特定される。なお、幾つかの通常の出産の状況においては、状態248は嵌入の後に起こる。
【0191】
内回旋状態252は、例えば、子宮収縮中であっても、児頭の方向の変化によって、又は、児頭の運動ベクトルの変化によって特定可能である。
【0192】
指により特定可能な状態は、会陰に対する頭部の状態253である。それは、児頭が会陰を圧迫するものであり、場合によっては、外部から容易にわかる。この状態は、伸展状態260の前に、後に、及び/又は並行して生じ得る。なお、一般に、幾つかの状態の順序は、女性間で異なる可能性がある。しかしながら、許容されない(及び失敗状態を示す)順序もある。また、屈曲状態(不図示)を定義することができる。この状態に達しないことは、概して、異常な状態を示す。
【0193】
初期回旋252の後に又は前に、第二ステージ状態(254)は、選択的に、全開大(230)、及び幾つかの説明においてはまた嵌入によって、特定される。選択的に、全開大は、子宮頸管を通過した頭部によって特定され、例えば、頭部のレベルは、子宮頸管(少なくとも7cmに開大された子宮頸管)と比較して+3よりも大きい(さもなくば、頭部膨張(228)を示すことができる)。
【0194】
本発明の典型的な実施形態においては、会陰に対する頭部253及び第二ステージ254の両方が特定されるとすぐに、分娩の準備状態264が特定される。この状態においては、出産のための種々の医学的な準備がなされるであろう。母体の娩出状態266は、母親が胎児を押し出すよう指示を受けた場合に続いて起こる。この状態は、選択的に、適切な娩出の子宮収縮が検知されるとすぐに生じる。異常な娩出の子宮収縮は、選択的に、異常な娩出状態268において特定される。典型的に、通常の娩出の子宮収縮においては、HSの変化量は少なくとも1.5cmであり、その際の典型的な上昇率は5-20mm/secであり典型的な下降率は(3)-(15)mm/secである。
【0195】
状態256は、子宮頸管を通る両肩の回旋及び/又は通過を示す。選択的に、この状態は、頭部が通り過ぎた後に、子宮頸管の開大及び/又は個々の子宮頸管センサの動きの変化によって検知される。潜在的な合併症は、肩甲難産258である。これは、選択的に、胎児に関連した移動がないにもかかわらず子宮頸管の開大が変化していることよって検知され、肩が骨盤入口に捕まえられており、肩が子宮収縮中に子宮頸管と相対的に動いていることを示している。
【0196】
赤ちゃんが生まれると、完了状態270は、手作業で特定することが可能である。選択的に、モニタリングシステムを用いて、胎盤の収縮及び娩出などの産後のプロセスをモニタする。
【0197】
[システム概要]
図8Aは、本発明の典型的な実施形態による、出産モニタリングシステム100、及び、体外及び/又は体内に備えられたセンサの概略図である。図8Bは、本発明の典型的な実施形態による、体内に備えられたセンサを示す図である。
【0198】
以下に、より詳細に説明するが、本発明の典型的な実施形態においては、システム100は、1つ以上の子宮頸管口センサ102及び104、オプションである児頭センサ105、及びコントローラ101を含む。選択的に、ディスプレイ116を有する。データ入力のために、選択的に、ユーザ入力部128を備えている。選択的に、例えば、胎児モニタへの及び胎児モニタからの接続部115である、外部機器への1つ以上の接続部を備える。以下に説明するオプションのリモートユニット122を備えてもよい。一対の参照位置センサ(すなわち、位置検知システムに応じた送信機又は受信機)106及び107を以下に説明する。
【0199】
子宮頸管センサ102及び104は、子宮頸管口外部301(図3参照)のリップ303とリップ304に、それぞれ3時と9時の位置に取り付けられるように示されている。他の位置は、例えば6時と12時、又は3つのセンサで4時、8時、12時となるように、同様に用いることができる。本発明の典型的な実施形態においては、使用されるセンサ及び/又は取り付け方法は、例えば、その開示が参照により本明細書中に組み込まれるWO 02/098272、WO 02/98271、及び米国特許6,270,458に記載のタイプのワイヤレスの又はワイヤ接続されたセンサである。
【0200】
児頭の参照センサ105は、選択的に、児頭302に取り付けられる。これらのセンサ及び/又は追加的なセンサは、当技術分野で知られているように、母親及び胎児についての生理学的な情報を収集するために使用可能である。例えば、以下の1つ以上を測定することができる。それらは、胎児のHR/ECG、母体のHR/ECG、SpO2、子宮内の圧力(IUP)、血圧、及び/又はTOCOである。
【0201】
選択的に、システム100は、ストレージユニットを含む。それは、例えば、医学的データを保管するための、患者のデータを記憶するための、及び/又は典型的な出産の進行プロファイルを記憶するための、データベースを含む。代替的に又は追加的に、病院の医学的情報システムは、この情報の一部又は全てのために用いることができる。
【0202】
本発明の典型的な実施形態においては、システム100は、次の機能のうちの1つ以上を提供する。
(a)モニタリング。
本発明の典型的な実施形態においては、システム100を用いて、分娩プロセスの進行を追跡し、現在の状態及び/又は種々の生理学的パラメータのローカルな標示及び/又は遠隔の標示を提供する。
(b)診断。本発明の典型的な実施形態においては、システム100は、ある状態、例えば病理学的な状態、の暫定的な診断を提供する。
(c)警告。本発明の典型的な実施形態においては、システム100を用いて、可能な合併症の事前の警告、及び/又はある状態に到達したこと(例えば、分娩の第二ステージ)の通知を提供する。これは介護者の存在を必要とする。
(d)決定−サポートする。本発明の典型的な実施形態においては、システム100は、次のやり方で情報を提供する。すなわち、たとえそうなったとしても、どんなケアをすべきかという決定をする際に介護者を支援するというやり方である。特定の例示では、異常な状態の治療中に、付添人及び/又は患者により予測される状態を追跡する状態図が提供される。それは、例えば、検査に関する警告表示及び示唆を含む。
(e)予後診断。本発明の典型的な実施形態においては、システム100を用いて予後診断を予測する。それは、選択的に、1つ以上の将来の状態に対する予測時間フレームを含む。
(f)コントロール。本発明の典型的な実施形態においては、システム100を用いて、薬物の滴定又は分娩時の患者への他の治療をコントロールする。例えば、ある状態が検知されたら滴定を停止又は防止する。
(g)複数の出産プロセスの管理。選択的に、もし同一の医師又は付添人が同時に2箇所において要求されることが見込まれたら、システム100は警告を発する。
(h)文書化及びファイル管理。選択的に、システム100は、さらなる活用のためにそのシステムによって提供される情報を許可するために、付添人又は場合によっては特定の付添人、例えば標準の手段を用いて確認された医師、を許容する及び/又は要求する認証モジュールを含む。
(i)患者の管理。本発明の典型的な実施形態においては、システム100を用いて、患者に与えられる指示を追跡する。指示の1つのタイプは、姿勢を変えることである(例えば、FHRの減少を阻止するために)。指示の他のタイプは、いきむことである。選択的に、そのシステムは、子宮収縮の形状(例えば、上昇率、下降率、振幅、及び/又はデューティファクタ)に基づいて、効果的な娩出の収縮を特定し、母親に対して、(例えばスピーカを用いて)いきむ及び/又はいきむことを停止することを指示する。選択的に、システム100は、指示の生理学的な効果の追跡を続ける。
【0203】
本発明の典型的な実施形態においては、システム100を使用することで、介護者の負担が軽くなる。介護者の仕事は、定期的な指による検査の結果としてその場におけるものというよりはむしろ、(例えばシステムの通知に基づいて)駆動された又は(例えば予後診断に基づいて)計画されたイベントとなり得る。選択的に、システム100は、作業負荷計画モジュールを含む。そのモジュールは、介護者及び/又は機器の所定のタイプに対する予測された必要性を推定し、それらの使用のための可能なタイムテーブルを提供する。
【0204】
本発明の典型的な実施形態においては、システム100は、典型的な分娩の状況のデータベースを含む。選択的には、現在の分娩プロセスは、前の分娩プロセスにマッチングさせることによって分析される。代替的に又は追加的に、同一の患者に関する分娩プロセスは、比較可能である。選択的に、通常の分娩プロセスであっても、例えば年齢、体重、出産回数、妊娠回数、流産回数、妊娠期間、胎児の大きさ、種族的出身、母親の骨盤形状、人口統計データ、以前のCS、薬物療法妊娠期間の病歴(history of medications gestational age)、出産予定日、妊娠、経産回数、治療的流産、自然流産、子宮外妊娠、早産、living children、分娩様式、妊娠前の体重、現在の体重、身長、体温、心拍数、最高血圧、最低血圧、妊娠中のUS、胎児の推定体重、妊娠異常、出血、感染、外科的介入、病歴、家族歴、過去の手術歴、及び/又は手術の種類のうちの1つ以上に基づいて、2つ又はそれよりも多くの種類、例えば3、4、6、又はそれよりも多くの種類に分類される。そのうえ、選択的に、オキシトシン及び/又はピトシン及び/又は他の薬物の時期及び/又は投薬量及び/又は増減、及び、分娩が生じた場合の増減の理由、及び第二ステージ又は分娩後の母体の体温が提供される。
【0205】
本発明の典型的な実施形態においては、システム100は、所定のルールに基づいて、上記の機能を実行するエキスパートシステムを含む。選択的に、新しいルールは、そのシステムによりモニタされるデータに基づいて定義される。選択的に、そのシステムは、発見的解決法を用いて異なるユーザ(例えば、産科医)を覚え、アルゴリズムにおいてこの情報を考慮に入れる。例えば、センサを備え付ける際のユーザの系統誤差は、このやり方で特定し及び/又は補正することができる。他の例では、システム100は、ユーザの指による検査とシステムの計算結果との間の偏りを比較し補正する。結果として、システム100は、医師が見慣れているものとなるように較正された数字を表示することができ(例えば、CDが実際には7cmしかない場合に8cm)、医師の推定値とシステムの推定値との間の不一致を感じることがない。ユーザによって、異なる補正が適用され得る(例えば、典型的に大きく見積もる医師は、上述の8cmのCDにおいて、9cmと見る可能性がある)。
【0206】
[頂点の通過(頂点通過)の検知]
図3Aから図3Eは、本発明の典型的な実施形態による、子宮頸管口301による児頭302の頂点通過を検知する方法を説明している。この頂点通過は、状態226と230(図2)に対応している。
【0207】
図3A及び図3Bは、開大中の、子宮頸管口301と児頭302の相対的な位置を示す概略図である。子宮頸管口301の反対のリップ(opposing lips)は、参照303と304によって示される(当然、子宮頸管口のリップは通常は完全な円形である)。有用で解剖学的な参照は、骨盤の一方の側における、坐骨棘(下記図3F参照)の間に引かれたライン308である。当然ながら、これらは、理想化した2次元の図面であり、現実の出産においては、その配置は左右対称であるとは限らない。
【0208】
開大プロセス中、児頭302の前部314は通例の方向305に進み、方向306と307にそれぞれ、リップ303と304とを別々に押す(すなわち広げ)。その結果、リップ間の距離は距離312となる。距離310と311は、参照ライン308からのリップ303と304の距離を示す。距離309は、児頭の前部分314とライン308との間の距離を示す。参照313は、児頭302のBPDを示す。
【0209】
図3Aは、開大が8cmから9cm未満である間、例えば、最大傾き段階を通る、解剖学的構成を示す。リップ303と304の移動の方法306と307は概してライン308に平行であるので、この段階の間、距離310と311は、程度の差はあるが一定のままでいようとする傾向にある。頭部302がライン308より上にあるので、これは、出産のステーションが負であるものと見なされる。
【0210】
従来技術においては、医師は、手(すなわち2本の指)を膣の中へ挿入し、リップ303と304とに同時に触れるようにその指を広げる。医師は、指の広がりに基づいて、開大312を見積もる。
【0211】
図3Bは、頂点通過前の状態の開始を示している(これは、異なる方法で測定されているにもかかわらず、概して「減速」段階に対応し得る)。頭部302は、ライン308を過ぎており、これは、出産ステーションが正である。
【0212】
従来技術においては、医師は、2本の指を膣の中へ再び挿入し、リップ303と304とに同時に触れるようにその指を広げるはずである。しかしながら、これは、頭部302が邪魔になるので、ほとんどの場合、可能ではない。その代わりに、医師は、通常は、片方に触れた後に他方に触れ、距離312を見積もる傾向にある。他の技術は、リップ303と304の残余長さを外見上感じて、10cmの値からその長さを引く。この方法は以下に示すように不正確である。すなわち、リップ303と304とは全開大においてでさえ、その長さはゼロではない。したがって、一般に、医師たちは、分娩の進行がどのくらい進んでいると彼らが感じているかの標示として、開大の値をセンチメートル単位で用いており、それは、現実の進行を示す実際の測定値ではない。さらに、当然ながら、BPD313は子宮頸管をなんとか通り抜ける際、実際の開大は児頭の形状に依存するであろう。それは、変化可能であり、全ての胎児に対して一様ではない。特に、付添人は、全開大を示すために、コード「10cm」を用いる。非常に多くの場合、7cmと10cmの間の数字を用いて、全開大の目標までどれくらい離れているかを示す。また、これは実際の開大を示すものではない。「9.5cm」は、ときどき、子宮頸管の一方側が開大し一方側が開大していないという、不完全な全開大に対するコードとして使用される。
【0213】
また、図3Bは、リップ303と304の移動の方向306と307が変化し、ライン308から離れる後進成分(展退)を含むことを示している。本発明の典型的な実施形態においては、この後進移動は、距離310と311を増加させるが、段階間の変化の標示として使用される。選択的に、しきい値を用いて、距離310と311が実際に増加したことを決定する。そのしきい値は、例えば、1cmよりも大きい展退移動である。1cm以下の展退の測定値は、選択的に、ノイズであると見なされる。他のしきい値、例えば0.5cmも同様に用いることができる。代替的に、子宮頸管のレベルに対する児頭の「下降」を用いることができる。
【0214】
図3Cは、最大の開大において児頭302を覆っている子宮頸管口のリップ303と304の頂点通過を示す概略図である。もり医師がリップ303と304について感じ取っていたならば、それを「過ぎ去った(gone)」と言い切るであろう。しかし、それらは感じ取ることが不可能であるので、それらはそこにあり、ただBPD313を通り過ぎただけである。なお、この例では、全開大は、坐骨棘より下で児頭の下降を伴うが、これは必須ではない。選択的に、決定に使用される標示は、子宮のほうへの向かう子宮頸管の収縮である。
【0215】
最大の開大において、リップ303と304は、BPD313を通過する(典型的に、ライン308に対するリップの顕著な絶対的な移動を含む)。これは短時間で起こり得るが、場合によっては、数分(或いはそれより長く)かかる可能性がある。さらに、子宮頸管の他の部分の頂上通過は、異なる時間に起こり得る。子宮頸管の全ての部分が頂点に達するとすぐに、全開大状態(230)が完了し、子宮頸管からの頭部退出(234)が開始する。本発明の典型的な実施形態においては、しきい値を用いて、頭部302に対するリップ303と304の大きな移動に基づいて、「全開大ポイント」を検知する。代替的に又は追加的に、参照ライン308に対して子宮頸管の展退動作があり得る。また、その展退動作を用いて、全開大ポイントを決定する。代替的に又は追加的に、検知されるものは、主として、ライン308に平行な展退成分と微動を含む、方向306と307の変化である。場合によっては、子宮頸管の大きな展退動作を引き起こす原因は、頭部302がもはや子宮頸管を前方へ押し進めておらず、その結果後方へ弛緩可能となっていることである。図3Bにおいて、わずかな展退動作が見られる。これは、場合によっては、リップ303と304の縮みに起因するものである。代替的に又は追加的に、図3B及び/又は図3Cにおいて検知されることは、リップ303と304とが産道に平らに接しているということである。これは、例えば、センサ102と104において、リップに取り付けられた方向センサ用いて、検知可能である。場合によっては、単一のセンサのみを使用してこの平らを検知可能である。
【0216】
選択的に、図3Aから図3Cのステージの間中、距離310と311の増加の程度は、過剰の子宮頸管組織の程度を評価するために用いられる。これは、例えば、将来の指診(例えば、将来の出産において)に対するインプットとして、又は、介護者を訓練するために、使用可能である。選択的に、この推定においては、リップ303と304は、最大の開大においてでさえ、前方にいくらかの伸びを有するであろうということが想定される。
【0217】
図3Dと図3Eは、出産プロセスの側断面図であり、BPD313上の子宮頸管口301の頂上通過を示す。再度、リップ303と304は、また、最大の開大において、既存のままの状態であるということが分かる。頭部上のリップの滑りの詳細は示されていないが、本明細書中で示すように、ある部分は最初に滑り他の部分は後に滑るというように、滑りは非対称である。
【0218】
選択的に、頭部の角度及び/又は屈曲を用いて、例えば、非対称の頂上通過によりもたらされる誤認を補償するために、状態230(全開大)から状態234(頭部退出)までの進行の決定を支援する。選択的に、そのような非対称の頂上通過は、子宮頸管上の位置センサの相対的な位置から検知され、頂上通過の進行における標示として使用される。
【0219】
なお、本発明の幾つかの実施形態では、子宮頸管の開大と頭部位置との間には、幾何学的な関係が想定される。したがって、全開大は、子宮頸管の位置と比較して、頭部位置が十分に進んだかどうかで特定されることが可能である。幾つかの異常な状態(例えば頭部の膨張)もまた、この方法で検知可能である。例えば、子宮頸管センサ間の距離が頭部の下降に対して明らかに小さ過ぎるときには頭部の下降が異常である。
【0220】
骨盤の形状の提示を完成するために、図3Fは、母親患者120の骨盤領域の断面図を示す。システムを較正する際に選択的に使用されるランドマークは、坐骨棘322と恥骨結合320である。産道の形状に関して、産科的真結合線326と骨盤軸324がマークされる。
【0221】
本発明の典型的な実施形態においては、子宮頸管平面を定義することができるように、3つの子宮頸管センサを用いる。しかし、子宮頸管センサを1つ又は2つよりも多く使用することは望ましくないであろう。
【0222】
本発明の典型的な実施形態においては、幾何学的な参照は、胎児の予測される動きの方向に、十分に離れた場所で使用される。この参照に対する移動を用いて、児頭と子宮頸管の相対的な位置を決定する。したがって、平面それ自体を決定することは必要とされない。参照は、例えば、数cm離れており、子宮頸管の開口に対する垂線の30度以内の角度範囲内にある。本発明の典型的な実施形態においては、参照は、坐骨棘を結合する単なるラインであり、単一の坐骨棘センサであったりする。
【0223】
図3Gは、本発明の典型的な実施形態による、ASISを結合しているライン形式の遠隔参照を用いた、子宮頸管と児頭の相対的な位置の抽出を示す概略図である。
【0224】
この例では、2つのASIS340と342を結合しているライン344が参照として用いられている。代替的に、異なる参照を用いることができ、それは例えば、児頭の初期の経路と同軸のラインと体の表面との間の交差点において体に取り付けられる単一のセンサである。選択的に、この経路の方向は、母体の解剖学的構造の画像から、又は、子宮収縮中の頭部の下降の方向から、推定される。
【0225】
距離346は、子宮頸管のリップ304とライン344(又は他の参照)との間で決定される。同様に、距離348と350は、リップ303(オプション)と児頭の前部分(314)について決定される。児頭と子宮頸管の相対的な下降は、選択的に、距離350を、距離346と348の平均と比較することによって推定される。幾つかの応用においては、単に、距離350を追跡することは、有用な頭部位置を決定するには十分であり得る。幾つかの応用においては、2つ以上の参照センサが用いられる。1つのセンサは、空間における異なるベクトルを持つ予測される児頭の経路の各セグメントに対して用いられる。
【0226】
代替的な実施形態では、たとえライン344が知られ又は知られ得るとしても、そのライン上の一点(例えばその中心)までの距離が参照として使用される。選択的に、任意の点の位置、例えば産道の内部の点は、種々のセンサの位置と比較される数学的な(計算された)参照点として使用される。
【0227】
代替的な実施形態では、児頭(又は子宮頸管センサのうちの1つ)とASISを結合して、平面が定義される。平面上への他のセンサ位置の投影を用いて、適切な相対的な空間的位置を決定する。
【0228】
なお、幾つかの実施形態では、3DOF(自由度3の)センサは必要なく、むしろ、幾つかの情報を提供するためには1次元センサが適切であろう。例えば、子宮頸管センサ間のTOF(飛行時間:Time of Flight)を直接決定することによって、子宮頸管センサ間の距離を決定するため、2次元で検知することは有用であろう。
【0229】
本発明の典型的な実施形態においては、上述のように、展退の推定値は、選択的に遠隔の参照ポイント又はラインを用いて児頭センサと子宮頸管センサ(又は複数の子宮頸管センサ)の間の相対的な頭部の下降を決定することによって、少なくとも、子宮頸管がわずかに開大している(例えば、3cm未満)状態の間に、得られる。
【0230】
[頭部の膨張]
図3Cに戻って参照すると、場合によっては、距離309は誤って評価される可能性がある。1例を挙げると、胎児の羊膜嚢は破れておらず、児頭センサは実際にはその嚢に取り付けられる。この場合には、撮像装置(例えば腹部又は骨盤の)を使用して、児頭の位置が報告されているところにあるかどうかを決定する。代替的に、児頭のセンサは、センサと頭部の間の距離を決定する超音波距離測定センサを含み得る。
【0231】
他の例では、頭部302は膨張を経験し、その中では頭皮と頭蓋骨の間に液体が集まる。本発明の典型的な実施形態においては、子宮頸管の開大が完了しないうちに、頭部のステーション数が増加していれば、膨張が疑わしい。代替的に又は追加的に、そのような膨張を検知するために、児頭センサ105の中へ適切なセンサを組み込むことができる。そのようなセンサの一例は、頭蓋骨からの波動(例えばエコー)の反射のTOF測定によって、センサから頭蓋骨までの距離を測定する超音波送信機/受信機である。
【0232】
選択的に、頭部モールディング状態(図2において図示していないが)は、頭蓋骨距離センサを用いて膨張が発見されず、わずかな子宮頸管の開大に対して異常な頭部位置が見られるならば決定される。
【0233】
[子宮頸管の開大の変動性による状態特定]
図4Aは、2つのグラフ400と402を示す。グラフ400は、複数の測定値から決定されるような、出産プロセスの進行の関数としての子宮頸管の開大の変動性を示す。グラフ402は、頭部の下降の変動性に関して、対応する測定値を示す。両方のグラフは、センチメートル単位である。活動段階より前の部分は推定であるが、グラフ400は測定値に基づいている。子宮頸管は、頭部退出後、サイズの変化を続ける可能性がある。幾つかの実施形態では、その後の変化をより理解するために、CDは、頭部退出後、ゼロに対し再参照される(又は設定される)。例えば肩の通過を検知するための継続した分析を続けてもよい。図4Aは、実際にモニタされた数十の出産に基づいている。選択的に、図4Aにおける2つのグラフは1つのグラフに結合される。それは、HSの変動性の関数としてのCDの変動性のグラフである。以下に説明するように、変動性を測定する及び/又は標準化する異なる方法を用いることができる。選択的に、例えば、変動性は、ピーク振幅検知(P)によって測定され、その後、P/Tを計算する(Tはピーク間の時間)。選択的に、比P/Tは、幾つかのピークにわたって、例えば4つのピークにわたって、平均化され、或いは代替的に、ある時間間隔にわたって、例えば10分間で、平均化される。一般に、変化量は、時間フレーム上で又はイベントフレーム上でカウント可能である。本発明の典型的な実施形態においては、医師が興味をもつパラメータは、最後の10又は5つの子宮収縮、又は例えば直近の30分か20分のもの、を用いて生成される。そのようなパラメータは、予測の判断材料として、又は分娩をより理解するために、使用し得る。
【0234】
子宮収縮中、子宮頸管の開大と頭部位置の双方の程度は、大幅に変化し得る。これらの変化は、種々のパラメータ、例えば、振幅の変化(CDでは最大2-3cm、HSでは最大3-4cm)、デューティファクタ(例えば、時間振幅の割合が0.25cmより大きい)、反復、上昇及び落下時間、及び/又は比率、また他の記録されたイベント(例えば子宮内圧、FHR、TOCOなど)との同時発生、によって特徴付けることが可能である。しかしながら、発明者は、分娩における種々の状態と明らかに相互関連する振幅の変動性におけるパターンを特定した。デューティファクタの計算において他のしきい値を選択することができる。例えば、最大値の25%に対して25%しきい値が設定される。子宮収縮は、各収縮間において、休息期間がなく(低い振幅の期間はあるが)、連続的にサイクルすることが可能であるので、選択されたしきい値のタイプは、計算されたデューティファクタに影響を与える可能性がある。
【0235】
本明細書中で用いられているように、変動性は、ベースラインとして用いられる長期間の傾向と比較して、短期間における値の変化を意味する。例えば、子宮収縮中、CDは変化する。この変化は、一時的に平均化されたCDの値(たとえ不均一なレートにおいて増加しなくても、うまくいけば定期的に増加する)と比較することができる。本明細書中で用いられる値は、一般に、センチメートル単位で提供され、幾つかの子宮収縮に対して標準化された又は平均化された効果をもつ。変動性は、その結果、短期間にわたる平均値とその期間にわたる変化を比較することによって、定義することができる。正確な典型的な方式を以下に記載する。
【0236】
「活動段階」において、「加速段階」は、子宮頸管の活性及び頭部の下降の増加と関係がある(ピーク振幅の変化の範囲は5-10mmであり、3-5分ごとに繰り返される)。これは、変動性の増加として見ることができる。代替的に又は追加的に、上述のように、上昇率と下降率の間の非対称性は、明らかに、最大傾きにおけるものよりも小さい。患者によっては、それはさらに大きい場合がある。また、上述のように、娩出の子宮収縮において、場合によっては、上昇率と下降率の間においてより高い対称性が見られる。
【0237】
子宮頸管の開大の変動性は増加し、「最大傾き段階」(例えば変動1-3cm)の間にその最大値に近づく。それに対して、同時に起こる増加は、より小さい範囲に対してであるが(例えば0.5-1.5cm)、頭部位置の変動において観測される。「減速段階」は、CDの変動性の激減によって特徴付けられる。その一方で、HSの変動性は、「骨盤区分」及び分娩の至るところで増加し続ける。正確な変動性の値は、例えば、人口統計的な、胎児の大きさ、胎児の形状、胎児の胎位、出産回数、出産パターン、体型、及び/又は特定患者の性質に対して、変化し依存し得る。
【0238】
「潜伏段階」中、測定値は取得されなかった。しかしながら、子宮収縮は、通常、子宮頸管の開大(数ミリメートル)の軽微な変化しか引き起こさないか、変化を生じさせず、頭部位置への影響は無視できると仮定される。場合によっては、頭部が相対的に高ければ(「浮動」)及び産道になければ、頭部の下降は「準備区分」の間中は定義されない。場合によっては、しかしながら、頭部が高いとき、頭部が子宮頸管に到達するくらいの時間までは、収縮に対して強く反応する。そのポイントにおいては、変動性は激減するであろう。場合によっては、頭部は、潜伏段階においてさえ、産道に嵌入する。しかしながら、場合によっては、潜伏段階の子宮収縮が概して弱く且つ頻度が少ないために、HSの変動性は、その中で、小さい状態が維持されることが予測される。
【0239】
したがって、多くの場合には、「頭部対子宮頸管」状態(開大区分)の開始は、非常に低い又は皆無であるCD及びHSの変動性で特徴付けられ、その後、子宮頸管の収縮がより効果的になるにつれて、双方の変動性がより高くなる状態へ進む。
【0240】
HSの変動性が予測された増加を示さないことは、分娩進行不全(222)を示唆する。その場合、異常な状況のフラグを立たせることができる。正確に異常な状況は、例えば、分娩の段階及び/又は他の測定されたパラメータに基づいて特定可能である。
【0241】
本発明の典型的な実施形態においては、以下の実際の状況を用いて進行が欠如している状態を決定する。その状況とは、かなり大きいCDの変動性(1-2cm)、かなり大きいHSの変動性(0.5-1.5cm)、正味の進行がほとんどない又は全く無いこと(0.3cm未満)、1時間の間の頻繁な収縮(10分当り3回)である。
【0242】
本発明の典型的な実施形態においては、CD及び/又はHSにおける短期間の一時的な変化量(例えば変動性)、及び/又は他の幾何学的パラメータを用いて、基準を調整し及び/又は定める。その基準により、正常に機能しない一連の分娩の状態を定義する。選択的に、40、20、又は10秒の時間分解能、及び3mmまたはそれよりも高い空間分解能を用いて、個々の子宮収縮の前、最中、及び/又は後の影響を特徴付ける。これらの特性は、種々の統計学的なパラメータ、例えば、分散、平均値、継続時間、反復、上昇及び落下時間、及び/又はTOCO/IUPとの同期化、の観点から表現することができる。本発明の典型的な実施形態においては、10分の周期で、20秒ごとに、位置がサンプリングされる。他方、例えば、40秒ごとに又は1分ごとというように、データ獲得の度合いを遅くして同様に用いることができる。他のサンプリング周期、例えば5分又は15分も同様に使用可能である。
【0243】
なお、本発明の典型的な実施形態においては、児頭及び/又は他の子宮頸管の部分に対する子宮頸管の初期位置の絶対的な情報なしで、変動性の情報が使用される。結果として、幾つかの実施形態は、センサの数を減らすことができる(例えば1つの子宮頸管センサのみで変動性を測定する)。すなわち、それは較正ステージの少なくとも幾つかをなしで済ませるためになされる。特に、ゆっくり生じるドリフト、又は動作による突然の変化は、中程度の期間(例えば、10秒よりも長く、30分よりも短い)にわたって変化量を測定することによって、無視することができる。
【0244】
本発明の典型的な実施形態においては、その後のプロセスの1つを用いて、頭部位置及び/又は子宮頸管の開大の変動性と変化を抽出する。
【0245】
一例を挙げると、幾何学的な又は生理学的なパラメータのうちの1つの測定信号(例えば、頭部位置又は子宮頸管の開大)が得られる。その後、平滑化のために、その信号に対して、10秒のウィンドウで中央値フィルタリングが選択的に実行される。その後、平滑化された信号が微分される。選択的に、生理学的な推論に基づいて、例えば率の変化に基づいて、アーチファクトが取り除かれる。選択的に、中央値フィルタリングに関するしきい値は、出産の状態によって決まる。また、アーチファクトは、微分の前に、又は積分の後に、取り除かれてもよい。その後、信号は、再び積分される。選択的に、ベースラインは、元の状態に戻らない。
【0246】
短期間の曲線は、その後、選択的に、40秒のウィンドウを用いて中央値フィルタリングによって生成される。ベースラインは、選択的に、ランクフィルタ、例えば、フィルタされているウィンドウ(例えば3分のウィンドウ)における25%の値を選定する25%中央値フィルタ、を用いて生成される。より短い或いはより長いウィンドウを用いることができる。しかしながら、このウィンドウサイズは、概して、少なくとも1つの子宮収縮及び少なくとも1つの休息期間を含むであろう。子宮収縮は典型的に1分から1.5分よりも短く、また、収縮間の休息期間は典型的に同様のサイズである(デューティファクタが50%未満において)。したがって、このウィンドウサイズは、25%のランクフィルタを用いて休息期間を検知することを保証することができる。25%ランクを選定するよりもむしろ、他のランク、例えば20%や30%を使用してもよい。当然ながら、ベースラインは、概して、進行を示す。短期間の曲線からベースラインを引くと、子宮収縮パターンとなるであろう。選択的に、例えば生理学的な推論に基づく、追加的なフィルタリングが実行される。一例を挙げれば、持続時間中(選択的に、例えばCD又はHSの変化が0.25cmであるような影響におけるしきい値をもつ)、2.5分よりも大きな子宮収縮が検知される。なお、スカラー値が処理されるものとされているが、より高い次元のデータ、例えば児頭センサの3D空間位置、を同様に処理することができる。なお、ベースラインが構築されているにもかかわらず、このベースラインは、測定されるベースラインに一致していなくてもよい。
【0247】
他の方法においては、20秒の期間にわたって生データを平均化することによって、短期間のグラフを生成し、SNRを改善し、及び/又は、突然の移動と技術的な誤差に起因するアーチファクトを取り除く。各収縮は約50-60秒間続き、その結果、ハイパスフィルタ、例えば20秒間の移動平均、が収縮の効果を不明瞭にすることがないということに留意すべきである。未加工の測定値は、長周期傾向、例えば10分以上(例えば、活動段階におけるインターバル当り少なくとも2つの収縮)の期間における平均、を作り出すために平均化(例えば、移動ウィンドウ平均、中間値フィルタ、又は他のフィルタを用いて)される。この長期間の傾向は、以下のように、変動性の情報を得るための短期間のデータから引かれる。短期間の平均値から長期間の傾向を引くことは、CDとHSラインから正味の進行を除くことである。変量を定量する1つの方法は、収縮ラインの二乗平均平方根(RMS)を算出することによる。他の方法は、以下に述べる。統計的なモーメントの算出及び/又は分析は、当技術分野で既知の方法を用いて実行することができる。変動性の情報を得るために及び/又は分析するために使用可能な他の典型的な処理方法は、例えば、ウエーブレット解析又はスペクトル解析、また変動性ラインを特徴付けるための他のフィルタである。
【0248】
この抽出された情報は、例えば、上述のように、状態を決定するために使用することができる。代替的に又は追加的に、それは表示されてもよい。例えば、変動性は、時間の関数としてのCDの変動性、時間の関数としてのHSの変動性の個々のグラフ、及び/又は同一のグラフに結合して表示可能である。例えば、1つはその他の関数として重ね合わせ又は提供される。選択的に種々のマーキングされたガイド(例えば出産ステージに関するもの)を用いてもよい。この表示形式においては、出産状態に関して予測された値と比べた現在の変動性間及び/又は比率間のミスマッチは、手作業で簡単に識別することができる。選択的に、そのグラフは、他の表示、例えばTOCOやECGと一緒に示される。本発明の典型的な実施形態においては、状態に基づく表示が使用され、各状態において、値から標示が生成される。特定の例は、以下に述べる。
【0249】
[頭部対子宮頸管の状態のモニタリング]
図4Bは、子宮頸管の開大と頭部位置の間の既知の平均値の関係を示す。本発明の典型的な実施形態においては、同様の関係を用いて、分娩の区分を自動的に特定する。選択的に、その関係が考慮されている間、正確な数値及び/又は傾きは、定数として取り扱われない。患者間の変動性を考慮するためである。
【0250】
本発明の典型的な実施形態においては、頭部位置と子宮頸管の開大の関係を用いて、準備区分から開大区分(「頭部対子宮頸管」状態として、本発明の幾つかの実施形態に対して再定義及び変更される)までの推移を決定し、骨盤区分への推移を検知する。準備区分中において緩やかであるグラフの傾きは、「頭部対子宮頸管」状態への推移中、急速に増加する。それは、この状態においては、ほぼ線形のままあり、典型的に、経産婦と初妊婦の間にわずかな差を有する。骨盤区分への推移中(典型的に、図1の減速段階に対応する)、傾きは全開大においてゼロへと激減する。本発明の典型的な実施形態においては、そのグラフの形状(例えば、グラフ中の分岐点と比較的線形な傾きの区域)は、傾きの変化を決定するために、複数の測定値の統計的な処理により検知される。しかしながら、その決定は、平均的な分娩よりもむしろ特定の分娩に関係するので、これらの点は、選択的に、「標準のグラフ」上の点に関連することが期待されていない及び/又は拘束されていない。本発明の典型的な実施形態においては、その決定は、空間的に離れた比較的多数の点での同時測定によりなされ、それによって、状態が迅速に決定される。
【0251】
本発明の典型的な実施形態においては、患者に関して抽出されるような図4Bのグラフは、「頭部対子宮頸管」状態を追跡するために使用される。また、図4Bにおいて数値的な分析を実行することができる。例えば、グラフの傾きは、頭部に対する子宮頸管の追従性を示す。異常な追従性の値は、異常な状態を示し得る。
【0252】
なお、機能的な及び/又は測定可能な用語で定義されるので、「頭部対子宮頸管」状態は、従来技術で定義されている一般の「開大の区分」より有用であることに注意する。
【0253】
上述のように、図4Bと同様のグラフは、変動性にもとづくが、上述のような同様の方法に使用可能である。
【0254】
[データの統合]
本発明の典型的な実施形態においては、複数のソースからのデータは統合される。選択的に、そのソースは、少なくとも1つの幾何学的なデータソース(例えば位置センサにより提供される、例えばCDとHS)と少なくとも1つの生理学的なデータソース、例えば胎児心拍数、IUP、及び/又はTOCOからなる。また、例えば以下に述べるように、母体の生理学的な情報を用いることができる。
【0255】
図4Cは4つのデータソースのリアルタイム追跡を示す概略図であり、各データソースは胎児心拍数追跡430、IUP及び/又はTOCO追跡432、頭部位置追跡434、及び子宮頸管の開大追跡436である。典型的に、IUPは、薬剤が投与されるとすぐに、出産のいくつかのステージにおいてTOCOに代替される。現実の(測定された)追跡は、以下に示される。
【0256】
本発明の典型的な実施形態においては、複数のデータソースの表示は、複数の追跡が示されるように統合され、オペレータがそれらを手作業で分析する。代替的に又は追加的に、例えば、以下に示すように、悪い状態及び/又は危険な状況を決定するために、自動的な分析が実行される。選択的に、例えば、プリンタが組み込まれた標準の生理学的なモニタへそれらの追跡を伝達することによって、又は、モニタのソフトウエアを変更することによって、幾何学的なデータと生理学的なデータの両方の追跡が同じ紙面にプリントアウトされる。選択的に、そのプリントは要約データとしてであり、例えば、用紙に数インチごとにプリントされる。例えば、数値及び/又はグラフをプリント可能である。そのような小さなグラフは、例えば、過去の、現在の、予測される、及び/又は所望の値を示すことが可能である。代替的に又は追加的に、警告及び/又は状態の標示をプリント可能である。選択的に、生理学的なデータ(例えば、IUP、TOCO、FHR、及び/又は母体の情報)に加えて、以下の情報のうちの1つ以上がプリントされる。その情報は、CD、HS、及び/又はそのうちの1つ若しくは両方の変動性である。
【0257】
他のオプションの表示形式は、ヒストグラム状の表示である。その表示は、CDの値の範囲ごとに、CDの値の関数としてのピーク振幅の平均の変化を示す。場合によっては、ピーク振幅を表示することは、ピークの値又はピークの値の平均がデューティファクタの影響を無視するという点で、変動性の情報を示すことよりも効果的でない。
【0258】
ピーク振幅の平均の代わりに、他の情報を示してもよい。代替的に又は追加的に、別のスケール(一組のビン)、例えば頭部位置又は時間又は状態を、子宮頸管の開大の値の代わりに用いる。選択的に、ヒストグラムは、薬物の予測される効果を示す。いずれかの場合では、ヒストグラムは、予測される値を現実の値と比較するために使用することができる。本発明の典型的な実施形態においては、ヒストグラム又は他の簡潔なデータ表現方法は、比較的長期間、例えば1時間以上、又は2時間未満(例えば30分以上)、において収集された(及び選択的に処理された)データを示す。そのような時間の長さにおける生データは取り込むことが非常に困難である。分娩経過図は、簡潔であるが、患者自身の挙動と比較することができず(分解能が原因で)、又は、重要な情報、例えば変化量、を見ることができない、という点において簡潔すぎる。本発明の幾つかの実施形態においては、簡潔で統計的な表示が状態を検知する際に役立つということが予想される。
【0259】
ディスプレイ上でのデータの統合は、例えば、相互関係、傾向の決定、段階及び/又は波形の比較、及び/又は他の機能的な関係を含み得る。
【0260】
選択的に、幾何学的な及び生理学的な情報の相互関係を用いて、センサが適切に取り付けられているかを決定する。例えば、CDが大幅に変化している間の非常に低いTOCOは、おそらく、TOCOセンサが適切に取り付けられていないことを意味する。同様に、HSの変化なしでIUPが高ければ、胎児位置センサが接続されていない又は適切に読み取られていないことを意味している可能性がある。
【0261】
本発明の典型的な実施形態においては、TOCOの情報は、有効性及び他の子宮収縮パラメータをいつ測定したらよいかを定義するトリガーとして又はウィンドウとして用いられる。
【0262】
本発明の典型的な実施形態においては、胎児徐脈は、形状(geometry)と相互に関連しており、その重要性及び/又は考えられる原因を決定するのに役立つ。例えば、CDの減少後に持続する胎児の心臓の変化により、異常を示唆できる。同様に、胎児の酸素飽和度とCDやHSとの間の相互関係により、問題を示唆できる。
【0263】
本発明の典型的な実施形態においては、IUPは、形状(geometry)と相互に関連しており、胎児の危険な状態を決定する。例えば、IUPに関するHSの変化に対して、基準を設定することができる。例えば、もし、高いIUPがHSのどのような変化(又は小さな変化のみ)にも相互に関連しなければ、これは、児頭にかかる高い圧力を示している可能性がある。代替的に又は追加的に、そのような相互関連は、子宮収縮を強める又は弱めることによって分娩を遅延又は加速させることを目的としている薬物療法の効果を示している可能性がある。例えば、もし、形状(geometry)が変化せずにIUPが高くなれば、これは、薬物治療が実際に危険であろうということを示している。
【0264】
本発明の典型的な実施形態においては、母体の問題が診断される。例えば、IUP及び/又はCDの変化に関連する、血圧又は心拍数の変化は、母体の問題の指標となり得る。特定の例は、もしCDの変化量が一連の子宮収縮の間、血圧と共に低下すれば、これが母親が衰弱していることを示している可能性があるということである。これは、例えば、子宮収縮における種々のパラメータ、例えばその長さなど、に関連し得る。
【0265】
本発明の典型的な実施形態においては、IUPの値は、CDとHSの測定値をゲートとするために用いられる。例えば、IUPは、動きアーチファクトに対して感受性が低いと想定される。患者が歩いて、IUPのとおりに子宮収縮が開始するとき、HSとCDが測定される。選択的に、例えば、前もって指示を与えることにより、又は、リアルタイムでシステム100から音声信号を与えることにより、そような時間において動作を停止するように患者に要求する。
【0266】
本発明の典型的な実施形態においては、トリガーされた表示(triggered display)が示される。その表示は、例えば、IUP又はEMGにより検知されるような子宮収縮から開始する。選択的に、多数の子宮収縮が重ねられる。選択的に、それら子宮収縮の効果が重ねられる。選択的に、その効果は、例えば長さ及び/又は振幅について、標準化される。選択的に、変化量の範囲及び/又は他の統計的な情報は、例えば密度差として、示される。
【0267】
[子宮収縮の形状]
発明者は、子宮収縮の形状(例えば、幾何学的な結果及び/又は圧力値)が種々の目的のために分析され使用されることが可能であることを発見した。特に、後述のパラメータのうちの1つ以上は、興味深い。それらパラメータは、下降率、デューティファクタ、及び相対的な持続時間、及び/又は同時発生及び/又は圧力測定値(IUPやTOCO)と比較される幾何学的な測定値の位相の遅延又は胎児のバイタルサインの測定値(FHR及び/又はSpO2)である。また、周波数、収縮曲線の下の領域、及び振幅が加えられ又は代替される。本発明の典型的な実施形態においては、これらのパラメータの1つ以上について予測された基準値を用いて、異常な状態を検知し及び/又はアーチファクトを除去する。一般に、フィルタリングのために使用されるしきい値は、基準値に設定されず、より大きな値、例えば生理学的に可能性のある値に、設定される。一例として、幾つかの動きアーチファクトは、生理学的に不可能な上昇率を発生させる。他の例では、デューティファクタが0.1よりも低ければ、娩出の子宮収縮は明らかに異常である。
【0268】
本発明の典型的な実施形態においては、子宮収縮活性のグラフは、潜在的な子宮収縮を識別するために、0.25cmのしきい値を用いて作成される。子宮収縮活性は、10分間の移動平均を用い且つしきい値を越える値を合計している収縮曲線から推定される。得られた値は、0.5(通常の子宮収縮の最大のデューティファクタを示す)で割られた。場合によっては、例えば、数人の患者において比較的高いデューティファクタが見られれば、異なる標準化の値を用いる。なお、この活性パラメータは概して、子宮収縮の大きさと比率の双方に対して敏感である(最大の収縮長さが人々の間でかなり均一であると想定すると)。選択的に、子宮頸管の開大の変動性の値及び頭部位置の変動性の値は、状態を適正とするために、及び子宮の作用や効果を評価するために、使用される。典型的に、加速段階においては、CDの変動性については0.25cm-1.0cmの値が見られ、HSの変動性については0-0.75cmの値が見られる。選択的に、加速段階は、デューティファクタ(収縮持続時間と収縮間の間隔との間の比)が典型的に0.1-0.3の間であるその収縮曲線によって認識される。
【0269】
[子宮収縮の実用性のパラメータ]
本発明の典型的な実施形態においては、子宮収縮の「実用性」が評価される。例えば、後述の測定のうちの1つ以上を使用することができる。
(a)大きさ。これは、子宮収縮の仕事(又はエネルギー)量を示す。もし、小さい子宮収縮のみが見られるのであれば、患者がいまだ潜伏段階にあるということを示す。大きさは、例えば、IUPによって(例えば、長時間にわたって圧力を積分することによって、そして選択的にその値を標準化することによって)、推定することができる。また、EMG信号は、筋肉により実行される仕事量を推定するために使用され得る。
(b)有効性。これは、特定の子宮収縮がどの程度分娩を進行させたかを示す。例えば、子宮収縮後における子宮頸管の開大の変化である。本発明の典型的な実施形態においては、有効性は、分娩のステージに関係している。例えば、全開大に到達した後、さらなる子宮頸管の開大は期待されない。選択的に、分娩の進行に対して補正が行なわれる。例えば、各子宮頸管の開大の値に対する子宮頸管の開大の標準的な単位変化を示すためである。子宮頸管の開大が全開大に到達するにつれて、たとえ全ての子宮収縮の有効性が同一であっても、各収縮のより小さい正味の増加が予測される。同様の補正は、頭部位置に対しても提供可能である。選択的に、頭部位置の有効性は、子宮頸管の開大の有効性とは個別に測定される。代替的に、両測定は、1つの有効性の測定に結合される。選択的に、分娩における異なる部分ごとに、異なる有効性の値が予測される。選択的に、有効性のプロファイルは、出産全体として予測される。選択的に、分娩は、その期待される予測可能性に基づいて分類される。一例を挙げれば、変動性の変化が予測されている進行のグラフ(例えば図4A)と一致すれば、少なくともその幾つかの段階においては、分娩はより予測可能であるものとして留意される。選択的に、CDの変動性とHSの変動性の間の関係を使用して(例えば、ルックアップテーブル又はニューラルネットワークシステム又はルールベースシステムを用いて)、予測される進行率(c/hour)を生成する。選択的に、その進行は過去のパフォーマンスにも依存する。その関係は、標準化されてもよい。
【0270】
本発明の典型的な実施形態においては、種々の可能性のあるシナリオの下での分娩の進行の状態及び予測を示す、1つ以上の「CLM数(computerized labor management:コンピュータ化された分娩管理)」が提供される。これらの数字は、測定されたパラメータの関数を表現すことができる。例えばそのパラメータは、開大の下降と位置の振幅、比率、及び持続時間である。また、これらの数字は、パラメータ化を用いて或いは用いずに、パターン認識方法や他の方法で評価され得る。選択的に、考慮されるパラメータは、CDの変動性、HSの変動性、及びデューティファクタの全てを含む。
(c)効率性。これは、子宮収縮がどのくらい効率性があるかを示しており、また、大きさと有効性との間の比率として表現することができる。効率性の低下(例えば、予測されたプロファイルと比べて)は、異常な状況の指標となり得る。
(d)デューティファクタ。これは、子宮収縮がどのくらいの頻度であるか及び長さであるかを表す。最大のデューティファクタは生理学的な極限であるが、より低いデューティファクタは、出産状態及び/又は異常な若しくは非効率的な状況を示すために使用され得る。
(e)上昇/下降率。一般に、上昇率は、子宮収縮の強度と、組織及び/又は胎児の整合性との間の比率を示す。比率の低下は、効果的な/実用的な子宮収縮の低下を示している可能性がある。下降率(例えばCDの)を用いて、組織及び/又は胎児の弾性を示すことが可能である。例えば子宮頸管が展退する(より弾性が低い)かどうか、頭部の膨張があるかどうか(より弾性が低く、動きの範囲が大きい)を示すことが可能である。また、下降率(例えば圧力の)は、子宮の活性化の同期性の標示を提供することができる。もし下降がゆっくりであれば、これは、子宮の部分が順番が狂って収縮していることを示している可能性がある。また、上昇率の低下は、子宮の同期化の問題を示している可能性がある。
(f)種々の測定間の遅延(例えば、平均、上昇時、ピーク安定期時、下降中、及び/又は安静な期間)。それらの測定としては、例えば、圧力測定や幾何学的な測定である。また、その遅延は、例えば、その幾何学的な測定はすなわち幾何学的な測定の異なる形式間におけるものである。しきい値を越える所定の遅延は、異常な子宮収縮や作用を示す分裂を示し得る。例えば、圧力とHSの変化との間の長すぎる遅延は、児頭が停止していることを示し得る。逆に、もしHSの変化が圧力がピークに達するよりもずっと前に停止していれば、追加的な圧力が無駄になっている可能性がある。
(g)uEMG。本発明の典型的な実施形態においては、子宮の電気的な同期化を用いて、子宮内の収縮波が適切に進行しているかを評価する。本発明の典型的な実施形態においては、電気的な活動と結果との間の対応は、電気的な活動を変更することが必要とされるかどうか及び/又は変更が所望の効果を有するかどうかを示す。
【0271】
選択的に、これらの測定値は、値として及び/又は値の変化量として決定される。
【0272】
本発明の典型的な実施形態においては、収縮の有効性(値及び/又は変動性)が決定される。選択的に、幾何学的なセンサと他のセンサ(例えば、TOCOやIUP)のうちの1つ又は両方が収縮が進行中であることを示すときに、子宮収縮の有効性が測定される。
【0273】
本発明の典型的な実施形態においては、モニタされる対象は、IUPの関数としてのCDやHSの変動性である。一例を挙げると、薬物が滴定される際、uEMGやIUP/TOCO信号は筋肉への影響に対するフィードバックを提供することができ、一方で、HSの変動性及びCDの変動性は分娩の進行への影響を示す。
【0274】
本発明の典型的な実施形態においては、特定される対象は、最大スループット状態である。そして子宮がそのベストを尽くしているということが決定される。このポイントにおいて子宮を酷使することは、ダメージをもたらし及び/又は分娩の進行をより早くはしないであろう。本発明の典型的な実施形態においては、ひとたび、0.5cmを越えるCDの変化量のしきい値が見出され且つ50%に近いデューティファクタが検知されると、これは、子宮がピーク状態において機能しているということを示し、さらには、薬物の滴定が、分娩を進行させることなく、子宮収縮強度を増加させている可能性があるということを示している。いずれにせよ、子宮の働きが良くなると(たとえ分娩の進行がゆっくりでも)、出産が自然に継続するようにそのままにしておくことが望ましい。選択的に、ひとたび、このパフォーマンスが見られると(例えば、残りの進行を進行率で割ることによって)、進行率はより正確に推定され得る。なお、分娩経過図を用いることとは違なり、この特定はCDに依存しない。本発明の典型的な実施形態においては、薬物の滴定は、子宮の最大の有効性を有するこの状態に達するようにコントロールされる。
【0275】
また、患者に対して予測可能である傾きが最大である間、患者が最大傾き(CDの分娩経過図の)にあることを示すので、この状態は個人の最大傾きと呼ぶことができる。本発明の典型的な実施形態においては、計測器又は発光LED又は専用ディスプレイを含む装置が提供される。その装置は、最大傾き状態が近づいていることを示す(例えば、さらに、薬物が停止されるべきか又は減少されるべきかを示す)。そのように近づいていることは、例えば、一様に増加するデューティファクタ及び連続的にしきい値を越えるCDの変化によって、検知可能である。
【0276】
選択的に、子宮収縮の効率性は、収縮とHS(及び/又はCD)の正味の進行(δ)によってもたらされるCD及び/又はHS振幅の変化の関数として定義される。一例では、次の式δ/{sqrt(l+Dcd*l+Dhs)}が使用される。式中、DcdとDhsは、子宮収縮の間のCDとHSの変化を表す。
【0277】
選択的に、子宮収縮の有効性は、複数の収縮に対して及び/又はある期間に対して決定され(例えば、移動するウインドウの手法を用いて)、例えば、正常な又は異常な分娩プロセスの標示としての役目を果たす。子宮収縮の有効性の変化は、場合によっては、正常であり或いは問題を示す。選択的に、ベースラインの値は分娩のステージの関数として複数人の女性に対して測定され、実際の値がベースラインと比較される。
【0278】
選択的に、有効性の決定には、子宮収縮の1つ以上のパラメータ、例えば、幅、圧力(内部の又は外部の)、上昇率及び/又は下降率、ピーク持続時間、ピーク振幅、及び/又は曲線下の面積、が考慮される。
【0279】
本発明の典型的な実施形態においては、上述の測定値の変化の1つ以上の所望のパターンが提供される。一例では、そのパターンは、患者から収集される。例えば、それは、以前の出産について長期間のパターン(例えば1時間以上)で、及び、現在の出産について短時間のパターン(例えば10分又は20分)でなされる。選択的に、異なる状態は、異なる値及び/又はそれらの値に関係する式を有する。例えば、それは、子宮頸管の開大が変化しないことが予測されるステージに対して、及び/又は、頭部位置のかなりの変化が予測されるステージに対してである。選択的に、既知の「良い」又は「悪い」パターンとの一致は、オペレータに示される。
【0280】
[較正及び初期化]
本発明の典型的な実施形態においては、状態の決定は、システム100が分娩の未知のステージにおいて患者に取り付けられるときに、そのシステムの初期の較正を支援するために用いられる。一例を挙げると、ある期間にわたって収集されたCD及びHSの変化量のグラフは、分娩の状態を評価するために、予測された及び/又は平均のグラフとマッチングさせられる。代替的に又は追加的に、その状態は、幾何学的及び/又は生理学的な検討材料から特定され、モニタリングはそのポイントから続行される。選択的に、複数の現在の測定値を収集した後に履歴が推定される。例えば、頭部位置の変化を収集することができ、その後、較正が実行されると、その変化は空間に位置づけられる。
【0281】
選択的に、子宮頸管センサは、例えば、児頭を模倣するための既知の形状(geometry)を用いて、ハンドルに備えられたファントム又はセンサにより、較正される。選択的に、その較正は、センサのサイズ及び/又は位置を補正する。選択的に、目視検査がなされ、補正(例えば、子宮頸管の相対的な配置)の必要性を評価する。選択的に、子宮頸管における配置の方向は、子宮収縮中及び/又は収縮中のセンサの回転から推定される。本発明の典型的な実施形態においては、その開示が参照により本明細書中に組み込まれている、2004年11月29日に出願されたPCT/IL2004/001092において提案されているような較正が実行される。選択的に、その較正は、異なる体位ごとに異なる較正値を含む。代替的に又は追加的に、その較正は、CD及び/又はHSの突然の変化がなく、そのような突然の変化は移動またはそれと同様なものを原因とするというこを想定することを含む。それ故、測定された値は、継続するように拘束される(例えば、ベースラインCDの継続的な進行)。
【0282】
[子宮頸管の開大の補正]
図4Dは、医師により現在使用されている表示方法に一致させるための、実際に測定された子宮頸管の開大を補正する方法のフローチャートである。このフローチャートにおいては、HDは、NH3-(NC1+NC2)/2として計算される。ここで、NH3、NC1、NC2は、図3Gに示す仮想ラインからの距離である。HD0は、電極/センサの取り付け中のHDである。HDLTは、10分間のHDの長期間の移動平均である。CDLTは、10分の期間における、2つの子宮頸管センサの間の距離の長期間の移動平均である。ファクタは、経験的に0.7に設定されている。選択的に、HDは、子宮頸管プローブのレベルに対する、測定された頭部位置である。
【0283】
以上のように、補正は、選択的に、所定ポイント(例えばCDLT>6.5)の後にのみ適用され、選択的に、頭部位置に応じて異なって適用される。10cmにわたる開大の結果はいずれも、幾つかの実施においては、全開大と見なされるであろう。代替的に、その手順の開始において計算されたベースライン(NC1,0+NC2,0)/2と比較した距離(NC1+NC2)/2の減少は、CDの補正のために使用されるパラメータである。選択的に、子宮頸管上で単一のプローブを用いて、距離NC1のみが使用される。同様の方法では、補正は、異なるファクタに付随する所定のポイント(例えばCDLT>6.5)の後に適用されるであろう。当然ながら、これらの値は、その方法の範囲を変更せずに変化可能である。
【0284】
選択的に、子宮頸管の開大及び/又は頭部位置の値は、それらの値を補正する子宮収縮のために、それらの変動性を考慮することができる。例えば、収縮中の大幅な変化の存在下における開大に対する所定のファクタを加えることによってなされる。この補正は、指による触診を用いる人間によって報告される値に近い値をもたらし得ることが予想される。例えば、もし変動性が大きければ、子宮頸管がよりフレキシブルであるという理由で、人間は過大評価しがちになるであろう。
【0285】
場合によっては、子宮収縮中の子宮頸管の開大の変化と組織の一貫性及び/又は整合性との間に関係がある。子宮収縮により与えられた適用圧力の影響と人間の指により与えられた適用圧力との間に関係があるという仮定に基づいて、例えば、単に変動性だけではなく収縮強度もまた、測定された値に対するより良い補正を提供することができる。選択的に、実際に測定された値は、その表示時に医師(すなわち特定の医師)が報告したであろうことと一致するように補正される。選択的に、システム100は、個々のオフセット及び特異性を学習する(各CDにおいて、医師がどの程度強く指を広げたかなど)。
【0286】
本発明の典型的な実施形態においては、一貫性は、子宮頸管口の膨張の測定時に子宮頸管口に対し既知の圧力を適用することにより推定される。選択的に、そのような測定は、指による測定中に実行される。選択的に、圧力センサは、圧力を測定するために、医師の指に着けられる。代替的に、医師ごとに較正が行なわれてもよい。選択的に、子宮頸管を引き伸ばす装置が使用され、測定された膨張と結合されたときに一貫性を推定するために使用される
【0287】
本発明の典型的な実施形態においては、患者の形状(geometry)を補正する。例えば、肥満の人や小柄な人は、異なる基準の幾何学的なサイズ(例えば、補正が適用される場所における、予想される最大の子宮頸管の開大やしきい値)を持っている可能性がある。例えば、補正は、人口統計的な情報、以前の出産、指による測定、一貫性、及び/又は他の既知の若しくは推定された子宮頸管のパラメータに基づき得る。
【0288】
選択的に、CDは、プローブの間違った位置や子宮頸管の非対称な膨張の補償を含んでいる。一例を挙げると、複数のプローブのベクトルの動きを用いて、それらの相対的な位置を見積もる。なお、たとえCDの測定それ自体がなくても、全開大の検知は補正されるであろう。
【0289】
[幾何学的な変化]
本発明の典型的な実施形態においては、幾何学的で解剖学的な変化を用いて、状態の変化を検知する。
【0290】
一例を挙げると、上述のように、図3Cを参照して、子宮頸管口のリップ303と304は産道に対して平らに寝ている。リップのこの方向は、方向感知能力を有するセンサ102や104を用いて、検知可能である。
【0291】
他の例では、児頭302が子宮頸管を通り過ぎるとすぐに、子宮頸管は収縮することができる。この収縮は、場合によっては、検知可能であり、頭部の通過を示す。代替的に又は追加的に、子宮頸管の直径は、胎児の体が通っていくにつれて変化し得る。例えば、その直径は、両肩において増加し、胎児の骨盤が通りすぎると減少する。
【0292】
選択的に、子宮頸管の展退は、例えば、上述のように、子宮頸管の厚みを測定することによって検知される。
【0293】
[第二ステージにおける頭部位置]
図5から図7は、胎児の体位ごとに異なる出産メカニズムを示す。しかしながら、3つ全てに共通なことは、産道を通り過ぎる間、児頭302が回旋し及び伸長することである。各体位おいては、これらの方向の変化は異なって生じる。しかしながら、これらの方向の変化は、産道の形状(geometry)に影響する。
【0294】
本発明の典型的な実施形態においては、システム100は、方向の変化を追跡する。選択的に、複数の変化をマッチングさせ、予測される変化のパターンにそれらの順序をマッチングさせる。一例を挙げると、介護者は、胎児の体位がどのようであるかを示す(例えば、分娩前に又は全開大において)。その後、システム100は、その体位に基づく、予測される一組の状態を使用する。選択的に、予測される状態は、その状態に関するパラメータを含む。それらは、例えば、測定値に対して予測される値、頭部の回旋の予測される程度、及び/又は状態の予測される持続時間(又は場合によっては、最大の適度な持続時間)である。
【0295】
本発明の典型的な実施形態においては、児頭の位置は、患者間で異なる、数値的な用語でなく、機能的な用語、例えば「回旋嵌入前」、「屈曲前」、及び「屈曲後」で表現される。選択的に、児頭の位置及び/又は方向は、患者の骨盤の画像又はグラフ表示において示される。選択的に、予測される出産プロセスも同様に示される。一例を挙げると、一般的な表示は、母体の測定値にマッチングさせるために、幾何学的に修正される。
【0296】
種々の参照フレームを使用する典型的な表示は、2つ以上のプローブの「質量中心」である。選択的に、複数のプローブのうちの1つ、例えば、児頭プローブが中心とされる。この提示の形式は、ノイズ例えば、動きアーチファクトノイズ、を減少させる役目を果たすことができる。そのような表示は、図11Hに関して、後述される。
【0297】
選択的に、骨盤計測が使用され、骨及び/又は産道の幾何学的な表示を生成する。例えば、骨盤計測には、位置センサを用い、又は異なるイメージングシステム、例えば超音波、MRI、若しくはCTを用いる。選択的に、オペレータは、出産プロセス中に、この構造の予測される変化を明確にすることができる。選択的に、頭部位置及び/又は方向の情報は、そのような幾何学的な表示上に、及び/又は抽象的な表示上、例えば解剖学的なランドマークにマーキングされ且つ胎児の予測される経路を示すライン、に示される。
【0298】
選択的に、システム100は、また、例えば、子宮頸管の開大測定によって決定される児頭のサイズの推定値及び医用画像手法によって得られた母体の測定値を用いて、幾何学的なフィッティングの問題があるかどうかを確かめようと試みる。
【0299】
[時間の推定値]
選択的に、システム100は、未来の状態に対する又は出産(出産の準備)に対する時間の推定値を提供することができる。この場合、介護者の注意がより要求される。一例を挙げると、もし現在の出産が既知のパターンに一致すれば、その既知のパターンは分娩の第二ステージへ到達する時間を推定するために用いられる。選択的に、ニューラルネットワーク又は他の学習システムを用いて、そのような推定値を得る。他の例では、次の状態の開始時間の推定値は、そのようなメカニズムによって提供される。他の例では、有効性の測定値は、分娩の長さを推定するために用いられる。他の例では、CDの変化と進行は、子宮頸管の開大の比率を評価するために使用される。他の例では、少なくとも進行の速い分娩と進行の遅い分娩は区別される。
【0300】
選択的に、よりハイレベルの測定は、例えば、嵌入が生じるか否か、及び/又は、効率的な子宮収縮が頻繁であるかどうかというような、時間の推定のためにも使用される。
【0301】
[典型的なシステム]
図8A(部分的に上述されている)は、本発明の典型的な実施形態による、出産モニタリングシステム100の典型的な実装を示す概略図である。
【0302】
本発明の典型的な実施形態においては、システム100は、外部コントローラ101とオプションの外部参照センサ107を含み、それは、たとえば、上前腸骨棘(ASIS)に及び/又は恥骨(センサ106)の上に取り付けられて示されている。種々の取り付け方法を用いることができ、例えば、ステッカー108又はストラップがある。他の位置及び/又は取り付け方法も同様に使用可能である。選択的に、3つのセンサを使用し、三角形を作る。しかしながら、センサの数はより少なくてもよく、例えば、1つのセンサを用いて全開大及び/又は頭部位置を検知することができる。選択的に、このセンサは、腹の上に設置することができる。
【0303】
参照センサの典型的で代替的な位置は、例えば、母親120が固定されたベッドに取り付けられたセンサ110である。このセンサは、例えば、締め具121を用いて取り付けれらる。代替的に、例えば、センサ110は、背中のくぼみに取り付け可能であり、例えばストラップ112を用いて背骨に付けられる。
【0304】
選択的に、腹部の参照センサが用いられ、ASIS(上前腸骨棘)に機械的に付けられ、上述の幾つかの実施形態における参照として使用されてもよい。超音波イメージングは、選択的に、ASISとISLの相対的な位置及び/又は方向に関してシステム100を較正するために使用される。代替的に又は追加的に、例えば初期頭部位置の測定値に基いて、センサの測定値を用いて、較正がなされる。典型的なセンサのセットは、その開示が参照により本明細書中に組み込まれている、2004年11月29日に出願されたPCT/IL2004/001092に記載されている。
【0305】
上で指摘したように、出産の第二ステージの開始は、種々の方法で決定可能である。一例を挙げると、頭部の下降(309)は、児頭と子宮頸管口のリップ303及び304とを比較することにより決定される。BPDが通り過ぎるとすぐに、見ることができるものは子宮頸管口の収縮である。この方法の潜在的な利点は、興味(頂点通過)の相対的な動きを直接的に測定することである。他の潜在的な利点は、母体の動きが、この測定に影響を及ぼすことがないであろうことである。他の例では、子宮頸管の位置は、子宮頸管センサ(102、104)の位置を、坐骨棘(例えば、上前腸骨棘上のセンサを用いて)によって定義される面及び児頭センサ(105)と比較することによって決定される。代替的に、ASISのとげは、参照として使用される。他の方法は、CDの変動性の減少がHSの変動性の減少に付随しないかどうかを示すことである。
【0306】
選択的に、システム100は、傾斜センサを含み、又は、母体120全体における位置及び/又は腹部と足の相対的な位置を示す他のセンサを含む。本発明の典型的な実施形態においては、そのような標示は、患者が動くかどうかを見るために用いることができる。それによって、腹部の外部トランスデューサの相対的な位置を変化させ、結果として、収集された情報の幾つかが無視され又は補正されるようになる。選択的に、システム100は、患者の複数の位置に関する情報を用いて較正がなされる。それは、例えば、センサが取り付けられた後に、及び、傾斜又は位置の情報に基づいて異なって測定値が使用された後に、患者に位置を変えるようにさせることによってなされる。本発明の典型的な実施形態においては、システム100は、以前の測定の値が継続されるように、較正を補正する。例えば、子宮頸管の開大が10秒間に2cm成長し、収縮の間は成長しないと、特に潜在的な変化に関連して、センサの較正は新しい開大が20秒前と同一となるように変更される。
【0307】
本発明の典型的な実施形態においては、センサ102、104、及び105は、コントロールボックス109(例えば、ワイヤ111又はワイヤレス手段を用いている)に取り付けられた有線接続されたセンサである。コントロールボックス109は、選択的に、ステータスライト114を含む。選択的に、ステータスライト114は、例えば感知された値、例えば電気インピーダンス、音響インピーダンス、機械抵抗、光学的測定値、及び/又はECG等、に基づいて、又は上述のような生理学的な測定値を用いて、センサが正しく取り付けられているかを示す。選択的に、差別化がなされ、例えばECGを測定することにより(母親と胎児の違い)、母体の又は胎児の組織にセンサが取り付けられているかが確認される。代替的に又は追加的に、センサをボックス109及び/又はシステム100の残りの部分に取り付けるためにワイヤ111を用いるために、例えば当技術分野で既知の方法を用いるワイヤレス接続を使用することができる。
【0308】
選択的に、システム100は、コントローラ101がそのような機器の活動をコントロール及び/又はブロックできるように、薬品のポンプ103又は他の医療機器への付属品を含む。選択的に、システム100は、安全のために、及び/又は介護者への決定サポートシステム(例えば、アドバイスを与えることによって)として用いられる。
【0309】
選択的に、システム100は、例えばナースステーションや病院の医学的情報システムにおいてのユニットである、リモートユニット122への接続を含む。代替的に、システム100は、場合によっては病院に着く前に、母親が身に着けることができる。選択的に、携帯電話やPDAは、患者が病院に着く前に、例えば病院における、リモートユニット122へのリンクとして使用される。代替的に又は追加的に、有線接続及び/又はローカルなワイヤレス接続を用いることができる。
【0310】
位置及び/又は方向の情報は、望ましくは、内部及び外部のセンサによって得られるが、本発明の幾つかの実施形態では、複数のセンサのうちの幾つか若しくは全ての代わりに(例えば、それら複数のセンサは、使用されれば、選択的にマーカーとしての役目を果たす)、医用画像機器、例えば超音波撮像装置、光学撮像装置、又はMRI撮像装置などを用いる。
【0311】
さらに、位置の決定に使用されるセンサは、当技術分野で既知の多くの形式のものであり、例えば、光磁気、超音波、及び/又は、例えば、伝達し、受信し、反射し、及び/又はフィールド変更である。
【0312】
[利用例]
図9Aは、本発明の典型的な実施形態による、(通常の)分娩における1つ以上の状態を自動的に特定するフローチャート900である。
【0313】
902においては、1つ以上の位置センシングプローブが、選択的に、子宮頸管口に取り付けられる。図8Bは、子宮頸管口へのそのようなセンサ102及び104の取り付けを示す、解剖学的な断面図である。
【0314】
904では、1つ以上の参照プローブ/センサが、選択的に、母体120(図8Aの106)、及び/又は児頭302(図8Aの105)に取り付けられる。
【0315】
906では、分娩中のどれだけ早い時期に複数のセンサが取り付けられているかに応じて、小さい開大の変化及び/又は頭部位置の変化が、選択的に、検知される。これらは、潜伏段階及び/又は活動段階の開始を推定するために使用することができる。代替的に、他の分娩モニタリング活動を提供することができる。それは、この時間において及び/又は分娩の残りの間、例えば、均一性、機械的活性、及び/又は収縮の強度を決定する及び/又は胎児の信号のモニタリングである。選択的に、子宮頸管の開大(CD)の変化及び頭部位置(HS)の変化は、「収縮活動」という1つの測定に組み合わされる。
【0316】
908では、子宮頸管口の直径の穏やかな変化の開始、頭部の下降の変化、CDと臨界値を越えるHSとの関係、及び/又は増加した収縮活動は、選択的に、加速段階の開始を推定するために使用される(特に、早期の小さい直径の変化と比較して)。
【0317】
910では、子宮頸管の開大及び/又は頭部位置の変化を追跡する通常の分娩モニタリングが、選択的に、実行される。
【0318】
911では、以下のうちの1つ以上を用いて、最大傾きの段階を検知する。それらは、頭部の下降の大きな変化を伴う子宮頸管の直径の大きな変化、高収縮活動、及び/又は、CDとHSの関係の傾きが安定しており所定の値を超えていることである。本発明の典型的な実施形態においては、最大傾きの段階中、進行が正規のものであることを決定するためにモニタリングが継続される。もし、正規の進行が停止し、全開大に到達する標示がなければ、異常な状態が検知される。
【0319】
912では、減速段階が検知される。選択的に、これは、開大率の遅延、頭部位置の変化の変動性の減少を伴わない子宮頸管の直径の変動性の激減、及び/又はCDとHSの関係の激減、を決定することによって検知される。代替的に又は追加的に、内部形状(geometry)の変化、例えば上述のような子宮頸管のリップ303と304の移動は、そのような決定のために使用できる。
【0320】
914では、全開大と、分娩の第二ステージへの推移は、選択的に、児頭を覆って頂上に達する子宮頸管口により検知される。さらに、子宮収縮中の頭部の下降の変化の増加、及び/又は、胎児センサ105の他の配置の変化により検知される。幾つかの実施形態では、HSや他のパラメータにおける1cm以上の変動は、この推移の特徴として使用される。
【0321】
915では、胎児の体位は、方向センサの情報から又は撮像装置を用いて、例えば手作業で決定される。これは、最近の状態における予測を修正するために使用可能である。
【0322】
916では、児頭の嵌入、内回旋、及びさらなる伸展は、進んだ実際の距離又は体の構造に対する位置のみよりもむしろ、児頭の回旋に基づいて、選択的に決定される。選択的に、決定された各位置は、分娩前又は分娩初期よりも前に推定されているので、その位置における児頭の予測された位置及び/又は方向と比較される。
【0323】
918では、1つ以上のさらなる体の部位が子宮頸管口を通過したことは、選択的に、子宮頸管の開大の変化に基づいて決定される。
【0324】
本発明の典型的な実施形態においては、通常の又は異常な状態が検知されるとき、予測されたさらなる状態のセットが決定され、オペレータに表示される。この方法では、時間及び/又は複雑さの推定値及び/又は必要とされる装置が提供され得る。
【0325】
本発明の典型的な実施形態においては、オペレータが治療プロトコルを適用することを計画しているとき、システムは、予測される測定値及び/又は状態、例えば、予測されたデューティファクタ、予測される上昇時間、及び/又は収縮の振幅、を変更する。選択的に、例えば、有効性の決定がなされるとき及び/又は進行の欠如や異常な状況が検知されるとき(例えば、自動的に)、そのシステムは治療を追跡し標示を生成する。選択的に、患者からのデータは、リアルタイムで、患者のいる部屋、部門、及び/又は病院の外の場所に流され、遠隔医療診断、モニタリング、及び/又は別の医師の診断の供給のために使用される。選択的に、このデータは主治医に流され、その医師は到着(arrive)すべき時間を見積もることができる。
【0326】
[異常な状態]
状態ベースのアプローチにより、種々の異常な状態を検知することができる。それらの幾つかは上述されている。
【0327】
一例を挙げると、児頭の進行不全は、選択的に、収縮中の頭部の動きに付随しないCDの大きな変化によって観測することができる。一般に、頭部位置の変化及び/又は子宮頸管の開大を変化させる子宮収縮に応じた前進のミスマッチは、疑わしいものと見なされ得る。また、CDの変動性(Vcd)とHSの変動性(Vhs)の間のミスマッチ、すなわちCDの変化なしでの頭部位置の進行、は疑わしものと認められ得る。本発明の典型的な実施形態においては、そのようなミスマッチは、例えば、20分、10分、又はそれ未満という、短時間で決定される。
【0328】
他の例では、顕著であるが正味のHSとCDの進行を伴わないVcdとVhsは、進行していないことを示す可能性がある。
【0329】
他の例では、顕著であり、ほんの僅かな又は皆無のVcdやVhsを伴うTOCO及び/又はIUPは有効性に乏しいので、薬物ベースの調整が示唆されてもよい。
【0330】
他の例では、子宮頸管の開大の変化、例えば、頭部位置の及び/又はTOCO測定値の変化を用いて、適切な/効果的な子宮収縮を定義する。不適切な子宮収縮の検知は、選択的に、例えば赤ちゃんの停止のような障害の診断を支援するために使用される。
【0331】
本発明の典型的な実施形態においては、生理学的な測定情報の相関関係或いは非相関関係と、システム100により収集される情報とは、異常な状態を検知するために使用される。一例を挙げると、HSの位相及び/又は子宮収縮中の変化(例えば上昇時間、落下時間、持続時間など)は、他のイベント(TOCO、IUP、又はお互いに)に遅れをとり又はそれよりも前に現れる。他の例では、子宮収縮中のCD及びHSの変化は、徐脈の原因を決定するためのFHRと相互に関連する。
【0332】
本発明の幾つかの実施形態の特定の特徴は、例えばCDの変化に基づいて、進行を正常に処理する標示を生成することである。
【0333】
図9Bは、問題のある出産のタイムラインを示す。0時間では、潜伏状態が存在している。8時間では、活動段階が検知される。10時間では、頭部位置が前進しなかった。11時間では、頭部位置が未だ前進せず、変化量の小さい状態が維持されているとき、ピトシンが投与された。11.25時間では、増加した変化量とCDが変化しなかった間に、ピトシンがさらに投与された。11.75時間では、患者が今現在手術室に送られるべきであるように、HSとCDは進行せず、進行不全が診断された。「標準」プロトコルにおいては、薬物の有効性の欠如の明らかな標示が利用可能でないので、医師は、進行不全を決定するためにあと数時間待つであろう。
【0334】
[実験結果]
図11Aから図11Gは、本発明の典型的な実施形態によりモニタされた分娩ケースについての追跡及び分析を示す。
【0335】
図11Aは、通常の出産において、本発明の典型的な実施形態による、個人化された分娩経過図1100を示す。参照1102は、頭部位置を示す。参照1104は、「補正された」子宮頸管の開大を示す。参照1106は、実際の子宮頸管の開大を示す。参照1108は、1104と1106により示されるような平均というよりはむしろ、実際の(分ごとではない(not second by second))子宮頸管の開大の測定値の20秒間にわたる短期間の平均を示す。参照1110は、頭部位置の測定値の平均というよりはむしろ、20秒間にわたる短期間の平均を示す。参照1112と同様のダイアモンドマーカは、頭部位置の実際の指による測定値を示し、参照1114と同様の円マーカは、子宮頸管の開大の実際の指による測定値である。三角マーカは、処理の開始における、頭部位置の手作業の較正値を示す。
【0336】
図11Bは、正常に進行した現実の出産に関する典型的な追跡を示す。グラフ1120は、上側の追跡がFHRであり、下側の追跡がTOCO/IUPである。左側のスケールは、50と200BPMの間の範囲である胎児心拍数である。右側のスケールは、(IUPについての)単位mmHg及びTOCOについては無次元である。ピトシンの投与は、13:07において示されている。グラフ1122は、上側の追跡がHSの変化を示しており、下側の追跡がCDの変化を示している。全開大の後、CDの変化はゼロに設定される。ここに、左側のスケールはCDの変化であってcm単位であり、左側のスケールはHSの変化であってcm単位である。グラフ1124は、その上側の追跡はHSの進行を示しており、その下側の追跡はCDの進行を示している。全開大に到達するとすぐに、CDは10cmにクランプされる。ここで、左側のスケールはCDであってcm単位であり、右側のスケールはHSであってcm単位である。このグラフは、図11Aに対応する。なお、図11Aにおいて見られるアーチファクトに起因する幾つかの急な変化は、上述のように、グラフ1122において除去されている。
【0337】
図11Cは、変化量のRMS値を示す。明らかなように、頭部位置の変化(1130)は、次第に増加し、子宮頸管の開大の変化(1132)は、図4Aに示されるように、段階的なプロファイルで増加する。
【0338】
図11Dは、上述に記載の代替的な方法を用いて算出された変動性を示す。その中では、HSの変動性は図11Cに対して反転されている。
【0339】
図11Bに戻って参照すると、示されていないが、状態情報、例えば現在の状態と予測された及び/又は許容された値をその追跡上に示すことが可能である。現在の時間を示す移動ウインドウが選択的に提供される。
【0340】
図11Eは、図11Bの30分の一時的なセクションの拡大である(また、図11Eの底部のトレースにおいて示されている)。その中で詳細(例えばCDやHSの上昇率や下降率)を見ることができる。好ましい表示は、分娩室で一般に使用されるストリップチャートの速度1cm/minに近い。強いグリッドラインは、選択的に、5分ごとに示され、弱いグリッドラインは、毎分示される。
【0341】
図11Bに戻って参照すると、進入時において、そこでは、子宮頸管の開大が低く(5cm)、頭部位置が低い(-2cm)。明らかなように、各子宮収縮は遠く離れている。頭部の動きによっては、幾つかの子宮収縮と関連して見られることが可能である。各子宮収縮はかなり遠く離れているが、収縮間の時間は実際にはCDの追跡における安定期ではないことがわかる(TOCOの追跡は通常しきい値とされていないが)。増加した開大、増加した収縮頻度と収縮変化は、次の時間において見られる。
【0342】
分娩のさらなる進行に伴って、頭部の移動と収縮との間の同期化、及び、実質上連続的な収縮動作が見られる。全開大に近づくと、子宮頸管の開大の変化量は小さくなり、一方で、頭部位置の変化量は増加を続ける。第二ステージでは、頭部のステーションが正である間、頭部位置の変化はさらに増加若しくは同じ状態を維持する。正常な出産となる。
【0343】
図11Fは、CSをもたらす出産である図11Bの追跡と同様な追跡を示す。
【0344】
余白は、患者が仰向けになっていなかった場合であるため、測定値が得られなかった。明らかなように、いずれのパラメータにおいても進行がない。
【0345】
変化が示されている図11Dに対応する図11Gを参照するが、HS又はCSの変化量の進展がないことを示す。本発明の典型的な実施形態によれば、正規のHS及びCDの変化を有する正規の子宮収縮(例えば10分ごとに>3)はすぐに分娩の進行をもたらすことが想定されるであろう。そのような進行の欠如は、停止状態を示すために考慮され、Cセクションが示される可能性がある。正規の及び効果的な子宮の収縮のために、ピトシンは推奨されないであろう。実際には、TOCOは、12:00においてIUPに代替され、12:53においてピトシンが投与された。ピトシンは、分娩の進行に影響を及ぼさなかった。場合により、IUPによって明らかである高血圧(hypertonos)(或いは破傷風)を引き起こした可能性がある。胎児仮死が検知されたとき、Cセクションが実行された。
【0346】
上述の方法の使用は、(a)進行の欠如が明らかとなる約10分又は30分という短期間内で、下に横たわる原因を決定しようとする試みのために時間を与え、及び/又は、(b)恐らく分娩の速度が遅くなるということを除いて薬物の投与が必要ない、ことを場合によっては明確にするであろう。
【0347】
図11Hから図11Lは、図11Aから図11Eからのデータの3次元表示を示す。
【0348】
図11Hは、3つのセンサの相対位置を示す、重力中心の3D表示である。それらセンサは、2つの子宮頸管センサと1つの頭部センサ(中央にある)とからなる。その表示は、3つのセンサの重力中心に集中されている。また、2つの三角形が示されている。それらは、各結合点が同じ時間フレームにある。1つの三角形は、頂点前の状態においてそれらの点を接続する。その他は、全開大の状態における各点を示す。児頭に対する子宮頸管の顕著な動作は、この表示において明らかである。この動作は、全開大までの比較的小さな動作量と比較可能である。
【0349】
図11Iは、骨盤概略表示(患者に対する補正なし)に関連した、出産中の頭部センサの動きを示す斜視図である。
【0350】
図11Jは、頭部位置と状態の間の対応を示す側面図(患者の側面)である。ベクトルの運動量及び変化量は、明らかに、幾つかの状態において見ることができるものである。
【0351】
図11Kは図11Jに対応すると共に上面図である。
【0352】
図11Lは、図11Jに対応すると共に正面図である。
【0353】
[システムの追加的で典型的な使用]
また、システム100は、例えば、出産全体をモニタリングするよりも不完全な使用である、他の使用も可能である。例えば、助産師が必要とされるときに、通知を発すること、出産が迫っているということを医師に警告することである(例えば、分娩プロセスが「迅速な」分娩に一致する)。
【0354】
選択的に、システム100は、半侵襲的な手順、例えばバキューム支援出産や鉗子支援出産、の間使用される。例えばオペレータが子宮収縮と連携することを助けるために及び/又は干渉を避けるために、収縮の存在、大きさ、及び/又は影響(例えば児頭ベクトル)をオペレータに提供可能である。
【0355】
本説明は頭位分娩に焦点を当てているが、選択的に、システムは、逆子出産をモニタするために使用される(例えば予測されたパラメータ値及び/又は状態の関連した変化と共に)。
【0356】
選択的に、システム100は、シフト変化及び/又はエキスパートに対するケースの提示をサポートするために使用される。一例を挙げると、システムは、履歴を見せることができる。他の例では、システムは、例えば、進行に関しての、そのようなエキスパートにより提示される種々の問いに答えることができる。代替的に又は追加的に、システムは、提案を示す及び/又は分析された情報を示す決定サポートシステムとして機能することができる。選択的に、システムは、オペレータにより許可されている情報(内部で生成される又は手作業でインプットされる)と許可されていない情報との間を区別する。
【0357】
本発明の典型的な実施形態においては、システム100は、文書化の信頼性ある方法と、担当スタッフによる認証とを提供する。選択的に、そのデータは、システムによりデジタル保存され、及び/又は21年の期間、確実にIT管理者のサイトによりセキュアな通信及び保存がなされる。選択的に、そのデータは、患者のプライバシーを維持するために暗号化されている。当技術分野において既知の認証方法は、注釈を許容するために及び/又は保存されているデータの閲覧のために提供されてもよい。そのデータから生成されるテンプレートと範囲は、選択的に、オープンに利用可能であり、患者の識別情報は含まない。しかし、他の情報、例えば人口統計的な情報、を含んでもよい。
【0358】
[特殊化した装置]
上述の説明では、一般的な目的の装置に焦点を当てた。しかしながら、本発明は、また、その幾つかの実施形態において、さらに専用の装置を包含する。
【0359】
図10は、本発明の典型的な実施形態による、第二ステージ検知装置1000の概略図である。装置1000は、子宮頸管口のリップに取り付けるためのアンカー1004(例えばセンサ102、104のようなもの)を含む頭部1002を備える。また、装置1000は、膣の外から到達させるのに十分に長い(例えば20cm以上)ボディ1006を備えると共に、複数のマーキング1008が付されている。
【0360】
児頭302の頂点通過は、装置1000の後退動作を引き起こすであろう。そして、マーキング1008のうちの1つ以上が産道の中へ消えることをもたらす。選択的に、プレースホルダ1010(破線で示す)がボディ1006に備えられており、可視のマーキングの正確な数を覚えておく必要がない。
【0361】
特定の実施形態においては、適切なマーキング及び/又はプレースホルダとともに、児頭の電極を用いる。選択的に、ボディ1006は、産道の内部で折り曲がらないように、また、実質上まっすぐとなるように(例えば産道の軸に沿って)十分硬く形成されている。
【0362】
2つのそのような装置1000を提供することによって、非対称の頂点通過を検知することができる。
【0363】
選択的に、例えば、電気的な接点の近接やインピーダンス変化に基づいて、装置1000にオーディオアラームが備えられる。選択的に、ボディ1006の近接した部分は、軸方向に動かないように、患者に(例えば患者の大腿部に)取り付け可能である(或いは軸方向に動いたときにアラームを発する)。
【0364】
選択的に、例えば、ボディ1006に適切なセンサ、その屈曲や回旋を感知するもの、を備えることにより、単一の装置を用いて、第二ステージへの入場と他の情報、例えば頭部回旋や屈曲、の両方を示す。
【0365】
上述の説明は人間の出産に焦点を当てているが、例えば、同様のシステムは、畜産業のために使用される。例えば、野外での動物の出産を追跡するために(例えば乳牛)、又は、高価な動物、例えばサラブレッド系統の馬など、の出産を追跡するために使用される。その数及び/又は大きさは、人間でない動物ごとに様々である。選択的に、埋め込まれたセンサと遠隔のベースとの通信のために、ワイヤレスの端綱(halter)が用いられる。その端綱は、内部のセンサに、有線又は無線で取り付けることができる。
【0366】
当然のことながら、上述で説明した分娩の管理及びモニタリングの方法は、多くの方法で変更可能である。それは、ステップの順序や使用されるセンサのタイプを変更することを含む。さらに、非常に多数の種々の特徴、すなわち方法におけるもの及び装置におけるもの、が記載される。幾つかの実施形態では、主として方法が記載されている。しかしながら、また、その方法を実行するために適合された装置が、本発明の範囲内において考慮される。当然ながら、異なる特徴を異なる方法で組み合わせてもよい。特に、特定の実施形態において上述に示された全ての特徴が、本発明の全ての同様の実施形態に必要であるというわけではない。さらに、上述の特徴の組合せは、また、本発明の幾つかの実施形態の範囲内において考慮される。また、本発明の範囲内には、単一の又は少数の測定を実行するために適した医療機器のセットを含むキットがある。また、その範囲内には、ハードウエア、ソフトウエア、及びコンピュータで読み込み可能なメディアが含まれる。そのメディアは、本明細書中に記載されたステップ、例えば信号処理や決定サポートなどを実行する及び/又は案内するために使用される、そのようなソフトウエア及び/又は他の手段(例えば標準のコンピュータ、ASIC、他のハードウエア、ソフトウエア、回路、アナログデバイス、デジタルデバイス、ファームウエア)を含む。特に、コントローラは、その方法を実行するように構成されている(例えば、製造されている、又はプログラムされている、又は別の方法で適合化されている)。セクションの頭出しは、ナビゲーションを支援するために提供され、必ずしもセクションのコンテンツを制限するものとは見なされるべきではない。特許請求の範囲において使用される、用語「含む(comprises)」、「含む(includes)」、「有する(have)」、及びそれらの活用形は、「含むがそれに限定されるものではない(including but not limited to)」ということを意味するものである。
【0367】
本発明がこれまでに説明されたことによっては制限されないということは当業者にとっても十分理解されるであろう。むしろ、本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ制限される。
【図面の簡単な説明】
【0368】
【図1】図1は、当技術分野で既知のものによる、出産の進行に関する、子宮頸管の開大を示すグラフである。
【図2A】図2(ページの関係上、図2Aと図2Bに分かれているが)は、出産プロセスの種々の状態を示す、3つのタイプの状態図であり、少なくともそのいくつかは、本発明の典型的な実施形態により特定される。
【図2B】図2(ページの関係上、図2Aと図2Bに分かれているが)は、出産プロセスの種々の状態を示す、3つのタイプの状態図であり、少なくともそのいくつかは、本発明の典型的な実施形態により特定される。
【図3A】図3Aは、開大中の、子宮頸管口と児頭の相対的な位置を示す概略図である。
【図3B】図3Bは、開大中の、子宮頸管口と児頭の相対的な位置を示す概略図である。
【図3C】図3Cは、全開大における、子宮頸管口に対する児頭の頂点通過を示す概略図である。
【図3D】図3Dは、出産プロセスの側断面図であり、頂点通過を示す。
【図3E】図3Eは、出産プロセスの側断面図であり、頂点通過を示す。
【図3F】図3Fは、本発明の幾つかの典型的な実施形態を実行するために有用な種々のランドマークを示す解剖学的な断面図である。
【図3G】図3Gは、本発明の典型的な実施形態による、ASISを結合しているライン形式の遠隔参照を用いた、子宮頸管と児頭の相対的な位置の抽出を示す概略図である。
【図4A】図4Aは、本発明の典型的な実施形態により使用されるような、子宮頸管の開大の変化量と頭部位置の変化量との間の対応を概略的に示す。
【図4B】図4Bは、本発明の典型的な実施形態により使用され得る、子宮頸管の開大と頭部位置の間の対応を示す。
【図4C】図4Cは、本発明の典型的な実施形態による、幾何学的な及び生理学的なセンサに関する同期した追跡を示す。
【図4D】図4Dは、本発明の典型的な実施形態による、子宮頸管の開大の測定値を変更する方法のフローチャートである。
【図5A】図5Aは、本発明の典型的な実施形態によりモニタされることが可能な、側面図であって、左後頭横位置についての分娩の通常のメカニズムを示す。
【図5B】図5Bは、本発明の典型的な実施形態によりモニタされることが可能な、側面図であって、左後頭横位置についての分娩の通常のメカニズムを示す。
【図5C】図5Cは、本発明の典型的な実施形態によりモニタされることが可能な、側面図であって、左後頭横位置についての分娩の通常のメカニズムを示す。
【図5D】図5Dは、本発明の典型的な実施形態によりモニタされることが可能な、側面図であって、左後頭横位置についての分娩の通常のメカニズムを示す。
【図6】図6は、本発明の典型的な実施形態によりモニタされることが可能な、側面図であって、前方後頭位についての分娩の通常のメカニズムを示す。
【図7A】図7Aは、本発明の典型的な実施形態によりモニタされることが可能な、側面図及び前面図であって、右後頭横位置についての分娩の通常のメカニズムを示す。
【図7B】図7Bは、本発明の典型的な実施形態によりモニタされることが可能な、側面図及び前面図であって、右後頭横位置についての分娩の通常のメカニズムを示す。
【図7C】図7Cは、本発明の典型的な実施形態によりモニタされることが可能な、側面図及び前面図であって、右後頭横位置についての分娩の通常のメカニズムを示す。
【図7D】図7Dは、本発明の典型的な実施形態によりモニタされることが可能な、側面図及び前面図であって、右後頭横位置についての分娩の通常のメカニズムを示す。
【図7E】図7Eは、本発明の典型的な実施形態によりモニタされることが可能な、側面図及び前面図であって、右後頭横位置についての分娩の通常のメカニズムを示す。
【図7F】図7Fは、本発明の典型的な実施形態によりモニタされることが可能な、側面図及び前面図であって、右後頭横位置についての分娩の通常のメカニズムを示す。
【図8A】図8Aは、本発明の典型的な実施形態による、患者に備えられた、典型的な出産モニタリングシステムを示す概略図である
【図8B】図8Bは、本発明の典型的な実施形態による、図8Aの実施形態における、内部のセンサの取り付けの詳細を示す概略図である。
【図9A】図9Aは、本発明の典型的な実施形態による、特定の典型的な通常の出産プロセスにおける、図8Aのシステムの典型的な使用方法のフローチャートである。
【図9B】図9Bは、本発明の典型的な実施形態により使用可能な、本明細書中に記載されたモニタリングシステムにおいて、典型的な異常な出産の進行のタイムチャートである。
【図10】図10は、本発明の典型的な実施形態による、第二ステージの検知装置を示す。
【図11A】図11Aは、本発明の典型的な実施形態による、第一の分娩ケースに関する追跡及び分析を示す。
【図11B】図11Bは、本発明の典型的な実施形態による、第一の分娩ケースに関する追跡及び分析を示す。
【図11C】図11Cは、本発明の典型的な実施形態による、第一の分娩ケースに関する追跡及び分析を示す。
【図11D】図11Dは、本発明の典型的な実施形態による、第一の分娩ケースに関する追跡及び分析を示す。
【図11E】図11Eは、本発明の典型的な実施形態による、第一の分娩ケースに関する追跡及び分析を示す。
【図11F】図11Fは、本発明の典型的な実施形態による、第一の分娩ケースに関する追跡及び分析を示す。
【図11G】図11Gは、本発明の典型的な実施形態による、第一の分娩ケースに関する追跡及び分析を示す。
【図11H】図11Hは、本発明の典型的な実施形態による、子宮頸管と頭部の動きの3次元表示の観測結果を示す。
【図11I】図11Iは、本発明の典型的な実施形態による、子宮頸管と頭部の動きの3次元表示の観測結果を示す。
【図11J】図11Jは、本発明の典型的な実施形態による、子宮頸管と頭部の動きの3次元表示の観測結果を示す。
【図11K】図11Kは、本発明の典型的な実施形態による、子宮頸管と頭部の動きの3次元表示の観測結果を示す。
【図11L】図11Lは、本発明の典型的な実施形態による、子宮頸管と頭部の動きの3次元表示の観測結果を示す。
【関連出願】
【0001】
本出願は、2004年4月7日出願の米国仮出願60/560,291の米国特許法119(e)によるものであり、その開示は参照により本明細書中に組み込まれている。また、本出願は、2004年11月29日出願のPCT/IL2004/001092の一部継続(continuation-in-part)であり、その開示は参照により本明細書中に組み込まれている。
【技術分野】
【0002】
本発明は、出産モニタリングの分野に関連する。
【背景技術】
【0003】
ほとんどの子供は普通分娩により生まれ、圧倒的多数の出産は、少なくとも西欧諸国では、医師及び/又は助産師の監視下で、病院内にて行われる。問題や合併症を特定し、これらの問題や合併症を克服するための治療を提案及び/又は実行するために、そしてもちろん母親及び/又は胎児へのダメージを阻止する又は減らすために、分娩の進行を見極めることが、分娩中における医療スタッフの主な関心事のうちの1つである。
【0004】
分娩の進行の標準的な管理には、参照として、「分娩経過図(partogram)」が用いられる。図1は、分娩経過図として知られている、平均値を示すグラフであって、推測によって、出産に関係する「理想的な」子宮頸管の開大と児頭の下降とを示す。この分娩経過図を最初に示し、この分野で著名な権威であるFriedmanによると、分娩プロセスは、生理学的な及び臨床的な重要性を有する段階(phase)及び区分(division)に細分化される。Friedmanは基準を定めた。その基準により、正常に機能しない一連の分娩の状況を、定義及び検知することができる。グラフは、通常の初妊婦の分娩(初出産の女性)に対する典型的な曲線を示している。また、経産婦の分娩(その後出産する女性)に対する同様のグラフ(不図示)も存在する。分娩の第一ステージは、子宮頸管口の開大により特徴付けられ、その開大は、最初、潜伏段階(latent phase)においては遅く、その後、児頭の下降を伴う活動段階(active phase)においてはより速くなる。子宮頸管口が完全に開大すると、出産の第二ステージ、すなわち産道に沿った胎児の移動、が始まる。
【0005】
第一ステージの活動段階において、Freidmanは、(a)子宮頸管の開大率が増加する加速段階、(b)開大率の傾きが最大となる段階、及び(c)開大が減速する段階、を示した(ある論文では、減速段階は存在せず、比較的安定して開大する、安定期段階(a plateau stage)と名付けられている)。活動的な分娩の開始は、一般に、子宮収縮の存在下で子宮頸管が3cmから4cm又はそれよりも大きく開大した場合に開始するものと定義されている。後述するように、これを利用することは、分娩の合併症を分類するのに役立つ。
【0006】
Friedmanは、3つの機能的な区分の概念、すなわち、準備の区分、開大の区分、及び骨盤の区分、を案出し、各区分の生理学的な対象(objectives)を説明した。しかしながら、1つの区分から次の区分への推移をモニタするためには、経験豊富な医師による、度重なる及び頻繁な手作業の動悸(manual palpitation)(後述)が必要となる。特に、例えば、骨盤の区分(腹部から骨盤への児頭の下降と、骨盤内における児頭の移動とを含む)は、減速段階の開始と、また、嵌入、屈曲、下降、内回旋(internal rotaion)、伸展、及び外回旋(external rotaion)を典型的に含むが、その骨盤の区分の開始を特定することは困難である。いずれにせよ、頻繁な手作業による振動(manual palpitation)は不快感を与えるだけではなく、時には、その患者に対する苦痛により、感染の危険性が増加し、医師又は他の付添人は途方もない時間を要求される(現在、分娩をやり遂げるのに費やされる時間と比べて)。
【0007】
分娩経過図は、分娩の進行の統計的な基準を示すが、ほとんどの出産はこの基準とは異なる。しかしながら、多くの合併症は、その基準からの際立った逸脱が生じるかどうかで、及び、一度生じることで、識別されることが可能であるのみである。さらに、分娩経過図は、分娩の進行/異常を別の方法で提供する可能性のある多くの変数を無視している。その開示が参照により本明細書中に組み込まれている米国特許6,423,016は、付加的な情報を統合して、現在の進行を分娩経過図と比較することを支援する及び現在の分娩のランク付けを支援する、決定サポートシステムを記載している。
【0008】
分娩の管理に一般に用いられる技術は、膣を通して挿入される2本の指による、手を使った子宮頸管の触診である。この触診は、子宮頸管の開大、子宮頸管の展退、組織の整合性(tissue consistency)、児頭の位置(station)及び姿勢(position)等のパラメータ(これらのうちの幾つかは一般には記録され文書化される)を見積もるために用いられる。さらに、例えば、モニタされた1つ以上のパラメータの変化率に基づいて、異常な状況を知らせることを助けるために、種々のルールが考案されてきた。また、手を使った触診を用いることで、例えば、児頭骨盤不均衡、骨盤の欠陥、不正軸進入、及び成形(molding)や産瘤等の児頭の形状の変化といった、種々の病状を直接的に見つけることができる。
【0009】
手を使った子宮頸管の触診には、いくつかの問題点がある。触診は、一般に、1時間から4時間に一回のみ為され、少なくともある程度は、主観的であり、不正確であって、また、観察者内および観察者間の誤差が非常に生じやすい。上述のように、膣の診察は一般的に不快であり、時には患者への苦痛であり、熟練したオペレータの存在が必要とされ、場合によっては、モニタされる患者に汚染をもたらす可能性がある。
【0010】
幾つかの刊行物には、身体を診察することなしに子宮頸管口の開大を機械的に及び自動的に測定できるように、子宮頸管口にセンサを取り付けることが提案されている。例えば、その開示が参照により本明細書中に組み込まれている、Ackerらに対する米国特許5,935,061は、子宮頸管口及び児頭に取り付けるための小さなワイヤレス位置センサを提案している。また、この出願は、ニューラルネットワークベースのシステムを使用して、そのワイヤレスセンサを用いて生成される位置信号と運動ベクトルを用いて、「後退収縮(retrograde contraction)」と「逸脱した胎児の姿勢(deviant fetal position)」を知り、その後検知することができることを提案している。
【0011】
分娩の第一ステージが完了するとすぐに、胎児は子宮から離れ始め、産道に沿って進む。産道に沿った児頭の下降の程度は、一般に、その産道に沿った「位置(station)」により特徴付けられる。また、現在は、骨盤の坐骨棘を結合するラインから児頭までの距離をセンチメートル単位で、実質上任意の方法で、数えられている。関連して生じうる手作業の方法によるデメリットを有しながらも、再度、これは手作業で見積もられる。
【0012】
活動的な分娩において種々の合併症が生じることが知られている。以下は、「ウィリアムズ産科学(Williams Obstetrics)」から抜粋されたものであって、幾つかの変更及び見解を付加している。
【0013】
Sokolらは、未経産の分娩のうちの25%が活動段階の異常により悪化し、一方で、経産(multigravidas)の分娩のうちこの問題が発現したのは15%であると報告した。確かに、活動段階の障害が分娩において最もよく目にする異常であることがわかる。Friedmanは、活動段階の問題を、遷延(protraction)障害と停止(arrest)障害とに細分化した。遷延は、子宮頸管の開大又は下降の遅速性として定義される。
a.未産婦に対しては、1.2cm/h未満の開大、又は1cm/h未満の下降
b.経産婦に対しては、1.5cm/h未満の開大、又は2cm/h未満の下降
【0014】
なお、遷延の検知は、定義のとおり、非常に長いプロセスであり、また、母親及び胎児に対して不要な問題/合併症を生じさせる可能性がある。
【0015】
停止は、開大又は下降の完全な停止である。開大の停止は子宮頸管の変化がない状態が2時間であるものとして定義され、下降の停止は胎児の下降がない状態が1時間であるものとして定義された。
【0016】
[異常な分娩(難産)]
児頭骨盤不均衡(CPD)−児頭の大きさと母体の骨盤の大きさと間の不均衡が原因で妨害されてしまう分娩である。そのような本物の児頭骨盤不均衡は稀であり、ほどんどの不均衡は、児頭の位置異常(屈曲された又は過度に伸ばされた頭部)、不正軸進入(横へ傾いた頭部)が原因である。本当に大きな頭部又は収縮した骨盤が原因となることはめったにない。CPDは、相対的なものであり、子宮の収縮不良の結果である場合が多い。全開大に到達した後に経膣分娩を達成する能力がないということは、より再発しやすいという理由で、本当の難産の重要な目印である。
【0017】
進行不全(failure to progress)−自発的な又は促された分娩において、これは効果のない分娩を示す。進行不全は、診断ではなく、観察結果である。
【0018】
活動段階の停止のうち80%において、不十分な子宮収縮(モンテビデオ単位で180未満)が診断された。しかしながら、遷延障害は、あまりよく説明されていない。おそらく、漠然としている緩やかな進行を診断する前に要求される時間間隔のせいである。その問題の性質のために、その解決は延期されている。世界保健機構(WHO)は、分娩管理のための「分娩経過図」を提案した。その中で、遷延は、最低4時間において子宮頸管の開大が1cm/h未満であるものとして定義されている。4時間は、分娩が正しく進んでいないことを発見することを待つ時間としては非常に長い。
【0019】
[過診断(over diagnosis)]
潜伏段階を含んでおり、そのため平坦となっており長い分娩を表現した、分娩の進行を示すグラフが難産の早期診断に誤って影響を与えてしまった、という主張がある。米国産科婦人科学会(ACOG)は、分娩の第一ステージ中に停止の診断がされる前に、これらの基準の双方が作成されるべきであると提案した。
(1)CD(Cervical dilatation:子宮頸管の開大)が4cm以上で潜伏段階は完了する。
(2)10分周期においてモンテビデオ単位200以上である子宮収縮のパターンは、子宮頸管の変化なしで存在する。
【0020】
硬膜外無痛は分娩の速度を遅くすることができる。
【0021】
不十分な子宮の活動は、異常な分娩の進行においてよく起こり且つ修正可能な原因である。
【0022】
潜伏段階中、子宮頸管は軟化及び展退を経るが、僅かに開大するのみである。この段階は、低刺激、短い持続時間、及び頻度が不定の子宮収縮により特徴付けられる。活動段階中、子宮頸管はより迅速に開大し、先進部が産道を通って下降する。下降は、しばしば、子宮頸管が全開大に到達する前に開始し、先進部が会陰に到達するまで進む。なお、このパターンは出産のモニタリングに対する基礎として利用されるが、実際には、患者間において、及び同一の患者における別の出産において、かなり変化しやすい。
【0023】
よく起こる治療のミスは、実際には患者は潜伏段階にあるのに、遷延(活動段階中にのみ関係する)があるものとしてその患者を診断してしまうことである。
【0024】
[子宮の機能不全]
子宮の機能不全には2つのタイプがある。
a.低張の子宮の機能不全−子宮収縮中の圧力の上昇が、子宮頸管を開大させるためには不十分である状態
b.低張の子宮の機能不全又は不調整の子宮の機能不全−基本的な口調が目につくほど高まっている又は圧力勾配が歪んでいるうちのいずれか一方。それらはおそらく、基底部よりも大きな力を有する子宮の中央部分の収縮により、又は、それぞれの角状突起において発生する刺激の完全な非同時性により、又はそれら2つの組合せによるものである。
【0025】
[マニュアル測定]
図1に戻ってさらに詳細に参照するが、以下は、典型的な出産プロセスにおいて、現在、図1のグラフに患者を当てはめるのに役立つように使用されている異なったマニュアル測定のリストである。丸括弧中の情報は、この情報が典型的に得られる段階を示している。
【0026】
[子宮頸管]
a)展退(主として潜伏段階における)
b)整合性(主として入場、すなわち潜伏段階における、柔軟さ)
c)先進部より下における、羊水を有する又は有さない膜組織の存在(主として入場中)
d)開大(わずかに潜伏段階における+主として活動段階における)
e)全開大(活動段階の最後)
f)収縮
g)子宮頸管における位置−児頭と子宮頸管口との関係は、後部、中間部、又は前部として分類される。後部の位置は、出産予定日より早い分娩を示唆する。
【0027】
[児頭]
a)先進部(入場)
b)位置=後頭位の診察−分娩の40%においては、胎児は左後頭横(LOT:left occiput transverse)向きで骨盤に入り、20%においては、右後頭横(ROT:right occiput transverse)で入り、20%においては、頭部が前方後頭位(LOA又はROA)で入り、20%においては、後方後頭位で入る。後方後頭位の場合、右(ROP)は左(LOP)よりも一般的である。
c)位置/下降−産道の中に入る先進部の下降の程度。指診で骨盤入口に到達することは困難であるため、検査をする人は坐骨棘を利用する。坐骨棘は、骨盤入口と骨盤出口との間の中間にあり、参照ポイントとして利用される(主として活動段階において)。
d)嵌入−大横径(BPD)、すなわち後頭位における児頭を横断する最大の直径、が骨盤入口を通る仕組み。これは、分娩前の数週間の間に、又は分娩の開始後に、生じる可能性がある。経産婦においては、通常、頭部は分娩前に嵌入しない。事実上、頭部の天頂部がステーション0又はそれ未満であれば、ほとんどの場合、頭部の嵌入が生じている(主として活動段階において、時々潜伏段階において)。
e)児頭の形状の変化−モールディング、産瘤(活動段階)。
f)不正軸進入−矢状縫合に関する頭部の横軸の、産道に対する非対称性。中程度の不正軸進入は普通のことだと見なされている。
g)屈曲−顎は胎児の胸部と近密に接触している。これは、通常、頭部の下降が抵抗を受けるとすぐに生じる(活動段階)。
h)内回旋−頭部の回旋は、異常に小さい胎児を除いて、分娩の完了には必須である。内回旋は常に頭部の下降と関係があり、通常は、頭部が坐骨棘のレベルに到達し、その結果嵌入する(活動段階)まで完遂されない。
i)伸展−内回旋後、激しく屈曲した頭部は会陰に到達し、その後、外陰部に到達する。頭部は基本的に伸展を経る(活動段階の最後、第二ステージ)。
j)外回旋(第二ステージ)。
k)娩出(第二ステージ)。
【0028】
[骨盤]
骨盤の構造(入口)−適性の再評価
【0029】
[他の参考文献]
その開示が参照により本明細書中に組み込まれる米国特許6,200,279は、児頭を追跡するためのポジショニングシステムを記載している。
【0030】
その開示が参照により本明細書中に組み込まれる、ケースウエスタンリザーブ大学生物医学工学部のRobert Neal Wolfsonの学位論文「An Instrument for the Continuous and Quantitative Determination of Fetal Descent by Measurement of Ultrasonic Transit Time」(1974年9月)には、児頭及び/又は子宮頸管の開大を超音波位置センサを用いて追跡することが提案されている。
【0031】
その開示が参照により本明細書中に組み込まれる米国特許6,669,653は、位置センサをベースにした実施形態と固い部材を用いた機械装置をベースにした実施形態とを含む、胎児ポジショニングシステムを記載している。
【0032】
その開示が参照により本明細書中に組み込まれる米国特許5,135,006は、児頭に取り付けられ下降をモニタするために使用される定規を記載している。
【発明の開示】
【0033】
本発明の幾つかの実施形態の広範な側面は、出産プロセスをモニタする方法に関する。その中で、出産プロセスは、個別的プロセスとして管理され、そのプロセスの変化は、進行中のプロセスに関するものであり、単に典型的なプロセスの統計的な描写に対するものではない。
【0034】
本発明の幾つかの実施形態の広範な側面は、子宮頸管及び/又は児頭の部分の位置に関して収集された位置情報の自動的な分析に関するものである。本発明の典型的な実施形態においては、その分析は、子宮収縮の強度信号等のインプットを、児頭の運動ベクトル等の子宮収縮のアウトプット(結果)と比較することを含んでいる。本発明の典型的な実施形態においては、その分析は、手作業による測定による場合よりも、正確に及び/又は頻繁に、情報を利用することができるという事実を利用する。また、それは収縮中を含む。
【0035】
本発明の典型的な実施形態においては、特定の出産プロセスを複数の状態に分ける。その各状態は、その出産プロセスの生理学的な及び/又は統計的な性質、特に、本発明の幾つかの実施形態では、幾何学的な情報、から特定される。本発明の典型的な実施形態においては、ある状態に関係する情報は、高い頻度で更新される方法で、例えば10分以内に、利用可能となる。幾つかの実施形態及び/又は状況においては、例えば5分、2分、若しくはそれ未満、又は15分、20分、若しくはそれよりも長いものである、より速い又はより遅い決定が為される。これは、従来技術と対照的であり、わずかな測定で、フィッティングを確認すべくそのデータがグラフと比較される。そのグラフは多くの出産に対する平均値であるので、たとえ高確率の測定が可能であるとしても、出産プロセスの状態の特定は、概して、その状態の開始後十分な時間が経過するまでは正しいものとはならないであろう。また、情報をグラフと比較しないときでさえ、状態を決定するのにしばしば1時間以上かかる。なお、薬物が効果があるかどうかを決定する場合に、情報によっては比較的早く利用可能である。また、胎児仮死を判定する際、しばしば数分以内になされるが、無病誤診率は50%である。
【0036】
本明細書中で使用されるように、用語「状態(state)」は、特定可能である出産プロセスにおける、ステップ又は健康状態(condition)に関するものである。以下に示すように、幾つかの状態は、種々のパラメータがその状態の間変化するという点において、動的である。例えば、「加速段階」状態の間、子宮頸管の開大は増進する。定常状態、例えば「胎児の嵌入」状態は、概して、その出産プロセスにおける明確に特定可能なマイルストーンを示す。当然ながら、それは望ましいことであろう。また、本発明の幾つかの実施形態では、短時間でそのような定常及び/又は動的な状態を特定することが可能である。
【0037】
動的な状態の一例を挙げると、最大勾配状態は連続的な状態であり、開大の連続的な値の範囲からなり、あるパターンがこれらの値に与えられることが予測される(例えば線形増加)。
【0038】
幾つかの実施形態では、1つの状態は他の状態に従属した状態である。幾つかの実施形態では、複数の状態が並行して生じ得る。特に、児頭の状態は1つの時間経路に沿って進むことができ、一方で、子宮頸管の状態は他の時間経路に沿って進む。幾つかの場合には、状態の重複は正常である。他の場合では、状態の重複は、例えば通常は共に生じないような重複状態に基づき、異常な分娩状態を特定するために使用される。
【0039】
選択的に、決定された状態は、標準化された曲線上に示される。しかしながら、本発明の典型的な実施形態においては、その状態は、状態ベースの表示上に示される。その中で、種々の生理学的なパラメータは、多くの出産の平均値よりもむしろ或いはそれに加えて、現在の出産に対して予測された又は実際の数値として示される。選択的に、出産の一部は、現在の表示に対する統計的に計算されたバックグラウンドとして使用されるために選択される。例えば、同様のパラメータや進展を用いて出産を選択する。
【0040】
なお、また、他の出産のモニタリング方法の一部として、状態及び/又は状態の情報を決定する、特定の方法を実行することができる。
【0041】
本発明の典型的な実施形態においては、その状態は、収縮中における、複数のセンサの相対的な位置に基づいて特定される。他の実施形態では、子宮収縮と非収縮の間隔との間の位置の差異に加えて、その代わりに、子宮収縮中における複数のセンサの相対的な位置が使用される。
【0042】
本発明の典型的な実施形態においては、長い時間をかけての動作の前兆として、子宮収縮中の動作が使用される。例えば、子宮収縮中の児頭の動きは、十分多くの収縮(及び関連した進行)が生じた後の、頭部が動く方向を予測するために使用される。選択的に、分娩状態に対する、予測された進行率及び見積もられた進行時間の標示として、ある子宮頸管の内部収縮の開大(cervical intra-cotraction dilatation)に対する児頭の動作の程度が使用される。この方法で決定された予測された進行と実際の進行とのミスマッチは、異常な進行の標示となり得る。
【0043】
本発明の典型的な実施形態によれば、患者に取り付けられる1つ以上のセンサを含むと共に出産プロセスの状態の標示を生成する出産管理システムが提供される。選択的に、そのシステムは、予後診断、例えば予測される未来の状態、を提供する。選択的に、そのシステムは診断を援助する。例えば、「停止障害」のような、問題のある状況の診断を提供する。選択的に、そのシステムは、現在又は未来の状態を完成させるために予測される時間を示す。選択的に、そのシステムは、分娩の進行を、予測された進行と比べて示す。本発明の典型的な実施形態においては、そのシステムは、複数の典型的な出産プロセス、例えば同一の患者、他の患者、及び/又は手作業で入力されたデータに対するもの、を記憶している(例えばデータベース中に)。選択的に、そのシステムは、例えば未来の時間を見積もって最も良い適合を見つけるために及び/又は予測される問題を予期するために、現在の出産プロセスをこのデータベースと比較する。選択的に、そのシステムは、種々の容認された治療プロトコルを監視するための手段を含む。例えば、もし付添人がある薬物治療を使用することを示せば、そのシステムは、付添人と患者が経験すると予想される一連の状態及び/又は決定ポイントを表示するであろう。本発明の典型的な実施形態においては、予後診断は、デューティファクタ(1回の子宮収縮が働く間の、子宮収縮のサイクルの比率)、グラフの下の面積、及び子宮収縮の周期、のうちの1つ以上に基づくものである。
【0044】
選択的に、代替的に又は追加的に、状態を直接的に検知するためにセンサを使用して、統計的な分析に基づいて、統計的に定義された状態を特定する。例えば、分娩の第一ステージ中の「加速段階」状態は、子宮頸管の開大率の変化に基づいて特定可能である。1つの実施においては、加速段階の開始は、複数の子宮収縮にわたる開大の測定値を収集することによって検知される。例えば、10分周期であって、統計的にその結果を処理して、開大率が大きく変化したかどうかを確認することによりなされる。幾つかの状況及び/又は実施形態では、大きな変化は、10%、20%、30%、或いはそれらよりも小さい、それらの中間、若しくは大きい数のうちの1つである。これは、従来技術の方法と対照的であり、概して、比較的わずかな測定が為されることで、それらが図1のグラフと比較される。なお、そのような統計的な状態でさえ、概して、短時間、例えば、20分未満又は15分未満、で決定される。
【0045】
本発明の典型的な実施形態においては、例えば、子宮頸管の開大のパターンや、例えば一方の肩又は両肩の通過に対応する子宮収縮を検知することによって、子宮からの胎児の退出が追跡される。
【0046】
本発明の典型的な実施形態においては、センサを使う代わりに、マーカーや送信機を用いる。選択的に、イメージングシステムが使用され(例えばトランスポンダーの代わりに)。それは、選択的に、子宮頸管及び/又は児頭の特徴を自動的に検知するためのソフトウエアを含む。代替的に、当技術分野で既知の他の位置センシング方法を使用可能であり、それは例えば、US(超音波)、RF、及びDC磁気フィールドベースの方法である。
【0047】
本発明の幾つかの実施形態の1つの側面は、出産プロセスをモニタするための頭部位置ベクトルを用いることに関する。本発明の典型的な実施形態においては、そのベクトルの方向は、予測される出産経路と対比され、分娩が進行しているかどうかを推定するために用いられる。選択的に、そのベクトルは、屈曲と嵌入のうちの1つ以上を検知するために使用される。選択的に、子宮頸管の開大の変化量と頭部位置ベクトルの組合せを用いて、状況を進行し損なったことを検知する。
【0048】
本発明の幾つかの実施形態の1つの側面は、何の治療をすべきかを決定するのに役立たせるために及び/又はそのような治療をコントロールするために、分娩の状態を用いることに関する。例えば、そのシステムが分娩の第一ステージがまだ完了していないということを検知すれば、そのシステムは、胎児仮死をもたらす可能性のある所定の薬物の投与を妨害するであろう(又は止めることを提案するであろう)。選択的に、そのシステムは、薬物用量を増加させ又は減少させ(例えば半自動的又は全自動的なフィードバックループを用いて)、又は、現在の薬物と用量が効果的であるかどうかに応じて投与される薬物を変更させるであろう。
【0049】
本発明の幾つかの実施形態の1つの側面は、インプットを修正するために、分娩の状態の検知結果を用いることに関する。例えば、全開大に到達するとすぐに、たとえ実際の開大が9.0cmしかなくても、そのシステムは開大が10cmであると表示する。選択的に、また、子宮頸管の開大の中間値は、医師によって現在報告されている形式の値とされるために「補正される」。例えば、全開大まであと約1cmの状態であれば、実際の開大又はそれに近いにも関わらず、9cmという値が報告されるであろう。選択的に、そのシステムは、「補正される」値の連続性を維持する。選択的に、全開大においては、そのシステムは、実際の開大が「10cm」ではなく実際にはある他の数値であるという通知を表示する。選択的に、他の数値は表示される。なお、子宮頸管の開大は修正されるが、実際に表示される数値は、容認されたスケールに適合するという点においてのみ正確であり、幾何学的な正確さに関しては正確でない可能性がある。
【0050】
本発明の典型的な実施形態においては、開大の値の表示は、全開大前でさえ、用語として使用される数字に合致するように、測定された数値から補正される。選択的に、この補正は、実際の測定値を、指による触診を用いる人間によっておそらく(例えば平均的に)報告されるであろう値に変更する。
【0051】
選択的に、子宮頸管の開大及び/又は頭部位置の値は、それらの値を補正する子宮収縮が原因であるので、それらの変動性が考慮に入れられてもよい。例えば、それは、子宮収縮中、顕著な変化が表れている開大に所定のファクターを加えることによりなされる。この補正は、指による触診を用いる人間によって報告される値に近い値をもたらし得ることが予想される。例えば、もし変動性が大きければ、子宮頸管がよりフレキシブルであるという理由で、人間は過大評価しがちになるであろう。選択的に、その補正は、子宮頸管における収縮の影響と指の圧力の影響が同様であると想定する(例えば同一の大きさに対して)。選択的に、医師により加えれた力が測定される(選択的に医師ごとに異なる値を記憶している)。子宮頸管の弾力性の推定値は、選択的に、CD(子宮頸管の開大)の変動性を子宮収縮の強度と比較することにより得られる。この弾力性の推定値は、選択的に、補正を行なうために使用される。その補正は、測定されたCDから、人間がその状態に対して報告することが予想される値に対してなされるものである。
【0052】
本発明の典型的な実施形態においては、現在認識されていない新しい出産状態を定義する。一例を挙げれば、子宮頸管口が児頭に関連して縮み始めた時点で、「全開大に近づく」状態が定義される。それは、全開大がすぐに迫っていると予想されることを示す。そのような新規な状態は、ユーザへ示されてもよいし、又はシステムに内在させてもよい。他の例を挙げれば、児頭が子宮頸管に反して作用しているとき、「児頭対子宮頸管」状態を定義する。これらの力学は、選択的に、質的に(存在)及び量的に(強度)のうちの1つ又は双方で表現される。他の例を挙げれば、「効果的な子宮収縮」状態を定義している。これは、子宮収縮が効果的であることを示しており、選択的には、下降及び開大の大きさ及び正味の進行(δ)の増加を反映している。
【0053】
本発明の幾つかの実施形態の1つの側面は、分娩の第二ステージの開始を検知することに関する。本発明の典型的な実施形態においては、分娩の第二ステージ、すなわち少なくとも全開大は、児頭のBPDが子宮頸管口を通過したときに開始するように決められる。本発明の典型的な実施形態においては、この通過は、子宮頸管口及び児頭の相対的な位置の測定によって検知される。例えば、それは、医用画像機器を用いて又は1つ以上の相対的若しくは絶対的な位置センサを用いてなされる。代替的に又は追加的に、この通過は、母親の解剖学的特性、例えばISL(坐骨棘)又はASIS(上前腸骨棘)、に対する子宮頸管口及び/又は児頭の動きによって決定される。選択的に、第二ステージは子宮収縮パターンの特性に基づいて検知される。例えば、そのパターンは、HS(Head Station:頭部位置)の変動性の減少を伴わず、CDの変動性の大幅な減少を有する。
【0054】
本発明の典型的な実施形態においては、児頭をカバーする子宮頸管口が頂点に到達することによって、全開大(すなわち、第一ステージの最後)が決定される。出産プロセスの標準的な進行の数字は、外見上、子宮頸管口の補正位置を示すが、従来は理解されてきていないことは明らかである。全開大は、児頭の最大直径部(BPD−大横径としても既知である)の一方側からその他方側までを通す子宮頸管口により特徴付け且つ特定することができる。この頂点の通過(crestal transit)は、児頭と子宮頸管の相対位置の突然の変化及び/又は子宮頸管口の突然の展退動作を含み得る。場合によっては、子宮収縮の一部としてではない。すなわち、児頭が子宮頸管口を前に押す状態から子宮頸管口が児頭の部分を滑らかに通過させる状態までである。本発明の典型的な実施形態においては、頂点の通過は、子宮頸管口のセンサ(或いは複数のセンサ)のレベルを、例えば児頭上及び/又は親の体上の参照ポイント、と比較することにより検知される。
【0055】
本発明の幾つかの実施形態の1つの側面は、児頭のセンサ及び1つ以上の子宮頸管のセンサの相対的な下降を決定する方法に関し、その際、児頭と子宮頸管の可能な3次元配置を考慮する。本発明の典型的な実施形態においては、児頭の動作の経路上に、下降の投影(projection)が提供される。本発明の典型的な実施形態においては、複数のセンサの位置を、例えば参照ポイントとして使用される1つ以上のASIS(上前腸骨棘)と比較するために、比較的遠い(センサ間の距離と比較して)参照ポイント又はラインを提供する。この参照ポイント(又はライン)に対する子宮頸管と頭部の複数のセンサとのそれぞれの距離は、頭部の下降を決定するために比較される。一例を挙げれば、ラインと頭部の1つのセンサの間の距離は、複数の子宮頸管のセンサとラインの間の平均距離と比較される。選択的に、ラインは、体外に取り付けられた位置センサを用いて決定される。
【0056】
本発明の幾つかの実施形態の1つの側面は、頭部位置(HS)及び/又は子宮頸管の開大(CD)についての統計的な情報を用いて、出産状態を決定すること及び/又は異常な状態を検知することに関する。本発明の典型的な実施形態においては、子宮収縮中のCDやHS等の測定における変化量(変化)を使用する。その変化量に基づいて幾つかの異なったパラメータを定義することができる。例えば、それは、最大変化量、長い時間にわたる変化量の変化(変動性)、及び正規化した変化量又は変動性である。本発明の典型的な実施形態においては、子宮頸管の開大の変動性及び選択的に頭部位置の変動性を用いて、潜伏段階(CDの変動性が小さい)、加速段階(CDの変動性が中程度)、最大傾きステージ(CDの変動性が大きい)、及び減速ステージ(CDの変動性は低いが、HSの変動性は大きい)のうちの2つ以上の間を区別する。選択的に、この情報は頭部位置に関係しており、潜伏段階の最後の最後において直線的な開始を増大させることが予想される。選択的に、この情報は、胎児のモニタによるインプットに関係しており、特に、胎児心拍数及び/又はTOCO/IUPに関する。種々の病理学的状態は、この進行及び/又は開大の変化量と頭部位置の間のミスマッチ、からの逸脱から特定される(例えば、低い頭部位置の値、大きな変動性)。また、非病理学的状態を特定することができる。例えば、下降−開大の変動性の相互関係を用いて、「頭部対子宮頸管」状態を特定及び定量することができる。
【0057】
本発明の特定の典型的な実施形態では、子宮頸管の開大の変化量は、分娩が停止するかどうか、又は未だ潜伏段階中であるかどうかを決定するために用いられる。
【0058】
本発明の幾つかの実施形態では、モニタリングは、完全に又は大いに(例えば、少なくとも重要な情報のうちの幾つかの形式に対して)、変化量の情報に基づいている。これは、センサの数を少なくすること及び/又はベースライン較正ステージを避けることを可能にする。
【0059】
本発明の幾つかの実施形態の1つの側面は、機能的で効果的な児頭位置を決定することに関する。本発明の典型的な実施形態においては、機能的で効果的な児頭位置は、単なる産道に沿った位置の進展よりもむしろ、胎児の体の他の部分及び/又は母親に対する頭部の方向の変化に基づいて決定される。本発明の典型的な実施形態においては、「子宮頸管」、「嵌入」、「屈曲」、「管中の曲がりにおいて」、「内回旋」、「会陰」、及び「伸展」のうちの1つ以上は、距離測定の代わりに、機能的で効果的な児頭位置を定義するために使用される。選択的に、距離測定は、例えば、「産道中の曲がりにおいて」という状態に言い換えられる。選択的に、患者の解剖学的な測定は、例えば、そのステーション数を規格化した数値として提供できるように、当技術分野で既知のイメージング手法を用いて為される。
【0060】
本発明の典型的な実施形態においては、上述の幾何学的に関連した複数の値のうちの1つ以上は、児頭の様々な位置に関連した種々の分娩パターン間を区別するために用いられる。各々のそのような形状(geometry)は、例えば異なる予後診断、すなわち、潜在的な問題の異なる組(又は問題の蓋然性)及び/又は経験することが予測される状態の異なる組、を有する。また、骨盤の解剖学的構造、及び、母体のセンサと胎児のセンサの3次元的な動き及び/又は方向を用いて、特定の予測されるパターンを選択し及び/又は微調整することができる。
【0061】
本発明の典型的な実施形態においては、産道の位置に対応する「骨盤の区分」状態は、児頭の方向の変化によって特定される。本発明の典型的な実施形態においては、その区分は、伸展の後に起こる内回旋を判定することにより検知され、それは、児頭の回旋と首の曲げが必要となる産道中の曲がりに起因する。本発明の典型的な実施形態においては、児頭の方向は、児頭上の1つ以上のセンサを用いて検知される。代替的に又は追加的に、その方向は、子宮頸管口において回旋する頭部と曲がる首の作用に基づいて検知される。例えば、子宮頸管口の開口平面は変化する。
【0062】
本発明の幾つかの実施形態の1つの側面は、子宮収縮の有効性及び/又は種類を決定することに関する。そのような決定に際しては、選択的に、ノイズリダクション及び/又は他のフィルタリングが含まれる。本発明の典型的な実施形態においては、決定された有効性及び/又はその変化量を用いて、分娩の状態を決定する(例えば、潜伏段階、活動段階、最大傾き)。本発明の典型的な実施形態においては、その決定された有効性及び/又はその変化量を用いて、赤ちゃんの停止、遷延、及び進行不全などの病状を決定する。選択的に、「子宮収縮活動」の量が測定される。これは子宮収縮に起因する開大の変化を含んでいる。選択的に、この量は、児頭に与えられた力(例えば圧力かける表面積、又は、圧力に応じた動作)及び/又は組織の追従などの機械的なパラメータを計算するために使用される。測定されたオプション的な量は、個々の子宮収縮、すなわち、収縮後のCDから収縮前のCDを引いたもの、のために、正味の進行(δ)である。選択的に、CDの変動性、HSの変動性、及びCDの正味の進行のうちの2つ以上の間の関係は、診断及び/又は状態の特定のために用いられる。選択的に、子宮内の圧力(IUP)の量は、診断及び/又は状態の特定のための上述のものと併せて用いられる。
【0063】
本発明の典型的な実施形態においては、子宮収縮の形式は、有効性に対する基準として用いられる。典型的な測定システム、例えばTOCOは、子宮収縮の低振幅部分をカットオフするので、典型的な収縮が非収縮の安定期から起こるという結果を作り出していると、本発明者は指摘している。その一方、本発明の典型的な実施形態による、子宮頸管口の測定値は、効果的な子宮収縮中に、実質上、連続的な(例えば、波状のライン)変化量を示す。そのような連続的なラインは、しばしば、最大50%のデューティファクタを示す。本発明の典型的な実施形態においては、デューティファクタが高いことは、選択的に、十分な振幅及び/又は周波数とともに、子宮収縮が効果的であることを示す。例えば、もしデューティファクタが低ければ、ピトシン(登録商標)のような薬物が処方され得る(すなわち、分娩以前の状態であると特定される)。
【0064】
本発明の典型的な実施形態においては、子宮収縮の信号は、生理学的な検討材料を用いてフィルタリングされる。本発明の典型的な実施形態においては、子宮収縮の振幅の増加率又は低下率のリミットが、フィルタとして用いられる。しきい値を越える上昇率及び/又は低下率を有する潜在的な子宮収縮はいずれも、ノイズ(例えば、動きアーチファクト)として識別され、取り除かれ得る。本発明の典型的な実施形態においては、そのフィルタリングは、信号を、微分しフィルタリングしその後積分することによりなされる。選択的に、ベースラインは積分中に復元されない。
【0065】
本発明の典型的な実施形態においては、分娩の状態は、子宮収縮の形状から検知される。一例を挙げれば、上昇率と下降率との間の第一の比率(より高い)を用いて活動段階を特徴づけ、上昇率と下降率との間の第二の比率(より低い)を用いて骨盤段階を特徴づける。これは、少なくとも一部の女性にとっては正しい。観察においては、活動段階中のHSの上昇率は1mm/secと4mm/secの間であり、典型的な下降率は(0.5)mm/secと(2.5)mm/secの間である。その一方で、通常の娩出の子宮収縮は、HSの変化量が少なくとも1.5cmであり、典型的な上昇率5-20mm/sec、典型的な下降率(3)-(15)mm/secが付随する。以上のように、両方の比率と実際の値とは、状態間で変化する。本発明の典型的な実施形態においては、非対称性が検知され、実際の解釈は他の出産パラメータに依存し得る。
【0066】
本発明の典型的な実施形態においては、子宮収縮の種類及び/又はその開始及び/又はその終了(又はその開始や終了や他の特徴に関連するあるポイント)は、娩出の収縮中、母親にいきむように指導するために用いられる。本発明の典型的な実施形態においては、娩出の収縮が検知されなければ(又は非効果的な収縮が検知されれば)又は収縮が完了したとき、母親はいきむことを指導されず又は力まないよう指導される。選択的に、モニタリングシステムは、母親に対して発信音や音声指示及び/又は刺激を発生させる、スピーカを含む。選択的に、モニタリングシステムは、例えば、子宮収縮強度と母体の活動(例えば、腹部の緊張によって測定されるような)とに相関する頭部の動きを検知することで、母体の活動の有効性を検知する。頭部の動きは、産道の異なる部分の収縮について、重さ等について、典型的な動きとして標準化可能である。有効性を検知することにより、母親に新しい指示を与えることができる。選択的に、モニタリングシステムは、母親に姿勢を変化させること(例えば、転がる及び/又は投げる)を指導するために、母親に1つ以上の傾斜センサを用いる。本発明の典型的な実施形態においては、モニタリングシステムは、母親による本能的な(又は自発的な)活動を測定し、例えば、そのような活動が正常、有効、及び/又は異常であるかどうかの標示を生成する。そのような本能的な挙動の例は、子宮収縮中の前屈、子宮収縮及び/又は表在呼吸中の腹圧の増加、及び/又は呼吸中の他の変化である。
【0067】
選択的に、例えば、患者に所定の出産関連のエクササイズを実行するように指示するために、又はより正確な測定をすることができるように動作の停止を要求するために、モニタリングシステムは歩ける硬膜外麻酔(walking epidural)と共に使用される。
【0068】
本発明の典型的な実施形態においては、子宮収縮の形状及び/又はそれらのデューティファクタ及び/又は振幅は、異常な収縮を特定するために用いられる。上昇と下降の間の上述の比率は、圧力、CD、及び/又はHSのうちの1つ以上を特徴付けることができる。
【0069】
本発明の幾つかの実施形態の1つの側面は、分娩プロセスのコントロールに関する。本発明の典型的な実施形態においては、子宮収縮の有効性を改善させ、その結果、分娩をスピードアップさせ及び/又はより効率的にするために、インプット、例えば薬物や体の姿勢は、適切な方法で変更させられる。本発明の典型的な実施形態においては、これらのインプットは、胎児及び/又は母親の安全性、及び/又は分娩スピードのうちの1つ以上を改善させるために、変更される。例えば、子宮収縮が可能なかぎり効率的になってしまえば(例えば形状(geometry)の効果、すなわち無圧力で測定されるような)、それらをより強くする必要はない。
【0070】
本発明の典型的な実施形態においては、子宮収縮の有効性を用いて、オキシトシンやピトシン(又はそれらの拮抗薬)などの薬物の滴定を調整するので、そのような薬物は分娩における間違った段階で使用されることがない。選択的に、薬物の滴定は、より良好な一時的な分解能(resolution)に微調整される。例えば、必要に応じて、収縮ごとの基準(contraction-to contraction basis)で又は少数の収縮(例えば2から3)ごとに変更される。その調整は、時間ベースであってもよく、例えば、必要に応じ、10分又は20分ごとに滴定を変更する。
【0071】
本発明の幾つかの実施形態の広範な側面は、情報を表示することに関する。例えば、その情報は、意味のある結果を提供するために、生理学的なセンサの情報(圧力や心拍数のような非幾何学的なもの)や幾何学的な情報を統合している。一例を挙げれば、子宮収縮の存在を示すためにTOCOゲージやIUPセンサを用い、その一方で、幾何学的な情報を用いてその影響を評価する。他の例では、他のセンサにおける、測定の問題を較正又は示唆するために、幾何学的な情報を用いる。他の例では、イベントの同期化、例えば、子宮頸管の開大と胎児徐脈の同期化、を決定することができる。これは、その徐脈及び/又は適切な治療の原因の表示を支援することができる。
【0072】
選択的に、その統合は、より徹底した分析を可能にする。例えば、一方の手にかかる圧力と他方の手における子宮頸管の整合性とを考慮にいれた生理学的モデルを用いて、児頭にかかる圧力を決定することができる。
【0073】
選択的に、生理学的な情報は、母体の情報及び胎児の情報のうちの1つ以上を含む。また、例えば、バイタルサインや、子宮収縮の内的な及び/又は外的な圧力測定値を含む。
【0074】
本発明の典型的な実施形態においては、表示は、投薬の条件、指診、母親への指示(例えば姿勢の変更)などの介入情報を含む。本発明の典型的な実施形態においては、出産モニタリングシステムを用いて、例えば姿勢、呼吸、及び/又はいきむことを変更するといった指示を受けた母親が遵守しているかを追跡する。選択的に、表示は、介入の有効性の示唆を含む。例えば、所望の効果(例えば、子宮収縮量又はデューティファクタの増加)や実際の効果(例えば、デューティファクタの増加などの数値の定義を用いて)についてである。
【0075】
本発明の典型的な実施形態においては、そのような表示及び/又は統合は、インプット(例えば、子宮収縮圧や電気信号)をアウトプット(例えば、子宮収縮の幾何学的な結果)と比較することからなる。また、胎児心拍数に対する子宮収縮の影響が決定されることが想定される。
【0076】
本発明の典型的な実施形態においては、統計的な分析を用いた表示は、一般のプロセスと比較して、出産の現在のステータスを示す簡潔な方法である。例えば、子宮頸管の開大の関数としての変化量の値のヒストグラムを示すことで、現在の測定値が患者の既存のパターンにフィットするかどうかを容易に決定することができる。本発明の典型的な実施形態においては、簡潔な及び/又は統計的な提示を用いることで、データを標準化することができる。ヒストグラムの例示では、たとえ患者における子宮頸管の開大の測定値が所定の値だけずれていても、又は、その患者における変化量の値が通常より高くても、分布の形状は同じであろう。
【0077】
本発明の幾つかの実施形態の1つの側面は、子宮収縮の大きさ、収縮の有効性、及び/又は収縮の効率性(或いは一連の収縮)のうちの2つ以上を決定することに関する。選択的に、これらの測定値のうちの1つ以上は、幾何学的な情報から、場合によっては生理学的な情報と併せて、得られる。
【0078】
本発明の幾つかの実施形態の1つの側面は、頭部の膨張の検知に関する。頭部の頂点における頭蓋骨と頭皮の間の流体の蓄積が原因で、児頭は膨張する。実際に、移動がない又は異なった移動がある場合、頭蓋骨に取り付けられたセンサは、そのような膨張により、児頭の移動を示唆する可能性がある。本発明の典型的な実施形態においては、そのような膨張は、児頭に取り付けられたセンサによって直接的に検知される。例えば超音波を用いて、頭蓋骨までの距離をモニタする。本発明の典型的な実施形態においては、そのような膨張は、子宮頸管の開大がないのに明らかな頭部の下降が測定されることをもって、直接的に検知される。
【0079】
本発明の幾つかの実施形態の1つの側面は、分娩の第二ステージの開始を検知するための装置に関する。本発明の典型的な実施形態においては、デバイスが子宮頸管口に機械的につながれ、子宮頸管口が体の内側又は外側の参照ポイントに対して顕著に縮むときに、標示が生成される。本発明の典型的な実施形態においては、デバイスは、定規に取り付けられた子宮頸管のアンカーを含む。その定規は十分長くて膣から出る。子宮頸管口が縮むとき、体の外側の定規の長さは短くなる。選択的に、その定規にアラームが取り付けられる。例えば、デバイスは、体の外側に取り付けられた要素を含み、その取り付けられた要素に対する定規の引っ込みが、オーディオアラーム及び/又はラジオアラームを発生させる。そのようなアラームは、患者の状態の頻繁な(又はあまりに稀な)指によるチェックに取って代わって用いることができる。
【0080】
本発明の幾つかの実施形態の1つの側面は、展退を推定することに関する。本発明の典型的な実施形態においては、展退の推定値は、選択的に遠隔の参照ポイント又はラインを用いて児頭のセンサと子宮頸管のセンサ(又は複数のセンサ)の間の相対的な頭部の下降を決定することによって、少なくとも、子宮頸管がわずかに開大している(例えば、3cm未満)状態中に、得られる。選択的に、その推定には、推定されるフレキシビリティ(例えば、組織の一貫性)に関する補正が含まれる。そのようなフレキシビリティの推定は、例えば、指による測定がなされ、又は、CDの変動性と子宮収縮の強度との間の関係を抽出するときに、子宮頸管口の伸長を測定することによって、得られるであろう。
【0081】
したがって、本発明の典型的な実施形態によれば、出産プロセスをモニタする方法であって、長時間にわたって、子宮頸部及び児頭の1つ以上に設置された1つ以上の位置要素又は組織領域からの複数の位置信号を受信することと、前記位置信号に応答して、全体が体内にある胎児の出産の不連続状態を、15分より高い時間的解像度で、決定することと、を含み、前記不連続状態が、出産の開始又は終了以外であり、2以上の収縮を包含しており、前記状態が、異常な児頭位置以外の状態を含む方法が供給される。
【0082】
代替的、又は、追加的に、受信が、イメージングシステムを使用して同定可能な1つ以上の組織領域から受信することを含む。
【0083】
代替的、又は、追加的に、受信が、少なくとも1つの位置要素から受信することを含む。
【0084】
代替的、又は、追加的に、前記1つ以上の位置要素が送信機を備える。
【0085】
代替的、又は、追加的に、前記1つ以上の位置要素が目印を備える。
【0086】
本発明の典型的な実施形態において、前記不連続状態が、前記不連続状態が、分娩進行不全、子宮収縮不良、分娩陣痛開始、頸管全開大、最適子宮活動、個人的最大開大傾斜、児頭第2回旋(内回旋)、児頭第3回旋(伸展)、児頭進入前、分娩停止、産道通過障害、異常娩出収縮、正常娩出収縮、薬物投与の有効性、出産準備完了、を含む状態のリストの中の少なくとも1つの状態から成る。選択的に、方法は、異なる時に、前記リストから少なくとも二つの状態を決定することを含む。選択的に、方法は、異なる時に、前記リストから少なくとも四つの状態を決定することを含む。選択的に、方法は、異なる時に、前記リストから少なくとも六つの状態を決定することを含む。
【0087】
典型的な実施形態において、位置信号が胎児位置信号及び子宮頸管口位置信号を含む。
【0088】
典型的な実施形態において、位置信号が、絶対子宮頸管開大信号を含まない。
【0089】
典型的な実施形態において、位置信号が、絶対子宮頸管開大信号を含む。
【0090】
典型的な実施形態において、方法が、全開大が10cmとなるスケールを反映して子宮頸管開大信号の修正をすることを含む。
【0091】
典型的な実施形態において、決定が、収縮サイクルの時間周期内に、前記信号の短時間の変化を分析することに基づいて決定することを含む。選択的に、前記分析が、児頭位置の変化の分析を含む。選択的に、前記分析が、児頭運動の空間ベクトルの分析を含む。
【0092】
本発明の典型的な実施形態において、前記分析が、子宮頸部形状の変化の分析を含む。
【0093】
本発明の典型的な実施形態において、前記分析が、位置の変化の率の分析を含む。
【0094】
本発明の典型的な実施形態において、前記分析が、複数の収縮に対する分析を含む。
【0095】
本発明の典型的な実施形態において、前記決定が、複数の収縮のデューティファクタに基づいて決定することを含む。
【0096】
本発明の典型的な実施形態において、前記決定が、分娩が正常に進行していることを決定することを含む。
【0097】
本発明の典型的な実施形態において、前記決定が、分娩が異常に進行していることを決定することを含む。
【0098】
本発明の典型的な実施形態において、前記決定が、収縮のタイプを決定することを含む。
【0099】
本発明の典型的な実施形態において、前記決定が、母親及び胎児の少なくとも1つの非幾何的な生理的信号に基づく。選択的に、前記決定が、非幾何的な生理的測定と、幾何的な測定との間の位相遅延の分析を含む。代替的、又は、追加的に、前記生理的信号が、圧力信号を含む。代替的、又は、追加的に、前記生理的信号が、EMG信号(筋電図信号)を含む。代替的、又は、追加的に、前記生理的信号が、心拍数信号を含む。
【0100】
本発明の典型的な実施形態において、決定が、個人化された時間/進行スケールにおける状態を決定することを含む。
【0101】
本発明の典型的な実施形態において、方法が、分娩の進行を複数のテンプレートの1つにマッチさせることを含む。
【0102】
本発明の典型的な実施形態において、方法が、前記信号に基づいて将来の状態に到達する時間を見積もることを含む。
【0103】
本発明の典型的な実施形態において、前記位置信号が、前記要素から離れた参照を用いて獲得される。
【0104】
本発明の典型的な実施形態において、方法が、児頭のベクトルの方向の変化及び大きさの変化の少なくとも1つを決定することを含む。選択的に、前記ベクトルの変化が、児頭の向きの変化を含む。代替的、又は、追加的に、方法が、産道における児頭の空間的進行を示す頭部位置の値を生成することを含む。代替的、又は、追加的に、前記ベクトルが、収縮中の前記頭部の動作のベクトルを含む。代替的、又は、追加的に、方法が、母体における予想される頭部のパスに対して前記ベクトルを比較することを含む。代替的、又は、追加的に、方法が、前記頭部の前進動作と後退動作との間の非対称性を決定することを含む。
【0105】
本発明の典型的な実施形態において、(a)出産過程についての情報を収集することと、(b)前記情報に基づいて個人化された進行表現を生成することと、(c)前記表現のパラメータが基準に対して、前記パラメータと前記基準との間の関係を変化させてから20分以内に、前記パラメータと基準との間の関係の同定することと、(d)前記同定に応答して出産の治療を選択的に修正することと、を含む、出産管理の方法もまた供給される。選択的に、前記同定が、コンピュータ回路により同定することを含む。
【0106】
本発明の典型的な実施形態において、方法が、コンピュータ回路により、修正を提案することを含む。
【0107】
本発明の典型的な実施形態において、同定が、前記パラメータが標準から外れていることを同定することを含む。
【0108】
本発明の典型的な実施形態において、同定が、前記パラメータが標準内にあることを同定することを含む。
【0109】
本発明の典型的な実施形態において、選択的に修正することが、修正しないことを含む。
【0110】
本発明の典型的な実施形態において、前記個人化された進行表現を生成することが、前記収集された情報の統計的分析を含む。選択的に、前記統計的分析が、長期的分析を含む。代替的、又は、追加的に、前記統計的分析が、短期的分析を含む。代替的、又は、追加的に、前記統計的分析が、ヒストグラムを生成することを含む。
【0111】
本発明の典型的な実施形態において、前記個人化された進行表現が、予想される変化率を含む。
【0112】
本発明の典型的な実施形態において、前記個人化された進行表現が、少なくとも三つの分娩状態の識別表示を含む。
【0113】
本発明の典型的な実施形態において、前記個人化された進行表現が、個人の最大傾斜が間もなく達成されるという標示を含む。選択的に、前記標示が、専用の表示を含む。
【0114】
本発明の典型的な実施形態において、前記標示が、それらの相対的文脈に従った状態の表現および状態の履歴を含む状態表示を備える。
【0115】
本発明の典型的な実施形態において、前記標示が、個々の最大傾斜の表示を含む。
【0116】
本発明の典型的な実施形態において、長時間にわたって、子宮頸部及び児頭の1つ以上に所在する1つ以上の位置要素又は組織セグメントからの複数の位置情報を受信することと、収縮における位置情報の大きさの少なくとも1つの変化を決定することと、前記少なくとも1つの変化を分析することと、前記分析に基づいて分娩の状態を決定することと、を含む、分娩プロセスをモニタする方法もまた供給される。
【0117】
選択的に、方法が、前記決定に用いられる複合標示をもたらすために、複数の収縮について分析することを含む。
【0118】
本発明の典型的な実施形態において、前記分析が最大変化の分析を含む。
【0119】
本発明の典型的な実施形態において、前記分析が、変化率の分析を含む。
【0120】
本発明の典型的な実施形態において、前記分析が、子宮頸管開大の分析を含む。
【0121】
本発明の典型的な実施形態において、前記分析が、児頭位置の分析を含む。
【0122】
本発明の典型的な実施形態において、前記分析が、位置の変化に基づく収縮のデューティファクタの分析を含む。
【0123】
本発明の典型的な実施形態において、状態の決定が、不連続状態の決定を含む。
【0124】
本発明の典型的な実施形態において、方法が、前記分析をグラフィックな形式で表示することを含む。選択的に、前記グラフィックな形式が、前記分娩の少なくとも2時間の結果を示す。代替的、又は、追加的に、前記グラフィックな形式が、前記分娩の少なくとも30分間の結果を示す。代替的、又は、追加的に、前記グラフィックな形式が、少なくとも10回の収縮の結果を示す。代替的、又は、追加的に、前記グラフィックな形式が、少なくとも30回の収縮の結果を示す。
【0125】
本発明の典型的な実施形態において、決定が、非幾何的な生理的情報に基づいて決定することを含む。
【0126】
本発明の典型的な実施形態において、決定が、収縮間の長期的全進行に基づいて決定することを含む。
【0127】
本発明の典型的な実施形態において、方法が、前記収縮の有効性の標示を生成することを含む。選択的に、方法が、前記分娩において滴定された薬物の有効性の標示を生成することを含む。代替的、又は、追加的に、方法が、前記標示に基づいて、力みに関する母親への指示を生成することを含む。
【0128】
本発明の典型的な実施形態において、方法が、現在の分娩の測定に基づいて前記変化を正規化することを含む。
【0129】
本発明の典型的な実施形態において、方法が、前記分娩の現在同定されている状態に基づいて、前記変化を正規化することを含む。
【0130】
本発明の典型的な実施形態において、子宮頸管開大を測定することと、10cm以下の異なる開大の値を生成するために、センサの較正によらずに前記測定を修正することと、を含む、子宮頸管のレポートをする方法もまた供給される。選択的に、前記修正が、10cmが全開大を意味する人についての学術用語を反映するように前記測定を補正することを含む。代替的、又は、追加的に、前記修正が5cmより大きい測定にたいしてのみ適用される。代替的、又は、追加的に、前記修正が、児頭頂点通過の検出に基づいて適用される。代替的、又は、追加的に、前記補正が、子宮頸管の整合性のための補正を含む。代替的、又は、追加的に、前記補正が、測定をする施術者のバイアスを補正するために個人化される。代替的、又は、追加的に、前記補正が、患者ごとに個人化される。
【0131】
本発明の典型的な実施形態において、子宮頸管と参照点との相対的位置を測定することと、所定の動作に従って、前記子宮頸管が参照点と相対的に動く場合に全開大を決定することと、を含む、子宮頸管の全開大を検出する方法もまた供給される。選択的に、参照点が、児頭を含む。代替的、又は、追加的に、決定が、前記子宮頸管が前記児頭上にとさか状になることを検出することを含む。代替的、又は、追加的に、前記相対的位置が、前記児頭及び子宮頸管から距離があり且つ児頭の運動方向に広がる空間中の仮想的な点に対して決定される。
【0132】
本発明の典型的な実施形態において、適切な方法が、前記子宮頸管の展退動作を含む。
【0133】
本発明の典型的な実施形態によれば、児頭上の点及び子宮頸管上の点の相対的位置を決定する方法であって、センサから、前記児頭の予想される動きの一般的方向に、離れた参照位置から、該点間の距離を決定することと、距離の相対的な値を決定することと、を含む、方法もまた提供される。選択的に、その方法が、前記参照点に相対する運動に基づいて子宮頸管の展退を決定することを含む。代替的、又は、追加的に、方法が、前記児頭の進入を前記参照点との相対的運動に基づいて検出することを含む。代替的、又は、追加的に、方法が、前記子宮頸管口の開口平面の再構築を含まない。
【0134】
本発明の典型的な実施形態において、収縮の効果についての幾何的情報を収集することと、収縮の効果についての非幾何学的な生理学的情報を収集することと、収集した幾何学的、非幾何学的情報を相関づけることとを、を含む、分娩プロセスをモニタする方法もまた供給される。選択的に、相関づけることが、同一の時系列で表示することを含む。(原文に誤りあり)選択的に、方法が、分娩のイベントを、同一の時系列で表示することを含む。代替的、又は、追加的に、相関づけることが、非幾何的及び幾何的情報の間の位相差を決定することを含む。
【0135】
本発明の典型的な実施形態において、前記幾何的情報が、収縮サイクルにおける幾何的情報の変化を含む。
【0136】
本発明の典型的な実施形態において、前記幾何的情報が、子宮頸管開大及び児頭位置を含む。選択的に、方法が、幾何的情報及び非幾何的情報の1つを他の関数として提示することを含む。選択的に、方法が、情報をヒストグラムの形式で提示することを含む。
【0137】
本発明の典型的な実施形態において、方法が、幾何的情報及び非幾何的情報の1つを他の関数として通門することを含む。
【0138】
本発明の典型的な実施形態において、方法が、情報をストリップ形式で提示することを含む。
【0139】
本発明の典型的な実施形態において、方法が、情報を、異なる収縮からの情報の重ね合わせとして提示することを含む。
【0140】
本発明の典型的な実施形態において、方法が、情報を、三次元形式で提示することを含む。
【0141】
本発明の典型的な実施形態において、推定児頭下降状態を検出することと、子宮頸管開大値を検出することと、児頭下降と子宮頸管開大値とのミスマッチを決定することと、前記ミスマッチに基づいて変形を決定することと、を含む、潜在的児頭変形を検出する方法もまた供給される。選択的に、前記子宮頸管開大値が、全開大より小さい。代替的、又は、追加的に、前記子宮頸管開大が、頂点通過前状態であると決定される。代替的、又は、追加的に、状態の前記決定及び値の前記検出が、取り付けられた配置要素の使用を検出することを含む。
【0142】
本発明の典型的な実施形態において、(a)子宮頸管口を係合するのに適合した係合器と、(b)前記係合器に連結し、前記係合器の患者の体に対する後退を示すのに適合したボディと、を備える、子宮頸管の逆行により分娩の第二ステージの開始を検出するための装置もまた供給される。選択的に、前記ボディが、子宮頸管口に取り付けられた場合に、患者の体外に伸びるのに十分に細長い。代替的、又は、追加的に、装置が、前記後退の検出の際に作動される音響アラームを備える。
【0143】
本発明の典型的な実施形態において、前記ボディが、物差しを含む。
【0144】
本発明の典型的な実施形態において、前記物差しが、前記子宮頸管の初期位置の較正に適合する。
【0145】
本発明の典型的な実施形態において、装置が、前記ボディの初期位置のマークを備える。
【0146】
本発明の典型的な実施形態において、(a)児頭上に置かれた配置要素および子宮頸管口に置かれた配置要素の少なくとも1つから位置情報を収集することと、(b)子宮頸管口の開大以外の特性の推定をもたらすために位置情報を分析することと、を含む、子宮頸管口の変化を推定する方法もまた供給される。選択的に、前記分析が、児頭運動の程度から展退を推定することを含む。代替的、又は、追加的に、前記分析が、子宮頸管開大の変化を収縮の強さと比較することにより弾力性を推定することを含む。選択的に、前記強さが、IUP(子宮内圧力)センサを用いて測定される。
【0147】
本発明の典型的な実施形態において、前記分析が、子宮頸管開大の機械測定を、子宮頸管開大の人による推定と比較することを含む。
【0148】
本発明の典型的な実施形態において、前記分析が、子宮頸管位置要素の回転の決定を含む。
【0149】
本発明の典型的な実施形態において、前記収集が、処置中の収集を含む。選択的に、前記処置が、指診を含む。
【0150】
本発明の典型的な実施形態において、(a)分娩プロセスからの幾何的情報のストリームを供給することと、(b)生理学的に間違ったデータを除外するフィルタを用いてストリームをフィルタすることと、を含む、幾何的分娩情報をフィルタする方法もまた供給される。選択的に、方法が、収縮の長さに基づいてデータを除外することを含む。代替的、又は、追加的に、前記フィルタが、それらの派生物に基づいてデータを除外する。選択的に、フィルタすることが、前記データの派生物を発見することと、データにしきい値をかけることと、データを統合することと、を含む。
【0151】
本発明の典型的な実施形態によれば、(a)患者に処置を施すことと、(b)前記患者の分娩プロセスでの処置の効果を示す幾何的変化について情報を収集することと、(c)前記収集に応じて、20分より少ないフィードバック時間で、前記供給を選択的に修正することと、を含む、分娩中の患者への薬剤供給の方法もまた供給される。選択的に、前記フィードバック時間が10分より少ない。代替的、又は、追加的に、方法が、前記修正により、幾何学的応答の望ましい範囲を維持することを含む。
【0152】
本発明の典型的な実施形態において、前記修正が、前記処置により分娩の進行が生成されない場合には前記供給を停止することを含む。
【0153】
本発明の典型的な実施形態において、前記修正が、患者の最大個人傾斜を達成するために前記処置を修正することを含む。
【0154】
本発明の典型的な実施形態において、前記処置が、薬剤の供給を含む。
【0155】
本発明の典型的な実施形態において、前記処置が、姿勢変化の指示を含む。
【0156】
本発明の典型的な実施形態において、前記選択的修正が、自動的に選択的修正を行うことを含む。
【0157】
本発明の典型的な実施形態において、前記選択的修正が、選択的に修正する助言を生成することを含む。
【0158】
本発明の典型的な実施形態において、(a)分娩中の患者をモニタするモニタシステムの少なくとも1つからの入力信号を受信するのに適合した入力と、(b)受信された信号に基づいて、前記のいずれかの方法を実施するように構成されたコントローラと、を備える、分娩をモニタするための装置もまた供給される。選択的に、装置が、分娩中の患者への指示を表示する指示出力を備える。選択的に、装置が、前記信号に対するそのような指示の効果を追跡するのに適合した追跡器を備える。
【0159】
選択的に、装置が、前記指示の順守をモニタするのに適合したモニタを備える。
【0160】
本発明の典型的な実施形態において、(a)少なくとも1つの子宮頸管位置及び少なくとも1つの児頭位置からの位置情報を三次元ディスプレイに配列することと、(b)前記センサの位置間の重力中心を維持するためのディスプレイを配置することと、を含む、分娩プロセスにおいて収集された幾何学的情報を提示する方法もまた供給される。選択的に、方法が、状態情報を前記ディスプレイ上に配置することを含む。代替的、又は、追加的に、方法が、可変情報を前記ディスプレイ上に配置することを含む。
【0161】
図面と共に後述の典型的な実施形態の説明を参照して、限定されるものではない本発明の実施形態を記載する。図面は、概して、縮尺通りに示されておらず、どのような大きさもそれが典型的であることを意図しているのみであって、必ずしも限定されるわけではない。図面においては、複数の図面中に現れる同一の構造、要素、又は部分は、好ましくは、それらが現れる全ての図面において、同一の又は類似の数字が付されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0162】
[状態ベースのモニタリングの概説]
図1を参照すると、現在の診療は、図1のグラフに沿って出産プロセスの進行を図に記すことである。このグラフは多くのケースの平均値であるので、潜在的な問題があるということを介護者が確信していれば、重大な逸脱を検知するに違いない。
【0163】
実のところ、非病理学的なケースでは、このグラフは問題がある。連続的な及び滑らかなグラフの性質からわかるように、開大の値は、概して、分娩の状態を特定するために用いることができない。その代わりに、開大の値の変化の開始又は変化の欠如を用いるに違いない(従来技術においては)。さらに、後述するように、大きな開大(>7cm)において、推定上の数値は、実際、分娩の進行の推定値を表すために用いられる象徴的な値である。このように、例えば、実際の開大が最大の開大において10cmよりも大きいにもかかわらず、産科医は「10cm」であると伝えるであろう。これは、結果として、分娩における推定された状態を用いて開大の値を示すという循環論理をもたらす。その後、その開大の値を用いて、図1に示すような標準のグラフと比較して、分娩の進行を示す。
【0164】
本発明の典型的な実施形態においては、ある状態から次の状態までの出産プロセスの進行、次の状態へ進行しないこと、及び/又は異常な状態への進行を検知することによって、特定の出産プロセスの進行がモニタされる。本発明の典型的な実施形態においては、それらの状態は、比較的迅速に、例えば20分未満で、特定される。
【0165】
本発明の典型的な実施形態においては、解剖学的な変化を用いて、分娩における異なる状態間の進行を特定し、及び/又は現在の状態を特定する。いくつかの場合には、状態の情報を生成するために、測定値の統計的な分析を用いる。本発明の典型的な実施形態においては、これらの変化が検知され、及び/又は、子宮頸管口上に備えられた複数の位置センサのうちの1つ以上により測定値が得られる。本発明の典型的な実施形態においては、状態間の相対的な変化が使用され、標準のグラフと比較した変化が使用されるだけではない。用語「動作センサ(motion sensor)」を用いるが、相対的な及び/又は絶対的な位置及び/又は方向を検知するために、種々の手段を用いることができることが理解されよう。例えば、それらは、位置センサ、送信機、受信機、トランスポンダー、及び画像化によって検知される基準マークである。さらに、画像処理は、子宮頸管口及び/又は児頭上のキーとなる特徴を識別するために用いることができる。
【0166】
本発明の典型的な実施形態においては、指による測定よりもむしろ又はそれに加えて、自動化された測定により、短時間の内に、例えば1分から10分の間で、状態の情報を得るには十分迅速にデータを収集することができる。なお、従来技術の方法は、明らかに、遅い測定(例えば指による測定)及び/又はデータと平均化されたグラフとを比較することによりもたらされる低い識別のうちの一方又は双方がネックになっていた。なお、さらに、自然に起こる変動に起因して、場合によっては、そのグラフは誤っている。例えば、分娩は、大きな子宮頸管の開大(>3cm)を伴いながらも、潜伏段階においては効果的である。他の例では、分娩の第二ステージは、10cmよりも小さな開大から開始することが可能である。
【0167】
[典型的な状態のツリー]
図2は、ツリー状の状態ダイアグラム200であり、出産プロセスの種々の状態を示している(各々はボックスとして示されている)。少なくともそれらのいくつかは、本発明の典型的な実施形態(方法)にしたがって特定される。状態によっては、複数の方法を用いて特定可能である。なお、各状態の内容(例えば持続時間、予測されるパラメータ)は、前の状態における状況に依存して変化し得る。
【0168】
図2には、子宮頸管の状態の経路(中央の経路)と頭部の状態の経路(左側の経路)である、2つの経路が示されている。典型的に、その2つの経路に沿った進行は同期する。しかしながら、それらは、必ずしも、図1に示すようには正確に重複しない。これは、場合によっては、正常或いは異常である。場合によっては、その2つの経路の集合として状態が定義される。例えば、分娩のための準備状態264は、第二ステージ(254)として定義され、子宮頸管は全開大(230)し、頭部は会陰にある(253)。1つの実用的なシステムにおいては、頭部の状態の構成要素及び子宮頸管の状態の構成要素の双方を含む複合の状態として、状態を表示する。他の実用的なシステムにおいては、同一の表示上に、同時に、2つの経路を示す。
【0169】
以下は、そのような状態及び/又はそのような状態間の通過をどのように特定できるのかの短い説明を付したそのような状態をリストアップしたものである。幾つかのそのような特定方法は、後に、より詳細に述べる。
【0170】
妊娠201は、開始ポイントである。そのポイントから、分娩又は早期分娩の開始が予測できる。例えば、分娩の開始を警告するための手段として、分娩の開始前であっても、1つ以上のセンサを埋め込んでもよい。
【0171】
分娩に関連した活動のどのようなものも、分娩の診断203として分析され得る。分娩前は、適切なセンサを分娩予定日前に取り付けるかどうかを確認することができる。典型的に、子宮収縮活動が確認されても、子宮頸管の開大は無い又はわずかである。
【0172】
場合によっては、分娩前は、分娩の前期間204に至る。選択的に、胎児が分娩の前期間の前に、子宮頸管の開大を開始させることによって、分娩の前期間が特定される。選択的に、そのシステムは、子宮頸管の開大及び/又は出産予定日より早い分娩を停止することで、薬物又は他の治療の効果を追跡する。
【0173】
分娩が開始するとすぐに、2つの並行した状態がある。その一方又は双方は追跡可能であって、それらは、頭部の状態(図中左側)及び子宮頸管の状態(図中中央)である。以下の説明では、子宮頸管の状態の進行を最初に説明する。正常な分娩における、その2つの状態のタイプは後に触れる。
【0174】
潜伏段階206は、選択的に、子宮頸管の開大の変化量が低いこと(後述)、絶対的な開大が小さいこと及び/又は頭部の下降がほとんど若しくは全くないこと、によって特定される。場合によっては、頭部の下降は、潜伏段階の間に生じるので、この状態を特定するために使用しない。本発明の典型的な実施形態においては、潜伏段階の特定により、「潜伏段階」ステージと分娩が進行していることとを区別する。従来技術におけるような、潜伏段階を含んでいる分娩の進行のグラフは、平らな部分が現れて長い分娩を描き、関連誤差の介入により、早期に難産の誤診断をしてしまう可能性がある。
【0175】
加速段階210は、選択的に、子宮頸管の開大の中程度の変動性により特定される。選択的に、この状態の開始を検知するために、統計的な試験が用いられる。例えば、統計的に意味のあるやり方で、いつ子宮頸管の開大の変動率が増加するのかを決定するためのデータのウインドウを分析することによってなされる。
【0176】
最大傾き段階214は、選択的に、子宮頸管の開大の及び頭部位置の変動性が大きいことによって特定される。典型的に、最大傾き段階においては、CDの変化量の値は0.75cmから3.0cmであり、HSの変化量の値は0.5cmから1.5cmである。選択的に、最大傾き段階は、信号を追跡して分析することによって特定される。それは、連続的な子宮収縮の間の最小の休息期間又は休息の無い期間を有する正弦曲線になる(例えば、デューティファクタが0.3よりも大きい)。選択的に、この段階における異常な子宮収縮は、異常な子宮収縮の状態262として検知される。本発明の典型的な実施形態においては、活動段階中の良好な又は正常な子宮収縮は、HSの上昇率が1-4mm/secであり、典型的な下降率が(0.5)-(2.5)mm/secである。典型的なCDの上昇率は1-6mm/secであり、典型的な下降率は(0.5)-(4)mm/secである。これらは、典型的な数値であるのみであって、他の出産に関しては他の数値が普通であってもよい。なお、テンプレートを提供してもよい。そのようなテンプレートには、分娩及び/又は患者の情報の一般的な進行に基づいて、典型的な予測される数値を含めることができる。
【0177】
オプション的な減速段階218の開始は、選択的に、子宮頸管の開大率の統計的に顕著な変化によって、及び/又はHSの変化量の減少に付随しないで起こる子宮頸管の開大の変化量の減少によって、特定される。幾つかの実施形態では、例えば、子宮頸管の開大変化が低いことに基づいて、減速段階218の代わりに又はそれに加えて、安定期状態219が特定される。典型的に、HSの変化量の値が0.5cmから1.5cmの範囲にある間、CDの変化量の値は、1cm未満に対して50%よりも大きいく減少する。なお、全開大に近づくとき、例えばセンサは頭部と共に動く可能性があるので、センサのノイズは増加する可能性がある。これは、例えば、配置場所、取り付けの質、及び児頭の位置に依存する。選択的に、例えば、センサの回転に基づいて、そのような動きアーチファクトは検知され及び無視される。なお、ワイヤレスセンサの1つの利点は、ワイヤレスセンサは伸長せず、それに対して頭部はそれを押し進めることができるということである。選択的に、そのセンサは、頭部と一緒に動かないように配置される。また、子宮頸管のセンサは、全開大に近づくにつれて、取り除かれてもよいということが知られている。場合によっては、そのセンサは、児頭と一緒に回転するであろう。これは、適切な場所及び/又はセンサの付属品を用いることによって防止可能である。代替的に又は追加的に、本明細書中では、そのような回転が(例えば、子宮収縮中に)検知され、物差しとして使用される。
【0178】
分娩進行不全状態222(誤った状態は図2の右側に示されている)は、選択的に、子宮頸管の開大率が可変であるにもかかわらず、頭部位置の変化が不足していることにより特定される。特に、たとえ頭部位置の変動性が見られても、頭部の逆行のみが現れて前進運動がないという点で、この変動性は、非対称である可能性がある。選択的に、分娩進行不全は、ある期間(例えば、子宮収縮サイクルの同一部分、例えば収縮間又は収縮のピークにおいて)の間、正味の前進がない場合に決定される。展退動作及び/又はHSの変動性の減少は、選択的に、問題を示しめしていると見なされる。なお、分娩進行不全は、分娩の間中、様々な点において現れる可能性がある。それは、CDの変動量及び/又はHSの変動量の存在下において、頭部位置か子宮頸管の開大のいずれか一方の不十分な正味の進行によって特定可能である。本発明の典型的な実施形態においては、その特定は分娩における前の状態に基づいている。例えば、最大傾き状態が検知されれば、30分という期間において0.5cm未満の正味の進行は分娩進行不全であろう。子宮頸管の開大及び/又は頭部位置の変化量の非対称性および対象性は、他の状態を検知するために、又は種々の健康状態(例えば頭部膨張)に関する標示として、使用され得る。
【0179】
代替的に又は追加的に、停止障害状態223は、選択的に、例えば15分から60分という時間にわたってCDとHSのいずれにも正味の進行がない、HS及びCDの少なからぬ変量によって特定される。
【0180】
頂点前の状態226は、選択的に、子宮頸管の小さな展退動作の存在により、及び/又は産道に対してきっちりと押圧されているということを示す子宮頸管のセンサの再配列によって、特定される。場合によっては、部分的な全開大は、子宮頸管の組織の部分のみが頭部上に残っているとき、選択的に、例えば子宮頸管の電極の1つのみが展退するなどの非対称の子宮頸管のセンサレベルによって特定される。これは、開大が「9.5cm」であるとして報告される可能性がある。
【0181】
頭部膨張状態228は、選択的に、全開大が生じていない間に、子宮頸管を過ぎ去る異常な頭部の下降を判定することにより検知される。代替的に又は追加的に、適切なセンサ(例えば、頭蓋骨までの距離を測定する超音波センサ)を児頭に取り付けて、そのような膨張を検知する。なお、この状態(頭部の膨張)は、発展するまでに時間がかかる。例えば、「頭部対子宮頸管」状態248中よりも嵌入状態中にさらに宣言される。
【0182】
全開大状態230は、選択的に、児頭の頂点を覆う子宮頸管口の推移によって特定される。選択的に、そのような頂点は、選択的に、児頭の下降に関係しない、子宮のほうへの子宮頸管口の顕著な展退動作を検知することによって特定される。いくつかの説明においては、全開大状態230及び「第二ステージ」状態254は、単一の状態であると考えられる。
【0183】
子宮頸管からの胎児の退出の状態234は、選択的に、子宮頸管センサを過ぎ去る前方への、児頭のセンサの相対的な動きから特定される。それは、例えば、児頭の長さよりも大きな動きである。
【0184】
産道停止(canal arrest)の状態238は、選択的に、頭部が産道の曲がりを通り過ぎないとき、及び/又は回旋しない若しくは回旋が不十分である場合に、特定される。
【0185】
内回旋の状態252は、選択的に、母体の軸に対する児頭の方向の変化に基づいて特定される。選択的に、初期位置についての情報を用いて方向を決定する。その方向において、寸法(dimension)の変化が示されている。この状態では、所定の方向における頭部の進行が予測され、選択的にはモニタされる。選択的に、状態252の開始及び終了は、別々の状態として特定される。
【0186】
体の頭部退出の状態244は、選択的に、視覚的に特定される。この状態に続いて、典型的に、外回旋状態262があり、これもまた、視覚的に特定される。
【0187】
分娩の診断の状態203に戻って参照すると、次の頭部の状態は、準備区分の状態246である。その状態246は、選択的に、ISと比して高い頭部により特定される。その頭部のレベルは、上述の子宮頸管のレベル(-2未満)よりも上であり、頭部の下降とCDとの間の相互関係はない。選択的に、頭部の状態は、子宮頸管と比較した位置を用いて特定される。さらに、準備段階においては、CDの変化量に関して0.5cm未満の値を、HSの変化量に関して0.25cm未満の値を予測可能である。
【0188】
「頭部対子宮頸管」状態248は、選択的に、頭部のレベルが子宮頸管のレベルに対して-1と+3の間であることによって特定される。この状態中に変化する、オプションである実用的なパラメータは、「子宮収縮の強度」であり、それは、CD又はHSの変動性の相互関係を用いて定量可能である(以下に述べる)。
【0189】
場合によっては、胎児の停止(223)又は分娩進行不全(222)は、「頭部対子宮頸管」状態の前に起こる。頭部膨張状態228は、「頭部対子宮頸管」状態の後に特定可能である。
【0190】
嵌入状態250は、選択的に、骨盤入口を通過するBPDによって特定される。なお、幾つかの通常の出産の状況においては、状態248は嵌入の後に起こる。
【0191】
内回旋状態252は、例えば、子宮収縮中であっても、児頭の方向の変化によって、又は、児頭の運動ベクトルの変化によって特定可能である。
【0192】
指により特定可能な状態は、会陰に対する頭部の状態253である。それは、児頭が会陰を圧迫するものであり、場合によっては、外部から容易にわかる。この状態は、伸展状態260の前に、後に、及び/又は並行して生じ得る。なお、一般に、幾つかの状態の順序は、女性間で異なる可能性がある。しかしながら、許容されない(及び失敗状態を示す)順序もある。また、屈曲状態(不図示)を定義することができる。この状態に達しないことは、概して、異常な状態を示す。
【0193】
初期回旋252の後に又は前に、第二ステージ状態(254)は、選択的に、全開大(230)、及び幾つかの説明においてはまた嵌入によって、特定される。選択的に、全開大は、子宮頸管を通過した頭部によって特定され、例えば、頭部のレベルは、子宮頸管(少なくとも7cmに開大された子宮頸管)と比較して+3よりも大きい(さもなくば、頭部膨張(228)を示すことができる)。
【0194】
本発明の典型的な実施形態においては、会陰に対する頭部253及び第二ステージ254の両方が特定されるとすぐに、分娩の準備状態264が特定される。この状態においては、出産のための種々の医学的な準備がなされるであろう。母体の娩出状態266は、母親が胎児を押し出すよう指示を受けた場合に続いて起こる。この状態は、選択的に、適切な娩出の子宮収縮が検知されるとすぐに生じる。異常な娩出の子宮収縮は、選択的に、異常な娩出状態268において特定される。典型的に、通常の娩出の子宮収縮においては、HSの変化量は少なくとも1.5cmであり、その際の典型的な上昇率は5-20mm/secであり典型的な下降率は(3)-(15)mm/secである。
【0195】
状態256は、子宮頸管を通る両肩の回旋及び/又は通過を示す。選択的に、この状態は、頭部が通り過ぎた後に、子宮頸管の開大及び/又は個々の子宮頸管センサの動きの変化によって検知される。潜在的な合併症は、肩甲難産258である。これは、選択的に、胎児に関連した移動がないにもかかわらず子宮頸管の開大が変化していることよって検知され、肩が骨盤入口に捕まえられており、肩が子宮収縮中に子宮頸管と相対的に動いていることを示している。
【0196】
赤ちゃんが生まれると、完了状態270は、手作業で特定することが可能である。選択的に、モニタリングシステムを用いて、胎盤の収縮及び娩出などの産後のプロセスをモニタする。
【0197】
[システム概要]
図8Aは、本発明の典型的な実施形態による、出産モニタリングシステム100、及び、体外及び/又は体内に備えられたセンサの概略図である。図8Bは、本発明の典型的な実施形態による、体内に備えられたセンサを示す図である。
【0198】
以下に、より詳細に説明するが、本発明の典型的な実施形態においては、システム100は、1つ以上の子宮頸管口センサ102及び104、オプションである児頭センサ105、及びコントローラ101を含む。選択的に、ディスプレイ116を有する。データ入力のために、選択的に、ユーザ入力部128を備えている。選択的に、例えば、胎児モニタへの及び胎児モニタからの接続部115である、外部機器への1つ以上の接続部を備える。以下に説明するオプションのリモートユニット122を備えてもよい。一対の参照位置センサ(すなわち、位置検知システムに応じた送信機又は受信機)106及び107を以下に説明する。
【0199】
子宮頸管センサ102及び104は、子宮頸管口外部301(図3参照)のリップ303とリップ304に、それぞれ3時と9時の位置に取り付けられるように示されている。他の位置は、例えば6時と12時、又は3つのセンサで4時、8時、12時となるように、同様に用いることができる。本発明の典型的な実施形態においては、使用されるセンサ及び/又は取り付け方法は、例えば、その開示が参照により本明細書中に組み込まれるWO 02/098272、WO 02/98271、及び米国特許6,270,458に記載のタイプのワイヤレスの又はワイヤ接続されたセンサである。
【0200】
児頭の参照センサ105は、選択的に、児頭302に取り付けられる。これらのセンサ及び/又は追加的なセンサは、当技術分野で知られているように、母親及び胎児についての生理学的な情報を収集するために使用可能である。例えば、以下の1つ以上を測定することができる。それらは、胎児のHR/ECG、母体のHR/ECG、SpO2、子宮内の圧力(IUP)、血圧、及び/又はTOCOである。
【0201】
選択的に、システム100は、ストレージユニットを含む。それは、例えば、医学的データを保管するための、患者のデータを記憶するための、及び/又は典型的な出産の進行プロファイルを記憶するための、データベースを含む。代替的に又は追加的に、病院の医学的情報システムは、この情報の一部又は全てのために用いることができる。
【0202】
本発明の典型的な実施形態においては、システム100は、次の機能のうちの1つ以上を提供する。
(a)モニタリング。
本発明の典型的な実施形態においては、システム100を用いて、分娩プロセスの進行を追跡し、現在の状態及び/又は種々の生理学的パラメータのローカルな標示及び/又は遠隔の標示を提供する。
(b)診断。本発明の典型的な実施形態においては、システム100は、ある状態、例えば病理学的な状態、の暫定的な診断を提供する。
(c)警告。本発明の典型的な実施形態においては、システム100を用いて、可能な合併症の事前の警告、及び/又はある状態に到達したこと(例えば、分娩の第二ステージ)の通知を提供する。これは介護者の存在を必要とする。
(d)決定−サポートする。本発明の典型的な実施形態においては、システム100は、次のやり方で情報を提供する。すなわち、たとえそうなったとしても、どんなケアをすべきかという決定をする際に介護者を支援するというやり方である。特定の例示では、異常な状態の治療中に、付添人及び/又は患者により予測される状態を追跡する状態図が提供される。それは、例えば、検査に関する警告表示及び示唆を含む。
(e)予後診断。本発明の典型的な実施形態においては、システム100を用いて予後診断を予測する。それは、選択的に、1つ以上の将来の状態に対する予測時間フレームを含む。
(f)コントロール。本発明の典型的な実施形態においては、システム100を用いて、薬物の滴定又は分娩時の患者への他の治療をコントロールする。例えば、ある状態が検知されたら滴定を停止又は防止する。
(g)複数の出産プロセスの管理。選択的に、もし同一の医師又は付添人が同時に2箇所において要求されることが見込まれたら、システム100は警告を発する。
(h)文書化及びファイル管理。選択的に、システム100は、さらなる活用のためにそのシステムによって提供される情報を許可するために、付添人又は場合によっては特定の付添人、例えば標準の手段を用いて確認された医師、を許容する及び/又は要求する認証モジュールを含む。
(i)患者の管理。本発明の典型的な実施形態においては、システム100を用いて、患者に与えられる指示を追跡する。指示の1つのタイプは、姿勢を変えることである(例えば、FHRの減少を阻止するために)。指示の他のタイプは、いきむことである。選択的に、そのシステムは、子宮収縮の形状(例えば、上昇率、下降率、振幅、及び/又はデューティファクタ)に基づいて、効果的な娩出の収縮を特定し、母親に対して、(例えばスピーカを用いて)いきむ及び/又はいきむことを停止することを指示する。選択的に、システム100は、指示の生理学的な効果の追跡を続ける。
【0203】
本発明の典型的な実施形態においては、システム100を使用することで、介護者の負担が軽くなる。介護者の仕事は、定期的な指による検査の結果としてその場におけるものというよりはむしろ、(例えばシステムの通知に基づいて)駆動された又は(例えば予後診断に基づいて)計画されたイベントとなり得る。選択的に、システム100は、作業負荷計画モジュールを含む。そのモジュールは、介護者及び/又は機器の所定のタイプに対する予測された必要性を推定し、それらの使用のための可能なタイムテーブルを提供する。
【0204】
本発明の典型的な実施形態においては、システム100は、典型的な分娩の状況のデータベースを含む。選択的には、現在の分娩プロセスは、前の分娩プロセスにマッチングさせることによって分析される。代替的に又は追加的に、同一の患者に関する分娩プロセスは、比較可能である。選択的に、通常の分娩プロセスであっても、例えば年齢、体重、出産回数、妊娠回数、流産回数、妊娠期間、胎児の大きさ、種族的出身、母親の骨盤形状、人口統計データ、以前のCS、薬物療法妊娠期間の病歴(history of medications gestational age)、出産予定日、妊娠、経産回数、治療的流産、自然流産、子宮外妊娠、早産、living children、分娩様式、妊娠前の体重、現在の体重、身長、体温、心拍数、最高血圧、最低血圧、妊娠中のUS、胎児の推定体重、妊娠異常、出血、感染、外科的介入、病歴、家族歴、過去の手術歴、及び/又は手術の種類のうちの1つ以上に基づいて、2つ又はそれよりも多くの種類、例えば3、4、6、又はそれよりも多くの種類に分類される。そのうえ、選択的に、オキシトシン及び/又はピトシン及び/又は他の薬物の時期及び/又は投薬量及び/又は増減、及び、分娩が生じた場合の増減の理由、及び第二ステージ又は分娩後の母体の体温が提供される。
【0205】
本発明の典型的な実施形態においては、システム100は、所定のルールに基づいて、上記の機能を実行するエキスパートシステムを含む。選択的に、新しいルールは、そのシステムによりモニタされるデータに基づいて定義される。選択的に、そのシステムは、発見的解決法を用いて異なるユーザ(例えば、産科医)を覚え、アルゴリズムにおいてこの情報を考慮に入れる。例えば、センサを備え付ける際のユーザの系統誤差は、このやり方で特定し及び/又は補正することができる。他の例では、システム100は、ユーザの指による検査とシステムの計算結果との間の偏りを比較し補正する。結果として、システム100は、医師が見慣れているものとなるように較正された数字を表示することができ(例えば、CDが実際には7cmしかない場合に8cm)、医師の推定値とシステムの推定値との間の不一致を感じることがない。ユーザによって、異なる補正が適用され得る(例えば、典型的に大きく見積もる医師は、上述の8cmのCDにおいて、9cmと見る可能性がある)。
【0206】
[頂点の通過(頂点通過)の検知]
図3Aから図3Eは、本発明の典型的な実施形態による、子宮頸管口301による児頭302の頂点通過を検知する方法を説明している。この頂点通過は、状態226と230(図2)に対応している。
【0207】
図3A及び図3Bは、開大中の、子宮頸管口301と児頭302の相対的な位置を示す概略図である。子宮頸管口301の反対のリップ(opposing lips)は、参照303と304によって示される(当然、子宮頸管口のリップは通常は完全な円形である)。有用で解剖学的な参照は、骨盤の一方の側における、坐骨棘(下記図3F参照)の間に引かれたライン308である。当然ながら、これらは、理想化した2次元の図面であり、現実の出産においては、その配置は左右対称であるとは限らない。
【0208】
開大プロセス中、児頭302の前部314は通例の方向305に進み、方向306と307にそれぞれ、リップ303と304とを別々に押す(すなわち広げ)。その結果、リップ間の距離は距離312となる。距離310と311は、参照ライン308からのリップ303と304の距離を示す。距離309は、児頭の前部分314とライン308との間の距離を示す。参照313は、児頭302のBPDを示す。
【0209】
図3Aは、開大が8cmから9cm未満である間、例えば、最大傾き段階を通る、解剖学的構成を示す。リップ303と304の移動の方法306と307は概してライン308に平行であるので、この段階の間、距離310と311は、程度の差はあるが一定のままでいようとする傾向にある。頭部302がライン308より上にあるので、これは、出産のステーションが負であるものと見なされる。
【0210】
従来技術においては、医師は、手(すなわち2本の指)を膣の中へ挿入し、リップ303と304とに同時に触れるようにその指を広げる。医師は、指の広がりに基づいて、開大312を見積もる。
【0211】
図3Bは、頂点通過前の状態の開始を示している(これは、異なる方法で測定されているにもかかわらず、概して「減速」段階に対応し得る)。頭部302は、ライン308を過ぎており、これは、出産ステーションが正である。
【0212】
従来技術においては、医師は、2本の指を膣の中へ再び挿入し、リップ303と304とに同時に触れるようにその指を広げるはずである。しかしながら、これは、頭部302が邪魔になるので、ほとんどの場合、可能ではない。その代わりに、医師は、通常は、片方に触れた後に他方に触れ、距離312を見積もる傾向にある。他の技術は、リップ303と304の残余長さを外見上感じて、10cmの値からその長さを引く。この方法は以下に示すように不正確である。すなわち、リップ303と304とは全開大においてでさえ、その長さはゼロではない。したがって、一般に、医師たちは、分娩の進行がどのくらい進んでいると彼らが感じているかの標示として、開大の値をセンチメートル単位で用いており、それは、現実の進行を示す実際の測定値ではない。さらに、当然ながら、BPD313は子宮頸管をなんとか通り抜ける際、実際の開大は児頭の形状に依存するであろう。それは、変化可能であり、全ての胎児に対して一様ではない。特に、付添人は、全開大を示すために、コード「10cm」を用いる。非常に多くの場合、7cmと10cmの間の数字を用いて、全開大の目標までどれくらい離れているかを示す。また、これは実際の開大を示すものではない。「9.5cm」は、ときどき、子宮頸管の一方側が開大し一方側が開大していないという、不完全な全開大に対するコードとして使用される。
【0213】
また、図3Bは、リップ303と304の移動の方向306と307が変化し、ライン308から離れる後進成分(展退)を含むことを示している。本発明の典型的な実施形態においては、この後進移動は、距離310と311を増加させるが、段階間の変化の標示として使用される。選択的に、しきい値を用いて、距離310と311が実際に増加したことを決定する。そのしきい値は、例えば、1cmよりも大きい展退移動である。1cm以下の展退の測定値は、選択的に、ノイズであると見なされる。他のしきい値、例えば0.5cmも同様に用いることができる。代替的に、子宮頸管のレベルに対する児頭の「下降」を用いることができる。
【0214】
図3Cは、最大の開大において児頭302を覆っている子宮頸管口のリップ303と304の頂点通過を示す概略図である。もり医師がリップ303と304について感じ取っていたならば、それを「過ぎ去った(gone)」と言い切るであろう。しかし、それらは感じ取ることが不可能であるので、それらはそこにあり、ただBPD313を通り過ぎただけである。なお、この例では、全開大は、坐骨棘より下で児頭の下降を伴うが、これは必須ではない。選択的に、決定に使用される標示は、子宮のほうへの向かう子宮頸管の収縮である。
【0215】
最大の開大において、リップ303と304は、BPD313を通過する(典型的に、ライン308に対するリップの顕著な絶対的な移動を含む)。これは短時間で起こり得るが、場合によっては、数分(或いはそれより長く)かかる可能性がある。さらに、子宮頸管の他の部分の頂上通過は、異なる時間に起こり得る。子宮頸管の全ての部分が頂点に達するとすぐに、全開大状態(230)が完了し、子宮頸管からの頭部退出(234)が開始する。本発明の典型的な実施形態においては、しきい値を用いて、頭部302に対するリップ303と304の大きな移動に基づいて、「全開大ポイント」を検知する。代替的に又は追加的に、参照ライン308に対して子宮頸管の展退動作があり得る。また、その展退動作を用いて、全開大ポイントを決定する。代替的に又は追加的に、検知されるものは、主として、ライン308に平行な展退成分と微動を含む、方向306と307の変化である。場合によっては、子宮頸管の大きな展退動作を引き起こす原因は、頭部302がもはや子宮頸管を前方へ押し進めておらず、その結果後方へ弛緩可能となっていることである。図3Bにおいて、わずかな展退動作が見られる。これは、場合によっては、リップ303と304の縮みに起因するものである。代替的に又は追加的に、図3B及び/又は図3Cにおいて検知されることは、リップ303と304とが産道に平らに接しているということである。これは、例えば、センサ102と104において、リップに取り付けられた方向センサ用いて、検知可能である。場合によっては、単一のセンサのみを使用してこの平らを検知可能である。
【0216】
選択的に、図3Aから図3Cのステージの間中、距離310と311の増加の程度は、過剰の子宮頸管組織の程度を評価するために用いられる。これは、例えば、将来の指診(例えば、将来の出産において)に対するインプットとして、又は、介護者を訓練するために、使用可能である。選択的に、この推定においては、リップ303と304は、最大の開大においてでさえ、前方にいくらかの伸びを有するであろうということが想定される。
【0217】
図3Dと図3Eは、出産プロセスの側断面図であり、BPD313上の子宮頸管口301の頂上通過を示す。再度、リップ303と304は、また、最大の開大において、既存のままの状態であるということが分かる。頭部上のリップの滑りの詳細は示されていないが、本明細書中で示すように、ある部分は最初に滑り他の部分は後に滑るというように、滑りは非対称である。
【0218】
選択的に、頭部の角度及び/又は屈曲を用いて、例えば、非対称の頂上通過によりもたらされる誤認を補償するために、状態230(全開大)から状態234(頭部退出)までの進行の決定を支援する。選択的に、そのような非対称の頂上通過は、子宮頸管上の位置センサの相対的な位置から検知され、頂上通過の進行における標示として使用される。
【0219】
なお、本発明の幾つかの実施形態では、子宮頸管の開大と頭部位置との間には、幾何学的な関係が想定される。したがって、全開大は、子宮頸管の位置と比較して、頭部位置が十分に進んだかどうかで特定されることが可能である。幾つかの異常な状態(例えば頭部の膨張)もまた、この方法で検知可能である。例えば、子宮頸管センサ間の距離が頭部の下降に対して明らかに小さ過ぎるときには頭部の下降が異常である。
【0220】
骨盤の形状の提示を完成するために、図3Fは、母親患者120の骨盤領域の断面図を示す。システムを較正する際に選択的に使用されるランドマークは、坐骨棘322と恥骨結合320である。産道の形状に関して、産科的真結合線326と骨盤軸324がマークされる。
【0221】
本発明の典型的な実施形態においては、子宮頸管平面を定義することができるように、3つの子宮頸管センサを用いる。しかし、子宮頸管センサを1つ又は2つよりも多く使用することは望ましくないであろう。
【0222】
本発明の典型的な実施形態においては、幾何学的な参照は、胎児の予測される動きの方向に、十分に離れた場所で使用される。この参照に対する移動を用いて、児頭と子宮頸管の相対的な位置を決定する。したがって、平面それ自体を決定することは必要とされない。参照は、例えば、数cm離れており、子宮頸管の開口に対する垂線の30度以内の角度範囲内にある。本発明の典型的な実施形態においては、参照は、坐骨棘を結合する単なるラインであり、単一の坐骨棘センサであったりする。
【0223】
図3Gは、本発明の典型的な実施形態による、ASISを結合しているライン形式の遠隔参照を用いた、子宮頸管と児頭の相対的な位置の抽出を示す概略図である。
【0224】
この例では、2つのASIS340と342を結合しているライン344が参照として用いられている。代替的に、異なる参照を用いることができ、それは例えば、児頭の初期の経路と同軸のラインと体の表面との間の交差点において体に取り付けられる単一のセンサである。選択的に、この経路の方向は、母体の解剖学的構造の画像から、又は、子宮収縮中の頭部の下降の方向から、推定される。
【0225】
距離346は、子宮頸管のリップ304とライン344(又は他の参照)との間で決定される。同様に、距離348と350は、リップ303(オプション)と児頭の前部分(314)について決定される。児頭と子宮頸管の相対的な下降は、選択的に、距離350を、距離346と348の平均と比較することによって推定される。幾つかの応用においては、単に、距離350を追跡することは、有用な頭部位置を決定するには十分であり得る。幾つかの応用においては、2つ以上の参照センサが用いられる。1つのセンサは、空間における異なるベクトルを持つ予測される児頭の経路の各セグメントに対して用いられる。
【0226】
代替的な実施形態では、たとえライン344が知られ又は知られ得るとしても、そのライン上の一点(例えばその中心)までの距離が参照として使用される。選択的に、任意の点の位置、例えば産道の内部の点は、種々のセンサの位置と比較される数学的な(計算された)参照点として使用される。
【0227】
代替的な実施形態では、児頭(又は子宮頸管センサのうちの1つ)とASISを結合して、平面が定義される。平面上への他のセンサ位置の投影を用いて、適切な相対的な空間的位置を決定する。
【0228】
なお、幾つかの実施形態では、3DOF(自由度3の)センサは必要なく、むしろ、幾つかの情報を提供するためには1次元センサが適切であろう。例えば、子宮頸管センサ間のTOF(飛行時間:Time of Flight)を直接決定することによって、子宮頸管センサ間の距離を決定するため、2次元で検知することは有用であろう。
【0229】
本発明の典型的な実施形態においては、上述のように、展退の推定値は、選択的に遠隔の参照ポイント又はラインを用いて児頭センサと子宮頸管センサ(又は複数の子宮頸管センサ)の間の相対的な頭部の下降を決定することによって、少なくとも、子宮頸管がわずかに開大している(例えば、3cm未満)状態の間に、得られる。
【0230】
[頭部の膨張]
図3Cに戻って参照すると、場合によっては、距離309は誤って評価される可能性がある。1例を挙げると、胎児の羊膜嚢は破れておらず、児頭センサは実際にはその嚢に取り付けられる。この場合には、撮像装置(例えば腹部又は骨盤の)を使用して、児頭の位置が報告されているところにあるかどうかを決定する。代替的に、児頭のセンサは、センサと頭部の間の距離を決定する超音波距離測定センサを含み得る。
【0231】
他の例では、頭部302は膨張を経験し、その中では頭皮と頭蓋骨の間に液体が集まる。本発明の典型的な実施形態においては、子宮頸管の開大が完了しないうちに、頭部のステーション数が増加していれば、膨張が疑わしい。代替的に又は追加的に、そのような膨張を検知するために、児頭センサ105の中へ適切なセンサを組み込むことができる。そのようなセンサの一例は、頭蓋骨からの波動(例えばエコー)の反射のTOF測定によって、センサから頭蓋骨までの距離を測定する超音波送信機/受信機である。
【0232】
選択的に、頭部モールディング状態(図2において図示していないが)は、頭蓋骨距離センサを用いて膨張が発見されず、わずかな子宮頸管の開大に対して異常な頭部位置が見られるならば決定される。
【0233】
[子宮頸管の開大の変動性による状態特定]
図4Aは、2つのグラフ400と402を示す。グラフ400は、複数の測定値から決定されるような、出産プロセスの進行の関数としての子宮頸管の開大の変動性を示す。グラフ402は、頭部の下降の変動性に関して、対応する測定値を示す。両方のグラフは、センチメートル単位である。活動段階より前の部分は推定であるが、グラフ400は測定値に基づいている。子宮頸管は、頭部退出後、サイズの変化を続ける可能性がある。幾つかの実施形態では、その後の変化をより理解するために、CDは、頭部退出後、ゼロに対し再参照される(又は設定される)。例えば肩の通過を検知するための継続した分析を続けてもよい。図4Aは、実際にモニタされた数十の出産に基づいている。選択的に、図4Aにおける2つのグラフは1つのグラフに結合される。それは、HSの変動性の関数としてのCDの変動性のグラフである。以下に説明するように、変動性を測定する及び/又は標準化する異なる方法を用いることができる。選択的に、例えば、変動性は、ピーク振幅検知(P)によって測定され、その後、P/Tを計算する(Tはピーク間の時間)。選択的に、比P/Tは、幾つかのピークにわたって、例えば4つのピークにわたって、平均化され、或いは代替的に、ある時間間隔にわたって、例えば10分間で、平均化される。一般に、変化量は、時間フレーム上で又はイベントフレーム上でカウント可能である。本発明の典型的な実施形態においては、医師が興味をもつパラメータは、最後の10又は5つの子宮収縮、又は例えば直近の30分か20分のもの、を用いて生成される。そのようなパラメータは、予測の判断材料として、又は分娩をより理解するために、使用し得る。
【0234】
子宮収縮中、子宮頸管の開大と頭部位置の双方の程度は、大幅に変化し得る。これらの変化は、種々のパラメータ、例えば、振幅の変化(CDでは最大2-3cm、HSでは最大3-4cm)、デューティファクタ(例えば、時間振幅の割合が0.25cmより大きい)、反復、上昇及び落下時間、及び/又は比率、また他の記録されたイベント(例えば子宮内圧、FHR、TOCOなど)との同時発生、によって特徴付けることが可能である。しかしながら、発明者は、分娩における種々の状態と明らかに相互関連する振幅の変動性におけるパターンを特定した。デューティファクタの計算において他のしきい値を選択することができる。例えば、最大値の25%に対して25%しきい値が設定される。子宮収縮は、各収縮間において、休息期間がなく(低い振幅の期間はあるが)、連続的にサイクルすることが可能であるので、選択されたしきい値のタイプは、計算されたデューティファクタに影響を与える可能性がある。
【0235】
本明細書中で用いられているように、変動性は、ベースラインとして用いられる長期間の傾向と比較して、短期間における値の変化を意味する。例えば、子宮収縮中、CDは変化する。この変化は、一時的に平均化されたCDの値(たとえ不均一なレートにおいて増加しなくても、うまくいけば定期的に増加する)と比較することができる。本明細書中で用いられる値は、一般に、センチメートル単位で提供され、幾つかの子宮収縮に対して標準化された又は平均化された効果をもつ。変動性は、その結果、短期間にわたる平均値とその期間にわたる変化を比較することによって、定義することができる。正確な典型的な方式を以下に記載する。
【0236】
「活動段階」において、「加速段階」は、子宮頸管の活性及び頭部の下降の増加と関係がある(ピーク振幅の変化の範囲は5-10mmであり、3-5分ごとに繰り返される)。これは、変動性の増加として見ることができる。代替的に又は追加的に、上述のように、上昇率と下降率の間の非対称性は、明らかに、最大傾きにおけるものよりも小さい。患者によっては、それはさらに大きい場合がある。また、上述のように、娩出の子宮収縮において、場合によっては、上昇率と下降率の間においてより高い対称性が見られる。
【0237】
子宮頸管の開大の変動性は増加し、「最大傾き段階」(例えば変動1-3cm)の間にその最大値に近づく。それに対して、同時に起こる増加は、より小さい範囲に対してであるが(例えば0.5-1.5cm)、頭部位置の変動において観測される。「減速段階」は、CDの変動性の激減によって特徴付けられる。その一方で、HSの変動性は、「骨盤区分」及び分娩の至るところで増加し続ける。正確な変動性の値は、例えば、人口統計的な、胎児の大きさ、胎児の形状、胎児の胎位、出産回数、出産パターン、体型、及び/又は特定患者の性質に対して、変化し依存し得る。
【0238】
「潜伏段階」中、測定値は取得されなかった。しかしながら、子宮収縮は、通常、子宮頸管の開大(数ミリメートル)の軽微な変化しか引き起こさないか、変化を生じさせず、頭部位置への影響は無視できると仮定される。場合によっては、頭部が相対的に高ければ(「浮動」)及び産道になければ、頭部の下降は「準備区分」の間中は定義されない。場合によっては、しかしながら、頭部が高いとき、頭部が子宮頸管に到達するくらいの時間までは、収縮に対して強く反応する。そのポイントにおいては、変動性は激減するであろう。場合によっては、頭部は、潜伏段階においてさえ、産道に嵌入する。しかしながら、場合によっては、潜伏段階の子宮収縮が概して弱く且つ頻度が少ないために、HSの変動性は、その中で、小さい状態が維持されることが予測される。
【0239】
したがって、多くの場合には、「頭部対子宮頸管」状態(開大区分)の開始は、非常に低い又は皆無であるCD及びHSの変動性で特徴付けられ、その後、子宮頸管の収縮がより効果的になるにつれて、双方の変動性がより高くなる状態へ進む。
【0240】
HSの変動性が予測された増加を示さないことは、分娩進行不全(222)を示唆する。その場合、異常な状況のフラグを立たせることができる。正確に異常な状況は、例えば、分娩の段階及び/又は他の測定されたパラメータに基づいて特定可能である。
【0241】
本発明の典型的な実施形態においては、以下の実際の状況を用いて進行が欠如している状態を決定する。その状況とは、かなり大きいCDの変動性(1-2cm)、かなり大きいHSの変動性(0.5-1.5cm)、正味の進行がほとんどない又は全く無いこと(0.3cm未満)、1時間の間の頻繁な収縮(10分当り3回)である。
【0242】
本発明の典型的な実施形態においては、CD及び/又はHSにおける短期間の一時的な変化量(例えば変動性)、及び/又は他の幾何学的パラメータを用いて、基準を調整し及び/又は定める。その基準により、正常に機能しない一連の分娩の状態を定義する。選択的に、40、20、又は10秒の時間分解能、及び3mmまたはそれよりも高い空間分解能を用いて、個々の子宮収縮の前、最中、及び/又は後の影響を特徴付ける。これらの特性は、種々の統計学的なパラメータ、例えば、分散、平均値、継続時間、反復、上昇及び落下時間、及び/又はTOCO/IUPとの同期化、の観点から表現することができる。本発明の典型的な実施形態においては、10分の周期で、20秒ごとに、位置がサンプリングされる。他方、例えば、40秒ごとに又は1分ごとというように、データ獲得の度合いを遅くして同様に用いることができる。他のサンプリング周期、例えば5分又は15分も同様に使用可能である。
【0243】
なお、本発明の典型的な実施形態においては、児頭及び/又は他の子宮頸管の部分に対する子宮頸管の初期位置の絶対的な情報なしで、変動性の情報が使用される。結果として、幾つかの実施形態は、センサの数を減らすことができる(例えば1つの子宮頸管センサのみで変動性を測定する)。すなわち、それは較正ステージの少なくとも幾つかをなしで済ませるためになされる。特に、ゆっくり生じるドリフト、又は動作による突然の変化は、中程度の期間(例えば、10秒よりも長く、30分よりも短い)にわたって変化量を測定することによって、無視することができる。
【0244】
本発明の典型的な実施形態においては、その後のプロセスの1つを用いて、頭部位置及び/又は子宮頸管の開大の変動性と変化を抽出する。
【0245】
一例を挙げると、幾何学的な又は生理学的なパラメータのうちの1つの測定信号(例えば、頭部位置又は子宮頸管の開大)が得られる。その後、平滑化のために、その信号に対して、10秒のウィンドウで中央値フィルタリングが選択的に実行される。その後、平滑化された信号が微分される。選択的に、生理学的な推論に基づいて、例えば率の変化に基づいて、アーチファクトが取り除かれる。選択的に、中央値フィルタリングに関するしきい値は、出産の状態によって決まる。また、アーチファクトは、微分の前に、又は積分の後に、取り除かれてもよい。その後、信号は、再び積分される。選択的に、ベースラインは、元の状態に戻らない。
【0246】
短期間の曲線は、その後、選択的に、40秒のウィンドウを用いて中央値フィルタリングによって生成される。ベースラインは、選択的に、ランクフィルタ、例えば、フィルタされているウィンドウ(例えば3分のウィンドウ)における25%の値を選定する25%中央値フィルタ、を用いて生成される。より短い或いはより長いウィンドウを用いることができる。しかしながら、このウィンドウサイズは、概して、少なくとも1つの子宮収縮及び少なくとも1つの休息期間を含むであろう。子宮収縮は典型的に1分から1.5分よりも短く、また、収縮間の休息期間は典型的に同様のサイズである(デューティファクタが50%未満において)。したがって、このウィンドウサイズは、25%のランクフィルタを用いて休息期間を検知することを保証することができる。25%ランクを選定するよりもむしろ、他のランク、例えば20%や30%を使用してもよい。当然ながら、ベースラインは、概して、進行を示す。短期間の曲線からベースラインを引くと、子宮収縮パターンとなるであろう。選択的に、例えば生理学的な推論に基づく、追加的なフィルタリングが実行される。一例を挙げれば、持続時間中(選択的に、例えばCD又はHSの変化が0.25cmであるような影響におけるしきい値をもつ)、2.5分よりも大きな子宮収縮が検知される。なお、スカラー値が処理されるものとされているが、より高い次元のデータ、例えば児頭センサの3D空間位置、を同様に処理することができる。なお、ベースラインが構築されているにもかかわらず、このベースラインは、測定されるベースラインに一致していなくてもよい。
【0247】
他の方法においては、20秒の期間にわたって生データを平均化することによって、短期間のグラフを生成し、SNRを改善し、及び/又は、突然の移動と技術的な誤差に起因するアーチファクトを取り除く。各収縮は約50-60秒間続き、その結果、ハイパスフィルタ、例えば20秒間の移動平均、が収縮の効果を不明瞭にすることがないということに留意すべきである。未加工の測定値は、長周期傾向、例えば10分以上(例えば、活動段階におけるインターバル当り少なくとも2つの収縮)の期間における平均、を作り出すために平均化(例えば、移動ウィンドウ平均、中間値フィルタ、又は他のフィルタを用いて)される。この長期間の傾向は、以下のように、変動性の情報を得るための短期間のデータから引かれる。短期間の平均値から長期間の傾向を引くことは、CDとHSラインから正味の進行を除くことである。変量を定量する1つの方法は、収縮ラインの二乗平均平方根(RMS)を算出することによる。他の方法は、以下に述べる。統計的なモーメントの算出及び/又は分析は、当技術分野で既知の方法を用いて実行することができる。変動性の情報を得るために及び/又は分析するために使用可能な他の典型的な処理方法は、例えば、ウエーブレット解析又はスペクトル解析、また変動性ラインを特徴付けるための他のフィルタである。
【0248】
この抽出された情報は、例えば、上述のように、状態を決定するために使用することができる。代替的に又は追加的に、それは表示されてもよい。例えば、変動性は、時間の関数としてのCDの変動性、時間の関数としてのHSの変動性の個々のグラフ、及び/又は同一のグラフに結合して表示可能である。例えば、1つはその他の関数として重ね合わせ又は提供される。選択的に種々のマーキングされたガイド(例えば出産ステージに関するもの)を用いてもよい。この表示形式においては、出産状態に関して予測された値と比べた現在の変動性間及び/又は比率間のミスマッチは、手作業で簡単に識別することができる。選択的に、そのグラフは、他の表示、例えばTOCOやECGと一緒に示される。本発明の典型的な実施形態においては、状態に基づく表示が使用され、各状態において、値から標示が生成される。特定の例は、以下に述べる。
【0249】
[頭部対子宮頸管の状態のモニタリング]
図4Bは、子宮頸管の開大と頭部位置の間の既知の平均値の関係を示す。本発明の典型的な実施形態においては、同様の関係を用いて、分娩の区分を自動的に特定する。選択的に、その関係が考慮されている間、正確な数値及び/又は傾きは、定数として取り扱われない。患者間の変動性を考慮するためである。
【0250】
本発明の典型的な実施形態においては、頭部位置と子宮頸管の開大の関係を用いて、準備区分から開大区分(「頭部対子宮頸管」状態として、本発明の幾つかの実施形態に対して再定義及び変更される)までの推移を決定し、骨盤区分への推移を検知する。準備区分中において緩やかであるグラフの傾きは、「頭部対子宮頸管」状態への推移中、急速に増加する。それは、この状態においては、ほぼ線形のままあり、典型的に、経産婦と初妊婦の間にわずかな差を有する。骨盤区分への推移中(典型的に、図1の減速段階に対応する)、傾きは全開大においてゼロへと激減する。本発明の典型的な実施形態においては、そのグラフの形状(例えば、グラフ中の分岐点と比較的線形な傾きの区域)は、傾きの変化を決定するために、複数の測定値の統計的な処理により検知される。しかしながら、その決定は、平均的な分娩よりもむしろ特定の分娩に関係するので、これらの点は、選択的に、「標準のグラフ」上の点に関連することが期待されていない及び/又は拘束されていない。本発明の典型的な実施形態においては、その決定は、空間的に離れた比較的多数の点での同時測定によりなされ、それによって、状態が迅速に決定される。
【0251】
本発明の典型的な実施形態においては、患者に関して抽出されるような図4Bのグラフは、「頭部対子宮頸管」状態を追跡するために使用される。また、図4Bにおいて数値的な分析を実行することができる。例えば、グラフの傾きは、頭部に対する子宮頸管の追従性を示す。異常な追従性の値は、異常な状態を示し得る。
【0252】
なお、機能的な及び/又は測定可能な用語で定義されるので、「頭部対子宮頸管」状態は、従来技術で定義されている一般の「開大の区分」より有用であることに注意する。
【0253】
上述のように、図4Bと同様のグラフは、変動性にもとづくが、上述のような同様の方法に使用可能である。
【0254】
[データの統合]
本発明の典型的な実施形態においては、複数のソースからのデータは統合される。選択的に、そのソースは、少なくとも1つの幾何学的なデータソース(例えば位置センサにより提供される、例えばCDとHS)と少なくとも1つの生理学的なデータソース、例えば胎児心拍数、IUP、及び/又はTOCOからなる。また、例えば以下に述べるように、母体の生理学的な情報を用いることができる。
【0255】
図4Cは4つのデータソースのリアルタイム追跡を示す概略図であり、各データソースは胎児心拍数追跡430、IUP及び/又はTOCO追跡432、頭部位置追跡434、及び子宮頸管の開大追跡436である。典型的に、IUPは、薬剤が投与されるとすぐに、出産のいくつかのステージにおいてTOCOに代替される。現実の(測定された)追跡は、以下に示される。
【0256】
本発明の典型的な実施形態においては、複数のデータソースの表示は、複数の追跡が示されるように統合され、オペレータがそれらを手作業で分析する。代替的に又は追加的に、例えば、以下に示すように、悪い状態及び/又は危険な状況を決定するために、自動的な分析が実行される。選択的に、例えば、プリンタが組み込まれた標準の生理学的なモニタへそれらの追跡を伝達することによって、又は、モニタのソフトウエアを変更することによって、幾何学的なデータと生理学的なデータの両方の追跡が同じ紙面にプリントアウトされる。選択的に、そのプリントは要約データとしてであり、例えば、用紙に数インチごとにプリントされる。例えば、数値及び/又はグラフをプリント可能である。そのような小さなグラフは、例えば、過去の、現在の、予測される、及び/又は所望の値を示すことが可能である。代替的に又は追加的に、警告及び/又は状態の標示をプリント可能である。選択的に、生理学的なデータ(例えば、IUP、TOCO、FHR、及び/又は母体の情報)に加えて、以下の情報のうちの1つ以上がプリントされる。その情報は、CD、HS、及び/又はそのうちの1つ若しくは両方の変動性である。
【0257】
他のオプションの表示形式は、ヒストグラム状の表示である。その表示は、CDの値の範囲ごとに、CDの値の関数としてのピーク振幅の平均の変化を示す。場合によっては、ピーク振幅を表示することは、ピークの値又はピークの値の平均がデューティファクタの影響を無視するという点で、変動性の情報を示すことよりも効果的でない。
【0258】
ピーク振幅の平均の代わりに、他の情報を示してもよい。代替的に又は追加的に、別のスケール(一組のビン)、例えば頭部位置又は時間又は状態を、子宮頸管の開大の値の代わりに用いる。選択的に、ヒストグラムは、薬物の予測される効果を示す。いずれかの場合では、ヒストグラムは、予測される値を現実の値と比較するために使用することができる。本発明の典型的な実施形態においては、ヒストグラム又は他の簡潔なデータ表現方法は、比較的長期間、例えば1時間以上、又は2時間未満(例えば30分以上)、において収集された(及び選択的に処理された)データを示す。そのような時間の長さにおける生データは取り込むことが非常に困難である。分娩経過図は、簡潔であるが、患者自身の挙動と比較することができず(分解能が原因で)、又は、重要な情報、例えば変化量、を見ることができない、という点において簡潔すぎる。本発明の幾つかの実施形態においては、簡潔で統計的な表示が状態を検知する際に役立つということが予想される。
【0259】
ディスプレイ上でのデータの統合は、例えば、相互関係、傾向の決定、段階及び/又は波形の比較、及び/又は他の機能的な関係を含み得る。
【0260】
選択的に、幾何学的な及び生理学的な情報の相互関係を用いて、センサが適切に取り付けられているかを決定する。例えば、CDが大幅に変化している間の非常に低いTOCOは、おそらく、TOCOセンサが適切に取り付けられていないことを意味する。同様に、HSの変化なしでIUPが高ければ、胎児位置センサが接続されていない又は適切に読み取られていないことを意味している可能性がある。
【0261】
本発明の典型的な実施形態においては、TOCOの情報は、有効性及び他の子宮収縮パラメータをいつ測定したらよいかを定義するトリガーとして又はウィンドウとして用いられる。
【0262】
本発明の典型的な実施形態においては、胎児徐脈は、形状(geometry)と相互に関連しており、その重要性及び/又は考えられる原因を決定するのに役立つ。例えば、CDの減少後に持続する胎児の心臓の変化により、異常を示唆できる。同様に、胎児の酸素飽和度とCDやHSとの間の相互関係により、問題を示唆できる。
【0263】
本発明の典型的な実施形態においては、IUPは、形状(geometry)と相互に関連しており、胎児の危険な状態を決定する。例えば、IUPに関するHSの変化に対して、基準を設定することができる。例えば、もし、高いIUPがHSのどのような変化(又は小さな変化のみ)にも相互に関連しなければ、これは、児頭にかかる高い圧力を示している可能性がある。代替的に又は追加的に、そのような相互関連は、子宮収縮を強める又は弱めることによって分娩を遅延又は加速させることを目的としている薬物療法の効果を示している可能性がある。例えば、もし、形状(geometry)が変化せずにIUPが高くなれば、これは、薬物治療が実際に危険であろうということを示している。
【0264】
本発明の典型的な実施形態においては、母体の問題が診断される。例えば、IUP及び/又はCDの変化に関連する、血圧又は心拍数の変化は、母体の問題の指標となり得る。特定の例は、もしCDの変化量が一連の子宮収縮の間、血圧と共に低下すれば、これが母親が衰弱していることを示している可能性があるということである。これは、例えば、子宮収縮における種々のパラメータ、例えばその長さなど、に関連し得る。
【0265】
本発明の典型的な実施形態においては、IUPの値は、CDとHSの測定値をゲートとするために用いられる。例えば、IUPは、動きアーチファクトに対して感受性が低いと想定される。患者が歩いて、IUPのとおりに子宮収縮が開始するとき、HSとCDが測定される。選択的に、例えば、前もって指示を与えることにより、又は、リアルタイムでシステム100から音声信号を与えることにより、そような時間において動作を停止するように患者に要求する。
【0266】
本発明の典型的な実施形態においては、トリガーされた表示(triggered display)が示される。その表示は、例えば、IUP又はEMGにより検知されるような子宮収縮から開始する。選択的に、多数の子宮収縮が重ねられる。選択的に、それら子宮収縮の効果が重ねられる。選択的に、その効果は、例えば長さ及び/又は振幅について、標準化される。選択的に、変化量の範囲及び/又は他の統計的な情報は、例えば密度差として、示される。
【0267】
[子宮収縮の形状]
発明者は、子宮収縮の形状(例えば、幾何学的な結果及び/又は圧力値)が種々の目的のために分析され使用されることが可能であることを発見した。特に、後述のパラメータのうちの1つ以上は、興味深い。それらパラメータは、下降率、デューティファクタ、及び相対的な持続時間、及び/又は同時発生及び/又は圧力測定値(IUPやTOCO)と比較される幾何学的な測定値の位相の遅延又は胎児のバイタルサインの測定値(FHR及び/又はSpO2)である。また、周波数、収縮曲線の下の領域、及び振幅が加えられ又は代替される。本発明の典型的な実施形態においては、これらのパラメータの1つ以上について予測された基準値を用いて、異常な状態を検知し及び/又はアーチファクトを除去する。一般に、フィルタリングのために使用されるしきい値は、基準値に設定されず、より大きな値、例えば生理学的に可能性のある値に、設定される。一例として、幾つかの動きアーチファクトは、生理学的に不可能な上昇率を発生させる。他の例では、デューティファクタが0.1よりも低ければ、娩出の子宮収縮は明らかに異常である。
【0268】
本発明の典型的な実施形態においては、子宮収縮活性のグラフは、潜在的な子宮収縮を識別するために、0.25cmのしきい値を用いて作成される。子宮収縮活性は、10分間の移動平均を用い且つしきい値を越える値を合計している収縮曲線から推定される。得られた値は、0.5(通常の子宮収縮の最大のデューティファクタを示す)で割られた。場合によっては、例えば、数人の患者において比較的高いデューティファクタが見られれば、異なる標準化の値を用いる。なお、この活性パラメータは概して、子宮収縮の大きさと比率の双方に対して敏感である(最大の収縮長さが人々の間でかなり均一であると想定すると)。選択的に、子宮頸管の開大の変動性の値及び頭部位置の変動性の値は、状態を適正とするために、及び子宮の作用や効果を評価するために、使用される。典型的に、加速段階においては、CDの変動性については0.25cm-1.0cmの値が見られ、HSの変動性については0-0.75cmの値が見られる。選択的に、加速段階は、デューティファクタ(収縮持続時間と収縮間の間隔との間の比)が典型的に0.1-0.3の間であるその収縮曲線によって認識される。
【0269】
[子宮収縮の実用性のパラメータ]
本発明の典型的な実施形態においては、子宮収縮の「実用性」が評価される。例えば、後述の測定のうちの1つ以上を使用することができる。
(a)大きさ。これは、子宮収縮の仕事(又はエネルギー)量を示す。もし、小さい子宮収縮のみが見られるのであれば、患者がいまだ潜伏段階にあるということを示す。大きさは、例えば、IUPによって(例えば、長時間にわたって圧力を積分することによって、そして選択的にその値を標準化することによって)、推定することができる。また、EMG信号は、筋肉により実行される仕事量を推定するために使用され得る。
(b)有効性。これは、特定の子宮収縮がどの程度分娩を進行させたかを示す。例えば、子宮収縮後における子宮頸管の開大の変化である。本発明の典型的な実施形態においては、有効性は、分娩のステージに関係している。例えば、全開大に到達した後、さらなる子宮頸管の開大は期待されない。選択的に、分娩の進行に対して補正が行なわれる。例えば、各子宮頸管の開大の値に対する子宮頸管の開大の標準的な単位変化を示すためである。子宮頸管の開大が全開大に到達するにつれて、たとえ全ての子宮収縮の有効性が同一であっても、各収縮のより小さい正味の増加が予測される。同様の補正は、頭部位置に対しても提供可能である。選択的に、頭部位置の有効性は、子宮頸管の開大の有効性とは個別に測定される。代替的に、両測定は、1つの有効性の測定に結合される。選択的に、分娩における異なる部分ごとに、異なる有効性の値が予測される。選択的に、有効性のプロファイルは、出産全体として予測される。選択的に、分娩は、その期待される予測可能性に基づいて分類される。一例を挙げれば、変動性の変化が予測されている進行のグラフ(例えば図4A)と一致すれば、少なくともその幾つかの段階においては、分娩はより予測可能であるものとして留意される。選択的に、CDの変動性とHSの変動性の間の関係を使用して(例えば、ルックアップテーブル又はニューラルネットワークシステム又はルールベースシステムを用いて)、予測される進行率(c/hour)を生成する。選択的に、その進行は過去のパフォーマンスにも依存する。その関係は、標準化されてもよい。
【0270】
本発明の典型的な実施形態においては、種々の可能性のあるシナリオの下での分娩の進行の状態及び予測を示す、1つ以上の「CLM数(computerized labor management:コンピュータ化された分娩管理)」が提供される。これらの数字は、測定されたパラメータの関数を表現すことができる。例えばそのパラメータは、開大の下降と位置の振幅、比率、及び持続時間である。また、これらの数字は、パラメータ化を用いて或いは用いずに、パターン認識方法や他の方法で評価され得る。選択的に、考慮されるパラメータは、CDの変動性、HSの変動性、及びデューティファクタの全てを含む。
(c)効率性。これは、子宮収縮がどのくらい効率性があるかを示しており、また、大きさと有効性との間の比率として表現することができる。効率性の低下(例えば、予測されたプロファイルと比べて)は、異常な状況の指標となり得る。
(d)デューティファクタ。これは、子宮収縮がどのくらいの頻度であるか及び長さであるかを表す。最大のデューティファクタは生理学的な極限であるが、より低いデューティファクタは、出産状態及び/又は異常な若しくは非効率的な状況を示すために使用され得る。
(e)上昇/下降率。一般に、上昇率は、子宮収縮の強度と、組織及び/又は胎児の整合性との間の比率を示す。比率の低下は、効果的な/実用的な子宮収縮の低下を示している可能性がある。下降率(例えばCDの)を用いて、組織及び/又は胎児の弾性を示すことが可能である。例えば子宮頸管が展退する(より弾性が低い)かどうか、頭部の膨張があるかどうか(より弾性が低く、動きの範囲が大きい)を示すことが可能である。また、下降率(例えば圧力の)は、子宮の活性化の同期性の標示を提供することができる。もし下降がゆっくりであれば、これは、子宮の部分が順番が狂って収縮していることを示している可能性がある。また、上昇率の低下は、子宮の同期化の問題を示している可能性がある。
(f)種々の測定間の遅延(例えば、平均、上昇時、ピーク安定期時、下降中、及び/又は安静な期間)。それらの測定としては、例えば、圧力測定や幾何学的な測定である。また、その遅延は、例えば、その幾何学的な測定はすなわち幾何学的な測定の異なる形式間におけるものである。しきい値を越える所定の遅延は、異常な子宮収縮や作用を示す分裂を示し得る。例えば、圧力とHSの変化との間の長すぎる遅延は、児頭が停止していることを示し得る。逆に、もしHSの変化が圧力がピークに達するよりもずっと前に停止していれば、追加的な圧力が無駄になっている可能性がある。
(g)uEMG。本発明の典型的な実施形態においては、子宮の電気的な同期化を用いて、子宮内の収縮波が適切に進行しているかを評価する。本発明の典型的な実施形態においては、電気的な活動と結果との間の対応は、電気的な活動を変更することが必要とされるかどうか及び/又は変更が所望の効果を有するかどうかを示す。
【0271】
選択的に、これらの測定値は、値として及び/又は値の変化量として決定される。
【0272】
本発明の典型的な実施形態においては、収縮の有効性(値及び/又は変動性)が決定される。選択的に、幾何学的なセンサと他のセンサ(例えば、TOCOやIUP)のうちの1つ又は両方が収縮が進行中であることを示すときに、子宮収縮の有効性が測定される。
【0273】
本発明の典型的な実施形態においては、モニタされる対象は、IUPの関数としてのCDやHSの変動性である。一例を挙げると、薬物が滴定される際、uEMGやIUP/TOCO信号は筋肉への影響に対するフィードバックを提供することができ、一方で、HSの変動性及びCDの変動性は分娩の進行への影響を示す。
【0274】
本発明の典型的な実施形態においては、特定される対象は、最大スループット状態である。そして子宮がそのベストを尽くしているということが決定される。このポイントにおいて子宮を酷使することは、ダメージをもたらし及び/又は分娩の進行をより早くはしないであろう。本発明の典型的な実施形態においては、ひとたび、0.5cmを越えるCDの変化量のしきい値が見出され且つ50%に近いデューティファクタが検知されると、これは、子宮がピーク状態において機能しているということを示し、さらには、薬物の滴定が、分娩を進行させることなく、子宮収縮強度を増加させている可能性があるということを示している。いずれにせよ、子宮の働きが良くなると(たとえ分娩の進行がゆっくりでも)、出産が自然に継続するようにそのままにしておくことが望ましい。選択的に、ひとたび、このパフォーマンスが見られると(例えば、残りの進行を進行率で割ることによって)、進行率はより正確に推定され得る。なお、分娩経過図を用いることとは違なり、この特定はCDに依存しない。本発明の典型的な実施形態においては、薬物の滴定は、子宮の最大の有効性を有するこの状態に達するようにコントロールされる。
【0275】
また、患者に対して予測可能である傾きが最大である間、患者が最大傾き(CDの分娩経過図の)にあることを示すので、この状態は個人の最大傾きと呼ぶことができる。本発明の典型的な実施形態においては、計測器又は発光LED又は専用ディスプレイを含む装置が提供される。その装置は、最大傾き状態が近づいていることを示す(例えば、さらに、薬物が停止されるべきか又は減少されるべきかを示す)。そのように近づいていることは、例えば、一様に増加するデューティファクタ及び連続的にしきい値を越えるCDの変化によって、検知可能である。
【0276】
選択的に、子宮収縮の効率性は、収縮とHS(及び/又はCD)の正味の進行(δ)によってもたらされるCD及び/又はHS振幅の変化の関数として定義される。一例では、次の式δ/{sqrt(l+Dcd*l+Dhs)}が使用される。式中、DcdとDhsは、子宮収縮の間のCDとHSの変化を表す。
【0277】
選択的に、子宮収縮の有効性は、複数の収縮に対して及び/又はある期間に対して決定され(例えば、移動するウインドウの手法を用いて)、例えば、正常な又は異常な分娩プロセスの標示としての役目を果たす。子宮収縮の有効性の変化は、場合によっては、正常であり或いは問題を示す。選択的に、ベースラインの値は分娩のステージの関数として複数人の女性に対して測定され、実際の値がベースラインと比較される。
【0278】
選択的に、有効性の決定には、子宮収縮の1つ以上のパラメータ、例えば、幅、圧力(内部の又は外部の)、上昇率及び/又は下降率、ピーク持続時間、ピーク振幅、及び/又は曲線下の面積、が考慮される。
【0279】
本発明の典型的な実施形態においては、上述の測定値の変化の1つ以上の所望のパターンが提供される。一例では、そのパターンは、患者から収集される。例えば、それは、以前の出産について長期間のパターン(例えば1時間以上)で、及び、現在の出産について短時間のパターン(例えば10分又は20分)でなされる。選択的に、異なる状態は、異なる値及び/又はそれらの値に関係する式を有する。例えば、それは、子宮頸管の開大が変化しないことが予測されるステージに対して、及び/又は、頭部位置のかなりの変化が予測されるステージに対してである。選択的に、既知の「良い」又は「悪い」パターンとの一致は、オペレータに示される。
【0280】
[較正及び初期化]
本発明の典型的な実施形態においては、状態の決定は、システム100が分娩の未知のステージにおいて患者に取り付けられるときに、そのシステムの初期の較正を支援するために用いられる。一例を挙げると、ある期間にわたって収集されたCD及びHSの変化量のグラフは、分娩の状態を評価するために、予測された及び/又は平均のグラフとマッチングさせられる。代替的に又は追加的に、その状態は、幾何学的及び/又は生理学的な検討材料から特定され、モニタリングはそのポイントから続行される。選択的に、複数の現在の測定値を収集した後に履歴が推定される。例えば、頭部位置の変化を収集することができ、その後、較正が実行されると、その変化は空間に位置づけられる。
【0281】
選択的に、子宮頸管センサは、例えば、児頭を模倣するための既知の形状(geometry)を用いて、ハンドルに備えられたファントム又はセンサにより、較正される。選択的に、その較正は、センサのサイズ及び/又は位置を補正する。選択的に、目視検査がなされ、補正(例えば、子宮頸管の相対的な配置)の必要性を評価する。選択的に、子宮頸管における配置の方向は、子宮収縮中及び/又は収縮中のセンサの回転から推定される。本発明の典型的な実施形態においては、その開示が参照により本明細書中に組み込まれている、2004年11月29日に出願されたPCT/IL2004/001092において提案されているような較正が実行される。選択的に、その較正は、異なる体位ごとに異なる較正値を含む。代替的に又は追加的に、その較正は、CD及び/又はHSの突然の変化がなく、そのような突然の変化は移動またはそれと同様なものを原因とするというこを想定することを含む。それ故、測定された値は、継続するように拘束される(例えば、ベースラインCDの継続的な進行)。
【0282】
[子宮頸管の開大の補正]
図4Dは、医師により現在使用されている表示方法に一致させるための、実際に測定された子宮頸管の開大を補正する方法のフローチャートである。このフローチャートにおいては、HDは、NH3-(NC1+NC2)/2として計算される。ここで、NH3、NC1、NC2は、図3Gに示す仮想ラインからの距離である。HD0は、電極/センサの取り付け中のHDである。HDLTは、10分間のHDの長期間の移動平均である。CDLTは、10分の期間における、2つの子宮頸管センサの間の距離の長期間の移動平均である。ファクタは、経験的に0.7に設定されている。選択的に、HDは、子宮頸管プローブのレベルに対する、測定された頭部位置である。
【0283】
以上のように、補正は、選択的に、所定ポイント(例えばCDLT>6.5)の後にのみ適用され、選択的に、頭部位置に応じて異なって適用される。10cmにわたる開大の結果はいずれも、幾つかの実施においては、全開大と見なされるであろう。代替的に、その手順の開始において計算されたベースライン(NC1,0+NC2,0)/2と比較した距離(NC1+NC2)/2の減少は、CDの補正のために使用されるパラメータである。選択的に、子宮頸管上で単一のプローブを用いて、距離NC1のみが使用される。同様の方法では、補正は、異なるファクタに付随する所定のポイント(例えばCDLT>6.5)の後に適用されるであろう。当然ながら、これらの値は、その方法の範囲を変更せずに変化可能である。
【0284】
選択的に、子宮頸管の開大及び/又は頭部位置の値は、それらの値を補正する子宮収縮のために、それらの変動性を考慮することができる。例えば、収縮中の大幅な変化の存在下における開大に対する所定のファクタを加えることによってなされる。この補正は、指による触診を用いる人間によって報告される値に近い値をもたらし得ることが予想される。例えば、もし変動性が大きければ、子宮頸管がよりフレキシブルであるという理由で、人間は過大評価しがちになるであろう。
【0285】
場合によっては、子宮収縮中の子宮頸管の開大の変化と組織の一貫性及び/又は整合性との間に関係がある。子宮収縮により与えられた適用圧力の影響と人間の指により与えられた適用圧力との間に関係があるという仮定に基づいて、例えば、単に変動性だけではなく収縮強度もまた、測定された値に対するより良い補正を提供することができる。選択的に、実際に測定された値は、その表示時に医師(すなわち特定の医師)が報告したであろうことと一致するように補正される。選択的に、システム100は、個々のオフセット及び特異性を学習する(各CDにおいて、医師がどの程度強く指を広げたかなど)。
【0286】
本発明の典型的な実施形態においては、一貫性は、子宮頸管口の膨張の測定時に子宮頸管口に対し既知の圧力を適用することにより推定される。選択的に、そのような測定は、指による測定中に実行される。選択的に、圧力センサは、圧力を測定するために、医師の指に着けられる。代替的に、医師ごとに較正が行なわれてもよい。選択的に、子宮頸管を引き伸ばす装置が使用され、測定された膨張と結合されたときに一貫性を推定するために使用される
【0287】
本発明の典型的な実施形態においては、患者の形状(geometry)を補正する。例えば、肥満の人や小柄な人は、異なる基準の幾何学的なサイズ(例えば、補正が適用される場所における、予想される最大の子宮頸管の開大やしきい値)を持っている可能性がある。例えば、補正は、人口統計的な情報、以前の出産、指による測定、一貫性、及び/又は他の既知の若しくは推定された子宮頸管のパラメータに基づき得る。
【0288】
選択的に、CDは、プローブの間違った位置や子宮頸管の非対称な膨張の補償を含んでいる。一例を挙げると、複数のプローブのベクトルの動きを用いて、それらの相対的な位置を見積もる。なお、たとえCDの測定それ自体がなくても、全開大の検知は補正されるであろう。
【0289】
[幾何学的な変化]
本発明の典型的な実施形態においては、幾何学的で解剖学的な変化を用いて、状態の変化を検知する。
【0290】
一例を挙げると、上述のように、図3Cを参照して、子宮頸管口のリップ303と304は産道に対して平らに寝ている。リップのこの方向は、方向感知能力を有するセンサ102や104を用いて、検知可能である。
【0291】
他の例では、児頭302が子宮頸管を通り過ぎるとすぐに、子宮頸管は収縮することができる。この収縮は、場合によっては、検知可能であり、頭部の通過を示す。代替的に又は追加的に、子宮頸管の直径は、胎児の体が通っていくにつれて変化し得る。例えば、その直径は、両肩において増加し、胎児の骨盤が通りすぎると減少する。
【0292】
選択的に、子宮頸管の展退は、例えば、上述のように、子宮頸管の厚みを測定することによって検知される。
【0293】
[第二ステージにおける頭部位置]
図5から図7は、胎児の体位ごとに異なる出産メカニズムを示す。しかしながら、3つ全てに共通なことは、産道を通り過ぎる間、児頭302が回旋し及び伸長することである。各体位おいては、これらの方向の変化は異なって生じる。しかしながら、これらの方向の変化は、産道の形状(geometry)に影響する。
【0294】
本発明の典型的な実施形態においては、システム100は、方向の変化を追跡する。選択的に、複数の変化をマッチングさせ、予測される変化のパターンにそれらの順序をマッチングさせる。一例を挙げると、介護者は、胎児の体位がどのようであるかを示す(例えば、分娩前に又は全開大において)。その後、システム100は、その体位に基づく、予測される一組の状態を使用する。選択的に、予測される状態は、その状態に関するパラメータを含む。それらは、例えば、測定値に対して予測される値、頭部の回旋の予測される程度、及び/又は状態の予測される持続時間(又は場合によっては、最大の適度な持続時間)である。
【0295】
本発明の典型的な実施形態においては、児頭の位置は、患者間で異なる、数値的な用語でなく、機能的な用語、例えば「回旋嵌入前」、「屈曲前」、及び「屈曲後」で表現される。選択的に、児頭の位置及び/又は方向は、患者の骨盤の画像又はグラフ表示において示される。選択的に、予測される出産プロセスも同様に示される。一例を挙げると、一般的な表示は、母体の測定値にマッチングさせるために、幾何学的に修正される。
【0296】
種々の参照フレームを使用する典型的な表示は、2つ以上のプローブの「質量中心」である。選択的に、複数のプローブのうちの1つ、例えば、児頭プローブが中心とされる。この提示の形式は、ノイズ例えば、動きアーチファクトノイズ、を減少させる役目を果たすことができる。そのような表示は、図11Hに関して、後述される。
【0297】
選択的に、骨盤計測が使用され、骨及び/又は産道の幾何学的な表示を生成する。例えば、骨盤計測には、位置センサを用い、又は異なるイメージングシステム、例えば超音波、MRI、若しくはCTを用いる。選択的に、オペレータは、出産プロセス中に、この構造の予測される変化を明確にすることができる。選択的に、頭部位置及び/又は方向の情報は、そのような幾何学的な表示上に、及び/又は抽象的な表示上、例えば解剖学的なランドマークにマーキングされ且つ胎児の予測される経路を示すライン、に示される。
【0298】
選択的に、システム100は、また、例えば、子宮頸管の開大測定によって決定される児頭のサイズの推定値及び医用画像手法によって得られた母体の測定値を用いて、幾何学的なフィッティングの問題があるかどうかを確かめようと試みる。
【0299】
[時間の推定値]
選択的に、システム100は、未来の状態に対する又は出産(出産の準備)に対する時間の推定値を提供することができる。この場合、介護者の注意がより要求される。一例を挙げると、もし現在の出産が既知のパターンに一致すれば、その既知のパターンは分娩の第二ステージへ到達する時間を推定するために用いられる。選択的に、ニューラルネットワーク又は他の学習システムを用いて、そのような推定値を得る。他の例では、次の状態の開始時間の推定値は、そのようなメカニズムによって提供される。他の例では、有効性の測定値は、分娩の長さを推定するために用いられる。他の例では、CDの変化と進行は、子宮頸管の開大の比率を評価するために使用される。他の例では、少なくとも進行の速い分娩と進行の遅い分娩は区別される。
【0300】
選択的に、よりハイレベルの測定は、例えば、嵌入が生じるか否か、及び/又は、効率的な子宮収縮が頻繁であるかどうかというような、時間の推定のためにも使用される。
【0301】
[典型的なシステム]
図8A(部分的に上述されている)は、本発明の典型的な実施形態による、出産モニタリングシステム100の典型的な実装を示す概略図である。
【0302】
本発明の典型的な実施形態においては、システム100は、外部コントローラ101とオプションの外部参照センサ107を含み、それは、たとえば、上前腸骨棘(ASIS)に及び/又は恥骨(センサ106)の上に取り付けられて示されている。種々の取り付け方法を用いることができ、例えば、ステッカー108又はストラップがある。他の位置及び/又は取り付け方法も同様に使用可能である。選択的に、3つのセンサを使用し、三角形を作る。しかしながら、センサの数はより少なくてもよく、例えば、1つのセンサを用いて全開大及び/又は頭部位置を検知することができる。選択的に、このセンサは、腹の上に設置することができる。
【0303】
参照センサの典型的で代替的な位置は、例えば、母親120が固定されたベッドに取り付けられたセンサ110である。このセンサは、例えば、締め具121を用いて取り付けれらる。代替的に、例えば、センサ110は、背中のくぼみに取り付け可能であり、例えばストラップ112を用いて背骨に付けられる。
【0304】
選択的に、腹部の参照センサが用いられ、ASIS(上前腸骨棘)に機械的に付けられ、上述の幾つかの実施形態における参照として使用されてもよい。超音波イメージングは、選択的に、ASISとISLの相対的な位置及び/又は方向に関してシステム100を較正するために使用される。代替的に又は追加的に、例えば初期頭部位置の測定値に基いて、センサの測定値を用いて、較正がなされる。典型的なセンサのセットは、その開示が参照により本明細書中に組み込まれている、2004年11月29日に出願されたPCT/IL2004/001092に記載されている。
【0305】
上で指摘したように、出産の第二ステージの開始は、種々の方法で決定可能である。一例を挙げると、頭部の下降(309)は、児頭と子宮頸管口のリップ303及び304とを比較することにより決定される。BPDが通り過ぎるとすぐに、見ることができるものは子宮頸管口の収縮である。この方法の潜在的な利点は、興味(頂点通過)の相対的な動きを直接的に測定することである。他の潜在的な利点は、母体の動きが、この測定に影響を及ぼすことがないであろうことである。他の例では、子宮頸管の位置は、子宮頸管センサ(102、104)の位置を、坐骨棘(例えば、上前腸骨棘上のセンサを用いて)によって定義される面及び児頭センサ(105)と比較することによって決定される。代替的に、ASISのとげは、参照として使用される。他の方法は、CDの変動性の減少がHSの変動性の減少に付随しないかどうかを示すことである。
【0306】
選択的に、システム100は、傾斜センサを含み、又は、母体120全体における位置及び/又は腹部と足の相対的な位置を示す他のセンサを含む。本発明の典型的な実施形態においては、そのような標示は、患者が動くかどうかを見るために用いることができる。それによって、腹部の外部トランスデューサの相対的な位置を変化させ、結果として、収集された情報の幾つかが無視され又は補正されるようになる。選択的に、システム100は、患者の複数の位置に関する情報を用いて較正がなされる。それは、例えば、センサが取り付けられた後に、及び、傾斜又は位置の情報に基づいて異なって測定値が使用された後に、患者に位置を変えるようにさせることによってなされる。本発明の典型的な実施形態においては、システム100は、以前の測定の値が継続されるように、較正を補正する。例えば、子宮頸管の開大が10秒間に2cm成長し、収縮の間は成長しないと、特に潜在的な変化に関連して、センサの較正は新しい開大が20秒前と同一となるように変更される。
【0307】
本発明の典型的な実施形態においては、センサ102、104、及び105は、コントロールボックス109(例えば、ワイヤ111又はワイヤレス手段を用いている)に取り付けられた有線接続されたセンサである。コントロールボックス109は、選択的に、ステータスライト114を含む。選択的に、ステータスライト114は、例えば感知された値、例えば電気インピーダンス、音響インピーダンス、機械抵抗、光学的測定値、及び/又はECG等、に基づいて、又は上述のような生理学的な測定値を用いて、センサが正しく取り付けられているかを示す。選択的に、差別化がなされ、例えばECGを測定することにより(母親と胎児の違い)、母体の又は胎児の組織にセンサが取り付けられているかが確認される。代替的に又は追加的に、センサをボックス109及び/又はシステム100の残りの部分に取り付けるためにワイヤ111を用いるために、例えば当技術分野で既知の方法を用いるワイヤレス接続を使用することができる。
【0308】
選択的に、システム100は、コントローラ101がそのような機器の活動をコントロール及び/又はブロックできるように、薬品のポンプ103又は他の医療機器への付属品を含む。選択的に、システム100は、安全のために、及び/又は介護者への決定サポートシステム(例えば、アドバイスを与えることによって)として用いられる。
【0309】
選択的に、システム100は、例えばナースステーションや病院の医学的情報システムにおいてのユニットである、リモートユニット122への接続を含む。代替的に、システム100は、場合によっては病院に着く前に、母親が身に着けることができる。選択的に、携帯電話やPDAは、患者が病院に着く前に、例えば病院における、リモートユニット122へのリンクとして使用される。代替的に又は追加的に、有線接続及び/又はローカルなワイヤレス接続を用いることができる。
【0310】
位置及び/又は方向の情報は、望ましくは、内部及び外部のセンサによって得られるが、本発明の幾つかの実施形態では、複数のセンサのうちの幾つか若しくは全ての代わりに(例えば、それら複数のセンサは、使用されれば、選択的にマーカーとしての役目を果たす)、医用画像機器、例えば超音波撮像装置、光学撮像装置、又はMRI撮像装置などを用いる。
【0311】
さらに、位置の決定に使用されるセンサは、当技術分野で既知の多くの形式のものであり、例えば、光磁気、超音波、及び/又は、例えば、伝達し、受信し、反射し、及び/又はフィールド変更である。
【0312】
[利用例]
図9Aは、本発明の典型的な実施形態による、(通常の)分娩における1つ以上の状態を自動的に特定するフローチャート900である。
【0313】
902においては、1つ以上の位置センシングプローブが、選択的に、子宮頸管口に取り付けられる。図8Bは、子宮頸管口へのそのようなセンサ102及び104の取り付けを示す、解剖学的な断面図である。
【0314】
904では、1つ以上の参照プローブ/センサが、選択的に、母体120(図8Aの106)、及び/又は児頭302(図8Aの105)に取り付けられる。
【0315】
906では、分娩中のどれだけ早い時期に複数のセンサが取り付けられているかに応じて、小さい開大の変化及び/又は頭部位置の変化が、選択的に、検知される。これらは、潜伏段階及び/又は活動段階の開始を推定するために使用することができる。代替的に、他の分娩モニタリング活動を提供することができる。それは、この時間において及び/又は分娩の残りの間、例えば、均一性、機械的活性、及び/又は収縮の強度を決定する及び/又は胎児の信号のモニタリングである。選択的に、子宮頸管の開大(CD)の変化及び頭部位置(HS)の変化は、「収縮活動」という1つの測定に組み合わされる。
【0316】
908では、子宮頸管口の直径の穏やかな変化の開始、頭部の下降の変化、CDと臨界値を越えるHSとの関係、及び/又は増加した収縮活動は、選択的に、加速段階の開始を推定するために使用される(特に、早期の小さい直径の変化と比較して)。
【0317】
910では、子宮頸管の開大及び/又は頭部位置の変化を追跡する通常の分娩モニタリングが、選択的に、実行される。
【0318】
911では、以下のうちの1つ以上を用いて、最大傾きの段階を検知する。それらは、頭部の下降の大きな変化を伴う子宮頸管の直径の大きな変化、高収縮活動、及び/又は、CDとHSの関係の傾きが安定しており所定の値を超えていることである。本発明の典型的な実施形態においては、最大傾きの段階中、進行が正規のものであることを決定するためにモニタリングが継続される。もし、正規の進行が停止し、全開大に到達する標示がなければ、異常な状態が検知される。
【0319】
912では、減速段階が検知される。選択的に、これは、開大率の遅延、頭部位置の変化の変動性の減少を伴わない子宮頸管の直径の変動性の激減、及び/又はCDとHSの関係の激減、を決定することによって検知される。代替的に又は追加的に、内部形状(geometry)の変化、例えば上述のような子宮頸管のリップ303と304の移動は、そのような決定のために使用できる。
【0320】
914では、全開大と、分娩の第二ステージへの推移は、選択的に、児頭を覆って頂上に達する子宮頸管口により検知される。さらに、子宮収縮中の頭部の下降の変化の増加、及び/又は、胎児センサ105の他の配置の変化により検知される。幾つかの実施形態では、HSや他のパラメータにおける1cm以上の変動は、この推移の特徴として使用される。
【0321】
915では、胎児の体位は、方向センサの情報から又は撮像装置を用いて、例えば手作業で決定される。これは、最近の状態における予測を修正するために使用可能である。
【0322】
916では、児頭の嵌入、内回旋、及びさらなる伸展は、進んだ実際の距離又は体の構造に対する位置のみよりもむしろ、児頭の回旋に基づいて、選択的に決定される。選択的に、決定された各位置は、分娩前又は分娩初期よりも前に推定されているので、その位置における児頭の予測された位置及び/又は方向と比較される。
【0323】
918では、1つ以上のさらなる体の部位が子宮頸管口を通過したことは、選択的に、子宮頸管の開大の変化に基づいて決定される。
【0324】
本発明の典型的な実施形態においては、通常の又は異常な状態が検知されるとき、予測されたさらなる状態のセットが決定され、オペレータに表示される。この方法では、時間及び/又は複雑さの推定値及び/又は必要とされる装置が提供され得る。
【0325】
本発明の典型的な実施形態においては、オペレータが治療プロトコルを適用することを計画しているとき、システムは、予測される測定値及び/又は状態、例えば、予測されたデューティファクタ、予測される上昇時間、及び/又は収縮の振幅、を変更する。選択的に、例えば、有効性の決定がなされるとき及び/又は進行の欠如や異常な状況が検知されるとき(例えば、自動的に)、そのシステムは治療を追跡し標示を生成する。選択的に、患者からのデータは、リアルタイムで、患者のいる部屋、部門、及び/又は病院の外の場所に流され、遠隔医療診断、モニタリング、及び/又は別の医師の診断の供給のために使用される。選択的に、このデータは主治医に流され、その医師は到着(arrive)すべき時間を見積もることができる。
【0326】
[異常な状態]
状態ベースのアプローチにより、種々の異常な状態を検知することができる。それらの幾つかは上述されている。
【0327】
一例を挙げると、児頭の進行不全は、選択的に、収縮中の頭部の動きに付随しないCDの大きな変化によって観測することができる。一般に、頭部位置の変化及び/又は子宮頸管の開大を変化させる子宮収縮に応じた前進のミスマッチは、疑わしいものと見なされ得る。また、CDの変動性(Vcd)とHSの変動性(Vhs)の間のミスマッチ、すなわちCDの変化なしでの頭部位置の進行、は疑わしものと認められ得る。本発明の典型的な実施形態においては、そのようなミスマッチは、例えば、20分、10分、又はそれ未満という、短時間で決定される。
【0328】
他の例では、顕著であるが正味のHSとCDの進行を伴わないVcdとVhsは、進行していないことを示す可能性がある。
【0329】
他の例では、顕著であり、ほんの僅かな又は皆無のVcdやVhsを伴うTOCO及び/又はIUPは有効性に乏しいので、薬物ベースの調整が示唆されてもよい。
【0330】
他の例では、子宮頸管の開大の変化、例えば、頭部位置の及び/又はTOCO測定値の変化を用いて、適切な/効果的な子宮収縮を定義する。不適切な子宮収縮の検知は、選択的に、例えば赤ちゃんの停止のような障害の診断を支援するために使用される。
【0331】
本発明の典型的な実施形態においては、生理学的な測定情報の相関関係或いは非相関関係と、システム100により収集される情報とは、異常な状態を検知するために使用される。一例を挙げると、HSの位相及び/又は子宮収縮中の変化(例えば上昇時間、落下時間、持続時間など)は、他のイベント(TOCO、IUP、又はお互いに)に遅れをとり又はそれよりも前に現れる。他の例では、子宮収縮中のCD及びHSの変化は、徐脈の原因を決定するためのFHRと相互に関連する。
【0332】
本発明の幾つかの実施形態の特定の特徴は、例えばCDの変化に基づいて、進行を正常に処理する標示を生成することである。
【0333】
図9Bは、問題のある出産のタイムラインを示す。0時間では、潜伏状態が存在している。8時間では、活動段階が検知される。10時間では、頭部位置が前進しなかった。11時間では、頭部位置が未だ前進せず、変化量の小さい状態が維持されているとき、ピトシンが投与された。11.25時間では、増加した変化量とCDが変化しなかった間に、ピトシンがさらに投与された。11.75時間では、患者が今現在手術室に送られるべきであるように、HSとCDは進行せず、進行不全が診断された。「標準」プロトコルにおいては、薬物の有効性の欠如の明らかな標示が利用可能でないので、医師は、進行不全を決定するためにあと数時間待つであろう。
【0334】
[実験結果]
図11Aから図11Gは、本発明の典型的な実施形態によりモニタされた分娩ケースについての追跡及び分析を示す。
【0335】
図11Aは、通常の出産において、本発明の典型的な実施形態による、個人化された分娩経過図1100を示す。参照1102は、頭部位置を示す。参照1104は、「補正された」子宮頸管の開大を示す。参照1106は、実際の子宮頸管の開大を示す。参照1108は、1104と1106により示されるような平均というよりはむしろ、実際の(分ごとではない(not second by second))子宮頸管の開大の測定値の20秒間にわたる短期間の平均を示す。参照1110は、頭部位置の測定値の平均というよりはむしろ、20秒間にわたる短期間の平均を示す。参照1112と同様のダイアモンドマーカは、頭部位置の実際の指による測定値を示し、参照1114と同様の円マーカは、子宮頸管の開大の実際の指による測定値である。三角マーカは、処理の開始における、頭部位置の手作業の較正値を示す。
【0336】
図11Bは、正常に進行した現実の出産に関する典型的な追跡を示す。グラフ1120は、上側の追跡がFHRであり、下側の追跡がTOCO/IUPである。左側のスケールは、50と200BPMの間の範囲である胎児心拍数である。右側のスケールは、(IUPについての)単位mmHg及びTOCOについては無次元である。ピトシンの投与は、13:07において示されている。グラフ1122は、上側の追跡がHSの変化を示しており、下側の追跡がCDの変化を示している。全開大の後、CDの変化はゼロに設定される。ここに、左側のスケールはCDの変化であってcm単位であり、左側のスケールはHSの変化であってcm単位である。グラフ1124は、その上側の追跡はHSの進行を示しており、その下側の追跡はCDの進行を示している。全開大に到達するとすぐに、CDは10cmにクランプされる。ここで、左側のスケールはCDであってcm単位であり、右側のスケールはHSであってcm単位である。このグラフは、図11Aに対応する。なお、図11Aにおいて見られるアーチファクトに起因する幾つかの急な変化は、上述のように、グラフ1122において除去されている。
【0337】
図11Cは、変化量のRMS値を示す。明らかなように、頭部位置の変化(1130)は、次第に増加し、子宮頸管の開大の変化(1132)は、図4Aに示されるように、段階的なプロファイルで増加する。
【0338】
図11Dは、上述に記載の代替的な方法を用いて算出された変動性を示す。その中では、HSの変動性は図11Cに対して反転されている。
【0339】
図11Bに戻って参照すると、示されていないが、状態情報、例えば現在の状態と予測された及び/又は許容された値をその追跡上に示すことが可能である。現在の時間を示す移動ウインドウが選択的に提供される。
【0340】
図11Eは、図11Bの30分の一時的なセクションの拡大である(また、図11Eの底部のトレースにおいて示されている)。その中で詳細(例えばCDやHSの上昇率や下降率)を見ることができる。好ましい表示は、分娩室で一般に使用されるストリップチャートの速度1cm/minに近い。強いグリッドラインは、選択的に、5分ごとに示され、弱いグリッドラインは、毎分示される。
【0341】
図11Bに戻って参照すると、進入時において、そこでは、子宮頸管の開大が低く(5cm)、頭部位置が低い(-2cm)。明らかなように、各子宮収縮は遠く離れている。頭部の動きによっては、幾つかの子宮収縮と関連して見られることが可能である。各子宮収縮はかなり遠く離れているが、収縮間の時間は実際にはCDの追跡における安定期ではないことがわかる(TOCOの追跡は通常しきい値とされていないが)。増加した開大、増加した収縮頻度と収縮変化は、次の時間において見られる。
【0342】
分娩のさらなる進行に伴って、頭部の移動と収縮との間の同期化、及び、実質上連続的な収縮動作が見られる。全開大に近づくと、子宮頸管の開大の変化量は小さくなり、一方で、頭部位置の変化量は増加を続ける。第二ステージでは、頭部のステーションが正である間、頭部位置の変化はさらに増加若しくは同じ状態を維持する。正常な出産となる。
【0343】
図11Fは、CSをもたらす出産である図11Bの追跡と同様な追跡を示す。
【0344】
余白は、患者が仰向けになっていなかった場合であるため、測定値が得られなかった。明らかなように、いずれのパラメータにおいても進行がない。
【0345】
変化が示されている図11Dに対応する図11Gを参照するが、HS又はCSの変化量の進展がないことを示す。本発明の典型的な実施形態によれば、正規のHS及びCDの変化を有する正規の子宮収縮(例えば10分ごとに>3)はすぐに分娩の進行をもたらすことが想定されるであろう。そのような進行の欠如は、停止状態を示すために考慮され、Cセクションが示される可能性がある。正規の及び効果的な子宮の収縮のために、ピトシンは推奨されないであろう。実際には、TOCOは、12:00においてIUPに代替され、12:53においてピトシンが投与された。ピトシンは、分娩の進行に影響を及ぼさなかった。場合により、IUPによって明らかである高血圧(hypertonos)(或いは破傷風)を引き起こした可能性がある。胎児仮死が検知されたとき、Cセクションが実行された。
【0346】
上述の方法の使用は、(a)進行の欠如が明らかとなる約10分又は30分という短期間内で、下に横たわる原因を決定しようとする試みのために時間を与え、及び/又は、(b)恐らく分娩の速度が遅くなるということを除いて薬物の投与が必要ない、ことを場合によっては明確にするであろう。
【0347】
図11Hから図11Lは、図11Aから図11Eからのデータの3次元表示を示す。
【0348】
図11Hは、3つのセンサの相対位置を示す、重力中心の3D表示である。それらセンサは、2つの子宮頸管センサと1つの頭部センサ(中央にある)とからなる。その表示は、3つのセンサの重力中心に集中されている。また、2つの三角形が示されている。それらは、各結合点が同じ時間フレームにある。1つの三角形は、頂点前の状態においてそれらの点を接続する。その他は、全開大の状態における各点を示す。児頭に対する子宮頸管の顕著な動作は、この表示において明らかである。この動作は、全開大までの比較的小さな動作量と比較可能である。
【0349】
図11Iは、骨盤概略表示(患者に対する補正なし)に関連した、出産中の頭部センサの動きを示す斜視図である。
【0350】
図11Jは、頭部位置と状態の間の対応を示す側面図(患者の側面)である。ベクトルの運動量及び変化量は、明らかに、幾つかの状態において見ることができるものである。
【0351】
図11Kは図11Jに対応すると共に上面図である。
【0352】
図11Lは、図11Jに対応すると共に正面図である。
【0353】
[システムの追加的で典型的な使用]
また、システム100は、例えば、出産全体をモニタリングするよりも不完全な使用である、他の使用も可能である。例えば、助産師が必要とされるときに、通知を発すること、出産が迫っているということを医師に警告することである(例えば、分娩プロセスが「迅速な」分娩に一致する)。
【0354】
選択的に、システム100は、半侵襲的な手順、例えばバキューム支援出産や鉗子支援出産、の間使用される。例えばオペレータが子宮収縮と連携することを助けるために及び/又は干渉を避けるために、収縮の存在、大きさ、及び/又は影響(例えば児頭ベクトル)をオペレータに提供可能である。
【0355】
本説明は頭位分娩に焦点を当てているが、選択的に、システムは、逆子出産をモニタするために使用される(例えば予測されたパラメータ値及び/又は状態の関連した変化と共に)。
【0356】
選択的に、システム100は、シフト変化及び/又はエキスパートに対するケースの提示をサポートするために使用される。一例を挙げると、システムは、履歴を見せることができる。他の例では、システムは、例えば、進行に関しての、そのようなエキスパートにより提示される種々の問いに答えることができる。代替的に又は追加的に、システムは、提案を示す及び/又は分析された情報を示す決定サポートシステムとして機能することができる。選択的に、システムは、オペレータにより許可されている情報(内部で生成される又は手作業でインプットされる)と許可されていない情報との間を区別する。
【0357】
本発明の典型的な実施形態においては、システム100は、文書化の信頼性ある方法と、担当スタッフによる認証とを提供する。選択的に、そのデータは、システムによりデジタル保存され、及び/又は21年の期間、確実にIT管理者のサイトによりセキュアな通信及び保存がなされる。選択的に、そのデータは、患者のプライバシーを維持するために暗号化されている。当技術分野において既知の認証方法は、注釈を許容するために及び/又は保存されているデータの閲覧のために提供されてもよい。そのデータから生成されるテンプレートと範囲は、選択的に、オープンに利用可能であり、患者の識別情報は含まない。しかし、他の情報、例えば人口統計的な情報、を含んでもよい。
【0358】
[特殊化した装置]
上述の説明では、一般的な目的の装置に焦点を当てた。しかしながら、本発明は、また、その幾つかの実施形態において、さらに専用の装置を包含する。
【0359】
図10は、本発明の典型的な実施形態による、第二ステージ検知装置1000の概略図である。装置1000は、子宮頸管口のリップに取り付けるためのアンカー1004(例えばセンサ102、104のようなもの)を含む頭部1002を備える。また、装置1000は、膣の外から到達させるのに十分に長い(例えば20cm以上)ボディ1006を備えると共に、複数のマーキング1008が付されている。
【0360】
児頭302の頂点通過は、装置1000の後退動作を引き起こすであろう。そして、マーキング1008のうちの1つ以上が産道の中へ消えることをもたらす。選択的に、プレースホルダ1010(破線で示す)がボディ1006に備えられており、可視のマーキングの正確な数を覚えておく必要がない。
【0361】
特定の実施形態においては、適切なマーキング及び/又はプレースホルダとともに、児頭の電極を用いる。選択的に、ボディ1006は、産道の内部で折り曲がらないように、また、実質上まっすぐとなるように(例えば産道の軸に沿って)十分硬く形成されている。
【0362】
2つのそのような装置1000を提供することによって、非対称の頂点通過を検知することができる。
【0363】
選択的に、例えば、電気的な接点の近接やインピーダンス変化に基づいて、装置1000にオーディオアラームが備えられる。選択的に、ボディ1006の近接した部分は、軸方向に動かないように、患者に(例えば患者の大腿部に)取り付け可能である(或いは軸方向に動いたときにアラームを発する)。
【0364】
選択的に、例えば、ボディ1006に適切なセンサ、その屈曲や回旋を感知するもの、を備えることにより、単一の装置を用いて、第二ステージへの入場と他の情報、例えば頭部回旋や屈曲、の両方を示す。
【0365】
上述の説明は人間の出産に焦点を当てているが、例えば、同様のシステムは、畜産業のために使用される。例えば、野外での動物の出産を追跡するために(例えば乳牛)、又は、高価な動物、例えばサラブレッド系統の馬など、の出産を追跡するために使用される。その数及び/又は大きさは、人間でない動物ごとに様々である。選択的に、埋め込まれたセンサと遠隔のベースとの通信のために、ワイヤレスの端綱(halter)が用いられる。その端綱は、内部のセンサに、有線又は無線で取り付けることができる。
【0366】
当然のことながら、上述で説明した分娩の管理及びモニタリングの方法は、多くの方法で変更可能である。それは、ステップの順序や使用されるセンサのタイプを変更することを含む。さらに、非常に多数の種々の特徴、すなわち方法におけるもの及び装置におけるもの、が記載される。幾つかの実施形態では、主として方法が記載されている。しかしながら、また、その方法を実行するために適合された装置が、本発明の範囲内において考慮される。当然ながら、異なる特徴を異なる方法で組み合わせてもよい。特に、特定の実施形態において上述に示された全ての特徴が、本発明の全ての同様の実施形態に必要であるというわけではない。さらに、上述の特徴の組合せは、また、本発明の幾つかの実施形態の範囲内において考慮される。また、本発明の範囲内には、単一の又は少数の測定を実行するために適した医療機器のセットを含むキットがある。また、その範囲内には、ハードウエア、ソフトウエア、及びコンピュータで読み込み可能なメディアが含まれる。そのメディアは、本明細書中に記載されたステップ、例えば信号処理や決定サポートなどを実行する及び/又は案内するために使用される、そのようなソフトウエア及び/又は他の手段(例えば標準のコンピュータ、ASIC、他のハードウエア、ソフトウエア、回路、アナログデバイス、デジタルデバイス、ファームウエア)を含む。特に、コントローラは、その方法を実行するように構成されている(例えば、製造されている、又はプログラムされている、又は別の方法で適合化されている)。セクションの頭出しは、ナビゲーションを支援するために提供され、必ずしもセクションのコンテンツを制限するものとは見なされるべきではない。特許請求の範囲において使用される、用語「含む(comprises)」、「含む(includes)」、「有する(have)」、及びそれらの活用形は、「含むがそれに限定されるものではない(including but not limited to)」ということを意味するものである。
【0367】
本発明がこれまでに説明されたことによっては制限されないということは当業者にとっても十分理解されるであろう。むしろ、本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ制限される。
【図面の簡単な説明】
【0368】
【図1】図1は、当技術分野で既知のものによる、出産の進行に関する、子宮頸管の開大を示すグラフである。
【図2A】図2(ページの関係上、図2Aと図2Bに分かれているが)は、出産プロセスの種々の状態を示す、3つのタイプの状態図であり、少なくともそのいくつかは、本発明の典型的な実施形態により特定される。
【図2B】図2(ページの関係上、図2Aと図2Bに分かれているが)は、出産プロセスの種々の状態を示す、3つのタイプの状態図であり、少なくともそのいくつかは、本発明の典型的な実施形態により特定される。
【図3A】図3Aは、開大中の、子宮頸管口と児頭の相対的な位置を示す概略図である。
【図3B】図3Bは、開大中の、子宮頸管口と児頭の相対的な位置を示す概略図である。
【図3C】図3Cは、全開大における、子宮頸管口に対する児頭の頂点通過を示す概略図である。
【図3D】図3Dは、出産プロセスの側断面図であり、頂点通過を示す。
【図3E】図3Eは、出産プロセスの側断面図であり、頂点通過を示す。
【図3F】図3Fは、本発明の幾つかの典型的な実施形態を実行するために有用な種々のランドマークを示す解剖学的な断面図である。
【図3G】図3Gは、本発明の典型的な実施形態による、ASISを結合しているライン形式の遠隔参照を用いた、子宮頸管と児頭の相対的な位置の抽出を示す概略図である。
【図4A】図4Aは、本発明の典型的な実施形態により使用されるような、子宮頸管の開大の変化量と頭部位置の変化量との間の対応を概略的に示す。
【図4B】図4Bは、本発明の典型的な実施形態により使用され得る、子宮頸管の開大と頭部位置の間の対応を示す。
【図4C】図4Cは、本発明の典型的な実施形態による、幾何学的な及び生理学的なセンサに関する同期した追跡を示す。
【図4D】図4Dは、本発明の典型的な実施形態による、子宮頸管の開大の測定値を変更する方法のフローチャートである。
【図5A】図5Aは、本発明の典型的な実施形態によりモニタされることが可能な、側面図であって、左後頭横位置についての分娩の通常のメカニズムを示す。
【図5B】図5Bは、本発明の典型的な実施形態によりモニタされることが可能な、側面図であって、左後頭横位置についての分娩の通常のメカニズムを示す。
【図5C】図5Cは、本発明の典型的な実施形態によりモニタされることが可能な、側面図であって、左後頭横位置についての分娩の通常のメカニズムを示す。
【図5D】図5Dは、本発明の典型的な実施形態によりモニタされることが可能な、側面図であって、左後頭横位置についての分娩の通常のメカニズムを示す。
【図6】図6は、本発明の典型的な実施形態によりモニタされることが可能な、側面図であって、前方後頭位についての分娩の通常のメカニズムを示す。
【図7A】図7Aは、本発明の典型的な実施形態によりモニタされることが可能な、側面図及び前面図であって、右後頭横位置についての分娩の通常のメカニズムを示す。
【図7B】図7Bは、本発明の典型的な実施形態によりモニタされることが可能な、側面図及び前面図であって、右後頭横位置についての分娩の通常のメカニズムを示す。
【図7C】図7Cは、本発明の典型的な実施形態によりモニタされることが可能な、側面図及び前面図であって、右後頭横位置についての分娩の通常のメカニズムを示す。
【図7D】図7Dは、本発明の典型的な実施形態によりモニタされることが可能な、側面図及び前面図であって、右後頭横位置についての分娩の通常のメカニズムを示す。
【図7E】図7Eは、本発明の典型的な実施形態によりモニタされることが可能な、側面図及び前面図であって、右後頭横位置についての分娩の通常のメカニズムを示す。
【図7F】図7Fは、本発明の典型的な実施形態によりモニタされることが可能な、側面図及び前面図であって、右後頭横位置についての分娩の通常のメカニズムを示す。
【図8A】図8Aは、本発明の典型的な実施形態による、患者に備えられた、典型的な出産モニタリングシステムを示す概略図である
【図8B】図8Bは、本発明の典型的な実施形態による、図8Aの実施形態における、内部のセンサの取り付けの詳細を示す概略図である。
【図9A】図9Aは、本発明の典型的な実施形態による、特定の典型的な通常の出産プロセスにおける、図8Aのシステムの典型的な使用方法のフローチャートである。
【図9B】図9Bは、本発明の典型的な実施形態により使用可能な、本明細書中に記載されたモニタリングシステムにおいて、典型的な異常な出産の進行のタイムチャートである。
【図10】図10は、本発明の典型的な実施形態による、第二ステージの検知装置を示す。
【図11A】図11Aは、本発明の典型的な実施形態による、第一の分娩ケースに関する追跡及び分析を示す。
【図11B】図11Bは、本発明の典型的な実施形態による、第一の分娩ケースに関する追跡及び分析を示す。
【図11C】図11Cは、本発明の典型的な実施形態による、第一の分娩ケースに関する追跡及び分析を示す。
【図11D】図11Dは、本発明の典型的な実施形態による、第一の分娩ケースに関する追跡及び分析を示す。
【図11E】図11Eは、本発明の典型的な実施形態による、第一の分娩ケースに関する追跡及び分析を示す。
【図11F】図11Fは、本発明の典型的な実施形態による、第一の分娩ケースに関する追跡及び分析を示す。
【図11G】図11Gは、本発明の典型的な実施形態による、第一の分娩ケースに関する追跡及び分析を示す。
【図11H】図11Hは、本発明の典型的な実施形態による、子宮頸管と頭部の動きの3次元表示の観測結果を示す。
【図11I】図11Iは、本発明の典型的な実施形態による、子宮頸管と頭部の動きの3次元表示の観測結果を示す。
【図11J】図11Jは、本発明の典型的な実施形態による、子宮頸管と頭部の動きの3次元表示の観測結果を示す。
【図11K】図11Kは、本発明の典型的な実施形態による、子宮頸管と頭部の動きの3次元表示の観測結果を示す。
【図11L】図11Lは、本発明の典型的な実施形態による、子宮頸管と頭部の動きの3次元表示の観測結果を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出産プロセスをモニタする方法であって、
長時間にわたって、子宮頸部及び児頭の一つ以上に設置された一つ以上の位置要素又は組織領域からの複数の位置信号を受信することと、
前記位置信号に応答して、全体が体内にある胎児の出産の不連続状態を、15分より高い時間的解像度で、決定することと、を含み、
前記不連続状態が出産の開始又は終了以外であり、2以上の収縮を包含しており、前記状態が、異常な児頭位置以外の状態を含む、方法。
【請求項2】
前記一つ以上の位置要素が無線トランスポンダーを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
受信が、イメージングシステムを使用して同定可能な一つ以上の組織領域から受信することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
受信が、少なくとも一つの位置要素から受信することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記一つ以上の位置要素が送信機を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記一つ以上の位置要素が目印を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記不連続状態が、分娩進行不全、子宮収縮不良、分娩陣痛開始、頸管全開大、最適子宮活動、個人的最大開大傾斜、児頭第2回旋(内回旋)、児頭第3回旋(伸展)、児頭進入前、分娩停止、産道通過障害、異常娩出収縮、正常娩出収縮、薬物投与の有効性、出産準備完了、を含む状態のリストの中の少なくとも一つの状態から成る、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
異なる時に、前記リストから少なくとも二つの状態を決定することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
異なる時に、前記リストから少なくとも四つの状態を決定することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
異なる時に、前記リストから少なくとも六つの状態を決定することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
位置信号が胎児位置信号及び子宮頸管口位置信号を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
位置信号が、絶対子宮頸管開大信号を含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
位置信号が、絶対子宮頸管開大信号を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
全開大が10cmとなるスケールを反映して子宮頸管開大信号の修正をすることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
決定が、収縮サイクルの時間周期内に、前記信号の短時間の変化を分析することに基づいて決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記分析が、児頭位置の変化の分析を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記分析が、児頭運動の空間ベクトルの分析を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記分析が、子宮頸部形状の変化の分析を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記分析が、位置の変化の率の分析を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記分析が、複数の収縮に対する分析を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記決定が、複数の収縮のデューティファクタに基づいて決定することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
前記決定が、分娩が正常に進行していることを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記決定が、分娩が異常に進行していることを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記決定が、収縮のタイプを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記決定が、母親及び胎児の少なくとも一つの非幾何的な生理的信号に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記決定が、非幾何的な生理的測定と、幾何的な測定との間の位相遅延の分析を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記生理的信号が、圧力信号を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記生理的信号が、EMG信号(筋電図信号)を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記生理的信号が、心拍数信号を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
決定が、個人化された時間/進行スケールにおける状態を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
分娩の進行を複数のテンプレートの一つにマッチさせることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記信号に基づいて将来の状態に到達する時間を見積もることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記位置信号が、前記要素から離れた参照を用いて獲得される、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
児頭のベクトルの方向の変化及び大きさの変化の少なくとも一つを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
前記ベクトルの変化が、児頭の向きの変化を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
産道における児頭の空間的進行を示す頭部位置の値を生成することを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記ベクトルが、収縮中の前記頭部の動作のベクトルを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
母体における予想される頭部のパスに対して前記ベクトルを比較することを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記頭部の前進動作と後退動作との間の非対称性を決定することを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
(a)出産過程についての情報を収集することと、
(b)前記情報に基づいて個人化された進行表現を生成することと、
(c)前記表現のパラメータが基準に対して、前記パラメータと前記基準との間の関係を変化させてから20分以内に、前記パラメータと基準との間の関係の同定することと、
(d)前記同定に応答して出産の治療を選択的に修正することと、
を含む、出産管理の方法。
【請求項41】
前記同定が、コンピュータ回路により同定することを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
コンピュータ回路により、修正を提案することを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
同定が、前記パラメータが標準から外れていることを同定することを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
同定が、前記パラメータが標準内にあることを同定することを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
選択的に修正することが、修正しないことを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項46】
前記個人化された進行表現を生成することが、前記収集された情報の統計的分析を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項47】
前記統計的分析が、長期的分析を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記統計的分析が、短期的分析を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記統計的分析が、ヒストグラムを生成することを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記個人化された進行表現が、予想される変化率を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項51】
前記個人化された進行表現が、少なくとも三つの分娩状態の識別表示を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項52】
前記個人化された進行表現が、個人の最大傾斜が間もなく達成されるという標示を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項53】
前記標示が、専用の表示を含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記標示が、それらの相対的文脈に従った状態の表現および状態の履歴を含む状態表示を備える、請求項40に記載の方法。
【請求項55】
前記標示が、個々の最大傾斜の表示を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項56】
長時間にわたって、子宮頸部及び児頭の一つ以上に所在する一つ以上の位置要素又は組織セグメントからの複数の位置情報を受信することと、
収縮における位置情報の大きさの少なくとも一つの変化を決定することと、
前記少なくとも一つの変化を分析することと、
前記分析に基づいて分娩の状態を決定することと、
を含む、分娩プロセスをモニタする方法。
【請求項57】
前記決定に用いられる複合標示をもたらすために、複数の収縮について分析することを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記分析が最大変化の分析を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記分析が、変化率の分析を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項60】
前記分析が、子宮頸管開大の分析を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項61】
前記分析が、児頭位置の分析を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項62】
前記分析が、位置の変化に基づく収縮のデューティファクタの分析を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項63】
状態の決定が、不連続状態の決定を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項64】
前記分析をグラフィックな形式で表示することを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項65】
前記グラフィックな形式が、前記分娩の少なくとも2時間の結果を示す、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記グラフィックな形式が、前記分娩の少なくとも30分間の結果を示す、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
前記グラフィックな形式が、少なくとも10回の収縮の結果を示す、請求項64に記載の方法。
【請求項68】
前記グラフィックな形式が、少なくとも30回の収縮の結果を示す、請求項64に記載の方法。
【請求項69】
決定が、非幾何的な生理的情報に基づいて決定することを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項70】
決定が、収縮間の長期的全進行に基づいて決定することを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項71】
前記収縮の有効性の標示を生成することを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項72】
前記分娩において滴定された薬物の有効性の標示を生成することを含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記標示に基づいて、いきみに関する母親への指示を生成することを含む、請求項71に記載の方法。
【請求項74】
現在の分娩の測定に基づいて前記変化を正規化することを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項75】
前記分娩の現在同定されている状態に基づいて、前記変化を正規化することを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項76】
子宮頸管開大を測定することと、10cm以下の異なる開大の値を生成するために、センサの較正によらずに前記測定を修正することと、を含む、子宮頸管のレポートをする方法。
【請求項77】
前記修正が、10cmが全開大を意味する人についての学術用語を反映するように前記測定を補正することを含む、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記修正が5cmより大きい測定にたいしてのみ適用される、請求項76に記載の方法。
【請求項79】
前記修正が、児頭頂点通過の検出に基づいて適用される、請求項76に記載の方法。
【請求項80】
前記補正が、子宮頸管の整合性のための補正を含む、請求項76に記載の方法。
【請求項81】
前記補正が、測定をする施術者のバイアスを補正するために個人化される、請求項76に記載の方法。
【請求項82】
前記補正が、患者ごとに個人化される、請求項76に記載の方法。
【請求項83】
子宮頸管と参照点との相対的位置を測定することと、
所定の動作に従って、前記子宮頸管が参照点と相対的に動く場合に全開大を決定することと、
を含む、子宮頸管の全開大を検出する方法。
【請求項84】
参照点が、児頭を含む、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
決定が、前記子宮頸管が前記児頭を頂点通過させることを検出することを含む、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記相対的位置が、前記児頭及び子宮頸管から距離があり且つ児頭の運動方向に広がる空間中の仮想的な点に対して決定される、請求項84に記載の方法。
【請求項87】
適切な方法が、前記子宮頸管の展退動作を含む、請求項83に記載の方法。
【請求項88】
児頭上の点及び子宮頸管上の点の相対的位置を決定する方法であって、
センサから、前記児頭の予想される動きの一般的方向に、離れた参照位置から、該点間の距離を決定することと、
距離の相対的な値を決定することと、
を含む、方法。
【請求項89】
前記参照点に相対する運動に基づいて子宮頸管の展退を決定することを含む、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記児頭の進入を前記参照点との相対的運動に基づいて検出することを含む、請求項88に記載の方法。
【請求項91】
前記子宮頸管口の開口平面の再構築を含まない、請求項88に記載の方法。
【請求項92】
収縮の効果についての幾何的情報を収集することと、
収縮の効果についての非幾何学的な生理学的情報を収集することと、
収集した幾何学的、非幾何学的情報を相関づけることとを、
を含む、分娩プロセスをモニタする方法。
【請求項93】
相関づけることが、同一の時系列で表示することを含む、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
分娩のイベントを、同一の時系列で表示することを含む、を含む、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
相関づけることが、非幾何的及び幾何的情報の間の位相差を決定することを含む、請求項92に記載の方法。
【請求項96】
前記幾何的情報が、収縮サイクルにおける幾何的情報の変化を含む、請求項92に記載の方法。
【請求項97】
前記幾何的情報が、子宮頸管開大及び児頭位置を含む、請求項92に記載の方法。
【請求項98】
幾何的情報及び非幾何的情報の一つを他の関数として提示することを含む、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
情報をヒストグラムの形式で提示することを含む、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
幾何的情報及び非幾何的情報の一つを他の関数として通門することを含む、請求項97に記載の方法。
【請求項101】
情報をストリップ形式で提示することを含む、請求項92に記載の方法。
【請求項102】
情報を、異なる収縮からの情報の重ね合わせとして提示することを含む、請求項92に記載の方法。
【請求項103】
情報を、三次元形式で提示することを含む、請求項92に記載の方法。
【請求項104】
推定児頭下降状態を検出することと、
子宮頸管開大値を検出することと、
児頭下降と子宮頸管開大値とのミスマッチを決定することと、
前記ミスマッチに基づいて変形を決定することと、
を含む、潜在的児頭変形を検出する方法。
【請求項105】
前記子宮頸管開大値が、全開大より小さい、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
前記子宮頸管開大が、頂点通過前状態であると決定される、請求項104に記載の方法。
【請求項107】
状態の前記決定及び値の前記検出が、取り付けられた配置要素の使用を検出することを含む、請求項104に記載の方法。
【請求項108】
(a)子宮頸管口を係合するのに適合した係合器と、
(b)前記係合器に連結し、前記係合器の患者の体に対する後退を示すのに適合したボディと、を備える、子宮頸管の逆行により分娩の第二ステージの開始を検出するための装置。
【請求項109】
前記ボディが、子宮頸管口に取り付けられた場合に、患者の体外に伸びるのに十分に細長い、請求項108に記載の装置。
【請求項110】
前記後退の検出の際に作動される音響アラームを備える、請求項108に記載の装置。
【請求項111】
前記ボディが、物差しを含む、請求項108に記載の装置。
【請求項112】
前記物差しが、前記子宮頸管の初期位置の較正に適合する、請求項111に記載の装置。
【請求項113】
前記ボディの初期位置のマークを備える、請求項108に記載の装置。
【請求項114】
(a)児頭上に置かれた配置要素および子宮頸管口に置かれた配置要素の少なくとも一つから位置情報を収集することと、
(b)子宮頸管口の開大以外の特性の推定をもたらすために位置情報を分析することと、
を含む、子宮頸管口の変化を推定する方法。
【請求項115】
前記分析が、児頭運動の程度から展退を推定することを含む、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
前記分析が、子宮頸管開大の変化を収縮の強さと比較することにより弾力性を推定することを含む、請求項114に記載の方法。
【請求項117】
前記強さが、IUP(子宮内圧力)センサを用いて測定される、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
前記分析が、子宮頸管開大の機械測定を、子宮頸管開大の人による推定と比較することを含む、請求項114に記載の方法。
【請求項119】
前記分析が、子宮頸管位置要素の回転の決定を含む、請求項114に記載の方法。
【請求項120】
前記収集が、処置中の収集を含む、請求項114に記載の方法。
【請求項121】
前記処置が、指診を含む、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
(a)分娩プロセスからの幾何的情報のストリームを供給することと、
(b)生理学的に間違ったデータを除外するフィルタを用いてストリームをフィルタすることと、
を含む、幾何的分娩情報をフィルタする方法。
【請求項123】
収縮の長さに基づいてデータを除外することを含む、請求項122に記載の方法。
【請求項124】
前記フィルタが、それらの派生物に基づいてデータを除外する、請求項122に記載の方法。
【請求項125】
フィルタすることが、
前記データの派生物を発見することと、
データにしきい値をかけることと、
データを統合することと、
を含む、請求項124に記載の方法。
【請求項126】
(a)患者に処置を施すことと、
(b)前記患者の分娩プロセスでの処置の効果を示す幾何的変化について情報を収集することと、
(c)前記収集に応じて、20分より少ないフィードバック時間で、前記供給を選択的に修正することと、
を含む、分娩中の患者への薬剤供給の方法。
【請求項127】
前記フィードバック時間が10分より少ない、請求項126に記載の方法。
【請求項128】
前記修正により、幾何学的応答の望ましい範囲を維持することを含む、請求項126に記載の方法。
【請求項129】
前記修正が、前記処置により分娩の進行が生成されない場合には前記供給を停止することを含む、請求項126に記載の方法。
【請求項130】
前記修正が、患者の最大個人傾斜を達成するために前記処置を修正することを含む、請求項126に記載の方法。
【請求項131】
前記処置が、薬剤の供給を含む、請求項126に記載の方法。
【請求項132】
前記処置が、姿勢変化の指示を含む、請求項126に記載の方法。
【請求項133】
前記選択的修正が、自動的に選択的修正を行うことを含む、請求項126に記載の方法。
【請求項134】
前記選択的修正が、選択的に修正する助言を生成することを含む、請求項126に記載の方法。
【請求項135】
(a)分娩中の患者をモニタするモニタシステムの少なくとも一つからの入力信号を受信するのに適合した入力と、
(b)受信された信号に基づいて、請求項1ないし134のいずれかの方法を実施するように構成されたコントローラと、
を備える、分娩をモニタするための装置。
【請求項136】
分娩中の患者への指示を表示する指示出力を備える、請求項135に記載の装置。
【請求項137】
前記信号に対するそのような指示の効果を追跡するのに適合した追跡器を備える、請求項136に記載の装置。
【請求項138】
前記指示の順守をモニタするのに適合したモニタを備える、請求項136に記載の装置。
【請求項139】
(a)少なくとも一つの子宮頸管位置及び少なくとも一つの児頭位置からの位置情報を三次元ディスプレイに配列することと、
(b)前記センサの位置間の重力中心を維持するためのディスプレイを配置することと、を含む、分娩プロセスにおいて収集された幾何学的情報を提示する方法。
【請求項140】
状態情報を前記ディスプレイ上に配置することを含む、請求項139に記載の方法。
【請求項141】
可変情報を前記ディスプレイ上に配置することを含む、請求項139に記載の方法。
【請求項1】
出産プロセスをモニタする方法であって、
長時間にわたって、子宮頸部及び児頭の一つ以上に設置された一つ以上の位置要素又は組織領域からの複数の位置信号を受信することと、
前記位置信号に応答して、全体が体内にある胎児の出産の不連続状態を、15分より高い時間的解像度で、決定することと、を含み、
前記不連続状態が出産の開始又は終了以外であり、2以上の収縮を包含しており、前記状態が、異常な児頭位置以外の状態を含む、方法。
【請求項2】
前記一つ以上の位置要素が無線トランスポンダーを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
受信が、イメージングシステムを使用して同定可能な一つ以上の組織領域から受信することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
受信が、少なくとも一つの位置要素から受信することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記一つ以上の位置要素が送信機を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記一つ以上の位置要素が目印を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記不連続状態が、分娩進行不全、子宮収縮不良、分娩陣痛開始、頸管全開大、最適子宮活動、個人的最大開大傾斜、児頭第2回旋(内回旋)、児頭第3回旋(伸展)、児頭進入前、分娩停止、産道通過障害、異常娩出収縮、正常娩出収縮、薬物投与の有効性、出産準備完了、を含む状態のリストの中の少なくとも一つの状態から成る、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
異なる時に、前記リストから少なくとも二つの状態を決定することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
異なる時に、前記リストから少なくとも四つの状態を決定することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
異なる時に、前記リストから少なくとも六つの状態を決定することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
位置信号が胎児位置信号及び子宮頸管口位置信号を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
位置信号が、絶対子宮頸管開大信号を含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
位置信号が、絶対子宮頸管開大信号を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
全開大が10cmとなるスケールを反映して子宮頸管開大信号の修正をすることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
決定が、収縮サイクルの時間周期内に、前記信号の短時間の変化を分析することに基づいて決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記分析が、児頭位置の変化の分析を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記分析が、児頭運動の空間ベクトルの分析を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記分析が、子宮頸部形状の変化の分析を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記分析が、位置の変化の率の分析を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記分析が、複数の収縮に対する分析を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記決定が、複数の収縮のデューティファクタに基づいて決定することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
前記決定が、分娩が正常に進行していることを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記決定が、分娩が異常に進行していることを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記決定が、収縮のタイプを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記決定が、母親及び胎児の少なくとも一つの非幾何的な生理的信号に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記決定が、非幾何的な生理的測定と、幾何的な測定との間の位相遅延の分析を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記生理的信号が、圧力信号を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記生理的信号が、EMG信号(筋電図信号)を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記生理的信号が、心拍数信号を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
決定が、個人化された時間/進行スケールにおける状態を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
分娩の進行を複数のテンプレートの一つにマッチさせることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記信号に基づいて将来の状態に到達する時間を見積もることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記位置信号が、前記要素から離れた参照を用いて獲得される、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
児頭のベクトルの方向の変化及び大きさの変化の少なくとも一つを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
前記ベクトルの変化が、児頭の向きの変化を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
産道における児頭の空間的進行を示す頭部位置の値を生成することを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記ベクトルが、収縮中の前記頭部の動作のベクトルを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
母体における予想される頭部のパスに対して前記ベクトルを比較することを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記頭部の前進動作と後退動作との間の非対称性を決定することを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
(a)出産過程についての情報を収集することと、
(b)前記情報に基づいて個人化された進行表現を生成することと、
(c)前記表現のパラメータが基準に対して、前記パラメータと前記基準との間の関係を変化させてから20分以内に、前記パラメータと基準との間の関係の同定することと、
(d)前記同定に応答して出産の治療を選択的に修正することと、
を含む、出産管理の方法。
【請求項41】
前記同定が、コンピュータ回路により同定することを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
コンピュータ回路により、修正を提案することを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
同定が、前記パラメータが標準から外れていることを同定することを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
同定が、前記パラメータが標準内にあることを同定することを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
選択的に修正することが、修正しないことを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項46】
前記個人化された進行表現を生成することが、前記収集された情報の統計的分析を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項47】
前記統計的分析が、長期的分析を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記統計的分析が、短期的分析を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記統計的分析が、ヒストグラムを生成することを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記個人化された進行表現が、予想される変化率を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項51】
前記個人化された進行表現が、少なくとも三つの分娩状態の識別表示を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項52】
前記個人化された進行表現が、個人の最大傾斜が間もなく達成されるという標示を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項53】
前記標示が、専用の表示を含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記標示が、それらの相対的文脈に従った状態の表現および状態の履歴を含む状態表示を備える、請求項40に記載の方法。
【請求項55】
前記標示が、個々の最大傾斜の表示を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項56】
長時間にわたって、子宮頸部及び児頭の一つ以上に所在する一つ以上の位置要素又は組織セグメントからの複数の位置情報を受信することと、
収縮における位置情報の大きさの少なくとも一つの変化を決定することと、
前記少なくとも一つの変化を分析することと、
前記分析に基づいて分娩の状態を決定することと、
を含む、分娩プロセスをモニタする方法。
【請求項57】
前記決定に用いられる複合標示をもたらすために、複数の収縮について分析することを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記分析が最大変化の分析を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記分析が、変化率の分析を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項60】
前記分析が、子宮頸管開大の分析を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項61】
前記分析が、児頭位置の分析を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項62】
前記分析が、位置の変化に基づく収縮のデューティファクタの分析を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項63】
状態の決定が、不連続状態の決定を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項64】
前記分析をグラフィックな形式で表示することを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項65】
前記グラフィックな形式が、前記分娩の少なくとも2時間の結果を示す、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記グラフィックな形式が、前記分娩の少なくとも30分間の結果を示す、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
前記グラフィックな形式が、少なくとも10回の収縮の結果を示す、請求項64に記載の方法。
【請求項68】
前記グラフィックな形式が、少なくとも30回の収縮の結果を示す、請求項64に記載の方法。
【請求項69】
決定が、非幾何的な生理的情報に基づいて決定することを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項70】
決定が、収縮間の長期的全進行に基づいて決定することを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項71】
前記収縮の有効性の標示を生成することを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項72】
前記分娩において滴定された薬物の有効性の標示を生成することを含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記標示に基づいて、いきみに関する母親への指示を生成することを含む、請求項71に記載の方法。
【請求項74】
現在の分娩の測定に基づいて前記変化を正規化することを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項75】
前記分娩の現在同定されている状態に基づいて、前記変化を正規化することを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項76】
子宮頸管開大を測定することと、10cm以下の異なる開大の値を生成するために、センサの較正によらずに前記測定を修正することと、を含む、子宮頸管のレポートをする方法。
【請求項77】
前記修正が、10cmが全開大を意味する人についての学術用語を反映するように前記測定を補正することを含む、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記修正が5cmより大きい測定にたいしてのみ適用される、請求項76に記載の方法。
【請求項79】
前記修正が、児頭頂点通過の検出に基づいて適用される、請求項76に記載の方法。
【請求項80】
前記補正が、子宮頸管の整合性のための補正を含む、請求項76に記載の方法。
【請求項81】
前記補正が、測定をする施術者のバイアスを補正するために個人化される、請求項76に記載の方法。
【請求項82】
前記補正が、患者ごとに個人化される、請求項76に記載の方法。
【請求項83】
子宮頸管と参照点との相対的位置を測定することと、
所定の動作に従って、前記子宮頸管が参照点と相対的に動く場合に全開大を決定することと、
を含む、子宮頸管の全開大を検出する方法。
【請求項84】
参照点が、児頭を含む、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
決定が、前記子宮頸管が前記児頭を頂点通過させることを検出することを含む、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記相対的位置が、前記児頭及び子宮頸管から距離があり且つ児頭の運動方向に広がる空間中の仮想的な点に対して決定される、請求項84に記載の方法。
【請求項87】
適切な方法が、前記子宮頸管の展退動作を含む、請求項83に記載の方法。
【請求項88】
児頭上の点及び子宮頸管上の点の相対的位置を決定する方法であって、
センサから、前記児頭の予想される動きの一般的方向に、離れた参照位置から、該点間の距離を決定することと、
距離の相対的な値を決定することと、
を含む、方法。
【請求項89】
前記参照点に相対する運動に基づいて子宮頸管の展退を決定することを含む、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記児頭の進入を前記参照点との相対的運動に基づいて検出することを含む、請求項88に記載の方法。
【請求項91】
前記子宮頸管口の開口平面の再構築を含まない、請求項88に記載の方法。
【請求項92】
収縮の効果についての幾何的情報を収集することと、
収縮の効果についての非幾何学的な生理学的情報を収集することと、
収集した幾何学的、非幾何学的情報を相関づけることとを、
を含む、分娩プロセスをモニタする方法。
【請求項93】
相関づけることが、同一の時系列で表示することを含む、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
分娩のイベントを、同一の時系列で表示することを含む、を含む、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
相関づけることが、非幾何的及び幾何的情報の間の位相差を決定することを含む、請求項92に記載の方法。
【請求項96】
前記幾何的情報が、収縮サイクルにおける幾何的情報の変化を含む、請求項92に記載の方法。
【請求項97】
前記幾何的情報が、子宮頸管開大及び児頭位置を含む、請求項92に記載の方法。
【請求項98】
幾何的情報及び非幾何的情報の一つを他の関数として提示することを含む、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
情報をヒストグラムの形式で提示することを含む、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
幾何的情報及び非幾何的情報の一つを他の関数として通門することを含む、請求項97に記載の方法。
【請求項101】
情報をストリップ形式で提示することを含む、請求項92に記載の方法。
【請求項102】
情報を、異なる収縮からの情報の重ね合わせとして提示することを含む、請求項92に記載の方法。
【請求項103】
情報を、三次元形式で提示することを含む、請求項92に記載の方法。
【請求項104】
推定児頭下降状態を検出することと、
子宮頸管開大値を検出することと、
児頭下降と子宮頸管開大値とのミスマッチを決定することと、
前記ミスマッチに基づいて変形を決定することと、
を含む、潜在的児頭変形を検出する方法。
【請求項105】
前記子宮頸管開大値が、全開大より小さい、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
前記子宮頸管開大が、頂点通過前状態であると決定される、請求項104に記載の方法。
【請求項107】
状態の前記決定及び値の前記検出が、取り付けられた配置要素の使用を検出することを含む、請求項104に記載の方法。
【請求項108】
(a)子宮頸管口を係合するのに適合した係合器と、
(b)前記係合器に連結し、前記係合器の患者の体に対する後退を示すのに適合したボディと、を備える、子宮頸管の逆行により分娩の第二ステージの開始を検出するための装置。
【請求項109】
前記ボディが、子宮頸管口に取り付けられた場合に、患者の体外に伸びるのに十分に細長い、請求項108に記載の装置。
【請求項110】
前記後退の検出の際に作動される音響アラームを備える、請求項108に記載の装置。
【請求項111】
前記ボディが、物差しを含む、請求項108に記載の装置。
【請求項112】
前記物差しが、前記子宮頸管の初期位置の較正に適合する、請求項111に記載の装置。
【請求項113】
前記ボディの初期位置のマークを備える、請求項108に記載の装置。
【請求項114】
(a)児頭上に置かれた配置要素および子宮頸管口に置かれた配置要素の少なくとも一つから位置情報を収集することと、
(b)子宮頸管口の開大以外の特性の推定をもたらすために位置情報を分析することと、
を含む、子宮頸管口の変化を推定する方法。
【請求項115】
前記分析が、児頭運動の程度から展退を推定することを含む、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
前記分析が、子宮頸管開大の変化を収縮の強さと比較することにより弾力性を推定することを含む、請求項114に記載の方法。
【請求項117】
前記強さが、IUP(子宮内圧力)センサを用いて測定される、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
前記分析が、子宮頸管開大の機械測定を、子宮頸管開大の人による推定と比較することを含む、請求項114に記載の方法。
【請求項119】
前記分析が、子宮頸管位置要素の回転の決定を含む、請求項114に記載の方法。
【請求項120】
前記収集が、処置中の収集を含む、請求項114に記載の方法。
【請求項121】
前記処置が、指診を含む、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
(a)分娩プロセスからの幾何的情報のストリームを供給することと、
(b)生理学的に間違ったデータを除外するフィルタを用いてストリームをフィルタすることと、
を含む、幾何的分娩情報をフィルタする方法。
【請求項123】
収縮の長さに基づいてデータを除外することを含む、請求項122に記載の方法。
【請求項124】
前記フィルタが、それらの派生物に基づいてデータを除外する、請求項122に記載の方法。
【請求項125】
フィルタすることが、
前記データの派生物を発見することと、
データにしきい値をかけることと、
データを統合することと、
を含む、請求項124に記載の方法。
【請求項126】
(a)患者に処置を施すことと、
(b)前記患者の分娩プロセスでの処置の効果を示す幾何的変化について情報を収集することと、
(c)前記収集に応じて、20分より少ないフィードバック時間で、前記供給を選択的に修正することと、
を含む、分娩中の患者への薬剤供給の方法。
【請求項127】
前記フィードバック時間が10分より少ない、請求項126に記載の方法。
【請求項128】
前記修正により、幾何学的応答の望ましい範囲を維持することを含む、請求項126に記載の方法。
【請求項129】
前記修正が、前記処置により分娩の進行が生成されない場合には前記供給を停止することを含む、請求項126に記載の方法。
【請求項130】
前記修正が、患者の最大個人傾斜を達成するために前記処置を修正することを含む、請求項126に記載の方法。
【請求項131】
前記処置が、薬剤の供給を含む、請求項126に記載の方法。
【請求項132】
前記処置が、姿勢変化の指示を含む、請求項126に記載の方法。
【請求項133】
前記選択的修正が、自動的に選択的修正を行うことを含む、請求項126に記載の方法。
【請求項134】
前記選択的修正が、選択的に修正する助言を生成することを含む、請求項126に記載の方法。
【請求項135】
(a)分娩中の患者をモニタするモニタシステムの少なくとも一つからの入力信号を受信するのに適合した入力と、
(b)受信された信号に基づいて、請求項1ないし134のいずれかの方法を実施するように構成されたコントローラと、
を備える、分娩をモニタするための装置。
【請求項136】
分娩中の患者への指示を表示する指示出力を備える、請求項135に記載の装置。
【請求項137】
前記信号に対するそのような指示の効果を追跡するのに適合した追跡器を備える、請求項136に記載の装置。
【請求項138】
前記指示の順守をモニタするのに適合したモニタを備える、請求項136に記載の装置。
【請求項139】
(a)少なくとも一つの子宮頸管位置及び少なくとも一つの児頭位置からの位置情報を三次元ディスプレイに配列することと、
(b)前記センサの位置間の重力中心を維持するためのディスプレイを配置することと、を含む、分娩プロセスにおいて収集された幾何学的情報を提示する方法。
【請求項140】
状態情報を前記ディスプレイ上に配置することを含む、請求項139に記載の方法。
【請求項141】
可変情報を前記ディスプレイ上に配置することを含む、請求項139に記載の方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図11E】
【図11F】
【図11G】
【図11H】
【図11I】
【図11J】
【図11K】
【図11L】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図11E】
【図11F】
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【図11H】
【図11I】
【図11J】
【図11K】
【図11L】
【公表番号】特表2007−532170(P2007−532170A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506907(P2007−506907)
【出願日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【国際出願番号】PCT/IL2005/000380
【国際公開番号】WO2005/096707
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(503445559)バーネフ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【国際出願番号】PCT/IL2005/000380
【国際公開番号】WO2005/096707
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(503445559)バーネフ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
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