説明

状態通知方法、および通信システム

【課題】端末に他の端末の状態を通知する通信システムにおいて、データベースサーバにかかる負荷を減少させることができる状態通知方法、および通信システムを提供する。
【解決手段】複数の端末3の1つである端末3Aは、接続している中継サーバ2Aを介して、端末3Aの状態を示すプレゼンス情報をデータベースサーバ1に送信する(S16〜S18)。端末3Aのプレゼンス情報を受信したデータベースサーバ1は、状態の通知先の端末である通知先端末3Bを特定するための通知先情報と、通知先端末3Bが接続している中継サーバ2Bを特定するための中継情報とを1つのメッセージに含めて、複数の中継サーバの1つである中継サーバ2Aに送信する(S20)。メッセージを受信した中継サーバ2Aは、中継情報によって特定される中継サーバ2Bに、端末3Aのプレゼンス情報と通知先情報とを出力する(S22)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して接続された複数の端末を備える通信システムにおいて、端末に他の端末の状態を通知するための状態通知方法、および通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ネットワークを介して接続された複数の端末を備える通信システムにおいて、端末に他の端末の状態を通知する機能(所謂「プレゼンス機能」)が利用されている。通信システムは、複数の端末とプレゼンスサーバとを少なくとも備える。プレゼンスサーバは、各端末の状態を示すプレゼンス情報を管理する。例えば、端末Bは、他の端末Aの状態を監視する場合、端末Aの状態を端末Bに通知する旨の登録を、プレゼンスサーバに対して要求する。プレゼンスサーバは、端末Aの状態が端末Aから通知されると、端末Aの状態の通知先として登録している端末Bに、端末Aの状態を通知するためのメッセージを送信する。
【0003】
プレゼンスサーバは、ある端末の状態を複数の端末に通知する場合には、各端末に状態を通知するための複数の処理を並行して行わなければならなかった。プレゼンスサーバにかかる負荷の分散を図るため、例えば、特許文献1では、プレゼンス情報を格納するデータベースサーバと、プレゼンス情報が変更された旨を端末に通知する複数のプレゼンスサーバとによって端末に他の端末の状態を通知する通信システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−244100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1が開示している通信システムでは、プレゼンス情報を格納するデータベースサーバは、プレゼンスサーバの各々にメッセージを送信しなければならない。従って、端末の増加に伴ってプレゼンスサーバが増加すると、データベースサーバにかかる負荷が増大する。すなわち、特許文献1が開示している通信システムは、端末数の増加に伴って増大するデータベースサーバの負荷を根本的に減少させることはできなかった。
【0006】
本発明は、端末に他の端末の状態を通知する通信システムにおいて、データベースサーバにかかる負荷を減少させることができる状態通知方法、および通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様に係る状態通知方法は、複数の端末と、前記複数の端末の各々の状態を示すプレゼンス情報を管理することが可能なデータベースサーバと、前記複数の端末の少なくともいずれかと前記データベースサーバとの間でメッセージを中継する複数の中継サーバとを備えた通信システムにおいて行われる状態通知方法であって、前記データベースサーバが、前記複数の端末の各々の状態の通知先である1以上の通知先端末を特定する情報を記憶手段に登録する登録ステップと、前記複数の端末のうちの一の端末である通知元端末が、接続している中継サーバを介して、前記通知元端末のプレゼンス情報を前記データベースサーバへ送信する状態通知ステップと、前記状態通知ステップで送信された前記通知元端末のプレゼンス情報を受信した前記データベースサーバが、前記登録ステップで登録された情報に基づいて、前記通知先端末を特定するための第一通知先情報と、前記通知先端末に接続している中継サーバを特定するための中継情報とを含む一の情報を、前記複数の中継サーバのいずれかに送信する第一送信ステップと、前記第一送信ステップで送信された前記一の情報を受信した中継サーバが、前記中継情報によって特定される中継サーバに、前記第一通知先情報によって特定される通知先端末を特定する第二通知先情報、および前記通知元端末のプレゼンス情報を出力する出力ステップと、前記出力ステップで出力された情報を入力した中継サーバが、自身に接続している端末のうち、前記第二通知先情報によって特定される端末に、入力したプレゼンス情報を送信する第二送信ステップとを備えている。
【0008】
第一の態様に係る状態通知方法によると、データベースサーバは、通知先端末を特定するための情報等を含む一の情報を、複数の中継サーバのうちのいずれかに送信するだけで、通知元端末の状態を通知先端末に通知することができる。通知先端末の数が多い場合でも、データベースサーバは、情報の送受信を複数の中継サーバとの間で繰り返す必要がない。従って、通信システムは、データベースサーバにかかる負荷を増加させることなく、通知元端末の状態を通知先端末に通知することができる。
【0009】
前記出力ステップにおいて、前記中継サーバは、前記第一通知先情報によって複数の通知先端末が特定され、且つ前記複数の通知先端末のうちの2以上が1つの中継サーバに接続されている場合、前記中継サーバに対し、2以上の通知先端末を特定する一の第二通知先情報を出力してもよい。通信システムは、データベースサーバにかかる負荷を減少させることができることに加え、複数の中継サーバ間で情報が送受信される回数も減少させることができる。従って、通信システムは、システム全体にかかる負荷をさらに減少させることができる。
【0010】
前記第一送信ステップにおいて、前記データベースサーバは、前記第一通知先情報および前記中継情報を含む前記一の情報を、前記プレゼンス情報を受信したことに対する応答と共に、前記プレゼンス情報を中継した中継サーバに送信してもよい。通信システムは、データベースサーバが情報を送信する回数をさらに減少させることができる。その結果、データベースサーバにかかる負荷が減少する。
【0011】
前記状態通知方法は、前記状態通知ステップで前記通知元端末のプレゼンス情報を中継する中継サーバが、前記プレゼンス情報を中継する際に、中継する前記プレゼンス情報を取得する第一取得ステップをさらに備えてもよい。前記出力ステップにおいて、前記中継サーバは、前記第一取得ステップで取得した前記プレゼンス情報を出力してもよい。データベースサーバは、中継サーバに送信する一の情報に通知元端末のプレゼンス情報を含める必要がない。よって、通信システムは、送受信するデータのデータ量を低下させることができる。
【0012】
前記状態通知方法は、前記状態通知ステップで送信された前記通知元端末のプレゼンス情報を受信した前記データベースサーバが、前記複数の中継サーバの各々が実行している処理に関する情報である処理情報を取得する第二取得ステップと、前記第二取得ステップで処理情報を取得した前記データベースサーバが、取得した前記処理情報に基づいて、前記通知先情報および前記中継情報を含む前記一の情報を送信する送信先の中継サーバを前記複数の中継サーバの中から選択する選択ステップとをさらに備えてもよい。前記第一送信ステップにおいて、前記データベースサーバは、前記一の情報を、前記選択ステップで選択された中継サーバに送信するとよい。データベースサーバは、各中継サーバが実行している処理の情報に応じて、情報を送信する中継サーバを選択することができる。従って、通信システムは、システムの一部に処理負担が偏ることを防止することができる。
【0013】
前記第一送信ステップにおいて、前記データベースサーバは、前記通知元端末のプレゼンス情報を前記一の情報に含めて送信してもよい。前記出力ステップにおいて、前記中継サーバは、受信した前記一の情報に含まれる前記プレゼンス情報を出力してもよい。通信システムは、データベースサーバから中継サーバに送信される一の情報に通知元端末のプレゼンス情報を含めることで、通知元端末のプレゼンス情報を確実に通知先端末に通知することができる。
【0014】
前記状態通知方法は、前記中継サーバの各々と前記データベースサーバとが、前記中継サーバの各々と前記データベースサーバとの間で共通の識別子を記憶手段に記憶させる記憶制御ステップをさらに備えてもよい。前記第一送信ステップにおいて、前記データベースサーバは、前記中継情報によって特定される中継サーバとの間で共通する識別子に関する識別子情報を、前記一の情報に含めて送信してもよい。前記出力ステップにおいて、前記第一送信ステップで送信された前記一の情報を受信した中継サーバは、前記一の情報に含まれる前記識別子情報を、前記第二通知先情報および前記プレゼンス情報と共に出力すればよい。前記第二送信ステップにおいて、前記出力ステップで出力された情報を入力した中継サーバは、入力した前記識別子情報によって示される識別子が前記データベースサーバとの間で共通の識別子である場合、入力したプレゼンス情報を通知先端末に送信するとよい。通知先端末にプレゼンス情報を送信する中継サーバは、入力した第二通知先情報およびプレゼンス情報が、データベースサーバから他の中継サーバを介して出力された信頼できる情報であることを、識別子を用いて判断することができる。よって、通信システムは、正確な情報を円滑に送受信することができる。
【0015】
前記複数の端末の各々は、他の端末との間でSIP(Session Initiation Protocol)に従って通信を行うSIPクライアントとして動作してもよい。前記中継サーバは、前記複数の端末間におけるSIPセッションを確立するSIPプロキシサーバとして動作してもよい。通信システムは、汎用的なSIPに従って円滑に通信を行うことができる。通信システムは、汎用的なSIPメッセージを利用して容易にプレゼンス機能を実現することができる。SIPに従って通信を行う既存の通信システムの構成を大幅に変更することなく、容易にプレゼンス機能を実現することができる。中継サーバは、複数の端末間の通信の確立とプレゼンス機能の制御とを共に実行することができる。よって、通信システムは、通信を確立するためのサーバとプレゼンス機能を制御するサーバとを別に備える必要がない。
【0016】
本発明の第二の態様に係る通信システムは、複数の端末と、前記複数の端末の各々の状態を示すプレゼンス情報を管理することが可能なデータベースサーバと、前記複数の端末の少なくともいずれかと前記データベースサーバとの間でメッセージを中継する複数の中継サーバとを備えた通信システムであって、前記データベースサーバにおいて、前記複数の端末の各々の状態の通知先である1以上の通知先端末を特定する情報を記憶手段に登録する登録手段と、前記複数の端末のうちの一の端末である通知元端末において、前記通知元端末に接続している中継サーバを介して、前記通知元端末のプレゼンス情報を前記データベースサーバへ送信する状態通知手段と、前記データベースサーバにおいて、前記状態通知手段によって送信された前記通知元端末のプレゼンス情報を受信した場合に、前記登録手段によって登録された情報に基づいて、前記通知先端末を特定するための第一通知先情報と、前記通知先端末に接続している中継サーバを特定するための中継情報とを含む一の情報を、前記複数の中継サーバのいずれかに送信する第一送信手段と、前記複数の中継サーバの各々において、前記第一送信手段によって送信された前記一の情報を受信した場合に、前記中継情報によって特定される中継サーバに、前記第一通知先情報によって特定される通知先端末を特定する第二通知先情報、および前記通知元端末のプレゼンス情報を出力する出力手段と、前記複数の中継サーバの各々において、前記出力手段によって出力された情報を入力した場合に、自身に接続している端末のうち、前記第二通知先情報によって特定される端末に、入力したプレゼンス情報を送信する第二送信手段とを備えている。
【0017】
第二の態様に係る通信システムによると、データベースサーバは、通知先端末を特定するための情報等を含む一の情報を、複数の中継サーバのうちのいずれかに送信するだけで、通知元端末の状態を通知先端末に通知することができる。通知先端末の数が多い場合でも、データベースサーバは、情報の送受信を複数の中継サーバとの間で繰り返す必要がない。従って、通信システムは、データベースサーバにかかる負荷を増加させることなく、通知元端末の状態を通知先端末に通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】通信システム100のシステム構成を示す図である。
【図2】データベースサーバ1の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】中継サーバ2の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】端末3の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】通信システム100が実行する処理の一例を示すシーケンス図である。
【図6】通知先端末が複数登録されている場合に通信システム100が実行する処理の一例を示すシーケンス図である。
【図7】データベースサーバ1が状態通知に対して返信する応答メッセージの一例を示す図である。
【図8】第二の実施形態に係るデータベースサーバ1が行う中継サーバ選択処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具現化した第一の実施形態である通信システム100について、図面を参照して説明する。参照する図面は、本発明が採用し得る技術的特徴を説明するために用いられるものである。図面に記載されている装置の構成、各種処理のフローチャート等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0020】
図1を参照して、通信システム100の概要について説明する。通信システム100は、データベースサーバ1と、複数の中継サーバ2と、複数の端末3とを備える。通信システム100が備える端末3は、音声データおよび画像データ等のデータを、ネットワーク8(図2から図4参照)を介して他の端末3との間でP2P(peer to peer)によって送受信することができる。各端末3を使用する複数のユーザは、同一拠点にいない場合でも、送受信されるデータによって遠隔会議を行うことができる。つまり、本実施形態の通信システム100は、テレビ会議を行うために用いられるテレビ会議システムである。しかし、本発明はテレビ会議システム以外の通信システムにも適用できる。例えば、所謂「チャット」を行うために文字データを送受信する通信システム、電話を行うために音声データを送受信する通信システム等にも、本発明は適用できる。
【0021】
通信システム100では、複数の端末3がネットワーク8上で通信を開始するための双方向プロトコルとして、SIP(RFC3261)が用いられる。SIP(Session Initiation Protocol)は、ネットワーク8上でエンド・トゥ・エンドのセッションを確立するためのプロトコルであり、リアルタイムコミュニケーションを容易に実現できる。端末3の各々は、他の端末3との間でSIPに従って通信を行うSIPクライアントとして動作する。中継サーバ2の各々は、複数の端末3の間にSIPに従ってセッションを確立するSIPプロキシサーバである。SIPによるセッションの確立方法については公知であるため、詳細な説明は省略する。
【0022】
通信システム100は、端末3に他の端末3の状態を通知する機能(所謂「プレゼンス機能」)を有する。ユーザは、プレゼンス機能を利用することで、自らが使用する端末3と他のユーザが使用する端末3との間の通信を確立しなくても、他のユーザの状態を知ることができる。
【0023】
一般的に、サーバは、情報を受信して応答を送信する処理に比べ、情報を送信して応答を受信する処理には適していないという性質を有する。具体的には、サーバは、プレゼンス情報を含むメッセージを他の機器に送信した場合、メッセージの応答を待機する必要がある。サーバは、メッセージの応答がない場合には、メッセージの再送等の処理を行う必要もある。特に、ある端末の状態をサーバが多数の端末に通知する場合には、多数の端末に対する処理を同時に実行しなければならないため、サーバには瞬間的に過大な負荷がかかる。サーバで行われる処理が遅延すると、プレゼンス機能の実行が停滞する。
【0024】
本実施形態の通信システム100は、プレゼンス機能を実行するためのサーバとして、データベースサーバ1と複数の中継サーバ2とを備える。データベースサーバ1は、複数の中継サーバ2の各々に接続している。各中継サーバ2は、1または複数の端末3に接続し、且つ中継サーバ2間で互いにメッセージを送受信することもできる。通信システム100は、プレゼンス機能を実行するための処理をデータベースサーバ1および中継サーバ2に分散させ、サーバ間におけるメッセージの送受信において特徴的な処理を行うことで、システム全体、特にデータベースサーバ1にかかる負荷を低下させることができる。通信システム100が実行する処理の詳細については後述する。
【0025】
図2を参照して、データベースサーバ1の電気的構成について説明する。データベースサーバ1は、各端末3のプレゼンス情報を記憶して管理するサーバである。データベースサーバ1は、データベースサーバ1の制御を司るCPU10を備える。CPU10には、ROM11、RAM12、ハードディスクドライブ(以下、「HDD」という。)13、および外部通信I/F14が接続されている。ROM11は、データベースサーバ1を動作させるためのプログラムおよび初期値等を記憶している。RAM12は、制御プログラムで使用される各種の情報を一時的に記憶する。HDD13は、各種の情報を記憶する不揮発性の記憶装置である。外部通信I/F14は、データベースサーバ1をネットワーク8に接続する。
【0026】
HDD13には、プレゼンス情報記憶エリア131、端末登録情報記憶エリア132、および識別子記憶エリア133等の各種記憶エリアが設けられている。プレゼンス情報記憶エリア131は、主にプレゼンス情報を記憶する。前述したように、プレゼンス情報は、各端末3の状態を示す情報であり、各端末3のそれぞれに対応付けられてプレゼンス情報が記憶されている。端末登録情報記憶エリア132には、端末3の各々の状態の通知先の端末3(以下、「通知先端末」という。)についての情報が記憶される。具体的には、端末登録情報記憶エリア132には、通知先端末を特定するための通知先情報と、通知先端末に接続している中継サーバ2(以下、「接続サーバ」という場合もある。)を特定するための中継情報とが、他の端末に自身の状態を通知される端末3(以下、「通知元端末」という。)の各々に対応付けて記憶される。識別子記憶エリア133には、中継サーバ2との間で共通して保持される識別子が記憶される。識別子は、中継サーバ2に送信されるメッセージに通知先情報等と共に含まれる。詳細は後述するが、中継サーバ2は、他の中継サーバ2から受信したメッセージが信頼できるメッセージであるか否かを、識別子を用いて判断する。
【0027】
図3を参照して、中継サーバ2の電気的構成について説明する。中継サーバ2は、データベースサーバ1と端末3との間のプレゼンス情報の送受信を中継する。さらに、前述したように、中継サーバ2は、複数の端末3の間にSIPに従ってセッションを確立するSIPプロキシサーバとして動作する。中継サーバ2は、中継サーバ2の制御を司るCPU20を備える。CPU20には、ROM21、RAM22、HDD23、および外部通信I/F24が接続されている。HDD23には、プレゼンス情報記憶エリア231および識別子記憶エリア232が設けられている。中継サーバ2は、端末3とデータベースサーバ1との間で中継するプレゼンス情報をプレゼンス情報記憶エリア231に記憶することができる。識別子記憶エリア232には、データベースサーバ1との間で共通して保持される識別子が記憶される。本実施形態では、データベースサーバ1および中継サーバ2は、通知先端末の各々に対して識別子を付与する。従って、中継サーバ2は、識別子を用いたメッセージの信頼性の判断を確実に行うことができる。しかし、データベースサーバ1および中継サーバ2は、中継サーバ2の各々に対して識別子を付与してもよい。
【0028】
図4を参照して、端末3の電気的構成について説明する。端末3は、各種の情報処理を行うことができるパーソナルコンピュータや、テレビ会議に用いられる専用端末等である。端末3は、端末3の制御を司るCPU30を備える。CPU30には、ROM31、RAM32、HDD33、外部通信I/F34、マイク35、スピーカ36、カメラ37、表示装置38、および操作部39が接続されている。マイク35は、端末3が配置された拠点の音声を入力する。スピーカ32は音声を出力する。カメラ37は、端末3が配置された拠点の映像を撮像する。表示装置38は映像を表示する。操作部39は、ユーザが端末3に各種指示を入力するために操作される。
【0029】
図5を参照して、通信システム100で行われる処理の流れについて説明する。以下説明する処理は、データベースサーバ1のCPU10、中継サーバ2のCPU20、および端末3のCPU30によって行われる。
【0030】
図5に示す例では、複数の端末3のうち、自身の状態が他の端末3に通知される通知元端末を、端末3Aとする。端末3Aの状態を監視する通知先端末を、端末3Bとする。複数の中継サーバ2のうち、端末3Aに接続している中継サーバ2(端末3Aの接続サーバ)を中継サーバ2Aとし、端末3Bの接続サーバを中継サーバ2Bとする。図5では、処理の流れの理解を容易にするため、通知先端末が端末3Bの1つのみである場合を例示する。なお、通知先端末が複数登録されている場合については、図6を参照して後述する。端末3Aおよび端末3Bは、以下の処理を行う前に、接続する中継サーバ2に登録要求「REGISTER」のSIPメッセージを送信して、通信システム100内で通信を行う端末3の1つとして中継サーバ2に登録するための処理を行っている。
【0031】
通知元端末である端末3Aは、状態通知「PUBLISH」のSIPメッセージを、接続している中継サーバ2Aに送信する(S1)。端末3Aは、端末3Aの状態が変化した場合、および前回の「PUBLISH」送信時から所定時間が経過した場合に、「PUBLISH」を中継サーバ2Aに送信する。端末3Aは、「PUBLISH」のSIPメッセージの中に、端末3Aの状態を示すプレゼンス情報を含める。例えば、端末3Aは、ユーザが在籍中である場合には「open」、ユーザが離席中である場合には「closed」を、端末3Aの状態を示すプレゼンス情報としてメッセージ中に含める。中継サーバ2Aは、端末3Aから「PUBLISH」を受信すると、受信したメッセージに含まれるプレゼンス情報を取得し、プレゼンス情報記憶エリア231(図3参照)に記憶する(S2)。中継サーバ2Aは、受信した状態通知をデータベースサーバ1に転送する(S3)。データベースサーバ1は、受信した状態通知に含まれるプレゼンス情報を、端末3Aに対応付けてプレゼンス情報記憶エリア131(図2参照)に記憶する(S4)。
【0032】
データベースサーバ1がS4を実行する時点では、端末3Aの状態を監視する通知先端末は未だ登録されていない。よって、データベースサーバ1は、端末3Aのプレゼンス情報を送信することなく、状態通知に対する応答のみを中継サーバ2Aに返信する(S5)。中継サーバ2Aは、「PUBLISH」に対する応答を端末3Aに返信する(S6)。以上の処理(S1〜S6)によって、データベースサーバ1は端末3Aのプレゼンス情報を記憶する。
【0033】
次いで、端末3Bは、状態取得登録要求「SUBSCRIBE」のSIPメッセージを、接続している中継サーバ2Bに送信する(S7)。「SUBSCRIBE」は、端末3Aの状態をデータベースサーバ1が自身へ通知する旨の登録をデータベースサーバ1に対して要求するために送信されるメッセージである。中継サーバ2Bは、受信した状態取得登録要求をデータベースサーバ1へ転送する(S8)。データベースサーバ1は、端末3Aの状態の通知先が端末3Bであることを示す通知先情報を、端末登録情報記憶エリア132(図2参照)に登録する。データベースサーバ1は、端末3Bに接続している中継サーバ2(端末3Bの接続サーバ)が中継サーバ2Bであることを示す中継情報を、端末登録情報記憶エリア132に登録する(S9)。
【0034】
データベースサーバ1は、端末3Bに対応する識別子bを生成し、識別子記憶エリア133に記憶する(S10)。前述したように、本実施形態では端末3の各々に対応する識別子を別々に生成するが、識別子を中継サーバ2の各々に対応付けて生成してもよい。データベースサーバ1は、状態取得登録要求に対する応答メッセージに、端末3Aのプレゼンス情報と、生成した識別子bとを含めて、中継サーバ2Bに送信する(S11)。中継サーバ2Bは、受信したメッセージに含まれる識別子bを、端末3Bの識別子として識別子記憶エリア232に記憶する(S12)。その結果、識別子bがデータベースサーバ1と中継サーバ2Bとの間で共有される。
【0035】
中継サーバ2Bは、「SUBSCRIBE」に対する応答を端末3Bに返信する(S13)。中継サーバ2Bは、端末3Aの状態を通知するためのSIPメッセージ「NOTIFY」に、端末3Aのプレゼンス情報を含めて、端末3Bに送信する(S14)。端末3Bは、「NOTIFY」に対する応答を中継サーバ2Bに返信する(S15)。以上の処理(S7〜S15)によって、端末3Bが端末3Aの状態の通知先としてデータベースサーバ1に登録され、且つその時点でデータベースサーバ1によって管理されている端末3Aの状態が、端末3Bに通知される。
【0036】
通知元端末である端末3Aは、端末3Aの状態が変化した場合、または前回の「PUBLISH」送信時から所定時間が経過した場合に、状態通知「PUBLISH」のSIPメッセージを再び中継サーバ2Aに送信する(S16)。中継サーバ2Aは、受信したメッセージに含まれるプレゼンス情報を取得し(S17)、状態通知をデータベースサーバ1に転送する(S18)。データベースサーバ1は、端末3Aのプレゼンス情報を記憶する(S19)。
【0037】
データベースサーバ1がS19を実行する時点では、端末3Aの状態の通知先として端末3Bが登録されている。この場合、データベースサーバ1は、状態通知に対する1つの応答メッセージに、通知先情報、中継情報、および識別子を含めて中継サーバ2Aに送信する(S20)。S20における通知先情報は、通知先端末が端末3Bであることを特定するための情報である。中継情報は、端末3Bに中継サーバ2Bが接続していることを特定するための情報である。識別子は、データベースサーバ1と中継サーバ2Bとが共有している、端末3Bに対応する識別子bである。本実施形態のデータベースサーバ1は、識別子を応答メッセージに直接含めている。しかし、通信システム100は、公開鍵暗号方式、チャレンジレスポンス方式等を利用し、識別子を暗号化して応答メッセージに含めてもよい。前述したS11、および後述のS22で送信されるメッセージについても同様である。
【0038】
中継サーバ2Aは、「PUBLISH」に対する応答を端末3Aに返信する(S21)。中継サーバ2Aは、受信したメッセージに含まれる情報から、通知先端末が端末3Bである旨、および端末3Bの接続サーバが中継サーバ2Bである旨を特定する。中継サーバ2Aは、端末3Aのプレゼンス情報を通知するための状態通知「NOTIFY」のSIPメッセージに、S17で取得した端末3Aのプレゼンス情報と、通知先端末が端末3Bであることを示す通知先情報と、識別子bとを含めて、中継サーバ2Bに送信する(S22)。中継サーバ2Aは、端末3Aからデータベースサーバ1に送信されるプレゼンス情報を中継する際に、端末3Aのプレゼンス情報を取得し(S17)、取得したプレゼンス情報を「NOTIFY」に含めることができる(S22)。よって、データベースサーバ1は、S20で送信するメッセージに端末3Aのプレゼンス情報を含める必要がない。その結果、データベースサーバ1は、S20で送信するメッセージのデータ量を低下させることができる。しかし、データベースサーバ1は、S20で送信するメッセージに端末3Aのプレゼンス情報を含めることも可能である。中継サーバ2Aは、データベースサーバ1から受信したメッセージに含まれるプレゼンス情報を、「NOTIFY」に含めてもよい(S22)。
【0039】
中継サーバ2Bは、受信したメッセージに含まれる識別子が、端末3Bに対応付けて記憶している識別子bと一致するか否かを判断し、識別子を確認する(S23)。図5に示す例では、中継サーバ2Bが受信した識別子と、あらかじめ中継サーバ2Bが記憶している識別子とが一致している。よって、中継サーバ2Bは、中継サーバ2Aから受信したメッセージを、データベースサーバ1から送信された情報を含む信頼できるメッセージであると判断する。中継サーバ2Bは、「NOTIFY」に対する応答を中継サーバ2Aに返信する(S24)。中継サーバ2Bは、特定した通知先端末である端末3Bに、端末3Aのプレゼンス情報を含む状態通知「NOTIFY」を送信する(S25)。端末3Bは、「NOTIFY」に対する応答を中継サーバ2Bに返信する(S26)。なお、図示しないが、識別子が一致しない場合、中継サーバ2Bは、「NOTIFY」を端末3Bに送信しない。以上の処理(S20〜26)によって、S16〜S18でデータベースサーバ1に通知された端末3Aの状態が、データベースサーバ1から通知先端末(端末3B)に通知される。
【0040】
次に、図6および図7を参照して、1つの端末3の状態を複数の端末3が監視している場合の処理の流れについて説明する。図6および図7に示す例は、図5に示す例の変形例である。図6および図7に示す例では、通知元端末である端末3A(図5参照)の状態を監視する端末3(端末3Aの通知先端末)として、端末B1、端末B2、端末B3、および端末C1がデータベースサーバ1に登録されている。端末B1〜B3は、中継サーバ2Bに接続している。端末C1は、中継サーバ2Cに接続している。以上の状態で、通知元端末である端末3Aのプレゼンス情報が、中継サーバ2Aを介してデータベースサーバ1に送信された以降の処理を、図6に示す。
【0041】
データベースサーバ1は、端末3Aのプレゼンス情報を受信して登録すると、応答メッセージを中継サーバ2Aに返信する(S31)。端末3Aの状態の通知先が複数存在する場合、データベースサーバ1は、複数の通知先端末の各々についての通知先情報、中継情報、および識別子を、1つの応答メッセージに全て含める。
【0042】
図7に、図6のS31で送信される応答メッセージの一例を示す。データベースサーバ1と中継サーバ2との間で送受信されるメッセージは、SIPに準拠する必要はない。本実施形態の通信システム100は、言語およびプラットフォームに依存しないプロトコルの1つであるSOAP(Simple Object Access Protocol)に準拠している。応答メッセージには、各種情報を含めることができる。例えば、図7に示す文字列51は、端末3Aのプレゼンス情報をデータベースサーバ1が保持する有効期限(秒)を示す。
【0043】
図7に示す文字列52は、通知先情報および中継情報を含む文字列である。詳細には、文字列52の2行目は、文字列52中で特定される通知先端末の接続サーバが中継サーバ2Bであることを示す。文字列52の3〜5行目は、通知先端末が端末B1〜B3であることを示す。文字列53の2行目は、文字列53中で特定される通知先端末の接続サーバが中継サーバ2Cであることを示す。文字列53の3行目は、通知先端末が端末C1であることを示す。以上のように、データベースサーバ1は、複数の通知先端末についての通知先情報および中継情報を、1つの応答メッセージに含める。なお、図7には示していないが、本実施形態に係るデータベースサーバ1は、複数の通知先端末の各々に対応する識別子を応答メッセージに含める(図6のS31参照)。
【0044】
図6の説明に戻る。中継サーバ2Aは、データベースサーバ1から応答メッセージを受信すると、メッセージに含まれる中継情報が示す接続サーバ(中継サーバ2Bおよび中継サーバ2C)を特定する。中継サーバ2Aは、特定した接続サーバに、端末3Aのプレゼンス情報を通知するための状態通知「NOTIFY」を送信する(S32,S33)。中継サーバ2Aは、接続サーバに接続している1または複数の通知先端末についての通知先情報および識別子を、「NOTIFY」のメッセージに含める。なお、中継サーバ2Aは、データベースサーバ1から受信した中継情報が示す接続サーバに自装置が含まれている場合(自装置に接続している通知先端末が存在する場合)には、自装置の外部通信I/F24(図3参照)に、通知先情報および端末3Aのプレゼンス情報を出力する。中継サーバ2Aの外部通信I/F24は、自装置に接続している端末3のうち、通知先情報によって特定される端末3に、端末3Aのプレゼンス情報を送信する。つまり、本発明の「出力ステップ」は、自装置以外の他の中継サーバ2に応答メッセージを送信(出力)する処理と、自装置の外部通信I/F24に通知先情報およびプレゼンス情報を出力する処理とを含む。
【0045】
中継サーバ2Aから「NOTIFY」を受信した中継サーバ2Bは、メッセージに含まれる識別子(b1〜b3)と自身が記憶している識別子とが一致するか否かを確認する(S34)。中継サーバ2Bは、中継サーバ2Aに応答を返信する(S35)。識別子が一致した場合にのみ、中継サーバ2Bは、通知先端末である端末B1、端末B2、および端末B3に、端末3Aのプレゼンス情報を含む状態通知「NOTIFY」を送信する(S36〜S38)。なお、図示しないが、中継サーバ2Bは、端末B1〜B3から「NOTIFY」に対する応答を受信する。中継サーバ2Cも同様に、識別子(c1)を確認し(S41)、中継サーバ2Aに応答を返信する(S42)。中継サーバ2Cは、識別子が一致すれば、「NOTIFY」を端末C1へ送信する(S43)。
【0046】
以上説明したように、第一の実施形態に係る状態通知方法によると、データベースサーバ1は、通知先情報および中継情報を含む一のメッセージを、複数の中継サーバ2のうちのいずれかに送信するだけで(図6のS31、および図7参照)、通知元端末の状態を通知先端末に通知することができる。具体的には、図6に示す例では接続サーバが中継サーバ2Bおよび中継サーバ2Cの2つ存在するが、データベースサーバ1は、中継サーバ2Aにのみメッセージを送信すればよい。通知先端末の数が多い場合でも、データベースサーバ1は、メッセージの送受信を複数の中継サーバ2との間で繰り返す必要がない。従って、通信システム100は、データベースサーバ1にかかる負荷を増加させることなく、通知元端末の状態を通知先端末に通知することができる。
【0047】
中継サーバ2は、通知元端末の状態通知に対する応答メッセージ(S31)をデータベースサーバ1から受信すると、複数の通知先端末を特定する通知先情報を、1つのメッセージに含めて他の中継サーバに送信することができる(S32)。従って、通信システム100は、データベースサーバ1にかかる負荷を減少させることができるだけでなく、複数の中継サーバ2間でメッセージが送受信される回数も減少させることができる。よって、通信システム100は、システム全体にかかる負荷をさらに減少させることができる。
【0048】
データベースサーバ1は、通知元端末の状態通知を受信したことに対する1つの応答メッセージに、通知先情報および中継情報を含めることができる(S31)。換言すると、データベースサーバ1は、状態通知に対する応答メッセージと、通知先情報および中継情報を送信するためのメッセージとを別で送信する必要がない。よって、通信システム100は、データベースサーバ1がメッセージを送受信する回数をさらに減少させることができる。その結果、データベースサーバ1にかかる負荷が減少する。
【0049】
中継サーバ2は、通知元端末からデータベースサーバ1に送信されるプレゼンス情報を中継する際に、中継するプレゼンス情報を取得する。中継サーバ2は、他の中継サーバ2に「NOTIFY」を送信する場合には、情報を中継する際に取得したプレゼンス情報を、「NOTIFY」に含める。従って、データベースサーバ1は、中継サーバ2に送信する応答メッセージ(S31)にプレゼンス情報を含める必要がない。よって、通信システム100は、送受信するデータのデータ量を低下させることができる。
【0050】
通知先端末にプレゼンス情報を送信する中継サーバ2は、他の中継サーバ2から受信した「NOTIFY」が、データベースサーバ1から他の中継サーバ2を介して送信された信頼できる情報であることを、識別子を用いて判断することができる。よって、通信システム100は、正確な情報を円滑に送受信することができる。通信システム100は、汎用的なSIPに従って円滑に通信を行うことができる。通信システム100は、汎用的なSIPメッセージを利用して容易にプレゼンス機能を実現することができる。SIPに従って通信を行う既存の通信システムの構成を大幅に変更することなく、容易にプレゼンス機能を実現することができる。中継サーバ2は、複数の端末3間のセッションの確立とプレゼンス機能の制御とを共に実行することができる。よって、通信システム100は、セッションを確立するためのサーバとプレゼンス機能を制御するサーバとを別に備える必要がない。
【0051】
第一の実施形態において、データベースサーバ1が、図5のS9で通知先端末を特定する情報をHDD13に記憶させる処理が、本発明の「登録ステップ」に相当する。端末3が、図5のS1,S16で中継サーバ2を介して状態通知をデータベースサーバ1に送信する処理が、「状態通知ステップ」に相当する。データベースサーバ1が、図5のS20および図6のS31で応答メッセージを送信する処理が、「第一送信ステップ」に相当する。図5のS20および図6のS31で送信される応答メッセージが「一の情報」に相当し、応答メッセージに含まれる通知先情報が「第一通知先情報」に相当する。中継サーバ2が、図6のS32,S33で他の中継サーバ2に「NOTIFY」を送信する処理、および自装置の外部通信I/F24にプレゼンス情報と通知先情報とを出力する処理が、本発明の「出力ステップ」に相当する。図6のS32,S33で送信される「NOTIFY」に含まれる通知先情報が、「第二通知先情報」に相当する。中継サーバ2が、図5のS25および図6のS36〜S38,S43で「NOTIFY」を送信する処理が、「第二送信ステップ」に相当する。
【0052】
中継サーバ2が図5のS2,S17でプレゼンス情報を取得する処理が、「第一取得ステップ」に相当する。データベースサーバ1および中継サーバ2が、図5のS10,S12で共通の識別子を記憶させる処理が、「記憶制御ステップ」に相当する。図5のS20,S22、および図6のS31,S32,S33でメッセージに含まれる識別子が「識別子情報」に相当する。
【0053】
図5のS9で通知先端末を特定する情報をHDD13に記憶させるデータベースサーバ1のCPU10が、本発明の「登録手段」として機能する。図5のS1,S16で中継サーバ2を介して状態通知をデータベースサーバ1に送信する端末3のCPU30が、「状態通知手段」として機能する。図5のS20および図6のS31で応答メッセージを送信するデータベースサーバ1のCPU10が、「第一送信手段」として機能する。図6のS32,S33で他の中継サーバ2に「NOTIFY」を送信する処理、および自装置の外部通信I/Fにプレゼンス情報と通知先情報とを出力する処理を行う中継サーバ2のCPU20が、本発明の「出力手段」として機能する。図5のS25および図6のS36〜S38,S43で「NOTIFY」を送信する中継サーバ2のCPU20が「第二送信手段」として機能する。
【0054】
本発明の第二の実施形態に係る通信システムが実行する状態通知方法について、図8を参照して説明する。第二の実施形態に係る通信システムでは、通知先情報および中継情報を含むメッセージ(本発明における「一の情報」)の送信先が、各中継サーバ2の処理情報に基づいて選択される点が、第一の実施形態と異なる。さらに、データベースサーバ1から中継サーバ2に送信されるメッセージに、通知元端末のプレゼンス情報が含まれる点が、第一の実施形態と異なる。上記以外の処理、および各装置の構成は、第一の実施形態における処理および構成と同じである。よって、各装置の構成には、第一の実施形態における構成と同一の番号を付し、構成の説明を省略する。
【0055】
図8を参照して、第二の実施形態に係るデータベースサーバ1が行う中継サーバ選択処理について説明する。中継サーバ選択処理は、通知元端末から中継サーバ2を介して送信された状態通知(例えば、図5のS18)をデータベースサーバ1が受信した場合に、データベースサーバ1のCPU10によって実行される。中継サーバ選択処理では、まず、状態通知メッセージが受信される(S101)。受信されたメッセージに含まれる通知元端末のプレゼンス情報が、プレゼンス情報記憶エリア131(図2参照)に記憶される(S102)。通知先端末を特定するための通知先情報と、接続サーバを特定する中継情報と、各通知先端末に対応する識別子とが取得される(S103)。
【0056】
通信システム内の各中継サーバ2の処理情報が、HDD13から取得される(S104,S105)。詳細には、通知先情報および中継情報を含むメッセージ(以下、「状態通知要求メッセージ」という。)が各中継サーバ2に前回送信された時刻が、処理情報として取得される(S104)。さらに、各中継サーバ2が状態通知要求メッセージを前回受信した際に、各中継サーバ2から他の中継サーバ2および端末3に送信されたメッセージ数Nが、処理情報として取得される(S105)。S104で取得される前回送信時刻、およびS105で取得される前回送信メッセージ数Nは、前回実行された中継サーバ選択処理のS113(後述する)において、HDD13に記憶されている。
【0057】
今回送信メッセージ数nが、複数の中継サーバ2の各々について算出される(S106)。今回送信メッセージ数nとは、中継サーバ2に状態通知要求メッセージを送信したと仮定した場合に、中継サーバ2が送信することになるメッセージの数である。具体的には、複数の中継サーバ2のうちの1つである中継サーバ2Aの今回送信メッセージ数nは、中継サーバ2Aに接続している通知先端末の数と、中継サーバ2A以外の中継サーバ2のうち通知先端末が少なくとも1つ接続している中継サーバ2の数(中継サーバ2A以外の接続サーバの数)との和となる。CPU10は、S103で取得した通知先情報および中継情報を用いて、各中継サーバ2の今回送信メッセージ数nを算出する。次いで、S104で取得された前回送信時刻からの経過時間Tが、中継サーバ2毎に算出される(S107)。
【0058】
メッセージを1回送信する処理に要する平均時間tを用いて、以下の式(1)の条件を満たす中継サーバ2が存在するか否かが探索される(S108)。平均時間tの情報は、あらかじめHDD13に記憶されている。
(T−N・t)≧0・・・・・(1)
式(1)の条件を満たす中継サーバ2は、メッセージを送信する処理を既に終了していると判断される。式(1)の条件を満たす中継サーバ2(図中、「該当サーバ」と記す)が探索されたか否かが判断される(S109)。条件を満たす中継サーバ2が探索された場合には(S109:YES)、探索された中継サーバ2のうち、今回送信メッセージ数nの値が最小の中継サーバ2が、状態通知要求メッセージの送信先の中継サーバ2として選択される(S110)。
【0059】
式(1)の条件を満たす中継サーバ2が探索されなかった場合には(S109:NO)、以下の式(1)によって算出される時間が最小となる中継サーバ2が、状態通知要求メッセージの送信先の中継サーバ2として選択される(S111)。
((N+n)・t−T)・・・・・(2)
式(2)によって算出される時間は、前回のメッセージの送信処理と今回のメッセージの送信処理とを全て終了するまでに要する時間である。なお、S110またはS111の処理で複数の中継サーバ2が候補として存在する場合には、複数の候補のうちの1つを送信先の中継サーバ2として選択すればよい。具体的には、経過時間Tが最も長い中継サーバ2を選択してもよいし、乱数等を用いてランダムに1つの中継サーバ2を選択してもよい。
【0060】
中継サーバ2が選択されると、選択された中継サーバ2に、S101で受信した状態通知メッセージに含まれるプレゼンス情報と、S103で取得された通知先情報、中継情報、および識別子とを含む状態通知要求メッセージが送信される(S112)。中継サーバ2の各々に対応付けて、S106で算出されたnの値が、前回送信メッセージ数NとしてHDD13に記憶される。現在時刻が、選択された中継サーバ2の前回送信時刻としてHDD13に記憶される(S113)。処理は終了する。なお、第二の実施形態に係る中継サーバ2は、図5のS22および図6のS32,S33で送信する「NOTIFY」に、状態通知要求メッセージに含まれていたプレゼンス情報を含める。
【0061】
以上説明したように、第二の実施形態に係る状態通知方法によると、データベースサーバ1は、各中継サーバ2が実行している処理の情報に応じて、状態通知要求メッセージの送信先の中継サーバ2を選択することができる。従って、通信システムは、システム内の特定の中継サーバ2に処理負担が偏ることを防止することができる。詳細には、データベースサーバ1は、メッセージの送信処理を最も早く終了させることができると予想される中継サーバ2に、状態通知要求メッセージを送信することができる。よって、通信システムは、プレゼンス情報の通知の遅延を最小限に抑えることができる。第二の実施形態に係る通信システムは、データベースサーバ1から中継サーバ2に送信される状態通知要求メッセージにプレゼンス情報を含めることで、プレゼンス情報を確実に通知先端末に通知することができる。
【0062】
第二の実施形態において、データベースサーバ1が図8のS104,S105で情報を取得する処理が、本発明の「第二取得ステップ」に相当する。S104で取得される前回送信時刻、およびS105で取得される前回送信メッセージ数Nが、本発明の「処理情報」に相当する。状態通知要求メッセージが本発明の「一の情報」に相当する。データベースサーバ1が図8のS106〜S111で中継サーバ2を選択する処理が「選択ステップ」に相当する。
【0063】
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、様々な変形が可能であることは言うまでもない。上記実施形態の通信システムは、一部の情報を送受信する際にSIPメッセージを利用している。しかし、本発明は、SIPメッセージを利用せずに実現することも可能である。中継サーバ2はSIPプロキシサーバとして動作しなくてもよい。
【0064】
上記実施形態に係る中継サーバ2は、図6のS32で他の中継サーバ2に送信する「NOTIFY」に、複数の通知先端末に関する通知先情報および識別子を全て含める。その結果、通信システムは、複数の中継サーバ2間で送受信されるメッセージの数を減少させることができる。しかし、中継サーバ2は、通知先端末の各々に関する通知先情報および識別子を、別々に他の中継サーバ2に送信してもよい。この場合でも、通信システムは、データベースサーバ1に係る負荷を低下させることができるため、プレゼンス機能を円滑に実行することができる。
【0065】
上記実施形態に係る中継サーバ2は、図6のS32およびS33において、送信先の中継サーバ2に接続している通知先端末についての通知先情報および識別子のみを、「NOTIFY」に含めて送信する。しかし、中継サーバ2は、データベースサーバ1から受信したメッセージに含まれる通知先情報および識別子をそのまま「NOTIFY」に含めてもよい。つまり、本発明に係る「第一通知先情報」の内容と「第二通知先情報」の内容とは同一の内容であってもよい。この場合、「NOTIFY」を受信した中継サーバ2は、自装置に接続している通知先端末を、受信した「NOTIFY」に含まれる通知先情報から特定し、特定した通知先端末にプレゼンス情報を送信すればよい。
【0066】
第一の実施形態に係る中継サーバ2は、通知元端末から送信されるプレゼンス情報を中継する際にプレゼンス情報を取得する。中継サーバ2は、あらかじめ取得していたプレゼンス情報を、他の中継サーバ2に送信する「NOTIFY」に含める。その結果、中継サーバ2は、送受信されるメッセージのデータ量を低下させることができる。しかし、第一の実施形態に係るデータベースサーバ1は、第二の実施形態と同様に、中継サーバ2に返信する応答メッセージに、通知元端末のプレゼンス情報を含めてもよい。中継サーバ2は、データベースサーバ1から受信した応答メッセージに含まれるプレゼンス情報を、他の中継サーバ2に送信する「NOTIFY」に含めてもよい。
【0067】
第二の実施形態に係るデータベースサーバ1は、各中継サーバ2についての前回送信時刻および前回送信メッセージ数Nを処理情報として取得し、中継サーバ2の1つを選択する。しかし、データベースサーバ1が処理情報として取得する情報、および中継サーバ2の選択方法は、変更が可能である。例えば、データベースサーバ1は、各中継サーバ2に接続している通知先端末の数を、処理情報として取得する。接続している通知先端末の数が少ない程、中継サーバ2にかかる処理負担は低い。従って、データベースサーバ1は、接続している通知先端末の数が最も少ない中継サーバ2を、状態通知要求メッセージの送信先の中継サーバ2として選択してもよい。
【0068】
上記実施形態に係るデータベースサーバ1および中継サーバ2は、識別子そのものをメッセージに含めて送信する。しかし、データベースサーバ1および中継サーバ2は、識別子そのものではなく、識別子を特定するための情報をメッセージに含めて送信してもよい。例えば、公開鍵暗号方式、チャレンジレスポンス方式等を用いて識別子を暗号化し、暗号化した符号をメッセージに含めてもよい。その結果、通信システムは、識別子がシステム外に漏れる可能性を低下させることができる。この場合、暗号化された符号が本発明の「識別子情報」に相当する。
【符号の説明】
【0069】
1 データベースサーバ
2 中継サーバ
3 端末
10 CPU
13 HDD
20 CPU
23 HDD
30 CPU
100 通信システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端末と、前記複数の端末の各々の状態を示すプレゼンス情報を管理することが可能なデータベースサーバと、前記複数の端末の少なくともいずれかと前記データベースサーバとの間でメッセージを中継する複数の中継サーバとを備えた通信システムにおいて行われる状態通知方法であって、
前記データベースサーバが、前記複数の端末の各々の状態の通知先である1以上の通知先端末を特定する情報を記憶手段に登録する登録ステップと、
前記複数の端末のうちの一の端末である通知元端末が、接続している中継サーバを介して、前記通知元端末のプレゼンス情報を前記データベースサーバへ送信する状態通知ステップと、
前記状態通知ステップで送信された前記通知元端末のプレゼンス情報を受信した前記データベースサーバが、前記登録ステップで登録された情報に基づいて、前記通知先端末を特定するための第一通知先情報と、前記通知先端末に接続している中継サーバを特定するための中継情報とを含む一の情報を、前記複数の中継サーバのいずれかに送信する第一送信ステップと、
前記第一送信ステップで送信された前記一の情報を受信した中継サーバが、前記中継情報によって特定される中継サーバに、前記第一通知先情報によって特定される通知先端末を特定する第二通知先情報、および前記通知元端末のプレゼンス情報を出力する出力ステップと、
前記出力ステップで出力された情報を入力した中継サーバが、自身に接続している端末のうち、前記第二通知先情報によって特定される端末に、入力したプレゼンス情報を送信する第二送信ステップと
を備えたことを特徴とする状態通知方法。
【請求項2】
前記出力ステップにおいて、前記中継サーバは、前記第一通知先情報によって複数の通知先端末が特定され、且つ前記複数の通知先端末のうちの2以上が1つの中継サーバに接続されている場合、前記中継サーバに対し、2以上の通知先端末を特定する一の第二通知先情報を出力することを特徴とする請求項1に記載の状態通知方法。
【請求項3】
前記第一送信ステップにおいて、前記データベースサーバは、前記第一通知先情報および前記中継情報を含む前記一の情報を、前記プレゼンス情報を受信したことに対する応答と共に、前記プレゼンス情報を中継した中継サーバに送信することを特徴とする請求項1または2に記載の状態通知方法。
【請求項4】
前記状態通知ステップで前記通知元端末のプレゼンス情報を中継する中継サーバが、前記プレゼンス情報を中継する際に、中継する前記プレゼンス情報を取得する第一取得ステップをさらに備え、
前記出力ステップにおいて、前記中継サーバは、前記第一取得ステップで取得した前記プレゼンス情報を出力することを特徴とする請求項3に記載の状態通知方法。
【請求項5】
前記状態通知ステップで送信された前記通知元端末のプレゼンス情報を受信した前記データベースサーバが、前記複数の中継サーバの各々が実行している処理に関する情報である処理情報を取得する第二取得ステップと、
前記第二取得ステップで処理情報を取得した前記データベースサーバが、取得した前記処理情報に基づいて、前記通知先情報および前記中継情報を含む前記一の情報を送信する送信先の中継サーバを前記複数の中継サーバの中から選択する選択ステップとをさらに備え、
前記第一送信ステップにおいて、前記データベースサーバは、前記一の情報を、前記選択ステップで選択された中継サーバに送信することを特徴とする請求項1または2に記載の状態通知方法。
【請求項6】
前記第一送信ステップにおいて、前記データベースサーバは、前記通知元端末のプレゼンス情報を前記一の情報に含めて送信し、
前記出力ステップにおいて、前記中継サーバは、受信した前記一の情報に含まれる前記プレゼンス情報を出力することを特徴とする請求項1から3、および5のいずれかに記載の状態通知方法。
【請求項7】
前記中継サーバの各々と前記データベースサーバとが、前記中継サーバの各々と前記データベースサーバとの間で共通の識別子を記憶手段に記憶させる記憶制御ステップをさらに備え、
前記第一送信ステップにおいて、前記データベースサーバは、前記中継情報によって特定される中継サーバとの間で共通する識別子に関する識別子情報を、前記一の情報に含めて送信し、
前記出力ステップにおいて、前記第一送信ステップで送信された前記一の情報を受信した中継サーバは、前記一の情報に含まれる前記識別子情報を、前記第二通知先情報および前記プレゼンス情報と共に出力し、
前記第二送信ステップにおいて、前記出力ステップで出力された情報を入力した中継サーバは、入力した前記識別子情報によって示される識別子が前記データベースサーバとの間で共通の識別子である場合、入力したプレゼンス情報を通知先端末に送信することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の状態通知方法。
【請求項8】
前記複数の端末の各々は、他の端末との間でSIP(Session Initiation Protocol)に従って通信を行うSIPクライアントとして動作し、
前記中継サーバは、前記複数の端末間におけるSIPセッションを確立するSIPプロキシサーバとして動作することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の状態通知方法。
【請求項9】
複数の端末と、前記複数の端末の各々の状態を示すプレゼンス情報を管理することが可能なデータベースサーバと、前記複数の端末の少なくともいずれかと前記データベースサーバとの間でメッセージを中継する複数の中継サーバとを備えた通信システムであって、
前記データベースサーバにおいて、前記複数の端末の各々の状態の通知先である1以上の通知先端末を特定する情報を記憶手段に登録する登録手段と、
前記複数の端末のうちの一の端末である通知元端末において、前記通知元端末に接続している中継サーバを介して、前記通知元端末のプレゼンス情報を前記データベースサーバへ送信する状態通知手段と、
前記データベースサーバにおいて、前記状態通知手段によって送信された前記通知元端末のプレゼンス情報を受信した場合に、前記登録手段によって登録された情報に基づいて、前記通知先端末を特定するための第一通知先情報と、前記通知先端末に接続している中継サーバを特定するための中継情報とを含む一の情報を、前記複数の中継サーバのいずれかに送信する第一送信手段と、
前記複数の中継サーバの各々において、前記第一送信手段によって送信された前記一の情報を受信した場合に、前記中継情報によって特定される中継サーバに、前記第一通知先情報によって特定される通知先端末を特定する第二通知先情報、および前記通知元端末のプレゼンス情報を出力する出力手段と、
前記複数の中継サーバの各々において、前記出力手段によって出力された情報を入力した場合に、自身に接続している端末のうち、前記第二通知先情報によって特定される端末に、入力したプレゼンス情報を送信する第二送信手段と
を備えたことを特徴とする通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−205291(P2011−205291A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69367(P2010−69367)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】