説明

玄米入り豆腐及びその製造方法

【課題】食感や風味を損なわないだけでなく、栄養価の吸収効率が高く、しかも、安全で成人病予防の効果が高い理想的な健康食品となる玄米入り豆腐を提供すること。また、悪質な糖分や脂肪分を食べながらにして効率的に分解・除去できるような食品を提供すること。
【解決手段】豆乳又はおから入り豆汁に粉状又は粒状若しくは液状の玄米を混合し、更に、これに粉状又は粒状若しくは液状のコタラヒムブツを混合したものに、パパイヤ酵素を添加してなる玄米入り豆腐とその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栄養学上の効果が優れた玄米入り豆腐及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
古くから、大豆が栄養学的に優れた素材であることは知られているが、その栄養吸収率を効果的に高めた典型的な食品として豆腐や豆乳がある。豆腐や豆乳の栄養学的効果は具体的には、骨の形成・維持に欠かせないカルシウムやイソフラボノイド、ボケ防止の効果があるコリン、血行を増進させることで動脈硬化防止に効果があるレシチン、糖尿病防止に効果があるトリピシンインヒビター、腸内活性に役立つオリゴ糖、脂肪酸の酸化防止や活性酸素の抑制効果があるサボニン、コレステロールを抑制するリノール酸など、数え上げたら枚挙に暇がない。
【0003】
そのため、最近では、栄養学的に優れた豆腐の効果をより高めるため、特開2001−333722の公報に示される大豆以外の副食材を混入させた豆腐及びその製造方法に関する技術や、特開2003−339335の公報に示される豆乳に滋養成分を加えた豆腐及びその製造方法に関する技術などが開発されているが、混入される副食材や滋養成分によっては食感や風味等を損なってしまうといった問題点があった。
【0004】
他方、我が国では江戸時代から長期にわたり玄米を主食としてきた歴史があり、白米は一般庶民にとって高級品であった。ところが、経済の成長に伴って、臭いや硬さのある玄米よりも白米が好まれるようになり、今や白米が玄米に取って代わってしまった。しかしながら、昨今の健康ブームにより玄米の栄養学的効果が見直されるようになり、玄米を主食とすることを薦めるPRも盛んになされるようになった。玄米はビタミン、鉄分、ミネラルなど様々の栄養素において白米を遥かに凌いでいるからである。しかしながら、白米に慣れてしまった日本人の胃腸にとって、玄米の栄養吸収率は白米の40%程と低いうえ、独特の臭いや硬さもあるため、なかなか食卓に上る頻度が高まらないのが現状であった。
【特許文献1】特開2001−333722
【特許文献2】特開2003−339335
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、大豆の栄養吸収率を効果的に高めた豆腐に、白米よりも遥かに栄養価の高い玄米を利用することで、大豆と玄米の優れた栄養価を効率的且つ相乗的に吸収することのできる、理想的な健康食品を提供することを課題として開発されたのが本発明である。
【0006】
また、本発明は、単に総合的な栄養価やその吸収効率が高いだけでなく、贅沢品に慣れてしまった日本人の味覚にも容易に受け入れられるような食感や風味を備えており、しかも、化学品の利用を一切排することで、安全性が高く、且つ、保存性にも優れた食品として提供することも、その解決課題の1つとして開発されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、如上の課題を解決するための具体的手段として、以下の玄米入り豆腐及びその製造方法を採用した。
(1)豆乳又はおから入り豆汁に粉状又は粒状若しくは液状の玄米を混合した玄米入り豆腐(請求項1)。
(2)豆乳又はおから入り豆汁に粉状又は粒状若しくは液状の玄米と粉状又は粒状若しくは液状のコタラヒムブツとを混合した玄米入り豆腐(請求項2)。
(3)前記玄米は予め150℃〜200℃の加熱処理が施されている請求項1又は2記載の玄米入り豆腐(請求項3)。
(4)豆乳又はおから入り豆汁の加熱に際してマイナスイオン水を添加した請求項1乃至3記載の玄米入り豆腐(請求項4)。
(5)豆乳又はおから入り豆汁の凝固に先立ってパパイヤ酵素を添加した請求項1乃至4記載の玄米入り豆腐(請求項5)。
(6)豆乳又はおから入り豆汁を凝固させる工程に先立って、予め150℃〜200℃に加熱処理された粉状又は粒状若しくは液状の玄米を混合する工程を有する玄米入り豆腐の製造方法(請求項6)。
(7)豆乳又はおから入り豆汁を加熱する工程に際して、マイナスイオン水を添加する工程を有し、また、豆乳又はおから入り豆汁を凝固させる工程に先立って、予め150℃〜200℃に加熱処理された粉状又は粒状若しくは液状の玄米を混合する工程と、粉状又は粒状若しくは液状のコタラヒムブツを混合する工程とを有する玄米入り豆腐の製造方法(請求項7)。
(8)前記豆乳又はおから入り豆汁を凝固させる工程に先立って、パパイヤ酵素を添加する工程を含む請求項6又は7記載の玄米入り豆腐の製造方法(請求項8)。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る玄米入り豆腐及びその製造方法により、大豆の栄養価に加えて玄米が持つ高い栄養価を効率的且つ相乗的に吸収できるだけでなく、コタラヒムブツやパパイヤ酵素更にはマイナスイオン水といった天然の健康補助素材を用いたことで、豆腐の持つ食感や風味はそのままに、保存性が高く、糖分や脂肪分を無理なく分解・除去できる、理想的な健康食品を提供することができるようになった。具体的には以下のとおりである。
(1)大豆と玄米の持つ優れた栄養価が効率的且つ相乗的に吸収できるようになった。
(2)豆乳のほか、おから入り豆汁も利用したことで、おからの持つ栄養価も吸収できるようになった。
(3)大豆と玄米の栄養価に加え、コタラヒムブツにより糖分や脂肪分の吸収を抑制できるようになった。
(4)玄米を高温で加熱処理したことで、酸化を防止することができるようになった。
(5)マイナスイオン水を添加したことで、化学保存剤を用いずに保存性を高めることができるようになった。
(6)パパイヤ酵素を混入したことで、脂肪分の分解効果を高めることができるようになった。
(7)食感や風味を損なうことなく、理想的な健康食品として提供できるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、豆乳又はおから入り豆汁に粉状又は粒状若しくは液状の玄米を混入することで得られた玄米入り豆腐である点を基本的な特徴とするものであり、大豆をそのまま食したとすれば30〜40%しか吸収されない栄養価が、豆腐として加工することで、その栄養吸収率が90%以上にも高められる点に着目し、同様に玄米食であれば40%そこそこしか得られないところ、これを豆乳又はおから入り豆汁に混合することで、その栄養吸収率を飛躍的に高めた点に最大の特徴を有している。なお、おから入り豆汁とは、当業界では「のた」といわれ、水を加えながら大豆を粉砕した状態を「生呉」(なまご)、これを加熱して煮立てたドロドロの状態のものを「煮呉」(にご)というが、この「煮呉」の状態のものを意味する。いずれも豆乳として搾出する前の状態のものであるが、誤解を招かぬよう、本発明においては「おから入り豆汁」の語を用いる。以下、本発明に係る玄米入り豆腐に用いられる素材の栄養学的効果について説明する。
【0010】
一般的に、大豆には、骨の形成・維持に欠かせないカルシウムやイソフラボノイド、ボケ防止の効果があるコリン、血行を増進させることで動脈硬化防止に効果があるレシチン、糖尿病防止に効果があるトリピシンインヒビター、腸内活性に役立つオリゴ糖、脂肪酸の酸化防止や活性酸素の抑制効果があるサボニン、コレステロールを抑制するリノール酸など、人の健康維持に欠かせない栄養素が多く含まれていることが知られている。また、おからには大豆の皮や大豆自体の豆乳を搾り取ったあとの食物繊維、たんぱく質も、イソフラボンも、サポニンも、レシチンも、もちろんオリゴ糖も含まれているため、豆乳に代えて「おから入り豆汁」を用いた場合は、豆乳以上の栄養価を含むことになる。
【0011】
また、玄米には、その胚芽部に粗タンパク、類脂肪、ビタミンA・B1・B2・B6・B12・E、パントテン酸、葉酸、各種ミネラルなど、人の健康に欠かせない栄養素や、癌の抑制効果があるといわれるナイアシンが含まれていることも知られている。
【0012】
また、コタラヒムブツは、スリランカにしかない所謂「ハーブ」(薬木)であり、現地の伝承医学であるアーユルヴェーダによれば、血糖値を低下させる効果に加え、脂肪の吸収を抑制する効果があるといわれており、前者はコタラヒムブツに含まれるコタノールやサラシノールという含有成分が、2種類以上の糖を分解するα−グルコシダーゼという酵素の働きを阻害することで可能となり、後者はコタラヒムブツに含まれるポリフェノール類やマンジフェリンによって、腸内の脂肪代謝酵素が阻害されることで可能となる。
【0013】
更に、マイナスイオンには抗菌作用があることが知られているが、それがため食品の保存性を高めることができ、また、パパイヤ酵素はその成分であるパパインが脂肪の燃焼効率を高めるため、顕著な脂肪分解効果があるといわれている。
【実施例】
【0014】
次に、本発明に係る玄米入り豆腐及びその製造方法の実施例については、以下の2つの実施形態が予想されるので、その各々について説明する。
実施例1:大豆、玄米粉、パパイヤ酵素、にがりを材料とする玄米入り豆腐及びその製造方法の場合
本実施例は、本発明の主請求項である請求項1と従属項である請求項3及び請求項5の各構成要素を反映させた場合の玄米入り豆腐、及び、主請求項である請求項6と従属項である請求項8の各構成要素を反映させた場合の玄米入り豆腐の製造方法に関する。
【0015】
玄米入り豆腐
本発明は豆乳又はおから入り豆汁に玄米を混合した点を特徴とするが、本実施例では使用する大豆と玄米の混合比率は重量比で6:4〜9:1の範囲が適正値であり、度重なる実験によれば、食感や風味を損なわない範囲として、凡そ8:2の比率であることが望ましいとの結果を得た。但し、この比率は個人の好みによるものであるから、前記適正値の範囲を越えて混合比率が増減することについては全く問題なく、本発明は前記数値に限定されるものではない。また、本発明で用いる玄米は酸化を防止するため、予め150℃〜200℃の加熱処理を施した点を特徴とし、本実施例では玄米を粉末にする瞬間に180℃に加熱したものを使用した。なお、玄米粉は大豆の皮ごと20〜30ミクロンに粉砕されていることが望ましい。更に、本発明は豆乳又はおから入り豆汁の凝固に先立ってパパイヤ酵素を添加した点をもう1つの特徴とするものであり、パパイヤ酵素は粉状、粒状若しくは液状のいずれでも良いが、本実施例では液状のパパイヤ酵素を、大豆1.8キログラムの豆乳又はおから入り豆汁に対して3CCほど添加した。パパイヤ酵素の添加量は個人の好みの問題であるので限定しないが、食感や風味の点で、1.8キログラムの大豆から搾出した豆乳又はおから入り豆汁に対して1〜10CCが適正範囲と思われる。
【0016】
玄米入り豆腐の製造方法
本発明は前記の玄米入り豆腐の製造方法に関するものであるが、豆乳又はおから入り豆汁の凝固に先立って、予め150℃〜200℃に加熱した玄米を混合する工程を有する点を特徴とする。本実施例では先ず、大豆1.8キログラムを用いて通常の工程を経ることで豆乳を搾出し、若しくは、前記「のた」の状態すなわち「おから入り豆汁」の状態にする。続いて、前記した大豆と玄米の混合比率8:2に基づき、使用された大豆の重量の20%に相当する360グラムの玄米粉を前記豆乳又はおから入り豆汁に混合する。玄米粉については、酸化を防止するため、粉末にする瞬間に180℃の加熱処理が施されたものを使用した。次いで、パパイヤ酵素液を3CC添加して加熱する。温度が75℃になったら加熱を中止し、にがり5グラムを混入してゆっくり撹拌すると、間もなく凝固が開始し、所望の玄米入り豆腐が製造される。なお、パパイヤ酵素の添加量については、個人の嗜好の問題であるから必ずしも限定しないが、本実施例では液状のパパイヤ酵素3CCを添加した。このように、本実施例によれば、豆乳又はおから入り豆汁を凝固させる工程に先立って、玄米粉を混合し、パパイヤ酵素を添加する工程を経ることで、所望とする玄米入り豆腐を得ることができた。
【0017】
実施例2:大豆、玄米粉、マイナスイオン水、コタラヒムブツ、パパイヤ酵素、にがりを材料とする玄米入り豆腐及びその製造方法の場合
本実施例は、本発明の主請求項である請求項2と従属項である請求項3乃至請求項5の各構成要素を反映させた場合の玄米入り豆腐、及び、主請求項である請求項7と従属項である請求項8の各構成要素を反映させた場合の玄米入り豆腐の製造方法に関する。
【0018】
玄米入り豆腐
本発明は豆乳又はおから入り豆汁に玄米とコタラヒムブツを混合した点を特徴とするが、本実施例で使用する大豆と玄米の混合比率は先の実施例と同様、重量比で6:4〜9:1の範囲が適正値であるところ、食感や風味を考慮し、凡そ8:2にて混合した。しかしながら、前記したように、食感や風味は個人の嗜好により左右されるものであるから、この適正値の範囲については上記混合比率に限定されるものではない。玄米は先の実施例と同様、20〜30ミクロンに粉砕した玄米粉であり、粉砕に際して180℃に瞬間的に加熱を加えた玄米粉を使用した。また、本発明では玄米に加えて粉状、粒状又は液状のコタラヒムブツを混合した点を特徴とするが、本実施例では粉状のコタラヒムブツを使用した。コタラヒムブツを混合する量については個人の嗜好の差があるので、必ずしも限定しないが、食感や風味を考慮すると、混合する玄米の量の1〜10%が適正値の範囲といえる。また、本発明は豆乳又はおから入り豆汁の凝固に先立ってパパイヤ酵素を添加した点を特徴とし、前記した実施例と同様に大豆1.8キログラムに対して1〜10CCが適正値であるが、本実施例では3CCのパパイヤ酵素液を添加した。本発明のもう1つの特徴として、玄米を混合する以前の、大豆から搾出した豆乳又はおから入り豆汁を加熱する段階に際して、マイナスイオン水を添加する点がある。その添加量については限定しないが、豆乳又はおから入り豆汁を作る際に加える水の1〜10%が適正値の範囲と思われる。
【0019】
玄米入り豆腐の製造方法
本発明は前記の玄米入り豆腐の製造方法に関するものであるが、大豆から搾出した豆乳又はおから入り豆汁を加熱する段階で、マイナスイオン水を添加する工程を有する点を特徴とする。本実施例では先ず、大豆1.8キログラムを粉砕して豆乳を搾出し若しくはおから入り豆汁の状態とする前の段階で水を加えるが、その際にマイナスイオン水を添加する。添加量については加える水量の1〜10%が適正値であるが、本実施例では5%ほどを添加した。続いて、通常の工程に従って豆乳を搾出し若しくはおから入り豆汁の状態にしたら、先の実施例と同様、予め180℃の加熱処理を施してある20〜30ミクロンに粉砕した玄米粉360グラムを前記豆乳又はおから入り豆汁に混合する。次いで、本発明のもう1つの特徴である粉状、粒状又は液状のコタラヒムブツを混合すると共に、先の実施例と同様、パパイヤ酵素液を3CCほど添加して加熱するが、本実施例のコタラヒムブツは粉状のものを用い、これを混合した玄米粉の重量の1〜10%の範囲で添加した。温度が75℃になったところで加熱を中止し、にがり5グラムを加えてゆっくり撹拌すると、間もなく凝固が開始し、所望の玄米入り豆腐が製造される。このように、本実施例によれば、搾出した豆乳又はおから入り豆汁を加熱する工程に際してマイナスイオン水を添加し、それにより得られた豆乳又はおから入り豆汁を凝固させる工程に先立って、玄米粉とコタラヒムブツ粉を混合し、パパイヤ酵素を添加する工程を経ることで、所望とする玄米入り豆腐を得ることができた。
【産業上の利用可能性】
【0020】
大豆と玄米といった極めて栄養価の高い素材を用いた豆腐としたことで、栄養吸収率が非常に高いうえ、植物性であるために成人病の原因となるような悪質の糖分や脂肪分の摂取を控えることができる。更に、おから入り豆汁を用いることで、廃棄されてしまうことの多いおからを有効利用することもできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
豆乳又はおから入り豆汁に粉状又は粒状若しくは液状の玄米を混合したことを特徴とする玄米入り豆腐。
【請求項2】
豆乳又はおから入り豆汁に粉状又は粒状若しくは液状の玄米と粉状又は粒状若しくは液状のコタラヒムブツとを混合したことを特徴とする玄米入り豆腐。
【請求項3】
前記玄米は予め150℃〜200℃の加熱処理が施されていることを特徴とする請求項1又は2記載の玄米入り豆腐。
【請求項4】
豆乳又はおから入り豆汁の加熱に際してマイナスイオン水を添加したことを特徴とする請求項1乃至3記載の玄米入り豆腐。
【請求項5】
豆乳又はおから入り豆汁の凝固に先立ってパパイヤ酵素を添加したことを特徴とする請求項1乃至4記載の玄米入り豆腐。
【請求項6】
豆乳又はおから入り豆汁を凝固させる工程に先立って、予め150℃〜200℃に加熱処理された粉状又は粒状若しくは液状の玄米を混合する工程を有することを特徴とする玄米入り豆腐の製造方法。
【請求項7】
豆乳又はおから入り豆汁を加熱する工程に際して、マイナスイオン水を添加する工程を有し、また、豆乳又はおから入り豆汁を凝固させる工程に先立って、予め150℃〜200℃に加熱処理された粉状又は粒状若しくは液状の玄米を混合する工程と、粉状又は粒状若しくは液状のコタラヒムブツを混合する工程とを有することを特徴とする玄米入り豆腐の製造方法。
【請求項8】
前記豆乳又はおから入り豆汁を凝固させる工程に先立って、パパイヤ酵素を添加する工程を含むことを特徴とする請求項6又は7記載の玄米入り豆腐の製造方法。