説明

玩具用変位構造体

【課題】より複雑な揺動運動を行うことができる玩具用変位構造体を提供すること。
【解決手段】玩具用変位構造体1は、一連に配設されている複数のブロック体31a、32aから成る可撓部2と、各ブロック体31a、32aの両側をそれぞれ貫通し、複数のブロック体の端部に位置するブロック体33に一端41a、42aが係止されている2本の紐状体41、42と、2本の紐状体41、42の他端41b、42bを交互に引き込む駆動部5とを有し、駆動部5により2本の紐状体41、42の他端41b、42bが交互に引き込まれることにより各ブロック体31a、32a間の角度が変化し、可撓部2全体が撓む。可撓部2の外側はぬいぐるみ部6によって覆われている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玩具の肢体内部に配設されている玩具用変位構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、玩具の肢体等の駆動機構は、製造コストの低減を図るために簡略化された構造を有していた。例えば、動物玩具の尻尾等において当該尻尾を揺動させる場合、尻尾の基端部のみを揺動させることにより、尻尾全体が揺動運動を行うように構成されていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のように、動物玩具の尻尾等において尻尾の基端部のみを揺動させると、尻尾全体が揺動運動を行うが、実際の動物の尻尾は多数の骨と間接を有しているため尻尾全体がしなるように揺動する。このため、尻尾の基端部のみを揺動させた玩具では、動物の尻尾の揺動運動とはまったく異なる印象を与えてしまうという問題があった。
【0004】
上記問題に鑑み、本発明は、より複雑な揺動運動を行うことができる玩具用変位構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る玩具用変位構造体は、玩具の肢体内部に一連に配設されている複数のブロック体から成る可撓部と、前記各ブロック体の両側をそれぞれ貫通し、前記複数のブロック体の端部に位置するブロック体に一端が係止されている2本の紐状体と、前記2本の紐状体の他端を交互に引き込む駆動部とを有し、前記駆動部により前記2本の紐状体の他端が交互に引き込まれることにより、前記各ブロック体間の角度が変化し、前記可撓部が撓むことを特徴とする。
【0006】
さらに、本発明に係る玩具用変位構造体は、前記可撓部が、複数の前記ブロック体から成るブロック体群を複数有し、一の前記ブロック体群の撓み角度が、他の前記ブロック体群の撓み角度と異なるようになっていることが好ましい。
【0007】
さらに、本発明に係る玩具用変位構造体は、前記可撓部の外側を覆うぬいぐるみ部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の本発明に係る玩具用変位構造体は、2本の紐状体が駆動部により交互に引き込まれることにより、複数のブロック体間の角度が変化し可撓部全体が撓むことを特徴としている。従って、可撓部全体が撓むことによって、動物の尻尾のような複雑な揺動運動が可能となる。
【0009】
さらに、請求項2記載の本発明に係る玩具用変位構造体は、可撓部が複数のブロック体から成るブロック体群を有し、一のブロック体群の撓み角度は他のブロック体群の撓み角度と異なるようになっている。従って、可撓部全体の撓み角度が、ブロック体群毎に異なるため、より複雑な揺動運動が可能となる。
【0010】
さらに、請求項3記載の本発明に係る玩具用変位構造体は、可撓部の外側がぬいぐるみ部により覆われている。このため、動物の尻尾と略同様の趣味感を表現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図1ないし図4を参照しつつ本発明の実施形態について詳細に説明する。本実施形態の玩具用変位構造体1は、一連に配設されている複数のブロック体31a、32aから成る可撓部2と、各ブロック体31a、32aの両側をそれぞれ貫通し、複数のブロック体の端部に位置するブロック体33に一端41a、42aが係止されている2本の紐状体41、42と、2本の紐状体41、42の他端41b、42bを交互に引き込む駆動部5とを有し、駆動部5により2本の紐状体41、42の他端41b、42bが交互に引き込まれることにより各ブロック体31a、32a間の角度が変化し、可撓部2全体が撓むことを特徴としている。
【0012】
図1及び図2に示すように、可撓部2は一連に配設されている合成樹脂製の複数のブロック体31a、32aから構成されている。連続して配設されている複数のブロック体31aはブロック体群31を構成しており、また、連続して配設されている複数のブロック体32aはブロック体群32を構成している。この可撓部2の外側はぬいぐるみ部6によって覆われている。
【0013】
ブロック体31a、32aは何れも略円筒状の形状を有し、何れもその両側に後述する2本の紐状体41、42が貫通するための穴31b、32bを有している。また、各ブロック体31a、32aは、それぞれ可撓部2の延在方向における前方側に凸部31c、32cが形成され、後方側に凹部31d、32dが形成されている。各ブロック体31a、32aの凸部31c、32cは、隣接している他のブロック体の凹部31d、32d内に収容されている。この凸部31c、32cと凹部31d、32dとにより、一連に配設されているブロック体31a、32aによって可撓部2が可撓可能となっている。
【0014】
各ブロック体31a、32aと隣接している他のブロック体31a、32aとの間には間隙31e、32eが存在する。凸部31c、32cの突出寸法が凹部31d、32dの深さ寸法よりも大きくすることにより、この間隙31e、32eが生じている。この間隙31e、32eによって、各ブロック体31a、32aと他のブロック体31a、32aとの間の角度が一定の範囲内で変化することが可能となる。本実施形態において、可撓部2を一直線状に延ばした状態において、すべての間隙31eと間隙32eの間隙の幅は同一である。
【0015】
ブロック体群31のブロック体31aの延在方向における長さは、ブロック体群32のブロック体32aの延在方向における長さよりも長くなっている。このため、紐状体41または紐状体42が引き込まれた際、ブロック体群31の撓み角度がブロック体群32の撓み角度よりも小さくなり、ブロック体群31全体の撓み角度はブロック体群32全体の撓み角度よりも小さくなる。また、他の実施形態において、ブロック体31aとブロック体32aの延在方向における長さを同一にし、間隙31eの幅を間隙32eの幅よりも狭くした場合でも同様の効果が得られる。このように、ブロック体群31の撓み角度が、ブロック体群32の撓み角度と異なるように設定することにより、動物の尻尾と同様のより複雑な揺動運動を実現することができる。
【0016】
2本の紐状体の一端41a、42aは、ブロック体群32の端部に位置するブロック体33に係止されており、また、2本の紐状体の他端41b、42bは、基端部材53の穴53a、53bを通じて、後述する駆動部5のスライド部材52の各両端部に係止されている。2本の紐状体41、42は、スライド部材52がスライドする度に駆動部5に交互に引き込まれる。なお、この基端部材53は、図示しない玩具本体に固定されている。
【0017】
駆動部5は、図3及び4に示すように、偏心部材51aを有する回転部材51と、偏心部材51aによりスライドするスライド部材52と、可撓部2の基端側に設けられている基端部材53とを有している。回転部材51は、は減速ギア(図示せず)を介して電気モータ(図示せず)により回転されている。このような駆動部5の構成により、駆動部5の薄型化を図ることができると共に、駆動部5を最小限度の部品点数により構成することができる。
【0018】
偏心部材51aの外周は、スライド部材52の断面コの字型内側部分と摺接している。このため、スライド部材52は、回転部材51の回転による偏心部材51aの偏心回転に伴い、図3及び図4に示すように左右方向にスライドする。このスライド部材52の左右方向へスライドする度に、2本の紐状体41、42が駆動部5に交互に引き込まれる。
【0019】
以下、本実施形態の作用効果を説明する。
本実施形態の玩具用変位構造体1は、2本の紐状体41、42が駆動部5により交互に引き込まれることにより、複数のブロック体31a、32a間の角度が変化し可撓部2全体が撓むことを特徴としている。従って、可撓部2の全体が撓むことによって、動物の尻尾のような複雑な揺動運動が可能となる。
【0020】
さらに、本実施形態の玩具用変位構造体1は、可撓部2が複数のブロック体31a、32bから成るブロック体群31、32を有し、ブロック体群31の撓み角度は他のブロック体群32の撓み角度と異なるようになっている。従って、可撓部2の全体の撓み角度が、ブロック体群毎に異なるため、より複雑な揺動運動が可能となる。
【0021】
さらに、本実施形態の玩具用変位構造体1は、可撓部2の外側がぬいぐるみ部6により覆われている。このため、動物の尻尾と略同様の趣味感を表現することができる。
【0022】
なお、上記実施形態の玩具用変位構造体1の可撓部2は、2つのブロック体群31、32から構成されているが、ブロック体群を2以上設けることにより、さらに複雑な揺動運動を実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係る玩具用変位構造体1の内部構造を示す平面図である。
【図2】図1に示す玩具用変位構造体1の内部構造を示す平面図であり、可撓部2が図1に示す撓み方向の逆方向へ撓んだ状態を示している。
【図3】図1に示す玩具用変位構造体1の駆動部5の正面図であり、図1における駆動部5の状態を示している。
【図4】図1に示す玩具用変位構造体1の駆動部5の正面図であり、図2における駆動部5の状態を示している。
【符号の説明】
【0024】
1 玩具用変位構造体
2 可撓部
31、32 ブロック体群
31a、32a、33 ブロック体
31b、32b 穴
31c、32c 凸部
31d、32d 凹部
31e、32e 間隙
41、42 紐状体
41a、42a 一端
41b、42b 他端
5 駆動部
51 回転部材
51a 偏心部材
52 スライド部材
53 基端部材
53a、53b 穴
6 ぬいぐるみ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
玩具の肢体内部に一連に配設されている複数のブロック体から成る可撓部と、
前記各ブロック体の両側をそれぞれ貫通し、前記複数のブロック体の端部に位置するブロック体に一端が係止されている2本の紐状体と、
前記2本の紐状体の他端を交互に引き込む駆動部とを有し、
前記駆動部により前記2本の紐状体の他端が交互に引き込まれることにより、前記各ブロック体間の角度が変化し、前記可撓部が撓むことを特徴とする玩具用変位構造体。
【請求項2】
前記可撓部は、複数の前記ブロック体から成るブロック体群を複数有し、一の前記ブロック体群の撓み角度が、他の前記ブロック体群の撓み角度と異なるようになっていることを特徴とする請求項1記載の玩具用変位構造体。
【請求項3】
前記玩具用変位構造体は、前記可撓部の外側を覆うぬいぐるみ部を有する請求項1記載の玩具用変位構造体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−149051(P2008−149051A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−342387(P2006−342387)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(596013637)株式会社メトロ (2)
【Fターム(参考)】