説明

珪酸ナトリウム溶液の製造方法および珪酸ナトリウム溶液の利用方法

【課題】ナトリウム系副生成物のリサイクルを可能とし、ナトリウム系副生成物から安定的な成分を有する珪酸ナトリウム溶液を安全に製造し、更に、当該溶液を地盤改良剤、鋳型造型時の粘結剤、古紙の脱墨剤、紙・パルプ漂泊時の過酸化水素の安定剤のうちいずれか1つの薬剤代替が可能な珪酸ナトリウム溶液の製造方法を提供する。
【解決手段】シリコンの純度向上プロセスから副生され、シリコンを含有すると共に珪酸ナトリウムを主成分とするナトリウム系副生成物を、水に溶解させて、前記シリコンを溶解して水素ガスを発生させると共に、珪酸ナトリウム溶液を製造することを特徴とする珪酸ナトリウム溶液の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンの純度向上プロセスから副生され、シリコンを含有すると共に珪酸ナトリウムを主成分とする副生成物を使用した珪酸ナトリウム溶液の製造方法に関する。特には、SiO固体からのシリコンの製造、又は、シリコンからのスラグ精錬によるホウ素除去の過程で副生される、シリコンを含有すると共に珪酸ナトリウムを主成分とする副生成物を使用した珪酸ナトリウム溶液の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者等は先に特許文献1において、不純物としてホウ素を含有する金属シリコンを融点以上に加熱して溶融状態とした後、二酸化珪素を主成分とする固体とアルカリ炭酸化物又はアルカリ炭酸化物の水和塩の一方又は両方を主成分とする固体を該溶融シリコン中に添加することで、スラグを形成すると共に、シリコン中のホウ素を除去することを特徴とするシリコンからのホウ素除去方法を開示している。更にまた、アルカリ炭酸化物又はアルカリ炭酸化物の水和塩として、ナトリウム化合物であるところの、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、およびこれらの水和塩を挙げている(以下、ホウ素除去方法ともいう)。
【0003】
また、本発明者等は特許文献2において、SiO固体に、アルカリ金属元素の酸化物、水酸化物、炭酸化物、ふっ化物のいずれか、又はアルカリ土類金属元素の酸化物、水酸化物、炭酸化物、ふっ化物のいずれか、又はこれらの化合物の2種以上を添加し、生じた混合物をSiの融点以上に加熱し、化学反応を行わせることによりSiを生成させ、該Siを反応副生成物から分離回収することを特徴とするSi製造方法を開示している。又、ここでのアルカリ金属元素の一つとしてナトリウムを挙げている(以下、SiO法とも言う)。
【0004】
本発明は、主に上記2つの方法において、ナトリウム化合物を使用した場合に関するものである。
【0005】
ナトリウム化合物を使用した場合、上記のシリコンからのホウ素の除去方法においては、シリコンの他にSiO2と酸化ナトリウムを主成分とするガラス状物質、即ち、珪酸ナトリウムを主成分とする副生成物が発生する。又、ナトリウム化合物を使用した場合、上記のSiO固体からのシリコンの製造方法においては、シリコンの他に、SiO2と添加したナトリウム化合物から生成する酸化ナトリウムから成るガラス状物質、即ち、珪酸ナトリウムを主成分とする副生成物が発生する。これら副生成物は、シリコンと同等又はそれ以上の質量で発生し、これらを有効に活用する方法が求められていた。
【特許文献1】特開2005−247623号公報
【特許文献2】特開2004−51453号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ナトリウム系副生成物は、珪酸ナトリウムを主成分とするため、地盤改良剤、鋳型造型時の粘結剤、古紙の脱墨剤、紙・パルプ漂泊時の過酸化水素の安定剤で使用される水ガラス代替として利用できる可能性がある。
【0007】
そこで、ナトリウム系副生成物を溶液とするために水に溶かしたところ、ナトリウム系副生成物は良好な溶解性を示すことが判ったものの、ナトリウム系副生成物中に含有される金属シリコン等の存在により、製造できる珪酸ナトリウム溶液の成分組成は不安定であることがわかった。また、非常に濃い茶色もしくは灰色を有した濁りのある粗珪酸ナトリウム溶液になることがわかった。
【0008】
ナトリウム系副生成物を水に溶解させると、珪酸ナトリウムを主成分とする溶液となる(式1)。ナトリウム系副生成物中の金属シリコンは水と反応して、水素ガスを発生させると共に、珪酸ナトリウム溶液のモル比(SiO2/Na2O、以下単にモル比ともいう)を大きくしながら、珪酸ナトリウム溶液となる。
【0009】
mSi + Na2O・nSiO2 + 2mH2O → Na2O・(n+m)SiO2 + 2mH2↑―――(式1)
【0010】
水素は爆発性のガスであるので、ナトリウム系副生成物を工業生産ラインで使用するためには、この水素への対処が必要であった。
【0011】
また、ナトリウム系副生成物のモル比(SiO2/Na2O)は、シリコンの純度向上プロセスが、ホウ素除去方法かSiO法かの違いや、プロセスの操業条件によって異なるが、最大0.3〜5程度の範囲の値を取り、通常は、0.5〜2.5程度の範囲の値となる。
【0012】
ナトリウム系副生成物中の金属シリコン含有量の変動が小さければ、珪酸ナトリウム溶液のモル比(SiO2/Na2O)は大きく変動しない。しかしながら、ナトリウム系副生成物中の金属シリコン含有量は、操業条件によって、変化することがあり、その場合、溶液中の珪酸ナトリウムのSiO2/Na2O(モル比)は不安定になる。
【0013】
また、ナトリウム系副生成物中のシリコンの形態は、殆どが数mmから数10mmの塊状のものがナトリウム系副生成物の所々にかみ込まれている形態であるが、もう一つの形態として、非常に微細な、おそらく数μm程度以下の微粒子として、ナトリウム系副生成物中に分散している形態も必ず存在することが判ってきた。この存在によりナトリウム系副生成物の色が茶色もしくは灰色となると考えられる。微細なシリコンが有色である原因は定かではないが、微細なシリコンは、金属として存在する場合に限らず、少なくとも表面が酸化していたり、ゼオライト化している可能性があり、有色となっていると推定される。
【0014】
そのため、ナトリウム系副生成物中にシリコンが含有されているかどうかは、この色から容易に識別できる。なぜなら、ナトリウム系副生成物の主成分の珪酸ナトリウムは無色透明であるが、数μm程度の微細なシリコン粒子は茶色もしくは灰色であるからである。
【0015】
この微細なシリコンの一部には、不溶性のものがある。例えば、表面が酸化していたり、ゼオライト化したりしたものと考えられるが、それらが粗水ガラス化した際に、懸濁物質の原因となる。
【0016】
また、SiO固体からのシリコンの製造方法、又は、シリコンからのスラグ精錬によるホウ素の除去方法では、発生元は明確にはなっていないが、炉材、部材、保温材などの不純物が少量ではあるが、ナトリウム系副生成物中に溶解もしくは混入する。
【0017】
また、後述する珪酸ナトリウム溶液の製造時には、強アルカリ状態であるため、これらの炉材、部材、保温材などからの混入物(Al23やMgOやCaOなど)は、微量ながらこれらの化合物は溶解する。溶解した微量のCa、Mg、Alなどの多価金属イオンは、珪酸ナトリウム溶液と反応して、不溶性の珪酸塩金属水和物や珪酸などを同時に生成してゲル化し、珪酸ナトリウム溶液中の懸濁物質となる。例えば、水酸化カルシウムとの反応は(式2)のようになる。
【0018】
Na2O・nSiO2+ Ca(OH)2 + mH2O → CaO・nSiO2・mH2O・2NaOH(一部SiO2になる)
―――(式2)
【0019】
ナトリウム系副生成物中のAl23やMgOやCaO成分が合計で低濃度(例えば、0.05%以下)であれば、発生する懸濁物質の発生量は小さく、懸濁物質をあえて分離する必要性はないと考える。ナトリウム系副生成物中の不溶性シリコンは、存在量としては微量と思われ、実質的測定不可能であるため、評価範囲外とする。
【0020】
しかしながら、ナトリウム系副生成物中の不純物含有量は、大きく変動し、濃度も懸濁物質による濁度が問題になる値以上(例えば、0.05%以上)を有することが多い。
【0021】
また、製造する珪酸ナトリウム溶液を、前記の地盤改良剤、スラグ固化剤、脱墨剤等の代替剤として使用するには、次に述べる理由により、珪酸ナトリウム溶液中のSiO2/Na2O(モル比)の変動を抑制し、かつ、濁度を小さくすることが必要であることがわかった。
【0022】
まず、一般的に使用されている珪酸ナトリウム溶液の使用用途について説明する。
通常、SiO2/Na2O(モル比)が1〜4の透明な珪酸ナトリウム溶液は水ガラスと呼ばれ、土質地盤の改良工法の中の薬液注入工法で使用される注入材の1つとして使用されたり、鋳型の粘結材、石鹸や合成洗剤の助剤、シリカゲル原料、凝集剤としての硫酸バン土の助剤、建材、保温材、古紙の脱墨、紙・パルプ漂泊時の過酸化水素の安定剤などとして使用されている。
【0023】
次に、土質地盤の改良工法の中の薬液注入工法で使用される珪酸ナトリウム(水ガラス)を用いた水ガラス系注入材について説明する。
【0024】
薬液注入工法で使用される水ガラスは単体で使用されることはなく、種々の薬品と混合され使用されており、水ガラス系注入材と呼ばれている。
【0025】
水ガラス系注入材の中には溶液型と懸濁型がある。溶液型としては、反応材によって無機系と有機系の2種類、および主材の水ガラスの加工形態よって、酸性シリカゾルとコロイダルシリカの2種類の合計4種類に分類することができる。また、懸濁型としては、セメント混入によるものと、その他すなわち難溶性のカルシウム系材料を混入するものとがある。
【0026】
溶液型における反応材として、無機酸で一般に使用されているものは、りん酸、炭酸水素ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、りん酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等であり、同じくアルカリ土類金属塩では、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム等が使用されている。有機系の反応材としては、グリオキザール、多価アルコール類、酢酸エチル、エチレンカーネイト等がある。
【0027】
また、主材としての水ガラスを加工して改良を加えたものには、無機の強酸を用いて水ガラスの酸性ゾルを作り、それにアルカリ材を加えることでシリカゲルを作る酸性シリカゲルがある。これは普通現場に酸性ゾルを作成する装置を持ち込んで製造して施工する。それに対してコロイダルシリカは、工場でイオン交換樹脂を用いて水ガラスのアルカリを除いてシリカコロイドを作り、それを現場に持ち込み、コロイドの表面にある電気二重層を壊してコロイド結合させることによってゲルを作るものである。
【0028】
懸濁型では、セメント混入や難溶性のカルシウム系材料を混入するため、水ガラス自体の濁度はあまり大きく問題とならないものの、溶液型の水ガラス系注入材では、圧入により、注入材を地盤中の土壌粒子の間隙中を浸透させることが多く、濁度が大きかったり、あるいは、懸濁粒子の粒子径が大きいと問題となることがある。
【0029】
そのため、溶液型の水ガラス系注入剤では、使用する水ガラス中の懸濁物質量および粒子径はある程度管理する必要がある。
【0030】
地盤に注入された水ガラス系注入材は、土壌粒子の間隙中の間隙水を追い出し、間隙を水ガラス系注入材で充填させ、水ガラスが反応し、網目状もしくは球状のシリカゲルなどを生成する。その結果、地盤の透水係数は低下し、地盤の粘着力を増加させ地盤の強度が増加する。薬液注入法の目的の多くは、透水係数を下げ10-4cm/secオーダーに低下させ、遮水や止水をすることである。
【0031】
水ガラス系注入剤中の珪酸濃度が変動すると、土壌粒子の間隙中の珪酸濃度も変化することから、間隙中のシリカゲルなどの生成物量が変化し、地盤全体としての透水係数が計画通りに低下しないことがある。この場合は、再度、注入材を注入することで所定の施工品質を達成できることが多いが、それだけコストと日数がかることになる。よって、地盤改良材として用いる水ガラス系注入剤中の珪酸濃度の変動はある程度抑制する必要がある。
【0032】
そこで、本発明で製造した珪酸ナトリウム溶液を、地盤改良剤として用いるには、地盤内を浸透する必要がある。地盤を構成する土粒子間の間隙を浸透するためには、懸濁物質の90%粒子径が200μm以下が好ましく、より好ましくは100μm以下である。あるいは、濁度としては、5000mg/L以下が好ましい。さらには、懸濁物質の90%粒子径が100μm以下で、かつ、濁度が500mg/L以下がさらに好ましい。また、珪酸濃度の変動幅については、珪酸濃度の平均値に対する変動幅は20%程度は施工品質に影響がでにくいが、1号、2号、3号水ガラス中の珪酸濃度変動幅は、JIS K1408によると、平均値に対し、5〜9%の変動幅であり、この範囲内がより好ましいと考える。そのためには、本発明で製造した珪酸ナトリウム溶液を地盤改良材として用いるには、液比重とSiO2/Na2O(モル比)の制御が重要である。液比重については、ナトリウム系副生成物もしくはシリコンを分離した後のスラグを水に溶解し、珪酸ナトリウム溶液を作成する際に、液比重を測定して水分を調整することにより制御できる。SiO2/Na2O(モル比)の制御については、シリコンを分離した後のスラグ内のSiO2/Na2O(モル比)は、1.5〜2.5であることから、ナトリウム系副生成物中のシリコンを分離することにより、前記(式1)に示す反応が少なくなり、SiO2/Na2O(モル比)の変動は抑制されて、珪酸ナトリウム溶液中の珪酸濃度変動幅は、平均値に対して約10%になる。
【0033】
次に、地盤改良材以外で使用される珪酸ナトリウム(水ガラス)について説明する。
鋳型の粘結材として使用する場合には、鋳型にはある程度の強度が必要となるため、珪酸濃度の変動をある程度抑制する必要がある。また、古紙の脱墨剤として使用する場合には、脱墨工程で使用するには、濁度をある程度抑制する必要がある。また、紙・パルプ漂泊時の過酸化水素の安定剤として使用する場合には、濁度をある程度抑制する必要がある。
【0034】
つまり、珪酸濃度変動の抑制、SiO2/Na2O(モル比)の変動の抑制、濁度の低値維持、懸濁物質中の90%粒子径の制御を実施することによって、本発明の珪酸ナトリウム溶液は、地盤改良材、鋳型の粘結材、古紙の脱墨材、紙・パルプ漂泊時の過酸化水素の安定剤などに使用することができる。
【0035】
よって、シリコン製造に伴い発生するスラグを溶解し、珪酸ナトリウム溶液として利用するためには、(a)水素発生に伴う爆発の危険性の防止、(b)成分の安定性の確保、(c)濁度の抑制という新規な解決すべき課題があることが判明した。
【0036】
本発明においては、上記問題を解決し、ナトリウム系副生成物のリサイクルを可能とし、ナトリウム系副生成物から安定的な成分を有する珪酸ナトリウム溶液を安全に製造し、更に、当該溶液を地盤改良剤、鋳型造型時の粘結剤、古紙の脱墨剤、紙・パルプ漂泊時の過酸化水素の安定剤のうちいずれか1つの薬剤代替が可能な珪酸ナトリウム溶液の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0037】
ナトリウム系副生成物を水に溶解させると、珪酸ナトリウムを主成分とする溶液となる。ナトリウム系副生成物中の金属シリコンは水と反応して、水素ガスを発生させると共に、珪酸ナトリウム溶液のモル比(SiO2/Na2O)を大きくしながら、珪酸ナトリウム溶液となる。
【0038】
まず、ナトリウム系副生成物中の金属シリコン含有量が少ない場合、または、金属シリコン含有量の変動が小さい場合、珪酸ナトリウム溶液のモル比(SiO2/Na2O)の変化量を小さくでき、金属シリコン含有量が少ない場合、水素ガス発生量も少ない。さらに、ナトリウム系副生成物中の不純物含有量が小さい場合は濁度を小さくでき(5000mg/L以下)、珪酸ナトリウム溶液を地盤改良剤、鋳型造型時の粘結剤、古紙の脱墨剤、紙・パルプ漂泊時の過酸化水素の安定剤のうちいずれか1つの薬剤代替として提供することは可能である。
【0039】
次に、金属シリコン含有量の変動が大きく、珪酸ナトリウム溶液のモル比(SiO2/Na2O)が大きく変動する際に、あらかじめ金属シリコンを分離することで、珪酸ナトリウム溶液のモル比(SiO2/Na2O)を安定化させ、かつ、水素ガス発生を抑制する手段について述べる。
【0040】
ナトリウム系副生成物を水に投入させて、ナトリウム系副生成物中の金属シリコンと水(アルカリ性)とを反応させて、水素ガスを発生させると共にシリコン-スラグ界面等の内圧を高め、ナトリウム系副生成物を崩壊させ、アルカリ水溶液中でシリコン周辺に発生する水素ガスを気泡としてシリコンに付着させることにより水中からシリコンを選択的に浮上させることで、シリコンを効果的に浮上させて、珪酸ナトリウムを主成分とするスラグを効率よく回収できる。水温については、ナトリウム系副生成物が崩壊しやすい60℃以上がよい。これにより、金属シリコン含有量を低位に安定化することで、珪酸ナトリウム溶液のモル比(SiO2/Na2O)の上昇は抑制され、珪酸ナトリウム溶液のモル比(SiO2/Na2O)は安定化する。つまり、金属シリコンをスラグ分より分離することにより、水素ガスの発生を低減しながら安全に、かつ、モル比(SiO2/Na2O)の安定した珪酸ナトリウム溶液を製造することができる。
【0041】
次に、ナトリウム系副生成物中の不純物成分含有量が大きく変動し、その含有量も0.05%以上有し、珪酸ナトリウム溶液中の濁度が大きい場合に、懸濁物質を分離する手段について述べる。
【0042】
珪酸ナトリウム溶液を地盤改良剤、鋳型造型時の粘結剤、古紙の脱墨剤、紙・パルプ漂泊時の過酸化水素の安定剤のうちいずれか1つの薬剤代替として提供するためには、薬剤の地盤への浸透性、結合力の維持、不純物含有率低下などが必要であり、濁度を5000mg/L以下にし、かつ/あるいは、懸濁物質の90%粒子径が100μm以下にすることが好ましく、遠心分離や静置などの粗い固液分離操作により、懸濁物を粗分離することが好ましい。濁度の下限値は特にはないが、これらの粗い固液分離操作ではおおよそ100mg/L以下にはなりにくい。固液分離操作前の懸濁状態の粗珪酸ナトリウム溶液を、60〜100℃に維持すると、溶液の粘性を低下させることができ、懸濁物質の分離性は上昇する。
【0043】
本発明の特徴は以下の通りである。
(1)シリコンの純度向上プロセスから副生され、シリコンを含有すると共に珪酸ナトリウムを主成分とするナトリウム系副生成物を、水に溶解させて、前記シリコンを溶解して水素ガスを発生させると共に、珪酸ナトリウム溶液を製造することを特徴とする珪酸ナトリウム溶液の製造方法。
【0044】
(2)前記ナトリウム系副生成物を水に投入し、前記ナトリウム系副生成物中にある珪酸ナトリウムを水に溶解させて珪酸ナトリウム溶液を生成すると共に、前記ナトリウム系副生成物中にあるシリコンの界面より水素ガスを発生させて前記ナトリウム系副生成物を崩壊させることで、前記ナトリウム系副生成物中のシリコンを分離し、当該分離されたシリコンの表面への前記水素ガスの付着で生じる浮力により、前記シリコンを水上に浮上させ、当該浮上したシリコンを除去することにより珪酸ナトリウム溶液を製造することを特徴とする(1)記載の珪酸ナトリウム溶液の製造方法。
【0045】
(3)前記シリコンを浮上除去させた後の珪酸ナトリウム溶液中に、未溶解で残っている珪酸ナトリウムを分離回収し、当該分離回収した珪酸ナトリウムを水に溶解させて、更に珪酸ナトリウム溶液を製造することを特徴とする(2)記載の珪酸ナトリウムの製造方法。
【0046】
(4)前記ナトリウム系副生成物が、不純物としてホウ素を含有する金属シリコンを加熱して溶融した後、二酸化珪素を主成分とする固体と、ナトリウム炭酸化物又はナトリウム炭酸化物の水和塩の一方又は両方を主成分とする固体とを、前記溶融シリコン中に添加して、珪酸ナトリウムを主成分とするスラグを形成すると共に、前記溶融シリコン中のホウ素を前記スラグに移動させて除去するシリコンからのホウ素除去方法において副生される、前記スラグからなるナトリウム系副生成物であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1つに記載の珪酸ナトリウム溶液の製造方法。
【0047】
(5)前記ナトリウム系副生成物が、SiO固体に、ナトリウムの酸化物、水酸化物、炭酸化物、ふっ化物のいずれか1種、又はこれらの化合物の2種以上を添加して混合物とし、当該混合物をSiの融点以上に加熱することでSiを生成するSiの製造方法において副生される、ナトリウム系副生成物であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1つに記載の珪酸ナトリウム溶液の製造方法。
【0048】
(6)前記ナトリウム系副生成物を水に溶解させる際、大気圧下で60〜100℃の水に溶解させることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1つに記載の珪酸ナトリウム溶液の製造方法。
【0049】
(7)前記ナトリウム系副生成物または分離した前記スラグを水に溶解させる際、大気圧超の圧力下で溶解させることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1つに記載の珪酸ナトリウム溶液の製造方法。
【0050】
(8)前記ナトリウム系副生成物を水に溶解させる際、大気圧下で溶解して、水素ガスを発生させた後、大気圧超の圧力下で前記ナトリウム系副生成物をさらに溶解させることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1つに記載の水ガラスの製造方法。
【0051】
(9)(1)〜(8)のいずれか1つに記載の方法で製造した珪酸ナトリウム溶液に、ナトリウム化合物、珪酸ナトリウム、可溶性シリカの少なくともいずれかを混合し、溶液中のSiO2/Na2Oモル比を調整した珪酸ナトリウム溶液を製造することを特徴とする珪酸ナトリウム溶液の製造方法。
【0052】
(10)前記ナトリウム化合物、前記珪酸ナトリウム、前記可溶性シリカの少なくともいずれかは、固体または水溶液の状態で、前記珪酸ナトリウム溶液に混合することを特徴とする(9)記載の珪酸ナトリウム溶液の製造方法。
【0053】
(11)(1)〜(10)のいずれか1つに記載の方法で製造した珪酸ナトリウム溶液に対して、遠心分離、静置のいずれか1つ以上の方法を施すことで、懸濁物質を分離することを特徴とする珪酸ナトリウム溶液の製造方法。
【0054】
(12)前記浮上分離で除去したシリコンを回収し、当該回収したシリコンを前記珪酸ナトリウム溶液に一定量配合で投入し、当該投入したシリコンを珪酸ナトリウム溶液中で溶解させることで、溶液中のSiO2/Na2Oモル比を調整することを特徴とする(2)〜(11)のいずれか1つに記載の珪酸ナトリウム溶液の製造方法。
【0055】
(13)前記モル比調整用のシリコンを珪酸ナトリウム溶液に溶解させる際、大気圧下で60〜100℃で溶解させることを特徴とする(12)記載の珪酸ナトリウム溶液の製造方法。
【0056】
(14)(1)〜(13)において製造した珪酸ナトリウム溶液を地盤改良剤、鋳型造型時の粘結剤、古紙の脱墨剤、紙・パルプ漂泊時の過酸化水素の安定剤のうちいずれか1つの薬剤代替として使用することを特徴とする珪酸ナトリウム溶液の利用方法。
【発明の効果】
【0057】
本発明により、シリコンの純度向上プロセスから副生され、シリコンを含有すると共に珪酸ナトリウムを主成分とする副生成物(ナトリウム系副生成物)のリサイクル利用が可能となり、このナトリウム系副生成物から、珪酸ナトリウム溶液のモル比(SiO2/Na2O)や懸濁物質濃度などの成分変動を抑制し、かつ、副生成物に含有されるシリコン起因の水素ガス発生による安全性の問題を解決できる珪酸ナトリウム溶液の製造が可能となる。
【0058】
また、製造した珪酸ナトリウム溶液は、地盤改良剤、鋳型造型時の粘結剤、古紙の脱墨剤、紙・パルプ漂泊時の過酸化水素の安定剤のうちいずれか1つの薬剤代替として使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0059】
まず、シリコンを含有するナトリウム系副生成物から珪酸ナトリウム溶液を製造する全体構成(図1〜図3)について、説明する。
【0060】
図1に示すように、ナトリウム系副生成物を好ましくは破砕後、ナトリウム系副生成物を溶解して珪酸ナトリウム溶液を作成し、地盤改良剤、鋳型造型時の粘結剤、古紙の脱墨剤、紙・パルプ漂泊時の過酸化水素の安定剤のうちいずれか1つの薬剤代替として使用できる。より好ましくは、図2に示すように、ナトリウム系副生成物を好ましくは破砕後、ナトリウム系副生成物を溶解して珪酸ナトリウム溶液を作成した後、モル比(SiO2/Na2O)を調整することで、成分組成が安定し、薬剤代替としてより使用しやすくなる。さらには、珪酸ナトリウム溶液を作成する前に、含有率の変動が大きいスラグ中のシリコンを予め分離することで、珪酸ナトリウム溶液の成分組成はより安定し薬剤代替としてより使いやすくなる。具体的には、図3に示すように、ナトリウム系副生成物を破砕後、分解・浮選分離・溶解装置に投入し、ナトリウム系副生成物をシリコン分とスラグ分とに分離するとともに、同一槽内でシリコン分を浮上させ、スラグ分と分離させる。分離したスラグ分は同一槽内で溶解し、懸濁物質を含んだ粗珪酸ナトリウム溶液を作成する。浮上したシリコン分は浮上物回収装置で回収する。懸濁物質を含んだ粗珪酸ナトリウム溶液中のモル比(SiO2/Na2O)調整を行い、その後、懸濁物質を含んだ粗珪酸ナトリウム溶液から固液分離操作により懸物質を分離し、珪酸ナトリウム溶液を得る。
【0061】
なお、金属シリコン濃度測定は、ナトリウム系副生成物をアルカリ溶液中(水酸化ナトリウム溶液)に入れると、シリコンを含有していると水素ガスが発生するので、これを捕集し、ガス量とそのガス中の水素濃度より水素ガス量を算出し、その水素ガス量より、(式4)に基づき計算することができる。
【0062】
Si(s) + 2OH- + H2O → SiO32- + 2H2(g)↑――――(式4)
なお、図2〜図3において、モル比(SiO2/Na2O)調整は、スラグ溶解後に実施するように記載しているが、スラグ溶解前、懸濁物質分離前に行っても良い。具体的には、製造した珪酸ナトリウム溶液に、ナトリウム化合物、珪酸ナトリウム、可溶性シリカの少なくともいずれかを混合し、当該混合溶液中のSiO2/Na2Oモル比を調整する。可溶性シリカは、モル比調整の際に用いることができるアルカリに可溶なシリカのことであるが、ホワイトカーボン、シリカゲル、珪藻土などの非晶質シリカが易溶であることから好ましい。硅砂等の結晶性シリカを用いる場合は、微粉化すれば使用可能である。
【0063】
次に、図1〜図3に記載したそれぞれの設備フローを基に各装置に対して最良の形態を説明する。
【0064】
1)破砕装置
シリコンが混在したナトリウム系副生成物は、破砕後の最大径は、後述する崩壊及び崩壊したシリコンの浮上をより効果的に行うためには、1mm〜50mmである方が好ましい。1mm未満では、ナトリウム系副生成物を粉砕するのに時間と労力がかかり過ぎる場合がある。50mmを超えると、十分な崩壊や、崩壊しても浮上しない場合がある。更に、好ましい最大径は、5mm〜20mmである。
【0065】
さらには、図3に示すように同一槽でナトリウム系副生成物をシリコン分とスラグ分に分解し、かつ、シリコンを浮上させる場合は、シリコンがスラグの下敷きになり浮上しにくいことから、後述する槽下部の混練とともに、破砕後のナトリウム系副生成物の最大径を5mm〜10mmにし、シリコンが浮上しやすくすることが重要である。
【0066】
2)スラグ溶解槽
図1、2に記載する『スラグ溶解』に供するスラグ溶解装置の設備構成の1例を図4を用いて説明する。
【0067】
『スラグ溶解装置』は、ナトリウム系副生成物もしくはスラグ83と水84を投入するスラグ溶解槽81と、スラグ溶解槽81内を攪拌する攪拌機82と、スラグ溶解槽81内の水温を調整するスチーム87および調整弁88および温度計89と、スラグ溶解槽81内の水位を測定する水位計85と、スラグ溶解槽81内の液比重を測定する比重計86と、スラグ溶解槽81底部に一時的に堆積するナトリウム系副生成物もしくはスラグ83の堆積状況を検知するためのスラグ界面計91と、スラグ溶解槽81内で作成した粗珪酸ナトリウム溶液を懸濁物質分離装置へ送液するためのポンプ90からなる。
【0068】
スラグ溶解槽81内に水84を投入し、水位計85によりスラグ溶解槽81内の水位を一定に維持する。次に、スチーム87と温度計89により水温を60〜100℃の範囲内で制御し、攪拌機82により槽内をゆっくり攪拌する。次に、ナトリウム系副生成物もしくはスラグ83をスラグ界面計91で所定の高さまでナトリウム系副生成物もしくはスラグ83を投入し、スラグ溶解槽81内で溶解する。スラグ溶解槽81内の液比重を比重計86により1.3〜2.0になるまで溶解するが、ナトリウム系副生成物もしくはスラグ83の溶解には、3〜12時間要する。液比重が1.3〜2.0に調整した粗珪酸ナトリウム溶液は、ポンプ90によって、次の懸濁物質分離装置に送液する。送液後、水位は低下するので水84は投入され、液比重は下がる。スラグ溶解槽81下部のナトリウム系副生成物もしくはスラグ83が溶解し、スラグ界面は低下し、ナトリウム系副生成物もしくはスラグ83が投入され、連続的に粗珪酸ナトリウム溶液を製造することができる。
【0069】
半連続操作によるナトリウム系副生成物またはスラグの溶解方法を記載したが、回分操作でも溶解することはできる。
【0070】
また、スラグ溶解には、大気圧超の圧力下で溶解させることもできる。この場合、オートクレーブ、簡易圧力釜を使用することができる。
【0071】
また、ナトリウム系副生成物の溶解には、大気圧下で溶解して、水素ガスを発生させた後、大気圧超の圧力下で前記ナトリウム系副生成物をさらに溶解させることができる。珪酸ナトリウム成分の溶解は大気圧下よりも大気圧力超の圧力下の方が早くなるという利点がある。
【0072】
3)分解・浮選分離・溶解装置
図3の『分解・シリコン/スラグ分離・スラグ溶解』に供する分解・浮選分離・溶解装置では、ナトリウム系副生成物をシリコン部分とスラグ部分に分解させ、かつ、分解したシリコン部分を浮上させるとともに、同一槽内でスラグを溶解させ、懸濁物質を含んだ粗珪酸ナトリウム溶液を作成する。
【0073】
図3のプロセスフローの分解・シリコン/スラグ分離・スラグ溶解の部分の詳細図を図5に示しているが、その中の分解・浮選分離装置を用い説明する。
【0074】
『分解・浮選分離・溶解装置』は、破砕機で破砕したナトリウム系副生成物を崩壊させ、シリコン分を浮上させる分解・浮選分離・溶解槽62と、分解・浮選分離・溶解槽62内の水(アルカリ性)の温度を上昇させるスチーム69と、水の温度を測定する水温計68と、スチーム69の投入量を調整する調整弁70と、分解・浮選分離・溶解槽62内のpHを測定するpH計67と、分解・浮選分離・溶解槽62内の液比重を測定する比重計65と、分解・浮選分離・溶解槽62内で崩壊し、底部に沈んでいるスラグ75とシリコン64を混練する混練装置71とからなる。スラグ分75は、分解・浮選分離・溶解槽62内で溶解し、懸濁物質を含んだ粗珪酸ナトリウム溶液となるが、その粗珪酸ナトリウム溶液を懸濁物質分離装置に送液するポンプ77とからなる。
【0075】
破砕機で破砕したナトリウム系副生成物は、受入ホッパー1で受け入れた後、切出装置2から定量切出しを行う。定量切出し量は、『分解・浮選分離・溶解装置』で発生する水素ガス(爆発限界濃度 下限4%、上限74.2%)の発生量と、水素ガス対策として使用する排気システム(図4に図示していない)の能力とを考慮し決定するのが好ましい。水素ガス発生の変動を抑制する意味でも、安全上、定量切出しが好ましい。
【0076】
供給装置3より分解・浮選分離・溶解槽62に投入されたナトリウム系副生成物は、分解・浮選分離・溶解槽62内で、シリコン部の界面で水と反応し、水素ガスを発生させ、ナトリウム系副生成物を崩壊させ、シリコン表面に水素ガス層が形成され、スラグに下敷きになっていないシリコンは浮上する。また、シリコン表面での水素ガス発生量が激しいことから、シリコン表面上での水素ガス層の厚みの変化は激しいため、シリコンの粒子径が小さいほど浮上しやすい。シリコンの大きさにもよるが、5mm以下であれば約60〜90%のシリコンが浮上する。
【0077】
ナトリウム系副生成物が崩壊して分離したスラグ分75とその下敷きとなったシリコン分64は、分解・浮選分離・溶解槽下部にある混練装置71によって、間欠的にゆっくり混練することで、スラグ分75に下敷きになったシリコン64に浮上させる機会を与えるとともに、分解・浮選分離・溶解槽62内をゆっくり混合する。例えば、混練装置71として、スクリューコンベアを使用する場合、スクリューを正回転と反回転とができるようにすることで、シリコンに浮上機会を与え、かつ、分解・浮選分離・溶解槽62内をゆっくり混合する。
【0078】
スラグ分75は、分解・浮選分離・溶解槽62内で約3〜12時間かけて水に溶解し、懸濁物質を含んでいる粗珪酸ナトリウム溶液となる。珪酸ナトリウム溶液の液比重は比重計65で1.3〜2.0の範囲内で調整し、比重を所定値になったことを確認後、ポンプ77によって、懸濁物質を含んだ粗珪酸ナトリウム溶液を懸濁物質分離装置に送液する。混練装置71として、スクリューコンベアを使用する場合、未反応残渣78を未反応残渣ピット76内に運ぶこともできる。
【0079】
シリコンは分解・浮選分離・溶解槽62の上部に浮上し、浮上物掻き寄せ装置63で掻き寄せ、後述する浮上物回収装置へ供給する。
【0080】
4)浮上物回収装置
図3に記載する分解・浮選分離・溶解装置で浮上したシリコンはアルカリ性水溶液とともに掻き寄せ装置によって、浮上物回収装置に投入される。浮上物回収装置では、アルカリ性水溶液からシリコンを分離する。
【0081】
『浮上物回収装置』の設備構成の1例を図5中の浮上物回収装置(22〜24)を用いて説明する。『浮上物回収装置』は、浮上物掻き寄せ装置63で掻き寄せた浮上シリコン64を受け入れシリコンを濾過回収する濾過器24と、濾過器から分離した粗珪酸ナトリウム溶液を一時貯留する一時貯留槽23と、一時貯留槽23内の粗珪酸ナトリウム溶液を分解・浮選・溶解槽62内に戻す回収ポンプ22とからなる。
【0082】
シリコン表面に形成した水素ガス層により、シリコン64は分解・浮選・溶解槽62の上部に浮上し、浮上物掻き寄せ装置63で掻き寄せ、シリコン64を少量の粗珪酸ナトリウム溶液とともに、濾過器24に投入する。濾過器24では、遠心分離機や膜などの濾過機械も使用できるが、篩いによる分離で十分回収できる。篩い目としては、目開き40μm〜2mmが妥当である。40μm目より小さいと、目詰まりする場合がある。2mm目より大きいとシリコン回収効率が極端に悪くなる場合がある。濾過器24内に回収したシリコン64は、シリコンとしての純度が90%以上と高く、製鉄業で使用する脱酸材として使用することができる。また、シリコン以外の不純物の成分次第では、十分シリコン原料としてリサイクルすることができる。濾過器24で分離した粗珪酸ナトリウム溶液は、一時貯留槽23で一時貯留され、回収ポンプ22で分解・浮選・溶解槽62に返送される。
【0083】
5)モル比調整装置
図1〜3に記載するモル比(SiO2/Na2O)調整では、図1または図2のスラグ溶解、あるいは、図3の分解・浮選分離・溶解装置で製造した粗珪酸ナトリウム溶液に、ナトリウム化合物、珪酸ナトリウム、可溶性シリカの少なくともいずれかを投入し、溶解または混合することで、モル比(SiO2/Na2O)を調整する。
【0084】
図3のモル比(SiO2/Na2O)調整では、前記の方法以外に、分解・浮選分離・溶解装置で回収したシリコンを用いて、一定量ずつ投入することで、モル比(SiO2/Na2O)が変動する主要因であるシリコンを均一に混合でき、粗珪酸ナトリウム溶液のモル比(SiO2/Na2O)の変動を抑制することができる。粗珪酸ナトリウム溶液にシリコンを混合し、反応させる場合、水素ガスが発生するため、開放系の混合槽が適当であり、水温は金属シリコンが反応しやすい60〜100℃が好ましい。
【0085】
6)懸濁物質分離装置
懸濁物質分離装置では、図3での分解・浮選分離・溶解装置で作成した懸濁物質を含有した粗珪酸ナトリウム溶液から懸濁物質を分離する。
【0086】
懸濁物質を分離するには、遠心分離や静置などの方法がある。これらの方法によって、粗大な粒子を分離し、懸濁物質を分離することができる。分離方法によって、分離可能な粒子径は異なるが、遠心分離では、5〜100μm以上、数日間の静置では20〜100μm以上の懸濁物質を分離することができる。濁度は5000mg/L以下に抑制できる。
【0087】
懸濁物質を含有した粗珪酸ナトリウム溶液を数日、常温で静置すると、凝集し自然沈降する。その際、ゼオライトと考えられる物質も析出し、それが結晶成長により粒子径が増大し、かつ、凝集効果によりフロックとなり、沈降しやすくなると考えられる。
【0088】
懸濁物質を分離した珪酸ナトリウム溶液は、地盤改良剤、鋳型造型時の粘結剤、古紙の脱墨剤、紙・パルプ漂泊時の過酸化水素の安定剤のうちいずれか1つの薬剤代替として使用することができる。
【0089】
また、分離した懸濁物質は、未反応物とともに珪酸ナトリウム溶液も多量に含んでいることから、十分に固化作用を有する。そこで、自然乾燥させるとスラグ状になり、廃棄することができる。
【0090】
図5では浮上したシリコンを掻き寄せ機(63)で分離するように記載しているが、別に準備している粗珪酸ナトリウム溶液を槽(62)に投入し、槽(62)の水位を一時的に上昇させることで浮上しているシリコンを槽の系外に設置している『浮上物回収装置』へオーバーフローさせることで、シリコンを回収することもできる。
【実施例1】
【0091】
純水200mlが入ったビーカーに、ホウ素除去方法からのナトリウム系副生成物100gを入れ、水酸化ナトリウム又は塩酸水溶液でpHを所定値に維持した(アルカリ性水溶液(a))。2分後にナトリウム系副生成物を取り出し、その崩壊状況を調べた。表1にアルカリ性水溶液(a)のpHと温度、その結果(ナトリウム系副生成物の崩壊状況)を示す。前記崩壊状況は、投入したナトリウム系副生成物を崩壊したものと崩壊しなかったものに分別して、投入した全質量に対する崩壊した質量の割合(%)を調べた。なお、pHを調整しない場合、pH12.3を示した。
【0092】
pHが8以上のアルカリ性水溶液(a)では、表1のa-3〜a-12の実施例にあるようにシリコン界面や表面から水素が発生し、ナトリウム系副生成物が崩壊した。一方、表1のa-1〜a-2の比較例では、pHが8未満では、水素ガスの発生が殆どなく、ナトリウム系副生成物は崩壊しなかった。
【0093】
更に、表1のa−6で崩壊したナトリウム系副生成物を使用して、水酸化ナトリウム又は塩酸水溶液でpHを所定値に維持したアルカリ性水溶液(b)200mlが入ったビーカーに、崩壊したナトリウム系副生成物を投入し、1分間静置した後、シリコンの浮上状況を調べた。アルカリ性水溶液(b)の比重は、水ガラスをさらに添加して調製した。表2に、アルカリ性水溶液(b)のpH、温度、及び液比重、並びにその結果(シリコンの浮遊状況)を示す。前記浮上状況は、ナトリウム系副生成物の投入量中のシリコン含有量(質量)に対する浮上してきたシリコンの質量の割合(%)を調べた。
【0094】
崩壊したナトリウム系副生成物は、pHが8を超えるアルカリ性水溶液(b)では、表2のb-3〜b-12の実施例にあるように、水素発生による気泡がシリコン表面に付着し、選択的に浮上した。一方、表2のb-1〜b-2の比較例にあるように、pHが7以下では、水素ガスの発生が殆どなく、シリコンが浮上しなかった。
【0095】
以上のように、表1及び表2に示している結果より、次のことが言える。
(1)ナトリウム系副生成物を崩壊させるには、pH8以上、水温は60℃以上が好ましい。(ナトリウム系副生成物を水に溶解すると、pHは12〜13になるので、pH調整はあえて必要ない。)
【0096】
(2)ナトリウム系副生成物を崩壊させ、分離したシリコンは、pH8以上であれば浮上する。しかしながら、水温が高いと、特に水温が60℃以上の場合、シリコンからの水素発生量が多く、シリコンを早急にアルカリ溶液から分離することが必要となる。
【0097】
【表1】

【0098】
【表2】

【実施例2】
【0099】
ホウ素除去方法からのナトリウム系副生成物を20mmアンダーに破砕し、それを試料として用いた。ナトリウム系副生成物中のスラグ分の主成分は、Na2O:32.8質量%、SiO2:64.9質量%で、ナトリウム系副生成物中のシリコン含有量は2.1質量%である。なお、CaOとAl2O3とMgOの合計は0.04%である。このナトリウム系副生成物600gと水1200gをステンレス製の開放容器に入れ、80℃に加温しながら攪拌し、溶解させ、珪酸ナトリウム溶液を得た。なお、溶解時には、シリコンから水素ガスの発生が見られたが、開放状態で、かつ、ドラフター内での溶解作業であり、安全上、問題は生じなかった。
【0100】
得られた珪酸ナトリウム溶液は、Na2O:11.9質量%、SiO2:25.3質量%、モル比:2.19、濁度:3800mg/Lであった。
【実施例3】
【0101】
実施例2で得られた珪酸ナトリウム溶液500gにホワイトカーボン50gを混合し、80℃でホワイトカーボンを溶解し、珪酸ナトリウム溶液を得た。
【0102】
得られた珪酸ナトリウム溶液は、Na2O:10.3質量%、SiO2:31.3質量%、モル比:3.1、濁度:3600mg/Lであり、地盤改良剤の薬剤代替が可能であった。
【実施例4】
【0103】
SiO法からのナトリウム系副生成物を20mmアンダーに破砕し、それを試料として用い、図3の装置で実施した。分解・浮選・溶解槽62の容量は300Lである。なお、ナトリウム系副生成物中のスラグ部分の主成分はNa2O:32.7質量%、SiO2:64.8質量%で、ナトリウム系副生成物中のシリコン含有量は2.1質量%(1〜5%で変化)である。
【0104】
まず、ナトリウム系副生成物を図5の分解・浮選・溶解槽62に150kg投入し、スチーム投入により槽内の温度を95℃で約10hr維持し、ナトリウム系副生成物はほとんど溶解し、アルカリ性水溶液(d)を作製した。分解・浮選・溶解槽62中のアルカリ性水溶液(d)は、pH12〜12.5で、液比重は1.4となった。分解・浮選・溶解槽62の温度を90℃に調整した後、ナトリウム系副生成物を切出装置2より連続的に定量切出し(1kg/分)を行い、液比重が1.4となるよう水を加えながら、ナトリウム系副生成物をさらに2100kg処理し、浮上したシリコンを分離回収した。
【0105】
また、スラグ75は分解・浮選・溶解槽62の底部で滞留し、スクリューコンベア71を正回転と反回転を30秒毎に10秒ずつ行うことで、スラグ75は溶解した。生成した懸濁物質を含んだ粗珪酸ナトリウム溶液をポンプ77によって、モル比調整工程へ送液した。また、分解・浮選・溶解槽62で未反応残渣として残留した未反応残渣76は、実験終了後、スクリューコンベア71を正回転させ、未反応残渣ピット76内に運んだ(10.5kg)。濾過器24で回収できたシリコンの回収量は、0.25kg/分であった。
【0106】
回収したシリコンの純度は98.0%であり、残りの成分は珪酸ナトリウム成分であったため、鉄鋼製造過程である精錬工程で使用する脱酸材としてリサイクルできる品質であった。更に、十分シリコン純度向上プロセスで使用するシリコン原料としてリサイクルできる品質でもあった。なお、ナトリウム系副生成物の溶解中は、排気システムで排気していたため、安全上、問題はなかった。
【0107】
モル比調整工程では、得られた粗珪酸ナトリウム溶液を50kgずつモル比調整を行った。具体的には、ホワイトカーボンを50kgあたり5kg投入し、80℃で5hr溶解させ、モル比(SiO2/Na2O)調整を行った。その後、遠心分離機で懸濁物質を粗分離し、珪酸ナトリウム溶液を得た。表3に、実施例4における粗珪酸ナトリウム溶液と珪酸ナトリウム溶液の成分を示すが、地盤改良剤の薬剤代替が可能であった。
【0108】
また、実施例4’として、分解・浮選・溶解槽でシリコンを分離しない場合の粗珪酸ナトリウム溶液と珪酸ナトリウム溶液の成分を表3に示す。
【0109】
表3に示すように、実施例4と実施例4’では、製造できる珪酸ナトリウム溶液のモル比(SiO2/Na2O)の安定性が異なり、実施例4の方が安定的であり、実施例4’と比べて用途制約を受けにくい。
【実施例5】
【0110】
SiO法からのナトリウム系副生成物を20mmアンダーに破砕し、それを試料として用い、図3の装置で実施した。分解・浮選・溶解槽62の容量は300Lである。なお、ナトリウム系副生成物中のスラグ部分の主成分はNa2O:32.7質量%、SiO2:64.8質量%で、ナトリウム系副生成物中のシリコン含有量は2.1質量%(1〜5%で変化)である。
【0111】
まず、ナトリウム系副生成物を図5の分解・浮選・溶解槽62に150kg投入し、スチーム投入により槽内の温度を95℃で約10hr維持し、ナトリウム系副生成物はほとんど溶解し、アルカリ性水溶液(d)を作製した。分解・浮選・溶解槽62中のアルカリ性水溶液(d)は、pH12〜12.5で、液比重は1.4となった。分解・浮選・溶解槽62の温度を90℃に調整した後、ナトリウム系副生成物を切出装置2より連続的に定量切出し(1kg/分)を行い、液比重が1.4となるよう水を加えながら、ナトリウム系副生成物をさらに2100kg処理し、浮上したシリコンを分離回収した。
【0112】
また、スラグ75は分解・浮選・溶解槽62の底部で滞留し、スクリューコンベア71を正回転と反回転を30秒毎に10秒ずつ行うことで、スラグ75は溶解した。生成した懸濁物質を含んだ粗珪酸ナトリウム溶液をポンプ77によって、モル比調整工程に送液した。また、分解・浮選・溶解槽62で未反応残渣として残留した未反応残渣76は、実験終了後、スクリューコンベア71を正回転させ、未反応残渣ピット76内に運んだ(10.5kg)。濾過器24で回収できたシリコンの回収量は、0.25kg/分であった。なお、ナトリウム系副生成物の溶解中は、排気システムで排気していたため、安全上、問題はなかった。
【0113】
モル比調整工程では、得られた粗珪酸ナトリウム溶液に50kgあたり回収したシリコンを0.6kg混合し、かつ、ホワイトカーボンを4kg投入し、80℃で5hr溶解させ、モル比調整を行った。その後、懸濁物質を粗分離し、珪酸ナトリウム溶液を得た。表2に、実施例5における粗珪酸ナトリウム溶液と珪酸ナトリウム溶液の成分を示す。なお、シリコンの溶解中は、排気システムで排気していたため、安全上、問題はなかった。
【0114】
表3より、モル比の変動幅の小さい珪酸ナトリウム溶液を得られると言える。
【0115】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の珪酸ナトリウム溶液の製造方法におけるプロセスフローの第1の実施形態を示す。(シリコン・懸濁物質分離ともになし)
【図2】本発明の珪酸ナトリウム溶液の製造方法におけるプロセスフローの第2の実施形態を示す。(モル比調整あり)
【図3】本発明の珪酸ナトリウム溶液の製造方法におけるプロセスフローの第3の実施形態を示す。(分解・浮選・溶解/懸濁物質分離/モル比調整)
【図4】第1または第2の実施形態および第2の実施形態でのスラグ溶解に供するスラグ溶解設備を示す。
【図5】第3の実施形態における分解・シリコン/スラグ分離・スラグ溶解の詳細設備を示す。
【符号の説明】
【0117】
1 受入れホッパー
2 切出装置
3 供給装置
22 回収ポンプ
23 一時貯留槽
24 濾過器
62 分解・浮選・溶解槽
63 浮上物掻き寄せ装置
64 シリコン
65 比重計
67 pH計
68 温度計
69 スチーム
70 調整弁
71 混練装置
75 スラグ
76 未反応残渣ピット
77 ポンプ
78 未反応残渣
81 スラグ溶解槽
82 攪拌機
83 スラグ
84 水
85 水位計
86 比重計
87 スチーム
88 調整弁
89 温度計
90 ポンプ
91 スラグ界面計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンの純度向上プロセスから副生され、シリコンを含有すると共に珪酸ナトリウムを主成分とするナトリウム系副生成物を、水に溶解させて、前記シリコンを溶解して水素ガスを発生させると共に、珪酸ナトリウム溶液を製造することを特徴とする珪酸ナトリウム溶液の製造方法。
【請求項2】
前記ナトリウム系副生成物を水に投入し、前記ナトリウム系副生成物中にある珪酸ナトリウムを水に溶解させて珪酸ナトリウム溶液を生成すると共に、前記ナトリウム系副生成物中にあるシリコンの界面より水素ガスを発生させて前記ナトリウム系副生成物を崩壊させることで、前記ナトリウム系副生成物中のシリコンを分離し、当該分離されたシリコンの表面への前記水素ガスの付着で生じる浮力により、前記シリコンを水上に浮上させ、当該浮上したシリコンを除去することにより珪酸ナトリウム溶液を製造することを特徴とする請求項1記載の珪酸ナトリウム溶液の製造方法。
【請求項3】
前記シリコンを浮上除去させた後の珪酸ナトリウム溶液中に、未溶解で残っている珪酸ナトリウムを分離回収し、当該分離回収した珪酸ナトリウムを水に溶解させて、更に珪酸ナトリウム溶液を製造することを特徴とする請求項2記載の珪酸ナトリウムの製造方法。
【請求項4】
前記ナトリウム系副生成物が、不純物としてホウ素を含有する金属シリコンを加熱して溶融した後、二酸化珪素を主成分とする固体と、ナトリウム炭酸化物又はナトリウム炭酸化物の水和塩の一方又は両方を主成分とする固体とを、前記溶融シリコン中に添加して、珪酸ナトリウムを主成分とするスラグを形成すると共に、前記溶融シリコン中のホウ素を前記スラグに移動させて除去するシリコンからのホウ素除去方法において副生される、前記スラグからなるナトリウム系副生成物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の珪酸ナトリウム溶液の製造方法。
【請求項5】
前記ナトリウム系副生成物が、SiO固体に、ナトリウムの酸化物、水酸化物、炭酸化物、ふっ化物のいずれか1種、又はこれらの化合物の2種以上を添加して混合物とし、当該混合物をSiの融点以上に加熱することでSiを生成するSiの製造方法において副生される、ナトリウム系副生成物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の珪酸ナトリウム溶液の製造方法。
【請求項6】
前記ナトリウム系副生成物を水に溶解させる際、大気圧下で60〜100℃の水に溶解させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の珪酸ナトリウム溶液の製造方法。
【請求項7】
前記ナトリウム系副生成物または分離した前記スラグを水に溶解させる際、大気圧超の圧力下で溶解させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の珪酸ナトリウム溶液の製造方法。
【請求項8】
前記ナトリウム系副生成物を水に溶解させる際、大気圧下で溶解して、水素ガスを発生させた後、大気圧超の圧力下で前記ナトリウム系副生成物をさらに溶解させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の水ガラスの製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法で製造した珪酸ナトリウム溶液に、ナトリウム化合物、珪酸ナトリウム、可溶性シリカの少なくともいずれかを混合し、溶液中のSiO2/Na2Oモル比を調整した珪酸ナトリウム溶液を製造することを特徴とする珪酸ナトリウム溶液の製造方法。
【請求項10】
前記ナトリウム化合物、前記珪酸ナトリウム、前記可溶性シリカの少なくともいずれかは、固体または水溶液の状態で、前記珪酸ナトリウム溶液に混合することを特徴とする請求項9に記載の珪酸ナトリウム溶液の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法で製造した珪酸ナトリウム溶液に対して、遠心分離、静置のいずれか1つ以上の方法を施すことで、懸濁物質を分離することを特徴とする珪酸ナトリウム溶液の製造方法。
【請求項12】
前記浮上分離で除去したシリコンを回収し、当該回収したシリコンを前記珪酸ナトリウム溶液に一定量配合で投入し、当該投入したシリコンを珪酸ナトリウム溶液中で溶解させることで、溶液中のSiO2/Na2Oモル比を調整することを特徴とする請求項2〜11のいずれか1項に記載の珪酸ナトリウム溶液の製造方法。
【請求項13】
前記モル比調整用のシリコンを珪酸ナトリウム溶液に溶解させる際、大気圧下で60〜100℃で溶解させることを特徴とする請求項12記載の珪酸ナトリウム溶液の製造方法。
【請求項14】
請求項1〜13において製造した珪酸ナトリウム溶液を地盤改良剤、鋳型造型時の粘結剤、古紙の脱墨剤、紙・パルプ漂泊時の過酸化水素の安定剤のうちいずれか1つの薬剤代替として使用することを特徴とする珪酸ナトリウム溶液の利用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−249224(P2009−249224A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−98670(P2008−98670)
【出願日】平成20年4月4日(2008.4.4)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【出願人】(306032316)新日鉄マテリアルズ株式会社 (196)
【Fターム(参考)】