説明

現像剤残量検出装置並びに画像形成装置

【課題】 帯電手段の共通化により部品点数の削減を達成しつつ、装置の小型化を実現する画像形成装置を提供することである。
【解決手段】 感光体ドラムが正逆回転して画像形成を行う構成において、感光体ドラムの回転方向に対応させて画像形成処理に必要な帯電手段、露光手段の相対位置関係を変える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を用いた、例えば複写機、プリンタ等の画像形成装置に関し、特に像担持体を正逆回転しながら画像形成を行う画像形成装置に特徴を有する。
【背景技術】
【0002】
電子写真プロセスを用いたプリンタ等の画像形成装置は、像担持体である感光体ドラムを一様に帯電させ、この感光体ドラムへの選択的な露光によって潜像を形成し、潜像を現像剤である微粉体のトナーで顕在化し、トナー像を記録媒体に転写し、更に、転写されたトナー像に熱や圧力を加えることでトナー像を記録媒体に永久定着させる。
【0003】
一般に、多色画像形成装置では、複数色のトナー像を転写材に多重転写して画像形成を行っている。
【0004】
例えば、感光体ドラムの周方向に現像手段のみ4個配列し、感光体ドラムの回転方向に沿って帯電手段、露光手段をそれぞれ一つずつ配列し、第一から第四の現像手段を配列し、ドラム1回転毎に帯電、露光を繰り返し、対応するトナー像を多重転写して多色画像を形成するものがある。このような4色での多色画像の形成では、4つの現像手段を切り換えて順次作用させて、感光体ドラムに対して画像形成プロセスを4回繰り返すことになる。そのため、1枚の記録紙に対して1つの多色画像を形成するために4回分の画像形成時間が必要となり、全体の画像形成プロセスに大幅な時間を要する。それゆえ、単一感光体ドラムの多色画像形成装置においては、単位時間当たりのプリント枚数が少ない、すなわち画像形成速度が遅いという問題点が発生する。
【0005】
これに対して特開平7-84498によると、正逆回転する感光体ドラムの周方向に現像手段を2個配列し、感光体ドラムの正回転方向に沿って、第一の帯電手段、露光手段、第一の現像手段、転写手段が配列されると共に、逆回転方向に沿って第二の帯電手段、露光手段、第二の現像手段、転写手段が配列され、感光体ドラムの正逆回転方向それぞれで画像形成を行う画像形成装置が知られている。このような画像形成装置では、複数色のトナー像を転写材に多重転写する際に、正回転方向及び逆回転方向で画像形成を行うことができるため、正回転方向のみで画像形成を行うよりも速く画像形成を行うことが可能となる。また、特開平7-209953では、正逆回転する感光体ドラムの周方向に現像手段を4個配列し、感光体ドラムの正回転方向に沿って、第一の帯電手段、露光手段、第一の現像手段、第三の現像手段、転写手段が配列されると共に、逆回転方向に沿って第二の帯電手段、露光手段、第二の現像手段、第四の現像手段、転写手段が配列され、感光体ドラムの正逆回転方向それぞれで画像形成を行っている。このような画像形成装置においても、感光体ドラムの正逆回転を二回繰り返すことで4色の画像形成を行うことが可能となるため正回転方向のみよりも速く4色の画像形成を行うことができる。
【特許文献1】特開平7-84498号公報
【特許文献2】特開平7-209953号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来例では感光体ドラムの回転方向によって帯電手段が異なる。感光体ドラム1が正逆回転可能とする構成において、感光体ドラム一つに対して帯電手段は最低限一つあれば十分であり、上記従来例のように複数の帯電手段を用いることは部品点数を増やすことになり、さらには装置の大型化につながる。本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、帯電手段の共通化により部品点数の削減を達成しつつ、装置の小型化を実現する画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は本発明に係る現像剤残量検知装置及び画像形成装置にて達成される。
【0008】
本出願に係る第一の発明によると、正逆回転する像担持体と、像担持体表面を一様に帯電させる帯電手段と、像担持体表面に静電潜像を形成する露光手段と、像担持体表面に形成された静電潜像を現像する第一及び第二の現像手段と、前記像担持体表面に付着した現像剤を転写材に転写する唯一の転写手段とを備え、像担持体が正回転の時には露光位置と転写位置の間に第一の現像手段が位置し、逆回転の時には露光位置と転写位置の間に第二の現像手段が位置する画像形成装置において、帯電手段は一つであり、像担持体回転方向に応じて帯電位置と露光位置の相対位置関係が変わることを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0009】
本出願に係る第二の発明によると、像担持体回転方向によって帯電位置が露光位置に対して像担持体回転方向上流に切り替わることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置が提供される。
【0010】
本出願に係る第三の発明によると、像担持体回転方向によって露光位置が帯電位置に対して像担持体回転方向下流に切り替わることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置が提供される。
【0011】
本出願に係る第四の発明によると、像担持体回転方向に対して第一と第二の現像手段における各々の現像剤担持体が同方向に回転することを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0012】
本出願に係る第五の発明によると、帯電手段は揺動可能であることを特徴とする請求項1及び請求項2に記載の画像形成装置が提供される。
【0013】
本出願に係る第六の発明によると、帯電手段は接離可能であることを特徴とする請求項1及び請求項2に記載の画像形成装置が提供される。
【0014】
本出願に係る第七の発明によると、露光位置は複数のミラーにより切り換え可能であることを特徴とする請求項1及び請求項3に記載の画像形成装置が提供される。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明によれば、感光体ドラムを正逆回転可能とする構成において、感光体ドラムの正逆回転方向に対応させて画像形成処理に必要な帯電手段、露光手段の相対位置関係を変えることで、感光体ドラムの正回転方向及び逆回転方向のどちらにおいても、帯電手段を共通化することが可能となる。従って、部品点数の削減、装置の小型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施する最良の形態を図面に則して更に詳しく説明する。以下に説明する実施例は、例示的に本発明を説明するものであって、以下に記載される構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれに限定するものではない。
【実施例1】
【0017】
図1は本発明の第一の実施例による電子写真画像形成装置の一形態である画像形成装置を示すものである。
【0018】
本発明に係る画像形成装置は、外周面に感光層を持つ円筒状を呈すると共にその周方向に正逆回転する感光体ドラム1と、感光体ドラム1表面を所定の電位に帯電する帯電手段2と、画像情報に基づいてレーザービームを照射し感光体ドラム1表面に静電潜像を形成する露光手段3と、感光体ドラム1表面に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像として現像する第一及び第二の現像手段4(4a,4b)と、感光体ドラム1表面に付着したトナーを記録媒体5に転写するための転写手段6と、感光体ドラム1表面に残留した転写残トナーを除去する第一及び第二のクリーニング手段7(7a,7b)とを備えている。
【0019】
そして、感光体ドラム1の正回転方向(X)に沿って、帯電手段2、露光手段3、第一の現像手段4a、転写手段6及び第一のクリーニング手段7aがこの順に感光体ドラム1の外周に配設されると共に、感光体ドラム1の逆回転方向(Y)に沿って、帯電手段2、露光手段3、第二の現像手段4b、転写手段6及び第二のクリーニング手段7bがこの順に感光体ドラム1の外周に配設されて成るものである。ここで、第一の現像手段4a及び第二の現像手段4bのトナーは黒トナー及びカラートナー(赤、青等)である。感光体ドラム1の下方にはトナー像の転写位置に記録媒体5を送り込む用紙搬送手段8が配設されている。この用紙搬送手段8は駆動ローラを含む複数のロール群に無端状の静電搬送ベルト9を架けまわしたものであり、ベルトの内側には感光体ドラム1上に形成されたトナー像を記録媒体5に静電転写するための転写ローラ10が配設されている。上記用紙搬送手段8はベルトの回転方向を逆転できるように構成されており、転写ローラ10と感光体ドラム1との対向位置を含む用紙搬送区間で記録媒体5を往復搬送する。
【0020】
このように感光体ドラム1の周方向に配列された各手段のうち、第一及び第二の現像手段4(4a,4b)は感光体ドラム1に接した動作位置から個々に離間可能に配設されており、いずれかの現像手段4のみが動作位置に設定され、感光体ドラム1上に形成された静電潜像を現像するようになっている。これにより、感光体ドラム1上に形成されたトナーが動作していない現像手段4によって乱され、あるいは現像手段4の他色のトナーが入り込んで混色を引き起こすのを防止している。また、上記クリーニング手段7も感光体ドラム1に接した動作位置から個々に離間可能に配設させており、第一のクリーニング手段7aは感光体ドラム1が正回転のときのみ、第二のクリーニング手段7bは感光体ドラム1が逆回転のときのみ動作位置に設定され、それぞれの回転方向についてトナー像の転写が終了した感光体ドラム1の表面を清掃する。
【0021】
感光体ドラム1は、正方向(X)とその逆方向(Y)に回転可能な機構を有している。帯電手段2は、感光体表面に対して帯電ローラ21により負電荷を帯電させるものである。図2に示すように、この帯電ローラ21は芯金の両端部をそれぞれ軸受け部材22により回転自在に保持させると共に、カム23がバネと連結したバネ台を押し付けることによって感光体ドラム1の表面に対して所定の押圧力をもって圧接させており、感光体ドラム1の回転に従動して回転する。また、帯電ローラ21はカム23が回転し、軸受け部材22が芯金と当接しない位置に移動することにより、感光体ドラム1表面を自由に動くことが可能となっている。図3に示すように、感光体ドラム1表面に沿って帯電ローラ21の芯金の両端部にはガイド24がついており、圧解除された帯電ローラ21は感光体ドラム1の回転に従動して、露光位置を挟んで第一の帯電位置から第二の帯電位置まで移動することが可能となっている。つまり帯電手段2は揺動可能な構成となっている。
【0022】
露光手段3は、帯電されている感光体表面にレーザー光を選択的に照射するものである。感光体表面では、レーザ光の照射された部分の負電荷が感光体の光導電性により消滅する。これにより、静電潜像が形成される。
【0023】
第一の現像手段4a及び第二の現像手段4bは配設場所が違うだけで構成は同じである。図4に示すように、矢印アの方向に感光体ドラム1が回転するのに対して、現像手段4は感光体ドラム1と接触して矢印イの方向に回転する現像ローラ41、および一成分現像剤として負帯電性の非磁性トナーを収容する現像容器44から構成される。そのため、感光体ドラム1が正逆回転しても、第一及び第二の現像ローラ41(41a,41b)は感光体ドラム1の回転方向に対して同方向に回転する。そして、感光体ドラム1と対向する現像容器44は、感光体ドラム1の長手方向略全域にトナーを供給する開口を有する。そして、この開口にローラ状の現像剤担持体である現像ローラ41が配置されている。画像形成時、現像ローラ41は、感光体ドラム1に所定の侵入量となるように接触されて、図中矢印イ方向に回転駆動される。また、現像ローラ41へのトナーを供給し、また、未現像トナーを現像ローラ41から剥ぎ取るために、弾性ローラ42が当接している。弾性ローラ42は、回転可能に現像容器44に支持されている。又、弾性ローラ42は、現像ローラ41へのトナー供給及び未現像トナーの剥ぎ取るために、ゴムスポンジローラを用いている。そして、現像ローラ41と同一方向である図中矢印ウの方向に回転駆動する。また、現像手段4は、現像ローラ41に担持させるトナー量を規制する現像ブレード43を備えている。現像ブレード43は自由端側の先端部近傍を現像ローラ41の外周面に面接触にて当接している。弾性ローラ42との摺擦により現像ローラ41上に担持されたトナーは、現像ブレード43との当接部を通過する際に摩擦帯電により電荷付与され、且つ、所定のトナー層に規制される。さらに現像手段4において、現像ローラ41には所定の値に固定された直流電圧(現像バイアス)が印加される。そして、感光体ドラム1との間の静電気力によって、露光部を反転現像により現像する。なお、本実施例では現像ローラ41が矢印イの方向に回転したが、感光体ドラム1の回転方向に対してカウンターに回転しても良い。
【0024】
転写手段6は、感光体ドラム1と転写ローラ10とが接触する部分で記録媒体5の裏側から感光体ドラム1表面に電界を加えて、感光体ドラム1表面に付着したトナーを記録媒体5の表面に転写するものである。
【0025】
クリーニング手段7は、転写されずに感光体ドラム1上に残ったトナーを除去するためのクリーニングブレードと、廃トナーボックスとから構成されている。クリーニングブレードは感光体ドラム1に所定の押圧力をもって圧接されており、感光体ドラム1上に残ったトナーを物理的に掻き落として廃トナーボックスに貯留する。
【0026】
定着手段11は、記録媒体5に転写された複数のトナー像を定着させるものである。感光体ドラム1上のトナー像を転写した記録媒体5は、定着手段11を通過する際に、熱および圧力を加える。これにより、記録媒体5に転写された複数色のトナー像が記録媒体5表面に永久定着される。
【0027】
感光体ドラム1及び用紙搬送手段8を正逆回転するタイミング、各現像手段4(4a,4b)、各クリーニング手段7(7a,7b)を動作位置から離間するタイミング、帯電ローラ21を感光体ドラム1から圧解除するタイミングについて説明する。これらのタイミングは用紙搬送区間の両端に配設された一対の用紙検出センサー12の出力信号に基づいて決定される。図5に示すように、用紙検出センサー12は転写ローラ10が配設された転写位置からそれぞれ距離d1、d2の位置に配設されている。ここで、転写位置から感光体ドラム1の正回転方向(X)に関する第一のクリーニング位置までの距離をd3、転写位置から感光体ドラム1の逆回転方向(Y)に関する第二のクリーニング位置までの距離をd4とした場合、d1=d3及びd2=d4となるように、上記用紙検出センサー12の配設位置は決定されている。用紙検出センサー12は発光素子と受光素子で構成される。発光素子は一般にフォトダイオードであり、受光素子はフォトトランジスタである。発光素子から光を照射し、反射物に当たって光が反射してきたことを受光素子が検出し、反射光を電気的信号に変換して物体の有無を検出する。本発明の第一の実施例では反射物が記録媒体5であり、記録媒体5の有無によりオン、オフの信号を出力する。
【0028】
図6に第一の実施例におけるシーケンスチャートを示す。第一の画像形成がスタートすると、感光体ドラム1及び用紙搬送手段8の回転方向制御信号は正回転に設定され、感光体ドラム1は正方向(X)に回転し、記録媒体5は正方向(x)に搬送される。次のタイミング1(t1)で帯電バイアスが印加され、感光体ドラム1表面が一様に帯電される。同時に、第一の現像手段4aと第一のクリーニング手段7aが動作位置に設定される。次いで、用紙検出センサー12が相次いで記録媒体5を検出し、タイミング2(t2)で用紙検出センサー12bがオフになると、感光体ドラム1上の転写残トナーが第一のクリーニングブレードによって完全に除去され、記録媒体5への転写が終了したものと判断され、第一の現像手段4a及び第一のクリーニング手段7aが動作位置から離間する。同時に、帯電バイアスがオフになり、帯電手段2にあるカム23が回転することにより帯電ローラ21は感光体ドラム1から圧解除される。図3に示すように、感光体ドラム1表面に沿って帯電ローラ21の芯金の両端部にはガイド24がついており、圧解除された帯電ローラ21は感光体ドラム1の正方向(X)の回転に従動して、露光位置を挟んで第一の帯電位置から第二の帯電位置に移動する。つまり、帯電位置は露光位置に対して感光体ドラム1の回転方向上流に配設される。帯電ローラ21が第二の位置に移動したタイミング3(t3)で、回転方向制御信号が正回転から逆回転に切り換わり、感光体ドラム1は逆方向(Y)に回転し、記録媒体5は逆方向(y)へ搬送開始する。次のタイミング4(t4)で、帯電バイアスがオンとなり、第二の現像手段4b及び第二のクリーニング手段7bのみが動作位置に設定される。この後、用紙検出センサー12が相次いで記録媒体5を検出し、タイミング5(t5)で用紙検出センサー12bがオフになると、感光体ドラム1上の転写残トナーが第二のクリーニングブレードによって完全に除去され、記録媒体5への転写が終了したものと判断される。二色のトナー像が多重転写された記録媒体5は用紙搬送手段8により定着手段11に送り込まれる。このタイミング5(t5)で、帯電バイアスがオフとなり、第二の現像手段4b及び第二のクリーニング手段7bが動作位置から離間する。帯電ローラ21は感光体ドラム1から圧解除され、感光体ドラム1の逆方向(Y)の回転に従動して、第二の帯電位置から第一の帯電位置に移動する。帯電ローラ21が第一の帯電位置に移動したタイミング6(t6)で、回転方向制御信号が逆回転から正回転に切り換わり、二色のトナー像が多重転写された記録媒体5は定着手段11へ向かって搬送される。
【0029】
本実施例における画像形成装置の動作について説明する。最初の画像形成においては、第一の現像手段4aと第一のクリーニング手段7aが動作位置に設定される。まず、感光体ドラム1が正方向(X)に回転する。この回転している感光体ドラム1に対して、帯電手段2により第一の帯電位置で感光体ドラム1表面が所定の電位に帯電される。露光手段3により画像情報に基づいてレーザービームを照射し、感光体ドラム1表面に静電潜像を形成する。続いて、第一の現像手段4aが感光体ドラム1と接触することにより、感光体ドラム1表面にトナーを付着させてトナー像として現像する。不図示の給紙部からは、記録媒体5が用紙搬送手段8により正方向(x)に搬送されてくる。感光体ドラム1上のトナー像は画像形成タイミングと合わせて転写位置で転写手段6により記録媒体5に転写する。転写されずに感光体ドラム1上に残ったトナーは、第一のクリーニングブレードによって除去される。さらに、残トナーの回収後、第一の現像手段4a及び第一のクリーニング手段7aが動作位置から離間される。同時に、帯電手段2にあるカム23が回転することにより帯電ローラ21は感光体ドラム1から圧解除される。圧解除された帯電ローラ21は感光体ドラム1の正方向(X)の回転に従動して、露光位置を挟んで第一の帯電位置から第二の帯電位置に移動する。移動後、カム23がバネと連結したバネ台を押し付けることによって、帯電ローラ21は感光体ドラム1の表面に対して所定の押圧力をもって圧接される。つまり、感光体ドラム1の回転方向に応じて、帯電位置と露光位置の相対位置関係を変更できる。
【0030】
転写された記録媒体5は用紙搬送手段8により正方向(x)に搬送され、帯電ローラ21が第二の帯電位置に移動したタイミングで、感光体ドラム1の回転方向を逆方向(Y)に切り換えると共に記録媒体5の搬送方向を逆方向(y)に切り換える。次のタイミング(t4)で第二の現像手段4b及び第二のクリーニング手段7bのみが動作位置に設定される。ここから第二の画像形成が始まる。
【0031】
帯電手段2により第二の帯電位置で感光体ドラム1表面が所定の電位に帯電される。露光手段3により画像情報に基づいてレーザービームを照射し、感光体ドラム1表面に静電潜像を形成する。続いて、感光体ドラム1と接触した第二の現像手段4bにより感光体ドラム1表面にトナーを付着させてトナー像として現像する。感光体ドラム1上のトナー像は転写位置で転写手段6により記録媒体5に第一のトナー像に重ねて転写される。従って、記録媒体5が搬送区間を一往復する間に、記録媒体5には二色のトナー像が多重転写される。その後、用紙搬送手段8により記録媒体5は定着手段11へ送り込まれる。これにより、多重転写されたトナー像は記録媒体5に定着される。定着処理を施された後、用紙搬送手段8により不図示の排紙トレイに排出される。以上が二色の画像形成を行う場合である。
【0032】
次にモノクロ画像を形成する時の画像形成動作について簡単に説明する。第一の現像手段4aは黒トナーであり、第一の現像手段4aと第一のクリーニング手段7aが動作位置に設定される。感光体ドラム1が正方向(X)に回転し、帯電手段2により第一の帯電位置で感光体ドラム1表面が所定の電位に帯電される。露光手段3により感光体ドラム1表面に静電潜像を形成する。続いて、第一の現像手段4aにより感光体ドラム1表面にトナーを付着させてトナー像として現像する。給紙部からは、記録媒体5が用紙搬送手段8により正方向(x)に搬送されてくる。感光体ドラム1上のトナー像は転写位置で転写手段6により記録媒体5に転写し、静電搬送ベルト9を逆転させることなく定着手段11により定着が行われる。
【0033】
また、本実施例では、静電搬送ベルトを使用したが、代わりに中間転写体でも良い。その場合には、第一の転写位置と第二の転写位置と中間転写体上の残トナーを除去するクリーニング手段があり、第一の転写位置で中間転写ベルト上に二色のトナー像が転写された後、第二の転写位置で二色のトナー像を記録媒体に転写し、定着を行えば良い。二次転写後の中間転写体上の残トナーはクリーニング手段により除去される。クリーニング手段には接離機構があり、二次転写後の残トナーを除去する時のみ中間転写体に当接し、それ以外の時は離間している。
【0034】
また、本実施例では片面に二色の画像形成を行ったが、感光体ドラムを正逆回転する構成で両面にモノクロ画像を形成する場合でも良い。その場合には、記録媒体を反転させる用紙搬送反転手段があり、感光体ドラム1の正方向の回転によりトナー像を記録媒体の表面に転写、定着後に用紙搬送反転手段により記録媒体を反転させる。そして感光体ドラム1の逆方向の回転により記録媒体の裏面の画像形成を行えば良い。
【0035】
また、本実施例では二色画像形成装置を説明したが、現像手段4が四つあり、感光体ドラムの正回転方向に沿って第一の現像手段の下流側に第三の現像手段が配設されると共に、感光体ドラムの逆回転方向に沿って、第二の現像手段の下流側に第四の現像手段が配設された多色画像形成装置でも良い。この場合の画像形成動作は、本実施例の画像形成動作と同じで、感光体ドラムの正逆回転動作を二回繰り返すことでフルカラー画像が形成される。
【実施例2】
【0036】
第二の実施例では、第一の実施例で帯電手段2として帯電ローラ21を使用したのに対して、コロナ帯電を採用しているところが変更されている。第二の実施例のコロナ帯電には接離機構があり、感光体ドラム1が正回転の時には、第一の実施例と同様に第一の帯電位置で感光体ドラム1表面を一様に帯電し、逆回転の時には接離機構が働き、第一の帯電位置から離間し、露光位置を挟んで第二の帯電位置で帯電を行うことができる。つまり、第一の実施例と同様に感光体ドラム1の回転方向に応じて帯電位置と露光位置の相対位置関係を変えることができ、帯電手段2の共通化を図ることができる。
【実施例3】
【0037】
本発明の第三の実施例について説明する。図7は発明の第三の実施例における画像形成装置を示すものである。第三の実施例では、第一の実施例と比較して帯電位置は固定したままで、露光位置が感光体ドラム1の回転方向に応じて切り替わるところが変更されている。
【0038】
この実施例では、露光手段3から走査されたレーザーを偏向ミラー13aにより感光体ドラム1上の第一の露光位置へ、偏向ミラー13bにより帯電位置を挟んで第二の露光位置へ走査することができる。偏向ミラー13は感光体ドラム1の回転方向に応じて切り換え可能となっている。また、帯電位置にある帯電ローラ21は感光体ドラム1との離間機構はなく、芯金の両端部をそれぞれ軸受け部材により回転自在に保持させると共に、バネを押し付けることによって感光体ドラム1の表面に対して所定の押圧力をもって圧接されている。
【0039】
第三の実施例における画像形成装置の動作について説明する。最初の画像形成においては、第一の実施例で示した流れとほぼ同じである。正方向(X)に回転する感光体ドラム1に対して、帯電手段2により所定の電位に帯電される。露光手段3から発せられたレーザーを偏向ミラー13aにより第一の露光位置へ導き、感光体ドラム1表面に静電潜像を形成する。第一の現像手段4aにより感光体ドラム1上にトナー像を形成した後、転写手段6により記録媒体5に転写される。記録媒体5が転写位置を完全に抜けきり、転写されずに感光体ドラム1上に残ったトナーは第一のクリーニングブレードによって除去される。残トナーの回収後、帯電バイアスがオフとなり、第一の現像手段4a及び第一のクリーニング手段7aが動作位置から離間する。このタイミングで感光体ドラム1の回転方向を逆方向(Y)に切り換えると共に記録媒体5の搬送方向を逆方向(y)に切り換える。同時に第二の現像手段4b及び第二のクリーニング手段7bのみが動作位置に設定され、偏向ミラー13aが動作位置から退避し、偏向ミラー13bが動作位置に設定される。つまり、露光位置は帯電位置に対して感光体ドラムの回転方向下流に配設される。ここから第二の画像形成が始まる。
【0040】
帯電手段2により感光体ドラム1表面が所定の電位に帯電される。露光手段3から発せられたレーザーを偏向ミラー13bにより第二の露光位置へ導き、感光体ドラム1表面に静電潜像を形成する。続いて、第二の現像手段4bにより、感光体ドラム1表面にトナー像を形成した後、転写位置で転写手段6により記録媒体5に第一のトナー像に重ねて転写される。その後、用紙搬送手段8により記録媒体5は定着手段11へ送り込まれ、多重転写されたトナー像は記録媒体5に定着される。定着処理を施された後、用紙搬送手段8により不図示の排紙トレイに排出される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第一の実施例に係る画像形装置の概略構成図である。
【図2】本発明の第一の実施例に係る画像形成装置の帯電手段の概略構成図である。
【図3】本発明の第一の実施例に係る帯電ローラの移動する様子を示す図である。
【図4】本発明の第一の実施例に係る画像形成装置の現像手段の概略構成図である。
【図5】本発明の第一の実施例に係る用紙検出センサーの配設位置を示す説明図である。
【図6】本発明の第一の実施例に係る帯電バイアスの印加信号、用紙検出センサーの検出信号、回転方向制御信号、現像手段の動作信号、クリーニング手段の動作信号の関係を示すシーケンスチャートである。
【図7】本発明の第三の実施例に係る画像形装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0042】
1 感光体ドラム
2 帯電手段
3 露光手段
4 現像手段
5 記録媒体
6 転写手段
7 クリーニング手段
8 用紙搬送手段
9 静電搬送ベルト
10 転写ローラ
11 定着手段
12 用紙検出センサー
13 偏向ミラー
21 帯電ローラ
22 軸受け部材
23 カム
24 ガイド
41 現像ローラ
42 弾性ローラ
43 現像ブレード
44 現像容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正逆回転する像担持体と、前記像担持体表面を一様に帯電させる帯電手段と、前記像担持体表面に静電潜像を形成する露光手段と、前記像担持体表面に形成された静電潜像を現像する第一及び第二の現像手段と、前記像担持体表面に付着した現像剤を転写材に転写する唯一の転写手段とを備え、
前記像担持体が正回転の時には露光位置と転写位置の間に第一の現像手段が位置し、逆回転の時には露光位置と転写位置の間に第二の現像手段が位置する画像形成装置において、
前記帯電手段は一つであり、像担持体回転方向に応じて帯電位置と露光位置の相対位置関係が変わることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
像担持体回転方向によって帯電位置が露光位置に対して像担持体回転方向上流に切り替わることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
像担持体回転方向によって露光位置が帯電位置に対して像担持体回転方向下流に切り替わることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
像担持体回転方向に対して前記第一と第二の現像手段における各々の現像剤担持体が同方向に回転することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記帯電手段は揺動可能であることを特徴とする請求項1及び請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記帯電手段は接離可能であることを特徴とする請求項1及び請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記露光位置は複数のミラーにより切り換え可能であることを特徴とする請求項1及び請求項3に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−40083(P2008−40083A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−213374(P2006−213374)
【出願日】平成18年8月4日(2006.8.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】