説明

現像剤濃度調整装置、現像剤濃度調整方法、及び画像形成装置

【課題】液体現像剤の攪拌用モータの電流値を撹拌負荷として検出することで、濃度調整のための撹拌を行いながら同時に並行して、簡便に濃度調整のための測定を行うことができ、しかもモータの温度特性による測定誤差要因を抑制して、濃度調整の精度を向上することができる現像剤濃度調整装置、及び方法を提供する。
【解決手段】攪拌時の負荷として駆動モータの電流値を測定することで、液体現像剤の濃度を算出し、調整するに当たり、液体現像剤のない空の状態での空回転電流値を検出し、それに基づき、測定電流値と目標電流値の一方または両方を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成に使用する液体現像剤の濃度を調整するための現像剤濃度調整装置、現像剤濃度調整方法、及びそれらを用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
感光体(感光ドラム)に静電潜像を形成し、それにトナーを付着させて、紙などに転写して定着する電子写真方式の画像形成装置が、広く使用されている。特に、大量プリント用のオフィスプリンタやオンデマンド印刷装置などの、より高画質及び高解像度が要求される画像形成装置では、トナー粒子径が小さく、トナー画像の乱れもおきにくい液体現像剤を用いる湿式現像方式が用いられるようになってきている。
【0003】
近年では、シリコンオイルなどの絶縁性液体「キャリヤ液」中に樹脂及び顔料からなる固形分としてのトナーを高濃度に分散させることで構成される、高粘度で高濃度の液体現像剤を用いる画像形成装置が提案されるようになってきた。
【0004】
この液体現像剤を用いて現像する際には、現像ローラ等の現像剤担持体上に現像剤のミクロン単位の薄層を形成し、この薄層化された現像剤を感光体に接触させて現像することが望ましい。このことは特に、上記のような高粘度の液体現像剤を用いる場合により顕著である。
【0005】
ところで一般に、感光体上の潜像を現像した後も、現像ローラ上には液体現像剤が残留する。これがそのままの状態で再度現像領域に到達すると、次の現像に悪影響を及ぼす。そのような問題に対応するため、現像後残留した現像ローラ上の現像剤をクリーニングして回収する技術が開発されてきた。またそのように回収した現像剤を再利用することにより、現像剤を有効利用できるような技術が提案されてきた。
【0006】
しかしながら、現像に供する現像剤は高濃度の現像剤であるが、それが像担持体上の潜像を現像した後では、トナーを相当部分消費するなど、残留現像剤としてはかなり濃度が変化していることが多い。これがそのまま現像剤槽に注ぎ込まれると、現像剤槽内の現像剤自体が、どんどん濃度変化していき、所定の濃度を確保することが難しくなる。
【0007】
こういった問題に対処するために、回収現像剤を現像剤槽に注ぎ込む前に、濃度調整用の現像剤(高濃度現像剤または低濃度現像剤など)を補給して回収現像剤の濃度調整を行う技術が提案されてきた。
【0008】
しかしながら、そういう方法で所望の濃度の現像剤を得るには、調整しながらその現像剤の濃度を測定する必要がある。濃度測定の結果に基づき、所望の濃度になるよう濃度調整用の現像剤の補給量などを制御するためである。
【0009】
簡便に現像剤の濃度を測定する方法としては、濃度によって現像剤の光透過率が変化することを利用し、現像剤濃度を算出する技術などが提案されている。例えば、現像液を透明セル中に流し、その透過光量により現像剤濃度を検出する技術や、現像液の流路に光を透過し、その透過率から現像剤濃度を測定する技術が提案されている。
【0010】
また特許文献1には、光センサを用いて濃度を検出するが、液体のない状態の光量により測定値を補正する技術も提案されている。
【0011】
その他、光の透過率を利用する方法は様々に考えられるが、近年もっぱら使用されている高濃度の現像剤においては問題がある。すなわち、低濃度の現像剤の場合は、濃度の変化により光透過率は大きく変化するが、高濃度になってくると、光の透過率は小さくなり飽和してしまう。そのため、感度が低下し、濃度が変化しても透過率の変化は小さくなってしまう。
【0012】
高濃度の現像剤を簡便に効率よく濃度測定する方法として、粘度を利用する技術も提案されてきている。高濃度領域での濃度変化に対して、粘度は比較的大きく変化し、応答してくれる。
【0013】
例えば、現像液をパイプ中に循環し、パイプ中での圧力差から粘度を求め、現像剤濃度を算出する技術が提案されている。特許文献2では、現像液中に攪拌部材とは別に、回転体を設け、その回転の負荷、すなわち駆動モータの電流や回転数によりトナー濃度を検出する技術が提案されている。
【0014】
しかしながらこういった方法も、圧力差を検知するなど簡単に精度よく測定が困難であったり、あるいは回転トルクのように比較的簡単に測定できても、容器内の液量が変動するとトルクが変動するなどの問題がある。
【特許文献1】特開平10−3221号公報
【特許文献2】特開2006−154541号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述したように、高濃度の液体現像剤の濃度測定に関しては、粘度を用いて算出する技術が有効である。その方法については、回転の負荷を計測して求める方法が簡便であるが、上述のように液体現像剤の撹拌とは別に回転体を設け、撹拌の動作と別個に測定を行う必要がある。
【0016】
本発明者は、撹拌の部材を用いた攪拌時に、撹拌の負荷として測定する方法が、粘度測定としては便利であり、精度面でも向上するものと検討した。しかしながら、液量の依存が大きくなったり、駆動時間が長くなりがちで、モータの温度特性の変化によるモータ電流の変動が濃度調整の誤差要因になるといった問題があった。
【0017】
本発明の目的は、上記の課題を解決し、液体現像剤の攪拌時に、撹拌部材を駆動するモータの電流値を撹拌負荷として検出することにより、簡便に濃度調整のための測定を行うことができ、しかもモータの温度特性による測定誤差要因を抑制して、濃度調整の精度を向上することができる現像剤濃度調整装置、現像剤濃度調整方法を提供することである。また、それらを用いて、回収現像剤を簡単に、精度よく濃度調整して、効率的に再利用できる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有するものである。
【0019】
1. 濃度調整用の液体現像剤を収容する濃度調整槽と、前記濃度調整槽内に収容された前記液体現像剤を撹拌する撹拌手段と、撹拌負荷として、前記撹拌手段を駆動するモータの電流値を検出する負荷検出手段と、濃度調整用の補給現像剤を収容する補給現像剤槽から、前記補給現像剤を前記濃度調整槽に補給する補給手段と、前記負荷検出手段により検出された撹拌負荷に基づいて、前記補給手段による前記補給現像剤の補給を制御し、前記液体現像剤の濃度を調整する制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記濃度調整槽が空の状態での撹拌負荷として検出される空回転電流値に基づき、前記濃度調整槽に液体現像剤が所定量収容された状態での撹拌負荷として検出される測定電流値と、前記濃度調整槽に濃度調整の目標となる濃度の液体現像剤が所定量収容された状態での撹拌負荷に対応する目標電流値と、の一方または両方の値を補正し、補正した値に基づいて前記補給手段による前記補給現像剤の補給を制御することを特徴とする現像剤濃度調整装置。
【0020】
2. 前記負荷検出手段は、前記濃度調整を行うたびに、濃度調整槽に濃度調整用の液体現像剤が収容される前に、空の状態で前記空回転電流値を検出し、前記制御手段は、前記濃度調整を行うたびに、前記空回転電流値に基づく前記測定電流値または前記目標電流値の補正を実施し、濃度調整終了後は、前記濃度調整槽から濃度調整済みの液体現像剤を使用するため排出し、空の状態にすることを特徴とする1に記載の現像剤濃度調整装置。
【0021】
3. 前記補給手段は、第1の補給現像剤槽に貯留された所望の濃度より高濃度の第1の補給現像剤を、前記濃度調整槽に補給する第1の補給手段と、第2の補給現像剤槽に貯留された所望の濃度より低濃度の第2の補給現像剤を、前記濃度調整槽に補給する第2の補給手段と、を有することを特徴とする1または2に記載の現像剤濃度調整装置。
【0022】
4. 前記濃度調整槽は、円筒形状の容器であり、収容された液体現像剤が一定の液量に達するとオーバーフローする開口部を有し、前記負荷検出手段は、前記濃度調整槽内の液体現像剤が攪拌され、前記開口部よりオーバーフローしている状態で、前記測定電流値を検出することを特徴とする1乃至3の何れか1項に記載の現像剤濃度調整装置。
【0023】
5. 濃度調整槽に濃度調整用の液体現像剤を収容する現像剤収容工程と、前記濃度調整槽内に収容された前記液体現像剤を撹拌する部材を駆動するモータの電流値を、撹拌負荷として検出する負荷検出工程と、濃度調整用の補給現像剤を収容する補給現像剤槽から、前記補給現像剤を前記濃度調整槽に補給する補給工程と、前記負荷検出工程において検出された撹拌負荷に基づいて、前記補給工程の実行を制御し、前記液体現像剤の濃度を調整する制御工程と、を有し、前記制御工程では、前記濃度調整槽が空の状態での撹拌負荷として検出される空回転電流値に基づき、前記濃度調整槽に液体現像剤が所定量収容された状態での撹拌負荷として検出される測定電流値と、前記濃度調整槽に濃度調整の目標となる濃度の液体現像剤が所定量収容された状態での撹拌負荷に対応する目標電流値と、の一方または両方の値を補正し、補正した値に基づいて前記補給工程の実行を制御することを特徴とする現像剤濃度調整方法。
【0024】
6. 前記負荷検出工程は、濃度調整を行うたびに、濃度調整槽に濃度調整用の液体現像剤が収容される前に、空の状態で前記空回転電流値を検出する空回転負荷検出工程を有し、前記制御工程は、濃度調整を行うたびに、前記空回転負荷検出工程における前記空回転電流値に基づき、前記測定電流値または前記目標電流値の補正を実施する電流値補正工程と、濃度調整終了後は、前記濃度調整槽から濃度調整済みの液体現像剤を使用するため排出し、空の状態にする排出工程と、を有することを特徴とする5に記載の現像剤濃度調整方法。
【0025】
7. 前記補給工程は、第1の補給現像剤槽に貯留された所望の濃度より高濃度の第1の補給現像剤を、前記濃度調整槽に補給する第1の補給工程と、第2の補給現像剤槽に貯留された所望の濃度より低濃度の第2の補給現像剤を、前記濃度調整槽に補給する第2の補給工程と、を有することを特徴とする5または6に記載の現像剤濃度調整方法。
【0026】
8. 前記現像剤収容工程では、円筒形状の容器であり、開口部を有する前記濃度調整槽に収容された液体現像剤が、一定の液量に達すると、前記開口部よりオーバーフローし、前記負荷検出工程では、前記濃度調整槽内の液体現像剤が、攪拌され、前記開口部よりオーバーフローしている状態で、前記測定電流値を検出することを特徴とする5乃至7の何れか1項に記載の現像剤濃度調整方法。
【0027】
9. 表面に潜像を形成する像担持体と、前記像担持体の表面の潜像を液体現像剤で現像し、トナー像を形成する液体現像装置と、を有する画像形成装置であって、1乃至4の何れか1項に記載の現像剤濃度調整装置を有し、前記現像剤濃度調整装置により所望の現像剤濃度に調整された液体現像剤を、前記液体現像装置に供給することを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る現像剤濃度調整装置及び方法によれば、攪拌時の負荷として駆動モータの電流値を測定することで、液体現像剤の濃度を算出し、調整するに当たり、液体現像剤のない空の状態での空回転電流値を検出し、それに基づき、測定電流値と目標電流値の一方または両方を補正する。
【0029】
これにより、濃度調整のための撹拌を行いながら同時に並行して簡便に濃度測定が可能となり、また、モータの温度特性による測定誤差要因を抑制して、濃度調整の精度を向上することもできる。
【0030】
また、このようにして濃度調整を行うことで、本発明に係る画像形成装置においても、回収現像剤を簡単に、精度よく濃度調整して、効率的に再利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明に係る実施形態を、図を参照して説明する。
【0032】
液体現像剤を用いる液体現像装置は、複写機、簡易印刷機、プリンタなどの画像形成装置に利用される。これらには、一般的に電子写真方式の画像形成プロセスが、共通して用いられている。まずその電子写真方式による湿式の画像形成部を、図1を参照して説明し、さらに回収現像剤を再利用する液体現像装置(図2参照)とそこで用いられている現像剤濃度調整装置について、その構成と機能動作を説明する(図3参照)。
【0033】
(画像形成部の構成と機能動作)
図1を用いて、本実施形態の画像形成装置における画像形成部の構成例を説明する。図1は、湿式画像形成装置における画像形成部の概略構成例を示す断面図である。
【0034】
図1において、1は感光体ドラムであり、像担持体として機能する。画像形成部10はこの感光体ドラム1を中心に、その周囲に配設された、前記感光体ドラム1の表面を均一に帯電させる帯電装置2、帯電した感光体ドラム1上にLEDまたはレーザビームを照射して静電潜像を形成する露光装置3、その静電潜像を液体現像剤を用いて現像する液体現像装置4、現像されたトナー像を転写材7に転写する転写装置5、そして転写後の感光体ドラムの表面に残存する液体現像剤を除去するクリーニング装置6などを備える。
【0035】
また、液体現像装置4の前後には、予め液体現像剤の一部を塗布したり、回収したりする装置を設ける場合もある。転写材7は、そのまま記録用紙などの記録材であってもよいし、転写材7として中間転写ベルトなどを用いて、再度記録材に転写するような構成であってもよい。
【0036】
液体現像装置4は、一般的には、表面に液体現像剤の薄層を担持し、像担持体である感光体ドラム1上の潜像を現像する現像ローラ41、現像ローラ41に当接して、その表面に液量調整された液体現像剤を転移させる搬送ローラ42、そしてその搬送ローラ42に当接して、その表面に現像剤槽44内の液体現像剤8を供給する供給ローラ43を備える。
【0037】
図1においては、液体現像装置4が1台のみ配置されているが、カラー画像形成のために複数台配置されていてもよい。カラー現像の方式、中間転写の有無などは任意に設定すればよく、それに合わせた任意の構成配置をとることができる。
【0038】
感光体ドラム1は、図1に示す矢印A方向に回転し、帯電装置2は、回転する感光体ドラム1の表面をコロナ放電などにより数百V程度に帯電させる。帯電装置2より感光体ドラム回転方向下流側においては、露光装置3から照射されたレーザビームにより、表面電位が百V程度以下に低下させられた静電潜像が形成される。
【0039】
露光装置3のさらに下流側には、液体現像装置4が配設されており、感光体ドラム1に形成された静電潜像が、液体現像剤8を用いて現像される。
【0040】
液体現像装置4には、絶縁性の溶媒(以後キャリヤ液とも呼称する)中にトナーを分散させた液体現像剤8が現像剤槽44内に収容されており、供給ローラ43によって搬送ローラ42表面に液体現像剤8が供給される。
【0041】
搬送ローラ42は液体現像剤8の薄層を搬送し、現像ローラ41に転移させる。そして現像ローラ41上には液体現像剤8の薄層が担持される。さらに現像ローラ41と感光体ドラム1の静電潜像との電位差により、現像ローラ41上に担持された液体現像剤8の薄層内のトナー粒子が感光体ドラム1上の静電潜像に移動して、静電潜像が現像される。
【0042】
転写装置5では、感光体ドラム1の周速と同速度で搬送される転写材7に帯電を施し、あるいは電圧を印加することで、感光体ドラム1上の現像されたトナー像が転写材7上に転写される。
【0043】
転写装置5の下流側には、感光体ドラム1の表面上に残存する液体現像剤8を除去するクリーニング装置6が配設されている。このクリーニング装置6により感光体ドラム1上に残存する液体現像剤8が除去される。
【0044】
転写装置5でトナー像が転写された転写材7は、記録材であれば、図示しない定着装置へと搬送され、加熱定着の上、排出される。転写材7が中間転写ベルトなどの中間転写体であれば、その後、トナー像が記録材に再転写され、トナー像を転写された記録材が、同じく定着装置へと搬送され、加熱定着の上、排出される。
【0045】
(現像剤の構成)
現像に用いる液体現像剤8について説明する。液体現像剤8は、溶媒であるキャリヤ液体中に着色されたトナー粒子を高濃度で分散している。また液体現像剤8には、分散剤、荷電制御剤などの添加剤を適宜、選んで添加してもよい。
【0046】
キャリヤ液としては、絶縁性の、常温で不揮発性の溶媒が用いられる。トナー粒子は、主として樹脂と着色のための顔料や染料からなる。樹脂には、顔料や染料をその樹脂中に均一に分散させる機能と、記録材に定着される際のバインダとしての機能がある。
【0047】
トナーの体積平均粒子径は、0.1μm以上、5μm以下の範囲が適当である。トナーの平均粒子径が0.1μmを下回ると現像性が大きく低下する。一方、平均粒子径が5μmを超えると画像の品質が低下する。
【0048】
液体現像剤の質量に対するトナー粒子の質量の割合は、10〜40%程度が適当である。10%未満の場合、トナー粒子の沈降が生じやすく、長期保管時の経時的な安定性に問題がある。また必要な画像濃度を得るため、多量の現像剤を供給する必要があり、紙上に付着するキャリヤ液が増加し、定着時に乾燥せねばならず、蒸気が発生し環境上の問題が生じる。40%を超える場合には、液体現像剤の粘度が高くなりすぎ、製造上も、また取り扱いも困難になる。
【0049】
(現像装置の構成と動作)
図2には、図1における液体現像装置4の概略構成例を示す。図2を用いて、液体現像装置4の構成と動作について説明する。
【0050】
現像剤槽44には、上述の液体現像剤8が収容されている。
【0051】
供給ローラ43は、現像剤槽44内の液体現像剤8に浸漬するよう配置され、矢印D方向に回転し、現像剤槽44から液体現像剤8をくみ上げる。高粘度の液体現像剤8はその粘着力で供給ローラ43の表面に付着した状態で搬送される。
【0052】
規制部材45は、図のように供給ローラ43に対向して、その回転に対してカウンタ方向に当接して配置され、供給ローラ43の表面に付着して搬送される現像剤の量を規制するものである。これにより余分な現像剤量が剥ぎ落とされ、供給ローラ43表面上には現像剤薄層が形成され、次の搬送ローラ42に向かって搬送されていくことになる。
【0053】
搬送ローラ42としては、一般にゴムローラが用いられる。搬送ローラ42は供給ローラ43に対向して配置され、当接しながら矢印C方向に回転する。このニップ部で、供給ローラ43表面に形成された現像剤薄層は搬送ローラ42の表面に写し取られ、現像ローラ41へ向かって搬送されていく。
【0054】
現像ローラ41としては低硬度のゴムローラが用いられる。現像ローラ41は搬送ローラ42に対向して配置され、当接しながら矢印B方向に回転する。このニップ部で、搬送ローラ42表面に搬送された現像剤薄層は、現像ローラ41に掻き取られ、現像ローラ41表面に現像剤薄層が担持、搬送されることになる。従って現像ローラ41が現像剤担持体として機能する。
【0055】
ここでは、搬送ローラ42が現像剤薄層を形成し、現像剤担持体に受け渡しするが、供給ローラ43がその機能を合わせ持ってもよい。すなわち、供給ローラ43から直接現像ローラ41に現像剤を転移させる方法を採ることも可能である。
【0056】
現像ローラ41は、像担持体である感光体ドラム1とも当接して回転しており、感光体ドラム1とのニップ部、すなわち現像領域に搬送された現像剤薄層は、感光体1上の潜像を現像することになる。
【0057】
しかしながら、感光体ドラム1の潜像を現像した後も、現像ローラ41表面には現像剤の薄層が残存する。残存した現像剤がそのまま再度現像領域まで搬送されると、次の現像に悪影響を及ぼす。除去部材46はクリーニングのためのブレードであり、この残存した現像剤を除去するものである。
【0058】
(現像剤の回収と再利用のための構成)
図2にはまた、図1における液体現像装置4において除去された残存現像剤を回収し、再利用するための概略構成についても合わせて示している。図2を用いて、液体現像装置4における液体現像剤の回収、再利用に関する構成について説明する。
【0059】
上述したように、現像ローラ41上に残存する現像剤薄層は、除去部材46によって除去される。しかし、そこで回収した現像剤は溜まっていくため、回収して廃棄するにしても保管容器を必要とする。そこで本実施形態では回収した現像剤を再利用することにより、そのような容器も必要なく、また現像剤を有効利用できるような構成を取っている。
【0060】
除去部材46によって現像ローラ41表面から掻き取られた現像剤は、回収現像剤として、回収現像剤槽53に一旦貯留される。
【0061】
一旦回収現像剤槽53に貯留された回収現像剤は、所望の濃度に調整して再利用するため、現像剤濃度調整装置60に送られる。
【0062】
現像剤濃度調整装置60で所望の濃度に調整された回収現像剤は、液体現像装置4の現像剤槽44に供給され、再利用される。または、一旦供給槽(不図示)に貯留してから現像剤槽44に供給するようにしてもよい。
【0063】
<現像剤濃度調整装置の構成>
図2に示した現像剤濃度調整装置60については、図3にまた、その概略構成例を示している。図2及び図3を用いて、現像剤濃度調整装置60における回収現像剤の濃度調整に関する構成について説明する。
【0064】
現像剤濃度調整装置60は、現像剤濃度測定部50と、第1の補給手段として機能する第1の補給現像剤槽54及び第1の補給現像剤供給部54a、そして第2の補給手段として機能する第2の補給現像剤槽55及び第2の補給現像剤供給部55aを含む。これらは補給手段として機能する。
【0065】
第1の補給現像剤槽54には、第1の補給現像剤として、例えば所望の濃度より高濃度の液体現像剤が収容されており、第1の補給現像剤供給部54aにより現像剤濃度測定部50に補給される。
【0066】
また第2の補給現像剤槽55には、第2の補給現像剤として、例えば所望の濃度より低濃度の液体現像剤(キャリヤ液のみの場合も含む)が収容されており、第2の補給現像剤供給部55aにより現像剤濃度測定部50に補給される。
【0067】
現像剤濃度調整装置60において、濃度調整のために送られてきた回収現像剤は、濃度調整用現像剤として現像剤濃度測定部50に送られる。
【0068】
現像剤濃度測定部50では濃度調整用現像剤の濃度(実際は粘度に対応する撹拌負荷としてのモータ電流値)を測定する。所望の濃度(所望の電流値、すなわち目標電流値)との比較結果に応じて、上記第1の補給現像剤または第2の補給現像剤が補給される。すなわち、所望の濃度より低濃度である場合は高濃度の現像剤(第1の補給現像剤)を、または高濃度である場合は低濃度の現像剤(第2の補給現像剤)を補給する。
【0069】
現像剤濃度調整装置60においては、濃度調整用現像剤が所望の濃度に達するまで、上記の現像剤濃度測定部50による濃度測定と補給現像剤の補給とが継続される。
【0070】
濃度調整用現像剤が所望の濃度に達すると、濃度調整は終了し、濃度調整済みの濃度調整用現像剤が現像剤濃度調整装置60から液体現像装置4の現像剤槽44に供給される。現像剤濃度調整装置60における濃度調整の詳細な処理手順は後述する。
【0071】
<現像剤濃度測定部の構成>
図2に示した現像剤濃度測定部50については、図3にまた、その概略構成例を示している。図2及び図3を用いて、現像剤濃度測定部50における回収現像剤の濃度測定に関する構成について説明する。
【0072】
現像剤濃度測定部50は、濃度調整槽51、排出現像剤槽52、制御部61、撹拌部材62、駆動装置63、そして負荷検出装置64を含む。
【0073】
濃度調整槽51は、濃度調整用現像剤を収容し、濃度調整するための槽である。駆動装置63により攪拌部材62を駆動させて濃度調整槽51内の濃度調整用現像剤を撹拌し、負荷検出装置64でその負荷を検出することで濃度を測定する。図4にそれらの構成を図示する。
【0074】
図4も合わせて参照し、説明を続ける。
【0075】
本実施形態では、濃度調整槽51は円筒形の容器であり、開口部51aを有している。開口部51aは、収容された濃度調整用現像剤の液量が多くなり、開口部の位置を液面が超えるとオーバーフローすることによって、濃度調整用現像剤の液量を一定量に維持する機能を有している。
【0076】
排出現像剤槽52は、そうして溢れ出た濃度調整用現像剤を受けて、収容する槽である。溜まった現像剤は廃棄してもよいが、次の濃度調整時に再度濃度調整用現像剤として戻すような構成とし、効率的に再利用することが望ましい。また、排出現像剤槽52なしで、直接回収現像剤槽53に戻すような構成としてもよい。
【0077】
撹拌部材62は、例えば撹拌羽根であり、濃度調整槽51内に設置され、駆動装置63により回転駆動されることで、収容された濃度調整用現像剤を撹拌する。駆動装置63は例えばモータであり、攪拌部材62としての撹拌羽根を所定の条件で回転させる。すなわち、撹拌部材62と駆動装置63は、撹拌手段として機能する。
【0078】
負荷検出装置64は、駆動装置63による撹拌部材62の駆動における負荷を検出する装置であり、液体現像剤の粘度に対応する検出値を得る。粘度は濃度に依存する。すなわち負荷検出装置64は負荷検出手段として機能する。
【0079】
負荷検出装置64としては、モータによる回転羽根の回転に対する負荷として、所定の条件でのモータの回転に要する電流値を測定する電流計を用いている。
【0080】
制御部61はこれらの構成要素の動作を制御して濃度調整用現像剤の濃度もしくは濃度に相当する電流値を取得する。また、所望の濃度(あるいはそれに対応する目標電流値)との比較に基づき、濃度調整のための第1の補給手段もしくは第2の補給手段などの補給動作を制御する。すなわち制御部61は制御手段として機能する。
【0081】
(現像剤濃度測定部の濃度測定機構)
上記の現像剤濃度測定部50の構成は、濃度調整用現像剤を撹拌手段を用いて攪拌する時の負荷としてのモータ電流値を、負荷検出手段が検出することで濃度を算出するための構成である。それは、濃度調整用現像剤の濃度に依存してその粘度が異なること、また現像剤の粘度が異なることにより、撹拌するための負荷が異なることに基づいている。
【0082】
液体現像剤は、既述したようにキャリヤ液にトナーが分散されている。液体現像剤の濃度は、現像剤中のトナーの濃度で表される。この濃度を測定する方法としては、従来、光の透過率で測定することがよく行われていた。
【0083】
しかしながら、これも既述したように近年では高濃度の液体現像剤がもっぱら使用されている。高濃度の現像剤に対しては、光の透過率では低い値に飽和してしまい、十分な測定の感度が得られない。
【0084】
かわりに粘度を測定することで濃度を求めることが考えられてきた。現像剤の濃度が変化すると粘度も変化する。特に高濃度の領域に対して粘度の変化量が大きく、十分な測定の感度を得ることもできる。
【0085】
また、現像剤の粘度が変化するとそれを撹拌するのに要する負荷も変動する。これを利用して撹拌の負荷から粘度を、そしてさらに濃度を測定することもできる。
【0086】
撹拌の負荷としては、撹拌羽根などの駆動に用いるモータの電流値を測定するのが簡便である。所定の回転数で回転させるために要する電流値を電流計で測定すればよい。
【0087】
<濃度調整用現像剤の液量制御>
しかしながら、撹拌の負荷から粘度を求めるには、撹拌時の条件が一定でなければならない。装置の条件はもとより、撹拌羽根を回転させるのであれば、回転条件、さらには撹拌される現像剤の液量も制御する必要がある。
【0088】
本実施形態では、測定する現像剤の液量を一定にするために濃度調整槽51に開口部51aを設け、オーバーフローさせる構成としている。実際は撹拌すると液面がすり鉢状になり、粘度によって、オーバーフロー時の液量が異なってくる。
【0089】
図4を参照して分かるように、撹拌羽根の回転により、現像剤の液が遠心力で外側方向へ移動し、液面81が大きくすり鉢状となっている。
【0090】
従って、開口部51aがあると、最外側部での液面高さの上限が規制されるので、現像剤粘度により液量が変化することになる。
【0091】
本実施形態(図4参照)では、攪拌時の液量を粘度によらず常に一定に制御するという考え方はとらない。そのかわり、同じ粘度の現像剤であれば、攪拌時の液量が一定であるように構成しておくことを前提とした。本実施形態(図4参照)では、同じ粘度の現像剤であれば、開口部51aによって液面を規制することで、同じすり鉢状の液面状態が実現し、同じ液量が達成される。
【0092】
もちろん現像剤の粘度が異なれば液量は異なってくるが、それぞれの粘度に応じて所定の液面、すなわち所定の液量が達成されるため、液量と粘度に応じた撹拌の負荷を対応させることができる。
【0093】
粘度測定のために液量制御をその都度行う必要がなく、必要な制御は開口部51aが自動的に行う。測定中に濃度の異なる現像剤を補給しても、それによる粘度変化に応じて液量制御は自動的に行われることになる。
【0094】
<撹拌負荷としての電流値の補正>
撹拌の負荷としては、撹拌羽根などの駆動に用いるモータの電流値を測定することを既述した。撹拌羽根を所定の回転数で回転させ、そのときの電流値を電流計で測定すればよい。
【0095】
所望の濃度の現像剤に対する撹拌の負荷としてのモータ電流値を予め取得しておき、目標電流値とする。濃度調整用現像剤の攪拌時に測定した電流値を、保持している目標電流値と比較して、その大小関係から第1の補給現像剤、あるいは第2の補給現像剤を補給するように制御すればよい。
【0096】
あるいは、目標電流値に許容範囲を加えて目標範囲とし、その範囲内であれば濃度調整を終了し、あるいは目標範囲を上回るか下回るかによって第1の補給現像剤、または第2の補給現像剤の補給を実行するよう制御してもよい。
【0097】
しかしながらモータの温度特性により、モータ電流値は変動することがある。例えば、モータによる駆動を始めた段階と、一定時間駆動後とでは、モータ自体の温度上昇により同じ条件の回転数を得るための電流値が変動してくる。
【0098】
このため、上記の濃度調整のために保持している目標電流値が、場合によっては不適切になる、または見方を変えれば測定した電流値の方が適当ではなくなる。何れかを補正して整合性を持たせるようにする必要がある。
【0099】
モータ自体の温度上昇を補正するためには、その変化により電流値がどのように変化するかを定量的に把握しておけばよい。しかしながら、その都度温度を測定するのは、実際的ではない。
【0100】
本実施形態では、モータの温度に応じてモータ電流値が変化するのであれば、その同じモータ電流値で、かつ同じ撹拌負荷を再現できる条件での電流値を、補正のために取得する。すなわち、濃度調整用現像剤の存在しない、空の状態での撹拌を行うときの電流値(空回転電流値)である。
【0101】
図5には、空回転電流値(x軸)と、所望の濃度の現像剤を撹拌したときの電流値(目標電流値)(y軸)との関係の一例をグラフで示している。
【0102】
図5のデータによれば、モータの温度の変動に応じて、空回転電流値は81.6mAから82.2mA程度まで変化している。それに対応して目標電流値も110.8mAから112.5mA程度まで変化している。従って、濃度調整用現像剤の攪拌時に、空回転電流値を同時に測定しておけば、それをベースに目標電流値あるいは測定電流値を補正することができる。
【0103】
実際には同時に空回転電流値を測定することはできないので、濃度調整開始時に、濃度調整槽に現像剤を供給する前に空回転電流値を測定するのがよい。
【0104】
補正方法を以下に述べる。
【0105】
1.目標電流値を補正する方法
図5のグラフから分かるように温度特性による空回転電流値の変化と一定の濃度の現像剤に対する攪拌時の電流値の変化とは、1対1に対応している。すなわち、グラフにおいてデータを近似した対応曲線の傾きが1である。近似式でいうと、Y(目標電流値)=X(空回転電流値)+定数(本例では30mA)、となっている。
【0106】
従って、空回転電流値を測定した時点で、上記近似式に基づき補正目標値を「空回転電流値+30」とし、この補正目標値または目標範囲(=補正目標値±許容範囲)と測定した電流値を比較して、補給現像剤の補給を制御すればよい。
【0107】
2.測定電流値を補正する方法
図5のグラフでは、近似式で、Y(目標電流値)=X(空回転電流値)+定数(本例では30mA)、となっている。従って目標値として空回転電流値に依存しない部分を設定する。すなわち、設定目標値=目標電流値(空回転電流値に対応する)−空回転電流値=定数(本例では30mA)。
【0108】
設定目標値を定数(30mA)とし、測定電流値の方を次のように補正する、補正測定値=測定電流値−空回転電流値。
【0109】
上記の補正測定値を、設定目標値(30mA)または目標範囲(=設定目標値±許容範囲)と比較して、補給現像剤の補給を制御すればよい。
【0110】
(濃度調整処理例1)
図6は現像剤濃度調整装置の濃度調整の処理例1を示すフローチャートである。処理例1は、前述の電流値補正方法として目標電流値を補正している。図6を用いて、現像剤濃度調整装置の濃度調整の処理例1を説明する。
【0111】
現像剤濃度調整を開始するとまず、ステップS11では、濃度調整槽51は空の状態である。制御部61からの指示により駆動装置63が攪拌部材62を駆動し、撹拌を開始する。合わせて、負荷検出装置64が空回転電流値を測定する。すなわち、ステップS11は空回転負荷検出工程として機能する。
【0112】
次いでステップS12aでは、制御部61が保持している近似式と測定した空回転電流値を元に、目標電流値の補正を行う。
補正目標値=空回転電流値+定数
また、補正目標値を元に、目標範囲を設定する。
目標範囲=補正目標値±許容範囲
すなわち、ステップS12aは電流値補正工程として機能する。
【0113】
ステップS13では、濃度調整する現像剤、すなわち回収現像剤槽53の回収現像剤を、濃度調整槽51に濃度調整用現像剤として収容する。すなわち、ステップS13は現像剤収容工程として機能する。
【0114】
続いてステップS14も、制御部61からの指示により駆動装置63が攪拌部材62を駆動し、所定の回転数で濃度調整用現像剤の撹拌を開始する。合わせて、負荷検出装置64がその撹拌負荷としての電流値を測定する。すなわち、ステップS14は、撹拌負荷検出工程として機能する。
【0115】
前述のステップS12aを含め、次のステップS16以降は制御工程である。
【0116】
次のステップS16は、濃度調整用現像剤を撹拌し測定した測定電流値をステップ12aで補正した目標値に基づく目標範囲と比較する。
【0117】
測定電流値が、目標範囲内であれば(ステップS16:YES)、ステップS20へ進む。すなわち濃度調整を終了する。測定電流値が、目標範囲内でなければ(ステップS16:NO)、ステップS17へ進む。
【0118】
ステップS17は、目標範囲外である測定電流値が、目標範囲を上回っているかどうかを判定する。目標範囲を上回っている場合(ステップS17:YES)には、ステップS18を実行する。目標範囲を下回っている場合(ステップS17:NO)には、ステップS19を実行する。
【0119】
ステップS18は第2の補給工程であり、測定した濃度調整用現像剤が目標の濃度を上回っているため第2の補給現像剤(低濃度現像剤)の補給を実行する。その後ステップS14へ戻り、負荷検出工程からの処理を繰り返す。
【0120】
ステップS19は第1の補給工程であり、測定した濃度調整用現像剤が目標の濃度を下回っているため第1の補給現像剤(高濃度現像剤)の補給を実行する。その後ステップS14へ戻り、負荷検出工程からの処理を繰り返す。
【0121】
上述のようにステップS18及びステップS19は、補給工程として機能する。
【0122】
ステップS16で反復処理を抜け、ステップS20で調整を終了した後は、さらにステップS21を実行し、濃度調整槽51内の調整済み現像剤を排出し、現像に使用するため現像剤槽44に供給する。すなわち、ステップS21は排出工程として機能する。
【0123】
これにより濃度調整槽51は空の状態になり、次の濃度調整に当たって、現像液を供給する前に空回転負荷検出工程が行えるようになる。
【0124】
(濃度調整処理例2)
図7は現像剤濃度調整装置の濃度調整の処理例2を示すフローチャートである。処理例2は、前述の電流値補正方法として測定電流値の方を補正している。図7を用いて、現像剤濃度調整装置の濃度調整の処理例2を説明する。
【0125】
現像剤濃度調整を開始するとまず、ステップS11では、濃度調整槽51は空の状態である。処理例1のステップS11と同様に、駆動装置63が攪拌部材62を駆動し、撹拌を開始する。合わせて、負荷検出装置64が空回転電流値を測定する。すなわち、ステップS11は処理例1と同様、空回転負荷検出工程として機能する。
【0126】
次いでステップS12bでは、制御部61が保持している近似式を元に、目標電流値の設定を行う。
設定目標値=目標電流値−空回転電流値=定数
すなわち、近似式の定数部分を設定目標値とする。
【0127】
また、補正目標値を元に、目標範囲を設定する。
目標範囲=設定目標値(定数)±許容範囲。
【0128】
ステップS13では、処理例1のステップS13と同様に、濃度調整する現像剤、すなわち回収現像剤槽53の回収現像剤を、濃度調整槽51に濃度調整用現像剤として収容する。すなわち、ステップS13は処理例1と同様、現像剤収容工程として機能する。
【0129】
続いてステップS14も、処理例1のステップS14と同様に、駆動装置63が攪拌部材62を駆動し、所定の回転数で濃度調整用現像剤の撹拌を開始する。合わせて、負荷検出装置64がその撹拌負荷としての電流値を測定する。すなわち、ステップS14は処理例1と同様、撹拌負荷検出工程として機能する。
【0130】
次のステップS15bでは、測定した電流値の補正を行う。ステップS12bで設定した目標値に合わせ、空回転電流値を次のように差し引いて補正測定値を求める。
補正測定値=測定電流値−空回転電流値。
【0131】
すなわち、ステップS12bは、先のステップS12bと合わせて、電流値補正工程として機能する。また、前述の電流値補正工程を含め、次のステップS16以降は制御工程である。
【0132】
次のステップS16以降については、処理例1の同じ符号のステップと同様の処理であり、説明は省略する。処理例1と処理例2が異なるのは、上記の電流値補正に関する部分のみである。
【0133】
上述したように、本実施形態の現像剤濃度調整装置及び方法では、攪拌時の負荷として駆動モータの電流値を測定することで、液体現像剤の濃度を算出し、調整するに当たり、液体現像剤のない空の状態での空回転電流値を検出し、それに基づき、測定電流値と目標電流値の一方または両方を補正する。これにより、濃度調整のための撹拌を行いながら同時に並行して簡便に濃度測定が可能となり、また、モータの温度特性による測定誤差要因を抑制して、濃度調整の精度を向上することもできた。このようにして濃度調整を行うことで、画像形成装置としても、回収現像剤を簡単に、精度よく濃度調整して、効率的に再利用できるようになった。
【0134】
なお本発明の範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、それらの変更された形態もその範囲に含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】本発明に係る画像形成装置の画像形成部10の概略構成例を示す断面図である。
【図2】図1における液体現像装置4の概略構成例を示す配置図である。
【図3】図2における現像剤濃度調整装置60の概略構成例を示す配置図である。
【図4】図3における現像剤濃度測定部50の動作を説明するための装置構成図である。
【図5】空回転電流値と、所望の濃度の現像剤を撹拌したときの電流値(目標電流値)との関係の一例を示すグラフである。
【図6】現像剤濃度調整装置の濃度調整の処理例1を示すフローチャートである。
【図7】現像剤濃度調整装置の濃度調整の処理例2を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0136】
1 感光体ドラム(像担持体)
2 帯電装置
3 露光装置
4 液体現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 転写材
8 液体現像剤
10 画像形成部
41 現像ローラ(現像剤担持体)
42 搬送ローラ
43 供給ローラ
44 現像剤槽
45 規制部材
46 除去部材
50 現像剤濃度測定部
51 濃度調整槽
51a 開口部
52 排出現像剤槽
53 回収現像剤槽
54 第1の補給現像剤槽(高濃度現像剤槽)
55 第2の補給現像剤槽(低濃度現像剤槽)
54a 第1の補給手段
55a 第2の補給手段
60 現像剤濃度調整装置
61 制御部(制御手段)
62 撹拌部材(撹拌羽根)
63 駆動装置(モータ)
64 負荷検出装置(負荷検出手段)
81 濃度調整用現像剤の攪拌時液面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
濃度調整用の液体現像剤を収容する濃度調整槽と、
前記濃度調整槽内に収容された前記液体現像剤を撹拌する撹拌手段と、
撹拌負荷として、前記撹拌手段を駆動するモータの電流値を検出する負荷検出手段と、
濃度調整用の補給現像剤を収容する補給現像剤槽から、前記補給現像剤を前記濃度調整槽に補給する補給手段と、
前記負荷検出手段により検出された撹拌負荷に基づいて、前記補給手段による前記補給現像剤の補給を制御し、前記液体現像剤の濃度を調整する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、
前記濃度調整槽が空の状態での撹拌負荷として検出される空回転電流値に基づき、
前記濃度調整槽に液体現像剤が所定量収容された状態での撹拌負荷として検出される測定電流値と、
前記濃度調整槽に濃度調整の目標となる濃度の液体現像剤が所定量収容された状態での撹拌負荷に対応する目標電流値と、の一方または両方の値を補正し、
補正した値に基づいて前記補給手段による前記補給現像剤の補給を制御する
ことを特徴とする現像剤濃度調整装置。
【請求項2】
前記負荷検出手段は、
前記濃度調整を行うたびに、濃度調整槽に濃度調整用の液体現像剤が収容される前に、空の状態で前記空回転電流値を検出し、
前記制御手段は、
前記濃度調整を行うたびに、前記空回転電流値に基づく前記測定電流値または前記目標電流値の補正を実施し、
濃度調整終了後は、前記濃度調整槽から濃度調整済みの液体現像剤を使用するため排出し、空の状態にする
ことを特徴とする請求項1に記載の現像剤濃度調整装置。
【請求項3】
前記補給手段は、
第1の補給現像剤槽に貯留された所望の濃度より高濃度の第1の補給現像剤を、前記濃度調整槽に補給する第1の補給手段と、
第2の補給現像剤槽に貯留された所望の濃度より低濃度の第2の補給現像剤を、前記濃度調整槽に補給する第2の補給手段と、を有する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の現像剤濃度調整装置。
【請求項4】
前記濃度調整槽は、円筒形状の容器であり、
収容された液体現像剤が一定の液量に達するとオーバーフローする開口部を有し、
前記負荷検出手段は、
前記濃度調整槽内の液体現像剤が攪拌され、前記開口部よりオーバーフローしている状態で、前記測定電流値を検出する
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の現像剤濃度調整装置。
【請求項5】
濃度調整槽に濃度調整用の液体現像剤を収容する現像剤収容工程と、
前記濃度調整槽内に収容された前記液体現像剤を撹拌する部材を駆動するモータの電流値を、撹拌負荷として検出する負荷検出工程と、
濃度調整用の補給現像剤を収容する補給現像剤槽から、前記補給現像剤を前記濃度調整槽に補給する補給工程と、
前記負荷検出工程において検出された撹拌負荷に基づいて、前記補給工程の実行を制御し、前記液体現像剤の濃度を調整する制御工程と、を有し、
前記制御工程では、
前記濃度調整槽が空の状態での撹拌負荷として検出される空回転電流値に基づき、
前記濃度調整槽に液体現像剤が所定量収容された状態での撹拌負荷として検出される測定電流値と、
前記濃度調整槽に濃度調整の目標となる濃度の液体現像剤が所定量収容された状態での撹拌負荷に対応する目標電流値と、の一方または両方の値を補正し、
補正した値に基づいて前記補給工程の実行を制御する
ことを特徴とする現像剤濃度調整方法。
【請求項6】
前記負荷検出工程は、
濃度調整を行うたびに、濃度調整槽に濃度調整用の液体現像剤が収容される前に、空の状態で前記空回転電流値を検出する空回転負荷検出工程を有し、
前記制御工程は、
濃度調整を行うたびに、前記空回転負荷検出工程における前記空回転電流値に基づき、前記測定電流値または前記目標電流値の補正を実施する電流値補正工程と、
濃度調整終了後は、前記濃度調整槽から濃度調整済みの液体現像剤を使用するため排出し、空の状態にする排出工程と、を有する
ことを特徴とする請求項5に記載の現像剤濃度調整方法。
【請求項7】
前記補給工程は、
第1の補給現像剤槽に貯留された所望の濃度より高濃度の第1の補給現像剤を、前記濃度調整槽に補給する第1の補給工程と、
第2の補給現像剤槽に貯留された所望の濃度より低濃度の第2の補給現像剤を、前記濃度調整槽に補給する第2の補給工程と、を有する
ことを特徴とする請求項5または6に記載の現像剤濃度調整方法。
【請求項8】
前記現像剤収容工程では、
円筒形状の容器であり、開口部を有する前記濃度調整槽に収容された液体現像剤が、一定の液量に達すると、前記開口部よりオーバーフローし、
前記負荷検出工程では、
前記濃度調整槽内の液体現像剤が、攪拌され、前記開口部よりオーバーフローしている状態で、前記測定電流値を検出する
ことを特徴とする請求項5乃至7の何れか1項に記載の現像剤濃度調整方法。
【請求項9】
表面に潜像を形成する像担持体と、
前記像担持体の表面の潜像を液体現像剤で現像し、トナー像を形成する液体現像装置と、を有する画像形成装置であって、
請求項1乃至4の何れか1項に記載の現像剤濃度調整装置を有し、
前記現像剤濃度調整装置により所望の現像剤濃度に調整された液体現像剤を、前記液体現像装置に供給する
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−3346(P2009−3346A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−166239(P2007−166239)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】