説明

現像剤電界搬送装置

【課題】現像剤の搬送方向における搬送状態が適切に設定され得る現像剤電界搬送装置を提供する。
【解決手段】薄板状の搬送電極基板(63)は、現像剤搬送方向に沿って配列された複数の搬送電極(63a)を備えている。搬送電極基板(63)は、平板状の平坦部(FP)と、前記現像剤搬送方向に沿って曲げられた屈曲部(BP)と、を有している。屈曲部(BP)における隣り合う搬送電極(63a)同士の間隔が、平坦部(FP)における隣り合う搬送電極(63a)同士の間隔よりも小さくなるように、搬送電極基板(63)が構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電した現像剤を、電界により所定の現像剤搬送方向に沿って搬送し得るように構成された、現像剤電界搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この装置は、現像剤搬送部材を備えている。この現像剤搬送部材は、基材と、この基材上に所定の間隔をあけて複数配列された電極と、を有している。この現像剤搬送部材は、これらの電極に対して多相の交番電圧を印加することで形成される進行波電界によって、前記現像剤を搬送し得るように構成されている。
【0003】
この種の装置としては、例えば、特公平5−31146号公報、特開2002−91159号公報、特開2003−98826号公報、特開2004−333845号公報、特開2005−275127号公報等に開示されているものが知られている。
【特許文献1】特開昭59−181371号公報
【特許文献2】特開2003−241503号公報
【特許文献3】特開2003−98826号公報
【特許文献4】特開2004−333845号公報
【特許文献5】特開2005−275127号公報
【発明の開示】
【0004】
上述した構成において、前記基材に、平板状の平坦部と、前記現像剤の搬送方向に沿って曲げられた屈曲部と、が設けられることがある。この場合、前記屈曲部と前記平坦部との間で、電界強度に差が生じる。
【0005】
具体的には、この種の装置においては、複数の前記電極が等間隔で配置されている。よって、従来のこの種の装置においては、前記屈曲部における電界強度が、前記平坦部における電界強度よりも小さくなっていた。このような電界強度の差が生じると、前記屈曲部と前記平坦部との間で、前記現像剤の搬送力(搬送速度)に差が生じることとなる。
【0006】
すると、前記現像剤搬送部材における特定の箇所(例えば、搬送力が小さな前記屈曲部、あるいは搬送力に差が生じる前記屈曲部と前記平坦部との境界付近)にて、前記現像剤の搬送が滞る。これによって、形成画像に乱れが生じ得る。
【0007】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明の目的は、前記現像剤の搬送方向における搬送状態が適切に設定され得る現像剤電界搬送装置、当該現像剤電界搬送装置を備えることで前記現像剤の供給状態が適切に設定され得る現像剤供給装置、及び当該現像剤供給装置を備えることで前記現像剤による画像形成がより良好に行われ得る画像形成装置、を提供することにある。
【0008】
本発明の現像剤電界搬送装置は、帯電した現像剤を、電界により所定の現像剤搬送方向に沿って搬送し得るように構成されている。
【0009】
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、現像剤供給装置と、を備えている。
【0010】
前記静電潜像担持体は、潜像形成面を有する。この潜像形成面は、所定の主走査方向と平行に形成されている。この潜像形成面は、電位分布による静電潜像が形成され得るように構成されている。そして、前記静電潜像担持体は、前記潜像形成面が前記主走査方向と直交する副走査方向に沿って移動し得るように構成されている。
【0011】
前記現像剤供給装置は、前記静電潜像担持体と対向するように配置されている。この現像剤供給装置は、現像剤を帯電した状態で前記潜像形成面に供給し得るように構成されている。この現像剤供給装置は、前記現像剤電界搬送装置を備えている。
【0012】
上述の目的を達成するため、本発明の現像剤電界搬送装置、現像剤供給装置、及び画像形成装置は、以下のように構成されている。
【0013】
前記現像剤電界搬送装置は、薄板状の搬送電極基板を備えている。この搬送電極基板には、複数の搬送電極が設けられている。これらの搬送電極は、前記現像剤搬送方向に沿って配列されている。また、この搬送電極基板は、平板状の平坦部と、前記現像剤搬送方向に沿って曲げられた屈曲部と、を有している。
【0014】
本発明の特徴は、前記屈曲部における電界が、前記平坦部における電界と等しくなるように構成されていることにある。
【0015】
具体的には、本発明においては、前記搬送電極基板が以下のように構成されている:前記屈曲部における隣り合う前記搬送電極同士の間隔が、前記平坦部における隣り合う前記搬送電極同士の間隔よりも小さく設定されている。
【0016】
この場合、前記平坦部における隣り合う前記搬送電極同士の間隔をDf、前記屈曲部における隣り合う前記搬送電極同士の間隔をDb、前記屈曲部における屈曲形状を側断面視にて円弧であると仮定した場合の当該円弧に対応する中心角をθ、前記搬送電極基板の厚さをt、前記屈曲部における前記搬送電極の数をNとすると、
Df−Db=tθ/N
となるように、前記搬送電極基板が構成され得る。
【0017】
本発明の現像剤電界搬送装置においては、前記平坦部と前記屈曲部とで、電界が等しくなる。よって、前記搬送電極基板における特定の箇所(例えば前記屈曲部、あるいは当該屈曲部と前記平坦部との境界付近)での、前記現像剤の搬送の滞りの発生が、可及的に抑制され得る。
【0018】
したがって、本発明によれば、前記現像剤搬送方向における前記現像剤の搬送状態が、適切に設定され得る。すなわち、前記搬送電極基板による前記現像剤の搬送が、スムーズに行われ得る。これにより、前記静電潜像担持体への前記現像剤の供給状態が、適切に設定され得る。また、前記現像剤による画像形成が、より良好に行われ得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態(本願の出願時点において取り敢えず出願人が最良と考えている実施形態)について、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
なお、以下の実施形態に関する記載は、法令で要求されている明細書の記載要件(記述要件・実施可能要件)を満たすために、本発明の具体化の単なる一例を、可能な範囲で具体的に記述しているものにすぎない。よって、後述するように、本発明が、以下に説明する実施形態の具体的構成に何ら限定されるものではないことは、全く当然である。本実施形態に対して施され得る各種の変更(modification)は、当該実施形態の説明中に挿入されると、一貫した実施形態の説明の理解が妨げられるので、末尾にまとめて記載されている。
【0021】
<レーザープリンタの全体構成>
図1は、本発明の一実施形態が適用されたレーザープリンタ1の概略構成を示す側面図である。
【0022】
図1を参照すると、本発明の画像形成装置としてのレーザープリンタ1は、用紙搬送機構2と、感光体ドラム3と、帯電器4と、スキャナーユニット5と、トナー供給装置6と、を備えている。
【0023】
レーザープリンタ1内に備えられた、図示しない給紙トレイには、シート状の用紙Pが積み重ねられた状態で収容されている。用紙搬送機構2は、用紙Pを所定の用紙搬送経路に沿って搬送し得るように構成されている。
【0024】
本発明の静電潜像担持体(現像剤担持体)としての感光体ドラム3の周面には、本発明の潜像形成面(現像剤担持面)としての潜像形成面LSが形成されている。
【0025】
潜像形成面LSは、主走査方向(図中z軸方向)と平行な円筒面として形成されている。潜像形成面LSは、電位分布による静電潜像が形成され得るように構成されている。
【0026】
感光体ドラム3は、中心軸Cを中心として、図中矢印で示されている方向(図1における時計回り)に回転駆動され得るように構成されている。すなわち、潜像形成面LSが、所定の移動方向、すなわち、前記主走査方向と直交する副走査方向に沿って、移動し得るように、感光体ドラム3が構成されている。
【0027】
帯電器4は、潜像形成面LSと対向するように配置されている。この帯電器4は、コロトロン型あるいはスコロトロン型の帯電器であって、潜像形成面LSを一様に正帯電させ得るように構成されている。
【0028】
スキャナーユニット5は、画像データに基づいて変調されたレーザービームLBを生成するように構成されている。すなわち、スキャナーユニット5は、画素の有無によって発光のON/OFFが制御された、所定の波長帯域のレーザービームLBを生成するように構成されている。
【0029】
また、スキャナーユニット5は、生成されたレーザービームLBを、潜像形成面LSにおけるスキャン位置SPにて結像させる(露光する)ように構成されている。ここで、スキャン位置SPは、帯電器4よりも、感光体ドラム3の回転方向(図1における矢印で示されている方向:図中時計回り)における下流側の位置に設けられている。
【0030】
さらに、スキャナーユニット5は、潜像形成面LS上にてレーザービームLBが結像される位置を、前記主走査方向に沿って等速度にて移動させる(走査する)ことで、潜像形成面LS上に静電潜像を形成し得るように構成されている。
【0031】
本発明の現像剤供給装置としてのトナー供給装置6は、感光体ドラム3と対向するように配置されている。トナー供給装置6は、現像位置DPにて、後述する乾式現像剤としてのトナーを帯電した状態で潜像形成面LSに供給し得るように構成されている。このトナー供給装置6の詳細な構成については後述する。
【0032】
<レーザープリンタの各部の構成>
次に、レーザープリンタ1の各部の具体的な構成について、詳細に説明する。
【0033】
<<用紙搬送機構>>
用紙搬送機構2は、一対のレジストローラ21と、転写ローラ22と、を備えている。
【0034】
レジストローラ21は、用紙Pを所定のタイミングにて感光体ドラム3と転写ローラ22との間に向けて送り出し得るように構成されている。
【0035】
転写ローラ22は、感光体ドラム3の外周面である潜像形成面LSと、転写位置TPにて、用紙Pを挟んで対向するように配置されている。また、転写ローラ22は、図中矢印で示されている方向(反時計回り)に回転駆動され得るように構成されている。
【0036】
転写ローラ22は、図示しないバイアス電源回路に接続されている。すなわち、転写ローラ22と感光体ドラム3との間で、潜像形成面LS上に付着したトナー(現像剤)を用紙Pに転写させるための所定の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。
【0037】
<<感光体ドラム>>
図2は、図1に示されている感光体ドラム3とトナー供給装置6とが対向している部分を拡大した側断面図である。
【0038】
図2を参照すると、感光体ドラム3は、ドラム本体31と、感光層32と、から構成されている。
【0039】
ドラム本体31は、z軸と平行な中心軸Cを有する円筒状の部材であって、アルミニウム等の金属から構成されている。このドラム本体31は、接地されている。
【0040】
感光層32は、ドラム本体31の外周を覆うように設けられている。この感光層32は、所定波長のレーザー光の露光によって電子伝導性を示す、正帯電性の光導電層から構成されている。
【0041】
潜像形成面LSは、感光層32の外周面によって構成されている。すなわち、帯電器4(図1参照)によって一様に正帯電された後に、スキャン位置SPにてレーザービームLBが走査されることで、正電荷のパターンからなる静電潜像LIが形成されるように、潜像形成面LS(感光層32)が構成されている。
【0042】
<<トナー供給装置の概略構成>>
図2を参照すると、トナー供給装置6のケーシングをなすトナーボックス61は、箱状部材であって、その内部に微粒子状の乾式現像剤としてのトナーTを貯留し得るように構成されている。本実施形態においては、トナーTは、正帯電性、非磁性1成分の、黒色のものが用いられている。
【0043】
トナーボックス61における頂板61aは、感光体ドラム3と近接するように配置されている。この頂板61aは、平面視にて長方形状の平板状部材であって、水平面と平行に配置されている。
【0044】
頂板61aには、トナーTがトナーボックス61の内部から感光層32に向けて図中y軸方向に沿って移動する際に通過し得る貫通孔としての、トナー通過孔61a1が形成されている。このトナー通過孔61a1は、平面視にて、前記主走査方向(図中z軸方向)における感光層32の幅と略同じ長さの長辺を有するとともに前記副走査方向(図中x軸方向)と平行な短辺を有する長方形状に形成されている。
【0045】
トナー通過孔61a1は、頂板61aと感光層32とが最近接している位置の近傍に設けられている。また、トナー通過孔61a1は、その前記副走査方向(図中x軸方向)における中心が、現像位置DPとほぼ一致するように形成されている。
【0046】
トナーボックス61における底板61bは、平面視にて長方形状の板状部材であって、頂板61aの下方に配置されている。底板61bは、図中x軸方向に向かうにしたがって、y軸方向に上昇するように傾斜して配置されている。
【0047】
頂板61a及び底板61bにおける外縁の4辺は、4枚の側板61c(図2においてはこのうちの2枚の側板61cのみが示されている。)によって囲まれている。これら4枚の側板61cの上端及び下端が頂板61a及び底板61bと一体的に接続されることで、トナーボックス61は、トナーTを外部に漏らさないように収容し得るように構成されている。
【0048】
トナーボックス61の最深部には、トナー撹拌部61dが設けられている。トナー撹拌部61dは、トナーボックス61内に貯留されているトナーT(後述する所定のトナー搬送方向TTDに搬送される前のトナーT)を撹拌することで、当該トナーTの集合体に流体の如き流動性を与え得るように構成されている。
【0049】
本実施形態においては、トナー撹拌部61dは、トナーボックス61における一対の側板61cによって回動可能に支持された羽根車状の回転体から構成されている。
【0050】
<<トナー電界搬送体の構成>>
トナーボックス61の内部には、本発明の現像剤電界搬送装置としての、トナー電界搬送体62が収容されている。
【0051】
トナー電界搬送体62は、トナー搬送面TTSを有している。トナー搬送面TTSは、前記主走査方向(図中z軸方向)と平行に形成されている。
【0052】
トナー電界搬送体62は、トナー搬送面TTSと潜像形成面LSとが、現像位置DPにて最も近接した状態で対向するように配置されている。すなわち、トナー搬送面TTSと潜像形成面LSとが最も近接する最近接位置が、現像位置DPと一致するように、トナー電界搬送体62が配置されている。
【0053】
トナー電界搬送体62は、所定の厚さを有する板状の部材である。このトナー電界搬送体62は、正帯電したトナーTを、トナー搬送面TTS上にて、所定のトナー搬送方向TTDに搬送し得るように構成されている。ここで、トナー搬送方向TTDは、トナー搬送面TTSと平行な方向であって、前記主走査方向(図中z軸方向)と垂直な方向である。すなわち、このトナー搬送方向TTDは、前記副走査方向(図中x軸方向)に沿った方向である。
【0054】
トナー電界搬送体62は、中央平坦部62aと、上流側平坦部62bと、下流側平坦部62cと、上流側屈曲部62dと、下流側屈曲部62eと、を有している。
【0055】
中央平坦部62aは、感光体ドラム3の前記主走査方向における幅と略同じ長さの長辺を有するとともに、感光体ドラム3の直径よりも長い短辺を有する、略平板状の部分である。この中央平坦部62aは、平面視にて略長方形状に形成されている。また、この中央平坦部62aは、トナー通過孔61a1を挟んで潜像形成面LSと対向するように、頂板61aと略平行に配置されている。
【0056】
上流側平坦部62bは、中央平坦部62aよりもトナー搬送方向TTDにおける上流側に設けられた、略平板状の部分である。この上流側平坦部62bは、中央平坦部62aに向かうにつれて上昇する斜面を形成するように設けられている。この上流側平坦部62bの下端部(トナー搬送方向TTDにおける最上流側の端部)は、トナー撹拌部61dの近傍に設けられている。
【0057】
下流側平坦部62cは、中央平坦部62aよりもトナー搬送方向TTDにおける下流側に設けられた、略平板状の部分である。この下流側平坦部62cは、中央平坦部62aから離れるにつれて下降する斜面を形成するように設けられている。この下流側平坦部62cの下端部(下流側平坦部62cのトナー搬送方向TTDにおける最下流側の端部)は、トナーボックス61における底板61bと近接するように設けられている。
【0058】
中央平坦部62aと上流側平坦部62bとの間には、上流側屈曲部62dが設けられている。また、中央平坦部62aと下流側平坦部62cとの間には、下流側屈曲部62eが設けられている。これらの上流側屈曲部62d及び下流側屈曲部62eは、トナー搬送方向TTDに沿って曲げられた部分である。
【0059】
<<<搬送電極基板>>>
図3は、図2に示されているトナー供給装置6における、現像位置DPの周辺を拡大した側断面図である。
【0060】
図3を参照すると、トナー電界搬送体62は、搬送電極基板63を備えている。搬送電極基板63は、トナーボックス61における頂板61a及びトナー通過孔61a1を挟んで、潜像形成面LSと対向するように配置されている。
【0061】
搬送電極基板63は、薄板状の部材であって、フレキシブルプリント配線基板と同様の構成を有している。具体的には、搬送電極基板63は、搬送電極63aと、搬送電極支持フィルム63bと、搬送電極コーティング層63cと、搬送電極オーバーコーティング層63dと、から構成されている。
【0062】
搬送電極63aは、前記主走査方向と平行な(前記副走査方向と直交する)長手方向を有する線状の配線パターンとして形成されている。すなわち、搬送電極63aは、厚さが数十μm程度の銅箔からなる。また、複数の搬送電極63aは、互いに平行に配置されている。そして、これらの搬送電極63aは、前記副走査方向に沿って配列されている。
【0063】
また、搬送電極63aは、トナー搬送面TTSに沿って配置されている。すなわち、搬送電極63aは、トナー搬送面TTSの近傍に配置されている。
【0064】
前記副走査方向に沿って多数配列された各搬送電極63aは、3本置きに同一の電源回路に接続されている。
【0065】
すなわち、電源回路VAに接続された搬送電極63a,電源回路VBに接続された搬送電極63a,電源回路VCに接続された搬送電極63a,電源回路VDに接続された搬送電極63a,電源回路VAに接続された搬送電極63a,電源回路VBに接続された搬送電極63a,電源回路VCに接続された搬送電極63a・・・が、前記副走査方向に沿って順に配列されている。
【0066】
ここで、各電源回路VAないしVDは、ほぼ同一波形の交流電圧(搬送電圧)を出力し得るように構成されている。また、各電源回路VAないしVDが発生する電圧の波形における位相が、90°ずつ異なるように、各電源回路VAないしVDが構成されている。すなわち、電源回路VAから電源回路VDに向かう順に、電圧の位相が90°ずつ遅れるようになっている。
【0067】
このように、搬送電極基板63は、各搬送電極63aに対して上述のような搬送電圧が印加されて、前記副走査方向に沿った進行波状の電界が発生することで、正帯電したトナーTをトナー搬送方向TTDに搬送し得るように構成されている。
【0068】
複数の搬送電極63aは、本発明のベース層としての搬送電極支持フィルム63bの表面上に形成されている。搬送電極支持フィルム63bは、可撓性のフィルムであって、ポリイミド樹脂等の絶縁性の合成樹脂から構成されている。
【0069】
本発明の中間層としての搬送電極コーティング層63cは、絶縁性の合成樹脂から構成されている。この搬送電極コーティング層63cは、搬送電極支持フィルム63bにおける搬送電極63aが設けられている表面、及び搬送電極63aを覆うように設けられている。
【0070】
搬送電極コーティング層63cの上には、本発明の表面層としての搬送電極オーバーコーティング層63dが設けられている。すなわち、上述の搬送電極コーティング層63cは、搬送電極オーバーコーティング層63dと搬送電極63aとの間に形成されている。
【0071】
そして、上述のトナー搬送面TTSは、搬送電極オーバーコーティング層63dの表面からなり、凹凸の極めて少ない平滑な面として形成されている。
【0072】
搬送電極基板63は、平板状の搬送基板支持部材64によって支持されている。
【0073】
図4Aは、図3に示されている搬送電極基板63を平坦に伸ばした状態にして拡大した側断面図である。図4Bは、図4Aに示されている搬送電極基板63を屈曲させた状態を示す側断面図である。
【0074】
図4A及び図4Bを参照すると、本実施形態においては、屈曲部BPにてトナー搬送面TTSに生じる進行波状の電界の強度が、平坦部FPと等しくなるように、電極間距離(あるいは隣り合う搬送電極63a同士の間隔)が設定されている。ここで、「屈曲部BP」は、上流側屈曲部62dあるいは下流側屈曲部62eに対応するものである。また、「平坦部FP」は、中央平坦部62a、上流側平坦部62b、あるいは下流側平坦部62cに対応するものである。
【0075】
すなわち、本実施形態においては、屈曲部BPにおける電極間隔Dbは、平坦部FPにおける電極間隔Dfよりも小さく設定されている。具体的には、屈曲部BPにおける屈曲形状を側断面視にて円弧であると仮定した場合の当該円弧に対応する中心角をθ、搬送電極基板63の厚さをt、屈曲部BPにおける搬送電極63aの数をNとすると、
Df−Db=tθ/N
となるように、搬送電極基板63が構成されている。
【0076】
<レーザープリンタの動作の概要>
次に、上述のように構成されたレーザープリンタ1による動作の概要について、図面を適宜参照しつつ説明する。
【0077】
<<給紙動作>>
まず図1を参照すると、図示しない前記給紙トレイ上に積載された用紙Pの先端が、レジストローラ21まで送られる。このレジストローラ21にて、用紙Pの斜行が補正されるとともに、搬送タイミングが調整される。その後、用紙Pは、転写位置TPまで給送される。
【0078】
<<潜像形成面上へのトナー像の担持>>
上述のように用紙Pが転写位置TPに向けて搬送されている間に、感光体ドラム3の周面である潜像形成面LS上に、以下のようにしてトナーTによる像が担持される。
【0079】
<<<静電潜像の形成>>>
感光体ドラム3の潜像形成面LSは、まず、帯電器4によって、正極性に一様に帯電される。
【0080】
帯電器4によって帯電された潜像形成面LSは、感光体ドラム3の図中矢印で示されている方向(時計回り)の回転により、スキャナーユニット5と対向する(正対する)位置であるスキャン位置SPまで、前記副走査方向に沿って移動する。
【0081】
図2を参照すると、スキャン位置SPにて、画像情報に基づいて変調されたレーザービームLBが、前記主走査方向に沿って走査されつつ、潜像形成面LSに照射される。このレーザービームLBの変調状態に応じて、潜像形成面LS上の正電荷が消失する部分が生じる。これにより、潜像形成面LS上に、正電荷のパターン(画像状分布)による静電潜像LIが形成される。
【0082】
潜像形成面LSに形成された静電潜像LIは、感光体ドラム3の図中矢印で示されている方向(時計回り)の回転により、トナー供給装置6と対向する現像位置DPに向かって移動する。
【0083】
<<<帯電トナーの搬送・供給>>>
図2を参照すると、トナー撹拌部61dによって、トナーボックス61内に貯留されているトナーTが流動化される。具体的には、トナー撹拌部61dを構成する羽根車が、図中矢印で示されている方向(時計回り)に回転する。
【0084】
このトナー撹拌部61dの動作により、トナーTと上流側平坦部62bにおけるトナー搬送面TTS(図3における合成樹脂製の搬送電極オーバーコーティング層63dの表面)とが摩擦する。これにより、トナーTが正極性に帯電させられる。
【0085】
ここで、上述したように、トナー電界搬送体62(上流側平坦部62b)のトナー搬送方向TTDにおける上流側(図中左側)の端部が、トナーTの中に埋没している。よって、トナーボックス61内に貯留されているトナーTが、上流側平坦部62bにおけるトナー搬送面TTS上に常に供給される。
【0086】
また、トナー電界搬送体62における複数の搬送電極63aに対して、進行波状の搬送電圧が印加される。これにより、トナー搬送面TTS上には、所定の進行波状の電界が形成される。この進行波状の電界により、正帯電のトナーTが、トナー搬送面TTS上にて、トナー搬送方向TTDに沿って搬送される。
【0087】
図5は、図3に示されている電源回路VAないしVDが発生する電圧の波形を示したグラフである。図6Aないし図6Cは、図3に示されている搬送電極基板63におけるトナー搬送面TTSの周辺を拡大して示す側断面図である。なお、図3にて電源回路VAと接続されている搬送電極63aは、図6Aないし図6Cにおいて、搬送電極63aAと示されている。搬送電極63aBないし搬送電極63aDも同様である。
【0088】
以下、正帯電のトナーTが、トナー搬送面TTS上にて、トナー搬送方向TTDに搬送される様子について、図5及び図6Aないし図6Cを参照しつつ説明する。
【0089】
図5に示されているように、各電源回路VAないしVDから、ほぼ同一波形の交流電圧が、電源回路VAから電源回路VDに向かう順に位相が90°ずつ遅れるように出力される。
【0090】
図5における時点t1においては、図6Aに示されているように、搬送電極63aAと搬送電極63aBとの間の位置であるAB間位置にて、トナー搬送方向TTDと逆向き(xと反対の方向)の電界EF1が形成される。
【0091】
一方、搬送電極63aCと搬送電極63aDとの間の位置であるCD間位置には、トナー搬送方向TTDと同じ向き(x方向)の電界EF2が形成される。
【0092】
また、搬送電極63aBと搬送電極63aCとの間の位置であるBC間位置、及び搬送電極63aDと搬送電極63aAとの間の位置であるDA間位置には、トナー搬送方向TTDに沿った方向の電界が形成されない。
【0093】
すなわち、時点t1においては、前記AB間位置にて、正帯電のトナーTは、トナー搬送方向TTDと逆向きの静電力を受ける。
【0094】
また、前記BC間位置及び前記DA間位置にて、正帯電のトナーTは、トナー搬送方向TTDに沿った方向の静電力をほとんど受けない。
【0095】
また、前記CD間位置にて、正帯電のトナーTは、トナー搬送方向TTDと同じ向きの静電力を受ける。
【0096】
よって、時点t1においては、正帯電のトナーTは、前記DA間位置に集められる。
【0097】
同様に、時点t2においては、図6Bに示されているように、正帯電のトナーTは、前記AB間位置に集められる。次いで、時点t3になると、図6Cに示されているように、正帯電のトナーTは、前記BC間位置に集められる。
【0098】
すなわち、トナーTが集められる領域が、時間の経過に伴い、トナー搬送面TTS上を、トナー搬送方向TTDに沿って移動していく。
【0099】
このように、各搬送電極63aに対して、図5に示されているような電圧が印加されることで、トナー搬送面TTS上にて、進行波状の電界が形成される。これにより、正帯電したトナーTが、図中y方向にホッピングしつつ、トナー搬送方向TTDに沿って搬送される。
【0100】
<<<静電潜像の現像>>>
図3を参照すると、上述のようにして正帯電のトナーTは、現像位置DPに供給される。
【0101】
この現像位置DPの近傍にて、潜像形成面LSに形成された静電潜像LIが、トナーTによって現像される。すなわち、潜像形成面LS上であって、静電潜像LIにおける正電荷が消失した部分に、トナーTが付着する。これにより、トナーTによる画像(以下、「トナー像」と称する。)が、潜像形成面LS上に担持される。
【0102】
<<潜像形成面から用紙へのトナー像の転写>>
図1を参照すると、上述のようにして感光体ドラム3の潜像形成面LS上に担持されたトナー像は、当該潜像形成面LSが図中矢印で示されている方向(時計回り)に回転することにより、転写位置TPに向けて搬送される。そして、この転写位置TPにて、トナー像が、潜像形成面LSから用紙P上に転写される。
【0103】
<実施形態の構成による作用・効果>
本実施形態においては、図4A及び図4Bを参照すると、屈曲部BPにおける電極間隔Dbと、平坦部FPにおける電極間隔Dfとの関係は、
Df−Db=tθ/N
となるように設定されている。
【0104】
そこで、電極間隔Dbと電極間隔Dfとの関係の違いに基づく、トナー搬送面TTS上における電界強度の違いを、計算機シミュレーションした結果について、図7及び図8に示す。
【0105】
図7は、図4Aに示されている平板状の搬送電極基板63を、トナー搬送面TTSの側断面視における長さを固定長(長さが変化しない)として搬送電極支持フィルム63b及び搬送電極コーティング層63c側が縮むようにしつつ、図4Bに示されているように屈曲させた場合の、シミュレーション結果を示すグラフである。ここで、図7の上側のグラフは、搬送電極63aの電位を示すものである。また、図7の下側のグラフは、これに対応する電界強度を示すものである。
【0106】
同様に、図8は、図4Aに示されている平板状の搬送電極基板63を、搬送電極支持フィルム63bの底面の側断面視における長さを固定長としてトナー搬送面TTS側が伸びるようにしつつ、図4Bに示されているように屈曲させた場合の、シミュレーション結果を示すグラフである。
【0107】
ここで、搬送電極基板63のシミュレーション条件は、以下の通りである(図4A及び図4B参照のこと)。
【0108】
・屈曲前の搬送電極支持フィルム63bの厚さ26μm、同比誘電率5;搬送電極63aの厚さ18μm、同幅(副走査方向における寸法)100μm、電極間隔100μm;搬送電極コーティング層63cの最大厚さ(搬送電極63aが設けられていない部分における厚さ)43μm、同最小厚さ(搬送電極63aが設けられている部分における厚さ)25μm、同比誘電率2.3;搬送電極オーバーコーティング層63dの厚さ12.5μm、同比誘電率5;トナー搬送面TTSの外側は空気。
【0109】
・屈曲部BPの前記「固定長」2.4mm、屈曲の中心角θ=90度、屈曲部BPの両端の平坦部FPの長さ各0.8mm。
【0110】
・境界条件については、両平坦部FPの、屈曲部BPから遠い側の端部は連続しているものとし(周期境界条件)、屈曲部BPの屈曲の中心点から25mm遠方にて電位が0Vであるものとした。
【0111】
図7のシミュレーション結果は、トナー搬送面TTSの長さが変化せず搬送電極支持フィルム63b及び搬送電極コーティング層63c側が縮むように搬送電極基板63を屈曲させた場合のものである。この場合、図7のシミュレーション結果を参照すると、平坦部FPと屈曲部BPとで電界強度がほぼ等しくなっている。
【0112】
図8のシミュレーション結果は、トナー搬送面TTS側が伸びるように搬送電極基板63を屈曲させた場合のものである。この場合、図8のシミュレーション結果を参照すると、屈曲部BPにおける電界強度が、平坦部FPよりも低下している。
【0113】
ここで、実際に搬送電極基板63を屈曲させる場合の、屈曲の態様について考察する。
【0114】
搬送電極支持フィルム63bは、上述の通り、比較的厚い合成樹脂フィルムであり、その上に設けられた搬送電極コーティング層63c等は、比較的薄いコーティング層である。
【0115】
よって、これらのコーティング層よりも、搬送電極支持フィルム63bの方が、強度が高い。したがって、実際に搬送電極基板63を屈曲させる場合、図8のシミュレーション結果に対応する、搬送電極支持フィルム63bの底面側の長さが固定長であって搬送電極支持フィルム63b及び搬送電極コーティング層63c側が伸びるような態様となるものと想定される。
【0116】
したがって、図7のシミュレーション結果に対応する屈曲条件を得るためには、図4Aを参照すると、屈曲の前段階にて、屈曲部BPにおける電極間隔Dbが、平坦部FPにおける電極間隔Dfよりも小さくなるようにする必要がある。
【0117】
具体的には、図4A及び図4Bを参照すると、屈曲部BPにおける、搬送電極支持フィルム63bの底面の前記長さをLbase、同底面の屈曲半径をR、トナー搬送面TTSの前記長さをLsurface、とすると、
Lbase=Rθ
Lsurface=(R+t)θ=Lbase+tθ
【0118】
よって、搬送電極基板63の屈曲により、トナー搬送面TTSの長さがtθだけ伸びることとなる。このトナー搬送面TTSの伸びを補償するためには、屈曲前の屈曲部BPの長さを、通常よりもtθだけ小さくすることが必要である。したがって、搬送電極63aの幅が屈曲部BPと平坦部FPとで一定であるとすると、屈曲部BPにおける電極間隔Dbの合計を、通常よりもtθだけ小さくすることとなる。すると、以下の式が成立する。
Df−Db=tθ/N
【0119】
このように、屈曲部BPにおける電極間隔Dbが、平坦部FPにおける電極間隔Dfよりもtθ/Nだけ小さくなるようにすることで、平坦部FPと屈曲部BPとの電界強度をほぼ等しくすることが可能になる。これにより、屈曲部BP、あるいは屈曲部BPと平坦部FPとの境界付近での、トナーT現像剤の搬送の滞りの発生が、可及的に抑制され得る。
【0120】
したがって、本実施形態の構成によれば、トナー搬送方向TTDにおけるトナーTの搬送状態が、適切に設定され得る。すなわち、搬送電極基板63によるトナーTの搬送が、スムーズに行われ得る。これにより、感光体ドラム3へのトナーTの供給状態が、適切に設定され得る。また、トナーTによる用紙P上への画像形成が、より良好に行われ得る。
【0121】
<変形例の例示列挙>
なお、上述の実施形態は、上述した通り、出願人が取り敢えず本願の出願時点において最良であると考えた本発明の代表的な実施形態を、単に例示したものにすぎない。よって、本発明はもとより上述の実施形態に何ら限定されるものではない。したがって、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、上述の実施形態に対して種々の変形が施され得ることは、当然である。
【0122】
以下、代表的な変形例について、幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施形態にて説明されているものと同様の構成及び機能を有する部材に対しては、上述の実施形態と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部材の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態における説明が援用され得るものとする。
【0123】
もっとも、言うまでもなく、変形例とて、以下に列挙されたもの限定されるものではない。また、複数の変形例が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。
【0124】
本発明(特に、本発明の課題を解決するための手段を構成する各構成要素における、作用的・機能的に表現されているもの)は、上述の実施形態及び下記変形例の記載に基づいて限定解釈されてはならない。このような限定解釈は、(先願主義の下で出願を急ぐ)出願人の利益を不当に害する反面、模倣者を不当に利するものであって、発明の保護及び利用を目的とする特許法の目的に反し、許されない。
【0125】
(1)本発明の適用対象は、単色のレーザープリンタに限定されない。例えば、本発明は、カラーのレーザープリンタや、単色及びカラーの複写機等の、いわゆる電子写真方式の画像形成装置に対して、好適に適用され得る。このとき、感光体の形状は、上述の実施形態のようなドラム状でなくてもよい。例えば、平板状や無端ベルト状等であってもよい。
【0126】
あるいは、本発明は、上述の電子写真方式以外の方式(例えば、感光体を用いないトナージェット方式、イオンフロー方式、マルチスタイラス電極方式、等)の画像形成装置に対しても、好適に適用され得る。
【0127】
(2)図3を参照すると、搬送電極基板63の構成も、上述の実施形態のものに限定されない。例えば、搬送電極オーバーコーティング層63dは省略され得る。あるいは、搬送電極63aが搬送電極支持フィルム63b内に埋め込まれることで、搬送電極コーティング層63c及び搬送電極オーバーコーティング層63dの双方が省略され得る。
【0128】
(3)図4を参照すると、平坦部FPと屈曲部BPとの境界付近にて、隣り合う搬送電極63a同士の間隔が段階的に変更されていてもよい。
【0129】
(4)図5を参照すると、各電源回路VA〜VDが発生する電圧の波形は、矩形波状以外にも、正弦波状や三角波状等の任意のものが用いられ得る。
【0130】
また、上述の実施形態においては、4つの電源回路VA〜VDが設けられるとともに、各電源回路VA〜VDが発生する電圧の位相が90°ずつ異なっていた。もっとも、本発明はこれに限定されず、例えば、3つの電源回路が備えられるとともに、各電源回路が発生する電圧の位相が120°ずつ異なるようになっていてもよい。
【0131】
(5)その他、いちいち言及しないが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、これら以外の種々の変形が可能である。
【0132】
また、本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されている要素は、上述の実施形態や変形例にて開示されている具体的構造の他、当該作用・機能を実現可能ないかなる構造をも含む。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本発明の一実施形態が適用されたレーザープリンタの概略構成を示す側面図である。
【図2】図1に示されている感光体ドラムとトナー供給装置とが対向している部分を拡大した側断面図である。
【図3】図2に示されているトナー供給装置における、現像位置の周辺を拡大した側断面図である。
【図4A】図3に示されている搬送電極基板を平坦に伸ばした状態にして拡大した側断面図である。
【図4B】図4Aに示されている搬送電極基板を屈曲させた状態を示す側断面図である。
【図5】図3に示されている電源回路が発生する電圧の波形を示したグラフである。
【図6A】図3に示されている搬送電極基板におけるトナー搬送面TTSの周辺を拡大して示す側断面図である。
【図6B】図3に示されている搬送電極基板におけるトナー搬送面TTSの周辺を拡大して示す側断面図である。
【図6C】図3に示されている搬送電極基板におけるトナー搬送面TTSの周辺を拡大して示す側断面図である。
【図7】図4Aに示されている平板状の搬送電極基板を、トナー搬送面の側断面視における長さを固定長として搬送電極支持フィルム及び搬送電極コーティング層側が縮むようにしつつ、図4Bに示されているように屈曲させた場合の、シミュレーション結果を示すグラフである。
【図8】図4Aに示されている平板状の搬送電極基板を、搬送電極支持フィルムの底面の側断面視における長さを固定長としてトナー搬送面側が伸びるようにしつつ、図4Bに示されているように屈曲させた場合の、シミュレーション結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0134】
1…レーザープリンタ(画像形成装置)
2…用紙搬送機構
3…感光体ドラム
4…帯電器
5…スキャナーユニット
6…トナー供給装置(現像剤供給装置)
21…レジストローラ
22…転写ローラ
31…ドラム本体
32…感光層
61…トナーボックス
61a…頂板
61a1…トナー通過孔
61b…底板
61c…側板
61d…トナー撹拌部
62…トナー電界搬送体(現像剤電界搬送装置)
62a…中央平坦部(平坦部)
62b…上流側平坦部(平坦部)
62c…下流側平坦部(平坦部)
62d…上流側屈曲部(屈曲部)
62e…下流側屈曲部(屈曲部)
63…搬送電極基板
63a…搬送電極
63b…搬送電極支持フィルム(ベース層)
63c…搬送電極コーティング層(中間層)
63d…搬送電極オーバーコーティング層(表面層)
64…搬送基板支持部材
FP…平坦部
BP…屈曲部
C…中心軸
DP…現像位置
LB…レーザービーム
LI…静電潜像
LS…潜像形成面
P…用紙
SP…スキャン位置
T…トナー
TP…転写位置
TTD…トナー搬送方向
TTS…トナー搬送面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電した現像剤を、電界により所定の現像剤搬送方向に沿って搬送し得るように構成された、現像剤電界搬送装置において、
フィルム状のベース層と、
前記ベース層上に設けられていて、前記現像剤搬送方向に沿って配列された、複数の搬送電極と、
前記搬送電極を覆うように設けられた表面層と、
前記表面層と前記ベース層との間に設けられた中間層と、
から構成された薄板状の搬送電極基板を備え、
前記搬送電極基板は、
平板状の平坦部と、前記現像剤搬送方向に沿って曲げられた屈曲部と、を有し、
前記平坦部における隣り合う前記搬送電極同士の間隔をDf、前記屈曲部における隣り合う前記搬送電極同士の間隔をDb、前記屈曲部における屈曲形状を側断面視にて円弧であると仮定した場合の当該円弧に対応する中心角をθ、前記搬送電極基板の厚さをt、前記屈曲部における前記搬送電極の数をNとすると、
Df−Db=tθ/N
となるように構成されたことを特徴とする、現像剤電界搬送装置。
【請求項2】
帯電した現像剤を、電界により所定の現像剤搬送方向に沿って搬送し得るように構成された、現像剤電界搬送装置において、
前記現像剤搬送方向に沿って配列された複数の搬送電極が設けられた薄板状の搬送電極基板を備え、
前記搬送電極基板は、
平板状の平坦部と、前記現像剤搬送方向に沿って曲げられた屈曲部と、を有し、
前記屈曲部における隣り合う前記搬送電極同士の間隔が、前記平坦部における隣り合う前記搬送電極同士の間隔よりも小さくなるように構成されたことを特徴とする、現像剤電界搬送装置。
【請求項3】
請求項2に記載の現像剤電界搬送装置であって、
前記搬送電極基板は、
前記平坦部における隣り合う前記搬送電極同士の間隔をDf、前記屈曲部における隣り合う前記搬送電極同士の間隔をDb、前記屈曲部における屈曲形状を側断面視にて円弧であると仮定した場合の当該円弧に対応する中心角をθ、前記搬送電極基板の厚さをt、前記屈曲部における前記搬送電極の数をNとすると、
Df−Db=tθ/N
となるように構成されたことを特徴とする、現像剤電界搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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