説明

現像装置および画像形成装置

【課題】現像剤担持体に圧縮されたトナーを含む液体現像剤により現像を行う現像装置および該現像装置を装備する画像形成装置において、クリーニングブレードで掻き取った液体現像剤をクリーニングブレードの先端から良好に流動させてクリーニングブレードの先端で液体現像剤が堆積するのを防止する。
【解決手段】仮想鉛直面VP51Sに対して周面の一部が反現像ローラー側に超えた姿勢でクリーニングローラー511を配設するとともに、仮想鉛直面VP51Sから反現像ローラー側に超えたクリーニングローラー511の周面に対してクリーニングブレード512を当接させているため、クリーニングブレード512によるクリーニングが現像ローラー51から離れた位置で行われ、当接角度(ブレード角度)θ1の絶対値を小さくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トナーおよびキャリア液体を含む液体現像剤で現像する現像装置および該現像装置を装備する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、帯電している感光体ドラムに静電潜像を形成し、キャリア液体にトナーを分散した液体現像剤により静電潜像を現像してトナー像を形成する液体現像方式の画像形成装置が実用化されている。例えば特許文献1に記載の画像形成装置では、中間ローラー( 供給部材)を介して現像ローラーに液体現像剤を供給して現像ローラーに担持させる。そして、現像ローラー上の液体現像剤により感光体ドラム表面の潜像を現像した後、現像位置を通過した後の現像ローラーに残留する液体現像剤を現像ローラー用のクリーナーブレードにより掻き取っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−185984号公報(図5)
【特許文献2】特開2009−282280号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、液体現像剤を用いる現像装置では、現像効率を高めるために、電圧印加用帯電器を設けて現像処理前に現像ローラーに担持されている液体現像剤に含まれるトナーを現像ローラーの表面に追いやって凝集圧縮させる。このため、現像処理後に現像ローラーの表面に残留する液体現像剤には、圧縮されたトナーが含まれており、当該液体現像剤の流動性が悪く、クリーナーブレードにより掻き取ったとしても、クリーナーブレードの先端部で液体現像剤が堆積してしまい、回収部に良好に流動させて回収することが困難な場合があった。この場合、堆積した液体現像剤がクリーナーブレードの幅方向の両端部に流動して現像装置内部を汚染してしまう。この点について、従来装置では十分に検討されていなかった。
【0005】
また、上記した特許文献1に記載の画像形成装置では、感光体ドラムの回転中心を通る仮想水平面に対して鉛直方向の上方で感光体ドラムに担持されるトナー像を転写媒体に転写する、いわゆる上部転写構造を採用しているが、上記問題は例えば特許文献2に記載されているように下部転写構造を採用している画像形成装置においても問題となっている。しかしながら、特許文献2に記載の装置では、この点について全く考慮されておらず、クリーナーブレードにより掻き取った液体現像剤を回収するための具体的な構成が一切記載されていない。
【0006】
この発明にかかるいくつかの態様は、現像剤担持体に圧縮されたトナーを含む液体現像剤により現像を行う現像装置および該現像装置を装備する画像形成装置において、クリーニングブレードで掻き取った液体現像剤をクリーニングブレードの先端から良好に流動させてクリーニングブレードの先端で液体現像剤が堆積するのを防止する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の態様は、現像装置であって、トナーおよびキャリア液を含む液体現像剤を担持して回転軸で回転する現像剤担持体ローラーと、現像剤担持体ローラーに担持された液体現像剤に含まれるトナーを帯電するトナー帯電部と、現像剤担持体ローラーの回転軸を通る第1仮想鉛直面に垂直な仮想水平面が現像剤担持体ローラーの周面と第1仮想鉛直面の第1の側で交差する位置を通る第2仮想鉛直面の第1の側と反対の第2の側で、現像剤担持体ローラーに当接してトナー帯電部により帯電されたトナーを含む液体現像剤をクリーニングして現像剤担持体ローラーから液体現像剤を除去するクリーニングローラーと、第2仮想鉛直面の第1の側でクリーニングローラーに当接してクリーニングローラーをクリーニングするクリーニングブレードと、を備えることを特徴としている。
【0008】
また、この発明の第2の態様は、画像形成装置であって、潜像が形成される潜像担持体ドラムと、トナーおよびキャリア液を含む液体現像剤を担持して回転軸で回転する現像剤担持体ローラー、現像剤担持体ローラーに担持された液体現像剤に含まれるトナーを帯電するトナー帯電部、現像剤担持体ローラーの回転軸を通る第1仮想鉛直面に垂直な仮想水平面が現像剤担持体ローラーの周面と第1仮想鉛直面の第1の側で交差する位置を通る第2仮想鉛直面の第1の側と反対の第2の側で当接してトナー帯電部により帯電されたトナーを含む液体現像剤をクリーニングして現像剤担持体ローラーから液体現像剤を除去するクリーニングローラー、及び第2仮想鉛直面の第1の側でクリーニングローラーに当接してクリーニングローラーをクリーニングするクリーニングブレードを有し、潜像担持体ドラムに形成された潜像を現像する現像部と、を備えることを特徴としている。
【0009】
このように構成された発明(現像装置および画像形成装置)では、現像剤担持体ローラーに担持された液体現像剤に含まれるトナーが凝集した状態でクリーニングされるため、クリーニング位置での液体現像剤の流動性が悪い。そのため、クリーニングブレードの先端で液体現像剤が堆積し易いが、後述するようにクリーニングブレードと仮想鉛直面のなす角、いわゆるブレード角度を小さくすることでクリーニングブレードに堆積する液体現像剤に対する重力による影響によって鉛直方向の下方に向けて流動し易くなる。そこで、本発明では、液体現像剤がクリーニングローラーにより現像剤担持体ローラーから除去された後に、クリーニングブレードによりクリーニングローラーからクリーニングされる。しかも、クリーニングローラーが現像剤担持体ローラーの回転軸を通る第1仮想鉛直面に垂直な仮想水平面が現像剤担持体ローラーの周面と第1仮想鉛直面の第1の側で交差する位置を通る第2仮想鉛直面の第1の側と反対の第2の側で、現像剤担持体ローラーに当接し、クリーニングブレードが第2仮想鉛直面の第1の側でクリーニングローラーに当接してクリーニングローラーをクリーニングする。したがって、ブレード角度を小さくすることができ、重力を利用してクリーニングブレードで掻き取った液体現像剤を鉛直方向の下方に流動させることができる。その結果、クリーニングブレードの先端で液体現像剤が堆積するのを防止することができる。
【0010】
ここで、現像剤担持体ローラーは、仮想水平面に対して鉛直方向の下方で潜像担持体ドラムと当接して潜像を現像し、クリーニングローラーは、仮想水平面の鉛直方向の上方で現像剤担持体ローラーと当接するように構成してもよい。
【0011】
また、第1仮想鉛直面の第1の側で、かつ仮想水平面の鉛直方向の下方で現像剤担持体ローラーに当接して液体現像剤を供給する供給部材を備えてもよい。
【0012】
また、現像剤担持体ローラーは、仮想水平面の鉛直方向の上方で潜像担持体ドラムと当接して潜像を現像するように構成してもよい。
【0013】
さらに、トナー帯電部は、ワイヤーとグリッドを有するコロナ帯電器であり、ワイヤーを仮想鉛直面と異なる位置に配設してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明にかかる現像装置の第1実施形態を装備した画像形成装置を示す図。
【図2】現像部でのクリーニング機構の概要構成を示す斜視図。
【図3】第1実施形態でのクリーニングブレードの当接角度を示す図。
【図4】クリーニング機構により回収される廃液の回収経路を示す模式図。
【図5】本発明にかかる現像装置の第2実施形態を装備した画像形成装置を示す図。
【図6】第2実施形態でのクリーニングブレードの当接角度を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は本発明にかかる現像装置の第1実施形態を装備した画像形成装置を示す図である。この画像形成装置は、感光体ドラム1の回転中心を通る仮想水平面HPの鉛直方向の下方で、感光体ドラム1に担持される像を1次転写部2のブランケットローラー21に転写し、さらにブランケットローラー21に転写された像を転写紙に転写する、いわゆる下部転写構造を有している。なお、図1の画像形成装置は後述するように単色のトナー像を形成して転写紙に転写するものであり、同装置を複数台、例えば4台配列してカラー印刷システムを構成することが可能である。もちろん、図1の装置は単独でモノクロの画像形成装置としても機能する。
【0016】
この画像形成装置では、感光体ドラム1は、アモルファスシリコン感光体などの感光体材料からなる感光層を表面に有している。そして、その回転軸が主走査方向(図1の紙面に対して垂直な方向)に平行もしくは略平行となるように感光体ドラム1は配置されており、図1中矢印D1の方向に所定速度で回転駆動される。
【0017】
感光体ドラム1の周囲には、感光体ドラム1表面を所定の電位に帯電させる帯電部3と、感光体ドラム1表面を画像信号に応じて露光することで静電潜像を形成する露光部4と、該静電潜像を液体現像剤で現像してトナー像を形成する現像部5と、第1スクイーズ部6と、第2スクイーズ部7と、1次転写部2のブランケットローラー21と、一次転写後の感光体ドラム1の表面をクリーニングする感光体クリーニング部8とが、それぞれこれらの順に感光体ドラム1の回転方向D1(図1では、反時計回り)に沿って配設されている。
【0018】
帯電部3は、6個の帯電器31と帯電器気流ダクト32とを有しており、図1紙面において、感光体ドラム1の回転中心を通る仮想鉛直面VPに対して右側で、しかも感光体ドラム1の回転中心を通る仮想水平面HPに対して鉛直方向の下方に配されている。これらの帯電器31は感光体ドラム1の表面に接触しないものであり、感光体ドラム1の回転方向D1に沿って6個配列されている。帯電器31としては、例えば従来周知慣用のコロナ帯電器を用いることができる。コロナ帯電器にスコロトロン帯電器を用いた場合には、スコロトロン帯電器のチャージワイヤーにはワイヤー電流が流されるとともに、グリッドには直流(DC)のグリッド帯電バイアスが印加される。このように帯電器31によるコロナ放電で感光体ドラム1が帯電されることで、感光体ドラム1の表面の電位が略均一の電位に設定される。また、帯電器気流ダクト32は帯電器31に向けて外気を導入する外気導入経路(図示省略)と、帯電器31での放電により発生する雰囲気を排気する排気経路(図示省略)とを有しており、帯電処理が行われる雰囲気を換気して雰囲気管理を行う。
【0019】
露光部4は、図1紙面において仮想鉛直面VPに対して右側で、しかも仮想水平面HP上に配されて外部装置から与えられた画像信号に応じて光ビームにより感光体ドラム1表面を露光して画像信号に対応する静電潜像を形成する。本実施形態では、この露光部4として発光素子を主走査方向(図1紙面に垂直な方向)に配列したラインヘッドを用いているが、これ以外に半導体レーザからの光ビームをポリゴンミラーにより主走査方向に走査させるもの等を用いてもよい。なお、本実施形態では、露光部4を仮想水平面HP上に配しているが、露光部4の配設位置はこれに限定されるものではなく、仮想水平面HPの鉛直方向の上方または下方に配してもよい。
【0020】
こうして形成された静電潜像に対し、本発明にかかる現像装置の第1実施形態たる現像部5から液体現像剤が付与されて、静電潜像がトナーにより現像される。本実施形態では、絶縁性液体を主成分とするキャリア液体内に、着色された樹脂粒子をトナーとして概略重量比25%程度に分散させた液体現像剤を用いており、トナーは電界中を電気泳動可能なように電荷を有している。なお、この現像剤濃度については、上記25%に限定されるものではなく、10〜30%であってもよい。また、キャリア液体としては、例えばIsopar(エクソン社商標)、シリコンオイル、ノルマルパラフィンオイルなどが使用される。また、電気抵抗値は1010Ω・cm以上、望ましくは1012Ω・cm以上が好ましい。というのも、抵抗が低い場合には、トナーが電気泳動する過程で余剰な電流が流れ、移動に必要な電界が維持できない可能性があるからである。さらに、こうして調製された液体現像剤の粘度は、トナーを構成する樹脂や分散剤・荷電制御剤で左右されるが、50〜500[mPa・s]の粘度を示す液体現像剤を用いることができ、本実施形態では400[mPa・s]の液体現像剤を用いている。なお、現像部5の構成および動作については、後で詳述する。
【0021】
上記液体現像剤により静電潜像が現像される現像位置に対し、感光体ドラム1の回転方向D1の下流側では、第1スクイーズ部6が配置されるとともに、さらに第1スクイーズ部6の下流側に第2スクイーズ部7が配置されている。この実施形態では、第1スクイーズ部6のスクイーズローラー61および第2スクイーズ部7のスクイーズローラー71はいずれも図1紙面において仮想鉛直面VPに対して左側で、かつ仮想水平面HPに対して鉛直方向の上方に配されている。
【0022】
この第1スクイーズ部6には、不図示のバネにより感光体ドラム1方向に付勢されたスクイーズローラー61が設けられている。そして、スクイーズローラー61が第1スクイーズ位置で感光体ドラム1の表面と当接しながら図示しないモーターにより回転駆動されてトナー像の余剰現像剤を除去する。また、本実施形態ではスクイーズ効率を高めるために、スクイーズローラー61に対して第1スクイーズバイアス発生部(図示省略)が電気的に接続されており、適当なタイミングで第1スクイーズバイアスが印加されるように構成されている。また、スクイーズローラー61の表面に対してクリーニングブレード62が当接し、ローラー表面に付着する液体現像剤を掻き取る。そして、こうして掻き取られた液体現像剤は回収部材63に回収される。
【0023】
また、第2スクイーズ部7では、感光体ドラム1の回転方向D1において第1スクイーズ位置の下流側の第2スクイーズ位置でスクイーズローラー71が感光体ドラム1の表面と当接しながら回転してトナー像の余剰キャリア液体やカブリトナーを除去する。また、本実施形態ではスクイーズ効率を高めるために、第1スクイーズ部6と同様に、スクイーズローラー71に対して第2スクイーズバイアス発生部(図示省略)が電気的に接続されており、適当なタイミングで第2スクイーズバイアスが印加されるように構成されている。また、スクイーズローラー71の表面に対してクリーニングブレード72が当接し、ローラー表面に付着する液体現像剤を掻き取る。そして、こうして掻き取られた液体現像剤はガイド部材73により感光体ドラム1から離れる方向に案内され、ガイド部材73の鉛直方向の下方に配置された回収部材74に回収される。
【0024】
なお、本実施形態では2つのスクイーズ部6、7を設けているが、スクイーズ部の個数や配置などはこれに限定されるものではなく、例えば1個のスクイーズ部を配置してもよい。
【0025】
第1および第2スクイーズ部6、7を通過してきた感光体ドラム1には装置外部から与えられた画像信号に対応するトナー像が形成されており、一次転写位置TR1でブランケットローラー21に転写される。このブランケットローラー21を含む転写部2は、図1紙面において仮想鉛直面VPに対して左側で、かつ仮想水平面HPに対して鉛直方向の下方に配されている。この転写部2は、ブランケットローラー21と、ブランケットローラー21にキャリア液体を塗布するキャリア塗布機構22と、ブランケットローラー21のクリーニング機構23と、二次転写ローラー24と、二次転写ローラー24のクリーニング機構25とを有している。
【0026】
ブランケットローラー21の表面は、鉛直方向での感光体ドラム1の鉛直方向の下方で仮想鉛直面VPと交差する位置(以下「最下位置」という)BPに対し、感光体ドラム1の回転方向D1の上流側で感光体ドラム1の表面と当接して一次転写ニップを形成している。この一次転写ニップの形成位置が一次転写位置TR1となる。また、ブランケットローラー21は図示を省略するモーターと接続されており、図1紙面において時計回りD21に回転駆動されて感光体ドラム1に対してウィズ回転する。こうして感光体ドラム1に担持されるトナー像が一次転写位置TR1でブランケットローラー21に一次転写される。
【0027】
また、ブランケットローラー21の回転方向D21における一次転写位置TR1の下流側でブランケットローラー21に対し、二次転写ローラー24が当接しながらウィズ回転して二次転写ニップを形成する。この二次転写ニップの形成位置が二次転写位置TR2となる。したがって、図示を省略する搬送部により転写紙が二次転写位置TR2に給紙されて二次転写ニップを通過することでブランケットローラー21に転写されたトナー像が転写紙に二次転写される。こうして、上記した液体現像剤を用いた像が転写紙に印刷される。
【0028】
また、ブランケットローラー21の回転方向D21において二次転写位置TR2の下流側に、キャリア塗布機構22が配置されて二次転写後のブランケットローラー21の表面にキャリア液体を塗布する。このキャリア液体の塗布処理を行うために、キャリア塗布機構22は、ブランケットローラー21に対してウィズ回転するキャリア塗布ローラー221と、キャリア液体を貯蔵するキャリア貯蔵部材222と、キャリア貯蔵部材222からキャリア液体を汲み上げてキャリア塗布ローラー221に供給するキャリア汲み上げローラー223とを有している。
【0029】
ブランケットローラー21の回転方向D21においてキャリア塗布機構22の下流側でかつ一次転写位置TR1の上流側にクリーニング機構23が配置されて一次転写直前にブランケットローラー21の表面をクリーニングする。このクリーニング処理を行うために、クリーニング機構23は、ブランケットローラー21に対してカウンター方向に回転するクリーニングローラー231と、クリーニングローラー231に当接してクリーニングローラー231をクリーニングするクリーニングブレード232と、クリーニングブレード232により掻き取られたトナーやキャリア液体を回収する回収部材233とを有している。
【0030】
二次転写ローラー24の回転方向において二次転写位置TR2の上流側でクリーニング機構25が配置されて二次転写直前に二次転写ローラー24の表面をクリーニングする。このクリーニング処理を行うために、クリーニング機構25は、二次転写ローラー24に当接して二次転写ローラー24をクリーニングするクリーニングブレード251と、クリーニングブレード251により掻き取られたトナーやキャリア液体を回収する回収部材252とを有している。
【0031】
感光体ドラム1の回転方向D1において一次転写位置TR1の下流側で、かつ帯電位置の上流側に、感光体クリーニング部8が配置されている。この感光体クリーニング部8は、クリーニングブレード81と、感光体ドラム1の最下位置BPから垂れ落ちる液体現像剤を受ける現像剤受け部材82と、現像剤受け部材に受け止められた現像剤を回収する回収部材83と、これらクリーニングブレード81、現像剤受け部材82および回収部材83を一体的に支持する支持部材84とを有している。そして、この支持部材84は回動軸85を回動中心として回動自在となっている。
【0032】
また、支持部材84にはバネ部材(図示省略)が接続されて図1紙面において反時計回りに支持部材84を付勢し、クリーニングブレード81を感光体ドラム1から離間する方向に作用している。一方、支持部材84の反感光体ドラム側(図1の右側)の端部には係合部841が突設されており、図示を省略する可動片が係合部841を上記付勢力よりも大きな応力で押し下げると、支持部材84は図1紙面において時計回りに回動させられ、これによりクリーニングブレード81は感光体ドラム側に移動してクリーニングブレード81の先端部が感光体ドラム1の最下位置BPと当接する。これにより感光体ドラム1に残留する液体現像剤がクリーニング除去される。なお、こうしてクリーニングブレード81により掻き取られた液体現像剤は感光体ドラム1の最下位置BPの鉛直方向の下方に配置された現像剤受け部材82により受け止められ、さらに現像剤受け部材82の傾斜面に沿って回収部材83の内部に流れ落ちて貯蔵される。
【0033】
次に、現像部5の構成および作用効果について図1ないし図4を参照しつつ説明する。図2は現像ローラーおよび中間塗布ローラーのクリーニング機構の概要構成を示す斜視図である。また、図3は現像ローラークリーニングブレードおよび中間塗布ローラークリーニングブレードの当接角度を示す図である。さらに、図4はクリーニング機構により回収される廃液の回収経路を示す模式図である。
【0034】
現像部5は、図1および図4に示すように、現像ローラー51と、中間塗布ローラー52と、アニロックスローラー53とを有する、いわゆる3ローラー構成を有している。これらのローラー51〜53は、いずれも回転軸が感光体ドラム1の回転軸と平行に配置されながら両端部が図示を省略する一対の側板にそれぞれ回転自在に軸支されている。より詳しくは、各ローラー51〜53はそれぞれ以下のように構成されている。
【0035】
現像ローラー51は円筒状の部材であり、鉄等金属製の内芯の外周部に、ポリウレタンゴム、シリコンゴム、NBR、PFAチューブなどの弾性層を設けたものである。この現像ローラー51は、図1紙面において仮想鉛直面VPに対して右側で、しかも仮想水平面HPの鉛直方向の上方に配されるとともに、図3(a)に示すように現像ローラー51の回転中心を通る仮想水平面HP51に対して鉛直方向の下方で現像ローラー51の回転中心を通る仮想鉛直面VP51に対して同図紙面における左側で感光体ドラム1と当接する。また、現像ローラー51は、現像用モーター(図示省略)に接続され、図1紙面において時計回りD51に回転駆動されて感光体ドラム1に対してウィズ回転する。また、この現像ローラー51は図示を省略する現像バイアス発生部と電気的に接続されており、適当なタイミングで現像バイアスが印加されるように構成されている。これによって、感光体ドラム1に担持される潜像が現像される。
【0036】
また、この現像ローラー51に対して液体現像剤を供給するために中間塗布ローラー52とアニロックスローラー53とが設けられており、アニロックスローラー53から中間塗布ローラー52を介して現像ローラー51へ液体現像剤が供給される。これらのうち中間塗布ローラー52は現像ローラー51と同様に金属製内芯の外周部に弾性層を設けたものであり、図3(a)に示すように、仮想鉛直面VP51に対して反感光体ドラム側(同図の右手側)で、かつ現像ローラー51の回転中心を通る仮想水平面HP51に対して鉛直方向の下方で現像ローラー51に当接して液体現像剤を供給する。このように、本実施形態では、中間塗布ローラー52が本発明の「供給部材」に相当している。
【0037】
一方、アニロックスローラー53は液体現像剤を担持し易いように表面に微細且つ一様に彫刻された螺旋溝などによる凹部パターンが形成されたローラーである。もちろん、アニロックスローラー53を、現像ローラー51や中間塗布ローラー52と同様に、金属の芯金にウレタン、NBRなどのゴム層を巻き付けたものや、PFAチューブを被せたものなどを用いてもよい。
【0038】
これら中間塗布ローラー52およびアニロックスローラー53は上記現像用モーターに接続され、図1紙面においてそれぞれ時計回りおよび反時計回り回転される。したがって、中間塗布ローラー52は現像ローラー51に対してカウンター方向に回転し、アニロックスローラー53は中間塗布ローラー52に対してウィズ方向に回転する。このように、本実施形態では、いわゆる3ローラー構成により液体現像剤を現像剤容器54から現像ローラー51に供給しているため、液体現像剤がニップを複数回通過することで、液体現像剤を十分に練ることができ、現像ローラー51にて均一な液体現像剤の膜を形成することが可能となる。
【0039】
次に、現像ローラーおよび中間塗布ローラーのクリーニング機構について説明する。現像ローラー51に対しては、クリーニングローラー511が当接されるとともに、このクリーニングローラー511に対してローラークリーニングブレード512が当接されており、現像ローラー51のクリーニング処理を行う。より詳しくは、図3に示すように、仮想鉛直面VP51に対して反感光体ドラム側(同図紙面における右側)でかつ仮想水平面HP51に対して鉛直方向の上方で、しかも仮想水平面HP51が現像ローラー51の周面と交差する反感光体ドラム側位置SPを通る仮想鉛直面VP51Sに対して周面の一部が反現像ローラー側(同図紙面における右手側)に超えた姿勢で、クリーニングローラー511が現像ローラー51と当接している。この当接位置は、現像ローラー51の表面が感光体ドラム1と当接して現像ニップを形成している現像位置に対し、現像ローラー回転方向D51の下流側である。そして、クリーニングローラー511が現像ローラー51の表面と当接しながら図1、図3および図4紙面において時計回り回転される。したがって、クリーニングローラー511は現像ローラー51に対してカウンター方向に回転し、現像に寄与せずに現像ローラー51に残存する液体現像剤を除去する。
【0040】
また、この実施形態では、仮想鉛直面VP51Sに対して反現像ローラー側(図3紙面における右手側)で、クリーニングローラー511の表面にローラークリーニングブレード512が当接角度(ブレード角度)θ1で当接して上記液体現像剤を掻き落として除去する。すなわち、ローラークリーニングブレード512がクリーニングローラー511に当接する当接部CP1より鉛直方向の下方に延びる鉛直仮想面VP1からローラークリーニングブレード512の鉛直方向下方の面512aまでの角度が予め設定した当接角度θ1となっている。この実施形態では、現像ローラー51、クリーニングローラー511および中間塗布ローラー52のローラー径RD51、RD511、R52は、それぞれ
RD51 =66.8[mm]
RD511=32[mm]
RD52 =52[mm]
に設定されており、その結果、ローラークリーニングブレード512は当接角度(ブレード角度)θ1、
θ1=20[deg]
でクリーニングローラー511に当接させることができる。なお、本明細書では、当接角度を上記のように定義しており、紙面において当接部CP1を支点として時計方向に傾いているときには当接角度は正の値となり、反時計方向に傾いているときには当接角度は負の値となる。
【0041】
また、ローラークリーニングブレード512の鉛直方向の下方で、かつ中間塗布ローラー52の鉛直方向の上方で、傾斜部材513が配置されている。この傾斜部材513は、現像ローラー側(図1の左側)の端部が反現像ローラー側(図1の右側)の端部よりも鉛直方向に高くなっており、しかも現像ローラー51から離れるにしたがって鉛直方向の下方に傾斜している。そして、現像ローラー側端部がローラークリーニングブレード512の鉛直方向の下方に位置するように傾斜部材513は現像器支持部(図示省略)に固定されている。この実施形態では、図2に示すように、傾斜部材513の回転軸方向Xの長さW513はローラークリーニングブレード512の回転軸方向Xの長さW512よりも長い、つまり、
W513>W512
となっている。さらに、傾斜部材513の回転軸方向Xの長さW513は中間塗布ローラー52の回転軸方向Xの長さW52(図2への図示は省略)よりも長い、つまり、
W513>W52
となっている。したがって、傾斜部材513は、ローラークリーニングブレード512で回収された液体現像剤(廃液)を、中間塗布ローラー52に滴下させることなく、全て受け止めて中間塗布ローラー52から反現像ローラー側に離れた方向に案内する。なお、回転軸方向Xでの傾斜部材513の両端部では、図2に示すように上方に延びるフェンス513aがそれぞれ形成されており、廃液が傾斜部材513の両端部から溢れるのを防止し、廃液を確実に回収することが可能となっている。
【0042】
また、中間塗布ローラー52に対してクリーニングブレード521が当接しており、現像に寄与せずに中間塗布ローラー52に残存する液体現像剤を中間塗布ローラー52の表面から掻き落として除去する。このクリーニングブレード521の反中間塗布ローラー側(図1の右側)端部は傾斜部材522と接続されている。この傾斜部材522は、中間塗布ローラー側(図1の左側)の端部が反中間塗布ローラー側(図1の右側)の端部よりも鉛直方向に高くなっており、しかも中間塗布ローラー52から離れるにしたがって鉛直方向の下方に傾斜している。そして、中間塗布ローラー側端部が傾斜部材513の反現像ローラー側端部の鉛直方向の下方に位置するとともに、反中間塗布ローラー側端部が現像剤容器54の回収部位541の鉛直方向の上方に位置するように、傾斜部材522は現像器支持部に固定されている。この実施形態では、傾斜部材522の回転軸方向Xの長さW522はクリーニングブレード521の回転軸方向Xの長さ(図示省略)よりも長い。しかも、傾斜部材522の回転軸方向Xの長さW522は傾斜部材513の回転軸方向Xの長さW513よりも長い、つまり
W522>W513
となっている。このため、図4に示すように、ブレード521で掻き落とされた液体現像剤(廃液)は全て傾斜部材522に沿って反中間塗布ローラー側に案内されるとともに、傾斜部材513に案内されて落下してくる廃液(現像ローラー51からクリーニング除去された液体現像剤)は傾斜部材522の中間塗布ローラー側端部に受け止められて反中間塗布ローラー側に案内される。
【0043】
こうしてブレード512、521で掻き取られた液体現像剤(廃液)は一緒に傾斜部材522から現像剤容器54の回収部位541に流れ落ちて貯留される。なお、傾斜部材522も傾斜部材513と同様に、回転軸方向Xでの傾斜部材522の両端部では、上方に延びるフェンス522aがそれぞれ形成されており、廃液が傾斜部材522の両端部から溢れるのを防止し、廃液を確実に回収することが可能となっている。
【0044】
一方、アニロックスローラー53に対して規制部材531が当接されている。この規制部材531として、金属製あるいは表面に弾性体を被覆して構成した弾性を有する部材を用いることができるが、本実施形態にかかる規制部材531は、アニロックスローラー53の表面に当接するウレタンゴム等からなるゴム部と、該ゴム部を支持する金属等の板で構成されている。そして、規制部材531は、アニロックスローラー53によって担持搬送されてきた液体現像剤の膜厚や量などを規制調整し、現像ローラー51に供給する液体現像剤の量を調整する機能を有している。また、規制部材531により掻き取られた液体現像剤は現像剤容器54の貯蔵部位542に戻される。なお、この貯蔵部位542には撹拌部材543が配置されており、図示省略するモーターにより回転し、貯蔵部位542内で液体現像剤を撹拌する。
【0045】
上記のようにして、液体現像剤が供給された現像ローラー51は中間塗布ローラー52の表面とは逆方向に移動するように回転すると共に、感光体ドラム1の表面とは同方向に移動するように回転する。なお、トナー像を形成するため、現像ローラー51の回転方向は、その表面が感光体ドラム1の表面と同方向に移動するようにウィズ回転する必要があるが、中間塗布ローラー52に対しては、逆方向、或いは、同方向、どちらに移動する構成であってもよい。
【0046】
また、現像位置に対して現像ローラー51の回転方向D51の上流側で、かつ仮想鉛直面VP51と交差しない姿勢でトナー圧縮コロナ発生器55が配設されている。このトナー圧縮コロナ発生器55は、現像ローラー51の表面のバイアスを増加させる電界印加手段であり、現像ローラー51によって搬送される液体現像剤のトナーは、このトナー圧縮コロナ発生器55と近接する位置で電界が印加され、帯電、圧縮が施される。このように、本実施形態では、トナー圧縮コロナ発生器55が本発明の「トナー帯電部」として機能している。
【0047】
以上のように、第1実施形態では、図3(a)に示すように、仮想鉛直面VP51Sに対して周面の一部が反現像ローラー側(同図紙面における右側)に超えた姿勢でクリーニングローラー511を配設するとともに、仮想鉛直面VP51Sから反現像ローラー側に超えたクリーニングローラー511の周面に対してクリーニングブレード512を当接させているため、クリーニングブレード512によるクリーニングが現像ローラー51から離れた位置で行われ、当接角度(ブレード角度)θ1の絶対値を小さくすることができる。例えば、図3(b)に示す第1比較例、つまりクリーニングローラー511を省略し、クリーニングブレード512を直接現像ローラー51に当接させる場合、クリーニングブレード512の当接角度θ0の絶対値は当接角度θ1の絶対値に比べて大きくする必要がある。例えば上記したように現像ローラー51および中間塗布ローラー52のローラー径RD51、R52が、それぞれ66.8[mm]、52[mm]に設定されているため、現像ローラー51へのローラークリーニングブレード512の当接角度(ブレード角度)θ0は、
θ0=40[deg]
程度となり、これよりも当接角度θ0の絶対値を小さくすることは難しい。
【0048】
このように、第1実施形態によれば、クリーニングブレード512で掻き取った液体現像剤を重力により効果的に落下させて現像剤容器54の回収部位541へ搬送回収することができる。その結果、凝集トナーを含み高粘度となっている状態で現像ローラー51に残留する液体現像剤をクリーニングブレード512で掻き取ったとしても、クリーニングブレード512の先端で液体現像剤が堆積するのを防止することができ、クリーニング機構によって回収した液体現像剤を適切にかつ効率的に搬送回収することができる。
【0049】
また、上記実施形態では、トナーを圧縮して現像ローラー51の表面に凝集するためのトナー圧縮コロナ発生器55が現像ローラー51を通る仮想水平面HP51の鉛直方向の下方に配設されているため、現像ローラー51の表面に付着している液体現像剤が液垂れしてトナー圧縮コロナ発生器55に付着して汚染してしまうと、この汚染が画像むらの原因となることがある。しかしながら、トナー圧縮コロナ発生器55は仮想鉛直面VP51と交差しない姿勢で配設されるため、現像ローラー51から垂れ落ちる液体現像剤によりトナー圧縮コロナ発生器55が汚染されるのを防止することができる。
【0050】
ところで、上記第1実施形態では、いわゆる下部転写構造の画像形成装置に対して本発明を適用しているが、例えば図5に示すように上部転写構造の画像形成装置に対しても本発明を適用することができる。以下、図5および図6を参照しつつ本発明の第2実施形態について説明する。
【0051】
図5は本発明にかかる現像装置の第2実施形態を装備した画像形成装置を示す図であり、図6は第2実施形態でのクリーニングブレードの当接角度を示す図である。この第2実施形態にかかる画像形成装置が第1実施形態と大きく相違する点は、感光体ドラム1に担持されるトナー像を転写媒体に転写する転写位置が感光体ドラム1の回転中心を通る仮想水平面HPに対して鉛直方向の上方である点であり、それ以外の基本的な構成は同一である。したがって、以下においては、相違点を中心に説明し、同一構成については同一符号を付して構成説明を省略する。
【0052】
この第2実施形態にかかる現像装置を装備した画像形成装置は、感光体ドラム1の回転中心を通る仮想水平面HPの鉛直方向の上方で、感光体ドラム1に担持される像を1次転写部の中間転写ベルトや中間転写ドラムなどの転写媒体(図示省略)に転写し、さらに転写媒体に転写された像を転写紙に転写する、いわゆる上部転写構造を有している。この画像形成装置においても、第1実施形態と同様に、感光体ドラム1の周囲には、2個の帯電器31で感光体ドラム1表面を所定の電位に帯電させる帯電部3と、感光体ドラム1の表面を画像信号に応じて露光することで静電潜像を形成する露光部4と、該静電潜像を液体現像剤で現像してトナー像を形成する現像部5と、第1スクイーズ部6と、第2スクイーズ部7と、1次転写部の転写媒体(図示省略)と、一次転写後の感光体ドラム1の表面をクリーニングする感光体クリーニング部8とが、それぞれこれらの順に感光体ドラム1の回転方向D1(図5紙面における反時計回り)に沿って配設されている。より詳しくは、各部は以下のように配設されている。
【0053】
図5紙面において、感光体ドラム1の回転中心を通る仮想鉛直面VPに対して左側で、かつ感光体ドラム1の回転中心を通る仮想水平面HPに対して鉛直方向の下方に、帯電部3および露光部4が配設されている。また、図5紙面において、仮想鉛直面VPに対して右側で、しかも仮想水平面HPに対して鉛直方向の下方に、現像部5および第1スクイーズ部6が配設されている。また、図5紙面において、仮想鉛直面VPに対して右側で、しかも仮想水平面HPに対して鉛直方向の上方に、第2スクイーズ部7が配設されている。さらに、図5紙面において、仮想鉛直面VPに対して左側で、しかも仮想水平面HPに対して鉛直方向の上方に、感光体クリーニング部8が配設されている。なお、感光体ドラム1に形成されるトナー像の転写媒体への転写は、第2スクイーズ部7と感光体クリーニング部8との間で行われる。
【0054】
これらの構成要素のうち現像部5は本発明にかかる現像装置の第2実施形態に相当するものであり、以下のように構成されている。
【0055】
現像部5は、図5および図6に示すように、第1実施形態と同様に、現像ローラー51と、中間塗布ローラー52と、アニロックスローラー53とを有する、いわゆる3ローラー構成を有している。これらのローラー51〜53は、配設位置を除き、いずれも第1実施形態と同一構成を有しており、回転軸が感光体ドラム1の回転軸と平行に配置されながら両端部が図示を省略する一対の側板にそれぞれ回転自在に軸支されている。
【0056】
現像ローラー51は、図5紙面において仮想鉛直面VPに対して右側で、かつ仮想水平面HPの鉛直方向の下方に配されるとともに、図6(a)に示すように現像ローラー51の回転中心を通る仮想水平面HP51に対して鉛直方向の上方で現像ローラー51の回転中心を通る仮想鉛直面VP51に対して同図紙面における左側で感光体ドラム1と当接する。また、現像ローラー51は、現像用モーター(図示省略)に接続され、図5紙面において時計回りD51に回転駆動されて感光体ドラム1に対してウィズ回転する。また、この現像ローラー51は図示を省略する現像バイアス発生部と電気的に接続されており、適当なタイミングで現像バイアスが印加されるように構成されている。これによって、感光体ドラム1に担持される潜像が現像される。また、中間塗布ローラー52は現像ローラー51の鉛直方向の下方で現像ローラー51に当接して液体現像剤を供給する。さらに、アニロックスローラー53は中間塗布ローラー52の鉛直方向の下方で中間塗布ローラー52と当接して液体現像剤を供給する。
【0057】
次に、第2実施形態における現像ローラーおよび中間塗布ローラーのクリーニング機構について説明する。現像ローラー51に対しては、図5および図6に示すように、クリーニングローラー511が当接されるとともに、このクリーニングローラー511に対してローラークリーニングブレード512が当接されており、現像ローラー51のクリーニング処理を行う。より詳しくは、図6に示すように、現像ローラー51に対して反感光体ドラム側(同図紙面における右側)に隣接してクリーニングローラー511が現像ローラー51と当接している。すなわち、ほぼ仮想水平面HP51上で、しかも仮想水平面HP51が現像ローラー51の周面と交差する反感光体ドラム側位置SPを通る仮想鉛直面VP51Sに対して全周面が反現像ローラー側(同図紙面における右手側)に超えた姿勢で、クリーニングローラー511が現像ローラー51と当接している。そして、クリーニングローラー511が現像ローラー51の表面と当接しながら図5紙面において時計回り回転される。したがって、クリーニングローラー511は現像ローラー51に対してカウンター方向に回転し、現像に寄与せずに現像ローラー51に残存する液体現像剤を除去する。
【0058】
また、この第2実施形態では、仮想鉛直面VP51Sに対して反現像ローラー側(図6紙面における右手側)で、クリーニングローラー511の表面にローラークリーニングブレード512が当接角度(ブレード角度)θ1で当接して上記液体現像剤を掻き落として除去する。すなわち、ローラークリーニングブレード512がクリーニングローラー511に当接する当接部CP1より鉛直方向の下方に延びる鉛直仮想面VP1からローラークリーニングブレード512の鉛直方向下方の面512aまでの角度が予め設定した当接角度θ1(>0)となっている。この実施形態では、現像ローラー51、クリーニングローラー511および中間塗布ローラー52のローラー径RD51、RD511、R52は、それぞれ
RD51 =32[mm]
RD511=20[mm]
RD52 =32[mm]
に設定されており、その結果、ローラークリーニングブレード512は当接角度(ブレード角度)θ1、
θ1=15[deg]
でクリーニングローラー511に当接させることができる。
【0059】
この第2実施形態では、ローラークリーニングブレード512の当接位置は、仮想鉛直面VP51Sから反感光体ドラム側(図6紙面における右側)に、ほぼローラークリーニングブレード512のローラー径だけオフセットした位置であり、当接位置の鉛直方向の下方に中間塗布ローラー52は存在していない。したがって、傾斜部材513は設けられていない。
【0060】
また、現像位置に対して現像ローラー51の回転方向D51の上流側で、かつ仮想鉛直面VP51と交差しない姿勢でトナー圧縮コロナ発生器55が配設されている。なお、第2実施形態では、トナー圧縮コロナ発生器55は、図6(a)に示すように、仮想鉛直面VP51に対して感光体ドラム側(同図紙面における左側)で仮想水平面HP51に対して鉛直方向の下方に配設されている。
【0061】
以上のように、第2実施形態では、図6(a)に示すように、仮想鉛直面VP51Sに対して全体が反現像ローラー側(同図紙面における右側)に超えた姿勢でクリーニングローラー511を配設するとともに、仮想鉛直面VP51Sから反現像ローラー側に超えたクリーニングローラー511の周面に対してクリーニングブレード512を当接させているため、クリーニングブレード512によるクリーニングが現像ローラー51から離れた位置で行われ、当接角度(ブレード角度)θ1を小さくすることができる。例えば、図6(b)に示す第2比較例、つまりクリーニングローラー511を省略し、クリーニングブレード512を直接現像ローラー51に当接させる場合、クリーニングブレード512の当接角度θ0の絶対値は当接角度θ1の絶対値に比べて大きくする必要がある。例えば上記したように現像ローラー51および中間塗布ローラー52のローラー径RD51、R52が、それぞれ32[mm]、32[mm]に設定されているため、現像ローラー51へのローラークリーニングブレード512の当接角度(ブレード角度)θ0は、
θ0=32[deg]
程度となり、これよりも当接角度θ0の絶対値を小さくすることは難しい。
【0062】
このように、第2実施形態によれば、クリーニングブレード512で掻き取った液体現像剤を重力により効果的に落下させて現像剤容器54の回収部位541へ搬送回収することができる。その結果、第1実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0063】
また、上記第2実施形態では、トナー圧縮コロナ発生器55は仮想鉛直面VP51と交差しない姿勢で配設されるため、第1実施形態と同様に、現像ローラー51から垂れ落ちる液体現像剤によりトナー圧縮コロナ発生器55が汚染されるのを防止することができる。
【0064】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、いわゆる3ローラー構造の現像部5に対して本発明を適用しているが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、例えばアニロックスローラー53から直接現像ローラー51へ液体現像剤を塗布する構成(2ローラー構成)の現像装置に対しても本発明を適用することができる。
【0065】
また、上記実施形態では、トナー帯電・圧縮を行うための本発明の「トナー帯電部」としてトナー圧縮コロナ発生器55を用いているが、接触して帯電させるコンパクションローラーを「トナー帯電部」として用いてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…感光体ドラム(潜像担持体ドラム)、 5…現像部(現像装置)、 51…現像ローラー(現像剤担持体ローラー)、 52…中間塗布ローラー(供給部材)、 55…トナー圧縮コロナ発生器(トナー帯電部)、 511…クリーニングローラー、 512…ローラークリーニングブレード、 HP…(感光体ドラムの回転中心を通る)仮想水平面、 HP51…(現像ローラーの回転中心を通る)仮想水平面、 SP…位置、 VP…仮想鉛直面、 VP51…第1仮想鉛直面、 VP51S…第2仮想鉛直面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーおよびキャリア液を含む液体現像剤を担持して回転軸で回転する現像剤担持体ローラーと、
前記現像剤担持体ローラーに担持された液体現像剤に含まれるトナーを帯電するトナー帯電部と、
前記現像剤担持体ローラーの前記回転軸を通る第1仮想鉛直面に垂直な仮想水平面が前記現像剤担持体ローラーの周面と前記第1仮想鉛直面の第1の側で交差する位置を通る第2仮想鉛直面の前記第1の側と反対の第2の側で、前記現像剤担持体ローラーに当接して前記トナー帯電部により帯電されたトナーを含む液体現像剤をクリーニングして前記現像剤担持体ローラーから液体現像剤を除去するクリーニングローラーと、
前記第2仮想鉛直面の前記第1の側で前記クリーニングローラーに当接して前記クリーニングローラーをクリーニングするクリーニングブレードと、
を備えることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
潜像が形成される潜像担持体ドラムと、
トナーおよびキャリア液を含む液体現像剤を担持して回転軸で回転する現像剤担持体ローラー、前記現像剤担持体ローラーに担持された液体現像剤に含まれるトナーを帯電するトナー帯電部、前記現像剤担持体ローラーの前記回転軸を通る第1仮想鉛直面に垂直な仮想水平面が前記現像剤担持体ローラーの周面と前記第1仮想鉛直面の第1の側で交差する位置を通る第2仮想鉛直面の前記第1の側と反対の第2の側で当接して前記トナー帯電部により帯電されたトナーを含む液体現像剤をクリーニングして前記現像剤担持体ローラーから液体現像剤を除去するクリーニングローラー、及び前記第2仮想鉛直面の前記第1の側で前記クリーニングローラーに当接して前記クリーニングローラーをクリーニングするクリーニングブレードを有し、前記潜像担持体ドラムに形成された前記潜像を現像する現像部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記現像剤担持体ローラーは、前記仮想水平面に対して鉛直方向の下方で前記潜像担持体ドラムと当接して前記潜像を現像し、
前記クリーニングローラーは、前記仮想水平面の鉛直方向の上方で前記現像剤担持体ローラーと当接する請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1仮想鉛直面の前記第1の側で、かつ前記仮想水平面の鉛直方向の下方で前記現像剤担持体ローラーに当接して液体現像剤を供給する供給部材を備える請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記現像剤担持体ローラーは、前記仮想水平面の鉛直方向の上方で前記潜像担持体ドラムと当接して前記潜像を現像する請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記トナー帯電部は、ワイヤーとグリッドを有するコロナ帯電器であり、
前記ワイヤーは前記仮想鉛直面と異なる位置に配設する請求項2ないし5のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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