現像装置及びこれを用いた画像形成装置
【課題】現像後のトナー保持体上の残留トナーに対する除去性能を改善する。
【解決手段】トナー保持体3と、潜像保持体1の潜像を現像する現像電界を形成する現像電界形成手段4と、トナー保持体3上に予め決められた層厚のトナー層を形成する層形成手段5と、現像領域DRより下流側で且つ層形成手段5より上流側位置にてトナー保持体3に対向して配置され、少なくとも一部が導電性部材にて構成される電極部材7と、この電極部材7とトナー保持体3との間の残留トナーTに作用し且つ予め決められた低い周波数で極性が交互に周期的に変化する低周波電界を形成し、トナー保持体3上の残留トナーTが、前記低周波電界の周期に依存してトナー保持体3の回転方向に対して目視可能な寸法で縞状に並ぶ凸部Sに変化するように、トナー保持体3上の残留トナーTを移動させる低周波電界形成手段8と、を備える。
【解決手段】トナー保持体3と、潜像保持体1の潜像を現像する現像電界を形成する現像電界形成手段4と、トナー保持体3上に予め決められた層厚のトナー層を形成する層形成手段5と、現像領域DRより下流側で且つ層形成手段5より上流側位置にてトナー保持体3に対向して配置され、少なくとも一部が導電性部材にて構成される電極部材7と、この電極部材7とトナー保持体3との間の残留トナーTに作用し且つ予め決められた低い周波数で極性が交互に周期的に変化する低周波電界を形成し、トナー保持体3上の残留トナーTが、前記低周波電界の周期に依存してトナー保持体3の回転方向に対して目視可能な寸法で縞状に並ぶ凸部Sに変化するように、トナー保持体3上の残留トナーTを移動させる低周波電界形成手段8と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置及びこれを用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、現像剤規制部材(規制ブレード)への現像剤(トナー)の融着を防ぐため、現像剤担持体と現像剤規制部材との間に現像剤を断続的に供給することで現像剤規制部材を上下動させることを狙いとして、現像動作時以外の時間に、両者間に交流電界を作用させて現像剤を縞状にする技術が記載されている。
特許文献2には、現像後の現像剤担持体上の現像剤を一以上の線材で剥離する構成が記載され、線材には交流バイアス500〜1500Vpp、50〜5000Hzを印加することも記載されている。
特許文献3には、現像後の現像剤担持体に対して複数の接触部材を接触させ、上流側の接触部材に現像剤を回収する方向の直流バイアスを印加し、下流側に交番電界を印加する方式が記載され、上流側の接触部材としてフィルム状の部材を用い、下流側の接触部材としてローラ状の部材を用いて、交番電界としては2kVpp、2kHzを印加することが記載されている。
特許文献4には、現像後のトナー担持体上のトナーをトナー担持体から一旦剥離させて再付着させるため、対向電極を設け、この対向電極に振動電界を作用させることが記載され、振動電界としては現像バイアスの周波数2〜3kHzを作用させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−258345号公報(発明を実施するための最良の形態、図1)
【特許文献2】特開平6−51623号公報(実施例、図5)
【特許文献3】特開平10−319720号公報(実施例、図1)
【特許文献4】特開2007−86447号公報(発明を実施するための最良の形態、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、現像後のトナー保持体上の残留トナーに対する除去性能を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、潜像を保持する潜像保持体に対向して開口し且つ内部に現像剤としてのトナーが収容される収容容器と、この収容容器の前記開口に面した部位にて前記潜像保持体に対向して回転可能に設けられ且つ前記潜像保持体に対向する現像領域に向かってトナーを保持して搬送するトナー保持体と、前記潜像保持体と前記トナー保持体とが対向する前記現像領域に対し前記トナー保持体上のトナーにて前記潜像保持体の潜像を現像する現像電界を形成する現像電界形成手段と、前記トナー保持体に対して設けられ、前記現像領域に向かうトナー保持体上に予め決められた層厚のトナー層を形成する層形成手段と、前記トナー保持体の回転方向における前記現像領域より下流側で且つ前記層形成手段より上流側位置にて前記トナー保持体に対向して配置されると共に前記トナー保持体の回転方向に交差する方向に延びるように設けられ、少なくとも一部が導電性部材にて構成され且つ当該導電性部材と前記トナー保持体との間に電界を作用させるために用いられる電極部材と、この電極部材と前記トナー保持体との間の残留トナーに作用し且つ予め決められた低い周波数で極性が交互に周期的に変化する低周波電界を形成し、前記トナー保持体上の残留トナーが、前記低周波電界の周期に依存して前記トナー保持体の回転方向に対して目視可能な寸法で縞状に並ぶ凸部に変化するように、前記トナー保持体上の残留トナーを移動させる低周波電界形成手段と、を備えることを特徴とする現像装置である。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る現像装置において、前記低周波電界形成手段は、前記低周波電界を形成するに当たり、前記トナー保持体の周速をv(mm/秒)、前記低周波電界の周波数をf(Hz)、前記縞状に並ぶ凸部の一周期分の最小寸法をd(mm)としたときに、f≦v/dの関係を満たすことを特徴とする現像装置である。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る現像装置において、前記電極部材は、前記層形成手段によって形成された前記トナー保持体上のトナー層の厚みを超える間隙を保って前記トナー保持体に対向して配置されたロール状部材であることを特徴とする現像装置である。
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれかに係る現像装置において、前記電極部材のうち前記トナー保持体の回転方向に沿う前記低周波電界の作用域の幅をm(mm)、前記低周波電界のうち前記トナー保持体上の残留トナーを当該トナー保持体側に吸引する方向の電界成分が作用する時間に相当するトナー保持体の回転方向における移動距離をn(mm)としたときに、m≧nの関係を満たすことを特徴とする現像装置である。
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかに係る現像装置において、前記低周波電界形成手段は、前記低周波電界を形成するに当たり、トナーを前記トナー保持体側から前記電極部材側に吸引する電界成分をE1、トナーを前記電極部材側から前記トナー保持体側に吸引する電界成分をE2としたときに、E1≧E2の関係を満たすことを特徴とする現像装置である。
請求項6に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかに係る現像装置において、前記低周波電界形成手段は、前記低周波電界を形成するに当たり、前記低周波電界の一周期のうち、トナーを前記トナー保持体側から前記電極部材側に吸引する電界成分の作用時間をt1、トナーを前記電極部材側から前記トナー保持体側に吸引する電界成分の作用時間をt2としたときに、t1≧t2の関係を満たすことを特徴とする現像装置である。
請求項7に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかに係る現像装置において、前記現像電界形成手段は、予め決められた高い周波数で極性が交互に周期的に変化する高周波電界が含まれる現像電界を形成するものであり、前記低周波電界形成手段は、前記現像電界の高周波電界に近い周波数の高周波電界を前記電極部材に作用させ、前記二つの高周波電界の差分からなる低い周波数のうなり成分を前記低周波電界としたことを特徴とする現像装置である。
請求項8に係る発明は、請求項1乃至7のいずれかに係る現像装置において、前記電極部材による電界作用領域は、前記現像領域の長手方向有効幅よりも長い寸法に設定されていることを特徴とする現像装置である。
請求項9に係る発明は、請求項1乃至8のいずれかに係る現像装置において、前記電極部材を移動可能に支持し且つ前記トナー保持体との間隙を変化させる間隙可変機構を更に備えることを特徴とする現像装置である。
請求項10に係る発明は、請求項1乃至9のいずれかに係る現像装置のうち前記層形成手段がトナー保持体に接触してトナーを供給するトナー供給部材を有する態様において、前記トナー供給部材は、前記トナー保持体との接触部位で当該トナー保持体とは逆向きに回転するものであり、前記トナー供給部材と前記トナー保持体との間の前記トナー保持体の回転方向に沿う接触幅をw(mm)、前記低周波電界のうち前記トナー保持体上の残留トナーを当該トナー保持体側に吸引する方向の電界成分が作用する時間に相当するトナー保持体の回転方向における移動距離をn(mm)としたときに、w>nの関係を満たすことを特徴とする現像装置である。
請求項11に係る発明は、潜像を保持する潜像保持体と、この潜像保持体上の潜像をトナーにて現像する請求項1乃至10のいずれかに係る現像装置と、を備えることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る発明によれば、現像後のトナー保持体上の残留トナーに対する除去性能を改善できる。また、除去性能が改善されることに伴い、残留トナーに起因して生じる画像ゴースト現象や地肌かぶりなどの画像欠陥の発生を抑えることができる。
請求項2に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、現像後のトナー保持体上の残留トナーに対し、目視可能な縞状に並ぶ凸部を生成するための低周波電界を容易に形成できる。
請求項3に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、トナー保持体上の残留トナーに対し低周波電界を集中させて作用させることができる。
請求項4に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、現像後のトナー保持体上の残留トナーを広範囲に亘って電極部材側に吸引させることができ、その分、縞状に並ぶ凸部でのトナー保持体に対する付着力を低減できる。
請求項5に係る発明によれば、トナー保持体上の残留トナーに対し剥がし方向の電界成分の作用を逆方向の電界成分以上に強く設定することができる。
請求項6に係る発明によれば、トナー保持体上の残留トナーに対し剥がし方向の電界成分の作用時間を逆方向の電界成分以上に長く設定することができる。
請求項7に係る発明によれば、現像電界として高周波電界が含まれる態様において、低周波電界の形成が容易に実現できる。
請求項8に係る発明によれば、トナー保持体の現像領域の長手方向の幅全域に面して残留するトナーに対する除去性能を改善することができる。
請求項9に係る発明によれば、電極部材とトナー保持体との間隙を変化させることができ、経時による残留トナー量の変動にも対応させることができる。
請求項10に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、トナー供給部材とトナー保持体との接触部位にてトナー保持体上の残留トナーを有効に除去できる。
請求項11に係る発明によれば、現像後のトナー保持体上の残留トナーに対する除去性能を改善できる画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明を具現化する実施の形態モデルに係る現像装置の概要を示す説明図であり、(a)は全体構成、(b)は(a)の要部拡大である。
【図2】(a)〜(d)は低周波電界による縞状に並ぶ凸部の形成過程を模式化した説明図である。
【図3】トナー供給部材による残留トナーに対する掻き取り作用を示す説明図であり、(a)及び(b)は縞状に並ぶ凸部が形成された場合、(c)及び(d)は縞状に並ぶ凸部が形成されない場合を示す。
【図4】実施の形態1の画像形成装置の概要を示す説明図である。
【図5】実施の形態1の現像装置の概要を示す説明図である。
【図6】(a)は実施の形態1の電極部材の取り付け構造、(b)は実施の形態1の低周波電界の波形を示す説明図である。
【図7】(a)〜(c)は本実施の形態における低周波電界による縞状に並ぶ凸部の形成過程を示す説明図である。
【図8】(a)は供給ロールと現像ロールとの接触部位を拡大した模式図、(b)は供給ロールの断面拡大図、(c)は供給ロール23の断面の電顕写真である。
【図9】(a)〜(d)は電極部材と現像ロールとの間隙が広い場合の縞状の凸部の形成過程を示す模式図である。
【図10】(a)〜(d)は電極部材と現像ロールとの間隙が狭い場合の縞状の凸部の形成過程を示す模式図である。
【図11】(a)は低周波電界の変形例を示す説明図、(b)は低周波電界の他の変形例を示す説明図、(c)は(b)により形成される縞状の凸部を示す。
【図12】変形例としての現像装置の概要を示す説明図である。
【図13】実施の形態2の現像装置の概要を示す説明図である。
【図14】(a)〜(d)は電極部材の作用域が凸部の幅に相当する場合のトナーの動きを示す模式図である。
【図15】(a)〜(e)は電極部材の作用域が凸部の幅を超える場合のトナーの動きを示す模式図である。
【図16】(a)〜(d)は電極部材の作用域が凸部の幅より短い場合のトナーの動きを示す模式図である。
【図17】(a)は実施の形態3の現像装置の概要を示す説明図であり、(b)は電極部材の断面拡大図である。
【図18】実施の形態4の現像装置の概要を示す説明図である。
【図19】実施の形態4における(a)は供給ロールと現像ロールとの接触部位を拡大した模式図、(b)は(a)の要部拡大図である。
【図20】実施の形態5の現像装置の概要を示す説明図である。
【図21】実施の形態6の現像装置の概要を示す説明図である。
【図22】実施の形態6における(a)は供給ロールと現像ロールとの接触部位を拡大した模式図、(b)は(a)の要部拡大図である。
【図23】実施の形態7の現像装置の概要を示す説明図である。
【図24】実施の形態7での縞状に並ぶ凸部の形成過程を示す模式図であり、(a)は電極部材が一つの場合、(b)は電極部材が二つの場合を示す。
【図25】実施の形態8の現像装置の概要を示す説明図である。
【図26】実施例の結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
◎実施の形態の概要
先ず、本発明が適用された現像装置の実施の形態の概要について、図1の本発明を具現化する実施の形態モデルに係る現像装置を用いて説明する。尚、図1(a)は全体構成を示し、(b)は(a)の要部拡大を示す。
【0010】
同図において、現像装置は、潜像を保持する潜像保持体1に対向して開口し且つ内部に現像剤としてのトナーTが収容される収容容器2と、この収容容器2の前記開口に面した部位にて潜像保持体1に対向して回転可能に設けられ且つ潜像保持体1に対向する現像領域DRに向かってトナーTを保持して搬送するトナー保持体3と、潜像保持体1とトナー保持体3とが対向する現像領域DRに対しトナー保持体3上のトナーTを飛翔させて潜像保持体1の潜像を現像する現像電界を形成する現像電界形成手段4と、トナー保持体3に対して設けられ、現像領域DRに向かうトナー保持体3上に予め決められた層厚のトナー層を形成する層形成手段5と、トナー保持体3の回転方向における現像領域DRより下流側で且つ層形成手段5より上流側位置にてトナー保持体3に対向して配置されると共にトナー保持体3の回転方向に交差する方向に延びるように設けられ、少なくとも一部が導電性部材にて構成され且つ当該導電性部材とトナー保持体3との間に電界を作用させるために用いられる電極部材7と、この電極部材7とトナー保持体3との間の残留トナーTに作用し且つ予め決められた低い周波数で極性が交互に周期的に変化する低周波電界を形成し、トナー保持体3上の残留トナーTが、前記低周波電界の周期に依存してトナー保持体3の回転方向に対して目視可能な寸法で縞状に並ぶ凸部Sに変化するように、トナー保持体3上の残留トナーTを移動させる低周波電界形成手段8と、を備えている。
【0011】
ここで、トナー保持体3の形状はロール形状であってもよいし、ベルト形状であってもよい。更に現像電界形成手段4による現像電界は、直流成分のみ、あるいは、直流成分に交流成分を重畳させたものであってもよい。また、トナー保持体3と潜像保持体1とは現像領域DRにおいてトナーTを介して接触していてもよい。
【0012】
層形成手段5は、トナー保持体3上で現像領域DRに向かうトナー層を形成するもので、トナー保持体3上に予め決められた厚さのトナー層を形成する手段であれば特に限定されず、例えばトナー保持体3にトナーTを供給するトナー供給部材6と、このトナー供給部材6の下流側にてトナー保持体3上のトナー層厚を規制する層厚規制部材と、で構成されるものであってもよいし、トナーTを供給するために例えば窪みを有する部材をトナー保持体3に近接して配置し、この部位の下流側に、トナー保持体3上のトナー層厚を規制する層厚規制部材を設ける等の態様が挙げられる。このような層形成手段5によって、縞状に並ぶ凸部Sの少なくとも一部がトナー保持体3から掻き取られるようになる。
【0013】
電極部材7は、トナー保持体3に近接又は接触して配置されるもので、近接する態様にあっては、例えばロール状、板状等の部材を配置する態様が挙げられ、接触する態様にあっては、トナーTが通過可能となるように弾性変形する例えばシート状部材を用いる態様が挙げられる。また、電極部材7は、トナー保持体3の回転方向に交差する方向に延びるように設けられればよいが、設置スペースを小さくしたり、構成を簡略化する点では交差方向のうちトナー保持体3の回転方向に直交する幅方向に延びるように設ければよい。更に、電極部材7の表面粗さは小さい方がよく、電極部材7の表面に対するトナーTの固着が抑えられると共に電極部材7側に吸引されたトナーTがトナー保持体3側へ容易に吸引されるようになる。
【0014】
また、低周波電界形成手段8は、電極部材7を通過したときの残留トナーTが縞状に並ぶ凸部Sに変化するような低周波電界を形成するもので、トナー保持体3と電極部材7との間に矩形波、正弦波等の極性が交互に周期的に変化する電界が適用される。更に、矩形波を適用させる場合には、そのデューティ比を変化させるようにすれば、縞状に並ぶ凸部Sの間隔が異なるようになる。更にまた、低周波電界形成手段8としては、例えば現像電界が高周波成分を含むものである場合、これに近い周波数の高周波成分を電極部材7に印加し、両者の差によって電極部材7とトナー保持体3の間に等価的なうなり成分が作用するようにしてもよく、このうなり成分が低周波電界になる。
【0015】
ここでいう縞状に並ぶ凸部Sとは、図1(b)に示すように、一つの凸部Sと、隣り合う凸部S間のトナー層の薄い部分とで一周期分となるもので、凸部Sの断面形状は、必ずしも断面矩形でなくてもよく、トナー保持体3の表面から突出する形状であればよい。また、縞状に並ぶ凸部Sとしては、視認できることが前提であり、通常、凸部Sの幅としては略0.5mm以上が適用される。
【0016】
そして、縞状に並ぶ凸部Sに容易に変化させる観点からすれば、低周波電界形成手段8は、低周波電界を形成するに当たり、トナー保持体3の周速をv(mm/秒)、低周波電界の周波数をf(Hz)、縞状に並ぶ凸部Sの一周期分の最小寸法をd(mm)としたときに、f≦v/dの関係を満たすことが好ましい。これにより、一周期分の長さがdmm以上の縞模様(間隔を置いて凸部Sが並んでいる態様)が形成されるようになる。
【0017】
ここで、縞状に並ぶ凸部Sの形成過程について図2を用いて説明する。ここでは、電極部材7とトナー保持体3との間で低周波電界が作用する領域を作用域xとして示し、トナー保持体3の周速をv、作用域xに作用する低周波電界のうち、トナーTを電極部材7側に吸引する方向の電界成分をE1、トナーTをトナー保持体3側に吸引する方向の電界成分をE2として矢印で示す。また、電極部材7とトナー保持体3との間隙は、層形成手段5によるトナー保持体3上の予め決められたトナー層厚(図中トナー保持体3上で新たに搬送された分の層厚を示す)よりも十分大きいものとして説明する。尚、ここではトナーTとして負帯電トナーを用いた例を示しており、電界成分E1,E2の矢印と逆方向にトナーTは吸引されるようになる。
【0018】
同図において、先ず、電極部材7とトナー保持体3との間に、(a)のような状態でトナーTがあるときを想定する。このときのトナーTは、トナー保持体3の回転によって新たに搬送される分を示している。
このような状態において、(b)に示すように、低周波電界としてトナーTを電極部材7側に吸引する方向の電界成分E1が作用すると共にトナー保持体3が回転すると、トナーTが電極部材7側へ吸引されることで、作用域xではトナーTが堰き止められたトナー溜まり(図中Txで示すトナーが密状態となった部分)が形成される。このトナー溜まりが後述する一番目の凸部S1となる。
【0019】
次に、低周波電界がトナーTをトナー保持体3側へ吸引する方向の電界成分E2に切り替わると、(b)の作用域xにあったトナー溜まりがそのまま下流側へ搬送され、トナー保持体3上の電極部材7より下流側には一番目の凸部S1が出現する。このとき、トナー溜まりのなくなった電極部材7に対しては、トナー保持体3上には新たに搬送されたトナーTがあるため、作用域xにはこのトナーTがもたらされる。
次に、低周波電界が、再び、トナーTを電極部材7側に吸引する方向の電界成分E1に切り替わると、(d)に示すように、一番目の凸部S1はそのまま下流側に搬送され、作用域xには新たなトナー溜まりが発生するようになる。そして、このトナー溜まりが二番目の凸部S2を形成するようになる。
このような作用を繰り返すことで、トナー保持体3上の電極部材7より下流側には、縞状に並ぶ凸部Sが出現するようになる。
【0020】
このように、トナー保持体3上の残留トナーTに対して縞状に並ぶ凸部Sが形成されると、トナー保持体3からのトナーTの除去性能が向上する。このことについて、今、層形成手段5がトナー保持体3に接触するトナー供給部材6を有する態様を例にして説明する。トナー保持体3上にこのような縞状に並ぶ凸部Sが形成されたときのトナー保持体3とトナー供給部材6との接触部位でのトナーTの掻き取り作用は次のように推定される。図3(a)及び(b)はトナー供給部材6によってトナー保持体3上の縞状に並ぶ凸部Sの掻き取り作用を示す説明図であり、(a)は構成、(b)は掻き取り時の作用を示す。
【0021】
トナー保持体3上に縞状に並ぶ凸部Sが形成されているため、凸部Sがトナー供給部材6との接触部位に到達する前に、先ず、トナー供給部材6は、トナーTの付着が少ない部分に接触する。そのため、次の凸部Sに対しては、トナー供給部材6によってトナー保持体3のほぼ表面から凸部Sを押す力F(掻き取り力に相当)が作用するようになり、凸部Sに対するせん断力となって、凸部Sがトナー保持体3から容易に掻き取られる。また、トナー保持体3とトナー供給部材6との間には、凸部Sが間隔を置いて到達するため、トナー供給部材6もその径方向に振動するようになり、トナー供給部材6の表面の清浄性も確保され易くなる。
【0022】
これに対し、図3(c)及び(d)は、比較例として電極部材7(図示せず)とトナー保持体3との間に低周波電界を作用させない場合の説明図であり、(c)が構成、(d)は掻き取り時の作用を示す。この場合、(a)及び(b)のときとは異なり、トナーTに縞状に並ぶ凸部Sが形成されていないため、トナーTの付着が少ない部分が形成されず、トナーTがトナー供給部材6とトナー保持体3の間に潜り込み易くなる。そのため、トナー供給部材6によるトナーTの掻き取り力Fは、トナーTの表面を滑るようになり、十分な掻き取り性能が発揮されない。また、トナーTに対して縞状に並ぶ凸部Sが形成されていないため、トナー供給部材6の径方向に対する振動も期待されず、トナー供給部材6の清浄性も振動が加えられた場合よりも低下する。それ故、現像領域DRを経た後のトナー保持体3上の残留トナーTに低周波電界を作用させることの有効性が確認される。
【0023】
そして、層形成手段5としてこのようなトナー供給部材6を用いる場合、トナー供給部材6としては、トナー保持体3にトナーを供給できれば、トナー保持体3に接触していてもよいし、トナー保持体3から離間していてもよい。トナー供給部材6によるトナー保持体3へのトナーTの供給がなされることで、トナー保持体3上の残留トナーTの少なくとも一部がトナー保持体3から掻き取られる作用を奏する。そして、トナー供給部材6は、トナー保持体3にトナーを直接供給する態様であってもよいし、あるいは、トナーTを間接的に供給する、例えば二成分現像剤のうちのトナーTを供給する態様であってもよい。更に、トナー供給部材6としては、トナー供給部材6とトナー保持体3との間にトナーTを供給できる構成であればよい。尚、トナー供給部材6より上流側にトナー保持体3上の残留トナーTを掻き取る掻き取り部材を有する態様においては、トナー供給部材6によるトナーTの掻き取り作用がなくてもよい。
【0024】
また、図1において、電極部材7とトナー保持体3との間で低周波電界を有効に作用させる観点からすれば、電極部材7は、層形成手段5によって形成されたトナー保持体3上のトナー層の厚みを超える間隙を保ってトナー保持体3に対向して配置されたロール状部材とすることが好ましい。この場合、両者の間で低周波電界が作用する領域を集中させ易く、結果的に低周波電界を集中させ易くなる。
【0025】
更に、縞状に並ぶ凸部SにおけるトナーTのトナー保持体3への付着力を低減する観点からすれば、電極部材7のトナー保持体3の回転方向に沿う低周波電界の作用域の幅をm(mm)、低周波電界のうちトナー保持体3上の残留トナーTをトナー保持体3側に吸引する方向の電界成分が作用する時間に相当するトナー保持体3の回転方向における移動距離をn(mm)としたときに、m≧nの関係を満たすことが好ましい。このように作用域の幅mが移動距離n以上であれば、トナー保持体3上の残留トナーTは電極部材7側に吸引される方向の電界成分の作用を受けるようになり、縞状に並ぶ凸部Sが形成される際、トナーTのトナー保持体3への付着力が低減されるようになる。一方、作用域の幅mが移動距離nより短い場合には、縞状に並ぶ凸部Sが形成される際、電極部材7側に吸引される方向の電界成分の作用を受けない部位が生じ、この部位でのトナー保持体3に対するトナーTの付着力が低減されないようになる。尚、この作用については後述する。
【0026】
そして、残留トナーTに対してこのような縞状に並ぶ凸部Sを形成し易くする観点からすれば、低周波電界形成手段8は、低周波電界を形成するに当たり、トナーTをトナー保持体3側から電極部材7側に吸引する電界成分をE1、トナーTを電極部材7側からトナー保持体3側に吸引する電界成分をE2としたときに、E1≧E2の関係を満たすことが好ましい。このとき、代表的にはE1=E2とする態様が挙げられ、低周波電界が交流成分のみで実現される。また、E1>E2とすれば、残留トナーTの帯電量分布が広くなっても電極部材7側に吸引させ易くなる。
【0027】
また、残留トナーTに対してこのような縞状に並ぶ凸部Sを形成し易くする他の観点からすれば、低周波電界形成手段8は、低周波電界を形成するに当たり、低周波電界の一周期のうち、トナーTをトナー保持体3側から電極部材7側に吸引する電界成分の作用時間をt1、トナーTを電極部材7側からトナー保持体3側に吸引する電界成分の作用時間をt2としたときに、t1≧t2の関係を満たすことが好ましい。このとき、代表的にはt1=t2の態様が挙げられ、このようなデューティ比を50%とする矩形波の形成は容易となる。また、正弦波の適用も容易になる。更に、例えばt1>t2とすれば、縞状の一周期に占める凸部Sの割合を小さくすることができ、例えば残留トナーTの量が少ない場合であっても幅が狭く高さが高い凸部Sが形成されるようになる。
【0028】
更に、低周波電界の形成をし易くする観点から、現像電界形成手段4が、予め決められた高い周波数で極性が交互に周期的に変化する高周波電界が含まれる現像電界を形成するものである場合、低周波電界形成手段8は、現像電界の高周波電界に近い周波数の高周波電界を電極部材7に作用させ、二つの高周波電界の差分からなる低い周波数のうなり成分を低周波電界とすることが好ましい。通常、ある周波数の高周波成分とこれに近似する周波数の高周波成分とを作用させると、両者の差分の周波数のうなりが発生する。また、高周波成分との間で低周波成分を作り出す高周波を形成することはたやすくないため、このようなうなり成分を利用することで、低周波電界の形成が容易になる。
【0029】
また、残留トナーTの除去性能を改善する観点から、電極部材7による電界作用領域は、現像領域DRの長手方向有効幅よりも長い寸法に設定されていることが好ましい。これによれば、現像領域DRに対する残留トナーTの除去性能が改善され、現像時の現像領域DRでの現像が安定化するようになる。
【0030】
更に、残留トナー量に応じた縞状に並ぶ凸部Sを形成する観点からすれば、電極部材7を移動可能に支持し且つトナー保持体3との間隙を変化させる間隙可変機構を更に備えることが好ましい。例えばジャム等によりトナー保持体3上のトナーTが現像領域DRにて消費されない場合と、通常の現像が行われてトナー保持体3上のトナーTが消費された場合とで電極部材7を移動させるようにしてもよいし、例えば写真画像と文字画像とでトナー消費量が異なる場合などに適用することで、電極部材7通過後に縞状に並ぶ凸部Sの形成が容易になる。
【0031】
このような縞状に並ぶ凸部Sを形成する際、層形成手段5がトナー保持体3に接触してトナーTをトナー保持体3に供給するトナー供給部材6を備える態様にあって、除去性能を向上させる観点からすれば、図1(b)に示すように、トナー供給部材6は、トナー保持体3との接触部位でトナー保持体3とは逆向きに回転するものであり、トナー供給部材6とトナー保持体3との間のトナー保持体3の回転方向に沿う接触幅をw(mm)、低周波電界のうちトナー保持体3上の残留トナーTをトナー保持体3側に吸引する方向の電界成分が作用する時間に相当するトナー保持体3の回転方向における移動距離をn(mm)としたときに、w>nの関係を満たすことが好ましい。これによれば、トナー供給部材6の表面は、トナーTの付着が少ない部位にてトナー供給部材6上のトナーTがトナー保持体3側へ移行され、これによりトナー供給部材6の表面は、トナーTの付着が殆どない、あるいはあっても少量のトナーTが付着している表面となり、続く凸部Sに対しては、このトナーTの付着が殆どないトナー供給部材6の表面にて凸部Sの底の方から掻き取るようになる。また、このとき、一周期に占めるトナー保持体3上の残留トナーTをトナー保持体3側に吸引する方向の電界成分が作用する時間が半分以下である方が好ましい。
【0032】
更に、電極部材7より上流側にトナー保持体3と接触又は近接して配置される部材を設け、この部材とトナー保持体3との間にトナー保持体3上のトナーTを除電するための除電電界を作用させるようにしてもよい。この場合、除電電界としては、例えば残留トナーTの帯電電荷を打ち消す方向の電界を作用させればよい。
【0033】
このような現像装置を画像形成装置に適用するには、潜像を保持する潜像保持体1と、潜像保持体1上の潜像をトナーTにて現像する現像装置とを備える態様にあって、この現像装置として、上述の現像装置を備えるようにすればよい。
【0034】
次に、図面に示す実施の形態に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
◎実施の形態1
図4は、一例として前述の実施の形態の概要で説明した現像装置が適用された実施の形態1に係る画像形成装置の概要を示す説明図である。
本実施の形態の画像形成装置は、潜像保持体としての感光体10を有し、感光体10の周りに、感光体10の表面を予め決められた電位に帯電する帯電装置11、この帯電装置11にて帯電された感光体10に対し、潜像形成のための露光を行う露光装置12、露光によって形成された潜像に対してトナーを用いて現像する現像装置20、現像された感光体10上のトナー像を図示外の記録材供給部から供給された記録材P上に転写する転写装置14、転写後の感光体10上の残留トナーを清掃する清掃装置15等が適宜配置されている。また、転写装置14にて記録材P上に転写されたトナー像は、定着装置16にて定着がなされ、定着後の記録材Pは図示外の排出部位に排出されるようになっている。
【0035】
このような画像形成装置における現像装置20は、図5のように構成されている。感光体10に対向して開口し且つ内部に現像剤としてのトナーが収容される収容容器21と、この収容容器21の前記開口に面した部位にて感光体10に対向して回転可能に設けられ且つ感光体10に対向する現像領域に向かってトナーを保持して搬送するトナー保持体としての現像ロール22とが設けられている。また、本実施の形態の現像装置20では、層形成手段として、現像ロール22の回転方向における前記現像領域より上流側位置にて現像ロール22に対向して設けられ且つ現像ロール22にトナーを供給する供給ロール23と、現像ロール22の回転方向における供給ロール23より下流側で現像ロール22に対向して設けられ且つ現像領域に向かう現像ロール22上のトナー層厚を規制する層厚規制部材24と、を備えている。更に、現像装置20には、現像ロール22の回転方向における前記現像領域より下流側で且つ供給ロール23より上流側位置にて現像ロール22に近接して配置される電極部材26と、電極部材26より上流側の収容容器21に一端が固定されると共に他の一部が現像ロール22に接触するように設けられ、トナーの収容容器21外への漏れを塞ぐシート状のシール部材25等を備えている。
【0036】
本実施の形態における現像ロール22は、例えばカーボンブラック等の導電性フィラーによって体積抵抗値が調整された弾性ゴム材料を周面に有するものが採用されているが、これに限られず、体積抵抗値が調整された部材でその周面にトナーを保持して搬送できるものであれば、例えば金属材料を用いるようにしても差し支えない。
【0037】
また、供給ロール23は、現像ロール22との接触部位で現像ロール22とは異なる方向に回転するもので、例えば体積抵抗値が調整された発泡材料で構成された発泡ロールが採用されているが、これに限られず、表面に凹凸のあるロール部材であってもよい。本実施の形態では、このような供給ロール23を用いることで、供給ロール23が現像ロール22にトナーを供給すると共に現像ロール22上の残留トナーの掻き取りも行うようになっている。
【0038】
本実施の形態の層厚規制部材24は、現像ロール22の回転方向における下流側の一端が収容容器21に固定されると共に、他端側が現像ロール22の回転方向とは逆方向に向かって延びる自由端となっており、本例では供給ロール23側に向かって延びるように構成されている。層厚規制部材24は、例えば、ステンレス合金やリン青銅合金からなる金属製板ばねに後述する帯電電界が印加されるようになっており、供給ロール23によって供給された現像ロール22上のトナーに対し、層厚を規制すると共に予め決められた帯電量に帯電するようになっている。
【0039】
そして、本実施の形態の電極部材26は、図6(a)に示すように、現像ロール22から例えば100〜400μmの間隙を持って固定的に設置されたロール状部材で構成されており、現像ロール22の現像領域の有効幅Lを超える長さまで延びるように設けられている。更に、電極部材26の両端部26a,26bにて収容容器21側に固定されるようになっており、一方の端部26a側には、後述する低周波電源34が接続されている。更に、本実施の形態の電極部材26は、その表面の算術平均粗さRaが5μm以下となるように仕上げられている。また、シール部材25は、例えば厚さ50〜100μmのポリエステルシートで構成されている。
【0040】
本実施の形態における現像装置20には、各種の電源が次のように接続されている。
図5に示すように、感光体10と現像ロール22との対向部の現像領域に対し現像ロール22上のトナーにて感光体10の潜像を現像する現像電界を形成するための現像電界形成手段が設けられている。本実施の形態の現像電界形成手段としては、感光体10が接地される一方、現像ロール22には現像電界を印加する現像電源31が接続されている。また、現像ロール22と供給ロール23の間には、供給ロール23上のトナーを現像ロール22に供給するための供給電界を印加する供給電源32が接続されている。更に、層厚規制部材24には、現像ロール22上で層厚規制されたトナー層に対し予め決められた帯電量が与えられるように帯電電界を印加する帯電電源33が接続されている。
【0041】
そして、本実施の形態では、電極部材26と現像ロール22との間の残留トナーに作用し、予め決められた低い周波数で極性が交互に周期的に変化する低周波電界を形成し、現像ロール22上の残留トナーを、低周波電界の周期に依存して現像ロール22の回転方向に対して目視可能な寸法で縞状に並ぶ凸部に変化するように、現像ロール22上の残留トナーを移動させる低周波電界形成手段としての低周波電源34が接続されている。
【0042】
本実施の形態の低周波電源34としては、図6(b)に示すように、+V1電位と−V1電位との間で互いに半周期のt1時間で反転するような低周波の矩形波が適用されている。そのため、負帯電トナーを使用したときに現像後の現像ロール22上の残留トナーに対して、電極部材26側にトナーを吸引する方向の電界(+V1の電位側)と、現像ロール22側にトナーを吸引する方向の電界(−V1の電位側)とが、交互に周期的に変化するようになっている。尚、ここでは、トナーは負に摩擦帯電するものとしている。
【0043】
このような構成の現像装置20における作用について説明する。
図5に示すように、収容容器21内のトナーは、供給ロール23の回転によって供給ロール23の周面に保持されながら、供給ロール23と現像ロール22との接触部位に向かって搬送される。供給ロール23と現像ロール22との接触部位では、両者が互いに逆向きに回転し、供給されるトナーは現像ロール22上に付着させられる。
【0044】
現像ロール22上に移動したトナーは、層厚規制部材24によって現像ロール22上で層厚が規制され、予め決められた厚さのトナー層として現像ロール22上を現像領域に向かって搬送される。このとき、層厚規制部材24による帯電電界によって、トナーには予め決められた帯電量が与えられる。尚、図中の矢印Aは、層厚規制部材24によって規制されたトナーの流れを示している。
【0045】
現像ロール22上で層厚規制がなされたトナー層は、そのまま現像領域に達し、感光体10上の画像部に対応する部位ではトナーが多く消費され、現像ロール22上には少しのトナーが残るかあるいは完全に消費されて現像ロール22表面が露出する。これに対し、非画像部ではトナーの消費が殆どなされず、現像ロール22上には多くのトナーが残る。その結果、現像後の現像ロール22上では、現像にてトナーが消費された部位と消費されなかった部位とが混在する形となって、そのまま下流側のシール部材25に向かって搬送される。そして、現像ロール22上の残留トナーはシール部材25を抜けてそのまま電極部材26との対向部位に到達する。
【0046】
図7(a)〜(c)は、電極部材26と現像ロール22との間に、低周波電界を作用させたときの残留トナーの動きを表したものである。尚、ここでは、電極部材26と現像ロール22との間で低周波電界が有効に作用する作用域をxとして示している。
【0047】
(a)は、残留トナーを電極部材26側に吸引する方向の電界が作用している状態を示しており、このとき、作用域xでは、トナーは電極部材26側に吸引されてトナーが疎状態となる。図中、斜線を付したトナーが電極部材26側に吸引され、一部のトナー(図中斑点を付したトナー)が現像ロール22側に残り、両者間には隙間が形成される。そして、現像ロール22の回転に伴って、斑点を付したトナーは作用域xから下流側に搬送されるが、作用域xには新たなトナー(図中白抜きのトナー)が搬送されて隙間を埋めるようになり、トナーは密状態となる。このとき、作用域xより現像ロール22上の下流側には、トナー量の少ない層(図中斑点を付したトナーが主体となる)が出現し、これが後述する縞状の凸部Sの間のトナーの付着が少ない凹部Rとして形成される((b)参照)。
【0048】
次に、(b)のように、トナーを現像ロール22側に吸引する方向の電界が作用すると、作用域xの隙間が埋められ密状態となったトナー層(図中斜線を付したトナーと白抜きのトナーとで構成される)は、現像ロール22側に吸引され、現像ロール22の回転に伴って、下流側に移動するようになる。
(c)は、再び、電極部材26側にトナーを吸引する方向の電界が作用した状態を示しており、作用域xでは(a)と同様に、トナーの疎状態を示している。このとき、作用域xより下流側では、(b)で形成された密状態のトナーが現像ロール22の回転に伴って移動するため、この密状態となったトナーの領域が凸部Sを形成する。
【0049】
そして、このような動作を繰り返すことで、現像ロール22の電極部材26より下流側部位には、低周波電界の半周期分(低周波電界のうち電極部材26側にトナーを吸引する方向の電界作用が作用する時間)に相当するトナーが殆ど付着していない凹部Rと、低周波電界の残りの半周期分(低周波電界のうち現像ロール22側にトナーを吸引する方向の電界作用が作用する時間)に相当するトナーが積層された凸部Sとが繰り返し形成され、連続した縞模様が出現するようになる。
【0050】
このようにして形成された現像ロール22上の縞模様は、供給ロール23と現像ロール22とのニップ域にて掻き取られるようになる。現像ロール22から掻き取られたトナーは、図5に示すように、収容容器21内に落下し、その後、再び供給ロール23を経由して現像に供されるようになる。
【0051】
次に、現像ロール22上の残留トナーを掻き取る理由について説明する。
一般に、現像時には、感光体10上の画像によって、例えばベタ画像では現像ロール22上のトナーのうち多くのトナーが感光体10側へ移動する一方、ハイライト画像では現像ロール22上のトナーのわずかな量しか感光体10側へ移動しない。その結果、現像を終えた現像ロール22上の残留トナーには、現像した画像に合わせたトナー量の分布が生じる。
【0052】
このようなトナー量の分布が残存した状態の現像ロール22から、残留トナーを掻き取り、新たに供給されるトナーで次の画像を現像することで、画像に対するゴースト等の画質劣化の発生は抑えられる。しかしながら、残留トナーの掻き取りが不十分な場合、現像ロール22上に新たに供給されるトナーは残留トナーに影響される。そのため、例えばベタ画像を形成した後にハイライト画像を形成するような場合に、出力したハイライト画像に前のベタ画像部分が薄く現れたりするような所謂ゴーストが発生し易い。
【0053】
本実施の形態では、現像後の現像ロール22上に残留した残留トナーに対して、低周波電界を作用させて縞状に並ぶ凸部を形成することで、供給ロール23による残留トナーの掻き取り性能が向上し、ゴーストの発生が抑えられるようになる。
【0054】
そして、このような現像装置20における縞模様の凹部及び凸部の大きさについて考えると、低周波電界のうち現像ロール22上の残留トナーを電極部材26側に吸引する方向の電界成分が作用する時間に相当する現像ロール22の移動距離が現像ロール22の回転方向に沿う凹部の幅となり、一方、低周波電界のうち現像ロール22上の残留トナーを現像ロール22側に吸引する方向の電界成分が作用する時間に相当する現像ロール22の移動距離が現像ロール22の回転方向に沿う凸部の幅となる。以下では、これらの凹部の幅、凸部の幅を用いて説明する。
【0055】
このような凹部や凸部の幅寸法は、現像ロール22の周速にも関係し、低周波電界の周波数を一定にした場合、周速が速ければ凹部及び凸部の幅寸法は概して大きくなり易い。一方、周速が遅ければ凹部及び凸部の幅寸法は概して小さくなり易い。そのため、縞模様の一周期分(縞状に並ぶ凸部の一周期分に相当するもので、凹部の幅寸法+凸部の幅寸法に相当する)の長さをL(mm)としたとき、低周波電界の周波数f(Hz)としては、現像ロール22の周速v(mm/秒)との関係で、f=v/Lとすればよい。
【0056】
例えば縞模様の一周期分の長さLを例えば目視可能な最小寸法として1mmを採用すれば、f=v/1となる。そのため周波数fとしてはこれ以下の小さな値となる。仮に、周波数fが高すぎると、目視可能な縞模様が形成されないばかりか、高い周波数では、トナーはどちらかというとその場で微小振動し、電極部材26によってトナーが堰き止められることなく、電極部材26の下流側には縞模様が形成されないようになる。したがって、低周波電界の周波数fとしてはある程度低い周波数が適用される。
【0057】
次に、凸部の幅について詳述する。
本実施の形態の低周波電界は、現像ロール22上のトナーを電極部材26側に吸引する電界と、反対に現像ロール22側に吸引する電界とを交互に作用させるもので、その場合の周波数f(Hz)は、次のようにして決定されている。
今、現像ロール22の周速をv(mm/秒)とし、縞状に並ぶ凸部の一周期分の長さが約4mm(縞模様の凹部及び凸部の幅が共に約2mm)となるように、その周波数fはf=v/4としている。現像ロール22の周速vが例えば330mm/秒であるとすると、このときの周波数fは82.5Hzとなる。
【0058】
ここで、縞模様の凹部及び凸部の幅寸法を2mmとしたのは、次の理由による。
図8(a)は、本実施の形態における現像ロール22と供給ロール23との接触部位(ニップ域)に対し、縞模様が形成されている(凹部R及び凸部Sが順次形成されている)様子を示している。このとき、ニップ域の現像ロール22の回転方向に沿う長さ(接触幅)は、例えば4.2mmとなっている。そのため、縞模様の凹部R及び凸部Sの幅寸法として、ニップ域の接触幅の略1/2となる2mmを採用している。
【0059】
今、図8(a)のように、現像ロール22と供給ロール23とのニップ域内に縞模様の一組の凹部R及び凸部Sが侵入した状態を仮定する。つまり、ニップ域の現像ロール22の回転方向における下流側に凹部R、上流側に凸部Sが位置している場合、供給ロール23による縞状に並ぶ凸部Sの掻き取り作用は次のように推定される。
【0060】
供給ロール23から現像ロール22に供給するためのトナーを外周に保持している供給ロール23に対して、先ず、ニップ域では凹部Rが存在するため、供給ロール23上のトナーはほぼ現像ロール22側へ移行し、この部位での供給ロール23表面は、トナーが殆どないか、少ない量のトナーしか残っていない状態となる。そのため、凸部Sに対して供給ロール23の表面が現像ロール22の表面に直接接触するようになり、凸部Sに対しては現像ロール22のほぼ表面から押すようになり、結果的に凸部Sは容易に掻き取られるようになる。
【0061】
本実施の形態では、縞状に並ぶ凸部Sの一周期分の長さ(縞模様の凹部R及び凸部Sからなる一組の幅寸法に相当する)が、現像ロール22と供給ロール23とのニップ域に対して略同じとなるように設定したが、縞模様の大きさとしてはこれに限られず、凹部R及び凸部Sの一組の幅寸法において、凹部Rの幅寸法が凸部Sの幅寸法以上であるときに、凸部Sの幅寸法がニップ域に入る寸法であればよい。この場合、供給ロール23の表面のうち、縞模様の凹部Rにてトナーが現像ロール22側に移行し、供給ロール23の部材面が現れた部分で次の凸部Sに接触するようになり、凸部Sの掻き取り性能が発揮されるようになる。仮に、凸部Sがニップ域を超える長さの場合には、ニップ域全域に亘って凸部Sが及ぶことも想定され、凸部Sがニップ域より短い場合に比べて掻き取り性能が低下する虞がある。
【0062】
そして、このような縞模様において、凸部Sの幅は、短くても差し支えないが、供給ロール23の表面性からすると、次のようになる。
図8(b)は、本実施の形態における供給ロール23と現像ロール22との接触部位を拡大した模式図であり、供給ロール23表面は、発泡体の各セル23aの部分と、セル23a間を繋ぐ骨格部23bとで構成されている。また、(c)は、供給ロール23の断面の電顕写真を示しており、図の左側が表面側となっている。
このような供給ロール23では、セル23aの幅zの中に凸部Sが存在すると、現像ロール22からの凸部Sの掻き取り性能が低下することから、凸部Sの幅寸法としては、このセル23aの幅zを超えることが必要となる。このようなセル23aの幅zとしては、通常、0.3mm程度であることから、凸部Sの幅としては、0.3mmを超えるものであればよい。
【0063】
一方、一般的に、画像上のかぶりや濃度むらは、そのピッチが、作像方向で0.5mm以上になると急激に可視化されることから、縞模様における凹部R及び凸部Sの幅も、夫々が0.5mm以上になれば容易に可視化される。また、この0.5mmは、供給ロール23のセル幅dよりも大きく、それ故、縞模様における一組の凹部R及び凸部Sの幅としては、合わせて1mm以上であればよい。
【0064】
以上のような点を考慮すると、本実施の形態において、現像ロール22の周速vを仮に330mm/秒とした場合には、低周波電界の周波数fの上限値は、縞状に並ぶ凸部Sの一周期分の長さを1mmとしたときの330Hzであり、下限値は、現像ロール22と供給ロール23との接触幅を4mmとすると、凸部Sの幅を4mmとした一周期分の長さを8mmとしたときの41.25Hzとなる。
また、上限値のより好ましい値としては、縞模様を明瞭にし、残留トナーが少ない状態でも凸部Sにおけるある程度の高さを確保することを想定すると、一周期分の長さを4mmとしたときの82.5Hzとなる。
【0065】
一方、電極部材26と現像ロール22との間隙については、広い場合と狭い場合が想定される。
図9は、電極部材26と現像ロール22との間隙Dが広い場合の縞模様について説明したものである。ここでは、現像ロール22上に厚さTtの残留トナーがあり、低周波電界の半周期毎にαの領域分のトナーが搬送されるものとする。また、電極部材26と現像ロール22との間隙Dは、D>2Ttとなっており、低周波電界の一周期では、電極部材26に吸引されたトナーが現像ロール22に接触しない程度となっている。
【0066】
このような状態で、今、(a)のように、低周波電界Eがトナーを電極部材26側に吸引する方向であるとき、電極部材26の作用域xには、一周期分のトナーが吸引される。このとき、電極部材26より下流側には、電極部材26に吸引されたトナーのαに相当する領域(図中二点鎖線部分で電極部材26に吸引されなかった場合に出現したであろう部分)が存在し、これが、第一の凹部R1となる。また、周速vで移動する現像ロール22によって搬送されるトナーは図中左側から搬送されるため、作用域xにおけるトナー溜まり(図中Txで示す部分)は電極部材26に吸引されるトナーはその上流側が厚くなる。
【0067】
次に、(b)のように、低周波電界Eが反転すると、(a)における作用域xにて電極部材26に吸引されていたトナーが現像ロール22側に吸引されて搬送され、現像ロール22上の電極部材26より下流側には凸状にトナーが付着した第一の凸部S1が形成される。このとき、電極部材26に対向する位置には新たなトナーが到達している。
【0068】
更に、低周波電界Eが反転すると、(c)のように、トナーが電極部材26側に吸引され、現像ロール22上の電極部材26より下流側には、第二の凹部R2が形成されるようになる。そして、(d)のように、低周波電界Eが、トナーを現像ロール22側へ吸引する方向に反転すると、(c)で電極部材26に吸引されたトナーが現像ロール22側に吸引され、現像ロール22上の電極部材26より下流側には第二の凸部S2が形成される。
このように、電極部材26と現像ロール22との間隙Dが十分確保されている場合、トナーは電極部材26に安定的に吸引されるため、凸部Sも安定した形状が確保されるようになる。
【0069】
一方、図10は、電極部材26と現像ロール22との間隙Dが狭い場合の縞模様について説明したものである。ここでは、電極部材26と現像ロール22との間隙Dは、D<2Ttとなっており、低周波電界の一周期では、電極部材26に吸引されたトナーが電極部材26と現像ロール22との間隙を遮蔽する程度のものとなっている。
【0070】
このような状態で、今、(a)のように、低周波電界Eがトナーを電極部材26側に吸引する方向であるとき、電極部材26の作用域xには、一周期分のトナーが吸引される。このとき、電極部材26より下流側には、電極部材26に吸引されたトナーのαに相当する領域(図中二点鎖線部分で電極部材26に吸引されなかった場合に出現したであろう部分)が存在し、これが、第一の凹部R1となる。また、周速vで移動する現像ロール22によって搬送されるトナーは図中左側から搬送されるため、電極部材26に吸引されるトナーはその下流側ではトナーの動きを堰き止めるようになり、電極部材26の上流側にも大きく膨らむトナー溜まり(図中Txで示す部分)を生じる。
【0071】
次に、(b)のように、低周波電界Eが反転すると、(a)にて電極部材26に吸引されていたトナーが現像ロール22側に吸引されて搬送され、現像ロール22上の電極部材26より下流側には凸状にトナーが付着した第一の凸部S1が形成される。このとき、電極部材26に対向する位置には新たなトナーが到達している。
【0072】
更に、低周波電界Eが反転すると、(c)のように、トナーが電極部材26側に吸引され、現像ロール22上の電極部材26より下流側には、第二の凹部R2が形成されるようになる。このとき、現像ロール22上の第二の凹部R2より下流側には、第一の凸部S1があるが、この第一の凸部S1は、どちらかというと、上流側に裾野が広がった形状となる。そして、(d)のように、低周波電界Eが、トナーを現像ロール22側へ吸引する方向に反転すると、(c)で電極部材26に吸引されたトナーが現像ロール22側に吸引され、現像ロール22上の電極部材26より下流側には第二の凸部S2が形成される。
このように、電極部材26と現像ロール22との間隙Dが狭い場合、縞模様の形状が特に凸部Sで裾野を引くような形状になり易い。しかしながら、このような形状であっても、十分掻き取り性能が確保されることは言うまでもない。
それ故、電極部材26と現像ロール22との間隙は、十分確保する方が好適であり、これらは実験等で確認して、適正な間隙を選択するようにすればよい。
【0073】
本実施の形態の画像形成装置としては、単色の画像形成装置の態様を示したが、単色に限られず、複数色の画像形成装置に適用するようにしても差し支えない。
また、電極部材26としてロール状部材を配置する態様を示したが、このようなロール状部材としては固定配置される方が好ましいが、回転する態様であっても差し支えない。電極部材26が回転する場合、電極部材26側に吸引されたトナーは少なくとも一部が低周波電界の作用域から外れた位置に移動することになるが、電極部材26の回転によって低周波電界の作用域に到達したときに縞模様を形成すればよいし、あるいは、回転中に電極部材26から落下すれば、それでもよい。更に、電極部材26を現像ロール22の回転軸に沿う方向に配置したが、現像ロール22の回転軸に対して少し斜めになる方向であっても差し支えない。尚、この場合、電極部材26と現像ロール22との間で作用する低周波電界が電極部材26の長手方向で略均一になっていることは言うまでもない。
【0074】
本実施の形態の低周波電界としては、低い周波数で極性が交互に周期的に変化するものであればよく、例えばデューティ比50%の矩形波や正弦波等が適用されるが、次のようなものであっても差し支えない。
以下に、本実施の形態における低周波電界の変形例について説明する。
【0075】
図11(a)は、低周波電界の一変形例を示すもので、中心電位を一方に偏らせたものとなっている。ここでは、例えばトナーとして負帯電トナーを使用した場合の現像ロール22に対する電極部材26の電位波形を示しており、電極部材26側へトナーを吸引する電界成分の振幅を現像ロール22側へトナーを吸引する電界成分の振幅より大きくしたものである。つまり、一方の振幅を+V2、他方の振幅を−V3(|+V2|≧|−V3|)とし、作用時間は共にt1としたものとなっている。
【0076】
このような電界による作用は次のように推定される。中心電位を偏らせることで、電極部材26側へのトナーの吸引力が高められる。通常、帯電や現像によって、残留トナーには逆極性トナーも増え、また帯電分布も広いため、電極部材26側への吸引力を強くした状態でトナーを現像ロール22から強く引き剥がす方がよく、より多くのトナーが現像ロール22上から引き剥がされ易くなる。
【0077】
また、図11(b)は、低周波電界の他の変形例を示すもので、デューティ比を50%から変化させたものとなっている。ここでは、負帯電トナーの場合に、+V1の振幅及び−V1の振幅を印加すると共に、電極部材26側へトナーを吸引する電界の作用時間t2を現像ロール22側へトナーを吸引する電界の作用時間t3より長く(t2>t3)したものである。
このような電界を作用させることで、電極部材26側へトナーを吸引する電界の作用時間t2が長くなり、その部分では縞模様のうち凹部Rが形成されることから、現像ロール22上には、(c)に示すような凹部Rが凸部Sより長い縞模様が形成される。更に、このような電界を作用させることで、凸部Sでのトナー層の層厚を高くすることも可能になり、残留トナーが少ない場合であっても、残留トナーの掻き取り性能が十分確保されるようになる。
【0078】
本実施の形態では、現像電界として直流成分を用い、低周波電界を低周波電源34(図5参照)で供給する態様を示したが、例えば現像電界として直流成分に交流成分が重畳された電界を用いる場合には、低周波電界としては、現像電界の交流成分を考慮せざるを得なくなる。
【0079】
一般に、例えば通常の現像装置等で使用される現像電界のように、高周波電界(例えば2kHz)を現像ロール22と電極部材26の間に作用させると、トナーはその場振動を繰り返しながら現像ロール22の回転によって搬送されるようになり、電極部材26で後続のトナーを堰き止める効果は作用しなくなり、電極部材26でのトナーの積層は困難となる。その結果、電極部材26より下流側の現像ロール22上には残留トナーが略そのまま搬送され、縞模様の形成はなされない。
【0080】
そのため、縞状に並ぶ凸部を形成するために、低周波電源34を用いて電極部材26と現像ロール22の間に低周波電界を作用させるようにしたが、現像電界として高周波電界を用いると、この高周波電界を踏まえた低周波電界を形成する必要がある。しかしながら、このような電界の形成は大変であり、より簡単な方法が求められる。
【0081】
このような例として、図12に示すように、現像ロール22に対し直流成分に高周波成分が重畳された現像電界を現像電源31(31a,31b)で供給する一方、電極部材26に現像電界とは別に、現像電界の高周波成分に近い周波数の高周波成分を作用させる電源35を図のように接続すると、等価的に両者の高周波成分の差分のうなり成分が、電極部材26と現像ロール22の間に作用するようになる。したがって、両者の周波数の差分が、等価的な低周波電源34(図5参照)として作用することで、縞状に並ぶ凸部の形成がなされる。
【0082】
◎実施の形態2
図13は、実施の形態2に係る現像装置20の概要を示す説明図である。
本実施の形態の現像装置20は、実施の形態1の現像装置20(図5参照)と略同様に構成されるが、現像ロール22に近接して配置される電極部材26が現像ロール22の外周面に沿った形状の板状部材で構成されている点が実施の形態1と異なる。尚、実施の形態1と同様の構成要素には同様の符号を付し、ここではその詳細な説明は省略する。
【0083】
本実施の形態では、電極部材26と現像ロール22との間に低周波電界を作用させることで、現像ロール22上のトナーは現像ロール22と電極部材26との間で吸引が繰り返され、電極部材26の下流側では、現像ロール22上に縞模様が出現する。ここでは、電極部材26の現像ロール22の回転方向に沿った方向の両端部の形状は、現像ロール22の外周面と略同様の形状を示しているが、例えば両端部を現像ロール22より遠ざけるようにしてもよく、この場合、トナーの動きが電極部材26の端部によって影響される虞も軽減される。
【0084】
また、特に、本実施の形態では、電極部材26と現像ロール22とが略平行に配置されているため、電極部材26の現像ロール22の回転方向に沿う長さ(具体的には低周波電界が作用する作用域の長さ)としては、凸部の幅(低周波電界のうち現像ロール22上の残留トナーを現像ロール22側に吸引する方向の電界成分が作用する時間に相当する現像ロール22の回転方向における移動距離に相当)以上がより好適である。これにより、縞模様の現像ロール22に対する付着力も低減される。
【0085】
図14〜16は、電極部材26と現像ロール22との間で低周波電界が作用する作用域xの長さが異なる場合の縞模様の形成作用について模式的に示したものである。
図14は、作用域xが凸部Sの幅に等しい場合を示しており、今、(a)のように、現像ロール22上に順次トナーTが搬送されている状態(斑点部分は現像ロール22上の新たに搬送されるトナーTを意味する)を想定する。
【0086】
ここで、トナーTを電極部材26側に吸引する方向の低周波電界Eが作用し、現像ロール22が周速vで回転すると、(b)に示すように、現像ロール22上のトナーTは、電極部材26側に吸引され、後続のトナーTも電極部材26側に吸引される。そのため、作用域xでは、トナーTx(以下、低周波電界Eによる吸引作用が及ぼされた部位のトナーをTxとして示す)を電極部材26側に吸引する方向の力が作用してトナー溜まりが形成される。このとき、現像ロール22上の電極部材26より下流側には、低周波電界Eが作用しない場合に搬送されたであろうトナーTの領域(図中二点鎖線で示す領域)が出現し、これが縞模様の凹部Rをなす。
【0087】
次に、(c)に示すように、低周波電界EがトナーTを現像ロール22側に吸引する方向に切り替わると、(b)の作用域xにあったトナー溜まりは下流側に搬送され、これが縞状の凸部Sを形成する。また、作用域xには新たに搬送されるトナーTが到達する。
更に、(d)に示すように、低周波電界Eが電極部材26側にトナーTを吸引する方向に切り替わると、作用域xでは(b)と同様にトナー溜まりが形成される。このとき、作用域xの下流側には、新たな凹部Rが出現する。
このような動作を繰り返すことで、現像ロール22上の電極部材26より下流側には、縞状に並ぶ凸部Sを有する縞模様が形成される。
【0088】
また、図15は、作用域x1が凸部Sの幅より長い場合(x1>xの場合)を示しており、今、(a)のように、現像ロール22上に順次トナーTが搬送されている状態(斑点部分は現像ロール22上の新たに搬送されるトナーTを意味する)を想定する。
【0089】
ここで、トナーTを電極部材26側に吸引する方向の低周波電界Eが作用し、現像ロール22が周速vで回転すると、(b)に示すように、現像ロール22上のトナーTは、電極部材26側に吸引され、後続のトナーTも電極部材26側に吸引される。そのため、作用域x1では、トナーTを電極部材26側に吸引する方向の力が作用してトナー溜まりが形成される。このとき、現像ロール22上の電極部材26より下流側には、低周波電界Eが作用しない場合に搬送されたであろうトナーTの領域が出現し、これが縞模様の凹部Rをなす。
【0090】
次に、(c)に示すように、低周波電界EがトナーTを現像ロール22側に吸引する方向に切り替わると、(b)の作用域x1にあったトナー溜まりは下流側に搬送されるが、一部は作用域x1の範囲内に残存し、作用域x1を超えて下流側に搬送された部分が凸部Sを形成する。また、作用域x1には新たに搬送されるトナーTが到達する。
更に、(d)に示すように、低周波電界Eが電極部材26側にトナーTを吸引する方向に切り替わると、作用域x1では、残存したトナーTxと、新たに搬送されたトナーTとが相俟って電極部材26側に吸引され、新たなトナー溜まりが形成される。このとき、下流側に搬送された凸部Sと作用域x1との間に新たな凹部Rが出現する。
【0091】
更に、(e)に示すように、低周波電界EがトナーTを現像ロール22側に吸引する方向に切り替わると、(d)で作用域x1にあったトナー溜まりの一部が作用域x1を通過して凸部Sを形成するようになる。
このような動作を繰り返すことで、現像ロール22上の電極部材26より下流側には、縞状に並ぶ凸部Sを有する縞模様が形成される。
【0092】
また、図16は、作用域x2が凸部Sの幅より短い場合(x2<xの場合)を示しており、今、(a)のように、現像ロール22上に順次トナーTが搬送されている状態(斑点部分は現像ロール22上の新たに搬送されるトナーTを意味する)を想定する。
【0093】
ここで、トナーTを電極部材26側に吸引する方向の低周波電界Eが作用し、現像ロール22が周速vで回転すると、(b)に示すように、現像ロール22上のトナーTは、電極部材26側に吸引され、後続のトナーTも電極部材26側に吸引される。そのため、作用域x2ではトナー溜まりが形成されるが、このとき、後続のトナーTの搬送力によって作用域x2のトナー溜まりは影響され、作用域x2の上流側にも延びるようになる。そして、現像ロール22上の電極部材26より下流側には、低周波電界Eが作用しない場合に搬送されたであろうトナーTの領域が出現し、これが縞模様の凹部Rをなす。
【0094】
次に、(c)に示すように、低周波電界EがトナーTを現像ロール22側に吸引する方向に切り替わると、(b)の作用域x2にあったトナー溜まりは下流側に搬送されるが、これと共に、図中βで示す部分、つまり、電極部材26側に吸引される方向の電界の作用を受けなかった部分も一緒になって作用域x2を通過する。そして、作用域x2にあったトナー溜まりとこのβの部分とで縞状の凸部Sが形成される。
更に、(d)に示すように、低周波電界Eが電極部材26側にトナーTを吸引する方向に切り替わると、作用域x2では(b)と同様にトナー溜まりが形成される。このとき、作用域x2の下流側には、新たな凹部Rが出現する。
このような動作を繰り返すことで、現像ロール22上の電極部材26より下流側には、縞状に並ぶ凸部Sを有する縞模様が形成される。
【0095】
以上のように、作用域xの幅が凸部Sの幅以上であれば、作用域xの下流側に出現する凸部Sは作用域xの範囲内で電極部材26側に吸引される電界の作用を受けるようになる。一方、作用域xの幅が凸部Sの幅未満であると、作用域xの下流側に出現する凸部Sには、作用域xにて電極部材26側に吸引される電界の作用を受けずにそのまま作用域xを通過した部分が混在する。そのため、作用域xの下流側での現像ロール22に対するトナーの付着力は、作用域xの幅が凸部Sの幅以上であるときの方が、そうでないときより小さくなり、現像ロール22からの掻き取り性能が一層発揮され易くなる。それ故、作用域xとしては、凸部Sの幅以上の方が好適である。
尚、作用域xが凸部Sの幅未満の場合にも、現像ロール22の回転方向下流側には、例えば図16(d)に示すように、凸状の部分が出現するため、掻き取り時には、この凸状の部分ごと現像ロール22の表面に沿って掻き取り力が生じ、凸部Sが形成されない場合に比べて掻き取り性能が向上していることは言うまでもない。
【0096】
このような作用域xの幅については、本実施の形態のみならず、例えば実施の形態1のように、電極部材26が曲面を有するものであっても同様であり、更には、電極部材26が現像ロール22に接触する態様であっても同様であることは言うまでもない。
【0097】
◎実施の形態3
図17(a)は、実施の形態3に係る現像装置20の概要を示す説明図であり、(b)は(a)の部分拡大図である。
本実施の形態の現像装置20は、実施の形態1の現像装置20(図5参照)と略同様に構成されるが、電極部材26が現像ロール22に接触した構成のものとなっている点が実施の形態1と異なる。尚、実施の形態1と同様の構成要素には同様の符号を付し、ここではその詳細な説明は省略する。
【0098】
本実施の形態の電極部材26は、例えばポリエステルシート等の弾性変形可能な基材26Aの片面に導電処理を施した導電層26Bを形成し、更に、その表面に例えばフッ素系樹脂層やポリオレフィン系樹脂よりなる体積抵抗率が例えば106Ω・cm以上の絶縁性の離型層26Cを設けたシート状部材で構成されている。このような電極部材26は、収容容器21の一部に一端側が固定され、他端側が現像ロール22の回転方向に沿って延びる自由端となっており、その端部より内側で現像ロール22と接触するように構成されている。更に、電極部材26の現像ロール22の回転軸方向に沿った長さは、現像領域の有効幅を超える長さとなっている。
【0099】
このような構成において、電極部材26のうち少なくとも現像ロール22との接触部位が弾性変形することで、電極部材26側にトナーを吸引する方向の電界が作用したときにも、堰き止めるトナーの量に応じて電極部材26と現像ロール22との間隙が開き、両者間のトナー量に応じてその姿勢が適宜変化するようになる。
【0100】
そのため、電極部材26に吸引したトナーが現像ロール22側に吸引されても、縞状に並ぶ凸部は安定して形成されることから、現像ロール22上の電極部材26より下流側には安定した縞模様が出現する。そのため、縞状に並ぶ凸部に対する掻き取り性能が十分発揮されるようになる。
【0101】
◎実施の形態4
図18は、実施の形態4に係る現像装置20の概要を示す説明図である。
本実施の形態の現像装置20は、実施の形態1の現像装置20(図5参照)と略同様に構成されるが、供給ロール23の回転方向が実施の形態1と異なり、現像ロール22との接触部位で現像ロール22と同じ方向に回転している。尚、実施の形態1と同様の構成要素には同様の符号を付し、ここではその詳細な説明は省略する。
【0102】
本実施の形態では、供給ロール23が現像ロール22との接触部位で現像ロール22と同じ方向に回転しており、両者間には周速差が設けられている。つまり、供給ロール23の回転方向が実施の形態1と異なるため、現像ロール22に供給されるトナーは供給ロール23と現像ロール22との間を通過するが、周速差がトナーに負荷を与えない程度となっているため、現像ロール22上のトナーは層厚規制部材24にて予め決められた層厚に規制されると共に予め決められた帯電量に帯電される。尚、図中矢印Bは層厚規制部材24によって規制されたトナーの流れを示す。
【0103】
このような構成における現像ロール22上の縞状の凸部に対する掻き取り作用について説明する。
図19(a)は本実施の形態における現像ロール22と供給ロール23との接触部位(ニップ域)に対し、縞状に並ぶ凸部Sが形成されている様子を示し、(b)はその要部を拡大したものである。本実施の形態では、供給ロール23によって供給されるトナーTは、図中下方から搬送される。今、接触部位(図中接触幅wの部位)に凹部Rと凸部Sがある場合を想定すると、凹部Rにて供給ロール23上のトナーは現像ロール22の表面に達するが、このとき、現像ロール22の周速v1と供給ロール23の周速v2との間に周速差を持たせているため、凸部Sの先端部位には図中F2で示す方向の力が作用する。これにより、トナーを掻き取る効果が生じ、現像ロール22上の残留トナーは掻き取られる。尚、ここでは、現像ロール22の周速が供給ロール23の周速より小さい態様を示したが、逆に供給ロール23の周速が現像ロール22の周速より小さくても同様の効果を奏することは言うまでもない。
【0104】
◎実施の形態5
図20は、実施の形態5に係る現像装置20の概要を示す説明図である。
本実施の形態の現像装置20は、実施の形態1(図5参照)と略同様に構成されるが、電極部材26と現像ロール22との間隙を変化させるために、電極部材26を移動させる間隙可変機構50を備えている点が実施の形態1と異なる。尚、実施の形態1と同様の構成要素には同様の符号を付し、ここではその詳細な説明は省略する。
【0105】
本実施の形態の間隙可変機構50は、電極部材26と現像ロール22との間隙が異なる二箇所の位置で電極部材26を移動させる構成を備えている。このような間隙の変化は、例えばトナーや現像ロール22の表面の経時による変化により、残留トナー量が増加する場合に、電極部材26を現像ロール22から遠ざけることで縞状に並ぶ凸部が良好に形成されるようにしている。
【0106】
本実施の形態では、電極部材26を現像ロール22に近接した状態の二箇所の位置の間で移動させる態様を示したが、例えば実施の形態3(図17参照)のように電極部材26が弾性を有する態様にあっては、現像ロール22に接触する位置と近接する位置との間で移動させるようにしても差し支えない。更には、移動位置としては二箇所に限られず、三箇所以上備えていても差し支えない。
そして、本実施の形態では、電極部材26を移動させる態様を示したが、電極部材26の移動と共に低周波電界の大きさを変化させるようにしてもよい。この場合、残留トナー量が多くなった場合、電極部材26を現像ロール22から遠ざけて電界強度を大きくするようにするなどの態様が挙げられる。
【0107】
◎実施の形態6
図21は、実施の形態6に係る現像装置20の概要を示す説明図である。
本実施の形態の現像装置20は、これまでの実施の形態と異なり、使用する現像剤が二成分現像剤であり、現像ロール22に対して二成分現像剤のうちのトナーを供給するようになっている。尚、実施の形態1と同様の構成要素には同様の符号を付し、ここではその詳細な説明は省略する。
【0108】
同図において、本実施の形態の現像装置20は、収容容器21の開口に対応して、現像ロール22が設けられると共に、現像ロール22と離間して対向する位置には供給ロール27が設けられている。本実施の形態の供給ロール27は、周面に回転可能なスリーブ27aを有し、内部に適宜配置された磁極を有する固定的な磁石体27bとで構成されている。
【0109】
更に、供給ロール27の背後には、収容容器21の一部で構成される仕切壁21aを中心にして、二成分現像剤を搬送する二つの搬送路41,42が供給ロール27の回転軸方向に沿って配置され、これら二つの現像剤搬送路41,42には、共に両端部位に設けられた図示外の連絡用開口を介して繋がった構成となっている。
二つの現像剤搬送路41,42には、夫々の現像剤搬送路41,42の長手方向に沿って現像剤を攪拌しながら搬送する攪拌搬送部材43,44が夫々設けられており、攪拌搬送部材43,44による現像剤の搬送方向を互いに異ならせることで、現像剤は二つの現像剤搬送路41,42の間を互いに循環搬送されるようになっている。
【0110】
そのため、供給ロール27では、供給ロール27に近い現像剤搬送路41からの現像剤を吸着しながらスリーブ27aの回転によってその表面に現像剤を保持して搬送するようになっている。また、磁石体27bの一部には、隣り合う同極の磁極を配置することで、この部位では互いの反発磁界によってスリーブ27a上の現像剤が剥離されるようになっている。
【0111】
このような構成の現像装置20において、現像剤は現像剤搬送路41,42中で攪拌搬送部材43,44によって攪拌搬送されることで、現像剤中のトナーは予め決められた帯電量に帯電される。帯電されたトナーを有する現像剤は、供給ロール27上に搬送されるが、供給ロール27に対向して設けられた層厚規制部材28によって、供給ロール27上の現像剤量は規制され、一定になった現像剤量が現像ロール22との対向部位に搬送される。この対向部位では、磁極の作用により、現像剤が十分な穂立ちがなされると共に供給電界が供給電源32によって付与されることで、予め決められた現像剤中のトナー量が現像ロール22に移動する。
【0112】
現像ロール22に移動したトナーは、その量が規制されると共に十分な帯電がなされていることから、特に、帯電を付与させる必要はないが、別途帯電を付与するコロナ帯電器等の部材を設けるようにしても差し支えない。
そして、現像ロール22の回転によって現像域に達したトナーは、感光体10と現像ロール22との現像電界によって現像され、現像域を通過した後の残留トナーは、シール部材25を通過後、電極部材26との対向部位に達し、低周波電界によって縞状に並ぶ凸部が形成される。供給ロール27と現像ロール22との対向部位では供給ロール27側から現像剤の十分な穂立ちがなされているため、この穂立ちによって現像ロール22上の縞状に並ぶ凸部は現像ロール22から掻き取られる。
【0113】
図22(a)は、本実施の形態における現像ロール22と供給ロール23との対向部位に対し、縞模様が形成されている様子を示し、(b)はその要部を拡大したものとなっている。
本実施の形態では、現像ロール22と現像剤Gとの接触部位(接触幅wに相当)では、凹部Rにて現像ロール22の表面に現像剤Gが到達しているため、凸部Sに対しては、図中F3のような力が作用し、凸部Sは十分掻き取られるようになる。
【0114】
◎実施の形態7
図23は、実施の形態7に係る現像装置20の概要を示す説明図である。
本実施の形態の現像装置20は、これまでの実施の形態と異なり、電極部材を二箇所に設けた構成のものである。本例では、シール部材25に新たな電極部材としての機能を持たせ、このシール部材25と、その下流側の電極部材26との二箇所に対し、現像ロール22との間に同じ低周波電界を作用させるように低周波電源34を接続したものとなっている。尚、実施の形態1と同様の構成要素には同様の符号を付し、ここではその詳細な説明は省略する。
【0115】
本実施の形態におけるシール部材25は、現像ロール22に面する側に導電性の被覆処理がなされており、このシール部材25及び電極部材26は共に低周波電源34に接続されている。
【0116】
このような構成における現像ロール22上の縞状に並ぶ凸部の形成過程について図24を基に説明する。ここでは、シール部材25によって形成された縞状に並ぶ凸部Sとして、第一の凸部S1から第六の凸部S6までが間隔を置いて順次形成されているものとする。
(a)はシール部材25のみで、後続の電極部材26を備えない場合の縞模様の様子を示している。また、(b)は(a)に更に電極部材26を備えた場合の縞模様の様子を示している。
シール部材25と現像ロール22との間に作用する低周波電界によって形成された凸部は、電極部材26と現像ロール22との間で更に低周波電界が作用することで上流側に移動する。ここでは、(b)において、凸部S1〜S3が上流側に移動した状態を示している。
【0117】
このように、シール部材25と電極部材26の二箇所で同じ低周波電界を作用させることで、現像ロール22上の残留トナーは、シール部材25によって一旦形成された縞模様のうちの凸部Sが電極部材26によって更に吸引されることで、電極部材26の下流側の凸部Sの現像ロール22に対する付着力が低減され、掻き取りが一層やり易くなる。
【0118】
ここでは、シール部材25及び電極部材26に同じ低周波電源34(図23参照)を接続する態様を示したが、夫々に異なる電源を接続しても差し支えなく、電極部材26の下流側に形成される縞状の凸部の大きさを適宜選択するようにすればよい。
【0119】
◎実施の形態8
図25は、実施の形態8に係る現像装置20の概要を示す説明図である。
本実施の形態の現像装置20は、現像ロール22へのトナーの供給に供給ロールを用いずに、現像ロール22に近接して配置される供給部材29を用いた点が他の実施の形態と異なる。尚、実施の形態1と同様の構成要素には同様の符号を付し、ここではその詳細な説明は省略する。
【0120】
本実施の形態では、現像ロール22にトナーを保持させ、トナー層厚を規制する層形成手段として、トナーを貯留して現像ロール22に供給する供給部材29と層厚規制部材24とで構成されている。
本実施の形態の供給部材29は、窪みを有する構成で配置され、この窪みに供給のためのトナーが貯留され、貯留されたトナーが回転する現像ロール22に接触することで、トナーの供給がなされるようになっている。尚、収容容器21中の現像ロール22より下方に落下したトナーは、図示外の機構によって供給部材29の窪み側に搬送されるようになっている。
【0121】
このような構成において、電極部材26と現像ロール22との間の低周波電界にて形成された現像ロール22上の縞状の凸部は、供給部材29と現像ロール22との間では、トナーが現像ロール22側に供給されることで、掻き取ったり、あるいは、層厚規制部材24と現像ロール22との間で掻き取られるようになる。
したがって、このような構成であっても、現像ロール22上のトナーの掻き取り性能が確保され、ゴースト等の画像欠陥発生が抑えられる。
【0122】
以上のような実施の形態によれば、現像後の現像ロール22上の残留トナーに対する除去性能が改善される結果、ゴーストの発生が抑えられると共に、地肌かぶり等の画像欠陥が抑えられた良好な画像が長期に亘り一定に維持されるようになる。
このような縞状に並ぶ凸部の形成がなされない従来法の場合には、現像ロール22上の残留トナーの除去性能が劣るので、現像されないで残留したトナーが、継続して現像ロール22上に残り続け、現像ロール22と、供給ロール23、層厚規制部材24及び感光体10との夫々の対向部位を連続して通過することにより、トナーがストレスを受け、トナー表面の外添剤の剥離や埋没が起こっていた。トナー表面の外添剤が剥離したり埋没したりすると、トナー表面の帯電性が変化し、帯電量の低下が生じる。また、トナーの流動性も低下し、現像ロール22上のトナー薄層の形成にもムラが起こるようになる。これらの結果、画像に地肌かぶりが発生し、画像に筋が発生する。このように、従来法では地肌かぶりなどが抑えられた画質を長期に亘り維持することが困難であったが、本実施の形態のように、縞状に並ぶ凸部を形成することで、現像ロール22上の残留トナーが良好に除去されることで、トナーの外添剤の剥離や埋没が抑えられ、長期に亘って良好な画質が維持される効果も認められる。
【実施例】
【0123】
本実施例は、現像ロールの周速と低周波電界の周波数との関係を確認するために行ったもので、実験条件は次のようにした。
・現像ロールの外径:φ18mm
・供給ロールの外径:φ18mm
・現像ロールと供給ロールのニップ域の接触幅:供給ロールの食い込み量を0.5mmに設定することで、4.25mm
・電極部材:φ5mmのステンレス棒
・電極部材と現像ロールとの間隙:300μm
・現像ロールの周速:300mm/秒
・低周波電界(矩形波)のVpp:1.2kV(トナーが現像ロールから飛翔し、かつ、リーク放電が起きない範囲で、間隙との関係で適宜設定できる。例えば0.8kV〜2kV。)
【0124】
評価は、シール部材後の現像ロール上の模様を目視確認すると共に、ベタ印刷後に網点30%の画像形成を行った際のゴーストの発生状況を目視確認により評価した。尚、ゴーストは、次の評価によった。○印:問題なし、△印:ゴーストが若干見受けられるが実用上問題ないレベル、×印:ゴースト有り
【0125】
結果は、図26に示すように、凸部の幅が狭くなれば縞模様がやや不明瞭になるが、ゴーストの発生からは、凸部の幅が0.8〜3mmで問題ない結果であり、縞模様の目視結果からすると、凸部の幅が1.2mm以下の場合には多少崩れる傾向が確認された。そのため、より好適な周波数としては、凸部の幅が1.5〜3mmの125〜50Hzであることが確認された。更に、本願発明者らは、凸部の幅が4mmとなる周波数37.5Hzを追加したところ、ゴーストが問題ないことを確認した。
この結果から、縞状に並ぶ凸部の形成が有効に作用していることが確認された。
【符号の説明】
【0126】
1…潜像保持体,2…収容容器,3…トナー保持体,4…現像電界形成手段,5…層形成手段,6…トナー供給部材,7…電極部材,8…低周波電界形成手段,T…トナー,DR…現像領域,S…凸部,w…接触幅
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置及びこれを用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、現像剤規制部材(規制ブレード)への現像剤(トナー)の融着を防ぐため、現像剤担持体と現像剤規制部材との間に現像剤を断続的に供給することで現像剤規制部材を上下動させることを狙いとして、現像動作時以外の時間に、両者間に交流電界を作用させて現像剤を縞状にする技術が記載されている。
特許文献2には、現像後の現像剤担持体上の現像剤を一以上の線材で剥離する構成が記載され、線材には交流バイアス500〜1500Vpp、50〜5000Hzを印加することも記載されている。
特許文献3には、現像後の現像剤担持体に対して複数の接触部材を接触させ、上流側の接触部材に現像剤を回収する方向の直流バイアスを印加し、下流側に交番電界を印加する方式が記載され、上流側の接触部材としてフィルム状の部材を用い、下流側の接触部材としてローラ状の部材を用いて、交番電界としては2kVpp、2kHzを印加することが記載されている。
特許文献4には、現像後のトナー担持体上のトナーをトナー担持体から一旦剥離させて再付着させるため、対向電極を設け、この対向電極に振動電界を作用させることが記載され、振動電界としては現像バイアスの周波数2〜3kHzを作用させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−258345号公報(発明を実施するための最良の形態、図1)
【特許文献2】特開平6−51623号公報(実施例、図5)
【特許文献3】特開平10−319720号公報(実施例、図1)
【特許文献4】特開2007−86447号公報(発明を実施するための最良の形態、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、現像後のトナー保持体上の残留トナーに対する除去性能を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、潜像を保持する潜像保持体に対向して開口し且つ内部に現像剤としてのトナーが収容される収容容器と、この収容容器の前記開口に面した部位にて前記潜像保持体に対向して回転可能に設けられ且つ前記潜像保持体に対向する現像領域に向かってトナーを保持して搬送するトナー保持体と、前記潜像保持体と前記トナー保持体とが対向する前記現像領域に対し前記トナー保持体上のトナーにて前記潜像保持体の潜像を現像する現像電界を形成する現像電界形成手段と、前記トナー保持体に対して設けられ、前記現像領域に向かうトナー保持体上に予め決められた層厚のトナー層を形成する層形成手段と、前記トナー保持体の回転方向における前記現像領域より下流側で且つ前記層形成手段より上流側位置にて前記トナー保持体に対向して配置されると共に前記トナー保持体の回転方向に交差する方向に延びるように設けられ、少なくとも一部が導電性部材にて構成され且つ当該導電性部材と前記トナー保持体との間に電界を作用させるために用いられる電極部材と、この電極部材と前記トナー保持体との間の残留トナーに作用し且つ予め決められた低い周波数で極性が交互に周期的に変化する低周波電界を形成し、前記トナー保持体上の残留トナーが、前記低周波電界の周期に依存して前記トナー保持体の回転方向に対して目視可能な寸法で縞状に並ぶ凸部に変化するように、前記トナー保持体上の残留トナーを移動させる低周波電界形成手段と、を備えることを特徴とする現像装置である。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る現像装置において、前記低周波電界形成手段は、前記低周波電界を形成するに当たり、前記トナー保持体の周速をv(mm/秒)、前記低周波電界の周波数をf(Hz)、前記縞状に並ぶ凸部の一周期分の最小寸法をd(mm)としたときに、f≦v/dの関係を満たすことを特徴とする現像装置である。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る現像装置において、前記電極部材は、前記層形成手段によって形成された前記トナー保持体上のトナー層の厚みを超える間隙を保って前記トナー保持体に対向して配置されたロール状部材であることを特徴とする現像装置である。
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれかに係る現像装置において、前記電極部材のうち前記トナー保持体の回転方向に沿う前記低周波電界の作用域の幅をm(mm)、前記低周波電界のうち前記トナー保持体上の残留トナーを当該トナー保持体側に吸引する方向の電界成分が作用する時間に相当するトナー保持体の回転方向における移動距離をn(mm)としたときに、m≧nの関係を満たすことを特徴とする現像装置である。
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかに係る現像装置において、前記低周波電界形成手段は、前記低周波電界を形成するに当たり、トナーを前記トナー保持体側から前記電極部材側に吸引する電界成分をE1、トナーを前記電極部材側から前記トナー保持体側に吸引する電界成分をE2としたときに、E1≧E2の関係を満たすことを特徴とする現像装置である。
請求項6に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかに係る現像装置において、前記低周波電界形成手段は、前記低周波電界を形成するに当たり、前記低周波電界の一周期のうち、トナーを前記トナー保持体側から前記電極部材側に吸引する電界成分の作用時間をt1、トナーを前記電極部材側から前記トナー保持体側に吸引する電界成分の作用時間をt2としたときに、t1≧t2の関係を満たすことを特徴とする現像装置である。
請求項7に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかに係る現像装置において、前記現像電界形成手段は、予め決められた高い周波数で極性が交互に周期的に変化する高周波電界が含まれる現像電界を形成するものであり、前記低周波電界形成手段は、前記現像電界の高周波電界に近い周波数の高周波電界を前記電極部材に作用させ、前記二つの高周波電界の差分からなる低い周波数のうなり成分を前記低周波電界としたことを特徴とする現像装置である。
請求項8に係る発明は、請求項1乃至7のいずれかに係る現像装置において、前記電極部材による電界作用領域は、前記現像領域の長手方向有効幅よりも長い寸法に設定されていることを特徴とする現像装置である。
請求項9に係る発明は、請求項1乃至8のいずれかに係る現像装置において、前記電極部材を移動可能に支持し且つ前記トナー保持体との間隙を変化させる間隙可変機構を更に備えることを特徴とする現像装置である。
請求項10に係る発明は、請求項1乃至9のいずれかに係る現像装置のうち前記層形成手段がトナー保持体に接触してトナーを供給するトナー供給部材を有する態様において、前記トナー供給部材は、前記トナー保持体との接触部位で当該トナー保持体とは逆向きに回転するものであり、前記トナー供給部材と前記トナー保持体との間の前記トナー保持体の回転方向に沿う接触幅をw(mm)、前記低周波電界のうち前記トナー保持体上の残留トナーを当該トナー保持体側に吸引する方向の電界成分が作用する時間に相当するトナー保持体の回転方向における移動距離をn(mm)としたときに、w>nの関係を満たすことを特徴とする現像装置である。
請求項11に係る発明は、潜像を保持する潜像保持体と、この潜像保持体上の潜像をトナーにて現像する請求項1乃至10のいずれかに係る現像装置と、を備えることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る発明によれば、現像後のトナー保持体上の残留トナーに対する除去性能を改善できる。また、除去性能が改善されることに伴い、残留トナーに起因して生じる画像ゴースト現象や地肌かぶりなどの画像欠陥の発生を抑えることができる。
請求項2に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、現像後のトナー保持体上の残留トナーに対し、目視可能な縞状に並ぶ凸部を生成するための低周波電界を容易に形成できる。
請求項3に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、トナー保持体上の残留トナーに対し低周波電界を集中させて作用させることができる。
請求項4に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、現像後のトナー保持体上の残留トナーを広範囲に亘って電極部材側に吸引させることができ、その分、縞状に並ぶ凸部でのトナー保持体に対する付着力を低減できる。
請求項5に係る発明によれば、トナー保持体上の残留トナーに対し剥がし方向の電界成分の作用を逆方向の電界成分以上に強く設定することができる。
請求項6に係る発明によれば、トナー保持体上の残留トナーに対し剥がし方向の電界成分の作用時間を逆方向の電界成分以上に長く設定することができる。
請求項7に係る発明によれば、現像電界として高周波電界が含まれる態様において、低周波電界の形成が容易に実現できる。
請求項8に係る発明によれば、トナー保持体の現像領域の長手方向の幅全域に面して残留するトナーに対する除去性能を改善することができる。
請求項9に係る発明によれば、電極部材とトナー保持体との間隙を変化させることができ、経時による残留トナー量の変動にも対応させることができる。
請求項10に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、トナー供給部材とトナー保持体との接触部位にてトナー保持体上の残留トナーを有効に除去できる。
請求項11に係る発明によれば、現像後のトナー保持体上の残留トナーに対する除去性能を改善できる画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明を具現化する実施の形態モデルに係る現像装置の概要を示す説明図であり、(a)は全体構成、(b)は(a)の要部拡大である。
【図2】(a)〜(d)は低周波電界による縞状に並ぶ凸部の形成過程を模式化した説明図である。
【図3】トナー供給部材による残留トナーに対する掻き取り作用を示す説明図であり、(a)及び(b)は縞状に並ぶ凸部が形成された場合、(c)及び(d)は縞状に並ぶ凸部が形成されない場合を示す。
【図4】実施の形態1の画像形成装置の概要を示す説明図である。
【図5】実施の形態1の現像装置の概要を示す説明図である。
【図6】(a)は実施の形態1の電極部材の取り付け構造、(b)は実施の形態1の低周波電界の波形を示す説明図である。
【図7】(a)〜(c)は本実施の形態における低周波電界による縞状に並ぶ凸部の形成過程を示す説明図である。
【図8】(a)は供給ロールと現像ロールとの接触部位を拡大した模式図、(b)は供給ロールの断面拡大図、(c)は供給ロール23の断面の電顕写真である。
【図9】(a)〜(d)は電極部材と現像ロールとの間隙が広い場合の縞状の凸部の形成過程を示す模式図である。
【図10】(a)〜(d)は電極部材と現像ロールとの間隙が狭い場合の縞状の凸部の形成過程を示す模式図である。
【図11】(a)は低周波電界の変形例を示す説明図、(b)は低周波電界の他の変形例を示す説明図、(c)は(b)により形成される縞状の凸部を示す。
【図12】変形例としての現像装置の概要を示す説明図である。
【図13】実施の形態2の現像装置の概要を示す説明図である。
【図14】(a)〜(d)は電極部材の作用域が凸部の幅に相当する場合のトナーの動きを示す模式図である。
【図15】(a)〜(e)は電極部材の作用域が凸部の幅を超える場合のトナーの動きを示す模式図である。
【図16】(a)〜(d)は電極部材の作用域が凸部の幅より短い場合のトナーの動きを示す模式図である。
【図17】(a)は実施の形態3の現像装置の概要を示す説明図であり、(b)は電極部材の断面拡大図である。
【図18】実施の形態4の現像装置の概要を示す説明図である。
【図19】実施の形態4における(a)は供給ロールと現像ロールとの接触部位を拡大した模式図、(b)は(a)の要部拡大図である。
【図20】実施の形態5の現像装置の概要を示す説明図である。
【図21】実施の形態6の現像装置の概要を示す説明図である。
【図22】実施の形態6における(a)は供給ロールと現像ロールとの接触部位を拡大した模式図、(b)は(a)の要部拡大図である。
【図23】実施の形態7の現像装置の概要を示す説明図である。
【図24】実施の形態7での縞状に並ぶ凸部の形成過程を示す模式図であり、(a)は電極部材が一つの場合、(b)は電極部材が二つの場合を示す。
【図25】実施の形態8の現像装置の概要を示す説明図である。
【図26】実施例の結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
◎実施の形態の概要
先ず、本発明が適用された現像装置の実施の形態の概要について、図1の本発明を具現化する実施の形態モデルに係る現像装置を用いて説明する。尚、図1(a)は全体構成を示し、(b)は(a)の要部拡大を示す。
【0010】
同図において、現像装置は、潜像を保持する潜像保持体1に対向して開口し且つ内部に現像剤としてのトナーTが収容される収容容器2と、この収容容器2の前記開口に面した部位にて潜像保持体1に対向して回転可能に設けられ且つ潜像保持体1に対向する現像領域DRに向かってトナーTを保持して搬送するトナー保持体3と、潜像保持体1とトナー保持体3とが対向する現像領域DRに対しトナー保持体3上のトナーTを飛翔させて潜像保持体1の潜像を現像する現像電界を形成する現像電界形成手段4と、トナー保持体3に対して設けられ、現像領域DRに向かうトナー保持体3上に予め決められた層厚のトナー層を形成する層形成手段5と、トナー保持体3の回転方向における現像領域DRより下流側で且つ層形成手段5より上流側位置にてトナー保持体3に対向して配置されると共にトナー保持体3の回転方向に交差する方向に延びるように設けられ、少なくとも一部が導電性部材にて構成され且つ当該導電性部材とトナー保持体3との間に電界を作用させるために用いられる電極部材7と、この電極部材7とトナー保持体3との間の残留トナーTに作用し且つ予め決められた低い周波数で極性が交互に周期的に変化する低周波電界を形成し、トナー保持体3上の残留トナーTが、前記低周波電界の周期に依存してトナー保持体3の回転方向に対して目視可能な寸法で縞状に並ぶ凸部Sに変化するように、トナー保持体3上の残留トナーTを移動させる低周波電界形成手段8と、を備えている。
【0011】
ここで、トナー保持体3の形状はロール形状であってもよいし、ベルト形状であってもよい。更に現像電界形成手段4による現像電界は、直流成分のみ、あるいは、直流成分に交流成分を重畳させたものであってもよい。また、トナー保持体3と潜像保持体1とは現像領域DRにおいてトナーTを介して接触していてもよい。
【0012】
層形成手段5は、トナー保持体3上で現像領域DRに向かうトナー層を形成するもので、トナー保持体3上に予め決められた厚さのトナー層を形成する手段であれば特に限定されず、例えばトナー保持体3にトナーTを供給するトナー供給部材6と、このトナー供給部材6の下流側にてトナー保持体3上のトナー層厚を規制する層厚規制部材と、で構成されるものであってもよいし、トナーTを供給するために例えば窪みを有する部材をトナー保持体3に近接して配置し、この部位の下流側に、トナー保持体3上のトナー層厚を規制する層厚規制部材を設ける等の態様が挙げられる。このような層形成手段5によって、縞状に並ぶ凸部Sの少なくとも一部がトナー保持体3から掻き取られるようになる。
【0013】
電極部材7は、トナー保持体3に近接又は接触して配置されるもので、近接する態様にあっては、例えばロール状、板状等の部材を配置する態様が挙げられ、接触する態様にあっては、トナーTが通過可能となるように弾性変形する例えばシート状部材を用いる態様が挙げられる。また、電極部材7は、トナー保持体3の回転方向に交差する方向に延びるように設けられればよいが、設置スペースを小さくしたり、構成を簡略化する点では交差方向のうちトナー保持体3の回転方向に直交する幅方向に延びるように設ければよい。更に、電極部材7の表面粗さは小さい方がよく、電極部材7の表面に対するトナーTの固着が抑えられると共に電極部材7側に吸引されたトナーTがトナー保持体3側へ容易に吸引されるようになる。
【0014】
また、低周波電界形成手段8は、電極部材7を通過したときの残留トナーTが縞状に並ぶ凸部Sに変化するような低周波電界を形成するもので、トナー保持体3と電極部材7との間に矩形波、正弦波等の極性が交互に周期的に変化する電界が適用される。更に、矩形波を適用させる場合には、そのデューティ比を変化させるようにすれば、縞状に並ぶ凸部Sの間隔が異なるようになる。更にまた、低周波電界形成手段8としては、例えば現像電界が高周波成分を含むものである場合、これに近い周波数の高周波成分を電極部材7に印加し、両者の差によって電極部材7とトナー保持体3の間に等価的なうなり成分が作用するようにしてもよく、このうなり成分が低周波電界になる。
【0015】
ここでいう縞状に並ぶ凸部Sとは、図1(b)に示すように、一つの凸部Sと、隣り合う凸部S間のトナー層の薄い部分とで一周期分となるもので、凸部Sの断面形状は、必ずしも断面矩形でなくてもよく、トナー保持体3の表面から突出する形状であればよい。また、縞状に並ぶ凸部Sとしては、視認できることが前提であり、通常、凸部Sの幅としては略0.5mm以上が適用される。
【0016】
そして、縞状に並ぶ凸部Sに容易に変化させる観点からすれば、低周波電界形成手段8は、低周波電界を形成するに当たり、トナー保持体3の周速をv(mm/秒)、低周波電界の周波数をf(Hz)、縞状に並ぶ凸部Sの一周期分の最小寸法をd(mm)としたときに、f≦v/dの関係を満たすことが好ましい。これにより、一周期分の長さがdmm以上の縞模様(間隔を置いて凸部Sが並んでいる態様)が形成されるようになる。
【0017】
ここで、縞状に並ぶ凸部Sの形成過程について図2を用いて説明する。ここでは、電極部材7とトナー保持体3との間で低周波電界が作用する領域を作用域xとして示し、トナー保持体3の周速をv、作用域xに作用する低周波電界のうち、トナーTを電極部材7側に吸引する方向の電界成分をE1、トナーTをトナー保持体3側に吸引する方向の電界成分をE2として矢印で示す。また、電極部材7とトナー保持体3との間隙は、層形成手段5によるトナー保持体3上の予め決められたトナー層厚(図中トナー保持体3上で新たに搬送された分の層厚を示す)よりも十分大きいものとして説明する。尚、ここではトナーTとして負帯電トナーを用いた例を示しており、電界成分E1,E2の矢印と逆方向にトナーTは吸引されるようになる。
【0018】
同図において、先ず、電極部材7とトナー保持体3との間に、(a)のような状態でトナーTがあるときを想定する。このときのトナーTは、トナー保持体3の回転によって新たに搬送される分を示している。
このような状態において、(b)に示すように、低周波電界としてトナーTを電極部材7側に吸引する方向の電界成分E1が作用すると共にトナー保持体3が回転すると、トナーTが電極部材7側へ吸引されることで、作用域xではトナーTが堰き止められたトナー溜まり(図中Txで示すトナーが密状態となった部分)が形成される。このトナー溜まりが後述する一番目の凸部S1となる。
【0019】
次に、低周波電界がトナーTをトナー保持体3側へ吸引する方向の電界成分E2に切り替わると、(b)の作用域xにあったトナー溜まりがそのまま下流側へ搬送され、トナー保持体3上の電極部材7より下流側には一番目の凸部S1が出現する。このとき、トナー溜まりのなくなった電極部材7に対しては、トナー保持体3上には新たに搬送されたトナーTがあるため、作用域xにはこのトナーTがもたらされる。
次に、低周波電界が、再び、トナーTを電極部材7側に吸引する方向の電界成分E1に切り替わると、(d)に示すように、一番目の凸部S1はそのまま下流側に搬送され、作用域xには新たなトナー溜まりが発生するようになる。そして、このトナー溜まりが二番目の凸部S2を形成するようになる。
このような作用を繰り返すことで、トナー保持体3上の電極部材7より下流側には、縞状に並ぶ凸部Sが出現するようになる。
【0020】
このように、トナー保持体3上の残留トナーTに対して縞状に並ぶ凸部Sが形成されると、トナー保持体3からのトナーTの除去性能が向上する。このことについて、今、層形成手段5がトナー保持体3に接触するトナー供給部材6を有する態様を例にして説明する。トナー保持体3上にこのような縞状に並ぶ凸部Sが形成されたときのトナー保持体3とトナー供給部材6との接触部位でのトナーTの掻き取り作用は次のように推定される。図3(a)及び(b)はトナー供給部材6によってトナー保持体3上の縞状に並ぶ凸部Sの掻き取り作用を示す説明図であり、(a)は構成、(b)は掻き取り時の作用を示す。
【0021】
トナー保持体3上に縞状に並ぶ凸部Sが形成されているため、凸部Sがトナー供給部材6との接触部位に到達する前に、先ず、トナー供給部材6は、トナーTの付着が少ない部分に接触する。そのため、次の凸部Sに対しては、トナー供給部材6によってトナー保持体3のほぼ表面から凸部Sを押す力F(掻き取り力に相当)が作用するようになり、凸部Sに対するせん断力となって、凸部Sがトナー保持体3から容易に掻き取られる。また、トナー保持体3とトナー供給部材6との間には、凸部Sが間隔を置いて到達するため、トナー供給部材6もその径方向に振動するようになり、トナー供給部材6の表面の清浄性も確保され易くなる。
【0022】
これに対し、図3(c)及び(d)は、比較例として電極部材7(図示せず)とトナー保持体3との間に低周波電界を作用させない場合の説明図であり、(c)が構成、(d)は掻き取り時の作用を示す。この場合、(a)及び(b)のときとは異なり、トナーTに縞状に並ぶ凸部Sが形成されていないため、トナーTの付着が少ない部分が形成されず、トナーTがトナー供給部材6とトナー保持体3の間に潜り込み易くなる。そのため、トナー供給部材6によるトナーTの掻き取り力Fは、トナーTの表面を滑るようになり、十分な掻き取り性能が発揮されない。また、トナーTに対して縞状に並ぶ凸部Sが形成されていないため、トナー供給部材6の径方向に対する振動も期待されず、トナー供給部材6の清浄性も振動が加えられた場合よりも低下する。それ故、現像領域DRを経た後のトナー保持体3上の残留トナーTに低周波電界を作用させることの有効性が確認される。
【0023】
そして、層形成手段5としてこのようなトナー供給部材6を用いる場合、トナー供給部材6としては、トナー保持体3にトナーを供給できれば、トナー保持体3に接触していてもよいし、トナー保持体3から離間していてもよい。トナー供給部材6によるトナー保持体3へのトナーTの供給がなされることで、トナー保持体3上の残留トナーTの少なくとも一部がトナー保持体3から掻き取られる作用を奏する。そして、トナー供給部材6は、トナー保持体3にトナーを直接供給する態様であってもよいし、あるいは、トナーTを間接的に供給する、例えば二成分現像剤のうちのトナーTを供給する態様であってもよい。更に、トナー供給部材6としては、トナー供給部材6とトナー保持体3との間にトナーTを供給できる構成であればよい。尚、トナー供給部材6より上流側にトナー保持体3上の残留トナーTを掻き取る掻き取り部材を有する態様においては、トナー供給部材6によるトナーTの掻き取り作用がなくてもよい。
【0024】
また、図1において、電極部材7とトナー保持体3との間で低周波電界を有効に作用させる観点からすれば、電極部材7は、層形成手段5によって形成されたトナー保持体3上のトナー層の厚みを超える間隙を保ってトナー保持体3に対向して配置されたロール状部材とすることが好ましい。この場合、両者の間で低周波電界が作用する領域を集中させ易く、結果的に低周波電界を集中させ易くなる。
【0025】
更に、縞状に並ぶ凸部SにおけるトナーTのトナー保持体3への付着力を低減する観点からすれば、電極部材7のトナー保持体3の回転方向に沿う低周波電界の作用域の幅をm(mm)、低周波電界のうちトナー保持体3上の残留トナーTをトナー保持体3側に吸引する方向の電界成分が作用する時間に相当するトナー保持体3の回転方向における移動距離をn(mm)としたときに、m≧nの関係を満たすことが好ましい。このように作用域の幅mが移動距離n以上であれば、トナー保持体3上の残留トナーTは電極部材7側に吸引される方向の電界成分の作用を受けるようになり、縞状に並ぶ凸部Sが形成される際、トナーTのトナー保持体3への付着力が低減されるようになる。一方、作用域の幅mが移動距離nより短い場合には、縞状に並ぶ凸部Sが形成される際、電極部材7側に吸引される方向の電界成分の作用を受けない部位が生じ、この部位でのトナー保持体3に対するトナーTの付着力が低減されないようになる。尚、この作用については後述する。
【0026】
そして、残留トナーTに対してこのような縞状に並ぶ凸部Sを形成し易くする観点からすれば、低周波電界形成手段8は、低周波電界を形成するに当たり、トナーTをトナー保持体3側から電極部材7側に吸引する電界成分をE1、トナーTを電極部材7側からトナー保持体3側に吸引する電界成分をE2としたときに、E1≧E2の関係を満たすことが好ましい。このとき、代表的にはE1=E2とする態様が挙げられ、低周波電界が交流成分のみで実現される。また、E1>E2とすれば、残留トナーTの帯電量分布が広くなっても電極部材7側に吸引させ易くなる。
【0027】
また、残留トナーTに対してこのような縞状に並ぶ凸部Sを形成し易くする他の観点からすれば、低周波電界形成手段8は、低周波電界を形成するに当たり、低周波電界の一周期のうち、トナーTをトナー保持体3側から電極部材7側に吸引する電界成分の作用時間をt1、トナーTを電極部材7側からトナー保持体3側に吸引する電界成分の作用時間をt2としたときに、t1≧t2の関係を満たすことが好ましい。このとき、代表的にはt1=t2の態様が挙げられ、このようなデューティ比を50%とする矩形波の形成は容易となる。また、正弦波の適用も容易になる。更に、例えばt1>t2とすれば、縞状の一周期に占める凸部Sの割合を小さくすることができ、例えば残留トナーTの量が少ない場合であっても幅が狭く高さが高い凸部Sが形成されるようになる。
【0028】
更に、低周波電界の形成をし易くする観点から、現像電界形成手段4が、予め決められた高い周波数で極性が交互に周期的に変化する高周波電界が含まれる現像電界を形成するものである場合、低周波電界形成手段8は、現像電界の高周波電界に近い周波数の高周波電界を電極部材7に作用させ、二つの高周波電界の差分からなる低い周波数のうなり成分を低周波電界とすることが好ましい。通常、ある周波数の高周波成分とこれに近似する周波数の高周波成分とを作用させると、両者の差分の周波数のうなりが発生する。また、高周波成分との間で低周波成分を作り出す高周波を形成することはたやすくないため、このようなうなり成分を利用することで、低周波電界の形成が容易になる。
【0029】
また、残留トナーTの除去性能を改善する観点から、電極部材7による電界作用領域は、現像領域DRの長手方向有効幅よりも長い寸法に設定されていることが好ましい。これによれば、現像領域DRに対する残留トナーTの除去性能が改善され、現像時の現像領域DRでの現像が安定化するようになる。
【0030】
更に、残留トナー量に応じた縞状に並ぶ凸部Sを形成する観点からすれば、電極部材7を移動可能に支持し且つトナー保持体3との間隙を変化させる間隙可変機構を更に備えることが好ましい。例えばジャム等によりトナー保持体3上のトナーTが現像領域DRにて消費されない場合と、通常の現像が行われてトナー保持体3上のトナーTが消費された場合とで電極部材7を移動させるようにしてもよいし、例えば写真画像と文字画像とでトナー消費量が異なる場合などに適用することで、電極部材7通過後に縞状に並ぶ凸部Sの形成が容易になる。
【0031】
このような縞状に並ぶ凸部Sを形成する際、層形成手段5がトナー保持体3に接触してトナーTをトナー保持体3に供給するトナー供給部材6を備える態様にあって、除去性能を向上させる観点からすれば、図1(b)に示すように、トナー供給部材6は、トナー保持体3との接触部位でトナー保持体3とは逆向きに回転するものであり、トナー供給部材6とトナー保持体3との間のトナー保持体3の回転方向に沿う接触幅をw(mm)、低周波電界のうちトナー保持体3上の残留トナーTをトナー保持体3側に吸引する方向の電界成分が作用する時間に相当するトナー保持体3の回転方向における移動距離をn(mm)としたときに、w>nの関係を満たすことが好ましい。これによれば、トナー供給部材6の表面は、トナーTの付着が少ない部位にてトナー供給部材6上のトナーTがトナー保持体3側へ移行され、これによりトナー供給部材6の表面は、トナーTの付着が殆どない、あるいはあっても少量のトナーTが付着している表面となり、続く凸部Sに対しては、このトナーTの付着が殆どないトナー供給部材6の表面にて凸部Sの底の方から掻き取るようになる。また、このとき、一周期に占めるトナー保持体3上の残留トナーTをトナー保持体3側に吸引する方向の電界成分が作用する時間が半分以下である方が好ましい。
【0032】
更に、電極部材7より上流側にトナー保持体3と接触又は近接して配置される部材を設け、この部材とトナー保持体3との間にトナー保持体3上のトナーTを除電するための除電電界を作用させるようにしてもよい。この場合、除電電界としては、例えば残留トナーTの帯電電荷を打ち消す方向の電界を作用させればよい。
【0033】
このような現像装置を画像形成装置に適用するには、潜像を保持する潜像保持体1と、潜像保持体1上の潜像をトナーTにて現像する現像装置とを備える態様にあって、この現像装置として、上述の現像装置を備えるようにすればよい。
【0034】
次に、図面に示す実施の形態に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
◎実施の形態1
図4は、一例として前述の実施の形態の概要で説明した現像装置が適用された実施の形態1に係る画像形成装置の概要を示す説明図である。
本実施の形態の画像形成装置は、潜像保持体としての感光体10を有し、感光体10の周りに、感光体10の表面を予め決められた電位に帯電する帯電装置11、この帯電装置11にて帯電された感光体10に対し、潜像形成のための露光を行う露光装置12、露光によって形成された潜像に対してトナーを用いて現像する現像装置20、現像された感光体10上のトナー像を図示外の記録材供給部から供給された記録材P上に転写する転写装置14、転写後の感光体10上の残留トナーを清掃する清掃装置15等が適宜配置されている。また、転写装置14にて記録材P上に転写されたトナー像は、定着装置16にて定着がなされ、定着後の記録材Pは図示外の排出部位に排出されるようになっている。
【0035】
このような画像形成装置における現像装置20は、図5のように構成されている。感光体10に対向して開口し且つ内部に現像剤としてのトナーが収容される収容容器21と、この収容容器21の前記開口に面した部位にて感光体10に対向して回転可能に設けられ且つ感光体10に対向する現像領域に向かってトナーを保持して搬送するトナー保持体としての現像ロール22とが設けられている。また、本実施の形態の現像装置20では、層形成手段として、現像ロール22の回転方向における前記現像領域より上流側位置にて現像ロール22に対向して設けられ且つ現像ロール22にトナーを供給する供給ロール23と、現像ロール22の回転方向における供給ロール23より下流側で現像ロール22に対向して設けられ且つ現像領域に向かう現像ロール22上のトナー層厚を規制する層厚規制部材24と、を備えている。更に、現像装置20には、現像ロール22の回転方向における前記現像領域より下流側で且つ供給ロール23より上流側位置にて現像ロール22に近接して配置される電極部材26と、電極部材26より上流側の収容容器21に一端が固定されると共に他の一部が現像ロール22に接触するように設けられ、トナーの収容容器21外への漏れを塞ぐシート状のシール部材25等を備えている。
【0036】
本実施の形態における現像ロール22は、例えばカーボンブラック等の導電性フィラーによって体積抵抗値が調整された弾性ゴム材料を周面に有するものが採用されているが、これに限られず、体積抵抗値が調整された部材でその周面にトナーを保持して搬送できるものであれば、例えば金属材料を用いるようにしても差し支えない。
【0037】
また、供給ロール23は、現像ロール22との接触部位で現像ロール22とは異なる方向に回転するもので、例えば体積抵抗値が調整された発泡材料で構成された発泡ロールが採用されているが、これに限られず、表面に凹凸のあるロール部材であってもよい。本実施の形態では、このような供給ロール23を用いることで、供給ロール23が現像ロール22にトナーを供給すると共に現像ロール22上の残留トナーの掻き取りも行うようになっている。
【0038】
本実施の形態の層厚規制部材24は、現像ロール22の回転方向における下流側の一端が収容容器21に固定されると共に、他端側が現像ロール22の回転方向とは逆方向に向かって延びる自由端となっており、本例では供給ロール23側に向かって延びるように構成されている。層厚規制部材24は、例えば、ステンレス合金やリン青銅合金からなる金属製板ばねに後述する帯電電界が印加されるようになっており、供給ロール23によって供給された現像ロール22上のトナーに対し、層厚を規制すると共に予め決められた帯電量に帯電するようになっている。
【0039】
そして、本実施の形態の電極部材26は、図6(a)に示すように、現像ロール22から例えば100〜400μmの間隙を持って固定的に設置されたロール状部材で構成されており、現像ロール22の現像領域の有効幅Lを超える長さまで延びるように設けられている。更に、電極部材26の両端部26a,26bにて収容容器21側に固定されるようになっており、一方の端部26a側には、後述する低周波電源34が接続されている。更に、本実施の形態の電極部材26は、その表面の算術平均粗さRaが5μm以下となるように仕上げられている。また、シール部材25は、例えば厚さ50〜100μmのポリエステルシートで構成されている。
【0040】
本実施の形態における現像装置20には、各種の電源が次のように接続されている。
図5に示すように、感光体10と現像ロール22との対向部の現像領域に対し現像ロール22上のトナーにて感光体10の潜像を現像する現像電界を形成するための現像電界形成手段が設けられている。本実施の形態の現像電界形成手段としては、感光体10が接地される一方、現像ロール22には現像電界を印加する現像電源31が接続されている。また、現像ロール22と供給ロール23の間には、供給ロール23上のトナーを現像ロール22に供給するための供給電界を印加する供給電源32が接続されている。更に、層厚規制部材24には、現像ロール22上で層厚規制されたトナー層に対し予め決められた帯電量が与えられるように帯電電界を印加する帯電電源33が接続されている。
【0041】
そして、本実施の形態では、電極部材26と現像ロール22との間の残留トナーに作用し、予め決められた低い周波数で極性が交互に周期的に変化する低周波電界を形成し、現像ロール22上の残留トナーを、低周波電界の周期に依存して現像ロール22の回転方向に対して目視可能な寸法で縞状に並ぶ凸部に変化するように、現像ロール22上の残留トナーを移動させる低周波電界形成手段としての低周波電源34が接続されている。
【0042】
本実施の形態の低周波電源34としては、図6(b)に示すように、+V1電位と−V1電位との間で互いに半周期のt1時間で反転するような低周波の矩形波が適用されている。そのため、負帯電トナーを使用したときに現像後の現像ロール22上の残留トナーに対して、電極部材26側にトナーを吸引する方向の電界(+V1の電位側)と、現像ロール22側にトナーを吸引する方向の電界(−V1の電位側)とが、交互に周期的に変化するようになっている。尚、ここでは、トナーは負に摩擦帯電するものとしている。
【0043】
このような構成の現像装置20における作用について説明する。
図5に示すように、収容容器21内のトナーは、供給ロール23の回転によって供給ロール23の周面に保持されながら、供給ロール23と現像ロール22との接触部位に向かって搬送される。供給ロール23と現像ロール22との接触部位では、両者が互いに逆向きに回転し、供給されるトナーは現像ロール22上に付着させられる。
【0044】
現像ロール22上に移動したトナーは、層厚規制部材24によって現像ロール22上で層厚が規制され、予め決められた厚さのトナー層として現像ロール22上を現像領域に向かって搬送される。このとき、層厚規制部材24による帯電電界によって、トナーには予め決められた帯電量が与えられる。尚、図中の矢印Aは、層厚規制部材24によって規制されたトナーの流れを示している。
【0045】
現像ロール22上で層厚規制がなされたトナー層は、そのまま現像領域に達し、感光体10上の画像部に対応する部位ではトナーが多く消費され、現像ロール22上には少しのトナーが残るかあるいは完全に消費されて現像ロール22表面が露出する。これに対し、非画像部ではトナーの消費が殆どなされず、現像ロール22上には多くのトナーが残る。その結果、現像後の現像ロール22上では、現像にてトナーが消費された部位と消費されなかった部位とが混在する形となって、そのまま下流側のシール部材25に向かって搬送される。そして、現像ロール22上の残留トナーはシール部材25を抜けてそのまま電極部材26との対向部位に到達する。
【0046】
図7(a)〜(c)は、電極部材26と現像ロール22との間に、低周波電界を作用させたときの残留トナーの動きを表したものである。尚、ここでは、電極部材26と現像ロール22との間で低周波電界が有効に作用する作用域をxとして示している。
【0047】
(a)は、残留トナーを電極部材26側に吸引する方向の電界が作用している状態を示しており、このとき、作用域xでは、トナーは電極部材26側に吸引されてトナーが疎状態となる。図中、斜線を付したトナーが電極部材26側に吸引され、一部のトナー(図中斑点を付したトナー)が現像ロール22側に残り、両者間には隙間が形成される。そして、現像ロール22の回転に伴って、斑点を付したトナーは作用域xから下流側に搬送されるが、作用域xには新たなトナー(図中白抜きのトナー)が搬送されて隙間を埋めるようになり、トナーは密状態となる。このとき、作用域xより現像ロール22上の下流側には、トナー量の少ない層(図中斑点を付したトナーが主体となる)が出現し、これが後述する縞状の凸部Sの間のトナーの付着が少ない凹部Rとして形成される((b)参照)。
【0048】
次に、(b)のように、トナーを現像ロール22側に吸引する方向の電界が作用すると、作用域xの隙間が埋められ密状態となったトナー層(図中斜線を付したトナーと白抜きのトナーとで構成される)は、現像ロール22側に吸引され、現像ロール22の回転に伴って、下流側に移動するようになる。
(c)は、再び、電極部材26側にトナーを吸引する方向の電界が作用した状態を示しており、作用域xでは(a)と同様に、トナーの疎状態を示している。このとき、作用域xより下流側では、(b)で形成された密状態のトナーが現像ロール22の回転に伴って移動するため、この密状態となったトナーの領域が凸部Sを形成する。
【0049】
そして、このような動作を繰り返すことで、現像ロール22の電極部材26より下流側部位には、低周波電界の半周期分(低周波電界のうち電極部材26側にトナーを吸引する方向の電界作用が作用する時間)に相当するトナーが殆ど付着していない凹部Rと、低周波電界の残りの半周期分(低周波電界のうち現像ロール22側にトナーを吸引する方向の電界作用が作用する時間)に相当するトナーが積層された凸部Sとが繰り返し形成され、連続した縞模様が出現するようになる。
【0050】
このようにして形成された現像ロール22上の縞模様は、供給ロール23と現像ロール22とのニップ域にて掻き取られるようになる。現像ロール22から掻き取られたトナーは、図5に示すように、収容容器21内に落下し、その後、再び供給ロール23を経由して現像に供されるようになる。
【0051】
次に、現像ロール22上の残留トナーを掻き取る理由について説明する。
一般に、現像時には、感光体10上の画像によって、例えばベタ画像では現像ロール22上のトナーのうち多くのトナーが感光体10側へ移動する一方、ハイライト画像では現像ロール22上のトナーのわずかな量しか感光体10側へ移動しない。その結果、現像を終えた現像ロール22上の残留トナーには、現像した画像に合わせたトナー量の分布が生じる。
【0052】
このようなトナー量の分布が残存した状態の現像ロール22から、残留トナーを掻き取り、新たに供給されるトナーで次の画像を現像することで、画像に対するゴースト等の画質劣化の発生は抑えられる。しかしながら、残留トナーの掻き取りが不十分な場合、現像ロール22上に新たに供給されるトナーは残留トナーに影響される。そのため、例えばベタ画像を形成した後にハイライト画像を形成するような場合に、出力したハイライト画像に前のベタ画像部分が薄く現れたりするような所謂ゴーストが発生し易い。
【0053】
本実施の形態では、現像後の現像ロール22上に残留した残留トナーに対して、低周波電界を作用させて縞状に並ぶ凸部を形成することで、供給ロール23による残留トナーの掻き取り性能が向上し、ゴーストの発生が抑えられるようになる。
【0054】
そして、このような現像装置20における縞模様の凹部及び凸部の大きさについて考えると、低周波電界のうち現像ロール22上の残留トナーを電極部材26側に吸引する方向の電界成分が作用する時間に相当する現像ロール22の移動距離が現像ロール22の回転方向に沿う凹部の幅となり、一方、低周波電界のうち現像ロール22上の残留トナーを現像ロール22側に吸引する方向の電界成分が作用する時間に相当する現像ロール22の移動距離が現像ロール22の回転方向に沿う凸部の幅となる。以下では、これらの凹部の幅、凸部の幅を用いて説明する。
【0055】
このような凹部や凸部の幅寸法は、現像ロール22の周速にも関係し、低周波電界の周波数を一定にした場合、周速が速ければ凹部及び凸部の幅寸法は概して大きくなり易い。一方、周速が遅ければ凹部及び凸部の幅寸法は概して小さくなり易い。そのため、縞模様の一周期分(縞状に並ぶ凸部の一周期分に相当するもので、凹部の幅寸法+凸部の幅寸法に相当する)の長さをL(mm)としたとき、低周波電界の周波数f(Hz)としては、現像ロール22の周速v(mm/秒)との関係で、f=v/Lとすればよい。
【0056】
例えば縞模様の一周期分の長さLを例えば目視可能な最小寸法として1mmを採用すれば、f=v/1となる。そのため周波数fとしてはこれ以下の小さな値となる。仮に、周波数fが高すぎると、目視可能な縞模様が形成されないばかりか、高い周波数では、トナーはどちらかというとその場で微小振動し、電極部材26によってトナーが堰き止められることなく、電極部材26の下流側には縞模様が形成されないようになる。したがって、低周波電界の周波数fとしてはある程度低い周波数が適用される。
【0057】
次に、凸部の幅について詳述する。
本実施の形態の低周波電界は、現像ロール22上のトナーを電極部材26側に吸引する電界と、反対に現像ロール22側に吸引する電界とを交互に作用させるもので、その場合の周波数f(Hz)は、次のようにして決定されている。
今、現像ロール22の周速をv(mm/秒)とし、縞状に並ぶ凸部の一周期分の長さが約4mm(縞模様の凹部及び凸部の幅が共に約2mm)となるように、その周波数fはf=v/4としている。現像ロール22の周速vが例えば330mm/秒であるとすると、このときの周波数fは82.5Hzとなる。
【0058】
ここで、縞模様の凹部及び凸部の幅寸法を2mmとしたのは、次の理由による。
図8(a)は、本実施の形態における現像ロール22と供給ロール23との接触部位(ニップ域)に対し、縞模様が形成されている(凹部R及び凸部Sが順次形成されている)様子を示している。このとき、ニップ域の現像ロール22の回転方向に沿う長さ(接触幅)は、例えば4.2mmとなっている。そのため、縞模様の凹部R及び凸部Sの幅寸法として、ニップ域の接触幅の略1/2となる2mmを採用している。
【0059】
今、図8(a)のように、現像ロール22と供給ロール23とのニップ域内に縞模様の一組の凹部R及び凸部Sが侵入した状態を仮定する。つまり、ニップ域の現像ロール22の回転方向における下流側に凹部R、上流側に凸部Sが位置している場合、供給ロール23による縞状に並ぶ凸部Sの掻き取り作用は次のように推定される。
【0060】
供給ロール23から現像ロール22に供給するためのトナーを外周に保持している供給ロール23に対して、先ず、ニップ域では凹部Rが存在するため、供給ロール23上のトナーはほぼ現像ロール22側へ移行し、この部位での供給ロール23表面は、トナーが殆どないか、少ない量のトナーしか残っていない状態となる。そのため、凸部Sに対して供給ロール23の表面が現像ロール22の表面に直接接触するようになり、凸部Sに対しては現像ロール22のほぼ表面から押すようになり、結果的に凸部Sは容易に掻き取られるようになる。
【0061】
本実施の形態では、縞状に並ぶ凸部Sの一周期分の長さ(縞模様の凹部R及び凸部Sからなる一組の幅寸法に相当する)が、現像ロール22と供給ロール23とのニップ域に対して略同じとなるように設定したが、縞模様の大きさとしてはこれに限られず、凹部R及び凸部Sの一組の幅寸法において、凹部Rの幅寸法が凸部Sの幅寸法以上であるときに、凸部Sの幅寸法がニップ域に入る寸法であればよい。この場合、供給ロール23の表面のうち、縞模様の凹部Rにてトナーが現像ロール22側に移行し、供給ロール23の部材面が現れた部分で次の凸部Sに接触するようになり、凸部Sの掻き取り性能が発揮されるようになる。仮に、凸部Sがニップ域を超える長さの場合には、ニップ域全域に亘って凸部Sが及ぶことも想定され、凸部Sがニップ域より短い場合に比べて掻き取り性能が低下する虞がある。
【0062】
そして、このような縞模様において、凸部Sの幅は、短くても差し支えないが、供給ロール23の表面性からすると、次のようになる。
図8(b)は、本実施の形態における供給ロール23と現像ロール22との接触部位を拡大した模式図であり、供給ロール23表面は、発泡体の各セル23aの部分と、セル23a間を繋ぐ骨格部23bとで構成されている。また、(c)は、供給ロール23の断面の電顕写真を示しており、図の左側が表面側となっている。
このような供給ロール23では、セル23aの幅zの中に凸部Sが存在すると、現像ロール22からの凸部Sの掻き取り性能が低下することから、凸部Sの幅寸法としては、このセル23aの幅zを超えることが必要となる。このようなセル23aの幅zとしては、通常、0.3mm程度であることから、凸部Sの幅としては、0.3mmを超えるものであればよい。
【0063】
一方、一般的に、画像上のかぶりや濃度むらは、そのピッチが、作像方向で0.5mm以上になると急激に可視化されることから、縞模様における凹部R及び凸部Sの幅も、夫々が0.5mm以上になれば容易に可視化される。また、この0.5mmは、供給ロール23のセル幅dよりも大きく、それ故、縞模様における一組の凹部R及び凸部Sの幅としては、合わせて1mm以上であればよい。
【0064】
以上のような点を考慮すると、本実施の形態において、現像ロール22の周速vを仮に330mm/秒とした場合には、低周波電界の周波数fの上限値は、縞状に並ぶ凸部Sの一周期分の長さを1mmとしたときの330Hzであり、下限値は、現像ロール22と供給ロール23との接触幅を4mmとすると、凸部Sの幅を4mmとした一周期分の長さを8mmとしたときの41.25Hzとなる。
また、上限値のより好ましい値としては、縞模様を明瞭にし、残留トナーが少ない状態でも凸部Sにおけるある程度の高さを確保することを想定すると、一周期分の長さを4mmとしたときの82.5Hzとなる。
【0065】
一方、電極部材26と現像ロール22との間隙については、広い場合と狭い場合が想定される。
図9は、電極部材26と現像ロール22との間隙Dが広い場合の縞模様について説明したものである。ここでは、現像ロール22上に厚さTtの残留トナーがあり、低周波電界の半周期毎にαの領域分のトナーが搬送されるものとする。また、電極部材26と現像ロール22との間隙Dは、D>2Ttとなっており、低周波電界の一周期では、電極部材26に吸引されたトナーが現像ロール22に接触しない程度となっている。
【0066】
このような状態で、今、(a)のように、低周波電界Eがトナーを電極部材26側に吸引する方向であるとき、電極部材26の作用域xには、一周期分のトナーが吸引される。このとき、電極部材26より下流側には、電極部材26に吸引されたトナーのαに相当する領域(図中二点鎖線部分で電極部材26に吸引されなかった場合に出現したであろう部分)が存在し、これが、第一の凹部R1となる。また、周速vで移動する現像ロール22によって搬送されるトナーは図中左側から搬送されるため、作用域xにおけるトナー溜まり(図中Txで示す部分)は電極部材26に吸引されるトナーはその上流側が厚くなる。
【0067】
次に、(b)のように、低周波電界Eが反転すると、(a)における作用域xにて電極部材26に吸引されていたトナーが現像ロール22側に吸引されて搬送され、現像ロール22上の電極部材26より下流側には凸状にトナーが付着した第一の凸部S1が形成される。このとき、電極部材26に対向する位置には新たなトナーが到達している。
【0068】
更に、低周波電界Eが反転すると、(c)のように、トナーが電極部材26側に吸引され、現像ロール22上の電極部材26より下流側には、第二の凹部R2が形成されるようになる。そして、(d)のように、低周波電界Eが、トナーを現像ロール22側へ吸引する方向に反転すると、(c)で電極部材26に吸引されたトナーが現像ロール22側に吸引され、現像ロール22上の電極部材26より下流側には第二の凸部S2が形成される。
このように、電極部材26と現像ロール22との間隙Dが十分確保されている場合、トナーは電極部材26に安定的に吸引されるため、凸部Sも安定した形状が確保されるようになる。
【0069】
一方、図10は、電極部材26と現像ロール22との間隙Dが狭い場合の縞模様について説明したものである。ここでは、電極部材26と現像ロール22との間隙Dは、D<2Ttとなっており、低周波電界の一周期では、電極部材26に吸引されたトナーが電極部材26と現像ロール22との間隙を遮蔽する程度のものとなっている。
【0070】
このような状態で、今、(a)のように、低周波電界Eがトナーを電極部材26側に吸引する方向であるとき、電極部材26の作用域xには、一周期分のトナーが吸引される。このとき、電極部材26より下流側には、電極部材26に吸引されたトナーのαに相当する領域(図中二点鎖線部分で電極部材26に吸引されなかった場合に出現したであろう部分)が存在し、これが、第一の凹部R1となる。また、周速vで移動する現像ロール22によって搬送されるトナーは図中左側から搬送されるため、電極部材26に吸引されるトナーはその下流側ではトナーの動きを堰き止めるようになり、電極部材26の上流側にも大きく膨らむトナー溜まり(図中Txで示す部分)を生じる。
【0071】
次に、(b)のように、低周波電界Eが反転すると、(a)にて電極部材26に吸引されていたトナーが現像ロール22側に吸引されて搬送され、現像ロール22上の電極部材26より下流側には凸状にトナーが付着した第一の凸部S1が形成される。このとき、電極部材26に対向する位置には新たなトナーが到達している。
【0072】
更に、低周波電界Eが反転すると、(c)のように、トナーが電極部材26側に吸引され、現像ロール22上の電極部材26より下流側には、第二の凹部R2が形成されるようになる。このとき、現像ロール22上の第二の凹部R2より下流側には、第一の凸部S1があるが、この第一の凸部S1は、どちらかというと、上流側に裾野が広がった形状となる。そして、(d)のように、低周波電界Eが、トナーを現像ロール22側へ吸引する方向に反転すると、(c)で電極部材26に吸引されたトナーが現像ロール22側に吸引され、現像ロール22上の電極部材26より下流側には第二の凸部S2が形成される。
このように、電極部材26と現像ロール22との間隙Dが狭い場合、縞模様の形状が特に凸部Sで裾野を引くような形状になり易い。しかしながら、このような形状であっても、十分掻き取り性能が確保されることは言うまでもない。
それ故、電極部材26と現像ロール22との間隙は、十分確保する方が好適であり、これらは実験等で確認して、適正な間隙を選択するようにすればよい。
【0073】
本実施の形態の画像形成装置としては、単色の画像形成装置の態様を示したが、単色に限られず、複数色の画像形成装置に適用するようにしても差し支えない。
また、電極部材26としてロール状部材を配置する態様を示したが、このようなロール状部材としては固定配置される方が好ましいが、回転する態様であっても差し支えない。電極部材26が回転する場合、電極部材26側に吸引されたトナーは少なくとも一部が低周波電界の作用域から外れた位置に移動することになるが、電極部材26の回転によって低周波電界の作用域に到達したときに縞模様を形成すればよいし、あるいは、回転中に電極部材26から落下すれば、それでもよい。更に、電極部材26を現像ロール22の回転軸に沿う方向に配置したが、現像ロール22の回転軸に対して少し斜めになる方向であっても差し支えない。尚、この場合、電極部材26と現像ロール22との間で作用する低周波電界が電極部材26の長手方向で略均一になっていることは言うまでもない。
【0074】
本実施の形態の低周波電界としては、低い周波数で極性が交互に周期的に変化するものであればよく、例えばデューティ比50%の矩形波や正弦波等が適用されるが、次のようなものであっても差し支えない。
以下に、本実施の形態における低周波電界の変形例について説明する。
【0075】
図11(a)は、低周波電界の一変形例を示すもので、中心電位を一方に偏らせたものとなっている。ここでは、例えばトナーとして負帯電トナーを使用した場合の現像ロール22に対する電極部材26の電位波形を示しており、電極部材26側へトナーを吸引する電界成分の振幅を現像ロール22側へトナーを吸引する電界成分の振幅より大きくしたものである。つまり、一方の振幅を+V2、他方の振幅を−V3(|+V2|≧|−V3|)とし、作用時間は共にt1としたものとなっている。
【0076】
このような電界による作用は次のように推定される。中心電位を偏らせることで、電極部材26側へのトナーの吸引力が高められる。通常、帯電や現像によって、残留トナーには逆極性トナーも増え、また帯電分布も広いため、電極部材26側への吸引力を強くした状態でトナーを現像ロール22から強く引き剥がす方がよく、より多くのトナーが現像ロール22上から引き剥がされ易くなる。
【0077】
また、図11(b)は、低周波電界の他の変形例を示すもので、デューティ比を50%から変化させたものとなっている。ここでは、負帯電トナーの場合に、+V1の振幅及び−V1の振幅を印加すると共に、電極部材26側へトナーを吸引する電界の作用時間t2を現像ロール22側へトナーを吸引する電界の作用時間t3より長く(t2>t3)したものである。
このような電界を作用させることで、電極部材26側へトナーを吸引する電界の作用時間t2が長くなり、その部分では縞模様のうち凹部Rが形成されることから、現像ロール22上には、(c)に示すような凹部Rが凸部Sより長い縞模様が形成される。更に、このような電界を作用させることで、凸部Sでのトナー層の層厚を高くすることも可能になり、残留トナーが少ない場合であっても、残留トナーの掻き取り性能が十分確保されるようになる。
【0078】
本実施の形態では、現像電界として直流成分を用い、低周波電界を低周波電源34(図5参照)で供給する態様を示したが、例えば現像電界として直流成分に交流成分が重畳された電界を用いる場合には、低周波電界としては、現像電界の交流成分を考慮せざるを得なくなる。
【0079】
一般に、例えば通常の現像装置等で使用される現像電界のように、高周波電界(例えば2kHz)を現像ロール22と電極部材26の間に作用させると、トナーはその場振動を繰り返しながら現像ロール22の回転によって搬送されるようになり、電極部材26で後続のトナーを堰き止める効果は作用しなくなり、電極部材26でのトナーの積層は困難となる。その結果、電極部材26より下流側の現像ロール22上には残留トナーが略そのまま搬送され、縞模様の形成はなされない。
【0080】
そのため、縞状に並ぶ凸部を形成するために、低周波電源34を用いて電極部材26と現像ロール22の間に低周波電界を作用させるようにしたが、現像電界として高周波電界を用いると、この高周波電界を踏まえた低周波電界を形成する必要がある。しかしながら、このような電界の形成は大変であり、より簡単な方法が求められる。
【0081】
このような例として、図12に示すように、現像ロール22に対し直流成分に高周波成分が重畳された現像電界を現像電源31(31a,31b)で供給する一方、電極部材26に現像電界とは別に、現像電界の高周波成分に近い周波数の高周波成分を作用させる電源35を図のように接続すると、等価的に両者の高周波成分の差分のうなり成分が、電極部材26と現像ロール22の間に作用するようになる。したがって、両者の周波数の差分が、等価的な低周波電源34(図5参照)として作用することで、縞状に並ぶ凸部の形成がなされる。
【0082】
◎実施の形態2
図13は、実施の形態2に係る現像装置20の概要を示す説明図である。
本実施の形態の現像装置20は、実施の形態1の現像装置20(図5参照)と略同様に構成されるが、現像ロール22に近接して配置される電極部材26が現像ロール22の外周面に沿った形状の板状部材で構成されている点が実施の形態1と異なる。尚、実施の形態1と同様の構成要素には同様の符号を付し、ここではその詳細な説明は省略する。
【0083】
本実施の形態では、電極部材26と現像ロール22との間に低周波電界を作用させることで、現像ロール22上のトナーは現像ロール22と電極部材26との間で吸引が繰り返され、電極部材26の下流側では、現像ロール22上に縞模様が出現する。ここでは、電極部材26の現像ロール22の回転方向に沿った方向の両端部の形状は、現像ロール22の外周面と略同様の形状を示しているが、例えば両端部を現像ロール22より遠ざけるようにしてもよく、この場合、トナーの動きが電極部材26の端部によって影響される虞も軽減される。
【0084】
また、特に、本実施の形態では、電極部材26と現像ロール22とが略平行に配置されているため、電極部材26の現像ロール22の回転方向に沿う長さ(具体的には低周波電界が作用する作用域の長さ)としては、凸部の幅(低周波電界のうち現像ロール22上の残留トナーを現像ロール22側に吸引する方向の電界成分が作用する時間に相当する現像ロール22の回転方向における移動距離に相当)以上がより好適である。これにより、縞模様の現像ロール22に対する付着力も低減される。
【0085】
図14〜16は、電極部材26と現像ロール22との間で低周波電界が作用する作用域xの長さが異なる場合の縞模様の形成作用について模式的に示したものである。
図14は、作用域xが凸部Sの幅に等しい場合を示しており、今、(a)のように、現像ロール22上に順次トナーTが搬送されている状態(斑点部分は現像ロール22上の新たに搬送されるトナーTを意味する)を想定する。
【0086】
ここで、トナーTを電極部材26側に吸引する方向の低周波電界Eが作用し、現像ロール22が周速vで回転すると、(b)に示すように、現像ロール22上のトナーTは、電極部材26側に吸引され、後続のトナーTも電極部材26側に吸引される。そのため、作用域xでは、トナーTx(以下、低周波電界Eによる吸引作用が及ぼされた部位のトナーをTxとして示す)を電極部材26側に吸引する方向の力が作用してトナー溜まりが形成される。このとき、現像ロール22上の電極部材26より下流側には、低周波電界Eが作用しない場合に搬送されたであろうトナーTの領域(図中二点鎖線で示す領域)が出現し、これが縞模様の凹部Rをなす。
【0087】
次に、(c)に示すように、低周波電界EがトナーTを現像ロール22側に吸引する方向に切り替わると、(b)の作用域xにあったトナー溜まりは下流側に搬送され、これが縞状の凸部Sを形成する。また、作用域xには新たに搬送されるトナーTが到達する。
更に、(d)に示すように、低周波電界Eが電極部材26側にトナーTを吸引する方向に切り替わると、作用域xでは(b)と同様にトナー溜まりが形成される。このとき、作用域xの下流側には、新たな凹部Rが出現する。
このような動作を繰り返すことで、現像ロール22上の電極部材26より下流側には、縞状に並ぶ凸部Sを有する縞模様が形成される。
【0088】
また、図15は、作用域x1が凸部Sの幅より長い場合(x1>xの場合)を示しており、今、(a)のように、現像ロール22上に順次トナーTが搬送されている状態(斑点部分は現像ロール22上の新たに搬送されるトナーTを意味する)を想定する。
【0089】
ここで、トナーTを電極部材26側に吸引する方向の低周波電界Eが作用し、現像ロール22が周速vで回転すると、(b)に示すように、現像ロール22上のトナーTは、電極部材26側に吸引され、後続のトナーTも電極部材26側に吸引される。そのため、作用域x1では、トナーTを電極部材26側に吸引する方向の力が作用してトナー溜まりが形成される。このとき、現像ロール22上の電極部材26より下流側には、低周波電界Eが作用しない場合に搬送されたであろうトナーTの領域が出現し、これが縞模様の凹部Rをなす。
【0090】
次に、(c)に示すように、低周波電界EがトナーTを現像ロール22側に吸引する方向に切り替わると、(b)の作用域x1にあったトナー溜まりは下流側に搬送されるが、一部は作用域x1の範囲内に残存し、作用域x1を超えて下流側に搬送された部分が凸部Sを形成する。また、作用域x1には新たに搬送されるトナーTが到達する。
更に、(d)に示すように、低周波電界Eが電極部材26側にトナーTを吸引する方向に切り替わると、作用域x1では、残存したトナーTxと、新たに搬送されたトナーTとが相俟って電極部材26側に吸引され、新たなトナー溜まりが形成される。このとき、下流側に搬送された凸部Sと作用域x1との間に新たな凹部Rが出現する。
【0091】
更に、(e)に示すように、低周波電界EがトナーTを現像ロール22側に吸引する方向に切り替わると、(d)で作用域x1にあったトナー溜まりの一部が作用域x1を通過して凸部Sを形成するようになる。
このような動作を繰り返すことで、現像ロール22上の電極部材26より下流側には、縞状に並ぶ凸部Sを有する縞模様が形成される。
【0092】
また、図16は、作用域x2が凸部Sの幅より短い場合(x2<xの場合)を示しており、今、(a)のように、現像ロール22上に順次トナーTが搬送されている状態(斑点部分は現像ロール22上の新たに搬送されるトナーTを意味する)を想定する。
【0093】
ここで、トナーTを電極部材26側に吸引する方向の低周波電界Eが作用し、現像ロール22が周速vで回転すると、(b)に示すように、現像ロール22上のトナーTは、電極部材26側に吸引され、後続のトナーTも電極部材26側に吸引される。そのため、作用域x2ではトナー溜まりが形成されるが、このとき、後続のトナーTの搬送力によって作用域x2のトナー溜まりは影響され、作用域x2の上流側にも延びるようになる。そして、現像ロール22上の電極部材26より下流側には、低周波電界Eが作用しない場合に搬送されたであろうトナーTの領域が出現し、これが縞模様の凹部Rをなす。
【0094】
次に、(c)に示すように、低周波電界EがトナーTを現像ロール22側に吸引する方向に切り替わると、(b)の作用域x2にあったトナー溜まりは下流側に搬送されるが、これと共に、図中βで示す部分、つまり、電極部材26側に吸引される方向の電界の作用を受けなかった部分も一緒になって作用域x2を通過する。そして、作用域x2にあったトナー溜まりとこのβの部分とで縞状の凸部Sが形成される。
更に、(d)に示すように、低周波電界Eが電極部材26側にトナーTを吸引する方向に切り替わると、作用域x2では(b)と同様にトナー溜まりが形成される。このとき、作用域x2の下流側には、新たな凹部Rが出現する。
このような動作を繰り返すことで、現像ロール22上の電極部材26より下流側には、縞状に並ぶ凸部Sを有する縞模様が形成される。
【0095】
以上のように、作用域xの幅が凸部Sの幅以上であれば、作用域xの下流側に出現する凸部Sは作用域xの範囲内で電極部材26側に吸引される電界の作用を受けるようになる。一方、作用域xの幅が凸部Sの幅未満であると、作用域xの下流側に出現する凸部Sには、作用域xにて電極部材26側に吸引される電界の作用を受けずにそのまま作用域xを通過した部分が混在する。そのため、作用域xの下流側での現像ロール22に対するトナーの付着力は、作用域xの幅が凸部Sの幅以上であるときの方が、そうでないときより小さくなり、現像ロール22からの掻き取り性能が一層発揮され易くなる。それ故、作用域xとしては、凸部Sの幅以上の方が好適である。
尚、作用域xが凸部Sの幅未満の場合にも、現像ロール22の回転方向下流側には、例えば図16(d)に示すように、凸状の部分が出現するため、掻き取り時には、この凸状の部分ごと現像ロール22の表面に沿って掻き取り力が生じ、凸部Sが形成されない場合に比べて掻き取り性能が向上していることは言うまでもない。
【0096】
このような作用域xの幅については、本実施の形態のみならず、例えば実施の形態1のように、電極部材26が曲面を有するものであっても同様であり、更には、電極部材26が現像ロール22に接触する態様であっても同様であることは言うまでもない。
【0097】
◎実施の形態3
図17(a)は、実施の形態3に係る現像装置20の概要を示す説明図であり、(b)は(a)の部分拡大図である。
本実施の形態の現像装置20は、実施の形態1の現像装置20(図5参照)と略同様に構成されるが、電極部材26が現像ロール22に接触した構成のものとなっている点が実施の形態1と異なる。尚、実施の形態1と同様の構成要素には同様の符号を付し、ここではその詳細な説明は省略する。
【0098】
本実施の形態の電極部材26は、例えばポリエステルシート等の弾性変形可能な基材26Aの片面に導電処理を施した導電層26Bを形成し、更に、その表面に例えばフッ素系樹脂層やポリオレフィン系樹脂よりなる体積抵抗率が例えば106Ω・cm以上の絶縁性の離型層26Cを設けたシート状部材で構成されている。このような電極部材26は、収容容器21の一部に一端側が固定され、他端側が現像ロール22の回転方向に沿って延びる自由端となっており、その端部より内側で現像ロール22と接触するように構成されている。更に、電極部材26の現像ロール22の回転軸方向に沿った長さは、現像領域の有効幅を超える長さとなっている。
【0099】
このような構成において、電極部材26のうち少なくとも現像ロール22との接触部位が弾性変形することで、電極部材26側にトナーを吸引する方向の電界が作用したときにも、堰き止めるトナーの量に応じて電極部材26と現像ロール22との間隙が開き、両者間のトナー量に応じてその姿勢が適宜変化するようになる。
【0100】
そのため、電極部材26に吸引したトナーが現像ロール22側に吸引されても、縞状に並ぶ凸部は安定して形成されることから、現像ロール22上の電極部材26より下流側には安定した縞模様が出現する。そのため、縞状に並ぶ凸部に対する掻き取り性能が十分発揮されるようになる。
【0101】
◎実施の形態4
図18は、実施の形態4に係る現像装置20の概要を示す説明図である。
本実施の形態の現像装置20は、実施の形態1の現像装置20(図5参照)と略同様に構成されるが、供給ロール23の回転方向が実施の形態1と異なり、現像ロール22との接触部位で現像ロール22と同じ方向に回転している。尚、実施の形態1と同様の構成要素には同様の符号を付し、ここではその詳細な説明は省略する。
【0102】
本実施の形態では、供給ロール23が現像ロール22との接触部位で現像ロール22と同じ方向に回転しており、両者間には周速差が設けられている。つまり、供給ロール23の回転方向が実施の形態1と異なるため、現像ロール22に供給されるトナーは供給ロール23と現像ロール22との間を通過するが、周速差がトナーに負荷を与えない程度となっているため、現像ロール22上のトナーは層厚規制部材24にて予め決められた層厚に規制されると共に予め決められた帯電量に帯電される。尚、図中矢印Bは層厚規制部材24によって規制されたトナーの流れを示す。
【0103】
このような構成における現像ロール22上の縞状の凸部に対する掻き取り作用について説明する。
図19(a)は本実施の形態における現像ロール22と供給ロール23との接触部位(ニップ域)に対し、縞状に並ぶ凸部Sが形成されている様子を示し、(b)はその要部を拡大したものである。本実施の形態では、供給ロール23によって供給されるトナーTは、図中下方から搬送される。今、接触部位(図中接触幅wの部位)に凹部Rと凸部Sがある場合を想定すると、凹部Rにて供給ロール23上のトナーは現像ロール22の表面に達するが、このとき、現像ロール22の周速v1と供給ロール23の周速v2との間に周速差を持たせているため、凸部Sの先端部位には図中F2で示す方向の力が作用する。これにより、トナーを掻き取る効果が生じ、現像ロール22上の残留トナーは掻き取られる。尚、ここでは、現像ロール22の周速が供給ロール23の周速より小さい態様を示したが、逆に供給ロール23の周速が現像ロール22の周速より小さくても同様の効果を奏することは言うまでもない。
【0104】
◎実施の形態5
図20は、実施の形態5に係る現像装置20の概要を示す説明図である。
本実施の形態の現像装置20は、実施の形態1(図5参照)と略同様に構成されるが、電極部材26と現像ロール22との間隙を変化させるために、電極部材26を移動させる間隙可変機構50を備えている点が実施の形態1と異なる。尚、実施の形態1と同様の構成要素には同様の符号を付し、ここではその詳細な説明は省略する。
【0105】
本実施の形態の間隙可変機構50は、電極部材26と現像ロール22との間隙が異なる二箇所の位置で電極部材26を移動させる構成を備えている。このような間隙の変化は、例えばトナーや現像ロール22の表面の経時による変化により、残留トナー量が増加する場合に、電極部材26を現像ロール22から遠ざけることで縞状に並ぶ凸部が良好に形成されるようにしている。
【0106】
本実施の形態では、電極部材26を現像ロール22に近接した状態の二箇所の位置の間で移動させる態様を示したが、例えば実施の形態3(図17参照)のように電極部材26が弾性を有する態様にあっては、現像ロール22に接触する位置と近接する位置との間で移動させるようにしても差し支えない。更には、移動位置としては二箇所に限られず、三箇所以上備えていても差し支えない。
そして、本実施の形態では、電極部材26を移動させる態様を示したが、電極部材26の移動と共に低周波電界の大きさを変化させるようにしてもよい。この場合、残留トナー量が多くなった場合、電極部材26を現像ロール22から遠ざけて電界強度を大きくするようにするなどの態様が挙げられる。
【0107】
◎実施の形態6
図21は、実施の形態6に係る現像装置20の概要を示す説明図である。
本実施の形態の現像装置20は、これまでの実施の形態と異なり、使用する現像剤が二成分現像剤であり、現像ロール22に対して二成分現像剤のうちのトナーを供給するようになっている。尚、実施の形態1と同様の構成要素には同様の符号を付し、ここではその詳細な説明は省略する。
【0108】
同図において、本実施の形態の現像装置20は、収容容器21の開口に対応して、現像ロール22が設けられると共に、現像ロール22と離間して対向する位置には供給ロール27が設けられている。本実施の形態の供給ロール27は、周面に回転可能なスリーブ27aを有し、内部に適宜配置された磁極を有する固定的な磁石体27bとで構成されている。
【0109】
更に、供給ロール27の背後には、収容容器21の一部で構成される仕切壁21aを中心にして、二成分現像剤を搬送する二つの搬送路41,42が供給ロール27の回転軸方向に沿って配置され、これら二つの現像剤搬送路41,42には、共に両端部位に設けられた図示外の連絡用開口を介して繋がった構成となっている。
二つの現像剤搬送路41,42には、夫々の現像剤搬送路41,42の長手方向に沿って現像剤を攪拌しながら搬送する攪拌搬送部材43,44が夫々設けられており、攪拌搬送部材43,44による現像剤の搬送方向を互いに異ならせることで、現像剤は二つの現像剤搬送路41,42の間を互いに循環搬送されるようになっている。
【0110】
そのため、供給ロール27では、供給ロール27に近い現像剤搬送路41からの現像剤を吸着しながらスリーブ27aの回転によってその表面に現像剤を保持して搬送するようになっている。また、磁石体27bの一部には、隣り合う同極の磁極を配置することで、この部位では互いの反発磁界によってスリーブ27a上の現像剤が剥離されるようになっている。
【0111】
このような構成の現像装置20において、現像剤は現像剤搬送路41,42中で攪拌搬送部材43,44によって攪拌搬送されることで、現像剤中のトナーは予め決められた帯電量に帯電される。帯電されたトナーを有する現像剤は、供給ロール27上に搬送されるが、供給ロール27に対向して設けられた層厚規制部材28によって、供給ロール27上の現像剤量は規制され、一定になった現像剤量が現像ロール22との対向部位に搬送される。この対向部位では、磁極の作用により、現像剤が十分な穂立ちがなされると共に供給電界が供給電源32によって付与されることで、予め決められた現像剤中のトナー量が現像ロール22に移動する。
【0112】
現像ロール22に移動したトナーは、その量が規制されると共に十分な帯電がなされていることから、特に、帯電を付与させる必要はないが、別途帯電を付与するコロナ帯電器等の部材を設けるようにしても差し支えない。
そして、現像ロール22の回転によって現像域に達したトナーは、感光体10と現像ロール22との現像電界によって現像され、現像域を通過した後の残留トナーは、シール部材25を通過後、電極部材26との対向部位に達し、低周波電界によって縞状に並ぶ凸部が形成される。供給ロール27と現像ロール22との対向部位では供給ロール27側から現像剤の十分な穂立ちがなされているため、この穂立ちによって現像ロール22上の縞状に並ぶ凸部は現像ロール22から掻き取られる。
【0113】
図22(a)は、本実施の形態における現像ロール22と供給ロール23との対向部位に対し、縞模様が形成されている様子を示し、(b)はその要部を拡大したものとなっている。
本実施の形態では、現像ロール22と現像剤Gとの接触部位(接触幅wに相当)では、凹部Rにて現像ロール22の表面に現像剤Gが到達しているため、凸部Sに対しては、図中F3のような力が作用し、凸部Sは十分掻き取られるようになる。
【0114】
◎実施の形態7
図23は、実施の形態7に係る現像装置20の概要を示す説明図である。
本実施の形態の現像装置20は、これまでの実施の形態と異なり、電極部材を二箇所に設けた構成のものである。本例では、シール部材25に新たな電極部材としての機能を持たせ、このシール部材25と、その下流側の電極部材26との二箇所に対し、現像ロール22との間に同じ低周波電界を作用させるように低周波電源34を接続したものとなっている。尚、実施の形態1と同様の構成要素には同様の符号を付し、ここではその詳細な説明は省略する。
【0115】
本実施の形態におけるシール部材25は、現像ロール22に面する側に導電性の被覆処理がなされており、このシール部材25及び電極部材26は共に低周波電源34に接続されている。
【0116】
このような構成における現像ロール22上の縞状に並ぶ凸部の形成過程について図24を基に説明する。ここでは、シール部材25によって形成された縞状に並ぶ凸部Sとして、第一の凸部S1から第六の凸部S6までが間隔を置いて順次形成されているものとする。
(a)はシール部材25のみで、後続の電極部材26を備えない場合の縞模様の様子を示している。また、(b)は(a)に更に電極部材26を備えた場合の縞模様の様子を示している。
シール部材25と現像ロール22との間に作用する低周波電界によって形成された凸部は、電極部材26と現像ロール22との間で更に低周波電界が作用することで上流側に移動する。ここでは、(b)において、凸部S1〜S3が上流側に移動した状態を示している。
【0117】
このように、シール部材25と電極部材26の二箇所で同じ低周波電界を作用させることで、現像ロール22上の残留トナーは、シール部材25によって一旦形成された縞模様のうちの凸部Sが電極部材26によって更に吸引されることで、電極部材26の下流側の凸部Sの現像ロール22に対する付着力が低減され、掻き取りが一層やり易くなる。
【0118】
ここでは、シール部材25及び電極部材26に同じ低周波電源34(図23参照)を接続する態様を示したが、夫々に異なる電源を接続しても差し支えなく、電極部材26の下流側に形成される縞状の凸部の大きさを適宜選択するようにすればよい。
【0119】
◎実施の形態8
図25は、実施の形態8に係る現像装置20の概要を示す説明図である。
本実施の形態の現像装置20は、現像ロール22へのトナーの供給に供給ロールを用いずに、現像ロール22に近接して配置される供給部材29を用いた点が他の実施の形態と異なる。尚、実施の形態1と同様の構成要素には同様の符号を付し、ここではその詳細な説明は省略する。
【0120】
本実施の形態では、現像ロール22にトナーを保持させ、トナー層厚を規制する層形成手段として、トナーを貯留して現像ロール22に供給する供給部材29と層厚規制部材24とで構成されている。
本実施の形態の供給部材29は、窪みを有する構成で配置され、この窪みに供給のためのトナーが貯留され、貯留されたトナーが回転する現像ロール22に接触することで、トナーの供給がなされるようになっている。尚、収容容器21中の現像ロール22より下方に落下したトナーは、図示外の機構によって供給部材29の窪み側に搬送されるようになっている。
【0121】
このような構成において、電極部材26と現像ロール22との間の低周波電界にて形成された現像ロール22上の縞状の凸部は、供給部材29と現像ロール22との間では、トナーが現像ロール22側に供給されることで、掻き取ったり、あるいは、層厚規制部材24と現像ロール22との間で掻き取られるようになる。
したがって、このような構成であっても、現像ロール22上のトナーの掻き取り性能が確保され、ゴースト等の画像欠陥発生が抑えられる。
【0122】
以上のような実施の形態によれば、現像後の現像ロール22上の残留トナーに対する除去性能が改善される結果、ゴーストの発生が抑えられると共に、地肌かぶり等の画像欠陥が抑えられた良好な画像が長期に亘り一定に維持されるようになる。
このような縞状に並ぶ凸部の形成がなされない従来法の場合には、現像ロール22上の残留トナーの除去性能が劣るので、現像されないで残留したトナーが、継続して現像ロール22上に残り続け、現像ロール22と、供給ロール23、層厚規制部材24及び感光体10との夫々の対向部位を連続して通過することにより、トナーがストレスを受け、トナー表面の外添剤の剥離や埋没が起こっていた。トナー表面の外添剤が剥離したり埋没したりすると、トナー表面の帯電性が変化し、帯電量の低下が生じる。また、トナーの流動性も低下し、現像ロール22上のトナー薄層の形成にもムラが起こるようになる。これらの結果、画像に地肌かぶりが発生し、画像に筋が発生する。このように、従来法では地肌かぶりなどが抑えられた画質を長期に亘り維持することが困難であったが、本実施の形態のように、縞状に並ぶ凸部を形成することで、現像ロール22上の残留トナーが良好に除去されることで、トナーの外添剤の剥離や埋没が抑えられ、長期に亘って良好な画質が維持される効果も認められる。
【実施例】
【0123】
本実施例は、現像ロールの周速と低周波電界の周波数との関係を確認するために行ったもので、実験条件は次のようにした。
・現像ロールの外径:φ18mm
・供給ロールの外径:φ18mm
・現像ロールと供給ロールのニップ域の接触幅:供給ロールの食い込み量を0.5mmに設定することで、4.25mm
・電極部材:φ5mmのステンレス棒
・電極部材と現像ロールとの間隙:300μm
・現像ロールの周速:300mm/秒
・低周波電界(矩形波)のVpp:1.2kV(トナーが現像ロールから飛翔し、かつ、リーク放電が起きない範囲で、間隙との関係で適宜設定できる。例えば0.8kV〜2kV。)
【0124】
評価は、シール部材後の現像ロール上の模様を目視確認すると共に、ベタ印刷後に網点30%の画像形成を行った際のゴーストの発生状況を目視確認により評価した。尚、ゴーストは、次の評価によった。○印:問題なし、△印:ゴーストが若干見受けられるが実用上問題ないレベル、×印:ゴースト有り
【0125】
結果は、図26に示すように、凸部の幅が狭くなれば縞模様がやや不明瞭になるが、ゴーストの発生からは、凸部の幅が0.8〜3mmで問題ない結果であり、縞模様の目視結果からすると、凸部の幅が1.2mm以下の場合には多少崩れる傾向が確認された。そのため、より好適な周波数としては、凸部の幅が1.5〜3mmの125〜50Hzであることが確認された。更に、本願発明者らは、凸部の幅が4mmとなる周波数37.5Hzを追加したところ、ゴーストが問題ないことを確認した。
この結果から、縞状に並ぶ凸部の形成が有効に作用していることが確認された。
【符号の説明】
【0126】
1…潜像保持体,2…収容容器,3…トナー保持体,4…現像電界形成手段,5…層形成手段,6…トナー供給部材,7…電極部材,8…低周波電界形成手段,T…トナー,DR…現像領域,S…凸部,w…接触幅
【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像を保持する潜像保持体に対向して開口し且つ内部に現像剤としてのトナーが収容される収容容器と、
この収容容器の前記開口に面した部位にて前記潜像保持体に対向して回転可能に設けられ且つ前記潜像保持体に対向する現像領域に向かってトナーを保持して搬送するトナー保持体と、
前記潜像保持体と前記トナー保持体とが対向する前記現像領域に対し前記トナー保持体上のトナーにて前記潜像保持体の潜像を現像する現像電界を形成する現像電界形成手段と、
前記トナー保持体に対して設けられ、前記現像領域に向かうトナー保持体上に予め決められた層厚のトナー層を形成する層形成手段と、
前記トナー保持体の回転方向における前記現像領域より下流側で且つ前記層形成手段より上流側位置にて前記トナー保持体に対向して配置されると共に前記トナー保持体の回転方向に交差する方向に延びるように設けられ、少なくとも一部が導電性部材にて構成され且つ当該導電性部材と前記トナー保持体との間に電界を作用させるために用いられる電極部材と、
この電極部材と前記トナー保持体との間の残留トナーに作用し且つ予め決められた低い周波数で極性が交互に周期的に変化する低周波電界を形成し、前記トナー保持体上の残留トナーが、前記低周波電界の周期に依存して前記トナー保持体の回転方向に対して目視可能な寸法で縞状に並ぶ凸部に変化するように、前記トナー保持体上の残留トナーを移動させる低周波電界形成手段と、
を備えることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1記載の現像装置において、
前記低周波電界形成手段は、前記低周波電界を形成するに当たり、前記トナー保持体の周速をv(mm/秒)、前記低周波電界の周波数をf(Hz)、前記縞状に並ぶ凸部の一周期分の最小寸法をd(mm)としたときに、f≦v/dの関係を満たすことを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の現像装置において、
前記電極部材は、前記層形成手段によって形成された前記トナー保持体上のトナー層の厚みを超える間隙を保って前記トナー保持体に対向して配置されたロール状部材であることを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の現像装置において、
前記電極部材のうち前記トナー保持体の回転方向に沿う前記低周波電界の作用域の幅をm(mm)、前記低周波電界のうち前記トナー保持体上の残留トナーを当該トナー保持体側に吸引する方向の電界成分が作用する時間に相当するトナー保持体の回転方向における移動距離をn(mm)としたときに、m≧nの関係を満たすことを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の現像装置において、
前記低周波電界形成手段は、前記低周波電界を形成するに当たり、トナーを前記トナー保持体側から前記電極部材側に吸引する電界成分をE1、トナーを前記電極部材側から前記トナー保持体側に吸引する電界成分をE2としたときに、E1≧E2の関係を満たすことを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれかに記載の現像装置において、
前記低周波電界形成手段は、前記低周波電界を形成するに当たり、前記低周波電界の一周期のうち、トナーを前記トナー保持体側から前記電極部材側に吸引する電界成分の作用時間をt1、トナーを前記電極部材側から前記トナー保持体側に吸引する電界成分の作用時間をt2としたときに、t1≧t2の関係を満たすことを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれかに記載の現像装置において、
前記現像電界形成手段は、予め決められた高い周波数で極性が交互に周期的に変化する高周波電界が含まれる現像電界を形成するものであり、
前記低周波電界形成手段は、前記現像電界の高周波電界に近い周波数の高周波電界を前記電極部材に作用させ、前記二つの高周波電界の差分からなる低い周波数のうなり成分を前記低周波電界としたことを特徴とする現像装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の現像装置において、
前記電極部材による電界作用領域は、前記現像領域の長手方向有効幅よりも長い寸法に設定されていることを特徴とする現像装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の現像装置において、
前記電極部材を移動可能に支持し且つ前記トナー保持体との間隙を変化させる間隙可変機構を更に備えることを特徴とする現像装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の現像装置のうち前記層形成手段がトナー保持体に接触してトナーを供給するトナー供給部材を有する態様において、
前記トナー供給部材は、前記トナー保持体との接触部位で当該トナー保持体とは逆向きに回転するものであり、
前記トナー供給部材と前記トナー保持体との間の前記トナー保持体の回転方向に沿う接触幅をw(mm)、前記低周波電界のうち前記トナー保持体上の残留トナーを当該トナー保持体側に吸引する方向の電界成分が作用する時間に相当するトナー保持体の回転方向における移動距離をn(mm)としたときに、w>nの関係を満たすことを特徴とする現像装置。
【請求項11】
潜像を保持する潜像保持体と、
この潜像保持体上の潜像をトナーにて現像する請求項1乃至10のいずれかに記載の現像装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
潜像を保持する潜像保持体に対向して開口し且つ内部に現像剤としてのトナーが収容される収容容器と、
この収容容器の前記開口に面した部位にて前記潜像保持体に対向して回転可能に設けられ且つ前記潜像保持体に対向する現像領域に向かってトナーを保持して搬送するトナー保持体と、
前記潜像保持体と前記トナー保持体とが対向する前記現像領域に対し前記トナー保持体上のトナーにて前記潜像保持体の潜像を現像する現像電界を形成する現像電界形成手段と、
前記トナー保持体に対して設けられ、前記現像領域に向かうトナー保持体上に予め決められた層厚のトナー層を形成する層形成手段と、
前記トナー保持体の回転方向における前記現像領域より下流側で且つ前記層形成手段より上流側位置にて前記トナー保持体に対向して配置されると共に前記トナー保持体の回転方向に交差する方向に延びるように設けられ、少なくとも一部が導電性部材にて構成され且つ当該導電性部材と前記トナー保持体との間に電界を作用させるために用いられる電極部材と、
この電極部材と前記トナー保持体との間の残留トナーに作用し且つ予め決められた低い周波数で極性が交互に周期的に変化する低周波電界を形成し、前記トナー保持体上の残留トナーが、前記低周波電界の周期に依存して前記トナー保持体の回転方向に対して目視可能な寸法で縞状に並ぶ凸部に変化するように、前記トナー保持体上の残留トナーを移動させる低周波電界形成手段と、
を備えることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1記載の現像装置において、
前記低周波電界形成手段は、前記低周波電界を形成するに当たり、前記トナー保持体の周速をv(mm/秒)、前記低周波電界の周波数をf(Hz)、前記縞状に並ぶ凸部の一周期分の最小寸法をd(mm)としたときに、f≦v/dの関係を満たすことを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の現像装置において、
前記電極部材は、前記層形成手段によって形成された前記トナー保持体上のトナー層の厚みを超える間隙を保って前記トナー保持体に対向して配置されたロール状部材であることを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の現像装置において、
前記電極部材のうち前記トナー保持体の回転方向に沿う前記低周波電界の作用域の幅をm(mm)、前記低周波電界のうち前記トナー保持体上の残留トナーを当該トナー保持体側に吸引する方向の電界成分が作用する時間に相当するトナー保持体の回転方向における移動距離をn(mm)としたときに、m≧nの関係を満たすことを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の現像装置において、
前記低周波電界形成手段は、前記低周波電界を形成するに当たり、トナーを前記トナー保持体側から前記電極部材側に吸引する電界成分をE1、トナーを前記電極部材側から前記トナー保持体側に吸引する電界成分をE2としたときに、E1≧E2の関係を満たすことを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれかに記載の現像装置において、
前記低周波電界形成手段は、前記低周波電界を形成するに当たり、前記低周波電界の一周期のうち、トナーを前記トナー保持体側から前記電極部材側に吸引する電界成分の作用時間をt1、トナーを前記電極部材側から前記トナー保持体側に吸引する電界成分の作用時間をt2としたときに、t1≧t2の関係を満たすことを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれかに記載の現像装置において、
前記現像電界形成手段は、予め決められた高い周波数で極性が交互に周期的に変化する高周波電界が含まれる現像電界を形成するものであり、
前記低周波電界形成手段は、前記現像電界の高周波電界に近い周波数の高周波電界を前記電極部材に作用させ、前記二つの高周波電界の差分からなる低い周波数のうなり成分を前記低周波電界としたことを特徴とする現像装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の現像装置において、
前記電極部材による電界作用領域は、前記現像領域の長手方向有効幅よりも長い寸法に設定されていることを特徴とする現像装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の現像装置において、
前記電極部材を移動可能に支持し且つ前記トナー保持体との間隙を変化させる間隙可変機構を更に備えることを特徴とする現像装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の現像装置のうち前記層形成手段がトナー保持体に接触してトナーを供給するトナー供給部材を有する態様において、
前記トナー供給部材は、前記トナー保持体との接触部位で当該トナー保持体とは逆向きに回転するものであり、
前記トナー供給部材と前記トナー保持体との間の前記トナー保持体の回転方向に沿う接触幅をw(mm)、前記低周波電界のうち前記トナー保持体上の残留トナーを当該トナー保持体側に吸引する方向の電界成分が作用する時間に相当するトナー保持体の回転方向における移動距離をn(mm)としたときに、w>nの関係を満たすことを特徴とする現像装置。
【請求項11】
潜像を保持する潜像保持体と、
この潜像保持体上の潜像をトナーにて現像する請求項1乃至10のいずれかに記載の現像装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図8】
【公開番号】特開2013−50624(P2013−50624A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189194(P2011−189194)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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