説明

現像装置及び画像形成装置

【課題】液体現像剤の供給不足や供給過多を抑制できる現像装置を提供する。
【解決手段】液体現像剤GBを汲み上げる汲み上げローラ93bと、表面に液体現像剤GBが転位されて現像剤膜GB1が形成される現像剤供給ローラ92bと、現像剤供給ローラ92bの表面に形成される現像剤膜GB1の膜厚を規制する規制部材921bと、現像剤供給ローラ92bに対向して配置され、表面に現像剤膜GB1が転位されて現像剤膜GB1を保持する現像ローラ91bと、液体現像剤GBの温度を測定する温度センサ601bと、汲み上げローラ93bを回転駆動する汲み上げローラ回転駆動部602bと、汲み上げローラ93bの回転速度を現像剤供給ローラ92bの回転速度以上とし且つ液体現像剤GBの温度に基づいて汲み上げローラ93bの回転速度を変更するように、汲み上げローラ回転駆動部602bを制御する汲み上げローラ回転駆動制御部621bとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置及び、現像装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コピー機やプリンタ等の画像形成装置として、トナー画像を担持可能な像担持体と、像担持体に液体現像剤を供給可能な現像装置とを備える湿式の画像形成装置が存在する。
湿式の画像形成装置を構成する現像装置として、液体現像剤貯留部に貯留される液体現像剤を汲み上げる汲み上げローラと、汲み上げローラと隙間を有して対向して配置され、汲み上げローラにより汲み上げられる液体現像剤が転位されて、表面に現像剤膜が形成される現像剤供給ローラと、現像剤供給ローラの表面に形成された現像剤膜が転位され、現像剤膜を表面に保持する現像ローラと、を備えるものがある(例えば、特許文献1参照)。
このように構成された現像装置によれば、液体現像剤貯留部に貯留される液体現像剤は、汲み上げローラ、現像剤供給ローラ及び現像ローラを順次転位され、像担持体に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−219355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、湿式の画像形成装置を構成する現像装置においては、液体現像剤の粘度が高くなった場合などにおいて、汲み上げローラから現像剤供給ローラへ液体現像剤がスムーズに転位しなくなり、そのため、現像ローラの表面に保持される現像剤膜がかすれ、その結果、形成される画像の品質が低下するという問題が生じることがあった。
また、画像形成装置の環境温度によって、液体現像剤の粘度が変化することにより、汲み上げローラによる液体現像剤の汲み上げ量が変化し、現像ローラへの液体現像剤の供給不足による画像の欠落や液体現像剤の供給過多による画像の滲み等が生じる問題もあった。
【0005】
本発明は、汲み上げローラから現像剤供給ローラへ液体現像剤がスムーズに転位すると共に、現像ローラへの液体現像剤の供給不足や液体現像剤の供給過多による不具合の発生を抑制することができる現像装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記現像装置を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、像担持体に液体現像剤を供給する現像装置であって、液体現像剤を貯留する液体現像剤貯留部と、前記液体現像剤貯留部に貯留される液体現像剤を汲み上げる汲み上げローラと、前記汲み上げローラと隙間を有して対向して配置され、前記汲み上げローラにより汲み上げられる液体現像剤が転位されて、表面に現像剤膜が形成される現像剤供給ローラと、前記現像剤供給ローラに近接又は当接して配置され、該現像剤供給ローラの表面に形成される前記現像剤膜の膜厚を所定の厚さよりも厚くならないように規制する規制部材と、前記現像剤供給ローラに対向すると共に当接して配置され、前記現像剤供給ローラの表面に形成された前記現像剤膜が転位され、前記現像剤膜を表面に保持する現像ローラと、前記液体現像剤貯留部に貯留される液体現像剤の温度を測定する温度センサと、前記汲み上げローラを回転駆動する汲み上げローラ回転駆動部と、前記汲み上げローラの回転速度を前記現像剤供給ローラの回転速度以上とし且つ前記温度センサにより測定された液体現像剤の温度に基づいて前記汲み上げローラの回転速度を変更するように、前記汲み上げローラ回転駆動部を制御する汲み上げローラ回転駆動制御部と、を備える現像装置に関する。
【0007】
また、前記現像剤供給ローラと隙間を有して対向して配置され、該現像剤供給ローラの回転方向における前記汲み上げローラと前記規制部材との間に配置され、該規制部材により膜厚が規制される前の前記現像剤膜の前記膜厚を調整するスクイズローラを更に備え、
前記現像剤供給ローラは、前記汲み上げローラとの対向位置において、前記汲み上げローラと同方向に回転することが好ましい。
【0008】
また、前記現像剤供給ローラと前記スクイズローラとの前記隙間は、前記汲み上げローラと前記現像剤供給ローラとの前記隙間以下であり、前記スクイズローラは、前記現像剤供給ローラとの対向位置において該現像剤供給ローラの回転方向とは反対方向に回転することが好ましい。
【0009】
また、前記汲み上げローラ回転駆動制御部は、前記温度センサにより測定された液体現像剤の温度が高い場合には前記汲み上げローラの回転速度を速くし、前記温度センサにより測定された液体現像剤の温度が低い場合には前記汲み上げローラの回転速度を遅くするように、前記汲み上げローラ回転駆動部を制御することが好ましい。
【0010】
また、前記スクイズローラを回転駆動するスクイズローラ回転駆動部と、前記汲み上げローラの回転速度を速くした場合には前記スクイズローラの回転速度を遅くし、前記汲み上げローラの回転速度を遅くした場合には前記スクイズローラの回転速度を速くするように、前記スクイズローラ回転駆動部を制御するスクイズローラ回転駆動制御部と、を備えることが好ましい。
【0011】
また、本発明は、前記現像装置と、前記像担持体を有する画像形成部であって、シート状の被転写材にトナー画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部により前記被転写材に形成されたトナー画像を定着させる定着部と、を備える画像形成装置に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の現像装置によれば、汲み上げローラから現像剤供給ローラへ液体現像剤がスムーズに転位すると共に、現像ローラへの液体現像剤の供給不足や液体現像剤の供給過多による不具合の発生を抑制することができる現像装置を提供することができる。
また、本発明の画像形成装置によれば、前記現像装置を備える画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】カラープリンタ1の各構成要素を説明するための全体図である。
【図2】液体現像剤循環装置LYの構成を説明する模式図である。
【図3】現像装置9bを含む画像形成ユニットFYの各構成要素の配置を説明する拡大断面図である。
【図4】現像装置9bの構造及び機能ブロックを説明する拡大断面図である。
【図5】液体現像剤GBの温度依存性データを示すグラフである。
【図6】現像装置9bの動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
まず、図1により、画像形成装置としてのカラープリンタ1の全体構成について説明する。図1は、カラープリンタ1の各構成要素を説明するための全体図である。
図1に示すように、カラープリンタ1は、画像形成部2と、用紙収納部3と、二次転写部4と、定着部5と、用紙搬送部6と、排紙部7と、を備える。
【0015】
画像形成部2は、画像データに基づいてトナー画像を形成するタンデム式のものである。用紙収納部3は、被転写材の一例である用紙Tを収容する。二次転写部4は、画像形成部2で形成されたトナー画像を用紙T上(表面)に転写する。定着部5は、用紙Tに転写されたトナー画像を用紙T上に定着させる。用紙搬送部6は、用紙Tを用紙収納部3から排紙部7まで搬送する。排紙部7は、用紙搬送部6により搬送された用紙Tを排紙(排出)する。
【0016】
画像形成部2は、中間転写ベルト21と、クリーニング部22と、複数の画像形成ユニットFB、FY、FC、FMとを備える。
【0017】
中間転写ベルト21は、導電性を有する無端状のベルト部材である。
中間転写ベルト21は、カラープリンタ1において使用可能な最も大きな用紙の幅よりも幅広である。ここで、「幅」とは、用紙搬送方向に垂直な方向の長さをいう。
中間転写ベルト21は、それぞれ所定位置に配置される駆動ローラ41と従動ローラ23とテンションローラ24とに張架されて配置される(架けわたされて配置される)。
【0018】
中間転写ベルト21は、矢印で示すように、時計回り(図1において)に循環駆動される。具体的には、中間転写ベルト21は、駆動モータ(不図示)から伝達された回転駆動力により回転された駆動ローラ41により、矢印方向(環方向)に回転駆動される。また、回転駆動された中間転写ベルト21により、従動ローラ23及びテンションローラ24それぞれは、従動回転される。なお、中間転写ベルト21は、テンションローラ24により弛まないように適切な張力を付与された状態で回転駆動される。
以下、中間転写ベルト21の外側を向く面を「表面」とし、他方の面を「裏面」とする。
【0019】
クリーニング部22は、クリーニングローラ22aと、クリーニングブレード22bとを有する。クリーニング部22は、中間転写ベルト21のクリーニングを行う。
【0020】
画像形成ユニットFB、FY、FC、FMそれぞれは、中間転写ベルト21の近傍に配置される。画像形成ユニットFB、FY、FC、FMは、水平方向に並んで配置される。画像形成ユニットFB、FY、FC、FMは、水平方向においてクリーニング部22と二次転写部4との間に並んで配置される。画像形成ユニットFB、FY、FC、FMは、図1において左からFB、FY、FC、FMの順序で並んで配置される。
【0021】
画像形成ユニットFB、FY、FM、FCそれぞれは、ブラック(Bk)、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)の各色に対応したユニットである。
なお、画像形成ユニットFB、FY、FC、FMの配置順序は、上述の限りではないが、各色の混色による画像(用紙T上に転写された画像)への影響を配慮すると、上述の配置順序が好ましい。
【0022】
また、画像形成ユニットFB、FY、FC、FMそれぞれに対応して、後述する液体現像剤循環装置LB、LY、LC、LMを構成するトナータンクTB、TY、TC、TMや、メインキャリアタンクMTが設けられる。これらは、各色の液体現像剤における供給及び回収に利用されるタンクである。
液体現像剤循環装置LB、LY、LC、LMについては後に説明する。
【0023】
画像形成ユニットFB、FY、FC、FMそれぞれは、感光体ドラム10a、10b、10c、10dと、帯電装置11a、11b、11c、11dと、露光装置12a、12b、12c、12dと、現像装置9a、9b、9c、9dと、一次転写ローラ20a、20b、20c、20dと、クリーニング装置26a、26b、26c、26dと、除電装置13a、13b、13c、13dと、キャリア液除去ローラ30b、30c、30dと、を備える。ここで、画像形成ユニットのうち、最も二次転写部4に近い画像形成ユニットFBは、キャリア液除去ローラを有しないが、その他の構成については他の画像形成ユニットFY、FC、FMと同一である。
【0024】
感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれは、円柱状の部材であって、その表面に帯電(本実施形態ではプラス極性に帯電)したトナー画像を担持可能な部材である。感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれは、図1において反時計回りに回転可能に配置される。
【0025】
帯電装置11a、11b、11c、11dそれぞれは、感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれの表面を所定の極性及び電位に一様に帯電させる装置である。
【0026】
露光装置12a、12b、12c、12dそれぞれは、図示しない光源部(例えば、LED(Light―Emitting Diode)等)を有する。露光装置12a、12b、12c、12dそれぞれは、外部機器(例えば、PC等)から入力される画像データに基づいて、所定の極性及び電位に一様に帯電された感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれの表面に、光を照射する。これにより、露光部分の電荷が除去されて、感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれの表面には、静電潜像が形成される。
【0027】
現像装置9a、9b、9c、9dそれぞれは、トナー及びキャリア液を含む液体現像剤GB、GY、GC、GMを、感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれの表面に形成された静電潜像に対向するように保持する。これにより、現像装置9a、9b、9c、9dそれぞれは、静電潜像に各色のトナーを付着させ、静電潜像をトナー画像として現像させる。
現像装置については後に詳細に説明する。
【0028】
一次転写ローラ20a、20b、20c、20dそれぞれは、中間転写ベルト21の裏面に、感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれに対応して配置される。一次転写ローラ20a、20b、20c、20dそれぞれは、中間転写ベルト21を挟んで感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれと対向して配置される。
【0029】
一次転写ローラ20a、20b、20c、20dそれぞれには、図示しない電源により、トナー画像を構成するトナーとは逆極性(本実施形態ではマイナス)の電圧が印加される。つまり、一次転写ローラ20a、20b、20c、20dそれぞれは、中間転写ベルト21と接触している位置において中間転写ベルト21に対して、トナーと逆極性の電圧を印加する。中間転写ベルト21は導電性を有するため、この印加電圧によって、中間転写ベルト21の表面側及びその周辺に、トナーが引きつけられる。
【0030】
クリーニング装置26a、26b、26c、26dそれぞれは、クリーニングブレード27a、27b、27c、27dと、搬送スクリュー28a、28b、28c、28dとを備える。クリーニング装置26a、26b、26c、26dそれぞれは、中間転写ベルト21に転写されずに感光体ドラム10a、10b、10c、10dに残留した液体現像剤を除去するための装置である。
【0031】
クリーニングブレード27a、27b、27c、27dそれぞれは、感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれの回転軸方向に延びる板状の部材である。クリーニングブレード27a、27b、27c、27dそれぞれは、感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれの表面に残留した液体現像剤を掻き取るための部材である。クリーニングブレード27a、27b、27c、27dそれぞれは、先端が感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれの表面に当接(摺接)して配置される。クリーニングブレード27a、27b、27c、27dそれぞれは、感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれの回転に伴って、感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれの表面に残留した液体現像剤を掻き取る。
【0032】
搬送スクリュー28a、28b、28c、28dそれぞれは、クリーニング装置26a、26b、26c、26dそれぞれの内部に配置される。搬送スクリュー28a、28b、28c、28dそれぞれは、クリーニングブレード27a、27b、27c、27dそれぞれによって掻き取られ且つクリーニング装置26a、26b、26c、26dそれぞれの内部に収容された液体現像剤を、第1回収容器81a、81b(図2参照)、81c、81dそれぞれに搬送する。また、搬送スクリュー28a、28b、28c、28dそれぞれは、後述するキャリア液除去ローラ30b、30c、30dそれぞれによって中間転写ベルト21から除去され且つクリーニング装置26a、26b、26c、26dそれぞれの内部に収容されたキャリア液も、第1回収容器81a、81b(図2参照)、81c、81dそれぞれに搬送する。
【0033】
除電装置13a、13b、13c、13dそれぞれは、除電用の光源(不図示)を有する。除電装置13a、13b、13c、13dそれぞれは、光源からの光によって感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれの表面を除電処理する。除電装置13a、13b、13c、13dそれぞれは、クリーニングブレード27a、27b、27c、27dそれぞれによって感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれの表面から液体現像剤が除去された部分に対して、除電処理を行う。
【0034】
キャリア液除去ローラ30b、30c、30dそれぞれは、感光体ドラム10b、10c、10dそれぞれの回転軸と平行な回転軸それぞれを中心として回転可能に配置される略円柱状の部材である。キャリア液除去ローラ30b、30c、30dは、中間転写ベルト21の表面からキャリア液を除去する部材である。
【0035】
キャリア液除去ローラ30b、30c、30dそれぞれは、感光体ドラム10b、10c、10dそれぞれにおける表面に対向して配置される。キャリア液除去ローラ30b、30c、30dそれぞれは、感光体ドラム10b、10c、10dそれぞれと中間転写ベルト21とが接触する位置よりも感光体ドラム10b、10c、10dそれぞれの回転方向下流側において、感光体ドラム10b、10c、10dそれぞれに対向して配置される。
【0036】
キャリア液除去ローラ30b、30c、30dそれぞれは、所定方向からみて感光体ドラム10b、10c、10dそれぞれと同方向に回転する。キャリア液除去ローラ30b、30c、30dそれぞれによって除去されたキャリア液は、クリーニング装置26b、26c、26dの内部に収容される。
【0037】
用紙収納部3は、カラープリンタ1における上下方向の下部に配置される。用紙収納部3は、用紙Tを収納する給紙カセット31と、用紙Tを用紙搬送部6(後述)に供給する給紙ローラ32と、複数の用紙Tが重なった状態で用紙搬送部6に供給されることを抑制する分離ローラ対33と、を有する。
【0038】
二次転写部4は、中間転写ベルト21を駆動する駆動ローラ41と、二次転写ローラ42とを有する。二次転写ローラ42は、中間転写ベルト21を間に挟んで駆動ローラ41に向けて押圧されて配置される。二次転写部4は、中間転写ベルト21上(表面)に形成されたトナー画像を、用紙Tに転写する。二次転写部4は、上述した一次転写ローラ20a、20b、20c、20dと共に、トナー画像を用紙Tに転写する転写装置を構成する。
【0039】
定着部5は、加熱ローラ51と、加圧ローラ52とを有する。加圧ローラ52は、加熱ローラ51に対向すると共に、加熱ローラ51を押圧するように配置される。定着部5は、二次転写部4により転写されたトナー画像を用紙Tに定着させる部分(装置)である。定着部5は、二次転写部4よりも用紙Tの搬送方向において下流側に配置される。
【0040】
用紙搬送部6は、(複数の)搬送ローラ対74と、レジストローラ対75とを備える。用紙搬送部6は、用紙収納部3から供給された用紙Tを、二次転写部4及び定着部5を介して排紙部7に搬送する部分である。なお、図1においては、一対の搬送ローラ対74のみを図示し、他の搬送ローラ対の表示を省略している。
【0041】
排紙部7は、(複数の)排出ローラ対71と、カラープリンタ1における上面に設けられた排出トレイ72とを有する。排紙部7は、二次転写部4によりトナー画像が転写され且つ定着部5によりトナー画像が一方又は両方の面に定着された用紙Tが排出される部分である。なお、図1においては、一対の排出ローラ対71のみを図示し、他の排出ローラ対の表示を省略している。
【0042】
次いで、図2から図4により、現像装置及び液体現像剤循環装置について説明する。
図2は、液体現像剤循環装置LYの構成を説明する模式図である。図3は、現像装置9bを含む画像形成ユニットFYの各構成要素の配置を説明する拡大断面図である。図4は、現像装置9bの構造及び機能ブロックを説明する拡大断面図である。
まず、現像装置9a、9b、9c、9dについて説明する。ここで、現像装置9bについて詳細に説明し、同様の構成である他の現像装置9a、9c、9dについては説明を省略する。
【0043】
図2から図4に示すように、現像装置9bは、感光体ドラム10bに液体現像剤GBを供給するための装置である。現像装置9bは、液体現像剤GBを貯留する液体現像剤貯留部としての現像容器95bと、現像ローラ91bと、現像剤供給ローラとしての供給ローラ92bと、現像容器95bに貯留される液体現像剤GBを汲み上げる汲み上げローラ93bと、規制部材としての供給ローラブレード部材921bと、スクイズローラ98bと、液体現像剤GBを汲み上げローラ93b又は現像容器95bの収容部へ供給する現像剤供給装置94bと、現像ローラクリーニング装置96bと、帯電装置97bと、を備える。
【0044】
現像容器95bは、内部(収容部)に液体現像剤GBを収容(貯留)可能な容器であり、現像剤供給装置94bにより供給される液体現像剤GBを、収容部に貯留する。現像容器95bは、現像ローラ91bと、供給ローラ92bと、汲み上げローラ93bと、供給ローラブレード部材921bと、スクイズローラ98bと、現像剤供給装置94bと、現像ローラクリーニング装置96bと、帯電装置97bとを支持する。
現像容器95bの収容部の底部における各ローラの軸方向下流側の端部には、液体現像剤GBを排出可能な排出部952b(図2参照)が形成される。排出部952bは、後述する流路R2bによって液体現像剤循環装置LYの第2回収容器83bに接続される。
【0045】
現像ローラ91bは、感光体ドラム10bに対向して配置される円筒状の部材である。現像ローラ91bは、外面側に配置され表面を構成する弾性部を有する。現像ローラ91bは、図3及び図4において、矢印方向(時計回り)に回転される。
現像ローラ91bは、感光体ドラム10bに対して所定の圧力で当接するよう配置される。これにより、感光体ドラム10bと現像ローラ91bとの当接部分には、ニップ部NCが形成される。
【0046】
また、現像ローラ91bは、供給ローラ92bに対向すると共に当接して配置される。現像ローラ91bは、その表面の前記弾性部に、供給ローラ92bの表面に形成された現像剤膜GB1(後述)が転位され、その転位された現像剤膜GB1を弾性部の表面に保持する。
【0047】
供給ローラ92bは、液体現像剤GBを現像ローラ91bに供給するローラ部材である。供給ローラ92bは、現像ローラ91bに当接して対向配置される。
供給ローラ92bは、現像ローラ91bにおける上下方向Zの下側に配置される。また、供給ローラ92bは、回転軸が現像ローラ91bの回転軸に対して水平方向(左右方向X)にずれるように配置される。供給ローラ92bは、現像ローラ91bと汲み上げローラ93bとの間に配置される。
【0048】
供給ローラ92bは、いわゆるアニロックスローラと呼ばれる部材としての役割を有しており、供給ローラ92bの表面には、螺旋溝が形成されている。供給ローラ92bは、螺旋溝に液体現像剤GBが流れ込むことで、表面に液体現像剤GBを保持し、現像剤膜GB1を形成可能に構成される。ここで、供給ローラ92bの表面に保持された液体現像剤GB(現像剤膜GB1)は、供給ローラ92bの回転に伴って、軸方向における一端側(図4において紙面手前側)から他端側(図4において紙面奥側)に搬送される。
【0049】
供給ローラ92bの近傍には、先端が供給ローラ92bの表面に当接又は近接するように、供給ローラブレード部材921bが配置される。供給ローラブレード部材921bは、供給ローラ92bの表面に形成される液体現像剤GBの膜(現像剤膜GB1)の厚さ(膜厚)を、所定の厚さよりも厚くならないように規制する。
【0050】
汲み上げローラ93bは、その下部が現像容器95bに貯留される液体現像剤GBに浸漬される状態で、配置される。汲み上げローラ93bは、図3及び図4において矢印方向(反時計方向)に回転される。汲み上げローラ93bは、軸方向において供給ローラ92bよりも短い部材であり、上下方向Zにおいて供給ローラ92bの下側に配置される。また、汲み上げローラ93bは、その回転軸が供給ローラ92bの回転軸に対して水平方向(左右方向X)にずれるように配置される。
【0051】
供給ローラ92bは、図3及び図4において矢印方向(時計回り)に回転される。つまり、供給ローラ92bは、汲み上げローラ93bとの対向位置において汲み上げローラ93bと同方向に回転する。これにより、汲み上げローラ93bにより汲み上げられる液体現像剤GBは転位されて、供給ローラ92bの表面に、現像剤膜GB1が形成される。
【0052】
汲み上げローラ93bは、供給ローラ92bに対向して配置される。供給ローラ92bは、汲み上げローラ93bと隙間(以下「第1隙間」ともいう)K1を有して、汲み上げローラ93bの上方に対向して配置される。第1隙間K1は、例えば0.2〜2mm、好ましくは、0.5〜1mmの大きさである。
【0053】
汲み上げローラ93bは、供給ローラ92bと対向するニップ部NBの近傍で、液体現像剤を支持可能である。汲み上げローラ93bは、回転軸が供給ローラ92bの回転軸に対して水平方向(左右方向X)にずれるように配置されることで、ニップ部NB近傍に液体現像剤が貯留しやすくさせる。
【0054】
汲み上げローラ93bは、図4において矢印方向(反時計回り)に回転される。つまり、供給ローラ92bと汲み上げローラ93bとが対向するニップ部NBでは、供給ローラ92bの表面は、汲み上げローラ93bの表面と同方向に移動する。これにより、ニップ部NBに貯留された液体現像剤は、供給ローラ92bに供給されやすくなる。
【0055】
現像剤供給装置94bは、濃度が調整された液体現像剤を、供給ローラ92bと汲み上げローラ93bとのニップ部NBの近傍に供給するための装置である。現像剤供給装置94bは、汲み上げローラ93bと供給ローラ92bとの間の隙間K1よりも汲み上げローラ93bの回転方向の少し上流側の位置において、液体現像剤GBを供給する。
【0056】
現像剤供給装置94bから供給される液体現像剤GBは、その一部が汲み上げローラ93bの表面から直接、供給ローラ92bの表面(螺旋溝)へ転位される他、汲み上げローラ93bの表面を介して現像容器95bの収容部に貯留される。この貯留された液体現像剤GBは、汲み上げローラ93bにより汲み上げられ、供給ローラ92bの表面(螺旋溝)へ転位される。
【0057】
また、現像ローラ91bと供給ローラ92bとが当接するニップ部NAでは、現像ローラ91bの表面は、供給ローラ92bの表面と逆方向に移動する。これにより、供給ローラ92bの表面に転位されて保持された液体現像剤GB(現像剤膜GB1)は、現像ローラ91bの表面に受け渡される。ここで、供給ローラブレード部材921bにより供給ローラ92bの現像剤膜GB1の膜厚が所定範囲に規制されるので、現像ローラ91bの表面に形成される現像剤膜の膜厚も所定範囲に保たれる。
【0058】
現像剤供給装置94bは、供給ローラ92bの軸方向に等間隔に配置された複数の現像剤供給ノズル941bを有する。現像剤供給ノズル941bは、液体現像剤循環装置LYのリザーブタンク87bに流路R7bを介して接続され、リザーブタンク87bから液体現像剤の供給を受ける(図2参照)。現像剤供給ノズル941bは、汲み上げローラ93bにおける、供給ローラ92bと汲み上げローラ93bとのニップ部NB近傍の部分に向けて、液体現像剤を供給する。
【0059】
供給ローラ92bと汲み上げローラ93bとのニップ部NB近傍に供給された液体現像剤の余剰分は、汲み上げローラ93bから上下方向Zにおける下方へ落下し、現像容器95bの収容部に貯留される。貯留された液体現像剤は、流路R2bを通して液体現像剤循環装置LYの第2回収容器83bに回収される。
【0060】
スクイズローラ98bは、供給ローラ92bと隙間(以下「第2隙間」ともいう)K2を有して供給ローラ92bの下方に対向して配置される。第2隙間K2は、汲み上げローラ93bと供給ローラ92bとの隙間K1以下であり、例えば0.2〜1.0mmである。第1隙間K1と第2隙間K2と比(K1/K2)は、例えば1.0〜2.0である。
【0061】
スクイズローラ98bは、供給ローラブレード部材921bにより膜厚が規制される前の現像剤膜GB1の膜厚を調整するローラである。スクイズローラ98bは、供給ローラ92bの回転方向における汲み上げローラ93bと供給ローラブレード部材921bとの間に配置される。スクイズローラ98bは、図3及び図4において矢印方向(時計方向)に回転される。つまり、スクイズローラ98bは、供給ローラ92bとの対向位置において、供給ローラ92bとは反対方向に回転する。
【0062】
現像ローラクリーニング装置96bは、感光体ドラム10aに供給されずに現像ローラ91bの表面に残留した液体現像剤をクリーニングする装置である。現像ローラクリーニング装置96bは、現像剤回収ローラ963bと、回収ローラ掻き取りブレード964bと、先端が現像ローラ91bの表面に当接する現像ローラブレード部材961bと、現像剤回収部(図示せず)と、排出部材965b(図2参照)と、を備える。現像ローラクリーニング装置96bは、現像容器95bに支持されて配置される。
【0063】
現像剤回収ローラ963bは、現像ローラ91bに当接して対向配置される。現像剤回収ローラ963bは、現像ローラ91bに残存した液体現像剤を回収する部材である。
回収ローラ掻き取りブレード964bは、現像剤回収ローラ963bに付着した液体現像剤を掻き取る部材であり、先端が現像剤回収ローラ963bに接触して配置される。
【0064】
現像ローラブレード部材961bは、現像剤回収ローラ963bに対して現像ローラ91bにおける回転方向下流側の所定位置に対向配置される板状の部材である。現像ローラブレード部材961bは、先端が現像ローラ91bに接触するように配置される。現像ローラブレード部材961bは、現像ローラ91b上(表面)の液体現像剤を掻き取るための部材である。現像ローラブレード部材961bは、現像剤回収ローラ963bで回収されなかった液体現像剤を掻き取るための部材である。
【0065】
前記現像剤回収部(図示せず)は、現像ローラブレード部材961bにより掻き取られた液体現像剤を回収する内部空間を有する。現像剤回収部における内部空間は、流路R1b(図2参照)により第2回収容器83bと接続される。
【0066】
排出部材965b(図2参照)は、前記現像剤回収部に回収された液体現像剤を、第2回収容器83bに接続された流路R1b側に搬送するスクリュー状の部材である。
【0067】
帯電装置97bは、現像ローラ91bの近傍に配置される。帯電装置97bは、現像ローラ91bに対向して配置される。帯電装置97bは、現像ローラ91bの回転方向において、現像ローラ91bと感光体ドラム10bとの当接部分NCよりも上流側であって、現像ローラ91bと供給ローラ92bとのニップ部NA分よりも下流側の部分に対向して配置される。帯電装置97bは、現像ローラ91bの回転方向においてニップ部NAと当接部分NCとの間に、現像ローラ91bと対向して配置される。
【0068】
帯電装置97bは、現像ローラ91b上(表面)に形成された現像剤膜GB1を構成する液体現像剤GBに、電荷を付与(電圧を印可)する。帯電装置97bは、例えば、コロナ放電により、現像剤膜GB1を構成する液体現像剤GBに電荷を付与する。帯電装置97bは、現像装置9bにおける現像効率を向上させることが可能である。
【0069】
続けて、液体現像剤循環装置LYについて説明する。ここで、液体現像剤循環装置LYについて詳細に説明し、同様の構成である他の液体現像剤循環装置LB、LM、LCについては説明を省略する。
【0070】
液体現像剤循環装置LYは、第1回収容器81bと、分離抽出装置82と、第2回収容器83bと、調整容器84bと、トナータンクTYと、キャリアタンクCYと、リザーブタンク87bとを備える。液体現像剤循環装置LYは、画像形成に使用されなかった液体現像剤を再び利用するための装置である。
【0071】
第1回収容器81bは、感光体ドラム10b上(表面)に残留した液体現像剤を回収するための容器である。
【0072】
分離抽出装置82は、第1回収容器81bの液体現像剤をトナーとキャリア液とに分離するための装置である。分離抽出装置82は、流路R8bを介して第1回収容器81bと接続される。流路R8bには、ポンプP6bが設けられる。第1回収容器81b内の液体現像剤は、流路R8bにより分離抽出装置82に送られる。
【0073】
また、分離抽出装置82は、流路R9bを介してキャリアタンクCYと接続される。流路R9bには、ポンプP7bが設けられる。分離抽出装置82において分離・抽出されたキャリア液は、流路R9bによりキャリアタンクCYに送られる。
【0074】
第2回収容器83bは、現像装置9bにおいて画像形成に使用されずに残留した液体現像剤を回収する容器である。第2回収容器83bは、流路R1b及び流路R2bを介して、現像装置9bの現像ローラクリーニング装置96b及び現像容器95bの排出部952bと接続される。
【0075】
流路R1bは、現像ローラクリーニング装置96bと流路R2bとをつなぐように形成される。流路R1bは、流路R2bと合流する。流路R1bは、現像ローラクリーニング装置96bで回収された液体現像剤を、流路R2bとの合流部に向けて送る。
流路R2bは、現像容器95bの排出部952bと第2回収容器83bとをつなぐように形成される。流路R2bには、流路R1bが合流する。流路R2bは、現像容器95bの底部に貯留された液体現像剤を、第2回収容器83bに送る。また、流路R2bは、現像ローラクリーニング装置96bにより回収された液体現像剤であって流路R1bを介して流路R2bに送られた液体現像剤を、第2回収容器83bに送る。
【0076】
調整容器84bは、液体現像剤のトナー濃度を所定値に調整するための容器である。調整容器84bは、流路R3bを介して第2回収容器83bと接続される。流路R3bには、ポンプP1bが設けられる。第2回収容器83b内の液体現像剤は、流路R3bにより調整容器84bに送られる。
【0077】
トナータンクTYは、現像装置9bで用いられる液体現像剤よりトナー濃度が高い液体現像剤を収容する。このトナー濃度の高い液体現像剤は、調整容器84b内のトナー濃度を上げるために用いられる。トナータンクTYは、流路R5bを介して調整容器84bと接続される。流路R5bには、ポンプP5bが設けられる。トナータンクTYに収容されるトナー濃度が高い液体現像剤は、流路R5bにより調整容器84bへ送られる。
【0078】
キャリアタンクCYは、キャリア液を収容する。キャリア液は、調整容器84b内のトナー濃度を下げるために用いられる。また、キャリアタンクCYは、流路R4bを介して調整容器84bと接続される。流路R4bには、ポンプP2bが設けられる。キャリア液は、流路R4bにより調整容器84bへ送られる。なお、キャリアタンクCYと同様のキャリアタンクが、他の液体現像剤循環装置LM、LC、LB(図1参照)にも、それぞれ設けられている。これらのキャリアタンクは、各色共通のメインキャリアタンクMT(図1参照)からキャリア液の供給を受ける。
【0079】
リザーブタンク87bは、現像装置9bに補給される液体現像剤を収容する。
リザーブタンク87bは、流路R6bを介して調整容器84bと接続される。流路R6bには、ポンプP3bが設けられる。調整容器84bに収容される液体現像剤は、流路R6bによりリザーブタンク87bへ送られる。
【0080】
また、リザーブタンク87bは、流路R10bを介してトナータンクTYと接続される。流路R10bには、ポンプP8bが設けられる。トナータンクTYに収容されるトナー濃度が高い液体現像剤は、流路R10bによりリザーブタンク87bへ送られる。流路R10bからトナー濃度が高い液体現像剤が供給されることで、リザーブタンク87bに収容される液体現像剤のトナー濃度を短時間で高くすることができる。
【0081】
また、リザーブタンク87bは、流路R11bを介してキャリアタンクCYと接続される。流路R11bには、ポンプP9bが設けられる。キャリアタンクCYに収容されるキャリア液は、流路R11bによりリザーブタンク87bへ送られる。流路R11bからキャリア液が供給されることで、リザーブタンク87bに収容される液体現像剤のトナー濃度を短時間で低くすることができる。
【0082】
また、リザーブタンク87bは、流路R7bを介して現像剤供給ノズル941bと接続される。流路R7bには、ポンプP4bが設けられる。リザーブタンク87bに収容された液体現像剤は、流路R7bにより現像剤供給ノズル941bに送られる。そして、現像剤供給ノズル941bに送られた液体現像剤は、ニップ部NBに向けて供給される。
【0083】
次に、現像装置9bの制御機能に係る構成について説明する。
現像装置9bは、制御機能に係る構成として、現像容器95bに貯留される液体現像剤GBの温度を測定する温度センサ601bと、汲み上げローラ93bを回転駆動する汲み上げローラ回転駆動部602bと、スクイズローラ98bを回転駆動するスクイズローラ回転駆動部603bと、ローラ回転駆動制御部604bと、を備える。
【0084】
ローラ回転駆動制御部604bは、汲み上げローラ回転駆動部602bを制御する汲み上げローラ回転駆動制御部621bと、スクイズローラ回転駆動部603bを制御するスクイズローラ回転駆動制御部631bと、を有する。
【0085】
温度センサ601bは、現像容器95bの内部(収容部)における底部近傍に配置される。温度センサ601bは、現像容器95bに貯留される液体現像剤GBの温度を測定し、その測定温度をローラ回転駆動制御部604bへ出力する。
【0086】
汲み上げローラ回転駆動部602bは、汲み上げローラ93bの回転軸931bに直結されていると共に、ローラ回転駆動制御部604bの汲み上げローラ回転駆動制御部621bに接続されている。汲み上げローラ回転駆動制御部621bは、汲み上げローラ93bの回転速度を供給ローラ92bの回転速度以上とし且つ温度センサ601bにより測定された液体現像剤GBの温度に基づいて汲み上げローラ93bの回転速度を変更するように、汲み上げローラ回転駆動部602bを制御する。
【0087】
詳細には、汲み上げローラ回転駆動制御部621bは、温度センサ601bにより測定された液体現像剤GBの温度が所定の値(閾値)よりも高い場合には、汲み上げローラ93bの回転速度を速くするように、汲み上げローラ回転駆動部602bを制御する。また、汲み上げローラ回転駆動制御部621bは、温度センサ601bにより測定された液体現像剤GBの温度が所定の値(閾値)よりも低い場合には、汲み上げローラ93bの回転速度を遅くするように、汲み上げローラ回転駆動部602bを制御する。
【0088】
スクイズローラ回転駆動部603bは、スクイズローラ98bの回転軸981bに直結されていると共に、ローラ回転駆動制御部604bのスクイズローラ回転駆動制御部631bに接続されている。スクイズローラ回転駆動制御部631bは、汲み上げローラ93bの回転速度に対応してスクイズローラ98bの回転速度を変更するように、スクイズローラ回転駆動部603bを制御する。
【0089】
詳細には、スクイズローラ回転駆動制御部631bは、汲み上げローラ93bの回転速度を速くした場合には、スクイズローラ98bの回転速度を遅くするように、スクイズローラ回転駆動部603bを制御する。また、スクイズローラ回転駆動制御部631bは、汲み上げローラ93bの回転速度を遅くした場合には、スクイズローラ98bの回転速度を速くするように、スクイズローラ回転駆動部603bを制御する。
【0090】
ところで、温度センサ601bにより測定される液体現像剤GBの温度T1に基づいて汲み上げローラ93bの回転速度を変更するように、汲み上げローラ回転駆動部602bを制御することは、液体現像剤GBの粘度が液体現像剤GBの温度によって変動する、いわゆる、粘度の温度依存性に適応させるためである。
【0091】
詳述すると、液体現像剤GBの粘度(mPa・s)は、図5に示すように、液体現像剤GBの温度(℃)が高くなればなるほど漸次低下するといった温度依存性を有する。
なお、粘度(残留粘度)は、Anton Paar社製 Physica MCR−301 粘弾性測定装置により測定した。
【0092】
また、現像ローラ91bの周速は、必ず感光体ドラム10aの周速と等しい。一方、供給ローラ92bの周速は、可変となっている。汲み上げローラ93bの周速は、つまり、汲み上げローラ93bの周速/供給ローラ92bの周速(周速比)は、可変となっている。汲み上げローラ93bの周速は、例えば、400〜500mm/secである。
【0093】
液体現像剤の温度及び粘度に対応して設定される、汲み上げローラ93bと供給ローラ92bとの周速比(周面(表面)における速度)は、例えば、下記〔表1〕の通りである。
【0094】
【表1】

【0095】
続けて、カラープリンタ1の動作について説明する。
まず、図1を参照しながら、カラープリンタ1の画像形成動作について説明する。
カラープリンタ1は、該カラープリンタ1に接続されたPC(不図示)から画像形成指示を含む画像データを受け付ける。カラープリンタ1は、画像データに含まれる画像情報に基づいて、画像形成ユニットFY、FM、FC、FBを用いて各色のトナー画像を形成する。
【0096】
具体的には、カラープリンタ1は、画像データに含まれる画像情報に基づいて、各種動作部を制御して、感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれの表面に静電潜像を形成させる。そして、カラープリンタ1は、現像装置9a、9b、9c、9dそれぞれを各静電潜像に各種トナーを供給するよう動作させ、感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれの表面に各色トナー画像を形成させる。
【0097】
カラープリンタ1は、画像形成ユニットFY,FM、FC、FBで形成された各色トナー画像(感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれの表面に形成された各色トナー画像)を、中間転写ベルト21に互いに重ね合わせながら転写させる。これにより、中間転写ベルト21上には、カラートナー画像が形成される。
【0098】
カラープリンタ1は、カラートナー画像の形成と同期して、用紙収納部3の給紙カセット31に収容されている用紙Tを、給紙ローラ32によって給紙カセット31から取り出すと共に、分離ローラ対33によって用紙Tを一枚ずつ用紙搬送部6に送出させる。
用紙搬送部6の搬送ローラ対74は、用紙Tをレジストローラ対75まで送る。
レジストローラ対75は、用紙Tの搬送姿勢を補正すると共に、用紙Tの搬送を一旦停止させる。
そして、レジストローラ対75は、中間転写ベルト21への一次転写とタイミングを合わせて用紙Tを二次転写部4へ送る。
【0099】
二次転写部4は、中間転写ベルト21上のカラートナー画像を用紙Tに二次転写する。カラートナー画像が二次転写された用紙Tは、用紙搬送部6により定着部5に搬送される。
定着部5は、カラートナー画像が転写された用紙Tを加圧状態で加熱することで、カラートナー画像を用紙Tに定着させる。
【0100】
用紙搬送部6は、カラートナー画像が定着された用紙Tを排紙部7に搬送する。そして、排紙部7は、排出ローラ対71によってカラープリンタ1の上面部に形成された排出トレイ72に、カラートナー画像が形成(定着)された用紙Tを排紙する。
【0101】
次に、現像装置9bの動作について説明する。
カラープリンタ1の画像形成動作が開始されると、液体現像剤の供給開始指示を受けたポンプP4bは、液体現像剤の送液(供給)を開始する。これにより、現像剤供給装置94bは、汲み上げローラ93bにおける供給ローラ92bとのニップ部NB近傍に液体現像剤を供給することを開始する。供給される液体現像剤は、液体現像剤循環装置LYの調整容器84bによってトナー濃度が所定値に調整された液体現像剤である。
【0102】
液体現像剤は、その一部が汲み上げローラ93bの表面から直接、供給ローラ92bの表面(螺旋溝)へ転位される他、汲み上げローラ93bの表面を介して現像容器95bの収容部に貯留される。この貯留された液体現像剤GBは、汲み上げローラ93bにより汲み上げられ、供給ローラ92bの表面(螺旋溝)へ転位され、現像剤膜GB1を形成する。供給ローラ92bの表面に形成された現像剤膜GB1は、現像ローラ91bに転位され、保持される。
【0103】
ここで、現像ローラ91bに保持される現像剤膜は、供給ローラブレード部材921bによって一定の膜厚に規制される。詳細には、現像剤供給装置94bからの供給量が少ない状態(所定量未満の状態)では、現像剤膜は、供給ローラブレード部材921bにより規制されず、供給量の増加に伴って膜厚が厚くなる。そして、現像剤供給装置94bからの供給量が多い状態(所定量以上の状態)では、現像剤膜は、供給ローラブレード部材921bにより規制され、膜厚が一定となる。この場合において、現像剤供給装置94bは、供給ローラブレード部材921bにより掻き落とされた液体現像剤の分だけ過剰に液体現像剤を供給している。
【0104】
続けて、カラープリンタ1は、帯電装置97bに対して、電荷付与処理(例えば、コロナ放電)を開始することを指示する。電荷付与処理によって、現像剤膜を構成する液体現像剤中のトナーは、現像剤膜の表面側に移動される。これにより、現像装置9bは、感光体ドラム10bに形成された静電潜像にトナーを供給する。感光体ドラム10bに供給されずに現像ローラ91b上に残留した液体現像剤は、上述の現像ローラブレード部材961bによって掻き取られ、現像ローラクリーニング装置96bの前記現像剤回収部(図示せず)に回収される。現像剤回収部に収納された液体現像剤は、流路R1b(図2参照)を通って第2回収容器83bに回収される。
【0105】
なお、現像ローラ91bに供給されなかった液体現像剤は、汲み上げローラ93bから下方へ落下し、現像容器95bの収容部に貯留される。現像容器95bの収容部に貯留された液体現像剤は、流路R2b(図2参照)を通って第2回収容器83bに回収される。また、感光体ドラム10bの表面に残留した液体現像剤は、現像ローラクリーニング装置96bによって第1回収容器81bに回収される。
【0106】
第1回収容器81b及び第2回収容器83bに回収された液体現像剤は、液体現像剤循環装置LYによって循環され、トナー濃度が所濃度になるよう調整される。そして、トナー濃度が所定濃度に調整された液体現像剤は、再び、現像剤供給装置94bによって現像装置9bに供給される。
【0107】
続けて、図2を参照しながら、液体現像剤の循環について液体現像剤循環装置LYの動作を中心に説明する。
まず、現像剤供給装置94bから供給された液体現像剤は、供給ローラ92bを介して現像ローラ91bに供給される。現像ローラ91bに供給された液体現像剤の一部(トナーの一部)は、感光体ドラム10bに供給される。感光体ドラム10bに供給されずに現像ローラ91b上に残留した液体現像剤は、現像ローラブレード部材961bにより掻き取られる。掻き取られた液体現像剤は、流路R1b及び流路R2bを通って第2回収容器83bに送られる。
【0108】
現像剤供給装置94bから供給された液体現像剤であって、供給ローラ92bに供給さなかった液体現像剤及び供給ローラ92bに供給されたが供給ローラブレード部材921bにより掻き落とされた液体現像剤は、現像容器95bに一時的に貯留される。
現像容器95bに一時的に貯留された液体現像剤は、流路R2bを通って第2回収容器83bに送られる。
【0109】
第2回収容器83bに貯留された液体現像剤は、所定のタイミングで流路R3bを通って調整容器84bに供給される。
【0110】
また、中間転写ベルト21に転写されずに感光体ドラム10b上に残留した液体現像剤は、クリーニングブレード27bによって掻き取られる。掻き取られた液体現像剤は、第1回収容器81bに収容される。
第1回収容器81bに回収された液体現像剤は、流路R8bを通って分離抽出装置82に送られる。
【0111】
分離抽出装置82に送られた液体現像剤は、トナーとキャリア液とに分離される分離抽出処理がされる。分離抽出装置82において抽出されたキャリア液は、流路R9bを通ってキャリアタンクCYへ送られる。
【0112】
調整容器84bにおいて、固形分濃度検出部(不図示)によって検出された液体現像剤のトナー濃度に基づいて、液体現像剤のトナー濃度調整が行われる。具体的には、トナー濃度が高い場合には、キャリア液は、キャリアタンクCYから流路R4bを通って調整容器84bに供給される。また、トナー濃度が低い場合には、トナー濃度が高い液体現像剤は、トナータンクTYから流路R5bを通って調整容器84bに供給される。
【0113】
調整容器84bにおいてトナー濃度調整がされた液体現像剤は、必要に応じて流路R6bを通ってリザーブタンク87bに送られる。
リザーブタンク87bに貯留された液体現像剤は、ポンプP4bの作用によって流路R7bを通って現像剤供給ノズル941bに送られる。
そして、液体現像剤は、現像剤供給ノズル941bから現像装置9bに供給され、画像の形成に供される。
【0114】
次に、本実施形態における現像装置9bの特徴的な動作について説明する。図6は、現像装置9bの動作を説明するフローチャートである。
【0115】
カラープリンタ1の画像形成動作が開始され、感光体ドラム10aの表面に静電潜像が形成されると、ステップST1において、現像装置9bの汲み上げローラ93bが回転する。これにより、現像容器95bに貯留されている液体現像剤GBは、汲み上げローラ93bの表面に汲み上げられる。このとき、汲み上げローラ93bの回転速度は、供給ローラ92bの回転速度以上であるため、汲み上げローラ93bと供給ローラ92bとの隙間K1には、十分な量の液体現像剤GBが汲み上げられる。
【0116】
また、ステップST2において、汲み上げローラ93bによる液体現像剤GBの汲み上げ時に、現像容器95bに貯留されている液体現像剤GBの温度は、温度センサ601bにより測定されている。
【0117】
ステップST3において、ローラ回転駆動制御部604bは、温度センサ601bにより測定された液体現像剤GBの温度T1と所定の温度T0とを比較する。
比較の結果、液体現像剤GBの温度T1が所定の温度T0よりも高い(T1≧T0)場合(YES)には、ステップST4において、ローラ回転駆動制御部604bの汲み上げローラ回転駆動制御部621bは、汲み上げローラ93bの回転速度を速くするように、汲み上げローラ回転駆動部602bを制御する。
【0118】
そして、ステップST5において、ローラ回転駆動制御部604bのスクイズローラ回転駆動制御部631bは、スクイズローラ98bの回転速度を遅くするように、スクイズローラ回転駆動部603bを制御する。
【0119】
一方、温度センサ601bにより測定された液体現像剤GBの温度T1が所定の温度T0よりも低い(T1<T0)場合(NO)には、ステップST6において、ローラ回転駆動制御部604bの汲み上げローラ回転駆動制御部621bは、汲み上げローラ93bの回転速度を遅くするように、汲み上げローラ回転駆動部602bを制御する。
【0120】
そして、ステップST7において、ローラ回転駆動制御部604bのスクイズローラ回転駆動制御部631bは、スクイズローラ98bの回転速度を速くするように、スクイズローラ回転駆動部603bを制御する。
【0121】
このように、本実施形態においては、液体現像剤GBにおける温度と粘度との関係を把握しておき、測定された温度に基づいて汲み上げローラと現像剤供給ローラとの周速比を制御する。
【0122】
例えば、液体現像剤GBの温度依存性を考慮しない場合においては、液体現像剤GBの温度(℃)が高くなって、粘度が下がると、汲み上げローラ93bによる液体現像剤GBの汲み上げ量が減少して、供給ローラ92bへの液体現像剤GBの供給不足を生じやすい。
【0123】
これに対して、本実施形態では、温度センサ601bにより測定された液体現像剤GBの温度T1が所定の温度T0よりも高い場合(T1≧T0)には、汲み上げローラ93bの回転速度を速くし、また、温度センサ601bにより測定された液体現像剤GBの温度T1が所定の温度T0よりも低い場合(T1<T0)には、汲み上げローラ93bの回転速度を遅くするように、液体現像剤GBの温度に応じて汲み上げローラ93bの回転速度を変更制御する。これにより、液体現像剤GBの温度(粘度)の変化にかかわらず、汲み上げローラ93bによる液体現像剤GBの汲み上げ量を略一定に保つことが可能である。
【0124】
また、ステップST8において、汲み上げローラ93bによって隙間K1に汲み上げられた液体現像剤GBは、汲み上げローラ93bとの対向位置において、汲み上げローラ93bと同方向に回転する供給ローラ92b側に転位されて、供給ローラ92bの表面に現像剤膜GB1が形成される。
【0125】
ステップST9において、供給ローラ92bの回転に伴って供給ローラ92bの表面に形成された現像剤膜GB1の膜厚は、スクイズローラ98bによって調整される。スクイズローラ98bによって調整される供給ローラ92bの表面における現像剤膜GB1の膜厚は、供給ローラ92bとスクイズローラ98bとの間の第2隙間K2の大きさに略一致している。
【0126】
ステップST10において、供給ローラ92bの表面における膜厚が調整された現像剤膜GB1は、供給ローラブレード部材921bによって、所定の厚さよりも厚くならないように膜厚が一定に規制される。
【0127】
ステップST11において、供給ローラ92bの表面に一定の膜厚に規制されて形成された現像剤膜GB1は、供給ローラ92bの回転に伴って現像ローラ91bに転位され、現像ローラ91bの表面に現像剤膜が保持される。
【0128】
ステップST12において、現像ローラ91bの表面に保持された現像剤膜は、現像ローラ91bの回転に伴って、感光体ドラム10aの表面に近接する位置に移動される。この際、帯電装置97bが発生させた電界(トナーの帯電極性と同極性)によって、液体現像剤膜中のトナーは、現像ローラ91bの表面側に移動させられる。そして、トナーは、現像ローラ91bから、感光体ドラム10aに形成された静電潜像に供給される。
【0129】
ステップST13において、感光体ドラム10aに供給されずに現像ローラ91bの表面に残留した液体現像剤は、現像ローラクリーニング装置96bの現像剤回収ローラ963bによって回収されると共に、現像ローラブレード部材961bによって掻き取られて回収される。
【0130】
以上のように構成された本実施形態の現像装置によれば、例えば、次のような効果が奏される。
本実施形態においては、汲み上げローラ93bの回転速度を供給ローラ92bの回転速度以上にしている。
そのため、汲み上げローラ93bの回転により、汲み上げローラ93bと供給ローラ92bとの対向位置の第1隙間K1への液体現像剤GBの汲み上げ量を十分に確保することができる。これによって、供給ローラ92bへの液体現像剤GBの供給不足を抑制することができる。
【0131】
また、本実施形態においては、供給ローラ92bが汲み上げローラ93bとの対向位置において同方向に回転するようにしている。
そのため、汲み上げローラ93bによって隙間K1に汲み上げられた液体現像剤GBを、供給ローラ92b側に確実且つスムーズに転位させて、表面に一定に規制された膜厚の現像剤膜を形成することができる。これによって、供給ローラ92bから現像ローラ91bへの現像剤膜の転位を確実にして現像剤の供給不足による画像の欠落という不具合の発生を抑制することができる。
【0132】
また、本実施形態においては、液体現像剤GBの温度を測定し、測定された液体現像剤GBの温度が高い場合には汲み上げローラ93bの回転速度を速くし、液体現像剤GBの温度が低い場合には汲み上げローラ93bの回転速度を遅くするように、汲み上げローラ93bの回転速度を液体現像剤GBの温度に基づいて変更制御している。
そのため、プリンタ1の周辺の環境温度に応じて液体現像剤GBの温度が変動して、液体現像剤GBの粘度が変化したとしても、汲み上げローラ93bによる液体現像剤GBの汲み上げ量を略一定に保つことができる。
【0133】
即ち、液体現像剤GBの温度が高くなって、粘度が下がったときは、汲み上げローラ93bの回転速度を速くして、汲み上げローラ93bによる液体現像剤の汲み上げ量を増加させ、また、液体現像剤GBの温度が低くなって、粘度が上がったときは、汲み上げローラ93bの回転速度を遅くして、汲み上げローラ93bによる液体現像剤の汲み上げ量を減少させることによって、液体現像剤GBの温度及び粘度の変化にかかわらず、汲み上げローラ93bによる液体現像剤GBの汲み上げ量を略一定に保つことが可能である。
したがって、環境温度の変動にかかわらず、汲み上げローラ93bから供給ローラ92bを経て現像ローラ91bに至る液体現像剤GBの供給不足による画像の欠落や液体現像剤GBの供給過多による画像の滲み等の不具合の発生を抑制することができる。
【0134】
更に、本実施形態においては、汲み上げローラ93bの回転速度を速くした場合にはスクイズローラ98bの回転速度を遅くし、汲み上げローラ93bの回転速度を遅くした場合にはスクイズローラ98bの回転速度を速くするように、スクイズローラ98bの回転速度を汲み上げローラ93bの回転速度の変更に応じて制御している。
そのため、汲み上げローラ93bから転位されて供給ローラ92bの表面に形成された現像剤膜GB1に対するスクイズローラ98bによる膜厚の調整を、現像剤膜GB1の粘度に対応して適正に行なうことができる。その結果、現像剤膜GB1の膜厚の調整後における供給ローラブレード部材921bによる膜厚の規制を、供給ローラブレード部材921bにかかる負荷の少ない状態で確実円滑に且つ安定良く行わせることができる。
【0135】
また、本実施形態によれば、上述の作用効果を奏する現像装置を備える画像形成装置が提供される。
【0136】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
例えば、現像剤供給装置94bとして、上述の実施形態では、濃度調整された液体現像剤GBを汲み上げローラ93bの表面に供給するようにしているが、これに制限されず、汲み上げローラ93bとは離れた位置において、現像容器95bの収容部に直接供給してもよい。つまり、液体現像剤GBの全量を汲み上げローラ93bにより汲み上げる形で供給ローラ92bに供給するように構成することもできる。
【0137】
供給ローラ92bは、上述の実施形態では、汲み上げローラ93bとの対向位置において、汲み上げローラ93bと同方向に回転しているが、これに制限されず、汲み上げローラ93bと反対方向に回転してもよい。
【0138】
本実施形態において、画像形成装置としてカラープリンタ1を例に挙げて説明をしているが、これに限定されない。画像形成装置は、例えば、カラーコピー機、モノクロコピー機、モノクロプリンタ、ファクシミリ、又はこれらの複合機等であってもよい。
シート状の被転写材は、用紙に限定されず、例えば、フィルムシートであってもよい。
【符号の説明】
【0139】
1……カラープリンタ(画像形成装置)、2……画像形成部、5……定着部、9a,9b,9c,9d……現像装置、91b……現像ローラ、92b……供給ローラ(現像剤供給ローラ)、921b……供給ローラブレード部材(規制部材)、93b……汲み上げローラ、95b……現像容器(液体現像剤貯留部)、98b……スクイズローラ、10a,10b,10c,10d……感光体ドラム2(像担持体)、601b……温度センサ、602b……汲み上げローラ回転駆動部、603b……スクイズローラ回転駆動部、621b……汲み上げローラ回転駆動制御部、631b……スクイズローラ回転駆動制御部、GB……液体現像剤、GB1……現像剤膜、K1……第1隙間(隙間)、K2……第2隙間(隙間)、T……用紙(被転写材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に液体現像剤を供給する現像装置であって、
液体現像剤を貯留する液体現像剤貯留部と、
前記液体現像剤貯留部に貯留される液体現像剤を汲み上げる汲み上げローラと、
前記汲み上げローラと隙間を有して対向して配置され、前記汲み上げローラにより汲み上げられる液体現像剤が転位されて、表面に現像剤膜が形成される現像剤供給ローラと、
前記現像剤供給ローラに近接又は当接して配置され、該現像剤供給ローラの表面に形成される前記現像剤膜の膜厚を所定の厚さよりも厚くならないように規制する規制部材と、
前記現像剤供給ローラに対向すると共に当接して配置され、前記現像剤供給ローラの表面に形成された前記現像剤膜が転位され、前記現像剤膜を表面に保持する現像ローラと、
前記液体現像剤貯留部に貯留される液体現像剤の温度を測定する温度センサと、
前記汲み上げローラを回転駆動する汲み上げローラ回転駆動部と、
前記汲み上げローラの回転速度を前記現像剤供給ローラの回転速度以上とし且つ前記温度センサにより測定された液体現像剤の温度に基づいて前記汲み上げローラの回転速度を変更するように、前記汲み上げローラ回転駆動部を制御する汲み上げローラ回転駆動制御部と、を備える
現像装置。
【請求項2】
前記現像剤供給ローラと隙間を有して対向して配置され、該現像剤供給ローラの回転方向における前記汲み上げローラと前記規制部材との間に配置され、該規制部材により膜厚が規制される前の前記現像剤膜の前記膜厚を調整するスクイズローラを更に備え、
前記現像剤供給ローラは、前記汲み上げローラとの対向位置において、前記汲み上げローラと同方向に回転する
請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記現像剤供給ローラと前記スクイズローラとの前記隙間は、前記汲み上げローラと前記現像剤供給ローラとの前記隙間以下であり、
前記スクイズローラは、前記現像剤供給ローラとの対向位置において該現像剤供給ローラの回転方向とは反対方向に回転する
請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記汲み上げローラ回転駆動制御部は、前記温度センサにより測定された液体現像剤の温度が高い場合には前記汲み上げローラの回転速度を速くし、前記温度センサにより測定された液体現像剤の温度が低い場合には前記汲み上げローラの回転速度を遅くするように、前記汲み上げローラ回転駆動部を制御する
請求項3に記載の現像装置。
【請求項5】
前記スクイズローラを回転駆動するスクイズローラ回転駆動部と、
前記汲み上げローラの回転速度を速くした場合には前記スクイズローラの回転速度を遅くし、前記汲み上げローラの回転速度を遅くした場合には前記スクイズローラの回転速度を速くするように、前記スクイズローラ回転駆動部を制御するスクイズローラ回転駆動制御部と、を備える
請求項4に記載の現像装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の現像装置と、
前記像担持体を有する画像形成部であって、シート状の被転写材にトナー画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部により前記被転写材に形成されたトナー画像を定着させる定着部と、を備える
画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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