現金処理装置
【課題】管理権限が異なる紙幣を区分して収納する場合に、搬送障害が生じたとしても、紙幣の収納先の特定を容易にする。
【解決手段】投入された紙幣を、管理権限が異なる釣銭準備金と売上金とに区分して収納する現金処理装置に、投入紙幣を受入れる接客部17と、搬送紙幣の金種を鑑別する鑑別部20と、鑑別された紙幣を一時保留する一時保留部21と、釣銭準備金〜収納する釣銭収納庫25、26と、売上金を収納する紙幣収納庫23と、紙幣を搬送する搬送路30と、搬送路30へのアクセス扉を施錠、解錠する収納時電磁ロックとを設け、接客部17へ投入された紙幣を、鑑別して、釣銭準備金に引当てる紙幣を一時保留部21に、売上金に引当てる紙幣を接客部17に仮集積し、一時保留部21に仮集積した釣銭準備金を釣銭収納庫25、26に収納後、接客部17に仮集積した売上金を紙幣収納庫23に収納するときに、収納時電磁ロックでアクセス扉を施錠する。
【解決手段】投入された紙幣を、管理権限が異なる釣銭準備金と売上金とに区分して収納する現金処理装置に、投入紙幣を受入れる接客部17と、搬送紙幣の金種を鑑別する鑑別部20と、鑑別された紙幣を一時保留する一時保留部21と、釣銭準備金〜収納する釣銭収納庫25、26と、売上金を収納する紙幣収納庫23と、紙幣を搬送する搬送路30と、搬送路30へのアクセス扉を施錠、解錠する収納時電磁ロックとを設け、接客部17へ投入された紙幣を、鑑別して、釣銭準備金に引当てる紙幣を一時保留部21に、売上金に引当てる紙幣を接客部17に仮集積し、一時保留部21に仮集積した釣銭準備金を釣銭収納庫25、26に収納後、接客部17に仮集積した売上金を紙幣収納庫23に収納するときに、収納時電磁ロックでアクセス扉を施錠する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小売業の店舗等に設置され、レジスタへ釣銭準備金としての現金を出金する機能と、レジスタから入金された現金を売上金と釣銭準備金とに区分して収納する機能とを備えた現金処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、小売業の店舗では、売上金や釣銭準備金の入出金処理を自動で行うために現金処理装置が導入されている。
また、現金処理装置に収納されている売上金は、売上金の輸送を委託された警備会社等の警送会社が店舗から回収して銀行等に輸送するため、輸送時は警送会社の管理下(警送管理という。)にあり、現金処理装置に収納された釣銭準備金等は、店舗の管理下(店舗管理という。)にあり、それぞれの収納庫は管理権限がないとアクセスできないようになっている。
【0003】
このような小売業の店舗で用いられる従来の現金処理装置は、レジスタからの回収時に売上金と釣銭準備金とが混在した状態で入金されると、投入された紙幣は鑑別部で金種等を鑑別、計数して一時保留部に集積し、入金金額のオペレータ確認後に、一時保留部から繰出した紙幣を鑑別部で鑑別し、その鑑別結果に基づいて、釣銭準備金は釣銭収納庫に金種別に収納し、紙幣収納庫には釣銭として用いる金種を含めて売上金に相当する金額を収納して、売上金と釣銭準備金とを区分して収納している(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2007−286744号公報(主に、段落0014−0020、第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した正常作動の場合は、それぞれの収納庫に設けられた鍵により、それぞれの管理権限を有する店舗の管理者や、警送会社の輸送担当者がそれぞれの収納庫にアクセスするため、問題が生ずることはない。
しかしながら、上述した従来の技術においては、一時保留部から各収納庫への紙幣の搬送中に、ジャム等による搬送障害が発生し、その復旧作業を行う場合には、搬送路上に、警送管理の売上金と店舗管理の釣銭準備金とが混在した状態で滞留していることになるので、問題が生ずる。
【0005】
すなわち、現金処理装置内に存在する紙幣は、原則として店舗が管理権限を有する紙幣であるが、警送会社が売上金を輸送する場合は、売上金が収納された紙幣収納庫を空の紙幣収納庫と交換して、または紙幣収納庫に収納された紙幣を全て輸送用の金庫に移しかえて輸送するので、売上金として収納されている金額と実際に輸送する金額とが同額であることが必要であるため、売上金として収納することが確定した時点で、紙幣の管理権限を店舗から警送会社へ移行させ、売上金として収納のために一時保留部から搬送される紙幣を含めて、警送会社が管理権限を有する紙幣として取扱うこととなっている。
【0006】
このため、売上金を収納する紙幣収納庫への紙幣の搬送中に搬送障害が生ずると、復旧作業時に搬送路上に滞留する紙幣は、同じ金種(例えば、1千円紙幣)であっても、売上金として収納される場合と、釣銭準備金として収納される場合があり、これらの区別を人が目視で行うことはできず、ジャムを生じさせた紙幣を除去した場合等に、収納先を特定することが困難になるという問題がある。
【0007】
また、搬送障害の復旧作業時に搬送路上に滞留する警送管理の売上金に、管理権限のない店舗の管理者等が触れることが可能であるため、不正行為に発展する可能性が生ずるという問題がある。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、売上金や釣銭準備金のように管理権限が異なる紙幣を区分して収納する場合に、搬送障害が生じたとしても、紙幣の収納先の特定を容易にすると共に、管理権限を有さない者が当該紙幣に触れることができないようにする手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、投入された紙幣を第1の管理権限の紙幣と第2の管理権限の紙幣とに区分して収納する現金処理装置において、投入された紙幣を受入れる接客部と、搬送された紙幣の金種を鑑別する鑑別部と、前記鑑別部で鑑別された紙幣を一時保留する一時保留部と、第1の管理権限の紙幣を収納する釣銭収納庫と、第2の管理権限の紙幣を収納する紙幣収納庫と、紙幣を搬送する搬送路と、前記搬送路へのアクセス扉を、施錠、解錠する収納時電磁ロックと、を備え、前記接客部へ投入された紙幣を、前記鑑別部で鑑別して、第1の管理権限の紙幣に引当てる紙幣を前記一時保留部に、第2の管理権限の紙幣に引当てる紙幣を前記接客部に、それぞれ仮集積し、前記一時保留部に仮集積した紙幣を、前記釣銭収納庫に第1の管理権限の紙幣として収納した後に、前記接客部に仮集積した紙幣を、前記紙幣収納庫に第2の管理権限の紙幣として収納するときに、前記収納時電磁ロックで、前記アクセス扉を施錠することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
これにより、本発明は、第2の管理権限の紙幣の収納処理のときに、ジャム等による搬送障害が発生した場合においても、第2の管理権限を有していない者がアクセス扉を開けることはできず、第2の管理権限を有していない者が第2の管理権限の紙幣に触れることを防止して、管理権限を有していない者による不正行為を未然に防止することができると共に、紙幣の管理権限を明確に区別することができ、復旧作業時に除去した紙幣等の収納先を容易に特定することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、図面を参照して本発明による現金処理装置の実施例について説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は実施例1の現金処理装置を示すブロック図、図2は実施例1の現金処理装置の正面を示す説明図、図3は実施例1の現金処理装置の側面を示す説明図、図4は実施例1の操作表示部を示す説明図、図5は実施例1の紙幣入出金機を示す説明図である。
図1、図2、図3において、1は現金処理装置であり、百貨店やスーパーマーケット、コンビニエンスストア、小売店等の小売業の店舗に設置され、店舗内の売場に設置されているレジスタ2に供給した現金(紙幣と硬貨)およびレジスタ2から回収された現金等の、店舗の現金を管理する装置である。
【0012】
なお、以下の説明においては、釣銭準備金は、開店前等に店舗内の売場に設置されているレジスタ2に、釣銭として予め準備しておく現金のことをいい、釣銭として用いる金種を釣銭金種、それ以外の金種を非釣銭金種という。
3は現金処理装置1の制御部であり、現金処理装置1内の各部を制御して業務処理等を実行する。
【0013】
4は記憶部であり、制御部3が実行するプログラムや制御部3による処理結果等が格納される。
図4において、5は操作表示部であり、店舗の管理者やレジスタ2のオペレータ、警送会社の輸送担当者等の係員に対する表示機能や入力機能が集中的に配置されている。
6は操作表示部5に設けられた表示部であり、LCD等の表示画面を備えており、表示画面に入金された紙幣の計数結果や出金する釣銭準備金の金種別の内訳、係員の処置を促す文言等を表示する機能を有している。
【0014】
7は操作表示部5に設けられた入力部であり、釣銭準備金の補充を指示するための補充ボタン、釣銭準備金の出金を指示するための出金ボタン、売上金の入金を指示するための入金ボタン、ジャム等による搬送障害の発生時における保守の開始を指示するための復旧ボタン等の処理種別を選択するための入力ボタン、表示内容を確認したこと等を指示する確認ボタン、および売上金等の金額を入力するためのテンキー等の各種の入力ボタンが設けられており、係員からの処理種別の選択入力や、指示入力、金額の入力等の各種の入力を受付ける機能を有している。
【0015】
8は操作表示部5に設けられたカード取扱部であり、カード取扱口8aをパスさせた係員の係員カードの磁気ストライプやICチップ等に記録されている係員番号や店舗番号、レジスタ番号等のカード情報を読取る機能を有している。
図1ないし図3において、9は印刷部であり、プリンタ等を備えており、現金処理装置1による入金や出金の履歴およびその集計結果等の明細票を印刷して排出する機能を有している。
【0016】
10は硬貨入出金機であり、投入された硬貨を受入れ、これを鑑別および計数して、釣銭準備金および売上金に区分して収納庫に収納し、出金等に釣銭準備金の硬貨を収納庫から繰出し、これを計数して係員に引渡す機能を有しており、スライド機構により挿抜可能に構成されている。
11は紙幣入出金機であり、投入された紙幣を受入れ、これを鑑別および計数して、釣銭準備金および売上金に区分して収納し、出金等に釣銭準備金の紙幣を繰出し、これを計数して係員に引渡す機能を有しており、スライド機構により挿抜可能に構成されている。
【0017】
13はアクセス扉であり(図3参照)、現金処理装置1の筐体の前面を開閉する観音開きの扉であって、図2に2点差線で示すように、硬貨入出金機10、紙幣入出金機11を覆うように取付けられおり、アクセス扉13の施錠、解錠を行うための電磁ロックである通常時電磁ロック14と収納時電磁ロック15とが設けられている。
本実施例の通常時電磁ロック14および収納時電磁ロック15は、それぞれ電磁ロックを作動させるための電磁ソレノイドが設けられた電子錠であって、停電時や正常運用時における不測の解錠を防止するために、通電時のみ解錠し、非通電時は施錠状態を保持するように構成されている。
【0018】
図5において、17は接客部であり、係員が投入した紙幣を受入れ、これを1枚毎に分離して繰出す分離機構17a、係員に引渡す紙幣を集積する集積機構17b、および紙幣の投入時および取出時に接客部17の上部を開閉するスライド式のシャッタ18等を備えている。
20は鑑別部であり、搬送された紙幣の真偽や正損、金種等を識別する機能、および連鎖、斜行等の搬送異常を検出する機能等の、紙幣に対する各種の鑑別を行う機能を有している。
【0019】
21は一時保留部であり、接客部17に投入された紙幣で、鑑別部20により真券と識別され、取込可能と鑑別された紙幣を集積して一時保留する収納部であって、紙幣を1枚毎に分離して繰出す分離機構21a、および搬送された紙幣を集積する集積機構21bを備えている。
23は紙幣収納庫であり、警送会社が管理権限を有する紙幣(第2の管理権限の紙幣)である売上金の紙幣を金種に関わらず収納する金庫であって、紙幣を集積すると共に収納している紙幣を1枚毎に分離して繰出す分離集積機構23aを備えており、紙幣入出金機11の紙幣収納庫扉24に設けられた機械的な鍵24aを警送会社の輸送担当者等の係員が所持する鍵で解錠することによって、紙幣収納庫23内の紙幣の取出しが可能となるように構成されている。
【0020】
25、26は釣銭収納庫であり、店舗が管理権限を有する紙幣(第1の管理権限の紙幣)である釣銭準備金の紙幣を金種別に収納する金庫であって、それぞれ紙幣を集積すると共に収納している紙幣を1枚毎に分離して繰出す分離集積機構25a、26aを備えており、紙幣入出金機11の釣銭収納庫扉27に設けられた機械的な鍵27aを店舗の管理者等の係員が所持する鍵で解錠することによって、釣銭収納庫25、26内の紙幣の取出しが可能となるように構成されている。
【0021】
28はリジェクト庫であり、釣銭収納庫26の下方に配置された、入金金額の確定後に鑑別部20で搬送異常等のために、金種不明と鑑別され、売上金と釣銭準備金とに区分しることができない収納時のリジェクト紙幣と鑑別された紙幣を収納する収納庫であって、搬送された紙幣を集積する集積機構28aを備えており、釣銭収納庫扉27に設けられた鍵27aを店舗の係員が所持する鍵で解錠することによって、リジェクト庫28内の紙幣の取出しが可能となるように構成されている。
【0022】
30は搬送路であり、ベルト対またはローラ対で紙幣の表裏両面を挟持して搬送する搬送路であって、上記の各部の間を接続して紙幣を搬送する機能を有しており、アクセス扉13を開放することによって、搬送路30へのアクセスが可能なように構成されている。
また、搬送路30の各分岐部には、図示しない切替ブレード等により紙幣の搬送方向を切替える切替機構が設けられている。
【0023】
本実施例の釣銭金種の紙幣は、5千円紙幣(5千券という。)、1千円紙幣(千券)に設定され、釣銭としては用いない非釣銭金種の紙幣は、1万円紙幣(万券)、2千円紙幣(2千券)に設定されており、釣銭収納庫25には釣銭準備金の千券が、釣銭収納庫26には釣銭準備金の5千券が収納され、紙幣収納庫23には、非釣銭金種である万券および2千券、並びに非釣銭金種では充当できない売上金の不足分に相当する金額の釣銭金種の紙幣が収納される。
【0024】
また、本実施例の紙幣収納庫扉24の鍵24aおよび釣銭収納庫扉27の鍵27aは、同一の鍵ではなく、紙幣収納庫23に収納された紙幣は、管理権限を有する警送会社の係員のみが紙幣収納庫扉24に設けられた鍵24aを解錠してアクセスすることができ、釣銭収納庫25、26およびリジェクト庫28に収納された紙幣は、管理権限を有する店舗の係員のみが釣銭収納庫扉27に設けられた鍵27aを解錠してアクセスすることができるようになっている。
【0025】
本実施例の現金処理装置1の記憶部4には、釣銭準備金の出金処理や不足した金種の釣銭の両替処理、レジスタ2から回収された売上金を含む紙幣を受入れ、これを釣銭準備金と売上金とに区分して収納する入金処理等の現金処理装置1が行う業務処理を実行する機能を有する業務処理実行プログラムが予め格納されている。
また、記憶部4には、釣銭金種(本実施例では、5千券、千券)および非釣銭金種(本実施例では、万券、2千券)が予め設定されて格納され、係員番号に対応させて、その係員が行うことを許可された入金作業が出金作業、復旧作業等の操作資格を格納した資格テーブルが予め設定されて格納されている。
【0026】
更に、記憶部4には、鑑別部20で鑑別され一時保留部21へ集積された紙幣を金種別にカウントするための入金枚数カウントエリア、売上金と釣銭準備金のそれぞれの内訳枚数(後述)を金種別にカウントするための内訳枚数カウントエリア、およびリジェクト庫28へ収納したリジェクト紙幣の枚数をカウントするためのリジェクト枚数カウントエリアが確保され、レジスタ2に対する入出金の履歴情報(入出金を行った係員の係員番号、店舗番号、入金日時、入金金額、出金日時、出金金額、締上日時等)を格納するためのレジスタ番号別の履歴情報格納エリアが確保されている。
【0027】
なお、入金枚数カウントエリアおよびリジェクト枚数カウントエリアの各カウント数の初期値は「0」に設定されている。
以下に、本実施例の現金処理装置1へレジスタ2から回収された紙幣を収納するための入金処理の作動について、スーパーマーケットに設置された現金処理装置1の作動を例に説明する。
【0028】
店舗の担当者が開店前の業務開始時等に現金処理装置1へ電源を投入すると、現金処理装置1の記憶部4に格納されている業務処理実行プログラムが自動的に起動される。
業務処理実行プログラムを起動すると、制御部3は業務処理実行プログラムに従って現金処理装置1の運用を開始し、レジスタ2のオペレータからの要求に応じて、釣銭準備金の出金等の業務処理を実行する。
【0029】
そして、終業時等に、レジスタ2のオペレータは、レジスタ2に収納された当日の売上金を含む全ての紙幣を現金処理装置1に収納するために、レジスタ2の紙幣を現金処理装置1へ持参する。
レジスタ2の紙幣を持参したオペレータが、入力部7の入金ボタンを押下すると、これを認識した現金処理装置1の制御部3は、表示部6の画面に、係員カードによる係員番号やレジスタ番号等の入力を促す旨の文言を表示したカード入力依頼画面を表示し、オペレータがその係員カードをカード取扱部8のカード取扱口8aでパスさせると、制御部3は、カード取扱部8によってそのカード情報を読取る。
【0030】
カード情報を読取った制御部3は、その係員番号を基に、記憶部4の資格テーブルを参照してオペレータの操作資格を確認し、オペレータが、入金作業を許可された者である場合は、アクセス扉13の収納時電磁ロック15に通電してその施錠を解除すると共に、表示部6の画面に売上金の金額の入力を促す文言等を表示した売上金額入力画面を表示し、オペレータはレジスタ2の売上金額を入力する。
【0031】
このとき、通常時電磁ロック14は、非通電のままとされ、アクセス扉13は通常時電磁ロック14により施錠されている。
なお、当該オペレータが入金を許可されていない者である場合は、その旨を表示部6の画面に表示して処理を終了させる。
売上金額を認識した制御部3は、カード情報と売上金額を記憶部4に保存すると共に、紙幣入出金機11の接客部17を閉鎖しているシャッタ18を開放して、オペレータからの売上金と釣銭準備金とが混在した紙幣の投入を待って待機する。
【0032】
オペレータからの紙幣の投入を待って待機していた制御部3は、オペレータがレジスタ2から持参した紙幣を接客部17に投入すると、接客部17のシャッタ18を閉鎖して入金計数処理を実行する。
すなわち、制御部3は、接客部17に投入された紙幣を分離機構17aにより1枚毎に分離して搬送路30へ繰出し、図6に太い実線で示す搬送経路によって、繰出した紙幣を鑑別部20へ搬送して紙幣の金種等の鑑別を行い、記憶部4の入金枚数カウントエリアによってその枚数を金種別に計数しながら一時保留部21へ搬送し、集積機構21bにより一時保留部21に集積する。
【0033】
この場合に、鑑別部20で外国紙幣や極端な汚れ、テープの貼付、搬送異常等のために、金種不明と鑑別された投入時のリジェクト紙幣の場合は、接客部17の集積機構17bにより接客部17に集積してオペレータに返却される。
投入された紙幣の一時保留部21への集積を終えた制御部3は、表示部6の画面に紙幣の鑑別結果に基づいた金種毎の枚数やその合計金額である入金金額を表示し、オペレータは、入力部7の確認ボタンを押下して入金金額の確定操作を行う。
【0034】
入金金額が確定されたことを認識した制御部3は、入金計数処理を終了させ、紙幣の仮集積処理を実行する。
すなわち、制御部3は、記憶部4に保存した売上金額と入金枚数カウントエリアによる計数結果とを基に、非釣銭金種を優先させ、不足分は釣銭金種で補って売上金の金額に相当する金種別の枚数(売上金の金種別内訳枚数という。)を演算し、入金金額から売上金額を減じた釣銭準備金の金額に相当する金種別の枚数(釣銭準備金の金種別内訳枚数という。)を演算し、演算した売上金と釣銭準備金とのそれぞれの金種別内訳枚数を、記憶部4の内訳枚数カウントエリアの各カウント数の初期値として設定する。
【0035】
売上金と釣銭準備金の金種別内訳枚数を演算した制御部3は、一時保留部21の紙幣を分離機構21aにより1枚毎に分離して搬送路30へ繰出し、図7に太い実線で示す搬送経路によって、繰出した紙幣を鑑別部20へ搬送して紙幣の金種等の鑑別を行い、その鑑別結果が、釣銭金種の千券の場合は、売上金の金種別内訳枚数を参照してその千券の枚数を限度として、鑑別した紙幣を売上金に引当てる紙幣として釣銭収納庫26へ搬送し、分離集積機構26aにより釣銭収納庫25に集積し、限度を超える千券は、釣銭収納庫25へ搬送し、分離集積機構25aにより釣銭収納庫25に釣銭準備金として収納し、内訳枚数カウントエリアの釣銭準備金の金種別内訳枚数の千券のカウント数から収納した千券の枚数を減じて、内訳枚数カウントエリアのカウント数を更新する。
【0036】
鑑別結果が、千券以外の場合は、売上金および釣銭準備金に関わらず、釣銭収納庫26へ搬送し、分離集積機構26aにより釣銭収納庫26に集積する。
なお、鑑別結果がリジェクト紙幣の場合は、リジェクト庫28へ搬送し、集積機構28aによりリジェクト庫28に収納し、リジェクト枚数カウントエリアのカウント数にリジェクト庫28に収納した枚数を加えて、リジェクト枚数カウントエリアのカウント数を更新する。
【0037】
釣銭準備金としての千券以外の金種の紙幣を釣銭収納庫26に集積した制御部3は、釣銭収納庫26の紙幣を分離集積機構26aにより1枚毎に分離して搬送路30へ繰出し、図8に太い実線で示す搬送経路によって、繰出した紙幣を鑑別部20へ搬送して紙幣の金種等の鑑別を行い、その鑑別結果が、売上金の金種別内訳枚数の金種の場合は、当該紙幣を売上金に引当てる紙幣として接客部17へ搬送し、集積機構17bにより接客部17に集積し、内訳枚数カウントエリアの売上金の金種別内訳枚数の当該金種のカウント数から収納した当該金種の枚数を減じて、内訳枚数カウントエリアのカウント数を更新する。
【0038】
鑑別結果が、釣銭金種の場合は、内訳枚数カウントエリアの売上金の金種別内訳枚数の当該金種のカウント数が「0」になっていることを条件に、当該紙幣を釣銭準備金に引当てる紙幣として一時保留部21へ搬送し、集積機構21bにより一時保留部21に集積し、内訳枚数カウントエリアの釣銭準備金の金種別内訳枚数の当該金種のカウント数から収納した当該金種の枚数を減じて、内訳枚数カウントエリアのカウント数を更新する。
【0039】
このように、本実施例では、入金金額が確定された紙幣を、売上金を優先させて接客部17に集積し、釣銭準備金を一時保留部21に集積して、売上金および釣銭準備金に引当てる紙幣に区分して、それぞれ接客部17と一時保留部21とに仮集積する。
このとき、売上金の金種別内訳枚数のカウント数は全て「0」なっているが、リジェクト紙幣が発生した場合は、釣銭準備金の金種別内訳枚数のカウント数が「0」にならないものが存在することになる。
【0040】
この場合に、そのリジェクト紙幣は、入金計数処理において一旦は金種が識別されており、釣銭収納庫26の下方に配置されたリジェクト庫28に収納されるので、管理権限が店舗となり、その後の目視判定等によって釣銭準備金として取扱うことが可能になる。
売上金および釣銭準備金に引当てる紙幣をそれぞれ接客部17と一時保留部21とに仮集積した制御部3は、仮集積処理を終了させ、釣銭準備金の収納処理を実行する。
【0041】
すなわち、制御部3は、一時保留部21の釣銭準備金の紙幣を分離機構21aにより1枚毎に分離して搬送路30へ繰出し、図9に太い実線で示す搬送経路によって、繰出した紙幣を鑑別部20へ搬送して紙幣の金種等の鑑別を行い、その鑑別結果が、リジェクト紙幣の場合は、リジェクト庫28へ搬送し、集積機構28aによりリジェクト庫28に収納し、リジェクト枚数カウントエリアのカウント数にリジェクト庫28に収納した枚数を加えて、リジェクト枚数カウントエリアのカウント数を更新する。
【0042】
鑑別結果が、リジェクト紙幣以外の場合は、釣銭準備金として釣銭収納庫26へ搬送し、分離集積機構26aにより釣銭収納庫26に収納する。
なお、千券は上記の仮集積処理において、千券の収納庫である釣銭収納庫25に既に釣銭準備金として収納されているか、または売上金に引当てる紙幣として接客部17に集積されているので、釣銭準備金の収納処理において、千券が鑑別されることはなく、5千券のみが釣銭収納庫26に収納される。
【0043】
釣銭準備金を収納した制御部3は、釣銭準備金の収納処理を終了させ、売上金に引当てる紙幣の移動処理を実行する。
すなわち、制御部3は、接客部17に集積した売上金に引当てる紙幣を分離機構17aにより1枚毎に分離して搬送路30へ繰出し、図10に太い実線で示す搬送経路によって、繰出した紙幣を鑑別部20を経由して、一時保留部21へ搬送し、集積機構21bにより一時保留部21に集積する。
【0044】
この場合に、鑑別部20での鑑別は行われず、斜行等の搬送異常が生じた場合でもリジェクト紙幣として取扱わずに、そのまま一時保留部21に集積する。
この売上金に引当てる紙幣を一時保留部21に移動させた時点で、一時保留部21に集積されている紙幣は売上金として取扱われ、それらの紙幣の管理権限が店舗から警送会社に移行する。
【0045】
なお、売上金に引当てる紙幣を一時保留部21に移動させるまでの紙幣の管理権限は、店舗が有している。
売上金を一時保留部21に集積した制御部3は、売上金に引当てる紙幣の移動処理を終了させ、売上金の収納処理を実行する。
すなわち、制御部3は、アクセス扉13の収納時電磁ロック15を非通電にして、収納時電磁ロック15でアクセス扉13を施錠する。
【0046】
このとき、通常時電磁ロック14は、非通電のままとされ、アクセス扉13は通常時電磁ロック14によっても施錠されている。
アクセス扉13の収納時電磁ロック15による施錠後に、制御部3は、一時保留部21に集積した売上金の紙幣を分離機構21aにより1枚毎に分離して搬送路30へ繰出し、図11に太い実線で示す搬送経路によって、売上金としての紙幣を鑑別部20を経由して、紙幣収納部23へ搬送し、分離集積機構23aにより紙幣収納部23に収納する。
【0047】
この場合に、鑑別部20での鑑別は行われず、斜行等の搬送異常が生じた場合でもリジェクト紙幣として取扱わずに、そのまま紙幣収納部23に収納する。
そして、全ての売上金の紙幣の紙幣収納部23への収納を確認した後に、制御部3は、その履歴情報を記憶部4の該当するレジスタ番号の履歴情報格納エリアに格納し、アクセス扉13の収納時電磁ロック15に通電して、収納時電磁ロック15を解錠する。
【0048】
この管理権限が移行した後の売上金の収納処理のときに、ジャム等による搬送障害が発生した場合は、売上金に対する管理権限を有していない店舗の管理者等の係員が復旧作業を行うためにアクセス扉13を開けようとしても、アクセス扉13は収納時電磁ロック15により施錠されているので、管理権限のない店舗の係員は売上金の紙幣に触れることができず、店舗の係員による不正行為を未然に防止することができる。
【0049】
また、一時集積部21への移動後に搬送路30により搬送される紙幣は、全て警送会社が管理権限を有する紙幣であり、それ以前の紙幣は、搬送路30を搬送される紙幣を含めて全て店舗が管理権限を有する紙幣であるので、紙幣の管理権限を明確に区別することができ、復旧作業時に除去した紙幣等の収納先を容易に特定することができる。
なお、売上金の収納処理時に発生した搬送障害の復旧処理は、以下のようにして実施される。
【0050】
売上金の収納処理時における搬送障害発生の通知を受けた警送会社の保守担当者等の係員が、現金処理装置1の入力部7の復旧ボタンを押下し、持参した係員カードをカード取扱部8のカード取扱口8aでパスさせると、制御部3は、カード取扱部8によってそのカード情報を読取り、読取ったカード情報の係員番号を基に、記憶部4の資格テーブルを参照して保守担当者の操作資格を確認し、保守担当者が、売上金の収納処理における復旧作業を許可された者である場合は、アクセス扉13の収納時電磁ロック15および通常時電磁ロック14に通電して、収納時電磁ロック15および通常時電磁ロック14を解錠する。
【0051】
これにより、警送会社の保守担当者は、アクセス扉13を開放して復旧作業を実施することができる。
なお、上記の売上金の収納処理以外の場合は、処理中の紙幣の管理権限は店舗に有り、かつ収納時電磁ロック15は解錠されているので、搬送障害の発生時に、店舗の係員がその係員カードをカード取扱口8aでパスさせると、制御部3は、読取ったカード情報の係員番号を基に、記憶部4の資格テーブルを参照して係員の操作資格を確認し、当該係員が売上金の収納処理を除く復旧作業を許可された者である場合は、アクセス扉13の通常時電磁ロック14に通電して通常時電磁ロック14を解錠するので、店舗の係員による復旧作業が可能になる。
【0052】
なお、本実施例では、入力部7に設けられた入力ボタンにより、処理種別を選択するとして説明したが、表示部6に設けたタッチパネルによるタッチパネル入力、外部からの通信入力、都度入力でなく予め記憶部4に記憶されている値を呼出しての参照入力等の様々な対応が考えられ、入力形態はどのようなものであってもよい。
また、本実施例では、カード情報は、係員カードの磁気ストライプやICチップ等に記録されている情報を読取って入力するとして説明したが、バーコード情報等を読取って入力するようにしてもよい。
【0053】
更に、本実施例では、売上金の収納処理を開始する時に、収納時電磁ロック15によりアクセス扉13を施錠するとして説明したが、接客部17から一時保留部21への売上金に引当てる紙幣の移動処理を開始する時から、売上金の収納処理の終了までの間を、収納時電磁ロック15で施錠するようにしてもよい。
更に、本実施例では、接客部17に仮集積した売上金に引当てる紙幣を、一時保留部21へ移動させた後に、売上金の収納処理を行うとして説明したが、接客部17から鑑別部20に至る搬送路30と、鑑別部20から紙幣収納庫23に至る搬送路30との分岐部に、接客部17からの紙幣の搬送方向を紙幣収納庫23の方向に切替える切替機構を設けて、接客部17に仮集積した売上金に引当てる紙幣を、直接紙幣収納庫23に売上金として収納するようにしてもよい。
【0054】
この場合には、仮集積した紙幣を接客部17から繰出す前に、収納時電磁ロック15でアクセス扉13を施錠するようにする。
以上説明したように、本実施例では、投入された紙幣を、管理権限が異なる釣銭準備金と売上金とに区分して収納する現金処理装置に、投入された紙幣を受入れる接客部と、搬送された紙幣の金種を鑑別する鑑別部と、鑑別部で鑑別された紙幣を一時保留する一時保留部と、釣銭準備金の紙幣を収納する釣銭収納庫と、売上金の紙幣を収納する紙幣収納庫と、紙幣を搬送する搬送路と、搬送路へのアクセス扉を施錠、解錠する収納時電磁ロックとを設け、接客部へ投入された紙幣を、鑑別部で鑑別して、釣銭準備金に引当てる紙幣を一時保留部に、売上金に引当てる紙幣を接客部に、それぞれ仮集積し、一時保留部に仮集積した釣銭準備金の紙幣を釣銭収納庫に収納した後に、接客部に仮集積した売上金の紙幣を紙幣収納庫に収納するときに、収納時電磁ロックでアクセス扉を施錠するようにしたことによって、管理権限が移行した後の売上金の収納処理のときに、ジャム等による搬送障害が発生した場合においても、売上金に対する管理権限を有していない店舗の係員がアクセス扉を開けることはできず、管理権限を有さない店舗の係員が売上金の紙幣に触れることを防止して、店舗の係員による不正行為を未然に防止することができると共に、紙幣の管理権限を明確に区別することができ、復旧作業時に除去した紙幣等の収納先を容易に特定することができる
また、収納時電磁ロックを、非通電時に施錠状態としたことによって、管理権限が移行した後の売上金の収納処理のときに、例え停電になったとしても、売上金に対する管理権限を有していない店舗の係員がアクセス扉を開けることはできず、管理権限を有さない店舗の係員が売上金の紙幣に触れることを防止することができる。
【実施例2】
【0055】
図12は実施例2の紙幣入出金機を示す説明図である。
なお、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
上記実施例1においては、警送会社に輸送を委託する紙幣、つまり第2の管理権限の紙幣が、売上金の紙幣である場合を例に説明したが、現金処理装置1を用いた運用においては、警送会社に輸送を委託する紙幣を、釣銭としては用いない紙幣、つまり非釣銭金種の紙幣(本実施例では、万券、2千券:引渡金という。)とする場合がある。
【0056】
このため、本実施例の紙幣収納庫23には、図12に示すように、警送会社が管理権限を有する紙幣(第2の管理権限の紙幣)である引渡金の紙幣、つまり万券と2千券とが全て収納される。
また、釣銭収納庫25、26には、店舗が管理権限を有する紙幣(第1の管理権限の紙幣)である釣銭金種の紙幣が全て金種別に収納され、図12に示すように、釣銭収納庫25には、釣銭金種である千券が全て収納され、釣銭収納庫26には、釣銭金種である5千券が全て収納される。
【0057】
本実施例の現金処理装置1の記憶部4には、釣銭準備金の出金処理や不足した金種の釣銭の両替処理、レジスタ2から回収された紙幣を受入れ、これを釣銭金種の紙幣と引渡金の紙幣とに区分して収納する入金処理等の現金処理装置1が行う業務処理を実行する機能を有する業務処理実行プログラムが予め格納されている。
また、記憶部4には、上記実施例1と同様に、釣銭金種および非釣銭金種が予め設定されて格納され、実施例1と同様の資格テーブルが予め設定されて格納されている。
【0058】
更に、記憶部4には、実施例1と同様の入金枚数カウントエリアが確保され、実施例1と同様の履歴情報格納エリアが確保されている。
なお、入金枚数カウントエリアの各カウント数の初期値は「0」に設定されている。
以下に、本実施例の現金処理装置1へレジスタ2から回収された紙幣を収納するための入金処理の作動について説明する。
【0059】
本実施例の図13に太い実線で示す搬送経路を用いた入金計数処理までの作動は、上記実施例1と同様であるので、その説明を省略する。
入金金額が確定されたことを認識した制御部3は、入金計数処理を終了させ、紙幣の仮集積処理を実行する。
すなわち、制御部3は、一時保留部21の紙幣を分離機構21aにより1枚毎に分離して搬送路30へ繰出し、図14に太い実線で示す搬送経路によって、繰出した紙幣を鑑別部20へ搬送して紙幣の金種等の鑑別を行い、その鑑別結果が、釣銭金種の千券の場合は、全て釣銭収納庫25へ搬送し、分離集積機構25aにより釣銭収納庫25に釣銭準備金として収納する。鑑別結果が、千券以外の場合は、金種に関わらず、釣銭収納庫26へ搬送し、分離集積機構26aにより釣銭収納庫26に集積する。
【0060】
なお、鑑別結果がリジェクト紙幣の場合は、上記実施例1と同様にしてリジェクト庫28に収納する。
釣銭準備金としての千券以外の金種の紙幣を釣銭収納庫26に集積した制御部3は、釣銭収納庫26の紙幣を分離集積機構26aにより1枚毎に分離して搬送路30へ繰出し、図15に太い実線で示す搬送経路によって、繰出した紙幣を鑑別部20へ搬送して紙幣の金種等の鑑別を行い、その鑑別結果が、非釣銭金種の場合は、当該紙幣を引渡金に引当てる紙幣として接客部17へ搬送し、集積機構17bにより接客部17に集積する。
【0061】
鑑別結果が、釣銭金種の場合は、釣銭金種の場合は、当該紙幣を釣銭に引当てる紙幣として一時保留部21へ搬送し、集積機構21bにより一時保留部21に集積する。
このように、本実施例では、入金金額が確定された紙幣を、引渡金および釣銭準備金に引当てる紙幣に区分して、それぞれ接客部17と一時保留部21とに仮集積する。
引渡金および釣銭準備金に引当てる紙幣をそれぞれ接客部17と一時保留部21とに仮集積した制御部3は、仮集積処理を終了させ、釣銭準備金の収納処理を実行する。
【0062】
すなわち、制御部3は、一時保留部21の釣銭準備金の紙幣を分離機構21aにより1枚毎に分離して搬送路30へ繰出し、図16に太い実線で示す搬送経路によって、繰出した紙幣を鑑別部20へ搬送して紙幣の金種等の鑑別を行い、その鑑別結果が、リジェクト紙幣の場合は、リジェクト庫28へ搬送し、集積機構28aによりリジェクト庫28に収納する。
【0063】
鑑別結果が、リジェクト紙幣以外の場合は、釣銭準備金として釣銭収納庫26へ搬送し、分離集積機構26aにより釣銭収納庫26に収納する。
なお、千券は上記の仮集積処理において、千券の収納庫である釣銭収納庫25に釣銭準備金として全て収納されているので、釣銭準備金の収納処理において、千券が鑑別されることはなく、5千券のみが釣銭収納庫26に収納される。
【0064】
釣銭準備金を収納した制御部3は、釣銭準備金の収納処理を終了させ、引渡金に引当てる紙幣の移動処理を実行する。
すなわち、制御部3は、接客部17に集積した引渡金に引当てる紙幣を分離機構17aにより1枚毎に分離して搬送路30へ繰出し、図17に太い実線で示す搬送経路によって、繰出した紙幣を鑑別部20を経由して、一時保留部21へ搬送し、集積機構21bにより一時保留部21に集積する。
【0065】
この場合に、鑑別部20での鑑別は行われず、斜行等の搬送異常が生じた場合でもリジェクト紙幣として取扱わずに、そのまま一時保留部21に集積する。
この引渡金に引当てる紙幣を一時保留部21に移動させた時点で、一時保留部21に集積されている紙幣は引渡金として取扱われ、それらの紙幣の管理権限が店舗から警送会社に移行する。
【0066】
なお、引渡金に引当てる紙幣を一時保留部21に移動させるまでの紙幣の管理権限は、店舗が有している。
引渡金を一時保留部21に集積した制御部3は、引渡金に引当てる紙幣の移動処理を終了させ、引渡金の収納処理を実行する。
【0067】
すなわち、制御部3は、上記実施例1と同様にして、収納時電磁ロック15および通常時電磁ロック14でアクセス扉13を施錠する。
アクセス扉13の収納時電磁ロック15による施錠後に、制御部3は、一時保留部21に集積した引渡金の紙幣を分離機構21aにより1枚毎に分離して搬送路30へ繰出し、図18に太い実線で示す搬送経路によって、引渡金としての紙幣を鑑別部20を経由して、紙幣収納部23へ搬送し、分離集積機構23aにより紙幣収納部23に収納する。
【0068】
この場合に、鑑別部20での鑑別は行われず、斜行等の搬送異常が生じた場合でもリジェクト紙幣として取扱わずに、そのまま紙幣収納部23に収納する。
そして、全ての引渡金の紙幣の紙幣収納部23への収納を確認した後に、制御部3は、その履歴情報を記憶部4の該当するレジスタ番号の履歴情報格納エリアに格納し、アクセス扉13の収納時電磁ロック15に通電して、収納時電磁ロック15を解錠する。
【0069】
この管理権限が移行した後の引渡金の収納処理のときに、ジャム等による搬送障害が発生した場合は、引渡金に対する管理権限を有していない店舗の管理者等の係員が復旧作業を行うためにアクセス扉13を開けようとしても、アクセス扉13は収納時電磁ロック15により施錠されているので、管理権限のない店舗の係員は引渡金の紙幣に触れることができず、店舗の係員による不正行為を未然に防止することができる。
【0070】
また、一時集積部21への移動後に搬送路30により搬送される紙幣は、全て警送会社が管理権限を有する紙幣であり、それ以前の紙幣は、搬送路30を搬送される紙幣を含めて全て店舗が管理権限を有する紙幣であるので、紙幣の管理権限を明確に区別することができ、復旧作業時に除去した紙幣等の収納先を容易に特定することができる。
なお、引渡金の収納処理時に発生した搬送障害の復旧処理、および引渡金の収納処理以外の場合の搬送障害の復旧処理は、上記実施例1と同様にして実施される。
【0071】
以上説明したように、第2の管理権限の紙幣を非釣銭金種の紙幣(引渡金の紙幣)とした場合においても、上記実施例1と同様の効果を得ることができる。
なお、上記各実施例においては、現金処理装置は単独で用いるとして説明したが、図19に示すように、現金処理装置1に対する処理を、店舗外で一括処理する上位装置としてのサーバに、HUB経由または直結でLAN接続した現金処理システムとしてもよく、図20に示すように、ISDN回線を用いて接続した現金処理システムとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】実施例1の現金処理装置を示すブロック図
【図2】実施例1の現金処理装置の正面を示す説明図
【図3】実施例1の現金処理装置の側面を示す説明図
【図4】実施例1の操作表示部を示す説明図
【図5】実施例1の紙幣入出金機を示す説明図
【図6】実施例1の入金計数処理を示す説明図
【図7】実施例1の仮集積処理を示す説明図
【図8】実施例1の仮集積処理を示す説明図
【図9】実施例1の釣銭準備金の収納処理を示す説明図
【図10】実施例1の売上金に引当てる紙幣の移動処理を示す説明図
【図11】実施例1の売上金の収納処理示す説明図
【図12】実施例1の紙幣入出金機を示す説明図
【図13】実施例1の入金計数処理を示す説明図
【図14】実施例1の仮集積処理を示す説明図
【図15】実施例1の仮集積処理を示す説明図
【図16】実施例1の釣銭準備金の収納処理を示す説明図
【図17】実施例1の引渡金に引当てる紙幣の移動処理を示す説明図
【図18】実施例1の引渡金の収納処理示す説明図
【図19】実施例の現金処理システムを示す説明図
【図20】実施例の現金処理システムの他の形態を示す説明図
【符号の説明】
【0073】
1 現金処理装置
2 レジスタ
3 制御部
4 記憶部
5 操作表示部
6 表示部
7 入力部
8 カード取扱部
9 印刷部
10 硬貨入出金機
11 紙幣入出金機
13 アクセス扉
14 通常時電磁ロック
15 収納時電磁ロック
17 接客部
17a、21a、 分離機構
17b、21b、28a 集積機構
18 シャッタ
20 鑑別部
21 一時保留部
23 紙幣収納庫
24 紙幣収納庫扉
24a、27a 鍵
23a、25a、26a 分離集積機構
25、26 釣銭収納庫
27 釣銭収納庫扉
28 リジェクト庫
30 搬送路
【技術分野】
【0001】
本発明は、小売業の店舗等に設置され、レジスタへ釣銭準備金としての現金を出金する機能と、レジスタから入金された現金を売上金と釣銭準備金とに区分して収納する機能とを備えた現金処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、小売業の店舗では、売上金や釣銭準備金の入出金処理を自動で行うために現金処理装置が導入されている。
また、現金処理装置に収納されている売上金は、売上金の輸送を委託された警備会社等の警送会社が店舗から回収して銀行等に輸送するため、輸送時は警送会社の管理下(警送管理という。)にあり、現金処理装置に収納された釣銭準備金等は、店舗の管理下(店舗管理という。)にあり、それぞれの収納庫は管理権限がないとアクセスできないようになっている。
【0003】
このような小売業の店舗で用いられる従来の現金処理装置は、レジスタからの回収時に売上金と釣銭準備金とが混在した状態で入金されると、投入された紙幣は鑑別部で金種等を鑑別、計数して一時保留部に集積し、入金金額のオペレータ確認後に、一時保留部から繰出した紙幣を鑑別部で鑑別し、その鑑別結果に基づいて、釣銭準備金は釣銭収納庫に金種別に収納し、紙幣収納庫には釣銭として用いる金種を含めて売上金に相当する金額を収納して、売上金と釣銭準備金とを区分して収納している(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2007−286744号公報(主に、段落0014−0020、第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した正常作動の場合は、それぞれの収納庫に設けられた鍵により、それぞれの管理権限を有する店舗の管理者や、警送会社の輸送担当者がそれぞれの収納庫にアクセスするため、問題が生ずることはない。
しかしながら、上述した従来の技術においては、一時保留部から各収納庫への紙幣の搬送中に、ジャム等による搬送障害が発生し、その復旧作業を行う場合には、搬送路上に、警送管理の売上金と店舗管理の釣銭準備金とが混在した状態で滞留していることになるので、問題が生ずる。
【0005】
すなわち、現金処理装置内に存在する紙幣は、原則として店舗が管理権限を有する紙幣であるが、警送会社が売上金を輸送する場合は、売上金が収納された紙幣収納庫を空の紙幣収納庫と交換して、または紙幣収納庫に収納された紙幣を全て輸送用の金庫に移しかえて輸送するので、売上金として収納されている金額と実際に輸送する金額とが同額であることが必要であるため、売上金として収納することが確定した時点で、紙幣の管理権限を店舗から警送会社へ移行させ、売上金として収納のために一時保留部から搬送される紙幣を含めて、警送会社が管理権限を有する紙幣として取扱うこととなっている。
【0006】
このため、売上金を収納する紙幣収納庫への紙幣の搬送中に搬送障害が生ずると、復旧作業時に搬送路上に滞留する紙幣は、同じ金種(例えば、1千円紙幣)であっても、売上金として収納される場合と、釣銭準備金として収納される場合があり、これらの区別を人が目視で行うことはできず、ジャムを生じさせた紙幣を除去した場合等に、収納先を特定することが困難になるという問題がある。
【0007】
また、搬送障害の復旧作業時に搬送路上に滞留する警送管理の売上金に、管理権限のない店舗の管理者等が触れることが可能であるため、不正行為に発展する可能性が生ずるという問題がある。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、売上金や釣銭準備金のように管理権限が異なる紙幣を区分して収納する場合に、搬送障害が生じたとしても、紙幣の収納先の特定を容易にすると共に、管理権限を有さない者が当該紙幣に触れることができないようにする手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、投入された紙幣を第1の管理権限の紙幣と第2の管理権限の紙幣とに区分して収納する現金処理装置において、投入された紙幣を受入れる接客部と、搬送された紙幣の金種を鑑別する鑑別部と、前記鑑別部で鑑別された紙幣を一時保留する一時保留部と、第1の管理権限の紙幣を収納する釣銭収納庫と、第2の管理権限の紙幣を収納する紙幣収納庫と、紙幣を搬送する搬送路と、前記搬送路へのアクセス扉を、施錠、解錠する収納時電磁ロックと、を備え、前記接客部へ投入された紙幣を、前記鑑別部で鑑別して、第1の管理権限の紙幣に引当てる紙幣を前記一時保留部に、第2の管理権限の紙幣に引当てる紙幣を前記接客部に、それぞれ仮集積し、前記一時保留部に仮集積した紙幣を、前記釣銭収納庫に第1の管理権限の紙幣として収納した後に、前記接客部に仮集積した紙幣を、前記紙幣収納庫に第2の管理権限の紙幣として収納するときに、前記収納時電磁ロックで、前記アクセス扉を施錠することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
これにより、本発明は、第2の管理権限の紙幣の収納処理のときに、ジャム等による搬送障害が発生した場合においても、第2の管理権限を有していない者がアクセス扉を開けることはできず、第2の管理権限を有していない者が第2の管理権限の紙幣に触れることを防止して、管理権限を有していない者による不正行為を未然に防止することができると共に、紙幣の管理権限を明確に区別することができ、復旧作業時に除去した紙幣等の収納先を容易に特定することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、図面を参照して本発明による現金処理装置の実施例について説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は実施例1の現金処理装置を示すブロック図、図2は実施例1の現金処理装置の正面を示す説明図、図3は実施例1の現金処理装置の側面を示す説明図、図4は実施例1の操作表示部を示す説明図、図5は実施例1の紙幣入出金機を示す説明図である。
図1、図2、図3において、1は現金処理装置であり、百貨店やスーパーマーケット、コンビニエンスストア、小売店等の小売業の店舗に設置され、店舗内の売場に設置されているレジスタ2に供給した現金(紙幣と硬貨)およびレジスタ2から回収された現金等の、店舗の現金を管理する装置である。
【0012】
なお、以下の説明においては、釣銭準備金は、開店前等に店舗内の売場に設置されているレジスタ2に、釣銭として予め準備しておく現金のことをいい、釣銭として用いる金種を釣銭金種、それ以外の金種を非釣銭金種という。
3は現金処理装置1の制御部であり、現金処理装置1内の各部を制御して業務処理等を実行する。
【0013】
4は記憶部であり、制御部3が実行するプログラムや制御部3による処理結果等が格納される。
図4において、5は操作表示部であり、店舗の管理者やレジスタ2のオペレータ、警送会社の輸送担当者等の係員に対する表示機能や入力機能が集中的に配置されている。
6は操作表示部5に設けられた表示部であり、LCD等の表示画面を備えており、表示画面に入金された紙幣の計数結果や出金する釣銭準備金の金種別の内訳、係員の処置を促す文言等を表示する機能を有している。
【0014】
7は操作表示部5に設けられた入力部であり、釣銭準備金の補充を指示するための補充ボタン、釣銭準備金の出金を指示するための出金ボタン、売上金の入金を指示するための入金ボタン、ジャム等による搬送障害の発生時における保守の開始を指示するための復旧ボタン等の処理種別を選択するための入力ボタン、表示内容を確認したこと等を指示する確認ボタン、および売上金等の金額を入力するためのテンキー等の各種の入力ボタンが設けられており、係員からの処理種別の選択入力や、指示入力、金額の入力等の各種の入力を受付ける機能を有している。
【0015】
8は操作表示部5に設けられたカード取扱部であり、カード取扱口8aをパスさせた係員の係員カードの磁気ストライプやICチップ等に記録されている係員番号や店舗番号、レジスタ番号等のカード情報を読取る機能を有している。
図1ないし図3において、9は印刷部であり、プリンタ等を備えており、現金処理装置1による入金や出金の履歴およびその集計結果等の明細票を印刷して排出する機能を有している。
【0016】
10は硬貨入出金機であり、投入された硬貨を受入れ、これを鑑別および計数して、釣銭準備金および売上金に区分して収納庫に収納し、出金等に釣銭準備金の硬貨を収納庫から繰出し、これを計数して係員に引渡す機能を有しており、スライド機構により挿抜可能に構成されている。
11は紙幣入出金機であり、投入された紙幣を受入れ、これを鑑別および計数して、釣銭準備金および売上金に区分して収納し、出金等に釣銭準備金の紙幣を繰出し、これを計数して係員に引渡す機能を有しており、スライド機構により挿抜可能に構成されている。
【0017】
13はアクセス扉であり(図3参照)、現金処理装置1の筐体の前面を開閉する観音開きの扉であって、図2に2点差線で示すように、硬貨入出金機10、紙幣入出金機11を覆うように取付けられおり、アクセス扉13の施錠、解錠を行うための電磁ロックである通常時電磁ロック14と収納時電磁ロック15とが設けられている。
本実施例の通常時電磁ロック14および収納時電磁ロック15は、それぞれ電磁ロックを作動させるための電磁ソレノイドが設けられた電子錠であって、停電時や正常運用時における不測の解錠を防止するために、通電時のみ解錠し、非通電時は施錠状態を保持するように構成されている。
【0018】
図5において、17は接客部であり、係員が投入した紙幣を受入れ、これを1枚毎に分離して繰出す分離機構17a、係員に引渡す紙幣を集積する集積機構17b、および紙幣の投入時および取出時に接客部17の上部を開閉するスライド式のシャッタ18等を備えている。
20は鑑別部であり、搬送された紙幣の真偽や正損、金種等を識別する機能、および連鎖、斜行等の搬送異常を検出する機能等の、紙幣に対する各種の鑑別を行う機能を有している。
【0019】
21は一時保留部であり、接客部17に投入された紙幣で、鑑別部20により真券と識別され、取込可能と鑑別された紙幣を集積して一時保留する収納部であって、紙幣を1枚毎に分離して繰出す分離機構21a、および搬送された紙幣を集積する集積機構21bを備えている。
23は紙幣収納庫であり、警送会社が管理権限を有する紙幣(第2の管理権限の紙幣)である売上金の紙幣を金種に関わらず収納する金庫であって、紙幣を集積すると共に収納している紙幣を1枚毎に分離して繰出す分離集積機構23aを備えており、紙幣入出金機11の紙幣収納庫扉24に設けられた機械的な鍵24aを警送会社の輸送担当者等の係員が所持する鍵で解錠することによって、紙幣収納庫23内の紙幣の取出しが可能となるように構成されている。
【0020】
25、26は釣銭収納庫であり、店舗が管理権限を有する紙幣(第1の管理権限の紙幣)である釣銭準備金の紙幣を金種別に収納する金庫であって、それぞれ紙幣を集積すると共に収納している紙幣を1枚毎に分離して繰出す分離集積機構25a、26aを備えており、紙幣入出金機11の釣銭収納庫扉27に設けられた機械的な鍵27aを店舗の管理者等の係員が所持する鍵で解錠することによって、釣銭収納庫25、26内の紙幣の取出しが可能となるように構成されている。
【0021】
28はリジェクト庫であり、釣銭収納庫26の下方に配置された、入金金額の確定後に鑑別部20で搬送異常等のために、金種不明と鑑別され、売上金と釣銭準備金とに区分しることができない収納時のリジェクト紙幣と鑑別された紙幣を収納する収納庫であって、搬送された紙幣を集積する集積機構28aを備えており、釣銭収納庫扉27に設けられた鍵27aを店舗の係員が所持する鍵で解錠することによって、リジェクト庫28内の紙幣の取出しが可能となるように構成されている。
【0022】
30は搬送路であり、ベルト対またはローラ対で紙幣の表裏両面を挟持して搬送する搬送路であって、上記の各部の間を接続して紙幣を搬送する機能を有しており、アクセス扉13を開放することによって、搬送路30へのアクセスが可能なように構成されている。
また、搬送路30の各分岐部には、図示しない切替ブレード等により紙幣の搬送方向を切替える切替機構が設けられている。
【0023】
本実施例の釣銭金種の紙幣は、5千円紙幣(5千券という。)、1千円紙幣(千券)に設定され、釣銭としては用いない非釣銭金種の紙幣は、1万円紙幣(万券)、2千円紙幣(2千券)に設定されており、釣銭収納庫25には釣銭準備金の千券が、釣銭収納庫26には釣銭準備金の5千券が収納され、紙幣収納庫23には、非釣銭金種である万券および2千券、並びに非釣銭金種では充当できない売上金の不足分に相当する金額の釣銭金種の紙幣が収納される。
【0024】
また、本実施例の紙幣収納庫扉24の鍵24aおよび釣銭収納庫扉27の鍵27aは、同一の鍵ではなく、紙幣収納庫23に収納された紙幣は、管理権限を有する警送会社の係員のみが紙幣収納庫扉24に設けられた鍵24aを解錠してアクセスすることができ、釣銭収納庫25、26およびリジェクト庫28に収納された紙幣は、管理権限を有する店舗の係員のみが釣銭収納庫扉27に設けられた鍵27aを解錠してアクセスすることができるようになっている。
【0025】
本実施例の現金処理装置1の記憶部4には、釣銭準備金の出金処理や不足した金種の釣銭の両替処理、レジスタ2から回収された売上金を含む紙幣を受入れ、これを釣銭準備金と売上金とに区分して収納する入金処理等の現金処理装置1が行う業務処理を実行する機能を有する業務処理実行プログラムが予め格納されている。
また、記憶部4には、釣銭金種(本実施例では、5千券、千券)および非釣銭金種(本実施例では、万券、2千券)が予め設定されて格納され、係員番号に対応させて、その係員が行うことを許可された入金作業が出金作業、復旧作業等の操作資格を格納した資格テーブルが予め設定されて格納されている。
【0026】
更に、記憶部4には、鑑別部20で鑑別され一時保留部21へ集積された紙幣を金種別にカウントするための入金枚数カウントエリア、売上金と釣銭準備金のそれぞれの内訳枚数(後述)を金種別にカウントするための内訳枚数カウントエリア、およびリジェクト庫28へ収納したリジェクト紙幣の枚数をカウントするためのリジェクト枚数カウントエリアが確保され、レジスタ2に対する入出金の履歴情報(入出金を行った係員の係員番号、店舗番号、入金日時、入金金額、出金日時、出金金額、締上日時等)を格納するためのレジスタ番号別の履歴情報格納エリアが確保されている。
【0027】
なお、入金枚数カウントエリアおよびリジェクト枚数カウントエリアの各カウント数の初期値は「0」に設定されている。
以下に、本実施例の現金処理装置1へレジスタ2から回収された紙幣を収納するための入金処理の作動について、スーパーマーケットに設置された現金処理装置1の作動を例に説明する。
【0028】
店舗の担当者が開店前の業務開始時等に現金処理装置1へ電源を投入すると、現金処理装置1の記憶部4に格納されている業務処理実行プログラムが自動的に起動される。
業務処理実行プログラムを起動すると、制御部3は業務処理実行プログラムに従って現金処理装置1の運用を開始し、レジスタ2のオペレータからの要求に応じて、釣銭準備金の出金等の業務処理を実行する。
【0029】
そして、終業時等に、レジスタ2のオペレータは、レジスタ2に収納された当日の売上金を含む全ての紙幣を現金処理装置1に収納するために、レジスタ2の紙幣を現金処理装置1へ持参する。
レジスタ2の紙幣を持参したオペレータが、入力部7の入金ボタンを押下すると、これを認識した現金処理装置1の制御部3は、表示部6の画面に、係員カードによる係員番号やレジスタ番号等の入力を促す旨の文言を表示したカード入力依頼画面を表示し、オペレータがその係員カードをカード取扱部8のカード取扱口8aでパスさせると、制御部3は、カード取扱部8によってそのカード情報を読取る。
【0030】
カード情報を読取った制御部3は、その係員番号を基に、記憶部4の資格テーブルを参照してオペレータの操作資格を確認し、オペレータが、入金作業を許可された者である場合は、アクセス扉13の収納時電磁ロック15に通電してその施錠を解除すると共に、表示部6の画面に売上金の金額の入力を促す文言等を表示した売上金額入力画面を表示し、オペレータはレジスタ2の売上金額を入力する。
【0031】
このとき、通常時電磁ロック14は、非通電のままとされ、アクセス扉13は通常時電磁ロック14により施錠されている。
なお、当該オペレータが入金を許可されていない者である場合は、その旨を表示部6の画面に表示して処理を終了させる。
売上金額を認識した制御部3は、カード情報と売上金額を記憶部4に保存すると共に、紙幣入出金機11の接客部17を閉鎖しているシャッタ18を開放して、オペレータからの売上金と釣銭準備金とが混在した紙幣の投入を待って待機する。
【0032】
オペレータからの紙幣の投入を待って待機していた制御部3は、オペレータがレジスタ2から持参した紙幣を接客部17に投入すると、接客部17のシャッタ18を閉鎖して入金計数処理を実行する。
すなわち、制御部3は、接客部17に投入された紙幣を分離機構17aにより1枚毎に分離して搬送路30へ繰出し、図6に太い実線で示す搬送経路によって、繰出した紙幣を鑑別部20へ搬送して紙幣の金種等の鑑別を行い、記憶部4の入金枚数カウントエリアによってその枚数を金種別に計数しながら一時保留部21へ搬送し、集積機構21bにより一時保留部21に集積する。
【0033】
この場合に、鑑別部20で外国紙幣や極端な汚れ、テープの貼付、搬送異常等のために、金種不明と鑑別された投入時のリジェクト紙幣の場合は、接客部17の集積機構17bにより接客部17に集積してオペレータに返却される。
投入された紙幣の一時保留部21への集積を終えた制御部3は、表示部6の画面に紙幣の鑑別結果に基づいた金種毎の枚数やその合計金額である入金金額を表示し、オペレータは、入力部7の確認ボタンを押下して入金金額の確定操作を行う。
【0034】
入金金額が確定されたことを認識した制御部3は、入金計数処理を終了させ、紙幣の仮集積処理を実行する。
すなわち、制御部3は、記憶部4に保存した売上金額と入金枚数カウントエリアによる計数結果とを基に、非釣銭金種を優先させ、不足分は釣銭金種で補って売上金の金額に相当する金種別の枚数(売上金の金種別内訳枚数という。)を演算し、入金金額から売上金額を減じた釣銭準備金の金額に相当する金種別の枚数(釣銭準備金の金種別内訳枚数という。)を演算し、演算した売上金と釣銭準備金とのそれぞれの金種別内訳枚数を、記憶部4の内訳枚数カウントエリアの各カウント数の初期値として設定する。
【0035】
売上金と釣銭準備金の金種別内訳枚数を演算した制御部3は、一時保留部21の紙幣を分離機構21aにより1枚毎に分離して搬送路30へ繰出し、図7に太い実線で示す搬送経路によって、繰出した紙幣を鑑別部20へ搬送して紙幣の金種等の鑑別を行い、その鑑別結果が、釣銭金種の千券の場合は、売上金の金種別内訳枚数を参照してその千券の枚数を限度として、鑑別した紙幣を売上金に引当てる紙幣として釣銭収納庫26へ搬送し、分離集積機構26aにより釣銭収納庫25に集積し、限度を超える千券は、釣銭収納庫25へ搬送し、分離集積機構25aにより釣銭収納庫25に釣銭準備金として収納し、内訳枚数カウントエリアの釣銭準備金の金種別内訳枚数の千券のカウント数から収納した千券の枚数を減じて、内訳枚数カウントエリアのカウント数を更新する。
【0036】
鑑別結果が、千券以外の場合は、売上金および釣銭準備金に関わらず、釣銭収納庫26へ搬送し、分離集積機構26aにより釣銭収納庫26に集積する。
なお、鑑別結果がリジェクト紙幣の場合は、リジェクト庫28へ搬送し、集積機構28aによりリジェクト庫28に収納し、リジェクト枚数カウントエリアのカウント数にリジェクト庫28に収納した枚数を加えて、リジェクト枚数カウントエリアのカウント数を更新する。
【0037】
釣銭準備金としての千券以外の金種の紙幣を釣銭収納庫26に集積した制御部3は、釣銭収納庫26の紙幣を分離集積機構26aにより1枚毎に分離して搬送路30へ繰出し、図8に太い実線で示す搬送経路によって、繰出した紙幣を鑑別部20へ搬送して紙幣の金種等の鑑別を行い、その鑑別結果が、売上金の金種別内訳枚数の金種の場合は、当該紙幣を売上金に引当てる紙幣として接客部17へ搬送し、集積機構17bにより接客部17に集積し、内訳枚数カウントエリアの売上金の金種別内訳枚数の当該金種のカウント数から収納した当該金種の枚数を減じて、内訳枚数カウントエリアのカウント数を更新する。
【0038】
鑑別結果が、釣銭金種の場合は、内訳枚数カウントエリアの売上金の金種別内訳枚数の当該金種のカウント数が「0」になっていることを条件に、当該紙幣を釣銭準備金に引当てる紙幣として一時保留部21へ搬送し、集積機構21bにより一時保留部21に集積し、内訳枚数カウントエリアの釣銭準備金の金種別内訳枚数の当該金種のカウント数から収納した当該金種の枚数を減じて、内訳枚数カウントエリアのカウント数を更新する。
【0039】
このように、本実施例では、入金金額が確定された紙幣を、売上金を優先させて接客部17に集積し、釣銭準備金を一時保留部21に集積して、売上金および釣銭準備金に引当てる紙幣に区分して、それぞれ接客部17と一時保留部21とに仮集積する。
このとき、売上金の金種別内訳枚数のカウント数は全て「0」なっているが、リジェクト紙幣が発生した場合は、釣銭準備金の金種別内訳枚数のカウント数が「0」にならないものが存在することになる。
【0040】
この場合に、そのリジェクト紙幣は、入金計数処理において一旦は金種が識別されており、釣銭収納庫26の下方に配置されたリジェクト庫28に収納されるので、管理権限が店舗となり、その後の目視判定等によって釣銭準備金として取扱うことが可能になる。
売上金および釣銭準備金に引当てる紙幣をそれぞれ接客部17と一時保留部21とに仮集積した制御部3は、仮集積処理を終了させ、釣銭準備金の収納処理を実行する。
【0041】
すなわち、制御部3は、一時保留部21の釣銭準備金の紙幣を分離機構21aにより1枚毎に分離して搬送路30へ繰出し、図9に太い実線で示す搬送経路によって、繰出した紙幣を鑑別部20へ搬送して紙幣の金種等の鑑別を行い、その鑑別結果が、リジェクト紙幣の場合は、リジェクト庫28へ搬送し、集積機構28aによりリジェクト庫28に収納し、リジェクト枚数カウントエリアのカウント数にリジェクト庫28に収納した枚数を加えて、リジェクト枚数カウントエリアのカウント数を更新する。
【0042】
鑑別結果が、リジェクト紙幣以外の場合は、釣銭準備金として釣銭収納庫26へ搬送し、分離集積機構26aにより釣銭収納庫26に収納する。
なお、千券は上記の仮集積処理において、千券の収納庫である釣銭収納庫25に既に釣銭準備金として収納されているか、または売上金に引当てる紙幣として接客部17に集積されているので、釣銭準備金の収納処理において、千券が鑑別されることはなく、5千券のみが釣銭収納庫26に収納される。
【0043】
釣銭準備金を収納した制御部3は、釣銭準備金の収納処理を終了させ、売上金に引当てる紙幣の移動処理を実行する。
すなわち、制御部3は、接客部17に集積した売上金に引当てる紙幣を分離機構17aにより1枚毎に分離して搬送路30へ繰出し、図10に太い実線で示す搬送経路によって、繰出した紙幣を鑑別部20を経由して、一時保留部21へ搬送し、集積機構21bにより一時保留部21に集積する。
【0044】
この場合に、鑑別部20での鑑別は行われず、斜行等の搬送異常が生じた場合でもリジェクト紙幣として取扱わずに、そのまま一時保留部21に集積する。
この売上金に引当てる紙幣を一時保留部21に移動させた時点で、一時保留部21に集積されている紙幣は売上金として取扱われ、それらの紙幣の管理権限が店舗から警送会社に移行する。
【0045】
なお、売上金に引当てる紙幣を一時保留部21に移動させるまでの紙幣の管理権限は、店舗が有している。
売上金を一時保留部21に集積した制御部3は、売上金に引当てる紙幣の移動処理を終了させ、売上金の収納処理を実行する。
すなわち、制御部3は、アクセス扉13の収納時電磁ロック15を非通電にして、収納時電磁ロック15でアクセス扉13を施錠する。
【0046】
このとき、通常時電磁ロック14は、非通電のままとされ、アクセス扉13は通常時電磁ロック14によっても施錠されている。
アクセス扉13の収納時電磁ロック15による施錠後に、制御部3は、一時保留部21に集積した売上金の紙幣を分離機構21aにより1枚毎に分離して搬送路30へ繰出し、図11に太い実線で示す搬送経路によって、売上金としての紙幣を鑑別部20を経由して、紙幣収納部23へ搬送し、分離集積機構23aにより紙幣収納部23に収納する。
【0047】
この場合に、鑑別部20での鑑別は行われず、斜行等の搬送異常が生じた場合でもリジェクト紙幣として取扱わずに、そのまま紙幣収納部23に収納する。
そして、全ての売上金の紙幣の紙幣収納部23への収納を確認した後に、制御部3は、その履歴情報を記憶部4の該当するレジスタ番号の履歴情報格納エリアに格納し、アクセス扉13の収納時電磁ロック15に通電して、収納時電磁ロック15を解錠する。
【0048】
この管理権限が移行した後の売上金の収納処理のときに、ジャム等による搬送障害が発生した場合は、売上金に対する管理権限を有していない店舗の管理者等の係員が復旧作業を行うためにアクセス扉13を開けようとしても、アクセス扉13は収納時電磁ロック15により施錠されているので、管理権限のない店舗の係員は売上金の紙幣に触れることができず、店舗の係員による不正行為を未然に防止することができる。
【0049】
また、一時集積部21への移動後に搬送路30により搬送される紙幣は、全て警送会社が管理権限を有する紙幣であり、それ以前の紙幣は、搬送路30を搬送される紙幣を含めて全て店舗が管理権限を有する紙幣であるので、紙幣の管理権限を明確に区別することができ、復旧作業時に除去した紙幣等の収納先を容易に特定することができる。
なお、売上金の収納処理時に発生した搬送障害の復旧処理は、以下のようにして実施される。
【0050】
売上金の収納処理時における搬送障害発生の通知を受けた警送会社の保守担当者等の係員が、現金処理装置1の入力部7の復旧ボタンを押下し、持参した係員カードをカード取扱部8のカード取扱口8aでパスさせると、制御部3は、カード取扱部8によってそのカード情報を読取り、読取ったカード情報の係員番号を基に、記憶部4の資格テーブルを参照して保守担当者の操作資格を確認し、保守担当者が、売上金の収納処理における復旧作業を許可された者である場合は、アクセス扉13の収納時電磁ロック15および通常時電磁ロック14に通電して、収納時電磁ロック15および通常時電磁ロック14を解錠する。
【0051】
これにより、警送会社の保守担当者は、アクセス扉13を開放して復旧作業を実施することができる。
なお、上記の売上金の収納処理以外の場合は、処理中の紙幣の管理権限は店舗に有り、かつ収納時電磁ロック15は解錠されているので、搬送障害の発生時に、店舗の係員がその係員カードをカード取扱口8aでパスさせると、制御部3は、読取ったカード情報の係員番号を基に、記憶部4の資格テーブルを参照して係員の操作資格を確認し、当該係員が売上金の収納処理を除く復旧作業を許可された者である場合は、アクセス扉13の通常時電磁ロック14に通電して通常時電磁ロック14を解錠するので、店舗の係員による復旧作業が可能になる。
【0052】
なお、本実施例では、入力部7に設けられた入力ボタンにより、処理種別を選択するとして説明したが、表示部6に設けたタッチパネルによるタッチパネル入力、外部からの通信入力、都度入力でなく予め記憶部4に記憶されている値を呼出しての参照入力等の様々な対応が考えられ、入力形態はどのようなものであってもよい。
また、本実施例では、カード情報は、係員カードの磁気ストライプやICチップ等に記録されている情報を読取って入力するとして説明したが、バーコード情報等を読取って入力するようにしてもよい。
【0053】
更に、本実施例では、売上金の収納処理を開始する時に、収納時電磁ロック15によりアクセス扉13を施錠するとして説明したが、接客部17から一時保留部21への売上金に引当てる紙幣の移動処理を開始する時から、売上金の収納処理の終了までの間を、収納時電磁ロック15で施錠するようにしてもよい。
更に、本実施例では、接客部17に仮集積した売上金に引当てる紙幣を、一時保留部21へ移動させた後に、売上金の収納処理を行うとして説明したが、接客部17から鑑別部20に至る搬送路30と、鑑別部20から紙幣収納庫23に至る搬送路30との分岐部に、接客部17からの紙幣の搬送方向を紙幣収納庫23の方向に切替える切替機構を設けて、接客部17に仮集積した売上金に引当てる紙幣を、直接紙幣収納庫23に売上金として収納するようにしてもよい。
【0054】
この場合には、仮集積した紙幣を接客部17から繰出す前に、収納時電磁ロック15でアクセス扉13を施錠するようにする。
以上説明したように、本実施例では、投入された紙幣を、管理権限が異なる釣銭準備金と売上金とに区分して収納する現金処理装置に、投入された紙幣を受入れる接客部と、搬送された紙幣の金種を鑑別する鑑別部と、鑑別部で鑑別された紙幣を一時保留する一時保留部と、釣銭準備金の紙幣を収納する釣銭収納庫と、売上金の紙幣を収納する紙幣収納庫と、紙幣を搬送する搬送路と、搬送路へのアクセス扉を施錠、解錠する収納時電磁ロックとを設け、接客部へ投入された紙幣を、鑑別部で鑑別して、釣銭準備金に引当てる紙幣を一時保留部に、売上金に引当てる紙幣を接客部に、それぞれ仮集積し、一時保留部に仮集積した釣銭準備金の紙幣を釣銭収納庫に収納した後に、接客部に仮集積した売上金の紙幣を紙幣収納庫に収納するときに、収納時電磁ロックでアクセス扉を施錠するようにしたことによって、管理権限が移行した後の売上金の収納処理のときに、ジャム等による搬送障害が発生した場合においても、売上金に対する管理権限を有していない店舗の係員がアクセス扉を開けることはできず、管理権限を有さない店舗の係員が売上金の紙幣に触れることを防止して、店舗の係員による不正行為を未然に防止することができると共に、紙幣の管理権限を明確に区別することができ、復旧作業時に除去した紙幣等の収納先を容易に特定することができる
また、収納時電磁ロックを、非通電時に施錠状態としたことによって、管理権限が移行した後の売上金の収納処理のときに、例え停電になったとしても、売上金に対する管理権限を有していない店舗の係員がアクセス扉を開けることはできず、管理権限を有さない店舗の係員が売上金の紙幣に触れることを防止することができる。
【実施例2】
【0055】
図12は実施例2の紙幣入出金機を示す説明図である。
なお、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
上記実施例1においては、警送会社に輸送を委託する紙幣、つまり第2の管理権限の紙幣が、売上金の紙幣である場合を例に説明したが、現金処理装置1を用いた運用においては、警送会社に輸送を委託する紙幣を、釣銭としては用いない紙幣、つまり非釣銭金種の紙幣(本実施例では、万券、2千券:引渡金という。)とする場合がある。
【0056】
このため、本実施例の紙幣収納庫23には、図12に示すように、警送会社が管理権限を有する紙幣(第2の管理権限の紙幣)である引渡金の紙幣、つまり万券と2千券とが全て収納される。
また、釣銭収納庫25、26には、店舗が管理権限を有する紙幣(第1の管理権限の紙幣)である釣銭金種の紙幣が全て金種別に収納され、図12に示すように、釣銭収納庫25には、釣銭金種である千券が全て収納され、釣銭収納庫26には、釣銭金種である5千券が全て収納される。
【0057】
本実施例の現金処理装置1の記憶部4には、釣銭準備金の出金処理や不足した金種の釣銭の両替処理、レジスタ2から回収された紙幣を受入れ、これを釣銭金種の紙幣と引渡金の紙幣とに区分して収納する入金処理等の現金処理装置1が行う業務処理を実行する機能を有する業務処理実行プログラムが予め格納されている。
また、記憶部4には、上記実施例1と同様に、釣銭金種および非釣銭金種が予め設定されて格納され、実施例1と同様の資格テーブルが予め設定されて格納されている。
【0058】
更に、記憶部4には、実施例1と同様の入金枚数カウントエリアが確保され、実施例1と同様の履歴情報格納エリアが確保されている。
なお、入金枚数カウントエリアの各カウント数の初期値は「0」に設定されている。
以下に、本実施例の現金処理装置1へレジスタ2から回収された紙幣を収納するための入金処理の作動について説明する。
【0059】
本実施例の図13に太い実線で示す搬送経路を用いた入金計数処理までの作動は、上記実施例1と同様であるので、その説明を省略する。
入金金額が確定されたことを認識した制御部3は、入金計数処理を終了させ、紙幣の仮集積処理を実行する。
すなわち、制御部3は、一時保留部21の紙幣を分離機構21aにより1枚毎に分離して搬送路30へ繰出し、図14に太い実線で示す搬送経路によって、繰出した紙幣を鑑別部20へ搬送して紙幣の金種等の鑑別を行い、その鑑別結果が、釣銭金種の千券の場合は、全て釣銭収納庫25へ搬送し、分離集積機構25aにより釣銭収納庫25に釣銭準備金として収納する。鑑別結果が、千券以外の場合は、金種に関わらず、釣銭収納庫26へ搬送し、分離集積機構26aにより釣銭収納庫26に集積する。
【0060】
なお、鑑別結果がリジェクト紙幣の場合は、上記実施例1と同様にしてリジェクト庫28に収納する。
釣銭準備金としての千券以外の金種の紙幣を釣銭収納庫26に集積した制御部3は、釣銭収納庫26の紙幣を分離集積機構26aにより1枚毎に分離して搬送路30へ繰出し、図15に太い実線で示す搬送経路によって、繰出した紙幣を鑑別部20へ搬送して紙幣の金種等の鑑別を行い、その鑑別結果が、非釣銭金種の場合は、当該紙幣を引渡金に引当てる紙幣として接客部17へ搬送し、集積機構17bにより接客部17に集積する。
【0061】
鑑別結果が、釣銭金種の場合は、釣銭金種の場合は、当該紙幣を釣銭に引当てる紙幣として一時保留部21へ搬送し、集積機構21bにより一時保留部21に集積する。
このように、本実施例では、入金金額が確定された紙幣を、引渡金および釣銭準備金に引当てる紙幣に区分して、それぞれ接客部17と一時保留部21とに仮集積する。
引渡金および釣銭準備金に引当てる紙幣をそれぞれ接客部17と一時保留部21とに仮集積した制御部3は、仮集積処理を終了させ、釣銭準備金の収納処理を実行する。
【0062】
すなわち、制御部3は、一時保留部21の釣銭準備金の紙幣を分離機構21aにより1枚毎に分離して搬送路30へ繰出し、図16に太い実線で示す搬送経路によって、繰出した紙幣を鑑別部20へ搬送して紙幣の金種等の鑑別を行い、その鑑別結果が、リジェクト紙幣の場合は、リジェクト庫28へ搬送し、集積機構28aによりリジェクト庫28に収納する。
【0063】
鑑別結果が、リジェクト紙幣以外の場合は、釣銭準備金として釣銭収納庫26へ搬送し、分離集積機構26aにより釣銭収納庫26に収納する。
なお、千券は上記の仮集積処理において、千券の収納庫である釣銭収納庫25に釣銭準備金として全て収納されているので、釣銭準備金の収納処理において、千券が鑑別されることはなく、5千券のみが釣銭収納庫26に収納される。
【0064】
釣銭準備金を収納した制御部3は、釣銭準備金の収納処理を終了させ、引渡金に引当てる紙幣の移動処理を実行する。
すなわち、制御部3は、接客部17に集積した引渡金に引当てる紙幣を分離機構17aにより1枚毎に分離して搬送路30へ繰出し、図17に太い実線で示す搬送経路によって、繰出した紙幣を鑑別部20を経由して、一時保留部21へ搬送し、集積機構21bにより一時保留部21に集積する。
【0065】
この場合に、鑑別部20での鑑別は行われず、斜行等の搬送異常が生じた場合でもリジェクト紙幣として取扱わずに、そのまま一時保留部21に集積する。
この引渡金に引当てる紙幣を一時保留部21に移動させた時点で、一時保留部21に集積されている紙幣は引渡金として取扱われ、それらの紙幣の管理権限が店舗から警送会社に移行する。
【0066】
なお、引渡金に引当てる紙幣を一時保留部21に移動させるまでの紙幣の管理権限は、店舗が有している。
引渡金を一時保留部21に集積した制御部3は、引渡金に引当てる紙幣の移動処理を終了させ、引渡金の収納処理を実行する。
【0067】
すなわち、制御部3は、上記実施例1と同様にして、収納時電磁ロック15および通常時電磁ロック14でアクセス扉13を施錠する。
アクセス扉13の収納時電磁ロック15による施錠後に、制御部3は、一時保留部21に集積した引渡金の紙幣を分離機構21aにより1枚毎に分離して搬送路30へ繰出し、図18に太い実線で示す搬送経路によって、引渡金としての紙幣を鑑別部20を経由して、紙幣収納部23へ搬送し、分離集積機構23aにより紙幣収納部23に収納する。
【0068】
この場合に、鑑別部20での鑑別は行われず、斜行等の搬送異常が生じた場合でもリジェクト紙幣として取扱わずに、そのまま紙幣収納部23に収納する。
そして、全ての引渡金の紙幣の紙幣収納部23への収納を確認した後に、制御部3は、その履歴情報を記憶部4の該当するレジスタ番号の履歴情報格納エリアに格納し、アクセス扉13の収納時電磁ロック15に通電して、収納時電磁ロック15を解錠する。
【0069】
この管理権限が移行した後の引渡金の収納処理のときに、ジャム等による搬送障害が発生した場合は、引渡金に対する管理権限を有していない店舗の管理者等の係員が復旧作業を行うためにアクセス扉13を開けようとしても、アクセス扉13は収納時電磁ロック15により施錠されているので、管理権限のない店舗の係員は引渡金の紙幣に触れることができず、店舗の係員による不正行為を未然に防止することができる。
【0070】
また、一時集積部21への移動後に搬送路30により搬送される紙幣は、全て警送会社が管理権限を有する紙幣であり、それ以前の紙幣は、搬送路30を搬送される紙幣を含めて全て店舗が管理権限を有する紙幣であるので、紙幣の管理権限を明確に区別することができ、復旧作業時に除去した紙幣等の収納先を容易に特定することができる。
なお、引渡金の収納処理時に発生した搬送障害の復旧処理、および引渡金の収納処理以外の場合の搬送障害の復旧処理は、上記実施例1と同様にして実施される。
【0071】
以上説明したように、第2の管理権限の紙幣を非釣銭金種の紙幣(引渡金の紙幣)とした場合においても、上記実施例1と同様の効果を得ることができる。
なお、上記各実施例においては、現金処理装置は単独で用いるとして説明したが、図19に示すように、現金処理装置1に対する処理を、店舗外で一括処理する上位装置としてのサーバに、HUB経由または直結でLAN接続した現金処理システムとしてもよく、図20に示すように、ISDN回線を用いて接続した現金処理システムとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】実施例1の現金処理装置を示すブロック図
【図2】実施例1の現金処理装置の正面を示す説明図
【図3】実施例1の現金処理装置の側面を示す説明図
【図4】実施例1の操作表示部を示す説明図
【図5】実施例1の紙幣入出金機を示す説明図
【図6】実施例1の入金計数処理を示す説明図
【図7】実施例1の仮集積処理を示す説明図
【図8】実施例1の仮集積処理を示す説明図
【図9】実施例1の釣銭準備金の収納処理を示す説明図
【図10】実施例1の売上金に引当てる紙幣の移動処理を示す説明図
【図11】実施例1の売上金の収納処理示す説明図
【図12】実施例1の紙幣入出金機を示す説明図
【図13】実施例1の入金計数処理を示す説明図
【図14】実施例1の仮集積処理を示す説明図
【図15】実施例1の仮集積処理を示す説明図
【図16】実施例1の釣銭準備金の収納処理を示す説明図
【図17】実施例1の引渡金に引当てる紙幣の移動処理を示す説明図
【図18】実施例1の引渡金の収納処理示す説明図
【図19】実施例の現金処理システムを示す説明図
【図20】実施例の現金処理システムの他の形態を示す説明図
【符号の説明】
【0073】
1 現金処理装置
2 レジスタ
3 制御部
4 記憶部
5 操作表示部
6 表示部
7 入力部
8 カード取扱部
9 印刷部
10 硬貨入出金機
11 紙幣入出金機
13 アクセス扉
14 通常時電磁ロック
15 収納時電磁ロック
17 接客部
17a、21a、 分離機構
17b、21b、28a 集積機構
18 シャッタ
20 鑑別部
21 一時保留部
23 紙幣収納庫
24 紙幣収納庫扉
24a、27a 鍵
23a、25a、26a 分離集積機構
25、26 釣銭収納庫
27 釣銭収納庫扉
28 リジェクト庫
30 搬送路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入された紙幣を、第1の管理権限の紙幣と第2の管理権限の紙幣とに区分して収納する現金処理装置において、
投入された紙幣を受入れる接客部と、搬送された紙幣の金種を鑑別する鑑別部と、前記鑑別部で鑑別された紙幣を一時保留する一時保留部と、第1の管理権限の紙幣を収納する釣銭収納庫と、第2の管理権限の紙幣を収納する紙幣収納庫と、紙幣を搬送する搬送路と、前記搬送路へのアクセス扉を、施錠、解錠する収納時電磁ロックと、を備え、
前記接客部へ投入された紙幣を、前記鑑別部で鑑別して、第1の管理権限の紙幣に引当てる紙幣を前記一時保留部に、第2の管理権限の紙幣に引当てる紙幣を前記接客部に、それぞれ仮集積し、
前記一時保留部に仮集積した紙幣を、前記釣銭収納庫に第1の管理権限の紙幣として収納した後に、前記接客部に仮集積した紙幣を、前記紙幣収納庫に第2の管理権限の紙幣として収納するときに、前記収納時電磁ロックで、前記アクセス扉を施錠することを特徴とする現金処理装置。
【請求項2】
投入された紙幣を、第1の管理権限の紙幣と第2の管理権限の紙幣とに区分して収納する現金処理装置において、
投入された紙幣を受入れる接客部と、搬送された紙幣の金種を鑑別する鑑別部と、前記鑑別部で鑑別された紙幣を一時保留する一時保留部と、第1の管理権限の紙幣を収納する釣銭収納庫と、第2の管理権限の紙幣を収納する紙幣収納庫と、紙幣を搬送する搬送路と、前記搬送路へのアクセス扉を、施錠、解錠する収納時電磁ロックと、を備え、
前記接客部へ投入された紙幣を、前記鑑別部で鑑別して前記一時保留部に集積し、
前記一時保留部に集積した紙幣を、前記釣銭収納庫に移動させ、
前記釣銭収納庫に移動させた紙幣を、前記鑑別部で鑑別して、第1の管理権限の紙幣に引当てる紙幣を前記一時保留部に、第2の管理権限の紙幣に引当てる紙幣を前記接客部に、それぞれ仮集積し、
前記一時保留部に仮集積した紙幣を、前記釣銭収納庫に第1の管理権限の紙幣として収納した後に、前記接客部に仮集積した第2の管理権限の紙幣に引当てる紙幣を前記一時保留部へ移動させ、
前記一時保留部へ移動させた紙幣を、前記紙幣収納庫に第2の管理権限の紙幣として収納するときに、前記収納時電磁ロックで、前記アクセス扉を施錠することを特徴とする現金処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記第1の管理権限の紙幣が、釣銭準備金の紙幣であり、前記第2の管理権限の紙幣が、売上金の紙幣であることを特徴とする現金処理装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2において、
前記第1の管理権限の紙幣が、釣銭金種の紙幣であり、前記第2の管理権限の紙幣が、非釣銭金種の紙幣であることを特徴とする現金処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項において、
前記収納時電磁ロックを、非通電時に施錠状態としたことを特徴とする現金処理装置。
【請求項1】
投入された紙幣を、第1の管理権限の紙幣と第2の管理権限の紙幣とに区分して収納する現金処理装置において、
投入された紙幣を受入れる接客部と、搬送された紙幣の金種を鑑別する鑑別部と、前記鑑別部で鑑別された紙幣を一時保留する一時保留部と、第1の管理権限の紙幣を収納する釣銭収納庫と、第2の管理権限の紙幣を収納する紙幣収納庫と、紙幣を搬送する搬送路と、前記搬送路へのアクセス扉を、施錠、解錠する収納時電磁ロックと、を備え、
前記接客部へ投入された紙幣を、前記鑑別部で鑑別して、第1の管理権限の紙幣に引当てる紙幣を前記一時保留部に、第2の管理権限の紙幣に引当てる紙幣を前記接客部に、それぞれ仮集積し、
前記一時保留部に仮集積した紙幣を、前記釣銭収納庫に第1の管理権限の紙幣として収納した後に、前記接客部に仮集積した紙幣を、前記紙幣収納庫に第2の管理権限の紙幣として収納するときに、前記収納時電磁ロックで、前記アクセス扉を施錠することを特徴とする現金処理装置。
【請求項2】
投入された紙幣を、第1の管理権限の紙幣と第2の管理権限の紙幣とに区分して収納する現金処理装置において、
投入された紙幣を受入れる接客部と、搬送された紙幣の金種を鑑別する鑑別部と、前記鑑別部で鑑別された紙幣を一時保留する一時保留部と、第1の管理権限の紙幣を収納する釣銭収納庫と、第2の管理権限の紙幣を収納する紙幣収納庫と、紙幣を搬送する搬送路と、前記搬送路へのアクセス扉を、施錠、解錠する収納時電磁ロックと、を備え、
前記接客部へ投入された紙幣を、前記鑑別部で鑑別して前記一時保留部に集積し、
前記一時保留部に集積した紙幣を、前記釣銭収納庫に移動させ、
前記釣銭収納庫に移動させた紙幣を、前記鑑別部で鑑別して、第1の管理権限の紙幣に引当てる紙幣を前記一時保留部に、第2の管理権限の紙幣に引当てる紙幣を前記接客部に、それぞれ仮集積し、
前記一時保留部に仮集積した紙幣を、前記釣銭収納庫に第1の管理権限の紙幣として収納した後に、前記接客部に仮集積した第2の管理権限の紙幣に引当てる紙幣を前記一時保留部へ移動させ、
前記一時保留部へ移動させた紙幣を、前記紙幣収納庫に第2の管理権限の紙幣として収納するときに、前記収納時電磁ロックで、前記アクセス扉を施錠することを特徴とする現金処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記第1の管理権限の紙幣が、釣銭準備金の紙幣であり、前記第2の管理権限の紙幣が、売上金の紙幣であることを特徴とする現金処理装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2において、
前記第1の管理権限の紙幣が、釣銭金種の紙幣であり、前記第2の管理権限の紙幣が、非釣銭金種の紙幣であることを特徴とする現金処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項において、
前記収納時電磁ロックを、非通電時に施錠状態としたことを特徴とする現金処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2010−113605(P2010−113605A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−286854(P2008−286854)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
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