説明

現金管理システム及び方法

【課題】店舗内の現金管理のコストを削減する。
【解決手段】現金管理システムは、釣銭機10に着脱自在であり、釣銭機10から貨幣を回収するとともに、現金在高を特定可能な情報を記憶する記憶媒体21を有する回収カセット20と、回収カセット20を収容する少なくとも1つのカセット収容部31、カセット収容部31に収容された回収カセット20の記憶媒体21から前記情報を読み出す読出部36、及び読出部36により読み出された情報に基づいて回収カセット20内の現金在高を取得し、釣銭機10からの回収額を管理する管理部(37、38)を有するカセット保管装置30と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣銭機から貨幣を回収する回収カセットを用いて貨幣を受け渡しする現金管理システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
小売店舗等においては、レジに紙幣釣銭機や硬貨釣銭機が設置されている。営業時間が終了すると、これらの釣銭機から紙幣や硬貨等の貨幣が回収されて、出納室等に設置されている入出金装置に入金されて管理される。
【0003】
例えば、特許文献1では、補充回収カセットを用いて自動釣銭機から貨幣を回収している。自動釣銭機から貨幣を回収した補充回収カセットは、出納室等に設置された自動補充回収機にセットされる。そして、補充回収カセットから貨幣が繰り出され、鑑別部により鑑別された後、自動補充回収機内の収納ボックスに金種別に収納される。自動補充回収機内の貨幣は、警備会社により定期的に回収される。
【0004】
しかし、このような従来のシステムでは、出納室等に、カセット内の貨幣を識別(及び計数)する機能を持った入出金装置を設置しなければならず、店舗内の現金管理にコストがかかるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−34522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、現金管理のコストを削減することができる現金管理システム及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様による現金管理システムは、釣銭機に着脱自在であり、前記釣銭機から貨幣を回収するとともに、現金在高を特定可能な情報を記憶する記憶媒体を有する回収カセットと、前記回収カセットを収容する少なくとも1つのカセット収容部、前記カセット収容部に収容された前記回収カセットの前記記憶媒体から前記情報を読み出す読出部、及び前記読出部により読み出された情報に基づいて前記回収カセット内の現金在高を取得し、前記釣銭機からの回収額を管理する管理部を有するカセット保管装置と、を備えるものである。
【0008】
本発明の一態様による現金管理システムにおいては、前記管理部は、前記回収カセット内の現金在高に基づいて、前記回収カセットが満杯又は満杯に近い状態にあることを検出した場合、カセット回収指示を外部へ出力することが好ましい。
【0009】
本発明の一態様による現金管理システムにおいては、前記管理部は、前記釣銭機から貨幣を回収した回収日毎に区別して回収額を管理することが好ましい。
【0010】
本発明の一態様による現金管理システムにおいては、前記管理部は、回収日毎に前記回収額を含む売上データを外部へ出力することが好ましい。
【0011】
本発明の一態様による現金管理システムにおいては、前記管理部は、前記売上データを外部出力したか否かを管理することが好ましい。
【0012】
本発明の一態様による現金管理システムにおいては、前記管理部は、外部出力していない売上データがある場合、前記カセット収容部から前記回収カセットを取り外しできないようにすることが好ましい。
【0013】
本発明の一態様による現金管理システムにおいては、前記管理部は、前記回収カセットが回収される際に、外部出力していない全ての売上データを外部出力することが好ましい。
【0014】
本発明の一態様による現金管理システムにおいては、前記管理部は、前記カセット収容部による前記回収カセットの収容に伴い、この回収カセットが装着されていた釣銭機からの回収額を求めて外部出力することが好ましい。
【0015】
本発明の一態様による現金管理システムにおいては、前記記憶媒体には、前記釣銭機によりこの釣銭機からの回収額が書き込まれており、前記読出部は、前記記憶媒体から前記回収額を読み出し、前記管理部は、前記読出部により読み出された前記回収額を外部出力するとともに、前記回収カセット内の在高を管理することが好ましい。
【0016】
本発明の一態様による現金管理システムにおいては、前記記憶媒体は、前記回収カセットを識別する識別情報を記憶しており、前記読出部は、前記記憶媒体から前記識別情報を読み出し、前記管理部は、複数の釣銭機と通信可能に接続されており、前記読出部により読み出された前記識別情報に基づいて前記回収カセットが装着されていた釣銭機を検出し、検出した釣銭機から回収額を取得することが好ましい。
【0017】
本発明の一態様による現金管理方法は、釣銭機と、前記釣銭機に着脱自在であり、記憶媒体を有する回収カセットと、カセット収容部、読出部、及び管理部を有するカセット保管装置と、を用いた現金管理方法であって、前記回収カセットを用いて、前記釣銭機から貨幣を回収する工程と、前記釣銭機が、前記回収カセット内の現金在高を特定可能な情報を前記記憶媒体に書き込む工程と、前記カセット収容部が、前記釣銭機から貨幣を回収した前記回収カセットを収容する工程と、前記読出部が、前記カセット収容部に収容された前記回収カセットの前記記憶媒体から前記情報を読み出す工程と、前記管理部が、前記読出部により読み出された情報に基づいて前記回収カセット内の現金在高を取得し、前記釣銭機からの回収額を管理する工程と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の現金管理システムによれば、店舗内の現金管理のコストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る現金管理システムの概略構成図である。
【図2】同第1の実施形態に係るカセット保管装置の外観図である。
【図3】カセット収容部の断面図である。
【図4】カセット保管装置のブロック図である。
【図5】カセット保管装置で記憶されるデータの一例を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る現金管理システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
(第1の実施形態)図1に本発明の第1の実施形態に係る現金管理システムを示す。現金管理システムは、釣銭機10から貨幣を回収する回収カセット20と、回収カセット20を保管するカセット保管装置30を備えている。カセット保管装置30に保管されている回収カセット20は、釣銭機10に装填されたり、警備会社等の回収業者により警送センター40へ送られたりする。また、カセット保管装置30は、警送センター40から配送された回収カセット20を保管する。また、カセット保管装置30は、警送センター40と通信することができる。
【0022】
釣銭機10は、紙幣釣銭機11及び硬貨釣銭機12を備え、レジスタ13に接続されている。紙幣釣銭機11や硬貨釣銭機12は、それぞれ、紙幣や硬貨をその内部に収納するようになっている。そして、店頭において顧客が商品を購入する際に、顧客から受け取った紙幣や硬貨を識別・計数して入金すると共に、釣銭として顧客に紙幣や硬貨を支払う場合には、紙幣釣銭機11や硬貨釣銭機12に収納された紙幣や硬貨を外部に投出し、投出された紙幣や硬貨を顧客に渡すようになっている。
【0023】
このような紙幣釣銭機11や硬貨釣銭機12には、様々なタイプのものを用いることができる。一例としては、商品の情報をレジスタ13に入力し、顧客から預かった紙幣や硬貨を店員が紙幣釣銭機11や硬貨釣銭機12に投入すると、それを識別・計数して入金金額を算出し、この入金金額と売上金とに基づいて自動的に釣銭としての紙幣や硬貨が紙幣釣銭機11や硬貨釣銭機12から投出されるものが知られている。
【0024】
釣銭機10は、後述する回収カセット20を装填/取り外しできるようになっている。釣銭機10の機内に収納されている紙幣や硬貨を回収する場合、釣銭機10は収納している紙幣や硬貨を回収カセット20に移動させる。釣銭機10から回収カセット20を取り出すことで、紙幣や硬貨の回収を行うことができる。図1には釣銭機10を1つ示しているが、複数あってもよい。
【0025】
回収カセット20には、ICタグ等の記憶媒体21が取り付けられている。記憶媒体21は、この記憶媒体21が取り付けられている回収カセット20に固有のカセットIDを記憶している。
【0026】
釣銭機10は、回収カセット20が装填されている状態で記憶媒体21にデータを書き込むことができるデータライタを備えている。釣銭機10は、貨幣(紙幣・硬貨)回収時に、回収カセット20に移動させた貨幣、すなわち回収された貨幣、の金種別枚数や合計金額を含む回収金情報を記憶媒体21に書き込む。また、釣銭機10は、貨幣回収時に、自機に固有の釣銭機IDと、回収日時も、記憶媒体21に書き込む。
【0027】
次に、図2〜図4を用いて、カセット保管装置30について説明する。図2はカセット保管装置30の外観図、図3はカセット収容部31の断面図、図4はカセット保管装置30のブロック図である。
【0028】
カセット保管装置30は、回収カセット20をそれぞれ収容する少なくとも1つのカセット収容部31と、各カセット収容部31に収容された回収カセット20の取り出しを規制する取出規制部35と、を備えている。図3に示すように、各カセット収容部31は、回収カセット20が載置される底部31aを有し、一方の側面が開口している。取出規制部35は、開口近傍の底部31aに設けられている。
【0029】
より詳細には、取出規制部35は、底部31aから上方に突出できるようになっており、取出規制部35が底部31aから上方に突出すると、カセット収容部31に収容されている回収カセット20が外部から取り出すことができなくなる。一方、取出規制部35が底部31a内に退避すると、カセット収容部31に収容されている回収カセット20が外部から取り出すことができるとともに、カセット収容部31に回収カセット20を外部から収容することができる。カセット収容部31は、図示しないカセット検知センサを備えており、このカセット検知センサにより回収カセット20の有無を検知することができるようになっている。
【0030】
また、図3に示すように、各カセット収容部31の底部31aには、回収カセット20がカセット収容部31に収容された状態で、回収カセット20に取り付けられている記憶媒体21からデータを読み出す読出部36が設けられている。
【0031】
また、図2及び図4に示すように、カセット保管装置30には、収容している回収カセット20の取出指示等を受け付ける操作部32、各種情報を表示することができる第1表示部33、及び制御部37が設けられている。例えば、操作部32はキーボードであり、第1表示部33は液晶ディスプレイである。
【0032】
制御部37は、取出規制部35を制御したり、読出部36による読み出しデータを記憶部38に書き込んだりする。例えば、制御部37は、読出部36が記憶媒体21から読み出した情報に基づいて、釣銭機10からの回収額や、カセット20内の現金在高を取得し、記憶部38に書き込む。制御部37及び記憶部38は、釣銭機10からの回収額を管理する管理部として機能することができる。
【0033】
制御部37は、カセット収容部31に回収カセット20が収容されると、この回収カセット20が外部から取り出しできなくなるように、取出規制部35を制御する。また、制御部37は、操作部32を介して取出指示を受け付けると、収容中の回収カセット20の少なくともいずれか1つを取り出せるように、取出規制部35を制御する。回収カセット20の取出方法については後述する。
【0034】
また、各カセット収容部31には、第2表示部34が設けられている。第2表示部34は、対応するカセット収容部31に収容された回収カセット20が取り出し可能か否かを表示するようになっている。より詳細には、第2表示部34には例えば赤ランプ及び緑ランプが設けられており、赤ランプ点灯時は回収カセット20が取出不能状態にあることを示し、緑ランプ点灯時は回収20が取出可能状態にあることを示す。第2表示部34における表示内容(赤ランプ及び緑ランプの点灯)は、制御部37により制御される。
【0035】
また、図4に示すように、カセット保管装置30は通信部39を備えており、警送センター40と通信できるようになっている。制御部37は、記憶部38に記憶しているデータを警送センター40へ送信するように通信部39を制御することができる。
【0036】
図2に示すカセット保管装置30には、カセット収容部31の下方に、棒金(包装硬貨)などを保管しておくための保管庫41が設けられているが、この保管庫41は無くてもよい。
【0037】
図1に示すように、店頭に設けられた釣銭機10と、店舗後方の出納室等に設けられたカセット保管装置30との間では、回収カセット20により貨幣が運搬されるようになっている。店員は、店舗の営業終了後などに釣銭機10から貨幣を回収すると、回収貨幣が入っている回収カセット20を釣銭機10から取り外し、カセット保管装置30に収容させる。また、店員は、店舗の営業開始前などに、カセット保管装置30から回収カセット20を取り出して、釣銭機10に装填する。店舗に複数の釣銭機10が設けられている場合、回収カセット20は、前日とは異なる釣銭機10に装填されることもある。
【0038】
次に、記憶部38に記憶されているデータについて図5を用いて説明する。図5は記憶部38が記憶しているデータの一例であり、記憶部38は、回収カセット20が釣銭機10から回収してきた貨幣についての情報を回収カセット20毎に記憶している。この情報は、読出部36が記憶媒体21から読み出したものであり、カセットID、回収日時、釣銭機ID、回収金情報などが含まれている。
【0039】
制御部37は所定のタイミングで読取部36に記憶媒体21からデータ(カセットID、回収日時、釣銭機ID、回収金情報など)を読み取らせる。そして、制御部37は、読出部36が読み出したデータのうち、記憶部38に記憶されていない回収日時の回収金情報を記憶部38に書き込み、送信フラグに0を設定する。
【0040】
また、制御部37は、所定のタイミングで、記憶部38に書き込まれている回収金情報のうち、送信フラグが0になっている回収金情報と、対応するカセットID、釣銭機ID、回収日時を記憶部38から取り出す。通信部39は、記憶部38から取り出されたデータを含む売上データを警送センター40へ送信する。制御部37は、通信部39が警送センター40へ売上データを送信すると、送信した売上データに含まれる回収金情報に対応する記憶部38内の送信フラグを1に書き換える。
【0041】
例えば、図5は、カセットIDが“CS01”である回収カセット20の複数日にわたる回収貨幣のデータを示している。このデータから、このカセット20は、2011年1月20日に、釣銭機IDが“001”である釣銭機10から、10000円札10枚、5000円札5枚、1000円札32枚、合計157000円を回収しており、この回収金情報は警送センター40へ送信済みであることが分かる。また、このカセット20は、2011年1月21日に、釣銭機IDが“002”である釣銭機10から貨幣を回収しており、この回収金情報も警送センター40へ送信済みであることが分かる。また、このカセット20は、2011年1月22日に釣銭機IDが“001”である釣銭機10から貨幣を回収しており、この回収金情報は警送センター40へ未だ送信されていないことが分かる。
【0042】
カセット保管装置30は、図5に示すようなデータから、各回収カセット20の現金在高や、各釣銭機10からの回収金を管理することができる。
【0043】
また、警送センター40は、通信部39から売上データを受け取ることで、釣銭機10からの回収金を回収日時別に管理することができ、また、回収カセット20に収納されている貨幣の在高や金種情報を把握することができる。
【0044】
読取部36が記憶媒体21からデータを読み取るタイミングは任意に設定することができ、例えば、回収カセット20がカセット収容部31に収容されたことをカセット検知センサが検知した時でもよいし、店舗の営業終了後でもよいし、操作部32から読み取り指示を受け付けた時でもよい。
【0045】
また、通信部39が売上データを警送センター40へ送信するタイミングは任意に設定することができ、例えば、店舗の営業終了後でもよいし、操作部32から送信指示を受け付けた時でもよいし、回収カセット20の記憶媒体21から読み出された回収金情報等が記憶部38に書き込まれた直後でもよい。
【0046】
次に、カセット保管装置30から回収カセット20が取り出される際の処理について説明する。回収カセット20は、釣銭機10に装填するために店員が取り出す場合と、警送センター40へ移送するために回収業者が取り出す場合とがある。
【0047】
まず、店員による取り出しについて説明する。まず、店員は、操作部32から回収カセット20の取り出し指示を入力する。この時、操作部32に設けられた読取部(図示せず)に、社員証等の認証カードを読み取らせるようにしてもよい。
【0048】
操作部32が店員から取り出し指示を受け付けると、制御部37は、カセット収容部31に収容されている回収カセット20のうち、記憶媒体21の回収金情報の読み出しが済んでいるものを1つ選択し、選択した回収カセット20が取り出し可能となるように取出規制部35を制御する。
【0049】
また、制御部37は、選択した回収カセット20を収容しているカセット収容部31に対応する第2表示部34に、この回収カセット20が取り出し可能になっていることを表示させる。例えば、制御部37は、第2表示部34の赤ランプを消して、緑ランプを点灯させる。店員は、第2表示部34の表示内容を確認し、取り出し可能になっている回収カセット20を取り出して、釣銭機10に装填する。
【0050】
操作部32が店員から取り出し指示を受け付けたときに、記憶媒体21の回収金情報の読み出しが済んでいる回収カセット20が無い場合、制御部37は、読出部36を制御して、収容されている回収カセット20のうち少なくとも1つの回収カセット20の記憶媒体21から回収金情報を読み出す。そして、回収金情報の読み出し後、制御部37は、この回収カセット20を取り出し可能にする。
【0051】
このように、制御部37は、記憶媒体21の回収金情報の読み出しが済んでいる回収カセット20のみ、カセット保管装置30から取り外しできるようにし、記憶媒体21の回収金情報の読み出しが済んでいない回収カセット20は、カセット保管装置30から取り外しできないようにする。
【0052】
続いて、回収業者による取り出しについて説明する。通常、回収業者は、カセット保管装置30に収容されている全ての回収カセット20を取り出す。
【0053】
まず、回収業者は、操作部32から回収カセット20の取り出し指示(回収指示)を入力する。この時、操作部32に設けられた読取部(図示せず)に、回収業者を示す認証カードを読み取らせるようにしてもよい。
【0054】
操作部32が回収業者から取り出し指示を受け付けると、制御部37は、カセット収容部31に収容されている全ての回収カセット20について、記憶媒体21の回収金情報の読み出しが済んでいるかを確認し、読み出しを行っていない記憶媒体があれば、回収金情報の読み出し及び記憶部38への書き込みを行う。
【0055】
次に、制御部37が、記憶部38から、送信フラグが0になっている回収金情報を取り出し、通信部39が売上データを警送センター40へ送信する。
【0056】
制御部37は、カセット収容部31に収容されている全ての回収カセット20の記憶媒体21からの回収金情報の読み出しと、記憶部38内の未送信回収金情報の送信とを終えると、全ての回収カセット20が取り出し可能となるように取出規制部35を制御する。
【0057】
回収業者は、カセット保管装置30に収容されている全ての回収カセット20を取り出し、代わりに、警送センター40から持ってきた回収カセット20をカセット保管装置20に収容させる。回収業者が警送センター40から持ってきた回収カセット20は中身が空であり、記憶媒体21はカセットIDのみ記憶している。回収業者は、カセット保管装置30から取り出した回収カセット20を警送センター40へ運搬する。
【0058】
警送センター40は、カセット保管装置30から売上データを受け取っているため、各回収カセット20に収納されている貨幣の在高を把握している。警送センターでは、この在高と、回収業者が店舗から運搬してきた回収カセット20に収納されている貨幣との照合作業が行われる。
【0059】
このように、本実施形態では、釣銭機10から回収カセット20で回収される貨幣の計数を、釣銭機10自体が行い、計数結果(回収金情報)を記憶媒体21に書き込む。カセット保管装置30は、記憶媒体21から回収金情報等を読み出して各回収カセット20の現金在高を取得することができる。カセット保管装置30に、貨幣の計数機能を設ける必要がないため、店舗内の現金管理のコストを削減することができる。
【0060】
制御部37は、回収カセット20の現金在高に基づいて、回収カセット20が満杯(フル)又は満杯に近い(ニアフル)か否かを検出し、回収カセット20がフル/ニアフルであった場合に、回収カセット20の回収指示(回収依頼)を警送センター40へ送信するようにしてもよい。警送センター40が回収指示を受け取ると、回収業者が店舗へ回収カセット20の回収に行く。
【0061】
カセット保管装置30が警送センター40へ回収指示を送信することで、回収カセット20は店舗で複数日にわたってフル/ニアフルになるまで運用される。そのため、回収業者によるカセット回収頻度を必要最小限に抑え、現金管理のコストをさらに削減することができる。
【0062】
釣銭機10において回収カセット20へ貨幣を回収する際にエラーが発生した場合、釣銭機10が記憶媒体20に書き込む回収金情報と、実際に回収カセット20に回収された貨幣とが一致しないおそれがある。そのため、エラー発生時は、回収カセット20内の全ての貨幣を取り出して釣銭機10へ投入し、釣銭機10が貨幣を識別・計数して回収カセット20に収納する。そして、釣銭機10は、投入された全ての貨幣の計数結果を回収金情報として、エラーが発生したことを示す識別子とともに記憶媒体21に書き込む。
【0063】
カセット保管装置30は、読み出した回収金情報にエラー識別子が付加されていた場合は、当日の回収金情報から、この回収カセット20が前日までに回収していた貨幣の合計金額を減じる。このようにすることで、回収時にエラーが発生した場合でも、正確な回収金情報を取得することができる。
【0064】
(第2の実施形態)図6に本発明の第2の実施形態に係る現金管理システムを示す。本実施形態は、図1に示す第1の実施形態と比較して、釣銭機10とカセット保管装置30とが通信可能に接続されている点が異なる。釣銭機10は複数設けられていてもよい。
【0065】
釣銭機10は、回収カセット20が装填されると記憶媒体21からカセットIDを読み出す。また、釣銭機10は、貨幣の回収時に回収金情報を記憶媒体21へ書き込まず、回収カセット20が取り外されると、釣銭機ID、カセットID、及び回収金情報を組み合わせてカセット保管装置30へ送信する。
【0066】
カセット保管装置30は、釣銭機10から釣銭機ID、カセットID、及び回収金情報の組み合わせを受信すると記憶部38に書き込む。このように、回収金情報を記憶媒体21に書き込むのではなく、釣銭機10からカセット保管装置30へ送信するような構成にしても、カセット保管装置30は各回収カセット20の現金在高を管理することができる。
【0067】
カセット保管装置30は、釣銭機10から回収金情報を受信してから所定時間内に、この回収金情報と組み合わされているカセットIDの回収カセット20が収容されない場合、警報を報知するようにしてもよい。
【0068】
釣銭機10は、カセット保管装置30からの回収金情報の問い合わせに対する応答で、回収金情報をカセット保管装置30へ送信してもよい。この場合、釣銭機10は、貨幣回収時に記憶媒体21に自機の釣銭機IDを書き込む。カセット保管装置30は、回収カセット20が収容されると、記憶媒体21から釣銭機IDを読み出し、この釣銭機IDに対応する釣銭機10に回収金情報を問い合わせる。このような手法でも、カセット保管装置30は各回収カセット20の現金在高を管理することができる。
【0069】
釣銭機10は、回収カセット20が取り外されてから所定時間内に、カセット保管装置30から回収金情報の問い合わせがない場合は、警報を報知するようにしてもよい。
【0070】
また、釣銭機10は、記憶媒体21からカセットIDを読み出しておき、回収時に自機の釣銭機IDを記憶媒体21に書き込まなくてもよい。カセット保管装置30は、収容した回収カセット20の記憶媒体21からカセットIDを読み出し、全ての釣銭機10に対して、このカセットIDに対応する回収カセットで貨幣の回収が行われたか否かを問い合わせる。釣銭機10は、読み出していたカセットIDがカセット保管装置30から問い合わせられているカセットIDと一致している場合、自機の釣銭機IDとともに回収金情報をカセット保管装置30へ送信する。このような構成にすることで、釣銭機10は、記憶媒体21へのデータ書き込み機能が不要となる。
【0071】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0072】
10 釣銭機
11 紙幣釣銭機
12 硬貨釣銭機
13 レジスタ
20 回収カセット
21 記憶媒体
30 カセット保管装置
31 カセット収容部
40 警送センター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣銭機に着脱自在であり、前記釣銭機から貨幣を回収するとともに、現金在高を特定可能な情報を記憶する記憶媒体を有する回収カセットと、
前記回収カセットを収容する少なくとも1つのカセット収容部、前記カセット収容部に収容された前記回収カセットの前記記憶媒体から前記情報を読み出す読出部、及び前記読出部により読み出された情報に基づいて前記回収カセット内の現金在高を取得し、前記釣銭機からの回収額を管理する管理部を有するカセット保管装置と、
を備える現金管理システム。
【請求項2】
前記管理部は、前記回収カセット内の現金在高に基づいて、前記回収カセットが満杯又は満杯に近い状態にあることを検出した場合、カセット回収指示を外部へ出力することを特徴とする請求項1に記載の現金管理システム。
【請求項3】
前記管理部は、前記釣銭機から貨幣を回収した回収日毎に区別して回収額を管理することを特徴とする請求項1又は2に記載の現金管理システム。
【請求項4】
前記管理部は、回収日毎に前記回収額を含む売上データを外部へ出力することを特徴とする請求項3に記載の現金管理システム。
【請求項5】
前記管理部は、前記売上データを外部出力したか否かを管理することを特徴とする請求項4に記載の現金管理システム。
【請求項6】
前記管理部は、外部出力していない売上データがある場合、前記カセット収容部から前記回収カセットを取り外しできないようにすることを特徴とする請求項5に記載の現金管理システム。
【請求項7】
前記管理部は、前記回収カセットが回収される際に、外部出力していない全ての売上データを外部出力することを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の現金管理システム。
【請求項8】
前記管理部は、前記カセット収容部による前記回収カセットの収容に伴い、この回収カセットが装着されていた釣銭機からの回収額を求めて外部出力することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の現金管理システム。
【請求項9】
前記記憶媒体には、前記釣銭機によりこの釣銭機からの回収額が書き込まれており、
前記読出部は、前記記憶媒体から前記回収額を読み出し、
前記管理部は、前記読出部により読み出された前記回収額を外部出力するとともに、前記回収カセット内の在高を管理することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の現金管理システム。
【請求項10】
前記記憶媒体は、前記回収カセットを識別する識別情報を記憶しており、
前記読出部は、前記記憶媒体から前記識別情報を読み出し、
前記管理部は、複数の釣銭機と通信可能に接続されており、前記読出部により読み出された前記識別情報に基づいて前記回収カセットが装着されていた釣銭機を検出し、検出した釣銭機から回収額を取得することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の現金管理システム。
【請求項11】
釣銭機と、前記釣銭機に着脱自在であり、記憶媒体を有する回収カセットと、カセット収容部、読出部、及び管理部を有するカセット保管装置と、を用いた現金管理方法であって、
前記回収カセットを用いて、前記釣銭機から貨幣を回収する工程と、
前記釣銭機が、前記回収カセット内の現金在高を特定可能な情報を前記記憶媒体に書き込む工程と、
前記カセット収容部が、前記釣銭機から貨幣を回収した前記回収カセットを収容する工程と、
前記読出部が、前記カセット収容部に収容された前記回収カセットの前記記憶媒体から前記情報を読み出す工程と、
前記管理部が、前記読出部により読み出された情報に基づいて前記回収カセット内の現金在高を取得し、前記釣銭機からの回収額を管理する工程と、
を備える現金管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−181576(P2012−181576A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42226(P2011−42226)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】