説明

現金自動取引システム、および現金自動取引装置

【課題】店舗内のレイアウトに関する制約を不要とし、店舗ごとに異なるATMの配置に容易に対応しつつ、省エネ効果を向上することが可能な現金自動取引システム、および現金自動取引装置を提供する。
【解決手段】第1のセンサは、店舗への利用者の入出店を検知する検知部と、検知部が検知した検知情報を現金自動取引装置に送信するセンサ送信部と、を備え、現金自動取引装置は、第1のセンサから検知情報を受信し、または他の現金自動取引装置に現金自動取引装置が取引中か否かを示す取扱情報を送信する第1の通信部と、第1の通信部が検知情報を受信した場合に、省エネ運転を示す省エネモードから通常運転を示す通常モードに現金自動取引装置のモードを切り替えて、取扱情報に含まれる現金自動取引装置についての取扱情報を取扱中に更新し、現金自動取引装置を利用者との間で取引を実行可能な状態にする第1の制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、金融機関等に設置されるような現金自動取引装置(ATM:Automated teller machine)の省エネ状態からの復帰処理を行う現金自動取引システム、および現金自動取引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境性を配慮し、ATMには省エネモードを有しているものがある。通常、この省エネモードはATMに具備され、装置の前に立っている利用者を検出するための顧客センサや顧客操作パネル(タッチパネル)が押下された際の座標信号等、利用者とATMとが非常に近い距離での検出信号を受信して省エネモードから取引が可能な通常運転に復帰させている(省エネ復帰)。この場合、省エネモードから復帰するには、処理時間が必要であり、これが利用者の待ち時間となってしまうため、この待ち時間を短縮するための手段が幾つか提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、店舗入口に設置される利用者検出用センサと連動し、店舗に利用者が入ったことを検出して省エネモードからの復旧処理を開始する方法が提案されている。また、特許文献2では、距離を測定できるセンサをATMに一つだけ具備し、ATMから遠い距離の利用者を検出した場合に省エネ復旧処理を開始し、ATMに近い距離の利用者を検出した場合は、「いらっしゃいませ」や「お忘れ物がございます」等の音声ガイダンスをATMに搭載されたスピーカから出力する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−304740号
【特許文献2】特開2008−299745号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した開示済み技術では、利用者検出用センサとして、赤外線や超音波等、センサ出力(光や音)が物体に反射してセンサ入力部に戻る性質を利用し、距離測定も可能な物体検知センサを使用しており、店舗内の接客カウンターや、顧客が書類記入に使用するテーブル、待合コーナーの座席等と赤外光や超音波などのセンサ出力との干渉を避ける必要がある。さらに、センサ出力は目に見えないため、それぞれの位置関係を調整するのにも手間がかかる。特許文献1では、特に大型店舗において、店舗の入口に対し、左右各数メートル先にATMが設置される場合や、複数の入口からATMコーナーに移動できる環境に対し複数の物体検知センサを設置するか、一つの利用者検出用センサが全てのATMに対し通信を行うことができるようATMを配置する必要が生じ、店舗内レイアウトの制約がますます大きくなってしまう。
【0006】
また、特許文献2では、赤外線や超音波等、センサ出力(光や音)が物体に反射してセンサ入力部に戻る性質を利用し、かつ距離を測定する必要があるため、ATMとセンサ及び利用者が直線的な位置関係になる必要があり、ATMに対し真正面から近づく利用者の検出には強いが、横から近づく利用者ほど検出しにくくなるという課題があり、ポールやロープを用いて利用者がATMに対し真正面から近づく店舗レイアウトを構築する必要がある。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、上述の課題である店舗内のレイアウトに関する制約を不要とし、店舗ごとに異なるATMの配置に容易に対応しつつ、省エネ効果を向上することが可能な現金自動取引システム、および現金自動取引装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる現金自動取引システムは、店舗に設置された複数の現金自動取引装置が利用者との間で所定の取引を行う現金自動取引システムであって、第1のセンサは、前記店舗への前記利用者の入出店を検知する検知部と、前記検知部が検知した検知情報を前記現金自動取引装置に送信するセンサ送信部と、を備え、前記現金自動取引装置は、前記第1のセンサから前記検知情報を受信し、または他の現金自動取引装置に前記現金自動取引装置が取引中か否かを示す取扱情報を送信する第1の通信部と、前記第1の通信部が前記検知情報を受信した場合に、省エネ運転を示す省エネモードから通常運転を示す通常モードに前記現金自動取引装置のモードを切り替えて、前記取扱情報に含まれる前記現金自動取引装置についての取扱情報を取扱中に更新し、前記現金自動取引装置を前記利用者との間で取引を実行可能な状態にする第1の制御部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる現金自動取引装置は、店舗に設置され、利用者との間で所定の取引を行う現金自動取引装置であって、前記店舗への前記利用者の入出店を検知する検知部と、前記検知部が検知した検知情報を前記現金自動取引装置に送信するセンサ送信部と、を備えた第1のセンサから前記検知情報を受信し、または他の現金自動取引装置に前記現金自動取引装置が取引中か否かを示す取扱情報を送信する第1の通信部と、前記第1の通信部が前記検知情報を受信した場合に、省エネ運転を示す省エネモードから通常運転を示す通常モードに前記現金自動取引装置のモードを切り替えて、前記取扱情報に含まれる前記現金自動取引装置についての取扱情報を取扱中に更新し、前記現金自動取引装置を前記利用者との間で取引を実行可能な状態にする第1の制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、店舗内のレイアウトに関する制約を不要とし、店舗ごとに異なるATMの配置に容易に対応しつつ、省エネ効果を向上することが可能な現金自動取引システム、および現金自動取引装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】現金自動取引装置外観図である。
【図2】現金自動取引装置の構成を示す図である。
【図3】ATM設置店舗内の例を示す図である。
【図4】ATMの処理手順を示すフローチャートである。
【図5A】ATMの処理手順を示すフローチャートである(顧客検知時)。
【図5B】次に処理すべきATMの処理手順を示すフローチャートである。
【図6】複数台設置環境のATM間通信データ例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる現金自動取引システム、および現金自動取引装置の実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
図1は、本実施の形態におけるATM108の外観図である。このATMは金融機関の店舗、店舗外等に設置される。図1に示すように、ATM108は、通帳出入口101と、カード出入口102と、紙幣入出金口103と、硬貨入出金口104と、顧客操作パネル105と、顧客センサ106と、取扱取引表示器107とを含んで構成されている。
【0014】
通帳出入口101は、エンドユーザが通帳を挿入し、印字結果を受取る口であり、装置内部には通帳貼付の磁気情報の読み取り、通帳への印字を実行する通帳機構がある。カード出入口102は、エンドユーザが取引において使用する磁気カード(またはICカード)の挿入口兼受取り口で、その内部にはカード情報の読み取りなどを行うカード読取機構を備える。紙幣入出金口103は、エンドユーザが紙幣を入金する時の受入口かつ紙幣出金、お釣返却時の渡し口である。この内部にも紙幣の搬送、鑑別、収納などを行う紙幣入出金機構(単に紙幣取扱装置とも言う)が具備されている。
【0015】
硬貨入出金口104は、エンドユーザが硬貨を入金する時の受入口かつ硬貨出金、お釣返却時の渡し口で、硬貨入出金機構によりそれらの処理が実行される。顧客操作パネル105は、取引画面の表示およびエンドユーザによる取引内容の入力を行う部位である。顧客センサ106は、ATMの前に存在するエンドユーザを検知するセンサである。ただし、顧客センサ106の検知距離は「いらっしゃいませ」や「お忘れ物がございます」等の音声ガイダンス出力の契機に使用するため、ATMから1m程度の短い距離の利用者を検出するためのものである。取扱取引表示器107は、お取扱中、お取扱中止等の文言をランプで表示しエンドユーザに装置の状態を知らせる為のものである。
【0016】
図2は、ATMの内部ブロックの構成を示す図である。図2に示すように、制御部201は、各ユニット(各部、各機構)を全体的に制御する機能を有し、CPU、メモリ等から主に構成されている。顧客操作部204は、図1の顧客操作パネル105と同機能のもので、液晶表示パネルおよびタッチパネルで構成され、制御部201より指示されるエンドユーザへの情報を表示するとともに、タッチパネルから入力されるエンドユーザの取引情報を検出し(キー押下などで)、制御部201へ送る。
【0017】
インタフェース(I/F)部202は、制御部201と上位装置203との電気的な接続を行い、両者の通信を司る。顧客センサ受信部218は、ATMのすぐ前に利用者が立っているかどうかを検出するセンサ出力情報を受信し、制御部201にセンサ情報を送り、「いらっしゃいませ」や「お忘れ物がございます」等の音声ガイダンス出力や省エネ復帰条件の一つとしてソフトウェア処理の契機としている。カード読取機構205は、エンドユーザの接触式カードを吸入し、磁気ストライプ(メモリ)の情報およびエンボスの画像を取得する。通帳出入機構206は挿入された通帳に取引内容を印字して返却する。硬貨入出金機構208は、入金した硬貨を計数して収納し、あるいはエンドユーザが出金した硬貨またはお釣として返却する硬貨を収納庫より繰り出しエンドユーザに渡す。
【0018】
紙幣入出金機構207は、紙幣入出金口103より入金された紙幣を計数、鑑別し、装置内部に具備された収納庫に収納する(入金)。また、紙幣入出金機構207は、顧客操作部204が利用者からの入力を受け付けた金額に応じた紙幣を収納庫より繰り出し、入出金口103より出金する。装置電源209はACの商用電源211からユニット用のDC電源を作り、装置内の各ユニットに供給する。バックアップ電池210は、ACの商用電源が供給されなくなった場合の緊急用電源である。
【0019】
本実施例では、温度変化を検出するセンサとして、ビルのトイレやロッカー室で広く用いられ、人の入室、退室を店舗内の温度変化で検出して照明の自動点灯、自動消灯を行うのに使われている焦電センサ213を用いて説明する。焦電センサ213は、温度変化を検出した場合に起電力を発生する焦電素子214と、この起電力発生を検知してセンサ情報をATMに送信するリモコン送信部215から構成され、これを受信するリモコン受信部212をATM側に設ける。ここでリモコンとは、テレビやエアコン、オーディオ機器等で広く普及している赤外線を用いた通信手段を指す。また、ここではリモコン通信として説明をしているが、有線を用いた焦電センサ213との通信に置き換えることもできる。ここでリモコン受信部212と制御部201との間に焦電センサ信号を受信するかしないかをあらかじめ選択できる手段として切替スイッチ216を設ける。
【0020】
次に、ATMの通常の取引可能な状態から省エネモードに移行するソフトウェア処理の実施例を説明する。ATMは24時間のうち、省エネモードに移行できる時間帯を自由に設定できる(例:17:00〜20:00)。また、取引終了後に省エネモードに移行する時間も自由に設定可能である(例:5分後)。設定された時間が到来すると、制御部201は、カード読取機構205、紙幣入出金機構207、通帳出入機構206、硬貨入出金機構208に対して電源OFF信号を送信する。省エネモードからの復旧契機は、本実施の形態において示すような温度変化検出以外には、顧客操作パネル105の押下や顧客センサ106に反応があった場合が契機となる。省エネモードからの復旧は各機構のイニシャライズ動作(メカやセンサの動作確認)を実施しており、数秒から10秒程度の復旧時間が必要となる。
【0021】
次に、ATM複数台設置店舗における省エネ復帰のソフトウェア処理を図1〜6を用いて説明する。図3は、ATM設置店舗内の例を示す図である。図3に示すように、ここでは一例として、24時間運転のATMが4台設置されている場合について示している。ATM1号機は、焦電センサ213を受信可能なスタンバイ状態に設定し、ATM2〜4号機は、受信しない待機状態に設定する。焦電センサ213は、ATM1号機と送受信しやすい角度で店舗の天井に設置されている。ここで、ATMは、4台とも省エネモードとする。省エネ運転中においては、制御部201によるソフトウェア制御により、取扱取引表示器107は「取扱中止」を表示する。この無人の店舗に一人の利用者が入店しようと店舗の扉を開くと、焦電センサ213が外気や利用者の体温と店舗内の室温との温度差を温度変化として検出し、ATM1号機に対しリモコン送信部215を介してセンサ情報を送信する。ATM1号機は、リモコン受信部212にてセンサ情報を受け、ソフトウェア処理にて省エネ復帰処理を開始すると共に、取扱取引表示器107を「取扱中」の表示に変えて、利用者をATM1号機に誘導する。
【0022】
ここで、各ATMの通信機構部217が送受信する通信データは、図6に示すような通信データ構成601となっている。このような構成により、設置されている全号機についてATMの機器番号(号機番号)、取扱中か取扱中止かを示す装置の状態、顧客センサ106による利用者がATMの前にいるかどうかの検出情報を含んでおり、各号機にインストールされたソフトウェアは、互いにこの通信データを参照することにより、「取扱中」かつ顧客センサ情報が「利用者なし」の状態の装置が必ず1台だけ残るように、若い機器番号から順に省エネ復帰処理を行うよう、プログラムすることが可能となる。
【0023】
続いて、本実施の形態における処理について、フローチャートを用いて説明する。図4は、本実施の形態における現金自動取引システム、および現金自動取引装置が行う処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0024】
図4に示すように、店舗において、全ATMが省エネモードであり、取扱中止表示した状態にあるものとする(ステップ401)。その後、エンドユーザが店舗内に入室し、焦電センサ213が温度変化を検出し、ATM1号機301の制御部201は、焦電センサ213からセンサ情報を受信したか否かを判定し(ステップ402)、センサ情報を受信したと判定した場合(ステップ402;Yes)、さらに、ATMが省エネモードであるか否かを判定する(ステップ403)。なお、ATM1号機301の制御部201は、センサ情報を受信していないと判定した場合(ステップ402;No)、そのまま待機する。
【0025】
そして、ATM1号機301の制御部201は、ATMが省エネモードであると判定した場合(ステップ403;Yes)、省エネ復旧処理に入り(ステップ404)、その後、取扱取引表示器107の表示を「取扱中止」から「取扱中」に点灯ランプ切替を行うとともに、ATM間の通信機構部217の通信データに「取扱中」となった旨をデータ更新する(ステップ405)。なお、ATM1号機301の制御部201は、ATMが省エネモードでないと判定した場合(ステップ403;No)、そのままステップ406に進む。
【0026】
次に、利用者がATMの前に立ったかどうかを顧客センサ106により監視し、ATM1号機301の制御部201は、顧客センサ106が一定時間の間に顧客を検知したか否かを判定し(ステップ406)、顧客センサ106が一定時間の間に顧客を検知したと判定した場合(ステップ406;Yes)、図5Aに示すステップ501に進む。
【0027】
図5Aに示すステップ501では、図6に示したように、ATM1号機301の制御部201は、その旨を通信機構部217の通信データに反映し(ステップ501)、通常の取引に移行する(ステップ502)。その後、ATM1号機301の制御部201は、一定時間の間に顧客を検知しなければ、図4に示すB1に戻って、再び省エネモードに入る(ステップ408)。
【0028】
なお、前の利用者が退店後、間もなく入店した場合や、多数の利用者がいる時で焦電センサ213が温度変化を検出したとしても、この時点ではATM1号機301は省エネモードでない通常の取引運転中であるため、図4に示すB2に戻って、直ちに顧客センサ監視に移行する(ステップ406)。なお、多数の利用者がいるか否かは、例えば、焦電センサ213が短い間隔で温度変化を検知している場合には、制御部201は多数の利用者がいると判定する。
【0029】
次に、ATM2号機302における処理について説明する。図5Bは、ATM2号機302で行われる処理の処理手順を示すフローチャートである。図5Bに示すように、ATM2号機302は、常に1号機のATM間の通信機構部217の通信データを監視しており、ATM2号機302の制御部201は、ATM1号機301が「取扱中」となったか否かを判定し(ステップ503)、ATM1号機301が「取扱中」となったと判定した場合(ステップ503;Yes)、さらに「顧客有り」の状態になったか否かを判定する(ステップ504)。
【0030】
そして、ATM2号機302の制御部201は、ATM1号機301が「顧客有り」の状態になったと判定した場合(ステップ504;Yes)、省エネ復旧処理を開始する(ステップ505)。以降、ステップ505から511の処理は、1号機において行われる図4および図5Aに示したステップ405〜408、ステップ501〜502の処理と同じ処理を行う。なお、ステップ503において、ATM2号機302の制御部201が、ATM1号機301が「取扱中」となったと判定していない場合(ステップ503;No)、そのまま待機し、ステップ504において、ATM1号機301が「顧客有り」の状態になったと判定していない場合(ステップ504;No)、ステップ509に進んで省エネモードに入り、処理を終了させる。このステップ509の処理が終了すると、図5Bに示した全ての処理が終了する。
【0031】
そして、上述した処理において、これと同様に、ATM3号機303はATM2号機302を、ATM4号機304はATM3号機303を、というように一つだけ若い号機番号のATMを監視しておくことにより、利用者は入店順に若い号機番号のATMを利用でき、利用者より「取扱中」のATMが所定の台数(例えば2台)以上多くならぬようできる。例えば、ATM1号機301とATM2号機302が「取扱中」である場合、ATM3号機303は、図6に示した通信データに含まれるATM1号機301およびATM2号機302に関する情報の値はいずれも「取扱中」であるため、ATM3号機303は、図5Bに示す処理を実行せずに、省エネモードのまま待機する。
【0032】
なお、ATM1号機301において、焦電センサ213からセンサ情報を受信しない場合(例えば、あらかじめATM内部でセンサ情報を受信しない設定とした場合)には、制御部201が、顧客センサが利用者を検知したことにより省エネモードから復旧させて取引を実行可能な状態とし、図6に示した前記現金取扱装置についての通信データに利用者有りである旨を更新することとしてもよい。また、店舗には、焦電センサ213からセンサ情報を受信して店舗内の照明を点灯制御および消灯制御する照明機構が備えられている場合には、ATM1号機301やATM2号機302等の現金自動取引装置において、制御部201が、省エネモードから通常モードに現金自動取引装置のモードを切り替えることに連動させて照明機構を動作させる(例えば、省エネモードとなった場合には消灯させ、通常モードとなった場合には点灯させる)こととしてもよい。
【0033】
このように、ATM設置店舗の天井に温度変化を検出するセンサを設置し、このセンサ情報をATMに対し送信できる通信機構を具備し、ATMには温度変化を検出するセンサの情報を受信する通信機構と店舗内の他のATM間との通信機構を具備し、さらに焦電センサと通信を行うか行わないかを切替える手段を具備することにより、店舗内レイアウトへの制約無く省エネ効果の高いATM運転環境を提供できる。また、利用者入店前は、必要最小限の店舗照明を点灯させ、営業中であることを外部に示し、利用者が入店する際に店舗照明の点灯数を増やす又は明るさを増し、同時に省エネモードの現金自動取引装置が省エネ復帰処理を開始することにより店舗全体の省エネ効率を向上することを特徴とする。
【0034】
例えば、利用者が店舗入店からATMに移動するまでの時間の分だけ省エネ復帰処理による利用者待ち時間を短縮することができ、かつ利用頻度に対し過剰な省エネ復帰を行うことも避けることができる。また、焦電センサの天井への取り付けは、広く普及しており、容易に工事ができ、店舗内の接客カウンターや、顧客が書類記入に使用するテーブルや待合コーナーの座席等と席外光や超音波などのセンサ出力との干渉を気にする必要が無くレイアウトに制約を与えない。さらに、焦電センサは店舗の照明設備の自動点灯、自動消灯の用途でも広く普及しており、これと連動させ、店舗内が無人の状態であれは、ATM周辺のみライトアップし、利用者の入店を契機に店舗全体を明るくするような制御をすることにより、店舗全体の省エネ効果を向上させることもできる。
【符号の説明】
【0035】
101…通帳出入口, 102…カード出入口, 103…紙幣入出金口, 104…硬貨入出金口, 105…顧客操作パネル, 106…顧客センサ, 107…取扱取引表示器, 108…ATM, 201…制御部, 202…I/F部, 203…上位装置, 204…顧客操作部, 205…カード読取機構, 206…通帳出入機構, 207…紙幣入出金機構, 208…硬貨入出金機構, 209…装置電源(AC/DC), 210…バックアップ電池, 211…商用電源, 212…無線インタフェース部, 213…焦電センサ, 214…焦電素子, 215…リモコン送信部, 216…切替スイッチ, 217…通信機構部, 218…顧客センサ受信部, 301…ATM1号機, 302…ATM2号機, 303…ATM3号機, 304…ATM4号機, 601…通信データ構成。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗に設置された複数の現金自動取引装置が利用者との間で所定の取引を行う現金自動取引システムであって、
第1のセンサは、
前記店舗への前記利用者の入出店を検知する検知部と、
前記検知部が検知した検知情報を前記現金自動取引装置に送信するセンサ送信部と、を備え、
前記現金自動取引装置は、
前記第1のセンサから前記検知情報を受信し、または他の現金自動取引装置に前記現金自動取引装置が取引中か否かを示す取扱情報を送信する第1の通信部と、
前記第1の通信部が前記検知情報を受信した場合に、省エネ運転を示す省エネモードから通常運転を示す通常モードに前記現金自動取引装置のモードを切り替えて、前記取扱情報に含まれる前記現金自動取引装置についての取扱情報を取扱中に更新し、前記現金自動取引装置を前記利用者との間で取引を実行可能な状態にする第1の制御部と、
を備えることを特徴とする現金自動取引システム。
【請求項2】
前記他の現金自動取引装置は、
前記現金自動取引装置から、更新された前記取扱情報を受信する第2の通信部と、
前記第2の通信部が更新された前記取扱情報を受信した場合に、前記省エネモードから前記通常モードに前記他の現金自動取引装置のモードを切り替えて、前記取扱情報に含まれる前記他の現金自動取引装置についての取扱情報を取扱中に更新し、前記他の現金自動取引装置を前記利用者との間で取引を実行可能な状態にする第2の制御部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の現金自動取引システム。
【請求項3】
前記現金取扱装置は、前記利用者を検知するための第2のセンサをさらに備え、
前記第1の制御部は、前記第2のセンサが前記利用者を検知した場合にのみ、前記取引を実行可能な状態とし、前記現金取扱装置についての取扱情報に利用者有りである旨を更新し、
前記他の現金取扱装置は、前記第2の通信部が、前記現金取扱装置についての取扱情報に利用者有りである旨が更新された取扱情報を受信した場合に、前記利用者との間で取引を実行可能な状態にする、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の現金自動取引システム。
【請求項4】
前記現金自動取引装置は、前記第1の通信部が前記第1のセンサから前記検知情報を受信しない場合には、前記第1の制御部が、前記第2のセンサが前記利用者を検知したことにより前記取引を実行可能な状態とし、前記現金取扱装置についての取扱情報に利用者有りである旨を更新する、
ことを特徴とする請求項3に記載の現金自動取引システム。
【請求項5】
前記店舗には、前記第1のセンサからの検知情報を受信して前記店舗内の照明を点灯制御および消灯制御する照明機構が備えられ、
前記現金自動取引装置は、前記第1の制御部が、前記省エネモードから前記通常モードに前記他の現金自動取引装置のモードを切り替えることに連動させて前記照明機構を動作させる、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の現金自動取引システム。
【請求項6】
前記第1のセンサは、前記店舗内の温度変化を検知する焦電センサである、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の現金自動取引システム。
【請求項7】
店舗に設置され、利用者との間で所定の取引を行う現金自動取引装置であって、
前記店舗への前記利用者の入出店を検知する検知部と、前記検知部が検知した検知情報を前記現金自動取引装置に送信するセンサ送信部と、を備えた第1のセンサから前記検知情報を受信し、または他の現金自動取引装置に前記現金自動取引装置が取引中か否かを示す取扱情報を送信する第1の通信部と、
前記第1の通信部が前記検知情報を受信した場合に、省エネ運転を示す省エネモードから通常運転を示す通常モードに前記現金自動取引装置のモードを切り替えて、前記取扱情報に含まれる前記現金自動取引装置についての取扱情報を取扱中に更新し、前記現金自動取引装置を前記利用者との間で取引を実行可能な状態にする第1の制御部と、
を備えることを特徴とする現金自動取引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−243084(P2012−243084A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112480(P2011−112480)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】