説明

球体保持具

【課題】 主にビーズ玩具に使用する球体保持具として、球体を1個ずつ取り扱うことを容易に行うことのできる球体保持具を提供する。
【解決手段】 球体保持具1は、本体部10にスライダー部材及びストッパー部材23を有し、本体部10は前端に開口部11を有すると共に開口部11の後方に球体を保持可能な案内路を有し、スライダー部材は本体部10の前方に配置されて、操作手段22を操作するとスライダー部材の先端を案内路に突出可能とされ、ストッパー部材23は本体部10の開口部11の幅を球体の径よりも狭くする凸部33を有し、スライダー部材が前方に移動するとき、凸部33を外方に移動させて開口部11の幅を広げ、開口部11の内側に位置する球体を開口部11から落下可能とすると共にスライダー部材の先端を開口部11の内側に位置していた球体の後方で案内路に突出させて案内路に保持された球体の前方移動を制限するものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球体を1個ずつ取り扱うことを容易に行える球体保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、球体であるビーズを用いて絵模様を作成するビーズ玩具があり、例えば、ビーズを熱融解して互いを融着することにより模様を作るビーズ玩具や、接着面にビーズを接着させて模様を作るビーズ玩具、並べたビーズに液体を塗布して表面を融着させて模様を作るビーズ玩具等がある。ビーズ玩具に用いられるビーズは小径の粒状球体が一般的であり、この球体を手で摘んで作業するには手先の器用さが必要である。また、小児にとって小さな球体は扱いにくいものである。
【0003】
そこで、球体を配置する装着具として、例えば、実用新案登録第2551709号公報(特許文献1)では、複数個の小球体を保持可能である小球体保持用通孔と、この小球体保持用通孔と相互に偏心するように設けられていて前記小球体を1個だけ通過させるような幅を有する小球体排出用通孔と、小球体を1個だけ受容可能な小球体受容孔が形成され、かつ、押圧部を押圧操作することによって動作する小球体取出し部とを備え、前記小球体取出し部は、前記押圧部が押圧されると、前記小球体保持用通孔から前記小球体受容孔を介して前記小球体排出用通孔へ1個ずつ前記小球体の受渡しを行う小球体供給具が提案されている。
【0004】
この考案においては、小球体保持用通孔に複数個保持された小球体が、押圧部を操作することによって小球体取出し部の小球体受容孔を介して小球体排出用通孔へ1個ずつ受渡されるので、1個ずつ連続して小球体を基板に置くことができることから、小球体の取扱いが容易となる。
【0005】
又、実用新案登録第3133040号公報(特許文献2)では、筒状の本体部と、該本体部に内蔵されて本体部の前方に前端が突出する複数の挟持部材と、本体部の後端に湾曲面凹状の凹陥部を有する吸着部材とで構成され、前記挟持部材のうち少なくとも1つは本体部の外方に突出する操作手段に接続され、前記複数の挟持部材の先端を相互に閉じる方向に付勢する弾性体を本体部に内蔵し、球体を前記挟持部材間に圧入することで球体を安定的に挟持可能であり、球体が圧入された状態で前記本体部から突出した操作手段を操作することによって前記挟持部材の先端が開き、球体が解放される考案が提案されている。
【0006】
この考案においては、球体の挟持及び解放を容易に行うことができるため、小児でも簡単に扱える球体挟持具を提供することができる。
【特許文献1】実用新案登録第2551709号公報
【特許文献2】実用新案登録第3133040号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の考案は、押圧部を操作することによって1個ずつ連続して小球体を基板に置くことができるが、球体を保持可能である小球体保持用通孔が本体内部の中央に設けられているために、球体を排出する際、本体内部の前方に設けられた小球体排出用通孔を通ってから本体の外側に排出されることとなる。従って、球体の落下距離が長く、落下した球体が基板に衝突して跳ね返ってしまうことがあるといった問題点があった。
【0008】
更に、小球体受容孔を介して小球体を1個ずつ小球体排出用通孔へ受け渡す際、小球体が小球体受容孔に引っ掛かる虞もあった。
【0009】
又、特許文献2の考案は、球体の挟持空間部をビーズ挟持具の先端に設けているため、球体を所定の位置まで近づけて球体を解放することで、球体の落下距離を短くして球体の跳ね返りを抑制することができるも、この球体挟持具には複数個の球体を保持できる空間を有しておらず、又、挟持空間部へは1個ずつ球体を入れる必要があり、作業時間が長くなってしまうといった問題点がある。
【0010】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、主にビーズ玩具に使用する球体保持具として、球体の落下距離を短くでき、又複数個の球体を容易に充填できると共に充填された複数個の球体を保持しつつ球体を1個ずつ取り扱うことを容易に行える球体保持具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の球体保持具は、本体部にスライダー部材及びストッパー部材を有し、前記本体部は、その前端に開口部を有すると共に該開口部の後方に複数個の球体を保持可能な案内路を有し、前記スライダー部材は、前記本体部の前方に配置されて前後移動可能とされ、前記本体部の外方に一部が突出した操作手段を操作するとスライダー部材の先端を前記案内路に突出可能とされ、前記ストッパー部材は、前記本体部の開口部の幅を球体の直径よりも狭くする凸部を有し、前記スライダー部材が前方に移動するとき、前記ストッパー部材の凸部を外方に移動させて前記開口部の幅を広げ、開口部の内側に位置する球体を開口部から落下可能とすると共に、前記スライダー部材の先端を前記開口部の内側に位置していた球体の後方で前記案内路に突出させて案内路に保持された球体の前方移動を制限することを特徴とするものである。
【0012】
そして、この球体保持具において、前記ストッパー部材は、前方以外の部分で前記本体部に固定された板状の弾性体であって、その先端に前記凸部を有するものである。
【0013】
又、前記案内路は、複数個の球体を1列に保持可能としているものである。
【0014】
そして、前記本体部は、後方に前記案内路よりも幅の広い貯蔵室を前記案内路に連続させて有するものである。
【0015】
又、前記スライダー部材の後端には、前記貯蔵室に突出させた可動板を有するものである。
【0016】
更に、前記本体部は、本体部の後端に球体を出し入れ可能な出入部を有するものである。
【0017】
そして、前記本体部は、前記スライダー部材を後退させる方向に付勢する弾性体を内蔵するものである。
【0018】
又、複数個の球体を保持可能であり、球体の直径と略同じ開口寸法の落下口を有し、操作手段により1個ずつ前記落下口からの落下により球体を解放できる球体保持具であって、前記落下口から一番近い第一の球体と、少なくとも二番目に近い第二の球体の間には通路が形成されてなり、前記落下口には第一のストッパーが、前記落下口から一番近い第一の球体の位置と二番目に近い第二の球体の位置の間には第二のストッパーがそれぞれ配されてなり、前記操作手段が操作されない場合には、前記第一のストッパーは落下口の開口の少なくとも一部を塞ぐように、前記第二のストッパーは前記落下口から一番近い第一の球体の位置と二番目に近い第二の球体の位置の間の球体の移動を妨げないようにそれぞれ構成されていて、前記操作手段が操作された場合には、前記第一のストッパーは、落下口の開口を開けて前記落下口から一番近い第一の球体が落下するように移動すると共に、二個目の球体の落下を防止すべく、前記第二のストッパーが作動し、前記落下口から二番目に近い第二の球体落下を防止し、前記操作手段が操作されない場合に、落下口に球体が押し付けられた場合には、前記第一のストッパーが弾性的に落下口の開口を開けるように移動し、球体を補充できるものである。
【0019】
尚、第一のストッパーは落下口の開口の少なくとも一部を塞ぐ方向に弾性体によって付勢されているものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、操作手段を操作することで、ストッパー部材先端部分の第一のストッパーが球体の落下口の開口を開けるように移動して落下口から一番近い第一の球体を落下させると共に、スライダー部材の先端部分である第二のストッパーが落下口から二番目に近い第二の球体を落下させないようにし、更に落下口をケース等に収納された球体に押し付けると、第一のストッパーがケース等に収納された球体によって弾性的に落下口の開口を開けるように移動し、球体を補充することができる。このため、球体の落下距離を短くでき、又複数個の球体を容易に充填することができると共に充填された複数個の球体を保持しつつ球体を1個ずつ取り扱うことを容易に行うことのできる球体保持具を提供することができるものである。
【0021】
又、落下口の後方に複数個の球体を1列に保持可能な案内路を有することで、落下口へ球体をスムーズに導入することができると共に案内路に保持され1列に並んだ複数個の球体を順番に排出することができ、更に、本体部の後方に案内路より幅広の貯蔵室を具備することで、より多くの球体を貯蔵しておけるため、次々に球体を所定の場所へ装着するために排出できると共に、ケース等に収納された球体を本体部内へ受容することができる。
【0022】
そして、貯蔵室に突出するようにスライダー部材の後端に形成される可動板を、操作手段の操作により前後方向に移動させることによって、貯蔵室に詰まった球体群を攪拌させることで玉詰まりを回復させ、貯蔵室から案内路への球体の導入を容易とするができる。
【0023】
更に、本体部の後端に球体を出し入れ可能な出入部を有することにより、球体の補充、取出し、交換を容易に行うことができる。
【0024】
又、スライダー部材を後退させる方向に付勢する弾性体を本体部に内蔵することにより、操作手段の操作解除の際、スライダー部材を操作前の状態に戻らせようとする力が働き、操作前の状態へスムーズに移行することができる。
【0025】
そして、この球体保持具を構成する主な部品は、本体部、スライダー部材、操作手段及びストッパー部材のみであるため、部品点数の少ないシンプルな構造として形成可能であることから、組立製造が容易であり且つ玉詰まりの少ない球体保持具を提供できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明を実施するための最良の形態の球体保持具1は、複数個の球体2を保持可能であり、球体2の直径と略同じ開口寸法の落下口13を先端に有し、操作手段22を操作することにより落下口13の内側に保持した球体2を1個ずつ落下により解放できるものであって、本体部10にスライダー部材21及びストッパー部材23を備え、本体部10は、前端に開口部11を有すると共に該開口部11の後方に複数個の球体2を1列に保持可能な案内路12と、該案内路12の後方に該案内路12よりも幅広の貯蔵室14を該案内路12に連続させて有し、更に後端に球体2を出し入れ可能な開口である出入部15を有するものであり、該出入部15を塞ぐ蓋16が嵌合固定されているものである。
【0027】
そして、スライダー部材21は、先端に第二ストッパー7を有し、該第二ストッパー7が、本体部10の案内路12において落下口13から一番近い第一球体2aの位置と二番目に近い第二球体2bの位置との間に突出可能とされるように本体部10の前方に配置されるものであり、更に前後移動可能とされるものである。
【0028】
又、ストッパー部材23は、ストッパー部材23の後方部において本体部10に固定された板状の弾性体であって、凸部33を具備する第一ストッパー6を先端に有し、本体部10の開口部11において第一ストッパー6の凸部33と本体部10の先端によって、球体2の直径よりも僅かに小さな開口寸法となるように落下口13を形成するように配置されているものである。
【0029】
そして、このスライダー部材21及びストッパー部材23は、本体部10の上面側外方に一部を突出させた操作手段22が操作されない場合には、第一ストッパー6が落下口13の開口を狭めるように配置され、第一ストッパー6の凸部33と本体部10の先端とによって本体部10から球体2が落下しないように保持し、更に案内路12において第二ストッパー7が第一球体2aの位置と第二球体2bの位置との間に突出しないように配置され、案内路12の球体2の移動を妨げないように構成されるものである。
【0030】
従って、操作手段22が操作されない場合において、落下口13に球体2を押し付けると第一ストッパー6が弾性的に開口部11を開けるように外方へ移動して、球体2を落下口13の内側に押しこむようにして球体2を補充できるものである。
【0031】
又、操作手段22の上端が押圧操作された場合、操作手段22の下端が、スライダー部材21に形成される斜面部を押圧してスライダー部材21を前方へ移動させると同時に、スライダー部材21の前端部である第二ストッパー7が、ストッパー部材23に形成される半円筒形状の接触部32を押圧して第一ストッパー6の凸部33を落下口13の開口を開けるように外方へ移動させ、第一ストッパー6の凸部33と本体部10の前端によって保持していた第一球体2aを落下可能とし、更にこのとき第二ストッパー7が案内路12に突出しているため、第二球体2bが落下口13へ移動することを防止して、案内路12に保持されていた第二球体2bを含む複数個の球体2の前方移動を制限するものである。
【0032】
尚、スライダー部材21の後端には、貯蔵室14に突出させた可動板25を具備しているものである。
【0033】
更に、スライダー部材21を後退させる方向に付勢するコイルばね等の弾性体30を本体部10に内蔵するものである。
【実施例】
【0034】
以下、本発明の実施例を図に基づいて詳説する。図1は、本発明の球体保持具の外観を示す斜視図である。図2は、図1の球体保持具によって球体を所定の場所へ1個ずつ装着するように排出する手順を示す断面図である。図3は、図1の球体保持具によって球体を落下口から本体部に受容する手順を示す断面図である。
【0035】
本発明に係る球体保持具1は、図1乃至図3に示すように、略直方体形状の厚板棒状であって、ペンのように手に持つことのできる大きさに形成されているものである。この球体保持具1は、前端に開口部11を有すると共に該開口部11の後方に複数個の球体2を1列に保持可能な案内路12と、該案内路12の後方に該案内路12よりも幅広の貯蔵室14を有する本体部10に、スライダー部材21とストッパー部材23と操作手段22を内蔵しているものである。
【0036】
そして、この本体部10は、長手方向に沿って幅方向を二分した箱状の第1本体部10aと第2本体部10bとを対向させて形成されるものであり、前端には球体2が本体部10に出入りすることのできる大きさの開口部11が形成され、後端には球体2を出し入れ可能な開口である出入部15を有し、この出入部15を塞ぐための蓋16が、本体部10の後端において嵌合固定されているものである。本実施例においては、本体部10の後端と蓋16を略半円筒形状とし、蓋16が本体部10の後端に嵌合固定されることで略円筒形状を形成する。このとき、本体部10の後端と蓋16との接触面は、球体保持具1の長手方向に対して直交する略円筒形状となる部分の直径に平行な境界面であり、この境界面に開口である出入部15が形成されているものである。尚、この出入部15は後端に形成せずに本体部10の側面である側板5又は上面板3若しくは下面板4に形成して、出入部15の開口を塞ぐ蓋16を嵌合固定させてもよい。
【0037】
そして、本体部10の前端近傍から前端に向かって本体部10の縦幅が小さくなるように上面板3の斜面部19aと下面板4の斜面部19bが形成されている。ここで、上面板3の斜面部19aの長さは下面板4の斜面部19bの長さよりも短く形成されている。又、本体部10の前面から上面の斜面部19aにかけて開口部11を形成することで、開口部11に配置されるストッパー部材23の前端である第一ストッパー6が上面側外方へ移動することができる。
【0038】
又、操作手段22が本体部10の外方へ突出することのできるように上面板3に操作手段22の貫装部分における外形寸法よりも僅かに大きい開口を設けている。
【0039】
そして、この球体保持具1の内部構造は、図2及び図3に示したように、貯蔵室14から案内路12に球体2を導く第一案内板17及び本体部10の下面板4とで複数個の球体2を1列に保持可能な案内路12を形成する第二案内板18が側板5に固定されているものである。又、この案内路12の縦及び横の幅は、それぞれ球体2の径よりも僅かに大きくなるように形成されており、第二案内板18は本体部10の下面板4との距離を略一定に保つように配置されるものである。
【0040】
そして、案内路12の後方には貯蔵室14が案内路12に連続して設けられており、この貯蔵室14は案内路12よりも縦幅が大きくなるように形成されているものであり、第一案内板17は幅広の貯蔵室14から幅狭の案内路12に向かって徐々に球体2の貯蔵空間を小さくするように配置されているものである。
【0041】
そして、スライダー部材21は、板状で前端の上面側に前端に向かって板厚が薄くなるような斜面部を有して球体保持具1の長手方向と平行となるように配置される第二ストッパー7と、第二ストッパー7の後端に連続して操作手段22と接触する斜面部を有する接触部28と、接触部28の斜面部端部から連続一体となって球体保持具1の長手方向と平行となるように接続部28から後方に延設される平板部と、第一案内板17の形状に合わせて形成され第一案内板17と平行となるように貯蔵室14内に配置される平板である可動板25とで構成されるものである。
【0042】
そして、第一案内板17と第二案内板18との間隙に、球体保持具1の長手方向と平行となるように配置される可動板25の平板部が挟み込まれ、又、第二ストッパー7が板状のストッパー部材23における後述の固定部26と後述の弾性支持板31との間に挟み込まれるように配置され、更に、スライダー部材21の接触部28が操作手段22と第二案内板18との間に配置されている。これにより、スライダー部材21は前後方向にのみ移動可能となっているものである。
【0043】
そして、第二ストッパー7は、図2(a)に示すように複数個の球体2が本体部10に保持され、且つ操作手段22が操作されていない場合、後述の球体保持具1の前端である落下口13から一番近い第一球体2aの位置と二番目に近い第二球体2bの位置の間の近傍において案内路12へ突出しない位置に配置され、操作手段22が操作されたときにのみ、図2(b)に示すように第一球体2aの位置と第二球体2bの位置の間において、案内路12に突出するように配置されているものである。
【0044】
そして、操作手段22は、略直方体形状であり、上端を本体部10の上面側外方に突出させ、下端にスライダー部材21を押圧する半円筒部を形成し、前後の側面に操作手段22が本体部10から外方に抜けないように突起部29を有しているものである。
【0045】
又、本体部10の上面板3に形成される操作手段22を突出するための開口は、操作手段22の外形寸法よりも僅かに大きく形成しているため、この操作手段22は球体保持具1における上下方向にのみ移動可能となっているものである。そして、操作手段22の上端を外方から手指等によって押圧操作することにより、操作手段22は、図2(a)に示したように操作手段22の下端の半円筒部が前述のスライダー部材21の接触部28の斜面部に接した状態から、斜面部に線接触した状態で斜面部を押圧しながら下方に移動するため、図2(b)に示すように操作手段22の移動と連動してスライダー部材21を前方に移動させることとなる。
【0046】
尚、操作手段22の下端に形成する半円筒部の代わりに、円錐形状やスライダー部材21の接触部28の斜面部に対応させた斜面を有する三角柱形状としてもよい。もっとも、円錐形状であれば、当該接触部28に点接触し、三角柱形状であれば当該接触部28に面接触することとなる。これに対し、操作手段22の下端を半円筒状に形成すれば、半円筒部が当該接触部28の1点に集中して力を加えることもなければ、大きな摩擦力を受けることもない。これにより、操作手段22によってスムーズにスライダー部材21に力を加え、移動させることができるため、好適である。
【0047】
そして、手指等を操作手段22から離し、押圧操作を解除すると、下方へ移動していた操作手段22は、ストッパー部材23及び後述の弾性体30の弾性力を起因として上方へ移動し、図2(c)に示す状態となる。
【0048】
そして、ストッパー部材23は、略同じ厚みの板状弾性体であり、前端に略半円筒状の凸部33と、該凸部33の後方に略半円筒状の接触部32をストッパー部材23の下面側に設けており、球体保持具1の長手方向と平行となるように配置されるものである。又、このストッパー部材23は、後端を固定部26として本体部10の側板5に嵌合固定されるものであり、本実施例においてはこの固定部26をストッパー部材23の後方における側方に2カ所設け図1に示したように側板5に固定部26を嵌合させて固定を確実なものとし、前側の固定部26を固定点として、ストッパー部材23の前端において球体保持具1における上方に力が加わった際、前端を上面側外方へ弾性変形可能とされているものである。更に、ストッパー部材23の前端から接触部32の手前までの、凸部33を含む断面略L字状の前端部分を第一ストッパー6として、固定部26及び接触部32などを一体としたストッパー部材23を形成しているものである。
【0049】
そして、このストッパー部材23は、操作手段22が操作されていない状態にあるときに、第一ストッパー6が開口部11において凸部33と本体部10の斜面部19bの前端との距離が球体2の径よりも僅かに小さくなるように配置され、案内路12によって導かれる球体2を凸部33と本体部10の斜面部19bとで1個のみ保持することのできる開口である落下口13を形成するものである。尚、この落下口13は、第一ストッパー6の凸部33と本体部10の斜面部19bの前端とによって形成されるものであるから、球体保持具1の最前端に位置している。
【0050】
又、ストッパー部材23の接触部32は前述のスライダー部材21が前方に移動する際、スライダー部材21の第二ストッパー7の前端斜面部により押圧される部位であり、逆に押圧操作が解除されれば、第二ストッパー7の前端斜面部を押圧する部位である。従って、操作手段22が押圧操作されると、ストッパー部材23の接触部32が第二ストッパー7の前端斜面部によって押圧され、ストッパー部材23が固定部26を固定点として弾性変形するため、第一ストッパー6が落下口13を開くように上面側外方へ移動する。これにより、操作手段22の押圧操作が解除されると、ストッパー部材23が操作前の状態に戻ろうとするため、ストッパー部材23の接触部32が第二ストッパー7を押圧して、スライダー部材21を後退させる。
【0051】
又、この球体保持具1には、コイルばね等の弾性体30を具備しており、この弾性体30は、球体保持具1の長手方向と直交となる平面に形成したスライダー部材21の接触部28の前端平面部と、この平面と平行になるように本体部10の側板5に固定される平板である弾性体支持板31との間に配置されるものである。
【0052】
この弾性体30は、操作手段22が押圧操作されることによって、スライダー部材21が前方へ移動すると、スライダー部材21の接触部28の前端平面部が弾性体30の後端を押圧するため、弾性体30を縮める方向に弾性変形するものであり、又、操作手段22の押圧操作が解除されると、弾性体30の弾性力によってスライダー部材21の接触部28を押圧し、スライダー部材21を後退させるものである。
【0053】
従って、この弾性体30は、押圧操作解除の際、ストッパー部材23の機能と同様の効果を奏するものであるため、必ずしも本体部10に内蔵する必要はないが、この弾性体30を本体部10に内蔵することにより、操作手段22の押圧操作解除の際、ストッパー部材23の弾性力と共にスライダー部材21を操作前の状態に戻す方向に力が働きスライダー部材21を後退させることができるため、操作前の状態へスムーズに移行することができるものである。尚、弾性体30は弾性力を有するものであればコイルばねに限るものでなくゴム塊など、適宜のものを使用することもできる。
【0054】
以下、この球体保持具1を用いて、球体2を所定の場所へ1個ずつ装着するために排出するときの手順を説明する。
先ず、本体部10の前端を下方に向けて持ち、後端に着脱自在とされた蓋16を取り外し、出入部15から複数個の球体2を充填しておく。あるいは、落下口13から本体部10に球体2を次々に受容する後述の手順によって複数個の球体2を充填しておく。これにより、球体保持具1には、図2(a)に示したように、貯蔵室14に複数個の球体2が貯蔵され、落下口13から一番近い第一球体2aが第一ストッパー6の凸部33と本体部10の斜面部19bの前端により保持されているため、この第一球体2aによって堰き止められた落下口13から二番目に近い第二球体2bを含むいくつかの球体2が案内路12に1列となって保持されることとなる。
【0055】
次に、球体保持具1の最前端に位置する落下口13を所定の場所の上方へ配置させる。そして、操作手段22を外方から押圧操作すると、操作手段22の下端である半円筒部がスライダー部材21の接触部28の斜面部と線接触して押圧するため、図2(b)に示すように操作手段22が球体保持具1の下方へ移動すると共にスライダー部材21が前方へ移動する。更に、スライダー部材21の第二ストッパー7の前端が、ストッパー部材23の接触部32を押圧するため、板状のストッパー部材23が前側の固定部26を固定点として弾性変形し、ストッパー部材23の前端部分である第一ストッパー6が落下口13の開口を開くように上面側外方へ移動し、第一ストッパー6の凸部33と本体部10の斜面部19bの前端との間隔が、球体2の直径よりも大きくなり、保持されていた第一球体2aは球体保持具1における前方へ排出され、基板の窪み等の所定の場所へ装着される。
【0056】
このとき、スライダー部材21の第二ストッパー7は、第一球体2aの保持されていた位置と第二球体2bの保持されていた位置の間において、案内路12を狭めるよう突出し、この突出した第二ストッパー7と本体部10の斜面部19bとで第二球体2bを保持しているため、第二球体2bを含む第一球体2a以外の球体2が連続して排出されるようなことはない。更に、スライダー部材21の後端に設けられた可動板25が球体保持具1における前方へ移動する際、図2(a)に示すように可動板25と本体部10の下面板4との間で詰まった状態にある球体群が攪拌され、図2(b)に示すように貯蔵室14から案内路12へ球体2を補充することができる。
【0057】
そして、操作手段22の押圧操作を解除すると、ストッパー部材23の弾性力により、ストッパー部材23の前端部分である第一ストッパー6は落下口13を塞ぐように球体保持具1における下方へ移動し、ストッパー部材23の接触部32がスライダー部材21の第二ストッパー7を押圧すると共に、弾性体30により、ストッパー部材23の接触部28の前端平面部を押圧することで、スライダー部材21を後退させ、スライダー部材21の接触部28の斜面部が操作手段22の下端半円筒部を押圧し、操作手段22を球体保持具1における上方へ移動させることで、この球体保持具1は図2(c)に示す状態となる。このとき、案内路12を狭めていたスライダー部材21の前端部分である第二ストッパー7も後退し、案内路12の開口幅も球体2の径よりも大きくなるため、球体2が案内路12から落下口13の近傍に移動し、移動した球体2は第一ストッパー6の凸部33と本体部10の斜面部19bの前端によって保持され、保持された球体2が案内路12の球体2を支えて保持している。
【0058】
尚、押圧操作を解除する際に、可動板25も後退するため、可動板25と本体部10の下面板4との間で詰まった状態にある球体群を再度攪拌させることができる。
【0059】
そして、押圧操作と操作の解除を繰り返すと、案内路12に保持され1列に並んだ複数個の球体2は、前方の球体2から順番に排出されることとなる。
【0060】
以上が球体2を1個ずつ所定の場所へ装着するために排出するときの手順である。次いで、以下にこの球体保持具1を用いて、ケース等に収納された球体2を落下口13から本体部10へ受容するときの手順を説明する。尚、球体保持具1には球体2が1個も入っていなくてもよく、図3(a)に示すように、複数個の球体2が既に入っていてもよい。そして、このとき操作手段22は、押圧操作されていない状態にある。
【0061】
先ず、本体部10の前端を下方に向けて持ち、球体保持具1の前端である落下口13を、ケース等に収納された球体群の上方に配置させる。次に、球体保持具1をその球体群の上方より押し付ける。球体群のうち球体保持具1の落下口13に接する球体2がストッパー部材23の前端部分である第一ストッパー6と本体部10の斜面部19bの前端に押し付けられると、図3(b)に示すように板状弾性体であるストッパー部材23は、前側の固定部26を固定点として弾性変形し、ストッパー部材23の前端部分である第一ストッパー6が、落下口13の開口が開くように上面側外方へ移動する。これにより、第一ストッパー6の凸部33と斜面部19bの前端との間隔が拡がり、球体2が通過できるものとなる。
【0062】
そして、球体保持具1を更にケース等に収納された球体群の中へ押しこむことにより、1個の球体2が落下口13の内側に受容されると、図3(c)に示すように弾性変形していたストッパー部材23は元の位置に戻り、受容された球体2は第一ストッパー6の凸部33と本体部10の斜面部19bの前端によって保持される。ここで、複数個の球体2が既に案内路12や落下口13に保持されていた場合、それらの球体2は、受容した球体2によって落下口13から一番近い位置で保持されていた第一球体2aが押圧されることで後退することとなる。尚、操作手段22を押圧操作しないため、スライダー部材21の第二ストッパー7は案内路12を狭めるように突出することはない。これにより、スライダー部材21が、第一球体2aを案内路12へ移動することを妨げることはない。
【0063】
そして、球体保持具1をケース等に収納された球体群に対して繰り返し上下移動させれば、球体2が落下口13から本体部10に次々に受容されることとなり、出入部15の蓋16を外して球体2を入れる場合は出入部15から球体2が外部に落下しないように注意しなければならないことに対して極めて容易に本体部10に球体2を入れることができる。尤も、出入部15から球体2を入れる場合は案内路12や貯蔵室14に多くの球体2を短時間で補充充填することができる。
【0064】
以上が、ケース等に収納された球体2を落下口13から本体部10へ受容するときの手順である。このように、操作手段22を操作することで、ストッパー部材23の第一ストッパー6が落下口13の開口を開けるように移動して落下口13から一番近い位置に保持されていた第一球体2aを落下させると共に、スライダー部材21の第二ストッパー7が落下口13から二番目に近い位置に保持されていた第二球体2bを落下させないようにし、更に落下口13をケース等に収納された球体群に押し付けることで、第一ストッパー6が球体群のうち球体保持具1の落下口13に接する球体2によって弾性的に落下口13の開口を開けるように移動し、その球体2を受容することができる。このため、球体2を1個ずつ取り扱うことを容易に行うことのできる球体保持具1を提供することができるものである。
【0065】
又、所定の場所へ装着される球体2は、球体保持具1の最前端である落下口13に位置させた第一ストッパー6の凸部33と本体部10の斜面部19bの前端によって保持されているものが、操作手段22の操作毎に1個ずつ排出されるため、装着しようとする所定の場所との落下距離を短くすることができ、跳ね返りを抑制することを可能としている。
【0066】
そして、落下口13の後方に複数個の球体2を1列に保持可能な案内路12を有することで、落下口13へ球体2をスムーズに導入することができると共に案内路12に保持され1列に並んだ複数個の球体2を順番に排出することができる。従って、底の浅いケース等に載置された色の異なる複数個の球体2を落下口13から任意の順番で受容すれば、受容した順番の通りに案内路12に1列に並んで複数個の球体2が保持されることになるため、色違いの球体2を落下口13から受容した順番とは逆の順番に排出することができる。更に、球体挟持具1の側板5を透明なものとしておけば、案内路12において1列に並んだ色違いの球体2を視認できるため、色違いの球体2の取り扱いをより容易に行うこともできる。
【0067】
更に、本体部10の後方に案内路12より幅広の貯蔵室14を具備することで、より多くの球体2を貯蔵しておけるため、次々に球体2を所定の場所へ装着するために排出し、ケース等に収納された球体2を本体部10へ受容することができる。
【0068】
又、貯蔵室14に突出するようにスライダー部材21の後端に形成される可動板25を、操作手段22の操作により球体保持具1における前後方向に移動させることによって、貯蔵室14に詰まった球体群を攪拌させることで玉詰まりを回復させ、貯蔵室14から案内路12への球体2の導入を容易とするができる。
【0069】
更に、本体部10の後端に球体2を出し入れ可能な出入部15を有することにより、球体2の補充、取出し、交換を容易に行うことができる。特に、蓋16を取り外して出入部15を下方に向けるだけで球体保持具1の中の全ての球体2を瞬時に取り除くことができるため、取出しに好適である。
【0070】
又、スライダー部材21を後退させる方向に付勢する弾性体30を本体部10に内蔵することにより、操作手段22の操作解除の際、ストッパー部材23の弾性力と同様にスライダー部材21を操作前の状態に戻らせようとする力が働き、操作前の状態へスムーズに移行することができる。
【0071】
そして、この球体保持具1を構成する主な部品は、本体部10、スライダー部材21、操作手段22及びストッパー部材23のみであるため、部品点数の少ないシンプルな構造として形成可能であることから、組立製造が容易であり且つ玉詰まりの少ない球体保持具1を提供できるものである。
【0072】
そして、ストッパー部材23の弾性変形により第一ストッパー6を移動させずに、別の弾性体を用いて第一ストッパー6を移動させてもよく、又、ストッパー部材23の接触部32は前方において半円筒状として設けずに、後端に斜面を形成する接触部32としてもよい。
【0073】
図4はスライド機構のストッパー部材23を具備した球体保持具1を示す図であり、この図に示すように、ストッパー部材23は、前端部には前述と同様断面略L字状の第一ストッパー6を有するも、第一ストッパー6の後方において、ストッパー部材23の上面側に凹部を設け、更に後方には凸部である嵌挿部35を設けているものである。そして、後端にはスライダー部材21の第二ストッパー7と接触する接触部32を斜面として形成するものである。
【0074】
そして、スライダー部材21の第二ストッパー7は、ストッパー部材23の後端斜面部である接触部32に対応した斜面部を形成するように後方を上面側外方に張り出させている。又、本体部10の上面板3の内側には、ストッパー部材23の嵌挿部35の凸部に対応した凹部を形成すると共に、ストッパー部材23の凹部の対面位置に同形状の凹部を形成させているものである。
【0075】
そして、このストッパー部材23の凹部と本体部10の凹部との間にコイルばね等の弾性体34を嵌装し、この弾性体34によってストッパー部材23を球体保持具1における下方へ付勢しているものである。
【0076】
又、図4(a)に示すように、操作手段22が操作されてない状態において、ストッパー部材23の下面と第二ストッパー7の上面が接するように配置すると共に、本体部10の上面板3の凹部にストッパー部材23の嵌挿部35の一部が嵌挿されるように配置する。ここで本体部10の上面板3の凹部の底と嵌挿部35の上面との距離は、操作手段22を操作した際にストッパー部材23が上面側に移動する距離よりも長く形成しているものである。
【0077】
従って、操作手段22を操作するとスライダー部材21が前方へ移動して、第二ストッパー7の斜面部がストッパー部材23の後端斜面部である接触部32を押圧するため、図4(b)に示すようにストッパー部材23が上面側へスライド移動する。これにより、前述と同様、落下口13の開口寸法が球体の直径よりも大きくなり、球体を排出可能とするものである。そして、操作手段22の操作が解除されると、弾性体30の弾性力によりスライダー部材21を後退させるため、ストッパー部材23も弾性体34により下方へ移動して、図4(a)に示す状態に戻る。
【0078】
更に、図示しないが、落下口13を球体に押し付けることで、ストッパー部材23が上面側外方へスライド移動するため、落下口13から球体を本体部へ保持可能とするものである。このとき、操作手段22は操作されていないため、第二ストッパー7は案内路12へ突出されておらず、既に落下口13において保持されていた球体が案内路12へ移動することを妨げることはない。
【0079】
そして、ストッパー部材23の弾性変形やスライド移動により第一ストッパー6を移動させずに、ストッパー部材23の回転移動により第一ストッパー6を移動させてもよく、又、操作手段22はスライダー部材21と一体として形成してもよい。更に、スライダー部材21の後端の可動板25を球体保持具1の長手方向と平行に配置される平板部のみとしてもよい。
【0080】
図5は回転機構のストッパー部材23を具備した球体保持具1を示す図であり、この図に示すように、操作手段22が貫装される本体部10の開口を、操作手段22の長手方向の長さにスライダー部材21の移動距離だけ余分な長さを加えた長さとなるように形成し、操作手段22を外方から前方向にスライド操作させることにより、操作手段22と一体として形成されたスライダー部材21を前方へ移動させることができるため、前述と同様の効果を奏する。
【0081】
又、図5に示すようにスライダー部材21の後端の可動板25を球体保持具1の長手方向と平行に配置される平板部のみとした場合、この可動板25は、図5(b)に示した操作手段22が操作されている状態においては、その可動板25の後端が第一案内板17よりも貯蔵室14側に突出しないものとし、図5(a)に示した操作がされてない状態においてのみ、可動板25が貯蔵室14に突出されるように形成されることが好ましい。これにより、操作時においては、可動板25が貯蔵室14へ突出していないため、球体2は可動板25に引っ掛かることなく案内路12へ入ることができる。そして、操作及び操作解除によるスライダー部材21の移動によって、可動板25の後端が貯蔵室14に詰まっている球体群を攪拌して、玉詰まりを回復させ、貯蔵室14から案内路12への球体2の導入を容易とすることができる。
【0082】
そして、図5(a)に示すように、ストッパー部材23の後端に回転軸36を設けて、該回転軸36を本体部10に貫装させ、更に前述と同様の弾性体34をストッパー部材23の凹部と本体部10の上面板3の凹部の間に嵌装させ、この弾性体34によりストッパー部材23を球体保持具1の下方へ付勢させて構成することにより、図5(b)に示すように、操作手段22を操作した場合、スライダー部材21が前方へ移動すると共に、第二ストッパー7がストッパー部材23の接触部32を押圧するため、第一ストッパー6は回転軸36を回転中心として上面側外方へ移動可能となるため、前述と同様に球体を1個ずつ排出可能であり、更に球体に落下口13を押し付けることにより、球体を本体部10に受容可能となる。
【0083】
尚、スライダー部材21の前後方向の移動距離については、様々な制御方法を採用することができるが、例えば、スライダー部材21が前方へ移動する際は、図2(b)に示すように、第一案内板17に可動板25を係止させ、スライダー部材21が後方へ移動する際は、図2(c)に示すように、第一案内板17にスライダー部材21の接触部28の斜面部を係止させることで、スライダー部材21の移動距離を制御することができるものである。
【0084】
更に、操作手段22が下方へ移動する際は、図2(b)に示すように、本体部10の第一案内板17に設けられた突起に操作手段22の突起部29を係止させ、操作手段22が上方へ移動する際は、図2(c)に示すように、操作手段22の突起部29を本体部10の上面板3の内側に係止させることで、操作手段22の移動距離を制御している。
【0085】
ここで、スライダー部材21と操作手段22とストッパー部材23は、それぞれが連動するものであるため、移動距離の制御はいずれかの部材で実施すれば足りるものであるが、本実施例のように複数部位を係止させ、移動距離を制御することにより、一カ所に力が加わることを防止できるものである。尚、弾性体30とスライダー部材21、第二ストッパー7とストッパー部材23の接触部32、操作手段22とスライダー部材21を利用して移動距離を制御してもよい。
【0086】
そして、本発明は、以上の実施例に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。又、本発明をビーズ玩具として用いるだけでなく、粒状の物を着脱する様々な分野において利用することができる。例えば、爪に装飾を施す、所謂ネイルアートに利用可能である。このネイルアートでは、爪の上に塗料を塗り、その上にビーズなどを爪の表面に貼り付けて飾る場合がある。その際、一般的にはビーズをピンセットで摘まんで爪上まで運び、爪に貼り付けているが、本発明により、爪上へビーズを容易に装着することができる。又、粒状のガムボール、飴玉等の食品や粒状のペット用の餌の容器として用いたり植物の種蒔きとして利用したりしてもよく、又、ベアリングボールの着脱やビーズ装飾の際に使用するように種々の球体を収納保持することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施例に係る球体保持具の外観を示す斜視図。
【図2】本発明の実施例に係る球体保持具によって球体を所定の場所へ1個ずつ装着するように排出する手順を示す断面図。
【図3】本発明の実施例に係る球体保持具によって球体を落下口から本体部に受容する手順を示す断面図。
【図4】本発明の実施例に係るスライド機構のストッパー部材を具備した球体保持具を示す図。
【図5】本発明の実施例に係る回転機構のストッパー部材を具備した球体保持具を示す図。
【符号の説明】
【0088】
1 球体保持具 2 球体
2a 第一球体 2b 第二球体
3 上面板 4 下面板
5 側板 6 第一ストッパー
7 第二ストッパー
10 本体部 10a 第1本体部
10b 第2本体部 11 開口部
12 案内路 13 落下口
14 貯蔵室 15 出入部
16 蓋 17 第一案内板
18 第二案内板 19a 斜面部
19b 斜面部 21 スライダー部材
22 操作手段 23 ストッパー部材
25 可動板 26 固定部
28 接触部 29 突起部
30 弾性体 31 弾性体支持板
32 接触部 33 凸部
34 弾性体 35 嵌挿部
36 回転軸


【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部にスライダー部材及びストッパー部材を有し、
前記本体部は、その前端に開口部を有すると共に該開口部の後方に複数個の球体を保持可能な案内路を有し、前記スライダー部材は、前記本体部の前方に配置されて前後移動可能とされ、前記本体部の外方に一部が突出した操作手段を操作するとスライダー部材の先端を前記案内路に突出可能とされ、前記ストッパー部材は、前記本体部の開口部の幅を球体の直径よりも狭くする凸部を有し、
前記スライダー部材が前方に移動するとき、前記ストッパー部材の凸部を外方に移動させて前記開口部の幅を広げ、開口部の内側に位置する球体を開口部から落下可能とすると共に、前記スライダー部材の先端を前記開口部の内側に位置していた球体の後方で前記案内路に突出させて案内路に保持された球体の前方移動を制限することを特徴とする球体保持具。
【請求項2】
前記ストッパー部材は、前方以外の部分で前記本体部に固定された板状の弾性体であって、その先端に前記凸部を有することを特徴とする請求項1に記載の球体保持具。
【請求項3】
前記案内路は、複数個の球体を1列に保持可能としていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の球体保持具。
【請求項4】
前記本体部は、後方に前記案内路よりも幅の広い貯蔵室を前記案内路に連続させて有することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の球体保持具。
【請求項5】
前記スライダー部材の後端には、前記貯蔵室に突出させた可動板を有することを特徴とする請求項4に記載の球体保持具。
【請求項6】
前記本体部は、本体部の後端に球体を出し入れ可能な出入部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の球体保持具。
【請求項7】
前記本体部は、前記スライダー部材を後退させる方向に付勢する弾性体を内蔵することを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の球体保持具。
【請求項8】
複数個の球体を保持可能であり、球体の直径と略同じ開口寸法の落下口を有し、操作手段により1個ずつ前記落下口からの落下により球体を解放できる球体保持具であって、
前記落下口から一番近い第一の球体と、少なくとも二番目に近い第二の球体の間には通路が形成されてなり、前記落下口には第一のストッパーが、前記落下口から一番近い第一の球体の位置と二番目に近い第二の球体の位置の間には第二のストッパーがそれぞれ配されてなり、
前記操作手段が操作されない場合には、前記第一のストッパーは落下口の開口の少なくとも一部を塞ぐように、前記第二のストッパーは前記落下口から一番近い第一の球体の位置と二番目に近い第二の球体の位置の間の球体の移動を妨げないようにそれぞれ構成されていて、
前記操作手段が操作された場合には、前記第一のストッパーは、落下口の開口を開けて前記落下口から一番近い第一の球体が落下するように移動すると共に、二個目の球体の落下を防止すべく、前記第二のストッパーが作動し、前記落下口から二番目に近い第二の球体落下を防止し、
前記操作手段が操作されない場合に、落下口に球体が押し付けられた場合には、前記第一のストッパーが弾性的に落下口の開口を開けるように移動し、球体を補充できることを特徴とする球体保持具。
【請求項9】
前記第一のストッパーは落下口の開口の少なくとも一部を塞ぐ方向に弾性体によって付勢されていることを特徴とする請求項8に記載の球体保持具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−106669(P2009−106669A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−284304(P2007−284304)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000128234)株式会社エポック社 (21)
【Fターム(参考)】