説明

球状カーボンナノチューブの製造方法

【課題】製造工程における球状カーボンナノチューブの酸化量を、球状カーボンナノチューブの水や親水性溶媒への分散性を確保できるとともに、電気抵抗値の上昇を抑制できる量とすることができる球状カーボンナノチューブの製造方法を提供する。
【解決手段】高速気流中衝撃法を用いてカーボンナノチューブを解砕処理する解砕処理工程と、該解砕処理工程の後に前記カーボンナノチューブを再凝集させる再凝集工程と、を備える球状カーボンナノチューブの製造方法において、前記解砕処理工程および前記再凝集工程を不活性ガスと大気とを混合したガスG1内で行い、ガスG1の酸素濃度は0.1%以上20%以下とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球状カーボンナノチューブの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブは、直径が数nm〜十数nm、長さが数十nm〜数十μmのチューブ状の素材であり、ナノテクノロジーのキーマテリアルとして導電性樹脂材料への利用をはじめとし、燃料電池用電極など多くの用途が期待されている。通常、このカーボンナノチューブは、その繊維状形態や表面の疎水的性質によって強く凝集した不定形の形状で存在している。したがって、実用・製品化の際に、溶液や複合材料中におけるカーボンナノチューブの分散の制御が重要であり、カーボンナノチューブと各種溶媒や樹脂成分との親和性の向上が不可欠となっている。
【0003】
そこで、特許文献1および2には、水や親水性物質との親和性向上を目的とし、特殊な造粒処理方法(高速気流中衝撃法)で製造された球状カーボンナノチューブが開示されている。この球状カーボンナノチューブには、例えば、以下のような特徴がある。
【0004】
(1) 図6(a)に示すように、繊維が毛糸球状に寄り集まり、球状体を形成している。球状体の平均粒子径は約3μmである。球状カーボンナノチューブは、粒度分布の幅が狭く、粒子の大きさが揃った粒子集合体である。なお、図6(b)が通常のカーボンナノチューブである。
(2) 水や親水性溶媒に分散しやすく、一週間以上良好な均一分散状態を維持することが可能である。
(3) エポキシ樹脂やポリフッ化ビニリデン樹脂との親和性も良く、樹脂の硬化過程に悪影響を与えることがない。
(4) 図6(b)に示すような従来のカーボンナノチューブと比べてかさ高さが減るため、充填性が向上する。
(5) 飛散しにくいため、使用者が鼻や口から体内に吸い込むことが少ない。したがって、球状カーボンナノチューブは、人体に影響を及ぼしにくい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−239531号公報
【特許文献2】特開2006−143532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、通常、球状カーボンナノチューブは大気中で製造されるため、気中の酸素や水分との反応により表面が微量に酸化している。このように、球状カーボンナノチューブの表面が微量に酸化することは、カーボンナノチューブの水や親水性溶媒への分散性向上に寄与している。
しかし、球状カーボンナノチューブの表面が微量に酸化することによって、カーボンナノチューブの電気抵抗値が若干であるが上昇している。そして、カーボンナノチューブを、例えば、エレクトロニクス、電池、導電性複合材料などに使用する場合は、その導電性が重視されるため、球状カーボンナノチューブを用いるためには電気抵抗値の上昇を抑制する必要がある。
【0007】
本発明は、上述する事情に鑑みてなされたもので、水や親水性溶媒への分散性を確保しつつ、電気抵抗値の上昇を抑制することができる球状カーボンナノチューブの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る球状カーボンナノチューブの製造方法は、高速気流中衝撃法を用いてカーボンナノチューブを解砕処理する解砕処理工程と、該解砕処理工程の後に前記カーボンナノチューブを再凝集させる再凝集工程と、を備える球状カーボンナノチューブの製造方法において、前記解砕処理工程および前記再凝集工程を不活性ガスと大気とを混合したガス内で行うことを特徴とする
【0009】
ここで、解砕処理工程における高速気流中衝撃法とは、高速気流中衝撃装置(特許文献1,2で既に開示されている。下記実施形態でも使用。)を使用して、高速気流中における粒子同士の衝突や装置内壁への衝突を誘発することにより、粒子表面に強い機械的エネルギーを付与し、粒子を解砕する処理方法のことである。また、解砕とは、凝集した粒子を解きほぐすことである。そして、解砕処理工程の後にカーボンナノチューブを再凝集させることにより、カーボンナノチューブが転動造粒し、カーボンナノチューブの集合体が球状に形成される。
【0010】
本発明では、不活性ガスと大気とを混合したガス内において解砕処理工程および再凝集工程を行うことにより、製造工程における球状カーボンナノチューブの酸化量を、球状カーボンナノチューブの水や親水性溶媒への分散性を確保できるとともに、電気抵抗値の上昇を抑制できる量とすることができる。
【0011】
また、本発明に係る球状カーボンナノチューブの製造方法では、前記不活性ガスと大気とを混合したガスの酸素濃度は、0.1%以上20%以下とすることが好ましい。
このように構成されることにより、製造工程における球状カーボンナノチューブの酸化量を、球状カーボンナノチューブの水や親水性溶媒への分散性を確実に確保できるとともに、電気抵抗値の上昇を確実に抑制できる量とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、球状カーボンナノチューブの水や親水性溶媒への分散性を確保できるとともに、電気抵抗値の上昇を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態による高速気流中衝撃装置の一例を示す図である。
【図2】高速気流中衝撃装置の縦断面図である。
【図3】高速気流中衝撃装置の側断面図である。
【図4】高速気流中衝撃装置内の酸素濃度と球状カーボンナノチューブの電気抵抗値増加率との関係を示す図である。
【図5】高速気流中衝撃装置内を窒素雰囲気として形成された球状カーボンナノチューブと大気雰囲気として形成された球状カーボンナノチューブの水への分散性を説明する図である。
【図6】(a)は球状カーボンナノチューブを示す図、(b)は従来のカーボンナノチューブを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態による球状カーボンナノチューブの製造方法について、図1乃至図5に基づいて説明する。
本実施形態では、図1に示す高速気流中衝撃装置1を使用した高速気流中衝撃法を用いて球状カーボンナノチューブを製造している。そして、球状カーボンナノチューブの製造時には、高速気流中衝撃装置1内の雰囲気は、大気と不活性ガスとを混合し、酸素濃度が大気環境濃度以下、例えば、酸素濃度が0.1〜20%に調整されたガスとしている。大気と不活性ガスとを混合し酸素濃度が0.1〜20%に調整されたガスをガスG1として以下説明する。
【0015】
(高速気流中衝撃装置)
まず、高速気流中衝撃装置1について説明する。
図1に示すように、高速気流中衝撃装置1は、カーボンナノチューブが供給されて、高速気流中衝撃法が行われる高速気流中衝撃部1aと、高速気流中衝撃法によりカーボンナノチューブの集合体が球状化した球状カーボンナノチューブが収容される収容部1bと、高速気流中衝撃部1a内の雰囲気をガスG1に置換するガス置換部1cとを備えている。
【0016】
図2および図3に示すように、高速気流中衝撃部1aには、円筒状の衝突リング7と、円筒状の衝突リング7の両端面を塞ぐ後カバー2および前カバー3と、に囲まれた衝撃室13が形成され、この衝撃室13内に、円筒状の衝突リング7の中心軸上に回転軸6を有する円盤状の回転盤4が配設されている。
【0017】
回転盤4上には、衝撃羽根5と呼ばれる板状の突起物が、回転軸6を中心とする放射状に配設されている。本実施形態では、衝撃羽根5が描く最外周軌道面と衝突リング7の内周面とのギャップは、0.5〜20mm程度に設定されている。なお、このギャップは任意の数値に設定されてよい。
衝突リング7内部には、ジャケット20が設けられており、ジャケット20内に冷却水を通水できるようになっている。
【0018】
また、高速気流中衝撃部1aは、一端9aが衝突リング7の一部を貫通して衝撃室13内を臨むように開口するとともに、他端9bが前カバー3の中心部から衝撃室13内を臨むように開口する循環回路管9と、衝突リング7の一部に設けられた排出弁8によって開閉される排出管14とを備えている。
【0019】
循環回路管9が設けられていることにより、衝撃室13から衝突リング7上の開口13a、循環回路管9、前カバー3の中心部の開口13bを経て衝撃室13へ戻る循環気流が形成される。
そして、循環回路管9には、原料(カーボンナノチューブ)を投入するための原料ホッパー10が、原料供給弁12と原料供給シュート11を介して連結されている。原料供給シュート11から循環回路管9に供給されたカーボンナノチューブは、衝撃室13へ投入されるように構成されている。
また、循環回路管9には、循環回路管9内部の酸素濃度を計測する酸素モニター31が設けられている。
【0020】
排出管14は、衝撃室13内の処理物(球状カーボンナノチューブ)を外部へ排出させるための管で、排出弁8を開くことで衝撃室13と連通するように構成されている。そして、排出弁8が開かれることで、球状カーボンナノチューブがガスG1とともに外部へ排出するように構成されている。
また、排出管14は、排出弁8側と反対側の端部が収容部1b(図1参照)に接続されている。
【0021】
図1に戻り、収容部1bは、高速気流中衝撃部1aの排出管14が接続されたサイクロン15を備えている。そして、サイクロン15において、排出管14を通って導入された球状カーボンナノチューブとガスG1とは分離されて、球状カーボンナノチューブは収容容器16に収容され、ガスG1はガス導入管25を通して再び衝撃室13へ導入されるように構成されている。
ガス導入管25は、ガス導入弁26を介して衝撃室13と接続されている。このように収容部1bには、衝撃室13、排出弁8、排出管14、サイクロン15、ガス導入管25、ガス導入弁26、衝撃室13のラインによる閉回路が形成されている。
【0022】
ガス置換部1cは、所定の酸素濃度のガスを原料ホッパー10および衝撃室13へ供給可能なガス供給源23と、ガス供給源23と原料ホッパー10との間に配設された原料ホッパーガス供給管28と、ガス供給源23と衝撃室13との間に配設された衝撃室ガス供給管29と、を備えている。
【0023】
ガス供給源23は、不活性ガスと大気とを混合し、0.1〜20%の酸素濃度のガスG1を原料ホッパー10および衝撃室13へ供給可能に構成されているとともに、酸素モニター31が計測した循環回路管9内部の酸素濃度を基に、原料ホッパー10および衝撃室13内の雰囲気を0.1〜20%の酸素濃度に保持するために不活性ガスおよび大気のいずれいか一方または両方を適量供給可能に構成されている。
【0024】
原料ホッパー10には、原料を投入する側の開口部10bを閉塞可能なカバー10aが設けられていて、このカバー10aに、原料ホッパーガス供給バルブ24を介して原料ホッパーガス供給管28が接続されている。
また、カバー10aには、原料ホッパー10内のガスG1を排出可能な排出管30がガス排出バルブ27を介して接続されている。
【0025】
(球状カーボンナノチューブの製造方法)
次に、本実施形態による高速気流中衝撃装置1を用いた球状カーボンナノチューブの製造方法について説明する。
(ガス置換工程)
まず、高速気流中衝撃装置1内のガス置換を行う。
原料ホッパー10にカバー10aを装着し、排出弁8、原料供給弁12、ガス導入弁26および原料ホッパーガス排気バルブ27を開状態し、原料ホッパーガス供給バルブ24を閉状態とする。
続いて、ガス供給源23から衝撃室ガス供給管29を通して衝撃室13内へ酸素濃度を0.1〜20%に調整したガスG1を供給し、回転盤4を回転させる。
これにより、高速気流中衝撃装置1内の雰囲気がガスG1となる。
続いて、排出弁8、原料供給弁12、ガス導入弁26および原料ホッパーガス排気バルブ27を閉状態とするとともに、ガス供給源23から衝撃室13内へガスG1の供給を停止する。
【0026】
(解砕処理工程)
次に、カーボンナノチューブの解砕処理を行う。
まず、原料ホッパー10からカバー10aを外し、原料ホッパー10内へ所定量のカーボンナノチューブを投入し、再度、原料ホッパー10にカバー10aを装着する。このとき、排出弁8、原料供給弁12、ガス導入弁26は、閉状態とする。
続いて、原料ホッパーガス供給バルブ24、原料ホッパーガス排気バルブ27を開状態とし、ガス供給源23から原料ホッパーガス供給管28を通して原料ホッパー10内にガスG1を供給し、原料ホッパー10内の雰囲気をガスG1に置換する。
原料ホッパー10内がガスG1に置換された後に、原料ホッパーガス供給バルブ24、原料ホッパーガス排気バルブ27を閉状態とする。
【0027】
続いて、原料供給弁12を開状態として原料ホッパー10内のカーボンナノチューブを衝撃室13へ投入するとともに、図示していない駆動手段によって回転軸6を介して回転盤4を回転させる。本実施形態では、回転盤4を外周速度50〜120m/s程度で約3〜60分回転させる。このように、回転盤4を一定時間回転させ、カーボンナノチューブの解砕処理を行う。
なお、回転盤4を回転させる速度および時間は任意に設定することができる。
そして、衝撃室13内へカーボンナノチューブが投入された後に、原料供給弁12を閉状態とする。
なお、解砕処理工程では、回転盤4が回転している衝撃室13内へカーボンナノチューブを投入してもよいし、カーボンナノチューブを衝撃室13内に投入した後に回転盤4を回転させてもよい。
【0028】
このとき、回転盤4を回転させることで、衝撃室13から循環回路管9を通って再び衝撃室13へ戻る循環気流が形成され、この気流中におけるカーボンナノチューブの粒子同士の衝突や衝撃室13内の壁や部材への衝突を誘発することにより、粒子表面に強い機械的エネルギーを付与し、粒子を解砕することができる。
【0029】
(再凝集工程)
続いて、解砕されたカーボンナノチューブを衝撃室13内で再凝集させる。
具体的には、回転盤4の回転速度を減速させて、カーボンナノチューブが破壊しない程度のエネルギー量で処理を続け、カーボンナノチューブを衝撃室13内で再凝集させる。
これにより、カーボンナノチューブが転動造粒し、球状カーボンナノチューブが形成される。
なお、解砕処理工程および再凝集工程では、酸素モニター31が計測した循環回路管9内部の酸素濃度を基に、衝撃室13内の雰囲気を0.1〜20%の酸素濃度に保持するために不活性ガスおよび大気のいずれか一方または両方をガス供給源23から衝撃室13へ供給する。
【0030】
(球状カーボンナノチューブ取り出し工程)
再凝集工程の後に、排出弁8およびガス導入弁26を開状態とする。
これにより、形成された球状カーボンナノチューブがガスG1とともに衝撃室13から排出され、排出管14を通ってサイクロン15に収容される。そして、サイクロン15において球状カーボンナノチューブが分離されて収容容器16へ収容され、ガスG1は、ガス循環ライン25を通り、ガス導入弁26を通過して再び衝撃室13へ導入される。
そして、球状カーボンナノチューブが収容部1bに収容された後に、排出弁8およびガス導入弁26と閉状態とするとともに、収容容器16から球状カーボンナノチューブを取り出す。
【0031】
ここで、球状カーボンナノチューブの製造時の高速気流中衝撃装置1内の雰囲気の酸素濃度と、製造された球状カーボンナノチューブの電気抵抗値との関係を測定した。
図4に球状カーボンナノチューブの製造時の高速気流中衝撃装置1内の雰囲気の酸素濃度と電気抵抗値増加率との関係を示す。
ここで、電気抵抗値増加率とは、解砕処理工程を行う前のカーボンナノチューブの電気抵抗値と比べて、製造された球状カーボンナノチューブの電気抵抗値がどれだけ増加したかをパーセントで示したもので、以下の式で表される。
【0032】
【数1】

【0033】
図4からわかるように、製造時の高速気流中衝撃装置1内の雰囲気の酸素濃度が20%以下のときに、電気抵抗値増加率が110%以下となり、電気抵抗値の増加を抑えることができる。
【0034】
また、処理前のカーボンナノチューブと、製造時の高速気流中衝撃装置1内の雰囲気を大気(酸素濃度約21%)として製造された球状カーボンナノチューブと、製造時の高速気流中衝撃装置1内の雰囲気を窒素として製造された球状カーボンナノチューブとを、それぞれ水に分散させる試験を行った。
図5に、処理前のカーボンナノチューブを水に分散させた試験体A、製造時の高速気流中衝撃装置1内の雰囲気を大気として製造された球状カーボンナノチューブを水に分散させた試験体Bと、製造時の高速気流中衝撃装置1内の雰囲気を窒素として製造された球状カーボンナノチューブを水に分散させた試験体Cの様子を示す。
図5からわかるように、処理前のカーボンナノチューブや、酸素が混合されていない窒素内で製造された球状カーボンナノチューブと比べて、酸素濃度が約21%の大気内で製造された球状カーボンナノチューブのほうが水への分散性が高いことがわかる。
このことから、酸素を含む雰囲気で製造された球状カーボンナノチューブのほうが、酸素を含まない雰囲気で製造された球状カーボンナノチューブと比べて、酸化する量が多いため水への分散性が高いことがわかる。
【0035】
次に、上述した球状カーボンナノチューブの製造方法の効果について図面を用いて説明する。
本実施形態による球状カーボンナノチューブの製造方法によれば、酸素濃度が大気環境濃度以下、例えば、酸素濃度が0.1%以上20%以下の不活性ガスと大気とを混合したガス内において解砕処理工程および再凝集工程を行うことにより、製造工程における球状カーボンナノチューブの酸化量を、球状カーボンナノチューブの水や親水性溶媒への分散性を確保できるとともに、電気抵抗値の上昇を抑制できる量とすることができる。
そして、球状カーボンナノチューブの水や親水性溶媒への分散性を確保できるとともに、電気抵抗値の上昇を抑制できる効果を奏する。
なお、高速気流中衝撃装置1内の雰囲気の酸素濃度は、1〜3%とすることがより好ましい。
【0036】
以上、本発明による球状カーボンナノチューブの製造方法の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述した実施形態では、酸素モニター31は、循環回路管9に設けられて循環回路管9内部の酸素濃度を計測しているが、循環回路管9に代わって衝撃室13内部の酸素濃度を測定するように構成されていてもよく、また、原料ホッパー10内部の酸素濃度を測定するように構成されていてもよい。
また、上述した実施形態では、解砕処理工程の後に回転盤の回転を減速させて再凝集工程を行っているが、再凝集工程において、回転盤4を解砕処理工程と同じ速度で回転させても、一旦解砕されたカーボンナノチューブを再凝集させることができる場合もあるため、このような場合は、解砕処理工程と再凝集工程とを連続させて1つの工程として行ってもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 高速気流中衝撃装置
1a 高速気流中衝撃部
1b 収容部
1c ガス置換部
23 ガス供給源
G1 ガス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高速気流中衝撃法を用いてカーボンナノチューブを解砕処理する解砕処理工程と、
該解砕処理工程の後に前記カーボンナノチューブを再凝集させる再凝集工程と、を備える球状カーボンナノチューブの製造方法において、
前記解砕処理工程および前記再凝集工程を不活性ガスと大気とを混合したガス内で行うことを特徴とする球状カーボンナノチューブの製造方法。
【請求項2】
前記不活性ガスと大気とを混合したガスの酸素濃度は、0.1%以上20%以下とすることを特徴とする請求項1に記載の球状カーボンナノチューブの製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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