説明

球状ゼリー様食品およびその製造方法

【課題】口どけの良好な食感で且つ製造後に冷蔵や冷凍、更には缶詰などの常温状態において離水や外観の劣化が少ない、経時的に品質の安定した球状ゼリー様食品及び球状ゼリー状食品の製造方法を提供する。
【解決手段】アルギン酸を主剤とした糊料と特定の加工澱粉、マルトオリゴ糖を含む糖を主成分とする流動性原料を可溶性カルシウム塩溶液中に滴下し、5〜12分間カルシウム塩溶液中にて撹拌して球状とし、次に該球状物質を保存性液糖に密封し、これを加熱して直径10mm未満の球状ゼリー様食品を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経時的な安定性、即ち製造後の冷蔵や冷凍、更には缶詰などの常温状態においての離水や外観の劣化が少ない、品質の安定した球状ゼリー様食品及びその製法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からアルギン酸塩などの水溶液を塩化カルシウムや乳酸カルシウムなどの多価金属塩水溶液に滴下して製造されるゼリー様食品が知られている。しかし従来から提案されているゼリー様食品は、離水や外観の縮みなどの経時的な劣化がある。そこでこのような問題を解決するために糖を使用することが提案されている(例えば特許文献1、特許文献2等を参照)。
【0003】
しかしながら、特許文献1では甘味性糖類を40%以上含有させた場合に日数経過に伴う劣化が防止されるとしているが、甘味糖類を40%使用したゼリー様粒状食品では食感硬化防止は認められるものの、糖濃度が高いために甘すぎるとともに、食感に滑りがあり口当たりが悪い。また、特許文献2では単糖または2糖類を15〜65重量%使用したもので、冷凍保存した際に、なめらかで均一な食感が得られるとしている。しかしながら、いずれも糖濃度が高くなるに従って食感硬化防止効果や、冷凍保存耐性は良くなるものの、同時に粘度が著しく上昇しゲル化が困難となるとともに甘みが増加して食感に滑りが生じ口当たりが悪くなってしまう。このため、適度の甘さで、且つ冷凍保存耐性のあるゼリー様粒状食品は得られていない。
【特許文献1】特開昭59−66849号
【特許文献2】特開平14−315518号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明は、口どけの良好な食感で且つ製造後の冷蔵や冷凍、更には缶詰などの常温状態において離水や外観の劣化が少ない、経時的に品質の安定した球状ゼリー様食品及びこのような球状ゼリー状食品の製造方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の実情に鑑み、本発明者らは、アルギン酸を主剤とした糊料と特定の加工澱粉、糖及びマルトオリゴ糖から構成される流動性原料を可溶性カルシウム塩溶液中に滴下し、5〜12分間カルシウム塩溶液中にて撹拌して球状とし、次に該球状物質を保存性液糖に密封し、これを加熱した後に得られる直径10mm未満の球状ゼリー様食品が、品質の経時的な劣化、即ち、製造後の冷蔵や冷凍、更には缶詰などの常温状態においての離水や外観の劣化が少ないものであることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち本発明は、(1)アルギン酸塩及びカルシウム塩を必須成分として含有する球状ゼリー食品において、次の成分(a)〜(d)を食品全体に対して次の割合(重量%)で含有することを特徴とする直径10mm未満の球状ゼリー様食品:
(a)アルギン酸塩を主剤とした糊料 0.3〜1.5%
(b)ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉、ヒドロキシプロピル化ワキシー澱粉、アセチル化タピオカ澱粉の一種又は混合物 1.0〜10%
(c)球状ゼリー様食品全体に対し1.5〜30%の割合のマルトオリゴ糖を含む糖分
15〜30%
(d)液状物 残部;
(2)糊料にジュランガム及び又はペクチンが含まれるものである(1)記載の球状ゼリー様食品;
(3)次の成分(a)〜(d)を含有する流動性原料を可溶性カルシウム塩溶液中に滴下、撹拌して球状とし、次に該球状物質を保存性液糖に密封し、これを加熱することによって得られる、(1)記載の球状ゼリー様食品:
(a)アルギン酸塩を主剤とした糊料 0.3〜1.5%
(b)ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉、ヒドロキシプロピル化ワキシー澱粉、アセチル化タピオカ澱粉の一種又は混合物 1.0〜10%
(c)球状ゼリー様食品全体に対し1.5〜30%の割合のマルトオリゴ糖を含む糖分
15〜30%
(d)液状物 残部;
(4)保存性液糖が糖アルコールからなる液糖である(3)記載の球状ゼリー様食品;
(5)次の成分(a)〜(d)を含有する流動性原料を可溶性カルシウム塩溶液中に滴下し、該カルシウム塩溶液中にて撹拌して球状とし、次に該球状物質を保存性液糖に密封し、これを加熱することを包含する、直径10mm未満の球状ゼリー様食品の製造方法:
(a)アルギン酸塩を主剤とした糊料 0.3〜1.5%
(b)ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉、ヒドロキシプロピル化ワキシー澱粉、アセチル化タピオカ澱粉の一種又は混合物 1.0〜10%
(c)球状ゼリー様食品全体に対し1.5〜30%の割合のマルトオリゴ糖を含む糖分
15〜30%
(d)液状物 残部;
(6)撹拌が5〜12分間であり、加熱温度が70〜100℃である、(5)記載の球状ゼリー様食品の製造方法、
に関するものである。
なお、本発明においては、特記しない限り、%とは重量%、部とは重量部を意味する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の、球状ゼリー様食品は経時的な安定性に優れ、製造後の冷蔵や冷凍、更には缶詰などの常温状態においての離水や外観の劣化が少ないので、種々の食品や流通に利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明に用いられるアルギン酸塩を主剤とした糊料は、アルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸塩を主剤とし、更にネイティブ型ジェランガムなどのジェランガム、ローメトキシルペクチンなどのペクチンを配合することが望ましく、また適度な食感を得るためには球状ゼリー様食品中に糊料を0.3〜1.5重量%配合するものである。
【0009】
本発明に用いられるジェランガムは、シュードモナス・エロディア(Pseudomonas elodea)が発酵によって菌体外に産出する多糖類を精製したものをいい、食品用途として用いられるものとして、ジュランガム(商品名 ケルコゲル 大日本製薬製)(商品名 ケルコゲルHM 大日本製薬製)等がある。
【0010】
本発明に用いられるペクチンは、主にガラクチュロン酸とメチルガラクチュロン酸で構成される多糖類をいう。ペクチンにはメチルガラクチュロン酸の占める割合が50%以上のHMペクチンと、メチルガラクチュロン酸の占める割合が50%未満のLMペクチンがある。HMペクチンは糖度55%以上、pH3.0付近でのみゲル化し、LMペクチンはpH3〜7程度のカルシウムイオン存在下と、幅広い条件でゲル化する。よって本発明では、LMペクチンを用いることが望ましく、食品用途として用いられるものとして、LMペクチン(商品名 LM−SN−325大宮糧食工業製)(商品名LM 105AS−J三唱製)(商品名LM 101AS−J三唱製)等がある。
【0011】
本発明に用いられるヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉、ヒドロキシプロピル化ワキシー澱粉はタピオカ澱粉、ワキシー澱粉をそれぞれ通常の化学反応によって、ヒドロキシプロピル化された加工澱粉であり、食品用途として販売されているものとして、ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉(商品名テキストラ ナショナルスターチ製)(商品名ジェルコールPOT−05 Jオイルミルズ製)(商品名いかるが100 王子コーンスターチ製)、ヒドロキシプロピル化ワキシーコーンスターチ澱粉(商品名ファインテックスS−1 王子コーンスターチ製)(商品名ピュリティーCSC ナショナルスターチ製)(商品名サームフロ ナショナルスターチ製)等がある。また、アセチル化タピオカ澱粉は、タピオカ澱粉に通常の化学反応によってアセチル化された加工澱粉であり、食品用途として販売されているものとして、アセチル化タピオカ澱粉 (商品名アクトボディーA−900 Jオイルミルズ製)(商品名アクトボディーA−700 Jオイルミルズ製)(商品名MT−01HH 日本食品化工製)等がある。
【0012】
これらの加工澱粉の一種又は混合物は球状ゼリー様食品中に1.0〜10%配合される。1.0%未満であると、品質の経時的な劣化防止効果が得られず、また10%を超えて配合されると糊っぽさを感じ食感が重く、口どけの悪い食感となってしまう。
【0013】
特に、球状ゼリー様食品に透明感を出すためにはヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉を単独で用いることが望ましい。
【0014】
本発明に用いられる糖分は蔗糖、ブドウ糖、果糖、オリゴ糖等食品用途として一般に使用される糖ならばいずれも一種又は混合物として使用でき、球状ゼリー様食品中に15〜30%配合される。15%未満であると、品質の経時的な劣化防止効果が得られず、また30%を超えて配合されると糖濃度が高いために粘度が著しく上昇しゲル化が困難であり、また食感に滑りがあり、口当たりが悪いものとなる。
【0015】
本発明に用いられるマルトオリゴ糖は、ブドウ糖がα−1、4結合で2〜10個結合したものをいい、食品用途として用いられているものとして、粉末状マルトオリゴ糖(フジオリゴ#450P 日本食品加工製)、液状マルトオリゴ糖(商品名マルミノース オリゴ糖濃度75%、昭和産業製)等がある。
【0016】
これらのマルトオリゴ糖は、球状ゼリー様食品中に含まれる糖分の内に固形物換算として1.5〜30重量%配合される。30重量%の場合は、糖分全体がマルトオリゴ糖で占められることになる。マルトオリゴ糖の量を上げるに比例して離水の防止効果は高くなるが、他の糖と同様に30重量%を超えると粘度が著しく上昇し、ゲル化が困難になってしまう。またマルトオリゴ糖が1.5重量%未満であると離水が著しく、食感硬化や形状の縮みがあり、経時的な劣化防止効果が十分に得られない。
【0017】
本発明で用いられる成分(a)〜(d)については、(a)〜(d)の総和が100重量%であり、100から(a)〜(c)の和を除いた残部が(d)の液状物である。液状物としては果汁をはじめ、お茶、ドレッシング、ソース、タレ、牛乳、ヨーグルトなど液状の原料及びココア、コーヒー等の粉末を水等に溶かして液状にしたものが用いられる。
【0018】
本発明には、保存性液糖として、蔗糖、ブドウ糖、果糖、マルトオリゴ糖、粉末状マルトオリゴ糖(商品名フジオリゴ#450P 日本食品加工製)、液状マルトオリゴ糖(商品名マルミノース 糖濃度75% 昭和産業製)、糖アルコール(商品名アマミール 糖濃度70% 東和化成工業製)(商品名ソルビトールLTSP 東和化成工業製)等の食品用途として一般に使用される糖を水に溶解した液糖ならばいずれも一種又は混合物として使用でき、特に、球状ゼリー様食品の品質の経時的な劣化防止効果が高いものとしては糖アルコールを用いることが望ましい。
【0019】
本発明に用いられる糖アルコールとは、還元基を有する糖類に水素を反応させ、還元して製造したソルビトール、マルチトール、還元水飴のような鎖状多価アルコールを総称したものをいい、食品用途として用いられているものとして糖アルコール(商品名アマミール 糖濃度70% 東和化成工業製)(商品名ソルビトールLTSP 東和化成工業製)等がその例として挙げられる。
【0020】
本発明における保存性液糖の糖濃度は、流動性原料とほぼ同等の糖度であることが望ましい。
【0021】
本発明の球状ゼリー様食品には、本発明に影響を与えない範囲において、その他の糊料、澱粉、糖、デキストリン、甘味料、酸味料、香料、色素、酸化防止剤、日持ち向上剤等の添加物を任意に併用することが出来る。
【0022】
本発明でいう可溶性カルシウム塩溶液は、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、クエン酸カルシウムなどのカルシウム塩を溶解させた水溶液をいい、1種類または2種類以上選択して使用することができる。該水溶液の濃度は0.5〜5.0重量%が好ましい。この水溶液の濃度が0.5重量%未満では、アルギン酸塩と反応しゲルを形成するには薄過ぎる濃度であり、一方、5.0重量%を超えるとカルシウム塩のえぐ味が強くなって食するのに適さない。
【0023】
本発明におけるアルギン酸塩及びカルシウム塩を必須成分として含有する球状ゼリー食品の製造方法は、糊料と加工澱粉、マルトオリゴ糖を含む糖分及び液状物を主成分とする流動性原料を、撹拌している可溶性カルシウム塩溶液中に滴下して球状とすることを特徴とする。
【0024】
流動性原料を、滴下する方法としては、流動性原料を自然落下させる滴下方法やポンプ等を使用し流動性原料を押し出し滴下する方法などが挙げられる。
【0025】
得られた球状物質を次に、保存性液糖に密封し、これを加熱して直径10mm未満の球状ゼリー様食品とする。
【0026】
また、流動性原料を滴下後に5〜12分間カルシウム塩溶液中にて撹拌することが望ましい。撹拌時間が5分未満であると、球状ゼリー物質の表面のゲル化が不十分であり、表面が必要以上に柔らかくなってしまい、形状を維持することが難しい。撹拌時間が12分を超えると、該球状物質を保存性液糖に密封し、これを加熱した後に得られる直径10mm未満の球状ゼリー様食品の表面が必要以上に硬くなり、ボキボキとした食感になってしまい食するのに好ましくない。
【0027】
本発明における球状ゼリー様食品は、粒径が10mm未満、好ましくは10mm未満〜1mmの大きさの球状ゲルであることを特徴とする。球径を大きいものにするためには、流動性原料のアルギン酸濃度を上げるなど、流動性原料の粘度を上げる必要があるが、粘度を上げ過ぎると滴下時にきれいな球状を作ることができず、また、食感もゼリー表面が硬くなり、食するのには適さないゼリー様食品になってしまう。
【0028】
該球状物質を加熱する方法としては、スチームやボイルなどが挙げられ、球状ゼリー様食品に含まれる加工澱粉が糊化する温度帯であれば良いが、70〜100℃が好ましい。
【0029】
〔実施例〕
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。なお、本発明において特記しない限り、%とは重量%、部とは重量部を意味する。また、糖ならびにオリゴ糖配合量について、オリゴ糖を含む糖分が液状である場合には糖濃度(Brix、%)として固形物換算量を併記した。
【実施例1】
【0030】
アルギン酸ナトリウム0.4部、ネイティブ型ジュランガム(商品名ケルコゲルHM 大日本製薬製)0.1部、ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉(商品名テキストラ ナショナルスターチ製)2.0部、デキストリン0.5部、液状マルトオリゴ糖(商品名マルミノース 糖濃度75% 昭和産業製)23.3部、を冷水73.7部に溶解して、流動性原料を調製する。このときの流動性原料中の糖濃度はBrix17.5%であった。
【0031】
次に、塩化カルシウム0.5部、乳酸カルシウム0.5部を水99.0部に溶解して、可溶性カルシウム塩溶液を調製する。
【0032】
前記流動性原料を内径10.0mmのノズルを通して直径7.0mmの水滴とし、毎秒1〜2個の速さで撹拌した可溶性カルシウム塩溶液に滴下後、液中に10分間撹拌浸漬して球状とし、次いで該球状物質を溶液から取り出して水洗浄した。
【0033】
次に該球状物質を糖アルコール(商品名アマミール 糖濃度70% 東和化成工業製)25g、エチルアルコール2g、水73gからなる保存性液糖(Brix,17.5%)とともに耐熱性のビニール袋に入れ密封し、95℃の熱湯中で30分間ボイル、急速冷却後、球状ゼリー様食品を得た。
【0034】
得られた該球状物質および球状ゼリー様食品について球状の大きさ、重量変化、外観の評価、食感の評価、ゼリーの色調を次の評価方法により評価した。
【0035】
(評価方法)
(球状の大きさ):可溶性カルシウム塩溶液から取り出して水洗浄した後に直径を測定した。ただし、球状を形成できなかったものについては×とした。
【0036】
(重量変化):可溶性カルシウム塩溶液から取り出して水洗浄した後の球状物質の重量を100とし、球状ゼリー様食品について保存性液糖中で加熱後の重量、冷蔵保管(4℃、一ヶ月)後の重量、冷凍保管(−20℃、一ヶ月)後の重量をそれぞれ百分率であらわした。重量は、球状ゼリー10個分の重量を測り取り、平均値をその球状ゼリーの重量とした。
【0037】
(外観):可溶性カルシウム塩溶液から取り出して水洗浄した後の球状物質及び加熱直後並びに冷蔵保管(4℃、一ヶ月)後、冷凍保管(−20℃、一ヶ月)後の球状ゼリー様食品の外観について以下の評価基準により評価した。
○・・・・きれいな球状。
△・・・・かろうじて球状になる。
×・・・保形成は保っているが球状ではない。
××・・・ゲル化できず球状を作れない。
【0038】
(食感):可溶性カルシウム塩溶液から取り出して水洗浄した後の球状物質及び加熱直後並びに冷蔵保管(4℃、一ヶ月)後、冷凍保管(−20℃、一ヶ月)後の球状ゼリー様食品についてレオメーターで押込加重を測定し、レオメーターで押込加重と食感との相関性について以下の評価基準により評価した。
レオメーターで押込加重:
0〜 74 ・・・・食感がかなり弱く、膜も柔らかいため球状を維持できない。
75〜150 ・・・・適度に柔らかく、口どけのよい食感。
151〜175 ・・・・やや硬い食感。
176以上・・・・・・・食感がかなり硬く、ボキボキした食感。
*ゼリーの食感としては75〜175程度が好ましい。
レオメーター測定条件:
圧縮 測定速度・・・60mm/min
プランジャ−・・・直径15mmの円盤状
押込みは20mmで固定し、その時にかかる荷重(g)を測定した。
*球状物質及び球状ゼリー様食品それぞれ10個を測定して平均値とした。
【0039】
(ゼリーの色調):目視により球状物質及び球状ゼリー様食品それぞれ白濁、透明の2段階で評価した。
【0040】
(試験例)(実施例1〜実施例4、比較例1〜比較例4)
実施例1と同様にして、それぞれ糊料を代えて球状ゼリー様食品を作成し、得られた該球状物質および球状ゼリー様食品について球状の大きさ、重量変化、外観の評価、食感の評価、ゼリーの色調を評価した。このときの配合並びに評価を表1及び2に記載する。
表1及び2から明らかなように、アルギン酸ナトリウムが少ない比較例1では球状にならず、また多すぎる比較例2では外観が悪く、アルギン酸ナトリウムが全くない比較例3及び4ではゲル化せず球状とならない。
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】
(試験例)(実施例5〜9、比較例5〜比較例11)
実施例1と同様にして、糖ならびにオリゴ糖の種類を代えて球状ゼリー様食品を作成し、得られた該球状物質および球状ゼリー様食品について球状の大きさ、重量変化、外観の評価、食感の評価、ゼリーの色調を評価した。このときの配合並びに評価を表3、表4に記載する。
表3から明らかなように、オリゴ糖を用いない比較例5〜8では保存後の重量変化が大きく、外観及び冷凍保管後の食感が悪い。
表4から明らかなように、オリゴ糖がマルトオリゴ糖でない比較例9,10では保存後の重量変化が大きく、外観及び冷凍保管後の食感が悪い。
【0044】
【表3】

【0045】
【表4】

【0046】
(試験例)(実施例10〜実施例14、比較例12〜比較例13)
実施例1と同様にして、それぞれ糊料、澱粉の種類並びに濃度を代えて球状ゼリー様食品を作成し、得られた該球状物質および球状ゼリー様食品について球状の大きさ、重量変化、外観の評価、食感の評価、ゼリーの色調を評価した。このときの配合並びに評価を表5に記載する。
表5から明らかなように、でんぷんの量が少ない比較例12では保存後の重量変化が大きく、外観及び食感の点で劣り、でんぷんの量が多い比較例13では食感の点で劣る。
【0047】
【表5】

【0048】
(試験例)(実施例15〜実施例17、比較例14〜比較例17)
実施例1と同様にして、それぞれ糖ならびにマルトオリゴ糖の濃度を代えて球状ゼリー様食品を作成し、得られた該球状物質および球状ゼリー様食品について球状の大きさ、重量変化、外観の評価、食感の評価、ゼリーの色調を評価した。このときの配合並びに評価を表6に記載する。
表6から明らかなように、糖分の量が少ない比較例14では保存後の重量変化が大きく、外観及び食感が悪く、糖分の量が多い比較例15では球状にならない。マルトオリゴ糖が全く無く糖分の量が少ない比較例16では保存後の重量変化が大きく、外観及び食感が悪く、マルトオリゴ糖が全く無く糖分の量が多い比較例17では外観の点で劣る。
【0049】
【表6】

【0050】
(試験例)(実施例18〜実施例20、比較例18〜比較例21)
実施例1と同様にして、澱粉の種類を代えて球状ゼリー様食品を作成し、得られた該球状物質および球状ゼリー様食品について球状の大きさ、重量変化、外観の評価、食感の評価、ゼリーの色調を評価した。このときの配合並びに評価を表7に記載する。
表7から明らかなように、本発明以外のヒドロキシル化澱粉を用いた比較例18,19では保存後の重量変化が大きく、外観及び食感が悪く、本発明以外の澱粉を用いた比較例20では保存後の重量変化が大きく、外観及び食感の点で劣り、ゼリーの色調の点でも劣る。澱粉を全く用いない比較例21では保存後の重量変化が大きく、外観及び食感の点で非常に劣る。
【0051】
【表7】

【0052】
(試験例)(実施例21〜実施例25、比較例22)
実施例1と同様にして、可溶性カルシウム塩溶液に滴下後、液中での撹拌浸漬時間を代えて球状ゼリー様食品を作成し、得られた該球状物質および球状ゼリー様食品について球状の大きさ、重量変化、外観の評価、食感の評価、ゼリーの色調を評価した。このときの配合並びに評価を表8に記載する。撹拌浸漬時間の少ない比較例22では外観及び食感が悪い。
【0053】
【表8】

【0054】
(試験例)(実施例26〜実施例27)
実施例1と同様にして、保存用液糖の種類、濃度を代えて球状ゼリー様食品を作成し、得られた該球状物質および球状ゼリー様食品について球状の大きさ、重量変化、外観の評価、食感の評価、ゼリーの色調を評価した。このときの配合並びに評価を表9に記載する。
【0055】
【表9】

【0056】
(試験例)(実施例28〜実施例30)
実施例1と同様にして、メロン果汁、抹茶パウダー、コーヒー抽出液を配合してそれぞれ球状ゼリー様食品を作成し、得られた該球状物質および球状ゼリー様食品について球状の大きさ、重量変化、外観の評価、食感の評価、ゼリーの色調を評価した。このときの配合並びに評価を表10に記載する。
【0057】
【表10】

【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の球状ゼリー様食品は、そのまま食するのはもちろん、デザート、フィリング、飲料などのトッピング材などに利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルギン酸塩及びカルシウム塩を必須成分として含有する球状ゼリー食品において、次の成分(a)〜(d)を食品全体に対して次の割合(重量%)で含有することを特徴とする直径10mm未満の球状ゼリー様食品:
(a)アルギン酸塩を主剤とした糊料 0.3〜1.5%
(b)ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉、ヒドロキシプロピル化ワキシー澱粉、アセチル化タピオカ澱粉の一種又は混合物 1.0〜10%
(c)球状ゼリー様食品全体に対し1.5〜30%の割合のマルトオリゴ糖を含む糖分
15〜30%
(d)液状物 残部。
【請求項2】
糊料にジュランガム及び又はペクチンが含まれるものである請求項1記載の球状ゼリー様食品。
【請求項3】
次の成分(a)〜(d)を含有する流動性原料を可溶性カルシウム塩溶液中に滴下、撹拌して球状とし、次に該球状物質を保存性液糖に密封し、これを加熱することによって得られる、請求項1記載の球状ゼリー様食品。
(a)アルギン酸塩を主剤とした糊料 0.3〜1.5%
(b)ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉、ヒドロキシプロピル化ワキシー澱粉、アセチル化タピオカ澱粉の一種又は混合物 1.0〜10%
(c)球状ゼリー様食品全体に対し1.5〜30%の割合のマルトオリゴ糖を含む糖分
15〜30%
(d)液状物 残部。
【請求項4】
保存性液糖が糖アルコールからなる液糖である請求項3記載の球状ゼリー様食品。
【請求項5】
次の成分(a)〜(d)を含有する流動性原料を可溶性カルシウム塩溶液中に滴下し、該カルシウム塩溶液中にて撹拌して球状とし、次に該球状物質を保存性液糖に密封し、これを加熱することを包含する、直径10mm未満の球状ゼリー様食品の製造方法:
(a)アルギン酸塩を主剤とした糊料 0.3〜1.5%
(b)ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉、ヒドロキシプロピル化ワキシー澱粉、アセチル化タピオカ澱粉の一種又は混合物 1.0〜10%
(c)球状ゼリー様食品全体に対し1.5〜30%の割合のマルトオリゴ糖を含む糖分
15〜30%
(d)液状物 残部。
【請求項6】
撹拌が5〜12分間であり、加熱温度が70〜100℃である、請求項5記載の球状ゼリー様食品の製造方法。

【公開番号】特開2007−236231(P2007−236231A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−60489(P2006−60489)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【出願人】(000199441)千葉製粉株式会社 (11)
【Fターム(参考)】