説明

球状部品選別部材及び球状部品選別装置

【課題】簡単な構成であるにもかかわらず、所望の球状部品を高い選別精度で選別することのできる球状部品選別部材及び球状部品選別装置を提供すること。
【解決手段】許容最大半径r以下の半径を有する球状部品と許容最大半径rよりも大きな半径を有する大径球状部品とが混在する部品群から球状部品を選別する球状部品選別部材1であって、球状部品選別部材1Aは、球状部品が転動し通過する転動路11を備えて成り、この転動路11は、球状部品の転動方向に垂直な平面において、球状部品の許容最大半径rを曲率半径ρとし、球状部品の円周の少なくとも半分に接触する接触内面16を有していることを特徴とする球状部品選別部材1A、並びに、この球状部品選別部材1Aと、転動路11内で掛止した大径球状部品を取り出す取出部材とを備えて成ることを特徴とする球状部品選別装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、球状部品選別部材及び球状部品選別装置に関し、さらに詳しくは、簡単な構成であるにもかかわらず、所望の球状部品を高い選別精度で選別することのできる球状部品選別部材及び球状部品選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の分野において、製品又は半製品として、球状、略球状、楕円球状、筒状等の形状を有し、転動可能な部品が利用されている。このような転動可能な部品を製造すると、通常、変形した部品、一部が欠損した部品、規定寸法よりも大径の部品等が欠陥部品として混入した部品群が得られる。したがって、このような部品群の中から規定寸法、例えば、所定の公差範囲内にある半径を有する球状部品を、望ましくは高精度で、選別することが求められている。
【0003】
例えば、部品の外径を測定する方法及び装置が特許文献1に記載されている。具体的には、「ワークの外径を測定する外径測定方法において、流体が供給された穴に前記ワークを挿入し、前記流体が穴内壁と前記ワークとの隙間を通過する際の流体の背圧、流量、又は前記ワークが受ける抗力、或いは前記ワークの変位量を検出し、該検出値を基準値と比較して前記ワークの外径に換算することを特徴とする外径測定方法」が請求項1に、また、「ワークの外径を測定する外径測定装置において、前記ワークを挿入する穴と、該穴に流体を供給する流体供給手段と、該流体供給手段で供給した流体が穴内壁と前記ワークとの隙間を通過する際の流体の背圧、流量、又は前記ワークが受ける抗力、或いは前記ワークの変位量を検出する検出手段と、該検出手段で検出した検出値を基準値と比較して前記ワークの外径に換算する換算手段と、を備えたことを特徴とする外径測定装置」が請求項3に、それぞれ、記載されている。
【0004】
特許文献1に記載された外径測定方法及び外径測定装置によれば、個々の部品の外径を測定できるから、測定された外径値によってこれらの部品を選別することができる。
【0005】
しかし、前記外径測定方法及び前記外径測定装置は、部品の外径を1つずつ測定することになるうえ、測定値に基づいて多数の部品を選別する必要があるから、多数の部品を選別するには長大な測定時間及び選別時間を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−33042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、簡単な構成であるにもかかわらず、所望の球状部品を高い選別精度で選別することのできる球状部品選別部材及び球状部品選別装置を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段として、
請求項1は、許容最大半径r以下の半径を有する球状部品と前記許容最大半径rよりも大きな半径を有する大径球状部品とが混在する部品群から前記球状部品を選別する球状部品選別部材であって、前記球状部品選別部材は、前記球状部品が転動し通過する転動路を備えて成り、この転動路は、前記球状部品の転動方向に垂直な平面において、前記球状部品の許容最大半径rを曲率半径ρとし、前記球状部品の円周の少なくとも半分に接触する接触内面を有していることを特徴とする球状部品選別部材であり、
請求項2は、前記転動路は、前記転動方向に貫通する貫通孔又は貫通溝であることを特徴とする請求項1に記載の球状部品選別部材であり、
請求項3は、前記転動路は、その路長が前記球状部品の円周以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の球状部品選別部材であり、
請求項4は、前記転動路を複数備えて成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の球状部品選別部材であり、
請求項5は、前記転動路が前記部品群を供給する供給路の延長線上にその前方に向けて下降するように、配置された請求項1〜4のいずれか1項に記載の球状部品選別部材と、前記球状部品選別部材の前記転動路内で掛止した前記大径球状部品を取り出す取出部材とを備えて成ることを特徴とする球状部品選別装置であり、
請求項6は、一部の前記転動路が前記部品群を供給する供給路の延長線上にその前方に向けて下降するように、配置された請求項4に記載の球状部品選別部材と、前記一部の転動路以外の転動路を、前記部品群を供給する供給路の延長線上にその前方に向けて下降するように配置する切替部材と、前記球状部品選別部材の前記転動路内で掛止した前記大径球状部品を取り出す取出部材とを備えて成ることを特徴とする球状部品選別装置である。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る部品選別部材は、球状部品の許容最大半径rを曲率半径ρとし、前記球状部品の円周の少なくとも半分に接触する接触内面を有する転動路を備えて成るから、前記許容最大半径rの球状部品を、前記転動路内を転動させ通過させるのに対して、前記許容最大半径rよりも大きな半径を有する大径球状部品を、前記転動路に実質的に進入させず、仮に進入させても転動路を通過させることはない。このように、この発明に係る部品選別部材は、その構成が簡単であるにもかかわらず、前記転動路の通過又は不進入若しくは不通過によって、前記球状部品と前記大径球状部品とを高い選別精度で選別することができる。
【0010】
この発明に係る球状部品選別部材は、この発明に係る部品選別部材を備えているから、その構成が簡単であるにもかかわらず、前記球状部品と前記大径球状部品とを高い選別精度で選別することができる。
【0011】
したがって、この発明によれば、簡単な構成であるにもかかわらず、所望の球状部品を高い選別精度で選別することのできる球状部品選別部材及び球状部品選別部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、この発明に係る球状部品選別部材の一例である球状部品選別部材を示す概略図である。
【図2】図2は、この発明に係る球状部品選別部材の一例である球状部品選別部材に球状部品を転動させたときの状態を説明する概略説明図である。
【図3】図3は、この発明に係る球状部品選別部材の別の一例である球状部品選別部材を示す概略図である。
【図4】図4は、この発明に係る球状部品選別装置の一例である球状部品選別装置を示す概略正面図である。
【図5】図5は、この発明に係る球状部品選別装置の別の一例である球状部品選別装置を示す概略正面図である。
【図6】図6は、この発明に係る球状部品選別部材の一例である球状部品選別部材における転動路内に大径球状部品が掛止した状態を説明する概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明に係る球状部品選別部材は、許容最大半径r以下の半径を有する球状部品と許容最大半径rよりも大きな半径を有する大径球状部品とが混在する部品群の中から球状部品と大径球状部品とを選別する選別部材である。そして、この発明に係る球状部品選別部材は、球状部品が転動し通過する転動路を備えて成り、この転動路は、球状部品の転動方向に垂直な平面において、球状部品の許容最大半径rを曲率半径ρとし、球状部品の円周の少なくとも半分に接触する接触内面を有していることを特徴の1つとする。
【0014】
このような転動路を有するこの発明に係る球状部品選別部材は、球状部品を自身の転動路内を転動させ通過させるのに対して、自身の転動路に、前記球状部品以外の欠陥部品、例えば、大径球状部品を実質的に進入させることなく、自身の転動路に進入した前記欠陥部品をその途中で掛止して転動路を実質的に通過させないことによって、部品群のうち、転動路を通過してきた球状部品と転動路に進入しない又は掛止した欠陥部品とを、高い選別精度で、選別することができる。したがって、この発明に係る球状部品選別部材は、球状部品がその内部を転動する転動路を備え、この転動路内を転動し通過した球状部品を、欠陥部品、例えば、転動路に進入しない欠陥部品又は転動路を通過しない欠陥部品から、選別する球状部品選別部材と称することもできる。
【0015】
この発明に係る球状部品選別部材は、転動路の通過又は不進入若しくは不通過によって、球状部品と大径球状部品とを選別することができるが、別言すると、転動路に送入された球状部品又は大径球状部品の中心の転動軌跡が転動路の軸線と一致するか否かによって、球状部品と大径球状部品とを高い選別精度で選別することができるともいえる。
【0016】
このように、前記構成を有するこの発明に係る球状部品選別部材は、接触内面を有する転動路を備えているという簡単な構成であるにもかかわらず、所望の球状部品を高い選別精度で選別することができる。
【0017】
この発明に係る球状部品選別部材は、前記のように、前記転動路を有していることを特徴の1つとし、この他の構成等は、例えば、以下に示す具体的な態様等に基づいて、適宜に変更又は改良することができる。
【0018】
この発明に係る球状部品選別部材によって選別される部品は、許容最大半径r以下の半径を有する球状部品と、許容最大半径rよりも大きな半径を有する大径球状部品とが混在する部品群、すなわち、球状部品群である。
【0019】
前記球状部品は、その表面が球面であり、その半径が前記許容最大半径r以下である。前記許容最大半径rは製品又は半製品における所定の公差範囲内における最大半径rということもできる。したがって、前記球状部品は規格適合球状部品と称することもできる。このような球状部品として、例えば、例えば、ベアリングボール、乗物用シートベルトのプリテンションベルトに装着される球状部材等の機械装置用ボール、ゴルフボール、卓球用ボール等の球技用ボール等が挙げられる。なお、この発明に係る球状部品選別部材は、このような球状部品と、前記許容最大半径rよりも大きな半径を有する大径球状部品とを選別する部材であるから、前記球状部材は前記許容最大半径r以下の半径を有していればよく、通常、前記許容最大半径rの50〜100%の半径を有しているのがよく、80〜100%の半径を有しているのが特によい。
【0020】
大径球状部品は、前記球状部品の製造等において混入する規格に適合しない部品であり、例えば、変形した部品、一部が欠損した部品、規定寸法よりも大径の部品等が挙げられる。特に、規定寸法よりも僅かに大径の部品、表面の一部が隆起又は突起した球面を有する部品等の、許容最大半径rよりも大きな半径を一部又は全部に有する部品等は、前記球状部品との選別が比較的困難である。ところが、この発明に係る球状部品選別部材によれば、これらの部品等が前記大径球状部品として前記部品群に混入されていてもこれらの部品等と球状部品とを高い選別精度で選別できる。したがって、許容最大半径rよりも大きな半径を一部又は全部に有する部品等は、この発明に係る球状部品選別部材よって選別される部品群に混入される大径球状部品として好都合である。
【0021】
この発明に係る球状部品選別部材において、前記部品群に含まれる球状部品及び/又は大径球状部品は、転動路の一端側又はその近傍に、連続的又は間欠的に、供給される。なお、この発明に係る球状部品選別部材は部品の選別も可能であるが、特定の部品が特定の寸法及び形状を有しているか否かを確認することもできるので、この発明に係る球状部品選別部材に用いられる部品は単数であってもよい。
【0022】
この発明に係る球状部品選別装置は、この発明に係る球状部品選別部材と、この球状部品選別部材の転動路内で掛止した大径球状部品を取り出す取出部材とを備えて成ることを特徴の1つとする。このような構成を有するこの発明に係る球状部品選別部材は、この発明に係る球状部品選別部材と同様に、簡単な構成であるにもかかわらず、所望の球状部品を高い選別精度で選別することができる。
【0023】
この発明に係る球状部品選別装置は、この発明に係る球状部品選別部材と前記取出部材とを備えていることを特徴の1つとし、この他の構成等は、例えば、以下に示す具体的な態様等に基づいて、適宜に変更又は改良することができる。
【0024】
以下に、この発明に係る球状部品選別部材及びこの発明に係る球状部品選別装置を具体的に説明する。
【0025】
この発明に係る球状部品選別部材における一例の球状部品選別部材1Aは、図1(a)、図1(b)、図2(a)及び図2(b)に示されるように、球状部品30の転動方向に垂直な平面(特に図2(b)参照。)において、球状部品30の許容最大半径rを曲率半径ρとし、この球状部品30の円周の全体に接触する接触内面16を有すると共に球状部品30が転動し通過する転動路11を、備えて成る。
【0026】
図1(a)は球状部品選別部材1Aの左側面図であり、図1(b)は球状部品選別部材1Aの正面図である。図2(a)は球状部品選別部材1Aの転動路11に球状部品30を転動させた状態を説明する正面図であり、図2(b)は図2(a)のA−A線における球状部品選別部材1Aの断面図、すなわち、球状部品30の転動方向に垂直な平面における断面図である。
【0027】
この球状部品選別部材1Aは、図1(a)及び図1(b)等に示されるように、四角柱体の本体21と、その軸線方向にそって貫通する断面円形の貫通孔11とを有する管状体である。この管状体において、貫通孔11がこの発明に係る転動路に相当し、この貫通孔11は前記本体21と軸線を共有するように球状部品30の転動方向に貫通している。
【0028】
この転動路11は、図2(a)及び図2(b)に示されるように、球状部品30の転動方向に垂直な平面であって球状部品30の中心を含む平面(図2(a)におけるA−A断面、図2(b)参照。)において、球状部品30の許容最大半径r、すなわち、球状部品30の中心から外周面までの半径rを曲率半径ρとする環状の接触内面16を有している。前記平面は、球状部品30の回転軸を含み転動方向に垂直な平面と称することもできる。そして、この接触内面16は、図2(a)及び図2(b)に示されるように、前記平面において球状部品30の円周の全周に接触し、換言すると、球状部品30の中心点を通る断面の輪郭円、すなわち、大円(great circle)Gの全周に接触している。この接触内面16は球状部品30の転動が円滑になるようにその表面を鏡面加工することもできる。
【0029】
前記接触内面16は、転動路11の軸線方向の全体にわたって、前記曲率半径ρを有し、前記大円Gの全周に接触する。したがって、転動路11は、本体21の端部に開口した送入口11a及び排出口11b並びに軸線に垂直な断面形状が同一の環状形状になっている。
【0030】
前記本体21は、前記転動路11の軸線長さ(路長とも称する。)が球状部品30における前記大円Gの円周長さ以上となるように、その軸線長さが適宜に調整されている。このように転動路11の軸線長さが調整されていると、球状部品30が転動路11を通過するまでに少なくとも1回転するから、選別精度をより一層向上させることができる。転動路11の軸線長さは、一般に長くなればなるほど選別精度が向上するが、あまりに長すぎると掛止した大径球状部品等を取り除くのに効率が低下するうえ、大きな配置スペースを要することがある。したがって、転動路11の軸線長さの上限値は、これらを考慮して、適宜に調整される。この例においては、転動路11の軸線長さは、本体21の軸線長さと同一とされ、前記大円Gの円周約1.5個分に調整されている。前記本体21は、環状の転動路11が穿孔可能な寸法を有していればよく、前記接触内面16と外周面との距離である壁厚は特に限定されない。
【0031】
この発明に係る球状部品選別部材における一例の球状部品選別部材1Bは、図1(c)、図1(d)、図2(c)及び図2(d)に示されるように、本体22の外径及び接触内面17が異なること以外は、前記球状部品選別部材1Aと基本的に同様である。すなわち、球状部品選別部材1Bは、球状部品30の転動方向に垂直な平面(特に図2(d)参照。)において、球状部品30の許容最大半径rを曲率半径ρとし、この球状部品30の円周の少なくとも半分に接触する接触内面17を有すると共に球状部品30が転動し通過する転動路12を、備えて成る。以下、前記相違点を中心に説明する。
【0032】
図1(c)は球状部品選別部材1Bの左側面図であり、図1(d)は球状部品選別部材1Aの正面図である。図2(c)は球状部品選別部材1Bの転動路12に球状部品30を転動させた状態を説明する正面図であり、図2(d)は図2(c)のB−B線における球状部品選別部材1Bの断面図、すなわち、球状部品30の転動方向に垂直な平面における断面図である。
【0033】
この球状部品選別部材1Bは、図1(c)及び図1(d)等に示されるように、軸線に平行な平面で軸線方向の全体に外壁の一部が切除された管状の本体22と、この本体22の軸線方向に沿って貫通する貫通溝12とを有する管状体である。この管状体において、貫通溝12がこの発明に係る転動路に相当し、この貫通溝12は前記本体22と軸線を共有するように、球状部品の転動方向に貫通している。
【0034】
この転動路12は、特に図2(d)に示される前記平面において、球状部品30の許容最大半径rを曲率半径ρとする円弧状、半環状又は馬蹄形の接触内面17を有している。そして、この接触内面17は、前記平面において球状部品30の円周の大半に接触している。前記接触内面17は、前記大円Gの円周の少なくとも半分に接触していればよく、この例においては、前記円周の約80%に接触する。
【0035】
この発明に係る球状部品選別部材における一例の球状部品選別部材1Cは、図1(e)及び図1(f)に示されるように、本体23に長孔26が穿孔されていること以外は、前記球状部品選別部材1Aと基本的に同様である。すなわち、球状部品選別部材1Cは、球状部品の転動方向に垂直な平面において、球状部品の許容最大半径rを曲率半径ρとし、この球状部品の円周の少なくとも半分に接触する接触内面18を有すると共に球状部品が転動し通過する転動路13と、転動路13の軸線に沿って転動路13に連通する長孔26とを備えて成る。以下、前記相違点を中心に説明する。
【0036】
図1(e)は球状部品選別部材1Cの左側面図であり、図1(f)は球状部品選別部材1Cの上面図である。
【0037】
この球状部品選別部材1Cは、図1(e)及び図1(f)に示されるように、四角柱体の本体23と、その軸線方向に沿って貫通する断面円形の貫通孔13と、本体23の軸線に沿ってスリット状に穿孔され、前記本体23の周面から貫通孔13に連通する長孔26とを有する管状体である。この管状体において、貫通孔13がこの発明に係る転動路に相当し、この貫通孔13は前記本体23と軸線を共有するように球状部品の転動方向に貫通している。
【0038】
接触内面18は、転動路13の両端部における接触内面18aが球状部品の前記円周の全周に接触し、転動路13の中央部すなわち長孔26が形成された部分における接触内面18bが球状部品の前記円周の大部分に接触するように、なっている。この長孔26は、例えば、転動路13内を転動する球状部品の回転軸を強制的に変化させる機能、転動路13に掛止した大径球状部品を取り出す際に、例えば、棒状の取出部材の先端が挿入され、この取出部材の移動を案内する機能等を有している。この例において、接触内面18bが前記円周に接触する割合は、選別精度を考慮して、前記接触内面18aの軸線長さ等に応じて適宜に設定されるが、前記円周の少なくとも半分に接触しているのが高い選別精度を実現できる点で好ましい。
【0039】
この発明に係る球状部品選別部材における一例の球状部品選別部材1Dは、図1(g)及び図1(h)に示されるように、転動路14が傾斜して形成されていること以外は、前記球状部品選別部材1Aと基本的に同様である。すなわち、球状部品選別部材1Dは、球状部品の転動方向に垂直な平面において、球状部品の許容最大半径rを曲率半径ρとし、この球状部品の円周の全体に接触する接触内面19を有すると共に球状部品が転動し通過する転動路14を、備えて成る。以下、前記相違点を中心に説明する。
【0040】
図1(g)は球状部品選別部材1Dの左側面図であり、図1(h)は球状部品選別部材1Dの正面図である。
【0041】
この球状部品選別部材1Dは、図1(g)及び図1(h)に示されるように、四角柱体の本体24と、その軸線方向に沿って貫通する断面円形の貫通孔14とを有する管状体である。この管状体において、貫通孔14がこの発明に係る転動路に相当し、この貫通孔14は前記本体24の軸線に対して傾斜するように球状部品の転動方向に貫通している。本体24の軸線に対する転動路14の傾斜角θは、前記部品群特に球状部品が必要以上の転動速度で転動しないような傾斜角であればよく、例えば、0°を超え90°未満の範囲、好ましくは1〜45°に設定される。この例において、前記傾斜角θは約15°に設定されている。
【0042】
この発明に係る球状部品選別部材は、球状部品選別部材1A〜1Dのように1つの転動路を備えていれば、この発明の目的を十分に達成することができるが、高い選別精度に加えて高い選別効率を達成するのであれば、複数の転動路を備えているのが好ましい。
【0043】
この発明に係る球状部品選別部材における一例の球状部品選別部材2Aは、図3(a)に示されるように、2つの転動路11が一方向に並設されていること以外は、前記球状部品選別部材1Aと基本的に同様である。すなわち、球状部品選別部材2Aは、球状部品が転動し通過する2つの転動路11を備えて成り、これら2つの転動路11はそれぞれ、球状部品の転動方向に垂直な平面において、球状部品の許容最大半径rを曲率半径ρとし、この球状部品の円周の全体に接触する接触内面16を有している。以下、前記相違点を中心に説明する。図3(a)は球状部品選別部材2Aの左側面図である。2つの転動路11は、それらの軸線が同一平面内に互いに略平行となるように、並設されている。図3(a)には、2つの転動路11が水平方向すなわち紙面の左右方向に並列された状態が示されている。
【0044】
この発明に係る球状部品選別部材における一例の球状部品選別部材2Bは、図3(b)に示されるように、3つの転動路11が一方向に並設されていること以外は、前記球状部品選別部材1Aと基本的に同様である。すなわち、球状部品選別部材2Bは、球状部品が転動し通過する3つの転動路11を備えて成り、これら3つの転動路11はそれぞれ、球状部品の転動方向に垂直な平面において、球状部品の許容最大半径rを曲率半径ρとし、この球状部品の円周の全体に接触する接触内面16を有している。以下、前記相違点を中心に説明する。図3(b)は球状部品選別部材2Bの左側面図である。3つの転動路11は、それらの軸線が同一平面内に互いに略平行となるように、並設されている。図3(b)には、3つの転動路11が垂直方向すなわち紙面の上下方向に並列された状態が示されている。
【0045】
この発明に係る球状部品選別部材における一例の球状部品選別部材2Cは、図3(c)に示されるように、4つの転動路11が互いに垂直に交差する二方向に並設されていること以外は、前記球状部品選別部材1Aと基本的に同様である。この球状部品選別部材2Cは、2つの転動路11が二列に並設されているということもできる。すなわち、球状部品選別部材2Cは、球状部品が転動し通過する4つの転動路11を備えて成り、これら4つの転動路11はそれぞれ、球状部品の転動方向に垂直な平面において、球状部品の許容最大半径rを曲率半径ρとし、この球状部品の円周の全体に接触する接触内面16を有している。以下、前記相違点を中心に説明する。図3(c)は球状部品選別部材2Cの左側面図である。4つの転動路11は、それらの軸線が四角柱体の稜線となるように、互いに略平行に並設されている。図3(c)には、4つの転動路11が水平方向及び垂直方向に2つずつ並列された状態が示されている。
【0046】
この発明に係る球状部品選別部材における一例の球状部品選別部材2Dは、図3(d)に示されるように、転動路11の各中心軸が同心状となるように、4つの転動路11が並設又は配設されていること以外は、前記球状部品選別部材1Aと基本的に同様である。すなわち、球状部品選別部材2Dは、球状部品が転動し通過する4つの転動路11を備えて成り、これら4つの転動路11はそれぞれ、球状部品の転動方向に垂直な平面において、球状部品の許容最大半径rを曲率半径ρとし、この球状部品の円周の全体に接触する接触内面16を有している。図3(d)は球状部品選別部材2Dの左側面図である。
【0047】
この発明に係る球状部品選別部材における一例の球状部品選別部材2Eは、図1(d)に示される球状部品選別部材1Dと同様に、図5に示されるように、転動路が傾斜して形成されていること以外は、前記球状部品選別部材2B又は2Dと基本的に同様である。すなわち、球状部品選別部材2Eは、球状部品が転動し通過する傾斜した3つの転動路11A、11B及び11Cを備えて成り、又は、球状部品が転動し通過する傾斜した4つの転動路を備えて成り、これら3つ又は4つの転動路はそれぞれ、球状部品の転動方向に垂直な平面において、球状部品の許容最大半径rを曲率半径ρとし、この球状部品の円周の全体に接触する接触内面を有している。前記転動路11はそれぞれ同様に傾斜し、その傾斜角θは前記球状部品選別部材2Dと同様に設定されている。
【0048】
この発明に係る球状部品選別部材は、前記部品群を順次転動させることができれば、いかなる材質で形成されていてもよく、前記材質として、例えば、各種金属、各種樹脂等が挙げられる。
【0049】
次に、この発明に係る球状部品選別部材における一例の球状部品選別装置について説明する。この発明に係る球状部品選別装置における一例の球状部品選別装置3は、図4に示されるように、部品供給部材5と、球状部品選別部材1Aと、取出部材6と、第1収容部材7と、第2収容部材8とを備えて成る。この球状部品選別部材1Aは前記球状部品選別部材1Aと基本的に同様である。
【0050】
前記部品供給部材5は、図4に示されるように、選別対象となる部品群を収容する。部品供給部材5は、部品群を収容する筐体5aと、筐体5aの底部近傍から斜め下方に向けて延在して部品群を転動路11に供給する供給路5bとを有して成る。すなわち、供給路5bは、図4に示されるように、球状部品選別装置3において、筐体5aの底部近傍から球状部品選別部材1Aの転動路11に向けて下方に延在している。この部品供給部材5は、部品群を構成する球状部品及び大径球状部品を一列で連続して又は間欠的に転動路11に供給可能になっている。
【0051】
前記球状部品選別部材1Aは、図4に示されるように、転動路11が供給路5bの延長線上にその前方に向けて下降するように、傾斜した状態に配置されている。前記前方は球状部品の転動方向下流ともいうことができる。すなわち、球状部品選別部材1Aは、図4に示されるように、球状部品が転動路11内を転動路11に沿って転動するように、転動路11を下降勾配に傾斜配置されている。このときの転動路11の下降勾配は、球状部品が必要以上の転動速度で転動しないような角度であって、例えば、図6に示される掛止状態で大径球状部品が自重で落下しない程度の角度であればよく、転動路11の軸線が水平面に対して0°を超え90°未満の傾斜角θとなるように、調整される。前記傾斜角は、1〜45°の範囲が好ましく、この例において前記傾斜角θは約15°に設定されている。なお、図4には、供給路5bの先端と転動路11の送入口11aとが僅かに離間して配置された状態が示されているが、前記先端と送入口11aとは連接するように球状部品選別部材1Aを配置するのが好ましい。
【0052】
取出部材6は、球状部品選別部材1Aの転動路11内で掛止した大径球状部品等を取り出す部材である。後述するように、部品群を構成する大径球状部材31は、転動路11に送入されて転動すると、例えば、図6に示されるように、表面の一部が隆起又は突起した大径部31aで引っ掛かって、場合によって大径球状部品31の中心の転動軌跡が転動路11の軸線から逸脱して、転動路11内に掛止する。取出部材6は、このようにして転動路11内で不動となった大径球状部品31を取り出して除去する部材である。この例において、取出部材6は、図4に示されるように、転動路11に挿入可能な寸法を有し、転動路11を貫通する長さを有する棒状体とされている。
【0053】
第1収容部材7は、転動路11を通過してきた球状部品を収納する部材であり、前記球状部品選別部材1Aの下流側に、転動路11の排出口11bに隣接するように、配置される。第2収容部材8は、転動路11に進入できない大径球状部品、又は、進入しても転動路11で掛止した大径球状部品を収容する部材であり、前記球状部品選別部材1Aの上流側であって転動路11の送入口11a近傍に配置される。第1収容部材7及び第2収容部材8としては、それぞれ、例えば、公知の各種ボックス等を採用することができる。
【0054】
球状部品選別装置3は、図4に示されていないが、転動路11に大径球状部品等が掛止したときに、球状部品選別部材1Aの送入口11aを供給路5bの先端から移動させる移動手段を備えていてもよい。移動手段は、球状部品選別部材1Aを略水平となるように、又は、送入口11a側を排出口11b側よりも低位置に傾斜させるように、球状部品選別部材1Aの配置状態を変位させる部材であれば、特に限定されず、例えば、ロボットアーム、エアシリンダ、油圧シリンダ等が挙げられ、また、移動手段の代わりに手動で球状部品選別部材1Aを変位させてもよい。
【0055】
また、球状部品選別装置3は、図4に示されていないが、転動路11における球状部品の排出口11b側から転動路11に取出部材6を挿入して掛止した大径球状部品を送入口11a側に押出す押出部材を備えていてもよい。このような押出部材として、例えば、一方向に前後進可能なロボットアーム、エアシリンダ、油圧シリンダ、エアブロー等が挙げられ、また、押出部材の代わりに手動で取出部材6を変位させてもよい。
【0056】
この発明に係る球状部品選別装置における別の一例の球状部品選別装置4は、図5に示されるように、部品供給部材5と、球状部品選別部材2Eと、取出部材6と、第1収容部材7と、第2収容部材8と、切替部材9とを備えて成る。この球状部品選別部材2Eの転動路11A、11B及び11Cそれぞれにおける傾斜角θは前記供給路5bの傾斜角と略一致している。
【0057】
この球状部品選別装置4における部品供給部材5、取出部材6、第1収容部材7及び第2収容部材8は、それぞれ、球状部品選別装置3における部品供給部材5、取出部材6、第1収容部材7及び第2収容部材8と基本的に同様である。
【0058】
前記球状部品選別部材2Eは前記球状部品選別部材1Aと基本的に同様である。この球状部品選別部材2Eは、図5に示されるように、一つの転動路11Aが部品供給部材5の前記供給路5bの延長線上にその前方に向けて下降するように、略水平に配置されている。したがって、供給路5bは、図5に示されるように、球状部品選別装置4において、筐体5aの底部近傍から球状部品選別部材2Eの前記1つの転動路11Aに向けて下方に延在している。なお、図5には、供給路5bの先端と前記1つの転動路11Aの送入口11aとが僅かに離間して配置された状態が示されているが、前記先端と前記送入口11aとは連接するように球状部品選別部材2Eを配置するのが好ましい。
【0059】
前記切替部材9は、前記1つの転動路11A以外の転動路11B及び11Cを、前記供給路5bの延長線上にその前方に向けて下降するように配置する部材である。この例において、前記切替部材9は球状部品選別部材2Eを移動させて、球状部品選別部材2Eの各転動路11A〜11Cそれぞれを供給路5bの延長線上にその前方に向けて下降するように順次切替えて配置する部材と称することもできる。すなわち、この切替部材9は、供給路5bの延長線上に配置された前記1つの転動路11Aを、供給路5bの延長線上に球状部品選別部材2Eが具備する他の転動路例えば転動路11B又は11Cに切替えて配置する部材である。前記切替部材9は、このように、複数の転動路11A〜11Cを切替えて球状部品選別部材2Eを配置することができればよく、この例においては、球状部品選別部材2Eを、図5に示される矢印AB方向に上下動可能に、又は、図5に示される矢印CD方向に回転可能に支持する支持可動部材10と、支持可動部材10に設けられた駆動部(図示しない。)とを備えている。前記支持可動部材10の支持部(図示しない。)には、球状部品選別部材2Eの周面に形成された歯車又はピニオン(図示しない。)に螺合する内歯歯車(図示しない。)が形成され、内かみあい構造を形成している。
【0060】
球状部品選別装置4は、図5に示されていないが、前記球状部品選別装置3と同様に、転動路11における球状部品の排出口11b側から転動路11に取出部材6を挿入して掛止した大径球状部品を送入口11a側に押出す押出部材を備えていてもよい。
【0061】
球状部品選別装置3を用いて、許容最大半径rの半径を有する球状部品及び許容最大半径rよりも大きな半径を有する大径球状部品が混在する部品群から球状部品を選別する方法を説明する。
【0062】
前記球状部品の選別方法は、部品群に含まれる球状部品及び大径球状部品を、その転動方向に垂直な平面において、球状部品の許容最大半径rを曲率半径ρとし、球状部品の円周の少なくとも半分に接触する接触内面を有する転動路内を順次転動させ、転動路を通過してきた球状部品を採取選別する方法である。
【0063】
球状部品選別装置3は、図4に示されるように構成されており、前記部品群が部品供給部材5に収納されている。この部品供給部材5の供給路5bから部品群を構成する球状部品又は大径球状部品を転動路11に供給する。
【0064】
転動路11に供給された球状部品は、前記半径を有しているから、転動路11内に進入する。そして、進入した球状部品は、例えば、図2(a)に示されるように、前記平面におけるその大円Gの円周が転動路11の接触内面16に接触した状態を維持しつつ、換言すると、球状部品30の中心の転動軌跡が転動路11の軸線と一致した状態で、転動路11内をその排出口11bに向けて下流方向に円滑に転動する。転動路11内を転動してきた球状部品30は転動路11を通過して排出口11bから排出され、第1収容部材7に収容される。
【0065】
転動路11に供給された大径球状部品が転動路11の送入口11a近傍において、転動方向に垂直であって大径球状部品の中心を含む平面における大円が許容最大半径rよりも大きな半径を有する部分であると、この大径球状部品はその半径よりも小さな半径を有する送入口11aに当接して転動路11内に進入することができず、供給路5bの先端近傍に留まる。この大径球状部品は第2収用部材8に収納される。
【0066】
また、転動路11に供給された大径球状部品が転動路11の送入口11a近傍において、転動方向に垂直であって大径球状部品の中心を含む平面における大円が許容最大半径r以下の半径を有する部分であると、この大径球状部品は転動路11に進入して転動する。この大径球状部品が転動路11内を転動することによって、図6に示されるように、例えば、表面が隆起して許容最大半径rよりも大きな半径を有する部分、具体的には、大径部31aが接触内面16に接触すると、この部分で転動が阻止されて大径球状部品31が転動路11の途中で掛止する。このように、大径球状部品31がたとえ転動路11内に進入しても、転動路11を通過して排出口11bから排出されることは実質的にない。転動路11の排出口11b側から取出部材6を挿入して掛止した大径球状部品31を送入口11aから取り出して第2収用部材8に収納する。
【0067】
このようにして、球状部品と大径球状部品とを高い選別精度で選別することができる。
【0068】
この方法においては、転動路11の接触内面16が球状部品の円周の全体に接触するから、球状部品はその中心の転動軌跡が転動路11の軸線と一致した状態で転動し、一方、大径球状部品はその中心の転動軌跡が転動路11の軸線から逸脱した状態で転動することができず、転動路11を通過することを効果的に防止することができる。したがって、この方法によれば、より一層高い選別精度で、球状部品と大径球状部品とを選別することができる。
【0069】
この例においては、球状部品選別部材1Aを用いる方法を説明したが、球状部品選別部材1Aに代えて球状部品選別部材1B〜1D及び2A〜2Eを用いても、基本的に同様に、高い選別精度で球状部品と大径球状部品とを選別することができる。
【0070】
したがって、この発明によれば、球状部品を容易かつ高い選別精度で選別することのできる球状部品の選別方法を提供するという目的を達成することができる。
【0071】
球状部品選別装置4を用いて、許容最大半径rの半径を有する球状部品及び許容最大半径rよりも大きな半径を有する大径球状部品が混在する部品群から球状部品を選別する方法を説明する。
【0072】
球状部品選別装置4を用いる選別方法では、大径球状部品が転動路11の途中で掛止したときに、前記球状部品選別装置3のように選別操作を中断することなく選別操作を実施することができる点において、球状部品選別装置3を用いた選別方法と相違する。すなわち、球状部品選別装置4を用いる選別方法は、球状部品選別装置3を用いる選別方法に比して高い選別効率を実現することができる。
【0073】
この選別方法においては、球状部品選別装置3を用いた選別方法と同様に、転動路11Aに部品群を供給する。そして、図6に示されるように、球状部品選別装置4の1つの転動路11Aに大径球状部品31が掛止したとき、又は、一定期間経過後に、切替部材9が作動して、供給路5bの先端に別の転動路11例えば転動路11B又は11Cが配置されるように、球状部品選別装置4を、図5に示される矢印AB方向に上下動させて、又は、図5に示される矢印CD方向に回転させて、供給路16の延長線上に位置する転動路11A〜11Cを切替える。
【0074】
供給路5bの先端に新たに切替配置された転動路11B又は11Cに部品群を供給して選別作業を継続する一方で、供給路5bの先端から離された転動路11Aに掛止した大径球状部品31を取出部材6で前記のようにして取り出し、第2収容部材8に収容する。このように、球状部品選別装置4を用いる選別方法では、部品群の選別操作と掛止した大径球状部品の取出操作とを同時に行うことができる。
【0075】
したがって、この方法によれば、より一層高い選別精度に加えて高い選別効率で、球状部品と大径球状部品とを選別することができる。
【0076】
この例においては、球状部品選別部材2E及び大径球状部品を用いた方法を説明したが、球状部品選別部材2Eに代えて球状部品選別部材2A〜2Dを用いても、基本的に同様に、高い選別精度に加えて高い選別効率で球状部品と大径球状部品とを選別することができる。
【0077】
したがって、この発明によれば、球状部品を容易かつ高い選別精度及び選別効率で選別することのできる球状部品の選別方法を提供するという目的を達成することができる。
【0078】
この発明に係る球状部品選別部材及び球状部品選別装置は、前記した実施例に限定されることはなく、本願発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。
【0079】
前記球状部品選別部材1A〜1D及び2A〜2Eは、前記大円Gの全体又は大部分に接触する接触内面を有する転動路11〜14を備えているが、この発明において、球状部品選別部材は、前記大円の少なくとも半分以上に接触する接触内面を有する転動路を備えていればよい。
【0080】
前記球状部品選別部材1A〜1D及び2A〜2Eは、本体の各端面に開口する送入口11aから排出口11bまで貫通する転動路11〜14を備えているが、この発明において、球状部品選別部材は、本体の一方の端面近傍及び他方の端面近傍に形成された、球状部品の許容最大半径よりも大きな空間部と、これらの空間部を連通する転動路とを備えていてもよい。前記空間部は、例えば、転動路に挿入される球状部品の転動速度を調整する機能等を担う。
【0081】
前記球状部品選別部材1A〜1D及び2A〜2Eは、それぞれ、1、2、3又は4つの転動路11〜14を有しているが、この発明において、球状部品選別部材は、5つ以上の転動路を有していてもよく、その数は特に限定されない。
【0082】
前記球状部品選別部材1A、1B、1D及び2A〜2Eは転動路11〜14を備え、前記球状部品選別部材1Cは転動路13と長孔26とを備えているが、この発明において、球状部品選別部材はその転動路内を転動する球状部品の転動軸を変化させる軸変化手段を備えていてもよい。この軸変化手段としては、例えば、転動路内に形成された螺旋状の突条又は溝、螺旋状に延在するスリット状の長孔、転動路内に設けられた植毛部、エア送入手段等が挙げられる。
【0083】
前記球状部品選別部材2A〜2Eは、それぞれ、複数の転動路11が水平方向、上下方向及び同心円上に並設されているが、この発明において、球状部品選別部材は、複数の転動路が斜め方向に並設されても、規則性なく並設されてもよい。
【0084】
前記球状部品選別装置3及び4において、棒状体の取出部材6を備えているが、この発明において、球状部品選別装置が備える取出部材は、前記棒状体等のように、転動路に挿入される部材に限定されず、例えば、転動路にエアを吹き込むエアブロー装置、球状部品選別部材を倒立させる倒立部材、この倒立部材と倒立した球状部品選別部材を振動させる振動部材とを備える倒立振動装置等であってもよい。
【0085】
前記球状部品選別装置3及び4は、それぞれ、1つの球状部品選別部材1A又は2Eを備えているが、この発明において、球状部品選別装置が備える球状部品選別部材は1つに限られず、並列又は直列に配列された複数の球状部品選別部材を備えていてもよい。特に、複数の球状部品選別部材が並列に配列された球状部品選別装置によれば、選別効率を格段に向上させることができる。また、曲率半径ρの異なる接触内面を有する転動路が形成された複数の球状部品選別部材が直列に配列された球状部品選別装置によれば、各球状部品選別部材によって複数の半径を有する球状部品を選別することができる。
【0086】
前記球状部品選別装置3は、1つの転動路11を有する球状部品選別部材1Aを備えているが、この発明において、球状部品選別装置は、複数の転動路を有する、例えば、前記球状部品選別部材2A〜2Eを備えていてもよい。この場合には、複数の転動路の全部を供給路の延長線上に配置してもよく、前記球状部品選別装置4のように一部の転動路を供給路の延長線上に配置してもよい。
【0087】
前記球状部品選別装置3は、前記球状部品選別部材1Aを備えているが、この発明において、球状部品選別装置は、例えば、図1に示される球状部品選別部材1B〜1D及び2A〜2Eを備えていてもよい。
【0088】
前記球状部品選別装置4において、供給路5bの延長線上に1つの転動路11Aを配置しているが、この発明において、前記供給路5bの延長線上に、球状部品選別装置が備える球状部品選別部材の全部でなければ複数の転動路を配置してもよい。
【0089】
前記球状部品選別装置4において、前記切替部材9は球状部品選別部材2Eの配置を変位させて転動路11を切替えるように、構成されているが、この発明において、切替部材は、部品供給部材又はその供給路を移動させて一部の転動路以外の転動路を供給路の延長線上にその前方に向けて下降するように配置する部材、例えば、昇降機であってもよい。
【0090】
前記球状部品選別装置4において、前記切替部材9は支持可動部材10と駆動部とを備えているが、この発明において、切替部材は、前記構成に限られず、例えば、前記駆動部と、この駆動部及び球状部品選別部材それぞれに設けられたプーリーと、プーリーに装架された無端ベルトとを備えた切替部材であってもよい。
【0091】
前記球状部品選別装置4は、前記球状部品選別部材2Eを備えているが、この発明において、球状部品選別装置は、例えば、図3に示される球状部品選別部材2A〜2Dを備えていてもよい。
【符号の説明】
【0092】
1A、1B、1C、1D、2A、2B、2C、2D、2E 球状部品選別部材
3、4 球状部品選別装置
5 部品供給部材
6 取出部材
7 第1収容部材
8 第2収容部材
9 切替部材
11、11A、11B、11C、12、14 転動路(貫通孔)
13 転動路(貫通孔)
16、17、18、18a、18b、19 接触内面
30 球状部品
31 大径球状部品
31a 大径部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
許容最大半径r以下の半径を有する球状部品と前記許容最大半径rよりも大きな半径を有する大径球状部品とが混在する部品群から前記球状部品を選別する球状部品選別部材であって、
前記球状部品選別部材は、前記球状部品が転動し通過する転動路を備えて成り、
この転動路は、前記球状部品の転動方向に垂直な平面において、前記球状部品の許容最大半径rを曲率半径ρとし、前記球状部品の円周の少なくとも半分に接触する接触内面を有していることを特徴とする球状部品選別部材。
【請求項2】
前記転動路は、前記転動方向に貫通する貫通孔又は貫通溝であることを特徴とする請求項1に記載の球状部品選別部材。
【請求項3】
前記転動路は、その路長が前記球状部品の円周以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の球状部品選別部材。
【請求項4】
前記転動路を複数備えて成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の球状部品選別部材。
【請求項5】
前記転動路が前記部品群を供給する供給路の延長線上にその前方に向けて下降するように、配置された請求項1〜4のいずれか1項に記載の球状部品選別部材と、
前記球状部品選別部材の前記転動路内で掛止した前記大径球状部品を取り出す取出部材とを備えて成ることを特徴とする球状部品選別装置。
【請求項6】
一部の前記転動路が前記部品群を供給する供給路の延長線上にその前方に向けて下降するように、配置された請求項4に記載の球状部品選別部材と、
前記一部の転動路以外の転動路を、前記部品群を供給する供給路の延長線上にその前方に向けて下降するように配置する切替部材と、
前記球状部品選別部材の前記転動路内で掛止した前記大径球状部品を取り出す取出部材とを備えて成ることを特徴とする球状部品選別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−36811(P2011−36811A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186670(P2009−186670)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】