説明

環境試験方法及び環境試験装置

【課題】本発明は、接続部又は配線部を有する試料の信頼性を判定する環境試験方法、及び、前記環境試験を実行可能な環境試験装置の提供を課題とする。
【解決手段】上記課題を解決するため、本発明の環境試験方法は、接続部又は配線部を有する試料を、所定の温度及び湿度に調整された雰囲気に所定時間さらし、前記接続部又は配線部が水分を吸着するのを促進する水分吸着工程と、前記試料を所定の雰囲気温度にさらした後、他の雰囲気温度にさらす一連の冷熱サイクル動作を所定回数繰り返す冷熱衝撃工程と、を含み、前記水分吸着工程と前記冷熱衝撃工程とが交互に実施される一連の試験サイクル動作が所定回数繰り返されることを特徴とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品等の接続部又は配線部の各種環境条件における信頼性を評価するための環境試験方法、及び、前記試験方法を実行可能な環境試験装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリント配線基板などの電子部品の接合材料として、鉛を含有する鉛はんだが広く用いられている。そのため下記特許文献1に示すように、鉛はんだの各種環境条件における信頼性を評価するための試験方法が提供されている。また、環境保護の観点から鉛はんだの削減および代替化が求められており、導電性接着剤が鉛はんだの代替材料として期待されている。導電性接着剤は、エポキシ樹脂などの接着樹脂に、銀、銅などの金属微粒子や金属めっき微粒子などの導電性フィラーを均一分散させた有機・無機混合材料である。
【特許文献1】特開2007−273875号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のように、従来から鉛はんだの各種環境条件における信頼性を評価するための試験方法や試験装置は提供されていた。しかし、鉛はんだと材質が異なる導電性接着剤については、各種環境条件における信頼性を評価するための基準的な試験方法や試験装置が確立されていないという問題があった。
【0004】
そこで本発明は、接続部又は配線部の材質にかかわらず接続部又は配線部の信頼性を判定することが可能な環境試験方法、および、前記環境試験を実行可能な環境試験装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、接続部又は配線部を有する試料を、所定の温度及び湿度に調整された雰囲気に所定時間さらし、前記接続部又は配線部が水分を吸着するのを促進する水分吸着工程と、前記試料を所定の雰囲気温度にさらした後、他の雰囲気温度にさらす一連の冷熱サイクル動作を所定回数繰り返す冷熱衝撃工程と、を含み、前記水分吸着工程と前記冷熱衝撃工程とが交互に実施される一連の試験サイクル動作が所定回数繰り返されることを特徴とする環境試験方法である。
【0006】
請求項1の環境試験方法は、水分吸着工程において、接続部又は配線部が水分を吸着するのを促進することができ、冷熱衝撃工程において、接続部又は配線部に吸着された水分を相変化させて接続部又は配線部に応力を与えることができる。そのため請求項1の環境試験方法は、一連の試験サイクル動作を繰り返すことにより、試料を短時間のうちに評価することができる。
【0007】
また請求項1の環境試験方法は、冷熱衝撃工程において、接続部又は配線部に吸着された水分の一部又は全部が接続部又は配線部の外部に放出された後であっても、再び水分吸着工程が行われて、接続部又は配線部に再び水分を吸着させる。その後、再び冷熱衝撃工程が行われるため、試料の接続部又は配線部に対して負荷を与え続けることができる。このように請求項1の環境試験方法は、試料の接続部又は配線部に対して絶えず負荷を与え続けることができるため、短期間のうちに試料の接続部又は配線部の弱点部を劣化させることができる。また請求項1の環境試験方法は、水分吸着工程と冷熱衝撃試験とが交互に実施される一連の試験サイクル動作が所定回数繰り返されるため、試料が故障したサイクル数や時間を比較することにより、試料の品質を容易に判断することができる。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記接続部又は配線部が、接着性樹脂に導電性フィラーを混合させた導電性接着剤で形成されたものであることを特徴とした。
【0009】
導電性接着剤の接着性樹脂として用いられる高分子材料や高分子複合材料は、分子間に微小な空間を有しており、この空間に空気中の水分が吸着されることが知られている。接着樹脂に吸着された水分は、接着樹脂に混合された導電性フィラーや実装した電子部品の界面部が酸化(腐食)する原因になる。また導電性接着剤をプリント配線基板などの電子部品の接続に用いる場合、これらの電子部品は、自動車や家電製品などの多様な装置に使用され、昼夜の温度変化のみならず、装置のON/OFFに起因する温度変化にも晒されることになる。したがって電子部品等が実際に使用される環境では、接続部又は配線部に吸着された水分が、上記の温度変化によって相変化を起こし、体積を膨張収縮させて接続部又は配線部に対して応力を作用させている。
【0010】
かかる知見に基づき提供される請求項2の環境試験方法は、水分吸着工程において、導電性接着剤の接着性樹脂が水分を吸着するのを促進することができ、冷熱衝撃工程において、接着性樹脂に吸着された水分を相変化させることができる。そのため請求項2の環境試験方法は、電子部品等が実際に使用される環境で生じ得る劣化を試料に対して生じさせることができる。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記水分吸着工程または前記冷熱衝撃工程の少なくともいずれか一方において、前記接続部又は配線部の電気的特性を測定して、前記接続部又は配線部の接続品質を検査することを特徴とした。
【0012】
これにより請求項3の環境試験方法は、環境試験中の試料の接続部又は配線部の電気的特性を測定し、接続部又は配線部の接続品質を検査することができる。そのため請求項2の環境試験方法は、環境試験が終了するのを待つことなく、効率的に接続部又は配線部の接続品質を検査することができる。
【0013】
請求項4の発明は、接続部又は配線部を有する試料を収容可能な試験空間と、前記試験空間を加熱可能な加熱手段と、前記試験空間を冷却可能な冷却手段と、前記試験空間を加湿可能な加湿手段と、前記試験空間の雰囲気温度及び雰囲気湿度を調整可能な制御部と、を備え、前記制御部は、前記加熱手段及び前記加湿手段によって前記試験空間の雰囲気温度及び雰囲気湿度を前記接続部又は配線部が水分を吸着し易い所定の設定温度及び設定湿度に制御する恒温恒湿試験と、前記加熱手段によって前記試験空間の雰囲気温度を所定の高温側設定温度にする高温さらし運転及び前記冷却手段によって前記試験空間の雰囲気温度を低温側設定温度にする低温さらし運転を交互に所定回数繰り返す冷熱衝撃試験と、を交互に所定回数繰り返す環境試験を実行可能であることを特徴とする環境試験装置である。
【0014】
請求項4の環境試験装置は、恒温恒湿試験において、試料を所定の雰囲気温度及び雰囲気湿度に晒すことにより、接続部又は配線部が水分を吸着するのを促進することができる。また請求項4の環境試験装置は、恒温恒湿試験で接続部又は配線部に吸着された水分を、冷熱衝撃試験により相変化させることができる。
【0015】
また請求項4の環境試験装置は、冷熱衝撃試験により接続部又は配線部に吸着された水分の一部又は全部が接続部又は配線部の外部に放出された後であっても、再び恒温恒湿試験を行い、導電性接着剤に水分を吸着させ、その後、再び冷熱衝撃試験を行い、試料の接続部又は配線部に負荷を与える続けることができる。このように請求項4の環境試験装置は、試料の接続部又は配線部に対して常に負荷を与え続けることができる。そのため、短期間のうちに試料の接続部又は配線部を劣化させることができる。また請求項4の環境試験装置は、恒温恒湿試験と冷熱衝撃試験とを交互に実施する一連の試験サイクル動作が所定回数実施されるため、試料が故障したサイクル数や時間等を比較することによって試料の品質を容易に判断することができる。
【0016】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記接続部又は配線部が、接着性樹脂に導電性フィラーを混合させた導電性接着剤で形成されたものであることを特徴とした。
【0017】
請求項5の環境試験装置は、恒温恒湿試験において、試料を所定の雰囲気温度及び雰囲気湿度に晒すことにより、導電性接着剤の接着性樹脂が水分を吸着するのを促進することができる。また請求項5の環境試験装置は、恒温恒湿試験で導電性接着剤の接着性樹脂に吸着された水分を、冷熱衝撃試験により相変化させることができる。そのため請求項5の環境試験装置は、電子部品等が実際に使用される環境で生じ得る劣化を試料に対して生じさせることができる。
【0018】
請求項6の発明は、請求項4又は5の発明において、前記接続部又は配線部の電気的特性を測定可能な電気特性測定装置を備え、前記制御部は、環境試験を実行するとともに、前記電気特性測定装置によって前記接続部又は配線部の電気的特性を測定し、前記接続部又は配線部の接続品質を検査することを特徴とした。
【0019】
これにより請求項6の環境試験装置は、環境試験中の試料の接続部又は配線部の電気的特性を測定し、接続部又は配線部の接続品質を検査することができる。そのため請求項6の環境試験装置は、環境試験が終了するのを待つことなく、効率的に接続部又は配線部の接続品質を検査することができる。
【0020】
請求項7の発明は、請求項6の発明において、前記制御部は、前記接続部又は配線部の電気的特性の測定値に基づき前記接続部又は配線部に故障の兆候があると判断することを条件として、環境試験を終了することを特徴とした。
【0021】
故障の兆候があるにもかかわらず環境試験を続行すると、試料が故障してしまい、故障に至るまでの状態を解析することができない。請求項7の環境試験装置は、試料の接続部又は配線部に故障の兆候があると、環境試験を終了し、試料が故障に至るまでの状態を保持することができる。これにより試料が故障に至るまでのメカニズムを解析することができる。また請求項7の環境試験装置は、故障の兆候が検出されると環境試験を終了させるので環境試験に要する時間を短縮することができる。これにより環境試験の効率が向上される。
なお電気特性測定装置が測定する電気的特性としては、抵抗値、インピーダンス、静電容量(キャパシタンス)、又は周波数特性等が想定される。
【0022】
請求項8の発明は、請求項6の発明において、前記制御部は、前記接続部又は配線部の電気的特性の測定値に基づき前記接続部又は配線部に故障の兆候があると判断することを条件として、冷熱衝撃試験の温度幅、恒温恒湿試験の設定温度、又は恒温恒湿試験の設定湿度の少なくともいずれか一つを試験条件が緩和される方向に引き下げることを特徴とした。
【0023】
これにより請求項8の環境試験装置は、環境試験によって接続部又は配線部に作用する負荷を軽減し、接続部又は配線部に生じる劣化の進行を遅延させることができる。これにより請求項8の環境試験装置は、接続部又配線部の故障部位や故障のメカニズムを効率的に解析することが可能になる。
【0024】
請求項9の発明は、請求項4〜8のいずれかに記載の発明において、前記冷却手段は、環境試験を恒温恒湿試験から冷熱衝撃試験に切り換える前に使用される第一冷却器と、冷熱衝撃試験において使用される第二冷却器と、を備えており、前記制御部は、環境試験を恒温恒湿試験から冷熱衝撃試験に切り換える前に、前記試験空間を前記第一冷却器によって除湿することを特徴とした。
【0025】
環境試験を恒温恒湿試験から冷熱衝撃試験に切り換える際、試験空間を実際の使用環境に近づけるため、試験空間の除湿が行われる。試験空間の除湿と、冷熱衝撃試験における試験空間の冷却とが一つの冷却手段で行われると、試験空間の除湿で冷却手段に霜が付着するおそれがある。冷却手段に霜が付着すると、冷却手段における熱交換効率が低下するため、定期的な除霜動作が必要になる。しかし冷却手段の除霜動作は試験時間を長期化させるという問題があった。
【0026】
これに対し請求項9の環境試験装置は、環境試験を恒温恒湿試験から冷熱衝撃試験に切り換える前に行う試験空間の除湿で第一冷却器を使用し、冷熱衝撃試験における試験空間の冷却で第二冷却器を使用する。請求項9の環境試験装置は、試験空間の除湿で第二冷却器が使用されないため、第二冷却器に霜が付着する可能性が低い。そのため第二冷却器については、定期的な除霜が不要である。また第一冷却器については、試験空間の除湿に使用されるため霜が付着する可能性が高いが、請求項9の環境試験装置は、冷熱衝撃試験が行われる間に、第一冷却器の除霜を行うことができるため、第一冷却器の除霜により試験を中断したり、試験時間が長期化したりするおそれがない。
【0027】
上記請求項9に記載の環境試験装置は、前記加熱手段が、恒温恒湿試験において使用される第一加熱器と、冷熱衝撃試験において使用される第二加熱器と、を備えており、前記第一加熱器、前記第一冷却器、及び加湿手段が配置され、前記試験空間との間で空気の循環が可能な恒温恒湿空間と、前記第二加熱器および前記第二冷却器が配置され、前記試験空間との間で空気の循環が可能な加熱冷却空間と、を備え、前記制御部は、恒温恒湿試験では恒温恒湿空間で温度及び湿度が調整された空気を前記試験空間との間で循環させ、冷熱衝撃試験では加熱冷却空間で温度が調整された空気を前記試験空間との間で循環させることを特徴としてもよい(請求項10)。
【発明の効果】
【0028】
本発明の環境試験方法及び環境試験装置は、接続部又は配線部の材質にかかわらず試料を短期間のうちに劣化させ、接続部又は配線部の信頼性を判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態である環境試験装置10について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明を実施した第一実施形態に係る環境試験装置10の断面図である。図2は、第一実施形態に係る環境試験装置10の構成要素の電気的関係を示すブロック図である。
なお以下の説明では、前面扉(図示せず)が取り付けられた面を前面とし、上下左右の位置関係については、特に断りのない限り図1に示す姿勢を基準とする。
【0030】
図1に示すように、本実施形態の環境試験装置10は、冷熱チャンバー12と、冷熱チャンバー12の側方に配置される恒温恒湿チャンバー46と、を備える。冷熱チャンバー12および恒温恒湿チャンバー46のそれぞれは、断熱性の高い断熱壁で囲まれた内部空間14,48を有する。
【0031】
冷熱チャンバー12の内部空間14は、仕切板16によって、試料Sが収容される試験空間22と、空気の温度が調整される加熱冷却空間28とに仕切られる。仕切板16には、試験空間22と加熱冷却空間28とをつなぐ導入口18および排出口20が設けられている。
【0032】
試験空間22には、開閉可能な前面扉(図示せず)が取り付けられており、前面扉は冷熱チャンバー12の前面に配置される。前面扉が開かれると、試験空間22が外部に開放されて、試験空間22への試料S等の出し入れが可能になる。また前面扉には、シール部材が取り付けられており、前面扉が閉じられると、前面扉と冷熱チャンバー12とがシール部材によって密着し、冷熱チャンバーの内部空間をほぼ密閉状態にすることができる。また試験空間22には、試験空間22の温度を検知する温度センサ(図示せず)と、試験空間22の湿度を検知する湿度センサ(図示せず)とが設けられている。
【0033】
試験空間22を構成する断熱壁のうち、恒温恒湿チャンバー46側の断熱壁には、試験空間の内外を結ぶ開口である導入連結口38および排出連結口42が設けられている。導入連結口38および排出連結口42には、それぞれの開口を開閉可能なダンパ40,44が取り付けられている。
【0034】
加熱冷却空間28には、送風ファン32、加熱器34(加熱手段)、および冷却器36(冷却手段)を備えた冷熱空調システム30が設けられている。送風ファン32は、仕切板16の排出口20近傍に配置され、加熱冷却空間28から、排出口20、試験空間22、導入口18を経由して加熱冷却空間28に戻る一連の循環流路で空気を循環させることができる。加熱器34および冷却器36は、送風ファン32の上流側に配置されており、加熱冷却空間28の空気を所定の温度に加熱・冷却することができる。したがって冷熱空調システム30は、加熱器34および冷却器36によって所定の温度に調整された加熱冷却空間28の空気を、送風ファン32によって試験空間22に送り込み、試験空間22を所定の温度に調整することができる。
【0035】
恒温恒湿チャンバー46の内部空間48(恒温恒湿空間)を構成する断熱壁のうち、冷熱チャンバー12側の断熱壁には、恒温恒湿チャンバー46の内外を結ぶ開口である供給連結口50および吸込連結口52が設けられている。供給連結口50は、冷熱チャンバー12の導入連結口38と対向する位置に設けられ、供給ダクト68を介して導入連結口38と連結されている。また吸込連結口52は、冷熱チャンバー12の排出連結口42と対向する位置に設けられ、吸込ダクト70を介して排出連結口42と連結されている。
【0036】
恒温恒湿チャンバー46の内部空間48には、送風ファン56、加熱器58(加熱手段)、冷却器60(冷却手段)、および加湿器62(加湿手段)を備えた温湿空調システム54が設けられている。送風ファン56は、供給連結口50の近傍に配置され、恒温恒湿チャンバー46の内部空間48から、供給連結口50、供給ダクト68、導入連結口38、冷熱チャンバー12の試験空間22、排出連結口42、吸込ダクト70、吸込連結口52を経由して恒温恒湿チャンバー46に戻る一連の循環流路で空気を循環させることができる。したがって供給ダクト68は、恒温恒湿チャンバー46の内部空間48で温度及び湿度が調整された空気を冷熱チャンバー12の試験空間22に供給するための往き流路になる。また吸込ダクト70は、冷熱チャンバー12の試験空間22の空気を恒温恒湿チャンバー46の内部空間48に吸込むための戻り流路になる。
【0037】
温湿空調システム54の加熱器58および冷却器60は、送風ファン56の上流側に配置されており、恒温恒湿チャンバー46の内部空間48の空気を所定の温度に加熱・冷却することができる。また加湿器62は、貯水槽66と、貯水槽66に貯留された水を加熱する電熱ヒータ64とを備えており、電熱ヒータ64の加熱によって貯水槽66の水を蒸発させて、恒温恒湿チャンバー46の内部空間48の空気を加湿することができる。
【0038】
したがって温湿空調システム54は、加熱器58、冷却器60、および加湿器62によって所定の温度および湿度に調整された恒温恒湿チャンバー46の内部空間48の空気を、送風ファン56によって冷熱チャンバー12の試験空間22に送り込み、試験空間22を所定の温度および湿度に調整することができる。
【0039】
図2に示すように、本実施形態の環境試験装置10は、試料Sに接続される複数の測定回路78と、オペレータが各種設定を入力するための入力部84と、各種情報を表示する表示部86と、入力部84から入力された各種設定に関する情報や試料Sの電気的特性の測定結果等が一時的に記憶される記憶部88と、環境試験装置10の各部の動作を司る環境制御部72(制御部)と、試料Sの電気的特性を測定する電気特性測定装置90と、を備えている。
【0040】
本実施形態の測定回路78は、試料Sに対して所定レベルの電流を供給するための一対の電流端子と、試料Sの電圧を測定するための一対の電圧端子とを備えており、後述の電気特性測定装置90に接続されて四端子法により試料Sの接続部の抵抗値を測定するための回路である。
【0041】
入力部84は、オペレータによって試験に関する各種設定が入力される部分である。入力部84を介して入力可能な設定は、恒温恒湿試験における温湿度条件、冷熱衝撃試験における温度条件、試験サイクル数、試料Sに関する情報(組成、種類、名称、サイズ等)、試料Sの品質の良否を判断するための判定基準などである。また入力部84の構成には特に限定があるわけではなく、キー入力装置、タッチパネル入力装置、およびパソコン等の外部機器を接続するためのインターフェースなど任意の構成を採用することができる。
【0042】
表示部86は、環境制御部72の指示に応じて各種情報を表示することができる。例えば環境試験前には、オペレータへの入力の指示や、オペレータが入力部84で入力した設定内容を表示させることができる。また試験中は、試験モード、試験空間22の環境、実施している環境試験の試験サイクル数、測定された試料Sの電気特性等を表示させることができる。
【0043】
環境制御部72は、試験開始からの経過時間を計測可能なタイマー機能と、試験のサイクル数を計測可能なカウント機能とを備えている。
【0044】
電気特性測定装置90は、試験空間22の測定回路78と接続されるスキャナ94と、スキャナ94から試料Sの電気的特性に関する信号の入力を受けて試料Sの抵抗値を測定する抵抗計96と、電気特性測定装置90の各部の動作を司る測定制御部92とを備えている。
【0045】
スキャナ94は、抵抗計96と測定回路78との間に接続され、複数の測定回路78の中から抵抗計96に接続する測定回路78を選択することができる。即ち、各試料Sの電気的特性に関する信号がスキャナ94に入力されると、スキャナ94は、入力された複数の入力信号の中から一つの信号を選択して抵抗計96に出力することができる。
【0046】
抵抗計96は、測定回路78の電流端子に接続される定電流源と、測定回路の電圧端子に接続される電圧計とを備えている。抵抗計96は、定電流源から供給される電流によって生じた電圧を電圧計で測定し、定電流源から供給される電流値および電圧計で測定された電圧値に基づいて抵抗値を算出する。
【0047】
測定制御部92は、環境制御部72に電気的に接続されており、電気特性測定装置90が測定した試料Sの電気的特性に関する情報を環境制御部72に送信することができる。また測定制御部92は、環境制御部72からの各種情報を受信し、これらの情報に基づいて電気特性測定装置90の各部の動作を制御することができる。
【0048】
本実施形態の環境試験装置が試験対象とする試料Sは、基板s1に、抵抗やIC、コンデンサ等の電子部品Pを実装したものであり、基板s1と電子部品Pとが導電性接着剤によって接続されている。
【0049】
基板s1は、従来公知のものと同様にベークライトやエポキシ樹脂、セラミックスなどの電気を通さない非導電性材料からなる基材の表面に銅板や銅箔等のような導電性を有する導電部を設けた構成とされる。基板s1の導電部を構成する銅板等は、必要に応じてエッチング処理で回路を形成したり、めっき処理を施したりした構成とされる。
【0050】
電子部品Pは、半導体材料等の材料がパッケージングされたパッケージ部と、パッケージ部から外部に伸びるピンと、を有する。ピンは、基板s1の導電部に導電性接着剤によって接続される。
【0051】
基板s1と電子部品Pとを接続する接続部を形成する導電性接着剤は、銀や銅をはじめとする金属微粒子や金属めっき微粒子等の導電性フィラーを、エポキシ樹脂等の接着性樹脂に混合し、均一分散させたものである。本実施形態では、エポキシ樹脂と銀フィラーとが混合された導電性接着剤が用いられている。
【0052】
上記構成を備える環境試験装置10は、試料Sの接続部に水分を吸着させる水分吸着工程と、冷熱衝撃工程とを交互に所定回数繰り返す環境試験を実行すると同時に、試料Sの電気的特性(本実施形態では抵抗値)を測定することができる。また環境試験装置10は、試料Sの電気的特性の測定値に応じて試料Sが配置される試験空間22の環境条件を変更させることも可能である。
【0053】
以下では、環境試験装置10における具体的な試験手順を、図3〜5を参照しながら説明する。図3は、環境試験装置10における環境試験の手順を示すフローチャートであり、図4は、恒温恒湿試験の流れを示すフローチャートであり、図5は、冷熱衝撃試験の流れを示すフローチャートである。
【0054】
環境試験を行う際、オペレータは、試験対象となる各試料Sを試験空間22の所定の位置に配置して、各試料Sに測定回路78を接続する。具体的には、試料Sの基板s1に対して導電性接着剤により電子部品Pのピン等を接続して形成される接続部について接続不良の有無を確認する場合は、基板s1側の銅電極等に電流端子と電圧端子とが一本ずつ接続される。また、残りの電流端子と電圧端子については、電子部品Pのピンや基板s1に形成された銅電極等の導電性接着剤によって接続される被接続部分に接続される。
【0055】
次にオペレータは、環境試験に関する情報を入力部84から入力する。具体的に、環境試験に関する情報は、試料Sに関する情報(組成、種類、サイズ等)、試料Sの品質の良否を判断するための判定基準値、恒温恒湿試験に関する情報(設定温度、設定湿度、基準時間等)、冷熱衝撃試験に関する情報(低温側設定温度、高温側設定温度、温度変化率、冷熱サイクル動作の基準サイクル数等)、試験サイクル動作の基準サイクル数等である。入力部84から入力された情報は、記憶部88に一時的に格納される。
【0056】
その後、入力部84から試験開始の指示が入力されると、環境制御部72から初期測定の指示が測定制御部92に対して送信される。環境制御部72から指示を受けた測定制御部92は、電気特性測定装置90を制御して、試験開始前の試料Sの電気的特性を測定する初期測定を行う。初期測定においては、環境試験装置10が設置された環境条件における試料Sの抵抗値が測定される。測定された抵抗値に関する情報は、測定制御部92から環境制御部72に送信されて記憶部88に記憶される。
【0057】
初期測定後、環境制御部72は、試験空間22の雰囲気温度および雰囲気湿度を制御し、試験空間22に収容された試料Sに対して負荷を与える環境試験を開始する。環境試験は、図3に示すフローチャートに従って行われる。
図3に示すように、ステップ1では、環境制御部72の試験サイクルカウンターが初期化される。試験サイクルカウンターは、環境制御部72が備えるカウンターの一つであり、恒温恒湿試験の後に冷熱衝撃試験を実行する一連の試験サイクル動作をカウントすることができる。試験サイクルカウンターが初期化されると、試験サイクルカウンターのカウント数Nが0になり、制御フローがステップ2に移行される。
ステップ2では、環境制御部72の試験サイクルカウンターに1カウントが加えられ、制御フローはステップ3に移行する。
ステップ3では、後述する恒温恒湿試験が実行される。恒温恒湿試験の終了後、制御フローはステップ4に移行する。
ステップ4では、後述する冷熱衝撃試験が実行される。所定の冷熱サイクル数の冷熱衝撃試験の終了後、制御フローはステップ5に移行する。
ステップ5では、試験サイクルカウンターのカウント数Nが所定の基準サイクル数に達するか否かが判断される。試験サイクルカウンターのカウント数Nが所定の基準サイクル数に達すると、環境試験は終了する。また試験サイクルカウンターのカウント数Nが所定の基準サイクル数に達しない場合には、制御フローはステップ2に戻され、環境試験が続行される。
【0058】
次に図3のステップ3の恒温恒湿試験について説明する。図3のステップ3において恒温恒湿試験が開始されると、制御フローは図4のステップ101に移行する。
ステップ101では、環境制御部72が備えるタイマー機能により、恒温恒湿試験の経過時間Tの計測が開始され、制御フローがステップ102に移行される。
【0059】
ステップ102では、試験空間22の加熱および加湿が開始される。本実施形態の環境試験装置10では、試験空間22の加熱が先に行われ、試験空間22が所定の設定温度(本実施形態では85℃)に達した後に、試験空間22の加湿が開始される。
【0060】
図6に示すように環境制御部72は、試験空間22の導入連結口38および排出連結口42に取り付けられたダンパ40,44を開状態にし、恒温恒湿チャンバー46の温湿空調システム54の加熱器58と送風ファン56とを駆動させる。加熱器58により恒温恒湿チャンバー46の内部空間48の空気が加熱され、加熱された空気は、送風ファン56によって供給ダクト68から試験空間22に送り込まれる。恒温恒湿チャンバー46から供給された空気に押され、試験空間22の空気の一部は、吸込ダクト70から恒温恒湿チャンバー46の内部空間48に送り込まれ、加熱器58によって加熱される。これらの動作が繰り返され、試験空間22は所定の設定温度(本実施形態では85℃)にまで昇温される。
【0061】
試験空間22が所定の設定温度に達すると、環境制御部72は、温湿空調システム54の加湿器62の電熱ヒータ64への通電を開始する。加湿器62によって恒温恒湿チャンバー46の内部空間48の空気が加湿され、加湿された空気が送風ファン56によって試験空間22に送り込まれる。これにより試験空間22は、所定の設定湿度(本実施形態では85%)にまで加湿される。
【0062】
なお図6に示すように環境制御部72は、試験空間22の加熱および加湿を開始するのと同時に、冷熱空調システム30の送風ファン32を駆動させることができる。冷熱空調システム30の送風ファン32が駆動されることにより、試験空間22の空気が攪拌混合され、試験空間22の温度および湿度を均一化させることができる。また送風ファン32を駆動させることにより加熱された高温の空気を加熱冷却空間28に導入することができるため、冷熱空調システム30の冷却器36の除霜を行うことができる。
【0063】
ステップ103では、試験空間22の雰囲気温度および雰囲気湿度が、所定の設定温度および設定湿度に維持されるように、加熱器58および加湿器62を環境制御部72によって制御する。試験空間22の雰囲気温度は、設定温度に対して上下2℃以下の変動幅で制御されることが望ましく、試験空間22の雰囲気湿度は、設定湿度に対して上下5%以下の変動幅で制御されることが望ましい。その後、制御フローはステップ104に移行される。
【0064】
ステップ104では、経過時間Tが所定の基準時間に達するか否かが判断される。基準時間は、導電性接着剤の接着性樹脂が水分を十分に吸着するのに要する時間であり、実験等に基づいて任意に決定することができる。経過時間Tが所定の基準時間に達すると、制御フローはステップ105に移行する。また経過時間Tが所定の基準時間に達していない場合には、制御フローはステップ103に戻される。
【0065】
ステップ105では、試験空間22の除湿および冷却が開始される。本実施形態の環境試験装置10では、試験空間22の除湿が先に行われ、除湿の後に試験空間22の冷却が開始される。
試験空間22の除湿において、環境制御部72は、加湿器62の電熱ヒータ64への通電を停止させると同時に、温湿空調システム54の冷却器60を駆動させる。これにより試験空間22と恒温恒湿チャンバー46の内部空間48との間を循環する空気は、冷却器60を通過する際に空気中の水蒸気が冷却器60の表面で凝結されるため、湿度が低下する。なお試験空間22の除湿段階で、加熱器58による加熱は継続されている。そのため冷却器60で除湿のために冷却された空気は、加熱器58によって加熱された後に試験空間22に戻される。このとき、貯水槽66の温水が自然気化するのを防止するため、貯水槽66の温水を排水してもよい。また貯水槽66の温水が自然気化するのを防止するために、貯水槽66の水を冷却する冷却手段を別途設けてもよい。
【0066】
試験空間22の湿度が所定の設定湿度(本実施形態では50%)にまで低下すると、環境制御部72は、加熱器58による加熱を停止して、試験空間22の冷却を開始する。そして試験空間22が所定の温度(本実施形態では25℃)にまで低下すると、環境制御部72は、温湿空調システム54の送風ファン56および冷却器60を停止させ、試験空間22の導入連結口38および排出連結口42に取り付けられたダンパ40,44を閉状態にする。その後、制御フローは、図3のステップ4に移行する。
【0067】
図3のステップ4では、試料Sに対して温度変化による負荷を与える冷熱衝撃試験が行われる。図3のステップ4において冷熱衝撃試験が開始されると、制御フローは、図5のステップ201に移行する。
【0068】
ステップ201では、環境制御部72の冷熱カウンターが初期化される。冷熱カウンターは、環境制御部72が備えるカウンターの一つであり、試験空間22を所定の雰囲気温度(本実施形態では−40℃)にした後に、他の雰囲気温度(本実施形態では125℃)にする一連の冷熱サイクル動作をカウントすることができる。冷熱カウンターが初期化されると、冷熱カウンターのカウント数nが0になり、制御フローがステップ202に移行される。
ステップ202では、環境制御部72の冷熱カウンターに1カウントが加えられ、制御フローはステップ203に移行する。
【0069】
ステップ203では、試験空間22の雰囲気温度を所定の低温側設定温度(本実施形態では−40℃)まで下降させて、試料Sを低温の雰囲気温度にさらす低温さらしが実行される。低温さらしにおいて、環境制御部72は、冷熱空調システム30の冷却器36を駆動させる。なお冷熱空調システム30の送風ファン32は、恒温恒湿試験から引き続き駆動されている。そのため試験空間22の空気は、送風ファン32の駆動によって試験空間22と加熱冷却空間28との間を循環し、加熱冷却空間28の冷却器36によって冷却される。その結果、試験空間22の温度が下降する。試験空間22の雰囲気温度は、迅速に低温側設定温度に下降されることが望ましく、本実施形態の環境試験装置10は、試験空間22の雰囲気温度を、冷却開始から15分以内に低温側設定温度にまで下降させることができる。試験空間22の雰囲気温度が低温側設定温度に達すると、制御フローはステップ204に移行する。
【0070】
ステップ204では、試験空間22の雰囲気温度を所定の高温側設定温度(本実施形態では125℃)まで上昇させて、試料Sを高温の雰囲気温度にさらす高温さらしが実行される。高温さらしにおいて、環境制御部72は、冷熱空調システム30の冷却器36を停止させ、加熱器34を駆動させる。送風ファン32は、低温さらしから引き続き駆動されている。そのため試験空間22の空気は、送風ファン32の駆動によって試験空間22と加熱冷却空間28との間を循環し、加熱冷却空間28の加熱器34によって加熱される。その結果、試験空間22の雰囲気温度が上昇する。試験空間22の雰囲気温度は、迅速に高温側設定温度まで上昇させることが望ましく、本実施形態の環境試験装置10は、試験空間22の雰囲気温度を、加熱開始から15分以内に高温側設定温度にまで上昇させる。試験空間22の雰囲気温度が高温側設定温度に達すると、制御フローはステップ205に移行する。
【0071】
ステップ205では、冷熱カウンターのカウント数nが所定の基準サイクル数に達するか否かが判断される。冷熱カウンターのカウント数nが所定の基準サイクル数に達すると、冷熱衝撃試験が終了され、制御フローは、図3のステップ5に移行する。また冷熱カウンターのカウント数nが所定の基準サイクル数に達しない場合には、制御フローはステップ202に戻され、冷熱衝撃試験が続行される。
【0072】
次に環境試験装置10の特徴について説明する。
試料Sの接続部を形成する導電性接着剤の接着性樹脂は、分子間に微小な空間を有しており、空気中の水分がこの空間に吸着されることが知られている。図7に示すように本実施形態の環境試験装置10は、恒温恒湿試験において、試料Sが収容される試験空間22を高温かつ高湿な環境に調整することにより、試料Sの接続部を形成する導電性接着剤の接着性樹脂に空気中の水分が吸着されるのを促進する(水分吸着工程)。導電性接着剤に吸着された水分は、導電性接着剤に含まれる導電性フィラーや実装した電子部品等の電極表面の酸化(腐食)を促進する。
【0073】
また図7に示すように本実施形態の環境試験装置10は、恒温恒湿試験の後に実施される冷熱衝撃試験において、試料Sに対して低温さらしと高温さらしとを交互に繰り返すことにより、恒温恒湿試験で導電性接着剤に吸着された水分を相変化させることができる(冷熱衝撃工程)。そのため本実施形態の環境試験装置10は、電子部品等が実際に使用される環境で生じ得る劣化を、試料Sの接続部に対して生じさせることができる。具体的には、導電性接着剤に吸着された水分が、低温さらしにおける氷結または高温さらしにおける気化により体積を膨張させ、接続部にストレスを与える。また低温と高温を繰り返す冷熱サイクルを原因とする金属フィラーや接着性樹脂の膨張収縮や熱疲労により、金属フィラー同士の結合の劣化が促進される。
【0074】
また本実施形態の環境試験装置10は、冷熱衝撃試験により接着性樹脂に吸着された水分の一部又は全部が接着性樹脂の外部に放出された後であっても、再び恒温恒湿試験を行い、導電性接着剤に水分を吸着させ、その後、再び冷熱衝撃試験を行い、試料Sの接続部に負荷を与える続けることができる。このように本実施形態の環境試験装置10は、試料Sの接続部に対して常に実際の環境で生じる負荷を与え続けることができ、短期間のうちに試料Sの接続部を劣化させることができる。また本実施形態の環境試験装置10は、恒温恒湿試験と冷熱衝撃試験とを交互に実施する一連の試験サイクル動作が所定回数実施されるため、試料Sが故障したサイクル数や時間等を比較することによって試料Sの品質を容易に判断することができる。
【0075】
本実施形態の環境試験装置10は、環境試験中の試料Sの接続部の抵抗値を、電気特性測定装置90によって所定の時間毎に測定することができる。電気特性測定装置90によって測定された時間毎の抵抗値は、測定制御部92から環境制御部72に送信されて記憶部88に記憶される。
また環境試験装置10の環境制御部72は、環境試験中に測定された抵抗値と、初期測定において測定された抵抗値とを比較することで、試料Sの故障の兆候を早い段階で検出することができる。環境制御部72は、電気特性測定装置90が測定する抵抗値が、初期測定の抵抗値と比較して所定範囲を上回る上昇を示すことを条件として、試料Sに故障の兆候があると判断する。
【0076】
環境制御部72は、環境試験中に試料Sの故障の兆候を検出すると、その検出結果に基づいて環境試験装置10を制御することができる。例えば、環境試験中に故障の兆候が検出されると、実行中の環境試験を自動的に停止させる制御が可能である。この場合、環境試験は、試験空間22を除湿した後に停止させることが望ましい。また環境試験中に故障の兆候が検出されると、恒温恒湿試験の設定温度(本実施形態では85℃)、恒温恒湿試験の設定湿度(本実施形態では85%)、又は冷熱衝撃試験の高温側と低温側の設定温度差(本実施形態では175℃)の少なくともいずれか一つを試験条件が緩和される方向に引き下げて、環境試験を継続する制御も可能である。
【0077】
本実施形態の環境試験装置10は、電気特性測定装置90によって試料Sの故障の兆候が検出されると、環境制御部72が恒温恒湿試験の設定温度又は設定湿度を引き下げ(本実施形態では85℃以下、85%以下)、冷熱衝撃試験の高温側と低温側の設定温度差を175℃以下に引き下げる。本実施形態では、冷熱衝撃試験の高温側の設定温度を下げ、低温側の設定温度を上げることにより設定温度差を引き下げたが、高温側の設定温度又は低温側の設定温度のいずれか一方のみを変更させて設定温度差を引き下げてもよい。これにより導電性接着剤で形成された接続部の劣化の速度を遅らせることができる。そのため本実施形態の環境試験装置10は、接続部の劣化を緩やかに進行させ、故障部位や故障のメカニズムを効率的に解析することが可能である。
【0078】
本実施形態の環境試験装置10は、環境試験を恒温恒湿試験から冷熱衝撃試験に切り換える際に行う試験空間22の除湿で温湿空調システム54の冷却器60を使用し、冷熱衝撃試験における試験空間22の冷却で冷熱空調システム30の冷却器36を使用する。本実施形態の環境試験装置10は、試験空間22の除湿で冷熱空調システム30の冷却器36が使用されないため、冷熱空調システム30の冷却器36に霜が付着して冷却器36の熱交換効率が低下するおそれがない。そのため冷熱空調システム30の冷却器36については、定期的な除霜が不要である。また温湿空調システム54の冷却器60については、試験空間33の除湿に使用されるため霜が付着する可能性が高いが、本実施形態の環境試験装置10は、冷熱衝撃試験が行われる間に、温湿空調システム54の冷却器60の除霜を行うことができるため、冷却器60の除霜により試験が中断したり試験時間が長期化したりするおそれがない。
【0079】
環境試験が終了すると、環境試験装置10の試験空間22から試料Sが取り出され、試験終了後から所定時間(本実施形態では48時間)以内に試験後の試料Sの電気的特性を測定する最終測定が行われる。最終測定では、初期測定と同様に、環境試験装置10が設置された環境条件における試料Sの抵抗値が測定される。
【0080】
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態に係る環境試験装置100ついて説明する。なお、本実施形態では、第一実施形態と同一部分については同一符号を付して詳しい説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
図8に示すように、環境試験装置100は、第一実施形態の環境試験装置10の恒温恒湿チャンバー46を備えておらず、冷熱チャンバー12のみを備えている。環境試験装置100は、加熱冷却空間28に配置される空調システム102の構成が第一実施形態の環境試験装置10の冷熱空調システム30の構成と相違している。
【0081】
空調システム102は、送風ファン32、加熱器34、除湿冷却器104、冷熱冷却器106、及び加湿器108を備えている。送風ファン32は、仕切板16の排出口20近傍に配置され、加熱冷却空間28の空気を排出口20から試験空間22に送り込み、試験空間22の空気を導入口18から加熱冷却空間28に導入する。即ち、試験空間22と加熱冷却空間28との間で空気を循環させることができる。そのため加熱冷却空間28は、排出口20側を下流とし導入口18側を上流とする空気流路になる。
【0082】
加熱器34は、送風ファン32の上流側に配置され、加熱冷却空間28の空気を加熱する。除湿冷却器104は、加熱器34の上流側に配置され、環境試験が恒温恒湿試験から冷熱衝撃試験に切り換えられる際に試験空間22を除湿するのに使用される。冷熱冷却器106は、加熱器34の上流側に、除湿冷却器104と並んで配置されており、冷熱衝撃試験において加熱冷却空間28の空気を冷却するのに使用される。
【0083】
加熱冷却空間28の除湿冷却器104及び冷熱冷却器106が配置される位置には、空気の流れ方向に沿って加熱冷却空間28を除湿流路110と冷熱流路112とに分割する分割壁114が配置されている。除湿流路110には除湿冷却器104が配置され、冷熱流路112には冷熱冷却器106が配置される。分割壁114の上流側の端部および下流側の端部のそれぞれには上流ダンパ118および下流ダンパ116が取り付けられている。上流ダンパ118は、除湿流路110又は冷熱流路112のいずれかを上流側で塞ぐことができ、下流ダンパ116は、除湿流路110又は冷熱流路112のいずれかを下流側で塞ぐことができる。
【0084】
加湿器108は、加熱冷却空間28を構成する断熱壁を貫通する加湿配管120に接続されたボイラー式加湿器であり、水蒸気を加湿配管120から加熱冷却空間28に送り込み、加熱冷却空間28の空気を加湿することができる。
【0085】
加熱冷却空間28の除湿冷却器104の下方位置には、除湿冷却器104に付着した霜の除霜で生じた水を受けるための水受部122が設けられており、水受部122に落下した水は水受部122に接続された排水管124を通って外部に排出される。
【0086】
環境試験装置100において恒温恒湿試験を実行する場合、環境制御部72は、上流ダンパ118及び下流ダンパ116を用いて冷熱流路112を閉状態にし、除湿流路110を開状態にする。そのため循環ファン32の駆動により、導入口18を通って試験空間22から加熱冷却空間28に導入された空気は、除湿流路110の除湿冷却器104、加熱器34、及び送風ファン32を経由して排出口20から試験空間22に戻される。恒温恒湿試験において環境制御部72は、第一実施形態の環境試験装置10と同様に、送風ファン32、加熱器34、および加湿器108を制御して、試験空間の雰囲気温度及び雰囲気湿度を所定の設定温度及び設定湿度に調整する。
【0087】
恒温恒湿試験の開始後、所定の基準時間が経過すると、環境制御部72は、除湿冷却器104を駆動させて試験空間22の除湿を行う。この除湿により除湿冷却器104の表面には、空気中の水分が氷結し、霜が付着する可能性がある。
【0088】
試験空間22の除湿後、環境制御部72は、上流ダンパ118及び下流ダンパ116を用いて除湿流路110を閉状態にし、冷熱流路112を開状態にして、冷熱衝撃試験を開始する。冷熱衝撃試験において環境制御部72は、加熱器34を駆動させて試験空間22を高温にする高温さらし運転を行い、冷熱冷却器106を駆動させて試験空間22を低温にする低温さらし運転を行う。本実施形態の環境試験装置100では、冷熱冷却器106を試験空間22の除湿に使用しないため、冷熱冷却器106の表面に霜が付着する可能性は低い。そのため本実施形態の環境試験装置100は、冷熱冷却器106の熱交換効率を下げることなく、効率的に低温さらし運転を行うことができる。また高温さらし運転中に上流ダンパ118及び下流ダンパ116を少し開放させることにより、高温の空気を除湿流路110に流入させることができ、高温さらし運転中における除湿冷却器104の除霜が可能になる。
【0089】
また本実施形態の環境試験装置100は、冷熱衝撃試験を実施した後に再び行われる恒温恒湿試験において、試験空間22の雰囲気温度を加熱器34の加熱で昇温させると同時に、加熱器34の加熱により除湿冷却器104に付着した霜を融かすことができる。そのため環境試験装置100は、除湿冷却器104に霜が付着した場合であっても、特に除湿冷却器104の除霜を行う必要がなく、試験時間を長期化させるおそれがない。
なお本実施形態において、分割壁114には上流ダンパ118および下流ダンパ116の二つのダンパが取り付けられたが、ダンパが取り付けられるのは、上流側または下流側のいずれか一方だけでもよい。
【0090】
(第三実施形態)
次に、本発明の第三実施形態に係る環境試験装置200ついて説明する。なお、本実施形態では、第一実施形態又は第二実施形態と同一部分については同一符号を付して詳しい説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
図9に示すように、環境試験装置200は、除湿流路110の構成が第二実施形態の環境試験装置100と相違する。環境試験装置200においては、冷熱流路112が除湿流路110よりも試験槽側に配置されている。そして上流ダンパ118を、冷熱流路112側に回転させ水平状態にすると、冷熱流路112の上流側が閉じられる。また上流ダンパ118を除湿流路110側に回転させ鉛直状態にすると、除湿流路110の上流側が閉じられる。
【0091】
環境試験装置200の除湿流路110には、加湿器202が配置されている。加湿器202は、上面が開放された貯水槽204と、貯水槽204に貯留された水を加熱する電熱ヒータ206を備えており、電熱ヒータ206の加熱によって貯水槽204の水を蒸発させて、加熱冷却空間28の空気を加湿することができる。加湿器202は、除湿冷却器104の直下に配置されている。そのため除湿冷却器104から取り除かれた霜は、加湿器202の貯水槽204に落下する。
【0092】
上記構成を採用することにより、環境試験装置200は、上流ダンパ118及び下流ダンパ116を切り換えることによって、空気流路110,112、冷却手段104,106、加湿器202の作用を同時に切り換えることが可能である。
【0093】
第二実施形態の環境試験装置100または第三実施形態の環境試験装置200は、冷却手段として、除湿冷却器104および冷熱冷却器106が設けられ、除湿流路110に除湿冷却器104が配置され、冷熱流路112に冷熱冷却器106が配置される構成であったが、本発明はこのような構成に限定されるわけではない。例えば図10に示すように、環境試験装置250が、加熱手段として、恒温恒湿試験に用いられる第一加熱器252と、冷熱衝撃試験に用いられる第二加熱器254と、を備えており、第一加熱器252が除湿流路110に配置され、第二加熱器254が冷熱流路112に配置される構成であってもよい。このような構成を採用することにより、恒温恒湿試験又は冷熱衝撃試験のそれぞれに最適な容量の加熱器を選択することが可能になり、試験空間22の雰囲気温度の制御性を向上させることができる。また環境試験装置250は、このような構成を採用することで、除湿冷却器104および冷熱冷却器106のそれぞれを独立して除霜することができる。
【0094】
上記実施形態において、電気特性測定装置90で測定される試料Sの電気特性は、接続部の抵抗値であったが、本発明はこのような構成に限定されるわけではない。例えば、インピーダンスや静電容量(キャパシタンス)、周波数特性等であってもよい。
【0095】
上記実施形態では、エポキシ樹脂と銀フィラーとが混合された導電性接着剤を試料Sに用いたが、本発明はこのような構成に限られるわけではない。例えば、接着樹脂として、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、あるいはこれらの混合物等を採用することができる。また導電性フィラーとして、銀、金、銅、パラジウム、カーボン、ニッケル、銀−銅合金、銀メッキ銅粉、スズ合金あるいはこれらの混合物等を採用することができる。
【0096】
上記実施形態の環境試験装置10は、接続部又は配線部が導電性接着剤により形成された試料Sを試験対象としたが、本発明はこのような構成に限定されるわけではない。例えば、鉛はんだ等の金属系材料により接続部又は配線部が形成された試料についても試験対象とすることができる。
【0097】
上記実施形態の試験サイクル動作では、図7に示すように恒温恒湿試験の後に冷熱衝撃試験が実行されたが、本発明はこのような構成に限定されるわけではない。図11に示すように試験サイクル動作は、冷熱衝撃試験の後に恒温恒湿試験が実施される構成であってもよい。例えば、試料の接続部又は配線部が導電性接着剤で形成されている場合には、恒温恒湿試験を先行させて導電性接着剤の接着性樹脂に水分を吸着させた後に冷熱衝撃試験を行うことが望ましい。一方、試料の接続部又は配線部が鉛はんだ等の金属系材料で形成されている場合には、冷熱衝撃試験を先行させて接続部又は配線部に亀裂を生じさせた後に恒温恒湿試験を行うことが望ましい。
【0098】
また上記実施形態の冷熱サイクル動作では、低温さらし運転の後に高温さらし運転を行ったが、本発明はこのような構成に限定されるわけではない。冷熱サイクル動作は、高温さらし運転の後に低温さらし運転を行う構成であってもよい。高温さらし運転を先行させると、接続部又は配線部に対して、吸着した水分が蒸発気化して体積膨張することによる負荷を作用させることができる。一方、上記実施形態のように低温さらし運転を先行させると、吸着した水分が凝固して体積膨張することによる負荷と、低温さらし運転後の高温さらし運転によって水分が蒸発気化して体積膨張することによる負荷の両方を接続部又は配線部に対して作用させることができる。
【0099】
上記実施形態の環境試験装置10では、試料Sの故障の兆候が検出されると、環境制御部72は、恒温恒湿試験の設定温度や設定湿度、冷熱衝撃試験の高温側と低温側の設定温度差を引き下げ、試料Sに作用する負荷を軽減させたが、本発明は、このような構成に限定されるわけではない。例えば環境制御部72が、試料Sの故障の兆候があると判断することを条件として、環境試験を終了する構成であってもよい。これにより試料Sを故障に至る前の状態で保持することができ、試料Sが故障に至るまでのメカニズムを解析することができる。
【0100】
上記実施形態の環境試験装置10は、一連の試験サイクル動作が所定の基準サイクル数行われることを条件として、環境試験を終了させる構成であったが、本発明はこのような構成に限定されるわけではない。例えば、試料Sに故障の兆候が検出されること、又は、試料Sが故障することを条件として、環境試験を終了させる構成であってもよい。
【0101】
上記実施形態の環境試験装置10は、恒温恒湿試験において、環境制御部72のタイマー機能による経過時間Tの計測開始後、試験空間22の加熱及び加湿を開始する構成であったが、本発明はこのような構成に限定されるわけではない。例えば、環境制御部72は、試験空間22の雰囲気温度及び雰囲気湿度が所定の設定温度及び設定湿度に到達することを条件として、タイマー機能による経過時間Tの計測を開始する構成であってもよい。
【0102】
上記実施形態の環境試験装置10は、恒温恒湿試験において、冷熱空調システム30の送風ファン32を駆動させる構成であったが、本発明はこのような構成に限定されず、恒温恒湿試験においては、送風ファン32を停止させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】第一実施形態に係る環境試験装置の断面図である。
【図2】第一実施形態に係る環境試験装置の構成要素の電気的関係を示すブロック図である。
【図3】環境試験装置における環境試験の手順を示すフローチャートである。
【図4】環境試験を構成する恒温恒湿試験の手順を示すフローチャートである。
【図5】環境試験を構成する冷熱衝撃試験の手順を示すフローチャートである。
【図6】各試験における温湿空調システム、冷熱空調システム、及びダンパの状態を示すマトリクス図である。
【図7】環境試験装置の試験空間における温度変化を示すグラフである。
【図8】第二実施形態に係る環境試験装置の断面図である。
【図9】第三実施形態に係る環境試験装置の断面図である。
【図10】第三実施形態に係る環境試験装置の変形例を示す断面図である。
【図11】環境試験装置の試験空間における温度変化を示すグラフである。
【符号の説明】
【0104】
10,100,200,250 環境試験装置
72 環境制御部(制御部)
22 試験空間
28 加熱冷却空間
34 加熱器(加熱手段、第二加熱器)
36 冷却器(冷却手段、第二冷却器)
48 内部空間(恒温恒湿空間)
58 加熱器(加熱手段、第一加熱器)
60 冷却器(冷却手段、第一冷却器)
62,108,202 加湿器(加湿手段)
90 電気特性測定装置
104 除湿冷却器(第一冷却器)
106 冷熱冷却器(第二冷却器)
S 試料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続部又は配線部を有する試料を、所定の温度及び湿度に調整された雰囲気に所定時間さらし、前記接続部又は配線部が水分を吸着するのを促進する水分吸着工程と、
前記試料を所定の雰囲気温度にさらした後、他の雰囲気温度にさらす一連の冷熱サイクル動作を所定回数繰り返す冷熱衝撃工程と、を含み、
前記水分吸着工程と前記冷熱衝撃工程とが交互に実施される一連の試験サイクル動作が所定回数繰り返されることを特徴とする環境試験方法。
【請求項2】
前記接続部又は配線部が、接着性樹脂に導電性フィラーを混合させた導電性接着剤で形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の環境試験方法。
【請求項3】
前記水分吸着工程または前記冷熱衝撃工程の少なくともいずれか一方において、前記接続部又は配線部の電気的特性を測定して、前記接続部又は配線部の接続品質を検査することを特徴とする請求項1又は2に記載の環境試験方法。
【請求項4】
接続部又は配線部を有する試料を収容可能な試験空間と、
前記試験空間を加熱可能な加熱手段と、
前記試験空間を冷却可能な冷却手段と、
前記試験空間を加湿可能な加湿手段と、
前記試験空間の雰囲気温度及び雰囲気湿度を調整可能な制御部と、を備え、
前記制御部は、前記加熱手段及び前記加湿手段によって前記試験空間の雰囲気温度及び雰囲気湿度を前記接続部又は配線部が水分を吸着し易い所定の設定温度及び設定湿度に制御する恒温恒湿試験と、
前記加熱手段によって前記試験空間の雰囲気温度を所定の高温側設定温度にする高温さらし運転及び前記冷却手段によって前記試験空間の雰囲気温度を低温側設定温度にする低温さらし運転を交互に所定回数繰り返す冷熱衝撃試験と、を交互に所定回数繰り返す環境試験を実行可能であることを特徴とする環境試験装置。
【請求項5】
前記接続部又は配線部が、接着性樹脂に導電性フィラーを混合させた導電性接着剤で形成されたものであることを特徴とする請求項4に記載の環境試験装置。
【請求項6】
前記接続部又は配線部の電気的特性を測定可能な電気特性測定装置を備え、
前記制御部は、環境試験を実行するとともに、前記電気特性測定装置によって前記接続部又は配線部の電気的特性を測定し、前記接続部又は配線部の接続品質を検査することを特徴とする請求項4又は5に記載の環境試験装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記接続部又は配線部の電気的特性の測定値に基づき前記接続部又は配線部に故障の兆候があると判断することを条件として、環境試験を終了することを特徴とする請求項6に記載の環境試験装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記接続部又は配線部の電気的特性の測定値に基づき前記接続部又は配線部に故障の兆候があると判断することを条件として、冷熱衝撃試験の温度幅、恒温恒湿試験の設定温度、又は恒温恒湿試験の設定湿度の少なくともいずれか一つを試験条件が緩和される方向に引き下げることを特徴とする請求項6に記載の環境試験装置。
【請求項9】
前記冷却手段は、環境試験を恒温恒湿試験から冷熱衝撃試験に切り換える前に使用される第一冷却器と、冷熱衝撃試験において使用される第二冷却器と、を備えており、
前記制御部は、環境試験を恒温恒湿試験から冷熱衝撃試験に切り換える前に、前記試験空間を前記第一冷却器によって除湿することを特徴とする請求項4〜8のいずれかに記載の環境試験装置。
【請求項10】
前記加熱手段が、恒温恒湿試験において使用される第一加熱器と、冷熱衝撃試験において使用される第二加熱器と、を備えており、
前記第一加熱器、前記第一冷却器、及び加湿手段が配置され、前記試験空間との間で空気の循環が可能な恒温恒湿空間と、
前記第二加熱器および前記第二冷却器が配置され、前記試験空間との間で空気の循環が可能な加熱冷却空間と、を備え、
前記制御部は、恒温恒湿試験では恒温恒湿空間で温度及び湿度が調整された空気を前記試験空間との間で循環させ、冷熱衝撃試験では加熱冷却空間で温度が調整された空気を前記試験空間との間で循環させることを特徴とする請求項9に記載の環境試験装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate