説明

環式ジスルホン酸エステルの製造方法

【課題】反応速度が大きく、製造コストがより廉価な、工業的に有利な環式ジスルホン酸エステルの製造方法を提供する。
【解決手段】アルカンジスルホン酸の金属塩又はアンモニウム塩(a1)とハロゲン化物(a4)とを反応させることを特徴とする下式(b)で示される環式ジスルホン酸エステルの製造方法。


各式中のR〜Rはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。m,nは1〜4の整数を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環式ジスルホン酸エステルの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
環式ジスルホン酸エステルとしては、例えば、下式(b’)で示される化合物が、白血病に罹患した動物の治療薬等として有用であることが記載されている(特許文献1を参照)。


[式中、pは0又は1を表す。qは1〜5の整数を表す。Rは水素原子、メチル基、エチル基又は塩素原子を表す。]
【0003】
そして、上記環式ジスルホン酸エステルの製造法として、次の方法が記載されている。
第一段階の反応:
下式で示されるアルカンジスルホニルクロリド(a5’)をアセトニトリル等の反応溶媒に溶かし、得られた溶液に炭酸銀のような銀塩を添加して、好ましくは暗所で反応させる。初期の発熱反応の間は40℃以下の温度に保ち、次いで室温で24時間攪拌し、生成した塩化銀の粉末を濾別することにより、アルカンジスルホン酸銀が得られる。


[式中、p及びRは、前記と同じ定義である。]
【0004】
第二段階の反応:
上記で得たアルカンジスルホン酸銀のアセトニトリル溶液を等モル量以上のジヨードメタンに加え、この混合物を数日間加熱還流する。沈殿した銀塩を濾別後、濾液を減圧下で濃縮し、得られた油状物を昇華させて精製することにより、上式(b’)においてqが1である環式ジスルホン酸エステルが得られる。
【0005】
【特許文献1】特表昭61−501089号公報(第3〜5頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の方法は、第一段階の反応においてアルカンジスルホニルクロリド(a5’)の溶液に高価な炭酸銀等の銀塩を添加する必要があり、第二段階で極めて長期間加熱還流する必要があった。従って、特許文献1記載の方法は必ずしも工業的に有利なものではなかった。
【0007】
本発明の目的は、反応速度が大きく、製造コストがより廉価な、工業的に有利な環式ジスルホン酸エステルの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、アルカンジスルホン酸の金属塩又はアンモニウム塩(a1)とハロゲン化物(a4)とを反応させることを特徴とする下式(b)で示される環式ジスルホン酸エステルの製造方法に係るものである。

【0009】
[式(a1)と式(b)中のR及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。該アルキル基は、その水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい。式(a1)と式(b)におけるmは、1〜4の整数を表す。mが2〜4の整数を表すとき、m個のRはそれぞれ同一でもよく、異なってもよい。また、mが2〜4の整数を表すとき、m個のRはそれぞれ同一でもよく、異なってもよい。
式(a1)におけるMは、式(a3)で表される四級アンモニウムイオン又は金属イオンを表す。式(a1)中のcは、Mの価数を表す。式(a3)におけるR、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
式(a4)と式(b)中のR及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。該アルキル基は、その水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい。式(a4)と式(b)におけるnは1〜4の整数を表す。nが2〜4の整数を表すとき、n個のRはそれぞれ同一でもよく、異なってもよい。また、nが2〜4の整数を表すとき、n個のRはそれぞれ同一でもよく、異なってもよい。
式(a4)中のX'は、ハロゲン原子を表す。式(a4)における2つのX'はそれぞれ同一でもよく、異なってもよい。]
【発明の効果】
【0010】
本発明の製造方法によれば、環式ジスルホン酸エステル(b)を比較的短時間で製造でき、かつ製造コストが廉価であり、工業的に有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の環式ジスルホン酸エステル(b)の製造方法は、前記のアルカンジスルホン酸の金属塩又はアンモニウム塩(a1)とハロゲン化物(a4)とを反応させることを特徴とする。
式(a1)及び式(b)において、R及びRで表される炭素数1〜4のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基やt−ブチル基等が挙げられる。R及びRで表される上記アルキル基は、その水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい。ハロゲン原子で置換されたアルキル基としては、例えばクロロメチル基、ブロモメチル基、フルオロメチル基やトリフルオロメチル基等が挙げられる。R及びRとしては、それぞれ独立に水素原子、メチル基、エチル基又はn−プロピル基が好ましい。
【0012】
式(a4)及び式(b)において、R及びRで表される炭素数1〜4のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基やt−ブチル基等が挙げられる。
及びRで表される該アルキル基は、その水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい。ハロゲン原子で置換されたアルキル基としては、例えばクロロメチル基、ブロモメチル基、フルオロメチル基やトリフルオロメチル基が挙げられる。R及びRとしては、それぞれ独立に水素原子、メチル基、エチル基又はn−プロピル基が好ましい。
【0013】
本発明において、アルカンジスルホン酸の金属塩又はアンモニウム塩(a1)は、例えば、式(a2)で示されるハロゲン化物とアルカンジスルホン酸(a5)の水和物を、反応させることによって得られる。
該反応は、必要に応じて反応に不活性な有機溶媒の存在下に、行っても良い。反応後、必要に応じて冷却し、該冷却した反応液から反応溶媒を留去することによって、アルカンジスルホン酸の金属塩又はアンモニウム塩(a1)が得られる。
式(a2)中のMは、式(a3)で表される四級アンモニウムイオン又は金属イオンから成る。式(a3)においてR、R、R及びRで表される炭素数1〜4のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基やt−ブチル基等の基が挙げられる。該アルキル基の中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基やt−ブチル基がより好ましい。該アルキル基は、その水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい。R、R、R及びRは、それぞれ同一でもよく、異なってもよい。
式(a2)で表される四級アンモニウム塩の例としては、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラt−ブチルアンモニウムクロリド、テトラn−ブチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
Mで表される金属イオンは、Na、K、Li、Ba、Ca、Snから選ばれる典型金属元素のイオン、Fe、Mn、Cu、Co、Znから選ばれる遷移金属元素のイオン、の中から選ばれる。Mとしては、Na、K、Li、Ba、Ca、Fe、Cu、Znのイオンが好ましい。
また、Na、K、Li、Ba、Ca、Snのイオンの場合、クラウンエーテル等を添加して用いることが好ましい。クラウンエーテルは、アルカンジスルホン酸イオンが配位している典型金属元素のイオンMに応じて使用される。クラウンエーテルとしては、15−crown−5、18−crown−6等が挙げられる。
式(a1)と(a2)中のcは、Mの価数を表す。
式(a4)中のX'は、ハロゲン原子を表す。X'で表されるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。2つのX'は、それぞれ同一でもよく、異なってもよい。
【0014】
必要に応じて反応に不活性な溶媒の存在下で、ハロゲン化物(a2)とアルカンジスルホン酸(a5)の水和物とを反応させ、得られた反応液を必要に応じて冷却し、該冷却した反応液から反応溶媒を留去することによって、アルカンジスルホン酸の金属塩又はアンモニウム塩(a1)が得られる。
(a2)中のcは、Mの価数を表し、Xはハロゲン原子を表す。Xで表されるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0015】
反応に不活性な有機溶媒としては、例えば、水;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,2-ジメトキシエタンやジイソプロピルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトニトリル等のニトリル系溶媒;クロロホルム、塩化メチレンやクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒;及びこれらの溶媒の混合物等が挙げられる。中でも、アセトニトリル、メタノール、水や1,2-ジメトキシエタン等が好ましい。
反応温度は、反応溶媒の沸点以下であればよく、−20〜120℃の範囲であることが好ましい。−20℃未満の場合には金属塩の収率が低下し、一方、120℃を越える場合には、オートクレーブ等の高額な耐圧設備が必要となる。
反応は、常圧、加圧又は減圧下のいずれであってもよい。
【0016】
また、アルカンジスルホン酸(a5)の水和物は、市販品を購入するか、又は例えば下式で示されるアルカンジスルホニルハライド(a6)と水とを反応させることにより得られる。
【0017】

【0018】
[X''は、ハロゲン原子を表す。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。該アルキル基はその水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい。mは1〜4の整数を表す。mが2〜4であるとき、m個のRはそれぞれ同一でもよく、異なってもよい。また、m個のRはそれぞれ同一でもよく、異なってもよい。]
【0019】
反応時間は、一般に、0.5〜24時間の範囲であり、好ましくは、2〜20時間の範囲である。0.5時間未満の場合には水和物の収率が低下し、一方、20時間を越える場合には、生産性が低下する。
反応温度は、一般に、0〜100℃の範囲であり、好ましくは50〜100℃の範囲であり、さらに好ましくは80〜100℃の範囲である。0℃未満の場合には、水和物の収率が低下し、一方、100℃を越える場合には、オートクレーブ等の高額な耐圧設備が必要となる。
アルカンジスルホニルハライド(a5)と水との反応において、一般に、アルカンジスルホニルハライド(a5)に対して16倍モル量以上の水と反応させることが好ましい。
【0020】
本発明において、環式ジスルホン酸エステル(b)は、アルカンジスルホン酸の金属塩又はアンモニウム塩(a1)に対して、等モル以上の、式(a4)で表されるジハロアルカンを反応させ、次いで得られた反応液を常法により処理することによって単離することができる。
例えば、反応液を濃縮後、水洗し、水洗した濾液を再結晶するか、昇華精製することにより単離することができる。式(a4)で表されるハロゲン化物の使用量は、アルカンジスルホン酸の金属塩又はアンモニウム塩(a1)に対して等モル以上であればよい。ハロゲン化物(a4)のより好ましい使用量は、1〜10倍モル量の範囲である。
アルカンジスルホン酸の金属塩又はアンモニウム塩(a1)と、式(a4)で表されるハロゲン化物とを反応させる際、用いるアルカンジスルホン酸の金属塩又はアンモニウム塩(a1)は、水を含まないことが好ましい。含水アルカンジスルホン酸の金属塩又は含水アルカンジスルホン酸のアンモニウム塩は、次に示す3つの方法のいずれかによって脱水処理をしてから、原料として用いることが好ましい。
1)含水アルカンジスルホン酸の金属塩又は含水アルカンジスルホン酸を、減圧下に加熱する方法、
2)含水アルカンジスルホン酸の金属塩又は含水アルカンジスルホン酸を、反応に不活性な有機溶媒と共沸させて脱水する方法、
3)含水アルカンジスルホン酸の金属塩又は含水アルカンジスルホン酸を、脱水剤により脱水する方法
この脱水処理を行わずに、含水アルカンジスルホン酸の金属塩又は含水アルカンジスルホン酸と、式(a4)で表されるハロゲン化物とを反応させると、生成した環式ジスルホン酸エステル(b)が水による加水分解を受けるため、(b)を得ることが難しい。
【0021】
式(a4)で表されるハロゲン化物の使用量がアルカンジスルホン酸の金属塩又はアンモニウム塩(a1)に対して等モル未満の場合には、アルカンジカルボン酸エステルの収率が低下し、一方、10倍モル量を越える場合には経済的に不利となる。
反応温度は、式(a4)で表されるハロゲン化物の沸点以下であればよい。該反応温度は、−20〜120℃の範囲であることが好ましく、30〜100℃の範囲がより好ましい。
反応時間は、一般に、0.5〜48時間の範囲であり、好ましくは、2〜24時間の範囲である。0.5時間未満の場合には(b)の収率が低下し、一方、24時間を越える場合には、生産性が低下する。
【0022】
必要に応じて該反応で用いる反応溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルや1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;アセトニトリル、ブチロニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒;クロロホルム、塩化メチレンやクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒;プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等のカーボネート系溶媒;及びこれらの混合物等が挙げられる。中でも、アセトニトリルや1,2−ジメトキシエタン等が好ましい。
いずれの反応も、常圧、加圧及び減圧下のいずれでも進行する。
【0023】
上記において、本発明の実施の形態について説明を行なったが、上記に開示された本発明の実施の形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含むものである。
【実施例】
【0024】
以下、実施例等により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0025】
実施例1
メチレンメタンジスルホナート(式(b)において、R=R=R=R=H、m=n=1である化合物、以下、化合物3という)の製造例
窒素気流下、四つ口フラスコにメタンジスルホン酸クロリド37.0g(0.17mol)を仕込み、攪拌下に室温で52.7g(2.93mol)の水を滴下した。滴下終了後、4時間還流した。還流終了後、反応液を室温まで冷却した。次いで、未反応の水を留去した(40℃/0.05mmHg)。
36.7g(0.17mol)のメタンジスルホン酸の水和物(水分18%含有。以下、化合物1という)を収率100%で得た。
<化合物1のH−NMR(CDCN)>
δ4.6(s,2H)、8.4(s,6H)
【0026】
窒素気流下、四つ口フラスコに、室温で、塩化亜鉛3.97g(0.028mol)とメタノール0.4gを仕込み、続いて、攪拌しながら、化合物1の5.0g(0.024mol)をメタノール15gで溶解した溶液を滴下した。その後、60℃で5時間反応し、反応終了後、反応液を室温まで冷却した。エバポレーターで溶媒を留去後、ジエチルエーテルで再結晶を行い、0.05mmHgの条件下で40℃で20時間乾燥することにより、5.0g(0.02mol)のメタンジスルホン酸亜鉛塩(以下、化合物2という)を得た(収率88%)。
窒素気流下、四つ口フラスコに化合物2を0.10g(0.42mmol)とジヨードメタン0.17g(0.64mmol)とアセトニトリル1.0gを仕込み、攪拌下に80℃で19時間反応した。反応終了後、室温まで冷却し、反応液の一部をサンプリングしてガスクロマトグラフで分析した。反応における化合物3の収率は、3%であった。
【0027】
実施例2
窒素気流下、四つ口フラスコに、室温で、塩化銅(II)0.068g(0.49mmol)とメタノール1.3gを仕込み、続いて、攪拌しながら、実施例1と同様の方法で得た化合物1の0.11g(0.49mmol)をメタノール1.1gで溶解した溶液を滴下した。その後、60℃で8時間反応し、反応終了後、反応液を室温まで冷却した。エバポレーターで溶媒を留去後、ジエチルエーテルで再結晶を行い、0.05mmHgの条件下で40℃で20時間乾燥することにより、0.12g(0.45mmol)のメタンジスルホン酸銅塩(以下、化合物4という)を得た(収率91%)。
窒素気流下、四つ口フラスコに化合物4を0.10g(0.42mmol)とジヨードメタン0.17g(0.64mmol)とアセトニトリル1.0gを仕込み、攪拌下に80℃で19時間反応した。反応終了後、室温まで冷却し、反応液の一部をサンプリングしてガスクロマトグラフで分析した。反応における化合物3の収率は、3%であった。
【0028】
実施例3
窒素気流下、四つ口フラスコに、室温で、塩化アンモニウム6.46g(0.059mol)とメタノール2.0gを仕込み、続いて、攪拌しながら、実施例1と同様の方法で得た化合物1の5.0g(0.17mol)を水17gで溶解した溶液を滴下した。その後、60℃で5時間反応し、続いて、80℃で2時間反応した。反応終了後、反応液を室温まで冷却した。エバポレーターで溶媒を留去後、ジエチルエーテルで再結晶を行い、0.05mmHgの条件下で40℃で18時間乾燥することにより、6.6g(0.02mol)のメタンジスルホン酸2テトラメチルアンモニウム塩(以下、化合物5という)を得た(収率81%)。
窒素気流下、四つ口フラスコに化合物5を0.14g(0.43mmol)とジヨードメタン0.18g(0.66mmol)とアセトニトリル1.0gを仕込み、攪拌下に80℃で19時間反応した。反応終了後、室温まで冷却し、反応液の一部をサンプリングしてガスクロマトグラフで分析した。反応における化合物3の収率は、2%であった。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明で得られる環式ジスルホン酸エステル(b)は、例えば、白血病に罹患した動物の治療薬等として有用である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカンジスルホン酸の金属塩又はアンモニウム塩(a1)とハロゲン化物(a4)とを反応させることを特徴とする下式(b)で示される環式ジスルホン酸エステルの製造方法。


[式(a1)と式(b)中のR及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。該アルキル基は、その水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい。式(a1)と式(b)におけるmは、1〜4の整数を表す。mが2〜4の整数を表すとき、m個のRはそれぞれ同一でもよく、異なってもよい。また、mが2〜4の整数を表すとき、m個のRはそれぞれ同一でもよく、異なってもよい。
式(a1)におけるMは、式(a3)で表される四級アンモニウムイオン又は金属イオンを表す。式(a1)中のcは、Mの価数を表す。式(a3)におけるR、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
式(a4)と式(b)中のR及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。該アルキル基は、その水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい。式(a4)と式(b)におけるnは1〜4の整数を表す。nが2〜4の整数を表すとき、n個のRはそれぞれ同一でもよく、異なってもよい。また、nが2〜4の整数を表すとき、n個のRはそれぞれ同一でもよく、異なってもよい。
式(a4)中のX'は、ハロゲン原子を表す。式(a4)における2つのX'はそれぞれ同一でもよく、異なってもよい。]
【請求項2】
アルカンジスルホン酸の金属塩又はアンモニウム塩(a1)が、含水アルカンジスルホン酸の金属塩又は含水アルカンジスルホン酸のアンモニウム塩を脱水して得られたものであることを特徴とする請求項1に記載の環式ジスルホン酸エステル(b)の製造方法。
【請求項3】
アルカンジスルホン酸の金属塩又はアンモニウム塩(a1)が、式(a2)で示される化合物とアルカンジスルホン酸(a5)の水和物とを反応させて得られたものである請求項1又は2に記載の環式ジスルホン酸エステル(b)の製造方法。


[式(a2)中のM及びcは、前記の定義と同じである。式(a2)中のXは、ハロゲン原子を表す。
式(a5)中のR1、及びmは、前記の定義と同じである。]
【請求項4】
アルカンジスルホン酸(a5)の水和物が、下式(a6)で示されるアルカンジスルホニルハライドと水16等量以上とを反応させて得られたものである請求項3に記載の環式ジスルホン酸エステル(b)の製造方法。



[X''は、ハロゲン原子を表す。R、R及びmは、前記の定義と同じである。mが2〜4の整数を表すとき、m個のRはそれぞれ同一でもよく、異なってもよい。また、mが2〜4の整数を表すとき、m個のRはそれぞれ同一でもよく、異なってもよい。]

【公開番号】特開2006−188449(P2006−188449A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−531(P2005−531)
【出願日】平成17年1月5日(2005.1.5)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】