説明

環状アミジンの合成

本発明は、環状アミジンの合成のための革新的なプロセスに関する。その合成は、β−,γ−またはδ−ラクトンから始まり、そのラクトンは二臭素化される。そのカルボキシル基のエステル化後、臭素原子に求核置換反応が行われて、対応するジアミノ化合物が生成される。この後、閉環が行われて、イミジン酸またはチオイミジン酸のオルトエステルとの反応よって、環状アミジンが生成される。鏡像異性的に純粋な形態でジアミノ化合物を得るための追加の工程を差し挟むことによって、環状アミジンの鏡像異性体を立体選択的に合成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環状アミジンを調製するプロセスに関する。本発明はさらに、様々な環状アミジン自体にも関する。特に、関連する環状アミジンは、エクトイン、エクトイン誘導体、およびエクトイン類似体であってよい。
【背景技術】
【0002】
極限環境微生物からのオスモライトおよび相溶性溶質のそれぞれが、低分子免疫物質のよく知られた群を構成する。極限環境微生物は、中温性(通常の)生物であれば、細胞構造に甚大な損害を生じるであろう高い塩濃度(200gNaCl/lまで)および高温(60から110℃)のそれぞれで最適に成長するので非常に変わった微生物である。それ故に、近年、細胞構造を著しく安定化させる生化学成分を特定するために、相当な研究努力がなされてきた。超高温性微生物からのたくさんの酵素が高温下でさえ安定なままでいるが、このことは、高温性および超高温性の生物の細胞構造には一般化できない。細胞内環境における低分子有機物質(相溶性溶質、オスモライト)は、細胞構造の高温安定性に相当寄与する。極限環境微生物において史上初めて、様々な新規のオスモライトが近年特定できた。いくつかの場合には、既に、これらの化合物が、熱と乾燥に対する細胞構造、特に酵素の保護に寄与することがかろうじて示された(非特許文献1から4)。
【0003】
たくさんの相溶性溶質について、敏感な用途が取り上げられ、医療、化粧品、および生物学分野において実現されてきた。最も重要な相溶性溶質の中でも、エクトイン(1,4,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−ピリミジン−4−カルボン酸)およびその誘導体のそれぞれが、見込みがあると考えられる。例えば、特許文献1には、皮膚病を治療するための、または生物活性成分および細胞の凍結防止のための有効な添加剤としてのエクトインとヒドロキシエクトインの使用が記載されている。特許文献2には、血管漏出症候群(VLS)を治療するためのエクトインの使用の概要が説明されている。さらに別の例には、ワクチンの安定化(特許文献3)や、浮遊粒子状物質の影響による呼吸器系統の病気および心疾患の治療(特許文献4)や、神経皮膚炎を治療するための皮膚への使用(特許文献5)がある。
【0004】
高塩濃度状況下では、エクトインやヒドロキシエクトインなどの相溶性溶質は、ハロモナス属(Halomonas elongata)またはマリノコッカス属(Marinococcus halophilus)のような細菌において非常に豊富にすることができ、その後、乾燥塊から単離できる。1つの可能性は、高塩度の細胞が多量のエクトインを産生した後に媒質の塩度が減少する、いわゆる「細菌搾り出し(bacteria milking)」法である。塩度を減少させると、細菌がエクトインを媒質中に流し出し、その媒質からエクトインを単離し、クロマトグラフィーにより精製できる。細胞自体は、無傷のままであり、数回「搾り出す(milked)」ことができる(非特許文献5)。特に、純粋な化学合成と比較した、そのような方法の利点は、生合成の立体選択性である。この方法によれば、鏡像異性的に純粋な形態のLエクトインのみが回収される。しかしながら、生合成の不都合な点は、生合成が、細菌自体に最終産生物として蓄積する物質に限られること、すなわち、誘導体化はせいぜい、回収されたエクトインから進行する制限範囲でしか可能ではないことにある。
【0005】
基本的に、興一等(特許文献6)によるエクトインの化学合成も公知である。この方法によれば、オルト酢酸トリメチルが2,4−ジアミノ酪酸と反応せしめられる。この反応中、2,4−ジアミノ酪酸は最初にアセチル化され、その後、高温で、所望の生成物へと縮合閉環が行われる。
【0006】
エクトインおよびその誘導体以外に、対応する5員環および7員環類似体も公知である。対応する7員環類似体は、ホモエクトイン(4,5,6,7−テトラヒドロ−2−メチル−1H−[1,3]−ジアゼピン−4−カルボン酸)とも称され、対応する5員環類似体はDHMICA(4,5−ジヒドロ−2−メチル−イミダゾール−4−カルボン酸)と呼ばれる。興一による合成に基づいて、ホモエクトインは、オルト酢酸トリメチルとオルニチンとの間の閉環により得られるのに対し、DHMICAは、オルト酢酸トリメチルと2,3−ジアミノプロピオン酸との間の閉環により得られる。最初の研究の過程で、ホモエクトインおよびDHMICAは有望な性質を示した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0887418A2号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102006056766A1号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第10065986A1号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第10330768A1号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第10330243A1号明細書
【特許文献6】特開平3−31265号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】K. Lippert, E. A. Galinski, Appl. Microbiol. Biotech. 1994, 37, 61-65
【非特許文献2】P. Louis, H. G. Truper, E. A. Galinski, Appl. Microbiol. Biotech. 1994, 41, 684-688
【非特許文献3】Ramos et al., Appl. Environm. Microbiol. 1997, 63, 4020-4025
【非特許文献4】Da Costa, Santos, Galinski, Adv. in Biochemical Engineering Biotechnology, 61, 117-153
【非特許文献5】T. Sauer, E. A. Galinski, Biotech. Bioeng., 1998, 57, 306-313
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、基本構造において、エクトイン、ホモエクトインまたはDHMICAに相当する異なる環状アミジンを調製する一般的な合成手法がまだない。それゆえ、本発明の課題は、そのような方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、請求項1に記載の方法およびプロセスにより解決される。
【0011】
本発明の合成手法は、一般式IIのラクトンから出発し、このラクトンは臭素化によってジブロモ化合物IIIに転化される。臭素化は、臭素およびPBr3の存在下で行われる。PBr3を直接使用する代わりに、リンを使用することも可能である。
【化1】

【0012】
臭素化により得られた2,4−ジブロモ酪酸IIIは、その後の反応のためにエステル化し、このようにして、2,4−ジブロモ酪酸の対応するエステルIVにしなければならない。エステル化は一方ではその後の反応に鑑みて重要であり、その上、可能であれば、HBr分裂の下でジブロモ化合物IIIから対応するα−臭素−γ−ブチロラクトンが形成されるのを防ぐために、エステル化を即座に行うべきである。エステル化は、酸性環境においてメタノールまたはエタノールとの反応により行われることが好ましい。したがって、エステル化は、臭素化後即座に、すなわち、例えば、気体塩化水素HClを流しながら、純メタノールまたはエタノールの添加によって、化合物IIIのどのような中間体も単離せずに、行って差し支えない。
【化2】

【0013】
ブチロラクトンIIの置換基R2,R3,R4,R5およびR6の狙いを定めた変種により、対応して置換されたエクトイン誘導体を生成することができる。R2,R3,R4,R5およびR6基は、Hまたは必要に応じて置換されたアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルチオアルキル基、アリールオキシアルキル基、またはアリールチオアルキル基であってもよい。それゆえ、幅広い可能な変種が入手できる。しかしながら、R2,R3,R4,R5およびR6基は、H、C1−からC6−アルキルまたはアリールであることが好ましい。R2,R3,R4,R5およびR6基の内の1つだけに置換基が存在し、その他の基がH原子を表すことが多い。
【0014】
エステル化ジブロモ化合物IVの調製の際に、ジアミノ化合物Vへのアミノ化が行われる。臭素のアミノ基による置換は、アンモニアとの直接の反応、またはアジドによる求核置換反応とその後の水素化のいずれによって行っても差し支えない。アンモニアとの直接の反応は、オートクレーブ中のまたは液体アンモニア中のアンモニアとの反応によって、約20から30時間の長期間に亘り、約50℃の高温で濃縮アンモニア水溶液中で行うことができる。例えば、後者の場合、アンモニアは、フラスコ中において約−40℃で液化され、必要に応じて、無水エーテルで希釈される。ジブロモ化合物IVがゆっくりと加えられる。約2時間の期間に亘り反応が起こる。
【0015】
あるいは、臭素原子の求核置換反応をアジドにより、好ましくはアジ化ナトリウムNaN3を用いて、行っても差し支えない。その後、適切な触媒、例えば、パラジウム/活性炭Pd/Cまたは白金により、標準条件で水素化が行われる。
【化3】

【0016】
最後に、このように得られたジアミノ化合物Vが、場合により、エステル基の先の加水分解後に、最終生成物へと環化される。詳しくは、このことは、重ねて、R1が先に概説した意味と重要性を有する、適切なオルトエステルR1−C(OR18)3との反応により行って差し支えない。R18は、アルキル基、より詳しくは、C1〜C6−アルキル基である。反応は、興一等(上記参照)により記載された一般スキームにしたがって行われる。R18=MeおよびR1=MeまたはPhのオルトエステルが市販されている。
【化4】

【0017】
オルトエステルを利用する代わりに、イミデートまたはチオイミデートとの反応も考えられる。購入できるアセトイミド酸メチル(R1=Me)およびベンズイミド酸メチル(R1=Ph)それぞれとの反応が、以下のスキームに例示されており、J. Einsiedel et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 2003, 13, 851-854により一般的に記載されている。
【化5】

【0018】
適切なオルトエステル、イミデートまたはチオイミデートを利用することによって、所望の生成物の置換基R1を調節することができる。例えば、オルト酢酸のトリメチルエステル(オルト酢酸トリメチル、R1,18=メチル)を用いて、R1=メチルであるエクトイン誘導体も生成される。
【0019】
先に述べたように、エステル基の加水分解は、一般式Iのアミジンへの環化の前または後に行っても差し支えなく、すなわち、加水分解が完了した際にはR7=Hであり、生理的pHで、エクトインおよびカルボキシル基をなくしたその誘導体は、両性イオンとして存在する。実際のところ、カルボキシル基は、追加のエステル化を実施することによって、さらに誘導体化しても差し支えない。それゆえ、一般式Iの異なるアミジンを調製するために、幅広い見込みのある変種を利用できる。
【0020】
カルボキシル基の別の実行可能な誘導体化は、アミドへの転化にある。この趣旨で、一般に公知の方法およびプロセスにしたがって、生成物I、IVおよびXIのそれぞれが、カルボン酸およびカルボン酸エステルそれぞれからカルボン酸アミドへと転化される。例えば、このことは、エステルの直接の転化により、または対応する酸塩化物および無水物それぞれをアンモニア/アミンと反応させる間接経路を通じて、行われる。それゆえ、以下の基本構造の化合物が得られる。
【化6】

【0021】
したがって、R19およびR20の各々はHまたはアルキルであって差し支えなく、R20=Hが優先される。具体的には、R19は、長鎖アルキル鎖、例えば、C8−、C9−、C10−、C11−、C12−、C13−、C14−、C15−、C16−、C17−、またはC18−であって差し支えない。これと同時に、R2〜R6、R8〜R14およびR15〜R17のそれぞれは、Hであることが好ましいのに対し、R1はHまたはメチルと等しく、すなわち、環は主にさらに他の置換基は持たない。この性質のアミジンは、増大した親油性のために、特に有望であるようである。
【0022】
使用されるγ−ブチロラクトンは、一部が購入可能である、例えば、R2=メチル、R3,R4,45,R6=H(CAS:108−29−2)またはR2=フェニル、R3,R4,R5,R6=H(CAS:1008−76−0)、R2,R3,R4,R5=H、R6=メチル(CAS:1679−47−6)。他のラクトンは、購入できないが、関連文献に記載された方法およびプロセスにしたがって製造できる。例えば、国際公開第94/12487A1号パンフレットには、α−アリール−γ−ブチロラクトンの調製が開示されている。この趣旨で、式
【化7】

【0023】
のマロン酸エステルの陰イオンを、Yがトシラートまたはメシラートなどの離脱基を表し、Zが保護基を表す式Y−CH2−CH2−OZのエチレン化合物と反応させて、化合物
【化8】

【0024】
を得る。この化合物は、加水分解により所望のラクトンを生成する。
【0025】
これもマロン酸エステルから出発する他の方法およびプロセスが、B. Hoefgen et al., J. med. Chem., 2006, 49, 760-769 or B. M. Nilsson et al., J. med. Chem. 1992, 35, 285-294に記載されている。置換基R6≠Hであるブチロラクトンを、例えば、以下のスキームにしたがって図解する:
【化9】

【0026】
R5≠Hであるブチロラクトンの調製が、例えば、以下のスキームにしたがって実行可能である:
【化10】

【0027】
さらに別の実施の形態も、S. Schulz, Liebigs Ann. Chem. 1992, 8, 829-834から収集されるであろう。
【0028】
同様に、6員環の環状アミジンだけでなく、5員環または7員環のものも製造でき、それらの基本構造は、それぞれ、DHMICAおよびホモエクトインのものと一致する。反応順序は先に記載した順序と一致するが、出発する基礎は、γ−ブチロラクトンではなく、それぞれ、β−およびδ−ラクトンである。これは、次には、臭素化され、その後、エステル化される。臭素原子はアミノ基により置換され、その後、オルトエステル、イミデートまたはチオイミデートとの反応よって、閉環が行われる。反応条件は、概して対応する条件であるが、経験的に、7員環への閉環の収率はより悪い。これは主に、より大きい環の張力のためである。このようにして、5員環のXIおよび7員環のVIが得られる。反応スキームが以下に図解されている:
【化11】

【化12】

【0029】
本発明の方法の特に有利な変形にしたがって、環状アミジンが鏡像異性的に純粋な形態で回収される。それゆえ、化合物は以下のものである:
【化13】

【0030】
特に、化合物は、例えば、合成により製造されるエクトインが天然のL−エクトインと一致するように、L−鏡像異性体であり得る。
【0031】
環状アミジンを鏡像異性的に純粋な形態で調製するために、ジアミノ化合物V、XおよびXVのそれぞれを、鏡像異性的に純粋な形態で回収し、その後、上述したように、オルトエステル、イミデートまたはチオイミデートと反応させて、式I、VIまたはXIによる環状アミジンを得る。このジアミノ化合物に存在するキラリティーの中心は維持される。
【0032】
最初に、ジアミノ化合物を両方のアミノ基のところでアシル化し、その後、アミノアシラーゼを用いて、立体選択的モノ脱アシル化反応を行った。ジアシル化されたジアミノ化合物の1つの鏡像異性体のみが、1つのアミノ基で脱アシル化されるのに対し、他の鏡像異性体は、両方のアミノ基のところでアシル化されたままである。この目的に適した酵素、特に、アミノ酸のL−鏡像異性体のみを加水分解する酵素が広く知られている。2つのアシル化されたアミノ基の、α−位置にあるアミノ基のみがカルボキシル基に脱アシル化される。アミノアシラーゼとの反応後、一方の鏡像異性体のモノアシル化合物と他方の鏡像異性体のジアシル化合物からなる混合物が得られる。
【0033】
その後、望ましくない鏡像異性体のジアシル化合物を分割しなければならない。次いで、所望の鏡像異性体の残りのモノアシル化合物を遊離ジアミノ化合物V、XおよびXVのそれぞれに加水分解する。今では、ジアミノ化合物の1つの鏡像異性体のみしか存在せず、これらは、以下に、それぞれ、Venant、XenantおよびXVenantと称される。所望の鏡像異性的に純粋な化合物Ienant、VIenantまたはXIenantへのさらなる転化が先に記載されたように行われる。したがって、環状アミジンの調製に関する全ての実施の形態は、原則的に、ラセミ化合物として、または鏡像異性体として、ジアミノ化合物V、XまたはXVの使用の両方に適用される。話が鏡像異性体の使用についてであるならば、光学純度は100%未満であるかもしれないが、ある鏡像異性体が、他方の鏡像異性体と比べて実質的に豊富であることが重要である。
【0034】
ジアミノ化合物V、XまたはXVのアシル化は、特に、アセチル化である。アシル化は、通常のアシル化剤、例えば、カルボン酸無水物、カルボン酸塩化物またはカルボン酸臭化物の使用により、行うことができる。同様に、イミダゾリドまたはカルボン酸チオールエステル並びに2−ピリジンチオールエステルを使用することができる。その上、アミドへのアミノ基との反応、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、2−塩素ピリジニウムまたは3−クロロアゾリウムイオンなどによる転化を行えるような様式でカルボン酸のアシル基を活性化するために、従来技術による公知の他の方法およびプロセスがある。アセチル化の場合に無水酢酸の適用が特に好ましい。これは、アルカリ性範囲において通常の様式で実施される。
【0035】
選択的なモノ脱アシル化は、アミノアシラーゼの使用により行われる。ヒドロラーゼの群に属するこれらの酵素は、アミノ酸のアミノ基のところで、すなわち、1つの鏡像異性体のみと選択的に、N−アシル基を分割することができる。ほとんどの場合、分割は、主に天然に生成する鏡像異性体であるアミノ酸のL−鏡像異性体のみに行われるのに対し、D−鏡像異性体は影響を受けない。したがって、そのようなアミノアシラーゼも、N−アシル−L−アミノ酸アミドヒドロラーゼとも称される。アシラーゼの使用、特に、アスペルギルス属からのアシラーゼIの使用が、特に好ましい。このアシラーゼは、例えば、Fluka社から市販されており、Eupergit上の固定化形態でも市場に出されている。その上、アスペルギルス属からのアシラーゼIにより、カルボキシル基に対してα−位置のアミノ基のところでのアシル基のみが分割されるのに対し、例えば、Nα,Nγ−ジアセチル−ジアミノ酪酸の場合には、γ−アミノ基のところのアシル基は影響を受けない。
【0036】
しかしながら、アミノ酸のD−鏡像異性体に関してN−アシル基のみを選択的に分割するD−アミノアシラーゼも知られている(vide e.g. C. S. Hsu et al., Protein Sci., 2002, 11, 2545 ? 2550)。したがって、そのようなアシラーゼを使用すると、L−鏡像異性体は、ジアシル化されたままであり、分割できる。このようにして、本発明のプロセスは、特にD−エクトイン、D−ホモエクトイン、およびD−DHMICAに対して、環状アミジンのD−鏡像異性体を合成する実行できる様式を提供する。
【0037】
ジアミノ化合物のジアシル化された望ましくない鏡像異性体の分離を陽イオン交換体により行うことができる。この趣旨で、その溶液をアミノアシラーゼで酸性化し、陽イオン交換体を水で洗浄する。その後、所望の鏡像異性体を、例えば、NH3溶液により、アルカリ性範囲で溶出できる。
【0038】
その後、アシル基から第2のアミノ基(γ−、δ−またはβ位置の)をも遊離させるために、特に、酸または塩基の添加による、アミド加水分解の従来の方法を使用する。例えば、HClの添加により、酸性環境においてアシル基を分割することが好ましい。ジアミノ化合物の鏡像異性体を回収するための経路全体が、2,4−ジアミノ酪酸の経由で以下に図解されている。この酸は、購入できるが、本発明の方法を提供することによって得ても差し支えなく、ジアミノ化合物の調製後に、エステル基の加水分解を行うことが必要である。
【化14】

【0039】
本発明の方法以外に、本発明は、天然のエクトイン、ホモエクトイン、およびDHMICA自体、並びに関連文献に既に記載されたいくつかの他の環状アミジンを除いて、一般式I、VIおよびXIの環状アミジン、並びにそれに由来する塩にも関する。対応する環状アミジンには、エクトインまたはヒドロキシエクトインの用途と似た、医療、化粧品または生物学の分野における用途が見出されると予測される。これには、スキンケアにおける活性成分として、および日焼け防止としての用途、細胞、タンパク質、核酸および生体膜の安定化が含まれる。さらに例を挙げると、その用途には、熱、寒さ、紫外線および乾燥などのストレス要因からの細胞、特に皮膚細胞の保護がある。しかしながら、本発明の方法を使用すると、その性質が要求に応じて適用できる、ほとんど任意に異なって官能化されたエクトイン、ホモエクトインおよびDHMICA誘導体を製造できる。例えば、生成物の親油性を増加させるために、より長いアルキル鎖を目的の構造I、VIおよびXIに組み込むことも可能である。このことは転じて、化粧品における有用性を改善することができる。エクトイン自体は水に極めて可溶性であるが(このことは、エクトインが細胞質ゾル中に高濃度で豊富になれる、相溶性溶質としての機能だけにより説明できる)、より親油性の高い環境における可溶性は限られている。本発明の方法は、官能化のための幅広い可能性を広げるという事実のために、エクトイン誘導体の可溶性は、必要に応じて調節することができる。
【0040】
R1からR17基は、H、C1−からC6−アルキルまたはアリールであることが好ましい。しかしながら、ほとんどの場合、置換基の対R2−R3、R4−R5、R8−R9、R10−R11、R12−R13およびR15−R16の少なくとも一方の置換基はHである。置換基は、位置R1からR17の内の1つにしか存在せず、他の関連する基はH原子を構成することが多い。
【0041】
さらに、R7が長鎖アルキル基である、すなわち、R7が好ましくはC8−、C9−、C10−、C11−、C12−、C13−、C14−、C15−、C16−、C17−またはC18−アルキル基である、一般構造I、VIおよびXIのそのような環状アミジンが特に好ましい。それと同時に、R2〜R6、R8〜R14およびR15〜R17のそれぞれがHであることが好ましいのに対し、R1=Hまたはメチルである、すなわち、その環は、主に、他の置換基は持たない。増加した親油性のために、そのようなアミジンは、特に見込みがありそうである。
【0042】
他の好ましい実施の形態において、R1基は、短鎖アルキル基、特に、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチルまたはtert−ブチルを構成する。それと同時に、この場合には、R1がメチルであってはならないという条件で、R2〜R6、R8〜R14およびR15〜R17基並びにR7のそれぞれは、ここでも、Hであることが好ましい。
【0043】
別の好ましい実施の形態によれば、R2〜R5、R8〜R13およびR15またはR16基のそれぞれの内の1つの各々がメチル、エチルまたはフェニルであるのに対し、他の基並びにR6、R14およびR17のそれぞれがHである。それと同時に、R1とR17について、以下が優先的に有効である:R1およびR17=H;R1およびR17=メチル;R1=HおよびR7=メチルまたはR1=メチルおよびR7=H。
【0044】
本発明はさらに、ここに記載された改良方法にしたがって製造できる、鏡像異性的に純粋な形態にある環状アミジンにも関する。それゆえ、一般式I、VIまたはXIの環状アミジンがL−鏡像異性体として存在することが好ましいが、立体化学に関して、天然のエクトインから派生したD−鏡像異性体として存在することも考えられる。
【0045】
鏡像異性は、カルボキシル基に対するα−位置にあるキラリティーの中心に関する。したがって、L−鏡像異性体は、立体化学に関して、天然のエクトイン((S)−2−メチル−1,4,5,6−テトラヒドロ−4−ピリミジンカルボン酸)に相当する鏡像異性体であり、中性pH値でエクトインは両性イオンとして存在することを考慮する必要がある。
【化15】

【実施例】
【0046】
以下の実施例は、本発明のさらなる説明として働く。
【0047】
実施例1: メチル−2,4−ジブロモブチレート(2,4−ジブロモ酪酸メチル)の合成
100から115℃の温度で、三臭化リン(0.83ml)およびγ−ブチロラクトン(42g、0.49モル)の再加熱された混合物に、25mlの臭素をゆっくりと滴下により加えた。その後、この混合物をさらに30分間に亘り再加熱した。この混合物を氷浴中で冷却し、83mlのメタノールを注意深く加え、ガス状HClを導入した。このようにして得られた溶液を48時間の期間に亘り50℃で再加熱した。これらの揮発性成分を回収し、残りのオイルをジエチルエーテルで希釈し、3%の炭酸水素ナトリウムの水溶液およびNaCl溶液で2回洗浄した。この洗浄溶液をジエチルエーテルで再抽出し、一体となった有機相を真空中で濃縮した。0.2トールでの蒸留により、無色の液体の形態にある生成物メチル−2,4−ジブロモブチレート(100.4g、80)が得られた。
【0048】
実施例2: 2,4−ジアミノ酪酸メチルの合成
−40℃の温度で、150mlのアンモニアをフラスコ中に液化させ、150mlの無水ジエチルエーテルで希釈した。この溶液に、100mlの無水ジエチルエーテル中100gの2,4−ジブロモ酪酸メチル(0.385モル)をゆっくりと加えた。−40℃の温度で、2時間に亘り撹拌を続け、その後、この溶液を周囲温度まで再加熱した。一晩撹拌した後、臭化アンモニウムを濾過して除き、溶媒を回収した。43.3g(85%)の2,4−ジアミノ酪酸メチルが得られた。
【0049】
実施例3: 1,4,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−ピリミジン−4−カルボン酸メチルの合成
50mlの乾燥メタノール中の2.4g(0.018モル)の2,4−ジアミノ酪酸メチルおよび3.77gのオルト酢酸トリメチルの溶液を24時間に亘り還流において再加熱した。この溶液を乾燥状態まで濃縮し、その生成物を、メタノール/酢酸エチルから再結晶化させた。1.12g(7.2ミリモル、40%)の1,4,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−ピリミジン−4−カルボン酸メチルが得られた。
【0050】
実施例4: L−2,4−ジアミノ酪酸の合成
1) α,Nγ−ジアセチル−D,L−ジアミノ酪酸
撹拌し、氷冷した状態で、無水酢酸(1.42ml;15ミリモル)および7.5mlの2NのNaOHを、7.5mlの2NのNaOH中のD,L−2,4−ジアミノ酪酸(955mg;5ミリモル)の溶液に、5つに分けて加えた。1.5mlの2NのNaOHを加えることによって、pH値を7.5に調節した。氷浴中で1時間後、この溶液を2mlの37%HClでpH3に酸性化し、水相をそれぞれ50mlのn−ブタノール/酢酸エチル(2:1)で2回洗浄した。真空中で有機相を蒸発させて、小さな容積にした後、メチル−tert−ブチルエーテルにより沈殿させた。無色の固体としての800mg(79%)のNα,Nγ−ジアセチル−D,L−ジアミノ酪酸が得られた。アセトニトリル/水/酢酸(30:10:5)中DC:Rf=0.6;ESI−MS:m/z=203.05[M+H]+;C81424について計算して、Mr=202.21。
【0051】
2) γ−アセチル−ジアミノ酪酸
α,Nγ−ジアセチル−D,L−ジアミノ酪酸(404mg;2ミリモル)を、28mgのアシラーゼIアスペルギルス(Fluka社、0.72 U7mg酵素;これは10U/1ミリモルの基質に相当する)と共に、pH7.6で、20mlのSorensenリン酸緩衝液(1/15モル)中で混合し、40℃の油浴中において20時間に亘り培養した。この酵素を、薄膜フィルタAmicon Ultra−4(排除限界10kD)により分離し、この溶液を1NのHClでpH2.5に調節した。
【0052】
これを50mlの陽イオン交換体Dowex 50Wx8(50〜100メッシュ)に供給した後、5までのpH値を有する水で洗浄を行い(ジアセチル化合物の分離)、その後、所望の生成物を1Nのアンモニアで溶出した。溶出液を真空中で蒸発させ、それによって、Nγ−ジアセチル−L−ジアミノ酪酸の無色の結晶が直ちに生成された。収量:140mg(予測された50%の豊富な収率の88%);アセトニトリル/水/酢酸(30:10:5)中DC:Rf=0.3;ESI−MS:m/z=161.10[M+H]+;C61223について計算して、Mr=160.17。
【0053】
3) L−ジアミノ酪酸
γ−ジアセチル−L−ジアミノ酪酸(140mg;0.87ミリモル)を還流下で10mlの2NのHCl中で撹拌した。真空中で蒸発させた際に、結晶性残留物をできるだけ少ない水に溶解させ、4mlの高温純エタノールで沈殿させた。L−ジアミノ酪酸を無色の一塩酸塩として得た。収量:125mg(93%);アセトニトリル/水/酢酸(30:10:5)中DC:Rf=0.1;ESI−MS:m/z=119.08[M+H]+;C41022について計算して、Mr=118.14;C41022×HClについて計算して、Mr=154.60;[α]20D=+24.4°(6NのHCl中c=1.2);Lit.(Beilstein、4/IV、2613):[α]21D=+23.8°(6NのHCl中c=1);Flukaカタログ[α]20D=24±2°(6NのHCl中c=1)。このアミノ酸の鏡像異性体の純度を確認し、Marlfeyの試薬による誘導体化(J. G. Adamson et al., Anal. Biochem., 1992, 202, 210 - 214)およびその後のHPLCにより検証した。条件:Column ET 125/4 Nucleosil 100-5 C8(macherey and Nagel, Duren);溶離液A(水中1%のトリフルオロ酢酸(TFA))から溶離液B(アセトニトリル中0.8%のTFA)まで線形勾配;Rt=15.6分。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I:
【化1】

(ここで、R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7=H、必要に応じて置換されたアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルコキシアルキル、アルキルチオアルキル、アリールオキシアルキルまたはアリールチオアルキル)
の環状アミジンを調製する方法であって、以下の各工程:
− 一般式II
【化2】

のラクトンの、一般式III
【化3】

のジブロモ化合物への臭素化;
− 該ジブロモ化合物IIIの、化合物IV
【化4】

へのエステル化;
− 該ジブロモ化合物IVの、ジアミノ化合物V
【化5】

へのアミノ化;および
− 該化合物Vの、一般式R1−C(OR18)3
(ここで、R1が先に概説した意味と重要性を有し、R18=アルキル)、または
一般式
【化6】

(ここで、R1,R18が先に概説した意味と重要性を有する)
のイミデート、または
一般式
【化7】

(ここで、R1,R18が先に概説した意味と重要性を有する)
のチオイミデート、
との反応;
を有して、一般式Iの環状アミジンを得る方法。
【請求項2】
一般式VI:
【化8】

(ここで、R1,R7,R8,R9,R10,R11,R12,R13,R14=H、必要に応じて置換されたアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルコキシアルキル、アルキルチオアルキル、アリールオキシアルキルまたはアリールチオアルキル)
の環状アミジンを調製する方法であって、以下の各工程:
− 一般式VII
【化9】

のラクトンの、一般式VIII
【化10】

のジブロモ化合物への臭素化;
− 該ジブロモ化合物VIIIの、化合物IX
【化11】

へのエステル化;
− 該ジブロモ化合物IXの、ジアミノ化合X
【化12】

へのアミノ化;および
− 該化合物Vの、一般式R1−C(OR18)3
(ここで、R1が先に概説した意味と重要性を有し、R18=アルキル)、または
一般式
【化13】

(ここで、R1,R18が先に概説した意味と重要性を有する)
のイミデート、または
一般式
【化14】

(ここで、R1,R18が先に概説した意味と重要性を有する)
のチオイミデート、
との反応;
を有して、一般式VIの環状アミジンを得る方法。
【請求項3】
一般式XI:
【化15】

(ここで、R1,R7,R15,R16,R17=H、必要に応じて置換されたアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルコキシアルキル、アルキルチオアルキル、アリールオキシアルキルまたはアリールチオアルキル)
の環状アミジンを調製する方法であって、以下の各工程:
− 一般式XII
【化16】

のラクトンの、一般式XIII
【化17】

のジブロモ化合物への臭素化;
− 該ジブロモ化合物XIIIの、化合物XIV
【化18】

へのエステル化;
− 該ジブロモ化合物XIVの、ジアミノ化合物XV
【化19】

へのアミノ化;および
− 該化合物XVの、一般式R1−C(OR18)3
(ここで、R1が先に概説した意味と重要性を有し、R18=アルキル)、または
一般式
【化20】

(ここで、R1,R18が先に概説した意味と重要性を有する)
のイミデート、または
一般式
【化21】

(ここで、R1,R18が先に概説した意味と重要性を有する)
のチオイミデート、
との反応;
を有して、一般式XIの環状アミジンを得る方法。
【請求項4】
前記化合物V、XまたはXVのエステル基が、オルトエステル、イミデートまたはチオイミデートとの反応工程の前に、加水分解されることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記ジブロモ化合物IV、IXまたはXIVのアミノ化工程が、アジドとの反応およびその後の水素化により行われることを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記ジブロモ化合物IV、IXまたはXIVのアミノ化工程が、NH3との反応により行われることを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の方法。
【請求項7】
R1〜17がH、C1−からC6−アルキルまたはアリールであることを特徴とする請求項1から6いずれか1項記載の方法。
【請求項8】
置換基の対R2−R3、R4−R5、R8−R9、R10−R11、R12−R13およびR15−R16の少なくとも一方の置換基がHであることを特徴とする請求項1から7いずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記カルボン酸またはカルボン酸エステル基COOR7がカルボン酸アミド基CONR19R20に転化され、R19およびR20がHまたはアルキルであることを特徴とする請求項1から8いずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記化合物V、XまたはXVの鏡像異性体を回収するために、以下の各工程:
− 前記化合物V、XまたはXVの両方のアミノ基のところでのジアシル化合物へのアシル化;
− アミノアシラーゼの適用による、前記ジアシル化合物の鏡像異性体のα−位置における立体選択的なモノ脱アシル化と脱アシル化されていないジアシル化合物の分離;および
− 前記モノアシル化合物の前記化合物V、XまたはXVの前記鏡像異性体への加水分解;
を特徴とする請求項1から9いずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記鏡像異性体がL−鏡像異性体であることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記アシル基がアセチル基であることを特徴とする請求項10または11記載の方法。
【請求項13】
前記アミノアシラーゼがアスペルギルス属からのアシラーゼIであることを特徴とする請求項10から12いずれか1項記載の方法。
【請求項14】
式I
【化22】

の環状アミジン並びにその塩であって、
− R2,R3,R4,R5,R6がHであり、R7がH、メチルまたはエチルである場合、R1がメチルではなく、
− R2,R3,R4,R5,R6,R7がHである場合、R1がフェニルではなく、
− R2,R3,R4,R5,R6,R7がHである場合、R1が2’−ピリジルではなく、
− R2,R3,R4,R5,R6,R7がHである場合、R1はn−プロピルではない、
という条件で、
R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7=H、必要に応じて置換されたアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルコキシアルキル、アルキルチオアルキル、アリールオキシアルキルまたはアリールチオアルキル、
である環状アミジン。
【請求項15】
式VI
【化23】

の環状アミジン並びにその塩であって、
− R7,R8,R9,R10,R11,R12,R13,R14がHである場合、R1がメチルではない、
という条件で、
R1,R7,R8,R9,R10,R11,R12,R13,R14=H、必要に応じて置換されたアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルコキシアルキル、アルキルチオアルキル、アリールオキシアルキルまたはアリールチオアルキル、
である環状アミジン。
【請求項16】
式XI
【化24】

の環状アミジン並びにその塩であって、
− R7,R15,R16,R17がHである場合、R1がメチルではない、
という条件で、
R1,R7,R15,R16,R17=H、必要に応じて置換されたアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルコキシアルキル、アルキルチオアルキル、アリールオキシアルキルまたはアリールチオアルキル、
である環状アミジン。
【請求項17】
R7が、C8−、C9−、C10−、C11−、C12−、C13−、C14−、C15−、C16−、C17−、またはC18−アルキル基であり、R1がHまたはメチルのいずれかであり、6員環アミジンの場合には、R2,R3,R4,R5およびR6が、7員環アミジンの場合には、R8,R9,R10,R11,R12,R13およびR14が、5員環アミジンの場合には、R15,R16およびR17が、Hであることを特徴とする請求項14から16いずれか1項記載の環状アミジン。
【請求項18】
R1がエチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチルまたはtert−ブチルであり、R7がHであり、6員環アミジンの場合には、R2,R3,R4,R5およびR6が、7員環アミジンの場合には、R8,R9,R10,R11,R12,R13およびR14が、5員環アミジンの場合には、R15,R16およびR17が、Hであることを特徴とする請求項14から16いずれか1項記載の環状アミジン。
【請求項19】
− 6員環アミジンの場合には、R2,R3,R4またはR5基の1つのみがメチル、エチルたまはフェニルであり、他の基並びにR6が水素であり、
− 7員環アミジンの場合には、R8,R9,R10,R11,R12またはR13基の1つのみがメチル、エチルまたはフェニルであり、他の基並びにR14がHであり、
− 5員環アミジンの場合には、R15またはR16基の一方のみがメチル、エチルまたはフェニルであり、他方の基並びにR17がHであり、
R1およびR7については、以下が有効である
− R1およびR17がHである、または
− R1およびR17がメチルである、または
− R1がHであり、R17がメチルである、または
− R1がメチルであり、R7がHである
ことを特徴とする請求項14から16いずれか1項記載の環状アミジン。
【請求項20】
前記アミジンがL−またはD−鏡像異性体として存在することを特徴とする請求項14から19いずれか1項記載の環状アミジン。
【請求項21】
式XVI、XVIIまたはXVIII
【化25】

の環状アミジン並びにその塩であって、
R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7,R8,R9,R10,R11,R12,R13,R14,R15,R16,R17=H、必要に応じて置換されたアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルコキシアルキル、アルキルチオアルキル、アリールオキシアルキルまたはアリールチオアルキル、
である環状アミジン。
【請求項22】
R19が、C8−、C9−、C10−、C11−、C12−、C13−、C14−、C15−、C16−、C17−、またはC18−アルキル基であり、R2,R3,R4,R5,R6,R7,R8,R9,R10,R11,R12,R13,R14,R15,R16,R17およびR20がHであり、R1がHまたはメチルであることを特徴とする請求項21記載の環状アミジン。
【請求項23】
以下の式:
【化26】

の内の1つによる環状アミジン並びにその塩。

【公表番号】特表2011−527998(P2011−527998A)
【公表日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517815(P2011−517815)
【出願日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際出願番号】PCT/EP2009/005175
【国際公開番号】WO2010/006792
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(510126117)ビトップ アーゲー (4)
【氏名又は名称原語表記】bitop AG