環状アミノ酸分子およびその製造方法
両性アミノアルデヒドおよびイソシアニドとの反応による、アミノ酸または直鎖ペプチドの大環状化について記載している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環状アミノ酸分子およびその製造方法、特に両性アミノアルデヒドおよびイソシアニドとの反応によるアミノ酸または直鎖ペプチドの大環状化に関する。
【背景技術】
【0002】
ペプチドは、多種多様な生物学的プロセスに影響を及ぼして、ホルモン、抗生物質およびシグナル伝達分子として働くという点で、極めて重要な役割を果している。生物学的標的と特異性の高い相互作用を生じることから、ペプチドは、医学分野で広く用いられている。とはいえ、生物学的利用能は低いので、治療に関するペプチドの莫大な可能性の実現は必ずしも容易ではない。この短所は、エンド−およびエクソペプチダーゼによるペプチドの分解が引き起こす結果であり、ペプチドのin vivo安定性の低下にもつながる。直鎖ペプチドに比べて、環状ペプチドは分解されにくい。環状ペプチドの安定性には主な理由が2つある。第一に、エクソペプチダーゼは、環状ペプチドの(実在しない)端部を開裂できないことである。第二に、環状ペプチド、特に小〜中程度の大きさの環を持つ環状ペプチドは、環状ペプチドの拘束された骨格が、タンパク質分解中に所望の大きさの立体配座への適応を阻むために、エンドペプチダーゼの作用を受けにくいことである。その上、環状ペプチド内部での低い電荷と分子内水素結合が受動的膜透過性を高めることにより、生物学的利用能の向上にも寄与する。最も重要なのは、環状構造がアミノ酸配列に与える立体配座の拘束によって、環状ペプチドとその生化学的標的との間のエンタルピー相互作用が最大化すると同時に、望ましい結合エントロピーも確保されることである。
【0003】
天然起源の環状ペプチドと合成環状ペプチドはいずれも、アミノ酸配列を予め剛直な構造にするための足場として非常に重要視されてきた1。おびただしい数の既知の環状ペプチドの中でも特に重要なのは、剛直な、小〜中程度の大きさの環である。様々なシクロラクタム化法や非ペプチド性環化法2が開発されてきた。
【0004】
直鎖前駆体の大環状化は、直鎖ペプチドの配座優先に起因する、幾つかの熱力学的および動力学的な課題を抱えている。鎖−環の立体配座平衡は、非環式前駆体から環状分子を合成する際に直面する主要な障害である。短鎖の直鎖ペプチドは環状構造を取り易いが、これは、N末端とC末端の間のイオン対化によって推進される(スキーム1、A)3。不利なエントロピーにもかかわらず、この環状構造は、静電相互作用と他の極性相互作用によって蓄えられたエンタルピーのおかげで、熱力学的に恵まれている。スキーム1から分かるように、従来の活性化剤は、ペプチドの両性イオン特性を取り去って、イオン対を形成できなくさせる傾向がある。その結果、静電相互作用と他の極性相互作用からエンタルピーが生じなければ、活性化ペプチドは不規則な直鎖構造を呈する(スキーム1、B)。大環状化を生じさせるには、活性化ペプチドがプレ環化構造(C)になってから所望の環状分子(D)を形成する必要がある。シクロ二量化4、シクロ三量化および重合5から生じる副生物の形成を制限するには、10−4以上に高希釈することが不可欠である。残念なことに、希釈は反応時間を延ばし、その結果、エピ化などのバックグランド処理を誘発する。中でも最も困難な環化は、7つ未満の残基を含む直鎖ペプチドを環化させるものである6、7。
【0005】
【数1】
【0006】
大環状構造の化学的空間を研究する上でのもう一つの共通の課題は、終盤での修飾に関するものである。これは、バイオ企業や製薬会社が構築した大環状化合物ライブラリーにおける長年の課題である。典型的な環化法(閉環メタセシス、ヒュスゲン環化付加)もやはり、それより先の合成には適さない。前記目的を達成するには、官能基の手を環化前に組み込む必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、環状アミノ酸分子の製造方法であって、前記方法が、アミノ末端とカルボキシル末端を有するアミノ酸分子を、イソシアニドおよび下記式(Ia)および/または(Ib):
【0008】
【化1】
【0009】
[式中、n=0または1であり、R1、R2、R3、R4およびR5は独立して、H、低級アルキル、アルケニル、複素環、シクロアルキル、式−C(O)OR*(式中、R*はアルキルおよびアリールから選択される)で表されるエステル、式−C(O)NR**R***(式中、R**およびR***は独立して、アルキルおよびアリールから選択される)で表されるアミド、−CH2C(O)R(式中、Rは、−OH、低級アルキル、アリール、−低級アルキルアリールまたは−NRaRbから選択され、前記式中、RaおよびRbは独立して、H、低級アルキル、アリールもしくは低級アルキルアリールから選択される)、−C(O)Rc(式中、Rcは、低級アルキル、アリールまたは低級アルキルアリールから選択される)あるいは低級アルキル−ORd(式中、Rdは、好適な保護基またはOH基である)から選択され、これらは全て、場合により、1つ以上の置換可能な位置で1つ以上の好適な置換基によって置換され、
前記化合物のアルデヒド成分は、場合により亜硫酸水素塩を付加した形態であってよく、
前記アミノ酸分子は、アミノ酸、直鎖ペプチドまたはこれらの塩であり、ただし前記アミノ酸分子が直鎖ペプチドである場合、前記化合物は、前記ペプチドのアミノ末端の近位の炭素原子と立体化学的に整合しつつ、前記アルデヒドの近位にアジリジン不斉中心を含むものとする。]
の化合物と反応させる工程を含む、
前記方法を提供する。
【0010】
他の態様では、本明細書に記載する方法を用いて製造される、環状アミノ酸分子を提供する。
【0011】
別の態様では、式(II):
【0012】
【化2】
【0013】
[前記式中、n=0または1であり、R1、R2、R3、R4およびR5は独立して、H、低級アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、複素環、式−C(O)OR*(式中、R*はアルキルおよびアリールから選択される)で表されるエステル、式−C(O)NR**R***(式中、R**およびR***は独立して、アルキルおよびアリールから選択される)で表されるアミド、−CH2C(O)R(式中、Rは、−OH、低級アルキル、アリール、−低級アルキルアリールまたはNRaRbから選択され、前記式中、RaおよびRbは独立して、H、低級アルキル、アリールもしくは−低級アルキルアリールから選択される)、−C(O)Rc(式中、Rcは、低級アルキル、アリールまたは−低級アルキルアリールから選択される)あるいは−低級アルキル−ORd(式中、Rdは、好適な保護基またはOH基である)から選択され、これらは全て、場合により、1つ以上の置換可能な位置で1つ以上の好適な置換基によって置換され、
結合[a]および[b]は互いにシン位にあり、
R’は、前記アミノ末端アミノ酸のアミノ酸側鎖であり、
R”は、任意置換アミドであり、および
前記アミノ酸分子は、アミノ酸または直鎖ペプチドであって、N’は前記アミノ酸分子のアミノ末端での窒素であり、およびC’は前記アミノ酸分子のカルボキシ末端での炭素であり、ただし前記アミノ酸分子が直鎖ペプチドである場合、結合[a]および[c]は互いにアンチ位にあるものとする。]
で表される環状アミノ酸分子を提供する。
【0014】
もう一つの態様では、アミノ酸分子の環化における化合物の用途であって、前記化合物が、式(Ia)/(Ib):
【0015】
【化3】
【0016】
で表されるものであって、式中前記アミノ酸分子のアミノ末端の近位の炭素原子と立体化学的に整合しつつ、前記アルデヒド基の近位の炭素原子にα−立体中心を含んでおり、
n=0または1であり、R1、R2、R3、R4およびR5は独立して、H、低級アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、複素環、式−C(O)OR*(式中、R*はアルキルおよびアリールから選択される)で表されるエステル、式−C(O)NR**R***(式中、R**およびR***は独立して、アルキルおよびアリールから選択される)で表されるアミド、−CH2C(O)R(式中、Rは、−OH、低級アルキル、アリール、−低級アルキルアリールまたは−NRaRbから選択され、前記式中、RaおよびRbは独立して、H、低級アルキル、アリールもしくは−低級アルキルアリールから選択される)、−C(O)Rc(式中、Rcは、低級アルキル、アリールまたは−低級アルキルアリールから選択される)あるいは−低級アルキル−ORd(式中、Rdは、好適な保護基である)から選択され、これらがいずれも、場合により、1つ以上の置換可能な位置で1つ以上の好適な置換基によって置換されており、
前記アミノ酸分子は、アミノ酸、直鎖ペプチドまたはこれらの塩であり、ただし前記アミノ酸分子が直鎖ペプチドである場合、前記化合物は、前記ペプチドのアミノ末端の近位の炭素原子と立体化学的に整合しつつ、前記アルデヒドの近位にアジリジン不斉中心を含むものとする、前記化合物の用途を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】ロイシン異性体を用いた粗反応混合物の1H−NMR比較を表す。
【図2】アミナール生成物を引き起こす不整合反応を表すスキームである。
【図3】環状生成物をもたらす整合反応を表す。
【図4】方法1〜3で合成される環状生成物の化学構造を表す。
【図5】環状生成物1の1H−および13C−NMRスペクトルである。
【図6】環状生成物2の1H−および13C−NMRスペクトルである。
【図7】環状生成物3の1H−および13C−NMRスペクトルである。
【図8】環状生成物4の1H−および13C−NMRスペクトルである。
【図9】環状生成物5の1H−および13C−NMRスペクトルである。
【図10】環状生成物6の1H−および13C−NMRスペクトルである。
【図11】環状生成物7の1H−および13C−NMRスペクトルである。
【図12】環状生成物8の1H−および13C−NMRスペクトルである。
【図13】環状生成物9の1H−NMRスペクトルである。
【図14】環状生成物10の1H−および13C−NMRスペクトルである。
【図15】環状生成物11の1H−および13C−NMRスペクトルである。
【図16】環状生成物12の1H−および13C−NMRスペクトルである。
【図17】環状生成物13の1H−および13C−NMRスペクトルである。
【図18】環状生成物14の1H−および13C−NMRスペクトルである。
【図19】環状生成物15の1H−および13C−NMRスペクトルである。
【図20A】環状生成物16の1H−およびCOSY NMRスペクトルである。
【図20B】環状生成物16の13C−NMRスペクトルである。
【図21】環状生成物17の1H−および13C−NMRスペクトルである。
【図22】環状生成物18の1H−および13C−NMRスペクトルである。
【図23】環状生成物19の1H−および13C−NMRスペクトルである。
【図24】環状生成物20の1H−および13C−NMRスペクトルである。
【図25】環状生成物21の1H−および13C−NMRスペクトルである。
【図26】環状生成物22の1H−およびCOSY NMRスペクトルである。
【図27】環状生成物23の1H−NMRスペクトルである。
【図28】Pro−Gly−Gly−Glyの0.2MでのHATU媒介環化に関する未処理のLC−MS(ESI)分析結果を表す。
【図29】Pro−Gly−Gly−Glyの0.2Mでのイソシアニド/アミノアルデヒド媒介環化に関する未処理のLC−MS(ESI)分析結果を表す。
【図30】アジリジン含有環状ペプチドの求核的開環反応を表す。
【図31】チオール及びアンモニウムイオンのpKa並びにイオン対のΔpKaを表す。
【図32】チオール開環生成物の反応混合物についての未処理のLC−MS(ESI)分析結果を表す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施態様は、以下の記述および添付の図面を参照することで十分に理解できよう。記述および図面において、同様の数字は同様の構造またはプロセスを表すものとする。
【0019】
本明細書では、環状ペプチドを高収率および高い選択率で生成すると同時に、従来の環化反応中に通常生じる問題を回避した、1段階反応について説明する。今や大環状分子の終盤での多様化は、一続きに達成することが可能である。大環状化生成物は特異的修飾部位を有するので、環状ペプチドを終盤に構造変化することが可能である。環化後の多様化は、バイオ産業及び製薬業界両者の大員環ライブラリでの長年の課題であった。本発明の大環状化方法は、特にこの課題を解決するものである。
【0020】
本明細書では、合成に役立つ無保護のアジリジン基とアルデヒド基を含む、安定な両性アミノアルデヒド類の用途について述べている8。両性アミノアルデヒドを、ペプチドのアミン末端およびカルボキシル末端と可逆反応するように促す。結果として生じる求電子性中間体は、有効モル濃度が高いので、求核性アジリジン部と速やかに反応する。その結果、好ましくない鎖/環平衡をル・シャトリエの原理によってシフトさせて、環状生成物へ効率良く転化させるようにする。別の態様では、環化は、脂肪族アミノ酸側鎖残基や酸性および塩基性アミノ酸側鎖残基を用いることもできる。特にペプチドは、酸性および塩基性残基を有するものを含めて、本発明の方法の範疇にあると考えられ、どの場合でも単一のジアステレオマー生成物をもたらす。トリフルオロエタノール(「TFE」)は、ペプチドの二次構造を安定化して極性相互作用を促進する能力9が知られており、好ましい反応媒体である。ユージー(Ugi)4成分縮合反応は、カルボン酸とアミンとアルデヒドとイソシアニドを用いる周知の反応10であって、両性イオン大環状化前駆体を生成する好ましい手段である。反応機構上、ユージー反応は、アミド結合形成の熱力学的原動力に繋がる一連の可逆転移を経て進行することが知られている。出発原料としてα−アミノ酸とアルデヒドとイソシアニドを用いると、反応は、両性イオン性イミニウムイオン中間体を介して進み、イソシアニドからの攻撃により、求電子性混合無水物を生成する。その後のメタノールとの反応により、直鎖ペプチドエステルがジアステレオ異性体混合物として得られる11。この反応を、直鎖ペプチドと従来の(単官能)アルデヒドを用いた環状ペプチド合成で試みた。しかし、ジアステレオ選択性や支配的なシクロ二量化生成物がないことから、収率は低かった12、13。
【0021】
一態様では、環状アミノ酸分子の製造方法であって、前記方法が、アミノ末端とカルボキシル末端とを有するアミノ酸分子を、イソシアニドおよび式(Ia)および/または(Ib):
【0022】
【化4】
【0023】
[式中、n=0または1であり、R1、R2、R3、R4およびR5は独立して、H、低級アルキル、アルケニル、複素環、シクロアルキル、式−C(O)OR*(式中、R*はアルキルおよびアリールから選択される)で表されるエステル、式−C(O)NR**R***(式中、R**およびR***は独立して、アルキルおよびアリールから選択される)で表されるアミド、−CH2C(O)R(式中、Rは、−OH、低級アルキル、アリール、−低級アルキルアリールまたはNRaRbから選択され、前記式中、RaおよびRbは独立して、H、低級アルキル、アリールもしくは−低級アルキルアリールから選択される)、−C(O)Rc(式中、Rcは、低級アルキル、アリールまたは−低級アルキルアリールから選択される)あるいは−低級アルキル−ORd(式中、Rdは、好適な保護基またはOH基である)から選択され、これらは全て、場合により、1つ以上の置換可能な位置で1つ以上の好適な置換基によって置換され、
前記化合物のアルデヒド成分は、場合により亜硫酸水素塩を付加した形態であってよく、
そして前記アミノ酸分子は、アミノ酸、直鎖ペプチドまたはこれらの塩であり、ただし前記アミノ酸分子が直鎖ペプチドである場合、前記化合物は、前記ペプチドのアミノ末端の近位の炭素原子と立体化学的に整合しつつ、前記アルデヒドの近位にアジリジン不斉中心を含むものとする。]
の化合物と反応させる工程を含む、前記方法を提供する。
【0024】
好ましくは、アミノ酸分子がアミノ酸である場合、アミノ末端は一級アミノ基または二級アミノ基であるが、アミノ酸分子がペプチドである場合、アミノ末端は二級アミノ基である。
【0025】
一実施態様では、R1〜R5のうちいずれか1つはHである。好ましくは、n=0であり、そしてR2およびR3はHである、またはR1〜R3はHである。
【0026】
特別な実施態様では、R1は、CH2OTBDMSまたはCH2iPrである。
【0027】
一実施態様では、アミノ酸分子は直鎖ペプチドである。好ましくは、直鎖ペプチドのアミノ末端アミノ酸は、プロリン、およびNHBn、NHCH2CH2SO2PhまたはNHCH2CH2CNで置換されたアミノ基を有するアミノ酸からなる群より選択される。
【0028】
他の実施態様では、アミノ酸分子は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セレノシステイン、セリン、チロシン、トレオニン、トリプトファンおよびバリンからなる群より選択されるD−またはL−アミノ酸である。
【0029】
アミノ酸分子は、α−アミノ酸、β−アミノ酸またはγ−アミノ酸であってよい。
【0030】
一実施態様では、イソシアニドは、(S)−(−)−α−メチルベンジルイソシアニド、1,1,3,3−テトラメチルブチルイソシアニド、1−ペンチルイソシアニド、2,6−ジメチルフェニルイソシアニド、2−モルホリノエチルイソシアニド、2−ナフチルイソシアニド、2−ペンチルイソシアニド、4−メトキシフェニルイソシアニド、ベンジルイソシアニド、ブチルイソシアニド、シクロヘキシルイソシアニド、イソプロピルイソシアニド、p−トルエンスルホニルメチルイソシアニド、フェニルイソシアニドジクロリド、tert−ブチルイソシアニド、(トリメチルシリル)メチルイソシアニド、1H−ベンゾトリアゾル−1−イルメチルイソシアニド、2−クロロ−6−メチルフェニルイソシアニド、ジ−tert−ブチル2−イソシアノサクシネート、tert−ブチル2−イソシアノ−3−メチルブチレート、tert−ブチル2−イソシアノ−3−フェニルプロピオネート、tert−ブチル2−イソシアノプロピオネートおよびtert−ブチル3−イソシアノプロピオネートからなる群より選択され、好ましくはtert-ブチルイソシアニドである。
【0031】
一部の実施態様では、前記方法は非求核性反応媒体中、好ましくはトリフルオロエタノール中、またはHFIPと水との混合液中で行う。
【0032】
一実施態様において、アミノ酸分子がアミノ酸である場合は、前記方法を水中で行う。
【0033】
一部の実施態様では、前記方法は、前記アジリジン部分の求核的開環反応によって前記環状アミノ酸分子に蛍光標識を結合させる工程を更に含む。
【0034】
一部の実施態様では、ペプチドの長さは、アミノ酸2〜30個分である。
【0035】
別の態様では、本明細書に記載の方法を用いて製造された、環状アミノ酸分子を提供する。
【0036】
環化は、場合により、特定のペプチドまたはアミノ酸側鎖を当業者に既知の方法で保護する必要がある可能性があるので、その保護も包含するものと考えられる。
【0037】
別の態様では、式(II):
【0038】
【化5】
【0039】
[前記式中、n=0または1であり、R1、R2、R3、R4およびR5は独立して、H、低級アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、複素環、式−C(O)OR*(式中、R*はアルキルおよびアリールから選択される)で表されるエステル、式−C(O)NR**R***(式中、R**およびR***は独立して、アルキルおよびアリールから選択される)で表されるアミド、−CH2C(O)R(式中、Rは、−OH、低級アルキル、アリール、−低級アルキルアリールまたは−NRaRbから選択され、前記式中、RaおよびRbは独立して、H、低級アルキル、アリールもしくは−低級アルキルアリールから選択される)、−C(O)Rc(式中、Rcは、低級アルキル、アリールまたは低級アルキルアリールから選択される)あるいは−低級アルキル−ORd(式中、Rdは、好適な保護基またはOH基である)から選択され、これらは全て、場合により、1つ以上の置換可能な位置で1つ以上の好適な置換基によって置換され、
結合[a]および[b]が互いにシン位にあり、
R’は、前記アミノ末端アミノ酸のアミノ酸側鎖であり、
R”は、任意置換アミドであり、
そして前記アミノ酸分子は、アミノ酸または直鎖ペプチドであって、N’は前記アミノ酸分子のアミノ末端での窒素であり、およびC’は前記アミノ酸分子のカルボキシ末端での炭素であり、ただし前記アミノ酸分子が直鎖ペプチドである場合、結合[a]および[c]は互いにアンチ位にあるものとする。]
で表される環状アミノ酸分子を提供する。
【0040】
好ましくは、アミノ酸分子がアミノ酸である場合、アミノ末端は一級アミノ基または二級アミノ基であるが、アミノ酸分子が直鎖ペプチドである場合、アミノ末端は二級アミノ基である。
【0041】
一実施態様では、R1〜R5のうちいずれか1つはHである。好ましくは、n=0であり、そしてR2およびR3はHである、またはR1〜R3はHである。
【0042】
特別な実施態様では、R1は、CH2OTBDMSまたはCH2iPrである。
【0043】
一実施態様では、アミノ酸分子は直鎖ペプチドである。好ましくは、直鎖ペプチドのアミノ末端アミノ酸は、プロリン、およびNHBn、NHCH2CH2SO2PhまたはNHCH2CH2CNで置換されたアミノ基を有するアミノ酸からなる群より選択される。
【0044】
他の実施態様では、アミノ酸分子は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セレノシステイン、セリン、チロシン、トレオニン、トリプトファンおよびバリンからなる群より選択されるD−またはL−アミノ酸である。
【0045】
アミノ酸分子は、α−アミノ酸、β−アミノ酸またはγ−アミノ酸であってよい。
【0046】
一実施態様では、R”は、tert−ブチルアミドである。
【0047】
別の態様では、アミノ酸分子の環化における化合物の用途であって、前記化合物は、式(Ia)/(Ib):
【0048】
【化6】
【0049】
で表されるものであって、式中前記アミノ分子のアミノ末端の近位の炭素原子と立体化学的に整合しつつ、前記アルデヒド基の近位の炭素原子にα−立体中心を含んでおり、および
n=0または1であり、R1、R2、R3、R4およびR5は独立して、H、低級アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、複素環、式−C(O)OR*(式中、R*はアルキルおよびアリールから選択される)で表されるエステル、式−C(O)NR**R***(式中、R**およびR***は、アルキルおよびアリールから独立して選択される)で表されるアミド、−CH2C(O)R(式中、Rは、−OH、−低級アルキル、アリール、−低級アルキルアリールまたは−NRaRbから選択され、前記式中、RaおよびRbは独立して、H、低級アルキル、アリールもしくは−低級アルキルアリールから選択される)、−C(O)Rc(式中、Rcは、−低級アルキル、アリールまたは−低級アルキルアリールから選択される)あるいは−低級アルキル−ORd(式中、Rdは、好適な保護基である)から選択され、これらは全て、場合により、1つ以上の置換可能な位置で1つ以上の好適な置換基によって置換されており、
そして前記アミノ酸分子は、アミノ酸、直鎖ペプチドまたはこれらの塩であり、ただし前記アミノ酸分子が直鎖ペプチドである場合、前記化合物は、前記ペプチドのアミノ末端の近位の炭素原子と立体化学的に整合しつつ、前記アルデヒドの近位にアジリジン不斉中心を含むものとする、
前記化合物の用途を提供する。
【0050】
本明細書で使用するとき、用語「アミノ酸分子」は、それぞれのアミノ酸に加えて、ペプチド類も包含するものとする。
【0051】
本明細書で使用するとき、用語「アミノ酸」は、アミノ基、カルボン酸基および多種多様な側鎖を含む分子を指す。アミノ酸には、タンパク質中に一般に存在する20個のアミノ酸だけでなく、当業者に既知の非標準的なアミノ酸および非天然アミノ酸誘導体も含むものとするため、α−、β−およびγ−アミノ酸を含むが、これらに限定されない。ペプチドは、少なくとも2個のアミノ酸の重合体であり、例えば、標準的なアミノ酸、非標準的なアミノ酸および非天然アミノ酸を包含することができる。
【0052】
本発明に関して使用するとき、用語「好適な置換基」は、H、ヒドロキシル、シアノ、アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、t−ブチル、ヘキシル等の低級アルキル)、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ等の低級アルコキシ)、アリールオキシ(例えば、フェノキシ等)、ビニル、アルケニル(例えば、ヘキセニル等)、アルキニル;ホルミル、ハロアルキル(例えば、CF3、CCl3等を包含する低級ハロアルキル)、ハロゲン化物、アリール(例えば、フェニルおよびナフチル)、ヘテロアリール(例えば、チエニルおよびフラニル等)、アミド(例えば、C(O)NRaRbであって、前記式中、RaおよびRbは独立して、低級アルキル、アリールまたはベンジル等から選択される)、アシル(例えば、C(O)C6H5等)、エステル(例えば、−C(O)OCH3等)、エーテルおよびチオエーテル(例えば、O−Bn等)、チオアルコキシ、ホスフィノ並びに−NRaRb(式中、RaおよびRbは独立して、低級アルキル、アリールまたはベンジル等から選択される)を独立して包含するものとする。本発明に関して使用するとき、好適な置換基とは、本発明の方法によって所望の生成物の形成を妨げない置換基を表すものと理解すべきである。
【0053】
本発明に関して使用するとき、本明細書中で単独でまたは他の置換基と組み合わせて用いられる用語「低級アルキル」とは、炭素数1〜6の非環式、直鎖または分枝鎖アルキル置換基を表し、例えばメチル、エチル、1−メチルエチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル等が挙げられる。「低級アルコキシ」、「低級チオアルキル」および「低級アルケニル」等は、炭素原子数に関しては前記用語と同じような使い方であると理解すべきである。本明細書中で用いられる「低級アルコキシ」としては、例えばメトキシ、エトキシ、t−ブトキシが挙げられる。
【0054】
用語「アルキル」には低級アルキルが含まれ、例えば炭素原子数7〜10の非環式、直鎖または分枝鎖アルキル置換基のように、炭素原子数が6を超えるアルキル基も包含される。
【0055】
本明細書中で単独でまたは他の置換基と組み合わせて使用するとき、用語「アリール」とは、単環式芳香族系または多環式芳香族系を表す。例えば、用語「アリール」には、フェニル環またはナフチル環が含まれ、さらには、蛍光標識(例えば、アントラセン)または放射性標識およびそれらの誘導体のように、より大きな多環式芳香族系を包含する場合もある。
【0056】
本明細書中で単独でまたは他の置換基と組み合わせて使用するとき、用語「ヘテロアリール」とは、窒素、酸素および硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有し、そして芳香族系を形成する、5員、6員または7員の不飽和複素環を表す。用語「ヘテロアリール」にはまた、窒素、酸素および硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する、5員、6員または7員の不飽和複素環を構成する多環式芳香族系も包含される。
【0057】
本明細書中で単独でまたは他の置換基と組み合わせて使用するとき、用語「シクロアルキル」とは、シクロアルキル置換基を表すものであり、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
本明細書中で使用するとき、用語「シクロアルキル−アルキル−」とは、シクロアルキルラジカルが直接結合しているアルキルラジカルを表すものであり、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、1−シクロペンチルエチル、2−シクロペンチルエチル、シクロヘキシルメチル、1−シクロヘキシルエチルおよび2−シクロヘキシルエチルが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用する場合、アリールアルキル−、アリール低級アルキル−(例えば、ベンジル)、−低級アルキルアルケニル(例えば、アリル)、ヘテロアリールアルキル−等は、前記用語「アルキル」または「低級アルキル」と同じような使い方であると理解すべきである。例えば、用語「アリールアルキル−」とは、アリールが結合したアルキルラジカルを表す。アリールアルキル−の例としては、ベンジル(フェニルメチル)、1−フェニルエチル、2−フェニルエチルおよびフェニルプロピルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
本明細書中で単独でまたは他のラジカルと組み合わせて使用するとき、用語「複素環」とは、窒素、酸素および硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する3員〜7員の飽和または不飽和(芳香族を含む)複素環から水素を除去して得られる、1価のラジカルを表す。このような複素環の例としては、アジリジン、エポキシド、アゼチジン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、チアゾリジン、ピロール、チオフェン、ヒダントイン、ジアゼピン、イミダゾール、イソキサゾール、チアゾール、テトラゾール、ピぺリジン、ピペラジン、ホモピぺリジン、ホモピペラジン、1,4−ジオキサン、4−モルホリン、4−チオモルホリン、ピリジン、ピリジン−N−オキシドまたはピリミジン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
本明細書中で単独でまたは他のラジカルと組み合わせて使用するとき、用語「アルケニル」とは、炭素原子を2個以上含有し、そのうちの少なくとも2個が二重結合で互いに結合された、不飽和非環式直鎖ラジカルを表すものとする。このようなラジカルの例としては、エテニル(ビニル)、1−プロペニル、2−プロペニルおよび1−ブテニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
本明細書中で使用するとき、用語「アルキニル」とは、炭素原子を2個以上含有し、そのうちの少なくとも2個が三重結合で互いに結合された、不飽和非環式直鎖ラジカルを表すものとする。このようなラジカルの例としては、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニルおよび1−ブチニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
本明細書中で単独でまたは他のラジカルと組み合わせて使用するとき、用語「アルコキシ」とは、−O−(C1〜n)アルキルラジカルを表し、前記式中、アルキルは、先に定義したように炭素原子を1個以上含有しており、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、1−メチルエトキシ、ブトキシおよび1,1−ジメチルエトキシが挙げられる。nが1〜6の場合は、「低級アルコキシ」という用語が前述と同様に適用されるが、用語「アルコキシ」には、「低級アルコキシ」だけでなく、nが6を超える(例えば、n=7〜10)アルコキシ基も包含される。本明細書中で単独でまたは他のラジカルと組み合わせて使用するとき、用語「アリールオキシ」は−O−アリールを表すものであって、前記アリールは、上述と同様に定義される。
【0063】
ペプチドは、アミノ酸2個以上の重合体である。
【0064】
以下の実施例は、本発明の様々な態様を例証するものであって、本明細書に述べる本発明の広範な態様を限定するものではない。
【実施例】
【0065】
実施例1
材料および方法
無水トルエンとジメチルホルムアミド(DMF)を入手して、そのまま使用した。テトラヒドロフラン(THF)は、ナトリウム・ベンゾフェノンケチルを用いてアルゴン中で蒸留した。TFE(2,2,2−トリフルオロエタノール)およびHFIP(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−イソプロパノール)を含む他の溶媒は全て試薬級の品質であった。融点は、メルテンプ(MelTemp)融点測定装置で測定したものであり、補正はしていない。
【0066】
方法1:
次の方法を用いてアミノ酸/ペプチド環化反応を行った。マグネティック撹拌子を入れたスクリューキャップ付きバイアル瓶に、ペプチド(0.2ミリモル)とTFE 1mlを加えて、均一な溶液となるまで撹拌した。次に、アジリジンアルデヒド二量体(0.1ミリモル)およびイソシアニド(0.2ミリモル)を続けて加えて、得られた混合物を、表2に記載した時間で撹拌した。反応は、60eVのエレクトロスプレイイオン化質量分析(「ESI−MS」)および/または薄層クロマトグラフィー(「TLC」)分析でモニターした。反応終了後、水1mlとEt2O 1mlを加えて、混合物を激しく震盪してから氷で冷した。生じた沈殿物を濾過し、ヘキサンと冷Et2O(1ml)で洗浄すると、環状ペプチドが得られた。生成物が水溶性であるかまたは沈殿しない場合は、反応混合物を減圧濃縮した後、Et2Oおよびヘキサン(0.2ml)を加えて紛体化して、環状ペプチド生成物を得た。
【0067】
方法2:
TFEの代わりにHFIPを用いてアミノ酸/ペプチド環化反応を行った(方法2)。マグネティック撹拌子を入れたスクリューキャップ付きバイアル瓶に、ペプチド(0.2ミリモル)とHFIP 1mlを加えて、均一な溶液となるまで撹拌した。次に、アジリジンアルデヒド二量体(0.1ミリモル)およびイソシアニド(0.2ミリモル)を続けて加えて、得られた混合物を、表2に記載した時間で撹拌した。反応は、60eVのESI−MSおよび/またはTLC分析でモニターした。反応終了後、混合物を減圧濃縮してから、Et2Oおよびヘキサン(0.2ml)を加えて紛体化して、環状ペプチド生成物を得た。
【0068】
方法3:
HFIPと水を用いてアミノ酸/ペプチド環化反応を行った。マグネティック撹拌子を入れたスクリューキャップ付きバイアル瓶に、ペプチド(0.2ミリモル)、HFIP 1mlおよびH2O 47マイクロリットルを加えて、均一になるまで撹拌した。次に、アジリジンアルデヒド二量体(0.1ミリモル)およびイソシアニド(0.2ミリモル)を続けて加えて、得られた混合物を、表2に記載した時間で撹拌した。反応は、60eVのESI−MSおよび/またはTLC分析でモニターした。反応終了後、混合物を減圧濃縮してから、Et2Oおよびヘキサンを加えて紛体化して、環状ペプチド生成物を得た。
【0069】
注釈:
システインまたはチオール残渣含有ペプチドを用いた反応では、反応前に溶媒をアルゴンを用いて2時間脱気した。その後、反応はアルゴン雰囲気下で行った。
【0070】
方法1〜3それぞれで合成され得る環状生成物の一部を表1にまとめ、図4に示す。
【0071】
表1.アミノ酸/ペプチド環化反応に用いた方法
【表1】
【0072】
表1に挙げた各環状生成物の相対立体化学は、各1H−NMRスペクトルのメチン領域をピペラジノン(1)のスペクトルで関連づけて確定した。
【0073】
クロマトグラフィー:
フラッシュカラムクロマトグラフィー分析は、230〜400メッシュのシリサイクル(Silicycle)シリカゲルを用いて行った。マッハライ・ナーゲル(Macherey-Nagel)製のプレコート済みガラス基材付きTLCプレート(SIL G/UV254、0.25mm)で薄層クロマトグラフィー(TLC)を行い、そしてUVランプ(254nm)とヨード染色を用いて可視化した。
【0074】
核磁気共鳴スペクトル:
1H−および13C−NMRスペクトルは、バリアン(Varian)製マーキュリー(Mercury)400または500MHz分光器で記録した。1H−NMRスペクトルはTMS(0 ppm)を基準とし、また13C−NMRスペクトルはCDCl3(77.23ppm)を基準とした。ピーク多重度は次の略語で表している:s シングレット、bs ブロードなシングレット、d ダブレット、t トリプレット、q カルテット、m マルチプレット、ds シングレットのダブレット、dd ダブレットのシングレット、ddd ダブレットのダブレットのダブレット、bt ブロードなトリプレット、td ダブレットのトリプレット、tdd ダブレットのダブレットのトリプレット。
【0075】
質量分析:
高分解能質量スペクトルは、70eVのVG 70−250S(二重集束形)質量分析計、またはESIイオン源とMS/MSと正確な質量測定機能を装備するABI/サイエックスQスター(ABI/Sciex Qstar)質量分析計で測定した。低分解能の質量スペクトル(ESI)は、60eV、70eVおよび100eVで測定した。
【0076】
アジリジンアルデヒド二量体を得るための合成経路:
本実験で使用したアミノアルデヒド二量体は全て、補足の式1および2に示した合成経路により調製した。
【0077】
結果
様々なピペラジノンを1段階反応で生成した(表2)。
【0078】
表2.ピペラジノン合成適用範囲(L−アミノ酸由来生成物を示す)
【化7】
【表2】
【0079】
環/鎖平衡をシフトする工程は、両性アミノアルデヒドをUgiの反応条件下に供したときに生じた求電子性混合無水物に対する、求核性NHアジリジンの渡環効果を衰弱させることである(スキーム2)。反応を化学量論的条件で行って、環状ペプチド生成物を得る。高希釈、すなわち環状ペプチド合成で高収率を得るために通常必須の臨界条件は必要としない。
【数2】
【0080】
通常困難とされる中程度の大きさの環が、非常に容易にしかも高収率で数時間以内に生成され得る(表3)。
【0081】
表3.直鎖ペプチドの大環状化についての代表的な適用範囲
【化8】
【表3】
【0082】
表1中の環状生成物の1H−および13C−NMRスペクトルを図5〜27に示す。
【0083】
直鎖ペプチド、イソシアニドおよび両性アミノアルデヒドを用いた、立体選択性と化学選択性に優れた様々な環状ペプチドを作製するための1段階反応を示している。ユージー(Ugi)反応は、単官能アルデヒドの代わりに両性アミノアルデヒドを用いて行う。L−フェニルアラニンをtert−ブチルイソシアニドおよびアジリジンアルデヒドと反応させると、環状ピペラジノンが約1時間で収率92%で得られた(表2、番号1)。化合物1の相対立体化学は、X線分析を用いて確認した。ある種のアミノ酸をこの反応で処理すると、どの場合も直鎖ペプチドを形成することなく、対応するピペラジノン生成物が単一のジアステレオ異性体として得られた(図1)。
【0084】
エピマーの存在は、粗反応混合物の1H−NMR(DMSO−d6またはCDCl3)分析で調べた。調査したどの反応にも、エピマーに相当するシグナルは検出されなかった。そのため、得られた粗環状ペプチドの選択性は>20:1となった。
【0085】
反応結果に対する中程度のペプチド鎖長の効果について調べた(表2)。難易度の高い中程度の大きさの環は容易に調製され、その反応時間は10時間未満であり、高収率かつジアステレオ選択的に反応が進行する。好ましい調製手順には、ジエチルエーテルおよびヘキサンから生成物の沈殿も含まれている。環状ペプチドは、HPLCでそれ以上精製しなくてもよい。その上、反応の全過程においても、また生成物の単離中でも、ラセミ化が検出されなかった。エピ化が生じないことは、高い立体選択性からも明らかであり、したがって、カルボニル基の近位にS立体中心を有するアジリジンアルデヒドは、L−アミノ酸残基を含むペプチドと、N末端で大環状化を生じさせる。D−アミノ酸末端ペプチドとの「不整合」反応は非生産的であって、安定なアミナールの形成をもたらす。
【0086】
ペプチドとの環化を生じさせるためにN末端アミノ酸のα−立体中心(この場合はプロリン)がアジリジンアルデヒドのα−立体中心と整合したのであろうと判断した。不整合反応では、生じた唯一の生成物が、対応するアミナールである(図2)。長い反応時間後やイソシアニド当量の追加後にも、環状ペプチドの生成は認められなかった。この制約は、一つ一つのアミノ酸を環化するときには現れない。
【0087】
アミノアルデヒドの逆の光学異性体を同じ反応に使用すると、プロリンとアミノアルデヒドはどちらもα−立体中心にS−配置を有していた。この整合例では、ペプチドの環化が容易に進行して、対応する環状生成物が高収率で得られた(図3)。
【0088】
この立体選択プロセスは、N末端で起こり得るエピ化に大きな影響を及ぼす。環化が起こるには整合した立体化学が必要となるため、その結果生じる環状ペプチドには当然、整合立体中心が含まれるであろう。さらに、不整合反応で環状ペプチドが形成されなかったことは、マクロ条件下でエピ化が生じないこと(すなわち、整合した基質がもたらされること)を示唆している。
【0089】
この化学反応での一貫した収率は、環化を支配する反応機構に起因して得られる可能性が高い。この点においては、単官能アルデヒドとのユージー(Ugi)反応からの脱却は明白である。イソシアニドおよびペプチドとの反応に単官能アルデヒドを用いると、低いジアステレオ選択性が認められる。さらに重要なことには、残基を6個未満含む直鎖ペプチドの環化中には望ましくないシクロ二量化が生じ、トリペプチドの環化ではシクロ二量体のみが生成する13。この低い選択性は、混合無水物に対するアミンの緩慢な渡環攻撃の結果であり(スキーム2、A)、したがって、分子間反応を速度論的に競合させる。二級アミン末端ペプチドを含む環化反応混合物に両性アミノアルデヒドを加えると、緩慢な渡環攻撃に代わって、混合無水物の環外に位置する求核性アジリジンによる迅速な攻撃が生じる(スキーム2、B)。これにより、妨げのない攻撃軌跡が展開される。TFEは非求核性溶媒であるため、混合無水物の早期加溶媒分解は見られない。この反応機構は、中間体である環状混合無水物の形成時にのみC末端が活性化されて、その後、環外のアジリジンの攻撃を受けるようにする。これは、分子内の大環状化に対する選択性を確保するだけでなく、C末端の活性化を長引かせたりエピ化を生じさせたりもしない。したがって、高希釈、つまり従来の環状ペプチド合成で高収率を達成するために通常必須の臨界条件を必要としない6。さらに、本発明に係る実験ではオリゴマー副生物もポリマー副生物も検出されなかった。本発明に係る反応と、従来の直鎖テトラペプチドのラクタム化(環状ペプチドの合成で一般に用いられる反応)との対照比較も行った。アミノアルデヒドが媒介する大環状化は、迅速に、選択性良く、しかも効率良く、環状ペプチドを形成した。これに対し、ラクタム化中に形成された無数の構造物からは、ほんの少量の環状ペプチドが検出された。望ましくないシクロ二量化5が大環状化よりも優勢であったことは、従来の分子内反応の緩慢な反応速度論を証明するものである。ペプチドの大環状化反応は一般に、極度な希釈条件下で行われる。典型的な手順では、10−4Mのモル濃度を要する。この大量希釈が、分子間環化における選択性を高めて、その結果、望ましくないシクロ二量化や三量化を制限する。
【0090】
表3に挙げた各環状生成物の相対立体化学についての特性分析結果は次の通りである。
【0091】
(3S,5R,6R,7S)−3−ベンジル−N−tert−ブチル−7−((tert−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)−2−オキソ−1,4−ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−5−カルボキサミド(1)
1H NMR(CDCl3,400MHz)δ:7.36−7.18(m,5H),6.75(bs,1H),3.86(dd,J=11.6Hz,4.8Hz,1H),3.74(dd,J=11.2Hz,4.8Hz,1H),3.54(bs,1H),3.47(dd,J=3.6Hz,1.2Hz,1H),3.25(dd,J=14.4Hz,3.2Hz,1H),3.10(m,1H),2.52(dd,J=14.4Hz,10.4Hz,1H),2.40(m,1H),1.80(bs,1H),1.02(s,9H),0.90(s,9H),0.10(s,3H),0.08(s,3H)ppm. 13C NMR(CDCl3,100MHz)δ:184.8,169.0,138.5,129.7,128.9,127.0,63.9,57.5,53.6,50.7,44.6,39.0,35.5,28.5,26.1,18.6,−5.0ppm. HRMS(ESI)[MH]+calcd.446.2833,found 446.2831
【0092】
(3R,5R,6R,7S)−3−ベンジル−N−tert−ブチル−7−((tert−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)−2−オキソ−1,4−ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−5−カルボキサミド(2)
1H NMR(CDCl3,400MHz)δ:7.35−7.20(m,5H),6.32(bs,1H),3.86(m,1H),3.73(dd,J=11.5Hz,4.2Hz,1H),3.86(bs,1H),3.73(dd,J=11.5Hz,4.2Hz,1H),3.25(dd,J=14.4Hz,3.2Hz,1H),3.10(m,1H),2.52(dd,J=14.4Hz,10.4Hz,1H),2.40(m,1H),1.80(bs,1H),1.31(s,9H),0.90(s,9H),0.10(s,3H),0.08(s,3H)ppm. 13CNMR(CDCl3,75MHz)δ:184.0,169.1,136.2,129.2,129.1,127.3,63.0,59.5,51.4,49.6,42.2,38.7,36.0,28.8,26.1,18.7,−5.1ppm. MS(ESI)[MH]+calcd.446.3,found 446.3
【0093】
(3S,5R,6R,7S)−N−tert−ブチル−7−((tert−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)−3−メチル−2−オキソ−1,4−ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−5−カルボキサミド(3)
1H NMR(CDCl3,400MHz)δ:7.42(s,NH),3.88(dd,J=11.2Hz,4.8Hz,1H),3.70(dd,J=11.2Hz,5.2Hz,1H),3.55(d,J=0.8Hz,1H),3.46(dd,J=3.6Hz,1.6Hz,1H),3.07(m,1H),2.36(td,J=4.8Hz,3.6Hz,1H),1.8(bs,NH),1.39(s,9Η),1.23(d,J=6.8Hz,3H),0.90(s,9H),0.09(s,3H),0.08(s,3H)ppm. 13C NMR(CDCl3,100MHz)δ:185.5,169.3,63.9,53.8,51.2,51.0,44.5,39.3,28.9,26.1,16.6,15.0,−5.0ppm. HRMS(ESI)[MH]+calcd.370.2520,found 370.2520
【0094】
(1S,3aS,8R,8aS)−N−tert−ブチル−1−((tert−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)−3−オキソオクタヒドラジリノ[1,2−a]ピロロ[1,2−d]ピラジン−8−カルボキサミド(4)
1H NMR(CDCl3,400MHz)δ:6.17(s,1H),3.76(dd,J=11.6Hz,4.4Hz,1H),3.67(dd,J=11.6Hz,4.8Hz,1H),3.70(d,J=6.2Hz,1H),3.12(dt,J=4.8Hz,9.2Hz,1H),2.97(dd,J=6.4Hz,3.6Hz,1H),2.93−2.89(m,1H),2.60(q,J=4.4Hz,1H),2.25−2.05(m,2H),1.90−1.75(m,3H),1.70−1.51(m,1H),1.48(s,9H),0.85(s,9H),0.09(s,3H),0.08(s,3H)ppm. 13C NMR(CDCl3,100MHz)δ:183.0,168.6,65.0,63.4,63.2,54.6,51.3,43.4,41.0,29.0,26.1,22.2,22.0,18.9,−5.1ppm. HRMS(ESI)[MH]+calcd.396.2676,found 396.2656
【0095】
(3R,5S,6S,7S)−N−tert−ブチル−3−(3−グアニジノプロピル)−7−イソブチル−2−オキソ−1,4−ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−5−カルボキサミド(5)
1H NMR(D2O,400MHz)δ:3.59(t,J=5.6Hz,1H),3.46(m,1H),3.13(m,1H),2.94(m,1H),3.37(m,1H),1.78−1.44(m,8H),1.22(s,9H),0.83(d,J=2.8Hz,3H),0.81(d,J=2.8Hz,3H)ppm. 13H NMR(D2O,400MHz)δ:186.7,172.0,156.9,54.9,54.5,54.0,44.5,42.8,28.7,27.9,26.5,25.7,25.0,24.1,22.2,21.5ppm. MS(ESI)[MH]+calcd.367.3,found 367.2 and 184.1 for [M+2H]2+/2
【0096】
(3S,5S,6S,7S)−3−(4−アミノブチル)−N−tert−ブチル−7−イソブチル−2−オキソ−1,4−ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−5−カルボキサミド(6)
NMR (D2O with 10% v/v CD3COOD,400MHz)δ:5.14(ddd,J=9.6Hz,4.4Hz,2.4Hz,1H),4.12(d,J=2.4Hz,1H),3.07(dd,J=7.6Hz,4.4Hz,1H),2.85(t,J=7.6Hz,2H),1.82−1.46(m,10H),1.32(s,9H),0.83(d,J=6.8Hz,3H),0.81(d,J=6.8Hz,3H)ppm. 13C NMR(D2O with 10% v/v CD3COOD,100MHz)δ:178.0,173.8,97.2,58.6,54.5,53.0,40.6,39.3,29.3,27.8,27.6,27.2,26.8,24.6,22.2,21.9,20.8ppm. MS(ESI)[MH]+calcd.339.3,found 339.2 and 170.1 for [M+2H]2+/2
【0097】
(5R,6R,7S)−N−tert−ブチル−7−((tert−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)−2−オキソ−1,4−ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−5−カルボキサミド(7)
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ:6.98(s,1H),3.87(dd,J=11.5,4.5Hz,1H),3.78(dd,J=11.5,4.5Hz,1H),3.34−3.24(m,2H),3.13(d,J=4.6Hz,1H),2.40(td,J=4.5,3.4Hz,1H),2.17−1.96(m,1H),1.43−1.36(m,9H),0.94−0.86(m,9H),0.13−0.05(m,6H).13C NMR(101MHz,CDCl3)δ:183.93,168.37,77.48,77.16,76.84,63.02,55.81,51.25,48.72,45.27,39.64,28.87,26.06,18.55,0.15,−5.09,−5.12.
【0098】
2−((3S,5R,6R,7R))−5−(tert−ブチルカルバモイル)−7−イソブチル−2−オキソ−1,4−ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−イル)酢酸(8)
1H NMR(400MHz,CD3OD)δ:4.69−4.58(m,1H),3.92(d,J=2.0Hz,1H),3.76(dd,J=9.8,3.6Hz,1H),3.66(dd,J=7.8,4.0Hz,1H),2.90(dd,J=17.5,3.6Hz,1H),2.81(dd,J=16.7,4.0Hz,1H),2.69−2.53(m,2H),1.36−1.32(m,9H),0.98(dt,J=8.5,4.2Hz,6H). 13C NMR(101MHz,CD3OD)δ:188.21,172.40,158.66,158.62,56.05,55.25,55.23,51.95,44.17,43.55,43.35,42.55,42.39,42.16,41.98,29.85,28.90,28.85,28.10,27.37,27.16,26.85,26.51,23.19,22.63,21.05
【0099】
(3R,5R,6R,7S)−N−(tert−ブチル)−7−(((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)−3−(メルカプトメチル)−2−オキソ−1,4−ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−5−カルボキサミド(9)
注釈:この化合物のスペクトルは非常にブロードなピークを特徴とするので、正確な分光学的同定は困難である。この原因は、求核性チオールの存在や、酸化およびアジリジン開環を受け易いといった、化合物(9)本来の不安定さにある。
1H NMR(CDCl3,400MHz)δ:3.47(s,1H),3.41(d,J=6.5Hz,1H),4.35−2.42(m,7H),1.70−1.42(bs,10H),0.90(s,9H),0.10(s,3H),0.08(s,3H)ppm.MS(ESI)[MH]+calcd.402.6,found 402.2
【0100】
(3S,5R,6R,7S)−3−((1H−イミダゾル−4−イル)メチル)−N−(tert−ブチル)−7−(((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)−2−オキソ−1,4−ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−5−カルボキサミド(10)
1H NMR(CDCl3,400MHz)δ:7.56(s,1H),7.25(s,1H),6.87(s,1H),6.22(s,1H),4.46(m,1H),3.72(dd,J=11.2Hz,4.8Hz,1H),3.60(m,1H),3.44(dd,J=3.6Hz,1.5Hz,1H),3.27(dd,J=14.1Hz,3.1Hz,1H),2.99(dd,J=14.7Hz,4.2Hz,1H),2.80(dd,J=15.2Hz,8.1Hz,1H),2.40(m,1H),2.05(bs,1H),1.36(s,9H),0.87(s,9H),0.07(s,3H),0.05(s,3H)ppm. 13C NMR(CDCl3,100 MHz)δ:185.4,171.4,169.5,168.6,135.1,64.3,62.7,60.6,54.7,51.2,44.5,39.3,28.9,26.0,18.4,−5.3ppm. MS(ESI)[MH]+calcd.436.6,found 436.2
【0101】
(3S,5R,6R,7S)−N−(tert−ブチル)−7−(((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)−3−(ヒドロキシメチル)−2−オキソ−1,4−ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−5−カルボキサミド(11)
1H NMR(CDCl3,400MHz)δ:6.80(bs,1H),6.15(bs,1H),4.02(d,J=11.6Hz,1H),3.85(dd,J=13.3Hz,6.7Hz,1H),3.76(dd,J=14.2Hz,3.0Hz,1H),3.68(bs,1H),3.53(d,J=5.0Hz,1H),3.45(dd,J=3.5Hz,2.4Hz,1H),3.13(m,1H),2.55(m,1H),2.42(m,1H),1.39(s,9H),0.90(s,9H),0.10(s,3H),0.08(s,3H)ppm. 13C NMR(CDCl3,100MHz)δ:185.3,168.9,63.5,61.4,55.8,53.9,51.2,44.9,39.6,28.9,26.1,18.6,−5.1ppm. MS (ESI)[MH]+calcd.386.6, found 386.2
【0102】
(1S,4S,6aS,11R,11aS)−N−tert−ブチル−1−(((tert−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)−4−イソブチル−3,6−ジオキソデカヒドロ−1H−アジリノ[1,2−a]ピロロ[1,2−d][1,4,7]トリアゾニン−11−カルボキサミド(12)
1H NMR(CD3OD,400MHz)δ:4.47(m,1H),4.14(dd,J=8.4Hz,6Hz,1H),4.07−3.99(m,2H),3.84(dd,J=12Hz,3.2Hz,1H),3.32(d,J=5.6Hz,1H),3.26−3.15(m,2H),2.42−2.30(m,2H),1.92−1.78(m,3H),1.74(q,J=6.8Hz,2H),1.59(sept,J=6.8Hz,1H),1.22(s,9H),0.90(d,J=6.8Hz,3H),0.87(d,J=6.4Hz,3H),0.84(s,9H),0.06(s,3H),0.03(s,3H)ppm. 13C NMR(CD3OD,100MHz)δ:174.1,164.1,157.4,86.5,62.4,60.7,60.6,57.7,54.2,52.1,50.2,39.6,29.0,25.8,25.2,25.1,22.1,21.0,20.5,17.9,−6.5ppm. MS(ESI)[MH]+calcd.509.3, found 509.3
【0103】
(1S,4S,6aR,11S,11aR)−N−tert−ブチル−4−(3−グアニジノプロピル)−1−イソブチル−3,6−ジオキソデカヒドロ−1H−アジリノ[1,2−a]ピロロ[1,2−d][1,4,7]トリアゾニン−11−カルボキサミド(13)
1H NMR(CD3OD,400MHz)δ:4.26(t,J=5.6Hz,1H),4.18(dd,J=8.8Hz,2.4Hz,1H),3.58(dd,J=8.8Hz,5.2Hz,1H),3.28−3.24(m,2H),3.00(d,J=5.6Hz,1H),2.70(dd,J=10.4Hz,6.4Hz,1H),2.32−2.18(m,2H),1.98−1.52(m,11H),1.28(s,9H),1.01(d,J=6.4Hz,3H),0.96(d,J=6.4Hz,3H)ppm. 13C NMR(CD3OD,100MHz)δ:178.0,160.8,159.1,157.4,86.9,64.3,63.5,60.2,54.5,53.7,51.0,42.6,41.4,29.4,28.8,26.1,24.9,24.5,22.7,21.3,20.4ppm. MS(ESI)[MH]+calcd.464.3,found 464.3 and 232.6 for[M+2H]2+/2
【0104】
2−((1S,4S,6aR,11S,11aR)−11−(tert−ブチルカルバモイル)−1−イソブチル−3,6−ジオキソデカヒドロ−1H−アジリノ[1,2−a]ピロロ[1,2−d][1,4,7]トリアゾニン−4−イル)酢酸(14)
1H NMR(CD3OD,400MHz)δ:4.46(t,J=9.2Hz,1H),4.34(dd,J=8.4Hz,2.0Hz,1H),3.81(dd,J=8.4Hz,5.6Hz,1H),3.38−3.30(m,1H),3.02(dd,J=17.2Hz,2.4Hz,1H),2.85−2.73(m,1H),2.57(dd,J=17.2Hz,8.4Hz,1H),2.45−2.32(m,2H),2.05−1.62(m,7H),1.58−1.48(m,2H),1.27(s,9H),1.01(d,J=6.4Hz,3H),0.98(d,J=6.4Hz,3H)ppm. MS(ESI)[MH]+calcd.423.3,found 423.2
【0105】
(1S,4S,9aS,14R,14aS)−N−tert−ブチル−1−((tert−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)−4−イソブチル−3,6,9−トリオキソテトラデカヒドロアジリノ[1,2−a]ピロロ[1,2−d][1,4,7,10]テトラアザシクロドデシン−14−カルボキサミド(15)1H NMR(CD3OD,400MHz)δ:4.55(ddd,J=8Hz,3.2Hz,1.6Hz,1H),4.32(dd,J=10.4Hz,4Hz,1H),4.21(dd,J=14Hz,6Hz,1H),4.15−4.05(m,3H),3.91(dd,J=12Hz,3.2Hz,1H),3.41Hz(dd,J=6Hz,1H),3.36−3.28(m,1H),2.50−2.30(m,2H),2.00−1.50(m,7H),1.31(s,9H),0.98−0.92(m,6H),0.92(s,9H),0.13(s,3H),0.11(s,3H)ppm. 13C NMR(CD3OD,100 MHz)δ:178.3,166.4,165.1,157.6,86.7,62.7,61.0,60.1,54.2,53.7,52.6,50.5,44.0,41.6,28.9,25.6,25.2,25.1,25.1,22.6,20.7,20.5,17.9,−6.5,−6.5ppm. MS(ESI)[MH]+calcd.566.4,found 566.4
【0106】
(1R,1aS,2R,6aS,12S,18S)−18−ベンジル−N−tert−ブチル−1,12−ジイソブチル−7,10,13,16,19−ペンタオキソイコサヒドロアジリノ[1,2−a]ピロロ[1,2−d][1,4,7,10,13,16]ヘキサアザシクロオクタデシン−2−カルボキサミド(16)
1H NMR(CDCl3,500MHz)δ:7.82(bs,NH),7.40−7.20(m,5Η),7.18(bs,NH),7.05(bs,NH),6.81(bs,2 NH),4.64(q,J=6.8Hz,1H),4.13(dd,J=16Hz,7.6Hz,1H),4.10−3.90(m,2H),3.57(dd,J=16Hz,4.8Hz,1H),3.50−3.39(m,2H),3.26(dd,J=14Hz,5.6Hz,1H),3.12(dd,J=14Hz,7.2Hz,1H),3.12−3.08(m,1H),3.00−2.92(m,2H),2.63(t,J=3.6Hz,1H),2.28−2.18(m,1H),1.90−1.70(m,2H),1.37−1.25(m,9H),1.10−0.88(m,12H)ppm. 13C NMR(CDCl3,125 MHz)δ:181.4,176.1,175.7,172.1,170.1,169.2,136.4,130.1,128.7,126.8,56.2,63.0,43.2,42.5,40.2,38.6,37.9,31.2,30.0,29.8,29.5,28.8,28.7,27.2,25.1,24.9,24.3,23.3,23.1,22.8,22.7,22.6,22.4,22.3,21.9, MS(ESI)[MH]+calcd.682.4, found 682.4
【0107】
(1S,12aS,17R,17aR)−N−tert−ブチル−1−イソブチル−3,6,9,12−テトラオキソヘキサデカヒドロ−1H−アジリノ[1,2−a]ピロロ[1,2−d][1,4,7,10,13]ペンタアザシクロペンタデシン−17−カルボキサミド(17)
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ:4.57−4.44(m,1H),4.32−3.70(m,10H),3.38(d,J=5.4Hz,1H),3.28(s,1H),3.14(dd,J=11.2,5.6Hz,1H),2.52−2.41(m,1H),2.37(d,J=6.9Hz,1H),2.15−1.65(m,8H),1.64−1.48(m,2H),1.42−1.23(m,8H),1.00(dt,J=21.4,7.4Hz,6H). 13C NMR(100MHz,CD3OD)δ:176.18,171.23,168.97,165.90,159.24,86.37,65.77,63.49,61.48,59.76,55.41,51.43,47.38,45.65,45.23,44.59,44.43,44.19,43.41,42.46,29.85,29.43,28.97,28.58,28.46,27.72,27.13,26.74,25.68,23.84,23.68,23.14,23.06,22.16,21.62.
【0108】
tert−ブチル2−((1S,4S,7S,13S,15aS,20R,20aS)−20−(tert−ブチルカルバモイル)−1−(((tertブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)−4−メチル−3,6,9,12,15−ペンタオキソ−13−(3−(3−((2,2,4,6,7−ペンタメチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)スルホニル)グアニジノ)プロピル)イコサヒドロアジリノ[1,2−a]ピロロ[1,2−d][1,4,7,10,13,16]ヘキサアザシクロオクタデシン−7−イル)アセテート(18)
1H NMR(400 MHz,CDCl3)δ:7.84(d,J=9.7Hz,2H),7.58(dd,J=18.1,9.1Hz,2H),7.07(s,1H),6.41(s,2H),5.68(s,1H),4.85(dq,J=13.7,6.8Hz,1H),4.70−4.58(m,1H),4.35(q,J=8.1Hz,1H),4.17−4.07(m,1H),3.97(dd,J=14.2,7.5Hz,2H),3.74(s,1H),3.69−3.57(m,1H),3.56−3.42(m,2H),3.42−3.13(m,4H),2.96(s,2H),2.93(d,J=2.3Hz,1H),2.89−2.76(m,4H),2.66−2.53(m,7H),2.42−2.15(m,2H),2.10(s,3H),2.07−1.98(m,1H),1.87−1.55(m,8H),1.46(s,6H),1.44(s,9H),1.34(s,9H),0.87(s,9H),0.09(s,3H),0.05(s,3H). 13C NMR(101MHz,CDCl3)δ:187.07,176.14,174.46,171.46,171.04,169.11,166.93,158.77,156.39,138.63,133.66,132.55,124.65,117.55,105.24,86.49,82.64,63.92,63.84,60.81,57.07,51.69,51.31,50.37,49.56,45.47,43.51,40.43,37.55,35.99,30.28,29.17,28.83,28.22,26.11,24.61,19.49,18.71,18.19,17.31,12.69,−5.11,−5.44. MS(ESI)[MH]+calcd.1104.6, found 1104.6
【0109】
tert−ブチル(4−((1S,4S,7S,10S,13S,15aS,20R,20aS)−13−((R)−1−(tert−ブトキシ)エチル)−20−(tert−ブチルカルバモイル)−1−(((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)−4−メチル−10−(2−メチルチオ)エチル−3,6,9,12,15−ペンタオキソイコサヒドロアジリノ[1,2−a]ピロロ[1,2d][1,4,7,10,13,16]ヘキサアザシクロオクタデシン−7−イル)ブチル)カルバメート(19)
1H NMR (400 MHz,CDCl3)δ:7.83(d,J=8.1Hz,1H),7.77(s,1H),7.50(d,J=21.3Hz,1H),7.35(m,2H),7.08(dd,J=15.7,7.5Hz,1H),6.90(s,1H),6.82(s,1H),4.98(d,J=27.6Hz,1H),4.84−4.67(m,1H),4.60(s,1H),4.40−4.30(m,1H),4.16−3.93(m,4H),3.82(s,2H),3.77−3.69(m,3H),3.67(d,J=6.3Hz,1H),3.45−3.28(m,2H),3.27−2.99(m,6H),3.00−2.86(m,2H),2.84(s,1H),2.78−2.55(m,3H),2.45−2.19(m,5H),2.12(s,4H),2.06−1.97(m,3H),1.89(d,J=4.7Hz,7H),1.71−1.55(m,3H),1.54−1.39(m,21H),1.36(s,13H),1.31−1.26(m,12H),1.06(t,J=10.5Hz,4H),0.93−0.82(m,14H),0.06(s,3H),0.05(s,3H). 13C NMR(101MHz,CDCl3)δ:182.99,175.20,171.94,170.75,170.37,168.93,156.44,77.43,75.69,66.32,64.35,63.93,61.77,57.52,56.58,54.28,42.68,40.37,31.21,30.95,30.08,29.88,29.36,28.85,28.66,26.01,24.92,24.16,18.91,18.48,17.89,15.48,−5.25,−5.29. MS(ESI)[MH]+calcd.983.6, found 983.6
【0110】
(1S,7S,10S,15aS,20R,20aS)−10−((1H−イミダゾル−5−イル)メチル)−7−(4−(tert−ブトキシ)ベンジル)−N−(tert−ブチル)−1−(((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)−3,6,9,12,15−ペンタオキソイコサヒドロアジリノ[1,2−a]ピロロ[1,2−d][1,4,7,10,13,16]ヘキサアザシクロオクタデシン−20−カルボキサミド(20)
1H NMR (400MHz,CDCl3)δ:9.92(s,1H),7.49(d,J=4.8Hz,2H),7.39−7.27(m,11H),7.17−7.02(m,11H),6.78(d,J=8.4Hz,2H),6.69(s,1H),4.48(p,J=6.9Hz,1H),4.42−4.18(m,2H),4.06−3.99(m,1H),3.91(dd,J=11.4,3.8Hz,1H),3.78(dd,J=11.3,4.4Hz,1H),3.61(dd,J=9.8,4.8Hz,1H),3.48−3.37(m,1H),3.32−2.99(m,8H),2.83(dd,J=6.8,3.4Hz,1H),2.41−1.95(m,2H),1.91−1.72(m,2H),1.61(s,12H),1.41(s,10H),1.35−1.24(m,20H),0.72(s,1H),0.07(s,3H),0.05(s,3H). 13C NMR(101MHz,CDCl3)δ:184.31,175.20,172.61,170.67,169.47,168.12,154.53,142.31,138.19,136.81,131.91,129.97,129.85,128.43,128.37,120.09,77.43,63.49,62.17,61.55,57.84,54.97,52.19,51.15,48.67,43.36,42.53,41.75,36.36,31.84,30.99,29.92,29.88,29.44,29.05,28.67,26.07,24.49,19.80,18.56,−5.19. MS (ESI)[MH]+calcd.866.5,found 866.5
【0111】
(1S,4S,7S,13S,15aS,20R,20aS)−13−ベンジル−N−(tert−ブチル)−1−(((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)−4−メチル−3,6,9,12,15−ペンタオキソ−7−(2−オキソ−2−(トリチルアミノ)エチル)イコサヒドロアジリノ[1,2−a]ピロロ[1,2d][1,4,7,10,13,16]ヘキサアザシクロオクタデシン−20−カルボキサミド(21)
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ:7.94(t,J=9.8Hz,2H),7.73(d,J=8.7Hz,1H),7.51(t,J=6.7Hz,1H),7.34−7.11(m,23H),6.79(s,1H),4.92−4.72(m,2H),4.59(dd,J=16.3,8.6Hz,1H),4.25(d,J=11.5Hz,1H),4.01(d,J=10.7Hz,1H),3.82(dd,J=14.2,7.6Hz,1H),3.73(s,1H),3.59−3.51(m,2H),3.48−3.24(m,3H),3.09(dd,J=13.8,8.9Hz,1H),2.96−2.68(m,6H),2.59(dd,J=15.8,3.6Hz,1H),2.45−2.08(m,2H),2.07−1.96(m,1H),1.62(s,5H),1.52−1.17(m,18H),0.94(s,9H),0.15(s,3H),0.13(s,3H). 13C NMR(101MHz,CDCl3)δ:184.06,175.64,173.93,171.01,170.49,169.15,167.20,144.28,136.98,129.61,128.81,128.49,128.30,127.48,126.75,77.55,77.23,76.91,71.17,63.63,60.72,57.12,52.96,51.54,50.58,49.71,49.27,45.35,44.53,37.27,36.80,33.93,30.22,29.24,26.24,24.32,18.78,17.89,0.22,−5.11,−5.34. MS(ESI)[MH]+calcd.1027.5, found 1027.6
【0112】
(4S,10S,15aS,20R,20aS)−4−ベンジル−N−(tert−ブチル)−10−イソブチル−3,6,9,12,15−ペンタオキソイコサヒドロアジリノ[1,2−a]ピロロ[1,2d][1,4,7,10,13,16]ヘキサアザシクロオクタデシン−20−カルボキサミド(22)
1H NMR(CDCl3,400MHz)δ:8.33(bs,1H),8.17(d,J=9.1Hz,1H),8.03(d,J=7.4Hz,1H),7.54(s,1H),7.21(m,5H),6.04(bs,1H),5.08(bs,1H),4.58(m,1H),3.87(dd,J=8.1Hz,5.0Hz,1H),3.80(bs,1H),2.48(dd,J=3.6Hz,1.8Hz,2H),2.16(m,2H),1.62−1.57(m,7H),1.48(m,2H),1.42(m,2H),1.35(m,2H),1.20(m,9H),1.07(m,2H),0.81(m,6H)ppm. MS(ESI)[MH]+calcd.626.8,found 626.3 and 313.7 for [M+2H]2+/2
【0113】
化合物22に7−mmcが結合したもの(23)
環状ペプチド22を原材料として反応させて、結合したペプチド23を得た。1H NMR(300MHz,DMSO)δ8.95(s,1H),8.68(d,J=8.2Hz,1H),8.32(t,J=6.3Hz,1H),7.68(d,J=8.4Hz,1H),7.51(d,J=9.4Hz,1H),7.42−7.08(m,5H),6.46(s,1H),6.31(s,1H),4.47−4.15(m,3H),3.73(dd,J=20.5,14.1Hz,3H),3.45−3.33(m,2H),3.17(dd,J=20.9,13.0Hz,2H),2.98−2.64(m,4H),2.40(s,2H),2.22−2.10(m,1H),1.91(ddd,J=22.9,13.4,6.6Hz,2H),1.79−1.40(m,5H),1.30−1.15(m,9H),0.93−0.74(m,6H). MS(ESI)[MH]+calcd.818.4, found 818.3
【0114】
HATU媒介環化
都合のよいことに、環化反応は、少なくとも0.002M濃度の出発原料アミノ酸/ペプチドで行うことができる。好ましくは0.002M〜0.2Mの濃度で行う。
【0115】
他の実施態様では、本発明の方法は、少なくとも0.1M濃度の出発原料アミノ酸/ペプチドで行う。別の実施態様では、本発明の方法は、約0.2M濃度の出発原料アミノ酸/ペプチドで行う。
【0116】
慣例上、従来の大環状化はこのような高濃度で行うことはできない。これは、HATUプロセスとの直接比較から明らかとなったものであり、観測された主生成物はオリゴマー化や重合に由来するものではない。
【0117】
O−(7−アザベンゾトリアゾル−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(「HATU」)によって媒介されるPro−Gly−Gly−Glyの環化を、0.2Mにおけるアミノアルデヒド/イソシアニド環化法と比較した。反応完了時に、粗反応混合物を液体クロマトグラフィー/エレクトロスプレイイオン化質量分析(「LC−MS(ESI)」)で分析して、所望の環状ペプチドに対する選択性の度合いを調べた。
【0118】
HATU反応の質量分析(「MS」)による分析結果からは、0.2Mでシクロ二量化が優勢であることが分かった(図28)。m/z=537.2と559.2の主要ピークはそれぞれ、シクロ二量化生成物とそのナトリウムキレートに相当するが、所望の環状ペプチドは、m/z=269にほんの少量検出された。また、シクロ三量体(m/z=805)も検出された。粗反応混合物にはさらに、いくつかの他の未知の副生物も含まれていた。
【0119】
MSピーク分析結果から、次の6成分が見つかった。
成分1:ピークスキャン番号27.4。上位イオンピーク655.566.923
成分2:ピークスキャン番号28.4。上位イオンピーク982.744.714
成分3:ピークスキャン番号29.9。上位イオンピーク235.848.538
成分4:ピークスキャン番号30.9。上位イオンピーク559.827.560
成分5:ピークスキャン番号31.9。上位イオンピーク752.931
成分6:ピークスキャン番号32.7。上位イオンピーク537.295.446
【0120】
イソシアニド/アミノアルデヒド媒介環化に関する未処理のLC−MS(ESI)分析結果からは、所望の環状ペプチド(m/z=479)の選択性が0.2Mで高水準であることが分かった(図29)。二量体副生物や三量体副生物のピークは全く検出されなかった。反応混合物中には、特徴的なフラグメントイオンピークと残留Pro−Gly−Gly−Glyのみが残っていた。
【0121】
MSピーク分析結果からは、次の2成分が見つかった。
成分1:ピークスキャン番号29.7。上位イオンピーク287.212.383(Pro−Gly−Gly−Gly)
成分2:ピークスキャン番号30.9。上位イオンピーク479.396.240(環状ペプチド)
【0122】
実施例2
方法および材料
方法A:
求核試薬として芳香族チオールを用いて、アジリジン含有環状ペプチドの開環を行う(方法A)。マグネティック撹拌子を入れたスクリューキャップ付きバイアル瓶に、アジリジン含有環状ペプチドと芳香族チオール(0.066ミリモル)を、脱気したCHCl3 0.2mlに加えた。次に、この溶液にNEt3(0.06ミリモル)を加えて、反応溶液を室温で3〜4時間撹拌した。その後、反応溶液をCH2Cl2で希釈して、NH4Cl飽和水溶液(3ml)で2回洗浄した後、食塩水(3ml)で1回洗浄した。続いて、有機層をNa2SO4上で乾燥させて、濾過し、減圧濃縮した。未処理の開環生成物も高純度ではあったが、フラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc中5%MeOH)で精製することで、分析上純粋な試料が得られた。
【0123】
方法B:
求核試薬として脂肪族チオール又はイミドを用いて、アジリジン含有環状ペプチドの開環を行う(方法B)。マグネティック撹拌子を入れたスクリューキャップ付きバイアル瓶に、アジリジン含有環状ペプチド(0.06ミリモル)と脂肪族チオールまたはイミド(0.066ミリモル)を、脱気したCHCl3 0.2mlに加えた。次に、この溶液にDBU(0.06ミリモル)を加えて、反応溶液を室温で3〜4時間撹拌した。その後、反応溶液をCH2Cl2で希釈して、NH4Cl飽和水溶液(3ml)で2回洗浄した後、食塩水(3ml)で1回洗浄した。続いて、有機層をNa2SO4上で乾燥させて、濾過し、減圧濃縮した。未処理の開環生成物も高純度ではあったが、フラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc中5%MeOH)で精製することで、分析上純粋な試料が得られた。
【0124】
結果
蛍光置換基(これに限定されるものではない)を包含する側鎖を、大環状化生成物に付加した(スキーム3)。
【0125】
【数3】
【0126】
活性化アジリジン環を環状ペプチド骨格へ組み込むことで、求核的開環による様々な側鎖との結合に有用な位置がもたらされる。この十分に練られた方法は、炭化水素からビオチンおよびファルネシル誘導体14に至る、求核性生体分子を用いて証明されている。例えば、環状ペプチドの結合手順は、一般に用いられる蛍光標識である7−メルカプト−4−メチルクマリン(7−mmc)を用いて、アジリジン部分を求核的開環することで証明することができる(スキーム3)。別の態様では、市販のチオ安息香酸を用いて環状ペプチドを開環することで、終盤でのチオエステル残基の合成を利用することも可能である。この反応は円滑に進んで、開環生成物が収率98%で得られる。チオエステル官能性を終盤に組み込むことで、酸化と求電子試薬の両方から保護するのに通常必須の工程が不要となる。その他多くの天然および非天然のアミノ酸側鎖も同様の開環手順で組み込まれる可能性があり、合成の終盤に環状ペプチドの立体配座を最適化する道が開かれる。他の求核試薬、例えば脂肪族チオール、酸、モルホリン等の二級アミンそしてイミドも同様に開環時に有効に作用した。
【0127】
他の態様では、アジリジン環を含む環状ペプチドを開環処理に付す(図30)。このプロセスでは、合成の終盤に、対象の側鎖を環状ペプチド骨格へ付加することが可能である。開環反応は、pKaに基づいて選択された好適な塩基/求核試薬系を用いて行った。好ましい反応では、ΔpKa=pKa[NR3H+]−pKa[求核試薬]≒−1を満たす塩基/求核試薬ペアが用いられていた(図31)。
【0128】
これらデータは、塩基と求核試薬との間の強いイオンペアリング(ΔpKa>1)によって反応性の低下が生じ得る可能性があることを示唆している。開環に最適な条件は、手際よく進行して、抽出処理後、修飾された可能性がある環状ペプチドを高純度で提供することが分かった(図32)。
【0129】
実施例3
環状生成物(1)のX線分析を行った。
【0130】
結果
【化9】
【0131】
表4.k07227の結晶データおよび精密構造解析
【表4】
【0132】
表5.k07227の原子座標(×104)と等価等方性置換パラメータ(Å2×103)。U(等価)は、直交Uijテンソル量のトレースの3分の1と定義する。
【表5A】
【表5B】
【表5C】
【0133】
表6.k07227の結合距離[Å]と結合角[°]
【表6A】
【表6B】
【表6C】
【表6D】
【表6E】
【表6F】
【0134】
表7.k07227の異方性置換パラメータ(Å2×103)。異方性置換係数の指数は、−2π2[h2a*2U11+…+2hka*b*U12]で表される。
【表7A】
【表7B】
【表7C】
【0135】
【表8A】
【表8B】
【表8C】
【0136】
本発明の好ましい実施態様を本明細書に記載してきたが、本発明の精神または添付の特許請求の範囲を逸脱することなく、変更が可能なことは当業者には分かるであろう。本明細書に記載した参照文献はいずれも、その全部を参照として本明細書に組み込まれる。
【0137】
参照文献
(1) Drahl, S. Chem. Eng. News 2009, 87, 31.
(2) a) Shao, Y.; Lu, W.; Kent, S. B. H. Tetrahedron. Lett. 1998, 39, 3911. b) Tarn, J. P.; Lu, Y.-A.; Yu, Q. J. Am. Chem. Soc. 1999, 121, 4316. c) Bernal, F.; Tyler, A. F.; Korsmeyer, S. J.; Walensky, L.D.; Verdine, G. L. J. Am. Chem. Soc. 2007, 129, 2456. d) Home, W.S.; Stout, C. D.; Ghadiri, M. R. J. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 9372. e) Blackwell, H. E.; Sadowsky, J. D.; Howard, R. J.; Sampson; J. N., Chao; J. A., Steinmetz, W. E.; O'Leary, D. J.; Grubbs, R. H. J. Org. Chem. 2001, 66, 5291. f) Kirshenbaum, K.; Arora, P. S. Nat. Chem. Bio. 2008, 4, 527. g) Hebach, C; Kazmaier, U. Chem. Comm. 2003, 9, 596. h) Reid, R. C; Kelso, M. J.; Scanlon, M. J.; Fairlie, D. P. J. Am. Chem. Soc. 2002, 124, 5673. i) Al-Obeidi, F.; de Castrucci, A. M. L.; Hadley, M. E.; Hruby, V. J. J. Med. Chem. 1989, 32, 2555. j) Geyer, A.; Mueller, G.; Kessler, H. J. Am. Chem. Soc. 1994, 116, 7735.
(3) Schmuck, C; Wienand, W. J. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 452. (4) A. F. Spatola and P. Romanovskis, in Combinatorial Peptide and Nonpeptide Libraries; Jung, G., Ed.; VCH: Weinheim, 1996; p 328.
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(9) Roccatano, D., Colombo, G., Fioroni, M., Mark, A.E. Proc. Nat. Acad. Sci. 2002, 99, 12179.
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(11) Demharter, A.; Horl, W.; Herdtweck, E.; Ugi, I. Angew. Chem. Int. Ed. 1996, 36, 173.
(12) For a recent example describing consecutive Ugi reactions to access glycine-based peptoid structures from formaldehyde, see: Vercillo, O. E., Andrade, C. K. Z., Wessjohann, L. A. Org. Lett. 2008, 10, 205.
(13) A. Failli, H. Immer, M. Gotz, Can. J. Chem. 1979, 57, 3257.
(14) Galonic, D. P.; Ide, N. D.; van der Donk, W. A.; Gin, D. Y. J. Am. Chem. Chem. 2005, 127, 7359.
【技術分野】
【0001】
本発明は、環状アミノ酸分子およびその製造方法、特に両性アミノアルデヒドおよびイソシアニドとの反応によるアミノ酸または直鎖ペプチドの大環状化に関する。
【背景技術】
【0002】
ペプチドは、多種多様な生物学的プロセスに影響を及ぼして、ホルモン、抗生物質およびシグナル伝達分子として働くという点で、極めて重要な役割を果している。生物学的標的と特異性の高い相互作用を生じることから、ペプチドは、医学分野で広く用いられている。とはいえ、生物学的利用能は低いので、治療に関するペプチドの莫大な可能性の実現は必ずしも容易ではない。この短所は、エンド−およびエクソペプチダーゼによるペプチドの分解が引き起こす結果であり、ペプチドのin vivo安定性の低下にもつながる。直鎖ペプチドに比べて、環状ペプチドは分解されにくい。環状ペプチドの安定性には主な理由が2つある。第一に、エクソペプチダーゼは、環状ペプチドの(実在しない)端部を開裂できないことである。第二に、環状ペプチド、特に小〜中程度の大きさの環を持つ環状ペプチドは、環状ペプチドの拘束された骨格が、タンパク質分解中に所望の大きさの立体配座への適応を阻むために、エンドペプチダーゼの作用を受けにくいことである。その上、環状ペプチド内部での低い電荷と分子内水素結合が受動的膜透過性を高めることにより、生物学的利用能の向上にも寄与する。最も重要なのは、環状構造がアミノ酸配列に与える立体配座の拘束によって、環状ペプチドとその生化学的標的との間のエンタルピー相互作用が最大化すると同時に、望ましい結合エントロピーも確保されることである。
【0003】
天然起源の環状ペプチドと合成環状ペプチドはいずれも、アミノ酸配列を予め剛直な構造にするための足場として非常に重要視されてきた1。おびただしい数の既知の環状ペプチドの中でも特に重要なのは、剛直な、小〜中程度の大きさの環である。様々なシクロラクタム化法や非ペプチド性環化法2が開発されてきた。
【0004】
直鎖前駆体の大環状化は、直鎖ペプチドの配座優先に起因する、幾つかの熱力学的および動力学的な課題を抱えている。鎖−環の立体配座平衡は、非環式前駆体から環状分子を合成する際に直面する主要な障害である。短鎖の直鎖ペプチドは環状構造を取り易いが、これは、N末端とC末端の間のイオン対化によって推進される(スキーム1、A)3。不利なエントロピーにもかかわらず、この環状構造は、静電相互作用と他の極性相互作用によって蓄えられたエンタルピーのおかげで、熱力学的に恵まれている。スキーム1から分かるように、従来の活性化剤は、ペプチドの両性イオン特性を取り去って、イオン対を形成できなくさせる傾向がある。その結果、静電相互作用と他の極性相互作用からエンタルピーが生じなければ、活性化ペプチドは不規則な直鎖構造を呈する(スキーム1、B)。大環状化を生じさせるには、活性化ペプチドがプレ環化構造(C)になってから所望の環状分子(D)を形成する必要がある。シクロ二量化4、シクロ三量化および重合5から生じる副生物の形成を制限するには、10−4以上に高希釈することが不可欠である。残念なことに、希釈は反応時間を延ばし、その結果、エピ化などのバックグランド処理を誘発する。中でも最も困難な環化は、7つ未満の残基を含む直鎖ペプチドを環化させるものである6、7。
【0005】
【数1】
【0006】
大環状構造の化学的空間を研究する上でのもう一つの共通の課題は、終盤での修飾に関するものである。これは、バイオ企業や製薬会社が構築した大環状化合物ライブラリーにおける長年の課題である。典型的な環化法(閉環メタセシス、ヒュスゲン環化付加)もやはり、それより先の合成には適さない。前記目的を達成するには、官能基の手を環化前に組み込む必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、環状アミノ酸分子の製造方法であって、前記方法が、アミノ末端とカルボキシル末端を有するアミノ酸分子を、イソシアニドおよび下記式(Ia)および/または(Ib):
【0008】
【化1】
【0009】
[式中、n=0または1であり、R1、R2、R3、R4およびR5は独立して、H、低級アルキル、アルケニル、複素環、シクロアルキル、式−C(O)OR*(式中、R*はアルキルおよびアリールから選択される)で表されるエステル、式−C(O)NR**R***(式中、R**およびR***は独立して、アルキルおよびアリールから選択される)で表されるアミド、−CH2C(O)R(式中、Rは、−OH、低級アルキル、アリール、−低級アルキルアリールまたは−NRaRbから選択され、前記式中、RaおよびRbは独立して、H、低級アルキル、アリールもしくは低級アルキルアリールから選択される)、−C(O)Rc(式中、Rcは、低級アルキル、アリールまたは低級アルキルアリールから選択される)あるいは低級アルキル−ORd(式中、Rdは、好適な保護基またはOH基である)から選択され、これらは全て、場合により、1つ以上の置換可能な位置で1つ以上の好適な置換基によって置換され、
前記化合物のアルデヒド成分は、場合により亜硫酸水素塩を付加した形態であってよく、
前記アミノ酸分子は、アミノ酸、直鎖ペプチドまたはこれらの塩であり、ただし前記アミノ酸分子が直鎖ペプチドである場合、前記化合物は、前記ペプチドのアミノ末端の近位の炭素原子と立体化学的に整合しつつ、前記アルデヒドの近位にアジリジン不斉中心を含むものとする。]
の化合物と反応させる工程を含む、
前記方法を提供する。
【0010】
他の態様では、本明細書に記載する方法を用いて製造される、環状アミノ酸分子を提供する。
【0011】
別の態様では、式(II):
【0012】
【化2】
【0013】
[前記式中、n=0または1であり、R1、R2、R3、R4およびR5は独立して、H、低級アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、複素環、式−C(O)OR*(式中、R*はアルキルおよびアリールから選択される)で表されるエステル、式−C(O)NR**R***(式中、R**およびR***は独立して、アルキルおよびアリールから選択される)で表されるアミド、−CH2C(O)R(式中、Rは、−OH、低級アルキル、アリール、−低級アルキルアリールまたはNRaRbから選択され、前記式中、RaおよびRbは独立して、H、低級アルキル、アリールもしくは−低級アルキルアリールから選択される)、−C(O)Rc(式中、Rcは、低級アルキル、アリールまたは−低級アルキルアリールから選択される)あるいは−低級アルキル−ORd(式中、Rdは、好適な保護基またはOH基である)から選択され、これらは全て、場合により、1つ以上の置換可能な位置で1つ以上の好適な置換基によって置換され、
結合[a]および[b]は互いにシン位にあり、
R’は、前記アミノ末端アミノ酸のアミノ酸側鎖であり、
R”は、任意置換アミドであり、および
前記アミノ酸分子は、アミノ酸または直鎖ペプチドであって、N’は前記アミノ酸分子のアミノ末端での窒素であり、およびC’は前記アミノ酸分子のカルボキシ末端での炭素であり、ただし前記アミノ酸分子が直鎖ペプチドである場合、結合[a]および[c]は互いにアンチ位にあるものとする。]
で表される環状アミノ酸分子を提供する。
【0014】
もう一つの態様では、アミノ酸分子の環化における化合物の用途であって、前記化合物が、式(Ia)/(Ib):
【0015】
【化3】
【0016】
で表されるものであって、式中前記アミノ酸分子のアミノ末端の近位の炭素原子と立体化学的に整合しつつ、前記アルデヒド基の近位の炭素原子にα−立体中心を含んでおり、
n=0または1であり、R1、R2、R3、R4およびR5は独立して、H、低級アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、複素環、式−C(O)OR*(式中、R*はアルキルおよびアリールから選択される)で表されるエステル、式−C(O)NR**R***(式中、R**およびR***は独立して、アルキルおよびアリールから選択される)で表されるアミド、−CH2C(O)R(式中、Rは、−OH、低級アルキル、アリール、−低級アルキルアリールまたは−NRaRbから選択され、前記式中、RaおよびRbは独立して、H、低級アルキル、アリールもしくは−低級アルキルアリールから選択される)、−C(O)Rc(式中、Rcは、低級アルキル、アリールまたは−低級アルキルアリールから選択される)あるいは−低級アルキル−ORd(式中、Rdは、好適な保護基である)から選択され、これらがいずれも、場合により、1つ以上の置換可能な位置で1つ以上の好適な置換基によって置換されており、
前記アミノ酸分子は、アミノ酸、直鎖ペプチドまたはこれらの塩であり、ただし前記アミノ酸分子が直鎖ペプチドである場合、前記化合物は、前記ペプチドのアミノ末端の近位の炭素原子と立体化学的に整合しつつ、前記アルデヒドの近位にアジリジン不斉中心を含むものとする、前記化合物の用途を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】ロイシン異性体を用いた粗反応混合物の1H−NMR比較を表す。
【図2】アミナール生成物を引き起こす不整合反応を表すスキームである。
【図3】環状生成物をもたらす整合反応を表す。
【図4】方法1〜3で合成される環状生成物の化学構造を表す。
【図5】環状生成物1の1H−および13C−NMRスペクトルである。
【図6】環状生成物2の1H−および13C−NMRスペクトルである。
【図7】環状生成物3の1H−および13C−NMRスペクトルである。
【図8】環状生成物4の1H−および13C−NMRスペクトルである。
【図9】環状生成物5の1H−および13C−NMRスペクトルである。
【図10】環状生成物6の1H−および13C−NMRスペクトルである。
【図11】環状生成物7の1H−および13C−NMRスペクトルである。
【図12】環状生成物8の1H−および13C−NMRスペクトルである。
【図13】環状生成物9の1H−NMRスペクトルである。
【図14】環状生成物10の1H−および13C−NMRスペクトルである。
【図15】環状生成物11の1H−および13C−NMRスペクトルである。
【図16】環状生成物12の1H−および13C−NMRスペクトルである。
【図17】環状生成物13の1H−および13C−NMRスペクトルである。
【図18】環状生成物14の1H−および13C−NMRスペクトルである。
【図19】環状生成物15の1H−および13C−NMRスペクトルである。
【図20A】環状生成物16の1H−およびCOSY NMRスペクトルである。
【図20B】環状生成物16の13C−NMRスペクトルである。
【図21】環状生成物17の1H−および13C−NMRスペクトルである。
【図22】環状生成物18の1H−および13C−NMRスペクトルである。
【図23】環状生成物19の1H−および13C−NMRスペクトルである。
【図24】環状生成物20の1H−および13C−NMRスペクトルである。
【図25】環状生成物21の1H−および13C−NMRスペクトルである。
【図26】環状生成物22の1H−およびCOSY NMRスペクトルである。
【図27】環状生成物23の1H−NMRスペクトルである。
【図28】Pro−Gly−Gly−Glyの0.2MでのHATU媒介環化に関する未処理のLC−MS(ESI)分析結果を表す。
【図29】Pro−Gly−Gly−Glyの0.2Mでのイソシアニド/アミノアルデヒド媒介環化に関する未処理のLC−MS(ESI)分析結果を表す。
【図30】アジリジン含有環状ペプチドの求核的開環反応を表す。
【図31】チオール及びアンモニウムイオンのpKa並びにイオン対のΔpKaを表す。
【図32】チオール開環生成物の反応混合物についての未処理のLC−MS(ESI)分析結果を表す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施態様は、以下の記述および添付の図面を参照することで十分に理解できよう。記述および図面において、同様の数字は同様の構造またはプロセスを表すものとする。
【0019】
本明細書では、環状ペプチドを高収率および高い選択率で生成すると同時に、従来の環化反応中に通常生じる問題を回避した、1段階反応について説明する。今や大環状分子の終盤での多様化は、一続きに達成することが可能である。大環状化生成物は特異的修飾部位を有するので、環状ペプチドを終盤に構造変化することが可能である。環化後の多様化は、バイオ産業及び製薬業界両者の大員環ライブラリでの長年の課題であった。本発明の大環状化方法は、特にこの課題を解決するものである。
【0020】
本明細書では、合成に役立つ無保護のアジリジン基とアルデヒド基を含む、安定な両性アミノアルデヒド類の用途について述べている8。両性アミノアルデヒドを、ペプチドのアミン末端およびカルボキシル末端と可逆反応するように促す。結果として生じる求電子性中間体は、有効モル濃度が高いので、求核性アジリジン部と速やかに反応する。その結果、好ましくない鎖/環平衡をル・シャトリエの原理によってシフトさせて、環状生成物へ効率良く転化させるようにする。別の態様では、環化は、脂肪族アミノ酸側鎖残基や酸性および塩基性アミノ酸側鎖残基を用いることもできる。特にペプチドは、酸性および塩基性残基を有するものを含めて、本発明の方法の範疇にあると考えられ、どの場合でも単一のジアステレオマー生成物をもたらす。トリフルオロエタノール(「TFE」)は、ペプチドの二次構造を安定化して極性相互作用を促進する能力9が知られており、好ましい反応媒体である。ユージー(Ugi)4成分縮合反応は、カルボン酸とアミンとアルデヒドとイソシアニドを用いる周知の反応10であって、両性イオン大環状化前駆体を生成する好ましい手段である。反応機構上、ユージー反応は、アミド結合形成の熱力学的原動力に繋がる一連の可逆転移を経て進行することが知られている。出発原料としてα−アミノ酸とアルデヒドとイソシアニドを用いると、反応は、両性イオン性イミニウムイオン中間体を介して進み、イソシアニドからの攻撃により、求電子性混合無水物を生成する。その後のメタノールとの反応により、直鎖ペプチドエステルがジアステレオ異性体混合物として得られる11。この反応を、直鎖ペプチドと従来の(単官能)アルデヒドを用いた環状ペプチド合成で試みた。しかし、ジアステレオ選択性や支配的なシクロ二量化生成物がないことから、収率は低かった12、13。
【0021】
一態様では、環状アミノ酸分子の製造方法であって、前記方法が、アミノ末端とカルボキシル末端とを有するアミノ酸分子を、イソシアニドおよび式(Ia)および/または(Ib):
【0022】
【化4】
【0023】
[式中、n=0または1であり、R1、R2、R3、R4およびR5は独立して、H、低級アルキル、アルケニル、複素環、シクロアルキル、式−C(O)OR*(式中、R*はアルキルおよびアリールから選択される)で表されるエステル、式−C(O)NR**R***(式中、R**およびR***は独立して、アルキルおよびアリールから選択される)で表されるアミド、−CH2C(O)R(式中、Rは、−OH、低級アルキル、アリール、−低級アルキルアリールまたはNRaRbから選択され、前記式中、RaおよびRbは独立して、H、低級アルキル、アリールもしくは−低級アルキルアリールから選択される)、−C(O)Rc(式中、Rcは、低級アルキル、アリールまたは−低級アルキルアリールから選択される)あるいは−低級アルキル−ORd(式中、Rdは、好適な保護基またはOH基である)から選択され、これらは全て、場合により、1つ以上の置換可能な位置で1つ以上の好適な置換基によって置換され、
前記化合物のアルデヒド成分は、場合により亜硫酸水素塩を付加した形態であってよく、
そして前記アミノ酸分子は、アミノ酸、直鎖ペプチドまたはこれらの塩であり、ただし前記アミノ酸分子が直鎖ペプチドである場合、前記化合物は、前記ペプチドのアミノ末端の近位の炭素原子と立体化学的に整合しつつ、前記アルデヒドの近位にアジリジン不斉中心を含むものとする。]
の化合物と反応させる工程を含む、前記方法を提供する。
【0024】
好ましくは、アミノ酸分子がアミノ酸である場合、アミノ末端は一級アミノ基または二級アミノ基であるが、アミノ酸分子がペプチドである場合、アミノ末端は二級アミノ基である。
【0025】
一実施態様では、R1〜R5のうちいずれか1つはHである。好ましくは、n=0であり、そしてR2およびR3はHである、またはR1〜R3はHである。
【0026】
特別な実施態様では、R1は、CH2OTBDMSまたはCH2iPrである。
【0027】
一実施態様では、アミノ酸分子は直鎖ペプチドである。好ましくは、直鎖ペプチドのアミノ末端アミノ酸は、プロリン、およびNHBn、NHCH2CH2SO2PhまたはNHCH2CH2CNで置換されたアミノ基を有するアミノ酸からなる群より選択される。
【0028】
他の実施態様では、アミノ酸分子は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セレノシステイン、セリン、チロシン、トレオニン、トリプトファンおよびバリンからなる群より選択されるD−またはL−アミノ酸である。
【0029】
アミノ酸分子は、α−アミノ酸、β−アミノ酸またはγ−アミノ酸であってよい。
【0030】
一実施態様では、イソシアニドは、(S)−(−)−α−メチルベンジルイソシアニド、1,1,3,3−テトラメチルブチルイソシアニド、1−ペンチルイソシアニド、2,6−ジメチルフェニルイソシアニド、2−モルホリノエチルイソシアニド、2−ナフチルイソシアニド、2−ペンチルイソシアニド、4−メトキシフェニルイソシアニド、ベンジルイソシアニド、ブチルイソシアニド、シクロヘキシルイソシアニド、イソプロピルイソシアニド、p−トルエンスルホニルメチルイソシアニド、フェニルイソシアニドジクロリド、tert−ブチルイソシアニド、(トリメチルシリル)メチルイソシアニド、1H−ベンゾトリアゾル−1−イルメチルイソシアニド、2−クロロ−6−メチルフェニルイソシアニド、ジ−tert−ブチル2−イソシアノサクシネート、tert−ブチル2−イソシアノ−3−メチルブチレート、tert−ブチル2−イソシアノ−3−フェニルプロピオネート、tert−ブチル2−イソシアノプロピオネートおよびtert−ブチル3−イソシアノプロピオネートからなる群より選択され、好ましくはtert-ブチルイソシアニドである。
【0031】
一部の実施態様では、前記方法は非求核性反応媒体中、好ましくはトリフルオロエタノール中、またはHFIPと水との混合液中で行う。
【0032】
一実施態様において、アミノ酸分子がアミノ酸である場合は、前記方法を水中で行う。
【0033】
一部の実施態様では、前記方法は、前記アジリジン部分の求核的開環反応によって前記環状アミノ酸分子に蛍光標識を結合させる工程を更に含む。
【0034】
一部の実施態様では、ペプチドの長さは、アミノ酸2〜30個分である。
【0035】
別の態様では、本明細書に記載の方法を用いて製造された、環状アミノ酸分子を提供する。
【0036】
環化は、場合により、特定のペプチドまたはアミノ酸側鎖を当業者に既知の方法で保護する必要がある可能性があるので、その保護も包含するものと考えられる。
【0037】
別の態様では、式(II):
【0038】
【化5】
【0039】
[前記式中、n=0または1であり、R1、R2、R3、R4およびR5は独立して、H、低級アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、複素環、式−C(O)OR*(式中、R*はアルキルおよびアリールから選択される)で表されるエステル、式−C(O)NR**R***(式中、R**およびR***は独立して、アルキルおよびアリールから選択される)で表されるアミド、−CH2C(O)R(式中、Rは、−OH、低級アルキル、アリール、−低級アルキルアリールまたは−NRaRbから選択され、前記式中、RaおよびRbは独立して、H、低級アルキル、アリールもしくは−低級アルキルアリールから選択される)、−C(O)Rc(式中、Rcは、低級アルキル、アリールまたは低級アルキルアリールから選択される)あるいは−低級アルキル−ORd(式中、Rdは、好適な保護基またはOH基である)から選択され、これらは全て、場合により、1つ以上の置換可能な位置で1つ以上の好適な置換基によって置換され、
結合[a]および[b]が互いにシン位にあり、
R’は、前記アミノ末端アミノ酸のアミノ酸側鎖であり、
R”は、任意置換アミドであり、
そして前記アミノ酸分子は、アミノ酸または直鎖ペプチドであって、N’は前記アミノ酸分子のアミノ末端での窒素であり、およびC’は前記アミノ酸分子のカルボキシ末端での炭素であり、ただし前記アミノ酸分子が直鎖ペプチドである場合、結合[a]および[c]は互いにアンチ位にあるものとする。]
で表される環状アミノ酸分子を提供する。
【0040】
好ましくは、アミノ酸分子がアミノ酸である場合、アミノ末端は一級アミノ基または二級アミノ基であるが、アミノ酸分子が直鎖ペプチドである場合、アミノ末端は二級アミノ基である。
【0041】
一実施態様では、R1〜R5のうちいずれか1つはHである。好ましくは、n=0であり、そしてR2およびR3はHである、またはR1〜R3はHである。
【0042】
特別な実施態様では、R1は、CH2OTBDMSまたはCH2iPrである。
【0043】
一実施態様では、アミノ酸分子は直鎖ペプチドである。好ましくは、直鎖ペプチドのアミノ末端アミノ酸は、プロリン、およびNHBn、NHCH2CH2SO2PhまたはNHCH2CH2CNで置換されたアミノ基を有するアミノ酸からなる群より選択される。
【0044】
他の実施態様では、アミノ酸分子は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セレノシステイン、セリン、チロシン、トレオニン、トリプトファンおよびバリンからなる群より選択されるD−またはL−アミノ酸である。
【0045】
アミノ酸分子は、α−アミノ酸、β−アミノ酸またはγ−アミノ酸であってよい。
【0046】
一実施態様では、R”は、tert−ブチルアミドである。
【0047】
別の態様では、アミノ酸分子の環化における化合物の用途であって、前記化合物は、式(Ia)/(Ib):
【0048】
【化6】
【0049】
で表されるものであって、式中前記アミノ分子のアミノ末端の近位の炭素原子と立体化学的に整合しつつ、前記アルデヒド基の近位の炭素原子にα−立体中心を含んでおり、および
n=0または1であり、R1、R2、R3、R4およびR5は独立して、H、低級アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、複素環、式−C(O)OR*(式中、R*はアルキルおよびアリールから選択される)で表されるエステル、式−C(O)NR**R***(式中、R**およびR***は、アルキルおよびアリールから独立して選択される)で表されるアミド、−CH2C(O)R(式中、Rは、−OH、−低級アルキル、アリール、−低級アルキルアリールまたは−NRaRbから選択され、前記式中、RaおよびRbは独立して、H、低級アルキル、アリールもしくは−低級アルキルアリールから選択される)、−C(O)Rc(式中、Rcは、−低級アルキル、アリールまたは−低級アルキルアリールから選択される)あるいは−低級アルキル−ORd(式中、Rdは、好適な保護基である)から選択され、これらは全て、場合により、1つ以上の置換可能な位置で1つ以上の好適な置換基によって置換されており、
そして前記アミノ酸分子は、アミノ酸、直鎖ペプチドまたはこれらの塩であり、ただし前記アミノ酸分子が直鎖ペプチドである場合、前記化合物は、前記ペプチドのアミノ末端の近位の炭素原子と立体化学的に整合しつつ、前記アルデヒドの近位にアジリジン不斉中心を含むものとする、
前記化合物の用途を提供する。
【0050】
本明細書で使用するとき、用語「アミノ酸分子」は、それぞれのアミノ酸に加えて、ペプチド類も包含するものとする。
【0051】
本明細書で使用するとき、用語「アミノ酸」は、アミノ基、カルボン酸基および多種多様な側鎖を含む分子を指す。アミノ酸には、タンパク質中に一般に存在する20個のアミノ酸だけでなく、当業者に既知の非標準的なアミノ酸および非天然アミノ酸誘導体も含むものとするため、α−、β−およびγ−アミノ酸を含むが、これらに限定されない。ペプチドは、少なくとも2個のアミノ酸の重合体であり、例えば、標準的なアミノ酸、非標準的なアミノ酸および非天然アミノ酸を包含することができる。
【0052】
本発明に関して使用するとき、用語「好適な置換基」は、H、ヒドロキシル、シアノ、アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、t−ブチル、ヘキシル等の低級アルキル)、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ等の低級アルコキシ)、アリールオキシ(例えば、フェノキシ等)、ビニル、アルケニル(例えば、ヘキセニル等)、アルキニル;ホルミル、ハロアルキル(例えば、CF3、CCl3等を包含する低級ハロアルキル)、ハロゲン化物、アリール(例えば、フェニルおよびナフチル)、ヘテロアリール(例えば、チエニルおよびフラニル等)、アミド(例えば、C(O)NRaRbであって、前記式中、RaおよびRbは独立して、低級アルキル、アリールまたはベンジル等から選択される)、アシル(例えば、C(O)C6H5等)、エステル(例えば、−C(O)OCH3等)、エーテルおよびチオエーテル(例えば、O−Bn等)、チオアルコキシ、ホスフィノ並びに−NRaRb(式中、RaおよびRbは独立して、低級アルキル、アリールまたはベンジル等から選択される)を独立して包含するものとする。本発明に関して使用するとき、好適な置換基とは、本発明の方法によって所望の生成物の形成を妨げない置換基を表すものと理解すべきである。
【0053】
本発明に関して使用するとき、本明細書中で単独でまたは他の置換基と組み合わせて用いられる用語「低級アルキル」とは、炭素数1〜6の非環式、直鎖または分枝鎖アルキル置換基を表し、例えばメチル、エチル、1−メチルエチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル等が挙げられる。「低級アルコキシ」、「低級チオアルキル」および「低級アルケニル」等は、炭素原子数に関しては前記用語と同じような使い方であると理解すべきである。本明細書中で用いられる「低級アルコキシ」としては、例えばメトキシ、エトキシ、t−ブトキシが挙げられる。
【0054】
用語「アルキル」には低級アルキルが含まれ、例えば炭素原子数7〜10の非環式、直鎖または分枝鎖アルキル置換基のように、炭素原子数が6を超えるアルキル基も包含される。
【0055】
本明細書中で単独でまたは他の置換基と組み合わせて使用するとき、用語「アリール」とは、単環式芳香族系または多環式芳香族系を表す。例えば、用語「アリール」には、フェニル環またはナフチル環が含まれ、さらには、蛍光標識(例えば、アントラセン)または放射性標識およびそれらの誘導体のように、より大きな多環式芳香族系を包含する場合もある。
【0056】
本明細書中で単独でまたは他の置換基と組み合わせて使用するとき、用語「ヘテロアリール」とは、窒素、酸素および硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有し、そして芳香族系を形成する、5員、6員または7員の不飽和複素環を表す。用語「ヘテロアリール」にはまた、窒素、酸素および硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する、5員、6員または7員の不飽和複素環を構成する多環式芳香族系も包含される。
【0057】
本明細書中で単独でまたは他の置換基と組み合わせて使用するとき、用語「シクロアルキル」とは、シクロアルキル置換基を表すものであり、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
本明細書中で使用するとき、用語「シクロアルキル−アルキル−」とは、シクロアルキルラジカルが直接結合しているアルキルラジカルを表すものであり、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、1−シクロペンチルエチル、2−シクロペンチルエチル、シクロヘキシルメチル、1−シクロヘキシルエチルおよび2−シクロヘキシルエチルが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用する場合、アリールアルキル−、アリール低級アルキル−(例えば、ベンジル)、−低級アルキルアルケニル(例えば、アリル)、ヘテロアリールアルキル−等は、前記用語「アルキル」または「低級アルキル」と同じような使い方であると理解すべきである。例えば、用語「アリールアルキル−」とは、アリールが結合したアルキルラジカルを表す。アリールアルキル−の例としては、ベンジル(フェニルメチル)、1−フェニルエチル、2−フェニルエチルおよびフェニルプロピルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
本明細書中で単独でまたは他のラジカルと組み合わせて使用するとき、用語「複素環」とは、窒素、酸素および硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する3員〜7員の飽和または不飽和(芳香族を含む)複素環から水素を除去して得られる、1価のラジカルを表す。このような複素環の例としては、アジリジン、エポキシド、アゼチジン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、チアゾリジン、ピロール、チオフェン、ヒダントイン、ジアゼピン、イミダゾール、イソキサゾール、チアゾール、テトラゾール、ピぺリジン、ピペラジン、ホモピぺリジン、ホモピペラジン、1,4−ジオキサン、4−モルホリン、4−チオモルホリン、ピリジン、ピリジン−N−オキシドまたはピリミジン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
本明細書中で単独でまたは他のラジカルと組み合わせて使用するとき、用語「アルケニル」とは、炭素原子を2個以上含有し、そのうちの少なくとも2個が二重結合で互いに結合された、不飽和非環式直鎖ラジカルを表すものとする。このようなラジカルの例としては、エテニル(ビニル)、1−プロペニル、2−プロペニルおよび1−ブテニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
本明細書中で使用するとき、用語「アルキニル」とは、炭素原子を2個以上含有し、そのうちの少なくとも2個が三重結合で互いに結合された、不飽和非環式直鎖ラジカルを表すものとする。このようなラジカルの例としては、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニルおよび1−ブチニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
本明細書中で単独でまたは他のラジカルと組み合わせて使用するとき、用語「アルコキシ」とは、−O−(C1〜n)アルキルラジカルを表し、前記式中、アルキルは、先に定義したように炭素原子を1個以上含有しており、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、1−メチルエトキシ、ブトキシおよび1,1−ジメチルエトキシが挙げられる。nが1〜6の場合は、「低級アルコキシ」という用語が前述と同様に適用されるが、用語「アルコキシ」には、「低級アルコキシ」だけでなく、nが6を超える(例えば、n=7〜10)アルコキシ基も包含される。本明細書中で単独でまたは他のラジカルと組み合わせて使用するとき、用語「アリールオキシ」は−O−アリールを表すものであって、前記アリールは、上述と同様に定義される。
【0063】
ペプチドは、アミノ酸2個以上の重合体である。
【0064】
以下の実施例は、本発明の様々な態様を例証するものであって、本明細書に述べる本発明の広範な態様を限定するものではない。
【実施例】
【0065】
実施例1
材料および方法
無水トルエンとジメチルホルムアミド(DMF)を入手して、そのまま使用した。テトラヒドロフラン(THF)は、ナトリウム・ベンゾフェノンケチルを用いてアルゴン中で蒸留した。TFE(2,2,2−トリフルオロエタノール)およびHFIP(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−イソプロパノール)を含む他の溶媒は全て試薬級の品質であった。融点は、メルテンプ(MelTemp)融点測定装置で測定したものであり、補正はしていない。
【0066】
方法1:
次の方法を用いてアミノ酸/ペプチド環化反応を行った。マグネティック撹拌子を入れたスクリューキャップ付きバイアル瓶に、ペプチド(0.2ミリモル)とTFE 1mlを加えて、均一な溶液となるまで撹拌した。次に、アジリジンアルデヒド二量体(0.1ミリモル)およびイソシアニド(0.2ミリモル)を続けて加えて、得られた混合物を、表2に記載した時間で撹拌した。反応は、60eVのエレクトロスプレイイオン化質量分析(「ESI−MS」)および/または薄層クロマトグラフィー(「TLC」)分析でモニターした。反応終了後、水1mlとEt2O 1mlを加えて、混合物を激しく震盪してから氷で冷した。生じた沈殿物を濾過し、ヘキサンと冷Et2O(1ml)で洗浄すると、環状ペプチドが得られた。生成物が水溶性であるかまたは沈殿しない場合は、反応混合物を減圧濃縮した後、Et2Oおよびヘキサン(0.2ml)を加えて紛体化して、環状ペプチド生成物を得た。
【0067】
方法2:
TFEの代わりにHFIPを用いてアミノ酸/ペプチド環化反応を行った(方法2)。マグネティック撹拌子を入れたスクリューキャップ付きバイアル瓶に、ペプチド(0.2ミリモル)とHFIP 1mlを加えて、均一な溶液となるまで撹拌した。次に、アジリジンアルデヒド二量体(0.1ミリモル)およびイソシアニド(0.2ミリモル)を続けて加えて、得られた混合物を、表2に記載した時間で撹拌した。反応は、60eVのESI−MSおよび/またはTLC分析でモニターした。反応終了後、混合物を減圧濃縮してから、Et2Oおよびヘキサン(0.2ml)を加えて紛体化して、環状ペプチド生成物を得た。
【0068】
方法3:
HFIPと水を用いてアミノ酸/ペプチド環化反応を行った。マグネティック撹拌子を入れたスクリューキャップ付きバイアル瓶に、ペプチド(0.2ミリモル)、HFIP 1mlおよびH2O 47マイクロリットルを加えて、均一になるまで撹拌した。次に、アジリジンアルデヒド二量体(0.1ミリモル)およびイソシアニド(0.2ミリモル)を続けて加えて、得られた混合物を、表2に記載した時間で撹拌した。反応は、60eVのESI−MSおよび/またはTLC分析でモニターした。反応終了後、混合物を減圧濃縮してから、Et2Oおよびヘキサンを加えて紛体化して、環状ペプチド生成物を得た。
【0069】
注釈:
システインまたはチオール残渣含有ペプチドを用いた反応では、反応前に溶媒をアルゴンを用いて2時間脱気した。その後、反応はアルゴン雰囲気下で行った。
【0070】
方法1〜3それぞれで合成され得る環状生成物の一部を表1にまとめ、図4に示す。
【0071】
表1.アミノ酸/ペプチド環化反応に用いた方法
【表1】
【0072】
表1に挙げた各環状生成物の相対立体化学は、各1H−NMRスペクトルのメチン領域をピペラジノン(1)のスペクトルで関連づけて確定した。
【0073】
クロマトグラフィー:
フラッシュカラムクロマトグラフィー分析は、230〜400メッシュのシリサイクル(Silicycle)シリカゲルを用いて行った。マッハライ・ナーゲル(Macherey-Nagel)製のプレコート済みガラス基材付きTLCプレート(SIL G/UV254、0.25mm)で薄層クロマトグラフィー(TLC)を行い、そしてUVランプ(254nm)とヨード染色を用いて可視化した。
【0074】
核磁気共鳴スペクトル:
1H−および13C−NMRスペクトルは、バリアン(Varian)製マーキュリー(Mercury)400または500MHz分光器で記録した。1H−NMRスペクトルはTMS(0 ppm)を基準とし、また13C−NMRスペクトルはCDCl3(77.23ppm)を基準とした。ピーク多重度は次の略語で表している:s シングレット、bs ブロードなシングレット、d ダブレット、t トリプレット、q カルテット、m マルチプレット、ds シングレットのダブレット、dd ダブレットのシングレット、ddd ダブレットのダブレットのダブレット、bt ブロードなトリプレット、td ダブレットのトリプレット、tdd ダブレットのダブレットのトリプレット。
【0075】
質量分析:
高分解能質量スペクトルは、70eVのVG 70−250S(二重集束形)質量分析計、またはESIイオン源とMS/MSと正確な質量測定機能を装備するABI/サイエックスQスター(ABI/Sciex Qstar)質量分析計で測定した。低分解能の質量スペクトル(ESI)は、60eV、70eVおよび100eVで測定した。
【0076】
アジリジンアルデヒド二量体を得るための合成経路:
本実験で使用したアミノアルデヒド二量体は全て、補足の式1および2に示した合成経路により調製した。
【0077】
結果
様々なピペラジノンを1段階反応で生成した(表2)。
【0078】
表2.ピペラジノン合成適用範囲(L−アミノ酸由来生成物を示す)
【化7】
【表2】
【0079】
環/鎖平衡をシフトする工程は、両性アミノアルデヒドをUgiの反応条件下に供したときに生じた求電子性混合無水物に対する、求核性NHアジリジンの渡環効果を衰弱させることである(スキーム2)。反応を化学量論的条件で行って、環状ペプチド生成物を得る。高希釈、すなわち環状ペプチド合成で高収率を得るために通常必須の臨界条件は必要としない。
【数2】
【0080】
通常困難とされる中程度の大きさの環が、非常に容易にしかも高収率で数時間以内に生成され得る(表3)。
【0081】
表3.直鎖ペプチドの大環状化についての代表的な適用範囲
【化8】
【表3】
【0082】
表1中の環状生成物の1H−および13C−NMRスペクトルを図5〜27に示す。
【0083】
直鎖ペプチド、イソシアニドおよび両性アミノアルデヒドを用いた、立体選択性と化学選択性に優れた様々な環状ペプチドを作製するための1段階反応を示している。ユージー(Ugi)反応は、単官能アルデヒドの代わりに両性アミノアルデヒドを用いて行う。L−フェニルアラニンをtert−ブチルイソシアニドおよびアジリジンアルデヒドと反応させると、環状ピペラジノンが約1時間で収率92%で得られた(表2、番号1)。化合物1の相対立体化学は、X線分析を用いて確認した。ある種のアミノ酸をこの反応で処理すると、どの場合も直鎖ペプチドを形成することなく、対応するピペラジノン生成物が単一のジアステレオ異性体として得られた(図1)。
【0084】
エピマーの存在は、粗反応混合物の1H−NMR(DMSO−d6またはCDCl3)分析で調べた。調査したどの反応にも、エピマーに相当するシグナルは検出されなかった。そのため、得られた粗環状ペプチドの選択性は>20:1となった。
【0085】
反応結果に対する中程度のペプチド鎖長の効果について調べた(表2)。難易度の高い中程度の大きさの環は容易に調製され、その反応時間は10時間未満であり、高収率かつジアステレオ選択的に反応が進行する。好ましい調製手順には、ジエチルエーテルおよびヘキサンから生成物の沈殿も含まれている。環状ペプチドは、HPLCでそれ以上精製しなくてもよい。その上、反応の全過程においても、また生成物の単離中でも、ラセミ化が検出されなかった。エピ化が生じないことは、高い立体選択性からも明らかであり、したがって、カルボニル基の近位にS立体中心を有するアジリジンアルデヒドは、L−アミノ酸残基を含むペプチドと、N末端で大環状化を生じさせる。D−アミノ酸末端ペプチドとの「不整合」反応は非生産的であって、安定なアミナールの形成をもたらす。
【0086】
ペプチドとの環化を生じさせるためにN末端アミノ酸のα−立体中心(この場合はプロリン)がアジリジンアルデヒドのα−立体中心と整合したのであろうと判断した。不整合反応では、生じた唯一の生成物が、対応するアミナールである(図2)。長い反応時間後やイソシアニド当量の追加後にも、環状ペプチドの生成は認められなかった。この制約は、一つ一つのアミノ酸を環化するときには現れない。
【0087】
アミノアルデヒドの逆の光学異性体を同じ反応に使用すると、プロリンとアミノアルデヒドはどちらもα−立体中心にS−配置を有していた。この整合例では、ペプチドの環化が容易に進行して、対応する環状生成物が高収率で得られた(図3)。
【0088】
この立体選択プロセスは、N末端で起こり得るエピ化に大きな影響を及ぼす。環化が起こるには整合した立体化学が必要となるため、その結果生じる環状ペプチドには当然、整合立体中心が含まれるであろう。さらに、不整合反応で環状ペプチドが形成されなかったことは、マクロ条件下でエピ化が生じないこと(すなわち、整合した基質がもたらされること)を示唆している。
【0089】
この化学反応での一貫した収率は、環化を支配する反応機構に起因して得られる可能性が高い。この点においては、単官能アルデヒドとのユージー(Ugi)反応からの脱却は明白である。イソシアニドおよびペプチドとの反応に単官能アルデヒドを用いると、低いジアステレオ選択性が認められる。さらに重要なことには、残基を6個未満含む直鎖ペプチドの環化中には望ましくないシクロ二量化が生じ、トリペプチドの環化ではシクロ二量体のみが生成する13。この低い選択性は、混合無水物に対するアミンの緩慢な渡環攻撃の結果であり(スキーム2、A)、したがって、分子間反応を速度論的に競合させる。二級アミン末端ペプチドを含む環化反応混合物に両性アミノアルデヒドを加えると、緩慢な渡環攻撃に代わって、混合無水物の環外に位置する求核性アジリジンによる迅速な攻撃が生じる(スキーム2、B)。これにより、妨げのない攻撃軌跡が展開される。TFEは非求核性溶媒であるため、混合無水物の早期加溶媒分解は見られない。この反応機構は、中間体である環状混合無水物の形成時にのみC末端が活性化されて、その後、環外のアジリジンの攻撃を受けるようにする。これは、分子内の大環状化に対する選択性を確保するだけでなく、C末端の活性化を長引かせたりエピ化を生じさせたりもしない。したがって、高希釈、つまり従来の環状ペプチド合成で高収率を達成するために通常必須の臨界条件を必要としない6。さらに、本発明に係る実験ではオリゴマー副生物もポリマー副生物も検出されなかった。本発明に係る反応と、従来の直鎖テトラペプチドのラクタム化(環状ペプチドの合成で一般に用いられる反応)との対照比較も行った。アミノアルデヒドが媒介する大環状化は、迅速に、選択性良く、しかも効率良く、環状ペプチドを形成した。これに対し、ラクタム化中に形成された無数の構造物からは、ほんの少量の環状ペプチドが検出された。望ましくないシクロ二量化5が大環状化よりも優勢であったことは、従来の分子内反応の緩慢な反応速度論を証明するものである。ペプチドの大環状化反応は一般に、極度な希釈条件下で行われる。典型的な手順では、10−4Mのモル濃度を要する。この大量希釈が、分子間環化における選択性を高めて、その結果、望ましくないシクロ二量化や三量化を制限する。
【0090】
表3に挙げた各環状生成物の相対立体化学についての特性分析結果は次の通りである。
【0091】
(3S,5R,6R,7S)−3−ベンジル−N−tert−ブチル−7−((tert−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)−2−オキソ−1,4−ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−5−カルボキサミド(1)
1H NMR(CDCl3,400MHz)δ:7.36−7.18(m,5H),6.75(bs,1H),3.86(dd,J=11.6Hz,4.8Hz,1H),3.74(dd,J=11.2Hz,4.8Hz,1H),3.54(bs,1H),3.47(dd,J=3.6Hz,1.2Hz,1H),3.25(dd,J=14.4Hz,3.2Hz,1H),3.10(m,1H),2.52(dd,J=14.4Hz,10.4Hz,1H),2.40(m,1H),1.80(bs,1H),1.02(s,9H),0.90(s,9H),0.10(s,3H),0.08(s,3H)ppm. 13C NMR(CDCl3,100MHz)δ:184.8,169.0,138.5,129.7,128.9,127.0,63.9,57.5,53.6,50.7,44.6,39.0,35.5,28.5,26.1,18.6,−5.0ppm. HRMS(ESI)[MH]+calcd.446.2833,found 446.2831
【0092】
(3R,5R,6R,7S)−3−ベンジル−N−tert−ブチル−7−((tert−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)−2−オキソ−1,4−ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−5−カルボキサミド(2)
1H NMR(CDCl3,400MHz)δ:7.35−7.20(m,5H),6.32(bs,1H),3.86(m,1H),3.73(dd,J=11.5Hz,4.2Hz,1H),3.86(bs,1H),3.73(dd,J=11.5Hz,4.2Hz,1H),3.25(dd,J=14.4Hz,3.2Hz,1H),3.10(m,1H),2.52(dd,J=14.4Hz,10.4Hz,1H),2.40(m,1H),1.80(bs,1H),1.31(s,9H),0.90(s,9H),0.10(s,3H),0.08(s,3H)ppm. 13CNMR(CDCl3,75MHz)δ:184.0,169.1,136.2,129.2,129.1,127.3,63.0,59.5,51.4,49.6,42.2,38.7,36.0,28.8,26.1,18.7,−5.1ppm. MS(ESI)[MH]+calcd.446.3,found 446.3
【0093】
(3S,5R,6R,7S)−N−tert−ブチル−7−((tert−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)−3−メチル−2−オキソ−1,4−ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−5−カルボキサミド(3)
1H NMR(CDCl3,400MHz)δ:7.42(s,NH),3.88(dd,J=11.2Hz,4.8Hz,1H),3.70(dd,J=11.2Hz,5.2Hz,1H),3.55(d,J=0.8Hz,1H),3.46(dd,J=3.6Hz,1.6Hz,1H),3.07(m,1H),2.36(td,J=4.8Hz,3.6Hz,1H),1.8(bs,NH),1.39(s,9Η),1.23(d,J=6.8Hz,3H),0.90(s,9H),0.09(s,3H),0.08(s,3H)ppm. 13C NMR(CDCl3,100MHz)δ:185.5,169.3,63.9,53.8,51.2,51.0,44.5,39.3,28.9,26.1,16.6,15.0,−5.0ppm. HRMS(ESI)[MH]+calcd.370.2520,found 370.2520
【0094】
(1S,3aS,8R,8aS)−N−tert−ブチル−1−((tert−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)−3−オキソオクタヒドラジリノ[1,2−a]ピロロ[1,2−d]ピラジン−8−カルボキサミド(4)
1H NMR(CDCl3,400MHz)δ:6.17(s,1H),3.76(dd,J=11.6Hz,4.4Hz,1H),3.67(dd,J=11.6Hz,4.8Hz,1H),3.70(d,J=6.2Hz,1H),3.12(dt,J=4.8Hz,9.2Hz,1H),2.97(dd,J=6.4Hz,3.6Hz,1H),2.93−2.89(m,1H),2.60(q,J=4.4Hz,1H),2.25−2.05(m,2H),1.90−1.75(m,3H),1.70−1.51(m,1H),1.48(s,9H),0.85(s,9H),0.09(s,3H),0.08(s,3H)ppm. 13C NMR(CDCl3,100MHz)δ:183.0,168.6,65.0,63.4,63.2,54.6,51.3,43.4,41.0,29.0,26.1,22.2,22.0,18.9,−5.1ppm. HRMS(ESI)[MH]+calcd.396.2676,found 396.2656
【0095】
(3R,5S,6S,7S)−N−tert−ブチル−3−(3−グアニジノプロピル)−7−イソブチル−2−オキソ−1,4−ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−5−カルボキサミド(5)
1H NMR(D2O,400MHz)δ:3.59(t,J=5.6Hz,1H),3.46(m,1H),3.13(m,1H),2.94(m,1H),3.37(m,1H),1.78−1.44(m,8H),1.22(s,9H),0.83(d,J=2.8Hz,3H),0.81(d,J=2.8Hz,3H)ppm. 13H NMR(D2O,400MHz)δ:186.7,172.0,156.9,54.9,54.5,54.0,44.5,42.8,28.7,27.9,26.5,25.7,25.0,24.1,22.2,21.5ppm. MS(ESI)[MH]+calcd.367.3,found 367.2 and 184.1 for [M+2H]2+/2
【0096】
(3S,5S,6S,7S)−3−(4−アミノブチル)−N−tert−ブチル−7−イソブチル−2−オキソ−1,4−ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−5−カルボキサミド(6)
NMR (D2O with 10% v/v CD3COOD,400MHz)δ:5.14(ddd,J=9.6Hz,4.4Hz,2.4Hz,1H),4.12(d,J=2.4Hz,1H),3.07(dd,J=7.6Hz,4.4Hz,1H),2.85(t,J=7.6Hz,2H),1.82−1.46(m,10H),1.32(s,9H),0.83(d,J=6.8Hz,3H),0.81(d,J=6.8Hz,3H)ppm. 13C NMR(D2O with 10% v/v CD3COOD,100MHz)δ:178.0,173.8,97.2,58.6,54.5,53.0,40.6,39.3,29.3,27.8,27.6,27.2,26.8,24.6,22.2,21.9,20.8ppm. MS(ESI)[MH]+calcd.339.3,found 339.2 and 170.1 for [M+2H]2+/2
【0097】
(5R,6R,7S)−N−tert−ブチル−7−((tert−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)−2−オキソ−1,4−ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−5−カルボキサミド(7)
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ:6.98(s,1H),3.87(dd,J=11.5,4.5Hz,1H),3.78(dd,J=11.5,4.5Hz,1H),3.34−3.24(m,2H),3.13(d,J=4.6Hz,1H),2.40(td,J=4.5,3.4Hz,1H),2.17−1.96(m,1H),1.43−1.36(m,9H),0.94−0.86(m,9H),0.13−0.05(m,6H).13C NMR(101MHz,CDCl3)δ:183.93,168.37,77.48,77.16,76.84,63.02,55.81,51.25,48.72,45.27,39.64,28.87,26.06,18.55,0.15,−5.09,−5.12.
【0098】
2−((3S,5R,6R,7R))−5−(tert−ブチルカルバモイル)−7−イソブチル−2−オキソ−1,4−ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−イル)酢酸(8)
1H NMR(400MHz,CD3OD)δ:4.69−4.58(m,1H),3.92(d,J=2.0Hz,1H),3.76(dd,J=9.8,3.6Hz,1H),3.66(dd,J=7.8,4.0Hz,1H),2.90(dd,J=17.5,3.6Hz,1H),2.81(dd,J=16.7,4.0Hz,1H),2.69−2.53(m,2H),1.36−1.32(m,9H),0.98(dt,J=8.5,4.2Hz,6H). 13C NMR(101MHz,CD3OD)δ:188.21,172.40,158.66,158.62,56.05,55.25,55.23,51.95,44.17,43.55,43.35,42.55,42.39,42.16,41.98,29.85,28.90,28.85,28.10,27.37,27.16,26.85,26.51,23.19,22.63,21.05
【0099】
(3R,5R,6R,7S)−N−(tert−ブチル)−7−(((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)−3−(メルカプトメチル)−2−オキソ−1,4−ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−5−カルボキサミド(9)
注釈:この化合物のスペクトルは非常にブロードなピークを特徴とするので、正確な分光学的同定は困難である。この原因は、求核性チオールの存在や、酸化およびアジリジン開環を受け易いといった、化合物(9)本来の不安定さにある。
1H NMR(CDCl3,400MHz)δ:3.47(s,1H),3.41(d,J=6.5Hz,1H),4.35−2.42(m,7H),1.70−1.42(bs,10H),0.90(s,9H),0.10(s,3H),0.08(s,3H)ppm.MS(ESI)[MH]+calcd.402.6,found 402.2
【0100】
(3S,5R,6R,7S)−3−((1H−イミダゾル−4−イル)メチル)−N−(tert−ブチル)−7−(((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)−2−オキソ−1,4−ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−5−カルボキサミド(10)
1H NMR(CDCl3,400MHz)δ:7.56(s,1H),7.25(s,1H),6.87(s,1H),6.22(s,1H),4.46(m,1H),3.72(dd,J=11.2Hz,4.8Hz,1H),3.60(m,1H),3.44(dd,J=3.6Hz,1.5Hz,1H),3.27(dd,J=14.1Hz,3.1Hz,1H),2.99(dd,J=14.7Hz,4.2Hz,1H),2.80(dd,J=15.2Hz,8.1Hz,1H),2.40(m,1H),2.05(bs,1H),1.36(s,9H),0.87(s,9H),0.07(s,3H),0.05(s,3H)ppm. 13C NMR(CDCl3,100 MHz)δ:185.4,171.4,169.5,168.6,135.1,64.3,62.7,60.6,54.7,51.2,44.5,39.3,28.9,26.0,18.4,−5.3ppm. MS(ESI)[MH]+calcd.436.6,found 436.2
【0101】
(3S,5R,6R,7S)−N−(tert−ブチル)−7−(((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)−3−(ヒドロキシメチル)−2−オキソ−1,4−ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−5−カルボキサミド(11)
1H NMR(CDCl3,400MHz)δ:6.80(bs,1H),6.15(bs,1H),4.02(d,J=11.6Hz,1H),3.85(dd,J=13.3Hz,6.7Hz,1H),3.76(dd,J=14.2Hz,3.0Hz,1H),3.68(bs,1H),3.53(d,J=5.0Hz,1H),3.45(dd,J=3.5Hz,2.4Hz,1H),3.13(m,1H),2.55(m,1H),2.42(m,1H),1.39(s,9H),0.90(s,9H),0.10(s,3H),0.08(s,3H)ppm. 13C NMR(CDCl3,100MHz)δ:185.3,168.9,63.5,61.4,55.8,53.9,51.2,44.9,39.6,28.9,26.1,18.6,−5.1ppm. MS (ESI)[MH]+calcd.386.6, found 386.2
【0102】
(1S,4S,6aS,11R,11aS)−N−tert−ブチル−1−(((tert−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)−4−イソブチル−3,6−ジオキソデカヒドロ−1H−アジリノ[1,2−a]ピロロ[1,2−d][1,4,7]トリアゾニン−11−カルボキサミド(12)
1H NMR(CD3OD,400MHz)δ:4.47(m,1H),4.14(dd,J=8.4Hz,6Hz,1H),4.07−3.99(m,2H),3.84(dd,J=12Hz,3.2Hz,1H),3.32(d,J=5.6Hz,1H),3.26−3.15(m,2H),2.42−2.30(m,2H),1.92−1.78(m,3H),1.74(q,J=6.8Hz,2H),1.59(sept,J=6.8Hz,1H),1.22(s,9H),0.90(d,J=6.8Hz,3H),0.87(d,J=6.4Hz,3H),0.84(s,9H),0.06(s,3H),0.03(s,3H)ppm. 13C NMR(CD3OD,100MHz)δ:174.1,164.1,157.4,86.5,62.4,60.7,60.6,57.7,54.2,52.1,50.2,39.6,29.0,25.8,25.2,25.1,22.1,21.0,20.5,17.9,−6.5ppm. MS(ESI)[MH]+calcd.509.3, found 509.3
【0103】
(1S,4S,6aR,11S,11aR)−N−tert−ブチル−4−(3−グアニジノプロピル)−1−イソブチル−3,6−ジオキソデカヒドロ−1H−アジリノ[1,2−a]ピロロ[1,2−d][1,4,7]トリアゾニン−11−カルボキサミド(13)
1H NMR(CD3OD,400MHz)δ:4.26(t,J=5.6Hz,1H),4.18(dd,J=8.8Hz,2.4Hz,1H),3.58(dd,J=8.8Hz,5.2Hz,1H),3.28−3.24(m,2H),3.00(d,J=5.6Hz,1H),2.70(dd,J=10.4Hz,6.4Hz,1H),2.32−2.18(m,2H),1.98−1.52(m,11H),1.28(s,9H),1.01(d,J=6.4Hz,3H),0.96(d,J=6.4Hz,3H)ppm. 13C NMR(CD3OD,100MHz)δ:178.0,160.8,159.1,157.4,86.9,64.3,63.5,60.2,54.5,53.7,51.0,42.6,41.4,29.4,28.8,26.1,24.9,24.5,22.7,21.3,20.4ppm. MS(ESI)[MH]+calcd.464.3,found 464.3 and 232.6 for[M+2H]2+/2
【0104】
2−((1S,4S,6aR,11S,11aR)−11−(tert−ブチルカルバモイル)−1−イソブチル−3,6−ジオキソデカヒドロ−1H−アジリノ[1,2−a]ピロロ[1,2−d][1,4,7]トリアゾニン−4−イル)酢酸(14)
1H NMR(CD3OD,400MHz)δ:4.46(t,J=9.2Hz,1H),4.34(dd,J=8.4Hz,2.0Hz,1H),3.81(dd,J=8.4Hz,5.6Hz,1H),3.38−3.30(m,1H),3.02(dd,J=17.2Hz,2.4Hz,1H),2.85−2.73(m,1H),2.57(dd,J=17.2Hz,8.4Hz,1H),2.45−2.32(m,2H),2.05−1.62(m,7H),1.58−1.48(m,2H),1.27(s,9H),1.01(d,J=6.4Hz,3H),0.98(d,J=6.4Hz,3H)ppm. MS(ESI)[MH]+calcd.423.3,found 423.2
【0105】
(1S,4S,9aS,14R,14aS)−N−tert−ブチル−1−((tert−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)−4−イソブチル−3,6,9−トリオキソテトラデカヒドロアジリノ[1,2−a]ピロロ[1,2−d][1,4,7,10]テトラアザシクロドデシン−14−カルボキサミド(15)1H NMR(CD3OD,400MHz)δ:4.55(ddd,J=8Hz,3.2Hz,1.6Hz,1H),4.32(dd,J=10.4Hz,4Hz,1H),4.21(dd,J=14Hz,6Hz,1H),4.15−4.05(m,3H),3.91(dd,J=12Hz,3.2Hz,1H),3.41Hz(dd,J=6Hz,1H),3.36−3.28(m,1H),2.50−2.30(m,2H),2.00−1.50(m,7H),1.31(s,9H),0.98−0.92(m,6H),0.92(s,9H),0.13(s,3H),0.11(s,3H)ppm. 13C NMR(CD3OD,100 MHz)δ:178.3,166.4,165.1,157.6,86.7,62.7,61.0,60.1,54.2,53.7,52.6,50.5,44.0,41.6,28.9,25.6,25.2,25.1,25.1,22.6,20.7,20.5,17.9,−6.5,−6.5ppm. MS(ESI)[MH]+calcd.566.4,found 566.4
【0106】
(1R,1aS,2R,6aS,12S,18S)−18−ベンジル−N−tert−ブチル−1,12−ジイソブチル−7,10,13,16,19−ペンタオキソイコサヒドロアジリノ[1,2−a]ピロロ[1,2−d][1,4,7,10,13,16]ヘキサアザシクロオクタデシン−2−カルボキサミド(16)
1H NMR(CDCl3,500MHz)δ:7.82(bs,NH),7.40−7.20(m,5Η),7.18(bs,NH),7.05(bs,NH),6.81(bs,2 NH),4.64(q,J=6.8Hz,1H),4.13(dd,J=16Hz,7.6Hz,1H),4.10−3.90(m,2H),3.57(dd,J=16Hz,4.8Hz,1H),3.50−3.39(m,2H),3.26(dd,J=14Hz,5.6Hz,1H),3.12(dd,J=14Hz,7.2Hz,1H),3.12−3.08(m,1H),3.00−2.92(m,2H),2.63(t,J=3.6Hz,1H),2.28−2.18(m,1H),1.90−1.70(m,2H),1.37−1.25(m,9H),1.10−0.88(m,12H)ppm. 13C NMR(CDCl3,125 MHz)δ:181.4,176.1,175.7,172.1,170.1,169.2,136.4,130.1,128.7,126.8,56.2,63.0,43.2,42.5,40.2,38.6,37.9,31.2,30.0,29.8,29.5,28.8,28.7,27.2,25.1,24.9,24.3,23.3,23.1,22.8,22.7,22.6,22.4,22.3,21.9, MS(ESI)[MH]+calcd.682.4, found 682.4
【0107】
(1S,12aS,17R,17aR)−N−tert−ブチル−1−イソブチル−3,6,9,12−テトラオキソヘキサデカヒドロ−1H−アジリノ[1,2−a]ピロロ[1,2−d][1,4,7,10,13]ペンタアザシクロペンタデシン−17−カルボキサミド(17)
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ:4.57−4.44(m,1H),4.32−3.70(m,10H),3.38(d,J=5.4Hz,1H),3.28(s,1H),3.14(dd,J=11.2,5.6Hz,1H),2.52−2.41(m,1H),2.37(d,J=6.9Hz,1H),2.15−1.65(m,8H),1.64−1.48(m,2H),1.42−1.23(m,8H),1.00(dt,J=21.4,7.4Hz,6H). 13C NMR(100MHz,CD3OD)δ:176.18,171.23,168.97,165.90,159.24,86.37,65.77,63.49,61.48,59.76,55.41,51.43,47.38,45.65,45.23,44.59,44.43,44.19,43.41,42.46,29.85,29.43,28.97,28.58,28.46,27.72,27.13,26.74,25.68,23.84,23.68,23.14,23.06,22.16,21.62.
【0108】
tert−ブチル2−((1S,4S,7S,13S,15aS,20R,20aS)−20−(tert−ブチルカルバモイル)−1−(((tertブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)−4−メチル−3,6,9,12,15−ペンタオキソ−13−(3−(3−((2,2,4,6,7−ペンタメチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)スルホニル)グアニジノ)プロピル)イコサヒドロアジリノ[1,2−a]ピロロ[1,2−d][1,4,7,10,13,16]ヘキサアザシクロオクタデシン−7−イル)アセテート(18)
1H NMR(400 MHz,CDCl3)δ:7.84(d,J=9.7Hz,2H),7.58(dd,J=18.1,9.1Hz,2H),7.07(s,1H),6.41(s,2H),5.68(s,1H),4.85(dq,J=13.7,6.8Hz,1H),4.70−4.58(m,1H),4.35(q,J=8.1Hz,1H),4.17−4.07(m,1H),3.97(dd,J=14.2,7.5Hz,2H),3.74(s,1H),3.69−3.57(m,1H),3.56−3.42(m,2H),3.42−3.13(m,4H),2.96(s,2H),2.93(d,J=2.3Hz,1H),2.89−2.76(m,4H),2.66−2.53(m,7H),2.42−2.15(m,2H),2.10(s,3H),2.07−1.98(m,1H),1.87−1.55(m,8H),1.46(s,6H),1.44(s,9H),1.34(s,9H),0.87(s,9H),0.09(s,3H),0.05(s,3H). 13C NMR(101MHz,CDCl3)δ:187.07,176.14,174.46,171.46,171.04,169.11,166.93,158.77,156.39,138.63,133.66,132.55,124.65,117.55,105.24,86.49,82.64,63.92,63.84,60.81,57.07,51.69,51.31,50.37,49.56,45.47,43.51,40.43,37.55,35.99,30.28,29.17,28.83,28.22,26.11,24.61,19.49,18.71,18.19,17.31,12.69,−5.11,−5.44. MS(ESI)[MH]+calcd.1104.6, found 1104.6
【0109】
tert−ブチル(4−((1S,4S,7S,10S,13S,15aS,20R,20aS)−13−((R)−1−(tert−ブトキシ)エチル)−20−(tert−ブチルカルバモイル)−1−(((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)−4−メチル−10−(2−メチルチオ)エチル−3,6,9,12,15−ペンタオキソイコサヒドロアジリノ[1,2−a]ピロロ[1,2d][1,4,7,10,13,16]ヘキサアザシクロオクタデシン−7−イル)ブチル)カルバメート(19)
1H NMR (400 MHz,CDCl3)δ:7.83(d,J=8.1Hz,1H),7.77(s,1H),7.50(d,J=21.3Hz,1H),7.35(m,2H),7.08(dd,J=15.7,7.5Hz,1H),6.90(s,1H),6.82(s,1H),4.98(d,J=27.6Hz,1H),4.84−4.67(m,1H),4.60(s,1H),4.40−4.30(m,1H),4.16−3.93(m,4H),3.82(s,2H),3.77−3.69(m,3H),3.67(d,J=6.3Hz,1H),3.45−3.28(m,2H),3.27−2.99(m,6H),3.00−2.86(m,2H),2.84(s,1H),2.78−2.55(m,3H),2.45−2.19(m,5H),2.12(s,4H),2.06−1.97(m,3H),1.89(d,J=4.7Hz,7H),1.71−1.55(m,3H),1.54−1.39(m,21H),1.36(s,13H),1.31−1.26(m,12H),1.06(t,J=10.5Hz,4H),0.93−0.82(m,14H),0.06(s,3H),0.05(s,3H). 13C NMR(101MHz,CDCl3)δ:182.99,175.20,171.94,170.75,170.37,168.93,156.44,77.43,75.69,66.32,64.35,63.93,61.77,57.52,56.58,54.28,42.68,40.37,31.21,30.95,30.08,29.88,29.36,28.85,28.66,26.01,24.92,24.16,18.91,18.48,17.89,15.48,−5.25,−5.29. MS(ESI)[MH]+calcd.983.6, found 983.6
【0110】
(1S,7S,10S,15aS,20R,20aS)−10−((1H−イミダゾル−5−イル)メチル)−7−(4−(tert−ブトキシ)ベンジル)−N−(tert−ブチル)−1−(((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)−3,6,9,12,15−ペンタオキソイコサヒドロアジリノ[1,2−a]ピロロ[1,2−d][1,4,7,10,13,16]ヘキサアザシクロオクタデシン−20−カルボキサミド(20)
1H NMR (400MHz,CDCl3)δ:9.92(s,1H),7.49(d,J=4.8Hz,2H),7.39−7.27(m,11H),7.17−7.02(m,11H),6.78(d,J=8.4Hz,2H),6.69(s,1H),4.48(p,J=6.9Hz,1H),4.42−4.18(m,2H),4.06−3.99(m,1H),3.91(dd,J=11.4,3.8Hz,1H),3.78(dd,J=11.3,4.4Hz,1H),3.61(dd,J=9.8,4.8Hz,1H),3.48−3.37(m,1H),3.32−2.99(m,8H),2.83(dd,J=6.8,3.4Hz,1H),2.41−1.95(m,2H),1.91−1.72(m,2H),1.61(s,12H),1.41(s,10H),1.35−1.24(m,20H),0.72(s,1H),0.07(s,3H),0.05(s,3H). 13C NMR(101MHz,CDCl3)δ:184.31,175.20,172.61,170.67,169.47,168.12,154.53,142.31,138.19,136.81,131.91,129.97,129.85,128.43,128.37,120.09,77.43,63.49,62.17,61.55,57.84,54.97,52.19,51.15,48.67,43.36,42.53,41.75,36.36,31.84,30.99,29.92,29.88,29.44,29.05,28.67,26.07,24.49,19.80,18.56,−5.19. MS (ESI)[MH]+calcd.866.5,found 866.5
【0111】
(1S,4S,7S,13S,15aS,20R,20aS)−13−ベンジル−N−(tert−ブチル)−1−(((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)−4−メチル−3,6,9,12,15−ペンタオキソ−7−(2−オキソ−2−(トリチルアミノ)エチル)イコサヒドロアジリノ[1,2−a]ピロロ[1,2d][1,4,7,10,13,16]ヘキサアザシクロオクタデシン−20−カルボキサミド(21)
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ:7.94(t,J=9.8Hz,2H),7.73(d,J=8.7Hz,1H),7.51(t,J=6.7Hz,1H),7.34−7.11(m,23H),6.79(s,1H),4.92−4.72(m,2H),4.59(dd,J=16.3,8.6Hz,1H),4.25(d,J=11.5Hz,1H),4.01(d,J=10.7Hz,1H),3.82(dd,J=14.2,7.6Hz,1H),3.73(s,1H),3.59−3.51(m,2H),3.48−3.24(m,3H),3.09(dd,J=13.8,8.9Hz,1H),2.96−2.68(m,6H),2.59(dd,J=15.8,3.6Hz,1H),2.45−2.08(m,2H),2.07−1.96(m,1H),1.62(s,5H),1.52−1.17(m,18H),0.94(s,9H),0.15(s,3H),0.13(s,3H). 13C NMR(101MHz,CDCl3)δ:184.06,175.64,173.93,171.01,170.49,169.15,167.20,144.28,136.98,129.61,128.81,128.49,128.30,127.48,126.75,77.55,77.23,76.91,71.17,63.63,60.72,57.12,52.96,51.54,50.58,49.71,49.27,45.35,44.53,37.27,36.80,33.93,30.22,29.24,26.24,24.32,18.78,17.89,0.22,−5.11,−5.34. MS(ESI)[MH]+calcd.1027.5, found 1027.6
【0112】
(4S,10S,15aS,20R,20aS)−4−ベンジル−N−(tert−ブチル)−10−イソブチル−3,6,9,12,15−ペンタオキソイコサヒドロアジリノ[1,2−a]ピロロ[1,2d][1,4,7,10,13,16]ヘキサアザシクロオクタデシン−20−カルボキサミド(22)
1H NMR(CDCl3,400MHz)δ:8.33(bs,1H),8.17(d,J=9.1Hz,1H),8.03(d,J=7.4Hz,1H),7.54(s,1H),7.21(m,5H),6.04(bs,1H),5.08(bs,1H),4.58(m,1H),3.87(dd,J=8.1Hz,5.0Hz,1H),3.80(bs,1H),2.48(dd,J=3.6Hz,1.8Hz,2H),2.16(m,2H),1.62−1.57(m,7H),1.48(m,2H),1.42(m,2H),1.35(m,2H),1.20(m,9H),1.07(m,2H),0.81(m,6H)ppm. MS(ESI)[MH]+calcd.626.8,found 626.3 and 313.7 for [M+2H]2+/2
【0113】
化合物22に7−mmcが結合したもの(23)
環状ペプチド22を原材料として反応させて、結合したペプチド23を得た。1H NMR(300MHz,DMSO)δ8.95(s,1H),8.68(d,J=8.2Hz,1H),8.32(t,J=6.3Hz,1H),7.68(d,J=8.4Hz,1H),7.51(d,J=9.4Hz,1H),7.42−7.08(m,5H),6.46(s,1H),6.31(s,1H),4.47−4.15(m,3H),3.73(dd,J=20.5,14.1Hz,3H),3.45−3.33(m,2H),3.17(dd,J=20.9,13.0Hz,2H),2.98−2.64(m,4H),2.40(s,2H),2.22−2.10(m,1H),1.91(ddd,J=22.9,13.4,6.6Hz,2H),1.79−1.40(m,5H),1.30−1.15(m,9H),0.93−0.74(m,6H). MS(ESI)[MH]+calcd.818.4, found 818.3
【0114】
HATU媒介環化
都合のよいことに、環化反応は、少なくとも0.002M濃度の出発原料アミノ酸/ペプチドで行うことができる。好ましくは0.002M〜0.2Mの濃度で行う。
【0115】
他の実施態様では、本発明の方法は、少なくとも0.1M濃度の出発原料アミノ酸/ペプチドで行う。別の実施態様では、本発明の方法は、約0.2M濃度の出発原料アミノ酸/ペプチドで行う。
【0116】
慣例上、従来の大環状化はこのような高濃度で行うことはできない。これは、HATUプロセスとの直接比較から明らかとなったものであり、観測された主生成物はオリゴマー化や重合に由来するものではない。
【0117】
O−(7−アザベンゾトリアゾル−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(「HATU」)によって媒介されるPro−Gly−Gly−Glyの環化を、0.2Mにおけるアミノアルデヒド/イソシアニド環化法と比較した。反応完了時に、粗反応混合物を液体クロマトグラフィー/エレクトロスプレイイオン化質量分析(「LC−MS(ESI)」)で分析して、所望の環状ペプチドに対する選択性の度合いを調べた。
【0118】
HATU反応の質量分析(「MS」)による分析結果からは、0.2Mでシクロ二量化が優勢であることが分かった(図28)。m/z=537.2と559.2の主要ピークはそれぞれ、シクロ二量化生成物とそのナトリウムキレートに相当するが、所望の環状ペプチドは、m/z=269にほんの少量検出された。また、シクロ三量体(m/z=805)も検出された。粗反応混合物にはさらに、いくつかの他の未知の副生物も含まれていた。
【0119】
MSピーク分析結果から、次の6成分が見つかった。
成分1:ピークスキャン番号27.4。上位イオンピーク655.566.923
成分2:ピークスキャン番号28.4。上位イオンピーク982.744.714
成分3:ピークスキャン番号29.9。上位イオンピーク235.848.538
成分4:ピークスキャン番号30.9。上位イオンピーク559.827.560
成分5:ピークスキャン番号31.9。上位イオンピーク752.931
成分6:ピークスキャン番号32.7。上位イオンピーク537.295.446
【0120】
イソシアニド/アミノアルデヒド媒介環化に関する未処理のLC−MS(ESI)分析結果からは、所望の環状ペプチド(m/z=479)の選択性が0.2Mで高水準であることが分かった(図29)。二量体副生物や三量体副生物のピークは全く検出されなかった。反応混合物中には、特徴的なフラグメントイオンピークと残留Pro−Gly−Gly−Glyのみが残っていた。
【0121】
MSピーク分析結果からは、次の2成分が見つかった。
成分1:ピークスキャン番号29.7。上位イオンピーク287.212.383(Pro−Gly−Gly−Gly)
成分2:ピークスキャン番号30.9。上位イオンピーク479.396.240(環状ペプチド)
【0122】
実施例2
方法および材料
方法A:
求核試薬として芳香族チオールを用いて、アジリジン含有環状ペプチドの開環を行う(方法A)。マグネティック撹拌子を入れたスクリューキャップ付きバイアル瓶に、アジリジン含有環状ペプチドと芳香族チオール(0.066ミリモル)を、脱気したCHCl3 0.2mlに加えた。次に、この溶液にNEt3(0.06ミリモル)を加えて、反応溶液を室温で3〜4時間撹拌した。その後、反応溶液をCH2Cl2で希釈して、NH4Cl飽和水溶液(3ml)で2回洗浄した後、食塩水(3ml)で1回洗浄した。続いて、有機層をNa2SO4上で乾燥させて、濾過し、減圧濃縮した。未処理の開環生成物も高純度ではあったが、フラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc中5%MeOH)で精製することで、分析上純粋な試料が得られた。
【0123】
方法B:
求核試薬として脂肪族チオール又はイミドを用いて、アジリジン含有環状ペプチドの開環を行う(方法B)。マグネティック撹拌子を入れたスクリューキャップ付きバイアル瓶に、アジリジン含有環状ペプチド(0.06ミリモル)と脂肪族チオールまたはイミド(0.066ミリモル)を、脱気したCHCl3 0.2mlに加えた。次に、この溶液にDBU(0.06ミリモル)を加えて、反応溶液を室温で3〜4時間撹拌した。その後、反応溶液をCH2Cl2で希釈して、NH4Cl飽和水溶液(3ml)で2回洗浄した後、食塩水(3ml)で1回洗浄した。続いて、有機層をNa2SO4上で乾燥させて、濾過し、減圧濃縮した。未処理の開環生成物も高純度ではあったが、フラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc中5%MeOH)で精製することで、分析上純粋な試料が得られた。
【0124】
結果
蛍光置換基(これに限定されるものではない)を包含する側鎖を、大環状化生成物に付加した(スキーム3)。
【0125】
【数3】
【0126】
活性化アジリジン環を環状ペプチド骨格へ組み込むことで、求核的開環による様々な側鎖との結合に有用な位置がもたらされる。この十分に練られた方法は、炭化水素からビオチンおよびファルネシル誘導体14に至る、求核性生体分子を用いて証明されている。例えば、環状ペプチドの結合手順は、一般に用いられる蛍光標識である7−メルカプト−4−メチルクマリン(7−mmc)を用いて、アジリジン部分を求核的開環することで証明することができる(スキーム3)。別の態様では、市販のチオ安息香酸を用いて環状ペプチドを開環することで、終盤でのチオエステル残基の合成を利用することも可能である。この反応は円滑に進んで、開環生成物が収率98%で得られる。チオエステル官能性を終盤に組み込むことで、酸化と求電子試薬の両方から保護するのに通常必須の工程が不要となる。その他多くの天然および非天然のアミノ酸側鎖も同様の開環手順で組み込まれる可能性があり、合成の終盤に環状ペプチドの立体配座を最適化する道が開かれる。他の求核試薬、例えば脂肪族チオール、酸、モルホリン等の二級アミンそしてイミドも同様に開環時に有効に作用した。
【0127】
他の態様では、アジリジン環を含む環状ペプチドを開環処理に付す(図30)。このプロセスでは、合成の終盤に、対象の側鎖を環状ペプチド骨格へ付加することが可能である。開環反応は、pKaに基づいて選択された好適な塩基/求核試薬系を用いて行った。好ましい反応では、ΔpKa=pKa[NR3H+]−pKa[求核試薬]≒−1を満たす塩基/求核試薬ペアが用いられていた(図31)。
【0128】
これらデータは、塩基と求核試薬との間の強いイオンペアリング(ΔpKa>1)によって反応性の低下が生じ得る可能性があることを示唆している。開環に最適な条件は、手際よく進行して、抽出処理後、修飾された可能性がある環状ペプチドを高純度で提供することが分かった(図32)。
【0129】
実施例3
環状生成物(1)のX線分析を行った。
【0130】
結果
【化9】
【0131】
表4.k07227の結晶データおよび精密構造解析
【表4】
【0132】
表5.k07227の原子座標(×104)と等価等方性置換パラメータ(Å2×103)。U(等価)は、直交Uijテンソル量のトレースの3分の1と定義する。
【表5A】
【表5B】
【表5C】
【0133】
表6.k07227の結合距離[Å]と結合角[°]
【表6A】
【表6B】
【表6C】
【表6D】
【表6E】
【表6F】
【0134】
表7.k07227の異方性置換パラメータ(Å2×103)。異方性置換係数の指数は、−2π2[h2a*2U11+…+2hka*b*U12]で表される。
【表7A】
【表7B】
【表7C】
【0135】
【表8A】
【表8B】
【表8C】
【0136】
本発明の好ましい実施態様を本明細書に記載してきたが、本発明の精神または添付の特許請求の範囲を逸脱することなく、変更が可能なことは当業者には分かるであろう。本明細書に記載した参照文献はいずれも、その全部を参照として本明細書に組み込まれる。
【0137】
参照文献
(1) Drahl, S. Chem. Eng. News 2009, 87, 31.
(2) a) Shao, Y.; Lu, W.; Kent, S. B. H. Tetrahedron. Lett. 1998, 39, 3911. b) Tarn, J. P.; Lu, Y.-A.; Yu, Q. J. Am. Chem. Soc. 1999, 121, 4316. c) Bernal, F.; Tyler, A. F.; Korsmeyer, S. J.; Walensky, L.D.; Verdine, G. L. J. Am. Chem. Soc. 2007, 129, 2456. d) Home, W.S.; Stout, C. D.; Ghadiri, M. R. J. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 9372. e) Blackwell, H. E.; Sadowsky, J. D.; Howard, R. J.; Sampson; J. N., Chao; J. A., Steinmetz, W. E.; O'Leary, D. J.; Grubbs, R. H. J. Org. Chem. 2001, 66, 5291. f) Kirshenbaum, K.; Arora, P. S. Nat. Chem. Bio. 2008, 4, 527. g) Hebach, C; Kazmaier, U. Chem. Comm. 2003, 9, 596. h) Reid, R. C; Kelso, M. J.; Scanlon, M. J.; Fairlie, D. P. J. Am. Chem. Soc. 2002, 124, 5673. i) Al-Obeidi, F.; de Castrucci, A. M. L.; Hadley, M. E.; Hruby, V. J. J. Med. Chem. 1989, 32, 2555. j) Geyer, A.; Mueller, G.; Kessler, H. J. Am. Chem. Soc. 1994, 116, 7735.
(3) Schmuck, C; Wienand, W. J. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 452. (4) A. F. Spatola and P. Romanovskis, in Combinatorial Peptide and Nonpeptide Libraries; Jung, G., Ed.; VCH: Weinheim, 1996; p 328.
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(6) Zimmer, S.; Hoffmann, E.; Jung, G.; Kessler, H. Liebigs. Ann. Chem. 1993, 497. (7) Schmidt, U.; Langner, J. J. Pept. Res. 1997, 49, 67.
(8) a) HiIi, R.; Yudin, A. K. J. Am. Chem. Soc. 2009, 131, 16404. b) Baktharaman, S.; HiIi, R.; Yudin, A. K. Aldrichimica Acta 2008, 41, 109. c) HiIi, R.; Baktharam, S.; Yudin, A. K. Eur. J. Org. Chem. 2008, 5201. d) HiIi, R.; Yudin, A. K. Angew. Chem. Int. Ed. 2008, 47, 4188. e) Yudin, A. K.; HiIi, R. Chem. Eur. J. 2007, 13, 6538. f) HiIi, R.; Yudin, A. K. J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 14772.
(9) Roccatano, D., Colombo, G., Fioroni, M., Mark, A.E. Proc. Nat. Acad. Sci. 2002, 99, 12179.
(10) a) Domling, A.; Ugi, I. Angew. Chem. Int. Ed. 1997, 39, 3168. b) Dδmling, A.; Ugi, I. Angew. Chem. Int. Ed. 2000, 39, 3169. c) Thompson, M. J.; Chen, B. J. Org. Chem. 2009, 74, 7084.
(11) Demharter, A.; Horl, W.; Herdtweck, E.; Ugi, I. Angew. Chem. Int. Ed. 1996, 36, 173.
(12) For a recent example describing consecutive Ugi reactions to access glycine-based peptoid structures from formaldehyde, see: Vercillo, O. E., Andrade, C. K. Z., Wessjohann, L. A. Org. Lett. 2008, 10, 205.
(13) A. Failli, H. Immer, M. Gotz, Can. J. Chem. 1979, 57, 3257.
(14) Galonic, D. P.; Ide, N. D.; van der Donk, W. A.; Gin, D. Y. J. Am. Chem. Chem. 2005, 127, 7359.
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ末端とカルボキシル末端を有するアミノ酸分子を、イソシアニドおよび下記式(Ia)および/または(Ib):
【化10】
[式中、n=0または1であり、R1、R2、R3、R4およびR5は独立して、H、低級アルキル、アルケニル、複素環、シクロアルキル、式−C(O)OR*(式中、R*はアルキルおよびアリールから選択される)で表されるエステル、式−C(O)NR**R***(式中、R**およびR***は独立して、アルキルおよびアリールから選択される)で表されるアミド、−CH2C(O)R(式中、Rは、−OH、低級アルキル、アリール、−低級アルキルアリールまたは−NRaRbから選択され、前記式中、RaおよびRbは独立して、H、低級アルキル、アリールもしくは−低級アルキルアリールから選択される)、−C(O)Rc(式中、Rcは、低級アルキル、アリールまたは−低級アルキルアリールから選択される)あるいは−低級アルキル−ORd(式中、Rdは、好適な保護基またはOH基である)から選択され、これらは全て、場合により、1つ以上の置換可能な位置で1つ以上の好適な置換基によって置換され、
前記化合物のアルデヒド成分は、場合により亜硫酸水素塩を付加した形態であってよく、
前記アミノ酸分子は、アミノ酸、直鎖ペプチドまたはこれらの塩であり、ただし前記アミノ酸分子が直鎖ペプチドである場合、前記化合物は、前記ペプチドのアミノ末端の近位の炭素原子と立体化学的に整合しつつ、前記アルデヒドの近位にアジリジン不斉中心を含むものとする。]
の化合物と反応させる工程を含む、環状アミノ酸分子の製造方法。
【請求項2】
前記アミノ酸分子がアミノ酸である場合、前記アミノ末端は一級アミノ基または二級アミノ基であるが、前記アミノ酸分子がペプチドである場合、前記アミノ末端は二級アミノ基である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
R1〜R5のうちいずれか1つがHである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
n=0であり、そしてR1〜R3がHである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
n=0であり、そしてR2およびR3がHである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
R1が、CH2OTBDMSまたはCH2iPrである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記アミノ酸分子が直鎖ペプチドである、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記直鎖ペプチドの前記アミノ末端アミノ酸が、プロリン、およびNHBn、NHCH2CH2SO2PhまたはNHCH2CH2CNで置換されたアミノ基を有するアミノ酸からなる群より選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記アミノ酸分子が、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セレノシステイン、セリン、チロシン、トレオニン、トリプトファンおよびバリンからなる群より選択されるD−またはL−アミノ酸である、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記アミノ酸分子がα−アミノ酸である、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記アミノ酸分子がβ−アミノ酸である、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記アミノ酸分子がγ−アミノ酸である、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記イソシアニドが、(S)−(−)−α−メチルベンジルイソシアニド、1,1,3,3−テトラメチルブチルイソシアニド、1−ペンチルイソシアニド、2,6−ジメチルフェニルイソシアニド、2−モルホリノエチルイソシアニド、2−ナフチルイソシアニド、2−ペンチルイソシアニド、4−メトキシフェニルイソシアニド、ベンジルイソシアニド、ブチルイソシアニド、シクロヘキシルイソシアニド、イソプロピルイソシアニド、p−トルエンスルホニルメチルイソシアニド、フェニルイソシアニドジクロリド、tert−ブチルイソシアニド、(トリメチルシリル)メチルイソシアニド、1H−ベンゾトリアゾル−1−イルメチルイソシアニド、2−クロロ−6−メチルフェニルイソシアニド、ジ−tert−ブチル2−イソシアノサクシネート、tert−ブチル2−イソシアノ−3−メチルブチレート、tert−ブチル2−イソシアノ−3−フェニルプロピオネート、tert−ブチル2−イソシアノプロピオネートおよびtert−ブチル3−イソシアノプロピオネートからなる群より選択される、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記イソシアニドがtert-ブチルイソシアニドである、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記方法が非求核性反応媒体中で行われる、請求項1から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記非求核性反応媒体がトリフルオロエタノールである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記非求核性反応媒体がHFIPと水との混合液である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記アミノ酸分子がアミノ酸であり、そして前記方法が水中で行われる、請求項1から14のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記アジリジン部分の求核的開環反応によって前記環状アミノ酸分子に蛍光標識を結合させる工程を更に含む、請求項1から18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記ペプチドの長さがアミノ酸2〜30個分である、請求項1から19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
請求項1から20のいずれかに記載の方法を用いて製造される、環状アミノ酸分子。
【請求項22】
式(II):
【化11】
[前記式中、n=0または1であり、R1、R2、R3、R4およびR5は独立して、H、低級アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、複素環、式−C(O)OR*(式中、R*はアルキルおよびアリールから選択される)で表されるエステル、式−C(O)NR**R***(式中、R**およびR***は独立して、アルキルおよびアリールから選択される)で表されるアミド、−CH2C(O)R(式中、Rは、−OH、低級アルキル、アリール、−低級アルキルアリールまたは−NRaRbから選択され、前記式中、RaおよびRbは独立して、H、低級アルキル、アリールもしくは−低級アルキルアリールから選択される)、−C(O)Rc(式中、Rcは、低級アルキル、アリールまたは−低級アルキルアリールから選択される)あるいは−低級アルキル−ORd(式中、Rdは、好適な保護基またはOH基である)から選択され、これらは全て、場合により、1つ以上の置換可能な位置で1つ以上の好適な置換基によって置換され、
結合[a]および[b]が互いにシン位にあり、
R’は、前記アミノ末端アミノ酸のアミノ酸側鎖であり、
R”は、任意置換アミドであり、
前記アミノ酸分子は、アミノ酸、直鎖ペプチドまたはこれらの塩であって、N’は前記アミノ酸分子のアミノ末端での窒素であり、およびC’は前記アミノ酸分子のカルボキシ末端での炭素であり、ただし前記アミノ酸分子が直鎖ペプチドである場合、結合[a]および[c]は互いにアンチ位にあるものとする。]
で表される、環状アミノ酸分子。
【請求項23】
前記アミノ酸分子がアミノ酸である場合、前記アミノ末端は一級アミノ基または二級アミノ基であるが、アミノ酸分子が直鎖ペプチドである場合、前記アミノ末端は二級アミノ基である、請求項22に記載の環状アミノ酸分子。
【請求項24】
R1〜R5のうちいずれか1つがHである、請求項22または23に記載の環状アミノ酸分子。
【請求項25】
n=0であり、そしてR1〜R3がHである、請求項22または23に記載の環状アミノ酸分子。
【請求項26】
n=0であり、そしてR2およびR3がHである、請求項24に記載の環状アミノ酸分子。
【請求項27】
R1が、CH2OTBDMSまたはCH2iPrである、請求項26に記載の環状アミノ酸分子。
【請求項28】
前記アミノ酸分子が直鎖ペプチドである、請求項22から27のいずれかに記載の環状アミノ酸分子。
【請求項29】
前記直鎖ペプチドの前記アミノ末端アミノ酸が、プロリン、およびNHBn、NHCH2CH2SO2PhまたはNHCH2CH2CNで置換されたアミノ基を有するアミノ酸からなる群より選択される、請求項28に記載の環状アミノ酸分子。
【請求項30】
前記アミノ酸分子が、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セレノシステイン、セリン、チロシン、トレオニン、トリプトファンおよびバリンからなる群より選択されるD−またはL−アミノ酸である、請求項22から27のいずれかに記載の環状アミノ酸分子。
【請求項31】
前記アミノ酸分子がα−アミノ酸である、請求項22から27のいずれかに記載の環状アミノ酸分子。
【請求項32】
前記アミノ酸分子がβ−アミノ酸である、請求項22から27のいずれかに記載の環状アミノ酸分子。
【請求項33】
前記アミノ酸分子がγ−アミノ酸である、請求項22から27のいずれかに記載の環状アミノ酸分子。
【請求項34】
前記式中、R”がtert−ブチルアミドである、請求項22から33のいずれかに記載の環状アミノ酸分子。
【請求項35】
前記アミノ酸分子の濃度が少なくとも0.002Mである、請求項1から20のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
前記アミノ酸分子の濃度が、0.002M〜0.2Mである、請求項1から20のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
前記アミノ酸分子の濃度が少なくとも0.1Mである、請求項1から20のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
前記アミノ酸分子の濃度が約0.2Mである、請求項1から20のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
式(Ia)/(Ib):
【化12】
で表されるものであって、式中、前記アミノ酸分子のアミノ末端の近位の炭素原子と立体化学的に整合しつつ、前記アルデヒドの近位の炭素原子にα−立体中心を含んでおり、
n=0または1であり、R1、R2、R3、R4およびR5は独立して、H、低級アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、複素環、式−C(O)OR*(式中、R*はアルキルおよびアリールから選択される)で表されるエステル、式−C(O)NR**R***(式中、R**およびR***は独立して、アルキルおよびアリールから選択される)で表されるアミド、−CH2C(O)R(式中、Rは、−OH、低級アルキル、アリール、−低級アルキルアリールまたは−NRaRbから選択され、前記式中、RaおよびRbは独立して、H、低級アルキル、アリールもしくは−低級アルキルアリールから選択される)、−C(O)Rc(式中、Rcは、低級アルキル、アリールまたは−低級アルキルアリールから選択される)あるいは−低級アルキル−ORd(式中、Rdは、好適な保護基である)から選択され、これらがいずれも、場合により、1つ以上の置換可能な位置で1つ以上の好適な置換基によって置換されており、
前記アミノ酸分子はアミノ酸または直鎖ペプチドであり、ただし前記アミノ酸分子が直鎖ペプチドである場合、前記化合物は、前記ペプチドのアミノ末端の近位の炭素原子と立体化学的に整合しつつ、前記アルデヒドの近位にアジリジン不斉中心を含む、
アミノ酸分子の環化における化合物の用途。
【請求項1】
アミノ末端とカルボキシル末端を有するアミノ酸分子を、イソシアニドおよび下記式(Ia)および/または(Ib):
【化10】
[式中、n=0または1であり、R1、R2、R3、R4およびR5は独立して、H、低級アルキル、アルケニル、複素環、シクロアルキル、式−C(O)OR*(式中、R*はアルキルおよびアリールから選択される)で表されるエステル、式−C(O)NR**R***(式中、R**およびR***は独立して、アルキルおよびアリールから選択される)で表されるアミド、−CH2C(O)R(式中、Rは、−OH、低級アルキル、アリール、−低級アルキルアリールまたは−NRaRbから選択され、前記式中、RaおよびRbは独立して、H、低級アルキル、アリールもしくは−低級アルキルアリールから選択される)、−C(O)Rc(式中、Rcは、低級アルキル、アリールまたは−低級アルキルアリールから選択される)あるいは−低級アルキル−ORd(式中、Rdは、好適な保護基またはOH基である)から選択され、これらは全て、場合により、1つ以上の置換可能な位置で1つ以上の好適な置換基によって置換され、
前記化合物のアルデヒド成分は、場合により亜硫酸水素塩を付加した形態であってよく、
前記アミノ酸分子は、アミノ酸、直鎖ペプチドまたはこれらの塩であり、ただし前記アミノ酸分子が直鎖ペプチドである場合、前記化合物は、前記ペプチドのアミノ末端の近位の炭素原子と立体化学的に整合しつつ、前記アルデヒドの近位にアジリジン不斉中心を含むものとする。]
の化合物と反応させる工程を含む、環状アミノ酸分子の製造方法。
【請求項2】
前記アミノ酸分子がアミノ酸である場合、前記アミノ末端は一級アミノ基または二級アミノ基であるが、前記アミノ酸分子がペプチドである場合、前記アミノ末端は二級アミノ基である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
R1〜R5のうちいずれか1つがHである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
n=0であり、そしてR1〜R3がHである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
n=0であり、そしてR2およびR3がHである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
R1が、CH2OTBDMSまたはCH2iPrである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記アミノ酸分子が直鎖ペプチドである、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記直鎖ペプチドの前記アミノ末端アミノ酸が、プロリン、およびNHBn、NHCH2CH2SO2PhまたはNHCH2CH2CNで置換されたアミノ基を有するアミノ酸からなる群より選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記アミノ酸分子が、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セレノシステイン、セリン、チロシン、トレオニン、トリプトファンおよびバリンからなる群より選択されるD−またはL−アミノ酸である、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記アミノ酸分子がα−アミノ酸である、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記アミノ酸分子がβ−アミノ酸である、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記アミノ酸分子がγ−アミノ酸である、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記イソシアニドが、(S)−(−)−α−メチルベンジルイソシアニド、1,1,3,3−テトラメチルブチルイソシアニド、1−ペンチルイソシアニド、2,6−ジメチルフェニルイソシアニド、2−モルホリノエチルイソシアニド、2−ナフチルイソシアニド、2−ペンチルイソシアニド、4−メトキシフェニルイソシアニド、ベンジルイソシアニド、ブチルイソシアニド、シクロヘキシルイソシアニド、イソプロピルイソシアニド、p−トルエンスルホニルメチルイソシアニド、フェニルイソシアニドジクロリド、tert−ブチルイソシアニド、(トリメチルシリル)メチルイソシアニド、1H−ベンゾトリアゾル−1−イルメチルイソシアニド、2−クロロ−6−メチルフェニルイソシアニド、ジ−tert−ブチル2−イソシアノサクシネート、tert−ブチル2−イソシアノ−3−メチルブチレート、tert−ブチル2−イソシアノ−3−フェニルプロピオネート、tert−ブチル2−イソシアノプロピオネートおよびtert−ブチル3−イソシアノプロピオネートからなる群より選択される、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記イソシアニドがtert-ブチルイソシアニドである、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記方法が非求核性反応媒体中で行われる、請求項1から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記非求核性反応媒体がトリフルオロエタノールである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記非求核性反応媒体がHFIPと水との混合液である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記アミノ酸分子がアミノ酸であり、そして前記方法が水中で行われる、請求項1から14のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記アジリジン部分の求核的開環反応によって前記環状アミノ酸分子に蛍光標識を結合させる工程を更に含む、請求項1から18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記ペプチドの長さがアミノ酸2〜30個分である、請求項1から19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
請求項1から20のいずれかに記載の方法を用いて製造される、環状アミノ酸分子。
【請求項22】
式(II):
【化11】
[前記式中、n=0または1であり、R1、R2、R3、R4およびR5は独立して、H、低級アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、複素環、式−C(O)OR*(式中、R*はアルキルおよびアリールから選択される)で表されるエステル、式−C(O)NR**R***(式中、R**およびR***は独立して、アルキルおよびアリールから選択される)で表されるアミド、−CH2C(O)R(式中、Rは、−OH、低級アルキル、アリール、−低級アルキルアリールまたは−NRaRbから選択され、前記式中、RaおよびRbは独立して、H、低級アルキル、アリールもしくは−低級アルキルアリールから選択される)、−C(O)Rc(式中、Rcは、低級アルキル、アリールまたは−低級アルキルアリールから選択される)あるいは−低級アルキル−ORd(式中、Rdは、好適な保護基またはOH基である)から選択され、これらは全て、場合により、1つ以上の置換可能な位置で1つ以上の好適な置換基によって置換され、
結合[a]および[b]が互いにシン位にあり、
R’は、前記アミノ末端アミノ酸のアミノ酸側鎖であり、
R”は、任意置換アミドであり、
前記アミノ酸分子は、アミノ酸、直鎖ペプチドまたはこれらの塩であって、N’は前記アミノ酸分子のアミノ末端での窒素であり、およびC’は前記アミノ酸分子のカルボキシ末端での炭素であり、ただし前記アミノ酸分子が直鎖ペプチドである場合、結合[a]および[c]は互いにアンチ位にあるものとする。]
で表される、環状アミノ酸分子。
【請求項23】
前記アミノ酸分子がアミノ酸である場合、前記アミノ末端は一級アミノ基または二級アミノ基であるが、アミノ酸分子が直鎖ペプチドである場合、前記アミノ末端は二級アミノ基である、請求項22に記載の環状アミノ酸分子。
【請求項24】
R1〜R5のうちいずれか1つがHである、請求項22または23に記載の環状アミノ酸分子。
【請求項25】
n=0であり、そしてR1〜R3がHである、請求項22または23に記載の環状アミノ酸分子。
【請求項26】
n=0であり、そしてR2およびR3がHである、請求項24に記載の環状アミノ酸分子。
【請求項27】
R1が、CH2OTBDMSまたはCH2iPrである、請求項26に記載の環状アミノ酸分子。
【請求項28】
前記アミノ酸分子が直鎖ペプチドである、請求項22から27のいずれかに記載の環状アミノ酸分子。
【請求項29】
前記直鎖ペプチドの前記アミノ末端アミノ酸が、プロリン、およびNHBn、NHCH2CH2SO2PhまたはNHCH2CH2CNで置換されたアミノ基を有するアミノ酸からなる群より選択される、請求項28に記載の環状アミノ酸分子。
【請求項30】
前記アミノ酸分子が、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セレノシステイン、セリン、チロシン、トレオニン、トリプトファンおよびバリンからなる群より選択されるD−またはL−アミノ酸である、請求項22から27のいずれかに記載の環状アミノ酸分子。
【請求項31】
前記アミノ酸分子がα−アミノ酸である、請求項22から27のいずれかに記載の環状アミノ酸分子。
【請求項32】
前記アミノ酸分子がβ−アミノ酸である、請求項22から27のいずれかに記載の環状アミノ酸分子。
【請求項33】
前記アミノ酸分子がγ−アミノ酸である、請求項22から27のいずれかに記載の環状アミノ酸分子。
【請求項34】
前記式中、R”がtert−ブチルアミドである、請求項22から33のいずれかに記載の環状アミノ酸分子。
【請求項35】
前記アミノ酸分子の濃度が少なくとも0.002Mである、請求項1から20のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
前記アミノ酸分子の濃度が、0.002M〜0.2Mである、請求項1から20のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
前記アミノ酸分子の濃度が少なくとも0.1Mである、請求項1から20のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
前記アミノ酸分子の濃度が約0.2Mである、請求項1から20のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
式(Ia)/(Ib):
【化12】
で表されるものであって、式中、前記アミノ酸分子のアミノ末端の近位の炭素原子と立体化学的に整合しつつ、前記アルデヒドの近位の炭素原子にα−立体中心を含んでおり、
n=0または1であり、R1、R2、R3、R4およびR5は独立して、H、低級アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、複素環、式−C(O)OR*(式中、R*はアルキルおよびアリールから選択される)で表されるエステル、式−C(O)NR**R***(式中、R**およびR***は独立して、アルキルおよびアリールから選択される)で表されるアミド、−CH2C(O)R(式中、Rは、−OH、低級アルキル、アリール、−低級アルキルアリールまたは−NRaRbから選択され、前記式中、RaおよびRbは独立して、H、低級アルキル、アリールもしくは−低級アルキルアリールから選択される)、−C(O)Rc(式中、Rcは、低級アルキル、アリールまたは−低級アルキルアリールから選択される)あるいは−低級アルキル−ORd(式中、Rdは、好適な保護基である)から選択され、これらがいずれも、場合により、1つ以上の置換可能な位置で1つ以上の好適な置換基によって置換されており、
前記アミノ酸分子はアミノ酸または直鎖ペプチドであり、ただし前記アミノ酸分子が直鎖ペプチドである場合、前記化合物は、前記ペプチドのアミノ末端の近位の炭素原子と立体化学的に整合しつつ、前記アルデヒドの近位にアジリジン不斉中心を含む、
アミノ酸分子の環化における化合物の用途。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図2】
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【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
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【図18】
【図19】
【図20A】
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【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【公表番号】特表2012−520330(P2012−520330A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500020(P2012−500020)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【国際出願番号】PCT/CA2010/000408
【国際公開番号】WO2010/105363
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(501318567)ザ ガバニング カウンシル オブ ザ ユニバーシティ オブ トロント (8)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【国際出願番号】PCT/CA2010/000408
【国際公開番号】WO2010/105363
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(501318567)ザ ガバニング カウンシル オブ ザ ユニバーシティ オブ トロント (8)
【Fターム(参考)】
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