説明

生ごみ処理機

【課題】 生ごみ処理機内の保温効果のある部分を利用して処理剤容器の凍結を防止し、電力消費の抑制によるランニングコストの削減を実現することができる生ゴミ処理機を提供する。
【解決手段】 生ごみを処理水4とともに攪拌して微生物により分解させる処理糟2と、該処理槽2に処理水4を供給する受水槽23と、処理剤が収容されたバイオタンク28とを備えた生ごみ処理機1において、前記受水槽23内の処理水4又は前記受水槽23から供給される処理水4の近傍に、又は当該処理水4に接触するように、前記バイオタンク28を設置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生ごみ処理機、特に業務用の生ごみ処理機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、バイオポンプを用いて処理剤容器から処理剤を有機物分解処理槽内に添加し、処理剤と有機廃棄物を一緒に攪拌することにより水中で有機廃棄物を分解する湿式の生ごみ処理機が開示されている。
【特許文献1】特開2002−336830号公報
【0003】
この種の生ごみ処理機を冬季に使用する場合には、気温の低下により処理剤容器に収容された処理剤が凍結するおそれがあるため、加温ヒーターを処理剤容器の周辺に設けて容器内の温度を一定に保つことで処理剤の凍結防止を図るものがある。
【0004】
しかしながら、前記加温ヒーターを処理剤容器用に別途設けることは、生ゴミ処理機の使用による電力消費が増加し、生ゴミ処理機のランニングコストの削減を図ることができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記のような問題点を鑑みて、生ごみ処理機内の保温効果のある部分を利用して処理剤容器の凍結を防止し、電力消費の節約によるランニングコストの削減を実現することができる生ゴミ処理機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は、生ごみを処理水とともに攪拌して微生物により分解させる処理糟と、該処理槽に処理水を供給する受水槽と、処理剤が収容されたバイオタンクとを備えた生ごみ処理機において、前記受水槽内の処理水又は前記受水槽から供給される処理水の近傍に、又は当該処理水に接触するように、前記バイオタンクを設置したものである。
【0007】
前記受水槽に凹部を形成し、該凹部に前記バイオタンクを設置することが好ましい。
【0008】
前記受水槽の内部に充填された処理水の中に前記バイオタンクを設置することが好ましい。
【0009】
前記処理槽の内部に供給された処理水の中に前記バイオタンクを設置することが好ましい。
【0010】
オーバーフロー開口を介して前記処理槽と連通するオーバーフロー槽に分解水がオーバーフローする位置に前記バイオタンクを設置することが好ましい。
【0011】
また、生ごみを処理水とともに攪拌して微生物により分解させる処理糟と、該処理槽に処理水を供給する受水槽と、処理剤が収容されたバイオタンクとを備えた生ごみ処理機において、前記受水槽と前記バイオタンクが、ヒートパイプを介して連結されていてもよい。
【0012】
このように構成すれば、バイオタンク用の加温ヒーターを生ゴミ処理機に別途設ける必要がなくなる。
【発明の効果】
【0013】
前記手段によれば、凍結することのない部分を利用して、処理剤が収容されたバイオタンク内の温度を一定に保つことができるので、別途加温ヒーターを設けることによる電力消費を節約することができ、その結果、生ゴミ処理機のランニングコストを削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を添付の図面にしたがって説明する。
【0015】
図1は、本発明の第1実施形態に係る生ごみ処理機1を示す。処理糟1は、周壁2a、底壁2b及び上壁2cを有する円筒形状で、図示しないが適宜の断熱構造を有している。処理糟2の内部には、微生物(バイオ菌)が着床する多孔質の発泡樹脂製の多数の基材3と、処理水4が収容されている。
【0016】
処理糟2の内部中央には、スクリュ形の攪拌翼5を有する攪拌軸6が垂直に収容されている。攪拌軸6の上端は、処理糟2の上壁2cの内面に回転自在に支持され、下端は、処理糟2の底壁2bに設けた軸受7により回転自在に支持されている。攪拌軸6の上端はさらに、処理糟2の上壁2cを貫通し、外側のカバー8内に設けられた攪拌モータ9に図示しないカップリングを介して連結されている。この攪拌モータ9の駆動により、攪拌軸6は正逆転可能になっている。
【0017】
処理糟2の周壁2aの上部には、処理水4の給水口10が配設されている。給水口10は、処理水4のオーバーフロー水位より50mm程度上方が好ましい。また、処理糟2の周壁2aには、オーバーフロー開口11が形成されている。オーバーフロー開口11には、排水濾過網12が取り付けられ処理中の生ごみがオーバーフローによって排出されるのを防止している。さらに、処理糟2内には、排水濾過網12が詰まってオーバーフロー水位より上昇すると、これを検知して給水を停止するためのオーバーフロースイッチ13が設けられている。
【0018】
処理糟2の上壁2cの外周寄りには、図2に示すように、生ごみを投入する投入口14が設けられている。投入口14は、蓋15によって開閉可能であり、蓋15には、透明な覗き窓16が設けられている。
【0019】
処理糟2の周壁2aの上部には、オーバーフロー糟17が設けられ、該オーバーフロー糟17は前記処理糟2に形成されたオーバーフロー開口11を介して処理糟2内と連通している。また、オーバーフロー糟17は排水管18とトラップ19を介して図示しない浄化槽又は下水道に接続されている。さらに、オーバーフロー糟17内には、外部シャワー給水管20が設けられ、排水濾過網12に向かってシャワー水を噴射し、排水濾過網12に付着した生ごみを除去して排水が円滑に行われるようにしている。
【0020】
処理糟2の周壁2aの下部には、図2に示すように、内部の清掃のために人が進入可能な点検口21が設けられ、該点検口21は扉22によって開閉可能になっている。
【0021】
処理糟2の上方には、処理水4を貯留するタンクであるシスターン23が設けられている。シスターン23は、入口24、出口25、オーバーフロー管26を備える。シスターン23は、熱伝導率の高い鉄等の材料で構成され、上部の蓋には、凹部27が形成され、該凹部27にバイオタンク28が設置されている。凹部27の底は、シスターン23内の処理水4に接触することが好ましい。バイオタンク28には、微生物を含む液体からなる処理剤(液体バイオ)29が収容され、該処理剤29は、前記カバー8内に設けられたバイオポンプ30によって処理糟2内に注入されるようになっている。シスターン23の入口24の内側には、浮玉31aの上下動によって給水の開始と停止を行うボールタップ31が設けられている。また、シスターン23の入口24の外側は、図示しない止水弁を介して上水道又は受水槽に接続されている。シスターン23の出口25は、ストレーナ32、第1電磁弁33を有する給水管34に接続され、該給水管34は、前記処理糟2の給水口10に接続されている。給水管34のストレーナ32と第1電磁弁33の間には、シャワー給水管35が分岐している。シャワー給水管35は第2電磁弁36を有し、シャワー用ポンプ37を介して前記オーバーフロー糟17の外部シャワー給水管20に接続されている。
【0022】
前記攪拌モータ9、バイオポンプ30、シャワー用ポンプ37及び第1、第2電磁弁33,36は、処理糟2の横に配置された電気制御盤38によって制御される。
【0023】
次に、前記構成からなる生ごみ処理機の動作を説明する。
【0024】
運転開始に先立って電気制御盤38の時間設定器により、1サイクルの運転時間と休止時間をそれぞれ0から15分の間で設定し、例えば運転時間15分、休止時間5分とする。また、攪拌モータ9の正転時間(例えば30秒)、逆転時間(例えば30秒)、停止時間(例えば10秒)をそれぞれ設定するとともに、バイオ添加時間(例えば6時間)を設定する。
【0025】
処理槽2内に微生物(バイオ菌)を着床させた所定量の基材3と処理水4が収容されている状態で、投入口14から生ごみを投入し、運転を開始する。1サイクルの間、攪拌モータ9により攪拌軸6を正転−逆転−停止させるパターンを繰り返す。攪拌軸6の回転数は正逆転とも約140rpm〜240rpmである。処理槽2の断熱構造により、処理水4の温度は約35℃に維持される。シスターン23に貯留される処理水4は、凍結することのない上水道であるため、シスターン23の熱伝導率を利用してバイオタンク28に収容された処理剤29の温度も維持され、処理剤29の凍結を防止することができる。生ごみは、基材3と処理水4とともに攪拌翼5によって攪拌され、基材3中に着床した微生物(バイオ菌)によって水と二酸化炭素に分解される。
【0026】
微生物による生ごみの分解作用により、処理水4中の溶存酸素が消費される。そこで、攪拌モータ9の正転時には所定時間(0〜30秒の間で予め設定)、第1電磁弁33を開き、シスターン23から処理水4を処理槽2内に供給して酸素を与え、微生物による分解作用を促進する。また、攪拌モータ9の逆転時には所定時間(0〜30秒の間で予め設定)、第2電磁弁36を開き、シャワー用ポンプ37を駆動して、シスターン23から処理水4をオーバーフロー槽17内に供給して排水濾過網12を洗浄し、排水濾過網12の目詰まりを防止し、分解水のオーバーフローによる排水を円滑に行わせる。オーバーフローした分解水は、排水管18及びトラップ19を通って下水として排水される。また、運転中に設定時間毎にバイオポンプ30を駆動し、所定量(例えば20cc)の処理剤29(液体バイオ)を処理槽2内に添加し、微生物による分解作用を継続させる。
【0027】
図3は、本発明の第2実施形態に係る生ごみ処理機1を示す。この生ごみ処理機1は、バイオタンク28をシスターン23の内部に充填された処理水4の中に設置したものである。シスターン23が有する断熱構造を利用して処理水4の水温を約35℃に維持することで、処理水4の中に設置されたバイオタンク28内部の処理剤の温度も維持されるものであり、前記以外は前記第1実施形態と同様であるので、対応する部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0028】
図4は、本発明の第3実施形態に係る生ごみ処理機1を示す。この生ごみ処理機1は、処理槽2に供給された処理水4に接触するように支持台39上にバイオタンク28を設置したものである。処理槽2が有する断熱構造を利用して処理水4の水温を約35℃に維持することで、処理水の中に設置されたバイオタンク28内部の処理剤の温度も維持されるものであり、前記以外は前記第1実施形態と同様であるので、対応する部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0029】
図5は、本発明の第4実施形態に係る処理機1を示す。この生ごみ処理機1は、オーバーフロー槽17に分解水がオーバーフローする位置にバイオタンク28を設置したものである。処理槽2が有する断熱構造によって約35℃に維持された分解水がオーバーフローすることで、オーバーフロー位置に設置されたバイオタンク28内部の処理剤の温度も維持されるものであり、前記以外は前記第1実施形態と同様であるので、対応する部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0030】
図6は、本発明の第5実施形態に係る処理機1を示す。この生ごみ処理機1は、前記シスターン23と前記バイオタンク28が、ヒートパイプ40を介して連結されたものである。ヒートパイプの入熱部側の端部は、不図示のアルミ板をねじ止め等することによりシスターン23に取り付けられ、放熱側の端部は、不図示のアルミ板をねじ止め等することによりバイオタンク28に取り付けられている。約35℃に維持されたシスターン23の熱が、ヒートパイプ40を介してケーシング41に伝達することで、ケーシング41内部に収容されたバイオタンク28内部の処理剤の温度も維持されるものであり、前記以外は前記第1実施形態と同様であるので、対応する部分に同一符号を付して説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1実施形態に係る生ごみ処理機の正面断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る生ごみ処理機の側面断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る生ごみ処理機の正面断面図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る生ごみ処理機の正面断面図である。
【図5】本発明の第4実施形態に係る生ごみ処理機の正面断面図である。
【図6】本発明の第5実施形態に係る生ごみ処理機の正面断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 生ごみ処理機
2 処理槽
3 処理水
27 凹部
28 バイオタンク
40 ヒートパイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生ごみを処理水とともに攪拌して微生物により分解させる処理糟と、該処理槽に処理水を供給する受水槽と、処理剤が収容されたバイオタンクとを備えた生ごみ処理機において、前記受水槽内の処理水又は前記受水槽から供給される処理水の近傍に、又は当該処理水に接触するように、前記バイオタンクを設置することを特徴とする、生ごみ処理機。
【請求項2】
前記受水槽に凹部を形成し、該凹部に前記バイオタンクを設置することを特徴とする、請求項1記載の生ごみ処理機。
【請求項3】
前記受水槽の内部に充填された処理水の中に前記バイオタンクを設置することを特徴とする、請求項1記載の生ごみ処理機。
【請求項4】
前記処理槽の内部に供給された処理水の中に前記バイオタンクを設置することを特徴とする、請求項1記載の生ごみ処理機。
【請求項5】
オーバーフロー開口を介して前記処理槽と連通するオーバーフロー槽に分解水がオーバーフローする位置に前記バイオタンクを設置することを特徴とする、請求項1記載の生ごみ処理機。
【請求項6】
生ごみを処理水とともに攪拌して微生物により分解させる処理糟と、該処理槽に処理水を供給する受水槽と、処理剤が収容されたバイオタンクとを備えた生ごみ処理機において、前記受水槽と前記バイオタンクが、ヒートパイプを介して連結されていることを特徴とする、生ごみ処理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−212558(P2006−212558A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−28634(P2005−28634)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】