説明

生ごみ処理装置

【課題】揺動筒体をガイドとして作動する角形棒により被処理物の一部が筒体内に蓄積されないようにした生ごみ処理装置を提供する。
【解決手段】本発明は、下部側に軸支点2を持つ揺動筒体3と、該揺動筒体3内に摺接しつつ出没するように作動する角形棒5とを備えた生ごみ処理装置において、前記角形棒5を捻じったことを特徴とする。この角形棒5が断面正四角形であるときは、その1つの角が少なくとも90°捻じられているとよい。すなわち、捻じりによって生ずる角形棒の各角の摺接により筒体内を自然に清掃(蓄積防止及び蓄積物の掻き出し)できるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バクテリアによる生ごみの分解を促進し、分解時の臭気を抑え、更に省電力化を計りながら設備や処理能力の大型化が容易に達成できる生ごみ処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、バクテリアによる分解を促進させる生ごみ処理装置は、特開2002−59124の如く、生ごみ処理槽内に充填した生ごみ処理用チップを撹拌用の羽根で撹拌して生ごみをバクテリアのような微生物にて分解処理していたが、処理槽の両側壁に嵌挿した主軸(回転軸)に固定した複数の撹拌腕(羽根)は、羽根の下方向時に処理槽の低部の反作用で被処理物を圧迫して回転負荷が増大してしまったり、撹拌羽根にゴミなどが付着することにより回転負荷が増大してしまうことがあり、その付着したゴミなどの除去作業が至極困難になっていた。
【0003】
そこで、本発明者は、先に、処理槽内の被処理物の撹拌時の低負荷による処理コストの削減や省力化を実現し、しかも巨大量の生ごみ処理を可能にした生ごみ処理装置を開発して特開2003−33749として開示した。この生ごみ処理装置は、下部側に支点を持つ揺動筒体と、該揺動筒体内に摺接し、上端が縦円運動する駆動腕に連繋し、下端が前記揺動筒体から出没するように作動する角形棒とを備えたものである。この角形棒は被処理物を処理槽の槽底部から上方へ掬い上げつつ生ごみの投入側から搬出側へと押し進めるように作動するもので、回転羽根と異なり被処理物を圧迫したり、ゴミなどの付着による負荷の増大がなく、処理設備の大型化が可能であるなどの各種の利点を有していた。
【特許文献1】特開2002−59124
【特許文献2】特開2003−33749
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本発明者が開発した先の技術によると、前記揺動筒体をガイドとして出没作動する角形棒は、その先端(下端)を処理槽内の被処理物に差し込んで該被処理物を槽底部から上方へ掬い上げつつ押し進めるように作動した後、揺動筒体内に引き入れられるが、その時に被処理物の一部が、経時的に筒体内に蓄積され、固まってしまい角形棒に大きな抵抗を生じさせる原因になった。この蓄積物は適時筒体内を清掃することにより取り除けば済むが、巨大量の生ごみ処理を目的とするこの装置にあっては極めて困難かつ重労働であった。
【0005】
本発明は、上記問題を解消しようとするもので、その目的とするところは、揺動筒体をガイドとして作動する角形棒により被処理物の一部が筒体内に蓄積されないようにした生ごみ処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、下部側に支点を持つ揺動筒体と、該揺動筒体内に摺接しつつ出没するように作動する角形棒とを備えた生ごみ処理装置において、前記角形棒を捻じったことを特徴とし、その捻じりによって生ずる角形棒の各角の摺接により筒体内を自然に清掃(蓄積防止及び蓄積物の掻き出し)できるように構成した。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、前記角形棒が、断面正四角形であって、その1つの角が少なくとも90°捻じられていることを特徴とし、角形棒自身の捻じりを少なくして各角が筒体内に全面的に当たるように構成した。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る生ごみ処理装置は、下部側に支点を持つ揺動筒体を出没する角形棒の移動時に、該角形棒の捻じられた各角が筒体内の摺接面に付着する蓄積物を作動中に自然に清掃することができるという優れた効果を奏するものである。
【0009】
また、請求項2に記載の発明に係る生ごみ処理装置は、前記角形棒が、断面正四角形であって、その1つの角が少なくとも90°捻じられていることを特徴としているから、角形棒自身の捻じり角度を最も少なくして筒体内を全面的に確実に掃除できるという優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本願装置の揺動筒体と角形棒との作用を示す側面図、図2は本願装置の一部省略平面図、図3は揺動筒体と角形棒との関係図、図4は角形棒に捻じりを付与する説明のための斜視図、図5は捻じりを付与した角形棒の一部を示す斜視図、図6は揺動筒体内に摺接する角形棒の作用を示す断面図である。
【0011】
本願装置1は、図1の如く、下部側に軸支点2を持つ揺動筒体3と、該揺動筒体3の内周に摺接し、上端5″が縦円運動(図中、符号Kで示している)する駆動腕4に連繋した角形棒5とを備え、該角形棒5は、前記駆動腕4の縦円運動により、下端5′が前記揺動筒体3を突出し、処理槽6内の被処理物を槽底部から上方へ掬い上げつつ一定方向へ押し進めるように作動するようになっている。
【0012】
前記処理槽6の左右の槽壁上にはレール7が敷設され、該レール7上には車輪8を介して走行枠10が処理槽6の長さ方向に沿って走行可能に設けられている。該走行枠10の底枠10′上には、枠長方向(処理槽6の幅方向と同方向)に、駆動機(図示の構造のものに限らない)11の腕部11′の作動により一定量Pの範囲で往復する移動台12が設けられている。
【0013】
前記移動台12の下面には、走行枠10の開口穴9を通して固定アーム13が下方に向け延出されている。該固定アーム13の下端部には、前記揺動筒体3の下端側が軸支点2を介して枢着されている。したがって、該揺動筒体3は、その軸支点2を中心に上端側が自在に揺動できる。なお、前記走行枠10の底面は、前記移動台12の4つの車輪12′が乗るだけの幅の底枠10′があるほか、その中央域は前記開口穴9として開口されている。
【0014】
前記揺動筒体3は少なくとも内周が円筒である鞘体で、外側の形状は問わない。該揺動筒体3の内面に摺接して出没する角形棒5は、その上端5″が前記移動台12の台上に設置したモータ14の推軸14′に固定した駆動輪15にチェーン(ベルトでもよい)16を介して連繋した回転輪17の支軸18に固定され、縦円運動する駆動腕4に連繋している。該角形棒5は、図2の如く、移動台12の台上に設けた透孔を通して等間隔(移動台の移動範囲Pとほぼ等しい間隔)に設置されている。
【0015】
したがって、今、前記モータ14の起動により駆動腕4が、図1のA点(角形棒5の上端連繋点)から矢印イ方向に縦円運動を開始してB点に至ると、前記角形棒5の下端(先端)5′は前記軸支点2を中心に揺動する揺動筒体3に規制(ガイド)されて、a点から矢印ロの軌道を通って下降し、b点に至る。さらに駆動腕4がC点、D点の如く縦円運動を進行させるに伴い角形棒5の下端5′もc点、d点の如き軌道を描く。これにより角形棒5は前記処理槽6内の被処理物を槽底部19から上方へ掬い上げるように撹拌しつつ処理槽6の被処理物投入側6aから搬出側6bへと押し進めることができるようになっている。
【0016】
前記角形棒5の下端5′は、前記駆動腕4が図1のN点(揺動筒体3の軸支点2から最も遠ざかった位置)に至ると、前記揺動筒体3内の上端寄りまで没入する。換言すると、前記角形棒5は長さ(駆動腕4との連繋点から下端まで)Sを有し、前記駆動腕4の縦円運動により、その下端5′が、図3の如く、揺動筒体3より最も突出する位置から揺動筒体3内に最も没入位置を繰り返すこととなる。
【0017】
前記角形棒5の下端5′が揺動筒体3より突出するときは、処理槽6内の被処理物に潜り込むことから尖っていることが好ましい。また、前記角形棒5は、前述の如く、被処理物に潜り込んだ後、該被処理物を槽底部から上方へ掬い上げるように運動して撹拌する関係でその被処理物の抵抗に耐えられる強度を有していることが必要であることは勿論である。したがって、被処理物の処理量によって太さ、長さが決定される。
【0018】
前記角形棒5の断面形状は特に問わないが、断面正三角形か、断面正四角形にし、図4の如く、該角形棒5の基端5Aを固定(斜線参照)し、他端5Bを軸芯Lを中心に90°捻じって図5の如く形体に塑性変形(元に戻らないように変形)させる。この場合、断面正四角形の角形棒5であれば、1つの角(エッジ)Eを90°捻じるとよい。すなわち、4つの角で都合360°となる。ちなみに、断面正三角形の角形棒5であれば、1つの角を120°捻じって都合360°となるようにすることとなる。勿論、本願角形棒5の断面形状は正五角形、正六角形でもよいが、揺動筒体3内の蓄積物の掻き出し効果は角数の少ない方が優れている。
【0019】
前記角形棒5を上述の如く捻じっておくと、揺動筒体3より最も突出する位置から揺動筒体3内に最も没入位置に至る角形棒5は、その角(エッジ)E1、E2、E3、E4のそれぞれが、図6(a)の位置から(b)の位置及び(c)位置に揺動筒体3内を変化して各角が筒体3内のあらゆる面に摺接し、被処理物(点々模様)を自然に清掃することができることとなる。尤も、かかる効能は総ての角が揺動筒体3の内面に均等に当たる断面正三角形、正四角形等の正角形の場合であるが、強度が保てて揺動筒体3内の蓄積防止及び蓄積物の掻き出し効果が得られるならば、常に、断面正角形でなくてもよい。
【0020】
次に、本願装置1の作用について説明する。まず、処理槽6の左右の槽壁上に敷設したレール7に沿って走行枠10は、前記処理槽6の被処理物搬出側6bから走行を開始させる。この走行枠10の走行は、該走行枠上に搭載した駆動機(図示せず)の作動により自走する。この走行枠10が前記処理槽6の被処理物搬出側6bから投入側6aに至った後は、出発位置(被処理物搬出側6b)に戻す。
【0021】
かくして、被処理物搬出側6bから走行開始した走行枠10の底枠10′上を移動する移動台12の上面に設置したモータ14を駆動し、その推軸14′に固定した駆動輪15からチェーン16を介して連繋した回転輪17の支軸18により駆動腕4を縦円運動させて角形棒5を駆動する。
【0022】
前記角形棒5は上端5″が縦円運動するから、下端5′は軸支点2を中心に揺動する揺動筒体3に規制(ガイド)されて処理槽6内の被処理物を槽底部19から上方へ掬い上げるように撹拌しつつ処理槽6の搬出側6bへと押し進める(これは走行枠10の走行方向と逆方向となる)。
【0023】
前記角形棒5の上記撹拌運動は、前記走行枠10の走行(処理槽の長さ方向)と、前記移動台12の移動(処理槽の幅方向)とを組み合わせて行われる。すなわち、前記角形棒5を上記撹拌運動をさせながら移動台12とともに一定量Pだけ処理槽の幅方向に移動させ、その移動点にて、前記走行枠10を角形棒5に上記撹拌運動をさせながら処理槽の長さ方向に移動させる。しかる後、角形棒5を上記撹拌運動をさせながら移動台12とともに一定量Pだけ戻し、その戻し点にて、前記走行枠10を走行方向に進める。
【0024】
このようにして、前記移動台12の移動と走行枠10の走行とにより角形棒5は処理槽6内をジグザグ状に走行させると、角形棒5は処理槽6内の被処理物を万遍なく撹拌作用するとともに、被処理物を搬出側6bへと押し進めることができる。
【0025】
前記角形棒5は尖った下端5′にて処理槽6内の被処理物を突き刺しつつ潜り込んで該被処理物を槽底部から上方へ掬い上げるように撹拌するが、尖った下端5′に刺されて角形棒5とともに引き上げられた被処理物の大きいものは前記揺動筒体3の下端口に阻止されて筒体3内まで引き込まれないが、角形棒5に付着した被処理物の細かいものは、前記揺動筒体3の下端口に阻止されずに筒体3内まで引き込まれるとしても、捻じられている角形棒5の角(エッジ)Eの作用により常に清掃されることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本願装置は、家庭、レストラン、学校、病院などから廃棄される生ゴミの処理や好気性細菌の発酵を促進するための装置であって、揺動筒体をガイドとして作動する角形棒により被処理物の一部が筒体内に蓄積されないようにしたもので、特に、設備や処理能力の大型化した生ごみ処理装置に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本願装置の揺動筒体と角形棒との作用を示す側面図である。
【図2】本願装置の一部省略平面図である。
【図3】揺動筒体と角形棒との関係図である。
【図4】角形棒に捻じりを付与する説明のための斜視図である。
【図5】捻じりを付与した角形棒の一部を示す斜視図である。
【図6】揺動筒体内に摺接する角形棒の作用を示す断面図で、(a)は初期、(b) は中間過程、(c)は完了時点である。
【符号の説明】
【0028】
1 本願装置
2 軸支点
3 揺動筒体
4 駆動腕
5 角形棒
5′ 下端
5″ 上端
6 処理槽
7 レール
8 車輪
9 開口穴
10 走行枠
10′ 底枠
11 駆動機
11′ 腕部
12 移動台
13 固定アーム
14 モータ
14′ 推軸
15 駆動輪
16 連繋手段
17 連繋輪
18 軸杆
19 槽底部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部側に支点を持つ揺動筒体と、該揺動筒体内に摺接しつつ出没するように作動する角形棒とを備えた生ごみ処理装置において、前記角形棒を捻じったことを特徴とする生ごみ処理装置。
【請求項2】
前記角形棒が、断面正四角形であって、その1つの角が少なくとも90°捻じられていることを特徴とする請求項1に記載の生ごみ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−239591(P2006−239591A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−59598(P2005−59598)
【出願日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(599004298)有限会社町田工業所 (4)
【Fターム(参考)】